説明

携帯電話機

【課題】キーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力装置の連続回転操作に割り当てて利用することができる携帯電話機を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯電話機は、操作入力部としてキー群20および回転入力部21を有するほか、タイマ34および主制御部35を少なくとも有する。主制御部35は、アプリケーションプログラムに従って、タイマ34を利用することによってキー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用可能にする処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作に応じた信号を出力する入力装置を備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする電子機器には、回転操作に応じた信号を出力する入力装置(以下、回転入力装置という)を備えたものがある(たとえば特許文献1参照)。この種の回転入力装置は、一般にロータリーエンコーダなどにより構成され、正逆の回転方向を識別可能な回転信号を所定の回転量(以下、基準回転量という)だけ回転するごとに出力するようになっている。
【0003】
回転入力装置を備えた電子機器は操作性に優れているといえる。たとえば、「正の向きに基準回転量」の回転操作に対して「表示画像を一行だけ下にスクロール」する機能が割り当てられている場合を考える。この場合、ユーザは、指一本で回転入力装置を正の向きに回転操作し続けるだけで複数行の下スクロール指示を行うことができる。この回転操作は、方向指示キー(矢印キー)の下キーの繰り返し押下に比べて非常に簡単に素早く行うことができる。
【特許文献1】特開2007−41641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、方向指示キーやテンキーなどのハードキーやタッチパッドなどのソフトキーの出力は、押下時間が所定の時間未満のいわゆる短押しと押下時間が所定の時間以上のいわゆる長押しとで区別して扱われる。このため、これらのキーに対しては、各キーについて短押しと長押しとで全く異なる機能を割り当てることが可能である。また、異なるキーに対して同一の機能を割り当てることも自在である。
【0005】
しかし、従来の技術では仕様上、回転入力装置の出力は、たとえユーザが回転操作を継続(以下、連続回転操作という)しても、断続した基準回転量ごとの単発の回転信号出力として扱われてしまう。このため、回転入力装置に対しては、基準回転量のみの回転操作と連続回転操作とで異なる機能を割り当てることができない。
【0006】
したがって、短押しと長押しで異なる機能が割り当てられたキーがあり、このキーと同一の機能を回転入力装置に割り当てる場合、回転入力装置を連続回転操作してもこのキーの短押しの機能が連続して実現されるのみとなってしまい、このキーの長押しの機能が実現されることはない。よって、従来の技術では、回転入力装置の連続回転操作の簡便さを十分に生かすことができない。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、キーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力装置の連続回転操作に割り当てて利用することができる携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯端末は、上述した課題を解決するために、正逆両方向に回転操作可能に構成され回転方向に応じて回転信号を出力する回転入力部と、ユーザの操作に応じて操作入力信号を出力するキー群と、前記回転信号および前記操作入力信号を検知する入力信号検知部と、前記入力信号検知部により前記回転信号が検知されると起動され、前記回転信号が検知されてから所定の時間経過するとタイムアウト信号を出力するタイマと、を備え、前記回転入力部は、少なくとも正逆いずれかの回転方向への回転操作に応じた前記回転信号に対し、前記キー群を構成するキーの長押しに割り当てられた機能と同一の機能が割り当てられ、前記キーの長押しと同一の機能が割り当てられた回転方向への回転操作に応じた前記回転信号が検知されると前記機能が実現開始されるとともに前記タイマの計時が開始され、前記タイマにより計時された前記経過時間が所定の時間となる前に再度同じ回転方向への回転操作に応じた回転信号が検知されると、前記実現開始された機能が中断されることなく継続して実現されるとともに前記タイマは計時時間がリセットされ再起動される、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯電話機によれば、キーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力装置の連続回転操作に割り当てて利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る携帯電話機の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、二つの筐体が互いに重ねあわせ可能に連結されたいわゆるスライド型の携帯電話機を本発明に係る携帯電話機の一例として示すが、本発明は携帯電話機の形状によらず適用することができ、たとえば携帯電話機は折りたたみ型(クラムシェル型)やストレート型であっても構わない。
【0011】
図1は、本発明に係る携帯電話機10の一実施形態を示す概略的な外観図である。図1(a)には携帯電話機10の伸展状態における正面から見た外観図を、図1(b)には携帯電話機10の縮退状態における正面から見た外観図を、それぞれ示した。携帯電話機10は、図1(a)に示すように、正面側ユニット11と裏面側ユニット12を有する。
【0012】
正面側ユニット11は、裏面側ユニット12の裏側の長軸方向にスライド自在に係合されている。正面側ユニット11の主表面上には、表示部13、第1の操作入力部14、およびスピーカ15が設けられる。また、裏面側ユニット12の主表面上には、第2の操作入力部16と、マイクロフォン17が設けられる。
【0013】
表示部13は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、相手先の電話番号情報やアイコン情報など、諸々の情報を表示する。
【0014】
第1の操作入力部14は、回転入力部21、決定キー22、方向指示キー23およびタッチセンサキー24を有する。
【0015】
回転入力部21は、回転操作に応じた信号を出力する入力装置であり、たとえば磁気式ロータリーエンコーダなどにより構成される。この回転入力部21は、決定キー22の周囲を取り囲む回転リングを介してユーザにより操作され、所定の回転量(基準回転量)だけ回転するごとに、正逆の回転方向に応じて回転信号を出力する。
【0016】
決定キー22は、表示部13に表示された画像のうちの1つに対するユーザの選択を確定するためのキーである。
【0017】
方向指示キー23は、回転入力部21の回転リングの上下左右に埋設され、回転リングの押下にともない押下されるようになっている。
【0018】
タッチセンサキー24は、たとえば静電容量方式のタッチセンサにより構成され、キーに対するユーザの接触操作に応じた信号を出力する。
【0019】
この第1の操作入力部14は、正面側ユニット11と裏面側ユニット12とが縮退状態(図1(b)参照)にあるときに、表示部13の表示内容を視認しながら電子メール操作や着信操作などの各種操作を行うために利用される。
【0020】
スピーカ15は、受話音声をはじめとした各種の情報に対応した音声を発生する。
【0021】
第2の操作入力部16は、英字/カナ/漢字/数字の変換キー(テンキー)、電源のオン/オフキーなどにより構成される。
【0022】
なお、以下の説明では、必要に応じて、第1の操作入力部14と第2の操作入力部16のうち回転入力部21を除くものをキー群20と総称するものとする。
【0023】
マイクロフォン17は、ユーザによる音声入力を音声信号に変換して送話を行う。
【0024】
図2は、携帯電話機10の内部の機能ブロック図である。
【0025】
図2に示すように、携帯電話機10は、さらにアンテナ31、送受信部32、記憶部33、タイマ34および主制御部35を有する。
【0026】
アンテナ31は、図示しない無線基地局との間で通信電波の送受信を行う。
【0027】
送受信部32は、無線信号を送受信する無線回路であり、主制御部35から出力される通信データを変調し、アンテナ31を介して送信する。また、アンテナ31を介して受信した通信データを復調し、主制御部35へ出力する。通信データには、少なくとも通話のための音声データが含まれる。
【0028】
記憶部33は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、たとえば電子メールデータや音楽データなどの各種データを記憶している。
【0029】
タイマ34は、主制御部35により制御され、起動されてから所定の時間が経過するとタイムアウト信号を出力する。
【0030】
主制御部35は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、ROM内に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機10の処理動作を制御する。CPUは、ROM内に記憶されたアプリケーションプログラムおよびプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、アプリケーションプログラムに従って、キー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用する処理を実行する。
【0031】
CPUは、アプリケーションプログラムによって、回転入力部21およびキー群20の出力信号を検知する入力信号検出部、および入力信号検出部により検知された出力信号に応じてタイマ34を制御するタイマ制御部として少なくとも機能する。この各部は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。なお、これらの機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0032】
RAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0033】
ROMは、携帯電話機10の起動プログラム、各種アプリケーションプログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0034】
なお、ROMは、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、ROM内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係る携帯電話機10の動作の一例について説明する。
【0036】
まず、アプリケーションプログラムにより、回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能が割り当てられる場合について簡単に説明する。
【0037】
アプリケーションプログラムは、アプリケーションプログラムごとに、回転入力部21およびキー群20のキーコードに対して固有の機能を割り当てることができる。
【0038】
図3は、キー群20を構成するキーおよび回転入力部21のそれぞれに対して固有の機能が割り当てられる様子を説明するための図である。
【0039】
図3に示すように、アプリケーションプログラムは、キー群20を構成するキーのそれぞれに対し、短押しおよび長押しの入力操作種別ごとに異なる機能(動作)を割り当てることができる(図3の動作1〜4参照)。また、アプリケーションプログラムは、回転入力部21の回転入力操作に対し、基準回転量の回転操作および連続回転操作の入力操作種別ごとに異なる動作を割り当てることができる(図3の動作5〜8参照)。
【0040】
回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能を割り当てるためには、大きく次の3通りの方法が考えられる。
【0041】
第1の方法は、キー群20を構成するキーの短押しおよび長押し、ならびに回転入力部21の基準回転量の回転操作および連続回転操作のすべてに対して同一の機能を割り当てる方法である。
【0042】
図4は、第1の方法により、回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能が割り当てられる様子を示す説明図である。図4には、この第1の方法を適用するアプリケーションプログラムとしてウェブブラウザを用いる場合の例について示した。
【0043】
図4に示すように、このウェブブラウザは、回転入力部21の正方向の回転操作に対して方向指示キー23の下キーと同一の「表示画像を一行だけ下にスクロール」する機能(動作a)を割り当てている。また、ウェブブラウザは、方向指示キー23の下キーの長押しに対しては、短押しと同じ機能(動作a)を割り当てる。このため、ユーザは、たとえばウェブページを閲覧している際に表示画像を下にスクロールしたい場合には、方向指示キー23の下キーを複数回押下してもよいし、回転入力部21をくるくると正方向に連続回転操作してもよい。
【0044】
第2の方法および第3の方法は、回転入力部21の基準回転量の回転操作と連続回転操作とで異なる機能が発現する方法である。
【0045】
第2の方法は、回転入力部21の回転入力操作が開始されると、直ちに連続回転操作に割り当てられた機能を発現させることにより、回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能を割り当てる方法である。この方法では、回転入力部21の基準回転量の回転操作に割り当てられた機能は無視される。
【0046】
第3の方法は、回転入力部21の回転入力操作が開始されると、まず基準回転量の回転操作に割り当てられた機能を発現させた後、必要に応じて回転入力部21の連続回転操作に割り当てられた機能を発現させることにより、回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能を割り当てる方法である。
【0047】
続いて、第2および第3の方法により回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能を割り当てる手順について説明する。
【0048】
まず、第2の方法により回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能を割り当てる手順について説明する。
【0049】
図5は、携帯電話機10のCPUにより、回転入力部21の回転入力操作が開始されると直ちに連続回転操作に割り当てられた機能を発現させる(第2の方法を利用する)ことにより、キー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用する処理を実行する際の手順を示すフローチャートである。図5において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0050】
なお、以下の説明では、第2の方法を利用するアプリケーションプログラムとして、音楽を再生するアプリケーションプログラム(以下、音楽再生アプリケーションという)を用いる場合の例について示す。
【0051】
この手順は、音楽再生アプリケーションが起動され、ある楽曲の再生が開始された時点でスタートとなる。
【0052】
まず、ステップS1において、入力信号検出部は、回転入力部21が回転信号を出力したか否かを判定する。回転信号が出力された場合は、ステップS2に進む。一方、回転信号が出力されない場合は、引き続き入力信号検出部は回転入力部21を監視する。以下の説明では、ステップS1において入力検出部が正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出した場合の例について説明する。
【0053】
図6は、音楽再生アプリケーションにより回転入力部21およびキー群20に割り当てられる機能の一例について示す説明図である。
【0054】
図6に示すように、この音楽再生アプリケーションは、方向指示キー23の右キーの短押しに対して再生速度の変更機能を割り当てる。
【0055】
図7は、方向指示キー23の右キーの短押しに割り当てられた再生速度の変更機能の一例を説明するための図である。
【0056】
図7に示すように、ユーザは、方向指示キー23の右キーを短押しするごとに再生速度を3倍速再生、5倍速再生、10倍速再生、通常再生の順に変更することができる。
【0057】
また、図6に示すように、音楽再生アプリケーションは、方向指示キー23の右キーの長押しに対しては、早送り機能を割り当てる。
【0058】
一方、音楽再生アプリケーションは、回転入力部21に対し、基準回転量の回転操作に対しては機能を与えず、連続回転操作に対しては右キーの長押しに割り当てられた機能と同一の機能である早送り機能を割り当てようとする。
【0059】
しかし、従来の技術では仕様上、アプリケーションは、たとえユーザが回転入力部21を連続回転操作しても、回転入力部21の出力を断続した基準回転量ごとの単発の回転信号出力として扱うことしかできない。したがって、従来の技術では、アプリケーションは、単に図5に示す機能の割り当てを設定するだけでは、回転入力部21が連続回転操作されても右キーの短押しの機能である再生速度の変更機能を連続して実現してしまい、右キーの長押しの機能である早送り機能を実現することはできない。
【0060】
そこで、以下に示すように、本実施形態に係る携帯電話機10は、タイマ34を利用することによって、キー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用可能にする。
【0061】
ステップS2において、タイマ制御部は、入力信号検出部から回転信号を受信した旨の情報を受け、タイマ34を起動して計時を開始させる。
【0062】
次に、ステップS3において、音楽再生アプリケーションは、入力検知部から正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出した旨の情報を受け、方向指示キー23の右キーの長押しに割り当てられた機能(動作b)である早送り機能の実現を開始すべく、楽曲を早送りしはじめる。
【0063】
次に、ステップS4において、タイマ制御部は、前回入力信号検出部が正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出してから所定の時間が経過してタイムアウト信号が出力されたか否かを判定する。所定の時間が経過した場合は、ステップS9に進む。一方、まだ所定の時間が経過していない場合は、ステップS5に進む。
【0064】
次に、ステップS5において、入力信号検出部は、回転入力部21が新たに正方向の回転操作に応じた回転信号を出力したか否かを判定する。新たに前回と同じ回転方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出した場合は、ステップS2に戻り、タイマ制御部がタイマ34を再起動する。一方、前回と同じ回転方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出しなかった場合は、ステップS6に進む。
【0065】
次に、ステップS6において、入力信号検出部は、前回と同じ回転方向の回転信号出力とは異なる他の操作入力信号が検出されたか否かを判定する。この他の操作入力信号には、回転入力部21による前回と反対の回転方向の回転信号出力が含まれる。他の操作入力信号が検出された場合は、ステップS7に進む。一方、他の操作入力信号が検出されなかった場合は、ステップS3に戻る。
【0066】
次に、ステップS7において、音楽再生アプリケーションは、入力信号検出部から他の操作入力信号が検出された旨の情報を受け、楽曲の早送り(動作d=動作b)を中断して楽曲を通常再生し、図3の手順のスタート状態に戻す。
【0067】
次に、ステップS8において、音楽再生アプリケーションは、入力信号検出部が検出した他の操作入力信号に応じた機能の実現を開始し、一連の手順は終了となる。
【0068】
他方、ステップS4において、タイマ制御部が、前回入力信号検出部が正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出してから所定の時間が経過したと判定した場合は、ユーザが回転入力部21の連続回転操作を中止したことを意味するため、ステップS9において、楽曲の早送り(動作d=動作b)を中断して楽曲を通常再生し、図3の手順のスタート状態に戻し、一連の手順は終了となる。
【0069】
なお、図5では、回転入力部21の連続回転操作に割り当てられた早送りの機能が、ステップS3で所定の速度で早送りを開始し、ステップS7およびステップS9でこの所定の速度での早送りを終了する機能である場合の例について説明した。
【0070】
もちろん、この早送り機能は、例えば正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出するごとに、すなわちステップS2からステップS5を繰り返すごとにステップS3において、所定の時間(たとえば3秒)ずつ前方に楽曲をスキップする機能としてもよい。この場合、ステップS7およびステップS9では何も行う必要はないため、これらのステップS7およびS9は省略することができる。
【0071】
以上の手順により、回転入力部21の回転入力操作が開始されると直ちに連続回転操作に割り当てられた機能を発現させる(第2の方法を利用する)ことにより、キー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用することができる。
【0072】
次に、第3の方法により回転入力部21の連続回転操作に対してキー群20を構成するキーの1つの長押しと同一の機能を割り当てる手順について説明する。
【0073】
図8は、回転入力部21の回転入力操作が開始されると、まず基準回転量の回転操作に割り当てられた機能を発現させた後、必要に応じて回転入力部21の連続回転操作に割り当てられた機能を発現させる(第3の方法を利用する)ことにより、キー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用する処理を実行する際の手順を示すフローチャートである。図8において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0074】
なお、以下の説明では、第3の方法を利用するアプリケーションプログラムとして、表示部13に地図を表示させてユーザにナビゲーション機能を提供するためのアプリケーションプログラム(以下、地図ナビアプリケーションという)を用いる場合の例について示す。
【0075】
図9は、地図ナビアプリケーションにより表示部13に表示される画像の一例を示す説明図である。
【0076】
図9において、☆印はポインタ41を表す。ユーザは、ポインタ41を利用して地図上の任意の点を出発地点や到着地点などとして指定することができる。たとえば、ユーザが図9のA地点を指定したい場合、ユーザは、ポインタ41をA地点まで移動させ、ポインタ41がA地点上にあるときに決定キーを押すことにより、このA地点を所望の地点として指定することができる。
【0077】
また、地図ナビアプリケーションは、ユーザの指示を受けて地図画像の拡大および縮小を実行可能に構成される。本実施形態においては、地図ナビアプリケーションは拡大および縮小に際して表示部13に拡大および縮小のユーザ操作を支援するためのソフトキー(以下、ズームバーという)42を表示させることができ、ユーザはこのズームバー42を操作することにより拡大および縮小を行う場合の例について説明する。
【0078】
図10は、地図ナビアプリケーションにより回転入力部21およびキー群20に割り当てられる機能の一例について示す説明図である。
【0079】
図10に示すように、地図ナビアプリケーションは、タッチセンサキー24の右下キーの短押しに対し、ズームバー42非表示時はズームバー42を表示し、ズームバー42表示中はズームバー42を隠す機能(動作a)を割り当てる。また、タッチセンサキー24の右下キーの長押しに対して割り当てられる機能(動作b)は、短押しに割り当てられた機能(動作a)と同一の機能であるものとする。
【0080】
また、図10に示すように、地図ナビアプリケーションは、方向指示キー23の下キーの短押しに対し、ズームバー42非表示時はポインタ41を所定の画素数だけ移動させ、ズームバー42表示中は地図画像を一段階だけ拡大(低速拡大)させる機能(動作c)を割り当てる。また、地図ナビアプリケーションは、方向指示キー23の下キーの長押しに対しては、ズームバー42非表示時は短押しと同一の機能を割当て、ズームバー42表示中は地図画像を連続的に拡大(高速拡大)させる機能(動作d)を割り当てる。
【0081】
ここで、地図画像を一段階だけ拡大するとは、地図ナビアプリケーションが有する複数の縮尺を、現在の縮尺から1つ縮尺の大きい(縮尺分母の小さい)画像に変更することをいう。
【0082】
さらに、図10に示すように、地図ナビアプリケーションは、回転入力部21の正方向の基準回転量の回転操作に対し、ズームバー42非表示時はズームバー42を表示し、ズームバー42表示中は回転入力操作を無視する機能(動作e)を割り当てる。また、地図ナビアプリケーションは、回転入力部21の正方向の連続回転操作に対し、ズームバー42非表示時はズームバー42を表示してから地図画像を高速拡大させ、ズームバー42表示中は地図画像を高速拡大させる機能(動作f)を割り当てる。
【0083】
なお、方向指示キー23の下キーの長押しおよび回転入力部21の正方向の連続回転操作により実現される機能である高速拡大は、短押しに割り当てられた低速拡大(一段階ずつの拡大)を連続して行うことにより実現される拡大であってもよいし、低速拡大の連続とは異なる拡大(たとえば2段階あるいはそれ以上ずつの拡大や、より細かな段階ずつの滑らかな拡大など)であってもよい。
【0084】
図8に示す手順は、地図ナビアプリケーションが起動され、地図と地図上の任意の点をユーザが指定するためのポインタ41とが表示部13に表示されてスタートとなる。図5と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
ステップS11において、地図ナビアプリケーションは、入力検知部から正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出した旨の情報を受け、回転入力部21の正方向の基準回転量の回転操作に対して割り当てられた機能(動作e)を実現する。たとえば、地図ナビアプリケーションは、ズームバー42が非表示であればズームバー42を表示させ、ズームバー42が表示中であれば何もせず図8のステップS4に進む。ステップS11を経ることにより、表示部13にはズームバー42が表示されていることになる。
【0086】
なお、図6に示した音楽アプリケーションの場合、ステップS11において、音楽アプリケーションは、回転入力部21の正方向の基準回転量の回転操作として図6の動作cを実行することになるため、何も行わずに図8のステップS4に進むことになる。
【0087】
ステップS5で新たに前回と同じ回転方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出した結果を受けて(ステップS5のyes)、ステップS12において、タイマ制御部は、タイマ34をクリアしてタイマ34を再起動する。
【0088】
次に、ステップS13において、地図ナビアプリケーションは、回転入力部21の正方向の連続回転操作に割り当てられた機能(動作f)である地図画像の高速拡大を実行する。
【0089】
なお、図6に示した音楽再生アプリケーションの場合、ステップS11において、音楽アプリケーションは、回転入力部21の正方向の連続回転操作に割り当てられた機能(動作d=動作b)である楽曲の早送りを実行する。
【0090】
次に、ステップS14において、タイマ制御部は、ステップS4と同様に、前回入力信号検出部が正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出してから所定の時間が経過してタイムアウト信号が出力されたか否かを判定する。所定の時間が経過した場合は、ステップS18に進む。一方、まだ所定の時間が経過していない場合は、ステップS15に進む。
【0091】
次に、ステップS15において、入力信号検出部は、ステップS5と同様に、回転入力部21が新たに正方向の回転操作に応じた回転信号を出力したか否かを判定する。新たに前回と同じ回転方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出した場合は、ステップS12に戻り、タイマ制御部がタイマ34をクリアし再起動する。一方、前回と同じ回転方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出しなかった場合は、ステップS16に進む。
【0092】
次に、ステップS16において、入力信号検出部は、ステップS6と同様に、前回と同じ回転方向の回転信号出力とは異なる他の操作入力信号が検出されたか否かを判定する。この他の操作入力信号には、回転入力部21による前回と反対の回転方向の回転信号出力が含まれる。他の操作入力信号が検出された場合は、ステップS17に進む。一方、他の操作入力信号が検出されなかった場合は、ステップS14に戻る。
【0093】
次に、ステップS17において、地図ナビアプリケーションは、入力信号検出部が検出した他の操作入力信号に応じた機能の実現を開始し、一連の手順は終了となる。
【0094】
他方、ステップS14において、タイマ制御部が、前回入力信号検出部が正方向の回転操作に応じた回転信号出力を検出してから所定の時間が経過したと判定した場合は、ユーザが回転入力部21の連続回転操作を中止したことを意味するため、ステップS18において、回転入力部21の正方向の連続回転操作に割り当てられた機能(動作f)の実行(地図画像の高速拡大)を終了し、一連の手順は終了となる。
【0095】
なお、図6に示した音楽再生アプリケーションの場合、ステップS18において、音楽アプリケーションは、回転入力部21の正方向の連続回転操作に割り当てられた機能(動作d=動作b)である楽曲の早送りを終了して楽曲を通常再生し、一連の手順は終了となる。
【0096】
なお、図8では、回転入力部21の連続回転操作に割り当てられた機能(高速拡大や早送りなど)が、他の機能(一段階拡大や所定秒数スキップ)の連続とは異なる機能であり、ステップS13で連続回転操作に割り当てられた機能を開始し、ステップS18でこの連続回転操作に割り当てられた機能を終了する場合の例について説明した。もちろん、この連続回転操作に割り当てられた機能は、他の機能(一段階拡大や所定秒数スキップ)を連続して行うことにより実現される機能であってもよく、この場合、ステップS18では何も行う必要はないため、このステップS18は省略することができる。
【0097】
以上の手順により、回転入力部21の回転入力操作が開始されると、まず基準回転量の回転操作に割り当てられた機能を発現させた後、必要に応じて回転入力部21の連続回転操作に割り当てられた機能を発現させる(第3の方法を利用する)ことにより、キー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用することができる。
【0098】
本実施形態に係る携帯電話機10は、タイマ34を利用することによって、回転入力装置の基準回転量のみの回転操作と連続回転操作とを確実に識別することができる。このため、ユーザは、同一のキー群20を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部21の連続回転操作に割り当てて利用することができる。したがって、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、ユーザは、回転入力装置の連続回転操作の操作性のよさを十分に享受することができる。
【0099】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0100】
また、本発明は、本実施形態で説明した携帯電話機10のほかにも、様々な情報処理装置に適用可能である。回転入力部21は片手で容易に操作できるほど操作性がよいため、特に、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの携帯型の情報処理装置に適用することが可能である。
【0101】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】(a)は携帯電話機の伸展状態における正面から見た外観図、(b)は携帯電話機の縮退状態における正面から見た外観図。
【図2】携帯電話機の内部の機能ブロック図。
【図3】キー群を構成するキーおよび回転入力部のそれぞれに対して固有の機能が割り当てられる様子を説明するための図。
【図4】第1の方法により、回転入力部の連続回転操作に対してキー群を構成するキーの1つの長押しと同一の機能が割り当てられる様子を示す説明図。
【図5】携帯電話機のCPUにより、回転入力部の回転入力操作が開始されると直ちに連続回転操作に割り当てられた機能を発現させる(第2の方法を利用する)ことにより、キー群を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部の連続回転操作に割り当てて利用する処理を実行する際の手順を示すフローチャート。
【図6】音楽再生アプリケーションにより回転入力部およびキー群に割り当てられる機能の一例について示す説明図。
【図7】方向指示キーの右キーの短押しに割り当てられた再生速度の変更機能の一例を説明するための図。
【図8】回転入力部の回転入力操作が開始されると、まず基準回転量の回転操作に割り当てられた機能を発現させた後、必要に応じて回転入力部の連続回転操作に割り当てられた機能を発現させる(第3の方法を利用する)ことにより、キー群を構成するキーの長押しで実現される機能と同一の機能を回転入力部の連続回転操作に割り当てて利用する処理を実行する際の手順を示すフローチャート。
【図9】地図ナビアプリケーションにより表示部に表示される画像の一例を示す説明図。
【図10】地図ナビアプリケーションにより回転入力部およびキー群に割り当てられる機能の一例について示す説明図。
【符号の説明】
【0103】
10 携帯電話機
11 正面側ユニット
12 裏面側ユニット
13 表示部
14 第1の操作入力部
15 スピーカ
16 第2の操作入力部
17 マイクロフォン
20 キー群
21 回転入力部
22 決定キー
23 方向指示キー
24 タッチセンサキー
31 アンテナ
32 送受信部
33 記憶部
34 タイマ
35 主制御部
41 ポインタ
42 ズームバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆両方向に回転操作可能に構成され回転方向に応じて回転信号を出力する回転入力部と、
ユーザの操作に応じて操作入力信号を出力するキー群と、
前記回転信号および前記操作入力信号を検知する入力信号検知部と、
前記入力信号検知部により前記回転信号が検知されると起動され、前記回転信号が検知されてから所定の時間経過するとタイムアウト信号を出力するタイマと、
を備え、
前記回転入力部は、少なくとも正逆いずれかの回転方向への回転操作に応じた前記回転信号に対し、前記キー群を構成するキーの長押しに割り当てられた機能と同一の機能が割り当てられ、
前記キーの長押しと同一の機能が割り当てられた回転方向への回転操作に応じた前記回転信号が検知されると前記機能が実現開始されるとともに前記タイマの計時が開始され、前記タイマにより計時された前記経過時間が所定の時間となる前に再度同じ回転方向への回転操作に応じた回転信号が検知されると、前記実現開始された機能が中断されることなく継続して実現されるとともに前記タイマは計時時間がリセットされ再起動される、
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記タイマにより計時された前記経過時間が前記所定の時間となる前に前記同じ回転方向への回転操作に応じた回転信号とは異なる入力信号が前記入力信号検知部により検知されると、前記タイマはタイムアウト信号を出力することなく終了されるとともに前記実現開始された機能は中止されて前記検知された前記異なる入力信号に割り当てられた機能が実現される、
請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記入力信号検知部により信号が検知されずに前記タイマにより計時された前記経過時間が前記所定の時間となると、前記タイマはタイムアウト信号を出力し、このタイムアウト信号を受けて前記実現開始された機能は中止される、
請求項1または2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記回転入力部は、
前記正逆の回転方向への回転操作に応じた前記回転信号のそれぞれに対し、前記キーの長押しに割り当てられた機能と同一の機能が割り当てられ、前記正逆の回転方向への回転操作に応じた前記回転信号に割り当てられた機能は互いに異なる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記キー群は、
画像および音声を再生するアプリケーションに対し、長押しに早送りの機能が割り当てられた第1のキーおよび長押しに巻き戻しの機能が割り当てられた第2のキーを少なくとも含み、
前記回転入力部は、
画像および音声を再生するアプリケーションに対し、正逆の回転方向への回転操作に応じた前記回転信号の一方に対して前記早送りの機能が割り当てられるとともに他方に対して前記巻き戻しの機能が割り当てられた、
請求項4記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記回転入力部に同一の機能が割り当てられたキーは、長押しと短押しとで異なる機能が割り当てられた、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−113430(P2010−113430A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283778(P2008−283778)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】