説明

携帯型電話端末

【課題】 ハンドセットモードとハンズフリーモードとの受話状態の切換えができる携帯型電話端末において、いずれのモード時にも兼用される兼用スピーカから音声を出力するようにしたとしても、S/N比が劣化する不都合を極力防止する。
【解決手段】 ハンズフリーモード時に音声信号を増幅して兼用スピーカ3から出力させるための第1のアンプ8と、ハンドセットモード時に音声信号を増幅して兼用スピーカ3から出力させるための第2のアンプ9とを設け、第2のアンプ9を、第1のアンプ8に比べて、小さな音量を駆動する小音量駆動用アンプでかつ静的状態のノイズレベルを抑えた低ノイズ用アンプで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)等で代表される携帯型電話端末に関し、詳しくは、ユーザが手に持って通話するハンドセットモードとユーザが手に持つことなく通話できるハンズフリーモードとに切換えて使用可能な携帯型電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯型電話端末として、従来から一般的に知られているものでは、音声受話装置としてレシーバ、受話信号の拡声器としてスピーカを各々別途に実装し用途によって切換えている。例えば従来の1軸折畳み方式の場合、ハンドセット通話ではマイクA1とレシーバA2の位置は図8のように配置される。また、ハンズフリー通話ではマイクA1とスピーカ3の位置は例えば図9のように配置され、まとめると図10のような配置となる。
【0003】
一方、近年は多軸折畳みの構成を持つ携帯型電話端末が、形状に特徴のある端末として存在している。この多軸折畳みを使用する場合、形状変化によってはマイクA1、レシーバA2の位置関係から、別位置にレシーバB4、(あるいはマイクB5)を取り付ける必要が発生する。
【0004】
例えば2軸折畳み方式の場合で折畳まない場合と折畳んだ場合を見た場合、折畳まない状態でのハンドセット通話ではマイクA1とレシーバA2の位置は図13のように配置される。また、ハンズフリー通話ではマイクA1とスピーカ3の位置は図14のように配置される。
【0005】
折畳んだ場合では、折畳みを(図11に示す回転軸Aの反転)と(図12に示す回転軸Bの折畳み)に従って折畳んだ場合にハンドセット通話ではマイクA1とレシーバA2の位置は図15のように配置されるが、マイクA1とレシーバA2が重なるような状態で近接する事が見て取れる。
【0006】
この状態はレシーバA2が発した音声をマイクA1がひろってしまい、音声入力として通話相手にエコーを返してしまうのできれいな通話品質に影響が大きい。
【0007】
そこでマイクA1から離れた場所に別途、レシーバB4を取り付ける必要があり、その場所として例えば図16に示すレシーバB4の位置が選ばれる。
【0008】
また、ハンズフリー通話ではマイクA1とスピーカ3の位置は図17のように配置され、まとめると図18となり、ヒンジ部付近でレシーバB4とスピーカ3が密集している事がわかる。
【0009】
次に、レシーバB4の追加をしない別の構成を考えてみる。ハンドセット通話の場合はレシーバA2を使用する事となり、折畳んだ時のマイクA1との近接する状態を避ける為にはマイクB5を新たに取り付ける必要が出てくる。
【0010】
そこでレシーバA2から離れた場所にマイクB5を取り付ける場所として図19に示す位置が選ばれる。
【0011】
これをまとめると図20の部品配置となり、折畳まない状態では図21のようにヒンジ付近でマイクB5とスピーカ3が密集している事がわかる。
【0012】
以上の、部品の増加による筐体内実装スペースの制約の問題や、音声入力として通話相手にエコーを返してしまうことによる通話品質の低下の問題を解決するべく、拡声スピーカを通常のレシーバ通話とし兼用することが考えられる。
【0013】
拡声スピーカを通常のレシーバ通話としても兼用できる構成として、例えば特許文献1や特許文献2に記載のものがある。
【0014】
特許文献1に開示された技術は、データリンク確立時に取得する通信情報によりアンプゲインの制御を行う技術であり、特許文献2に開示された技術は、装置のステータスに応じて受話経路を切換える発明であり、通話時に装置の開閉状態に応じてステータスを変化させ、自動的に通話経路を切換える事が特徴となっている。
【0015】
いずれの技術についても、ハンドセットモードとハンズフリーモードとの受話状態の切換え対応は、単純に受信した音声信号の増幅率(ゲイン)を切換えて拡声スピーカ(兼用スピーカ)の音量を切換える方法を採用している。
【特許文献1】特開平11−289290号公報
【特許文献2】特開2003−18078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述した、ハンドセットモードとハンズフリーモードとの受話状態の切換え対応を、単純に拡声スピーカ(兼用スピーカ)の音量切換えを手段としている従来の技術の一般的な制御の一例を、図22に示す。図22を参照して、アンプの出力電力(Gain)を切換えることができる従来から周知のCODEC IC(coder-decoder integrated circuit)7が設けられ、このCODEC IC7の内部で、ハンズフリー通話時の兼用スピーカ3に対する出力電力(Gain1)と、ハンドセット通話時のレシーバBと等価出力となる兼用スピーカ3に対する出力電力(Gain2)を制御LSI6のソフトウェアで制御し、Gain1またはGain2を使って演算処理された音声信号をアンプ(1)8を経由して兼用スピーカ3に出力する構成とする。なお、出力電力(Gain1)、出力電力(Gain2)は、アンプ(1)8による音声信号の増幅率のことである。
【0017】
ハンズフリー通話時には、Gain1を選択しGain1を使って演算処理された音声信号をアンプ経由して兼用スピーカ出力する。ハンドセット通話時にレシーバとして使用する際には、Gain2を選択しGain2を使って演算処理された音声信号をアンプ経由して兼用スピーカ3に対してレシーバと等価となる出力をする。
【0018】
図23は、図22に示した制御回路における制御LSI6の制御動作を示すフローチャートである。まず、ステップS(以下単にSという)1により、GAINの変更要因の受付処理が行なわれる。このGAIN変更要因は、たとえば、ユーザが携帯電話のキー操作部を操作してハンドセットモードからハンズフリーモードへまたはその逆に切換える操作を行なった場合等が考えられる。次にS2により、Gain1が要求されたか否かの判断がなされる。ハンドセットモードからハンズフリーモードに切換えられた場合には、S2により、Gain1が要求されたと判断され、制御がS3へ進み、CODEC IC6にGain1への切換処理の信号を出力する制御が行なわれる。
【0019】
一方、ハンズフリーモードからハンドセットモードに切換えられた場合には、S2によりNOの判断がなされて制御がS4へ進み、CODEC ICにGain2への切換処理の信号を出力する制御がなされる。
【0020】
このように、従来のものではハンドセット時とハンズフリー時共に同一アンプ(1)8を用いることが前提であり、ハンズフリー時に兼用スピーカ3を大きな音量で駆動できるように設計された大音量駆動用アンプ(1)8を用いて、ハンドセット時すなわちレシーバとしての使用時には出力電力(Gain)の調整のみで出力音量を小さくしていることから、S/N比が劣化する不都合が生じる。
【0021】
本発明は、かかる実情に鑑み考出されたものであり、その目的は、ハンドセットモードとハンズフリーモードとの受話状態の切換えができる携帯型電話端末において、ハンドセットモード時とハンズフリーモード時とのいずれの場合にも兼用される兼用スピーカから音声を出力するようにしたとしても、S/N比が劣化する不都合を極力防止できる携帯型電話端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、ユーザが手に持って通話するハンドセットモードとユーザが手に持つことなく通話できるハンズフリーモードとに切換えて使用可能な携帯型電話端末であって、受信された音声信号を音声として出力するスピーカであって、ハンドセットモード時とハンズフリーモード時とのいずれの場合にも兼用される兼用スピーカと、ハンズフリーモード時に音声信号を増幅して兼用スピーカから出力させるための第1のアンプと、ハンドセットモード時に音声信号を増幅して兼用スピーカから出力させるための第2のアンプと、ハンズフリーモード時に兼用スピーカから出力される音声の音量をユーザがハンズフリー状態で聞き取ることができる音量となる第1の増幅率で音声信号を第1のアンプにより増幅させる制御を行なうとともに、ハンドセットモード時に第1の増幅率よりも小さな第2の増幅率で音声信号を第2のアンプにより増幅させる制御を行なう制御手段とを備え、第2のアンプは、第1のアンプに比べて、小さな音量を駆動する小音量駆動用アンプでかつ静的状態のノイズレベルを抑えた低ノイズ用アンプで構成されていることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、第1のアンプと兼用スピーカとを導通状態にするとともに第2のアンプと兼用スピーカとを非導通状態にする第1の回路状態と、第2のアンプと兼用スピーカとを導通状態にするとともに第1のアンプと兼用スピーカとを非導通状態にする第2の回路状態との、いずれかに切換える回路状態切換え手段をさらに備え、制御手段は、ハンズフリーモード時に回路状態切換え手段を第1の回路状態に制御し、ハンドセットモード時に回路状態切換え手段を第2の回路状態に制御する。
【0024】
さらに好ましくは、制御手段は、ソフトウェアにより制御を実行する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ハンズフリーモード時に音声信号を増幅して兼用スピーカから出力させるための第1のアンプと、ハンドセットモード時に音声信号を増幅して兼用スピーカから出力させるための第2のアンプとが設けられ、第2のアンプは、第1のアンプに比べて、小さな音量を駆動する小音量駆動用アンプでかつ静的状態のノイズレベルを抑えた低ノイズ用アンプで構成されている。その結果、ハンドセットモード時とハンズフリーモード時とのいずれの場合にも兼用される兼用スピーカから音声を出力しつつも、S/N比が劣化する不都合を極力防止できる。
【0026】
また、ハンズフリーモード時に第1のアンプと兼用スピーカとを導通状態にするとともに第2のアンプと兼用スピーカとを非導通状態にする第1の回路状態となり、ハンドセットモード時に第2のアンプと兼用スピーカとを導通状態にするとともに第1のアンプと兼用スピーカとを非導通状態にする第2の回路状態となるようにした場合には、たとえば、ハンドセットモード時にユーザが兼用スピーカを耳に近づけて通話したときに、なんらかの誤動作により第1のアンプを経由して大音量の音声が兼用スピーカから出力される危険な事態を極力回避でき、安全性を向上できる。
【0027】
さらに、制御手段が、ソフトウェアにより制御を実行するようにした場合には、比較的複雑な制御内容のものであっても容易に設計することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、携帯型電話端末の一例として携帯電話を示すが、本発明はこれに限らず、たとえばPHS(Personal Handy-phone System)等であってもよい。
【0029】
図18のレシーバB4で行っていた音声の発生を兼用スピーカ3で行う事により、レシーバB4を無くし、図1のように構成する。
【0030】
図1では折畳まない状態でハンドセット通話の場合は図13の形状となり、この場合に使用される受話部(音声発生部)はレシーバA2とする。
【0031】
図1では折畳まない状態でハンズフリー通話の場合は図14の形状となり、この場合に使用される受話部(音声発生部)は兼用スピーカ3とする。
【0032】
図1では折畳んだ状態でハンドセット通話の場合は図17の形状となり、この場合に使用される受話部(音声発生部)は兼用スピーカ3をレシーバB4の等価出力とする。
【0033】
図1では折畳んだ状態でハンズフリー通話の場合は図17の形状となり、この場合に使用される受話部(音声発生部)は兼用スピーカ3とする。
【0034】
次に、回路構成に関する内容について述べる。
図2を参照し、CODEC IC(coder-decoder integrated circuit)7の内部で、ハンズフリー通話時の兼用スピーカ3に対する出力電力(Gain1)と、ハンドセット通話時のレシーバB4と等価出力となる兼用スピーカ3に対する出力電力(Gain2)を制御LSI6のソフトウェアで制御し、Gain1、またはGain2を使って演算処理された音声信号をアンプ(1)8を経由して兼用スピーカ3に出力する。なお、出力電力(Gain1)、出力電力(Gain2)は、アンプ(1)8による音声信号の増幅率のことである。また、たとえば、携帯電話のキー操作部をユーザが操作することにより、ユーザが手に持って通話するハンドセットモードとユーザが手に持つことなく通話できるハンズフリーモードとに切換えて使用可能に構成されている。
【0035】
ハンズフリー通話時には、Gain1を選択しGain1を使って演算処理された音声信号をアンプ(1)8を経由して兼用スピーカ3から出力する。ハンドセット通話時に兼用スピーカ3をレシーバとして使用する際には、Gain2を選択しGain2を使って演算処理された音声信号をアンプ(2)9を経由して兼用スピーカ3に対してレシーバと等価となる出力を行なう。
【0036】
ハンズフリー通話時には、CODEC IC7のゲイン設定でGain1の設定、およびアンプ(1)8への出力とするパス設定とし、さらにアンプ(1)8を選択する制御により兼用スピーカ3に音声出力を行う。ハンドセットとしての通話時には、CODEC IC7のゲイン設定でGain2の設定、およびアンプ(2)9への出力とするパス設定とし、さらにアンプ(2)9を選択する制御により音量を抑えた状態で兼用スピーカ3に音声出力を行い、レシーバ相当出力とする。
【0037】
次に他の実施形態を、図3に基づいて説明する。図2の実施形態では、アンプ(1)8、9の出力が兼用スピーカ3に直結している構成であり、制御LSI6の誤動作がおこれば信号が重なり合う異常な状態も起こりえる。そのような場合の回避策を盛り込んだ構成例が、図3の実施形態である。
図2で述べた、制御LSI6によるCODEC IC7内部のゲイン設定、パス設定、アンプ(1)8あるいはアンプ(2)9の選択制御に加え、アンプ(1)8の出力を兼用スピーカ3出力につなぎオン・オフ制御可能なSW(1)10と、アンプ(2)9の出力を兼用スピーカ3出力につなぎオン・オフ制御可能なSW(2)11を保有する。SW(2)11は、制御LSI6からのSW1、SW2制御信号がインバータ12を介して与えられるようになっているため、両SW(1)10、SW(2)11のうち一方がONのときには他方がOFFとなる。
【0038】
ハンズフリー通話時には、CODEC IC7のゲイン設定でGain1の設定、およびアンプ(1)8への出力とするパス設定とし、さらにアンプ(1)8を選択する制御と、制御LSI6からのSW制御信号によってSW(1)10をオンする制御によりにより兼用スピーカ3に音声出力を行う。ここで、SW(2)11はインバータ12によってSW制御信号が反転し、SW(1)10と逆の動作をすることになるので状態はオフになり、アンプ(2)9側の信号が兼用スピーカ3に流れることはない。ハンドセットとしての通話時には、CODEC IC7のゲイン設定でGain2の設定、およびアンプ(2)9への出力とするパス設定と、SW(2)11をオンする制御にして音量を抑えた状態で兼用スピーカ3に音声出力を行い、レシーバ相当出力とする。SW(1)10はオフになり、アンプ(1)8側の信号が兼用スピーカ3に流れることはない。なお、図面上SW(1)10とSW(2)11を分けているが、図4のように2入力から選択するSW13を使用することで、ひとつのSW13での構成も可能となる。
【0039】
次に、図5〜図7に基づいて、制御LSIの制御動作を説明する。
図5は、図2に示した制御回路における制御LSI6の制御動作を示すフローチャートである。ステップS(以下単にSという)10により、GAIN変更要因の受付処理がなされる。これは、たとえば、ユーザが携帯電話のキー操作部を操作して、ハンズフリーモードからハンドセットモードへまたはその逆のモードに切換える操作を行なった場合にその操作を受付ける処理のことである。次に制御がS11へ進み、Gain1が要求されたか否かの判断がなされる。ハンドセットモードからハンズフリーモードに切換えられた場合には、S11によりYESの判断がなされて制御がS12へ進み、CODEC ICにGain1への切換処理の信号を出力する処理がなされる。この信号を受けたCODEC IC7は、アンプ(1)8およびアンプ(2)9の増幅率をGain1に従ったものに制御するための信号を出力する。次に制御がS13へ進み、アンプ(2)9制御信号をLow(アンプ2を非活性)にするとともに、アンプ(1)8制御信号をHi(アンプ1を活性)にする制御がなされる。その結果、Gain1が選択された場合には、アンプ(1)8のみが活性化されてアンプ(2)9は非活性(不能動化)される。これにより、Gain1が選択された場合には、アンプ(1)8のみが能動化されてその増幅率がGain1に従ったものに制御された上で、そのアンプ(1)8を経由して音声信号が兼用スピーカ3に出力され、兼用スピーカ3から音声が出力される。
【0040】
ハンズフリーモードからハンドセットモードに切換えられた場合には、S11によりNOの判断がなされて制御がS14へ進み、CODEC IC7にGain2への切換処理の信号を出力する処理がなされる。その結果、CODEC IC7は、Gain2に従った増幅率となるようにアンプ(1)8およびアンプ(2)9を制御するための信号を出力する。次に制御がS15へ進み、アンプ1制御信号をLow(アンプ1を非活性)にし、アンプ2制御信号Hi(アンプ2を活性)にする制御がなされる。その結果、Gain2が選択された場合には、アンプ(2)9のみが能動化され、その増幅率がGain2に従ったものとなるように制御された上で、そのアンプ(2)9を経由して音声信号が兼用スピーカ3へ出力され、兼用スピーカ3から音声が出力される。
【0041】
図6は、図3に示した制御回路における制御LSI6の制御動作を示すフローチャートである。図5に示した制御と同じ内容に関しては、説明の繰返しを省略し、相違点について主に説明する。S21によりGain1が要求されたと判断された場合には、制御がS22→S23→S24へ進み、SW1、SW2制御信号をHi(SW1をON、SW2をOFF)にする制御がなされる。その結果、SW(1)10がONとなり、SW(2)がOFFとなるために、アンプ(1)8と兼用スピーカ3とが導通状態となり、アンプ(2)9と兼用スピーカ3とが非導通状態となる。
【0042】
これにより、Gain1が選択されている場合において、何らかの誤動作によりアンプ(2)9を経由して増幅された音声信号が兼用スピーカ3に与えられて音声が出力される不都合を回避できる。
【0043】
一方、S21によりNOの判断がなされた場合には、制御がS25→S26→S27へ進み、S27により、SW1、SW2制御信号をLow(SW1をOFF、SW2をON)に制御する処理がなされる。その結果、Gain2が選択されている場合には、アンプ(1)8と兼用スピーカ3とが絶縁状態となり、アンプ(2)9と兼用スピーカ3とが導通状態となる。これにより、Gain2が選択されている場合において、何らかの誤動作により、アンプ(1)8を経由して増幅された音声信号が兼用スピーカ3に与えられて兼用スピーカ3から音声が出力される不都合を防止できる。
【0044】
図7は、図4に示した制御回路における制御LSI6の制御動作を示すフローチャートである。前述したものとの相違点は、S31によりYESの判断がなされた場合に、制御がS32→S33→S34へ進み、S34により、SW制御信号をHi(SW3を経由してアンプ1とスピーカとが導通)にする制御がなされる。これにより、アンプ(1)8と兼用スピーカ3とが導通状態となる一方、アンプ(2)9と兼用スピーカ3とは絶縁状態となる。その結果、Gain1が選択されている場合において、何らかの誤動作によりアンプ(2)9を経由して増幅された音声信号が兼用スピーカ3に与えられて兼用スピーカ3から音声が出力される不都合を防止できる。
【0045】
S31によりNOの判断がなされた場合に、制御がS35→S36→S37へ進み、S37により、SW制御信号をLow(SW3を経由してアンプ2とスピーカが導通)にする制御がなされる。その結果、Gain2が選択されている場合には、アンプ(1)8と兼用スピーカ3とが絶縁状態となり、アンプ(2)9と兼用スピーカ3とが導通状態となる。これにより、Gain2が選択されている場合において、何らかの誤動作によりアンプ(1)8を経由して増幅された音声信号が兼用スピーカ3に与えられて兼用スピーカ3から音声が出力される不都合を防止できる。
【0046】
前述のアンプ(2)9は、アンプ(1)8に比べて、小さな音量を駆動する小音量駆動用アンプ(レシーバ用アンプ)でかつ静的状態のノイズレベルを抑えた低ノイズ用アンプで構成されている。アンプ(1)8はスピーカ用アンプで構成されている。具体的には、例えば、アンプ(1)8は、出力ゲイン20dB、S/N比70dB程度で、AGC(Automatic Gain Control)機能付のものである。アンプ(2)9は、出力ゲイン6dB、S/N比90dB程度である。このように構成することにより、ハンドセットモード時とハンズフリーモード時とのいずれの場合にも兼用される兼用スピーカ3から音声を出力しつつも、S/N比が劣化する不都合を極力防止できる。
【0047】
以上の実施の形態内容を多軸折畳みの構成を持つ携帯型電話端末に用いれば、以下の効果がある。
【0048】
レシーバB4を廃する事で実装部品数が少なくなり生産コストの削減ができる。
レシーバB4の省略によるヒンジ部付近の実装スペース確保に余裕ができる。
【0049】
実装部品数の減少による故障率の低減ができる。
以上の説明は、実施例を示したものであり、本案の制限的な意味合いを持つものではない。従って、実施例の変更,訂正,改良を行った場合でも、本発明の神髄及び適用有効範囲内に含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】2軸ヒンジ機構の部品配置図である。
【図2】要部の回路構成を示すブロック図である。
【図3】他の実施形態における要部の回路構成を示すブロック図である。
【図4】さらに他の実施形態における要部の回路構成を示すブロック図である。
【図5】図2に示した制御回路における制御LSIの制御動作を示すフローチャートである。
【図6】図3に示した制御回路における制御LSIの制御動作を示すフローチャートである。
【図7】図4に示した制御回路における制御LSIの制御動作を示すフローチャートである。
【図8】1軸ヒンジ機構のハンドセット通話時の部品配置図である。
【図9】1軸ヒンジ機構のハンズフリー通話時の部品配置図である。
【図10】1軸ヒンジ機構の部品配置図である。
【図11】2軸ヒンジ機構の折畳み手順(回転軸A)を示す図である。
【図12】2軸ヒンジ機構の折畳み手順(回転軸B)を示す図である。
【図13】2軸ヒンジ機構の折畳まない状態でのハンドセット通話時の部品配置図である。
【図14】2軸ヒンジ機構の折畳まない状態でのハンズフリー通話時の部品配置図である。
【図15】2軸ヒンジ機構の折畳んだ状態でのマイクA1とレシーバA2の部品配置図である。
【図16】2軸ヒンジ機構の折畳んだ状態でレシーバB4を配置したハンドセット通話時を示す図である。
【図17】2軸ヒンジ機構の折畳んだ状態でのハンズフリー通話時を示す図である。
【図18】2軸ヒンジ機構の部品配置図である。
【図19】2軸ヒンジ機構の折畳んだ状態でマイクB5を配置したハンドセット通話時を示す図である。
【図20】2軸ヒンジ機構の折畳んだ状態でマイクB5を配置した場合の部品配置図である。
【図21】2軸ヒンジ機構の折畳まない状態でマイクB5を配置した場合の部品配置図である。
【図22】従来例の要部の回路構成を示すブロック図である。
【図23】図22に示した制御回路における制御LSIの制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 マイクA、2 レシーバA、3 スピーカ、4 レシーバB、5 マイクB、6 制御LSI、7 CODEC IC、8 アンプ1、9 アンプ2、10 SW1、11 SW2、12 インバータ、13 SW3。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが手に持って通話するハンドセットモードとユーザが手に持つことなく通話できるハンズフリーモードとに切換えて使用可能な携帯型電話端末であって、
受信された音声信号を音声として出力するスピーカであって、前記ハンドセットモード時と前記ハンズフリーモード時とのいずれの場合にも兼用される兼用スピーカと、
前記ハンズフリーモード時に前記音声信号を増幅して前記兼用スピーカから出力させるための第1のアンプと、
前記ハンドセットモード時に前記音声信号を増幅して前記兼用スピーカから出力させるための第2のアンプと、
前記ハンズフリーモード時に前記兼用スピーカから出力される音声の音量をユーザがハンズフリー状態で聞き取ることができる音量となる第1の増幅率で前記音声信号を前記第1のアンプにより増幅させる制御を行なうとともに、前記ハンドセットモード時に前記第1の増幅率よりも小さな第2の増幅率で前記音声信号を前記第2のアンプにより増幅させる制御を行なう制御手段とを備え、
前記第2のアンプは、前記第1のアンプに比べて、小さな音量を駆動する小音量駆動用アンプでかつ静的状態のノイズレベルを抑えた低ノイズ用アンプで構成されていることを特徴とする、携帯型電話端末。
【請求項2】
前記第1のアンプと前記兼用スピーカとを導通状態にするとともに前記第2のアンプと前記兼用スピーカとを非導通状態にする第1の回路状態と、前記第2のアンプと前記兼用スピーカとを導通状態にするとともに前記第1のアンプと前記兼用スピーカとを非導通状態にする第2の回路状態との、いずれかに切換える回路状態切換え手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ハンズフリーモード時に前記回路状態切換え手段を前記第1の回路状態に制御し、前記ハンドセットモード時に前記回路状態切換え手段を前記第2の回路状態に制御することを特徴とする、請求項1に記載の携帯型電話端末。
【請求項3】
前記制御手段は、ソフトウェアにより制御を実行することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の携帯型電話端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2007−13402(P2007−13402A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189827(P2005−189827)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】