説明

携帯電話機

【課題】本発明は、直感的な操作が可能であると共に、操作において違和感を感じない携帯電話機を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、所定の回転軸を中心に回転可能であって標準位置を有して取り付けられる回転ダイヤル部41と、回転移動された回転ダイヤル部41を標準位置に復帰させる付勢部46と、回転ダイヤル部41における回転量を検出する回転量検出部71と、回転量検出部71により検出された回転量に基づいて複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを起動すると共に、該起動された前記一のアプリケーションに応じた画像を前記表示部に表示させる制御部72と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ダイヤルを有する携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機において、より直感的なユーザインターフェースが要求されている。ここで、ヒンジ部を有するフォルダタイプの携帯電話機において、ヒンジ部にボリューム切り替え等に用いる回転ダイヤルを設けた携帯電話機が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
近年、携帯電話機は、通信・通話機能のみならずテレビやラジオを視聴する機能も搭載され多機能化されている。
ここで、携帯電話機において、テレビ視聴機能等の機能が選択されていない場合には、通信・通話の待受画面がトップ画面として表示される。
そして、ユーザが所定の操作を行うことにより、待受画面から他の機能を選択するメニュー選択画面に移行すると共に、当該選択メニュー画面においてユーザが所定の機能を選択することで所望の機能を起動させることができる。
【0004】
しかし、メニュー選択画面には、多数の機能が列記されるため不慣れなユーザにとってはスムースな操作が困難であり、携帯電話機自体の使用について抵抗を感じる場合があった。
【0005】
ところで、デジタルカメラにおいては、回転ダイヤルによってメニュー選択を行うものが知られている。この回転ダイヤルには、ムービー機能(動画を記録する機能)や、連写機能(静止画撮影を短時間に複数行う機能)等の撮影作業を補助するメニューが選択可能に割り当てられている(例えば、特許文献2を参照。)。
【特許文献1】特開平6−90200号公報
【特許文献2】特開2001−245189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、携帯電話機においては、デジタルカメラに用いられているような回転ダイヤルによる複数メニューの選択方式は採用されていない。
また、携帯電話機には、デジタルカメラにはない特有の機能(通信・通話機能)が含まれており、トップ画面としての通信・通話の待受画面が表示されるという相違点がある。
【0007】
更には、通信・通話機能とは異なる所定のアプリケーションを動作させた後、該所定の機能を終了した場合には、通信・通話の待受画面が表示される等の仕様上の相違点も存在する。
したがって、特許文献2に示されているような技術を携帯電話機に単に応用しただけでは、携帯電話機の操作上及び使用上不都合が生ずる。
【0008】
本発明は、直感的な操作が可能であると共に、操作において違和感を感じない携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、筐体と、前記筐体に配置される表示部と、前記筐体に所定の回転軸を中心に回転可能であって標準位置を有して取り付けられる回転ダイヤル部と、回転移動された前記回転ダイヤル部を前記標準位置に復帰させる付勢部と、前記回転ダイヤル部における回転量を検出する回転量検出部と、前記回転量検出部により検出された回転量に基づいて複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを起動すると共に、該起動された前記一のアプリケーションに応じた画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える携帯電話機に関する。
【0010】
また、前記制御部は、前記回転量検出部により前記回転ダイヤル部における回転量が検出されると共に、一定の状態で前記回転ダイヤル部が所定時間保持された場合、前記一のアプリケーションを起動させることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記回転ダイヤル部が前記所定時間を経過する前に前記標準位置に復帰された場合、前記回転ダイヤル部を回転させる前に起動しているアプリケーションの起動状態を維持することが好ましい。
【0012】
また、前記回転ダイヤル部に該回転ダイヤル部の回転方向に所定間隔で形成される複数の位置ポイントと、前記回転ダイヤル部が回転された場合における前記複数の位置ポイントの移動軌跡に対応する所定位置に配置され、当該所定位置を通過した位置ポイントの数をカウントするカウント部と、を有し、前記回転量検出部は、前記カウント部によりカウントされた位置ポイントの数により前記回転量を検出し、前記制御部は、前記カウント部により1又は複数の位置ポイントの通過がカウントされた後、当該カウント値が前記所定時間変化しない場合、前記一のアプリケーションを起動することが好ましい。
【0013】
また、前記カウント部は、前記回転ダイヤル部の回転方向に対応してカウントされたカウント値を加算あるいは減算し、前記制御部は、前記カウント部によりカウントが新たに生じることなく前記所定時間経過したとき、そのときのカウント値が0である場合、前記回転ダイヤル部を回転させる前に起動しているアプリケーションの起動状態を維持することが好ましい。
【0014】
また、複数のキーを有する操作部を有し、前記回転ダイヤル部が標準位置にある場合、前記制御部は、電話機能を使用可能なアプリケーションを動作させており、前記操作部は、数字を入力する機能が割り当てられた複数のキーを押下することで発呼すべき電話番号の入力を受け付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、直感的な操作が可能であると共に、操作において違和感を感じない携帯電話機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1から図7により、携帯電話機1における構成について説明する。図1は、本発明に係る携帯電話機の一例である携帯電話機1の外観図を示す。また、図2は、携帯電話機1の閉状態における表示部側筐体3から見たときの外観図を示す。また、図3は、携帯電話機1の閉状態における操作部側筐体2から見たときの外観図を示す。また、図4は、回転ダイヤル部付近の拡大図を示す。また、図5は、回転ダイヤル部の機能を示す図である。図6は、回転ダイヤル部における裏面41cから見た平面図である。図7は、回転ダイヤル部41に形成された位置ポイント43とカウント部44との関係を説明する図である。
【0017】
携帯電話機1は、図1に示すように、第1面としての第1表面部10を有する操作部側筐体2と、第2面としての第2表面部20を有する表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4に配置されるヒンジ機構4Aを介して連結される。
【0018】
携帯電話機1は、ヒンジ機構4Aを介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2における第1表面部10と表示部側筐体3における第2表面部20とが互いに離間した開状態と、操作部側筐体2における第1表面部10と操作部側筐体2における第2表面部20とが互いに対向して近接配置された閉状態とに変形可能に構成される。
また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4Aと略同軸に設定された回転軸Zを中心に回転可能に取り付けられた回転ダイヤル部41が配置される。
【0019】
操作部側筐体2は、第1表面部10Aと第1裏面部10Bとを有する。操作部側筐体2における第1表面部10Aには、図1に示すように、閉状態にて隠れる操作部11と、使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12とが配置される。操作部側筐体2における第1裏面部10Bには、図3に示すように、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ等により構成される撮像部17と、一定の光量を出力する発光部18とが形成される。
【0020】
操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能(アプリケーション)を動作させるためのキー、オフフックキーや、オンフックキーを含む機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、ボリュームコントロール等を行うコントロールボタン16と、から構成される。
ここで、携帯電話機1には、所定の機能(アプリケーション)を選択する操作部材として上述の機能設定操作ボタン13のほか、後に詳述する回転ダイヤル部41が配置される。
【0021】
また、操作部側筐体2は、キー構造部と、キー基板と、ケース体と、基準電位パターン層及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板と、アンテナ部と、充電池80と、後述する回転ダイヤル部41における回転量を検出するために用いられるカウント部44(図7参照)と、を収容する。
【0022】
表示部側筐体3における第2表面部20には、各種情報を表示するための表示部としてのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22と、が配置される。
ディスプレイ21は、トップ画面として通信・通話待受画像を表示する。また、ディスプレイ21は、所定の機能を動作させるためのアプリケーションに基づく画像を表示可能に構成される。なお、ディスプレイ21は、閉状態において隠れる位置に配されている。
【0023】
具体的には、カメラ機能を動作させるアプリケーションが起動している場合、ディスプレイ21には、撮像部17により撮像される画像が表示可能に構成される。メール機能を動作させるアプリケーションが起動されている場合、ディスプレイ21には、受信された電子メールの一覧やメール作成画面が表示可能に構成される。カレンダー機能を動作させるアプリケーションが起動されている場合、ディスプレイ21には、各月のカレンダー画面やスケジュール画面が表示可能に構成される。ツール機能を動作させるアプリケーションが起動されている場合、ディスプレイ21には、複数のツール機能を示すアイコンが表示可能に構成される。テレビ機能を動作させるアプリケーションが起動されている場合、ディスプレイ21には、受信した放送信号のうち選択されたチャンネルに対応する放送信号に基づいた映像を表示可能に構成される。メモ帳機能を動作させるアプリケーションが起動されている場合、ディスプレイ21には、文字入力が可能な入力画面が表示可能に構成される。アドレス帳機能を動作させるアプリケーションが起動されている場合、ディスプレイ21には、不図示のメモリに記憶される複数のアドレス情報が表示可能に構成される。これらのアプリケーションは、オンフックキー(終話キー)の押下で終了することが可能である。
【0024】
上述のアプリケーションが終了された場合、ディスプレイ21は、トップ画面としての通信・通話の待受画面を表示する。回転ダイヤル部41は、手を離すと標準位置に復帰するように付勢されているため、だいたいはこの状態において、標準位置に復帰されている。そして、後述する制御部72は、電話機能を使用可能なアプリケーションを動作させている。そして、操作部11は、数字を入力する機能が割り当てられた入力操作ボタン14が押下されることで発呼すべき電話番号の入力を受け付ける。
【0025】
表示部側筐体3における第2裏面20Bには、図2に示すように、各種情報を表示するためのサブディスプレイ23が閉状態であっても外部に露出する位置に配置される。
サブディスプレイ23にも同様に、上述の各種機能を動作させるアプリケーションに基づく画像が表示されるが、ディスプレイ21に比べて画面が小さいので、ディスプレイ21に表示される画像の一部や、相似(小さくした)画像が表示される。また、サブディスプレイ23には、各種機能のうち携帯電話機1が閉状態の場合では起動されない機能を動作させるアプリケーションに基づく画像は表示されないように構成される。
【0026】
ここで、ディスプレイ21及びサブディスプレイ23それぞれは、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する駆動回路と、液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とを有して構成される。
【0027】
回転ダイヤル部41は、回転軸Zを中心として回転可能に配置される。具体的には、回転ダイヤル部41は、筐体の一部である連結部4における幅方向Xにヒンジ機構4Aと略同軸の回転軸Zを中心として回転可能に取り付けられる。回転ダイヤル部41は、図1に示すように、携帯電話機1が開状態において、操作部11及びディスプレイ21を見ながら回転操作が可能に配置される。
【0028】
回転ダイヤル部41は、当接部41Aと、機能表示部41Bとを備える。
当接部41Aは、回転ダイヤル部41における側面であって、該回転ダイヤル部41が取り付けられた状態で幅方向Xにおける端部側に配置される部分に形成される。当接部41Aは、表面に凹凸が形成され回転ダイヤル部41を回転動作させやすいように構成される。
【0029】
機能表示部41Bは、回転ダイヤル部41における側面であって、該回転ダイヤル部41が取り付けられた状態で当接部41Aよりも幅方向Xにおける中央側に配置される部分に形成される。機能表示部41Bには、表面に機能を示す記号又絵であるアイコンIが表示される。機能表示部41Bには、図5に示すように、回転方向に所定角度(例えば、45度)ごとに機能を示すアイコンIが表示される。
【0030】
具体的には、機能表示部41Bには、標準位置としてのニュートラルを示す丸印のアイコンIaが表示される。また、機能表示部41Bには、45度(ニュートラルを基準とした場合の回転a方向の角度を示す。以下同様である。)の位置に形成されるカメラ機能を示すカメラのアイコンIbが表示される。また、機能表示部41Bには、90度の位置に形成されたメール機能を示す手紙のアイコンIcが表示される。また、機能表示部41Bには、135度に形成されたカレンダー機能を示すカレンダーのアイコンIdが表示される。また、機能表示部41Bには、180度の位置に形成されたツール機能を示す工具のアイコンIeが表示される。また、機能表示部41Bには、225度の位置に形成されたテレビ機能を示すテレビのアイコンIfが表示される。また、機能表示部41Bには、270度の位置に形成されメモ帳機能を示すペンのアイコンIgが表示される。また、機能表示部41Bには、315度の位置に形成されアドレス機能を示す手帳のアイコンIhが表示される。
【0031】
機能表示部41Bは、回転操作が加えられた当接部41Aの回転にともなって回転される。携帯電話機1が開状態における操作部11及びディスプレイ21側に表示されるアイコンIは、当接部41Aによる回転にともなって変更される。更には、連結部4の外面であって携帯電話機1が開状態において操作部11及びディスプレイ21側を向く位置に形成される目印42と幅方向Xに並んだ位置である選択位置Sに配置されるアイコンIは、回転ダイヤル部41の回転にともなって変更される。選択位置Sに配置されるアイコンIは、回転ダイヤル部41の回転量により決まる。
【0032】
ここで、本実施形態において、標準位置とは、機能表示部41Bにおける丸印のアイコンIaが選択位置Sに配置された状態をいう。
【0033】
回転ダイヤル部41における連結部4側の面である裏面41cには、図6に示すように、円周方向(回転方向)に沿って突起状の位置ポイント43aから43hが形成される。位置ポイント43aから43hは、円周方向に所定間隔をあけて形成される。位置ポイント43aから43hは、円周方向において、各機能を示すアイコンI同士の間に形成される。
【0034】
連結部4には、回転ダイヤル部41が回転された状態における位置ポイント43aから43hの移動軌跡上に舌片44aが位置するカウント部44が配置される。
カウント部44は、舌片44aが回転方向に移動されることで通過した位置ポイント43aから43hの数をカウントする。具体的には、舌片44aが回転a方向に移動した場合においてはカウント数を加算し、回転b方向に移動した場合にはカウント数を減算する。標準位置を基準としたカウント数に応じて、後述する回転量検出部71(図9参照)により回転ダイヤル部41における回転量が検出される。
【0035】
そして、所定時間(例えば、1から2秒間)回転量が実質的に同一である場合、後述する制御部72(図9参照)により、回転ダイヤル部41の回転量に応じて割り当てられた機能(機能表示部44bのアイコンIに対応)が選択される。具体的には、所定時間、カウント部44におけるカウント数が変更されない場合には、制御部72により後述のテーブル110が参照されて、回転ダイヤル部41の回転量に応じて割り当てられた機能が選択される。そして、制御部72により、選択された機能を動作させるアプリケーションが起動されると共に、起動されたアプリケーションに基づく画像がディスプレイ21に表示される。
【0036】
回転ダイヤル部41は、連結部4に形成された不図示の挿通部に挿入される回転軸部45を有する。回転軸部45の外周には、付勢部46が取り付けられる。付勢部46は、巻きバネにより構成される。付勢部46は、回転軸部45が回転された場合に該回転された方向とは反対側に回転させるよう作用する。付勢部46は、回転ダイヤル部41が標準位置から回転移動された場合において、該回転ダイヤル部41が標準位置に復帰するよう付勢する。つまり、回転移動された後に当接部41Aに加えられた力が解除された場合、回転ダイヤル部41は、自動的に標準位置に復帰する。
【0037】
ここで、回転ダイヤル部41の操作及び機能について説明する。回転ダイヤル部41は、図4に示すように、ユーザの指により当接部41aに回転方向(図4中の矢印の回転a方向及び矢印の回転b方向)への力が加えられることで回転するように筐体における連結部4に取り付けられる。回転ダイヤル部41には、上述の通り、回転方向において所定の間隔ごとにアイコンI(アイコンIaからIh)が付されている。アイコンIは、図5に示すように、アプリケーションを選択する際にユーザにとって理解(イメージ)しやすい記号や絵によって描かれている。
【0038】
ここで、ユーザによる回転ダイヤル部41の操作について簡略的に説明する。
ユーザは、アイコンIを手掛かりとして、所望する機能(アプリケーション)に対応するアイコンIを選択位置Sまで回転させる。携帯電話機1は、選択位置Sに静止しているアイコンIに対応する機能を動作させるアプリケーションを起動させる。このようにして、回転ダイヤル部41は、物理的な回転ダイヤルの操作により、各種の機能を発揮するメニュー選択を可能とする。
【0039】
具体的には、回転ダイヤル部41が、図5に示すように、ユーザの回転操作によって、無操作時(ニュートラル(N))を基準として、回転a方向に45度(回転b方向に315度)±22.5度回転されることにより、撮像部17のカメラ機能を動作させるアプリケーションが起動する。
また、回転ダイヤル部41が回転a方向に90度(回転b方向に270度)±22.5度回転されることにより、メールの機能を動作させるアプリケーションが起動する。また、回転ダイヤル部41が回転a方向に135度(回転b方向に225度)±22.5度回転されることにより、カレンダー機能を動作させるアプリケーションが起動する。また、回転ダイヤル部41が回転a方向に180度(回転b方向に180度)±22.5度回転されることにより、ツールメニュー(携帯電話機1における音出力等に関する各種の設定を行うメニュー)を動作させるアプリケーションが起動する。また、回転ダイヤル部41が回転a方向に225度(回転b方向に135度)±22.5度回転されることにより、テレビ機能を動作させるアプリケーションが起動する。また、回転ダイヤル部41が回転a方向に270度(回転b方向に90度)±22.5度回転されることにより、メモ帳機能を動作させるアプリケーションが起動する。また、回転ダイヤル部41が回転a方向に315度(回転b方向に45度)±22.5度回転されることにより、アドレス帳機能を動作させるアプリケーションが起動する。
【0040】
次いで、図8及び図9により、携帯電話機1における機能的な構成について説明する。
図8は、携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。図9は、処理部70における機能ブロック図である。
携帯電話機1は、図8に示すように、所定の情報を表示するディスプレイ21と、所定の情報を表示するサブディスプレイ23と、ユーザの操作により回転される回転ダイヤル部41と、外部の端末と通信を行う通信部60と、所定の処理を行う処理部70と、所定容量を有する充電池80と、充電池80から供給される電源電圧を所定の電圧に変換し、変換後の電圧を通信部60や処理部70等に供給する電源回路部90と、記憶部100と、を備える。
【0041】
通信部60は、所定の使用周波数帯により外部装置と通信を行うメインアンテナ61と、変調処理又は復調処理等の信号処理を行う通信処理部62と、を備える。
【0042】
メインアンテナ61は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で外部装置(基地局)と通信を行う。なお、本実施の形態では、所定の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であってもよい。また、メインアンテナ61は、所定の使用周波数帯の他に、第2の使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できる、いわゆるデュアルバンド対応型による構成であってもよいし、更に、第3の使用周波数帯以上にも対応できる複数バンド対応型により構成されていてもよい。
【0043】
通信処理部62は、メインアンテナ61によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を処理部70に供給し、一方、処理部70から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ61を介して外部装置(基地局)に送信する。
【0044】
電源回路部90は、充電池80から供給される電源電圧を所定の電圧値に変圧し、変圧後の電源電圧を通信部60や処理部70等に供給する。
【0045】
記憶部100は、処理部70にて実行される多数のプログラム及びパラメータや各種テーブル等が記憶される。具体的には、記憶部100は、制御部72にて起動、終了、中断等がなされる多数のアプリケーションプログラムや、これら複数のアプリケーションにて使用されるパラメータ、複数のアプリケーションプログラムを動作させるためのOSプログラムの他、回転量検出部71にて検出される回転量(カウント数)と複数のアプリケーションとの対応関係(図5参照)を示すテーブル110を記憶している。
なお、複数のアプリケーションプログラムには、基準アプリケーション、ミュージック・プレーヤー、カメラ、メール等の携帯電話機1が有するアプリケーションごとのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0046】
処理部70は、回転ダイヤル部41から供給される回転量に応じて各種機能に対する起動処理を行う。
ここで、処理部70の構成と動作について説明する。処理部70は、図9に示すように、回転ダイヤル部41の回転量を検出する回転量検出部71と、回転量検出部71により検出された回転量に応じた機能を動作させる所定のアプリケーションを起動し、当該起動した所定のアプリケーションに対応する表示画面をディスプレイ21に表示するように制御する制御部72と、を備える。
【0047】
回転量検出部71は、上述の通り、カウント部44にカウントされた位置ポイント43aから43hの数により回転ダイヤル部41における回転量を検出する。例えば、回転a方向を+とした場合において、カウント部44における位置ポイントのカウント数が「+1」である場合、回転量検出部71は、回転量を22.5度から67.5度であることを検出する。そして、回転量検出部71は、一定時間(例えば、1から2秒)カウント部44における位置ポイントのカウント数が変化しない場合、当該回転量を制御部72に通知する。
【0048】
制御部72は、回転ダイヤル部41の回転が生じる都度、記憶部100のアプリケーション対応関係のテーブル110を参照し、回転量(カウント数)に応じたアプリケーションを特定する。
制御部72は、携帯電話機1が電源ONされると、まずOSプログラムを立ち上げ、OS管理下で基準アプリケーションプログラムを起動することでディスプレイ21に待受画面を表示可能としている。その後、起動すべきアプリケーションが発生する都度、OS管理下で基準アプリケーションプログラムを終了あるいは中断して新たなアプリケーションプログラムを起動する。この処理により、制御部72は、ディスプレイ21上に、待受画面に代えて新たに起動したアプリケーションに基づく画面を表示させる。
なお、入力操作ボタン14に含まれる終話キー(オンフックキー)が操作されると、OSの管理下において実行していたアプリケーションを終了させてから基準アプリケーションプログラムを再起動する。そして制御部72は、終了したアプリケーションの画面から待受画面へ表示を遷移させる。
【0049】
制御部72は、例えば、テーブル110を参照し、当該回転量(22.5度から67.5度)に割り当てられたカメラ機能を動作させるアプリケーションを起動すると共に、撮像部17を起動する。
また、制御部72は、カメラ機能を動作させるアプリケーションに基づく画像をディスプレイ21に表示させる。具体的には、ディスプレイ21には、撮像部17を介して撮像可能な被写体の画像が表示される。
【0050】
制御部72は、回転量検出部71により所定の回転量が検出された後、一定時間(例えば、1から2秒)内にカウント部44における位置ポイントのカウント数が変化した場合、回転ダイヤル部41が回転される前に起動していたアプリケーションの起動状態を維持する。
【0051】
また、制御部72は、回転量検出部71によりカウントされた位置ポイント43aから43hの数が結果的に「0」になった場合、回転ダイヤル部41が回転される前に動作しているアプリケーションの起動状態を維持する。
【0052】
続けて、図10により、本実施形態における携帯電話機1の動作について説明する。
図10は、本実施形態における携帯電話機1の動作を説明するフローチャートである。
まず、ユーザは、機能を示すアイコンIを手掛かりとして選択位置Sに所定の機能を示すアイコンIが配置されるよう回転ダイヤル部41を回転移動させる(ST1)。
【0053】
カウント部44は、回転ダイヤル部41の回転により舌片44aをクリックした位置ポイント43aから43hの数をカウントする。
回転量検出部71は、上述のカウント数に基づいて、回転ダイヤル部41の回転量を検出する(ST2)。
【0054】
ここで、カウント部44によりカウントされた位置ポイントの数が結果的に「0」になった(Yes)場合(ST3)、制御部72は、回転ダイヤル部41が回転される前に起動されていたアプリケーションの起動状態を維持する(ST6)。
【0055】
カウント部44によりカウントされた位置ポイントの数が「0」でない(No)と共に(ST4)、所定時間(例えば、1から2秒)だけ位置ポイントのカウント数が変化しない(Yes)場合(ST4)、制御部72は、回転量に対応して割り当てられた機能を動作させるアプリケーションを起動させる(ST5)。例えば、図4に示すようにカメラ機能が選択された場合、カメラ機能を動作させるアプリケーションを起動させる。
【0056】
ここで、所定時間(例えば、1から2秒)内に位置ポイントのカウント数が変化した(No)場合(ST4)、制御部72は、回転ダイヤル部41が回転される前に起動されていたアプリケーションの起動状態を維持する(ST6)。
【0057】
制御部72は、起動させたアプリケーションに基づく画像をディスプレイ21に表示させる(ST7)。例えば、カメラ機能を動作させるアプリケーションに基づく画像として、撮像部17を介して撮像可能な被写体の画像をディスプレイ21に表示することができる。
【0058】
続けて、ユーザは、機能終了キー(例えば、終話キー、オンフックキー)を押下して起動されたアプリケーションを終了させる(ST8)。
機能終了キーが押下され起動されていたアプリケーションが終了された場合、例えば、カメラ機能に関する表示が終了され、ディスプレイ21には、トップ画面としての通信・通話の待受画面が表示される(ST9)。
【0059】
この場合において、回転ダイヤル部41は、付勢部46により標準位置に復帰されている。つまり、機能を終了することでディスプレイ21には自動的に通信・通話の待受画面が表示されるが、回転ダイヤル部41も同様に標準位置に復帰しており選択位置Sは丸印のアイコンIaが配置された状態となっている。これにより、回転ダイヤル部41で選択された機能とディスプレイ21に表示された機能とが相違することによる違和感を抑制できる。
【0060】
本実施形態によれば、回転ダイヤル部41を直接操作することにより、一定条件下において、回転ダイヤル部41に割り当てられている各種機能を直接的に起動させることができ、従来のようにメインメニューを経由する必要がなく、簡易に所望するアプリケーションを起動することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、機能を選択する操作において選択操作開始時には、必ず選択位置に丸印のアイコンIaが配置されているので、不用意に機能が選択されることが抑制される。
【0062】
また、本実施形態によれば、所定の機能を動作させるアプリケーションを起動させるため、回転ダイヤル部41を回転させて機能を選択すると共に選択状態を所定時間保持することが必要である。このため、本実施形態における携帯電話機1において、ユーザが所望しないアプリケーションの起動を防止できる。また、これにより、携帯電話機1における省電力化を図ることができる。
【0063】
また、先に述べた先行文献1においては、回転ダイヤル部による切り替えが、音量等の増減を指示するための部材であり、携帯電話の各機能を大きく切り替えることについては想定されていない。また、先行文献2において開示されているのはデジタルカメラであり、通信・通話の待受画面という概念がそもそも含まれていない。すなわち、両文献に開示された内容には、回転ダイヤル部でメインの機能(アプリケーション)を選択して起動させ、なおかつ通信・通話の待受画面が表示される状態にも戻すことが可能であるという概念が存在しない。
そして、携帯電話機においては、例えばオンフックが割り当てられたキー(以下「オンフックキー」という。)を押下することにより、いかなる機能が起動していても、通信・通話の待受画面が表示される状態に戻るという動作が、デファクトスタンダード化しており、このような動作についてもサポートしなければならない。
したがって、回転ダイヤル部で機能を切り替えた場合においても、オンフックキーを押下することで通信・通話の待受画面が表示された状態に戻る。例えば、回転ダイヤル部で機能をカメラ機能に切り替えた後、オンフックキーが押下されると、ディスプレイ21には通信・通話の待受画面が表示されているにもかかわらず、回転ダイヤル部においてはカメラ機能が選択されたままということが生じる。本発明によればこのような不自然な状態を回避できる。本実施形態によれば、回転ダイヤル部41で選択された機能とディスプレイ21に表示された機能とが相違することによる違和感を抑制できる。
【0064】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)ナビゲーション装置等であってもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。また、携帯電話機1は、開閉及び回転可能ないわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【0066】
また、本実施形態において、回転ダイヤル部41は、ヒンジ機構4Aにおける開閉軸と略同軸の回転軸Zを中心に回転可能に構成されるが、これに限定されず、ユーザの操作によって回転自在な構成であればよい。例えば、回転ダイヤル部41は、回転軸Zと直交する所定の回転軸を中心に回転可能に構成してもよい。
【0067】
また、本実施形態において、回転ダイヤル部41により選択可能な機能は上述の通りであるが、これに限定されず、例えば、ユーザ自身が頻繁に使用するメニューを登録可能な構成であってもよいし、また、所望のWebアドレスを登録しておき、当該Webアドレスを回転ダイヤル部41により選択することによって、Webブラウザが起動して当該WebアドレスのWebページを閲覧できるような構成であってもよい。また、メニューの数も上述した数(7つ)に限定されるものではない。
【0068】
また、本実施形態において、回転量検出部71は、カウント部44によりカウントされた位置ポイントの数に基づいて回転量を検出しているが、これに限定されず、所定のセンサにより回転ダイヤル部41の回転角度の変化量を回転量として検出してもよい。また、回転量検出部71は、例えば、抵抗率の変化等により回転量を検出する構成にしてもよい。
【0069】
また、本実施形態において、付勢部46は、巻きバネにより構成されるが、これに限定されず、例えば、板バネやコイル状バネにより構成されていてもよい。また、付勢部46は、モータ等の駆動装置により構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る携帯電話機の外観を示す図である。
【図2】携帯電話機の閉状態における表示部側筐体から見たときの外観を示す図である。
【図3】携帯電話機の閉状態における操作部側筐体から見たときの外観を示す図である。
【図4】回転ダイヤル部付近を拡大したときの図である。
【図5】回転ダイヤル部の機能についての説明に供する図である。
【図6】回転ダイヤル部における裏面から見た平面図である。
【図7】回転ダイヤル部に形成された位置ポイントとカウント部との関係を説明する図である。
【図8】携帯電話機の機能を示す機能ブロック図である。
【図9】処理部における機能ブロック図である。
【図10】本実施形態における携帯電話機の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 ヒンジ機構
11 操作部
41 回転ダイヤル部
41A 当接部
41B 機能表示部
46 付勢部
70 処理部
71 回転量検出部
72 制御部
I アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に配置される表示部と、
前記筐体に所定の回転軸を中心に回転可能であって標準位置を有して取り付けられる回転ダイヤル部と、
回転移動された前記回転ダイヤル部を前記標準位置に復帰させる付勢部と、
前記回転ダイヤル部における回転量を検出する回転量検出部と、
前記回転量検出部により検出された回転量に基づいて複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを起動すると共に、該起動された前記一のアプリケーションに応じた画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える
携帯電話機。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転量検出部により前記回転ダイヤル部における回転量が検出されると共に、一定の状態で前記回転ダイヤル部が所定時間保持された場合、前記一のアプリケーションを起動させる
請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記制御部は、前記回転ダイヤル部が前記所定時間を経過する前に前記標準位置に復帰された場合、前記回転ダイヤル部を回転させる前に起動しているアプリケーションの起動状態を維持する
請求項2に記載携帯電話機。
【請求項4】
前記回転ダイヤル部に該回転ダイヤル部の回転方向に所定間隔で形成される複数の位置ポイントと、
前記回転ダイヤル部が回転された場合における前記複数の位置ポイントの移動軌跡に対応する所定位置に配置され、当該所定位置を通過した位置ポイントの数をカウントするカウント部と、を有し、
前記回転量検出部は、前記カウント部によりカウントされた位置ポイントの数により前記回転量を検出し、
前記制御部は、前記カウント部により1又は複数の位置ポイントの通過がカウントされた後、当該カウント値が前記所定時間変化しない場合、前記一のアプリケーションを起動する
請求項2又は3に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記カウント部は、前記回転ダイヤル部の回転方向に対応してカウントされたカウント値を加算あるいは減算し、
前記制御部は、
前記カウント部によりカウントが新たに生じることなく前記所定時間経過したとき、そのときのカウント値が0である場合、前記回転ダイヤル部を回転させる前に起動しているアプリケーションの起動状態を維持する
請求項4に記載の携帯電話機。
【請求項6】
複数のキーを有する操作部を有し、
前記回転ダイヤル部が標準位置にある場合、
前記制御部は、電話機能を使用可能なアプリケーションを動作させており、
前記操作部は、数字を入力する機能が割り当てられた複数のキーを押下することで発呼すべき電話番号の入力を受け付ける
請求項1から5のいずれかに記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−246553(P2009−246553A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88714(P2008−88714)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】