説明

携帯電話装置

【課題】片手持ちスタイルによる簡易操作性と、両手持ちスタイルによる同時操作性の両者を確保することが可能な携帯電話装置を提供する。
【解決手段】携帯電話装置1を、上側筐体10と、筐体10の表面上で回転可能に軸支された表示部30と、表示部30に第1ヒンジ部40を介して開閉可能に連結された第1操作部50と、筐体10に第2ヒンジ部60を介して開閉可能に連結され、且つヒンジ部60の近傍に操作部50の配置部100を有する下側筐体70と、筐体70に配置部100と重ならないように設けた第2操作部90とで構成する。表示部30の非回転時、操作部50が配置部100に配置されて片手持ち操作が可能となると共に、ヒンジ部40及び60の開閉軸が略同一となって携帯電話装置1が折り畳み可能となる。表示部30を略180度回転させた場合には、操作部50と操作部90とが表示部30を挟んで配置されて両手持ち操作が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話装置に関し、特に折り畳み式携帯電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な折り畳み式携帯電話装置は、カーソルキーや数字キー等の入力操作部が近接して配置され、ユーザによる片手持ちでの簡易操作が可能なスタイルとなっている。また、筐体を折り畳むことができるため携帯性に優れている。
【0003】
ところで、近年の高機能化に伴い、携帯電話装置が大容量のゲームアプリケーションに対応できるようになっている。このようなゲームアプリケーションの中には、カーソルキーと数字キーとを組み合わせて操作するもの(例えば、レースゲームやアクションゲーム)がある。
【0004】
しかしながら、携帯電話装置は小型であるため、片手持ちスタイルでは、ユーザがカーソルキーと数字キーとを同時に操作することが困難であるという問題があった。
【0005】
この問題に対処する折り畳み式携帯電話装置が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された携帯電話装置は、表示部を有する主筐体と、この主筐体の左右両側にそれぞれヒンジ部を介して観音開き状に開閉可能に連結された1対の副筐体とを備えており、これらの副筐体にカーソルキーと数字キーとを分割配置することによって、ユーザによる両手持ちでのカーソルキーと数字キーの同時操作を可能にしている。
【特許文献1】特開2005−244385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された携帯電話装置では、ユーザが両手持ちでのキー同時操作を行うことができる一方、片手持ちスタイルにおける簡易操作性が失われてしまっていた。
【0007】
従って、本発明は、片手持ちスタイルによる簡易操作性と、両手持ちスタイルによる同時操作性の両者を確保することが可能な携帯電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る携帯電話装置は、第1の筐体と、前記第1の筐体の表面上で回転可能に軸支された表示部と、前記表示部に第1のヒンジ部を介して開閉可能に連結された第1の操作部と、前記第1の筐体に第2のヒンジ部を介して開閉可能に連結され、且つ前記第2のヒンジ部の近傍に前記第1の操作部の配置部を有する第2の筐体と、前記第2の筐体に前記配置部と重ならないように設けた第2の操作部とを備え、前記表示部が非回転状態に在る場合に、前記第1の操作部が前記配置部に配置されて前記第1のヒンジ部の開閉軸と前記第2のヒンジ部の開閉軸とが略同一となり、前記表示部を略πrad回転させた場合に、前記第1の操作部と前記第2の操作部とが前記表示部を挟んで配置可能にしている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが片手持ちスタイル又は両手持ちスタイルを自由に選択できるため、簡易操作性及び同時操作性の両者を確保することが可能である。また、不使用時には、一般的な折り畳み式携帯電話装置と同様に筐体を折り畳むことができるため、良好な携帯性を維持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る携帯電話装置の実施の形態を、図1〜図5を参照して説明する。なお、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0011】
図1(a)及び(b)は、それぞれ、本実施の形態に係る携帯電話装置1の正面図及び側面図である。この携帯電話装置1は、上側筐体10と、この上側筐体10の表面上で回転可能なように回転軸20で軸支された表示部30と、この表示部30に第1ヒンジ部40を介して開閉可能に連結された第1操作部50と、上側筐体10に第2ヒンジ部60を介して開閉可能に連結された下側筐体70と、この下側筐体70に設けた第2操作部90とを備えている。
【0012】
ここで、同図(b)に示す如く、下側筐体70の正面側且つ第2ヒンジ部60の近傍には、第1操作部50を第2操作部90と重ならないように配置するための配置部100が形成されている。また、第2操作部90は、下側筐体70の表面上で回転可能なように回転軸80で軸支されている。さらに、上側筐体10は、第2ヒンジ部60の開閉軸と直交する回転軸110によって回転可能に軸支されている。但し、回転軸80及び110は、両手持ちスタイルを実現するために必須となるものでは無い。
【0013】
また、同図(a)に示す如く、第1ヒンジ部40の開閉軸と第2ヒンジ部60の開閉軸は同一となっている。従って、携帯電話装置1を一般的な折り畳み式携帯電話装置と同様に折り畳むことができる。
【0014】
また、第1操作部50には、上下左右の4方向が択一的に入力可能なカーソルキー51と、電源ON/OFF、通話/終話、メニュー選択等を行うための補助キー52とが設けられている一方、第2操作部90には、数字キー91と、マイク92とが設けられている。表示部30には、ディスプレイ31と、レシーバ(スピーカ)32とが設けられている。従って、携帯電話装置1を使用するユーザは、一般的な折り畳み式携帯電話装置が開状態にある時と同様、通話等の種々の操作を片手で簡易に行うことができる。
【0015】
また、本実施の形態に用いるソフトウェア回路の一構成例を図2に示す。このソフトウェア回路120は、表示部30の上側筐体10に対する回転状態を検出し信号SG1として出力する表示部回転状態検出部121と、第1操作部50の開閉状態を検出し信号SG2として出力する第1操作部開閉状態検出部122と、上側筐体10の下側筐体70に対する回転状態を検出し信号SG3として出力する筐体回転状態検出部123と、上側筐体10と下側筐体70の開閉状態を検出し信号SG4として出力する筐体開閉状態検出部124と、信号SG1〜SG3に基づきディスプレイ31を制御する表示制御部125と、信号SG1、SG3、及びSG4に基づき起動するアプリケーション(起動要求REQの出力先)を選択するアプリケーション起動部126と、ゲームアプリケーション127と、音楽再生アプリケーション128と、待受けアプリケーション129とを備えている。
【0016】
なお、上記のアプリケーション127〜129は一例に過ぎない。例えば、ゲームアプリケーション127がメール作成アプリケーションであっても良いし、音楽再生アプリケーション128がメール閲覧アプリケーションであっても良い。
【0017】
携帯電話装置1を図1(a)に示した片手持ちスタイルから両手持ちスタイルに変更する場合、まず図3(a)及び(b)に示すように、表示部30、第1ヒンジ部40、及び第1操作部50を、回転軸20を中心に上側筐体10に対して180度回転させる。これにより、第1操作部50と第2操作部90とが表示部30を挟んで配置される。
【0018】
そして、第2操作部90を、同図(c)に示す如く回転軸80を中心に下側筐体70に対して90度回転させる。これにより、ユーザは、図示の如く第1操作部50と第2操作部90とを両手で同時に操作することができる。
【0019】
この時、図2に示したソフトウェア回路120は、図4のステップS1〜S7に示す処理を実行し、以てディスプレイ31の表示方向切替、カーソルキー51のキーマッピング(ディスプレイ31の表示方向とカーソルキー51の入力方向との対応関係)変更、及びゲームアプリケーション127の起動を行う。
【0020】
すなわち、まずソフトウェア回路120内の表示制御部125が、表示部回転状態検出部121から受けた信号SG1を判定する(ステップS1)。
【0021】
この結果、表示部30が上側筐体10に対して180度回転されている時(ステップS2)、表示制御部125は、筐体回転状態検出部123から受けた信号SG3を判定し(ステップS3)、上側筐体10が下側筐体70に対して回転されているか否かを確認する(ステップS4)。
【0022】
今、上側筐体10は回転されていないため、表示制御部125は、ディスプレイ31の表示を縦長表示(図1(a)参照)から横長表示(図3(c)参照)に変更する(ステップS5)。また、表示制御部125は、カーソルキー51により入力される上下左右の各方向と、ディスプレイ31の表示座標上の上下左右の各方向とが一致するようにキーマッピングを変更する(ステップS6)。
【0023】
また、上記のステップS5及びS6と並行して、アプリケーション起動部126が、ゲームアプリケーション127に対して起動要求REQを与え、以てゲームアプリケーション127を起動する(ステップS7)。
【0024】
これにより、ユーザは、カーソルキー51と数字キー91の同時操作が可能であり、且つカーソルキー51の入力方向とディスプレイ31の表示方向とが一致した状態で、カーソルキー51と数字キー91の組み合わせ操作が必要なゲームアプリケーション127を容易に操作することができる。なお、アプリケーション起動部126が、ゲームアプリケーション127に代えてメール作成アプリケーションを起動する場合には、ユーザは、カーソルキー51及び補助キー52を用いたカーソル移動やメニュー選択操作と、数字キー91を用いた文字入力操作を同時に行うことができる。この場合、キー入力に要する指の移動量が少なくて済むため、メール作成時間を大幅に短縮することができる。
【0025】
なお、上記のステップS2で、表示部30が上側筐体10に対して回転していないと判断された時(すなわち、携帯電話装置1が図1(a)に示した片手持ちスタイルに在る時)、表示制御部125は何ら処理を実行せず、アプリケーション起動部126が待受けアプリケーション129を起動する。これにより、ユーザは、通話等の操作を片手で簡易に行うことができる。
【0026】
また、音楽再生ファイルを再生したい場合、ユーザは、携帯電話装置1を図1(a)に示した片手持ちスタイルから図5(d)に示すスタイルに変更することができる。
【0027】
すなわち、まず図5(a)に示す状態(図3(b)に示した両手持ちスタイルへの変更途中の状態)から、第2ヒンジ部60、下側筐体70、及び第2操作部90を、回転軸110を中心に上側筐体10(図示せず)に対して180度回転させる。
【0028】
そして、下側筐体70及び第2操作部90を、図5(b)に示す如く第2ヒンジ部60の開閉軸を中心として折り畳む。これにより、同図(c)に示すように、第1操作部50が表示部30に対して開状態となる一方、上側筐体10の背面と下側筐体70の表面とが対向して第2操作部90による操作が行えない状態となる。従って、ユーザは、同図(d)に示す如く第1操作部50のみを用いた操作を行うことができる。
【0029】
また、図5(b)から(c)へのスタイル変更過程において、図2に示したソフトウェア回路120が、図4のステップS9〜S13に示す処理を実行し、以て音楽再生アプリケーション128の起動を行う。
【0030】
すなわち、まず、表示制御部125と並行して上側筐体10の下側筐体70に対する回転を認識したアプリケーション起動部126が、筐体開閉状態検出部124から受けた信号SG4を判定する(ステップS9)。
【0031】
この時、アプリケーション起動部126は、上側筐体10と下側筐体70とが閉状態に在ると判断して(ステップS10)、第1操作部開閉状態検出部122から受けた信号SG2をさらに判定する(ステップS11)。
【0032】
この時、アプリケーション起動部126は、第1操作部50が閉状態に無いと判断して(ステップS12)、音楽再生アプリケーション128に対して起動要求REQを与え、以て音楽再生アプリケーション128を起動する(ステップS13)。
【0033】
これにより、ユーザは、カーソルキー51及び補助キー52を用いた再生ファイルの選択、メニュー選択、音量調節等の操作を行うことができ、以て一般的に筐体側面に設けられるサイドキーを用いた操作と比較して、容易且つ直観的な操作性を得ることができる。この効果は、メール閲覧アプリケーション等を起動した場合にも同様に得られる。
【0034】
また、図5(e)に示す如く第1操作部50が閉状態となった場合、これを表示制御部125が認識してディスプレイ31を消灯し(ステップS14)、以て携帯電話装置1の消費電力を低減させる。
【0035】
なお、上記の実施の形態によって本発明は限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る携帯電話装置の実施の形態の正面図及び側面図である。
【図2】図1に示す携帯電話装置に用いるソフトウェア回路の一構成例を示したブロック図である。
【図3】図1に示す携帯電話装置による一のスタイル変更例を示した図である。
【図4】図2に示すソフトウェア回路の動作例を示したフローチャート図である。
【図5】図1に示す携帯電話装置による他のスタイル変更例を示した図である。
【符号の説明】
【0037】
1 携帯電話装置
10 上側筐体
20, 80, 110 回転軸
30 表示部
31 ディスプレイ
32 レシーバ
40 第1ヒンジ部
50 第1操作部
51 カーソルキー
52 補助キー
60 第2ヒンジ部
70 下側筐体
90 第2表示部
91 数字キー
92 マイク
100 配置部
120 ソフトウェア回路
121 表示部回転状態検出部
122 第1操作部開閉状態検出部
123 筐体回転状態検出部
124 筐体開閉状態検出部
125 表示制御部
126 アプリケーション起動部
127 ゲームアプリケーション
128 音楽再生アプリケーション
129 待受けアプリケーション
SG1, SG3 回転状態検出信号
SG2, SG4 開閉状態検出信号
REQ 起動要求

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
前記第1の筐体の表面上で回転可能に軸支された表示部と、
前記表示部に第1のヒンジ部を介して開閉可能に連結された第1の操作部と、
前記第1の筐体に第2のヒンジ部を介して開閉可能に連結され、且つ前記第2のヒンジ部の近傍に前記第1の操作部の配置部を有する第2の筐体と、
前記第2の筐体に前記配置部と重ならないように設けた第2の操作部と、
を備え、
前記表示部が非回転状態に在る場合に、前記第1の操作部が前記配置部に配置されて前記第1のヒンジ部の開閉軸と前記第2のヒンジ部の開閉軸とが略同一となり、前記表示部を略πrad回転させた場合に、前記第1の操作部と前記第2の操作部とが前記表示部を挟んで配置可能となる携帯電話装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の操作部が、前記第2の筐体の表面上で回転可能に軸支されたことを特徴とした携帯電話装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記表示部の回転状態に応じて、前記表示部の表示方向を切り替える表示制御部をさらに備えたことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の操作部が、複数の方向の内から1つの方向を選択して入力するカーソルキーを含み、
前記表示制御部が、前記表示部の表示方向の切替に応じて、前記表示方向と前記カーソルキーによる入力方向との対応付けを変更することを特徴とした携帯電話装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記表示部の回転状態に応じたアプリケーションを起動するアプリケーション起動部をさらに備えたことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1の筐体が、前記第2のヒンジ部の開閉軸と直交する回転軸によって回転可能に軸支され、
前記第1の操作部と前記第2の操作部とを前記表示部を挟んで配置した後、前記第1の筐体の裏面と前記第2の筐体の表面とを対向させて閉状態とすることを可能にした携帯電話装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1の筐体の裏面と前記第2の筐体の表面とが対向した閉状態となった場合に、予め定めたアプリケーションを起動するアプリケーション起動部をさらに備えたことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記第1の筐体の裏面と前記第2の筐体の表面とが対向した閉状態となり、且つ前記第1の操作部が閉状態となった場合に、前記表示部を消灯する表示制御部をさらに備えたことを特徴とする携帯電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−212674(P2009−212674A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52050(P2008−52050)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】