搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置
【課題】駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差を個別に加味した制御動作を実行する搬送制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る搬送制御装置は、往復移動体を駆動する駆動機構と、原点センサー5と、駆動機構2の駆動量を検出する駆動量検出手段と、往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具え、原点センサー5が第1出力状態から第2出力状態となるまで往復移動体を一方向に移動させた後、原点センサー5が第2出力状態から第1出力状態となるまで往復移動体を逆方向に移動させ、原点センサー5が第2出力状態となった後に往復移動体が静止状態から移動状態へ移行するまでの第1の駆動量と、往復移動体が移動状態へ移行した後に原点センサーが第1出力状態となるまでの第2の駆動量とを取得する。
【解決手段】本発明に係る搬送制御装置は、往復移動体を駆動する駆動機構と、原点センサー5と、駆動機構2の駆動量を検出する駆動量検出手段と、往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具え、原点センサー5が第1出力状態から第2出力状態となるまで往復移動体を一方向に移動させた後、原点センサー5が第2出力状態から第1出力状態となるまで往復移動体を逆方向に移動させ、原点センサー5が第2出力状態となった後に往復移動体が静止状態から移動状態へ移行するまでの第1の駆動量と、往復移動体が移動状態へ移行した後に原点センサーが第1出力状態となるまでの第2の駆動量とを取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動させる搬送装置、及び該搬送装置の制御方法、並びに該搬送装置を具えた観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、搬送対象を所定の搬送路に沿って往復移動させる搬送装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構とを具え、往復移動体を前記搬送路上の原点位置に復帰させるために、往復移動体が原点位置に達したときに該往復移動体によってオフからオンに切り替えられる原点センサーが配備される。
【0003】
前記駆動機構としては、動力源となるモータの回転を往復運動に変換して往復移動体に伝える歯車機構やプーリ機構などが採用されている。モータの駆動量は、駆動パルスの数をモータコントローラの内部カウンター等によりカウントすることによって計測することが出来る。
又、原点センサーとしては、例えば検出コイルに交流磁界を発生させて、検出対象の接近によるインピーダンスの変化を検出する誘導型近接センサーなどが用いられている。
【0004】
ところで、歯車機構を用いた駆動機構においては、歯車間にバックラッシュが存在するため、搬送対象を搬送路に沿って一方向に移動させた後に逆方向に移動させる場合、バックラッシュによってモータが空転する期間が発生し、この期間はモータが回転していても搬送対象は停止したままとなる。
【0005】
そこで、駆動機構の停止時の駆動方向を一方向に統一することによって、バックラッシュによるロストモーションを回避する技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
又、多色印刷されたシート状材料を搬送しつつスリッティングするスリッタ装置において、シート状材料に2つの基準マークを印刷して、これら2つの基準マークの相互の距離を検知することによって、基準マークの印刷ズレを検査する技術が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−092152号公報
【特許文献2】特開2004−283977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、駆動機構の停止時の駆動方向を一方向に統一する従来の技術では、前記一方向に駆動機構を駆動する場合はバックラッシュによるロストモーションがなくなるが、その逆方向に駆動機構を駆動する場合は、バックラッシュによるロストモーションが発生し、そのバックラッシュの大きさが定量的に検出されるものではないため、駆動機構による位置制御に誤差が伴うことになる。
【0008】
一方、搬送対象となるシート状材料に2つの基準マークを印刷して、これら2つの基準マークの相互の距離を検知する従来の技術によれば、基準マークの印刷ズレを検査することが可能であり、そのズレ量に対応させてシート状材料の位置を修正することも可能であるが、モータ駆動の基準位置を決めるための原点センサーの使用環境下での位置検出誤差や、駆動機構が有するバックラッシュの経年変化に対応することは出来ない。
【0009】
ところで、原点センサーの動作には、検出対象の接近に伴うオンからオフへの切り替わりと、検出対象の離間に伴うオフからオンへの切り替わりとの間に、応答性の違いによる位置検出誤差が存在し、オンからオフへの切り替わり位置とオフからオンへの切り替わり位置との間にはズレが生じる。
【0010】
バックラッシュは経時的に変化するのに対し、原点センサーの位置検出誤差は温度等の使用環境の影響を受けて変化するので、駆動機構特有の搬送量誤差(バックラッシュ)を考慮した駆動量の修正と、原点センサー特有の位置検出誤差を考慮した駆動量の修正は、個別に行なうことが必要であるが、従来の技術では、駆動機構特有の搬送量誤差の大きさと、原点センサー特有の位置検出誤差の大きさとを、個別に知ることは出来ない。
【0011】
そこで本発明の目的は、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差を個別に取得し、往復移動体に対する位置決め制御では、搬送量誤差と位置検出誤差を個別に加味した制御動作を実行することが可能な、搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る搬送制御装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達することによって該往復移動体により第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動作を制御する制御回路と、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具えている。
前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行する。
【0013】
ここで、第1の駆動量は駆動機構の搬送量誤差の大きさを表わし、第2の駆動量は原点センサーの位置検出誤差の大きさを表わすことになる。
【0014】
具体的態様において、前記原点センサーは、前記搬送路上に設置されて前記往復移動体に配備された遮蔽板の接近に伴って第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となり、該遮蔽板の離間に伴って第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるものである。
【0015】
更に具体的な態様において、前記移動検知手段は、前記往復移動体上に設けられたテストターゲットと、該テストターゲットを撮像する撮像装置とから構成され、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程では該撮像装置によって前記テストターゲットの画像を連続的に撮影し、撮影画像に変化が生じたとき、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行したものと判断する。
【0016】
本発明に係る搬送装置の制御方法において、搬送装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構とを具え、
更に、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを配備し、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量(第1のカウント値α)を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量(第2のカウント値γ)を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量(α、γ)から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態から第2出力状態への切り替わりと第2出力状態から第1出力状態への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを有し、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行する。
【0017】
本発明に係る搬送装置の制御プログラムにおいて、搬送装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具え、制御プログラムは、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量(第1のカウント値α)を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量(第2のカウント値γ)を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量(α、γ)から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)への切り替わりと第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを実行させ、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行させる。
【0018】
本発明に係る観察装置は、観察対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定の観察位置に達したときに該往復移動体上に保持されている観察対象を撮影する撮像装置と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段と、前記駆動機構の動作を制御する制御回路とを具え、
前記往復移動体上には、前記撮像装置によって撮影されるべきテストターゲットが設けられ、前記移動検知手段は、撮像装置によって撮影されるテストターゲットの画像に変化が生じた時点で、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行したものと判断し、前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行する。
【0019】
上記本発明に係る搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置においては、往復移動体に対する位置決め制御に際し、原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで往復移動体を一方向に移動させ、原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点で駆動量検出手段(内部カウンター)をリセットした後、原点センサーが第1出力状態(オフ)となるまで往復移動体を逆方向に移動させる過程で、往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点の駆動量検出手段による検出値(内部カウンターのカウント値α)を取得する。これによって得られた第1の検出値αは、往復移動体の移動方向の切り替えに伴う駆動機構の搬送量誤差、即ちバックラッシュの大きさを表わすことになる。
その後、更に往復移動体を逆方向に移動させる過程で、原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となった時点の駆動量検出手段による検出値(内部カウンターのカウント値γ)を取得する。これによって得られた第2の検出値γは、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差の合計値を表わすことになり、第2の検出値γから第1の検出値αを減算すれば、その検出値の差βは、原点センサーの位置検出誤差の大きさを表わすことになる。
この様にして、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差が導出された後、往復移動体に対する位置決め制御では、導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作が実行される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置によれば、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差とを個別に取得することが可能であり、その結果、往復移動体に対する位置決め制御では、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差を個別に加味した制御動作を実行することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を観察装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る観察装置は、蛍光試薬で染色した細胞などの対象物を観察するものであって、図1及び図2に示す如く筐体(1)の内部には、観察対象物が収容されたフラスコ(10)を設置すべきステージ(41)が配備され、該ステージ(41)をX軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)によって水平面上でX軸方向及びY軸方向に往復移動させることが出来る。
筐体(1)の内部には、フラスコ(10)を照明するためのLED(11)及びミラー(12)を具えた照明装置(13)が配備されると共に、フラスコ(10)を撮影するためのCCD(15)及びミラー(14)を具えた撮像装置(16)が配備されている。
【0022】
図3乃至図5に示す如く、X軸駆動機構(2)は、動力源となるX軸モータ(21)を具え、該X軸モータ(21)の回転は、歯車機構(26)と、プーリ(22)(23)及びタイミングベルト(24)からなるプーリ機構を経て、タイミングベルト(24)に連結されているX軸スライド体(25)の往復運動に変換され、該X軸スライド体(25)の往復移動によってホルダー(4)がX軸方向に駆動される。
又、Y軸駆動機構(3)は、動力源となるY軸モータ(31)を具え、該Y軸モータ(31)の回転は、プーリ(32)(33)及びタイミングベルト(34)からなるプーリ機構を経て、タイミングベルト(34)に連結されているY軸スライド体(35)の往復運動に変換され、該Y軸スライド体(35)の往復移動によってホルダー(4)がY軸方向に駆動される。
【0023】
ホルダー(4)は、図3の如くフラスコ(10)を保持するものであって、該ホルダー(4)に保持されたフラスコ(10)は、X軸駆動機構(2)の駆動によってX軸方向に移動しつつ、Y軸駆動機構(3)の駆動によってY軸方向に移動することになる。
【0024】
X軸駆動機構(2)には、図5の如く、X軸スライド体(25)のX軸方向の原点位置を検知するためのX軸センサー(5)が配備され、該X軸センサー(5)は、X軸スライド体(25)に連結されたX軸遮蔽板(51)の接近離間によってオン/オフが切り替えられる。
又、Y軸駆動機構(3)には、図4の如く、Y軸スライド体(35)のY軸方向の原点位置を検知するためのY軸センサー(6)が配備され、該Y軸センサー(6)は、Y軸スライド体(35)に連結されたY軸遮蔽板(61)の接近離間によってオン/オフが切り替えられる。
【0025】
尚、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)として、検出コイルに交流磁界を発生させて、検出対象の接近によるインピーダンスの変化を検出する誘導型近接センサーが用いられている。
【0026】
図6に示す如く、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)の出力信号はコントローラ(7)へ供給され、該コントローラ(7)にて生成された駆動制御信号(駆動パルス)がドライバー(74)(75)へ供給されることによって、X軸モータ(21)及びY軸モータ(31)が駆動される。ドライバー(74)(75)には、電源回路(73)から必要な電力が供給される。
尚、X軸モータ(21)及びY軸モータ(31)はそれぞれステッピングモータであって、各モータの駆動量は、コントローラ(7)から供給される駆動パルスの数を内部カウンターによりカウントすることによって、正確に計測することが出来る。
【0027】
又、照明装置(13)は照明制御回路(72)よって制御されており、照明制御回路(72)には電源回路(73)から必要な電力が供給される。
更に、撮像装置(16)、照明制御回路(72)及びコントローラ(7)には、ユーザがパーソナルコンピュータ(71)を操作することによって生成される指令信号が供給され、これによって、撮像装置(16)による撮影対象の撮影、照明装置(13)による撮影対象の照明、X軸モータ(21)及びY軸モータ(31)の駆動制御が実行される。
尚、撮像装置(16)への給電は、パーソナルコンピュータ(71)から行なうことも可能であり、電源回路(73)から行なうことも可能である。
【0028】
ホルダー(4)には、図7に示す如く、テストターゲット(8)が設けられている。該テストターゲット(8)は、例えば透明ガラス部(81)に蒸着等によって円形のマークを施して形成されており、ホルダー(4)をY軸方向に移動させて、テストターゲット(8)を前記撮像装置(16)による撮像範囲(17)に合致させることにより、テストターゲット(8)を撮影することが可能である。
【0029】
図7は、ホルダー(4)が原点位置に設置されている状態を示しており、原点位置では、ホルダー(4)によって保持されているフラスコの中心が撮像範囲(17)が入るように構成されている。この状態からホルダー(4)をY軸方向(CW方向)に移動させることによって、テストターゲット(8)を撮像範囲(17)内に収めることが出来る。
【0030】
X軸センサー(5)は、図7の如くX軸遮蔽板(51)がCCW方向に移動して、ON位置に達することによってオンとなり、その後、X軸遮蔽板(51)がCW方向に移動して、OFF位置に達することによってオフとなり、オフからオンとなる範囲(5a)とオンからオフとなる範囲(5b)にズレが存在する。
図7に示す原点位置からホルダー(4)がCW方向に所定距離だけ移動すると、ソフトウエアによるCWリミットがかけられる。又、原点位置からホルダー(4)がCCW方向に所定距離だけ移動すると、ソフトウエアによるCCWリミットがかけられる。
Y軸センサー(6)についても同様の構成である。
【0031】
X軸遮蔽板(51)は、図8(a)(b)(c)に示す様に、X軸方向に長く形成されており、同図(b)に示す原点位置よりCCW側では常にX軸センサー(5)がオンとなり、同図(b)に示す原点位置よりCW側では常にX軸センサー(5)がオフとなる構成を有している。
Y軸遮蔽板(61)についても同様の構成である。
【0032】
本発明に係る観察装置においては、電源投入後、図9(a)に示す如く、X軸センサー(5)がオフからオンとなるまでX軸モータ(21)をCCW方向に回転させて、X軸遮蔽板(51)を移動させ、X軸センサー(5)がオンとなった時点でX軸遮蔽板(51)を停止させる。
この状態で、X軸駆動機構(2)には、バックラッシュBが発生している。
この時点で、前記ホルダー(4)をY軸方向に移動させて、テストターゲット(8)を撮像範囲(17)に合致させた状態で、図9(b)の如くテストターゲット(8)を撮影し、同時に内部カウンターをリセットする。
【0033】
次に、図10(a)に示す如く、X軸モータ(21)をCW方向に逆転させつつ、テストターゲット(8)を連続的に撮影する。このとき、X軸駆動機構(2)のバックラッシュBが解消するまでは、X軸モータ(21)は空転し、X軸遮蔽板(51)は停止したままであるが、X軸駆動機構(2)のバックラッシュBが解消した時点で、X軸遮蔽板(51)が移動を開始する。
X軸遮蔽板(51)の移動開始後、テストターゲット(8)の撮影画像(8b)は、X軸遮蔽板(51)の移動開始前のテストターゲット(8)の撮影画像(8a)からずれることになるため、図10(b)に示す様に、移動開始前の撮影画像(8a)と移動開始後の撮影画像(8b)との差をとれば、一定値以上の面積を有する差分画像(8c)が得られることになる。これに対し、一定値以上の面積を有する差分画像(8c)が得られないときは、テストターゲット(8)が静止状態にあると判断することが出来る。
【0034】
そこで、X軸モータ(21)を逆転させた直後からテストターゲット(8)の画像を連続的に撮影し、移動開始前の撮影画像(8a)とその後の撮影画像(8b)の差分を演算し、一定値以上の面積を有する差分画像(8c)が得られた時点で、バックラッシュが解消されたものと判断して、その時の内部カウンターのカウント値から1を減算してその結果得られるカウント値αを取り込む。従って、このカウント値αは、X軸駆動機構(2)のバックラッシュの大きさを表わすことになる。
【0035】
その後、図11の如く、X軸遮蔽板(51)を更にCW方向に移動させ、これによって図12の如く、X軸センサー(5)がオンからオフとなった時点で、X軸遮蔽板(51)を停止させると共に、その時の内部カウンターのカウント値から1を減算してその結果得られるカウント値γを取り込む。このカウント値γは、X軸駆動機構(2)のバックラッシュとX軸センサー(5)の位置検出誤差の合計値を表わすことになる。
従って、カウント値γからカウント値αを減算すれば、そのカウント値の差βは、X軸センサー(5)の位置検出誤差の大きさを表わすことになる。
【0036】
Y軸駆動機構(3)についても同様の処理によって、Y軸駆動機構(3)のバックラッシュに応じたカウント値αと、Y軸センサー(6)の位置検出誤差に応じたカウント値差βを導出することが出来る。
【0037】
図13は、X軸駆動機構及びY軸駆動機構についてのバックラッシュによる搬送量誤差と、X軸センサー及びY軸センサーについての位置検出誤差とを導出すると共に、観察対象となるフラスコを観察開始位置(原点位置)に復帰させるための手続きを表わしている。
【0038】
システムの起動後、先ずステップS1では、X軸駆動機構についての原点復帰動作を実行し、ステップS2では、Y軸駆動機構についての原点復帰動作を実行する。
各原点復帰動作においては、図14に示す如く、ステップS21にてセンサー出力状態を確認し、センサーがオフのときは、ステップS25にて駆動機構をCCW方向に駆動する。
【0039】
センサーがオンのときは、ステップS22へ移行し、駆動機構をCW方向に駆動した後、ステップS23にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまでCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS24にて駆動機構を停止させた後、ステップS25にて駆動機構をCCW方向に駆動する。
【0040】
その後、ステップS26にてセンサーの出力状態を確認し、オンとなった時点で、ステップS27に移行し、駆動機構を停止させる。
この結果、X軸駆動機構及びY軸駆動機構はそれぞれ原点位置に復帰することになり(図7参照)、停止前のモータの回転方向が揃うことなる。又、センサーの出力状態は何れもオンとなる。
【0041】
X軸駆動機構及びY軸駆動機構の原点復帰動作が終了した後、図13のステップS3にて、Y軸駆動機構を動作させて、図7に示す撮像範囲(17)にテストターゲット(8)を収容する、ターゲット捕捉動作を実行する。ここで、Y軸モータの駆動量は、Y軸駆動機構の構成によって概ね決まっているため、所定量だけY軸モータをCCW方向に回転させた後に停止させればよい。
【0042】
その後、図13のステップS4では、X軸駆動機構及びY軸駆動機構について、停止直前(直近)のモータの回転方向(CW、CCW)を保持しておく。尚、直近回転方向保持は、各軸で駆動を停止する度に実行するようにしてもよい。
【0043】
続いて、ステップS5では、X軸駆動機構及びY軸駆動機構について、各モータの駆動パルス数をカウントする内部カウンターをゼロにリセットする。
尚、ステップS1〜ステップS5の処理は、X軸とY軸についてシリアルに実行してよいし、パラレルに実行してもよい。
次に、ステップS6では、テストターゲットを撮影して、その画像を基準画像としてキャプチャし、その結果をステップS7にてメモリに格納する。
【0044】
その後、ステップS8では、X軸駆動機構のバックラッシュに伴う搬送量誤差を算出する。
搬送量誤差の算出においては、図15に示す如く、ステップS31にて、直近回転方向を読み出し、その逆方向をモータ駆動方向として決定し、ステップS32では、モータを1パルス分だけ駆動する。そして、ステップS33にて内部カウンターをインクリメントした後、ステップS34にてテストターゲットをキャプチャする。
【0045】
ステップS35では、メモリに格納されている基準画像とステップS34にてキャプチャした画像とを対象として差分処理を実行し、2枚の画像に変化があるか否かを判定する。ここで変化がないと判定されたときは、直前の1パルスによる駆動はロストモーションになったもの(バックラッシュ発生中)と判断して、ステップS32に戻って1パルス駆動を繰り返す。
これに対し、ステップS35で変化ありと判定されたときは、バックラッシュが解消されたものと判断して、ステップS36にて、そのときのカウンター値から1を減算したカウント値αを搬送量誤差としてメモリに格納する。
【0046】
その後、図13のステップS9では、X軸についての位置検出誤差を算出する。
位置検出誤差の算出においては、内部カウンターをリセットすることなく、図16に示す如く、ステップS41にて、搬送量誤差算出時に決定した駆動方向と同一方向にモータを1パルス分だけ駆動した後、ステップS42にて内部カウンターをインクリメントする。そして、ステップS43にて、センサーの出力状態を確認し、オンの場合はステップS41に戻って、モータの1パルス駆動を繰り返す。
【0047】
ステップS43にてセンサーがオフとなった場合は、センサーの位置検出誤差が解消されたものと判断して、ステップS44では、メモリから搬送量誤差情報(カウンター値α)を読み出し、ステップS45では、現在の内部カウンターのカウント値から1だけ減算した値をカウント値γとして、該カウント値γから搬送量誤差を表わすカウント値αを減算することによって、位置検出量を表わすパルス数(位置検出誤差情報)βを算出し、ステップS46にてその結果をメモリに格納する。
【0048】
その後、図13のステップS10にて、X軸についての原点復帰動作を実行した後、ステップS11にてテストターゲットを撮影して、その画像を基準画像としてキャプチャし、その結果をステップS12にてメモリに格納する。
【0049】
その後、ステップS13では、Y軸駆動機構のバックラッシュに伴う搬送量の誤差を算出する(図15参照)。
更にステップS14にてY軸についての原点復帰動作を実行した後、ステップS15にて、Y軸についての位置検出誤差を算出する(図16参照)。
最後に、ステップS16では、Y軸についての原点復帰動作を実行して、一連の手続きを終了する。
【0050】
原点復帰動作は、図17に示す処理によって実行することも可能である。
先ずステップS51にてセンサー出力状態を確認し、センサーがオフのときは、ステップS52にて駆動機構を高速でCCW方向に駆動する。
その後、ステップS53では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオンとなるまで高速でのCCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオンとなったとき、ステップS54にて駆動機構を停止させた後、ステップS55にて駆動機構を低速でCW方向に駆動する。
【0051】
更にステップS56では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで低速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS57にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0052】
一方、ステップS51にて、センサーがオンのときは、ステップS61へ移行し、駆動機構を高速でCW方向に駆動した後、ステップS62にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで高速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS63にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0053】
その後、ステップS59にてセンサーの出力状態を確認し、オンとなった時点で、ステップS60に移行し、駆動機構を停止させる。
これによって、X軸駆動機構及びY軸駆動機構はそれぞれ迅速に原点位置へ復帰する。ここで、X軸駆動機構及びY軸駆動機構の高速駆動によって慣性力が大きくなり、各遮蔽板がセンサーのオン位置を行き過ぎたとしても、その後の低速駆動によって、各遮蔽板はセンサーのオン位置に戻ることになる。
【0054】
図18は、図13に示す処理の変形例を表わしており、図18のステップS1′及びステップS2′では、X軸駆動機構及びY軸駆動機構について誤差検出準備動作を実行する。この誤差検出準備動作は、図17に示す原点復帰動作と同じ動作となる。又、図18のステップS10′及びステップS16′では、図19に示す原点復帰動作を実行する。
【0055】
図19の原点復帰動作では、先ずステップS51にてセンサー出力状態を確認し、センサーがオフのときは、ステップS52にて駆動機構を高速でCCW方向に駆動する。
その後、ステップS53では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオンとなるまで高速でのCCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオンとなったとき、ステップS54にて駆動機構を停止させた後、ステップS55にて駆動機構を低速でCW方向に駆動する。
【0056】
更にステップS56では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで低速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS57にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0057】
一方、ステップS51にて、センサーがオンのときは、ステップS61へ移行し、駆動機構を高速でCW方向に駆動した後、ステップS62にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで高速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS63にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0058】
その後、ステップS59にてセンサーの出力状態を確認し、オンとなった時点で、ステップS61に移行し、駆動機構を停止させる。
続いて、ステップS62では、駆動機構を低速でCW方向に駆動した後、ステップS63にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなった時点でステップS64へ移行し、駆動機構を停止させる。
これによって、センサーがオフとなる位置を原点として、その原点に復帰する原点復帰動作が実現されることになる。
【0059】
図20〜図23は、センサーがオンとなった位置を原点とする原点復帰動作の一例を表わしている。
図20は、X軸、Y軸ともにリミット位置にある状態を示している。例えば、この状態から原点復帰動作を開始する。このとき、X軸センサー(5)がオフ、Y軸センサー(6)がオンの状態であることから、X軸駆動機構(2)のX軸モータ(21)がCCW方向に駆動され、その後、X軸センサー(5)がオンとなった時点で、図21に示す様にX軸駆動機構(2)が停止する。
【0060】
次に、図21のようにY軸センサー(6)がオンであることから、Y軸駆動機構(3)のY軸モータ(31)がCW方向に駆動され、その後、図22のようにY軸センサー(6)がオフとなった時点でY軸駆動機構(3)が停止する。
このとき、Y軸センサー(6)がオフとなっているので、Y軸駆動機構(3)のY軸モータ(31)がCCW方向に駆動され、その後、図23のようにY軸センサー(6)がオンとなった時点でY軸駆動機構(3)が停止する。
この結果、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)の原点復帰動作が完了する。
【0061】
図24〜図28は、センサーがオンとなった位置を原点として、搬送量誤差及び位置検出誤差を算出するときの動作例を表わしている。
図23は、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)がオンの位置にてX軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)が停止している状態を示しており、この状態から、図24に示す如くY軸駆動機構(3)を所定量だけCCW方向に動作させて、テストターゲット(8)を撮像範囲内に入れ、テストターゲット(8)の基準画像を撮影する。
【0062】
ここで、X軸駆動機構(2)のX軸モータ(21)の最後の回転方向はCCWであるので、X軸モータ(21)をCW方向に駆動することによって、ロストモーションを発生させる。そして、X軸センサー(5)がオンからオフになるまでX軸駆動機構(2)を動作させる過程で、基準画像とキャプチャ画像の差を監視して、一定値以上の面積を有する差分画像が得られた時点で内部カウンターのカウント値αを取り込んだ後、図25に示す様に、X軸センサー(5)がオフとなった時点で内部カウンターのカウント値γを取り込み、2つのカウント値からX軸駆動機構(2)についての搬送量誤差とX軸センサー(5)についての位置検出誤差を算出する。
【0063】
次に図26に示す様に、X軸駆動機構(2)を原点復帰させた後、Y軸駆動機構(3)の搬送量誤差の算出を開始する。ここで、Y軸モータ(31)の最後の回転方向はCCWであるので、Y軸モータ(31)をCW方向に駆動することによって、ロストモーションを発生させる。そして、Y軸センサー(6)がオンからオフになるまでY軸駆動機構(3)を動作させる過程で、基準画像とキャプチャ画像の差を監視して、一定値以上の面積を有する差分画像が得られた時点で内部カウンターのカウント値αを取り込み、Y軸駆動機構(3)についての搬送量誤差を算出する。
【0064】
図27に示すY軸についての搬送量誤差算出完了の状態より、更にY軸駆動機構(3)を原点復帰させて、その後、Y軸センサー(6)についての位置検出誤差を算出する。このとき、Y軸モータ(31)の最後の回転方向はCWであるので、Y軸モータ(31)をCCW方向に駆動することによって、ロストモーションを発生させる。ロストモーションの解消に必要なY軸モータ(31)の駆動量は算出済みであるので、Y軸センサー(6)がオフとなるまでY軸モータ(31)を回転させれば、Y軸センサー(6)についての位置検出誤差も算出することが出来る。
【0065】
最後に図28に示す如く、Y軸駆動機構(3)を原点復帰させることによって、X軸及びY軸についての搬送量誤差と位置検出誤差の算出動作が完了する。
尚、この時点でX軸駆動機構(2)を原点復帰させてもよい。
【0066】
この様にして、X軸駆動機構及びY軸駆動機構についての搬送量誤差(駆動パルス数α)と、X軸センサー及びY軸センサーについての位置検出誤差(駆動パルス数β)が算出された後、その算出結果を利用して、観察装置本来の位置決め制御が実行される。
【0067】
X軸駆動機構及びY軸駆動機構についての搬送量誤差は、次の様にして位置決め制御に反映される。
例えば図29の如く、原点0から開始してフラスコ内の観察対象(細胞)を複数のポイントA、B、Cにて観察する場合、A点(ax,ay)からB点(bx,by)まで観察位置を移動させるとき、Y軸モータの駆動量(駆動パルス数)は、Y軸駆動機構の搬送量誤差αyを加味して(ay−by+αy)となる。
【0068】
その後、B点(bx,by)からC点(cx,cy)まで観察位置を移動させるとき、X軸モータの駆動量(駆動パルス数)は、X軸駆動機構の搬送量誤差αxを加味して(bx−cx+αx)となり、Y軸モータの駆動量(駆動パルス数)は、Y軸駆動機構の搬送量誤差αyを加味して(cy−by+αy)となる。
【0069】
又、X軸センサー及びY軸センサーは、図30(a)の如く、遮蔽板の接近に伴うオフからオンへの切り替わり位置(オン時の検出距離)とオンからオフへの切り替わり位置(オフ時の検出距離)に、検出距離の10%程度のずれ(応差)を伴い、そのずれの大きさは、温度や、センサーと遮蔽板間との距離によって変化する。この応差によって位置検出誤差が生じる。
【0070】
観察装置においては、インキュベータ内で培養中の細胞の特定位置について細胞観察を行なう場合、その特定位置を座標情報として登録しておき、細胞操作時には、登録されている座標位置に観察位置を移動させることが行なわれる。
しかしながら、インキュベータ内の培養温度は37℃に保たれているものの、細胞操作は例えば室温で行なわれるので、その温度差によって、X軸センサー及びY軸センサーを用いた原点復帰動作に誤差が生じ、その結果、観察位置を座標登録時と同じ位置へ移動させることが出来なくなる。
【0071】
そこで、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)の位置検出誤差は、次の様にして位置決め制御に反映される。
本発明に係る観察装置においては、図30(a)の如き温度と検出距離の関係と、図30(b)の如き応差と検出距離の関係とを、それぞれグラフ化し若しくはテーブル化しておき、細胞操作時には、図30(a)の関係から現使用環境における応差を、位置検出誤差を求めることで算出し、その値を図30(b)の関係に当てはめることによって、現使用環境における検出距離を導出する。同様に、座標登録時についても、図30(a)の関係と位置検出誤差とから応差を算出し、その値を図30(b)の関係に当てはめることによって、座標登録時の検出距離を導出する。
【0072】
そして、現使用環境における検出距離と座標登録時の検出距離との差を座標差dpとして、登録座標値に座標差dpを演算(図示する例では加算)すれば、座標登録時と同じ原点位置を再現することが出来、これによって細胞操作時の観察位置を座標登録時と同じ位置へ移動させることが出来る。
【0073】
上述の如く、本発明に係る観察装置によれば、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)の各搬送量誤差とX軸センサー(5)及びY軸センサー(6)の各位置検出誤差とを個別に取得することが可能であり、その結果、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)に対する位置決め制御では、両駆動機構(2)(3)の搬送量誤差と両センサー(2)(3)の位置検出誤差を加味した制御動作を実行することが可能である。これによって、経年変化及び環境条件変化による位置決め精度の低下を防止することが出来る。
【0074】
又、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)には、バックラッシュを生じることのない高価なボールねじ機構を採用することなく、安価な機構系で高精度の位置決めを実現することが出来る。
【0075】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えばテストターゲット(8)を撮影する撮像装置(16)に替えて、往復移動体の表面にレーザ光を照射してスペックルパターンをCCDカメラで撮影するスペックル変位計測装置など、往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点をヒステリシスなく正確に検知することが可能な種々の光学的検知手段を採用することが出来る。
【0076】
又、テストターゲット(8)は、観察装置の光学系が透過型である場合はガラス板にマークを蒸着若しくは塗装して形成すればよいが、観察装置の光学系が落射型である場合は、少なくともコントラストに差が生じる白黒等のパターン印刷で形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る観察装置の外観を示す斜視図である。
【図2】該観察装置の内部構成を示す図である。
【図3】X軸駆動機構及びY軸駆動機構の平面図である。
【図4】X軸駆動機構及びY軸駆動機構の正面図である。
【図5】X軸駆動機構及びY軸駆動機構の側面図である。
【図6】該観察装置の構成を示すブロック図である。
【図7】原点位置におけるホルダー、X軸センサー及びX軸遮蔽板の位置関係を示す平面図である。
【図8】X軸センサーのオン/オフの切り替わりを説明する図である。
【図9】原点復帰動作の第1段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係(a)とテストターゲットの撮影画像(b)を示す図である。
【図10】原点復帰動作の第2段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係(a)とテストターゲットの撮影画像の変化(b)を示す図である。
【図11】原点復帰動作の第3段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係を示す図である。
【図12】原点復帰動作の第4段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係を示す図である。
【図13】本発明に係る観察装置の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図14】原点復帰動作の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図15】搬送量誤差算出の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図16】位置検出誤差算出の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図17】原点復帰動作の他の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図18】本発明に係る観察装置の他の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図19】原点復帰作の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図20】原点復帰動作の第1段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図21】原点復帰動作の第2段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図22】原点復帰動作の第3段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図23】原点復帰動作の第4段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図24】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第1段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図25】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第2段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図26】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第3段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図27】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第5段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図28】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第5段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図29】搬送量誤差を加味した位置決め制御の例を示す図である。
【図30】位置検出誤差を加味した位置決め制御の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0078】
(10) フラスコ
(13) 照明装置
(16) 撮像装置
(17) 撮像範囲
(2) X軸駆動機構
(21) X軸モータ
(3) Y軸駆動機構
(31) Y軸モータ
(4) ホルダー
(5) X軸センサー
(51) X軸遮蔽板
(6) Y軸センサー
(61) Y軸遮蔽板
(8) テストターゲット
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動させる搬送装置、及び該搬送装置の制御方法、並びに該搬送装置を具えた観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、搬送対象を所定の搬送路に沿って往復移動させる搬送装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構とを具え、往復移動体を前記搬送路上の原点位置に復帰させるために、往復移動体が原点位置に達したときに該往復移動体によってオフからオンに切り替えられる原点センサーが配備される。
【0003】
前記駆動機構としては、動力源となるモータの回転を往復運動に変換して往復移動体に伝える歯車機構やプーリ機構などが採用されている。モータの駆動量は、駆動パルスの数をモータコントローラの内部カウンター等によりカウントすることによって計測することが出来る。
又、原点センサーとしては、例えば検出コイルに交流磁界を発生させて、検出対象の接近によるインピーダンスの変化を検出する誘導型近接センサーなどが用いられている。
【0004】
ところで、歯車機構を用いた駆動機構においては、歯車間にバックラッシュが存在するため、搬送対象を搬送路に沿って一方向に移動させた後に逆方向に移動させる場合、バックラッシュによってモータが空転する期間が発生し、この期間はモータが回転していても搬送対象は停止したままとなる。
【0005】
そこで、駆動機構の停止時の駆動方向を一方向に統一することによって、バックラッシュによるロストモーションを回避する技術が提案されている(特許文献1)。
【0006】
又、多色印刷されたシート状材料を搬送しつつスリッティングするスリッタ装置において、シート状材料に2つの基準マークを印刷して、これら2つの基準マークの相互の距離を検知することによって、基準マークの印刷ズレを検査する技術が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−092152号公報
【特許文献2】特開2004−283977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、駆動機構の停止時の駆動方向を一方向に統一する従来の技術では、前記一方向に駆動機構を駆動する場合はバックラッシュによるロストモーションがなくなるが、その逆方向に駆動機構を駆動する場合は、バックラッシュによるロストモーションが発生し、そのバックラッシュの大きさが定量的に検出されるものではないため、駆動機構による位置制御に誤差が伴うことになる。
【0008】
一方、搬送対象となるシート状材料に2つの基準マークを印刷して、これら2つの基準マークの相互の距離を検知する従来の技術によれば、基準マークの印刷ズレを検査することが可能であり、そのズレ量に対応させてシート状材料の位置を修正することも可能であるが、モータ駆動の基準位置を決めるための原点センサーの使用環境下での位置検出誤差や、駆動機構が有するバックラッシュの経年変化に対応することは出来ない。
【0009】
ところで、原点センサーの動作には、検出対象の接近に伴うオンからオフへの切り替わりと、検出対象の離間に伴うオフからオンへの切り替わりとの間に、応答性の違いによる位置検出誤差が存在し、オンからオフへの切り替わり位置とオフからオンへの切り替わり位置との間にはズレが生じる。
【0010】
バックラッシュは経時的に変化するのに対し、原点センサーの位置検出誤差は温度等の使用環境の影響を受けて変化するので、駆動機構特有の搬送量誤差(バックラッシュ)を考慮した駆動量の修正と、原点センサー特有の位置検出誤差を考慮した駆動量の修正は、個別に行なうことが必要であるが、従来の技術では、駆動機構特有の搬送量誤差の大きさと、原点センサー特有の位置検出誤差の大きさとを、個別に知ることは出来ない。
【0011】
そこで本発明の目的は、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差を個別に取得し、往復移動体に対する位置決め制御では、搬送量誤差と位置検出誤差を個別に加味した制御動作を実行することが可能な、搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る搬送制御装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達することによって該往復移動体により第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動作を制御する制御回路と、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具えている。
前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行する。
【0013】
ここで、第1の駆動量は駆動機構の搬送量誤差の大きさを表わし、第2の駆動量は原点センサーの位置検出誤差の大きさを表わすことになる。
【0014】
具体的態様において、前記原点センサーは、前記搬送路上に設置されて前記往復移動体に配備された遮蔽板の接近に伴って第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となり、該遮蔽板の離間に伴って第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるものである。
【0015】
更に具体的な態様において、前記移動検知手段は、前記往復移動体上に設けられたテストターゲットと、該テストターゲットを撮像する撮像装置とから構成され、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程では該撮像装置によって前記テストターゲットの画像を連続的に撮影し、撮影画像に変化が生じたとき、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行したものと判断する。
【0016】
本発明に係る搬送装置の制御方法において、搬送装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構とを具え、
更に、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを配備し、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量(第1のカウント値α)を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量(第2のカウント値γ)を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量(α、γ)から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態から第2出力状態への切り替わりと第2出力状態から第1出力状態への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを有し、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行する。
【0017】
本発明に係る搬送装置の制御プログラムにおいて、搬送装置は、搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具え、制御プログラムは、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量(第1のカウント値α)を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量(第2のカウント値γ)を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量(α、γ)から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)への切り替わりと第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを実行させ、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行させる。
【0018】
本発明に係る観察装置は、観察対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定の観察位置に達したときに該往復移動体上に保持されている観察対象を撮影する撮像装置と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段と、前記駆動機構の動作を制御する制御回路とを具え、
前記往復移動体上には、前記撮像装置によって撮影されるべきテストターゲットが設けられ、前記移動検知手段は、撮像装置によって撮影されるテストターゲットの画像に変化が生じた時点で、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行したものと判断し、前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態(オフ)となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行する。
【0019】
上記本発明に係る搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置においては、往復移動体に対する位置決め制御に際し、原点センサーが第1出力状態(オフ)から第2出力状態(オン)となるまで往復移動体を一方向に移動させ、原点センサーが第2出力状態(オン)となった時点で駆動量検出手段(内部カウンター)をリセットした後、原点センサーが第1出力状態(オフ)となるまで往復移動体を逆方向に移動させる過程で、往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点の駆動量検出手段による検出値(内部カウンターのカウント値α)を取得する。これによって得られた第1の検出値αは、往復移動体の移動方向の切り替えに伴う駆動機構の搬送量誤差、即ちバックラッシュの大きさを表わすことになる。
その後、更に往復移動体を逆方向に移動させる過程で、原点センサーが第2出力状態(オン)から第1出力状態(オフ)となった時点の駆動量検出手段による検出値(内部カウンターのカウント値γ)を取得する。これによって得られた第2の検出値γは、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差の合計値を表わすことになり、第2の検出値γから第1の検出値αを減算すれば、その検出値の差βは、原点センサーの位置検出誤差の大きさを表わすことになる。
この様にして、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差が導出された後、往復移動体に対する位置決め制御では、導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作が実行される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る搬送制御装置、搬送装置の制御方法、及び観察装置によれば、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差とを個別に取得することが可能であり、その結果、往復移動体に対する位置決め制御では、駆動機構の搬送量誤差と原点センサーの位置検出誤差を個別に加味した制御動作を実行することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を観察装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る観察装置は、蛍光試薬で染色した細胞などの対象物を観察するものであって、図1及び図2に示す如く筐体(1)の内部には、観察対象物が収容されたフラスコ(10)を設置すべきステージ(41)が配備され、該ステージ(41)をX軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)によって水平面上でX軸方向及びY軸方向に往復移動させることが出来る。
筐体(1)の内部には、フラスコ(10)を照明するためのLED(11)及びミラー(12)を具えた照明装置(13)が配備されると共に、フラスコ(10)を撮影するためのCCD(15)及びミラー(14)を具えた撮像装置(16)が配備されている。
【0022】
図3乃至図5に示す如く、X軸駆動機構(2)は、動力源となるX軸モータ(21)を具え、該X軸モータ(21)の回転は、歯車機構(26)と、プーリ(22)(23)及びタイミングベルト(24)からなるプーリ機構を経て、タイミングベルト(24)に連結されているX軸スライド体(25)の往復運動に変換され、該X軸スライド体(25)の往復移動によってホルダー(4)がX軸方向に駆動される。
又、Y軸駆動機構(3)は、動力源となるY軸モータ(31)を具え、該Y軸モータ(31)の回転は、プーリ(32)(33)及びタイミングベルト(34)からなるプーリ機構を経て、タイミングベルト(34)に連結されているY軸スライド体(35)の往復運動に変換され、該Y軸スライド体(35)の往復移動によってホルダー(4)がY軸方向に駆動される。
【0023】
ホルダー(4)は、図3の如くフラスコ(10)を保持するものであって、該ホルダー(4)に保持されたフラスコ(10)は、X軸駆動機構(2)の駆動によってX軸方向に移動しつつ、Y軸駆動機構(3)の駆動によってY軸方向に移動することになる。
【0024】
X軸駆動機構(2)には、図5の如く、X軸スライド体(25)のX軸方向の原点位置を検知するためのX軸センサー(5)が配備され、該X軸センサー(5)は、X軸スライド体(25)に連結されたX軸遮蔽板(51)の接近離間によってオン/オフが切り替えられる。
又、Y軸駆動機構(3)には、図4の如く、Y軸スライド体(35)のY軸方向の原点位置を検知するためのY軸センサー(6)が配備され、該Y軸センサー(6)は、Y軸スライド体(35)に連結されたY軸遮蔽板(61)の接近離間によってオン/オフが切り替えられる。
【0025】
尚、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)として、検出コイルに交流磁界を発生させて、検出対象の接近によるインピーダンスの変化を検出する誘導型近接センサーが用いられている。
【0026】
図6に示す如く、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)の出力信号はコントローラ(7)へ供給され、該コントローラ(7)にて生成された駆動制御信号(駆動パルス)がドライバー(74)(75)へ供給されることによって、X軸モータ(21)及びY軸モータ(31)が駆動される。ドライバー(74)(75)には、電源回路(73)から必要な電力が供給される。
尚、X軸モータ(21)及びY軸モータ(31)はそれぞれステッピングモータであって、各モータの駆動量は、コントローラ(7)から供給される駆動パルスの数を内部カウンターによりカウントすることによって、正確に計測することが出来る。
【0027】
又、照明装置(13)は照明制御回路(72)よって制御されており、照明制御回路(72)には電源回路(73)から必要な電力が供給される。
更に、撮像装置(16)、照明制御回路(72)及びコントローラ(7)には、ユーザがパーソナルコンピュータ(71)を操作することによって生成される指令信号が供給され、これによって、撮像装置(16)による撮影対象の撮影、照明装置(13)による撮影対象の照明、X軸モータ(21)及びY軸モータ(31)の駆動制御が実行される。
尚、撮像装置(16)への給電は、パーソナルコンピュータ(71)から行なうことも可能であり、電源回路(73)から行なうことも可能である。
【0028】
ホルダー(4)には、図7に示す如く、テストターゲット(8)が設けられている。該テストターゲット(8)は、例えば透明ガラス部(81)に蒸着等によって円形のマークを施して形成されており、ホルダー(4)をY軸方向に移動させて、テストターゲット(8)を前記撮像装置(16)による撮像範囲(17)に合致させることにより、テストターゲット(8)を撮影することが可能である。
【0029】
図7は、ホルダー(4)が原点位置に設置されている状態を示しており、原点位置では、ホルダー(4)によって保持されているフラスコの中心が撮像範囲(17)が入るように構成されている。この状態からホルダー(4)をY軸方向(CW方向)に移動させることによって、テストターゲット(8)を撮像範囲(17)内に収めることが出来る。
【0030】
X軸センサー(5)は、図7の如くX軸遮蔽板(51)がCCW方向に移動して、ON位置に達することによってオンとなり、その後、X軸遮蔽板(51)がCW方向に移動して、OFF位置に達することによってオフとなり、オフからオンとなる範囲(5a)とオンからオフとなる範囲(5b)にズレが存在する。
図7に示す原点位置からホルダー(4)がCW方向に所定距離だけ移動すると、ソフトウエアによるCWリミットがかけられる。又、原点位置からホルダー(4)がCCW方向に所定距離だけ移動すると、ソフトウエアによるCCWリミットがかけられる。
Y軸センサー(6)についても同様の構成である。
【0031】
X軸遮蔽板(51)は、図8(a)(b)(c)に示す様に、X軸方向に長く形成されており、同図(b)に示す原点位置よりCCW側では常にX軸センサー(5)がオンとなり、同図(b)に示す原点位置よりCW側では常にX軸センサー(5)がオフとなる構成を有している。
Y軸遮蔽板(61)についても同様の構成である。
【0032】
本発明に係る観察装置においては、電源投入後、図9(a)に示す如く、X軸センサー(5)がオフからオンとなるまでX軸モータ(21)をCCW方向に回転させて、X軸遮蔽板(51)を移動させ、X軸センサー(5)がオンとなった時点でX軸遮蔽板(51)を停止させる。
この状態で、X軸駆動機構(2)には、バックラッシュBが発生している。
この時点で、前記ホルダー(4)をY軸方向に移動させて、テストターゲット(8)を撮像範囲(17)に合致させた状態で、図9(b)の如くテストターゲット(8)を撮影し、同時に内部カウンターをリセットする。
【0033】
次に、図10(a)に示す如く、X軸モータ(21)をCW方向に逆転させつつ、テストターゲット(8)を連続的に撮影する。このとき、X軸駆動機構(2)のバックラッシュBが解消するまでは、X軸モータ(21)は空転し、X軸遮蔽板(51)は停止したままであるが、X軸駆動機構(2)のバックラッシュBが解消した時点で、X軸遮蔽板(51)が移動を開始する。
X軸遮蔽板(51)の移動開始後、テストターゲット(8)の撮影画像(8b)は、X軸遮蔽板(51)の移動開始前のテストターゲット(8)の撮影画像(8a)からずれることになるため、図10(b)に示す様に、移動開始前の撮影画像(8a)と移動開始後の撮影画像(8b)との差をとれば、一定値以上の面積を有する差分画像(8c)が得られることになる。これに対し、一定値以上の面積を有する差分画像(8c)が得られないときは、テストターゲット(8)が静止状態にあると判断することが出来る。
【0034】
そこで、X軸モータ(21)を逆転させた直後からテストターゲット(8)の画像を連続的に撮影し、移動開始前の撮影画像(8a)とその後の撮影画像(8b)の差分を演算し、一定値以上の面積を有する差分画像(8c)が得られた時点で、バックラッシュが解消されたものと判断して、その時の内部カウンターのカウント値から1を減算してその結果得られるカウント値αを取り込む。従って、このカウント値αは、X軸駆動機構(2)のバックラッシュの大きさを表わすことになる。
【0035】
その後、図11の如く、X軸遮蔽板(51)を更にCW方向に移動させ、これによって図12の如く、X軸センサー(5)がオンからオフとなった時点で、X軸遮蔽板(51)を停止させると共に、その時の内部カウンターのカウント値から1を減算してその結果得られるカウント値γを取り込む。このカウント値γは、X軸駆動機構(2)のバックラッシュとX軸センサー(5)の位置検出誤差の合計値を表わすことになる。
従って、カウント値γからカウント値αを減算すれば、そのカウント値の差βは、X軸センサー(5)の位置検出誤差の大きさを表わすことになる。
【0036】
Y軸駆動機構(3)についても同様の処理によって、Y軸駆動機構(3)のバックラッシュに応じたカウント値αと、Y軸センサー(6)の位置検出誤差に応じたカウント値差βを導出することが出来る。
【0037】
図13は、X軸駆動機構及びY軸駆動機構についてのバックラッシュによる搬送量誤差と、X軸センサー及びY軸センサーについての位置検出誤差とを導出すると共に、観察対象となるフラスコを観察開始位置(原点位置)に復帰させるための手続きを表わしている。
【0038】
システムの起動後、先ずステップS1では、X軸駆動機構についての原点復帰動作を実行し、ステップS2では、Y軸駆動機構についての原点復帰動作を実行する。
各原点復帰動作においては、図14に示す如く、ステップS21にてセンサー出力状態を確認し、センサーがオフのときは、ステップS25にて駆動機構をCCW方向に駆動する。
【0039】
センサーがオンのときは、ステップS22へ移行し、駆動機構をCW方向に駆動した後、ステップS23にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまでCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS24にて駆動機構を停止させた後、ステップS25にて駆動機構をCCW方向に駆動する。
【0040】
その後、ステップS26にてセンサーの出力状態を確認し、オンとなった時点で、ステップS27に移行し、駆動機構を停止させる。
この結果、X軸駆動機構及びY軸駆動機構はそれぞれ原点位置に復帰することになり(図7参照)、停止前のモータの回転方向が揃うことなる。又、センサーの出力状態は何れもオンとなる。
【0041】
X軸駆動機構及びY軸駆動機構の原点復帰動作が終了した後、図13のステップS3にて、Y軸駆動機構を動作させて、図7に示す撮像範囲(17)にテストターゲット(8)を収容する、ターゲット捕捉動作を実行する。ここで、Y軸モータの駆動量は、Y軸駆動機構の構成によって概ね決まっているため、所定量だけY軸モータをCCW方向に回転させた後に停止させればよい。
【0042】
その後、図13のステップS4では、X軸駆動機構及びY軸駆動機構について、停止直前(直近)のモータの回転方向(CW、CCW)を保持しておく。尚、直近回転方向保持は、各軸で駆動を停止する度に実行するようにしてもよい。
【0043】
続いて、ステップS5では、X軸駆動機構及びY軸駆動機構について、各モータの駆動パルス数をカウントする内部カウンターをゼロにリセットする。
尚、ステップS1〜ステップS5の処理は、X軸とY軸についてシリアルに実行してよいし、パラレルに実行してもよい。
次に、ステップS6では、テストターゲットを撮影して、その画像を基準画像としてキャプチャし、その結果をステップS7にてメモリに格納する。
【0044】
その後、ステップS8では、X軸駆動機構のバックラッシュに伴う搬送量誤差を算出する。
搬送量誤差の算出においては、図15に示す如く、ステップS31にて、直近回転方向を読み出し、その逆方向をモータ駆動方向として決定し、ステップS32では、モータを1パルス分だけ駆動する。そして、ステップS33にて内部カウンターをインクリメントした後、ステップS34にてテストターゲットをキャプチャする。
【0045】
ステップS35では、メモリに格納されている基準画像とステップS34にてキャプチャした画像とを対象として差分処理を実行し、2枚の画像に変化があるか否かを判定する。ここで変化がないと判定されたときは、直前の1パルスによる駆動はロストモーションになったもの(バックラッシュ発生中)と判断して、ステップS32に戻って1パルス駆動を繰り返す。
これに対し、ステップS35で変化ありと判定されたときは、バックラッシュが解消されたものと判断して、ステップS36にて、そのときのカウンター値から1を減算したカウント値αを搬送量誤差としてメモリに格納する。
【0046】
その後、図13のステップS9では、X軸についての位置検出誤差を算出する。
位置検出誤差の算出においては、内部カウンターをリセットすることなく、図16に示す如く、ステップS41にて、搬送量誤差算出時に決定した駆動方向と同一方向にモータを1パルス分だけ駆動した後、ステップS42にて内部カウンターをインクリメントする。そして、ステップS43にて、センサーの出力状態を確認し、オンの場合はステップS41に戻って、モータの1パルス駆動を繰り返す。
【0047】
ステップS43にてセンサーがオフとなった場合は、センサーの位置検出誤差が解消されたものと判断して、ステップS44では、メモリから搬送量誤差情報(カウンター値α)を読み出し、ステップS45では、現在の内部カウンターのカウント値から1だけ減算した値をカウント値γとして、該カウント値γから搬送量誤差を表わすカウント値αを減算することによって、位置検出量を表わすパルス数(位置検出誤差情報)βを算出し、ステップS46にてその結果をメモリに格納する。
【0048】
その後、図13のステップS10にて、X軸についての原点復帰動作を実行した後、ステップS11にてテストターゲットを撮影して、その画像を基準画像としてキャプチャし、その結果をステップS12にてメモリに格納する。
【0049】
その後、ステップS13では、Y軸駆動機構のバックラッシュに伴う搬送量の誤差を算出する(図15参照)。
更にステップS14にてY軸についての原点復帰動作を実行した後、ステップS15にて、Y軸についての位置検出誤差を算出する(図16参照)。
最後に、ステップS16では、Y軸についての原点復帰動作を実行して、一連の手続きを終了する。
【0050】
原点復帰動作は、図17に示す処理によって実行することも可能である。
先ずステップS51にてセンサー出力状態を確認し、センサーがオフのときは、ステップS52にて駆動機構を高速でCCW方向に駆動する。
その後、ステップS53では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオンとなるまで高速でのCCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオンとなったとき、ステップS54にて駆動機構を停止させた後、ステップS55にて駆動機構を低速でCW方向に駆動する。
【0051】
更にステップS56では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで低速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS57にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0052】
一方、ステップS51にて、センサーがオンのときは、ステップS61へ移行し、駆動機構を高速でCW方向に駆動した後、ステップS62にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで高速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS63にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0053】
その後、ステップS59にてセンサーの出力状態を確認し、オンとなった時点で、ステップS60に移行し、駆動機構を停止させる。
これによって、X軸駆動機構及びY軸駆動機構はそれぞれ迅速に原点位置へ復帰する。ここで、X軸駆動機構及びY軸駆動機構の高速駆動によって慣性力が大きくなり、各遮蔽板がセンサーのオン位置を行き過ぎたとしても、その後の低速駆動によって、各遮蔽板はセンサーのオン位置に戻ることになる。
【0054】
図18は、図13に示す処理の変形例を表わしており、図18のステップS1′及びステップS2′では、X軸駆動機構及びY軸駆動機構について誤差検出準備動作を実行する。この誤差検出準備動作は、図17に示す原点復帰動作と同じ動作となる。又、図18のステップS10′及びステップS16′では、図19に示す原点復帰動作を実行する。
【0055】
図19の原点復帰動作では、先ずステップS51にてセンサー出力状態を確認し、センサーがオフのときは、ステップS52にて駆動機構を高速でCCW方向に駆動する。
その後、ステップS53では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオンとなるまで高速でのCCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオンとなったとき、ステップS54にて駆動機構を停止させた後、ステップS55にて駆動機構を低速でCW方向に駆動する。
【0056】
更にステップS56では、センサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで低速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS57にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0057】
一方、ステップS51にて、センサーがオンのときは、ステップS61へ移行し、駆動機構を高速でCW方向に駆動した後、ステップS62にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなるまで高速でのCW方向の駆動を継続する。
これによってセンサーがオフとなったとき、ステップS63にて駆動機構を停止させた後、ステップS58にて駆動機構を低速でCCW方向に駆動する。
【0058】
その後、ステップS59にてセンサーの出力状態を確認し、オンとなった時点で、ステップS61に移行し、駆動機構を停止させる。
続いて、ステップS62では、駆動機構を低速でCW方向に駆動した後、ステップS63にてセンサーの出力状態を確認し、センサーがオフとなった時点でステップS64へ移行し、駆動機構を停止させる。
これによって、センサーがオフとなる位置を原点として、その原点に復帰する原点復帰動作が実現されることになる。
【0059】
図20〜図23は、センサーがオンとなった位置を原点とする原点復帰動作の一例を表わしている。
図20は、X軸、Y軸ともにリミット位置にある状態を示している。例えば、この状態から原点復帰動作を開始する。このとき、X軸センサー(5)がオフ、Y軸センサー(6)がオンの状態であることから、X軸駆動機構(2)のX軸モータ(21)がCCW方向に駆動され、その後、X軸センサー(5)がオンとなった時点で、図21に示す様にX軸駆動機構(2)が停止する。
【0060】
次に、図21のようにY軸センサー(6)がオンであることから、Y軸駆動機構(3)のY軸モータ(31)がCW方向に駆動され、その後、図22のようにY軸センサー(6)がオフとなった時点でY軸駆動機構(3)が停止する。
このとき、Y軸センサー(6)がオフとなっているので、Y軸駆動機構(3)のY軸モータ(31)がCCW方向に駆動され、その後、図23のようにY軸センサー(6)がオンとなった時点でY軸駆動機構(3)が停止する。
この結果、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)の原点復帰動作が完了する。
【0061】
図24〜図28は、センサーがオンとなった位置を原点として、搬送量誤差及び位置検出誤差を算出するときの動作例を表わしている。
図23は、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)がオンの位置にてX軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)が停止している状態を示しており、この状態から、図24に示す如くY軸駆動機構(3)を所定量だけCCW方向に動作させて、テストターゲット(8)を撮像範囲内に入れ、テストターゲット(8)の基準画像を撮影する。
【0062】
ここで、X軸駆動機構(2)のX軸モータ(21)の最後の回転方向はCCWであるので、X軸モータ(21)をCW方向に駆動することによって、ロストモーションを発生させる。そして、X軸センサー(5)がオンからオフになるまでX軸駆動機構(2)を動作させる過程で、基準画像とキャプチャ画像の差を監視して、一定値以上の面積を有する差分画像が得られた時点で内部カウンターのカウント値αを取り込んだ後、図25に示す様に、X軸センサー(5)がオフとなった時点で内部カウンターのカウント値γを取り込み、2つのカウント値からX軸駆動機構(2)についての搬送量誤差とX軸センサー(5)についての位置検出誤差を算出する。
【0063】
次に図26に示す様に、X軸駆動機構(2)を原点復帰させた後、Y軸駆動機構(3)の搬送量誤差の算出を開始する。ここで、Y軸モータ(31)の最後の回転方向はCCWであるので、Y軸モータ(31)をCW方向に駆動することによって、ロストモーションを発生させる。そして、Y軸センサー(6)がオンからオフになるまでY軸駆動機構(3)を動作させる過程で、基準画像とキャプチャ画像の差を監視して、一定値以上の面積を有する差分画像が得られた時点で内部カウンターのカウント値αを取り込み、Y軸駆動機構(3)についての搬送量誤差を算出する。
【0064】
図27に示すY軸についての搬送量誤差算出完了の状態より、更にY軸駆動機構(3)を原点復帰させて、その後、Y軸センサー(6)についての位置検出誤差を算出する。このとき、Y軸モータ(31)の最後の回転方向はCWであるので、Y軸モータ(31)をCCW方向に駆動することによって、ロストモーションを発生させる。ロストモーションの解消に必要なY軸モータ(31)の駆動量は算出済みであるので、Y軸センサー(6)がオフとなるまでY軸モータ(31)を回転させれば、Y軸センサー(6)についての位置検出誤差も算出することが出来る。
【0065】
最後に図28に示す如く、Y軸駆動機構(3)を原点復帰させることによって、X軸及びY軸についての搬送量誤差と位置検出誤差の算出動作が完了する。
尚、この時点でX軸駆動機構(2)を原点復帰させてもよい。
【0066】
この様にして、X軸駆動機構及びY軸駆動機構についての搬送量誤差(駆動パルス数α)と、X軸センサー及びY軸センサーについての位置検出誤差(駆動パルス数β)が算出された後、その算出結果を利用して、観察装置本来の位置決め制御が実行される。
【0067】
X軸駆動機構及びY軸駆動機構についての搬送量誤差は、次の様にして位置決め制御に反映される。
例えば図29の如く、原点0から開始してフラスコ内の観察対象(細胞)を複数のポイントA、B、Cにて観察する場合、A点(ax,ay)からB点(bx,by)まで観察位置を移動させるとき、Y軸モータの駆動量(駆動パルス数)は、Y軸駆動機構の搬送量誤差αyを加味して(ay−by+αy)となる。
【0068】
その後、B点(bx,by)からC点(cx,cy)まで観察位置を移動させるとき、X軸モータの駆動量(駆動パルス数)は、X軸駆動機構の搬送量誤差αxを加味して(bx−cx+αx)となり、Y軸モータの駆動量(駆動パルス数)は、Y軸駆動機構の搬送量誤差αyを加味して(cy−by+αy)となる。
【0069】
又、X軸センサー及びY軸センサーは、図30(a)の如く、遮蔽板の接近に伴うオフからオンへの切り替わり位置(オン時の検出距離)とオンからオフへの切り替わり位置(オフ時の検出距離)に、検出距離の10%程度のずれ(応差)を伴い、そのずれの大きさは、温度や、センサーと遮蔽板間との距離によって変化する。この応差によって位置検出誤差が生じる。
【0070】
観察装置においては、インキュベータ内で培養中の細胞の特定位置について細胞観察を行なう場合、その特定位置を座標情報として登録しておき、細胞操作時には、登録されている座標位置に観察位置を移動させることが行なわれる。
しかしながら、インキュベータ内の培養温度は37℃に保たれているものの、細胞操作は例えば室温で行なわれるので、その温度差によって、X軸センサー及びY軸センサーを用いた原点復帰動作に誤差が生じ、その結果、観察位置を座標登録時と同じ位置へ移動させることが出来なくなる。
【0071】
そこで、X軸センサー(5)及びY軸センサー(6)の位置検出誤差は、次の様にして位置決め制御に反映される。
本発明に係る観察装置においては、図30(a)の如き温度と検出距離の関係と、図30(b)の如き応差と検出距離の関係とを、それぞれグラフ化し若しくはテーブル化しておき、細胞操作時には、図30(a)の関係から現使用環境における応差を、位置検出誤差を求めることで算出し、その値を図30(b)の関係に当てはめることによって、現使用環境における検出距離を導出する。同様に、座標登録時についても、図30(a)の関係と位置検出誤差とから応差を算出し、その値を図30(b)の関係に当てはめることによって、座標登録時の検出距離を導出する。
【0072】
そして、現使用環境における検出距離と座標登録時の検出距離との差を座標差dpとして、登録座標値に座標差dpを演算(図示する例では加算)すれば、座標登録時と同じ原点位置を再現することが出来、これによって細胞操作時の観察位置を座標登録時と同じ位置へ移動させることが出来る。
【0073】
上述の如く、本発明に係る観察装置によれば、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)の各搬送量誤差とX軸センサー(5)及びY軸センサー(6)の各位置検出誤差とを個別に取得することが可能であり、その結果、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)に対する位置決め制御では、両駆動機構(2)(3)の搬送量誤差と両センサー(2)(3)の位置検出誤差を加味した制御動作を実行することが可能である。これによって、経年変化及び環境条件変化による位置決め精度の低下を防止することが出来る。
【0074】
又、X軸駆動機構(2)及びY軸駆動機構(3)には、バックラッシュを生じることのない高価なボールねじ機構を採用することなく、安価な機構系で高精度の位置決めを実現することが出来る。
【0075】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えばテストターゲット(8)を撮影する撮像装置(16)に替えて、往復移動体の表面にレーザ光を照射してスペックルパターンをCCDカメラで撮影するスペックル変位計測装置など、往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点をヒステリシスなく正確に検知することが可能な種々の光学的検知手段を採用することが出来る。
【0076】
又、テストターゲット(8)は、観察装置の光学系が透過型である場合はガラス板にマークを蒸着若しくは塗装して形成すればよいが、観察装置の光学系が落射型である場合は、少なくともコントラストに差が生じる白黒等のパターン印刷で形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る観察装置の外観を示す斜視図である。
【図2】該観察装置の内部構成を示す図である。
【図3】X軸駆動機構及びY軸駆動機構の平面図である。
【図4】X軸駆動機構及びY軸駆動機構の正面図である。
【図5】X軸駆動機構及びY軸駆動機構の側面図である。
【図6】該観察装置の構成を示すブロック図である。
【図7】原点位置におけるホルダー、X軸センサー及びX軸遮蔽板の位置関係を示す平面図である。
【図8】X軸センサーのオン/オフの切り替わりを説明する図である。
【図9】原点復帰動作の第1段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係(a)とテストターゲットの撮影画像(b)を示す図である。
【図10】原点復帰動作の第2段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係(a)とテストターゲットの撮影画像の変化(b)を示す図である。
【図11】原点復帰動作の第3段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係を示す図である。
【図12】原点復帰動作の第4段階におけるX軸センサーとX軸遮蔽板の位置関係を示す図である。
【図13】本発明に係る観察装置の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図14】原点復帰動作の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図15】搬送量誤差算出の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図16】位置検出誤差算出の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図17】原点復帰動作の他の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図18】本発明に係る観察装置の他の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図19】原点復帰作の制御手続きを表わすフローチャートである。
【図20】原点復帰動作の第1段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図21】原点復帰動作の第2段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図22】原点復帰動作の第3段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図23】原点復帰動作の第4段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図24】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第1段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図25】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第2段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図26】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第3段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図27】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第5段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図28】搬送量誤差及び位置検出誤差を算出する動作の第5段階を表わす平面図(a)、正面図(b)及び側面図(c)である。
【図29】搬送量誤差を加味した位置決め制御の例を示す図である。
【図30】位置検出誤差を加味した位置決め制御の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0078】
(10) フラスコ
(13) 照明装置
(16) 撮像装置
(17) 撮像範囲
(2) X軸駆動機構
(21) X軸モータ
(3) Y軸駆動機構
(31) Y軸モータ
(4) ホルダー
(5) X軸センサー
(51) X軸遮蔽板
(6) Y軸センサー
(61) Y軸遮蔽板
(8) テストターゲット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達することによって該往復移動体により第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動作を制御する制御回路とを具えた搬送制御装置において、
更に、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具え、前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行することを特徴とする搬送制御装置。
【請求項2】
前記移動検知手段は、前記往復移動体上に設けられたテストターゲットと、該テストターゲットを撮像する撮像装置とから構成され、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程では該撮像装置によって前記テストターゲットの画像を連続的に撮影し、撮影画像に変化が生じたとき、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行したものと判断する請求項1に記載の搬送制御装置。
【請求項3】
搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構とを具えた搬送装置の制御方法において、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを配備し、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態から第2出力状態への切り替わりと第2出力状態から第1出力状態への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを有し、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行することを特徴とする搬送装置の制御方法。
【請求項4】
搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具えた搬送装置の制御プログラムにおいて、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態から第2出力状態への切り替わりと第2出力状態から第1出力状態への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを実行させ、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行させることを特徴とする搬送装置の制御プログラム。
【請求項5】
観察対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定の観察位置に達したときに該往復移動体上に保持されている観察対象を撮影する撮像装置と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段と、前記駆動機構の動作を制御する制御回路とを具えた観察装置において、
前記往復移動体上には、前記撮像装置によって撮影されるべきテストターゲットが設けられ、前記移動検知手段は、撮像装置によって撮影されるテストターゲットの画像に変化が生じた時点で、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行したものと判断し、前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行することを特徴とする観察装置。
【請求項1】
搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達することによって該往復移動体により第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動作を制御する制御回路とを具えた搬送制御装置において、
更に、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具え、前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行することを特徴とする搬送制御装置。
【請求項2】
前記移動検知手段は、前記往復移動体上に設けられたテストターゲットと、該テストターゲットを撮像する撮像装置とから構成され、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程では該撮像装置によって前記テストターゲットの画像を連続的に撮影し、撮影画像に変化が生じたとき、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行したものと判断する請求項1に記載の搬送制御装置。
【請求項3】
搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構とを具えた搬送装置の制御方法において、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを配備し、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態から第2出力状態への切り替わりと第2出力状態から第1出力状態への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを有し、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行することを特徴とする搬送装置の制御方法。
【請求項4】
搬送対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段とを具えた搬送装置の制御プログラムにおいて、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させ、前記原点センサーが第2出力状態となった時点で前記駆動量検出手段をリセットする第1プロセスと、
その後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる過程で、前記移動検知手段の出力信号を監視して、前記往復移動体が静止状態から移動状態へ移行した時点で前記駆動量検出手段から第1の検出量を取得する第2プロセスと、
その後、前記原点センサーが第1出力状態となった時点で前記駆動量検出手段から第2の検出量を取得する第3プロセスと、
前記第1及び第2の検出量から、前記往復移動体の移動方向の切り替えに伴う前記駆動機構の搬送量誤差と、前記原点センサーの第1出力状態から第2出力状態への切り替わりと第2出力状態から第1出力状態への切り替わりの応答の違いによる位置検出誤差とを導出する第4プロセス
とを実行させ、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記導出された搬送量誤差と位置検出誤差を加味した制御動作を実行させることを特徴とする搬送装置の制御プログラム。
【請求項5】
観察対象を保持して所定の搬送路上を往復移動する往復移動体と、該往復移動体を前記搬送路に沿って駆動する駆動機構と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定の観察位置に達したときに該往復移動体上に保持されている観察対象を撮影する撮像装置と、前記往復移動体が前記搬送路上の所定位置に達したときに該往復移動体によって第1出力状態から第2出力状態に切り替えられる原点センサーと、前記駆動機構の動力源の駆動量を検出する駆動量検出手段と、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行した時点を光学的に検知する移動検知手段と、前記駆動機構の動作を制御する制御回路とを具えた観察装置において、
前記往復移動体上には、前記撮像装置によって撮影されるべきテストターゲットが設けられ、前記移動検知手段は、撮像装置によって撮影されるテストターゲットの画像に変化が生じた時点で、前記往復移動体が静止状態から移動状態に移行したものと判断し、前記制御回路は、
前記往復移動体に対する位置決め制御に際し、前記原点センサーが第1出力状態から第2出力状態となるまで前記往復移動体を一方向に移動させた後、前記原点センサーが第2出力状態から第1出力状態となるまで前記往復移動体を逆方向に移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段の制御による往復移動体の移動過程で、前記原点センサーが第2出力状態となった時点から、往復移動体が逆方向への移動を開始して、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知される時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第1の駆動量と、前記移動検知手段によって往復移動体の静止状態から移動状態への移行が検知された時点から、前記原点センサーが第1出力状態となる時点までに、前記駆動量検出手段によって検出される第2の駆動量とを取得する駆動量取得手段
とを具え、前記往復移動体に対する位置決め制御では、前記取得された第1及び第2の駆動量を加味した制御動作を実行することを特徴とする観察装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−79814(P2010−79814A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250192(P2008−250192)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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