説明

搬送車システム

【課題】左右の車輪を独立して駆動可能な搬送車において、曲線部走行時にモータの過負荷を防止する。
【解決手段】搬送車システムにおいて、速度パターン発生部62は、搬送車が曲線部を走行するときに2個の走行車輪に対して基準速度に対して内外輪にそれぞれ速度差が生じるように、速度指令を発生して2個のモータ26,29に与える。速度パターン発生部62は、搬送車が加速中に曲線部に進入することを光電センサ47が検出すれば、第1速度比率変化区間において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の加速度a01以下の加速度となるような速度指令を生成して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような速度指令を生成して与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システムに関し、特に、左右の車輪を独立して駆動可能な搬送車が用いられた搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型化したガラス基板やそれが複数枚収納されたカセットを搬送するための搬送車が知られている。搬送車は、工場のクリーンルーム内を自動走行して、処理装置間で物品を搬送する。搬送車が走行する軌道は、例えば、天井から吊り下げられたレールであり、この場合にレール及び搬送車が走行する空間はクリーンルームになっている。
搬送車は、左右両側に車輪を有しており、一方の車輪にモータが接続されて駆動輪になっており、他方の車輪が従動輪になっている。搬送車は、さらに、左右のガイドレールにガイドされるためのガイドローラを有している。
また、左右の車輪に別個のモータを接続して、搬送車がカーブを走行する際には、左右の車輪に適切な速度差が生じさせるようにした二輪差速度制御を行う搬送車システムも知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−52323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の搬送車では、左右2輪駆動の搬送車構造において、カーブ走行時に外輪と内輪に異なる速度にするために、それぞれ独立した速度指令が各モータに与えられている。各速度指令は、中心速度に対して、予め用意された左右速度差変換テーブル(中心速度に対する内輪と外輪の速度比率)を乗算することで生成される。
各モータには、機械特性的に許容できる加速度が定まっている。しかし、曲線部走行時に加速する場合に直線走行時の加速度(例えば、最大加速度)が生じるように速度指令を生成すると、外輪側のモータの加減速度が上限値を超えてしまうことになる。つまり、外輪側のモータが過負荷になってしまい、場合によってはサーボアンプの許容負荷を超えてモータが異常状態になることも考えられる。
【0005】
本発明の課題は、左右の車輪を独立して駆動可能な搬送車において、曲線部走行時にモータの過負荷を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る搬送車システムは、予め定められた経路を走行する搬送車と、搬送車の走行を制御する制御部とを備えている。搬送車は、車体と、車体の左右に設けられた2個の走行車輪と、2個の走行車輪にそれぞれ接続された2個のモータと、を有している。制御部は、速度指令発生部と、検出部と、を有している。速度指令発生部は、搬送車が曲線部を走行するときに基準速度に対して内外輪にそれぞれ速度差が生じるように、曲線部の中間にある内外輪速度比率一定区間と曲線部の両端にある内外輪速度比率変化区間とにおいて速度指令を発生して2個のモータに与える。検出部は、搬送車が曲線部を走行していることを検出可能である。速度指令発生部は、搬送車が加速中に曲線部に進入することを検出部が検出すれば、内外輪速度比率変化区間において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の加速度以下の加速度となるような速度指令を生成して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような速度指令を生成して与える。つまり、内輪となる走行車輪に対応するモータに与えられる速度指令は、内輪となる走行車輪の速度が外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような値である。
この搬送車システムでは、搬送車が加速しながら曲線部に進入した場合に、外輪となるモータに高負荷がかからない。
【0008】
制御部は、加速中に曲線部への進入を検出部が検出すれば、外輪となる走行車輪に対応するモータが現加速度を維持すれば内外輪速度比率変化区間内で最大速度に到達するか否かを判断する判断部をさらに有していてもよい。最大速度に達しないと判断部が判断すれば、速度指令発生部は、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して現加速度を維持するような速度指令を生成して与える。
この搬送車システムでは、速度指令発生部において計算負荷が高くならない。
【0009】
速度指令発生部は、上記の場合に最大速度に達すると判断されれば、内外輪速度比率変化区間の終了点以降で外輪となる走行車輪が最大速度になるような速度指令を生成して、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して速度指令を与えてもよい。
この搬送車システムでは、外輪となる走行車輪に対応するモータが現加速度を維持すれば内外輪速度比率変化区間内で最大速度に到達してしまう場合でも、外輪が最大速度を超えることが防止される。
【0010】
速度指令発生部は、搬送車が減速中に曲線部から退出することを検出部が検出すれば、内外輪速度比率変化区間において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して退出時の減速度以下の減速度となるような速度指令を生成して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような速度指令を生成して与えてもよい。つまり、内輪となる走行車輪に対応するモータに与えられる速度指令は、内輪となる走行車輪の速度が外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような値である。
この搬送車システムでは、搬送車が減速しながら曲線部から退出した場合に、外輪となる走行車輪に対応するモータに高負荷がかからない。
【0011】
速度指令発生部は、搬送車が減速中に曲線部に進入することを検出部が検出すれば、内外輪速度比率変化区間において、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の減速度以下の減速度となるような速度指令を生成して与え、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して内輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を増やした速度となるような速度指令を生成して与えてもよい。つまり、外輪となる走行車輪に対応するモータに与えられる速度指令は、外輪となる走行車輪の速度が内輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を増やした速度となるような値である。
この搬送車システムでは、搬送車が減速しながら曲線部から退出した場合に、内輪となる走行車輪に対応するモータに高負荷がかからない。
【0012】
速度指令発生部は、搬送車が加速中に曲線部から退出することを検出部が検出すれば、内外輪速度比率変化区間において、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して退出時の加速度以下の加速度となるような速度指令を生成して与え、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して内輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を増やした速度となるような速度指令を生成して与えてもよい。つまり、外輪となる走行車輪に対応するモータに与えられる速度指令は、外輪となる走行車輪の速度が内輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を増やした速度となるような値である。
この搬送車システムでは、搬送車が加速しながら曲線部から退出した場合に、内輪となる走行車輪に対応するモータに高負荷がかからない。
【0013】
搬送車システムは、経路に沿って設けられたガイドレールをさらに備えていてもよい。その場合、搬送車は、走行車輪の前側及び後側にそれぞれ設けられた前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対をさらに有している。制御部は、搬送車が曲線部を走行するときに前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対がガイドレールに接触しない走行軌跡情報を保持している。速度指令発生部は、走行軌跡情報に基づいて速度指令発生のための速度指令変換テーブルを作成する。
搬送車が曲線部を走行するときには、前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対がガイドレールに近接したガイド位置にある。一方、制御部は、搬送車が曲線部を走行するときに、理想的な走行軌跡情報に基づいて作成した速度指令変換テーブルを利用して速度指令を作成している。したがって、前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対は曲線部においてガイドレールに接触しにくい。従来であれば曲線部の入口と出口において搬送車の前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対がガイドレールに接触することを前提とした制御を行っていたので、両者の衝突や摩擦の問題が大きかった。それに対しては、この搬送車システムでは、曲線部の入口と出口において搬送車の前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対がガイド位置にあってもガイドレールに接触しないように積極的に制御をしている。したがって、ガイドローラがガイドレールに接触しにくい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る搬送車システムでは、左右の車輪を独立して駆動可能な搬送車において、曲線部走行時にモータの過負荷が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態が採用された搬送車システムの模式図。
【図2】搬送車システムの部分平面図。
【図3】搬送車システムの制御構成を示すブロック構成図。
【図4】搬送車の走行制御部を示すブロック構成図。
【図5】計算によって得られた理想的な走行軌跡を示す平面図。
【図6】図5の部分拡大図。
【図7】走行車輪の寸法関係を示す図。
【図8】曲線部におけるガイドレールとガイドローラの位置関係を模式的に示した図。
【図9】曲線部走行時の速度比率テーブル。
【図10】曲線部走行時の走行制御部の動作を示すフローチャート。
【図11】加速しながらカーブに進入する場合の各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフ。
【図12】加速しながらカーブに進入する場合で、2輪速度比率変化区間内で外輪が最大速度に達しないように速度指令を発生した場合に、各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフ。
【図13】加速しながらカーブに進入する場合で、2輪速度比率変化区間内で旋回軸中心が基準速度に達しないように速度指令を発生した場合に、各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフ
【図14】カーブ中から発進した場合の各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフ。
【図15】減速しながらカーブから退出する場合の各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)搬送車システム
図1を用いて、本発明の一実施形態が採用された搬送車システム1について説明する。図1は、本発明の一実施形態が採用された搬送車システムの模式図である。
【0017】
搬送車システム1は、軌道2と、軌道2上を走行する搬送車3と有している。この実施形態では、軌道2は天井から吊り下げられており、さらに、軌道2の周囲はクリーンルームになっている。
【0018】
軌道2は、走行レール4とガイドレール6を有している。走行レール4は、左右の第1走行レール4a及び第2走行レール4bから構成されている。第1走行レール4a及び第2走行レール4bは、平坦な走行面を有している。
【0019】
ガイドレール6は、第1ガイドレール6a及び第2ガイドレール6bを有している。第1ガイドレール6a及び第2ガイドレール6bは、第1走行レール4a及び第2走行レール4bの外側端にそれぞれ設けられている。第1ガイドレール6a及び第2ガイドレール6bは上方に延びている。
【0020】
また、第1走行レール4a及び第2走行レール4bに沿って、図示しない給電線が設けられている。
【0021】
図2を用いて、搬送車システム1のレイアウトを説明する。図2は、搬送車システムの部分平面図である。軌道2は、図2に示すように、第1直線部201と、第1直線部201の先にある分岐部206と、分岐部206から右側に曲がるカーブ又は曲線部203と、分岐部206からそのまま直線状に延びる第2直線部202とを有している。以下、搬送車3の曲線部走行の説明には、曲線部203を曲線部の一例として用いる。
【0022】
第1走行レール4aと第2走行レール4bは、第1直線部201から、分岐部206を通って、第2直線部202と曲線部203の両方に分かれて延びている。
【0023】
第1直線部201から第2直線部202に向かう部分の第1走行レール4aには、分岐部206において第1ガイドレール6aが設けられていない。さらに、第1直線部201から曲線部203に向かう部分の第2走行レール4bには、分岐部206において第2ガイドレール6bが設けられていない。
【0024】
(2)搬送車
搬送車3は、搬送車本体15と、駆動走行部18と、従動走行部19を有している。搬送車本体15の構造は従来と同じであるので説明を省略する。駆動走行部18及び従動走行部19は、搬送車本体15に対してそれぞれ回動自在に取り付けられるボギー台車である。図1には、駆動走行部18の旋回軸中心38が示されている。
【0025】
図1を用いて、駆動走行部18を説明する。駆動走行部18は、主に、本体フレーム20と、第1駆動輪ユニット21と、第2駆動輪ユニット22と、固定ガイドローラ機構(31,32)と、分岐ガイドローラ機構(33,34,35)とを有している。
【0026】
第1駆動輪ユニット21は、本体フレーム20の右側端部に装着されており、第1走行車輪25と、第1モータ26と、第1エンコーダ27とを有している。第1走行車輪25は、第1走行レール4aの走行面の上に載っている。第1モータ26は、第1走行車輪25に連結されている。第1エンコーダ27は、第1モータ26の回転を計測して、パルス信号を送信する。これにより、第1モータ26の回転速度や回転回数が得られる。
【0027】
第2駆動輪ユニット22は、本体フレーム20の左側端部に装着されており、第2走行車輪28と、第2モータ29と、第2エンコーダ30とを有している。第2走行車輪28は、第2走行レール4bの走行面の上に載っている。第2モータ29は第2走行車輪28に連結されている。第2エンコーダ30は、第2モータ29の回転を計測して、パルス信号を送信する。これにより、第2モータ29の回転速度や回転回数が得られる。
【0028】
固定ガイドローラ機構(31,32)は、一対の第1固定ガイドローラ31と、一対の第2固定ガイドローラ32とを有している。一対の第1固定ガイドローラ31は、本体フレーム20の右側端部に走行方向前後に離れて配置されている。より具体的には、第1固定ガイドローラ31は、第1走行車輪25の走行方向前後両側に離れて配置され、第1ガイドレール6aの内側に常に近接している。一対の第2固定ガイドローラ32は、本体フレーム20の左側端部に走行方向前後に離れて配置されている。より具体的には、第2固定ガイドローラ32は、第2走行車輪28の走行方向前後両側に離れて配置され、第2ガイドレール6bの内側に常に近接している。
【0029】
分岐ガイドローラ機構(33,34,35)は、分岐部206において分岐動作を行うための機構であり、一対の第1分岐ガイドローラ33と、第2分岐ガイドローラ34と、第1分岐ガイドローラ駆動部35(図3)とを有している。
第1分岐ガイドローラ33は、第1固定ガイドローラ31に対応して配置されており、両者によって前側ガイドローラ対81と後側ガイドローラ対83を構成している。第2分岐ガイドローラ34は、第2固定ガイドローラ32に対応して配置されており、両者によって前側ガイドローラ対85と後側ガイドローラ対87とを構成している。第1分岐ガイドローラ駆動部35(図3)は、第1分岐ガイドローラ33と、第2分岐ガイドローラ34の位置を変更するための機構である。
【0030】
以上の構造により、第1分岐ガイドローラ駆動部35(図3)によって、第1分岐ガイドローラ33及び第2分岐ガイドローラ34がガイド位置と非ガイド位置との間で移動する。ガイド位置では、第1分岐ガイドローラ33及び第2分岐ガイドローラ34は、第1ガイドレール6aの外側に近接する。非ガイド位置では、第1分岐ガイドローラ33及び第2分岐ガイドローラ34は、第1ガイドレール6aから上方に離れている。
【0031】
従動走行部19は、主に、本体フレーム23と、第1従動輪36と、第2従動輪37と、第2固定ガイドローラ機構(40,41)と、第2分岐ガイドローラ機構(42,43,44)とを有している。
第1従動輪36は、走行レール4の第1走行レール4aの上に載っている。第2従動輪37は、走行レール4の第2走行レール4bの上に載っている。
【0032】
第2固定ガイドローラ機構(40,41)は、一対の第3固定ガイドローラ40と、一対の第4固定ガイドローラ41とを有している。第3固定ガイドローラ40は、本体フレーム23の右側端部に走行方向前後に離れて配置されている。より具体的には、第3固定ガイドローラ40は、第1従動輪36の走行方向前後両側に離れて配置され、第1ガイドレール6aの内側に常に近接している。第4固定ガイドローラ41は、本体フレーム23の左側端部に走行方向前後に離れて配置されている。より具体的には、第4固定ガイドローラ41は、第2従動輪37の走行方向前後両側に離れて配置され、第2ガイドレール6bの内側に常に近接している。
【0033】
第2分岐ガイドローラ機構(42,43,44)は、分岐部206において分岐動作を行うための機構であり、一対の第3分岐ガイドローラ42と、第4分岐ガイドローラ43と、第2分岐ガイドローラ駆動部44(図3)とを有している。
【0034】
第3分岐ガイドローラ42は、第3固定ガイドローラ40に対応して配置されている。第4分岐ガイドローラ43は、第4固定ガイドローラ41に対応して配置されている。第2分岐ガイドローラ駆動部44(図3)は、第3分岐ガイドローラ42と、第4分岐ガイドローラ43の位置を変更するための機構である。
【0035】
以上の構造により、第2分岐ガイドローラ駆動部44(図3)によって、第3分岐ガイドローラ42及び第4分岐ガイドローラ43がガイド位置と非ガイド位置との間で移動する。ガイド位置では、第3分岐ガイドローラ42及び第4分岐ガイドローラ43は、第1ガイドレール6aの外側に近接する。非ガイド位置では、第3分岐ガイドローラ42及び第4分岐ガイドローラ43は、第1ガイドレール6aから上方に離れている。
【0036】
搬送車3が図2において曲線部203を走行するときには、第1分岐ガイドローラ33と第3分岐ガイドローラ42はガイド位置に配置されている。一方、そのときに、第2分岐ガイドローラ34及び第4分岐ガイドローラ43は非ガイド位置に配置されている。なお、搬送車3が第1直線部201を走行するときには、各分岐ガイドローラは非ガイド位置及びガイド位置のいずれに配置されていてもよい。
【0037】
(3)被検出部及びセンサ
図2を用いて、走行レール4に沿って設けられた複数種類の被検出部について説明する。被検出部は、反射テープ11と、バーコード13と、磁気マーク14とを含んでいる。なお、図2では、反射テープ11と、バーコード13と、磁気マーク14は、走行レール4の内側に図示されているが、実際には走行レール4上又はガイドレール6上面に設けられている。
反射テープ11は、曲線部203において搬送車3の位置を検出するための部材であり、曲線部203に配置されている。なお、この実施形態では、反射テープ11の開始端11aは、曲線部203の実際の開始位置203aより走行方向手前に配置されている。また、反射テープ11の終了端(図示せず)は、実際の曲線部の終了位置(図示せず)より手前に配置されている。
バーコード13は、走行レール4の原点マーク及び複数の基準マークとして機能している。
磁気マーク14は、搬送車3の停止位置を示す部材である。磁気マーク14は、鋼などの磁性体や、銅やアルミなどの非磁性体で構成されている。この実施形態では、磁気マーク14は、第1直線部201に配置されており、磁気マーク14の中間が停止位置80になっている。
【0038】
駆動走行部18及び従動走行部19には、さらに、図3に示すように、光電センサ47と、リニアスケール49と、バーコードリーダ50とが設けられている。光電センサ47は、反射テープ11を検出するためのものである。なお、図における光電センサ47は、右側に曲がる曲線部を走行中の位置を検出するためのセンサであり、左側に曲がる曲線部用のセンサ(図示せず)は別に設けられている。リニアスケール49は、磁気マーク14を検出するためのものである。リニアスケール49は、磁気マーク14に対する搬送車3の絶対位置、言い換えれば磁気マーク14を基準とする位置を求める。バーコードリーダ50は、バーコード13を検出するためのものである。
【0039】
(4)制御構成
図3を用いて、搬送車システム1の制御構成を説明する。図3は、搬送車システムの制御構成を示すブロック構成図である。
【0040】
搬送車システム1は、搬送車コントローラ52を有している。搬送車コントローラ52は、複数の搬送車3の走行を管理するためのコントローラである。搬送車コントローラ52は搬送車3と交信可能である。搬送車コントローラ52は、コントローラ本体54と、メモリ55を有している。コントローラ本体54は、CPU、RAM、ROM等からなりプログラムを実行するコンピュータである。メモリ55内には、ルートマップが記憶されている。ルートマップとは、走行ルートの配置、原点の位置、原点を基準とする基準位置や移載位置の座標を記載したマップである。座標は、原点からの走行距離を搬送車のエンコーダの出力パルス数などに換算したものである。
【0041】
搬送車3は、走行制御部59を有している。走行制御部59は、搬送車コントローラ52からの指令に基づいて第1モータ26と第2モータ29に駆動信号を送信できる。走行制御部59は、さらに、分岐制御部60に接続されている。分岐制御部60は、搬送車コントローラ52からの指令に基づいて第1分岐ガイドローラ駆動部35及び第2分岐ガイドローラ駆動部44に駆動信号を送信できる。
【0042】
(5)搬送車の走行制御系
図4を用いて、走行制御部59を説明する。図4は、搬送車の走行制御部を示すブロック構成図である。
走行制御部59は、CPU、RAM、ROM等からなりプログラムを実行するコンピュータである。走行制御部59は、ルートマップ61と、速度パターン発生部62と、第1モータ制御部63と、第2モータ制御部64、補償速度比率テーブル90とを有している。ルートマップ61と補償速度比率テーブル90は、走行制御部59内のメモリに保存されている。速度パターン発生部62は、搬送車コントローラ52と交信可能である。
さらに、走行制御部59には、第1エンコーダ27、第2エンコーダ30、光電センサ47,リニアスケール49及びバーコードリーダ50が接続されている。
【0043】
走行制御部59は、搬送車コントローラ52から搬送指令を受け取ると、ルートマップ61に基づいて現在位置から停止位置までの距離を求めて、当該距離を速度パターン発生部62に入力する。速度パターン発生部62は、ルートマップ61上の現在位置の座標と、目的位置の座標との差から走行距離を算出し、これによって停止位置までの走行速度のパターンを発生する。
【0044】
第1モータ制御部63は、第1誤差増幅部65Aと、第1フィードバック制御部66Aと、第1アンプ67Aとを主に有している。第1誤差増幅部65Aは誤差を増幅する。第1フィードバック制御部66Aは、第1誤差増幅部65Aで求めた誤差に基づいて、例えばPID制御又はPI制御を行う。PID制御とPI制御は切り替え可能である。第1アンプ67Aは、電流増幅された速度指令を第1モータ26へ送信する。第1エンコーダ27が、第1モータ26の回転軸の回転数を検出し、これにより得られる第1走行車輪25の現在位置と速度が、速度パターン発生部62又は第1誤差増幅部65Aに入力される。なお、第1モータ制御部63の構成は一実施例である。
【0045】
第2モータ制御部64は、第2誤差増幅部65Bと、第2フィードバック制御部66Bと、第2アンプ67Bとを主に有している。第2誤差増幅部65Bは誤差を増幅する。第2フィードバック制御部66Bは、第2誤差増幅部65Bで求めた誤差に基づいてPID制御又はPI制御を行う。PID制御とPI制御は切り替え可能である。第2アンプ67Bは、電流増幅された速度指令を第2モータ29へ送信する。第2エンコーダ30が、第2モータ29の回転軸の回転数を検出し、これにより得られる第2走行車輪28の現在位置と速度が、速度パターン発生部62又は第2誤差増幅部65Bに入力される。なお、第2モータ制御部64の構成は一実施例であって、本発明はこれに限定されない。
【0046】
(6)走行制御動作の概略説明
搬送車3は、一般的に、軌道2に沿って、ルートマップ61から求めた所要走行距離と、第1エンコーダ27及び第2エンコーダ30から求めた現在位置ならびに現在速度により走行制御を行う。
【0047】
搬送車3が曲線部203を走行する際の制御動作について説明する。曲線部203を走行する際には、一般的に、左右のモータが完全な同期を取れないことに起因して、走行軌跡が実際のカーブレールとは一致せず、走行車輪がガイドレールに衝突するなどの挙動不安定になる問題が考えられる。本発明はその問題を解決するための以下のような手段を用いている。
【0048】
光電センサ47からの検出結果ならびに第1エンコーダ27及び第2エンコーダ30からの検出結果を照合して、速度パターン発生部62は、搬送車3の現在位置を確認する。速度パターン発生部62は、現在位置情報及び補償速度比率テーブル90(後述)を使用することで、適切な左右速度差が生じるように別個の目標速度信号を生成してそれらを第1モータ制御部63及び第2モータ制御部64にそれぞれ送信する。
【0049】
速度パターン発生部62は、一定速度で曲線部203に進入すると、内輪を減速して外輪を加速することで、搬送車3の中心速度を規定速度(例えば、60m/分)に合わせて走行させる。速度パターン発生部62は、予め算出した補償速度比率テーブル90を使用することで、演算効率を向上させており、処理負荷を軽減している。
【0050】
以上より、搬送車3が曲線部203を走行する際には、左右のモータが完全な同期を取れないにもかかわらず、挙動が安定している。
【0051】
(7)曲線部走行軌跡
速度パターン発生部62は、理想的な曲線部走行軌跡テーブル98を予め有している。曲線部走行軌跡は、ガイドローラがガイドレール形状を正確にトレースできる軌跡である。つまり、この軌跡においては、ガイドローラがガイドレールに接触することはない。
【0052】
図5〜図8を用いて、曲線部走行軌跡の求め方を説明する。図5は、計算によって得られた理想的な走行軌跡を示す平面図である。図6は、図5の部分拡大図である。図7は、走行車輪の寸法関係を示す図である。図8は、曲線部におけるガイドレールとガイドローラの位置関係を模式的に示した図である。
【0053】
理想的な曲線部走行軌跡は以下のようにして得られる。最初に、基準入口軌跡が求められる。具体的には、後側ガイドローラ対の位置xを、開始位置203aから前側ガイドローラ対81と後側ガイドローラ対83のピッチL以上に離れた位置まで、所定間隔Δx分解能で旋回軸中心軌道P、内輪軌道P、外輪軌道Pの座標を求めていく。例えば、xを変化させる区間の距離は、開始位置203aから500mmであり、両ガイドローラ対のピッチLが480mmであり、Δxが0.05mmであり、P、P及びPは1000ヶ所分得られる。
【0054】
具体的な計算式は以下の通りである。
最初に、旋回角度αが算出される。なお、Rは第1ガイドレール6aの半径であり、Lは両ガイドローラ対の前後ピッチであり、xは後側ガイドローラ対のx座標であり、xは開始位置203aのX座標である。
l=√((x−x+R
=l+L−2lLcosα
α=cos−1((R−l−L)/(−2lL))
α=tan−1R/(x−x
α=α−α
【0055】
次に、旋回角度αから、P、P及びPの座標が算出される。
θ=θ00−α
θ=θ10−α
θ=θ20−α
これより、P、P及びPの座標は以下の通りになる。
(x,y)=(x+lcosθ,lsinθ
(x,y)=(x+lcosθ,lsinθ
(x,y)=(x+lcosθ,lsinθ
、P、Pのそれぞれの間隔が積算されることで、第1走行車輪25、第2走行車輪28、旋回軸中心38の移動距離が得られる。
図8を用いて、曲線部入口におけるガイドレールとガイドローラの位置関係を説明する。前側ガイドローラ対81同士の中間点を第1中間点95として、後側ガイドローラ対83同士の中間点を第2中間点97とする。図8において、前側ガイドローラ対81と後側ガイドローラ対83は、第1直線部201において符号Aで示され、前側ガイドローラ対81が開始位置203aに到達した位置にある状態を符号Bで示され、後側ガイドローラ対83が開始位置203aに到達した位置にある状態を符号Cで示され、曲線部203において符号Dで示されている。いずれの位置においても、第1中間点95及び第2中間点97は、第1ガイドレール6aの幅方向中間に一致するようになっている。このようにして、第1ガイドレール6aに対して両側のガイドローラが常に最大の隙間を空けるように配置される。
基準出口軌跡は、基準入口軌跡の計算結果から抽出される。具体的には、後側ガイドローラ対83が曲線部203に入った地点を変化終了地点として検索し、そこから逆方向に並び替える。さらに、P、Pそれぞれの間隔が積算されることで、第1走行車輪25、第2走行車輪28、旋回軸中心38の移動距離が得られる。
以上のようにして得られて基準入口軌跡と基準出口軌跡は、速度パターン発生部62において、曲線部走行軌跡テーブル98に記憶されている。
【0056】
(8)速度比率テーブル
図9を用いて、速度パターン発生部62が基準速度指令として利用しているカーブ走行時の基準速度比率テーブル(車輪速度変換テーブル)70について説明する。基準速度比率テーブル70は、カーブ走行の時間に対する左右の駆動輪の基準速度比率を定めたテーブルであって、カーブ入口における第1速度比率変化区間101と、カーブ出口における第2速度比率変化区間102と、カーブ中間における速度比率一定区間103とを有している。
【0057】
カーブ開始点では内輪と外輪の速度比率はいずれも100%である。そして、第1速度比率変化区間101では、基準外輪速度比率71が大きくなるにつれて、基準内輪速度比率73が小さくなっていく。そして、基準外輪速度比率71が100+α%(例えば、合計115%)になりさらに基準内輪速度比率73が100−α%(例えば、合計85%)になると、その状態が速度比率一定区間103で続く。そして、最後に、第2速度比率変化区間102では、基準外輪速度比率71が小さくなっていき、それにつれて基準内輪速度比率73が大きくなっていき、最後に両者が100%になる。
なお、上記のαの値は、左右の駆動車輪間隔とカーブ曲率に従って異なるように設定されている。
【0058】
次に、基準速度比率テーブル70の作成方法について説明する。速度パターン発生部62は、基準軌跡の出力から、旋回軸中心Pでの移動速度が設定された一定の値(例えば、60m/分)となるように、P、P位置を時間軸基準で抽出する。具体的には、P位置で区切って、曲線部入口からで出口までの速度パターンを発生する。時間軸の分解能であるΔtはΔxより十分に大きくなることが必要であり、例えば1ミリ秒である。P位置による境界条件分け及び速度パターン作成方法は、以下の通りである。
・直線部定速移動・・・Pと平行移動
・入口(二輪差速度差開始位置1〜二輪差速度差終了位置1)・・・基準入口軌跡から抽出
・カーブ中定速移動・・カーブ速度参照(カーブ半径から単純計算)
・出口(二輪差速度差開始位置2〜二輪差速度差終了位置2)・・・基準出口軌跡から抽出
・直線部定速移動・・・Pと平行移動
【0059】
搬送車3が図2において曲線部203を走行するときには、内輪側すなわちガイドレールを保持している側では、第1モータ制御部63の第1フィードバック制御部66Aが、第1モータ26に対して継続してPID制御を行っている。それに対して、外輪側すなわちガイドレールを保持していない側では、第2モータ制御部64の第2フィードバック制御部66BがPID制御からPI制御に切り替えられている。つまり、曲線部走行時には、第1モータ26はPID制御され、第2モータ29はPI制御される。理想軌跡を走行するように速度指令を形成するにもかかわらず、このように内輪PID−外輪PI制御を残す理由は、レール形状誤差及び据え付け誤差からガイドローラがガイドレールに接触することはあり得るので、その接触時の負荷を減らすためである。
【0060】
次に、基準速度指令に対するサーボ追従補償を説明する。サーボ追従補償は、基準速度指令に対して、フィードフォワード制御を加えることで、内輪PID−外輪PI制御に起因する左右輪の差を補償するために行われる。本実施形態で採用されたサーボ追従補償のパラメータは、レスポンスと偏差である。レスポンスとは、挙動変化開始時の遅れ時間及び挙動変化終了時の遅れ時間である。偏差とは、曲線部一定速度到達時点の所望速度に対するパーセンテージである。
【0061】
図9を用いて、速度パターン発生部62がサーボ追従補償を行った速度度指令として利用しているカーブ走行時の補償速度比率テーブル90について説明する。補償速度比率テーブル90は、補償外輪速度比率91と補償内輪速度比率93とを有している。補償外輪速度比率91は、基準外輪速度比率71に比べて、挙動変化開始時及び挙動変化終了時が早くなっている。補償内輪速度比率93も、基準内輪速度比率73に比べて、挙動変化開始時及び挙動変化終了時が早くなっている。補償外輪速度比率91は、補償内輪速度比率93に比べても、挙動変化開始時及び挙動変化終了時が早くなっている。
さらに、補償外輪速度比率91は、基準外輪速度比率71に比べて、一定速度の大きさが大きくなっている。
【0062】
補償速度比率テーブル90は、以下のようにして作成される。最初に、時間遅れと、速度偏差は、別途行われた実験によって得られる。速度パターン発生部62は、時間領域で基準入口軌跡と基準出口軌跡を作成し、さらに、基準速度指令から境界時間を抽出する。さらに、速度パターン発生部62は、例えば、時間領域で単純に直線補完することで、補償テーブルを作成する。
速度パターン発生部62は、補償テーブルから、境界時間で区切って曲線部入口から出口までの速度パターンを生成する。
時間による境界条件分け及び速度パターン作成方法は以下の通りである。
・直線部定速移動・・・Pと平行移動
・入口(二輪差速度差開始時間1〜二輪差速度差終了時間1)・・・補償入口軌跡から抽出
・カーブ中定速移動・・カーブ速度参照(カーブ半径から単純計算)
・出口(二輪差速度差開始時間2〜二輪差速度差終了時間2)・・・補償出口軌跡から抽出
・直線部定速移動・・・Pと平行移動
【0063】
(9)曲線部走行制御の詳細説明
以下、図10〜図13を用いて、速度パターン発生部62の制御動作を説明する。図10は、曲線部走行時の走行制御部の動作を示すフローチャートである。図11〜12は、加速しながらカーブに進入する場合の各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフである。図11〜図13では、実線を用いて内輪速度、外輪速度及び旋回軸中心速度を示しており、2点鎖線を用いて補償速度比率テーブル90を示している。なお、これらの図では、補償速度比率テーブル90は、速度比率が速度に一致するように描かれている。
図において、Vは速度比率一定区間103において想定される内輪速度の最大値を表しており、Vは速度比率一定区間103において想定される外輪速度の最大値を表しており、Vは速度比率一定区間103において想定される旋回軸中心速度の最大値を表している。
以下の説明では、図11〜図13に示すように、搬送車3が第1直線部201から発進して一定の加速度a01で曲線部203に進入する場合の動作を説明する。このときの加速度a01は、許容される最大値又はその近傍であってもよい。
なお、速度パターン発生部62は、曲線部203に入る前からも速度指令を第1モータ26及び第2モータ29に与え続けている。
【0064】
ステップS1では、速度パターン発生部62は、曲線部203の開始位置203aに到達するのを待つ。開始位置203aに到達したことは、光電センサ47が反射テープ11の開始端11aを検出することによって把握される。なお、このとき、図11において、走行車輪の速度はvである。
【0065】
ステップS2では、速度パターン発生部62は、搬送車3が加速しているか否か(この場合は、加速していない場合としては、一定速度で走行しているとする)を判断する。「Yes」であればプロセスはステップS3に移行し、「No」であればプロセスは通常カーブ走行制御に移行する。通常カーブ走行制御では、旋回軸中心速度に対して補償速度比率テーブル90が乗算されることで内輪速度と外輪速度が決定される。
【0066】
ステップS3では、速度パターン発生部62は、現在の加速度a01を続けた場合に外輪が第1速度比率変化区間101を走行するのにかかる時間t11を算出する。なお、この実施形態ではt11を算出するための加速度は、a01と同じであってもよいが、それ未満であってもよい。
また、速度パターン発生部62は、基準速度に対して補償速度比率テーブル90を乗算して内輪速度を算出する。したがって、内輪速度は、外輪速度より通常の速度差(基準速度と内輪速度との差)分以上を減らした速度となる。
【0067】
ステップS4では、速度パターン発生部62は、t11経過までの間の旋回軸中心38の加速度a11を求める。具体的には、最初に、速度パターン発生部62は、t11経過時の外輪速度と補償速度比率テーブル90から、t11経過時の旋回軸中心速度v11を算出する。次に、速度パターン発生部62は、v、v11及びt11に基づいて、t11までの間の旋回軸中心38の加速度a11を算出する。具体的には、a11=(v11−v)/t11の式が用いられる。なお、図から明らかなようにa11はa01より小さくなっている。
【0068】
ステップS5では、速度パターン発生部62は、第1速度比率変化区間101内で外輪速度が外輪最大速度Vになるか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS6に移行し、「Yes」であればプロセスはステップS17に移行する。
【0069】
ステップS6では、速度パターン発生部62は、旋回軸中心速度に基づいた基準速度指令を発生する。
【0070】
ステップS7では、速度パターン発生部62は、補償速度比率テーブル90を用いて基準速度指令を左右速度差指令に変換する。具体的には、曲線部203における搬送車3の位置と補償速度比率テーブル90により該当位置の乗率を求めて、現在の基準速度に乗率を乗じることで、該当位置での内輪速度及び外輪速度を算出する。つまり、旋回軸中心速度に対して補償外輪速度比率91の値を積算することで外輪速度指令を作成し、さらに旋回軸中心速度に対して補償内輪速度比率93の値を積算することで内輪速度指令を作成する。
【0071】
ステップS8では、速度パターン発生部62は、左右速度差指令を第1モータ制御部63と第2モータ制御部64にそれぞれ出力する。
【0072】
ステップS9では、速度パターン発生部62は、旋回軸中心速度がt11経過の前に基準速度Vに到達したか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS10に移行し、「Yes」であればプロセスはステップS22に移行する。
【0073】
ステップS10では、速度パターン発生部62は、t11が経過したか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS6に戻り、「Yes」であればプロセスはステップS11に移行する。以上より、旋回軸中心速度が基準速度Vcに到達するか又はt11が経過するまで、ステップS6〜8が繰り返し実行される。
【0074】
ステップS11では、速度パターン発生部62は、外輪が現在の加速度a01を続けた場合に外輪の速度が外輪最大速度Vに到達するまでの時間t12を算出する。なお、t12を算出するための加速度は、a01と同じであってもよいが、それ未満であってもよい。
【0075】
ステップS12では、速度パターン発生部62は、V、v11及びt12に基づいて、t12までの間の旋回軸中心38の加速度a12を求める。具体的には、a12=(V−v11)/t12の式が用いられる。図から明らかなようにa12は、a01より小さく、かつa11より大きい。
【0076】
ステップS13では、速度パターン発生部62は、旋回軸中心速度に基づいた基準速度指令を発生する。
【0077】
ステップS14では、速度パターン発生部62は、t12経過後に外輪の速度が外輪最大速度Vになるようにかつ内輪が内輪最大速度Vになるように変化していく左右の速度指令を発生する。
【0078】
ステップS15では、速度パターン発生部62は、左右速度差指令を第1モータ制御部63と第2モータ制御部64にそれぞれ出力する。
【0079】
ステップS16では、速度パターン発生部62は、t12が経過したか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS13に戻り、「Yes」であればプロセスは通常カーブ走行制御に移行する。以上より、t12が経過するまで、ステップS13〜S15が繰り返し実行される。
【0080】
次に、図12を用いて、第1速度比率変化区間101において外輪の速度が外輪最大速度Vに達してしまう場合の制御動作であるステップS17〜ステップS21を説明する。
【0081】
図10のステップS17では、速度パターン発生部62は、旋回軸中心38の第1速度比率変化区間101における加速度a11を再計算する。具体的には、速度パターン発生部62は、V、v及びt11に基づいて、t11までの間の旋回軸中心38の加速度a11を求める。具体的には、a11=(V−v)/t11である。この結果、外輪の速度がt11経過時すなわち第1速度比率変化区間101終了時に外輪最大速度Vとなる。図12から明らかなように、t11の間における外輪の加速度a01’は、カーブ進入時の外輪の加速度a01より小さい。
【0082】
ステップS18では、速度パターン発生部62は、旋回軸中心速度に基づいた基準速度指令を発生する。
【0083】
ステップS19では、速度パターン発生部62は、t11経過後に外輪の速度が外輪最大速度Vになるようにかつ内輪の速度が内輪最大速度Vになるように変化していく左右の速度指令を発生する。
【0084】
ステップS20では、速度パターン発生部62は、左右速度差指令を第1モータ制御部63と第2モータ制御部64にそれぞれ出力する。
【0085】
ステップS21では、速度パターン発生部62は、t11が経過したか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS18に戻り、「Yes」であればプロセスは通常カーブ走行制御に移行する。以上より、t11が経過するまで、ステップS18〜ステップS20が繰り返し実行される。
【0086】
次に、図13を用いて、第1速度比率変化区間101において旋回軸中心38の速度が基準速度Vに達してしまう場合の制御動作であるステップS22〜ステップS25を説明する。
【0087】
図10のステップS22〜ステップS24では、速度パターン発生部62は、旋回軸中心の基準速度指令を発生し、さらに内外輪速度指令を作成し、最後にそれらをモータに送信する。より具体的には、速度パターン発生部62は、旋回軸中心38の速度が基準速度Vになるまでは、旋回軸中心38の加速度a11が維持されるように旋回軸中心38の基準速度指令を発生し、さらに内外輪速度指令を作成する。そして、速度パターン発生部62は、旋回軸中心38の速度が旋回軸中心最大速度Vになると以後は、旋回軸中心38の速度を一定に維持する。さらに、速度パターン発生部62は、外輪速度についてはそれまでの加速度が維持されるように設定する。そして、速度パターン発生部62は、内輪速度については、旋回軸中心速度を中心に外輪速度と対称となるように設定する。
【0088】
ステップS25では、速度パターン発生部62は、外輪の速度が外輪最大速度Vに到達したか否かを判断する。「No」であればプロセスはステップS22に戻り、「Yes」であればプロセスは通常カーブ走行制御に移行する。以上より、外輪の速度が外輪最大速度Vに到達するまで、ステップS22〜S24が繰り返し実行される。
【0089】
(10)カーブの途中から発進した場合
図14を用いて、曲線部203の途中から搬送車3が発進した場合の速度制御について説明する。図14は、カーブ中から発進した場合の各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフである。
【0090】
この実施形態では、搬送車3は曲線部203において第1速度比率変化区間101からスタートする。この場合、速度パターン発生部62は、外輪の加速度a01を基準にして、外輪の速度が外輪最大速度Vに達したときに旋回軸中心38が基準速度Vに達し内輪の速度が内輪最大速度Vに達するように、旋回軸中心38の加速度a11及び内輪の加速度a12を決定する。そして、速度パターン発生部62は、上述の加速度が実現されるような速度指令を内輪と外輪に与え続ける。
【0091】
(11)カーブ出口における速度制御
図15を用いて、搬送車3が曲線部203を減速しながら退出していく場合の速度制御を説明する。図15は、減速しながらカーブから退出する場合の各車輪の時間−速度の関係と、カーブ走行時の速度比率テーブルと示したグラフである。
【0092】
速度パターン発生部62は、減速を開始すると、現在の減速度a02を続けた場合に外輪の速度が0になるまでにかかる時間t21を算出する。具体的には、t21=V/a01が用いられる。なお、t21を算出するための減速度は、a02と同じであってもよいが、それ未満であってもよい。
【0093】
速度パターン発生部62は、第2速度比率変化区間102での旋回軸中心38の減速度a21を求める。具体的には、最初に、速度パターン発生部62は、t21経過後に旋回軸中心38の速度がゼロになるような減速度a21を求め、そのような減速度が実現されるように旋回軸中心の速度指令を生成する。
【0094】
反射テープOFF時には、速度パターン発生部62は、第2速度比率変化区間102が終了するまでの時間であるt22を求め、さらに、t22経過時の速度v22を求める。さらに、v22からt22中の減速度a22を求める。a22=(v22−v11)/t22である。
【0095】
速度パターン発生部62は、減速度a22が維持されるように旋回軸中心の基準速度指令を発生する。さらに、速度パターン発生部62は、基準速度指令に速度パターン発生部62を乗算して左右の車輪の速度を算出し、その速度指令を各モータに与える。
搬送車が曲線部の終了点に達すると、速度パターン発生部62は、旋回軸中心38の減速度がa01になるように速度指令を生成する。このときに、左右の車輪の速度は旋回軸中心38の速度と一致する。
【0096】
前記実施形態では曲線部への進入及び退出において加減速度を許容最大値又はそれに近い値にしていても、曲線部の入口及び出口において加減速度の最大値を超えることがない。したがって、モータに過負荷が生じにくい。また、曲線部への進入及び退出において加減速度を許容最大値又はそれに近い値にできるので、走行効率が低下しない。
【0097】
(12)特徴
前記実施形態は下記のようにも表現できる。
(A)搬送車システム1は、予め定められた経路を走行する搬送車3と、搬送車3の走行を制御する走行制御部59とを備えている。搬送車3は、搬送車本体15と、搬送車本体15の左右に設けられた2個の走行車輪25,28と、2個の走行車輪25,28にそれぞれ接続された2個のモータ26,29と、を有している。走行制御部59は、速度パターン発生部62と、光電センサ47と、を有している。速度パターン発生部62は、搬送車3が曲線部203を走行するときに2個の走行車輪25,28に対して基準速度に対して内外輪に対してそれぞれ速度差が生じるように、曲線部203の中間にある速度比率一定区間103と曲線部203の両端にある速度比率変化区間101,102とにおいて速度指令を発生して2個のモータ26,29に与える。光電センサ47は、搬送車3が曲線部203を走行していることを検出可能である。
図11に示すように、速度パターン発生部62は、搬送車3が加速中に曲線部203に進入することを光電センサ47が検出すれば、第1速度比率変化区間101において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の加速度a01以下の加速度となるような速度指令を生成して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような速度指令を生成して与える。
この搬送車システム1では、搬送車3が加速しながら曲線部203に進入した場合に、外輪となるモータに高負荷がかからない。
【0098】
(B)速度パターン発生部62は、加速中に曲線部203への進入を光電センサ47が検出すれば、外輪となる走行車輪に対応するモータが現加速度を維持すれば第1速度比率変化区間101内で外輪最大速度Vに到達するか否かを判断する。図11に示すように外輪最大速度Vに達しないと判断されれば、速度パターン発生部62は、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して現加速度a01を維持するような速度指令を生成して与える。
この搬送車システム1では、速度パターン発生部62において計算負荷が高くならない。
【0099】
(C)上記の場合に最大速度に達すると判断されれば、図12に示すように、速度パターン発生部62は、第1速度比率変化区間101の終了点以降で外輪となる走行車輪が外輪最大速度Vになるような速度指令を生成して、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して速度指令を与える。
この搬送車システム1では、外輪となる走行車輪に対応するモータが現加速度a01を維持すれば第1速度比率変化区間101内で外輪最大速度Vに到達してしまう場合でも、外輪となる走行車輪が外輪最大速度Vを超えることが防止される。
【0100】
(D)図15に示すように、速度パターン発生部62は、搬送車3が減速中に曲線部203から退出することを検出部が検出すれば、第2速度比率変化区間102において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して退出時の減速度a02以下の減速度となるような速度指令を生成して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を減らした速度となるような速度指令を生成して与える。
この搬送車システム1では、搬送車3が減速しながら曲線部203から退出した場合に、外輪となる走行車輪に対応するモータに高負荷がかからない。
【0101】
(13)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0102】
(a)搬送車が減速しながら曲線部に進入する場合
速度パターン発生部62は、搬送車3が減速中に曲線部203に進入することを検出部が検出すれば、第1速度比率変化区間101において、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の減速度以下の減速度となるような速度指令を生成して与え、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して内輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を増やした速度となるような速度指令を生成して与える。
この搬送車システム1では、搬送車3が減速しながら曲線部203から退出した場合に、内輪となる走行車輪に対応するモータに高負荷がかからない。
【0103】
(b)搬送車が加速しながら曲線部から退出する場合
速度パターン発生部62は、搬送車3が加速中に曲線部203から退出することを検出部が検出すれば、第2速度比率変化区間102において、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して退出時の加速度以下の加速度となるような速度指令を生成して与え、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して内輪となる走行車輪の速度より速度差分以上を増やした速度となるような速度指令を生成して与える。
この搬送車システム1では、搬送車3が加速しながら曲線部203から退出した場合に、内輪となる走行車輪に対応するモータに高負荷がかからない。
(c)前記実施形態では、搬送車が曲線部の開始と終了をセンサによって検出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送車がエンコーダによってソフト的に判断してもよい。
(d)前記実施形態では反射テープは曲線部に沿って連続的に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。反射テープは断続的に設けられていてもよい。
(e)前記実施形態では搬送車は天井から吊り下げられた軌道上を走行していたが、本発明はこれに限定されない。軌道は地上に設けられていてもよいし、搬送車が軌道から吊り下げられていてもよい。
(f)前記実施形態ではエンコーダはモータの回転を計測していたが、本発明はこれに限定されない。エンコーダは駆動輪又は従動輪の回転を計測してもよい。
(g)被検出部及びセンサの組み合せの種類及び検出目的は、前記実施形態に限定されない。
(h)被検出部の設置位置や数は、前記実施形態に限定されない。
(i)前記実施形態では、補償速度比率テーブルを用いて左右速度差指令を形成していたが、基準速度比率テーブルを用いて左右速度差指令を形成してもよい。その場合でも、速度パターン発生部は、搬送車が曲線部を走行するときに、理想的な走行軌跡に基づいて作成した速度指令を第1モータ及び第2モータに与えているので、曲線部において前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対はガイドレールに接触しにくい。
(j)前記実施形態はサーボ追従補償のパラメータはレスポンスと偏差であるが、いずれか一方であってもよい。
(k)前記実施形態では車体の前側に駆動走行部を設けさらに後側に従動走行部を設けた搬送車システムを説明したが、本発明はそれに限定されない。例えば、前側と両側を駆動走行部とすることで、4輪駆動台車とした構造にも本発明を適用できる。その場合、各駆動部は、それぞれ独立して左右モータの速度指令を作成することが好ましい。なお、4輪駆動台車以外に、6輪駆動台車、8輪駆動台車にも本発明を適用できる。
(l)前記実施形態では、進入と退出及び加速と減速の全ての組合せについて制御動作を説明したが、全ての制御動作が一台の搬送車において実現される必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、左右の車輪に別個にモータが設けられて独立して車輪を駆動可能な搬送車に広く適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 搬送車システム
2 軌道
3 搬送車
4 走行レール
4a 第1走行レール
4b 第2走行レール
6 ガイドレール
6a 第1ガイドレール
6b 第2ガイドレール
11 反射テープ
11a 開始端
13 バーコード
14 磁気マーク
15 搬送車本体(車体)
18 駆動走行部
19 従動走行部
20 本体フレーム
21 第1駆動輪ユニット
22 第2駆動輪ユニット
23 本体フレーム
25 第1走行車輪
26 第1モータ
27 第1エンコーダ
28 第2走行車輪
29 第2モータ
30 第2エンコーダ
31 第1固定ガイドローラ
32 第2固定ガイドローラ
33 第1分岐ガイドローラ
34 第2分岐ガイドローラ
35 第1分岐ガイドローラ駆動部
36 第1従動輪
37 第2従動輪
38 旋回軸中心
40 第3固定ガイドローラ
41 第4固定ガイドローラ
42 第3分岐ガイドローラ
43 第4分岐ガイドローラ
44 第2分岐ガイドローラ駆動部
47 光電センサ(検出部)
49 リニアスケール
50 バーコードリーダ
52 搬送車コントローラ
54 コントローラ本体
55 メモリ
59 走行制御部(制御部)
60 分岐制御部
61 ルートマップ
62 速度パターン発生部(速度指令発生部)
63 第1モータ制御部
64 第2モータ制御部
65A 第1誤差増幅部
65B 第2誤差増幅部
66A 第1フィードバック制御部
66B 第2フィードバック制御部
67A 第1アンプ
67B 第2アンプ
70 基準速度比率テーブル
71 基準外輪速度比率
73 基準内輪速度比率
80 停止位置
81 前側ガイドローラ対
83 後側ガイドローラ対
85 前側ガイドローラ対
87 後側ガイドローラ対
90 補償速度比率テーブル(速度指令変換テーブル)
91 補償外輪速度比率
93 補償内輪速度比率
95 第1中間点
97 第2中間点
98 曲線部走行軌跡テーブル
101 第1速度比率変化区間
102 第2速度比率変化区間
103 速度比率一定区間
201 第1直線部
202 第2直線部
203 曲線部
203a 開始位置
206 分岐部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた経路を走行する搬送車と、
前記搬送車の走行を制御する制御部とを備え、
前記搬送車は、
車体と、
前記車体の左右に設けられた2個の走行車輪と、
前記2個の走行車輪にそれぞれ接続された2個のモータと、を有し、
前記制御部は、
前記搬送車が曲線部を走行するときに基準速度に対して内外輪にそれぞれ速度差が生じるように、曲線部の中間にある内外輪速度比率一定区間と曲線部の両端にある内外輪速度比率変化区間とにおいて速度指令を発生して前記2個のモータに与える速度指令発生部と、
前記搬送車が曲線部を走行していることを検出可能な検出部と、を有し、
前記速度指令発生部は、前記搬送車が加速中に曲線部に進入することを前記検出部が検出すれば、前記内外輪速度比率変化区間において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の加速度以下の加速度となるような速度指令を発生して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より前記速度差分以上を減らした速度となるように速度指令を発生して与える、
搬送車システム。
【請求項2】
前記制御部は、加速中に曲線部への進入を前記検出部が検出すれば、外輪となる走行車輪に対応するモータが現加速度を維持すれば内外輪速度比率変化区間内で最大速度に到達するか否かを判断する判断部をさらに有し、
最大速度に達しないと前記判断部が判断すれば、前記速度指令発生部は、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して現加速度を維持するような速度指令を生成して与える、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記速度指令発生部は、最大速度に達すると判断されれば、前記内外輪速度比率変化区間の終了点以降で外輪となる走行車輪が最大速度になるような速度指令を生成して、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して前記速度指令を与える、請求項2に記載の搬送車システム。
【請求項4】
前記速度指令発生部は、前記搬送車が減速中に曲線部から退出することを前記検出部が検出すれば、前記内外輪速度比率変化区間において、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して退出時の減速度以下の減速度となるような速度指令を生成して与え、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して外輪となる走行車輪の速度より前記速度差分以上を減らした速度となるように速度指令を生成して与える、請求項1〜3のいずれかに記載の搬送車システム。
【請求項5】
前記速度指令発生部は、前記搬送車が減速中に曲線部に進入することを前記検出部が検出すれば、前記内外輪速度比率変化区間において、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して進入時の減速度以下の減速度となるような速度指令を生成して与え、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して内輪となる走行車輪の速度より前記速度差分以上を増やした速度となるような速度指令を生成して与える、請求項1〜4のいずれかに記載の搬送車システム。
【請求項6】
前記速度指令発生部は、前記搬送車が加速中に曲線部から退出することを前記検出部が検出すれば、前記内外輪速度比率変化区間において、内輪となる走行車輪に対応するモータに対して退出時の加速度以下の加速度となるような速度指令を生成して与え、外輪となる走行車輪に対応するモータに対して内輪となる走行車輪の速度より前記速度差分以上を増やした速度となるような速度指令を生成して与える、請求項1〜5のいずれかに記載の搬送車システム。
【請求項7】
前記経路に沿って設けられたガイドレールをさらに備え、
前記搬送車は、前記走行車輪の前側及び後側にそれぞれ設けられた前側ガイドローラ対及び後側ガイドローラ対をさらに有しており、
前記制御部は、前記搬送車が曲線部を走行するときに前記前側ガイドローラ対及び前記後側ガイドローラ対が前記ガイドレールに接触しない走行軌跡情報を保持しており、
前記速度指令発生部は、前記走行軌跡情報に基づいて速度指令発生のための速度指令変換テーブルを作成する、請求項1〜6のいずれかに記載の搬送車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−173760(P2012−173760A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31850(P2011−31850)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】