説明

携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム

【課題】携帯電話端末から遠隔地にあるパソコンへ接続し、携帯電話端末から遠隔操作する。
【解決手段】携帯電話端末に遠隔操作ソフトウェアを組み込み、操作対象のコンピュータまたは、遠隔操作信号を中継する代理パソコンに接続し、パソコンの表示画面を受信し、マウス操作の操作信号およびキーボードの操作信号を送信し、携帯電話端末の表示装置に縮小表示する。操作対象のパソコンには、遠隔操作パソコンソフトウェアをインストールしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯電話機を端末機として、遠隔地に設置されたコンピュータ(以下、操作対象たるパソコンという)を遠隔操作し、その操作対象たるパソコンから出力される情報を前記携帯電話機によって受信可能にするための、携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔地に設置された操作対象たるパソコンを、携行した小型の端末機によって遠隔操作する例として、伝送する情報が一方向である場合には、端末機として携帯電話機を用い、自宅にある車庫のゲートや風呂に備えられたパソコンへ情報を送って前記ゲートを開閉し、あるいは風呂に注水あるいは加熱する技術などが知られている(例えば、
【特許文献2】)。
【0003】
また、会社と外部で活動する営業員の間の連絡のように、互いに伝達すべき情報が双方向である場合には、営業員が端末機として小型のパソコン、いわゆるモバイルギヤを携行し、そのモバイルギヤと会社のパソコンとの間で互にデータを交換できるようにした技術が知られている(例えば、
【特許文献1】)。
【0004】
近年、携帯電話の性能が向上し、伝送速度が著しく高速化され、情報を表示する液晶の表示面も大型化されるとともに、携帯電話の使用料にも定額制のものが現れ、携帯電話によって大量の情報を廉価に伝達できる環境が整いつつある。そこで、携帯電話を用いて操作対象たるパソコンを操作することができれば、従来、モバイルギヤで行っていたと同様に双方向の情報伝送が携帯電話によって可能になる。
【0005】
しかしながら、携帯電話にそのような機能を持たせようとすると、携帯電話にもパソコンと同様の入出力装置が必要となるが、携帯電話に備えられた操作盤は面積が小さく、操作ボタンの数も少ないので、そのままではパソコンの端末機として機能させるのには、構造上の問題があった。
【0006】
この改善策として、キーボードを機械的な手段によって拡張せんとする試みもなされているが(例えば、
【特許文献3】)、逆に携帯電話の携行性を損ねたり、携帯電話の既に慣用されている構造を大きく変更せねばならなくなったりする不具合があった。
【特許文献1】特開2001−338237号公報
【特許文献2】特開2002−85916号公報
【特許文献3】特開2001−338237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする問題点は、モバイル形のパソコンに代えて携帯電話機を利用せんとする際に生じる不具合であり、具体的には、携帯電話の比較的小さい画面上に、比較的大きいパソコンの画面をそのまま表示することが困難であることであり、また、携帯電話の操作ボタンは数が少ないため、沢山の文字を入力することが不便であることなどから、携帯電話機を端末機として使用することの困難を解決しようとする点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、携帯電話によって遠隔地にあるパソコンの表示画面を受信し、その信号を縮小して携帯の表示板に表示するとともに、前記表示画面に対応した操作信号を、携帯電話に備えた操作子の操作によって送信しパソコンを動作させることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯電話を用いたパソコン遠隔操作システムによれば、在来の携帯電話の形態や機能を大きく変更させることなく、携帯電話が遠隔操作の端末として使用できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
在来の携帯電話の形態や機能を大きく変更させることなく、携帯電話が遠隔操作の端末として使用可能にするという目的を、在来の携帯電話の形態や機能を損なわずに実現したものである。
【実施例1】
【0011】
以下、本願発明の一実施例を説明する。図1は本願発明に係る携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム10を示す。図中、遠隔操作システム10は遠隔地に設置されるパソコン20と、それを遠隔操作するための携帯電話機25、および必要に応じて加入される代理パソコン30を含み、前記パソコン20はインターネット12を介して、あるいは代理パソコン30とインターネット12とを介して携帯電話機25と接続するものである。
【0012】
パソコン20と携帯電話機25とには、それぞれ表示画面22、23が含まれる。パソコン20の表示画面22に表示された画像情報22aは出力情報としてインターネット12を介し、あるいは代理パソコン30とインターネット12とを介して携帯電話機25へ伝送される。
【0013】
ここで使用される携帯電話機25は市販品であり、液晶からなる前記表示画面23と慣用されている多数の操作ボタン26を備えた操作盤27を有する。操作盤27上に配置された操作子たる操作ボタン26は、図2で示すように、上部に電話用のファンクションボタン26a、26bが左右に配置され、確定ボタン26cと上下左右に配置された4個一対のボタンからなるリングスイッチ26dとが中央にそれぞれ配置されている。26eは通話ボタン、26fは遮断ボタン、26hは0から9までの数字ボタンである。
【0014】
それら電話機を操作するための操作ボタン26は、この実施例ではパソコン20を遠隔操作するため以下のように転用される。すなわち、ファンクションボタン26aはマウスモードとキーボードモードとを切り替えるための、操作モードの切り替えを行うものであり、ファンクションボタン26を押圧操作する都度、マウスモードとキーボードとが切り替わる。マウスモードのときは、前記リングスイッチ26dによって、表示画面23上に表示された後述するカーソル23cを上下左右に移動させ、キーボードモードのときは、画像情報22aの中のキーボード23bの中のキーを押し下げるのに使用する。
【0015】
ファンクションボタン26bは前記確定ボタン26cと協働して慣用されているパソコン用マウスに装備されている確定ボタン26c(左クリック)と、キャンセルボタン(右クリック)とに対応する機能が付与されており、これらによって、後述するカーソル23cの動作を確定し、あるいは取り消しをするため使用される。は前記リングスイッチ26dの配されており、
【0016】
前記リングスイッチ26dは、表示画面23上に表示されるカーソル23cを移動させるためのカーソルボタンとして作用するものであり、上下のボタンを個別に押圧操作することによってカーソル23cを表示画面23上で上下に移動させ、左右のボタンを個別に押圧操作することによって左右に移動させる。なお、記確定ボタン26cはリングスイッチ26dの中心部に配置されており、カーソル23cを操作するリングスイッチ26dからの距離を最短にしている。
【0017】
カーソルボタンたるリングボタンボタン26dの下方には、数字ボタン26hの他、アスタリスクボタン26j、およびシャープボタン26kが配置されている。数字ボタンは数字の入力以外に画面のスクロールや漢字変換、あるいは、バックスペースキーとして使用され、アスタリスクボタン26j、およびシャープボタン26kはそれぞれシフトキーや、ページアップキーとして使用される。
【0018】
15は上記遠隔操作システム10を動作させるためのソフトウェアである。ソフトウェア15は前記パソコン20へインストールされるサーバー用ソフトウェア15a、携帯電話機25へインストールされる携帯電話用ソフトウェア15b、及び代理パソコン30へインストールされる代理サーバー用ソフトウェア15cを含んでいる。
【0019】
次に、ソフトウェア15の内容を説明する。サーバー用ソフトウェア15aには、携帯電話機25から直接に、あるいはそれらの間を中継する代理パソコン30を介して間接に伝送される入力情報23dを、パソコン20を動作させるための信号に変換する入力変換ソフトウェアと、表示画面22に表示された画像情報22aを携帯電話機25へ伝送するための出力変換ソフトウェア、および携帯電話機25の認識情報を処理するための携帯電話認識ソフトウェアとが含まれる。
【0020】
携帯電話用ソフトウェア15bは、前記画像表示盤23上にパソコン20から伝送される画像情報22aの入力信号に変換する入力変換ソフトウェアを含む。この入力変換ソフトウェアには前記画像情報22aを携帯電話機25の表示画面23へ画像情報23aとして表示し、その画像が小さ過ぎて不鮮明なときには拡大して表示し、あるいは元のサイズに復帰させるための縮小拡大手段を含む。また、入力変換ソフトウェアには画像情報22aをなす文字や画像が綺麗に見える平準化縮小処理と、拡大表示する際に働く補完処理(線形補完、ラグランジュ補完など)が含まれている。
【0021】
携帯電話用ソフトウェア15bには、前記入力変換ソフトウェアによって変換された画像情報22aの中に、キーボード23bとカーソル23cとの操作用画像を加える表示ソフトウェアが含まれる。ここで、キーボード23bは図3で示すように、表示画面23の下面に挿入され、カーソル23cは画像情報23aの中に移動可能に表示される。
【0022】
前記携帯電話用ソフトウェア15bには、さらに、表示画面23中のカーソル23cの移動やファンクションボタン26dのボタン操作、および、確定ボタン26cなどのボタン操作を行うための操作ボタン割付ソフトウェアと、前記キーボード23bやカーソル23c、あるいは操作ボタン26などから出力される操作情報をパソコン20、あるいは代理パソコン30へ伝送するための出力変換ソフトウェアとが含まれる。
【0023】
また、代理サーバー用ソフトウェア15cはパソコン20と携帯電話機25との間で送受される情報や信号のための通信フォーマットの変換や、セキュリティ向上のために必要な場合に加えられるが、その構成と作用は周知に属する。
【0024】
この実施例は以上のように構成されているから、パソコン20(および代理パソコン30)が動作している環境で、携帯電話機25の操作ボタン26を操作してパソコン20に割り当てられた暗証番号を入力すると、その信号はサーバー用ソフトウェア15aによって処理され、入力された暗証番号が予め登録された特定の電話機と一致していれば、インターネット12を介して携帯電話機25とパソコン20とが接続される。
【0025】
携帯電話機25とパソコン20とが接続されると、携帯電話機25にパソコン20の表示画面22に示される画像情報22aと同じ画像が、インターネット12を介して携帯電話機25へ伝送され、その表示画面23上に縮小して表示される。また、ここで表示される画像23aは操作ボタン26の操作によって拡大あるいは縮小表示が可能であるから、表示画面23が比較的小型であっても読解の難しさはなく、携帯電話機25のボタン操作、換言すればパソコン20の操作になんらの支障もない。
【0026】
また、携帯電話機25の表示画面23にはキーボード23bとカーソル23cとが表示されるから、操作ボタン26を操作してカーソル23cを表示画面23上で必要な位置に移動させ、あるいは必要な文字を入力した後に確定ボタン26cを操作することによって、その操作が入力情報23dとして、インターネット12を介してパソコン20へ伝送される。
【0027】
以上のように、この発明ではサーバーたるパソコン20と携帯電話機25とがインターネット12を介して接続され、相互に情報の交換が可能となる構成を採用したから、従来のモバイルギヤたるパソコンに代えて携帯電話機25を用い、それによって遠方にあるパソコン20を操作して、情報を伝送したり受信したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は遠隔地にあるパソコンを携帯電話機によって操作可能としたものであるから、会社と社外で活動する営業員との連絡ばかりでなく、資材倉庫と資材運搬担当者との連絡などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明の実施方法を示した説明図である。
【図2】携帯電話機の正面図である。
【図3】携帯電話機の表示画面を示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 パソコン遠隔操作システム
12 インターネット
15a サーバー用ソフトウェア
15b 携帯電話用ソフトウェア
15c 代理サーバー用ソフトウェア
20 パソコン(コンピュータ)
22、23 表示画面
22a パソコンの画像情報(出力情報)
23a 縮小された画像情報
23b キーボード
23c カーソル
23d 入力情報
25 携帯電話機
26 操作ボタン
26a ファンクションボタン(メニューボタン)
26b ファンクションボタン(右クリック)
26c 確定ボタン(左クリック)
26d カーソルボタン
26e 通話ボタン
26f 遮断ボタン
26h 数字ボタン
26j アスタリスクボタン
26k シャープボタン
27 操作盤
30 代理パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機によって操作対象たるパソコンの表示画面を受信し、その表示画面を縮小して携帯電話機の表示盤に表示するとともに、その表示盤に表示された画面を携帯電話機に備えた操作子によって操作し、そこから発せられる操作信号を操作対象たるパソコンへ送信して操作対象たるパソコンを動作させる携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム。
【請求項2】
携帯電話機によって操作対象たるパソコンの表示画面を受信し、これにキーボードとカーソルの表示を加えて表示盤に表示し、表示されたキーボードを操作するための操作信号を前記操作対象たるパソコンへ送信して操作対象たるパソコンを動作させる携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム。
【請求項3】
操作対象たるパソコンを遠隔操作する携帯電話用ソフトウェア、携帯電話機からの信号によって操作対象たるパソコンを動作させる遠隔操作ソフトウェア、および操作対象たるパソコンと携帯電話機との間で情報を伝送させるための中継ソフトウェアとからなる携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム。
【請求項4】
操作対象たるパソコンを遠隔操作する携帯電話用ソフトウェア、携帯電話機からの信号によって操作対象たるパソコンを動作させるサーバー用ソフトウェア、および操作対象たるパソコンと携帯電話機との間で伝送される情報を中継する代理パソコンを動作させるための中継ソフトウェアとを含む携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム。
【請求項5】
携帯電話機に携帯電話用ソフトウェアと操作対象のパソコンにサーバー用ソフトウェアとをインストールしておき、携帯電話機を操作対象のコンピュータおよび遠隔操作信号を中継する代理パソコンのいずれか一方に接続して、パソコンの表示画面を受信し、携帯電話機に設けた操作子の操作信号を送信して前記操作対象のパソコンを動作させる携帯電話を用いたパソコンの遠隔操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−197299(P2006−197299A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7359(P2005−7359)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(505018500)
【Fターム(参考)】