説明

携帯端末の制御方法

【課題】 2つの筐体によるスライド式携帯通信端末において、スライド中に各筐体の合わせ面におけるキーが不測に押されてしまったとき、誤動作しないようにする。
【解決手段】 表面1aにサブキー操作部4を有する第1筐体1と、表面2aにキ
ー操作部3を有する第2筐体2とを、第1筐体1の裏面と第2筐体2の表面2a
とが合わさるようにして凸部11と凹部12の嵌合によりスライド可能に連結し、第1筐体1と第2筐体2とを重ねた収納状態でロックするロックボタン9とロック爪9aを設け、そのロック解除動作を検出してサブキー操作部4及びキー操
作部3からのキー入力の受付を禁止するようにする。また、ロック解除後、第1筐体1と第2筐体2とが所定ストロークをスライドして伸長状態になったことをセンサ10で検出したとき、上記キー入力の受付禁止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれキー操作部を有する2つの筐体をスライド式に連結した携帯通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯電話機等の携帯端末は、折り畳みタイプに代表されるように、2つの筐体で構成されるものが主流になっている。一方では、携帯端末の機能も飛躍的に向上し、単なる携帯型電話からPDA(Personal Digital Assistants)的な使い方が重要視されるようになってきている。その場合、折り畳みタイプでは、折り畳んだとき(収納時)に表示用のLCD(Liquid Crystal Display)が、2つの筐体の合わせ面側に向いてしまい、表示面が見えなくなるという問題が出てきている。このように携帯電話機をPDA的な使い方をするというようなライフスタイルの変化に応じて、携帯端末も折り畳みタイプから、収納時にも表示用のLCDが表面に出ているような構造に変わりつつある。
【0003】
また、従来より折り畳みタイプやスライドタイプの携帯端末において、使用者の意図しない場面でボタンが不測に押されて誤動作することを防止する技術が提案されている。その一つとして、薄い2つの筐体が収納時に外部からの力により撓んだ場合に、2つの筐体の合わせ面にある操作キーが誤って押されてしまうことを防止するようにしている。また、単なる電話機のキーロックに関する技術を開示しているものがある。
【特許文献1】実開平6−41245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、スライドタイプの場合、開閉操作に際して筐体をスライドさせている途中で、2つの筐体に配置された操作キーが不測に押されてしまう虞があるという問題があった。
【0005】
また、スライドタイプの携帯端末をスライドさせるときは、通常は上部の筐体の表面に指を当てて、その指を押したり引いたりしてスライドさせるが、このとき指が上部筐体の表面の操作キーを誤って押してしまうことがあった。この場合、誤って文字を入力したり、カーソルが移動したり、オフフックしてしまったりなど、厄介なことになるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためのもので、スライド中に不測にキー操作がなされて誤動作することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明による携帯端末は、第1キー操作手段を有する上部筐体と第2キー操作手段を有する下部筐体とがスライド可能に構成された携帯端末において、前記上部筐体と下部筐体とを重ねた収納状態で両筐体をロック及びその解除を行うロック手段と、前記ロック手段のロック解除動作を検出するロック解除検出手段と、前記ロック解除検出手段の検出に応じて少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止する入力禁止手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による携帯端末は、第1キー操作手段を有する上部筐体と第2キー操作手段を有する下部筐体とがスライド可能に構成された携帯端末において、前記上部筐体と下部筐体とを所定ストロークをスライドした伸長状態で両筐体をロック及びその解除を行うロック手段と、前記ロック手段のロック解除動作を検出するロック解除検出手段と、前記ロック解除検出手段の検出に応じて少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止する入力禁止手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
従って、本発明によれば、上部筐体と下部筐体とが収納状態でロックされているとき、そのロック解除動作が検出され、収納状態から伸長状態にスライドされ始めると、少なくとも第1キー操作手段からのキー入力の受付が禁止されるので、スライド中にキーが誤って押されても、そのキー入力を無効にすることができるので安全である。
【0010】
また、本発明によれば、上部筐体と下部筐体とが伸長状態でロックされているとき、そのロック解除動作が検出され、伸長状態から収納状態にスライドされ始めると、少なくとも第1キー操作手段からのキー入力の受付が禁止されるので、スライド中にキーが誤って押されても、そのキー入力を無効にすることができるので安全である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、可動側の第1筐体1に指を当ててスライドさせるときに誤ってキーが押されても誤動作することのない携帯通信端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の実施の形態によるスライド式携帯端末の収納状態を示す斜視図、図2は伸長状態を示す斜視図である。
図1、図2において、1は携帯端末の第1筐体(上部筐体)、2は第1筐体1とスライド可能に連結された第2筐体(下部筐体)である。図1の収納状態から第1筐体1を矢印A方向にスライドさせることにより、図2の伸長状態になり、この伸長状態から第1の筐体1を矢印B方向にスライドさせることにより、図1の収納状態になる。
【0013】
第1筐体1の表面1aには、着信用表示部7、受話スピーカ8、表示部6、サブキー操作部4等が配置されている。第2筐体2の表面2aには、キー操作部3、マイク部5、ロック爪9a、伸長状態になったこと(スライドストロークエンド)を検出するセンサ10等が配置され、側面にはロックボタン9が設けられている。
【0014】
第1、第2筐体1,2をスライドさせる機構として、本実施の形態では、第2筐体2の表面2aの端部に凸部11を設けると共に、第1筐体1の図示されない裏面(表面1aに対する裏面)に凹部12を設け、これらの凹凸嵌合により矢印A,B方向にスライド可能になされている。尚、このスライド機構の具体的構成はこれに限定されるものではなく、例えば凸条と溝との嵌合等、他の構造であってもよい。
【0015】
図1において、第2筐体2のロック爪9a(図2)が、第1筐体1の対応する面に設けられているロック爪受け部(図示せず)に係合することにより、第1筐体1を収納状態にロックするようにしている。また、このロック状態で、第2筐体2の側面に設けられているロックボタン9を押し込むと、これと連動してロック爪9aが動き、前記ロック爪受け部から外れてロックが解除され、スライド可能な状態になる。この状態から最大ストロークをスライドしてスライドエンドに達すると、図2の伸長状態となる。尚、図示しないが、この伸長状態をロックし、解除するためのロック機構が設けられているものとする。この伸長状態のロック機構としては、簡単なクリック機構であってよい。
【0016】
キー操作部3は、各種操作指示を行うためのもので、少なくとも電話番号や文章入力に必要なテンキー、発着信ボタン、機能選択キー(ファンクションキー)などの各種ボタン及び操作キーが設けられている。サブキー操作部4は、主に収納状態で必要とされる各種操作キーが配置されている。例えば、収納状態でも電話の着信を受けたい場合は、着信ボタンを配置したり、メニュー項目をカーソル選択するジョグキーを配置したり、あるいは必要に応じてユーザ側でキーの機能を割り付けることもできる。
【0017】
表示部6はLCD(Liquid Crystal Display)からなり、電話番号の表示やメニュー画面などの表示を行う。着信用表示部7は、着信があった時に点灯/点滅してユーザに着信を報知する。この着信用表示部7は、着信があったときにできるだけ携帯端末のどの面を見てもユーザが気付くような位置に設けられている。
【0018】
このような構造のスライド式携帯端末は、スライドすることにより全体の形状が変わることから考えて、図1の収納状態は、手書き入力することを前提にしたPDA(Personal Digital Assistants)的な使い方が重視され、図2の伸長状
態は、携帯電話的な使い方が実用的である。
【0019】
図3は本実施の形態による携帯端末の電気的な構成を示すブロック図である。
図3において、21は全体を制御するCPU,22は外部と通信を行う通信部、23は通常の携帯電話機及びPDAの各機能を有する携帯電話機PDA機能部、24はプロラム等を格納するROM,作業用RAM等を含むメモリである。25は前記キー操作部3及びサブキー操作部4を含む操作部、26は前記ロックボタン9、ロック爪9a及びロック爪受け部からなる収納状態のロック機構及び前記伸長状態のロック機構を含むロック機構27のロック状態及びその解除を検出するロック・解除検出部、28はロック機構27又はセンサ10の動作に基づいてキー操作入力の受付禁止及びその解除を行うキー入力受付禁止部である。
【0020】
この携帯端末では、収納状態と伸長状態のどちらでも操作可能である必要がある。特にサブキー操作部4は収納状態で使用されるが、収納状態から伸長状態にスライドさせるために、第1筐体1を指で押し出す際にサブキー操作部4に指が掛かりやすく、このとき不測にキーが押されて誤操作がなされ、入力、選択等の誤動作を起こすことが想定される。また、収納状態から伸長状態に、及び伸長状態から収納状態にスライド中に、第1筐体1の裏面もしくはユーザの指がキー操作部3のキーを不測に押してしまう惧れもある。
【0021】
このようなキーの誤操作による誤動作を防止するために、本実施の形態においては、ロックボタン9を押し込んでロックが解除されたときのロックボタン9又はロック爪9aの動きを検出し、キー操作部3、サブキー操作部4からのキー入力受付を禁止するようにしている。また、第2筐体2に設けられているセンサ10により伸長状態を検出することでキー入力禁止を解除し、キー操作部3、サブキー操作部4からのキー入力を受け付けるようにしている。
【0022】
尚、センサ10ではなく、ロックボタン9又はロック爪9aの動作を検出してから所定時間後にキー操作部3、サブキー操作部4の入力を受け付けるようにしてもよく、あるいはこれらを併用することも可能である。さらに、伸長状態を感覚的に知らせるクリック機構を設けることが考えられるが、その場合、クリック機構に連動するスイッチ等のセンサをロック・解除検出手段として設けてよい。
【0023】
スライド構造の場合、一度誤ってキーを押すと伸長するまで、若しくは伸長しても押していることがあるので、所定時間入力を禁止することにより、誤入力を防止することができる。
【0024】
また、逆に伸長状態から収納状態にスライドする場合は、第2筐体2のセンサ10が伸長状態でないことを検出することでスライド動作を検出し、キー操作部3、サブキー操作部4の入力受付を禁止する。前記クリック機構を設ける場合は、前記スイッチ等を設けているので、これを検出することでキー操作部3、サブキー操作部4の入力受付を禁止することもできる。
【0025】
また、収納状態になると第2筐体2と第1筐体1がロックされるが、この時のロックボタン9又はロック爪9aの動作を検出し、キー操作部3、サブキー操作部4のキー入力受付の禁止を解除する。あるいは、センサ10により伸長状態でないことが検出されてから所定時間後にキー入力受付の禁止を解除してもよい。
【0026】
尚、この所定時間も上記と同様の効果がある。
【0027】
尚、本実施の形態では、第1筐体1と第2筐体2とは矢印A、B方向に直線的にスライドするものであったが、第1筐体1と第2筐体2とをピボットを使った回転スライド可能に連結した構造に適用してもよい。その場合にも、収納状態と伸長状態を得ることができる。更に、回転スライド構造の場合はキーを押し続けるよりは短く押す場合が多いので、入力禁止時間を短くした方が好ましい。また、キー操作部3及びサブキー操作部4のキー入力受付を禁止しているが、誤入力の多いサブキー操作部4のキー入力受付のみ禁止するようにしてもよい。又、スライド構造においては、一度キーを押すと収納、伸長するまで離さないので、キー入力受付禁止期間中に一度キーが押されると、キー押下が離れた後は入力を受付けるようにしても良い。
【0028】
以上のように、本実施の形態によれば、可動側の第1筐体1に指を当ててスライドさせるときに誤ってキーが押されても誤動作することのない、その場合、ユーザに余計なキーロック操作をさせる必要のない携帯通信端末を提供することができる。
【0029】
本発明によれば、上部筐体と下部筐体の収納状態からロック解除されると、
少なくとも上部筐体のキー入力の受付を禁止するようにしたので、可動側の上部筐体を指で押して収納状態から伸長状態にスライドさせるときに誤ってキーが押されてしまっても誤動作することがない。また、ユーザにキーロック操作をさせることなく、自然な動作で誤動作を防ぐことができる。
【0030】
また、収納状態のロック解除から伸長状態になるまで前記キー入力の受付を禁止することができる。
また、伸長状態のセンサを設けることなく、収納状態のロック解除から所定時間後まで前記キー入力の受付を禁止することができる。
【0031】
また、上部筐体と下部筐体の伸長状態からロック解除されると、少なくとも
上部筐体のキー入力の受付を禁止するようにしたので、可動側の上部筐体を指で引いて伸長状態から収納状態にスライドさせるときに誤ってキーが押されてしまっても誤動作することがない。さらに、ユーザにキーロック操作をさせることなく、自然な動作で誤動作を防ぐことができる。
【0032】
また、伸長状態のロック解除から収納状態になるまで前記キー入力の受付を禁止することができる。
また、収納状態のセンサを設けることなく、伸長状態のロック解除から所定時間後まで前記キー入力の受付を禁止することができる。
【0033】
以上のように、本発明によれば、可動側の第1筐体1に指を当ててスライドさせるときに誤ってキーが押されても誤動作することのない携帯通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態によるスライド式携帯端末の収納状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態によるスライド式携帯端末の伸長状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態によるスライド式携帯端末の電気的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1:第1筐体、2:第2筐体、3:キー操作部、4:サブキー操作部、9:ロックボタン、9a:ロック爪、10:センサ、11:凸部、12:凹部、21:CPU、22:通信部、23:携帯電話機PDA機能部、25:操作部、26:ロック・解除検出部、27:ロック機構、28:キー入力受付禁止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キー操作手段を有する上部筐体と第2キー操作手段を有する下部筐体とがスライド可能に構成された携帯端末において、
前記上部筐体と下部筐体とを重ねた収納状態で両筐体をロック及びその解除を行うロック手段と、
前記ロック手段のロック解除動作を検出するロック解除検出手段と、
前記ロック解除検出手段の検出に応じて少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止する入力禁止手段とを備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記上部筐体と下部筐体とが前記収納状態から所定ストロークをスライドした伸長状態にあることを検出する伸長状態検出手段を設け、
前記入力禁止手段は、前記収納状態のロック解除が検出されてから前記伸長状態検出手段により伸長状態が検出されるまで少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
所定時間を計時する計時手段を備え、
前記入力禁止手段は、前記収納状態のロック解除が検出されてから前記計時手段が前記所定時間を計時するまで少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
第1キー操作手段を有する上部筐体と第2キー操作手段を有する下部筐体とがスライド可能に構成された携帯端末において、
前記上部筐体と下部筐体とを所定ストロークをスライドした伸長状態で両筐体をロック及びその解除を行うロック手段と、
前記ロック手段のロック解除動作を検出するロック解除検出手段と、
前記ロック解除検出手段の検出に応じて少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止する入力禁止手段とを備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
前記上部筐体と下部2筐体とが重なった収納状態にあることを検出する収納状態検出手段を備え、
前記入力禁止手段は、前記伸長状態のロック解除が検出されてから前記収納状態検出手段により収納状態が検出されるまで少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止することを特徴とする請求項4記載の携帯端末。
【請求項6】
所定時間を計時する計時手段を備え、
前記入力禁止手段は、前記伸長状態のロック解除が検出されてから前記計時手段が前記所定時間を計時するまで少なくとも前記第1キー操作手段からのキー入力の受付を禁止することを特徴とする請求項4記載の携帯端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−243961(P2007−243961A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76511(P2007−76511)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【分割の表示】特願2003−204797(P2003−204797)の分割
【原出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】