説明

携帯電話機、アラームシステム、アラーム方法およびアラームプログラム

【課題】遅延情報を配信するサーバの負担を増すことなく、交通機関に遅延が生じた場合にアラーム時刻を変更することができるようにする。
【解決手段】携帯電話機10は、メール受信手段3が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると遅延メール判別手段4が判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出手段5と、変更時刻算出手段5がアラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、変更時刻算出手段5がアラーム設定時刻を再計算しない場合には、記憶装置1に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行手段6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム機能を有する携帯電話機、アラームシステム、アラーム方法および携帯電話機に内蔵されるアラームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機にはアラーム機能が内蔵されている。そのような携帯電話機において、ユーザは、予めアラーム機能によってアラームを出す時刻(アラーム設定時刻)を設定して、携帯電話機を目覚まし時計として使用することができる。しかし、ユーザが利用している交通機関に遅延が発生している場合には、通常のアラーム設定時刻のままに起きて行動をしていては、ユーザは、始業時刻までに会社や学校等に到着できないことがある。
【0003】
特許文献1には、交通機関の遅延の度合いに応じてアラームシステムのアラーム時刻を自動再設定するアラーム時刻再設定装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、利用路線情報の事前登録を必要とせずに、電車遅延情報を鉄道利用者に通知する遅延情報連絡システムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−303687号公報(段落0013,段落0023−0026)
【特許文献2】特開2008−105516号公報(段落0005,段落0010)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、起床から通勤電車に乗るまでの身支度時間の長短、または駅までに要する時間の長短等に応じて、同じ電車に乗るユーザでも起床時間はばらばらである。特許文献1に記載されたアラーム時刻再設定装置では、電車遅延情報にもとづいてアラーム時刻を変更する場合に、個々のユーザ毎に異なるアラーム時刻を、サーバが管理し、さらに、交通情報に応じて新たなアラーム時刻の再計算を行う必要があり、サーバの負担が大きいという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に示された遅延情報連絡システムでは、携帯電話機が、改札口装置から車両利用情報を自動的に取得して保存し、携帯電話機管理サーバから配信される遅延情報と、保存した車両利用情報とを照合して該当する路線名が存在する場合には緊急メッセージを表示する。しかし、例えば、近い過去に、ユーザが日常使用する路線とは異なる路線を使用した場合には、その路線の情報が表示されてしまう。従って、ユーザにとって不要な遅延情報がユーザに提示されることがあるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、遅延情報を配信するサーバの負担を増すことなく、交通機関に遅延が生じた場合にアラーム時刻を変更することができる携帯電話機、アラームシステム、アラーム方法およびアラームプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による携帯電話機は、ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを格納する記憶装置と、交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバからの電子メールを受信するメール受信手段と、メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判別手段と、メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると遅延メール判別手段が判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出手段と、変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算しない場合には、記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によるアラームシステムは、携帯電話機と、交通機関の遅延情報を通知する電子メールを携帯電話機に送信する遅延情報通知サーバとを備えたアラーム設定時刻変更システムであって、携帯電話機は、ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを格納する記憶装置と遅延情報通知サーバからの電子メールを受信するメール受信手段と、メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判別手段と、メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると遅延メール判別手段が判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出手段と、変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算しない場合には、記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によるアラーム方法は、携帯電話機において、ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを記憶装置に格納するデータ格納ステップと、交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバからの電子メールを受信し、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判断ステップと、遅延メール判断ステップで、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出ステップと、変更時刻算出ステップで、アラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、アラーム設定時刻を再計算しない場合には、記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明によるアラームプログラムは、携帯電話機に内蔵されたコンピュータに、ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを記憶装置に格納する処理と、交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバからの電子メールを受信し、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する処理と、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する処理と、アラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、アラーム設定時刻を再計算しない場合には、記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遅延情報を配信するサーバの負担を増すことなく、交通機関に遅延が生じた場合にアラーム時刻を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施形態1.
図1は、本発明による携帯電話機の第1の実施形態(実施形態1)の構成を示すブロック図である。図1に示す携帯電話機100は、電子メールを受信する機能、およびアラーム機能を備えた携帯電話機である。
【0015】
アンテナ11は、携帯電話基地局との電波の送受信に用いられる。無線部12は、変復調機能を有し、アンテナ11を介して基地局からの信号を受信し、受信した信号を復調してメールデータを抽出する。
【0016】
入力部13は、入力キーを含み、ユーザからの入力キーの押下等による操作に対応して、アラーム設定時刻を入力したり、動作中のアラーム機能を停止させる指示を入力したりする。
【0017】
表示部14は、ディスプレイを含み、制御部21からの指示に従って種々の情報をディスプレイ等に表示する。例えば、表示部14は、アラーム設定時刻を表示したり、アラーム機能が動作中であることを表示したり、電車遅延が発生した場合に設定時刻とは異なる時刻にアラームを鳴らしたことを通知する表示を行ったりする。
【0018】
記憶部15は、制御部21が行う処理に関する種々のデータを記憶する。例えば、記憶部15は、アラーム設定時刻、変更後のアラーム設定時刻、遅延メールの内容を判断するためのキーワードおよび遅延メールから抽出した情報等のデータを記憶する。
【0019】
タイマ16は、時間や時刻をカウントする計時機能を有する。制御部21は、タイマ16から計時情報を入力して表示部15に表示させる。また、制御部21は、記憶部15に記憶されたアラーム設定時刻とタイマ16から入力した現在時刻とが一致したことを検出すると、アラーム機能を実行する。
【0020】
鳴音駆動部17は、制御部21によって制御される。制御部21は、アラーム機能を実行する際に、鳴音駆動部17を作動させる。スピーカ18は、鳴音駆動部17から出力される信号に従って音を鳴らす。
【0021】
振動駆動部19は、制御部21の制御に従って作動し、バイブレータ20を振動させる。振動駆動部19は、振動設定が有効に設定されているアラーム機能が動作している場合に、バイブレータ20を振動させる。バイブレータ20は、振動駆動部19から出力される信号に従って振動する。
【0022】
制御部21は、携帯電話機100を構成する各部の諸機能を制御したり指示する。また、制御部21は、予め記憶部15に記憶されているデータと、受信されたメールデータとを比較し、比較の結果に応じて時刻の再計算を行い、再計算した時刻の情報を記憶部15に記憶させる機能も有している。
【0023】
図2は、図1に示す携帯電話機のアラーム時刻変更処理を示すフローチャートである。図2を参照して、図1に示す携帯電話機のアラーム時刻を変更する動作を説明する。
【0024】
携帯電話機100は、アラームを鳴らす時刻(アラーム設定時刻)が入力部11から予め入力されていて、アラーム機能を有効にした状態で、待ち受け状態になっている(ステップS101)。アラーム機能を有効にした携帯電話機100では、制御部21が、記憶部15に記憶されたデータを参照して、アラーム設定時刻と現在時刻とが一致したことを検出すると、後述するアラーム機能の鳴音設定および振動設定に従って、アラーム機能を実行する。また、携帯電話機100は、ユーザが利用する電車の路線情報(路線名を示す情報)を予め記憶部15に記憶しているとする。
【0025】
アンテナ11が電子メールの電波を受信すると、無線部12は、アンテナ11が受信した電子メールの電波を復調してメールデータを抽出する。制御部21は、記憶部15に記憶されているキーワードを使った検索を行って、抽出されたメールデータが遅延メールを示すデータであるか判別する。キーワードを使った検索とは、遅延メールであることを示すと考えられるキーワードを予め記憶部15に記憶させておき、制御部21がキーワードに合致する部分がメールデータに存在するか検索し、キーワードに合致する部分がメールデータに存在する場合には、メールデータが遅延メールを示すデータであると判別する検索である。
【0026】
ここで、キーワードを使った検索について説明する。図3は、表示部に表示した遅延メールの一例を示す説明図である。図3に示す発信者および題名の欄において、破線で囲まれた部分に示された情報は、受信した電子メールが遅延メールであることを端的に示していると考えられる。なお、キーワードとして、発信者の特定の電子メールアドレス、特定の語句(例えば、「電車」や「遅延」)を含む電子メールの題名、またはその他電子メールを特定できる語句を用い、いずれかのキーワードが一致すればよいとする。
【0027】
キーワードを使った検索を行って、抽出されたメールデータが遅延メールを示すデータであると判別された場合には(ステップS102)、制御部21は、遅延メールの本文中から路線名および遅延時間を抽出する(ステップS103)。一般に、遅延メールは定型文から作成されているので、定型文中のキーワードを抽出する方法を用いて、路線名および遅延時間を抽出すればよい。制御部21は、抽出した路線名と、予め記憶部15に記憶されているユーザが利用する電車の路線情報とが一致するか確認する(ステップS104)。抽出した路線名と予め記憶部15に記憶されているユーザが利用する電車の路線情報とが一致しなかった場合には、ユーザには関係のない遅延メールであるとして、携帯電話機100は待ち受け状態に戻る。
【0028】
ステップS104において、抽出した路線名と予め記憶部15に記憶されているユーザが利用する電車の路線情報とが一致した場合には、制御部21は、有効になっているアラーム機能を停止する(ステップS105)。
【0029】
次いで、制御部21は、予め設定されて記憶部15に記憶されているアラーム設定時刻から、ステップS103において抽出された遅延時間を減算する。制御部21は、減算後の時刻を、再計算されたアラーム設定時刻として登録する(ステップS106)。このとき、制御部21は、減算後の時刻を、再計算されたアラーム設定時刻として新たに記憶部15に記憶させるが、予め設定されていたアラーム設定時刻のデータを記憶部15に残す。
【0030】
制御部21は、記憶部15に記憶した再計算されたアラーム設定時刻とタイマ16から入力した現在時刻とが一致したことを検出すると、アラーム機能を実行する。すなわち、制御部21は、鳴音駆動部17を作動させる。スピーカ18は、鳴音駆動部17から出力される信号に従って、予め設定されている通常のアラーム音とは異なるアラーム音を鳴らす(ステップS107)。
【0031】
ステップS107においてアラーム音を鳴らすのと同時に、またはその後に、制御部21は、表示部14を制御して、アラーム機能が動作中であることを表示する。このとき、変更されたアラーム設定時刻でアラーム機能を動作させていることが分かるように、通常のアラーム機能の動作中の表示とは異なる表示が表示される(ステップS108)。
【0032】
ステップS108において、アラーム機能が動作している際に、携帯電話機100の入力部13に含まれるキーボタンが押下されて、入力部13から所定の操作に対応する入力信号が入力されると、制御部21は、アラーム機能の動作を停止する(ステップS109)。なお、アラーム機能の動作を停止させるためのキーボタンは、特定のキーであるが、特定のキーでなくてもよい。
【0033】
ステップS109において、アラーム機能の動作が停止した後に、所定の操作が行われて、入力部13から所定の操作に対応する入力信号が入力されると、制御部21は、変更したアラーム設定時刻に関するアラーム動作を解除する(ステップS110)。なお、所定の操作とは、例えば、終話キー、サイドキーまたは不特定キーの押下の他に、折り畳み形状またはスライド形状の携帯電話機の開閉動作等としてよい。さらに、キー押下を伴わずに予め設定している時間が経過した場合を所定の操作に含めてもよい。アラーム動作の解除によって、変更されたアラーム設定時刻も解除される。
【0034】
なお、アラーム機能の設定において振動設定が有効に設定されている場合には、制御部21は、スピーカ18がアラーム音を鳴らすタイミングで、振動駆動部19を作動させてバイブレータ20を振動させる。そして、制御部21は、アラーム機能の動作を停止するタイミングで、振動駆動部19にバイブレータ20の振動を停止させる。さらに、携帯電話機100のアラーム機能の設定は、鳴音設定が無効に設定され、かつ振動設定が有効に設定されていてもよく、その場合には、制御部21は、鳴音駆動部17を作動させず、振動駆動部19を作動させてアラーム機能の動作を実施する。
【0035】
第1の実施の形態では、アラーム設定時刻より前に電車遅延が発生して当該交通機関の遅延を連絡する電子メールを受信した場合に、遅延時間の分だけ早くアラーム機能が動作するので、遅延時間の分だけ早くユーザにアラームを出すことができる。さらに、携帯電話機100のスピーカ18は通常のアラーム機能の動作中における音とは異なる音を鳴らし、表示部14は通常のアラーム機能の動作中の表示とは異なる表示を表示するので、ユーザは、遅延が発生していることを容易に認識できる。また、アラーム機能を解除したときに、変更したアラーム設定時刻は解除され、遅延メールによるアラーム設定時刻の変更をその時限りにすることができる。
【0036】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態(実施形態2)を説明する。第2の実施形態の携帯電話機は、図1に示された第1の実施形態と同じ構成となっている。図4は、アラーム機能が設定されている携帯電話機が遅延メールを受信した際の第2の実施形態における処理を示すフローチャートである。図4を参照して、第2の実施形態の携帯電話機を説明する。
【0037】
第2の実施形態において、携帯電話機100は、待ち受け状態から遅延メールを受信して特定情報を抽出し、抽出情報がユーザが利用する電車の路線の情報であるか確認する処理を実行すること(図2のステップS101〜S104に相当)は、第1の実施形態の場合と同じである(ステップS301〜S304)。
【0038】
制御部21は、ステップS303において遅延メールの本文中から抽出した遅延時間を、予め設定されて記憶部15に記憶されているアラーム設定時刻から減算する。そして、制御部21は、減算結果の時刻とタイマ16が計時している現在時刻とを比較する(ステップS305)。図5は、アラーム設定時刻、現在時刻および遅延時間の関係を示す説明図である。図5に示された関係では、アラーム設定時刻(一例として、7:15)から遅延時間(一例として、20分)を減算した減算結果の時刻が現在時刻(一例として、7:00)より早い時刻(一例として、6:55)を指している。
【0039】
ステップS305における比較の結果、減算結果の時刻が現在時刻よりも遅い場合には、すなわち、遅延時間が現在時刻(遅延メールを受信した時刻)とアラーム設定時刻との差よりも小さい場合には、減算結果の時刻が現在時刻と一致または早くなるまで待ち受け状態となり、制御部21は、一定時間経過ごとにステップS305における比較を行う。
【0040】
ステップS305における比較の結果、図5に示されたように減算結果の時刻が現在時刻よりも早い場合(同じ場合も含む。)には、すなわち、遅延時間が現在時刻とアラーム設定時刻との差以上である場合には、繰り上げるべきアラーム設定時刻が経過していることを意味しているので、制御部21は、鳴音駆動部17を作動させる。スピーカ18は、鳴音駆動部17の指示に従って、予め設定してある通常のアラーム音とは異なるアラーム音を鳴らす(ステップS306)。なお、遅延時間が現在時刻とアラーム設定時刻との差以上である場合には、実質的に、現在時刻を再計算したアラーム設定時刻にしたことになる。
【0041】
ステップS306においてアラーム音を鳴らすのと同時に、またはその後に、制御部21は、表示部14を制御して、アラーム機能が動作中であることを表示する。このとき、変更されたアラーム設定時刻にアラーム機能を動作させていることが分かるように、通常のアラーム機能の動作中の表示とは異なる表示が表示される(ステップS307)。なお、変更前のアラーム設定時刻および変更されたアラーム設定時刻を同時に表示部14に表示させてもよい。
【0042】
ステップS307において、アラーム機能が動作している際に、携帯電話機100の入力部13に含まれるキーボタンが押下されて、入力部13から所定の操作に対応する入力信号が入力されると、制御部21は、アラーム機能の動作を停止する(ステップS308)。なお、アラーム機能の動作を停止させるためのキーボタンは、特定のキーであるが、特定のキーでなくてもよい。
【0043】
ステップS308において、アラーム機能の動作が停止した後に、所定の操作が行われて、入力部13から所定の操作に対応する入力信号が入力されると、制御部21は、変更したアラーム設定時刻に関するアラーム動作を解除する(ステップS309)。なお、所定の操作とは、例えば、終話キー、サイドキーまたは不特定キーの押下の他に、折り畳み形状またはスライド形状の携帯電話機の開閉動作等としてよい。さらに、キー押下を伴わずに予め設定している時間が経過した場合を所定の操作に含めてもよい。アラーム動作の解除によって、変更されたアラーム設定時刻も解除される。
【0044】
なお、制御部21は、ステップS305の処理で、遅延時間が現在時刻とアラーム設定時刻との差よりも小さいと判定した場合には、図2に示すステップS105〜S110の処理を実行するようにしてもよい。
【0045】
第2の実施の形態では、電車の遅延時間が現在時刻とアラーム設定時刻との差よりも大きい場合、すなわち、現在時刻がアラーム設定時刻から遅延時間を減算した時刻を過ぎている場合には、即座にアラーム機能を動作させてアラームをユーザに出すことができる。また、電車の遅延時間が現在時刻とアラーム設定時刻との差よりも小さい場合、すなわち、現在時刻がアラーム設定時刻から遅延時間を減算した時刻に到達していない場合には、現在時刻がアラーム設定時刻から遅延時間を減算した時刻に到達するまで待ってからアラーム機能を動作させて、アラームを出す。また、アラーム機能を解除したときに、変更したアラーム設定時刻は解除され、遅延メールによるアラーム設定時刻の変更をその時限りにすることができる。
【0046】
図6は、本発明による携帯電話機の主要部を示すブロック図である。図6に示すように、携帯電話機10は、ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを格納する記憶装置1(図1に示す記憶部15に相当)と、交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバ2からの電子メールを受信するメール受信手段3(図1に示すアンテナ11および無線部12に相当)と、メール受信手段3が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判別手段4(図1に示す制御部21に相当)と、メール受信手段3が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると遅延メール判別手段4が判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出手段5(図1に示す制御部21に相当)と、変更時刻算出手段5がアラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、変更時刻算出手段5がアラーム設定時刻を再計算しない場合には、記憶装置1に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行手段6(図1に示す制御部21、表示部14、タイマ16、鳴音駆動部17、スピーカ18、振動駆動部19およびバイブレータ20等に相当)とを備えたことを特徴とする。このような携帯電話機では、ユーザから指定されたアラーム設定時刻より前に、ユーザから予め指定された交通機関に遅延が発生して当該交通機関の遅延を連絡する電子メールを受信した場合に、アラーム設定時刻を再計算して、交通機関に遅延が生じた場合にアラーム時刻を変更することができる。
【0047】
また、上記の各実施形態では、以下の(1)〜(6)に示すような携帯電話機も示されている。
【0048】
(1)変更時刻算出手段は、遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻との差よりも小さい場合にアラーム設定時刻を再計算する携帯電話機(例えば、第1の実施形態のステップS106〜S107の動作によって実現される。)。そのように構成された携帯電話機では、アラーム設定時刻より前に遅延が発生して当該交通機関の遅延を連絡する電子メールを受信した場合に、遅延時間の分だけ早くアラーム機能が動作するので、遅延時間の分だけ早くユーザにアラームを出すことができる。
【0049】
(2)変更時刻算出手段は、遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻との差以上である場合には、現在時刻を、再計算したアラーム設定時刻にする携帯電話機(例えば、第2の実施形態のステップS306の動作によって実現される。)。そのように構成された携帯電話機では、遅延時間が現在時刻とアラーム設定時刻との差よりも大きい場合、すなわち、現在時刻がアラーム設定時刻から遅延時間を減算した時刻を過ぎている場合には、即座にアラーム機能を動作させてユーザにアラームを出すことができる。
【0050】
(3)アラーム実行手段は、再計算されたアラーム設定時刻におけるアラーム機能をユーザによる所定の操作に応じて解除する携帯電話機(例えば、第1の実施形態のS110または第2の実施形態のS309の動作によって実現される。)。そのように構成された携帯電話機では、遅延メールによって設定時刻が変更されたアラーム設定時刻が維持されることなく解除されるので、例えば、毎日同じ時刻にアラーム機能の実行を設定しているような場合でも翌日からは通常通りの設定時刻にアラーム機能を実行することができる。
【0051】
(4)アラーム実行手段は、アラーム機能を実行する際に、アラーム音の出力もしくはバイブレータの振動、またはアラーム音の出力およびバイブレータの振動を行う携帯電話機(例えば、第1および第2の実施形態の携帯電話機100のアラーム機能の鳴音設定および振動設定によって実現される。)。
【0052】
(5)アラーム実行手段は、再計算されたアラーム設定時刻にアラーム機能を実行する場合に、ユーザが指定したアラーム設定時刻におけるアラーム機能の実行時における音とは異なる音を出力する携帯電話機(例えば、第1の実施形態のステップS107またはステップS306の動作によって実現される。)。そのように構成された携帯電話機では、通常のアラーム機能の動作中における音とは異なる音が鳴るので、ユーザに、遅延が発生していることを容易に認識させることができる。
【0053】
(6)アラーム実行手段は、再計算されたアラーム設定時刻にアラーム機能を実行する場合に、ユーザが指定したアラーム設定時刻におけるアラーム機能の実行時の表示とは異なる表示を行う携帯電話機(例えば、第1の実施形態のステップS108またはステップS307の動作によって表示部14に表示して実現される。)。そのように構成された携帯電話機では、通常のアラーム機能の動作中の表示とは異なる表示が表示されるので、ユーザに、遅延が発生していることを容易に認識させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明を、電子メール受信機能およびアラーム機能を有する通信端末に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による携帯電話機の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】アラーム機能が設定されている携帯電話機が遅延メールを受信した際の第1の実施形態における処理を示すフローチャートである。
【図3】表示部に表示した遅延メールの一例を示す説明図である。
【図4】アラーム機能が設定されている携帯電話機が遅延メールを受信した際の第2の実施形態における処理を示すフローチャートである。
【図5】アラーム設定時刻、現在時刻および遅延時間の関係を示す説明図である。
【図6】本発明による携帯電話機の主要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1 記憶装置
2 遅延情報通知サーバ
3 メール受信手段
4 遅延メール判別手段
5 変更時刻算出手段
6 アラーム実行手段
10,100 携帯電話機
11 アンテナ
12 無線部
13 入力部
14 表示部
15 記憶部
16 タイマ
17 鳴音駆動部
18 スピーカ
19 振動駆動部
20 バイブレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを格納する記憶装置と、
交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバからの電子メールを受信するメール受信手段と、
前記メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判別手段と、
前記メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると前記遅延メール判別手段が判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出手段と、
前記変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、前記変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算しない場合には、前記記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行手段とを備えた
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
変更時刻算出手段は、遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻との差よりも小さい場合にアラーム設定時刻を再計算する
請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
変更時刻算出手段は、遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻との差以上である場合には、現在時刻を、再計算したアラーム設定時刻にする
請求項1または請求項2記載の携帯電話機。
【請求項4】
アラーム実行手段は、再計算されたアラーム設定時刻におけるアラーム機能をユーザによる所定の操作に応じて解除する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項5】
アラーム実行手段は、アラーム機能を実行する際に、アラーム音の出力もしくはバイブレータの振動、またはアラーム音の出力およびバイブレータの振動を行う
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項6】
アラーム実行手段は、再計算されたアラーム設定時刻にアラーム機能を実行する場合に、ユーザが指定したアラーム設定時刻におけるアラーム機能の実行時における音とは異なる音を出力する
請求項5記載の携帯電話機。
【請求項7】
アラーム実行手段は、再計算されたアラーム設定時刻にアラーム機能を実行する場合に、ユーザが指定したアラーム設定時刻におけるアラーム機能の実行時の表示とは異なる表示を行う
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項8】
携帯電話機と、交通機関の遅延情報を通知する電子メールを前記携帯電話機に送信する遅延情報通知サーバとを備えたアラームシステムであって、
前記携帯電話機は、
ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを格納する記憶装置と、
前記遅延情報通知サーバからの電子メールを受信するメール受信手段と、
前記メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判別手段と、
前記メール受信手段が受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると前記遅延メール判別手段が判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出手段と、
前記変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、前記変更時刻算出手段がアラーム設定時刻を再計算しない場合には、前記記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行手段とを含む
ことを特徴とするアラームシステム。
【請求項9】
携帯電話機における変更時刻算出手段は、遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻の差以上である場合には、現在時刻を、再計算したアラーム設定時刻にする
請求項8記載のアラームシステム。
【請求項10】
携帯電話機におけるアラーム方法であって、
ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを記憶装置に格納するデータ格納ステップと、
交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバからの電子メールを受信し、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する遅延メール判断ステップと、
前記遅延メール判断ステップで、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する変更時刻算出ステップと、
前記変更時刻算出ステップで、アラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、アラーム設定時刻を再計算しない場合には、前記記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行するアラーム実行ステップとを含む
ことを特徴とするアラーム方法。
【請求項11】
変更時刻算出ステップで、遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻との差以上である場合には、現在時刻を、再計算したアラーム設定時刻にする
請求項10記載のアラーム方法。
【請求項12】
携帯電話機に内蔵されたコンピュータに、
ユーザが指定した交通機関を示すデータおよびアラーム設定時刻を示すデータを記憶装置に格納する処理と、
交通機関の遅延情報を通知する遅延情報通知サーバからの電子メールを受信し、受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであるか判別する処理と、
受信した電子メールがユーザが指定した交通機関の遅延情報を伝える電子メールであると判別した場合には、電子メールから遅延時間を抽出し、抽出した遅延時間にもとづいてアラーム機能を実行する時刻を再計算する処理と、
アラーム設定時刻を再計算した場合には、再計算したアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行し、アラーム設定時刻を再計算しない場合には、前記記憶装置に格納されているアラーム設定時刻と現在時刻とが一致したときにアラーム機能を実行する処理と
を実行させるためのアラームプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
遅延時間が現在時刻と記憶装置に記憶されているアラーム設定時刻との差以上である場合には、現在時刻を、再計算したアラーム設定時刻にする処理を実行させる
請求項12記載のアラームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−91478(P2010−91478A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263129(P2008−263129)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】