説明

携帯電話機

【課題】 圏外状態に携帯電話機が滞在している場合は基地局の受信信号のモニタ動作を停止して低消費電力化を実現するような携帯電話機を提供する。
【解決手段】 GPSアンテナ3は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号受信部4はGPSアンテナ3からのGPS信号からGPS情報を再生して携帯電話機の位置情報を生成する。圏外位置情報記憶部5は、受信部2からの基地局の圏外情報とGPS信号受信部4からのそのときの携帯電話機の位置情報とを対にして記憶する。圏外状態検索判定部6は、GPS信号受信部4からの位置情報を圏外位置情報記憶部5から検索し、記憶されている圏外位置情報と一致した場合は、圏外状態フラグを電源制御部7へ伝達する。電源制御部7は、圏外状態判定部6から圏外状態フラグを伝達された場合に、携帯電話機が圏内に戻るまで、受信部2の電源を停止して基地局の信号のモニタ動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と通信できない圏外状態で消費電力を削減する低消費電力モードを備えた携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機はハイディタイプの利便性から小型軽量化と低消費電力化が常に求められ、これらが携帯電話機の基本性能の重要的な要素となっている。低消費電力化を実現するためには、携帯電話機の各回路毎の動作の有無に応じて電源供給制御を行う制御方法が効果的である。従来の低消費電力化の方法として、携帯電話機と基地局との通信が不可能な圏外状態においては、一定の周期で基地局からの信号を検出するON制御と、その他の時間には動作をさせないOFF制御とを行うことによって携帯電話機の低消費電力化を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、従来の携帯電話機において低消費電力化を実現させるための構成を示すブロック図である。図3において、アンテナ11は図示しない基地局との間で無線信号を送受信する手段であり、受信部12はアンテナ11で受信された基地局からの受信信号を復調・復号化し、制御データやユーザデータなど必要な情報を再生する手段である。また、モニタ動作起動タイマ生成部13は、受信部12が生成した情報のうち、図示しない基地局からの受信信号を正常に再生できない旨を示す圏外情報を起点として、携帯電話機の圏外状態において次回に基地局信号をモニタするまでの期間をカウントするタイマを生成する手段である。さらに、電源制御部14は携帯電話機の圏外時においてモニタ動作起動タイマ生成部13で生成した圏外動作タイマがモニタ動作をONした際に受信部12の電源をONし、図示しない基地局からの信号を受信可能にする制御を行う手段である。このような手段の構成によって、サービスエリア圏外時において効率的に携帯電話機の消費電力を削減するバッテリセービングを行うことができる。
【特許文献1】特開平10−013330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含めた前記従来の携帯電話機の構成では、圏外状態において携帯電話機の各回路が動作すべきときのみ電源を供給する電源制御を行い、効果的に低消費電力化が図られているが、携帯電話機が長時間に亘って圏外領域に滞在する場合であっても基地局からの信号を周期的に検出する制御を行っている。そのため、携帯電話機が長時間に亘って圏外領域にある間中は周期的な信号によってバッテリーを消費し続けるので、結果的に低消費電力化を図ることができない。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、圏外状態に携帯電話機が滞在している場合は基地局の受信信号のモニタ動作を停止して低消費電力化を実現するような携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の携帯電話機は、携帯電話システムの基地局との間で無線通信を行い、その無線通信が不可能な圏外状態のときには周期的に基地局との間で通信を試行する携帯電話機であって、GPS衛星から送信されたGPS信号を受信して自機の位置を示すGPS情報を生成するGPS信号受信手段と、基地局との通信状態を監視し、無線通信が不可能な圏外状態にある自機の位置情報を記憶する圏外位置情報記憶手段と、GPS信号受信手段より得られた自機の位置情報が、圏外位置情報記憶手段に記憶された圏外状態にある自機の位置情報と一致するか否かの判定を行う圏外状態判定手段と、圏外状態判定手段により自機の位置情報が圏外状態にあると判定された際に、自機が再度圏外状態にあると判定されない状態へ移動するまで、基地局からの信号の受信を試行しないように受信部の電源を停止させる電源制御手段とを備える構成を採っている。
【0007】
このような構成によれば、携帯電話機が圏外状態にあるときは基地局からの信号のモニタ動作を停止させることができるので、携帯電話機の低消費電力化を実現することが可能となる。
【0008】
また、本発明の携帯電話機は、前記発明の構成に加えて、さらに、前記圏外位置情報記憶手段に記憶された圏外状態にある自機の位置情報から圏内と圏外の境界位置情報を生成する境界位置生成手段と、前記圏外状態判定手段により自機の位置情報が圏外状態にあると判定された場合、前記圏内と前記圏外の境界位置からの距離を算出する境界距離算出手段と、前記圏内と前記圏外の境界からの距離に応じて前記基地局との通信の試行周期を変化させるモニタ周期可変制御手段と、を備える構成を採っている。
【0009】
このような構成によれば、携帯電話機における圏外状態の位置を正確に算出し、圏外領域における携帯電話機の滞在位置によってモニタする周期を変える制御を行っているため、圏内に比較的近い圏外領域の位置に携帯電話機が滞在している場合には、携帯電話機が圏内に復帰した後に基地局の信号のモニタ応答時間を早くしながら、携帯電話機が圏外にあるときは効果的に低消費電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯電話機が圏外状態にあるときに基地局からの信号をモニタする動作を停止することにより、モニタ動作中に消費される電力を削減することが可能となるため、圏外状態での低消費電力化を実現することができる。また、携帯電話機が圏内に近いか否かを判断してモニタする周期を変えることによって、携帯電話機が圏内に入ったときのモニタ応答時間を早くすることができると共に、圏外にあるときは低消費電力化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
《発明の概要》
本発明の携帯電話機は、GPS信号によって自機が基地局と無線通信できる圏内にあるか、無線通信できない圏外にあるかを判定している。そして、自機が圏外にあると判定された際には、自機が圏内にあると判定される位置へ移動するまでは基地局からの信号の受信(つまり、モニタ)を試行しないように、自機の受信部の電源を停止させるように構成されている。これによって、携帯電話機が圏外にあるときは、効果的にバッテリーの低消費電力化を実現することができる。
【0012】
以下、図面を用いて、本発明における携帯電話機の実施の形態の幾つかを詳細に説明する。尚、各実施の形態に用いる図面において、同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【0013】
《実施の形態1》
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯電話機において低消費電力化を実現させる構成を示すブロック図である。図1において、携帯電話機は、図示しない基地局との間で無線信号を送受信するアンテナ1と、アンテナ1で受信された基地局からの受信信号を復調・復号化し、制御データやユーザデータなど必要な情報を再生する受信部2と、図示しないGPS衛星からのGPS受信信号を受信するGPSアンテナ3と、GPSアンテナ3からのGPS受信信号からGPS情報を再生して、自機の位置を示す位置情報を生成するGPS信号受信部4と、図示しない基地局との通信状態を監視し、無線通信が不可能な圏外状態にある自機の位置情報を記憶する圏外位置情報記憶部5と、GPS信号受信部4より得られた自機の位置情報を、圏外位置情報記憶部5に記憶された圏外状態の位置情報データから検索し、存在するか否かの判定を行う圏外状態検索判定部6と、圏外状態検索判定部6により自機の位置情報が圏外状態にあると判定された際に、自機が再度圏外状態にあると判定されない状態へ移動するまで、基地局からの信号の受信を試行しないように受信部2の電源を停止させる電源制御部7とを備えた構成となっている。
【0014】
次に、図1に示す携帯電話機における各構成要素の動作を説明する。GPSアンテナ3は、図示しないGPS衛星からのGPS信号の受信を行い、GPS信号受信部4はGPSアンテナ3からのGPS信号からGPS情報を再生して携帯電話機の位置情報を生成する。圏外位置情報記憶部5は、受信部2からの基地局の圏外情報とGPS信号受信部4からのそのときの携帯電話機の位置情報とを対にして記憶する。さらに、圏外状態検索判定部6は、GPS受信部4からの位置情報を圏外位置情報記憶部5に記憶されている圏外位置情報群から検索し一致した場合は、圏外状態フラグを電源制御部7へ伝達する制御を行う。電源制御部7は、圏外状態検索判定部6から圏外状態フラグを伝達された場合に、携帯電話機が圏内に戻るまで、すなわち、圏外状態フラグの伝達が停止されるまで、受信部2の電源を停止して基地局の信号のモニタ動作を停止する制御を行う。
【0015】
このような動作により、電源制御部7が、圏外状態検索判定部6からの圏外状態フラグに基づいて基地局の信号のモニタ動作を停止することにより、モニタ動作時の消費電力を低減することができるので、携帯電話機の圏外時における低消費電力化を効果的に実現することが可能となる。
【0016】
《実施の形態2》
図2は、本発明の実施の形態2に係る携帯電話機において低消費電力化を実現させる構成を示すブロック図である。図2に示す実施の形態2の携帯電話機の構成が、図1に示す実施の形態1の携帯電話機の構成と異なるところは、電源制御部7に対して受信部2の電源を制御する信号を出力する圏外状態検索判定部6が削除され、圏外位置情報記憶部5からの圏外情報と位置情報から携帯電話機の圏内と圏外の境界の位置情報を生成する境界位置生成部8と、GPS信号受信部4が生成する携帯電話機の位置における圏内と圏外の境界からの距離を算出する境界距離算出部9と、境界からの距離に応じて、基地局の信号のモニタ周期用制御信号を生成するモニタ周期可変制御部10とが追加された点である。なお、電源制御部7は、モニタ周期用制御信号がモニタ動作のON状態を示している場合に受信部2の電源をONにする。
【0017】
すなわち、図2に示す携帯電話機においては、境界位置生成部8が圏外位置情報記憶部5からの圏外情報と位置情報から携帯電話機の圏内と圏外の境界の位置情報を生成し、境界距離算出部9がGPS信号受信部4の生成した携帯電話機の位置における圏内と圏外の境界からの距離を算出する。そして、モニタ周期可変制御部10が、境界からの距離に応じて基地局の信号のモニタ周期用制御信号を生成する。
【0018】
これによって、電源制御部7はモニタ周期用制御信号がモニタ動作のON状態を示している場合に受信部2の電源をONにする。ここで、モニタ周期可変制御部10は、携帯電話機が圏内と圏外の境界から近い位置に滞在している場合は基地局の信号のモニタ動作の頻度を増やす。すなわち、携帯電話機が圏内と圏外の境界から近い位置にある場合はモニタ周期を短くする。また、携帯電話機が境界からの距離が長い位置にいる場合は、基地局の信号のモニタ動作頻度を減らす。すなわち、携帯電話機が境界からの距離が長い位置にいる場合は、モニタ周期を長くするようなモニタ周期用制御信号を生成する。
【0019】
このような動作により、携帯電話機における圏外状態の位置を算出し、圏外領域の滞在位置によってモニタ周期を変える制御を行うことにより、圏内により近い圏外領域の位置に携帯電話が滞在している場合には、圏内に復帰後に基地局の信号のモニタ応答時間を早くしながら、圏外時の低消費電力化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる携帯電話機は圏外状態における低消費電力化が可能となるため、低消費電力で使い勝手のよい汎用性のある携帯電話機として有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機において低消費電力化を実現させる構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2に係る携帯電話機において低消費電力化を実現させる構成を示すブロック図
【図3】従来の携帯電話機において低消費電力化を実現させるための構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0022】
1 アンテナ
2 受信部
3 GPSアンテナ
4 GPS信号受信部
5 圏外位置情報記憶部
6 圏外状態検索判定部
7 電源制御部
8 境界位置生成部
9 境界距離算出部
10 モニタ周期可変制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話システムの基地局との間で無線通信を行い、その無線通信が不可能な圏外状態のときには周期的に前記基地局との間で通信を試行する携帯電話機であって、
GPS衛星から送信されたGPS信号を受信して自機の位置を示すGPS情報を生成するGPS信号受信手段と、
前記基地局との通信状態を監視し、前記無線通信が不可能な圏外状態にある自機の位置情報を記憶する圏外位置情報記憶手段と、
前記GPS信号受信手段より得られた自機の位置情報が、前記圏外位置情報記憶手段に記憶された圏外状態にある自機の位置情報と一致するか否かの判定を行う圏外状態判定手段と、
前記圏外状態判定手段により自機の位置情報が圏外状態にあると判定された際に、自機が再度圏外状態にあると判定されない状態へ移動するまで、前記基地局からの信号の受信を試行しないように受信部の電源を停止させる電源制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
さらに、前記圏外位置情報記憶手段に記憶された圏外状態にある自機の位置情報から圏内と圏外の境界位置情報を生成する境界位置生成手段と、
前記圏外状態判定手段により自機の位置情報が圏外状態にあると判定された場合、前記圏内と前記圏外の境界位置からの距離を算出する境界距離算出手段と、
前記圏内と前記圏外の境界からの距離に応じて前記基地局との通信の試行周期を変化させるモニタ周期可変制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−246342(P2006−246342A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62396(P2005−62396)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】