説明

搬送装置

【課題】安定した昇降位置精度を確保することができるとともに、時間あたりの搬送作業効率の高い基板搬送作業を実現することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1においては、第1のアーム10の駆動軸310A及び旋回軸310Bと同軸上に第1のアーム10を昇降させる昇降軸52が配置されている。昇降軸52がとく同軸310A及び旋回軸310Bと同軸上に配置されているため、昇降軸52が搬送装置1の重心またはその近傍に位置する。さらに、同一平面内における第1のアーム10及び第2のアーム20の占有範囲を90度よりも小さい角度範囲に収めることで、時間あたりの搬送作業効率の高い基板搬送作業を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハやガラス基板等を搬送するための搬送装置に関し、更に詳しくは、2枚の基板を同時に処理することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、ガラス基板等を真空処理するに際して、いわゆるマルチチャンバ型の真空処理装置が広く用いられている。マルチチャンバ型の真空処理装置は、搬送室を中心としてその周囲に複数の処理室が配置されており、種々の基板処理を真空中で一貫して行うことができるという利点を有している。この種のマルチチャンバ型の真空処理装置は、搬送室から各処理室へ基板を自動的に搬入・搬出するための搬送ロボットを備えている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、第1のアーム組立体と、第2のアーム組立体とを有する半導体ウェハ操作用のロボットが記載されている。第1のアーム組立体は、第1の水平面内において垂直軸を中心とする回転動作が可能に構成されている。第2のアーム組立体は、第1の水平面の上にわずかに間隔をあけた第2の水平面内において上記垂直軸を中心とする回転動作が可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−110767号公報(段落[0005]、図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の真空処理装置においては、生産性の向上が求められている。このため、各処理室へ基板を搬送する搬送ロボットに対しても、基板の処理能力の向上が望まれている。そこで、独立して動作する2個のアームを備えていれば、一度に2枚の基板の搬送操作が実現可能となるため、処理能力の倍増を図れるようになる。更に、少なくとも一方のアームが昇降機構を備えていれば、処理室内における基板の受け渡しが可能となるとともに、基板の搬送途上におけるアーム相互間の干渉を容易に回避することが可能となる。
【0006】
しかしながら、アームの昇降機構の付加は、搬送ロボットの大型化を招くおそれがあるため、昇降機構の設計には留意を要する。また、アームの旋回軸と昇降軸との軸間距離が大きく離間していると、昇降軸に偏荷重が加わり易くなるため、昇降軸に作用する機械的負荷が大きくなる。その結果、昇降軸の耐久性が低下することで、安定した昇降位置精度が得られなくなる。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、安定した昇降位置精度を確保することができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る搬送装置は、第1の搬送ユニットと、第2の搬送ユニットと、第1の昇降機構とを具備する。
上記第1の搬送ユニットは、第1の軸まわりへの旋回動作と上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向への伸縮動作とが可能な第1のアームを有する。
上記第2の搬送ユニットは、上記第1の軸まわりへの旋回動作と上記第2の軸と平行な面内での伸縮動作とが可能な第2のアームを有する。
上記第1の昇降機構は、第1の昇降軸と、第1の昇降駆動源とを有する。上記第1の昇降軸は、上記第1の軸と同軸上に配置され、上記第1の搬送ユニットに結合されている。上記第1の昇降駆動源は、上記第1の昇降軸を駆動することで上記第1の搬送ユニットを上記第1の軸方向へ昇降させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る搬送装置を示す全体斜視図である。
【図2】上記搬送装置の平面図である。
【図3】上記搬送装置の側面図である。
【図4】上記搬送装置の要部の概略断面図である。
【図5】上記搬送装置のアームの一構成例を示す側断面図である。
【図6】図5に示したアームの他の断面図である。
【図7】上記搬送装置のアームの他の構成例を示す分解斜視図である。
【図8】図7に示したアームの要部断面図である。
【図9】上記搬送装置の一動作例を説明する平面図である。
【図10】上記搬送装置の一動作例を説明する側面図である。
【図11】上記搬送装置の一動作例を説明する側面図である。
【図12】上記搬送装置の一動作例を説明する側面図である。
【図13】上記搬送装置の一動作例を説明する要部平面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る搬送装置の構成を示す要部断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る搬送装置の構成を示す側面図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る搬送装置を示す全体斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る搬送装置の平面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る搬送装置における第1の腕部の概略構成を示す斜視図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る搬送装置における第1の腕部の概略構成を示す平面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る搬送装置における第2の腕部の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係る搬送装置は、第1の搬送ユニットと、第2の搬送ユニットと、第1の昇降機構とを具備する。
上記第1の搬送ユニットは、第1の軸まわりへの旋回動作と上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向への伸縮動作とが可能な第1のアームを有する。
上記第2の搬送ユニットは、上記第1の軸まわりへの旋回動作と上記第2の軸と平行な面内での伸縮動作とが可能な第2のアームを有する。
上記第1の昇降機構は、第1の昇降軸と、第1の昇降駆動源とを有する。上記第1の昇降軸は、上記第1の軸と同軸上に配置され、上記第1の搬送ユニットに結合される。上記第1の昇降駆動源は、上記第1の昇降軸を駆動することで上記第1の搬送ユニットを上記第1の軸方向へ昇降させる。
【0011】
上記搬送装置によれば、第1の搬送ユニットの旋回軸となる第1の軸と同軸上に第1の昇降軸が配置されているため、搬送装置の大型化を抑制することができる。また、第1の昇降軸が第1の軸と同軸上に配置されているため、第1の昇降軸が搬送装置の重心またはその近傍に位置することで、第1の昇降軸に作用する機械的負荷、すなわち偏荷重が低減され、耐久性の向上と安定した昇降位置精度の確保が可能となる。
【0012】
上記第1の搬送ユニットは、第1の旋回軸と、第1の駆動軸と、第1の回転駆動源と、第1の支持体とを含んでもよい。上記第1の旋回軸は、上記第1のアームを旋回させるためのものである。上記第1の駆動軸は、上記第1の旋回軸と同軸上に配置され上記第1のアームを伸縮させるためのものである。上記第1の回転駆動源は、上記第1の旋回軸及び上記第1の駆動軸を各々軸まわりに回転させることが可能である。上記第1の支持体は、上記第1の回転駆動源を支持し、上記第1の昇降軸と結合される。
これにより、第1の旋回軸及び第2の駆動軸を第1の回転駆動源と共に第1の昇降駆動源によって昇降させることが可能となる。
【0013】
上記第1の昇降軸は、上記第1の支持体と螺合するネジ軸であってもよく、この場合、上記第1の昇降駆動源は、上記ネジ軸を回転させるモータで構成することができる。また、上記第1の駆動軸は、上記第1の昇降軸を収容可能な中空部を有してもよい。これにより、上記搬送装置の上記第1の軸方向に沿った長さ寸法を低減して、装置の大型化を抑制することが可能となる。
【0014】
上記搬送装置は、第2の昇降機構をさらに具備してもよい。上記第2の昇降機構は、第2の昇降軸と、第2の昇降駆動源とを有する。上記第2の昇降軸は、上記第1の軸と平行な第3の軸上に配置され、上記第2の搬送ユニットに結合される。上記第2の昇降駆動源は、上記第2の昇降軸を駆動することで上記第2の搬送ユニットを上記第1の軸方向へ昇降させる。
これにより、第1の搬送ユニット及び第2の搬送ユニットの独立した昇降動作が可能となり、搬送動作の自由度の高い搬送装置を構成することができる。
【0015】
上記第2の昇降機構は、上記第2の昇降軸を上記第1の軸方向と同軸上に配置してもよい。これにより、第2の昇降軸が搬送装置の重心またはその近傍に位置することで、第2の昇降軸に作用する機械的負荷、すなわち偏荷重が低減され、耐久性の向上と安定した昇降位置精度の確保が可能となる。
【0016】
上記第1のアームは、第1の腕部と、第2の腕部と、第1の変換機構とを有してもよい。上記第1の腕部は、上記第1の旋回軸と連結される。上記第2の腕部は、上記第1の腕部に対して上記第2の方向にスライド可能である。上記第1の変換機構は、上記第1の駆動軸に連結され、上記第1の駆動軸の回転を上記第1の腕部に対する上記第2の腕部のスライド動作に変換する。
上記構成により、第1のアームの伸縮に要する動作幅を最小限に抑えることができるため、搬送装置の大型化を回避することが可能となる。第2のアームも同様に構成されてもよい。
なお、上記第1及び第2のアームは、上述したテレスコピック式アームに限られず、平行リンク式、スカラ(SCARA:Selective Compliance Assembly Robot Arm)式等の他の方式が採用されてもよい。
【0017】
上記搬送装置は、上記第1のアームと上記第2のアームとのなす角に基づいて、上記第1の昇降駆動源を制御する制御ユニットをさらに具備してもよい。
これにより、一方のアームを他方のアームが属する同一の平面内で回転させた場合でも、制御ユニットにより、アーム間の衝突を効果的に回避することが可能となる。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送装置を示す全体斜視図であり、一方のアームが伸長した状態を示している。図2は、当該搬送装置の平面図、図3はその側面図であり、全てのアームが縮んだ状態をそれぞれ示している。
【0020】
本実施形態の搬送装置1は、第1のアーム10と、第2のアーム20と、これら第1及び第2のアーム10,20を伸縮、旋回等させるための駆動部30とを備えている。本明細書において、図中Z軸方向を上下方向(垂直あるいは鉛直方向)とし、Z軸と直交するX軸方向と、Z軸及びX軸に直交するY軸方向とをそれぞれ水平方向として説明する。
【0021】
本実施形態において、第1及び第2のアーム10,20は、図示するようにZ軸方向に沿って積載されており、第1のアーム10は第2のアーム20よりも上方側に位置している。第1及び第2のアーム10,20はそれぞれ同様の構成を有しており、各アームの先端部は基板Wを支持するためのハンドとして機能する。本実施形態では、第1のアーム10はZ軸方向への昇降動作、XY平面内での伸縮動作及びZ軸まわりへの旋回動作の3動作が可能である。一方、第2のアーム20は、XY平面内での伸縮動作及びZ軸まわりへの旋回動作の2動作が可能である。
【0022】
次に、駆動部30の詳細について図4を参照して説明する。図4は、マルチチャンバ型の真空処理装置の搬送室TCに、本実施形態の搬送装置1を組み込んだ状態を示す要部の概略縦断面図である。搬送装置1は、搬送室TCの底部に形成された開口部TCaを大気側から閉塞するように、搬送室TCの底部に設置されている。
【0023】
駆動部30は、第1のアーム10を駆動するための第1の駆動機構31と、第2のアーム20を駆動するための第2の駆動機構32とを有する。第1の駆動機構31は、第1のアーム10を伸縮させるための駆動軸310A(第1の駆動軸)と、第1のアーム10を旋回させるための旋回軸310B(第1の旋回軸)と、駆動軸310Aを回転させるための回転モータ311Aと、旋回軸310Bを回転させるための回転モータ311Bとを有する。同様に、第2の駆動機構32は、第2のアーム20を伸縮させるための駆動軸320A(第2の駆動軸)と、第2のアーム20を旋回させるための旋回軸320B(第2の旋回軸)と、駆動軸320Aを回転させるための回転モータ321Aと、旋回軸320Bを回転させるための回転モータ321Bとを有する。これら第1及び第2の駆動機構31,32は、筐体80の中に収容されている。
【0024】
駆動軸310A及び旋回軸310Bは、中空の軸状部材で構成されている。駆動軸310A及び旋回軸310Bは、それぞれZ軸方向に沿って同軸上に配置され、駆動軸310Aの外周側に旋回軸310Bが位置している。駆動軸310Aの上端部31A1は、旋回軸310Bの上端部31B1よりも上方へ突出しており、これら各端部31A1,31B1はそれぞれ第1のアーム10に接続されている。駆動軸310A及び旋回軸310Bは、「第1の駆動軸群」を構成している。
【0025】
回転モータ311Aは、駆動軸310Aの下端部31A2の周囲に配置されており、駆動軸310Aをその軸まわりに回転させることが可能な中空モータで構成されている。回転モータ311Bは、旋回軸310Bの下端部31B2の周囲に配置されており、駆動軸310Aとは独立して、旋回軸310Bをその軸まわりに回転させることが可能な中空モータで構成されている。回転モータ311Bは、回転モータ311Aの上方側に配置されている。回転モータ311A,311Bは、「第1の回転駆動源」を構成している。
【0026】
駆動軸320A及び旋回軸320Bもまた、中空の軸状部材で構成されており、それぞれZ軸方向に沿って同軸上に配置されている。本実施形態では、駆動軸320Aは旋回軸310Bの外周側に位置し、旋回軸320Bは駆動軸320Aの外周側に位置している。駆動軸320Aの上端部32A1は、旋回軸320Bの上端部32B1よりも上方へ突出しており、これら各端部32A1,32B1はそれぞれ第2のアーム20に接続されている。駆動軸320A及び旋回軸320Bは、「第2の駆動軸群」を構成している。
【0027】
回転モータ321Aは、駆動軸320Aの下端部32A2の周囲に配置されており、駆動軸320Aをその軸まわりに回転させることが可能な中空モータで構成されている。回転モータ321Bは、旋回軸320Bの下端部32B2の周囲に配置されており、駆動軸320Aとは独立して、旋回軸320Bをその軸まわりに回転させることが可能な中空モータで構成されている。回転モータ321Aは、回転モータ311Bの上方側に配置され、回転モータ321Bは、回転モータ321Aの上方側に配置されている。回転モータ321Aの中空部には、駆動軸310A及び旋回軸310Bがそれぞれ貫通しており、回転モータ321Bの中空部には、駆動軸310A、旋回軸310B及び駆動軸320Aがそれぞれ貫通している。回転モータ321A,321Bは、「第2の回転駆動源」を構成している。
【0028】
回転モータ311A,311B,321A,321Bはそれぞれ同様な構成を有しており、本実施形態では真空中での使用に耐え得る真空モータが採用されている。これら回転モータは、駆動軸310A,320A及び旋回軸310B,320Bに各々固定された環状のロータ(回転子)33rと、これに間隙を介して対向する環状のステータ(固定子)33sとを含む。各モータのロータ33r及びステータ33sはそれぞれ同一の構成を有しており、ステータ33sとの間に所定の間隙が形成されるようにロータ33rが各駆動軸及び旋回軸に取り付けられている。本実施形態では、回転モータ321Bに関しては、ロータ33rは旋回軸320Bに直接取り付けられ、回転モータ311A,311B,321Aに関しては、ロータ33rは、ステータ33sとの間に所定の間隙が形成されるように、それぞれ適宜の厚みを有する円筒状のスペーサ34を介して駆動軸310A,320A及び旋回軸310Bに取り付けられている。
【0029】
各モータのロータ33rとステータ33sとの間の相対位置は一定とされ、ロータ33rはステータ33sと同一の高さ位置に保持される。ロータ33rとステータ33sとの間の相対位置を一定にするための構成としては、例えば、ロータ33rの回転をガイドするガイド機構(ベアリング等)がロータ33rとステータ33sとの間に設置される。
【0030】
回転モータ311A,311Bの各ステータ33sは、支持体41(第1の支持体)に支持されている。支持体41は、駆動軸310A及び旋回軸310Bと同軸上に配置された円筒形状を有している。支持体41は、回転モータ311A,311Bのステータ33sを支持する周壁部41aと、駆動軸310A及び旋回軸310Bの各々の下端部31A2,31B2側を被覆する底面部41bとを有する。
【0031】
駆動部30はさらに、昇降機構51(第1の昇降機構)を有する。昇降機構51は、支持体41の底面部41bに設置されている。昇降機構51は、駆動軸310A及び旋回軸310Bと同軸上に配置された昇降軸52(第1の昇降軸)と、底面部41bに固定され昇降軸52と螺合するナット部材53と、昇降軸52を回転させる駆動モータ54(第1の昇降駆動源)とを有する。
【0032】
昇降軸52は、周囲にネジ溝が螺旋状に形成されたボールネジのネジ軸を構成している。昇降軸52は、駆動軸310Aと同軸上に配置され、底面部41bの中心部に形成された筒部41cの中に収容されている。筒部41cは、駆動軸310Aと同軸上に形成され、頂部が閉塞する円筒形状を有しており、駆動軸310Aの中空部ha内に向かって底面部41bから上方へ突出している。これにより、搬送装置1のZ軸方向に沿った長さ寸法が低減され、装置の大型化が抑制される。
【0033】
ナット部材53は、昇降軸52と螺合するネジ孔を有しており、底面部41bの中心部に形成された固定部41dの中に固定されている。固定部41dは、底面部41bの下方に向かって突出しており、例えば、ナット部材53の外周部と嵌合する筒形状を有している。固定部41dは、ナット部材53を固定しつつ、昇降軸52の回転時におけるナット部材53の回転を規制できるように、内周部が例えばナット部材53の外形と嵌合する多角形状に形成されている。
【0034】
駆動モータ54は、昇降軸52をその軸まわりに回転させるためのモータであり、本実施形態では、昇降軸52の下端部に連結されている。駆動モータ54は、典型的には静止系に固定され、例えば筐体80に対して適宜の支持機構を介して固定されている。駆動モータ54は、昇降軸52を回転させることで、ナット部材53を昇降軸52の軸方向に沿って移動させる。
【0035】
以上のようにして、第1のアーム10、回転モータ311A,311B、駆動軸310A及び旋回軸310Bを含む「第1の搬送ユニット」をZ軸方向に昇降させる昇降機構(第1の昇降機構)51が構成される。
【0036】
一方、回転モータ321A,321Bの各ステータ33sは、支持体42(第2の支持体)に支持されている。支持体42は、駆動軸320A,320Bと同軸上に配置された円筒形状を有している。支持体42は、回転モータ321A,321Bのステータ33sを支持する周壁部42aと、搬送室TCの底部に適宜のシール部材及び締結具を介して気密に固定されるフランジ部42bとを有する。筐体80は、フランジ部42bに対して一体的に固定されている。
【0037】
第1の駆動機構31の昇降は、複数本のガイドレール61aによって案内される。ガイドレール61aは、Z軸方向に平行にフランジ部42bに取り付けられ、第1の駆動機構31の周囲に等角度間隔で配置されている。支持体41の周壁部(あるいは回転モータ311A,311Bのステータ33s)には、ガイドレール61aに係合するガイド軸受61bが適宜の位置に適宜の数配置され、これにより第1の駆動機構31の円滑な昇降が確保されている。
【0038】
そして、回転モータ311Bと回転モータ321Aとの間には、Z軸方向に伸縮自在なベローズ71が設置されている。ベローズ71は、第1の駆動機構31の昇降動作を阻害することなく、その内周側と外周側との雰囲気差を維持する隔壁として機能する。ベローズ71の設置部位は上述の例に限られず、例えば、支持体41,42の各々の周壁部41b,42bの間に設置されてもよい。
【0039】
以上のようにして、第2のアーム20、回転モータ321A,321B、駆動軸320A及び旋回軸320Bを含む「第2の搬送ユニット」が構成される。また、第1の駆動機構31、第2の駆動機構32及び昇降機構51を含む駆動部30が構成される。駆動部30の動作は、外部に設置された制御ユニット50(図3)によって制御される。
【0040】
次に、第1及び第2のアーム10,20の詳細について説明する。
【0041】
第1及び第2のアーム10,20はそれぞれ同様な構成を有している。本実施形態において、第1及び第2のアーム10,20は、テレスコピック式の搬送アームで構成されている。テレスコピック式の搬送アームは、例えば平行リンク式の多関節アームと異なり、伸縮に必要な動作幅を最小にすることができるという利点を有している。
【0042】
図5及び図6は、テレスコピック式搬送アームの一構成例を示している。図5は、搬送アーム100のX軸方向から見た要部の側断面図である。図6は、搬送アーム100のY軸方向から見た要部の側断面図である。
【0043】
搬送アーム100は、第1の腕部101と、第2の腕部102と、第3の腕部103と、ハンド部104とを有する。第1の腕部101は、第2の腕部102を部分的に収容できる大きさの空間部を内部に有している。第2の腕部102は、第1の腕部101に対して図中Y軸方向に移動自在に構成されていると共に、第3の腕部103を部分的に収容できる大きさの空間部を内部に有している。第3の腕部103は、第2の腕部102に対して図中Y軸方向に移動自在に構成されている。ハンド部104は、第3の腕部103の先端部に取り付けられており、基板Wを支持する支持面を有している。
【0044】
第1の腕部101は、本体110と、プーリ111〜114と、ピニオンギヤ118と、ラックギヤ119とを有する。本体110は、旋回軸B1(310B、320Bに相当。)の上端部に連結されている。プーリ111は、駆動軸A1(310A、320Aに相当。)の上端部に連結されている。プーリ112は、ベルト115を介してプーリ111と連結されており、プーリ111の回転に同期して回転可能である。プーリ113、114は、本体110に回転自在に支持されている。プーリ113は、軸部材116を介してプーリ112と連結されており、プーリ112の回転に同期して回転可能である。プーリ114は、ベルト117を介してプーリ113と連結されており、プーリ113の回転に同期して回転可能である。ピニオンギヤ118は、プーリ114の上面に固定されている。ラックギヤ119は、図6に示すように、本体110の内部側壁部110aにY軸方向に沿って配置されている。
【0045】
第2の腕部102は、本体120と、プーリ121、122と、ピニオンギヤ124、125と、ラックギヤ126とを有する。プーリ121は、本体120の水平壁部120bに回転自在に支持されている。プーリ122は、ベルト123を介してプーリ122と連結されており、プーリ121の回転に同期して回転可能である。プーリ122は、水平壁部120bを貫通し水平壁部120bに回転自在に支持される軸部材127の下端部に固定されている。ピニオンギヤ124は、プーリ121の下面に固定されており、図6に示すように、ラックギヤ119と噛合している。ピニオンギヤ125は、軸部材127の上端部に固定されており、プーリ122の回転に同期して回転可能である。ラックギヤ126は、図6に示すように、本体120の内部側壁部120aにY軸方向に沿って配置され、ピニオンギヤ118と噛合している。
【0046】
第3の腕部103は、本体130と、ラックギヤ131とを有する。ラックギヤ131は、本体130の側壁部にY軸方向に沿って配置され、ピニオンギヤ125と噛合している。
【0047】
第1の腕部101の本体110と第2の腕部102の本体120との間には、本体110に対する本体120の直線移動を案内するリニアガイド141が設置されている。また、第2の腕部102の本体120と第3の腕部103の本体130との間には、本体120に対する本体130の直線移動を案内するリニアガイド142が設置されている。
【0048】
以上のように構成される搬送アーム100においては、駆動軸A1の回転によりプーリ111が回転し、この回転力がベルト115、プーリ112、113、ベルト117及びプーリ114を介して、ピニオンギヤ118へ伝達される。ピニオンギヤ118は、ラックギヤ126と噛合しているため、ピニオンギヤ118の回転運動は、第2の腕部102の直線運動に変換される(変換機構)。第2の腕部102の進行方向は、駆動軸A1の回転方向で決定される。第1の腕部101に対する第2の腕部102の相対移動に伴い、ラックギヤ119と噛合するピニオンギヤ124が回転し、この回転力がプーリ121、ベルト123及びプーリ122を介してピニオンギヤ125へ伝達される。ピニオンギヤ125は、ラックギヤ131と噛合しているため、ピニオンギヤ125の回転運動は、第3の腕部103の直線運動に変換される。
【0049】
図7及び図8は、テレスコピック式搬送アームの他の構成例を示している。図7は、搬送アーム200の構成を示す分解斜視図である。図8は、搬送アーム200の構成を示す、Y軸方向から見た要部の側断面図である。
【0050】
搬送アーム200は、第1の腕部201と、第2の腕部202と、第3の腕部203と、ハンド部204とを有する。第2の腕部202は、第1の腕部201に対して図中Y軸方向に移動自在に構成されていると共に、第1の腕部201を部分的に収容できる大きさの空間部を内部に有している。第3の腕部203は、第2の腕部202に対して図中Y軸方向に移動自在に構成されていると共に、第2の腕部202を部分的に収容できる大きさの空間部を内部に有している。ハンド部204は、第3の腕部203の先端部に取り付けられており、基板を支持する支持面を有している。
【0051】
第1の腕部201は、本体210と、プーリ211、212と、ピニオンギヤ213と、ラックギヤ214とを有する。本体210は、旋回軸B2(310B、320Bに相当。)の上端部に連結されている。プーリ211は、駆動軸A2(310A、320Aに相当。)の上端部に連結されている。プーリ212は、本体210に回転自在に支持されている。プーリ212は、ベルト215を介してプーリ211と連結されており、プーリ211の回転に同期して回転可能である。ピニオンギヤ213は、プーリ212の上面に固定されている。ラックギヤ214は、本体210の側壁部210aにY軸方向に沿って配置されている。
【0052】
第2の腕部202は、本体220と、プーリ221、222と、ピニオンギヤ224、225と、ラックギヤ226とを有する。プーリ221は、本体220の水平壁部220bに回転自在に支持されている。プーリ222は、ベルト223を介してプーリ222と連結されており、プーリ221の回転に同期して回転可能である。プーリ222は、水平壁部220bを貫通し水平壁部220bに回転自在に支持される軸部材227の下端部に固定されている。ピニオンギヤ224は、プーリ221の下面に固定されており、図8に示すように、ラックギヤ214と噛合している。ピニオンギヤ225は、軸部材227の上端部に固定されており、プーリ222の回転に同期して回転可能である。ラックギヤ226は、図8に示すように、本体220の側壁部220aにY軸方向に沿って配置され、ピニオンギヤ213と噛合している。
【0053】
第3の腕部203は、本体230と、ラックギヤ231とを有する。ラックギヤ231は、本体230の側壁部にY軸方向に沿って配置され、ピニオンギヤ225と噛合している。
【0054】
第1の腕部201の本体210と第2の腕部202の本体220との間には、本体210に対する本体220の直線移動を案内するリニアガイド241が設置されている。また、第2の腕部202の本体220と第3の腕部203の本体230との間には、本体220に対する本体230の直線移動を案内するリニアガイド242が設置されている。
【0055】
以上のように構成される搬送アーム200においては、駆動軸A2の回転によりプーリ211が回転し、この回転力がベルト215及びプーリ212を介して、ピニオンギヤ213へ伝達される。ピニオンギヤ213は、ラックギヤ226と噛合しているため、ピニオンギヤ213の回転運動は、第2の腕部202の直線運動に変換される(変換機構)。第2の腕部202の進行方向は、駆動軸A2の回転方向で決定される。第1の腕部201に対する第2の腕部202の相対移動に伴い、ラックギヤ214と噛合するピニオンギヤ224が回転し、この回転力がプーリ221、ベルト223及びプーリ222を介してピニオンギヤ225へ伝達される。ピニオンギヤ225は、ラックギヤ231と噛合しているため、ピニオンギヤ225の回転運動は、第3の腕部203の直線運動に変換される。
【0056】
次に、以上のように構成される本実施形態の搬送装置1の動作について説明する。
【0057】
第1のアーム10は、第1の駆動機構31によって伸縮し及び旋回する。すなわち、図4を参照して、第1のアーム10は、回転モータ311Aによる駆動軸310Aの回転動作により伸縮し、回転モータ311Bによる旋回軸310Bの回転動作により旋回する。アーム10の伸縮は、駆動軸310Aの回転方向によって制御され、アーム10の旋回方向は、旋回軸310Bの回転方向によって制御される。また、第1のアーム10は、昇降機構51による駆動軸310A及び旋回軸310Bの昇降動作によって、上下方向に昇降することが可能である。
【0058】
一方、第2のアーム20は、第2の駆動機構32によって伸縮し及び旋回する。すなわち、第2のアーム20は、回転モータ321Aによる駆動軸320Aの回転動作により伸縮し、回転モータ321Bによる駆動軸320Bの回転動作により旋回する。アーム20の伸縮は、駆動軸320Aの回転方向によって制御され、アーム20の旋回方向は、駆動軸320Bの回転方向によって制御される。
【0059】
図9は、上述した構成の搬送装置1を備えた基板処理装置300の要部平面図である。この基板処理装置300はクラスター型の枚葉式真空処理装置として構成されており、搬送装置1は、図示しないロード/アンロード室に搬入された基板Wを、搬送室TCを介してプロセスチャンバPCへ移載する。また、搬送装置1は、プロセスチャンバPCで処理した基板Wを、搬送室TCを介して上記ロード/アンロード室へ移載する。
【0060】
図10〜図12は、基板Wの搬送動作の一例を説明する搬送装置1の側面図である。図10では、第1及び第2のアーム10、20が基板Wを保持した状態を示しており、その保持高さ(H)は、搬送室TCとプロセスチャンバPCとの間で基板Wを搬送するときの基板Wのパスラインに相当する。そこで、第1のアーム10で処理済の基板を保持し、第2のアーム20で未処理の基板Wをプロセスチャンバへ移載する場合について説明する。この場合、搬送装置1は、昇降機構51(駆動モータ54)を駆動することで、第1のアーム10を図11に示すように所定距離上昇させた後、図12に示すように第2の駆動機構32(回転モータ321B)を駆動することで、第2のアーム20を第1のアーム10の直下まで旋回させる。これにより、第1のアーム10と干渉することなく、第2のアーム20上の基板WをプロセスチャンバPCへのパスラインへ搬送することが可能となる。
【0061】
搬送装置1による基板の搬送動作は上述の例に限られない。例えば、第1及び第2のアーム10、20の旋回高さは基本的に同一の高さ位置(H)とし、第1及び第2のアーム10、20が相互に干渉する場合にのみ、第1のアーム10を昇降させてもよい。この場合、各々のアーム10、20が干渉するか否かは、制御ユニット50によって判断される。図13に示すように、制御ユニット50は、第1のアーム10と第2のアーム20とのなす角θに基づいて、アーム10、20間の干渉の有無を判断する。制御ユニット50は、アーム10、20間の干渉を回避するための基準角度(θ0)を記憶しており、アーム10、20の接近によりなす角θが基準角度θ0に到達した時点で、第1のアーム10を上昇させる。角度θの算出には、例えば、各アーム10、20の旋回軸310B、320Bの回転角度を検出するロータリーエンコーダ等が用いられてもよい。
【0062】
また、図13に示した例において、第1及び第2のアーム10,20が同一平面内において相互に隣接したときの占有範囲は、Z軸方向から見て90度より小さい角度範囲(α)に収められている。これにより、同一平面内における第1及び第2のアーム10,20の動作範囲を270度以上確保することが可能となる。また、各アームの干渉領域を最小化し、一方のアーム動作中に他方のアームの待ち時間を低減することができるため、時間あたりの搬送作業効率が高い基板搬送作業を実現することができる。なお、第1及び第2のアーム10,20の構成を変更することによって、上記角度範囲(α)を60度より小さくすることができる。
【0063】
本実施形態の搬送装置1によれば、第1及び第2のアーム10、20を備えているので、一度に2枚の基板Wを搬送することが可能となり、単一のアームを備える搬送装置に比べて処理能力の倍増を図れるようになる。また、本実施形態の搬送装置1によれば、第1のアーム10を昇降させる昇降機構51を備えているため、基板Wの搬送途上におけるアーム10、20相互間の干渉を容易に回避することが可能である。
【0064】
特に、本実施形態の昇降機構51によれば、第1のアーム10の駆動軸310A及び旋回軸310Bと同軸上に昇降軸52が配置されているため、搬送装置1の大型化を抑制することができる。また、昇降軸52が駆動軸310A及び旋回軸310Bと同軸上に配置されているため、昇降軸52が搬送装置1の重心またはその近傍に位置することで、昇降軸52に作用する機械的負荷、すなわち偏荷重が低減され、耐久性の向上と安定した昇降位置精度の確保が可能となる。
【0065】
また、駆動軸310Aの回転モータ311Aと旋回軸310Bの回転モータ311Bとを共通の支持体41で支持しているため、昇降機構51によってこれら回転モータを一体的に昇降させることが可能である。これにより、第1のアーム10の昇降中でも第1のアーム10の伸縮動作及び旋回動作が可能となる。
【0066】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の搬送装置2は、第1及び第2の搬送ユニットに昇降機構が設けられている点で上述の第1の実施形態と異なる。図14は、搬送装置2の駆動部30の構成を示す側断面図である。なお図において、図4と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0067】
本実施形態の搬送装置2の駆動部30は、さらに、昇降機構91(第2の昇降機構)を有する。昇降機構91は、回転モータ321A、321Bを支持する支持体45に設置されている。昇降機構91は、駆動軸320A及び旋回軸320Bと同軸上に配置された昇降軸92(第2の昇降軸)と、底面部45bに固定され昇降軸92と螺合するナット部材93と、昇降軸92を回転させる駆動モータ94(第2の昇降駆動源)とを有する。
【0068】
支持体45は、駆動軸320A及び旋回軸320Bと同軸上に配置された円筒形状を有している。支持体45は、回転モータ321A、321Bのステータ33sを支持する周壁部45aと、駆動軸320A及び旋回軸320Bの各々の下端部を被覆する底面部45bとを有する。昇降機構91は、支持体45の底面部45bに設置されている。
【0069】
昇降軸92は、周囲にネジ溝が螺旋状に形成されたボールネジのネジ軸を構成している。昇降軸92は、駆動軸320A(旋回軸320B)と同軸上ではないが、これらと平行な軸線上に配置されている。ナット部材93は、昇降軸92と螺合するネジ孔を有しており、底面部45bの中心部からオフセットした位置に形成された固定部45dの中に固定されている。固定部45dは、底面部45bの下方に向かって突出しており、例えば、ナット部材93の外周部と嵌合する筒形状を有している。固定部45dは、ナット部材93を固定しつつ、昇降軸92の回転時におけるナット部材93の回転を規制できるように、内周部が例えばナット部材93の外形と嵌合する多角形状に形成されている。
【0070】
駆動モータ94は、昇降軸92をその軸回りに回転させるためのモータであり、本実施形態では、昇降軸92の下端部に連結されている。駆動モータ94は、典型的には静止系に固定され、例えば筐体80に対して適宜の支持機構を介して固定されている。駆動モータ94は、昇降軸92を回転させることで、ナット部材93を昇降軸92の軸方向に沿って移動させる。
【0071】
以上のようにして、第2のアーム20、回転モータ321A、321B、駆動軸320A及び旋回軸320Bを含む「第2の搬送ユニット」をZ軸方向に昇降させる昇降機構(第2の昇降機構)91が構成される。
【0072】
本実施形態によれば、第1のアーム10だけでなく、第2のアーム20をも昇降させることが可能であり、さらに、第1及び第2のアーム10、20をそれぞれ独立して昇降させることが可能であるため、搬送動作の自由度の高い搬送装置を構成することができる。
また、第1の昇降軸52と第2の昇降軸とが同軸上にないため、駆動部30の高さ寸法の増大を抑えることができる。
【0073】
[第3の実施形態]
図15は本発明の第3の実施形態を示している。本実施形態の搬送装置3は、第1のアーム10及び第2のアーム20を駆動する駆動部が相互に異なる駆動部で構成されている点で、上述の第1及び第2の実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態の搬送装置3は、第1のアーム10を駆動する第1の駆動部81と、第2のアーム20を駆動する第2の駆動部82とを有する。
【0074】
第1の駆動部81は、搬送室TCの底部に設置されており、第1のアーム10をXY平面内において伸縮及び旋回させる第1の駆動機構と、Z軸方向へ昇降させる第1の昇降機構とを有する。一方、第2の駆動部82は、搬送室TCの上部に設置されており、第2のアーム20をXY平面内において伸縮及び旋回させる第2の駆動機構と、Z軸方向へ昇降させる第2の昇降機構とを有する。これら第1及び第2の駆動機構、第1及び第2の昇降機構は、例えば、上述の各実施形態において説明した構成を有する。第1のアーム10の昇降軸と第2のアーム20の昇降軸とは、それぞれ同軸上に配置されている。なお、第2の昇降機構は、必要に応じて省略されてもよい。
【0075】
本実施形態の搬送装置3においても、上述の第2の実施形態に係る搬送装置2と同様な作用効果を得ることができる。特に本実施形態によれば、第1の駆動部81と第2の駆動部82とが別ユニットとして構成されているため、搬送室TCに対する各駆動部の配置自由度を高めることが可能となる。
【0076】
[第4の実施形態]
図16は本発明の第4の実施形態に係る搬送装置を示す全体斜視図であり、一方のアームが伸長した状態を示している。図17は本実施形態の搬送装置を示す平面図である。
【0077】
本実施形態の搬送装置4は、第1のアーム1000と、第2のアーム2000と、これら第1及び第2のアーム1000,2000を伸縮、旋回等させるための駆動部30とを備えている。駆動部30は、図4または図14に示した構成と同様の構成を有し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
第1のアーム1000及び第2のアーム2000は、図示するようにZ軸方向に沿って積載されており、第1のアーム1000は第2のアーム2000よりも上方側に位置している。第1及び第2のアーム1000,2000はそれぞれ同様の構成を有しており、各アームの先端部は基板Wを支持するためのハンドとして機能する。第1のアーム10はZ軸方向への昇降動作、XY平面内での伸縮動作及びZ軸まわりへの旋回動作の3動作が可能である。一方、第2のアーム20は、XY平面内での伸縮動作及びZ軸まわりへの旋回動作の2動作が可能であり、あるいは、Z軸方向への昇降動作をさらに加えた3動作が可能である。
【0079】
第1のアーム1000は、複数の腕部で構成されており、第1の腕部1001、第2の腕部1002,1003、第3の腕部1004,1005およびハンド部1006を有する。第1の腕部1001は、XY平面内で相互に異なる2方向に延びる一対のアーム体を有し、これらアーム体の連結部には駆動部30の第1の旋回軸(図示略)が連結されている。各アーム体の先端部には、第2の腕部1002,1003の一端部がそれぞれ回転自在に連結されており、第2の腕部1002,1003は上下方向に所定の間隔をあけて重なり合うように交差しており、これらの他端部が第3の腕部1004,1005にそれぞれ回転自在に連結されている。第3の腕部1004,1005は、ハンド部1006にそれぞれ回転自在に連結されており、第2の腕部1002,1003をハンド部1006へ接続するリスト部を構成する。
【0080】
図18及び図19は、第1の腕部1001の内部構造を概略的に示す斜視図及び平面図である。第1の腕部1001は、駆動部30の第1の駆動軸310Aに接続され、第1の回転モータ311Aによって回転駆動される駆動プーリ1101を有する。また、第1の腕部1101の各々のアーム体の先端部には、従動プーリ1102(回転伝達部)および従動プーリ1103(回転伝達部)がそれぞれ回転自在に取り付けられており、これら駆動プーリ1101と従動プーリ1102,1103との間にはベルト1201およびベルト1202がそれぞれ架け渡されている。一方のベルト1201は、駆動プーリ1101の回転方向と同一方向へ従動プーリ1102を回転させ、他方のベルト1202は、駆動プーリ1101と従動プーリ1103との間にクロスして架け渡されることで、駆動プーリ1101の回転方向とは逆の方向へ従動プーリ1103を回転させる。
【0081】
図20は、第2の腕部1002の内部構造を概略的に示す斜視図である。第2の腕部1002は、第1のギヤ1105、第2のギヤ1106、第3のギヤ1107、第4のギヤ1108およびベルト1203を有する。第1のギヤ1105は、第1の腕部1001の従動プーリ1002と一体的に回転するプーリ1104に連結されており、プーリ1104と一体的に回転する平歯車で形成されている。プーリ1104は、第1の腕部1001の相対角度を第2の腕部1002へ伝達する。第2のギヤ1106は、一対の第2の腕部1002、1003が共に同一直線上に位置する死点状態のときに第1のギヤ1106と係合可能なギヤ歯を部分的に有する。第3のギヤ1107はベルト1203を介して第2のギヤ1106と連結された平歯車で形成されている。第4のギヤ1108は、第3のギヤ1108と係合しており、その軸部が第3の腕部1004と一体的に結合された平歯車で形成されている。
【0082】
第1〜第4のギヤ1105〜1108およびベルト1203は、第2の腕部1002,1003の死点脱出機構を構成し、死点脱出に必要な回転駆動力が第4のギヤ1108へ伝達される。なお、死点以外の動作範囲では、第2のギヤ1106は第1のギヤ1105と係合しない角度に回転し、第1のギヤ1105の回転力が伝達されない構造を有している。これにより、第2の腕部1002の円滑な回転動作が確保される。
【0083】
上記死点脱出機構は、一対の第2の腕部1002,1003のうち一方の腕部1002にのみ設けられている。他方の腕部1003は、第1の腕部1001の従動プーリ1103に連結されており、従動プーリ1103と一体的に回転する。腕部1002、1004、1005は、当該第2の腕部1003の回転角度に同期して、それぞれ所定角度へ相対的に回転する。これにより、第1のアーム1000は、第1の駆動軸310Aの回転方向に応じて、水平方向に伸縮することが可能となる。
【0084】
第1のアーム1000は以上のように構成される。第2のアーム2000も同様に、複数の腕部で構成されており、第1の腕部2001、第2の腕部2002,2003、第3の腕部2004,2005およびハンド部2006を有する。これらの構成は、上述の第1のアーム1000と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0085】
本実施形態においても上述の第1または第2の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、図17に示すように、第1及び第2のアーム1000,2000が同一平面内において相互に隣接したときの占有範囲を、Z軸方向から見て180度より小さい角度範囲に収められる。これにより、同一平面内における第1及び第2のアーム10,20の動作範囲を180度以上確保することが可能となる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0087】
例えば以上の実施形態では、アーム10、20を昇降させるための昇降駆動源(駆動モータ54、94)がそれぞれ昇降軸52、92の下端に直結された構成を説明した。これに代えて、昇降駆動源を昇降軸から離れた位置に設置し、ベルトやギヤ等の動力伝達機構を用いて昇降軸を駆動してもよい。
【0088】
また、上述の第2の実施形態において、第1の昇降軸52と第2の昇降軸92とはそれぞれ同軸上に配置されてもよい。これにより、第2の昇降軸92についても偏荷重による影響を抑えて、昇降位置精度の向上を図ることができる。
【0089】
また、以上の各実施形態では、第1及び第2のアーム10、20としてテレスコピック方式の搬送アームで構成したが、これに限られず、平行リンク機構を用いたフログレグ方式、SCARA方式等のアーム構造が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1、2、3…搬送装置
10、20…アーム
30、81、82…駆動部
31、32…駆動機構
41、45…支持体
50…制御ユニット
51、91…昇降機構
52、92…昇降軸
53、93…ナット部材
54、94…駆動モータ
100…搬送アーム
101、201…第1の腕部
102、202…第2の腕部
103、203…第3の腕部
310A、320A…駆動軸
310B、320B…旋回軸
311A、311B、321A、321B…回転モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸まわりへの旋回動作と前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向への伸縮動作とが可能な第1のアームを有する第1の搬送ユニットと、
前記第1の軸まわりへの旋回動作と前記第2の軸と平行な面内での伸縮動作とが可能な第2のアームを有する第2の搬送ユニットと、
前記第1の軸と同軸上に配置され前記第1の搬送ユニットに結合された第1の昇降軸と、前記第1の昇降軸を駆動することで前記第1の搬送ユニットを前記第1の軸方向へ昇降させる第1の昇降駆動源とを有する第1の昇降機構と
を具備する搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第1の搬送ユニットは、
前記第1のアームを旋回させるための第1の旋回軸と、
前記第1の旋回軸と同軸上に配置され前記第1のアームを伸縮させるための第1の駆動軸と、
前記第1の旋回軸及び前記第1の駆動軸を各々軸まわりに回転させることが可能な第1の回転駆動源と、
前記第1の回転駆動源を支持し、前記第1の昇降軸と結合される第1の支持体とを含む
搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第1の昇降軸は、前記第1の支持体と螺合するネジ軸であり、
前記第1の昇降駆動源は、前記ネジ軸を回転させるモータであり、
前記第1の駆動軸は、前記第1の昇降軸を収容可能な中空部を有する
搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送装置であって、
前記第1の軸と平行な第3の軸上に配置され前記第2の搬送ユニットに結合された第2の昇降軸と、前記第2の昇降軸を駆動することで前記第2の搬送ユニットを前記第1の軸方向へ昇降させる第2の昇降駆動源とを有する第2の昇降機構をさらに具備する
搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送装置であって、
前記第2の搬送ユニットは、
前記第2のアームを旋回させるための第2の旋回軸と、
前記第2の旋回軸と同軸上に配置され前記第2のアームを伸縮させるための第2の駆動軸と、
前記第2の旋回軸及び前記第2の駆動軸を各々軸まわりに回転させることが可能な第2の回転駆動源と、
前記第2の回転駆動源を支持し、前記第2の昇降軸と結合される第2の支持体とを含む
搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送装置であって、
前記第2の昇降軸は、前記第2の支持体と螺合するネジ軸であり、
前記第2の昇降駆動源は、前記ネジ軸を回転させるモータである
搬送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第1の軸と同軸上に配置され前記第2の搬送ユニットに結合された第2の昇降軸と、前記第2の昇降軸を駆動することで前記第2の搬送ユニットを前記第1の軸方向へ昇降させる第2の昇降駆動源とを有する第2の昇降機構をさらに具備する
搬送装置。
【請求項8】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第1のアームは、
前記第1の旋回軸と連結された第1の腕部と、
前記第1の腕部に対して前記第2の方向にスライド可能な第2の腕部と、
前記第1の駆動軸に連結され、前記第1の駆動軸の回転を前記第1の腕部に対する前記第2の腕部のスライド動作に変換する第1の変換機構とを有する
搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の搬送装置であって、
前記第2の搬送ユニットは、前記第2のアームを旋回させるための第2の旋回軸と、前記第2の旋回軸と同軸上に配置され前記第2のアームを伸縮させるための第2の駆動軸と、前記第2の旋回軸及び前記第2の駆動軸を各々軸まわりに回転させることが可能な第2の回転駆動源とを有し、
前記第2のアームは、前記第2の旋回軸と連結された第3の腕部と、前記第3の腕部に対して前記第2の方向にスライド可能な第4の腕部と、前記第2の駆動軸に連結され、前記第2の駆動軸の回転を前記第3の腕部に対する前記第4の腕部のスライド動作に変換する第2の変換機構とを有する
搬送装置。
【請求項10】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第1のアームと前記第2のアームとのなす角に基づいて、前記第1の昇降駆動源を制御する制御ユニットをさらに具備する
搬送装置。
【請求項11】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第1のアームは、
前記第1の軸と直交し相互に異なる2方向に延びる一対のアーム体を有する、前記第1の旋回軸と連結された第1の腕部と、
前記一対のアーム体各々の端部に設けられ、前記第1の駆動軸の駆動により相互に逆方向に回転可能な一対の回転伝達部と、
前記一対の回転伝達部に各々連結され、前記第1の軸方向に所定の間隔をあけて重なり合うように交差する一対の第2の腕部と、
前記一対の第2の腕部に連結されたリスト部と、
前記一対の第2の腕部のうち一方の腕部に設けられ、前記第2の腕部の各々が同一直線上に位置する死点状態を脱するための死点脱出機構とを有し、
前記死点脱出機構は、前記第2の腕部が前記死点状態にあるときに前記回転伝達部の回転力を前記リスト部へ伝達するギヤ機構部を含む
搬送装置。
【請求項12】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第1および第2の搬送ユニットは、前記第1の軸と直交する同一の平面内において相互に隣接したときに、それらの占有範囲が前記第1の軸方向から見て180度より小さい角度範囲に収められる
搬送装置。
【請求項13】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第1および第2の搬送ユニットは、前記第1の軸と直交する同一の平面内において相互に隣接したときに、それらの占有範囲が前記第1の軸方向から見て90度より小さい角度範囲に収められる
搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−199121(P2011−199121A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66085(P2010−66085)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】