説明

搬送車システム

【課題】搬送車が横行走行によってステーションに接近する場合の走行精度を高める。
【解決手段】搬送車システム1は、ステーション3と、走行部20と、被検出部49と、第1〜第3距離センサ41、43および45と、走行制御部63とを備えている。ステーション3は、無軌道の第1走行路5に対してX方向に交差するY方向に離れて配置されている。走行部20は、縦行走行と横行走行が可能であり、第1走行路5を縦行走行する。被検出部49は、ステーション3に設けられている。第1〜第3距離センサ41、43および45は、走行部20に設けられ、被検出部49を検出する。走行制御部63は、第1〜第3距離センサ41、43および45からの検出結果に基づいて、走行部20を横行走行でステーション3に接近させながら走行部20の位置および姿勢を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システムに関し、特に、無軌道式の搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送車システムは、工場や倉庫の床面を自律走行する搬送車を用いて、ステーション間で物品を搬送する。搬送車システムには、軌道式台車を用いたシステムと、無軌道式台車を用いたシステムとがある。無軌道式台車とは、軌道を用いず、誘導制御により目標を走行する搬送車である。無軌道式搬送車システムは、ガイド式誘導制御またはガイドレス式誘導制御を採用している。ガイド式誘導制御では、連続または断続した誘導体を地面に設置しており、誘導体に沿って搬送車を誘導する制御である。ガイドレス式誘導制御は、車載センサなどで自車位置を計測しており、目的走行路に搬送車を誘導する制御である。
【0003】
搬送車には、駆動輪と従動輪が設けられている。駆動輪には、走行モータが連結されている。駆動輪および走行モータは、ステアリング機構によって回動自在になっている。ステアリング機構は、操舵モータを有している。
【0004】
搬送車には、スカラーアームやフォークといった移載装置が設けられており、移載装置が物品をステーションとの間で受け渡しを行う。物品をステーションとの間で正確に受け渡しするには、無人搬送車の移載装置の位置をステーションに対して正確に位置決めする必要がある。そこで、ステーションに設けられた基準に対して移載装置の位置を補正することが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−194418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送車は、例えば、ステーションから搬送車の横方向に離れた位置にある経路を走行することがある。そのような搬送車ステーションに停止するためには、最初に、搬送車は、ガイド(例えば、磁気テープ)に従ってステーションに対応する位置に停止して、次に、縦行走行状態から横行走行状態に切り替えられる。具体的には、駆動輪が前後方向から横方向に向きを変えられる。その後、搬送車は、横行走行してステーションに接近していく。最後に、搬送車は、ステーション近傍に停止して、その状態で移載装置が物品の移載を行う。
しかし、一般に横行走行状態での搬送車の走行精度は高くない。以上の結果、搬送車がステーション近傍まで接近して停止したときに、移載装置の移載動作が困難な状況が生じることがある。そこで、従来は搬送車はステーションから走行方向にずれた位置で横行走行してから、その後に縦行走行することでステーションに対して正確に位置決めを行っていた。その場合は走行時間が余計にかかるという問題がある。
本発明の課題は、搬送車が横行走行によってステーションに接近する場合の走行精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合わせることができる。
【0008】
本発明の一見地に係る搬送車システムは、ステーションと、走行車と、被検出部と、検出器と、制御部とを備えている。ステーションは、無軌道の経路に対して経路延長方向に交差する方向に離れて配置されている。走行車は、縦行走行と横行走行が可能であり、経路を縦行走行する。被検出部は、ステーションに設けられている。検出器は、走行車に設けられ、被検出部を検出する。制御部は、検出器からの検出結果に基づいて、走行車が横行走行でステーションに接近させながら走行車の位置および姿勢を制御する。
このシステムでは、制御部が、検出器からの検出結果に基づいて、横行走行でステーションに接近させながら走行車の位置および姿勢を制御する。したがって、走行車の走行精度が向上する。
なお、ステーションとは、搬送車がその近傍に停止する場所をいう。
【0009】
搬送車システムは、移載装置と、移動機構とをさらに備えてもよい。移載装置は、走行車に設けられている。移動機構は、移載装置を走行車上に移動可能に支持している。移動機構は、走行車が横行走行によってステーションの近傍に停止した後に、検出器からの検出結果に基づいて、移載装置を走行車に対して移動させる。
このシステムでは、走行車がステーションの近傍に停止した後に移動機構が移載装置を走行車に対して移動させることで位置決めする。この場合は既に走行車のステーションに対する位置決めが精度良く行われているので、移動機構による移載装置の位置決めも少ない負荷で精度良く実行できる。
【0010】
検出器は、互いに所定間隔を空けて配置された3個の距離計を有していてもよい。被検出部は、3個の距離計にそれぞれ対応した2個の平面と傾斜面と有している。制御部は、3個の距離計で計測した各距離に基づいて、走行車を制御する。
【0011】
搬送車システムは、移載装置と、移動機構とをさらに備えてもよい。移載装置は、走行車に設けられている。移動機構は、移載装置を走行車上に移動可能に支持している。移動機構は、走行車が横行走行によってステーションの近傍に停止した後に、3個の距離計で計測した各距離に基づいて、移載装置を移動させる。
【0012】
制御部は、走行車の横行走行制御中に、経路が延びる第1方向における位置、第1方向に直交する第2方向における走行車の位置、走行車の第2方向に対する傾き角度を補正してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るシステムでは、検出器からの検出結果に基づいて、走行車を横行走行でステーションに接近させながら走行車の位置および姿勢を制御するので、走行車の走行精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】搬送車システムのステーション、経路、搬送車を示す模式的平面図。
【図2】搬送車が経路上においてステーションに対応した位置に停止した状態を示す模式的平面図。
【図3】搬送車を横行走行させながらステーションに接近させる状態を示す模式的平面図。
【図4】搬送車がステーション前に停止した状態を示す模式的平面図。
【図5】搬送車の制御構成を示す模式的ブロック図。
【図6】搬送車が横行走行しながらステーションに接近動作の制御フローチャート。
【図7】移載動作の制御フローチャート。
【図8】搬送車の横行走行時の補正動作原理を示す模式的平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)搬送車システム全体
図1を用いて、搬送車システム1について説明する。図1は、搬送車システムのステーション、経路、搬送車を示す模式的平面図である。
【0016】
搬送車システム1は、例えば、工場内の物品搬送システムである。搬送車システム1は、複数の設備のステーション3(搬送車が停止する場所であって、本実施形態では物品Wの移載が行われる場所)間を結ぶ第1走行路4および第2走行路5に沿って、搬送車7を走行させるシステムである。図1において、第1走行路4および第2走行路5は平行に延びており、第1走行路4の第2走行路5と反対側にステーション3が配置されている。したがって、第2走行路5はステーション3に対して所定距離(本実施形態では第1走行路4の幅)だけ離れている。搬送車7は、第1走行路4または第2走行路5を移動して所定のステーション3の前の停止位置に停止し、ステーション3との間で物品Wの移載を行う。
以下の説明では、図において第1走行路4および第2走行路5が延びる方向をX方向として、X方向に垂直な方向をY方向とする。
【0017】
第1走行路4および第2走行路5には、X方向に沿って、複数の第1磁気スポット11が所定間隔で配置されている。さらに、ステーション3の第1走行路4および第2走行路5側には、第2磁気スポット13が配置されている。第1磁気スポット11および第2磁気スポット13の数及び位置は特に限定されない。
【0018】
(2)搬送車
図2を用いて、搬送車7を説明する。図2は、搬送車が経路上においてステーションに対応した位置に停止した状態を示す模式的平面図である。
【0019】
搬送車7は、主に、本体15と、走行機構17と、移載機構19とを備えている。本体15と走行機構17が、走行部20として機能している。
本体15は、ほぼ矩形箱状を有している。ただし、本体15は、平面視において正方形ではなく、X方向長さがY方向長さより長い長方形である。本体15は、X方向において、走行方向前側から順番に、前部15a、中間部15b、および後部15cを有している。
走行機構17は、本体15を走行させる機構である。走行機構17は、駆動輪21と、従動輪23と、走行モータ25と、操舵モータ27とを有している。駆動輪21は、2個であり、本体15の底部の対角位置に設けられている。従動輪23は、2個であり、駆動輪21と対称の位置に設けられている。駆動輪21は、走行モータ25(図5)に減速機構(図示せず)を介して連結されており、走行モータ25によって速度制御可能に駆動されるようになっている。駆動輪21の回転数を検出するために、ロータリエンコーダ71(図5)が設けられている。また、走行モータ25、減速機構(図示せず)、および駆動輪21はユニット化されており、操舵モータ27(図5)によって本体15に対して鉛直軸を中心として個別に回動されるようになっている。また、ステアリング角を検出するために、ステアリングセンサ73(図5)が設けられている。以上に述べた走行機構17によって、搬送車7は、X方向への縦行走行およびYへの横行方向が可能となっている。
【0020】
本体15の底部において前部15aおよび後部15cのY方向中央部には、一対の第1前後進ガイドセンサ29が設けられている。第1前後進ガイド29は、第1磁気スポット11を検出するための磁気センサである。本体15の底部において中間部15bのX方向中央部には、一対の第2前後進ガイドセンサ31が設けられている。第2前後進ガイドセンサ31は、第2磁気スポット13を検出するための磁気センサである。
【0021】
移載機構19は、本体15の中間部15b上に設けられている。移載機構19は、物品Wを移載するための機構であり、スカラーアーム35と、旋回テーブル37とを有している。スカラーアーム35は、旋回テーブル37上に配置され、旋回テーブル37とともに本体15に対して回転可能である。スカラーアーム35は、アーム、リフター、フォークを有しており、物品Wをステーション3との間で受け渡しすることができる。
【0022】
旋回テーブル37のステーション3側を向いた側面には、第1距離センサ41、第2距離センサ43、第3距離センサ45が図においてX方向に並んで設けられている。第1距離センサ41および第3距離センサ45は、例えば旋回テーブル37の一側面の両端付近に設けられ、第2距離センサ43は第1距離センサ41および第3距離センサ45の間に設けられている。第1〜第3距離センサ41、43および45は、レーザ光の発光部と受光部とを有している。距離センサとしては、超音波を用いたものでもよい。
【0023】
(3)ステーション
ステーション3は、物品Wが載置可能な装置である。
ステーション3の前縁47(第1走行路5側を向いた縁)は、X方向に平行になっている。前縁47のX方向中心には、被検出部49が設けられている。被検出部49は、第1〜第3距離センサ41、43および45によって検出されるための部分である。被検出部49は、X方向に図左側から並んだ、第1被検出部51、第2被検出部53、第3被検出部55を有している。第1被検出部51は、X方向に平行な平面からなり、第1距離センサ41に対応している。第2被検出部53は、前縁47に設けられたブロックであり、第1走行路5側の面がX方向傾斜している傾斜面となっている。第2被検出部53は、第2距離センサ43に対応している。第3被検出部55は、X方向に平行な平面からなり、第3距離センサ45に対応している。
【0024】
(4)制御構成
図5を用いて、搬送車7の制御構成について説明する。図5は、搬送車の制御構成を示す模式的ブロック図である。
制御部61は、搬送車制御用ソフトウェアを実行するためのコンピュータハードウェアであって、例えば、CPU、RAM、ROMから構成されている。図4では、ソフトウェアとハードウェアの協働で実現される各種機能をブロックに分けて表現している。具体的には、制御部61は、走行制御部63と、移載制御部65とを有している。走行制御部63は、搬送車7の走行機構17を制御する機能を実現している。より具体的には、走行制御部63は、搬送車7の速度制御およびステアリング制御を行う。移載制御部65は、搬送車7の移載機構19を制御する機能を実現している。
制御部61は、図示していないが、上位のコントローラとの送受信手段を有しており、それによりコントローラから搬送指令を受信するとともに、コントローラに対して搬送結果および現在位置を報告する。
【0025】
走行制御部63には、走行モータ25と操舵モータ27が接続されている。走行制御部63は、モータ駆動信号を走行モータ25と操舵モータ27に送信して、駆動輪21を駆動させることができる。
【0026】
走行制御部63には、ロータリエンコーダ71およびステアリングセンサ73が接続されている。走行制御部63には、ロータリエンコーダ71から駆動輪21の回転数情報が送信され、ステアリングセンサ73からステアリングユニットのステアリング角情報が送信される。
【0027】
走行制御部63には、第1距離センサ41、第2距離センサ43、第3距離センサ45が接続されている。走行制御部63は、第1距離センサ41、第2距離センサ43および第3距離センサ45にレーザ駆動信号を送信し、これらセンサの発光部からレーザを発射させる。さらに、走行制御部63は、第1距離センサ41、第2距離センサ43、第3距離センサ45の受光部からの検出信号を受信する。これにより、走行制御部63は、レーザ光を発射してから反射光を受信するまでの時間に基づいて、センサと被反射物との距離を算出する。
【0028】
(5)制御動作
図6および図7を用いて、搬送車7のステーションへの接近および移載動作を説明する。図6は、走行車を横行走行させながらステーションに接近させる動作の制御フローチャートである。図7は、移載動作の制御フローチャートである。
【0029】
制御部61、具体的には、走行制御部63および移載制御部65による制御動作として説明する。以下の説明では、第1距離センサ41から第1被検出部51までの距離をL1、第2距離センサ43から第2被検出部53までの距離をL2、第3距離センサ45から第3被検出部55までの距離をL3とする。走行制御部63は、搬送車7の横行走行制御中に、搬送車7のX方向の位置、搬送車7のY方向の位置、搬送車7のY方向に対する傾き角度θを補正する。
【0030】
搬送車7は、図1に示すように、第1走行路5を走行しながらステーション3に向かって接近している。搬送車7には、図示しない上位のコントローラからステーション3との間で物品Wを受け渡しするように指令が送られている。なお、指令によって、移載機構19がステーション3との間で受け渡し動作を行うときの距離L1およびL3の値が、走行制御部63に記憶されている。
図6のステップS1では、すでに所定の第1磁気スポット11が検出されて減速走行になった状態の後であり、走行制御部63は停止位置に到達するのを待つ。
【0031】
ステップS2では、走行制御部63は、走行モータ25に停止信号を送信することで、搬送車7の縦行走行を停止させる。この時の状態が図2に示されている。
【0032】
ステップS3では、走行制御部63は、操舵モータ27に駆動信号を送信することで、駆動輪21をY方向に向けさせる。
【0033】
ステップS4では、走行制御部63は、走行モータ25に走行信号を送信することで、搬送車7の横行走行を開始させる。搬送車7が第1走行路5から離れてステーション3側に接近を開始した状態を図3に示す。
【0034】
ステップS5では、走行制御部63は、第2前後進ガイドセンサ31が第2磁気スポット13を検出するのを待つ。
【0035】
ステップS6では、走行制御部63は、駆動信号を走行モータ25に送信することで、搬送車7をクリープ走行させる。
【0036】
ステップS7では、走行制御部63は、所定時間が経過するのを待つ。所定時間は、例えば、100mm秒程度である。
【0037】
ステップS8では、走行制御部63は、第1距離センサ41、第2距離センサ43および第3距離センサ45を駆動して、距離を測定するとともに、搬送車7の位置および姿勢を補正する。以下に、図8を用いて、補正動作を詳細に説明する。図8は、搬送車の横行走行時の補正動作原理を示す模式的平面図である。なお、図8において、物品Wを表す点線は搬送車7の位置補正を行わずに搬送車7からステーション3に物品Wが移載された場合の状態を示しており、物品Wを表す実線は補正後に搬送車7からステーション3に物品Wが移載された場合状態を示している。
【0038】
図8の(a)に示すように走行制御部63は、第1距離センサ41および第3距離センサ45によって前縁47(第1被検出部51および第3被検出部55)までの距離L1およびL3を求めると、旋回テーブル37のステーション3側面が前縁47に平行な場合、距離L1とL3とは等しくなる。仮に距離L1と距離L3が異なる場合、操舵モータ27に駆動信号を送信することで、搬送車7を角度θ回転させて、距離L1と距離L3とが等しくなるようにする。このように距離L1とL3とを等しくさせることで、旋回テーブル37は前縁47に平行となる。
上記のように距離L1と距離L3が等しくなった状態で、図8の(c)に示すように、これらの値からY方向の距離を求めることができる。
走行制御部63は、第2距離センサ43から第2被検出部53までの距離L2を用いて、X方向の位置を求める。図8の(b)の場合、第2距離センサ43がX方向左側に移動すればするほど、距離L2は減少する。そして旋回テーブル37から前縁47までのY方向の距離は既に判明しているので、第2距離センサ43から第2被検出部53までの距離L2が分かれば、指令におけるX方向位置からのずれΔXを求めることができる。この結果、走行制御部63は、走行モータ25および操舵モータ27に駆動信号を送信することで、搬送車7のX方向の位置を補正する。
以上のように、走行制御部63は、搬送車7の傾きおよびX方向のずれを補正しつつ、Y方向の位置を取得する。
【0039】
ステップS9では、走行制御部63は、L1およびL3が所定の値以下になったか否かを判断する。Y0以下になっていれば、プロセスはステップS9に移行する。所定の値以上であれば、プロセスはステップS5に戻る。
【0040】
ステップS10では、走行制御部63は、走行モータ25に停止信号を送信することで、搬送車7を停止させる。
【0041】
ステップS11では、移載動作が行われる。以下、図7を用いて、移載動作を詳細に説明する。
【0042】
図7のステップS21では、移載制御部65は、第1距離センサ41および第3距離センサ45によって前縁47(第1被検出部51および第3被検出部55)までの距離L1およびL3を求めて、旋回テーブル37のステーション3側面が前縁47に平行か否かを判断する。移載制御部65が補正を必要であると判断すれば、プロセスはステップS22に移行する。移載制御部65が補正を不要であると判断すれば、プロセスはステップS22をスキップしてステップS23に移行する。
【0043】
ステップS22では、移載制御部65は、旋回テーブル37に駆動信号を送信することで、旋回テーブル37を回転させる。旋回テーブル37が所定角度まで回転すると、距離L1と距離L3とが等しくなり、旋回テーブル37は前縁47に平行となる。これにより、スカラーアーム35の位置が補正される。
ステップS23では、移載制御部65は、スカラーアーム35に駆動信号を送信しすることで、スカラーアーム35によって物品Wを移載する。例えば、スカラーアーム35は、ステーション3にある物品Wを搬送車7に移載する。または、スカラーアーム35は、搬送車7にある物品Wをステーション3に移載する。
【0044】
以上に述べた制御動作の結果、第1距離センサ41、第2距離センサ43および第3距離センサ45を用いることで、搬送車7が横行走行によってステーション3に接近する際の走行精度を向上させている。したがって、搬送車7がステーション3の近傍に停止したときの位置精度も高くなっている。言い換えると、搬送車7がステーション3に対して不正確な位置や姿勢(向き)で停止することが生じにくくなっている。
【0045】
(6)特徴
前記実施形態は、以下のよう表現することができる。
搬送車システム1は、ステーション3と、走行部20と、被検出部49と、第1〜第3距離センサ41、43および45と、走行制御部63とを備えている。ステーション3は、無軌道の第1走行路5に対してX方向に交差するY方向に離れて配置されている。走行部20は、縦行走行と横行走行が可能であり、第1走行路5を縦行走行で走行する。被検出部49は、ステーション3に設けられている。第1〜第3距離センサ41、43および45は、走行部20に設けられ、被検出部49を検出する。走行制御部63は、第1〜第3距離センサ41、43および45からの検出結果に基づいて、走行部20が横行走行でステーション3に接近させながら走行部20の位置および姿勢(向き)を制御する。
この搬送車システム1では、走行制御部63が、第1〜第3距離センサ41、43および45からの検出結果に基づいて、横行走行でステーション3に接近させながら走行部20の位置および姿勢を制御する。したがって、走行部20の走行精度が向上する。
【0046】
搬送車システム1は、スカラーアーム35と、旋回テーブル37とをさらに備えている。スカラーアーム35は、走行部20に設けられている。旋回テーブル37は、スカラーアーム35を走行部20上に移動可能に支持しており、第1〜第3距離センサ41、43および45が共に移動するように設けられている。旋回テーブル37は、走行部20が横行走行によってステーション3の近傍に停止した後に、第1〜第3距離センサ41、43および45からの検出結果に基づいて、スカラーアーム35を走行部20に対して移動させる。
この搬送車システム1では、走行部20がステーション3の近傍に停止した後に旋回テーブル37がスカラーアーム35を走行部20に対して移動させることで位置決めする。この場合は既に搬送車7のステーション3に対する位置決めが精度良く行われているので、旋回テーブル37によるスカラーアーム35の位置決めも少ない負荷で精度良く実行できる。その結果、移載精度が向上する。
【0047】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0048】
前記実施形態では、搬送車は断続的な誘導体によってガイドされて搬送されていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。誘導体は、連続的に設けられた磁気テープであってもよい。
【0049】
前記実施形態では、搬送車は磁気スポットによって磁気誘導されていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。ガイド方式は、電磁誘導式または光学誘導式であってもよい。光学誘導式では、走行経路に沿って多数の反射板を配置し、無人搬送車のレーザースキャナで反射板を認識して、現在位置を算出するレーザ誘導方式が知られている。
【0050】
前記実施形態では、搬送車は誘導体によってガイドされていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、自立走行式の搬送車にも本発明を適用可能である。その場合、搬送車は、車載距離センサ、GPS、ジャイロ、または視覚認識装置を用いて自車の位置を決定して、車載コンピュータ内に記憶されたレイアウトマップを利用して目標経路を走行する。
【0051】
前記実施形態では、搬送車が横行走行によってステーションに接近する際に搬送車の位置および姿勢を判定するために距離センサを用いたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、カメラによってステーション側の被検出部を検出して、それに基づいて走行制御されてもよい。
【0052】
前記実施形態では、傾斜面からなる第2被検出部は第1被検出部および第3被検出部の間に配置されていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。第2被検出部は第1被検出部または第3被検出部のX方向外側に配置されていてもよい。
【0053】
前記実施形態では、搬送車が横行走行する際の搬送車のX方向の位置決めを第2被検出部および第2距離センサを用いて行っていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、ステーションに設けたマーカをCCDカメラで読み取ることで、搬送車が横行走行する際の搬送車のX方向の位置補正を行ってもよい。さらには、搬送車が横行走行する際には、搬送車のX方向の位置補正を行わなくてもよい。
【0054】
前記実施形態では、必要に応じて移載装置補正を行っていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。移載装置補正を必ず行うようにしてもよいし、全く行わないようにしてもよい。
【0055】
前記実施形態では、スカラーアームの位置を補正するための機構として旋回テーブルを用いたが、本発明はそれに限定されない。例えば、旋回テーブルとX−Yステージを用いてスカラーアームを移動させてもよい。
【0056】
前記実施形態では、搬送車の横行走行のガイドとして第2磁気スポットを設けていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。磁気テープを用いてもよいし、さらには、電磁誘導式または光学誘導式であってもよい。さらに、搬送車の横行走行にはガイドを用いなくてもよい。
【0057】
前記実施形態では距離センサは旋回テーブルに設けられていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。距離センサは搬送車の本体に設けられていてもよい。
【0058】
前記実施形態では搬送車に搭載された移載装置はスカラーアームであったが、本発明はそのような実施形態に限定されない。スライドフォーク、各種コンベアを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、無軌道式の搬送車システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送車システム
3 ステーション
5 走行路
7 搬送車
11 第1磁気スポット
13 第2磁気スポット
15 本体
17 走行機構
19 移載機構
20 走行部(走行車)
21 駆動輪
23 従動輪
25 走行モータ
27 操舵モータ
29 第1前後進ガイドセンサ
31 第2前後進ガイドセンサ
33 マーカセンサ
35 スカラーアーム(移載装置)
37 旋回テーブル(移動機構)
41 第1距離センサ(検出器、距離計)
43 第2距離センサ(検出器、距離計)
45 第3距離センサ(検出器、距離計)
47 前縁
49 被検出部
51 第1被検出部(平面)
53 第2被検出部(傾斜面)
55 第3被検出部(平面)
61 制御部
63 走行制御部
65 移載制御部
71 ロータリエンコーダ
73 ステアリングセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無軌道の経路に対して経路延長方向に交差する方向に離れて配置されたステーションと、
縦行走行と横行走行が可能であり、前記経路を縦行走行で走行する走行車と、
前記ステーションに設けられた被検出部と、
前記走行車に設けられ、前記被検出部を検出するための検出器と、
前記検出器からの検出結果に基づいて、前記走行車を横行走行で前記ステーションに接近させながら前記走行車の位置および姿勢を制御する制御部と、
を備えた搬送車システム。
【請求項2】
前記走行車に設けられた移載装置と、
前記移載装置を前記走行車上に移動可能に支持している移動機構とをさらに備え、
前記移動機構は、前記走行車が横行走行によって前記ステーションの近傍に停止した後に、前記検出器からの検出結果に基づいて、前記移載装置を前記走行車に対して移動させる、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記検出器は、互いに所定間隔を空けて配置された3個の距離計を有しており、
前記被検出部は、前記3個の距離計にそれぞれ対応した2個の平面と傾斜面と有しており、
前記制御部は、前記3個の距離計で計測した各距離に基づいて、前記走行車を制御する、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項4】
前記走行車に設けられた移載装置と、
前記移載装置を前記走行車上に移動可能に支持している移動機構とをさらに備え、
前記移動機構は、前記走行車が横行走行によって前記ステーションの近傍に停止した後に、前記3個の距離計で計測した各距離に基づいて、前記移載装置を移動させる、請求項3に記載の搬送車システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記走行車の横行走行制御中に、前記経路が延びる第1方向における位置、前記第1方向に直交する第2方向における前記走行車の位置、前記走行車の前記第2方向に対する傾き角度を補正する、請求項3また4に記載の搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−243129(P2011−243129A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116903(P2010−116903)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】