説明

搬送装置および機器の製造方法

【課題】搬送される被搬送物に搬送装置が把持や吸着するための専用の領域を新たに設けることなく、被搬送物を搬送することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】 基板搬送装置100は、穴部201が形成された基板200を搬送可能な搬送装置であって、基板200に向けて進退可能に設けられると共に、基板200の表面に位置する穴部201の第1開口部から穴部201内に挿入可能な第1状態と、穴部201内に挿入された状態で、第1開口部と反対側に位置する第2開口部の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能とされた係止機器140を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から装置や機器を製造する過程において、部品を搬送する搬送装置が各種提案されている。
【0003】
たとえば、特開平9−160622号公報には、電子部品を把持し、搬送するロボットハンドを備えた搬送装置が記載されている。また、特開2004−148436号公報には、基板を吸着保持する吸着パッドを備えた搬送装置が記載されている。そして、特開平11−346027号公報には、基板を吸着する真空チャックを備えた搬送装置が記載されている。
【特許文献1】特開平9−160622号公報
【特許文献2】特開2004−148436号公報
【特許文献3】特開平11−346027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開平9−160622号公報に記載された搬送装置においては、電子部品にロボットハンドが把持する領域を別途確保する必要があり、電子部品のコンパクト化を阻害する。
【0005】
また、特開2004−148436号公報および特開平11−346027号公報に記載された搬送装置においても、吸着パッドおよび真空チャックが吸着する領域を別途確保する必要があり、電子機器を搭載することできないデッドスペースが生じ、基板のコンパクト化を阻害する。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、搬送される被搬送物に搬送装置が把持や吸着するための専用の領域を新たに設けることなく、被搬送物を搬送することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送装置は、穴部が形成された被搬送物を搬送可能な搬送装置であって、被搬送物に向けて進退可能に設けられると共に、被搬送物の表面に位置する穴部の第1開口部から穴部内に挿入可能な第1状態と、穴部内に挿入された状態で、第1開口部と反対側に位置する第2開口部の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能とされた係止部材を備える。
【0008】
好ましくは、上記被搬送物は、固定部材によって被固定部材に固定され、穴部に固定部材が挿入される。
【0009】
好ましくは、上記係止部材は、筒状のスリーブと、スリーブ内に挿入され、スリーブ内を移動可能に設けられた軸部とを有する。そして、上記スリーブは、該スリーブの周方向に配列し、係止部材の穴部への挿入方向に向かうに従って、互いに近接するように配置された複数の片部と、片部に形成され、第2開口部の開口縁部と係合可能な係止部とを含む。さらに、上記軸部が片部から退避することで、第1状態とされ、第1状態から軸部が挿入方向に移動し、片部を押し広げることで、第2状態とされる。
【0010】
好ましくは、上記軸部は、挿入方向側のスリーブの端部から突出可能とされる。
本発明に係る機器の製造方法は、係止部が形成された被固定部材と、係止部に対応する穴部が形成された被搬送物と、穴部に挿入され、係止部と係合することで、被搬送物を被固定部材に固定する固定部材とを備えた機器の製造方法である。そして、上記被搬送物に向けて進退可能に設けられると共に、被搬送物の表面に位置する穴部の第1開口部から穴部内に挿入可能な第1状態と、穴部内に挿入された状態で、第1開口部と反対側に位置する第2開口部の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能とされた係止部材を備えた搬送装置が、第1状態とされた係止部材を穴部内に挿入する工程と、穴部内に挿入された係合部材を第2状態に切り替え、被搬送物を係止する工程と、係止部材で被搬送物を係止した状態で、搬送装置が被搬送物を被固定部材上に移送する工程と、係止部材を第1状態に切り替えて、被搬送物を被固定部材上に載置する工程と、搬送装置が係止部材を穴部から退避させて、穴部に固定部材を装着して、被搬送物を被固定部材に固定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る機器の搬送装置および当該搬送装置を用いた機器の製造方法によれば、被搬送物に搬送装置が把持等するための専用の領域を新たに設ける必要がなく、被搬送物のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1から図19を用いて、本発明に係る搬送装置および当該搬送装置を用いた機器の製造方法について説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合わせることは、当初から予定されている。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る基板搬送装置100を備えた設備の一部を模式的に示す斜視図である。この図1に示す製造設備においては、基板搬送装置100と、基板200が載置された基板載置台202と、この基板載置台202に対して間隔を隔てて設けられ、ベース部材300が載置されたベース部材載置台302とを備えている。
【0014】
基板搬送装置100は、基板載置台202およびベース部材載置台302よりも上方に張られたワイヤー101によって案内可能とされており、基板載置台202上に載置された基板200をベース部材載置台302上に載置されたベース部材300上にまで搬送可能とされている。
【0015】
基板200の主表面上には、複数の図示されない電子部品が搭載されており、基板200の四隅には、穴部201が形成されている。ベース部材300の主表面のうち、基板200が搭載される領域には、穴部201に対応する部分に、支持突起301が形成されている。この支持突起301には、上方に向けて開口するネジ穴が形成されている。
【0016】
そして、各穴部201と、各支持突起301のネジ穴とが基板200の厚さ方向に配列するように、基板200をベース部材300上に載置した後、穴部201およびネジ穴にボルトを挿入して、基板200とベース部材300とを互いに固定することで、電機機器または電機機器の中間品が製作される。
【0017】
基板搬送装置100は、天板部122と、この天板部122上に搭載され、ワイヤー101上を走行する駆動輪121を含む駆動部120と、天板部122の下面側に設けられ、基板200を係止可能な係止機器140と、係止機器140に接続されたスライド軸132と、一端が、天板部122に接続され、スライド軸132を介して係止機器140を基板200に向けて進退可能に支持する案内部材131とを備えている。
【0018】
そして、駆動部120が駆動し、駆動輪121がワイヤー101上を走行することで、基板搬送装置100は、基板載置台202上とベース部材載置台302上との間を往復可能とされている。
【0019】
係止機器140は、案内部材131によって基板200に向けて進退可能に設けられている。
【0020】
図2は、係止機器140およびスライド軸132の断面図である。この図2に示すように、係止機器140は、穴部201内に挿入可能に形成されたコレット142と、コレット142内に挿入され、コレット142内を移動可能に設けられた軸部141と、軸部141を移動させる動力を発生する駆動機構155とを備えている。軸部141は、係止機器140が穴部201内に挿入される挿入方向に移動可能とされている。
【0021】
駆動機構155は、一方の端部がスライド軸132内のバネ収容室170内に収容され、他方の端部が軸部141の上端部に接続された接続部材146と、接続部材146を上方に向けて押圧する弾性部材145と、弾性部材145からの付勢力に抗して、接続部材146を下方に向けて付勢するエアシリンダ149とを備えている。
【0022】
エアシリンダ149は、スライド軸132の上端部に設けられた空洞状の筐体147と、筐体147内に摺動可能に設けられたピストンロッド148と、筐体147に接続され、図1に示す空圧源151に接続されたホース150とを備えている。そして、ピストンロッド148は、スライド軸132内に形成され、スライド軸132の軸方向に延びるロッド挿入孔171内に挿入されている。
【0023】
なお、バネ収容室170と、ロッド挿入孔171との間には、段差部が形成されており、接続部材146が当該段差部と係合することで、接続部材146の上死点が規定される。
【0024】
スライド軸132の下端部には、スライド軸132から張り出すように形成された支持部143が設けられており、この支持部143には、軸部141が挿入される支持穴144が形成されている。
【0025】
そして、支持部143の下面には、筒状のコレット142が固定されており、コレット142の穴部と、支持穴144とが連通するようにコレット142が支持部143に装着されている。軸部141は、支持穴144およびコレット142内に亘って挿入されており、上下方向に移動可能に支持されている。
【0026】
図3は、軸部141およびコレット142を示す斜視図である。この図3に示すように、軸部141は、円柱状に形成された本体部166と、この本体部166の下端部に形成され、下方に向けて先細状に形成された先細部165とを備えている。
【0027】
コレット142は、円筒状に形成された筒部161と、この筒部161に接続され、筒部161の周方向に間隔を隔てて形成された複数の片部162と、片部162の下端部に形成された係止部163とを備えている。
【0028】
各片部162は、挿入孔160から離れ、穴部201への挿入方向に向かうに従って、互いの先端部が近接するように形成されている。
【0029】
この図2および図3に示す状態では、軸部141の先細部165が、コレット142内に位置しているものの、軸部141は、片部162より上方に退避しており、各片部162は軸部141によって押し広げられていない。そして、各片部162の先端部は互いに近接し、コレット142は、先細状となっている。このような状態においては、コレット142は、図1に示す基板200の穴部201内に挿入可能となる。
【0030】
図4は、上記図3に示す状態から軸部141が下方に変位して、コレット142を押し広げた状態を示す斜視図である。
【0031】
この図4に示すように、軸部141が上記図3に示す状態から下方(係止機器140が穴部201内に挿入される挿入方向)に向けて変位し、各片部162が、軸部141の本体部166によって押し広げられている。これに伴い、各係止部163は、筒部161の周面から張り出すように突出する。
【0032】
このため、たとえば、コレット142を基板200の穴部201内に挿入した後、コレット142を押し広げることで、係止部163を基板200の底面に係合させることができる。具体的には、係止部163は、基板200の表面に位置する穴部201の開口部に対して反対側に位置する穴部201の開口部の開口縁部と係合する。そして、この状態で、係止機器140を上昇させることで、基板200を搬送することができる。なお、軸部141の先細部165は、コレット142の下端部(穴部201への挿入方向側の端部)より、下方に突出している。
【0033】
ここで、図5から図15および適宜上記図1から図4を用いて、上記基板搬送装置100を用いて、機器を製造する製造方法について説明する。
【0034】
図5は、係止機器140の周囲を示し、一部を断面視した側面図であって、機器の製造工程の第1製造工程を示す。
【0035】
この図5に示すように、基板200は、基板載置台202上に載置されており、基板載置台202には、凹部203が形成されている。そして、基板200は、基板200に形成された穴部201と、凹部203とが基板200の厚さ方向に配列するように位置決めされている。
【0036】
そして、このように基板200が載置された状態において、案内部材131がスライド軸132を下方に変位させて、係止機器140を穴部201に近接させる。この際、軸部141の先細部165は、コレット142の片部162から退避しており、コレット142は、各片部162の先端部が近接した第1状態となっている。
【0037】
図6は、機器の製造工程の第2製造工程を示す側面図であり、上記図5に示す状態から、係止機器140を下方に変位させて、コレット142および軸部141を基板200の穴部201内に挿入した状態を示す。
【0038】
この図6に示すように、コレット142の下端部が、穴部201の開口部うち、基板200の背面側に位置する開口部の開口縁部より、さらに下方に位置しており、コレット142の先端部が凹部203内に入り込んでいる。そして、コレット142の先端部が凹部203内に入り込んだ時点で、案内部材131によるスライド軸132の下方への変位が停止する。
【0039】
図7は、機器の製造工程の第3製造工程を示す側面図であり、図8は、この第3製造工程における基板搬送装置100の斜視図である。図7に示すように、コレット142の下端部が凹部203内に入り込んだ後、図2に示すエアシリンダ149が駆動し、ピストンロッド148が接続部材146を下方に向けて押圧する。これにより、軸部141が下方に変位し、各片部162が軸部141によって押し広げられ、各係止部163が基板200の背面側に形成された穴部201の開口縁部と係合する。
【0040】
なお、この際、軸部141の先細部165は、コレット142の下端部から突出し、凹部203内に入り込んでいる。
【0041】
図8に示すように、基板200に形成された各穴部201にそれぞれ係止機器140のコレットが挿入されている。
【0042】
このように、複数の係止機器140で基板200を支持した後、各案内部材131が駆動して、各スライド軸132を上方に引き上げる。
【0043】
図9は、機器の製造工程の第4製造工程を示す側面図である。この図9に示すように、係止機器140が基板200を係止した状態で、係止機器140が上方に変位することで、基板200が基板載置台202の上方に持ち上げられる。さらに、図1に示す駆動部120が駆動することで、基板200がベース部材300に向けて変位する。
【0044】
図10は、機器の製造工程の第5製造工程を示す側面図であり、図11は、第6製造工程を示す側面図である。図10に示すように、各係止機器140は、ベース部材300に形成された各支持突起301上に移動する。そして、図1に示す案内部材131がスライド軸132を下方に変位させることで、図11に示すように、各係止機器140は、支持突起301に近接するように変位する。
【0045】
この際、軸部141の先細部165は、コレット142の下端部から下方に突出しており、上記のように係止機器140が支持突起301に近接することで、先細部165の一部が支持突起301に形成されたネジ穴303内に入り込む。
【0046】
このように、先細部165がネジ穴303内に入り込むことで、ベース部材300に対する係止機器140の位置決めを正確に行うことができる。これに伴い、係止機器140に保持された基板200とベース部材300との位置決めを正確に行うことができ、基板200の穴部201と、ベース部材300のネジ穴303とが互いに高さ方向に配列する。
【0047】
図12は、機器の製造工程の第7製造工程を示す側面図であり、図13は、第8製造工程を示す側面図である。図12に示すように、基板200とベース部材300との位置決めがなされた後、軸部141は、上方に変位し、コレット142の各片部162が先細状に窄まる。これにより、係止機器140による基板200の係止状態が解除され、図13に示すように、基板200がベース部材300上に載置される。
【0048】
そして、図14に示すように、係止機器140をベース部材300上から退避させた後、ネジ穴303および穴部201にボルト500を螺合させて、基板200とベース部材300とを互いに固定して、図15に示すような機器を製作することができる。
【0049】
上記のように、本実施の形態1に係る基板搬送装置100は、係止機器140は、穴部201内に挿入可能な第1状態と、係止機器140の少なくとも一部が挿入された状態であって、基板200の表面に位置する穴部201の開口部に対して反対側に位置する穴部201の開口部の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能とされている。
【0050】
この基板搬送装置100によれば、基板200をベース部材300上に載置する際に、まず、第1状態とされた係止機器140を穴部201内に挿入し、その後、係止機器140を上記第2状態に切り替えことで、基板200を係止し、搬送することができる。
【0051】
このように、基板搬送装置100は、ボルト(固定部材)が挿入される穴部201を利用して、基板200を搬送しており、基板200に係止機器140が係止するための専用の領域を設ける必要がない。これにより、基板200のコンパクト化を図ることができる。
【0052】
さらに、基板200を固定する支持突起301に形成されたネジ穴303を利用することで、基板200とベース部材300とを正確に位置決めすることができ、基板200とベース部材300とを位置決めするための専用の機器を要さず、基板搬送装置100のコンパクト化を図ることができる。
【0053】
(実施の形態2)
図16から図19を用いて、本実施の形態2に係る基板搬送装置100について説明する。なお、図16から図19に示された構成のうち、上記図1から図15に示された構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0054】
図16は、本実施の形態2に係る基板搬送装置の係止機器140の断面図である。
この図16に示すように、係止機器140は、コレット142内に挿入されたボルト600と、このボルト600を支持するチャック部410と、チャック部410上に固定され、ボルト600を回転させるモータ420とを備えている。
【0055】
そして、モータ420と、チャック部410とは、支持部143の支持穴144内に挿入されており、接続部材146によって、上下方向に移動可能に設けられている。
【0056】
この図16に示す状態においては、ボルト600の軸部601は、片部162と当接しておらず、各片部162は、先細状に閉じた状態となっている。そして、エアシリンダ149が、接続部材146を下方に変位させることで、ボルト600の軸部601がコレット142の各片部162を押し広げるように形成されている。
【0057】
支持部143の底部は、分割底板部450および分割底板部451とによって形成されている。
【0058】
図17は、分割底板部450および分割底板部451を示す平面図である。この図17に示すように、分割底板部450および分割底板部451は、いずれも、半円環状に形成されている。
【0059】
分割底板部450は、図16に示すスライド軸132に設けられた回転軸470を中心に回転可能に設けられており、分割底板部451も、回転軸471を中心に回転可能に設けられている。
【0060】
分割底板部450のうち、回転軸470の周囲に位置する部分には、ギヤ部473が形成されており、このギヤ部473は、図16に示すモータ460の駆動軸461と噛合しており、モータ460からの動力によって分割底板部450が回転する。
【0061】
分割底板部451のうち、回転軸471の周囲に位置する部分には、ギヤ部474が形成されており、このギヤ部474は、分割底板部450のギヤ部473と噛合している。
【0062】
このため、駆動軸461が回転すると、分割底板部450が回転軸470を中心に回転すると共に、分割底板部451は、回転軸471を中心として、分割底板部450と反対方向に回転する。
【0063】
これにより、分割底板部450,451は、図17の実線に示すように、互いに接触して穴部430を形成する状態から、互いに離れるように回転移動したり、互いに離間した状態から穴部430を形成するように互いに接触するように回転移動することができる。
【0064】
そして、図17に示すように、分割底板部450と分割底板部451とが互いに協働して、上記図16に示すボルト600の軸部601が挿入可能な穴部430を規定する。
【0065】
分割底板部450の下面には、コレット142を分割した分割コレット441が設けられており、分割底板部451の下面にも、分割コレット442が設けられている。
【0066】
そして、分割底板部450と分割底板部451とが協働して、穴部430を形成する際には、分割コレット441と分割コレット442とによって、筒状のコレット142が形成される。
【0067】
ここで、図18から図19を用いて、本実施の形態2に係る基板搬送装置を用いて、機器を製造する製造方法について説明する。
【0068】
まず、基板200を保持する際には、図16に示すように、分割底板部450および
分割底板部451とを互いに接触させて、筒状のコレット142を形成し、さらに、ボルト600をコレット142から退避させた状態で、コレット142を基板200の穴部201内に挿入する。
【0069】
そして、図18に示すように、ボルト600を下方に変位させることで、コレット142を押し広げて、基板200を保持する。その後、ベース部材300の上方にまで搬送する。ここで、図18に示すように、ボルト600の下端部は、コレット142の下端部から僅かに下方に突出しているため、上記実施の形態1に係る製造方法と同様に、基板200とベース部材300との位置決めを行うことができる。
【0070】
基板200とベース部材300との位置決めを行った後、ボルト600を上方に変位させることで、上記実施の形態1に係る製造方法と同様に、コレット142を先細状に変形させて、基板200をベース部材300の上面上に載置する。
【0071】
その後、図17の破線に示すように、分割底板部450および分割底板部451を互いに離間させる。その後、図19に示すように、ボルト600を下方に変位させる。そして、ボルト600の下端部がベース部材300のネジ穴303に入り込む際に、チャック部410を開放し、モータ420を駆動させる。モータ420が駆動することで、ねじ込み軸421がボルト600を下方に押圧しながら、回転させる。これにより、ボルト600がベース部材300のネジ穴303内に挿入され、基板200とベース部材300とを固定することができる。
【0072】
このように、本実施の形態2に係る基板搬送装置によれば、基板200の搬送等のみならず、基板200とベース部材300との固定をも行うことができる。
【0073】
なお、本実施の形態に係る基板搬送装置においては、拡径および縮径可能なコレット142含む係止機器140を用いて、基板200を搬送することとしているが、これに限られない。
【0074】
すなわち、基板200に向けて進退可能に設けられ、基板200に形成された穴部201内に挿入可能な第1状態と、基板200の背面側で穴部201の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能であれば、上記のような構成み限られない。たとえば、リンク機構を利用したようなものであってもよい。
【0075】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。さらに、上記数値などは、例示であり、上記数値および範囲にかぎられない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、搬送装置に好適であり、特に穴部が形成された被搬送物の搬送に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施の形態1に係る基板搬送装置を備えた設備の一部を模式的に示す斜視図である。
【図2】係止機器およびスライド軸の断面図である。
【図3】軸部およびコレットを示す斜視図である。
【図4】図3に示す状態から軸部が下方に変位して、コレットを押し広げた状態を示す斜視図である。
【図5】機器の製造工程の第1製造工程を示す側面図である。
【図6】機器の製造工程の第2製造工程を示す側面図である。
【図7】機器の製造工程の第3製造工程を示す側面図である。
【図8】第3製造工程における基板搬送装置の斜視図である。
【図9】機器の製造工程の第4製造工程を示す側面図である。
【図10】機器の製造工程の第5製造工程を示す側面図である。
【図11】機器の製造工程の第6製造工程を示す側面図である。
【図12】機器の製造工程の第7製造工程を示す側面図である。
【図13】機器の製造工程の第8製造工程を示す側面図である。
【図14】機器の製造工程の第9製造工程を示す側面図である。
【図15】製造された機器の斜視図である。
【図16】実施の形態2に係る基板搬送装置の係止機器の断面図である。
【図17】分割底板部を示す平面図である。
【図18】実施の形態2に係る製造方法の製造過程を示す断面図である。
【図19】上記図18に示された製造過程後における係止機器の断面図である。
【符号の説明】
【0078】
100 基板搬送装置、101 ワイヤー、120 駆動部、121 駆動輪、122 天板部、131 案内部材、132 スライド軸、140 係止機器、141 軸部、142 コレット、143 支持部、144 支持穴、145 弾性部材、146 接続部材、147 筐体、148 ピストンロッド、149 エアシリンダ、150 ホース、151 空圧源、155 駆動機構、160 挿入孔、161 筒部、162 片部、163 係止部、165 先細部、166 本体部、170 バネ収容室、171 ロッド挿入孔、200 基板、201 穴部、202 基板載置台、203 凹部、300 ベース部材、301 支持突起、302 ベース部材載置台、303 ネジ穴、410 チャック部、420 モータ、421 軸、430 穴部、441,442 分割コレット、450 分割底板部、450,451 分割底板部、460 モータ、461 駆動軸、470 回転軸、471 回転軸、473 ギヤ部、474 ギヤ部、500 ボルト、600 ボルト、601 軸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴部が形成された被搬送物を搬送可能な搬送装置であって、
前記被搬送物に向けて進退可能に設けられると共に、前記被搬送物の表面に位置する前記穴部の第1開口部から前記穴部内に挿入可能な第1状態と、前記穴部内に挿入された状態で、前記第1開口部と反対側に位置する第2開口部の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能とされた係止部材を備えた、搬送装置。
【請求項2】
前記被搬送物は、固定部材によって被固定部材に固定され、前記穴部に前記固定部材が挿入される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記係止部材は、筒状のスリーブと、前記スリーブ内に挿入され、前記スリーブ内を移動可能に設けられた軸部とを有し、
前記スリーブは、該スリーブの周方向に配列し、前記係止部材の前記穴部への挿入方向に向かうに従って、互いに近接するように配置された複数の片部と、前記片部に形成され、前記第2開口部の開口縁部と係合可能な係止部とを含み、
前記軸部が前記片部から退避することで、前記第1状態とされ、前記第1状態から前記軸部が前記挿入方向に移動し、前記片部を押し広げることで、前記第2状態とされる、請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記軸部は、前記挿入方向側の前記スリーブの端部から突出可能とされた、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
係止部が形成された被固定部材と、前記係止部に対応する穴部が形成された被搬送物と、前記穴部に挿入され、前記係止部と係合することで、前記被搬送物を前記被固定部材に固定する固定部材とを備えた機器の製造方法であって、
前記被搬送物に向けて進退可能に設けられると共に、前記被搬送物の表面に位置する前記穴部の第1開口部から前記穴部内に挿入可能な第1状態と、前記穴部内に挿入された状態で、前記第1開口部と反対側に位置する第2開口部の開口縁部と係合可能な第2状態とに切替可能とされた係止部材を備えた搬送装置が、前記第1状態とされた前記係止部材を前記穴部内に挿入する工程と、
前記穴部内に挿入された前記係合部材を前記第2状態に切り替え、前記被搬送物を係止する工程と、
前記係止部材で前記被搬送物を係止した状態で、前記搬送装置が前記被搬送物を前記被固定部材上に移送する工程と、
前記係止部材を前記第1状態に切り替えて、前記被搬送物を前記被固定部材上に載置する工程と、
前記搬送装置が前記係止部材を前記穴部から退避させて、前記穴部に前記固定部材を装着して、前記被搬送物を前記被固定部材に固定する工程と、
を備えた、機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−42461(P2010−42461A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207166(P2008−207166)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】