説明

携帯通信端末、緊急通知システム及び緊急通知プログラム

【課題】 例えば子供が誘拐等された場合に子供の捜索を行うことができ、例えば電波の届かない場所に子供が監禁された場合でも、子供の存在を知らせることを可能とする。
【解決手段】
子供1の携帯電話端末2は、アクセサリ端末3との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認する。携帯電話端末2は、アクセサリ端末3と近距離無線通信ができなくなったことを確認した場合、GPS衛星10や基地局11から現在位置と現在時刻の情報を一定時間毎に取得し、それら現在位置と現在時刻の情報を、携帯電話網を通じ、さらにインターネット等のネットワーク12を介して管理サーバ13へ送信する。管理サーバ13は、それら情報から、子供1の居場所と移動ルートが描画された探索支援用画像14を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば子供の誘拐等のような緊急事態が発生した場合において、子供の居所等の捜索を容易にするための携帯通信端末と緊急通知システム、及び、緊急通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば失せ物の捜索や盗難、万引き等を防止するのための技術として、特開2005−11056号の公開特許公報(特許文献1)に記載された携帯端末と非接触ICからなるシステムが知られている。
【0003】
すなわち、この公開特許公報において、携帯端末は、自端末と非接触ICタグとの間の通信距離が一定距離を超えた場合に、それを警告音か振動で知らせる。また、携帯端末は、自端末と非接触ICタグとの間の通信距離が一定距離を超えた場合に、その時点での位置情報をGPS(Global Positioning System)衛星から取得し、非接触ICタグとの最終通信可能位置として携帯端末内に記録し、電子メール或いはウェブサービス等の通信方式を利用して指定したコンピュータ管理センタへ送信する。これにより、当該公開特許公報記載のシステムでは、非接触ICタグを取り付けたものの紛失や盗難の管理と捜査能力を高めている。また、この公開特許公報には、携帯端末が紛失した非接触ICタグの識別情報と最終通信可能位置を他の端末に送信することで、複数の端末を使って紛失物の捜査を行う機能についても開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−11056号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近は、子供の誘拐,拉致等の凶悪な犯罪の増加が大きな社会問題となっている。そして、例えば子供が誘拐,拉致等されたような犯罪が発生した場合には、安全確保のために子供を速やかに捜索する必要があり、また、誘拐犯罪者の居場所を捜し出す必要がある。
【0006】
ここで、上述した特開2005−11056号の公開特許公報に記載された技術は、子供等の誘拐時にも利用可能であると考えられる。しかしながら、当該公開特許公報に記載の技術の場合、携帯端末と非接触ICタグとの間の通信距離が一定距離を超えた時点での位置情報、つまり携帯端末と非接触ICタグとの間の最終通信可能位置しか判らないため、失せ物等の捜索には効果的であるが、子供が誘拐された場合のように、誘拐発生後に例えば車等に乗せられて連れまわされたり、誘拐発生現場から別の場所に移されて監禁されてしまったような場合には、子供を捜索することが非常に困難となる。
【0007】
また、上記公開特許公報に記載の技術の場合、携帯端末は、GPS衛星や基地局から位置情報を取得するようになされているため、例えば電波の届かない屋内や地下の場合には位置情報を取得することができず、位置情報をコンピュータ管理センタへ送信することもできない。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば子供が誘拐等されて車等で連れまわされたり、別の場所に移されたような場合であっても子供の捜索を行うことができ、また例えば、電波の届かない屋内や地下等に子供が監禁された場合であっても、子供の存在を知らせることを可能とする携帯通信端末、緊急通知システム及び緊急通知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯通信端末は、所定の無線通信網に接続するための網通信部と、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、所定の無線電波を受信して少なくとも現在位置の情報を取得する情報取得部と、予め決められた所定の携帯通信端末との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認し、所定の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した時、情報取得部を制御して現在位置の情報を一定時間毎に取得させ、それら現在位置の情報を網通信部から所定の相手先へ送信させる制御部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0010】
また、本発明の緊急通知システムは、第1,第2の予め決められた携帯通信端末間で互いに近距離無線通信を行うシステムであり、第1の携帯通信端末は、第2の携帯通信端末との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認し、第2の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した時、所定の無線電波を受信して少なくとも現在位置の情報を一定時間毎に取得し、それら現在位置の情報を、所定の無線通信網を通じて所定の相手先へ送信することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
また、本発明の緊急通知プログラムは、所定の無線通信網に接続するための網通信部と、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、所定の無線電波を受信して少なくとも現在位置の情報を取得する情報取得部とを備えた携帯通信端末の緊急通信プログラムであり、予め決められた所定の携帯通信端末との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認し、所定の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した時、情報取得部を制御して現在位置の情報を一定時間毎に取得させ、それら現在位置の情報を網通信部から所定の相手先へ送信させる制御部として、携帯通信端末を機能させることにより、上述した課題を解決する。
【0012】
さらに、本発明では、近距離無線通信ができなくなったことを確認した後に、現在位置の情報取得ができない場合、携帯通信端末は、別の携帯通信端末に対して、現在位置の情報の取得とそれら情報を所定の相手先へ送信する依頼を行うための所定のメッセージを近距離無線通信により送信することにより、上述した課題を解決する。
【0013】
すなわち、本発明によれば、携帯通信端末が予め決められた所定の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなった場合には、例えば子供が誘拐等されたと判断し、その後の位置の情報を取得して、所定の相手先へ送信することで、子供の居場所と移動ルートを親等に知らせるようにしている。
【0014】
また、本発明によれば、近距離無線通信ができなくなったことを確認した後に、現在位置の情報取得ができない場合には、別の携帯通信端末に対して、現在位置の情報の取得とそれら情報を所定の相手先へ送信する依頼を行う。これにより、別の携帯電話端末からの位置情報から、子供の居場所を絞り込むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、携帯通信端末が予め決められた所定の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなった場合には、その後の位置の情報を取得して、所定の相手先へ送信することにより、例えば子供が誘拐等されて車等で連れまわされたり、別の場所に移されたような場合であっても子供の捜索を行うことができる。
【0016】
また、本発明においては、近距離無線通信ができなくなったことを確認した後、現在位置の情報取得ができない場合には、別の携帯通信端末に対して、現在位置の情報の取得とそれら情報を所定の相手先へ送信する依頼を行うことにより、子供が例えば電波の届かない屋内や地下等に子供が監禁された場合であっても、その子供の存在を知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の携帯通信端末、緊急通知システム及び緊急通知プログラムの一実施形態について説明する。
【0018】
なお、本実施形態では、本発明の携帯通信端末の一例として、携帯電話端末を挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0019】
〔緊急通知システムの概要〕
図1には、本発明実施形態の緊急通知システムの概略図を示す。
【0020】
図1において、本実施形態の緊急通知システムは、例えば子供1が所持する携帯電話端末2と、同じく子供1が普段から身につけているアクセサリ端末3とにより構成されている。
【0021】
アクセサリ端末3は、例えば靴や鞄、帽子、キーホルダ、ストラップ、或いは、携帯電話端末2に着脱可能となされた当該端末の一部デバイスなど、子供1が普段から身につけている物や身近に所持している物に内蔵され、少なくとも携帯電話端末2との間で例えばいわゆるブルートゥース(Bluetooth:登録商標)やUWB(Ultra Wide Band)などの近距離無線通信を行う近距離無線通信モジュールを備えている。
【0022】
携帯電話端末2は、一般的な携帯電話端末が備えている機能に加えて、GPS衛星10と基地局11の少なくとも何れかから現在位置情報及び現在時刻情報を取得する機能と、例えばブルートゥースやUWBなどの近距離無線通信機能と、上記アクセサリ端末3の近距離無線通信モジュールが上記近距離無線通信における通信可能エリア内に存在することを一定時間毎に確認する機能と、所定の管理サーバ13や図示しない所定の管理者通信端末或いは警備会社や警察等の管理センタへ自動接続して緊急通知を行う機能とを備えている。なお、上記現在時刻情報については、携帯電話端末2内の時計機能により取得しても良い。
【0023】
そして、本実施形態の携帯電話端末2は、例えば誘拐等が発生して子供1が自ら(意図的に)アクセサリ端末3を身体から放し、さらに例えば誘拐犯によって移動させられたことで上記近距離無線通信モジュールが通信可能エリアから外れ(つまり近距離通信モジュールと端末2との間の距離が近距離無線通信の通信可能距離以上に離れ)、その結果として上記一定時間毎の確認の際に通信が切断されたことを検出した場合には、誘拐などの緊急事態が発生したと判断し、その時点及びそれ以降の一定時間毎に、上記GPS衛星10や基地局11から現在位置情報及び現在時刻情報を取得すると共に、それら取得した現在位置情報及び現在時刻情報を自端末の識別情報(例えば電話番号や端末ID)と共に、上記管理サーバ13や所定の管理者通信端末或いは警備会社や警察等の管理センタへ逐次送信する。
【0024】
すなわち、本実施形態の携帯電話端末2は、誘拐などの緊急事態が発生した場合に、上記管理サーバ13や所定の管理者通信端末或いは警備会社や警察等の管理センタに対して、誘拐等の発生とその後の現在位置情報及び現在時刻情報の緊急通知を行うようになされている。
【0025】
なお、上記管理者通信端末は、例えば上記携帯電話端末2を所持している子供の親等の携帯電話端末やパーソナルコンピュータを挙げることができる。また、上記携帯電話端末2がアクセサリ端末3の存在確認を行うための一定時間と、上記携帯電話端末2がGPS衛星10や基地局11から現在位置情報及び現在時刻情報を取得して送信する一定時間は、例えば異なる時間である。
【0026】
上記所定の管理サーバ13は、例えばインターネットや専用回線等のネットワーク12を介して携帯電話網に接続する機能と、上記携帯電話網及びインターネットや専用回線を通じて上記携帯電話端末2から一定時間毎に現在位置情報及び現在時刻情報と識別情報が送られてきた時には、それら一定時間毎の現在位置情報及び現在時刻情報と識別情報を元に、上記携帯電話端末2とアクセサリ端末3との間の近距離無線通信が切断されてから以降の当該携帯電話端末2の各位置(一定時間毎の各現在時刻における現在位置)及び移動ルートを求める機能と、それら各位置及び移動ルートを地図上に描画した捜索支援用画像14を生成する機能と、当該捜索支援用画像14を予め登録されている管理者通信端末や警備会社或いは警察等の管理センタに通知する機能とを備えている。
【0027】
なお、上記捜索支援用画像14は、管理者通信端末や警備会社或いは警察等の管理センタにおいて、例えばいわゆるGIS(地理管理システム)ソフトなどの位置情報閲覧支援ソフトウェアを用いて表示される。また、図1の捜索支援用画像14内の丸印a〜gは、上記携帯電話端末2から一定時間毎に送られてきた現在位置情報及び現在時刻情報を元に求められた各位置を表しており、各丸印a〜gを結ぶ矢印は移動ルートを表している。
【0028】
〔他者端末を用いた間接的な緊急通知システムの概要〕
ところで、誘拐された子供が例えばGPS衛星や基地局からの電波が届かない屋内や地下に閉じこめられているような場合、本実施形態の携帯電話端末2は、それらGPS衛星や基地局から現在位置情報を取得することができず、また、管理サーバ13や管理者通信端末等に対して現在位置情報や現在時刻情報を送信することもできないことになる。
【0029】
このようにGPS衛星や基地局から電波が届かない場合、本実施形態の携帯電話端末2は、図2に示すように、近距離無線通信機能を用いて、近隣に居る他者31の携帯電話端末32に対して緊急通知を依頼する所定のメッセージを一定時間毎に送信する。
【0030】
当該緊急通知依頼のための所定のメッセージを受信した携帯電話端末32は、他者31(当該端末32の所持者31)に対して緊急通知依頼についての許可を求めるための表示等を行い、当該所持者31からその許可を得た場合には、GPS衛星10と基地局15の少なくとも何れかから現在位置情報(端末31の現在位置情報)及び現在時刻情報を取得し、それら現在位置情報及び現在時刻情報を、上記緊急通知依頼を行ってきた携帯電話端末2の識別情報及び自端末の識別情報と共に、所定の管理サーバ13或いは警備会社や警察等の管理センタへ自動接続して通知する。
【0031】
なお、携帯電話端末32は、これら情報と共に、携帯電話端末2からの緊急通知に対する支援である旨の情報を送信しても良い。また、現在時刻情報については、携帯電話端末32内の時計機能により取得しても良い。その他、携帯電話端末32は、所持者31に対して緊急通知依頼についての許可を求めず、現在位置情報,現在時刻情報等の取得処理とそれら情報を上記管理サーバ13等へ通知する処理をバックグラウンドで自動的に行っても良い。
【0032】
すなわち本実施形態のシステムによれば、GPS衛星や基地局の電波が届かない場所に子供が監禁等されている場合には、携帯電話端末2の近隣に存在している携帯電話端末32がGPS衛星や基地局から代行取得した位置情報、つまり子供が監禁等されている位置に非常に近い位置の情報を、管理サーバ13或いは警備会社や警察等の管理センタへ上記携帯電話端末32を通じて間接的に通知(代行通知)することが可能となっている。
【0033】
なお、携帯電話端末2からの緊急通知依頼メッセージを受信する端末は、上記他者(緊急通知支援者)31の一つの携帯電話端末32に限らず、複数の他者携帯電話端末であっても良いし、例えば電柱や屋内コンセント、屋内モジュラー端子、屋内電灯接続端子のような各所に配設されている所定の設備に取り付けられた緊急通知依頼メッセージ受信専用端末であっても良い。上記緊急通知依頼メッセージを受信する専用端末は、携帯電話端末2からの近距離無線通信による緊急通知依頼メッセージを受信すると、予め記憶している位置情報(当該専用端末の現在位置情報)及び内蔵時計にて計測した現在時刻情報を、上記緊急通知依頼を行ってきた携帯電話端末2の識別情報と共に、所定の管理サーバ13或いは警備会社や警察等の管理センタへ自動的に通知する。
【0034】
また、本実施形態において、子供1の携帯電話端末2が近距離無線通信により送信する緊急通知依頼メッセージは、送信先を特定しないで送信されるため、その緊急通知依頼メッセージが誘拐犯の携帯電話端末により受信されてしまう虞もある。そしてこの時、誘拐犯の携帯電話端末において、例えば前述のように緊急通知依頼の許可を求めるための表示等が行われてしまうと、子供1の携帯電話端末2から緊急通知依頼メッセージが送信されていることを誘拐犯に知られてしまうことになる。
【0035】
このようなことから、本実施形態の携帯電話端末2は、例えば、上記アクセサリ端末3が通信可能エリアから外れた直後(つまり誘拐直後)から近距離無線通信により近隣の他の携帯電話端末の存在を監視し、当該誘拐直後から常に近隣に存在している携帯電話端末(つまり誘拐犯の端末である可能性が高い端末)に対しては上記緊急通知依頼メッセージを送信しないか、或いは、その携帯電話端末が近隣に存在している間は上記緊急通知依頼メッセージの送信処理を行わない機能を備えていても良い。
【0036】
その他、本実施形態の携帯電話端末2は、上記誘拐犯の端末である可能性が高い携帯電話端末の識別情報を、上記近距離無線通信によりバックグラウンドで取得し、その識別情報を管理サーバ13や警備会社や警察等の管理センタへ自動的に通知する機能を備えていても良い。さらに、誘拐実行犯の他に共犯者がいる場合も考えられるため、本実施形態の携帯電話端末2は、上記誘拐犯の端末である可能性が高い携帯電話端末と共に近隣に存在している別の携帯電話端末(つまり共犯者の端末である可能性が高い端末)についても上述同様に、上記緊急通知依頼メッセージの送信を行わないようにしたり、また、当該別の携帯電話端末(共犯者の端末)の識別情報をバックグラウンドで取得してその識別情報を管理サーバ13等へ自動通知するような機能を備えていても良い。
【0037】
〔誤通知防止の概要〕
本実施形態の緊急通知システムでは、アクセサリ端末3が携帯電話端末2の近距離無線通信可能エリアから外れた時に、現在位置情報と現在時刻情報を管理サーバ13等へ送信する構成となされているが、緊急通知を意図していない状況でアクセサリ端末3が携帯電話端末2から離れることもあり得る。例えば、アクセサリ端末3が靴に搭載されているような場合、子供が学校や家庭の玄関で靴を脱いで教室や部屋に入ったような場合には、アクセサリ端末3が携帯電話端末2から離れることになる。このような場合に、緊急通知を意図していない状況であるにもかかわらず、誤って現在位置情報と現在時刻情報が管理サーバ13等へ送信されてしまうことになる。
【0038】
このような緊急通知を意図していない状況での誤通知を防止するために、本実施形態の携帯電話端末2は、例えば学校内や家庭内などのように子供が日常的に行動する安全なエリア(日常行動エリアと表記する)の位置情報を予め登録可能となされており、その日常行動エリア内であれば、上記アクセサリ端末3が携帯電話端末2の近距離無線通信可能エリアから外れた場合であっても、前述した現在位置情報と現在時刻情報の取得と管理サーバ13等へ送信を行わない機能を備えている。
【0039】
なお、上述の例では、日常行動エリアを携帯電話端末2内に登録する場合を挙げたが、日常行動エリアは例えば管理サーバ13や管理者通信端末側に登録されていても良い。この場合、上記アクセサリ端末3が携帯電話端末2の近距離無線通信可能エリアから外れた時に、携帯電話端末2は前述同様に現在位置情報及び現在時刻情報の取得とそれら情報の送信を行うことになるが、それら情報を受け取った管理サーバ13や管理者通信端末側は、その現在位置情報から携帯電話端末2が日常行動エリア内に存在するか否か判断し、日常行動エリア内であるときには、上記携帯電話端末2からの情報を緊急通知用の情報として扱わないようにする。
【0040】
その他、本実施形態の携帯電話端末2は、日常行動エリアに基づく自動制御だけでなく、使用者(子供1)が自ら、若しくは、管理者通信端末からの遠隔操作により、緊急通知機能を停止させることも可能となされている。
【0041】
〔アクセサリ端末のバッテリ残量に応じたシステム制御の概要〕
本実施形態の緊急通知システムでは、アクセサリ端末3と携帯電話端末2が近距離無線通信を行う構成となされているため、アクセサリ端末3のバッテリ残量が無くなり、アクセサリ端末3が動作できなくなった場合には、携帯電話端末2がアクセサリ端末3と通信できなくなり、それにより、携帯電話端末2はアクセサリ端末3が近距離無線通信可能エリアから外れてしまったと誤判定してしまう虞がある。
【0042】
このため、本実施形態の携帯電話端末2は、常にアクセサリ端末3からバッテリ残量の情報を取得しており、アクセサリ端末3のバッテリ残量が少なくなった場合には、その旨を例えば表示することで利用者(この場合は子供1)へ知らせたり、管理者通信端末へ通知し、さらに、アクセサリ端末3のバッテリ残量が近距離無線通信に必要な残量を下回ることが確実になった場合には、上記緊急通知を行うための機能を停止させる機能を備えている。
【0043】
〔携帯電話端末の内部構成〕
図3には、上述した本実施形態にかかる携帯電話端末2の概略的な内部構成を示す。
【0044】
図3において、データラインは、音声データや電子メールデータ、画像データ等の各種データを伝送するための伝送ラインである。
【0045】
制御ラインは、CPU(中央処理ユニット)により構成されている制御部40からの制御データなどの各種制御情報を伝送するための伝送ラインである。
【0046】
アンテナ42は、通信回路41に接続され、通話や電子メール通信、前述した現在位置情報や現在時刻情報の送信、インターネット接続などの際の信号電波を送受信するのに用いられる。
【0047】
通信回路41は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0048】
ここで、上記アンテナ42及び通信回路41にて受信された受話音声データは音声処理部52へ送られ、それ以外の受信データは、制御部40へ送られて適切に処理された後、必要に応じて当該制御部40から各部へ送られる。なお、受話音声以外の受信データは、パケット通信にかかるデータであり、例えば電子メールデータ、動画像や静止画の画像データ、音楽等のデータ、HTML(Hyper Text Markup Language)データ、プログラムコードのデータ等を挙げることができる。
【0049】
上記アンテナ42及び通信回路41から受話音声データが供給された時の音声処理部52は、当該受話音声データを復号化し、その復号化後の受話音声データをアナログ音声信号に変換し、そのアナログ受話音声信号をスピーカ50若しくは図示しないイヤホンジャックへ送る。
【0050】
スピーカ50は、上記音声処理部52から供給されたアナログ受話音声信号を内部増幅器により増幅した後、その受話音声信号を可聴音声に変換して外部に出力する。これにより、スピーカ50からは受話音声が出力されることになる。
【0051】
マイクロホン51は、発話音声をアナログ音声信号に変換すると共に、内部増幅器により増幅し、さらにそのアナログ発話音声信号を音声処理部52に送る。
【0052】
上記マイクロホン51からアナログ発話音声信号が供給された時の音声処理部52は、その発話音声信号をディジタル発話音声データに変換した後に符号化し、さらにその符号化後の発話音声データを通信回路41へ送る。これにより、アンテナ42からは発話音声データが送信されることになる。
【0053】
表示部43は、液晶ディスプレイ等の表示デバイス及び表示駆動回路を備え、ディスプレイの画面上に画像や文字等を表示する。
【0054】
操作部44は、テンキー(キーボード)や電源ボタン、発話/終話ボタン、ジョグダイヤルなどの操作子とそれら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。ユーザは、この操作部44を操作することで、通話のための発着呼や電子メール文の作成、電子メールの送受信、インターネットへの接続等の指示操作を行う。
【0055】
画像処理部53は、制御部40による制御の元で内蔵メモリから読み出された圧縮符号化されている画像データや、インターネット等を介して取得した画像データ等を伸張復号化等し、その伸張復号後の画像データをデータラインを介して表示部43へ送る。また、画像処理部53は、図示しないカメラ部により撮影された静止画像や動画像のデータの圧縮符号化等を行い、その圧縮符号化された画像データを、制御部40による制御の元で内蔵メモリに送って記憶させる。
【0056】
GPS部54は、GPSにおける測地衛星(GPS衛星10)の発信する電波をGPS用アンテナ55を介して受信すると共に、その受信電波に基づいて、自端末の現在位置の緯度及び経度からなる位置情報と時刻情報を求める。このGPS部54がGPS用アンテナ55を介して受信したGPSデータ(位置情報,時刻情報)は、制御部40へ送られる。
【0057】
近距離無線通信部56は、近距離無線通信用のアンテナ57を介して、前述したアクセサリ端末3や他者の携帯電話端末32等とブルートゥースやUWBなどの近距離無線通信を行う。
【0058】
メモリ部45は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、OS(Operating System)、制御部40が各部を制御するための制御プログラムコード、各種の初期設定値、フォントデータ、辞書データ、着信音やキー操作音,アラーム音用の各種音データ、電子メールの作成や編集等を行うためのアプリケーション用のプログラムコード、画像や音声に対して様々な処理を行うためのアプリケーション用プログラムコード、本発明実施形態にかかるGPS部54によるGPS衛星10からの位置情報や時刻情報の取得用アプリケーションプログラムコード、本発明実施形態にかかる基地局からの位置情報や時刻情報の取得用のアプリケーションプログラムコード、本発明実施形態にかかる近距離無線通信部56を介したアクセサリ端末3や他者の携帯電話端末32との間の近距離無線通信用アプリケーションプログラムコード、アクセサリ端末3との間の通信切断時の前述した緊急通知処理や他者携帯電話端末32への緊急通知依頼メッセージの送信処理などを行うための緊急通知用アプリケーションプログラムコード、その他、携帯電話端末に搭載される各種のアプリケーション用のプログラムコード、当該携帯電話端末の識別情報(ID)などを記憶している。このROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMを含み、電子メールデータ、電話帳や電子メールアドレス帳のデータ、上記GPS部54にて測定された現在位置情報や現在時刻情報、文字入力時の予測変換候補辞書データ、静止画や動画データ、キー操作音,アラーム音用等の音データ、その他、各種のユーザ設定値等を保存することも可能となされている。RAMは、制御部40が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0059】
制御部40は、CPUからなり、メモリ部45に記憶されているOSや各種プログラムに基づいて、携帯電話端末の制御、本実施形態にかかる前述した現在位置情報及び現在時刻情報の取得処理、アクセサリ端末3や他者の携帯電話端末32との間の近距離無線通信処理、アクセサリ端末3との間の通信切断時の緊急通知処理や他者携帯電話端末への緊急通知依頼メッセージの送信処理など、各種機能を実現するための制御や各種演算を行う。
【0060】
その他、図4には図示を省略しているが、本発明の携帯電話端末は、外部メモリインターフェース、外部ケーブル用コネクタ、カメラ機能、赤外線通信機能、電子財布機能、LED(発光ダイオード)の発光機能、バイブレータ機能、バッテリ、電力制御機能など、一般的な携帯電話端末が備えている各構成要素についても備えている。
【0061】
〔管理サーバの内部構成〕
図4には、上述した本実施形態にかかる管理サーバ13の概略的な内部を示す。
【0062】
図4において、通信機能部61は、インターネットや専用回線を通じて子供1の携帯電話端末2や他者31の携帯電話端末32、親等の管理者通信端末と通信可能となされている。通信機能部61は、子供1の携帯電話端末2や他者31の携帯電話端末32から現在位置情報及び現在時刻情報と識別情報が送信されてきた場合、それら情報を制御部60へ渡す。制御部60は、それらを情報格納データベース65へ一旦格納する。
【0063】
次に、制御部60は、上記情報格納データベース65に格納された上記識別情報を元に、その情報送信元の端末がユーザデータベース66に予め登録されている端末であるかどうか調べ、当該端末が予め登録されている端末であること、つまり上記子供1の携帯電話端末2であることを確認できたときには、上記現在位置情報及び現在時刻情報を移動経路演算部62に送る。
【0064】
移動経路演算部62は、上記現在位置情報及び現在時刻情報を元に、上記携帯電話端末2とアクセサリ端末3との間の近距離無線通信が切断されてから以降の当該携帯電話端末2の各位置及び移動ルートを求め、それら各位置の移動ルートの情報を、制御部60を介して移動経路画像生成部63へ渡す。
【0065】
移動経路画像生成部63は、上記各位置の移動ルートの情報に応じた地図データを、地図データベース64から取り出し、前述の図1に示したように、それら各位置及び移動ルートを地図上に描画した捜索支援用画像14を生成する。当該捜索支援用画像14は、その後、制御部60及び通信機能部61を通じて、管理者通信端末や警備会社或いは警察等の管理センタへ送られる。
【0066】
また、上記制御部60は、上記情報送信元の端末から送られてきて情報格納データベース65に格納された識別情報が、ユーザデータベース66に予め登録されている端末とそれ以外の端末の両方の識別情報を含む場合、その情報送信元の端末は、ユーザデータベース66に予め登録されている端末(つまり子供1の携帯電話端末2)の緊急通知支援を行っている端末であると判断し、その端末から送られてきた上記現在位置情報及び現在時刻情報を移動経路演算部62に送る。
【0067】
この時の移動経路演算部62は、上記現在位置情報及び現在時刻情報を元に、当該携帯電話端末32の位置を、制御部60を介して移動経路画像生成部63へ渡す。そして、この時の移動経路画像生成部63は、上記位置に応じた地図データを、地図データベース64から取り出し、その位置及びその近傍に携帯電話端末2が存在していることの情報を地図上に描画した捜索支援用画像を生成する。当該捜索支援用画像は、その後、制御部60及び通信機能部61を通じて、管理者通信端末や警備会社或いは警察等の管理センタへ送られる。
【0068】
その他、管理サーバ13は、携帯電話端末2から、前述したように誘拐犯やその共犯者の端末の識別情報が送られてきた場合には、その識別情報を例えば警察の管理センタへ送ることも可能となされている。
【0069】
〔子供の携帯電話端末における緊急通知のフロー〕
図5には、上述した子供1の携帯電話端末2において、アクセサリ端末3との間の通信切断による前述した緊急通知処理のフローチャートを示す。なお、このフローチャートの処理は、主に制御部40にて行われる。
【0070】
図5において、携帯電話端末2の制御部40は、ステップS1の処理として、近距離無線通信部56を制御し、一定時間毎に上記アクセサリ端末3との間の近距離無線通信を行わせ、ステップS2の処理として、そのアクセサリ端末3との間で近距離無線通信が可能か否かの確認、つまりアクセサリ端末3が通信可能エリア内に存在するかどうかを一定時間毎に確認する。
【0071】
制御部40は、ステップS2にて、アクセサリ端末3が通信可能エリア内に存在することの確認が出来なくなった場合、ステップS3の処理として、誘拐等が発生したことでアクセサリ端末3が通信可能エリアから外れたと判断する。
【0072】
そして、制御部40は、ステップS4の処理として、例えばGPS部54を制御して現在位置情報と現在時刻情報の取得を行わせ、ステップS5の処理として、GPS部54が現在位置情報と現在時刻情報を取得できたか否か判断する。
【0073】
制御部40は、ステップS5にて、現在位置情報と現在時刻情報を取得できたと判断した場合には、ステップS6の処理として、その現在位置情報と現在時刻情報及び自端末の識別情報を、通信回路41及びアンテナ42を通じて管理サーバ13へ送信させる。その後、制御部40は、一定時間経過した時点で、ステップS4へ処理を戻す。
【0074】
一方、制御部40は、ステップS5にて、現在位置情報と現在時刻情報を取得できないと判断した場合には、ステップS7の処理として、近距離無線通信部56を制御し、近距離無線通信を通じて近隣の他者携帯電話端末32又は近隣の電柱等に設けられている専用端末との間の近距離無線通信を試みる。その後、制御部40は、一定時間経過した時点で、ステップS4へ処理を戻す。
【0075】
〔他者携帯電話端末における緊急通知支援のフロー〕
図6には、上述した子供1の携帯電話端末2から近距離無線通信により緊急通知の支援要請を受けた他者31の携帯電話端末32における前述した緊急通知支援処理のフローチャートを示す。なお、他者31の携帯電話端末32は基本的に前述の図3と同じ構成を有しているが、前述したアクセサリ端末との間の近距離無線通信機能については必ずしも備えていなくても良い。このフローチャートの処理は、他者31の携帯電話端末32の制御部40にて行われる。
【0076】
この図6において、携帯電話端末32の制御部40は、ステップS21にて子供1の携帯電話端末2から前述した緊急通知依頼メッセージを受信すると、ステップS22にて当該緊急通知依頼メッセージについての許可を求めるためのユーザインターフェース画面を表示部43に表示させ、当該所持者31からその許可を得た場合には、ステップS23へ処理を進める。
【0077】
ステップS23の処理に進むと、制御部40は、GPS部54を制御して現在位置情報と現在時刻情報の取得を行わせ、ステップS24の処理として、その現在位置情報及び現在時刻情報と携帯電話端末2の識別情報及び自端末の識別情報を、通信回路41及びアンテナ42を通じて管理サーバ13へ送信させる。
【0078】
〔子供の携帯電話端末における誤通知防止のフロー〕
図7には、子供1の携帯電話端末2において、前述した緊急通知の誤動作防止処理のフローチャートを示す。なお、このフローチャートの処理は、主に制御部40にて行われる。
【0079】
図7において、携帯電話端末2の制御部40は、ステップS31の処理として、近距離無線通信部56を制御し、一定時間毎に上記アクセサリ端末3との間の近距離無線通信を行わせ、ステップS32の処理として、そのアクセサリ端末3が通信可能エリア内に存在しているか否かの確認を一定時間毎に行う。
【0080】
制御部40は、ステップS32にて、アクセサリ端末3が通信可能エリア内に存在することの確認が出来なくなった場合、ステップS37の処理として、GPS部54を制御して現在位置情報と現在時刻情報の取得を行わせ、ステップS38の処理として、GPS部54が現在位置情報と現在時刻情報を取得できたか否か判断する。
【0081】
制御部40は、ステップS38にて、現在位置情報と現在時刻情報を取得できたと判断した場合には、ステップS39の処理として、その現在位置情報が予め登録されている前述した日常行動エリア内か否かの判断を行う。
【0082】
このステップS39において、制御部40は、日常行動エリア内であると判断した時には、一定時間経過した時点でステップS37へ処理を戻す。
【0083】
一方、ステップS39にて日常行動エリア外であると判断した場合、制御部40は、ステップS40の処理として、現在時刻情報及び自端末の識別情報を、通信回路41及びアンテナ42を通じて管理サーバ13へ送信させる。その後、制御部40は、一定時間経過した時点でステップS37へ処理を戻す。
【0084】
また、ステップS32の確認処理において、アクセサリ端末3が通信可能エリア内に存在することの確認が出来ている場合、制御部40は、ステップS34へ処理を進める。
【0085】
ステップS34の処理に進むと、制御部40は、近距離無線通信部56を介して、アクセサリ端末3からバッテリ残量の情報を取得し、次いで、ステップS35の処理として、バッテリ残量が十分に残っている時にはステップS31へ処理を戻す。
【0086】
一方、ステップS35において、アクセサリ端末3のバッテリ残量が少なくなり、近距離無線通信に必要なバッテリ残量を下回ることが確実になった場合には、ステップS36の処理として、上記緊急通知を行うためのシステムの機能を停止させる。
【0087】
〔管理者サーバでの処理〕
図8には、子供1の携帯電話端末2や緊急通知支援を行う他者31の携帯電話端末32から情報を受信した管理者サーバ13での処理のフローチャートを示す。なお、このフローチャートの処理は、主に図5の制御部60にて行われる。
【0088】
図8において、管理者サーバ13の制御部60は、ステップS11にて、帯電話端末から送信されてきた現在位置情報及び現在時刻情報等を受け取ると、ステップS12の処理として、それらを情報格納データベース65へ一旦格納する。
【0089】
次に、制御部60は、情報格納データベース65に格納した情報を移動経路演算部62へ送り、当該移動経路演算部62に対して、前述したように携帯電話端末2の各位置及び移動ルート、或いは、携帯電話端末32の位置を求めさせると共に、移動経路画像生成部63に対して、各位置及び移動ルート等を地図上に描画した捜索支援用画像を生成させる。その後、制御部60は、必要に応じて、その捜索支援用画像を通信機能部61を通じて管理者通信端末や警備会社或いは警察等の管理センタへ送る。
【0090】
〔まとめ〕
以上説明したように、本発明実施形態によれば、近距離無線通信の接続情報を使って、子供に誘拐などの事件が発生したことをシステムが自動的に検知可能となされており、誘拐等の事件に巻き込まれた子供の位置と移動ルートをGPS等による位置情報に基づいて特定することができる。また、本実施形態によれば、子供がGPS等による位置情報を取得できない屋内等に移動させられた場合であっても、例えば近隣の近距離通信可能な携帯電話端末へ緊急通知依頼メッセージを送信することで、当該近隣の携帯電話端末が取得した位置情報により、子供の位置を大まかに特定できるようになっている。さらに、本実施形態によれば、学校内や家庭内、或いはアクセサリ端末3のバッテリ残量の低下時にはシステムの動作を停止させることで、誤った緊急通知がなされるのを未然に防ぐことができる。
【0091】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明にかかる技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0092】
例えば、上述した実施形態では、携帯電話端末2からアクセサリ端末3が離れた場合に携帯電話端末2から緊急通知が行われる例を挙げたが、例えば、アクセサリ端末3にも携帯電話端末2と同等の機能を搭載しておくことで、当該アクセサリ端末3が現在位置や現在時刻の情報を緊急通知する場合も本発明に含まれる。すなわち例えば、誘拐犯が子供1の携帯電話端末2を取り上げて捨てたような場合には、アクセサリ端末3が前述した近距離無線通信の確認処理を行い、近距離無線通信の切断が確認された時に、GPS衛星10等からの現在位置情報や現在時刻情報等を取得して管理サーバ13等へ送信する。
【0093】
また例えば、本発明の携帯通信端末は、携帯電話端末に限定されず、通信機能とGPS機能等を搭載したPDA等の各種の携帯情報端末にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明実施形態の緊急通知システムの概略的な構成の説明に用いる図である。
【図2】本発明実施形態の緊急通知システムにおいて、他者の携帯電話端末に緊急通知依頼メッセージを送信する例の説明に用いる図である。
【図3】本発明実施形態の携帯電話端末の主要部の概略的内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明実施形態の管理サーバの主要部の概略的内部構成を示すブロック図である。
【図5】子供の携帯電話端末で行われる緊急通知処理のフローチャートである。
【図6】緊急通信支援メッセージを受けた他者の携帯電話端末で行われる緊急通知支援処理のフローチャートである。
【図7】子供の携帯電話端末で行われる緊急通知誤動作防止処理のフローチャートである。
【図8】携帯電話端末から現在位置や現在時刻等の情報を受信した管理者サーバ側の処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 子供、2 子供の携帯電話端末、3 アクセサリ端末、10 GPS衛星、11,15 基地局、12 ネットワーク、13 管理サーバ、14 捜索支援用画像、31 他者、32 他者の携帯電話端末、40 制御部、41 通信回路、42 通信用のアンテナ、43 表示部、44 操作部、45 メモリ部、50 スピーカ、51 マイクロホン、52 音声処理部、53 画像処理部、54 GPS部、55 GPS用のアンテナ、56 近距離無線通信部、57 近距離無線通信用のアンテナ、60 管理サーバの制御部、61 通信機能ブロック、62 移動経路演算部、63 移動経路画像生成部、64 地図データベース、65 情報格納データベース、66 ユーザデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線通信網に接続するための網通信部と、
近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、
所定の無線電波を受信して少なくとも現在位置の情報を取得する情報取得部と、
予め決められた所定の携帯通信端末と上記近距離無線通信部との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認し、上記所定の携帯通信端末と上記近距離無線通信部との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した時、上記情報取得部を制御して現在位置の情報を一定時間毎に取得させ、当該一定時間毎に取得された現在位置の情報を上記網通信部から所定の相手先へ送信させる制御部と、
を有することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
請求項1記載の携帯通信端末であって、
上記制御部は、上記所定の携帯通信端末と上記近距離無線通信部との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した後、上記情報取得部での現在位置の情報取得ができない時、別の携帯通信端末に対して、現在位置の情報の代行取得依頼と、当該代行取得した現在位置の情報を所定の相手先へ代行送信する依頼とを行うための所定のメッセージを、上記近距離無線通信部から送信させることを特徴とする携帯通信端末。
【請求項3】
請求項1記載の携帯通信端末であって、
上記制御部は、上記情報取得部が取得した現在位置が予め登録された位置エリア内である時には、上記所定の相手先への情報送信を禁止することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項4】
請求項1記載の携帯通信端末であって、
上記制御部は、上記近距離無線通信部を介して上記所定の携帯通信端末のバッテリ残量情報を取得し、上記所定の携帯通信端末のバッテリ残量が不足している時には、上記所定の相手先への情報送信を禁止することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項5】
第1,第2の予め決められた携帯通信端末間で互いに近距離無線通信を行う緊急通知システムであって、
上記第1の携帯通信端末は、上記第2の携帯通信端末との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認し、上記第2の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した時、所定の無線電波を受信して少なくとも現在位置の情報を一定時間毎に取得し、当該一定時間毎に取得した現在位置の情報を、所定の無線通信網を通じて所定の相手先へ送信する、
ことを特徴とする緊急通知システム。
【請求項6】
請求項5記載の緊急通知システムであって、
上記第1の携帯通信端末は、上記第2の携帯通信端末との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した後、上記現在位置の情報取得ができない時、別の携帯通信端末に対して、現在位置の情報の代行取得依頼と、当該代行取得した現在位置の情報を所定の相手先へ代行送信する依頼とを行うための所定のメッセージを、近距離無線通信により送信することを特徴とする緊急通知システム。
【請求項7】
請求項5記載の緊急通知システムであって、
上記第1の携帯通信端末は、上記取得した現在位置が予め登録された位置エリア内である時には、上記所定の相手先への情報送信を禁止することを特徴とする緊急通知システム。
【請求項8】
請求項5記載の緊急通知システムであって、
上記第1の携帯通信端末は、上記第2の携帯通信端末のバッテリ残量情報を取得し、上記第2の携帯通信端末のバッテリ残量が不足している時には、上記所定の相手先への情報送信を禁止することを特徴とする緊急通知システム。
【請求項9】
所定の無線通信網に接続するための網通信部と、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、所定の無線電波を受信して少なくとも現在位置の情報を取得する情報取得部とを備えた携帯通信端末の緊急通信プログラムであって、
予め決められた所定の携帯通信端末と上記近距離無線通信部との間の近距離無線通信が可能であるかを一定時間毎に確認し、上記所定の携帯通信端末と上記近距離無線通信部との間で近距離無線通信ができなくなったことを確認した時、上記情報取得部を制御して現在位置の情報を一定時間毎に取得させ、当該一定時間毎に取得された現在位置の情報を上記網通信部から所定の相手先へ送信させる制御部として、
携帯通信端末を機能させることを特徴とする緊急通信プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−150904(P2007−150904A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344625(P2005−344625)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】