説明

携帯情報端末および携帯情報端末用プログラム

【課題】入力キーを使った演奏において操作すべき入力キーを案内する演奏表示情報をユーザに分かり易く表示する。
【解決手段】楽曲ファイルからノートオンとノートオフのMIDIイベントだけを取り出して、取り出したノートオンとノートオフからノート番号に対応する演奏入力キーと発音長と消音長を求めて音符と休止符を決定し、音符を示す記号と休止符を示す記号を同一線上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯情報端末および携帯情報端末用プログラムに係り、特に楽曲ファイルの再生などの発音機能を有した携帯情報端末、およびそのような携帯情報端末に搭載される携帯情報端末用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に搭載する機能の多様化が目覚しい勢いで進んでいる。
例えば、着信メロディの応用例の一つとして、メモリに格納された楽曲ファイルを再生するのと同時に、ユーザが入力キーを押下するとその入力キーに対応した電子音を発音させることが可能な携帯電話機が知られている。
【0003】
上記携帯電話機では、再生される楽曲ファイルに合わせてユーザが入力キーを使った演奏を行えるようにするため、押下すべき入力キーを案内する楽譜情報(演奏表示情報)をディスプレイ上などに表示することが便利である。そのような技術として、例えば特許文献1記載のようなものが提案されている。
【特許文献1】特開2005−321581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話機の入力キーを用いた演奏の場合、通常の五線譜による楽譜の表示では、楽器演奏に不慣れなユーザにとってはその表示内容を瞬時に理解し難いという問題があり、特許文献1においてもこの問題は解決されていなかった。
【0005】
このように、楽譜情報を表示するに際して、携帯電話機に備えられている通常の楽器とは異なる入力キー(数字の0〜9など)のどれにどの音が割り付けられているかを、ユーザに分かり易く表示できるようにすることが求められている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力キーを使った演奏において操作すべき入力キーを案内する演奏表示情報をユーザに分かり易く表示することができる携帯情報端末および携帯情報端末用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、発音する音の少なくとも音高情報と時間情報とを含む演奏データに基づいて音を発音する携帯情報端末において、所定の番号または記号が付された複数の入力キーを有し入力キーの入力に応じた音高の演奏データを生成する入力手段と、演奏データを記録してなる楽曲ファイルから音高情報と時間情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段による抽出結果に基づいて、発音する音の発音長を示す音符を決定する音符決定手段と、前記抽出手段による抽出結果に基づいて、発音する音高に対応する入力キーを決定する入力キー決定手段と、前記決定された音符の時間長を表す図形を生成し、前記決定された入力キーの番号または記号を前記図形に付与し、前記楽曲ファイルの再生に合わせて前記図形を同一の線上に配置して表示する表示手段と、前記入力手段により生成された演奏データと前記再生される楽曲ファイルの演奏データとに従って音を発音する発音手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
この発明において、楽曲ファイルが再生されると、その楽曲ファイルの音高情報と時間情報に基づいて、発音する音の音符とそれに対応する入力キーとを表す図形が表示手段に表示される。これによって、ユーザは、入力キーを用いてどのように演奏(入力キーの入力)を行えばよいかを知ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、上記携帯情報端末において、前記音符決定手段は、さらに、音を発音しない時間長を示す休止符も決定し、前記表示手段は、前記決定された休止符の時間長を表す図形も生成し、前記楽曲ファイルの再生に合わせて前記図形を同一の線上に配置して表示することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、上記携帯情報端末において、前記図形は、前記決定された音符を表す音符記号または前記決定された休止符を表す休止符記号であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、上記携帯情報端末において、前記図形は、前記決定された音符に相当する時間長に比例した長さの帯状図形であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、上記携帯情報端末において、前記楽曲ファイルは複数の演奏パートの演奏データからなり、前記抽出手段は、選択された任意のパートについて音高情報と時間情報を抽出し、前記発音手段は、前記再生される楽曲ファイルから前記選択されたパートを消音して再生することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、上記携帯情報端末において、前記表示手段は、異なるオクターブに属する前記音符を、各オクターブを表す低音側から高音側に順に配列される線上にそれぞれ対応させて配置し表示することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、発音する音の少なくとも音高情報と時間情報とを含む演奏データに基づいて音を発音する携帯情報端末のコンピュータに、演奏データを記録してなる楽曲ファイルから音高情報と時間情報を抽出する手順と、前記抽出結果に基づいて、発音する音の発音長を示す音符を決定する手順と、前記抽出結果に基づいて、発音する音高に対応する入力キーを決定する手順と、前記決定された音符の時間長を表す図形を生成し、前記決定された入力キーの番号または記号を前記図形に付与し、前記楽曲ファイルの再生に合わせて前記図形を同一の線上に配置して表示手段に表示させる手順と、前記入力キーの入力に応じた音高の演奏データを生成する手順と、前記生成された演奏データと前記再生される楽曲ファイルの演奏データとに従って発音手段に音を発音させる手順とを実行させるための携帯情報端末用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯情報端末の入力キーを用いて楽器演奏を行う場合に、演奏表示情報をユーザに分かり易く表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による携帯電話機(携帯情報端末)の構成図を示したものである。同図において、携帯電話機1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、操作部14と、表示部15と、音源16と、D/A変換部17と、スピーカ18とを有しており、これら各部はバスライン19を介して接続されている。なお、携帯電話機1は通常の携帯電話機としての通話機能も有しているが、通話機能に関する通信部や音声処理部等は本発明に直接関係なく、既存の技術を用いればよいため、図示および説明を省略する。
【0017】
CPU11は、携帯電話機1の各部を制御する中央処理装置であり、ROM12から所定のプログラムを読み込んで実行することで、様々な機能を実現する。
ROM12は、読み出し専用メモリであり、CPU11が実行する各種のプログラムを格納している。
RAM13は、随時読み出し書き込み可能なメモリであり、プログラムの実行時にCPU11が一時データの記憶などに使用する。
【0018】
操作部14は、携帯電話機1の筐体面上に設けられた複数の入力キーなどによって構成され、ユーザが携帯電話機1に対して様々な操作を行うために利用される。入力キーには、“0”〜“9”の番号キー、“#”や“*”の記号キー、携帯電話の通話を開始するための通話ボタン、通話を終了する切ボタン、画面上のカーソルを操作するカーソルキー、各種の機能を呼び出すファンクションキーなどがある。これら入力キーは、携帯電話機1を通常の電話機として使用する際に操作されるほか、番号キーと記号キーは、キーの押下により音を発音させて演奏を行う場合にも操作される。
【0019】
表示部15は、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。入力キーを使って演奏を行う際には、この表示部15上に演奏表示情報が表示されて、ユーザに対してどのように演奏(入力キーの入力)を行えばよいかを案内する。
【0020】
音源16は、複数のチャンネルを有しており、入力されるMIDI(Musical Instruments Digital Interface)信号に基づいて楽音データを生成する。この楽音データは、D/A(デジタル/アナログ)変換部17においてデジタル信号からアナログ信号へ変換されて、スピーカ18へ入力される。スピーカ18は、D/A変換部17から入力されるアナログ信号に従って音を発生させる。
【0021】
なお、音源16の具体例として、FM(周波数変調)音源やPCM(パルス符号変調)音源などがあり、そのいずれを用いることもできる。ただし、音源16はGM(General MIDI)システムレベル1に準拠し、128種類の音色が利用可能であるものとする。
【0022】
図2は、上記構成の携帯電話機1の機能ブロック図を示したものである。
なお同図中、番号キースキャナ21、MIDI制御モジュール22(番号キーアサイナ221およびMIDI変換部222)、再生モジュール23、演奏表示情報生成部24、演奏表示情報表示制御部25の各部は、CPU11で実行されるプログラムの機能として実現される。
【0023】
番号キースキャナ21は、操作部14の入力キーのうち、番号キー(“0”〜“9”)と記号キー(“#”と“*”)の合計12個のキー(以下、これらを演奏入力キーと呼ぶ)が押下されたか否か、および離上されたか否かを常時検出している。演奏入力キーのいずれかがユーザにより押下または離上された時、番号キースキャナ21は当該演奏入力キーを識別する情報(“0”〜“9”、“#”、または“*”のいずれか)と、押下と離上の区別をMIDI制御モジュール22へ出力する。
【0024】
上記12個の演奏入力キーは、音階の1オクターブ分の各音(基本音)に対応し、どの演奏入力キーがどの音に対応するかはMIDI制御モジュール22内の番号キーアサイナ221により割り付けられている。例えば、演奏入力キーの“1”はドの音、“2”はレの音、“3”はミの音、といった具合である。番号キーアサイナ221は、番号キースキャナ21から送られた演奏入力キーの識別情報(“1”や“2”や“3”)を音の情報(ドやレやミ)に置き換えて、MIDI制御モジュール22内のMIDI変換部222へ渡す。
【0025】
MIDI変換部222は、上記の音の情報と演奏入力キーの押下・離上の区別とに従って、これらをMIDI信号(演奏データ)に変換し出力する。出力されるMIDI信号はノートオンまたはノートオフであり、演奏入力キーが押下された場合は当該演奏入力キーに対応するノート番号(音高)のノートオンが発行され、演奏入力キーが離上された場合は当該演奏入力キーに対応するノート番号のノートオフが発行される。このように、ユーザによる演奏入力キーの操作に応じて、MIDI信号が生成される。
【0026】
ここで、ノートオンは音源16から当該ノート番号の音を発音させるイベントであり、ノートオフは音源16から発音されている当該ノート番号の音の発音を停止させるイベントである。音源16は、発音の開始のイベントであるノートオンを音色(楽器)によらず識別する必要があるが、発音の停止のイベントであるノートオフは音色によっては識別しなくてもよい(例えば打楽器系の場合、ノートオフは識別不要である)。
【0027】
再生モジュール23は、楽音の演奏情報を格納したファイルであるRAM13等に記憶されている楽曲ファイルを読み込んで再生する。楽曲ファイルは、楽音を構成する音のMIDI信号を示すデータ(演奏データ)がSMF(Standard MIDI File)形式で格納されているSMFファイルであり、再生モジュール23はこの楽曲ファイルの再生の際、MIDI信号を順次生成して、各イベントに規定された時間情報に従って当該生成したMIDI信号を音源16に供給する制御を実行する。また、再生モジュール23にはMIDI制御モジュール22からのMIDI信号も入力される。再生モジュール23は、このMIDI制御モジュール22からのMIDI信号と再生中の楽曲ファイルによるMIDI信号とをマージして、音源16へ供給する。
【0028】
なお、上述したように音源16は複数の音色の発音が可能であり、楽曲ファイルに複数の音色を示すデータを格納しておくことによって、複数楽器音の楽音再生を行えるようになっている。そのために再生モジュール23は、楽曲ファイルによる各MIDI信号やMIDI制御モジュール22からのMIDI信号を、チャンネル毎に音源16へ供給するものとする。
【0029】
演奏表示情報生成部24は、楽曲ファイルの演奏データに基づいて演奏表示情報を生成し、演奏表示情報表示制御部25は、生成された演奏表示情報を表示部15に表示するための制御を行う。演奏表示情報生成部24と演奏表示情報表示制御部25の機能について、以下、図3〜図5を用いて説明する。
【0030】
図3は、本携帯電話機1で再生される楽曲ファイルの構造を模式的に表した図である。なお、楽曲ファイルには通常各種制御用のデータを記述したヘッダ部も含まれるが、図3では説明の簡略化のため実際の演奏データが格納された演奏データ部のみを記した。
【0031】
図3において、楽曲ファイルの演奏データ部には、チャンネル単位で音色(楽器)の演奏データが格納されている。具体例として、CH(チャンネル)1はサックス、CH2はベース、CH3はピアノ、…、CH10はドラム、…、CH16はパーカッション、…のように各演奏データが格納されているとする。これらの複数のパートのうちユーザが任意に選択したパート(例えば、CH1のサックスのパート)の演奏データが演奏表示情報生成部24において抽出されて、当該抽出されたパートが演奏表示情報を生成する対象となる。
【0032】
楽曲ファイルの各演奏データは、ノートオン、ノートオフ、プログラムチェンジ、コントロールチェンジ、ピッチベンドなどの各種のMIDIイベントを含んで構成されている。また、各イベントの発生タイミングを規定する時間情報も含まれている。なお、プログラムチェンジは音色を変更するイベント、コントロールチェンジは音量の変更等、各種パラメータを変更するイベント、ピッチベンドは音程を変更するイベントである。
【0033】
演奏表示情報生成部24は、これらのイベントのうちノートオンとノートオフのMIDIイベントだけを抽出する。ノートオンとノートオフには、発音する音の音高情報としてノート番号が含まれている。演奏表示情報生成部24は、抽出したノートオンとノートオフから発音する音のノート番号を求めるとともに、ノートオンとノートオフの発生タイミングの時間情報から、当該発音する音の発音長(第1種の時間長;通常の楽譜の音符の長さに相当する)といずれの音も発音しない消音長(第2種の時間長;通常の楽譜の休止符の長さに相当する)とを求める。
【0034】
図4は、演奏表示情報生成部24が上記の発音長と消音長を求める処理を説明するための模式図である。演奏表示情報生成部24は、発音長をノートオンとその次のノートオフとの間隔から算出する。また、演奏表示情報生成部24は、ノートオンとノートオンとの間隔から音の発音間隔を算出し、この発音間隔と上記発音長から消音長を算出する。消音長は、ノートオフとその次のノートオンとの間隔から算出してもよい。
【0035】
演奏表示情報生成部24は、こうして求めた発音長および消音長から、発音する音の音符(四分音符や八分音符など)と休止符を決定する。なお、MIDIにおいては、ティックと呼ばれる分解能の細かい(例えば480分の1拍)時間単位で演奏データが表現されることが多いが、そのような場合には、端数となる時間を丸めて、音符や休止符の長さを四分音符、八分音符、十六分音符といった所定の種類のものに限定するようにすればよい。
【0036】
以上のようにして求めた音符と、休止符と、発音する音のノート番号に対応する演奏入力キーとが演奏表示情報となる。この演奏表示情報は、演奏表示情報生成部24から演奏表示情報表示制御部25へ出力される。なお、音符と休止符の代わりに発音長と消音長を演奏表示情報としてもよい。
【0037】
図5は、演奏表示情報表示制御部25が実行する、演奏表示情報の表示制御の処理を説明する図である。ここで、同図(a)に示す楽譜情報(演奏表示情報)が上記の演奏表示情報生成部24によって得られているものとする。同図(b)が、同図(a)の演奏表示情報を表示制御した表示の一例である。
【0038】
図5(b)において、横線は五線譜の横方向に対応しており時間の進行を表す。左端の先頭部分には4/4拍子であることを示す表示がなされる。
音符は、同図(a)に示される実際の音符に代わって丸印と縦棒と横棒の組み合わせによって作成された当該音符を表す音符記号(図形)で表示され、休止符は、同図(a)に示される実際の休止符に代わって縦棒と横棒のみの組み合わせによって作成された当該休止符を表す休止符記号(図形)で表示される。音符記号上には、演奏表示情報の演奏入力キーを表示するために、操作すべき入力キーの番号(“0”〜“9”)または記号(“#”または“*”)が付与される。さらに、異なるオクターブの音については、上位のオクターブの音は横線の上部に、下位のオクターブの音は横線の下部に、それぞれ配置されて表示される。
【0039】
演奏表示情報に基づいて図5(b)のような態様で表示部15に表示が行われることにより、ユーザは瞬時に演奏の内容を把握することができ、演奏入力キーを使って演奏をすることができる。
【0040】
なお、図5(b)において、2番目の音と6番目の音はともに同じ番号キー“4”で演奏される、異なるオクターブの音であるが、上位や下位のオクターブについては、例えば番号キーや記号キーと同時にシフトキーなど他のキーを操作することでオクターブを切り替えるようにすればよい。
【0041】
次に、上記の構成を有する本携帯電話機1において、楽曲ファイルを再生させ同時に演奏入力キーによる演奏を行う際の動作を、図6および図7に示すフローチャートを参照して説明する。図6は、本携帯電話機1の動作全体を説明するフローチャートであり、図7は、そのうちの演奏表示情報生成部24の動作を説明するフローチャートである。
【0042】
まず、ユーザが演奏を行いたい楽曲ファイルを指定すると、再生モジュール23と演奏表示情報生成部24に当該指定された楽曲ファイルが読み込まれる(ステップS1)。楽曲ファイルの指定は、操作部14の各種キーを使って行う。また、楽曲ファイルは、所定の記憶部(RAM13でもよい)に予め多数格納されていてもよいし、携帯電話機1の通信機能を利用してインターネット等からダウンロードしてもよい。
【0043】
ユーザはさらに、指定した楽曲ファイルのどのパート(楽器)を演奏したいかを入力する。この入力情報は、再生モジュール23と演奏表示情報生成部24へ送られる(ステップS2)。
【0044】
演奏表示情報生成部24は、入力された楽曲ファイルと上記入力情報とに基づいて、演奏表示情報を生成する(ステップS3)。
すなわち、図7に示すように、楽曲ファイルの中から入力情報で指定されたパート(ユーザが演奏したいパート)の演奏データが抽出される(ステップS31)。抽出された演奏データから、ノートオンとノートオフのイベントがさらに抽出される(ステップS32)。そして、このノートオンとノートオフの情報から、発音する音に対応する演奏入力キー、発音長、消音長、音符、休止符が求められて、演奏表示情報が生成される(ステップS33)。
【0045】
一方、図6において再生モジュール23は、楽曲ファイルの各演奏データのうち上記の入力情報で指定されたパートのチャンネルにミュート(消音)を設定するとともに、当該チャンネルをMIDI制御モジュール22からのMIDI信号、すなわちユーザの演奏によるMIDI信号のチャンネルに設定する(ステップS4)。この処理により、ユーザが演奏したいパートは、楽曲ファイルの演奏データがミュートされMIDI制御モジュール22からのMIDI信号のみが音源16へ出力されるようになる(マイナスワン演奏)。
【0046】
なお、上記ステップS4において、演奏する音色をユーザが変更したい場合(例えば図3の楽曲ファイルでCH1のサックスのパートをギターで演奏したい場合)には、ユーザからのその旨の入力に従って所定のプログラムチェンジを音源16へ送信する。
【0047】
次いで、ユーザが楽曲ファイルの再生を指示すると、再生モジュール23は上記の設定に従って楽曲ファイルの再生を開始し、楽曲ファイルの時刻情報(時刻シーケンス)に従ってMIDI信号を音源16に送信していく(ステップS5)。また、演奏表示情報表示制御部25は、ステップS3で生成された演奏表示情報を図5(b)の態様に制御し、表示部15に表示を行っていく(ステップS6)。こうして、楽曲ファイルの再生と演奏表示情報の表示が同期して進行していく。
【0048】
楽曲ファイルの再生中、番号キースキャナ21は演奏入力キーの押下・離上の検出を行う(ステップS7)。そして、演奏入力キーが押下されると(ステップS8のYES)MIDI制御モジュール22からノートオンが発行され(ステップS9)、演奏入力キーが離上されると(ステップS10のYES)MIDI制御モジュール22からノートオフが発行される(ステップS11)。ステップS7からステップS11は、楽曲ファイルの再生が終了するまで繰り返される(ステップS12)。こうして発行されるノートオンとノートオフが音源16に出力されることにより、ユーザの演奏が発音されることになる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、楽曲ファイルからノートオンとノートオフだけを取り出して、取り出したノートオンとノートオフからノート番号に対応する演奏入力キーと発音長と消音長を求め、求めたこれらの情報に基づいて、ユーザに演奏の内容を案内するための演奏表示情報を表示している。ノートオンとノートオフから演奏表示情報を生成しているので、処理が簡易であるという利点がある。
【0050】
また、本実施形態によれば、演奏表示情報を、演奏入力キーの番号または記号により表示するとともに、音符や休止符に類似した態様で演奏入力キーを入力するタイミングを表示している。したがって、ユーザは直感的に演奏の内容を把握することができ、演奏入力キーの操作による楽曲の演奏を容易に行うことができるようになる。
【0051】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、図5(b)に示した演奏表示情報の表示例において、入力すべき演奏入力キーを時間の進行に合わせて光らせたり、その表示色を変えたりしてもよい。また、時間の進行を表すバーを表示して、現在入力すべき演奏入力キーを示す矢印などをバー上で動かすようにしてもよい。
【0052】
また、図5(b)のように音符や休止符に類似した表示態様で演奏入力キーの操作タイミングを表現する代わりに、演奏入力キーの番号や記号を音符に相当する時間長に比例した長さの帯状図形に表示し、休止符に相当する部分はその帯状図形の表示をしないように表現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態による携帯電話機の構成図である。
【図2】図1の携帯電話機の機能ブロック図である。
【図3】楽曲ファイルの構造を示した図である。
【図4】発音長と消音長を求める処理を説明する図である。
【図5】演奏表示情報の表示制御の処理を説明する図である。
【図6】図1の携帯電話機の動作を説明するフローチャートである。
【図7】演奏表示情報生成部の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1…携帯電話機 11…CPU 12…ROM 13…RAM 14…操作部 15…表示部 16…音源 17…D/A変換部 18…スピーカ 19…バスライン 21…番号キースキャナ 22…MIDI制御モジュール 23…再生モジュール 24…演奏表示情報生成部 25…演奏表示情報表示制御部 221…番号キーアサイナ 222…MIDI変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音する音の少なくとも音高情報と時間情報とを含む演奏データに基づいて音を発音する携帯情報端末において、
所定の番号または記号が付された複数の入力キーを有し入力キーの入力に応じた音高の演奏データを生成する入力手段と、
演奏データを記録してなる楽曲ファイルから音高情報と時間情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段による抽出結果に基づいて、発音する音の発音長を示す音符を決定する音符決定手段と、
前記抽出手段による抽出結果に基づいて、発音する音高に対応する入力キーを決定する入力キー決定手段と、
前記決定された音符の時間長を表す図形を生成し、前記決定された入力キーの番号または記号を前記図形に付与し、前記楽曲ファイルの再生に合わせて前記図形を同一の線上に配置して表示する表示手段と、
前記入力手段により生成された演奏データと前記再生される楽曲ファイルの演奏データとに従って音を発音する発音手段と
を具備することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記音符決定手段は、さらに、音を発音しない時間長を示す休止符も決定し、
前記表示手段は、前記決定された休止符の時間長を表す図形も生成し、前記楽曲ファイルの再生に合わせて前記図形を同一の線上に配置して表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記図形は、前記決定された音符を表す音符記号または前記決定された休止符を表す休止符記号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記図形は、前記決定された音符に相当する時間長に比例した長さの帯状図形であることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記楽曲ファイルは複数の演奏パートの演奏データからなり、
前記抽出手段は、選択された任意のパートについて音高情報と時間情報を抽出し、
前記発音手段は、前記再生される楽曲ファイルから前記選択されたパートを消音して再生する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかの項に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記表示手段は、異なるオクターブに属する前記音符を、各オクターブを表す低音側から高音側に順に配列される線上にそれぞれ対応させて配置し表示することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの項に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
発音する音の少なくとも音高情報と時間情報とを含む演奏データに基づいて音を発音する携帯情報端末のコンピュータに、
演奏データを記録してなる楽曲ファイルから音高情報と時間情報を抽出する手順と、
前記抽出結果に基づいて、発音する音の発音長を示す音符を決定する手順と、
前記抽出結果に基づいて、発音する音高に対応する入力キーを決定する手順と、
前記決定された音符の時間長を表す図形を生成し、前記決定された入力キーの番号または記号を前記図形に付与し、前記楽曲ファイルの再生に合わせて前記図形を同一の線上に配置して表示手段に表示させる手順と、
前記入力キーの入力に応じた音高の演奏データを生成する手順と、
前記生成された演奏データと前記再生される楽曲ファイルの演奏データとに従って発音手段に音を発音させる手順と
を実行させるための携帯情報端末用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−151918(P2008−151918A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338358(P2006−338358)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】