説明

携帯機器上での情報アイテム提示方法

本発明は、情報アイテムを提示する方法及び携帯機器(10)に関する。携帯機器は、例えば、PDA、パームトップ、PHS、携帯電話、などである。本方法は、ユーザの用品及び衣服の少なくとも1つのIDを取得する工程と、識別された用品及び衣服の少なくとも1つの属性を反映したモードを決定する工程と、モードに応じて情報アイテムを決定し、提示する工程(13、15)とを有する。本方法は、更に、携帯機器へ送信された発信者からの第一のメッセージを取得する工程と、第一のメッセージが受信されたときにモードに応じて第二のメッセージを決定する工程と、第一のメッセージへの応答として発信者に第二のメッセージを送信する工程と有する。第二のメッセージを決定する工程は、モードを携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信する工程と、サービスプロバイダ上で受信された携帯機器のモード及びIDに基づいて第二のメッセージを決定する工程とを有する。本方法は、更に、少なくとも1つの用品及び衣服の属性を修正する工程を有する。これにより、携帯機器が刺激性のある音を発する又は強烈なカラー表示を点滅させる不快な又は危険な状況を解決できる。なぜなら、上記モードは、ユーザにとって便利なものしか提示しないからである。さらに、本携帯機器又はサービスプロバイダは、ユーザのインタラクションなしに、呼に自動的に応答できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器上に情報アイテムを提示する方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、上記方法を実行するコンピュータ・システムに関する。
【0003】
本発明は、更に、上記方法を実行するコンピュータプログラム製品に関する。
【0004】
加えて、本発明は、情報アイテムを提示する携帯機器に関する。
【背景技術】
【0005】
特許文献1は、所定のイベントが発生したときにユーザに警報するための色による警報信号を提供する装置について開示している。この警報装置は、例えば、色ベースの機器が内蔵された指輪、コンピュータ、ストラップ、腕時計、又は、衣服などである。
【特許文献1】米国特許第6,249,222号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、PDAや携帯電話などの携帯機器においては、該携帯機器から自動的に提供される情報がユーザを厄介な又は危険な状況にする可能性がある、という問題がある。例えば、ユーザが高速道路を車で走行しているとき、音楽又は音によるメッセージで警報されることは邪魔になるだけでなく、危険ですらある。なぜなら、このようなメッセージは、潜在的な危険状況からユーザの注意をそらし得る。更に問題となるのが、これは携帯機器を使用中にもあてはまることであるが、会議中やオーバーヘッドでプレゼンテーション中に刺激性のある音を発したり、強烈なカラー表示を点滅させたりして携帯機器の情報へ注意を向かせることはユーザにとって不快である場合もある。
【0007】
安全性を更に向上させるために、着信時に携帯機器の所有者が実際に何をしているのかを発信者に自動的に知らせることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題は、上記方法が、ユーザの用品及び衣服の少なくとも1つのIDを取得する工程と、識別された用品及び衣服の少なくとも1つの属性を反映したモードを決定する工程と、前記モードに応じて前記情報アイテムを決定し、提示する工程とを有するときに、上記方法によって解決される。
【0009】
これにより、第一の工程において、用品及び衣服のIDが、ユーザの服、眼鏡、靴、スポーツ用品、又は、音楽用品などのユーザの文脈又は環境に関する情報を携帯機器に提供する。これが可能であるのは、これら用品及び衣服の各々が、プリントされたバーコード、プリントされたパターン、スマートカード、磁気ストライプ、トランスポンダ、コードタグなどのIDコードを有するからである。このIDコードには1以上の属性が含まれる。このIDコードは、対応する属性と共に、この第一の工程において携帯機器によって読み取られる。
【0010】
第二の工程において、識別された用品及び衣服の1以上の属性は、後に第三の工程において用いられる提示スタイルについてのモードを規定する。
【0011】
これにより、例えばPDA機器やPHSなどの携帯機器は、第三の工程の提示において、特定の色を用いて携帯機器のディスプレイがユーザの洋服の生地と似た色を表示することを実現する。
【0012】
上記モードは、上記携帯機器のIDと共に、サービスプロバイダへ送信されてもよい。その場合、サービスプロバイダは、あらゆる着信を捕らえ、上記モードに応じてそれら着信が携帯機器へ到達しないようにする。さらに、上記モードは、サービスプロバイダ上で、呼を別の携帯機器へ転送してもよく、或いは、ボイスメール、ボイスメール挨拶などを通じて応答してもよい。
【0013】
第三の工程において、提示は、非提示でもよい。すなわち、携帯機器は、着信音を鳴らさないモード又はディスプレイに何も表示しないモードに切替られてもよい。これにより、ユーザは、交通の中で安全に走行できる。なぜなら、ユーザは着信によって邪魔されないからである。
【0014】
換言すれば、PDAや携帯電話などの携帯機器から自動的に情報が提供され、ユーザが不快な又は危険な状況に陥り得るという問題(又は状況)は、上記3つの工程によって解決される。なぜなら、これら3つの工程がそのような状況を回避することができるからである。
【0015】
加えて、携帯機器が刺激性のある音を発する又は強烈なカラー表示を点滅させるという不快な状況も解決できる。なぜなら、上記3つの工程は、別のモード、別の提示スタイルで、このような作動を禁止することができるからである。
【0016】
これに対応して、流行に敏感な携帯機器のユーザは、(彼の洋服のIDに応じた)別のモードにおいて、彼の携帯機器のディスプレイが彼の服の色と似た色を表示することを経験する。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記方法は、上記携帯機器へ送信された発信者からの第一のメッセージを取り出す工程と、該第一のメッセージが受信されたときに、上記モードに応じて第二のメッセージを決定する工程と、上記第一のメッセージへの応答として上記発信者に上記第二のメッセージを送信する工程とを更に有する。
【0018】
一般的に、上記第四〜第六の工程において、ユーザとのインタラクションなしで、1以上の属性の組み合わせが発信者への応答に用いられるモードを規定する。
【0019】
第四の工程において、上記第一のメッセージは、別の携帯機器の発信者からサービスプロバイダによって又はサービスプロバイダを通じて受信側の携帯機器へ送信される。
【0020】
第五の工程において、上記第一のメッセージに対する応答として、上記第二のメッセージが受信側携帯機器の現在のモードに応じて決定される。
【0021】
第六の工程において、受信側携帯機器は、提示モードが具体的に何であるかは別にして、特に、ボイスメール挨拶メッセージ(例えば、ユーザが現在運転中であることを知らせるための交通騒音、など)が自動的に発信者に返されるという効果を提供する。これにより、受信側携帯機器のユーザは、交通の中で安全に走行できると共に、インタラクションなしで彼が実際に何をしているか(すなわち、運転中であること)を発信者に間接的に知らせることができる。
【0022】
これにより、安全性が向上する。なぜなら、発信者は電話を掛けた相手のインタラクションなしで自動的に相手が何をしているのかを知ることができるからである。電話を掛けた相手が何をしており、どこにいるかがわかれば、その後の緊急の又は事故の状況における救命にもつながる。
【0023】
本発明の別の実施形態において、上記第二のメッセージを決定する工程は、上記モードを上記携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信する工程と、該サービスプロバイダ上で受信された上記携帯機器のモード及びIDに基づいて上記第二のメッセージを決定する工程とを有する。
【0024】
これにより、上記2つの工程において、上記サービスプロバイダは、該サービスプロバイダが上記携帯機器のモード及びIDを知ったときに、上記第二のメッセージを決定する。
【0025】
上記問題は、上記携帯機器が、ユーザの用品及び衣服の少なくとも1つのIDを取得する少なくとも1つのIDリーダと、識別された用品及び衣服の少なくとも1つの属性を反映したモードを決定する手段と、該モードに応じて情報アイテムを決定し、提示する手段とを有するとき、上記携帯機器によっても解決される。
【0026】
本発明の一実施形態において、上記携帯機器は、更に、発信者から第一のメッセージを受信する手段と、上記第一のメッセージが受信されたときに上記モードに応じて第二のメッセージを決定する手段と、該第二のメッセージを上記第一のメッセージに対する応答として上記発信者に送信する手段とを有する。
【0027】
本発明の別の一実施形態において、上記第二のメッセージを決定する手段は、上記モードを上記携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信する手段を更に有し、該サービスプロバイダが上記第二のメッセージを決定する。
【0028】
本発明の更に別の一実施形態において、上記携帯機器は、更に、少なくとも1つの用品及び衣服の属性を修正する手段を有する。
【0029】
本携帯機器は、上記方法との関連で既述したのと同じ理由で同じ利点を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
好ましい実施形態との関連において、添付図面を参照し、本発明をより完全に説明する。図面中、同じ符号は類似する又は対応する特徴や機能などを表す。
【実施例】
【0031】
図1は携帯機器を示している。この携帯機器をその特徴を用いて説明する。本携帯機器は、符号10で示されている。ユーザ18は、それぞれ前面に配置された携帯機器のディスプレイ13及び/又はスピーカ15から情報コンテンツを取得する。情報コンテンツは、ディスプレイ上に表示されると共に、音又は音楽を含む場合には任意的に又は追加的にスピーカ15又はピエゾなどの類似の機器を用いて出力される。本携帯機器は、他の携帯機器と連動して作動させることができるため、基本的に、音情報、テキスト情報、及び画像情報をユーザに提供することができる。本携帯機器を他の機器と共に用いる方法については後に図3において述べる。本携帯機器に内臓された1以上の様々なIDリーダ12は、本携帯機器上に配置されてもよく、或いは、埋め込まれてもよい。
【0032】
上記1以上のIDリーダは、本携帯機器に該携帯機器が用いられている環境を知らせるのに用いることができる。このIDリーダは、例えば、アイテムを識別するのに用いられる従来技術において既知の信号を受信又は読み取り可能な任意のセンサである。ここで、アイテムとは、例えば、洋服、靴、眼鏡、アウトフィット(服装一式)などのユーザの衣服や、スポーツ用品、音楽用品などの他の種類の用品などのユーザの用品、などである。これらのアイテムには、プリントされたバーコード、プリントされたパターン、スマートカード、磁気ストライプ、トランスポンダ、コードタグ、RFタグなどを用いて、ID(コード)が下げられるか、又は、付けられる。これに対応して、IDリーダは、例えば、バーコード・リーダ、スマートカード・リーダ、磁気ストライプ・リーダ、トランスポンダ・リーダ、タグ・リーダ、パターン・リーダ、光学式読取装置、などである。
【0033】
よって、IDリーダを備えた携帯機器と、上記のバーコード、プリントパターン、スマートカード、磁気ストライプ、トランスポンダ、タグ、などのIDが取り付けられた又は埋め込まれた用品/衣服とから構成されたインテリジェント・システムが可能となる。上記IDのうち最もインテリジェントなものは、例えば、電磁誘導、バッテリ、コンデンサ、太陽電池などの組み込み電源と、属性を修正可能なメモリと、修正可能な内蔵プログラムとが埋め込まれた統合ミクロコントローラを有する。この場合、ユーザは、例えば、PDAや携帯電話などである自分の携帯機器を用いて、ID上で例えばJava(登録商標)アプレットなどを再プログラミングし、再び動かすことができる。
【0034】
これは、本携帯機器が、アイテムのIDと密接に接触することによって又はワイヤレス通信によって、上記アイテム(衣服、用品、など)のIDにアクセスする、すなわち読み書きする、ことができることを意味する。
【0035】
1以上のIDリーダ12を用いて、ユーザの衣服及び/又は用品に関する本携帯機器の環境を判断することができる。本携帯機器の環境が既知になれば、該環境を反映した情報コンテンツを決定し、本携帯機器上に提示することができる。これについては、後に図3の方法においても説明する。
【0036】
逆に、本携帯機器に内蔵されたIDライタ(図示せず)を用いて、本携帯機器は、上記IDへ1以上の属性をプログラムする又はダウンロードすることができる。
【0037】
ユーザは、入力デバイス14によって与えられた上述の情報コンテンツに応答することができる。この入力デバイスは、例えば、キーボードや、上記ディスプレイへの接触に感応するプッシュボタン及び/又はフィールド、などである。この入力デバイスは、更に、ボタン若しくはボタン配列や、マウス、トラックボール、タッチパッド、デジタルペンなどのポインティングデバイス、などでもよい。加えて、上記入力デバイスは、本携帯機器の機能(例えば、モード、プレゼンテーション形式、所定のモード、ユーザの用品、ユーザの衣服などを反映したメッセージ又は応答、など)を制御する声又は音声コマンドを受信するマイクを有し得る。
【0038】
上記情報コンテンツは、プロセッサを用いて、表示及び/又は再生されてもよく、或いは、サービスプロバイダを用いて他の携帯機器へ転送されてもよい。本携帯機器は、例えば、プロセッサ17に接続された通信装置16を用いて、上記情報を受信することができる。この通信装置は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)や、ワイドエリアネットワーク(WAN)や、インターネット、イントラネット、エキストラネットなどのそれらの任意の組み合わせなどのネットワークを用いて、情報を送受信する。このネットワークは、例えばモバイル通信ネットワークなどのように、有線通信リンクと無線通信リンクとから構成されてもよい。このネットワークは、従来技術から既知の汎用のソリューションでもよく、或いは、携帯機器とサービスプロバイダとの間の通信を最適化するための専用のものであってもよい。
【0039】
プロセッサは、ディスプレイ(前面に接触感応フィールドを持っていれば)からの入力、入力デバイスからの入力、IDリーダからの信号、通信装置からの信号、を受信するように構成される。プロセッサは、更に、ディスプレイへのディスプレイデータ、スピーカへの音又は音楽データ、通信装置への応答としての他のデータ、を生成するように構成される。
【0040】
図2は、本携帯機器を含み得る本発明の好ましい実施形態を示している。本携帯機器の一実施形態として示されている携帯電話10は、ディスプレイ手段13と、入力手段としてのキーパッド14と、上述の通信装置に接続されたアンテナ22と、別の考え得る入力手段としてのマイク21と、スピーカ15とを有する。次の図で説明する本発明に係る方法は、追加的なハードウェア及び/又は計算処理をわずかしか必要としないこの携帯機器上で実行することができる。この携帯電話の代わりに、PDAや、パームトップや、PHSなどでもよい。
【0041】
図3は、携帯機器上に情報アイテムを提示する方法を示している。
【0042】
ステップ90において、本発明の好ましい実施形態に係る方法が開始される。携帯機器の状態又はサービスプロバイダ上での携帯機器の状態に対応した変数、フラグ、識別された用品又は衣服、提示されたコンテンツ、メッセージ、発信者などのトラックを保持するバッファ、などはデフォルト値にセットされる。本方法が2度目に開始されるときは、壊れた変数、フラグ、バッファ等だけがデフォルト値へリセットされる。
【0043】
ステップ100において、ユーザの用品及び衣服のうち少なくとも1つのIDが携帯機器によって取得される。携帯機器にその周囲の環境、すなわちユーザの衣服(例えば、洋服、靴、眼鏡、アウトフィットなど)及びユーザの用品(例えば、スポーツ用品、音楽用品などの他の種類の用品、など)、を認識させるために、携帯機器は、このステップにおいて、それらを識別する。
【0044】
換言すれば、ユーザの衣服及びユーザの用品は識別される必要があるため、プリントされたバーコード、プリントされたパターン、スマートカード、磁気ストラップ、トランスポンダ、コードタグなどを用いて、それらにIDコードをぶら下げる又は付けることができる。これに対応して、ユーザ用品及び衣服のうちの少なくとも1つのIDは、図1に符号12で示したバーコード・リーダ、スマートカード・リーダ、磁気ストライプ・リーダ、トランスポンダ・リーダ、コードタグ・リーダ、パターン・リーダ、光学式読取装置などのIDリーダを用いて、取得される。
【0045】
IDコードは、プリント・バーコードなどによって実現される。IDコードは、用品及び衣服又は用品及び衣服上の読み取るのに適した場所に配置されてもよく、又は、用品及び衣服内の読み取るのに適した場所に埋め込まれてもよい。これら(タグ又はIDコード)の各々は、1以上の属性を備えた固有のユニークなIDを有する。この属性は修正することができる。これについてはステップ700において述べる。
【0046】
ステップ200において、携帯機器のモードが決定される。このモードは、識別された用品及び衣服の属性の少なくとも1つを反映している。さらに、このモードは携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信されてもよい。
【0047】
以下、1以上の属性においてモードを決定する基礎の例を挙げる。決定されたモードは、次のステップにおいて、情報アイテムがどのように提示されるのかを定義するのに用いられる。
【0048】
例1:ユーザがライダージャケット(衣服の一例)を着てオートバイに乗り、降車後にそれを脱ぐ場合を考える。本発明の好ましい実施形態において、携帯機器(例えば、携帯電話)が身に付けられている場合、乗車中は着信音が鳴らないモードに入れられたままにされると共に、このモードによって乗車中にはオートバイのエンジンの音がボイスメール挨拶メッセージとして自動的に発信者に返され、着信者の状況を発信者に知らせると便利である。これにより、ユーザは、着信に邪魔されずに安全なオートバイ乗車ができると共に、発信者に彼が実際に何をしている最中かを知らせることができる。後者は、後にその携帯電話のユーザへの連絡が失われた場合に役立つ。「乗車中は着信音を鳴らさず、オートバイのエンジン音をボイスメール経由で返す」モードを決定する属性は、ライダージャケット上の(IDリーダで読み取り可能な)ID上の属性123である。ここで、1は黒、すなわちジャケットの色、を表し、2はライダージャケットであることを表し、3はオートバイボイスメール挨拶へ切り替えることを表す。
【0049】
本例において、ボイスメールは携帯機器に記憶されるため、サービスプロバイダはこの携帯機器への発呼へ直接応答する必要はない。なぜなら、このモードにおいては、携帯機器自身が自動的に着信に応答するからである。
【0050】
換言すれば、識別された用品及び衣服の1以上に属する属性は、混合されたとき又は組み合わせられたとき、後の情報提示に用いられるモード及び次のステップにおいて携帯機器上で/から提供される応答を決定する。
【0051】
上述のように、このモードを携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信してもよい。モード(及びID)から、サービスプロバイダは、着信をどう扱えばよいか、さらには着信にどう応答すればよいか、を知る。この場合を例2として示す。月曜日のスケジュール、すなわち午前10時から12時までチーム会議であり、ユーザは11時から12時までは携帯機器への着信を受けたくない、を示す衣服上のRFタグを読み取った後、本携帯機器は、対応する「会議中は無条件に着信を秘書へ転送」モードにセットされ、携帯機器又はサービスプロバイダは、午前11〜12時の間、秘書の電話番号への着信の無条件転送を登録する。午前11時に、本携帯機器は、「本日12時まで秘書の番号へ着信を無条件に転送を登録」モードに入るように、例えばネットワーク・オペレータのサービスプロバイダへリクエストを送る。午前12時に、本携帯機器は、着信を受け付ける別のモードに再び入るように、サービスプロバイダへ新たなリクエストを送る。換言すれば、本携帯機器又はサービスプロバイダは、携帯機器のモードがいつ切り替わるかを知っている。
【0052】
ステップ300において、情報アイテムが決定され、提示される。原則として、情報アイテムは、携帯機器上で提示される前に、上記モードに応じて決定される。提示は、図1で述べたディスプレイ及び/又はスピーカによって行われる。
【0053】
別の一例として、衣服である赤いシャツが属性212を有するものとする。ここで、2は赤、1は週末のシャツ、及び、2は、可能なとき、基本的に赤みを帯びた表示への切替、を表している。ユーザは、まず、自分の携帯機器を特定の服について特定の動作をするようにプログラムする。すなわち、その服の属性を用いて、最後にはプログラムする。週末のシャツ上のバーコード、スマートカード、又は、磁気ストライプなどは、これに応じて属性を有する。換言すれば、これら属性は、例えばバーコード・リーダやスマートカード・リーダなどのIDリーダによって読み取られたときに、その情報アイテムの提示動作、すなわち携帯機器の(提示)モード、を規定する。
【0054】
ユーザは、自分の携帯機器上の(所定の衣服又は用品用の属性群に属する)各属性についてとられるアクションを提供する。ユーザは、使用前且つこのステップの前に、それらを携帯電話に直接プログラムしてもよく、或いは、PC上のアプリケーションを用いてそれらを携帯機器へダウンロードしてもよい。
【0055】
上記情報アイテムは、プレーンテキスト、写真、フレーム、動画、ワードプロセッサデータ、スプレッドシートデータ、カレンダ若しくは暦情報、スケジュール情報、テキスト若しくは写真メッセージ、ボイスメール、ビデオメール、電子メール、SMSなどの提示可能なアイテムの組み合わせを含み得る。
【0056】
したがって、決定されたモードは、上記提示可能アイテムがどのように表示されるべきか(例えば、ボタンにはどのようにバックライトが当てられるべきか)、ディスプレイのバックライト、文字の色、テキスト、フレーム、音のレベル及び/又は種類、音楽、テクスチャー、着信音の音量及び/又は種類、電源オン/オフ、バイブレーションオン/オフ、などを決定する。「赤いシャツ」、「週末のシャツ」、及び、「基本的に赤みを帯びた表示への切替」などの属性の例では、携帯機器は、例えば、ディスプレイに赤いバックライトを提供するか、及び/又は、別の色の背景上に赤い文字を提供することによって、上記属性を反映したモードを用いる。
【0057】
ここで、本発明の利点は、流行に敏感なユーザが、携帯機器のディスプレイにユーザの洋服(衣服)の色と類似した色を表示させることができることである。
【0058】
ステップ400において、第一のメッセージが、携帯機器において受信される。この第一のメッセージは、サービスプロバイダによって又はサービスプロバイダを通って、別の携帯機器の発信者から送信されたものである。この発信者からの着信又はメッセージの受信は、携帯機器の実際のモードが該受信を携帯機器のユーザ(すなわち、着信を受けた人)には知らされずに行われるように規定したものである場合、そのように行われる。これに対応して、以下に述べるように、着信への応答としての通知及び発信者(すなわち、第一のメッセージを送信した人)への通知の種類は、ステップ200において既述した既に決められたモードに応じて、行われる及び決定される。
【0059】
ステップ500において、第二のメッセージが決定される。この第二のメッセージも、ステップ200において既述した上記モードに応じて決定される。第二のメッセージは、通常、上記第一のメッセージへの応答として決定される。本発明の好ましい実施形態において、第二のメッセージは、サービスプロバイダ上で決定される。これを以下の2つのステップ510及び520において説明する。ステップ500は、ステップ510及び520を一般化したものである。
【0060】
ステップ510において、モードが、携帯機器のIDと共に、サービスプロバイダへ送信される。サービスプロバイダへ送信してきた携帯機器を識別するために、携帯機器は上記ID(すなわち、電話番号又はネットアドレス)によって識別される。加えて、上述のモードもサービスプロバイダへ送信される。これにより、サービスプロバイダは、現在のモードと、それがどの携帯機器から来たか、を知る。
【0061】
ステップ520において、受信された携帯機器のモード及びIDに基づく第二のメッセージがサービスプロバイダ上で決定される。現在のモードとそれがどこから来たのか(例えば、電話番号及び/又はネットアドレスなど)を知っているため、サービスプロバイダは、特に受信されたモードに基づいて、第二のメッセージを決定することができる。サービスプロバイダが加わった例1の変形例、すなわち、ユーザが(モードを定義する属性の1つとして)属性3(=ライダーボイスメース挨拶への切替)を有するライダージャケットを着てオートバイに依然として乗っている場合、について、第二のメッセージは、結果として、「オートバイのエンジン音を伴ったサウンドボイスメールを用いたボイスメール」を有する。注目すべきは、ステップ200及び300において、同じモードがこの携帯機器が「オートバイ乗車中は着信音を鳴らす」べきではない、と既に決定していることである。
【0062】
属する属性を伴った任意のモードの意味は、サービスプロバイダ上で判断される。ユーザがサービスプロバイダ上に記憶された5つのボイスメール挨拶を有し、三番目のものがライダーボイスメールであるものとすると、この実施例において、値「2」を有する属性は「ボイルメール・モード」へ切り替えるために「ライダージャケット」を意味し、この属性は新しい値「3」を有することによってサービスプロバイダから三番目のボイスメール挨拶を選択するように修正される。
【0063】
携帯機器が自分自身で(モードによって)着信への応答を規定したステップ200と比較して、ここでは、サービスプロバイダが、例えば、発信者に結局無駄に終わった複数回にわたる呼び出しの試みが終わったことを知らせるなどの呼び出しへのより複雑な応答を生成する。これは、第二のメッセージの一部である。さらに、ステップ500〜600において、携帯機器が電源が入っていないモード又は所有者によって意図的に電源オフされたモードであっても、サービスプロバイダが依然として呼にインテリジェントに応答できるところが本発明の利点である。
【0064】
ステップ600において、第二のメッセージは、第一のメッセージへの応答として発信者へ送信される。これにより、例1の続きとして、発信者はサービスプロバイダからオートバイのエンジン音を伴ったボイスメールを受信する。これにより、例1の携帯機器のユーザがオートバイに乗車中であり、邪魔されたくないこと、及び、すべての発信者に彼が何をしているのかを、すなわち彼がオートバイに乗車中であることを、依然として知らせたいと思っていること、が発信者に知らされる。
【0065】
一般的に、プリントされたバーコード、プリントされたパターン、スマートカード、磁気ストライプ、トランスポンダ、コードタグなどに用品及び衣服の一部として規定された識別された用品及び衣服の1以上に属する属性は、ステップ400〜600において、混合され組み合わせられたとき、ユーザとのインタラクションなしで携帯機器から与えられる応答を決定する。
【0066】
これにより、ユーザは、着信に邪魔されずに安全なオートバイ乗車ができると共に、彼が実際に何をしているのかを電話を掛けてきたすべての人に自動的に知らせることができる、ことが本発明の利点である。
【0067】
一般的には、これにより、ユーザは、任意の邪魔されない活動を行うことができると共に、彼が実際に何をしているのかを電話を掛けてきたすべての人に自動的に知らせることができる、ことが本発明の利点である。
【0068】
ステップ700において、用品及び衣服の少なくとも1つの属性が修正される。これは、ユーザが別の提示を持ちたいとき、すなわち、所定のモードの別の異なるセットアップを持ちたいとき、である。このような場合、プリントされたバーコード、プリントされたパターン、スマートカード、磁気ストライプ、トランスポンダ、及び/又は、コードタグなどに用品及び衣服の一部として記憶又は表示された1以上の属性は、これに応じて変更される必要がある。これは、新しいバーコード、新しいパターン、新しいスマートカードのコンテンツ、新たしい磁気ストライプなどを用品及び衣服の一部として用いることによって直接的に実行されてもよく、及び/又は、属性及び対応する携帯機器のモードの意味を再定義することによって実行されてもよい。
【0069】
これは、別の方法として、(図1で述べた)IDライタを用いて、1以上の属性をスマートカード、トランスポンダ、コードラグなどへ1以上の属性をダウンロード又はプログラムすることによって、間接的に実行されてもよい。
【0070】
本出願を通じて、「提示」、「提示する」などの表現が用いられるとき、これは情報コンテンツが携帯機器上の対応するディスプレイ上に表示されることを指していることが意図されている。また、更に、情報コンテンツがスピーカから出力されるのが適している場合、すなわち情報コンテンツが音及び/又は音楽を含んでいるとき、コンテンツは再生もされる。これは、携帯機器がスピーカなどの装置を有することにより、可能となる。
【0071】
「情報コンテンツ」又は「情報アイテム」という言い回しにより、第一及び第二のメッセージは、携帯機器上のディスプレイ及び/又はスピーカによって提示可能なもの、すなわち、プレーンテキスト、写真、フレーム、動画、ワードプロセッサデータ、スプレッドシートデータ、カレンダ若しくは暦情報、スケジュール情報、テキスト若しくは写真メッセージ、ボイスメール、ビデオメール、電子メール、SMS、及び、これらの組み合わせ、を通常表す情報を意味する。
【0072】
モードが新たしい提示スタイルを決定する場合、これに応じて、ボタンのバックライト、ディスプレイのバックライト、文字の色、テキスト、フレーム、音のレベル及び/又は種類、音楽、テクスチャー、着信音の音量及び/又は種類、電源オン/オフ、バイブレーションオン/オフ、などが変更される。
【0073】
通常、本方法は、当該携帯機器に電源が入っている限り、最初から繰り返される。電源が入っていなければ、本方法はステップ800で終了する。しかし、携帯機器に再度電源が入れられるなどしたとき、本方法はステップ100から開始する。
【0074】
本携帯機器は、例えば、携帯電話、PDA、パームトップ、PHS、などの本方法を実行できるあらゆる任意の携帯機器でよい。
【0075】
コンピュータ可読媒体は、例えば、磁気テープ、光ディスク、DVD、コンパクトディスク(記憶可能CD、又は、書込可能CD)、ミニディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、スマートカード、PCMCIA、などである。
【0076】
請求項において、括弧内のあらゆる参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する(comprising)」という語は、請求項にリストアップされた以外の要素又は工程の存在を排除しない。要素の前につけられた「1つの(a/an)」という語は、その要素が複数存在することを排除しない。
【0077】
本発明は、複数の別体の要素を含むハードウェアと、適切にプログラムされたコンピュータとを用いて、実現可能である。複数の手段を列挙した装置クレームにおいて、これら複数の手段は、1つの同じハードウェアアイテムによって実現されてもよい。ある対策が相互に異なる従属項に述べられているという単なる事実は、これら対策を組み合わせても利益のある使い方とはならないことを示しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】携帯機器の第一の実施形態を示す図である。
【図2】携帯機器の第二の実施形態を示す図である。
【図3】携帯機器上に情報アイテムを提示する方法を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報アイテムを携帯機器上に提示する方法であって、
ユーザの用品及び衣服の少なくとも1つのIDを取得する工程と、
識別された用品及び衣服の少なくとも1つの属性を反映したモードを決定する工程と、
前記モードに応じて前記情報アイテムを決定し、提示する工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、
前記携帯機器へ送信された発信者からの第一のメッセージを取り出す工程と、
前記第一のメッセージが受信されたときに、前記モードに応じて第二のメッセージを決定する工程と、
前記第一のメッセージへの応答として前記発信者に前記第二のメッセージを送信する工程と、を更に有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、
前記第二のメッセージを決定する工程は、
前記モードを前記携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信する工程と、
前記サービスプロバイダ上で受信された前記携帯機器のモード及びIDに基づいて前記第二のメッセージを決定する工程とを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の方法であって、
少なくとも1つの用品及び衣服の属性を修正する工程を更に有する、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の方法であって、
前記携帯機器は、PDA、パームトップ、PHS、又は携帯電話である、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
コンピュータ可読媒体上に記憶され、コンピュータ上で動かされたときに請求項1乃至5のいずれか一項記載の方法を実行するプログラムコード手段を有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
情報アイテムを提示する携帯機器であって、
ユーザの用品及び衣服の少なくとも1つのIDを取得する少なくとも1つのIDリーダと、
識別された用品及び衣服の少なくとも1つの属性を反映したモードを決定する手段と、
前記モードに応じて前記情報アイテムを決定し、提示する手段と、を有することを特徴とする携帯機器。
【請求項8】
請求項7記載の携帯機器であって、
発信者から第一のメッセージを受信する手段と、
前記第一のメッセージが受信されたときに前記モードに応じて第二のメッセージを決定する手段と、
前記第二のメッセージを前記第一のメッセージに対する応答として前記発信者に送信する手段と、を更に有することを特徴とする携帯機器。
【請求項9】
請求項8記載の携帯機器であって、
前記第二のメッセージを決定する手段は、前記モードを前記携帯機器のIDと共にサービスプロバイダへ送信する手段を更に有し、
前記サービスプロバイダが、前記第二のメッセージを決定する、ことを特徴とする携帯機器。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか一項記載の携帯機器であって、
少なくとも1つの用品及び衣服の属性を修正する手段を更に有する、ことを特徴とする携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−508566(P2006−508566A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549413(P2004−549413)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004487
【国際公開番号】WO2004/043095
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】