撮像方法および撮像装置並びに駆動装置
【課題】電荷転送方向における読出転送電極と電荷生成部の各中心位置が略一致した構造の撮像素子において、逆変調パルスを効果的に印加できるようにする。
【解決手段】読出転送電極12Bに読出パルスΦROGを供給してセンサ部から垂直転送レジスタへ信号電荷を読み出す際に(t11〜414)、読出転送電極12Bを挟む両側の専用転送電極12Aに、読出パルスΦROGとは逆極性の逆変調パルスを供給する(t12)。信号電荷を読み出す際に、読出転送電極12Bに読出パルスを印加した瞬間に両側の専用転送電極12Aに逆変調パルスを均等に印加することにより、読出しの間口に対して電荷転送方向の上流側と下流側の双方から対称に逆変調を加えることができ、センサ部から垂直転送レジスタへの信号電荷の均等かつ完全なる読出しを可能にし、さらに読出電圧を低減化することができる。
【解決手段】読出転送電極12Bに読出パルスΦROGを供給してセンサ部から垂直転送レジスタへ信号電荷を読み出す際に(t11〜414)、読出転送電極12Bを挟む両側の専用転送電極12Aに、読出パルスΦROGとは逆極性の逆変調パルスを供給する(t12)。信号電荷を読み出す際に、読出転送電極12Bに読出パルスを印加した瞬間に両側の専用転送電極12Aに逆変調パルスを均等に印加することにより、読出しの間口に対して電荷転送方向の上流側と下流側の双方から対称に逆変調を加えることができ、センサ部から垂直転送レジスタへの信号電荷の均等かつ完全なる読出しを可能にし、さらに読出電圧を低減化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像しこの被写体像に応じた画像信号を出力する固体撮像素子(イメージセンサ)を使用した撮像方法および固体撮像素子を駆動する駆動装置、並びに固体撮像素子と駆動装置とを備えた固体撮像装置や電子スチルカメラや撮像装置モジュールなどの、撮像方法を実施する撮像装置(カメラシステム)に関する。より詳細には、いわゆる垂直転送CCDへセンサ部から信号電荷を読み出す際の効率の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、受光センサが2次元状に配列されるとともに電荷転送部が行方向および列方向に配されているCCD固体撮像素子を搭載したビデオカメラやデジタルスチルカメラが広く用いられている。
【0003】
CCD固体撮像素子において、各受光センサが検知した信号電荷を受け取る垂直転送レジスタ(垂直CCD)の上部には、垂直転送レジスタを転送駆動するための垂直転送電極が垂直列方向に複数本設けられる。また、受光センサと垂直転送レジスタとの間には、読出ゲート部が形成される。ここで、読出ゲート部のゲート電極(特に読出電極という)を、一部の垂直転送電極が兼用するようにした構造のものがある(たとえば特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平07−322143号公報
【0005】
このような構造のCCD固体撮像素子において、受光センサが検知した信号電荷を垂直転送レジスタに読み出す際には、受光センサと垂直転送レジスタ間に形成される読出ゲート部の読出電極に、電荷転送時より高い電圧の読出パルスを印加するとともに、読出パルス以外の他のクロックパルス(垂直転送パルス)は停止状態にする。停止状態にするのは、垂直転送電極に印加される駆動電圧の変化により瞬間的に追従しGND電位が変動することで、チャネルストップ部の電位や受光センサの電位が局部的に変動することによる悪影響を防止するためであり、高電圧にするのは、転送残りが生じないようにするためである(たとえば特許文献1の“発明が解決しようとする課題”の項、特に段落11〜13を参照)。
【0006】
また、特許文献1に記載の仕組みでは、さらに、低い読出電圧で完全読出しを可能にし、併せてスミアや暗電流電荷による分配雑音の防止を可能にするべく、受光センサから垂直転送レジスタへの電荷読出し時に、読出電極以外の所要の非読出電極に逆変調パルスを印加する仕組みが提案されている。
【0007】
逆変調パルスを印加することにより、読出パルスによるチャネルストップ部および受光センサのポテンシャルの変動を相殺でき、あるいはチャネルストップ部および受光センサのポテンシャルをより浅くできるので、信号電荷の完全な読出しが行なえるようになり、読出電圧の低減化を図ることができるし、奇数フィールドの読出しおよび偶数フィールドの読出しの何れにおいても、スミアや暗電流電荷の分配が起こらず、分配雑音を防止できるようになっている。
【0008】
また、特許文献1に記載の仕組みでは、逆変調パルスを印加する読出電極以外の所要の非読出電極として、読出電極としても機能する垂直転送電極に隣接する1つの垂直転送電極に限らず、読出電極としても機能する垂直転送電極以外(非読出電極)で、読み出す受光センサに接する2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加する仕組みも開示している(たとえば特許文献1の段落46を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の仕組みでは、読出電極の垂直転送方向の中心位置が、垂直転送方向の受光センサの中心位置とずれた構造のCCD固体撮像素子において、2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加することのみが開示されているに過ぎず、2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加することによる特有の利点が全く開示されていない。
【0010】
加えて、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子において、2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加すると、垂直転送方向の下流側(あるいは上流側)の非読出電極に印加した逆変調パルスが、そこに近接する読出電極に読出パルスを印加して受光センサから垂直転送レジスタに信号電荷を読み出そうとする動作の弊害になってしまう、あるいは逆変調パルスの効果が十分に得られないなど、好ましくない問題が起こり得る。
【0011】
たとえば、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子において、2つの非読出電極に逆変調パルスを印加する場合、読出し間口の中心(読出電極のセンサ部と対応する転送方向の中心)から離れた方の非読出電極だけでなく読出し間口の中心に近い方の非読出電極にも逆変調パルスを供給することになり、読出し間口を狭めてしまい、読出効率が低下してしまう弊害が起こり得る。
【0012】
また、垂直転送方向の受光センサ間(画素間部)には、読出電極としての機能をも兼用する垂直転送電極と専用の垂直転送電極である非読出電極とが2層で配線されているので(たとえば特許文献1の段落23を参照)、電極間のオーバーラップ容量が大きく、読出電極兼用の垂直転送電極へ供給する読出パルスと専用の垂直転送電極へ供給する逆変調パルスが、電極間に形成されるオーバーラップ容量を介して緩衝し合うことによる弊害も懸念される。
【0013】
したがって、その結果として、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子においては、垂直転送方向の上流側(あるいは下流側)の読出し間口の中心から離れた一方の非読出電極のみにしか逆変調パルスを印加できないのが実情である。
【0014】
また、特許文献1に記載の仕組みでは、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子において、垂直転送方向の上流側の非読出電極に逆変調パルスを印加することで、その効果が効率的に得られる仕組みを開示しているに過ぎず、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子以外のものについては、逆変調パルスを効果的に印加するための仕組みは何ら開示されていない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子以外についても、逆変調パルスを効果的に印加することで、センサ部から垂直転送レジスタへの信号電荷の完全読出しを可能にし、かつ読出電圧を低減化することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る仕組みにおいては、先ず、読出電極を兼ねる読出転送電極の垂直転送方向の中心位置が、垂直転送方向の電荷生成部の中心位置と略一致した構造の撮像素子を対象とする(たとえば本願出願人に係る特願2004−330807号を参照)。
【0017】
そして、このような中心位置が略一致した構造の撮像素子において、電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、この読出しに関わる読出転送電極に対して対向した複数の、つまり読出転送電極の両隣の専用転送電極に、読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号(いわゆる逆変調パルス)を印加する。
【0018】
「読出信号とは逆極性の変調信号」とは、読出信号の電位方向に対して逆の電位方向の信号を意味し、たとえば、読出信号がより高電圧方向に変化するものであれば、逆により低電圧方向に変化させる信号である。
【0019】
つまり、本発明に係る仕組みにおいては、読出転送電極と電荷生成部の垂直転送方向の各中心位置が略一致した構造の撮像素子において、逆変調パルスを効果的に印加する仕組みとして、読出転送電極に対して、垂直転送方向の上流側の専用転送電極(読出電極を兼用しない非読出電極)と垂直転送方向の下流側の専用転送電極の双方に、逆変調パルスを同位相もしくはずらして印加するようにした。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電荷転送方向における読出転送電極と電荷生成部の各中心位置が略一致した構造の撮像素子において、読出転送電極を挟む両側の専用転送電極に逆変調パルスを供給するようにしたので、読出しの間口に対して、電荷転送方向の上流側と下流側の双方から対称に逆変調を加えることができる。
【0021】
電荷生成部の信号電荷を電荷転送部に読み出す際に、読出転送電極に読出電圧(読出パルス)を印加した瞬間に所要の専用転送電極に逆変調パルスを均等に印加することにより、電荷生成部から電荷転送部への信号電荷の均等かつ完全なる読出しを可能にし、さらに読出電圧を低減化することができる。
【0022】
読出しの間口に対して、電荷転送方向の上流側と下流側の双方から対称に逆変調を加えることで、片方の専用転送電極を利用して逆変調する方法に対して、電荷生成部内のポテンシャルを浅くする効果が大きくなるため、完全読出しに必要な読出電圧の低減を確実に図ることができ、駆動電圧の低減や飽和信号量の増大を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<撮像装置の全体構成>
図1は、本発明に係る電子機器の一例である撮像装置(カメラシステム)の一実施形態を示す構成図である。なお、ここでは、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子を用いた事例で示す。垂直転送電極としては、2フィールド読出方式(N=)の場合で示す。
【0025】
ここで一般的なIT方式のCCD固体撮像素子は、多数のセンサ部(フォトセル、受光センサ)が2次元マトリクス(行列)状に配され、各垂直列のフォトセルの間にそれぞれ複数の垂直転送CCD(Vレジスタ)が配列され、最後の行の垂直転送CCDに隣接して水平転送CCDが通常1ライン分設けられた構造となっている。以下具体的に説明する。
【0026】
図示するように、本実施形態の撮像装置1は、IT方式のCCD固体撮像素子10と、このCCD固体撮像素子10を駆動する駆動装置の一例である駆動制御部50とを備えている。
【0027】
なお、図示しないが、撮像装置1は、図示したCCD固体撮像素子10や駆動制御部50の他に、たとえば図示しない撮像レンズを含めて撮像装置モジュールが構成され、さらに、この撮像装置モジュールの他に、たとえば撮像装置モジュールにより得られる撮像信号に基づいて映像信号を生成しモニタ出力したり所定の記憶メディアに画像を格納したりする本体ユニットが設けられ、全体として、たとえばビデオカメラやデジタルスチルカメラなどが構成される。撮像装置モジュールは、CCD固体撮像素子10と駆動制御部50とが、1枚の回路基板上に配されたものとして提供されるものであるのがよい。
【0028】
撮像装置1の処理系統は、大別して、光学系、画像処理部やCODEC(Code/Decode あるいはCompression/Decompression の略)を主要部とする信号処理系、CODECによりデータ圧縮した画像データを所定の記憶媒体に記録する記録系、画像を液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)などの所定の表示デバイスに表示する表示系、および撮像装置1の各部を制御する制御系から構成される。なお、撮像装置モジュールおよび本体ユニットが、図示しない外装ケースに収容されて、実際の製品(完成品)が仕上がるのは言うまでもない。
【0029】
光学系は、シャッタ、被写体の光画像を集光するレンズ、および光画像の光量を調整する絞りを有する撮像レンズと、集光された光画像を光電変換して電気信号に変換するCCD固体撮像素子10とから構成される。被写体からの光は、シャッタおよび撮像レンズを透過し、絞りにより調整されて、適度な明るさでCCD固体撮像素子10に入射する。このとき、撮像レンズは、被写体からの光からなる映像が、CCD固体撮像素子10上で結像されるように焦点位置を調整する。
【0030】
制御系は、駆動制御部50の他に、ディスク駆動装置を制御して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリに記憶されている制御用プログラムを読み出し、読み出した制御用プログラム、あるいはユーザからのコマンドなどに基づいて撮像装置1の全体を制御するCPU(Central Processing Unit )などよりなる中央制御部を備える。
【0031】
また制御系は、画像処理部に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにシャッタや絞りを制御する露出コントローラ、CCD固体撮像素子10から画像処理部やCODECまでの各機能部の動作タイミングを制御するタイミング信号生成部(タイミングジェネレータ;TG)を具備した駆動制御部50やユーザがシャッタタイミングやその他のコマンドを入力する操作部を有する。
【0032】
中央制御部は、撮像装置1のバスに接続された画像処理部、CODEC、メモリ、露出コントローラ、およびタイミング信号生成部を制御する。
【0033】
ここで、本実施形態の特徴部分である駆動制御部50には、CCD固体撮像素子10を駆動するための各種のパルス信号であるクロックパルスを生成するタイミング信号生成部52と、このタイミング信号生成部52からのパルス信号を受けて、CCD固体撮像素子10を駆動するためのドライブパルスに変換するドライバ(駆動部)54と、CCD固体撮像素子10やドライバ54などに電源供給する駆動電源56が設けられている。
【0034】
タイミング信号生成部52は、一例として、センサ部(受光センサ)11から垂直転送レジスタ13に信号電荷を読み出すための読出クロックROGや、CCD固体撮像素子10を垂直方向に4相で駆動するための4種類の垂直転送クロックV1〜V4や、水平方向に2相で駆動するための2種類の水平転送クロックH1,H2や、電子シャッタパルスXSGなどをドライバ54に供給するようになっている。
【0035】
ドライバ54は、タイミング信号生成部52から受け取った読出クロックROGと垂直転送クロックV1〜V4とに基づき、垂直転送レジスタ13を垂直転送駆動するための2値レベルもしくは3値レベルのドライブパルス(垂直転送パルス)ΦV1〜ΦV4や水平転送レジスタ15を水平転送駆動するためのドライブパルス(水平転送パルス)ΦH1,ΦH2を生成する。なお、L/H/SHの3値レベルを持つドライブパルス(垂直転送パルス)ΦV1,ΦV3のうち、読出クロックROGに対応するSHレベルのドライブパルス部分を特に読出パルスΦROGと呼ぶ。
【0036】
本実施形態の駆動制御部50は、詳細は後述するが、垂直転送方向の読出電極の中止位置とセンサ部11の垂直転送方向の中心位置の関係を考慮するべく電極配置情報の入力を受け、読出電極に読出パルスを供給する際に、読出パルスとは逆極性の逆変調パルスを供給するべき垂直転送電極やこの逆変調パルスの出力タイミングを決定する。
【0037】
これは、駆動制御部50、特にタイミング信号生成部52を、他種類のCCD固体撮像素子10に対応可能な汎用の駆動装置として、半導体集積回路(IC;Integrated Circuit)で提供するためである。汎用品にする必要がなければ、駆動対象とするCCD固体撮像素子10の前記中心位置の関係に応じた逆変調にのみ対応するものとして提供してもかまわない。
【0038】
CCD固体撮像素子10は、画素となる複数のセンサ部11が2次元マトリクス(行列)状に配列され、また各受光センサ列に対応して図の上下方向に延在する複数のCCD構造の垂直転送レジスタ(第1電荷転送部の一例)13が形成された撮像部(受光部)10aを備えている。センサ部11は、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。図示しないが、カラー撮像に対応するべく、センサ部11の受光面にはオンチップカラーフィルタが設けられる。
【0039】
撮像部10aにおいては、さらに垂直転送レジスタ13と各センサ部11との間に読出ゲート部ROGが介在し、また各画素(ユニットセル)の境界部分にはチャネルストップ部CSが設けられている。
【0040】
撮像部10aの外側には、各垂直転送レジスタ13の最終段に接続するように、図の左右方向に延在するCCD構造の水平転送レジスタ15が1ライン分形成されている。そして、水平転送レジスタ15の後段には電荷信号を電気信号(通常は電圧信号)に変換する電荷検出部(あるいは出力部)としての出力アンプ部17が接続されている。
【0041】
出力アンプ部17は、水平転送レジスタ15から順に注入される信号電荷を図示しないフローティングディフュージョンに蓄積し、この蓄積した信号電荷を信号電圧に変換して、たとえば図示しないソースフォロア構成のトランジスタ回路で構成された出力回路を介してCCD出力信号Sout として出力端子tout から素子外部に出力する。
【0042】
列(垂直)方向に延在した垂直転送レジスタ13の上(受光面側)には、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となるように、4種類の垂直転送電極12(それぞれに参照子_1,_2,_3,_4を付して示す)が、垂直方向に所定の順序で、センサ部11の受光面に開口部(後述する図2を参照)を形成するように配置されている。
【0043】
本実施形態の4種類の垂直転送電極12は、概ね、1つのセンサ部11に1つの垂直転送電極12の全体が対応し、その両側の垂直転送電極12の一部も対応するように形成され、かつ駆動制御部50から供給される4種類の垂直転送パルスΦV_1,ΦV_2,ΦV_3,ΦV_4で信号電荷を垂直方向に転送駆動するように構成されている。
【0044】
すなわち、4種類の垂直転送電極12のうちの2種類はほぼ1つのセンサ部11のみに対応し、この1つのセンサ部11のみに対応する垂直転送電極12の両隣に配される2種類の垂直転送電極12は、両側のセンサ部11に対応するように配置されている。また、2つのセンサ部11を1組にして(水平転送レジスタ15側の最終段も含めて)、4つの垂直転送電極12にそれぞれ垂直転送パルスΦV_1,ΦV_2,ΦV_3,ΦV_4が駆動制御部50から印加されるようになっている。
【0045】
図示した例では、水平転送レジスタ15側において、垂直方向に4つの垂直転送レジスタ13の一組に対応して、組ごとに垂直転送電極12が設けられ、その中で、垂直方向の最上部に位置するセンサ部11_1は、3値レベルの垂直転送パルスΦV_1が印加される読出電極兼用の第1垂直転送電極12_1に対応している。さらに1段前(より水平転送レジスタ15側)の第2垂直転送電極12_2には2値レベルの垂直転送パルスΦV_2が印加される。さらに垂直方向の2段目に位置するセンサ部11_3は、さらに1段前(より水平転送レジスタ15側)の3値レベルの垂直転送パルスΦV_3が印加される読出電極兼用の第3垂直転送電極12_3に対応し、最も水平転送レジスタ15側の第4垂直転送電極12_4には2値レベルの垂直転送パルスΦV_4が印加される。
【0046】
以下2値レベルの垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4が印加される垂直転送電極12_2,12_4を読出電極兼用の垂直転送電極12_1,12_3と区別するため専用転送電極(あるいは非読出電極)12Aともいい、読出パルスΦROGをも含む3値レベルの垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が印加される垂直転送電極12_1,12_3を読出転送電極12Bともいう。
【0047】
また、本実施形態の特徴部分として、4種類の垂直転送電極12のうちの第1垂直転送電極12_1と第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の中心位置が、センサ部11の垂直転送方向の中心位置と略同一なり、その両隣の第2垂直転送電極12_2と第4垂直転送電極12_4の垂直転送方向の中心が、垂直方向に隣接するセンサ部11間(画素間11a)の中心位置と略同一なり、両側のセンサ部11に対応するように配置されている。
【0048】
垂直転送レジスタ13は、最終段の1組分の垂直転送電極12(ΦV_1〜ΦV_4が印加される転送電極)12_1〜12_4を介してさらに水平転送レジスタ15に引き継がれる。
【0049】
水平転送レジスタ15は、各垂直転送レジスタ13に対応して2つの水平転送電極16(それぞれに参照子_1,_2を付して示す)が対応するように形成され、駆動制御部50から供給される2相の水平駆動パルスΦH_1,ΦH_2で信号電荷を水平方向に転送駆動するように構成されている。
【0050】
このような構成の撮像装置1の動作概要を纏めると以下の通りである。すなわち、CCD固体撮像素子10のセンサ部11の各々に蓄積された信号電荷が、駆動制御部50から発せられた読出パルスΦROGが読出ゲート部ROGのゲート電極に印加されそのゲート電極下のポテンシャルが深くなることにより、当該読出ゲート部ROGを通して垂直転送レジスタ13に読み出される。
【0051】
撮像部10aの垂直転送レジスタ13は4種類の垂直転送電極12に対応する4種類の垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4によって転送駆動される。これにより、各センサ部11から読み出された信号電荷は、1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送され水平転送レジスタ15に送られる。
【0052】
水平転送レジスタ15は、駆動制御部50から発せられた2相の水平転送パルスΦH_1,ΦH_2に基づいて、複数本の垂直転送レジスタ13の各々から垂直転送された1ラインに相当する信号電荷を順次出力アンプ部17側に水平転送する。
【0053】
出力アンプ部17は、水平転送レジスタ15から順に注入される信号電荷を信号電圧に変換してCCD出力信号Sout として出力端子tout から出力する。このCCD出力信号Sout は、図示しない信号処理系に引き継がれ、所定の信号処理が施された後に、表示デバイスにて表示されたり記憶媒体に記録されたりする。
【0054】
たとえば、信号処理系の初段には、CCD固体撮像素子10からのアナログ撮像信号(CCD出力信号Sout )を増幅する増幅アンプや、増幅された撮像信号をサンプリングすることによってノイズを低減させるCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路などを有するプリアンプ部が配される。さらにその後段には、プリアンプ部が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換部、A/D変換部から入力されるデジタル信号に所定の画像処理を施すDSP(Digital Signal Processor)で構成された画像処理部が配される。
【0055】
<垂直転送電極の配線構造>
図2は、図1に示したCCD固体撮像素子10の4種類の垂直転送電極12の配置構造の一例を示す図である。図3〜図5は、読出電極の画素間11aにおける水平方向の電気的な接続手法を説明する図である。
【0056】
また、図6は、比較例としての、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子30の4種類の垂直転送電極32の配置構造の一例を示す図である。図7は、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子30の垂直転送電極32の配置構造の変形例を示す図である。
【0057】
図2に示すように、本実施形態のCCD固体撮像素子10では、2次元マトリクスに配されたセンサ部11の各垂直列のセンサ部11の間にそれぞれ複数の垂直転送レジスタ(V−CCD)13が配列され、各センサ部11と垂直転送レジスタ13の転送チャネル領域13aとの間には読出ゲート部ROGが介在している。また各画素(ユニットセル)の境界部分にはチャネルストップ部CSが設けられている。
【0058】
垂直転送レジスタ13の受光面(紙面の前面)側には、薄膜化した多結晶シリコン膜(Poly)などでなる4種類の垂直転送電極12が、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となり、またセンサ部11の受光面にセンサ開口部118を形成し、撮像部10a(図1参照)のほぼ全面を覆うように配置されている。
【0059】
特に本実施形態のCCD固体撮像素子10では、2値レベルの垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4が供給される専用の垂直転送電極12_2,12_4(専用転送電極12A)は、センサ部11の垂直転送方向間(画素間11a)を介して水平方向に延在するように形成されている。これら第2垂直転送電極12_2と第4垂直転送電極12_4とは、パターン形状が殆ど同じ構造である。
【0060】
概略的には、専用転送電極12Aは、垂直方向に隣り合うセンサ部11間(画素間11a)に水平方向に延長して設けられ、各垂直転送レジスタ13内に配置された対応する専用転送電極12A同士が一体的に連結されるように、両側辺がともに櫛歯状に形成されている。
【0061】
これに対して、3値レベルの垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が供給され、読出電極14(それぞれに対応する参照子_1,_3を付して示す)としても機能するようになっている垂直転送電極12_1,12_3(読出転送電極12B)は、その垂直転送方向の中心位置が、センサ部11の垂直転送方向の中心位置と略一致するように形成されている。これら第1垂直転送電極12_1と第3垂直転送電極12_3とは、パーン形状が殆ど同じ構造である。
【0062】
垂直転送レジスタ13上では、両側辺がともに櫛歯状に形成されている専用転送電極12Aは、読出転送電極12Bに対向するように櫛歯をなす延長部が形成されている。概略的には、読出転送電極12Bは、垂直転送レジスタ13上では、専用転送電極12Aに挟まれて、専用転送電極12Aと同一の層にて、表面上は、他の何れの垂直転送電極12にも物理的に連結されることなく分離された状態で形成された、いわゆる浮島状の電極として形成されている。なお、図では、垂直転送レジスタ13上において専用転送電極12Aと読出転送電極12Bとが接触した状態で示しているが、実際には、電気的に接触せず近接してパターン形成される。
【0063】
ここで、浮島状の電極として形成されている読出転送電極12Bを、水平方向の同列の他の読出転送電極12Bと如何様にして電気的に接続するかに関しては、様々な手法を採ることができる。たとえば、読出転送電極12B、すなわち第1垂直転送電極12_1と第3垂直転送電極12_3の水平方向への電気的な接続手法としては、垂直転送電極12_2,12_4の上部から2層で配線する2層配線構造を採ることができる。あるいは、垂直転送電極12_2,12_4の上部から2層配線構造とならないように別配線したものを、読出電極14を兼ねる垂直転送電極12_1,12_3と接続する構造を採ることもできる。
【0064】
特に、画素間11aで、垂直転送電極12_1,12_2もしくは垂直転送電極12_3,12_4が2層配線とならないような後者の態様の方が好ましい。電極間のオーバーラップ容量を介した垂直転送電極12_1,12_2もしくは垂直転送電極12_3,12_4間でのパルス緩衝を防止するためである。
【0065】
なお、後者の場合、1つの画素間11aに第1および第3の垂直転送電極12_1,12_3の何れか一方のみを配するように、たとえば図3に示す第1例の配線態様のように、第1と第2の垂直転送電極12_1,12_2の組合せおよび第3と第4の垂直転送電極12_3,12_4の組合せで2本配置した単層の構造とすることもできる。浮島状の読出転送電極12Bは、この読出転送電極12Bと同じ層(同一材料)で幅t2のシャント配線14Aをなす部分を介して一体的に接続される。
【0066】
あるいは、1つの画素間11aに第1および第3の垂直転送電極12_1,12_3の双方を配するように、図4に示す第2例の配線態様のように、第2垂直転送電極12_2を挟んだ第1と第3の垂直転送電極12_1,12_3の組合せおよび第4垂直転送電極12_4を挟んだ第3と第1の垂直転送電極12_3,12_1の組合せで3本配置した単層の構造とすることもできる。浮島状の読出転送電極12Bは、この読出転送電極12Bと同じ層(同一材料)で幅t2_1のシャント配線14A_1をなす部分と幅t2_3のシャント配線14A_3をなす部分とを介して一体的に接続される。あらゆる面におけるバランス的には、図4に示す第2例の配線態様の方が好ましいと考えられる。
【0067】
なお、図3や図4に示す何れの配線態様でも、専用転送電極12Aの延長部の水平方向の幅W1は、対向する読出転送電極12Bの水平方向の幅W2と同じ幅になるように形成されている。つまり、同一の垂直転送レジスタ13上に存在する専用転送電極12Aと読出転送電極12Bの水平方向の幅W1,W2は、同じ幅になるように形成されている。このように、同一の垂直転送レジスタ13上に配置された転送電極の水平方向の幅を揃えることにより、垂直転送レジスタ13内の信号電荷の転送を効率よく行なうことができる。
【0068】
また、同一の垂直転送レジスタ13上における読出転送電極12Bの形状は、他の読出転送電極12Bの形状と同じ形状となるように形成されている。このように、垂直転送レジスタ13上の転送電極の形状を揃えることで、垂直転送レジスタ13内の信号電荷の転送を効率よく行なうことができる。
【0069】
なお、専用転送電極12Aの垂直転送方向の幅L1と、読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bの垂直転送方向、すなわち電荷転送方向の幅L2との関係は、好ましくは、同じ幅となるように形成するのがよい。すなわち、垂直転送レジスタ13上に設けられた専用転送電極12Aに電荷転送方向へ延びる延長部を設け、延長部の垂直方向の幅t3,t4と、垂直方向に隣り合うセンサ部11間の垂直方向の幅t0とを足した長さL1が、読出転送電極12Bの垂直方向の幅L2と同じになるように形成するのがよい。なお、専用転送電極12Aの各延長部の長さt3,t4は、対称性を持たせるべく、読出転送電極12Bの垂直転送方向の中心から上下に同じ長さが延長されるように形成するのがよい。
【0070】
垂直転送レジスタ13上で専用転送電極12Aと読出転送電極12Bの垂直方向の幅L1,L2を同じ幅にすれば、垂直転送レジスタ13内で信号電荷を転送する際の転送バランスをよくすることができる。また、読出転送電極12Bの中心位置が、センサ部11の中心位置と一致するように形成することができるので、センサ部11からの信号電荷の読出効率を向上することができる。
【0071】
また、図示を割愛するが、専用転送電極12Aが垂直転送レジスタ13上で垂直方向に延長部を持たず、撮像領域において、専用転送電極12Aの垂直方向の幅L1が画素間11aの幅t1とも同じで、総て同じ幅となるように形成することもできる。この場合、垂直転送レジスタ13上の読出転送電極12Bの垂直方向、すなわち電荷転送方向の幅L2を、垂直方向に隣り合う専用転送電極12Aの間隔とほぼ同じ長さになるように形成することができる。つまり、読出転送電極12Bの垂直方向の幅の長さL2を、センサ部11の垂直方向の長さと同じになるように形成することができる。
【0072】
この場合、読出転送電極12Bの垂直方向、すなわち電荷転送方向へ幅L2の長さを大きくでき、読出転送電極12Bに読出パルスΦROGを印加する際の間口を広くすることができる。これによって、低い読出電圧でセンサ部11から信号電荷を読み出すことができるようになる。また、専用転送電極12Aは垂直方向の延長部を有さないので、製造を容易にできる。
【0073】
ただし、図3や図4に示すような配線態様では、画素間11a間にシャント配線14Aを専用転送電極12Aと同層でパターン形成するので、配線抵抗が問題となる。たとえば、図3に示す第1例の配線態様では、専用転送電極12Aの幅t1とシャント配線14Aの幅t2をともに画素間11aの幅t0よりも狭くする必要があるし、図4に示す第2例の配線態様では、専用転送電極12Aの幅t1とシャント配線14A_1の幅t2_1やシャント配線14A_3の幅t2_3をともに画素間11aの幅t0よりも狭くする必要があり、配線抵抗の低下に伴う問題が発生する。
【0074】
また、図3や図4に示すような配線態様では、事実上の読出転送電極12Bをなすシャント配線14Aが垂直方向に隣り合うセンサ部11間(画素間11a)に延長して配置されるので、この部分にも読出パルスΦROGが印加される。画素間11aには画素分離のためにチャネルストップ層が形成されているが、この読出パルスΦROGの印加で電極直下のチャネルストップ層のポテンシャルバリアが崩れ(いわゆる変調し)、センサ部11に蓄積されていた信号電荷が垂直方向にも移動し、垂直方向に隣接するセンサ部11間において、垂直方向で混色が生じるという問題が発生する。
【0075】
すなわち、垂直転送レジスタ13に読みださなければならない信号電荷が、垂直方向に隣り合う他のセンサ部11へ一部漏れてしまう現象が生じる。特に、画素サイズを微細化するために、垂直方向に隣り合う画素間11aの間隔を狭くしたり、また、チャンネルストップ領域の幅を狭くしたりする場合には、このような混色の問題がさらに発生し易くなる。
【0076】
この問題を解消する一手法として、たとえば図5に示す第3例の配線態様のように、専用転送電極12Aと読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bとを単層でパターン形成した後に、別配線のシャント配線14Aを画素間11aの専用転送電極12A上に形成する手法を採ることが考えられる(たとえば、本願出願人に係る特願2004−330807号の明細書を参照)。
【0077】
具体的には、垂直方向に隣り合う画素間11aに設けられた専用転送電極12A上には、たとえば特開2002−158925号や特開2003−7997号に記載のように、その水平方向に亘って、シート抵抗の小さいアルミニウム(Al)やタングステン(W)などを用いたシャント配線14Aを形成することができる。シャント配線14Aは、その一部が垂直方向に延長し、各読出転送電極12B上に延びるように延長部14Bが形成されている。延長部14Bにはコンタクト部14Cが形成されている。図示しないが、このコンタクト部14Cにおいて、シャント配線14Aが、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して、読出転送電極12Bに接続される。
【0078】
なお、シャント配線14Aの垂直方向の幅t2は、専用転送電極12Aの垂直方向の幅t1よりも狭くなるように形成する。また、読出転送電極12B上に延びるシャント配線14Aの延長部14Bは、その水平方向の幅W3が読出転送電極12Bの水平方向の幅W2よりも狭くなるように形成する。
【0079】
なお、水平方向に延在したシャント配線14Aから延長部14Bを突き出す際は、延長部14Bの水平方向の幅W3と同じで突き出してもよいが、図中に点線で示すように、境界部分の幅W4よりも水平方向の幅W3の方を広く取り、読出転送電極12Bの幅W2により近くなる(ただしW2>W3)ようにしてもよい。この場合、読出転送電極12B上で、延長部14Bの面積を大きくすることができるので、コンタクトのマージンを大きくすることができる。すなわち、読出転送電極12B上におけるコンタクト部14Cを作成するための加工作業が容易にできる。
【0080】
図5に示す第3例の配線態様では、シャント配線14Aが読出転送電極12B上に配されるので、垂直方向に隣り合うセンサ部11の間(画素間11a)間には読出転送電極12Bが直接には配置されないので、垂直方向に隣り合うセンサ部11間に対応するP+チャネルストップ層への読出パルスΦROGの印加が避けられ、P+チャネルストップ層のポテンシャルバリアを変調することがない。
【0081】
すなわち、読出パルスΦROGを印加した場合に、垂直方向に隣り合うセンサ部11間における混色を防止することができる。また、シャント配線14Aを用いることにより、確実に読出パルスΦROGを読出転送電極12Bに印加することができる。さらに、シャント配線14Aを専用転送電極12A上に設けたので、シャント配線14Aに印加された読出パルスΦROGが、その直下のP+チャネルストップ層に影響を及ぼすことがなく、P+シャネルストップ層のポテンシャルバリアを変調させることがない。
【0082】
また、画素間11aでのシャント配線14Aの幅t2を専用転送電極12Aの幅t1より狭くし、垂直転送レジスタ13上のシャント配線14Aの幅W3を読出転送電極12Bの幅W2より狭くすることにより、受光時に入射光がシャント配線14Aに蹴られることがなく、センサ部11への集光効率を向上することができる。
【0083】
さらに、チャネルストプ層の形成の際に、イオン注入工程を減らすことができ、また、不純物濃度を抑制することができるので、イオン注入後の活性化のアニール工程でチャネルストップ層の不純物が横方向に拡散することが抑えられる。
【0084】
したがって、センサ部11の領域を大きくすることができ、高感度化が図れる。特に、単層構造で転送電極を形成した場合に、垂直方向に隣り合う画素間の混色を防止することができる。
【0085】
一方、図6に示すように、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子30では、画素となる複数のセンサ部31がマトリックス状に配列され、各センサ部31列の一側に垂直転送電極32を多数配列したCCD構造の垂直転送レジスタ33が設けられている。
【0086】
垂直転送電極32は、垂直転送専用の第2および第4の垂直転送電極32_2,32_4(専用転送電極32A)がたとえば1層目(紙面の奥側)の多結晶シリコン膜で形成され、読出電極34をも兼ねる第1および第3の垂直転送電極32_1,32_3(読出転送電極32B)がたとえば2層目(紙面の手前側)の多結晶シリコン膜で形成される。
【0087】
なお、ここでは、画素間31aで、2層配線となるように、各垂直転送電極32を形成しているが、画素間31aに、第1と第2の垂直転送電極32_1,32_2の組合せおよび第3と第4の垂直転送電極32_3,32_4の組合せで2本配置した単層の構造でもかまわない。単層構造で配線すると、1本当たりの配線幅が狭くなり線抵抗が大きくなるので、一般的には、1本当たりの配線幅を画素間幅と略同幅にできる2層配線が採用される。
【0088】
垂直転送レジスタ33の各垂直転送電極32は、各センサ部31に対して2つの転送電極が対応してセンサ開口部318をセンサ部31部分に形成するように配列される。たとえば1つおきの水平ラインのセンサ部31Aではこれに接するように第1および第4の垂直転送電極32_1,32_4が対応し、他の1つおききの水平ラインのセンサ部31Bではこれに接するように第2および第3の垂直転送電極32_2,32_3が対応するようになされる。この例の垂直転送レジスタ33では、垂直転送電極32_1〜32_4に4相の駆動パルスΦV1,ΦV2,ΦV3,ΦV4を印加する4相駆動方式が採用される。
【0089】
垂直転送レジスタ33の転送チャネル領域33aと各センサ部31間には読出ゲート部ROGが形成される。読出ゲート部ROGのゲート電極(読出電極34という)は、第1垂直転送電極32_1と第3垂直転送電極32_3の延長部で形成されるようになっている。つまり、この従来構成のCCD固体撮像素子30では、第1垂直転送電極32_1と第3垂直転送電極32_3は、垂直転送レジスタ33用の転送電極として機能するだけでなく、読出電極34としても機能するようになっているのである。
【0090】
また、センサ部31列の他側と、垂直方向に隣り合うセンサ部31間とには、センサ部31を分離するためのチャネルストップ部CSが形成される。
【0091】
ここで、従来のCCD固体撮像素子30では、3値レベルの垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が供給され、読出電極34(それぞれに対応する参照子_1,_3を付して示す)としても機能するようになっている垂直転送電極32_1,32_3(読出転送電極32B)は、その垂直転送方向の中心位置が、センサ部31の垂直転送方向の中心位置よりも下流側となるように形成されている。
【0092】
なお、図7に示すように、特許文献1に示されている電極配置の変形例として、読出電極34としても機能するようになっている垂直転送電極32_1,32_3(読出転送電極32B)を、その垂直転送方向の中心位置が、センサ部31の垂直転送方向の中心位置よりも上流側となるように形成する場合もあり得る。
【0093】
<逆変調パルスの印加タイミング>
図8は、図1や図2に示したCCD固体撮像素子10のセンサ部11から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(両側逆変調駆動)を説明する図である。また、図9は、比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子30のセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。また、図10は、比較例としての、図7に示したCCD固体撮像素子30のセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。また、図11は、比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子30のセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法の変形例(両側逆変調駆動)を説明する図である。
【0094】
ここで、各図の(A)は、駆動タイミングを示したタイミングチャートである。特に、読出電極を兼ねる読出転送電極に読出パルスを印加する際に、専用の垂直転送電極に逆変調パルスを印加する点に着目して示している。また、各図の(B)は、信号電画の読出しと垂直転送の様子を示す図である。この各図(B)では、それぞれ(A)に示す垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4と対応するような向きで示している。
【0095】
ここでは、一例として、H(ハイ)レベルおよびL(ロー)レベルの2値レベルに加えて、H(ハイ)レベルよりもさらに高電圧の読出パルスΦROG_3に対応するSHレベルを含む3値レベルの垂直転送パルスΦV_3が供給される第3垂直転送電極12_3において、センサ部11から垂直転送レジスタ13への読み出し動作を行なう際の駆動タイミングを示している。
【0096】
本実施形態の駆動タイミングにおいては、読出電極14(本実施形態では読出電極14の機能を持つ読出転送電極12B)に対して垂直転送方向の両隣に配された専用転送電極12Aに、同位相でもしくは少しずらして逆変調パルスを印加する点に特徴を有する。以下具体的に説明する。
【0097】
図8(A)に示すように、センサ部11から垂直転送レジスタ13へ信号電荷を読み出す直前の時点t10では、第1垂直転送パルスΦV_1がLレベル、第2垂直転送パルスΦV_2がHレベル、第3垂直転送パルスΦV_3がHレベル、第4垂直転送パルスΦV_4が低レベルにあり、センサ部11に信号電荷が蓄積されている。つまり、読出電極14を兼ねる第3垂直転送電極12_3に信号電荷読出し用の高電圧を印加する前は、第3垂直転送電極12_3に印加する電圧のみローレベルの状態にし、他の全ての垂直転送電極12_2〜12_4に印加する電圧はハイレベルの状態とする。
【0098】
次に、時点t11にて、読出電極14_3を兼ねる第3垂直転送電極12_3に、Hレベルの第3垂直転送パルスΦV_3による電荷転送時よりもさらに高電圧(SHレベル)の読出パルスΦROGを印加する。そうすると、垂直転送レジスタ13の第3垂直転送電極12_3下のポテンシャルが深くなり、対応するセンサ部11_3(図8(B)の画素2)の信号電荷eが第3垂直転送電極12_3下に読み出される。
【0099】
この時点t11では、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されたことにより、第3垂直転送電極12_3下のチャネルストップ部CSおよびセンサ部11の電位が変動し、ポテンシャルが深くなって電荷残りが生じている。
【0100】
しかし、次の瞬間の時点t12(読出パルスΦROGが印加されている期間内の任意の時点)で、第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の両隣に配されている第2垂直転送電極12_2および第4垂直転送電極12_4に読出パルスΦROGとは逆の電圧変化特性を持つ逆極性の逆変調パルスを略同時にもしくは少しずらして印加する。ここでは、具体的には、第2垂直転送パルスΦV_2および第4垂直転送パルスΦV_4がともにHレベルからLレベルに変化する。
【0101】
「少しずらして印加」とは、逆変調パルス印加時には、第2垂直転送電極12_2と第4垂直転送電極12_4への印加電圧の変化を同時に行なう必要が無いことを意味している。読出パルスΦROGが第3垂直転送電極12_3に印加されている間に第2および第4の垂直転送電極12_2,12_4へ逆変調パルスを印加すればよく、何れを先に変化させるかも自由である。
【0102】
この第2垂直転送電極12_2や第4垂直転送電極12_4における読出パルスΦROGとは逆特性の電圧変化により、第2垂直転送電極12_2下や第4垂直転送電極12_4下のチャネルストップ部CSおよびセンサ部11の電位が逆方向に変動し、チャネルストップ部CSおよびセンサ部11のポテンシャルが浅くなる方向に変化する。すなわち、この第2および第4の垂直転送電極12_2,12_4の電位変化で第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されたことによるポテンシャル変動が相殺され、もしくは、より浅いポテンシャルにシフトする。この結果、センサ部11の信号電荷eの垂直転送レジスタ13への読み出しが完全に行なわれるようになる。
【0103】
読出パルスΦROGを第3垂直転送電極12_3(読出転送電極12B)に印加している間に、その両隣の第2および第4の垂直転送電極12_2,12_4(専用転送電極12A)の電圧をHレベルからLレベルの状態に変化させてセンサ部11のポテンシャルを浅く変調することで、センサ部11から垂直転送レジスタ13への電界を強くして読み出し易くすることが可能となるのである。これによって、読出電圧(読出パルスΦROGの大きさ)の低減化が図れる。
【0104】
次に、垂直転送レジスタ13の取扱い電荷量が少なくならないよう、また電荷転送方向とも整合するように、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されている間に、読出電極14_3を兼ねる第3垂直転送電極12_3に対して垂直転送方向下流側に配置された第4垂直転送電極12_4の電圧をHレベルの状態に再度変化させ、チャージパケットを大容量化する(t13)。
【0105】
なお、「読出パルスΦROGが印加されている間」とは、第3垂直転送電極12_3の電圧が読出パルスΦROGレベルからHレベルに戻る時点t14までの間であり、第3垂直転送電極12_3の電圧が読出パルスΦROGレベルからHレベルに戻るのと略同時でもよい。
【0106】
ただし、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されている間は、センサ部11が取得する信号電荷がどんどんと垂直転送レジスタ13に読み出されるので、その信号電荷がチャージパケットから溢れ出さないように、読出パルスΦROGの印加が停止され第3垂直転送電極12_3がHレベルに戻るよりもある程度早く第4垂直転送電極12_4をHレベルに戻すのがよい。
【0107】
第3垂直転送電極12_3への読出パルスΦROGの印加を停止した後(t14)、第1垂直転送電極12_1をハイレベルに変化させることで、チャージパケットを1電極分だけ下流側に移動させる(t15)。これにより、信号電荷eは1電極分だけ転送される。
【0108】
ここで本実施形態において、読出転送電極12Bの垂直転送方向両隣の専用転送電極12Aに逆変調パルスを供給するようにしたことで得られる効果についてさらに詳しく説明する。
【0109】
本実施形態で用いるCCD固体撮像素子10は、図2に示すように、読出電極14の垂直転送方向の中心位置がセンサ部11の垂直転送方向の中心位置と略一致し読出電極14が画素の中心部に配置されるため、センサ部11から垂直転送レジスタ13への信号電荷の読出し方向が真横の向きとなるし、逆変調パルスを加えた際のA−A切断線およびB−B切断線上の電圧ポテンシャルを読出電極14の電荷転送方向の中心に対して均等にすることができる。
【0110】
センサ部11から垂直転送レジスタ13への信号電荷の読出し方向が真横の向きの場合、読出パルスΦROGが印加される読出電極14_3を兼ねる第3垂直転送電極12_3(読出転送電極12B)の転送方向上流側の垂直転送専用の第2垂直転送電極12_2(専用転送電極12A)に逆変調パルスを印加してHレベルからLレベルにするだけでは、逆変調パルスを印加することにより得られる読出電圧低減効果が低い。
【0111】
何故なら、逆変調パルスを転送方向上流側の第2垂直転送電極12_2(もしくは下流側の第4垂直転送電極12_4)のみに印加して電極電圧をHレベルからLレベルに変化させるだけでは、センサ部11内の転送方向上流側から下流側(もしくは下流側から上流側)に向かう電界だけしか付けらず、電荷読出方向と同様の真横の向きの電界とならず、センサ内のポテンシャル変動が十分でないためである。
【0112】
これに対して、上流側に配置されている第2垂直転送電極12_2だけでなく下流側に配置されている第4垂直転送電極12_4にも、つまり読出対象のセンサ部11の真横に位置する読出電極14_3の垂直転送方向両隣の垂直転送電極12、つまり読出転送電極12Bに対して転送方向両隣の専用転送電極12Aに逆変調パルスを印加してHレベルからLレベルにする方が読出電圧低減効果が高くなる。
【0113】
何故なら、第2垂直転送電極12_2や第4垂直転送電極12_4は、垂直転送レジスタ13上だけでなく、画素間11a部にも配置され、その画素間11aにも電圧が印加されるようになっているため、読出転送電極12Bに対して両隣の垂直転送電極12_2,12_4に逆変調パルスを印加して電極電圧をHレベルからLレベルに変化させることで、電荷読出方向と同様の真横の向きの電界を付けることができる。
【0114】
逆変調パルスを加えた際のA−A切断線およびB−B切断線上の電圧ポテンシャルを読出電極14の電荷転送方向の中心に対して均等にすることができるからである。すなわち、センサ部11内の転送方向上流側と転送方向下流側の双方から斜め方向で垂直転送レジスタ13に向かう電界を付けることができ、その合成電界が、電荷読出方向と同様の真横の向きの電界となり、センサ内のポテンシャル変動を大きくできるからである。
【0115】
この点は、図6もしくは図7に示したように、読出電極の垂直転送方向の中心位置が、センサ部31の垂直転送方向の下流側(図6)もしくは上流側(図7)に位置するようになっているCCD固体撮像素子30では、読出電極34が画素の下流側もしくは上流側に配置されるため、センサ部31から垂直転送レジスタ33への信号電荷の読出し方向が左下向きの方向もしくは左上向きの方向となるので、図9や図10に示すように、時点t22にて、読出電極34の両隣の垂直転送専用の垂直転送電極12内の何れか一方のみを逆変調すれば十分であるのと大きく異なる。
【0116】
すなわち、図6もしくは図7に示す電極配置関係の場合には、読出パルスΦROGの印加中に逆変調パルスを印加して転送電極電圧をHレベルからLレベルに変化させるべき垂直転送電極32を、読み出される画素に対して上流側に配置されたもの(図6)もしくは下流側に配置されたもの(図7)とすればよい。画素間31a部にも電圧が印加されているため、印加電圧をHレベルからLレベルに変化させることで、センサ領域内上流側から下流側に向かう電界(図6の場合)、もしくはセンサ領域内下流側から上流側に向かう電荷読出方向と同様の向きの電界(図7の場合)を付けることができ、センサ内のポテンシャル変動が十分である。
【0117】
一方、図6もしくは図7に示す電極配置関係の場合に、読出パルスΦROGの印加中に逆変調パルスを印加して転送電極電圧をHレベルからLレベルに変化させるべき垂直転送電極32を、本実施形態と同様に、読出電極34に対して垂直転送方向の両隣の垂直転送電極32とすることも考えられる。
【0118】
たとえば、図11は、その場合におけるセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法を説明する図である。ここで、たとえば図6に示す電極配置関係の場合に、読出電極34_3の両隣の垂直転送電極32_2,32_4に逆変調パルスを印加すると、読出電極34_3のセンサ部31と対応する転送方向の中心である読出し間口の中心から離れた方の非読出電極垂直転送電極32_2だけでなく読出し間口の中心に近い方の垂直転送電極32_4にも逆変調パルスを供給することになる。
【0119】
その結果として、読出し間口の中心に近いところで逆変調パルスが印加されることにより読出し間口のポテンシャルが浅くなり、読出し間口を狭めてしまう影響が発生し、読出効率が低下してしまう弊害が起こり得る。つまり、逆変調パルスを読出し間口中心に近い垂直転送電極に供給することは、読出電極34に読出パルスΦROGを印加してセンサ部31から垂直転送レジスタ33に信号電荷を読み出そうとする動作の弊害になり得るのである。
【0120】
また、各垂直転送電極32を水平方向に延在するように配線するべく、画素間31aでは、一般的に、2層配線構造が採用されるので、電極間にオーバーラップ容量が形成され、たとえば読出電極34_3に対する両隣の垂直転送電極32_2,32_4の内の一方(図6では下流側のもの、図7では上流側のもの)では、オーバーラップ容量を介して、読出パルスΦROGと逆変調パルスとが緩衝し合うので、前述の読出し間口のポテンシャルが浅くなり読出し間口を狭めてしまう影響がより大きくなり得る。
【0121】
一方、図1や図2に示すように、読出電極14の中心がセンサ部11の中心と一致する電極配置構造のCCD固体撮像素子10では、読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bの中心に対して等距離、つまり読出し間口の中心から等距離の2つの専用転送電極12Aに逆変調パルスを供給するので、一方の専用転送電極12Aによって読出し間口のポテンシャルが浅くなり読出効率が低下してしまうという弊害は殆ど考慮しなくてもよい。むしろ、前述のように、読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bの中心に対して等距離にある2つの専用転送電極12Aに逆変調パルスを供給するので、その効果を均等に発揮し得ることの効果の方が遙かに大きい。
【0122】
<N≧3への適用例>
上記実施形態では、2フィールド読出方式として、垂直転送電極12の相数が4相の場合で示したが、Nフィールド読出方式(N≧3)の場合でも適用可能である。たとえば最近では、高解像度化(多画素化)あるいは小型化のため、セルサイズが縮小化されており、フレーム読出方式においても、従来のような2つのフィールドに分けて読み出す2フィールド読出方式以外に、3フィールド読出方式や4フィールド読出方式によるフレーム読出方式が実用化されている。
【0123】
これらNフィールド読出し方式(N≧3)に対応する場合は、第4垂直転送電極12_4の後段の読出電極を兼ねる第1垂直転送電極12_1を第5の垂直転送パルスΦV5が印加される専用転送電極12Aとして、それより後段側に配置されている電極を順次VΦ6,VΦ7,…が印加される専用転送電極12Aとすればよい。
【0124】
そして、上記実施形態で説明したΦV1〜ΦV4までの電圧が印加される以外の残り(第4垂直転送電極12_4よりも後段側)の専用転送電極12Aに印加する電圧を全てHレベルの状態にしておけばよい。この状態で、読出転送電極12B以外でその読み出すセンサ部11に接する2つ以上の専用転送電極12Aに逆変調パルスを同位相もしくはずらして印加する。
【0125】
たとえば、図12は、垂直転送電極12の相数を6相にした6相垂直転送駆動として、3フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図であり、図12(A)が、上記実施形態で説明した仕組みを適用する場合を示し、図12(B)が、従来の駆動タイミングを示している。
【0126】
図12(A)に示すように、上述した実施形態と同様に、時点t61で、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加された後の時点t62(読出パルスΦROGが印加されている期間内の任意の時点)で、第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の両隣に配されている第2垂直転送電極12_2および第4垂直転送電極12_4に読出パルスΦROGとは逆の電圧変化特性を持つ逆極性の逆変調パルスを略同時にもしくは少しずらして印加する。
【0127】
また、図13は、垂直転送電極12の相数を8相にした8相垂直転送駆動として、4フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図であり、図13(A)が、上記実施形態で説明した仕組みを適用する場合を示し、図13(B)が、従来の駆動タイミングを示している。
【0128】
図13(A)に示すように、上述した実施形態と同様に、時点t81で、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加された後の時点t62(読出パルスΦROGが印加されている期間内の任意の時点)で、第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の両隣に配されている第2垂直転送電極12_2および第4垂直転送電極12_4に読出パルスΦROGとは逆の電圧変化特性を持つ逆極性の逆変調パルスを略同時にもしくは少しずらして印加する。
【0129】
このように、6相垂直転送駆動および8相垂直転送駆動の何れにおいても、読出転送電極12Bに対して読出パルスΦROGを印加中に、読出転送電極12Bの上下に配置された専用転送電極12Aに印加している垂直転送パルスΦVをHレベルからLレベルに変化させることで、従来技術の片方の転送電極の電圧を変化させる方法に対して、センサ内のポテンシャルを浅くする効果が大きくなるため、完全読出しに必要な読出電圧の低減が可能になり、駆動電圧の低減や飽和信号量の増大を実現することができる。
【0130】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0131】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0132】
たとえば、上記実施形態では、インターライン転送(IT)型CCD固体撮像素子に適用して説明したが、その他、フレームインターライン転送(FIT)型CCD固体撮像素子に適用することができる。
【0133】
また、上記実施形態では、可視光を色分離して検知することでカラー画像を撮像する場合について説明したが、カラー画像に限らずモノクロ画像の撮像であってもよい。また。可視光に限らず、赤外線や紫外線などの任意の波長帯域の電磁波を検知することで、その所定波長帯域の画像を撮像する場合においても、上記実施形態の仕組みを同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示したCCD固体撮像素子の4種類の垂直転送電極の配置構造の一例を示す図である。
【図3】読出電極の画素間における水平方向の電気的な接続手法(第1例)を説明する図である。
【図4】読出電極の画素間における水平方向の電気的な接続手法(第2例)を説明する図である。
【図5】読出電極の画素間における水平方向の電気的な接続手法(第3例)を説明する図である。
【図6】比較例としての、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子の4種類の垂直転送電極の配置構造の一例を示す図である。
【図7】特許文献1に示されているCCD固体撮像素子の垂直転送電極の配置構造の変形例を示す図である。
【図8】図1や図2に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(両側逆変調駆動)を説明する図である。
【図9】比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。
【図10】比較例としての、図7に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。
【図11】比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法の変形例(両側逆変調駆動)を説明する図である。
【図12】6相垂直転送駆動/3フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図である。
【図13】8相垂直転送駆動/4フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図である。
【符号の説明】
【0135】
1…撮像装置、10…CCD固体撮像素子、10a…撮像部、11…受光センサ、11a…画素間、12…垂直転送電極、12A…専用転送電極、12B…読出転送電極、13…垂直転送レジスタ、14…読出電極、15…水平転送レジスタ、16…水平転送電極、17…出力アンプ部、118…センサ開口部、50…駆動制御部、52…タイミング信号生成部、54…ドライバ(駆動部)、56…駆動電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像しこの被写体像に応じた画像信号を出力する固体撮像素子(イメージセンサ)を使用した撮像方法および固体撮像素子を駆動する駆動装置、並びに固体撮像素子と駆動装置とを備えた固体撮像装置や電子スチルカメラや撮像装置モジュールなどの、撮像方法を実施する撮像装置(カメラシステム)に関する。より詳細には、いわゆる垂直転送CCDへセンサ部から信号電荷を読み出す際の効率の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、受光センサが2次元状に配列されるとともに電荷転送部が行方向および列方向に配されているCCD固体撮像素子を搭載したビデオカメラやデジタルスチルカメラが広く用いられている。
【0003】
CCD固体撮像素子において、各受光センサが検知した信号電荷を受け取る垂直転送レジスタ(垂直CCD)の上部には、垂直転送レジスタを転送駆動するための垂直転送電極が垂直列方向に複数本設けられる。また、受光センサと垂直転送レジスタとの間には、読出ゲート部が形成される。ここで、読出ゲート部のゲート電極(特に読出電極という)を、一部の垂直転送電極が兼用するようにした構造のものがある(たとえば特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平07−322143号公報
【0005】
このような構造のCCD固体撮像素子において、受光センサが検知した信号電荷を垂直転送レジスタに読み出す際には、受光センサと垂直転送レジスタ間に形成される読出ゲート部の読出電極に、電荷転送時より高い電圧の読出パルスを印加するとともに、読出パルス以外の他のクロックパルス(垂直転送パルス)は停止状態にする。停止状態にするのは、垂直転送電極に印加される駆動電圧の変化により瞬間的に追従しGND電位が変動することで、チャネルストップ部の電位や受光センサの電位が局部的に変動することによる悪影響を防止するためであり、高電圧にするのは、転送残りが生じないようにするためである(たとえば特許文献1の“発明が解決しようとする課題”の項、特に段落11〜13を参照)。
【0006】
また、特許文献1に記載の仕組みでは、さらに、低い読出電圧で完全読出しを可能にし、併せてスミアや暗電流電荷による分配雑音の防止を可能にするべく、受光センサから垂直転送レジスタへの電荷読出し時に、読出電極以外の所要の非読出電極に逆変調パルスを印加する仕組みが提案されている。
【0007】
逆変調パルスを印加することにより、読出パルスによるチャネルストップ部および受光センサのポテンシャルの変動を相殺でき、あるいはチャネルストップ部および受光センサのポテンシャルをより浅くできるので、信号電荷の完全な読出しが行なえるようになり、読出電圧の低減化を図ることができるし、奇数フィールドの読出しおよび偶数フィールドの読出しの何れにおいても、スミアや暗電流電荷の分配が起こらず、分配雑音を防止できるようになっている。
【0008】
また、特許文献1に記載の仕組みでは、逆変調パルスを印加する読出電極以外の所要の非読出電極として、読出電極としても機能する垂直転送電極に隣接する1つの垂直転送電極に限らず、読出電極としても機能する垂直転送電極以外(非読出電極)で、読み出す受光センサに接する2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加する仕組みも開示している(たとえば特許文献1の段落46を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の仕組みでは、読出電極の垂直転送方向の中心位置が、垂直転送方向の受光センサの中心位置とずれた構造のCCD固体撮像素子において、2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加することのみが開示されているに過ぎず、2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加することによる特有の利点が全く開示されていない。
【0010】
加えて、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子において、2つ以上の非読出電極に逆変調パルスを印加すると、垂直転送方向の下流側(あるいは上流側)の非読出電極に印加した逆変調パルスが、そこに近接する読出電極に読出パルスを印加して受光センサから垂直転送レジスタに信号電荷を読み出そうとする動作の弊害になってしまう、あるいは逆変調パルスの効果が十分に得られないなど、好ましくない問題が起こり得る。
【0011】
たとえば、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子において、2つの非読出電極に逆変調パルスを印加する場合、読出し間口の中心(読出電極のセンサ部と対応する転送方向の中心)から離れた方の非読出電極だけでなく読出し間口の中心に近い方の非読出電極にも逆変調パルスを供給することになり、読出し間口を狭めてしまい、読出効率が低下してしまう弊害が起こり得る。
【0012】
また、垂直転送方向の受光センサ間(画素間部)には、読出電極としての機能をも兼用する垂直転送電極と専用の垂直転送電極である非読出電極とが2層で配線されているので(たとえば特許文献1の段落23を参照)、電極間のオーバーラップ容量が大きく、読出電極兼用の垂直転送電極へ供給する読出パルスと専用の垂直転送電極へ供給する逆変調パルスが、電極間に形成されるオーバーラップ容量を介して緩衝し合うことによる弊害も懸念される。
【0013】
したがって、その結果として、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子においては、垂直転送方向の上流側(あるいは下流側)の読出し間口の中心から離れた一方の非読出電極のみにしか逆変調パルスを印加できないのが実情である。
【0014】
また、特許文献1に記載の仕組みでは、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子において、垂直転送方向の上流側の非読出電極に逆変調パルスを印加することで、その効果が効率的に得られる仕組みを開示しているに過ぎず、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子以外のものについては、逆変調パルスを効果的に印加するための仕組みは何ら開示されていない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、中心位置がずれた構造のCCD固体撮像素子以外についても、逆変調パルスを効果的に印加することで、センサ部から垂直転送レジスタへの信号電荷の完全読出しを可能にし、かつ読出電圧を低減化することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る仕組みにおいては、先ず、読出電極を兼ねる読出転送電極の垂直転送方向の中心位置が、垂直転送方向の電荷生成部の中心位置と略一致した構造の撮像素子を対象とする(たとえば本願出願人に係る特願2004−330807号を参照)。
【0017】
そして、このような中心位置が略一致した構造の撮像素子において、電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、この読出しに関わる読出転送電極に対して対向した複数の、つまり読出転送電極の両隣の専用転送電極に、読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号(いわゆる逆変調パルス)を印加する。
【0018】
「読出信号とは逆極性の変調信号」とは、読出信号の電位方向に対して逆の電位方向の信号を意味し、たとえば、読出信号がより高電圧方向に変化するものであれば、逆により低電圧方向に変化させる信号である。
【0019】
つまり、本発明に係る仕組みにおいては、読出転送電極と電荷生成部の垂直転送方向の各中心位置が略一致した構造の撮像素子において、逆変調パルスを効果的に印加する仕組みとして、読出転送電極に対して、垂直転送方向の上流側の専用転送電極(読出電極を兼用しない非読出電極)と垂直転送方向の下流側の専用転送電極の双方に、逆変調パルスを同位相もしくはずらして印加するようにした。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電荷転送方向における読出転送電極と電荷生成部の各中心位置が略一致した構造の撮像素子において、読出転送電極を挟む両側の専用転送電極に逆変調パルスを供給するようにしたので、読出しの間口に対して、電荷転送方向の上流側と下流側の双方から対称に逆変調を加えることができる。
【0021】
電荷生成部の信号電荷を電荷転送部に読み出す際に、読出転送電極に読出電圧(読出パルス)を印加した瞬間に所要の専用転送電極に逆変調パルスを均等に印加することにより、電荷生成部から電荷転送部への信号電荷の均等かつ完全なる読出しを可能にし、さらに読出電圧を低減化することができる。
【0022】
読出しの間口に対して、電荷転送方向の上流側と下流側の双方から対称に逆変調を加えることで、片方の専用転送電極を利用して逆変調する方法に対して、電荷生成部内のポテンシャルを浅くする効果が大きくなるため、完全読出しに必要な読出電圧の低減を確実に図ることができ、駆動電圧の低減や飽和信号量の増大を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<撮像装置の全体構成>
図1は、本発明に係る電子機器の一例である撮像装置(カメラシステム)の一実施形態を示す構成図である。なお、ここでは、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子を用いた事例で示す。垂直転送電極としては、2フィールド読出方式(N=)の場合で示す。
【0025】
ここで一般的なIT方式のCCD固体撮像素子は、多数のセンサ部(フォトセル、受光センサ)が2次元マトリクス(行列)状に配され、各垂直列のフォトセルの間にそれぞれ複数の垂直転送CCD(Vレジスタ)が配列され、最後の行の垂直転送CCDに隣接して水平転送CCDが通常1ライン分設けられた構造となっている。以下具体的に説明する。
【0026】
図示するように、本実施形態の撮像装置1は、IT方式のCCD固体撮像素子10と、このCCD固体撮像素子10を駆動する駆動装置の一例である駆動制御部50とを備えている。
【0027】
なお、図示しないが、撮像装置1は、図示したCCD固体撮像素子10や駆動制御部50の他に、たとえば図示しない撮像レンズを含めて撮像装置モジュールが構成され、さらに、この撮像装置モジュールの他に、たとえば撮像装置モジュールにより得られる撮像信号に基づいて映像信号を生成しモニタ出力したり所定の記憶メディアに画像を格納したりする本体ユニットが設けられ、全体として、たとえばビデオカメラやデジタルスチルカメラなどが構成される。撮像装置モジュールは、CCD固体撮像素子10と駆動制御部50とが、1枚の回路基板上に配されたものとして提供されるものであるのがよい。
【0028】
撮像装置1の処理系統は、大別して、光学系、画像処理部やCODEC(Code/Decode あるいはCompression/Decompression の略)を主要部とする信号処理系、CODECによりデータ圧縮した画像データを所定の記憶媒体に記録する記録系、画像を液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)などの所定の表示デバイスに表示する表示系、および撮像装置1の各部を制御する制御系から構成される。なお、撮像装置モジュールおよび本体ユニットが、図示しない外装ケースに収容されて、実際の製品(完成品)が仕上がるのは言うまでもない。
【0029】
光学系は、シャッタ、被写体の光画像を集光するレンズ、および光画像の光量を調整する絞りを有する撮像レンズと、集光された光画像を光電変換して電気信号に変換するCCD固体撮像素子10とから構成される。被写体からの光は、シャッタおよび撮像レンズを透過し、絞りにより調整されて、適度な明るさでCCD固体撮像素子10に入射する。このとき、撮像レンズは、被写体からの光からなる映像が、CCD固体撮像素子10上で結像されるように焦点位置を調整する。
【0030】
制御系は、駆動制御部50の他に、ディスク駆動装置を制御して磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリに記憶されている制御用プログラムを読み出し、読み出した制御用プログラム、あるいはユーザからのコマンドなどに基づいて撮像装置1の全体を制御するCPU(Central Processing Unit )などよりなる中央制御部を備える。
【0031】
また制御系は、画像処理部に送られた画像の明るさが適度な明るさを保つようにシャッタや絞りを制御する露出コントローラ、CCD固体撮像素子10から画像処理部やCODECまでの各機能部の動作タイミングを制御するタイミング信号生成部(タイミングジェネレータ;TG)を具備した駆動制御部50やユーザがシャッタタイミングやその他のコマンドを入力する操作部を有する。
【0032】
中央制御部は、撮像装置1のバスに接続された画像処理部、CODEC、メモリ、露出コントローラ、およびタイミング信号生成部を制御する。
【0033】
ここで、本実施形態の特徴部分である駆動制御部50には、CCD固体撮像素子10を駆動するための各種のパルス信号であるクロックパルスを生成するタイミング信号生成部52と、このタイミング信号生成部52からのパルス信号を受けて、CCD固体撮像素子10を駆動するためのドライブパルスに変換するドライバ(駆動部)54と、CCD固体撮像素子10やドライバ54などに電源供給する駆動電源56が設けられている。
【0034】
タイミング信号生成部52は、一例として、センサ部(受光センサ)11から垂直転送レジスタ13に信号電荷を読み出すための読出クロックROGや、CCD固体撮像素子10を垂直方向に4相で駆動するための4種類の垂直転送クロックV1〜V4や、水平方向に2相で駆動するための2種類の水平転送クロックH1,H2や、電子シャッタパルスXSGなどをドライバ54に供給するようになっている。
【0035】
ドライバ54は、タイミング信号生成部52から受け取った読出クロックROGと垂直転送クロックV1〜V4とに基づき、垂直転送レジスタ13を垂直転送駆動するための2値レベルもしくは3値レベルのドライブパルス(垂直転送パルス)ΦV1〜ΦV4や水平転送レジスタ15を水平転送駆動するためのドライブパルス(水平転送パルス)ΦH1,ΦH2を生成する。なお、L/H/SHの3値レベルを持つドライブパルス(垂直転送パルス)ΦV1,ΦV3のうち、読出クロックROGに対応するSHレベルのドライブパルス部分を特に読出パルスΦROGと呼ぶ。
【0036】
本実施形態の駆動制御部50は、詳細は後述するが、垂直転送方向の読出電極の中止位置とセンサ部11の垂直転送方向の中心位置の関係を考慮するべく電極配置情報の入力を受け、読出電極に読出パルスを供給する際に、読出パルスとは逆極性の逆変調パルスを供給するべき垂直転送電極やこの逆変調パルスの出力タイミングを決定する。
【0037】
これは、駆動制御部50、特にタイミング信号生成部52を、他種類のCCD固体撮像素子10に対応可能な汎用の駆動装置として、半導体集積回路(IC;Integrated Circuit)で提供するためである。汎用品にする必要がなければ、駆動対象とするCCD固体撮像素子10の前記中心位置の関係に応じた逆変調にのみ対応するものとして提供してもかまわない。
【0038】
CCD固体撮像素子10は、画素となる複数のセンサ部11が2次元マトリクス(行列)状に配列され、また各受光センサ列に対応して図の上下方向に延在する複数のCCD構造の垂直転送レジスタ(第1電荷転送部の一例)13が形成された撮像部(受光部)10aを備えている。センサ部11は、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。図示しないが、カラー撮像に対応するべく、センサ部11の受光面にはオンチップカラーフィルタが設けられる。
【0039】
撮像部10aにおいては、さらに垂直転送レジスタ13と各センサ部11との間に読出ゲート部ROGが介在し、また各画素(ユニットセル)の境界部分にはチャネルストップ部CSが設けられている。
【0040】
撮像部10aの外側には、各垂直転送レジスタ13の最終段に接続するように、図の左右方向に延在するCCD構造の水平転送レジスタ15が1ライン分形成されている。そして、水平転送レジスタ15の後段には電荷信号を電気信号(通常は電圧信号)に変換する電荷検出部(あるいは出力部)としての出力アンプ部17が接続されている。
【0041】
出力アンプ部17は、水平転送レジスタ15から順に注入される信号電荷を図示しないフローティングディフュージョンに蓄積し、この蓄積した信号電荷を信号電圧に変換して、たとえば図示しないソースフォロア構成のトランジスタ回路で構成された出力回路を介してCCD出力信号Sout として出力端子tout から素子外部に出力する。
【0042】
列(垂直)方向に延在した垂直転送レジスタ13の上(受光面側)には、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となるように、4種類の垂直転送電極12(それぞれに参照子_1,_2,_3,_4を付して示す)が、垂直方向に所定の順序で、センサ部11の受光面に開口部(後述する図2を参照)を形成するように配置されている。
【0043】
本実施形態の4種類の垂直転送電極12は、概ね、1つのセンサ部11に1つの垂直転送電極12の全体が対応し、その両側の垂直転送電極12の一部も対応するように形成され、かつ駆動制御部50から供給される4種類の垂直転送パルスΦV_1,ΦV_2,ΦV_3,ΦV_4で信号電荷を垂直方向に転送駆動するように構成されている。
【0044】
すなわち、4種類の垂直転送電極12のうちの2種類はほぼ1つのセンサ部11のみに対応し、この1つのセンサ部11のみに対応する垂直転送電極12の両隣に配される2種類の垂直転送電極12は、両側のセンサ部11に対応するように配置されている。また、2つのセンサ部11を1組にして(水平転送レジスタ15側の最終段も含めて)、4つの垂直転送電極12にそれぞれ垂直転送パルスΦV_1,ΦV_2,ΦV_3,ΦV_4が駆動制御部50から印加されるようになっている。
【0045】
図示した例では、水平転送レジスタ15側において、垂直方向に4つの垂直転送レジスタ13の一組に対応して、組ごとに垂直転送電極12が設けられ、その中で、垂直方向の最上部に位置するセンサ部11_1は、3値レベルの垂直転送パルスΦV_1が印加される読出電極兼用の第1垂直転送電極12_1に対応している。さらに1段前(より水平転送レジスタ15側)の第2垂直転送電極12_2には2値レベルの垂直転送パルスΦV_2が印加される。さらに垂直方向の2段目に位置するセンサ部11_3は、さらに1段前(より水平転送レジスタ15側)の3値レベルの垂直転送パルスΦV_3が印加される読出電極兼用の第3垂直転送電極12_3に対応し、最も水平転送レジスタ15側の第4垂直転送電極12_4には2値レベルの垂直転送パルスΦV_4が印加される。
【0046】
以下2値レベルの垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4が印加される垂直転送電極12_2,12_4を読出電極兼用の垂直転送電極12_1,12_3と区別するため専用転送電極(あるいは非読出電極)12Aともいい、読出パルスΦROGをも含む3値レベルの垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が印加される垂直転送電極12_1,12_3を読出転送電極12Bともいう。
【0047】
また、本実施形態の特徴部分として、4種類の垂直転送電極12のうちの第1垂直転送電極12_1と第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の中心位置が、センサ部11の垂直転送方向の中心位置と略同一なり、その両隣の第2垂直転送電極12_2と第4垂直転送電極12_4の垂直転送方向の中心が、垂直方向に隣接するセンサ部11間(画素間11a)の中心位置と略同一なり、両側のセンサ部11に対応するように配置されている。
【0048】
垂直転送レジスタ13は、最終段の1組分の垂直転送電極12(ΦV_1〜ΦV_4が印加される転送電極)12_1〜12_4を介してさらに水平転送レジスタ15に引き継がれる。
【0049】
水平転送レジスタ15は、各垂直転送レジスタ13に対応して2つの水平転送電極16(それぞれに参照子_1,_2を付して示す)が対応するように形成され、駆動制御部50から供給される2相の水平駆動パルスΦH_1,ΦH_2で信号電荷を水平方向に転送駆動するように構成されている。
【0050】
このような構成の撮像装置1の動作概要を纏めると以下の通りである。すなわち、CCD固体撮像素子10のセンサ部11の各々に蓄積された信号電荷が、駆動制御部50から発せられた読出パルスΦROGが読出ゲート部ROGのゲート電極に印加されそのゲート電極下のポテンシャルが深くなることにより、当該読出ゲート部ROGを通して垂直転送レジスタ13に読み出される。
【0051】
撮像部10aの垂直転送レジスタ13は4種類の垂直転送電極12に対応する4種類の垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4によって転送駆動される。これにより、各センサ部11から読み出された信号電荷は、1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送され水平転送レジスタ15に送られる。
【0052】
水平転送レジスタ15は、駆動制御部50から発せられた2相の水平転送パルスΦH_1,ΦH_2に基づいて、複数本の垂直転送レジスタ13の各々から垂直転送された1ラインに相当する信号電荷を順次出力アンプ部17側に水平転送する。
【0053】
出力アンプ部17は、水平転送レジスタ15から順に注入される信号電荷を信号電圧に変換してCCD出力信号Sout として出力端子tout から出力する。このCCD出力信号Sout は、図示しない信号処理系に引き継がれ、所定の信号処理が施された後に、表示デバイスにて表示されたり記憶媒体に記録されたりする。
【0054】
たとえば、信号処理系の初段には、CCD固体撮像素子10からのアナログ撮像信号(CCD出力信号Sout )を増幅する増幅アンプや、増幅された撮像信号をサンプリングすることによってノイズを低減させるCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)回路などを有するプリアンプ部が配される。さらにその後段には、プリアンプ部が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog/Digital)変換部、A/D変換部から入力されるデジタル信号に所定の画像処理を施すDSP(Digital Signal Processor)で構成された画像処理部が配される。
【0055】
<垂直転送電極の配線構造>
図2は、図1に示したCCD固体撮像素子10の4種類の垂直転送電極12の配置構造の一例を示す図である。図3〜図5は、読出電極の画素間11aにおける水平方向の電気的な接続手法を説明する図である。
【0056】
また、図6は、比較例としての、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子30の4種類の垂直転送電極32の配置構造の一例を示す図である。図7は、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子30の垂直転送電極32の配置構造の変形例を示す図である。
【0057】
図2に示すように、本実施形態のCCD固体撮像素子10では、2次元マトリクスに配されたセンサ部11の各垂直列のセンサ部11の間にそれぞれ複数の垂直転送レジスタ(V−CCD)13が配列され、各センサ部11と垂直転送レジスタ13の転送チャネル領域13aとの間には読出ゲート部ROGが介在している。また各画素(ユニットセル)の境界部分にはチャネルストップ部CSが設けられている。
【0058】
垂直転送レジスタ13の受光面(紙面の前面)側には、薄膜化した多結晶シリコン膜(Poly)などでなる4種類の垂直転送電極12が、各列の同垂直位置の垂直転送レジスタ13に共通となり、またセンサ部11の受光面にセンサ開口部118を形成し、撮像部10a(図1参照)のほぼ全面を覆うように配置されている。
【0059】
特に本実施形態のCCD固体撮像素子10では、2値レベルの垂直転送パルスΦV_2,ΦV_4が供給される専用の垂直転送電極12_2,12_4(専用転送電極12A)は、センサ部11の垂直転送方向間(画素間11a)を介して水平方向に延在するように形成されている。これら第2垂直転送電極12_2と第4垂直転送電極12_4とは、パターン形状が殆ど同じ構造である。
【0060】
概略的には、専用転送電極12Aは、垂直方向に隣り合うセンサ部11間(画素間11a)に水平方向に延長して設けられ、各垂直転送レジスタ13内に配置された対応する専用転送電極12A同士が一体的に連結されるように、両側辺がともに櫛歯状に形成されている。
【0061】
これに対して、3値レベルの垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が供給され、読出電極14(それぞれに対応する参照子_1,_3を付して示す)としても機能するようになっている垂直転送電極12_1,12_3(読出転送電極12B)は、その垂直転送方向の中心位置が、センサ部11の垂直転送方向の中心位置と略一致するように形成されている。これら第1垂直転送電極12_1と第3垂直転送電極12_3とは、パーン形状が殆ど同じ構造である。
【0062】
垂直転送レジスタ13上では、両側辺がともに櫛歯状に形成されている専用転送電極12Aは、読出転送電極12Bに対向するように櫛歯をなす延長部が形成されている。概略的には、読出転送電極12Bは、垂直転送レジスタ13上では、専用転送電極12Aに挟まれて、専用転送電極12Aと同一の層にて、表面上は、他の何れの垂直転送電極12にも物理的に連結されることなく分離された状態で形成された、いわゆる浮島状の電極として形成されている。なお、図では、垂直転送レジスタ13上において専用転送電極12Aと読出転送電極12Bとが接触した状態で示しているが、実際には、電気的に接触せず近接してパターン形成される。
【0063】
ここで、浮島状の電極として形成されている読出転送電極12Bを、水平方向の同列の他の読出転送電極12Bと如何様にして電気的に接続するかに関しては、様々な手法を採ることができる。たとえば、読出転送電極12B、すなわち第1垂直転送電極12_1と第3垂直転送電極12_3の水平方向への電気的な接続手法としては、垂直転送電極12_2,12_4の上部から2層で配線する2層配線構造を採ることができる。あるいは、垂直転送電極12_2,12_4の上部から2層配線構造とならないように別配線したものを、読出電極14を兼ねる垂直転送電極12_1,12_3と接続する構造を採ることもできる。
【0064】
特に、画素間11aで、垂直転送電極12_1,12_2もしくは垂直転送電極12_3,12_4が2層配線とならないような後者の態様の方が好ましい。電極間のオーバーラップ容量を介した垂直転送電極12_1,12_2もしくは垂直転送電極12_3,12_4間でのパルス緩衝を防止するためである。
【0065】
なお、後者の場合、1つの画素間11aに第1および第3の垂直転送電極12_1,12_3の何れか一方のみを配するように、たとえば図3に示す第1例の配線態様のように、第1と第2の垂直転送電極12_1,12_2の組合せおよび第3と第4の垂直転送電極12_3,12_4の組合せで2本配置した単層の構造とすることもできる。浮島状の読出転送電極12Bは、この読出転送電極12Bと同じ層(同一材料)で幅t2のシャント配線14Aをなす部分を介して一体的に接続される。
【0066】
あるいは、1つの画素間11aに第1および第3の垂直転送電極12_1,12_3の双方を配するように、図4に示す第2例の配線態様のように、第2垂直転送電極12_2を挟んだ第1と第3の垂直転送電極12_1,12_3の組合せおよび第4垂直転送電極12_4を挟んだ第3と第1の垂直転送電極12_3,12_1の組合せで3本配置した単層の構造とすることもできる。浮島状の読出転送電極12Bは、この読出転送電極12Bと同じ層(同一材料)で幅t2_1のシャント配線14A_1をなす部分と幅t2_3のシャント配線14A_3をなす部分とを介して一体的に接続される。あらゆる面におけるバランス的には、図4に示す第2例の配線態様の方が好ましいと考えられる。
【0067】
なお、図3や図4に示す何れの配線態様でも、専用転送電極12Aの延長部の水平方向の幅W1は、対向する読出転送電極12Bの水平方向の幅W2と同じ幅になるように形成されている。つまり、同一の垂直転送レジスタ13上に存在する専用転送電極12Aと読出転送電極12Bの水平方向の幅W1,W2は、同じ幅になるように形成されている。このように、同一の垂直転送レジスタ13上に配置された転送電極の水平方向の幅を揃えることにより、垂直転送レジスタ13内の信号電荷の転送を効率よく行なうことができる。
【0068】
また、同一の垂直転送レジスタ13上における読出転送電極12Bの形状は、他の読出転送電極12Bの形状と同じ形状となるように形成されている。このように、垂直転送レジスタ13上の転送電極の形状を揃えることで、垂直転送レジスタ13内の信号電荷の転送を効率よく行なうことができる。
【0069】
なお、専用転送電極12Aの垂直転送方向の幅L1と、読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bの垂直転送方向、すなわち電荷転送方向の幅L2との関係は、好ましくは、同じ幅となるように形成するのがよい。すなわち、垂直転送レジスタ13上に設けられた専用転送電極12Aに電荷転送方向へ延びる延長部を設け、延長部の垂直方向の幅t3,t4と、垂直方向に隣り合うセンサ部11間の垂直方向の幅t0とを足した長さL1が、読出転送電極12Bの垂直方向の幅L2と同じになるように形成するのがよい。なお、専用転送電極12Aの各延長部の長さt3,t4は、対称性を持たせるべく、読出転送電極12Bの垂直転送方向の中心から上下に同じ長さが延長されるように形成するのがよい。
【0070】
垂直転送レジスタ13上で専用転送電極12Aと読出転送電極12Bの垂直方向の幅L1,L2を同じ幅にすれば、垂直転送レジスタ13内で信号電荷を転送する際の転送バランスをよくすることができる。また、読出転送電極12Bの中心位置が、センサ部11の中心位置と一致するように形成することができるので、センサ部11からの信号電荷の読出効率を向上することができる。
【0071】
また、図示を割愛するが、専用転送電極12Aが垂直転送レジスタ13上で垂直方向に延長部を持たず、撮像領域において、専用転送電極12Aの垂直方向の幅L1が画素間11aの幅t1とも同じで、総て同じ幅となるように形成することもできる。この場合、垂直転送レジスタ13上の読出転送電極12Bの垂直方向、すなわち電荷転送方向の幅L2を、垂直方向に隣り合う専用転送電極12Aの間隔とほぼ同じ長さになるように形成することができる。つまり、読出転送電極12Bの垂直方向の幅の長さL2を、センサ部11の垂直方向の長さと同じになるように形成することができる。
【0072】
この場合、読出転送電極12Bの垂直方向、すなわち電荷転送方向へ幅L2の長さを大きくでき、読出転送電極12Bに読出パルスΦROGを印加する際の間口を広くすることができる。これによって、低い読出電圧でセンサ部11から信号電荷を読み出すことができるようになる。また、専用転送電極12Aは垂直方向の延長部を有さないので、製造を容易にできる。
【0073】
ただし、図3や図4に示すような配線態様では、画素間11a間にシャント配線14Aを専用転送電極12Aと同層でパターン形成するので、配線抵抗が問題となる。たとえば、図3に示す第1例の配線態様では、専用転送電極12Aの幅t1とシャント配線14Aの幅t2をともに画素間11aの幅t0よりも狭くする必要があるし、図4に示す第2例の配線態様では、専用転送電極12Aの幅t1とシャント配線14A_1の幅t2_1やシャント配線14A_3の幅t2_3をともに画素間11aの幅t0よりも狭くする必要があり、配線抵抗の低下に伴う問題が発生する。
【0074】
また、図3や図4に示すような配線態様では、事実上の読出転送電極12Bをなすシャント配線14Aが垂直方向に隣り合うセンサ部11間(画素間11a)に延長して配置されるので、この部分にも読出パルスΦROGが印加される。画素間11aには画素分離のためにチャネルストップ層が形成されているが、この読出パルスΦROGの印加で電極直下のチャネルストップ層のポテンシャルバリアが崩れ(いわゆる変調し)、センサ部11に蓄積されていた信号電荷が垂直方向にも移動し、垂直方向に隣接するセンサ部11間において、垂直方向で混色が生じるという問題が発生する。
【0075】
すなわち、垂直転送レジスタ13に読みださなければならない信号電荷が、垂直方向に隣り合う他のセンサ部11へ一部漏れてしまう現象が生じる。特に、画素サイズを微細化するために、垂直方向に隣り合う画素間11aの間隔を狭くしたり、また、チャンネルストップ領域の幅を狭くしたりする場合には、このような混色の問題がさらに発生し易くなる。
【0076】
この問題を解消する一手法として、たとえば図5に示す第3例の配線態様のように、専用転送電極12Aと読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bとを単層でパターン形成した後に、別配線のシャント配線14Aを画素間11aの専用転送電極12A上に形成する手法を採ることが考えられる(たとえば、本願出願人に係る特願2004−330807号の明細書を参照)。
【0077】
具体的には、垂直方向に隣り合う画素間11aに設けられた専用転送電極12A上には、たとえば特開2002−158925号や特開2003−7997号に記載のように、その水平方向に亘って、シート抵抗の小さいアルミニウム(Al)やタングステン(W)などを用いたシャント配線14Aを形成することができる。シャント配線14Aは、その一部が垂直方向に延長し、各読出転送電極12B上に延びるように延長部14Bが形成されている。延長部14Bにはコンタクト部14Cが形成されている。図示しないが、このコンタクト部14Cにおいて、シャント配線14Aが、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して、読出転送電極12Bに接続される。
【0078】
なお、シャント配線14Aの垂直方向の幅t2は、専用転送電極12Aの垂直方向の幅t1よりも狭くなるように形成する。また、読出転送電極12B上に延びるシャント配線14Aの延長部14Bは、その水平方向の幅W3が読出転送電極12Bの水平方向の幅W2よりも狭くなるように形成する。
【0079】
なお、水平方向に延在したシャント配線14Aから延長部14Bを突き出す際は、延長部14Bの水平方向の幅W3と同じで突き出してもよいが、図中に点線で示すように、境界部分の幅W4よりも水平方向の幅W3の方を広く取り、読出転送電極12Bの幅W2により近くなる(ただしW2>W3)ようにしてもよい。この場合、読出転送電極12B上で、延長部14Bの面積を大きくすることができるので、コンタクトのマージンを大きくすることができる。すなわち、読出転送電極12B上におけるコンタクト部14Cを作成するための加工作業が容易にできる。
【0080】
図5に示す第3例の配線態様では、シャント配線14Aが読出転送電極12B上に配されるので、垂直方向に隣り合うセンサ部11の間(画素間11a)間には読出転送電極12Bが直接には配置されないので、垂直方向に隣り合うセンサ部11間に対応するP+チャネルストップ層への読出パルスΦROGの印加が避けられ、P+チャネルストップ層のポテンシャルバリアを変調することがない。
【0081】
すなわち、読出パルスΦROGを印加した場合に、垂直方向に隣り合うセンサ部11間における混色を防止することができる。また、シャント配線14Aを用いることにより、確実に読出パルスΦROGを読出転送電極12Bに印加することができる。さらに、シャント配線14Aを専用転送電極12A上に設けたので、シャント配線14Aに印加された読出パルスΦROGが、その直下のP+チャネルストップ層に影響を及ぼすことがなく、P+シャネルストップ層のポテンシャルバリアを変調させることがない。
【0082】
また、画素間11aでのシャント配線14Aの幅t2を専用転送電極12Aの幅t1より狭くし、垂直転送レジスタ13上のシャント配線14Aの幅W3を読出転送電極12Bの幅W2より狭くすることにより、受光時に入射光がシャント配線14Aに蹴られることがなく、センサ部11への集光効率を向上することができる。
【0083】
さらに、チャネルストプ層の形成の際に、イオン注入工程を減らすことができ、また、不純物濃度を抑制することができるので、イオン注入後の活性化のアニール工程でチャネルストップ層の不純物が横方向に拡散することが抑えられる。
【0084】
したがって、センサ部11の領域を大きくすることができ、高感度化が図れる。特に、単層構造で転送電極を形成した場合に、垂直方向に隣り合う画素間の混色を防止することができる。
【0085】
一方、図6に示すように、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子30では、画素となる複数のセンサ部31がマトリックス状に配列され、各センサ部31列の一側に垂直転送電極32を多数配列したCCD構造の垂直転送レジスタ33が設けられている。
【0086】
垂直転送電極32は、垂直転送専用の第2および第4の垂直転送電極32_2,32_4(専用転送電極32A)がたとえば1層目(紙面の奥側)の多結晶シリコン膜で形成され、読出電極34をも兼ねる第1および第3の垂直転送電極32_1,32_3(読出転送電極32B)がたとえば2層目(紙面の手前側)の多結晶シリコン膜で形成される。
【0087】
なお、ここでは、画素間31aで、2層配線となるように、各垂直転送電極32を形成しているが、画素間31aに、第1と第2の垂直転送電極32_1,32_2の組合せおよび第3と第4の垂直転送電極32_3,32_4の組合せで2本配置した単層の構造でもかまわない。単層構造で配線すると、1本当たりの配線幅が狭くなり線抵抗が大きくなるので、一般的には、1本当たりの配線幅を画素間幅と略同幅にできる2層配線が採用される。
【0088】
垂直転送レジスタ33の各垂直転送電極32は、各センサ部31に対して2つの転送電極が対応してセンサ開口部318をセンサ部31部分に形成するように配列される。たとえば1つおきの水平ラインのセンサ部31Aではこれに接するように第1および第4の垂直転送電極32_1,32_4が対応し、他の1つおききの水平ラインのセンサ部31Bではこれに接するように第2および第3の垂直転送電極32_2,32_3が対応するようになされる。この例の垂直転送レジスタ33では、垂直転送電極32_1〜32_4に4相の駆動パルスΦV1,ΦV2,ΦV3,ΦV4を印加する4相駆動方式が採用される。
【0089】
垂直転送レジスタ33の転送チャネル領域33aと各センサ部31間には読出ゲート部ROGが形成される。読出ゲート部ROGのゲート電極(読出電極34という)は、第1垂直転送電極32_1と第3垂直転送電極32_3の延長部で形成されるようになっている。つまり、この従来構成のCCD固体撮像素子30では、第1垂直転送電極32_1と第3垂直転送電極32_3は、垂直転送レジスタ33用の転送電極として機能するだけでなく、読出電極34としても機能するようになっているのである。
【0090】
また、センサ部31列の他側と、垂直方向に隣り合うセンサ部31間とには、センサ部31を分離するためのチャネルストップ部CSが形成される。
【0091】
ここで、従来のCCD固体撮像素子30では、3値レベルの垂直転送パルスΦV_1,ΦV_3が供給され、読出電極34(それぞれに対応する参照子_1,_3を付して示す)としても機能するようになっている垂直転送電極32_1,32_3(読出転送電極32B)は、その垂直転送方向の中心位置が、センサ部31の垂直転送方向の中心位置よりも下流側となるように形成されている。
【0092】
なお、図7に示すように、特許文献1に示されている電極配置の変形例として、読出電極34としても機能するようになっている垂直転送電極32_1,32_3(読出転送電極32B)を、その垂直転送方向の中心位置が、センサ部31の垂直転送方向の中心位置よりも上流側となるように形成する場合もあり得る。
【0093】
<逆変調パルスの印加タイミング>
図8は、図1や図2に示したCCD固体撮像素子10のセンサ部11から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(両側逆変調駆動)を説明する図である。また、図9は、比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子30のセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。また、図10は、比較例としての、図7に示したCCD固体撮像素子30のセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。また、図11は、比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子30のセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法の変形例(両側逆変調駆動)を説明する図である。
【0094】
ここで、各図の(A)は、駆動タイミングを示したタイミングチャートである。特に、読出電極を兼ねる読出転送電極に読出パルスを印加する際に、専用の垂直転送電極に逆変調パルスを印加する点に着目して示している。また、各図の(B)は、信号電画の読出しと垂直転送の様子を示す図である。この各図(B)では、それぞれ(A)に示す垂直転送パルスΦV_1〜ΦV_4と対応するような向きで示している。
【0095】
ここでは、一例として、H(ハイ)レベルおよびL(ロー)レベルの2値レベルに加えて、H(ハイ)レベルよりもさらに高電圧の読出パルスΦROG_3に対応するSHレベルを含む3値レベルの垂直転送パルスΦV_3が供給される第3垂直転送電極12_3において、センサ部11から垂直転送レジスタ13への読み出し動作を行なう際の駆動タイミングを示している。
【0096】
本実施形態の駆動タイミングにおいては、読出電極14(本実施形態では読出電極14の機能を持つ読出転送電極12B)に対して垂直転送方向の両隣に配された専用転送電極12Aに、同位相でもしくは少しずらして逆変調パルスを印加する点に特徴を有する。以下具体的に説明する。
【0097】
図8(A)に示すように、センサ部11から垂直転送レジスタ13へ信号電荷を読み出す直前の時点t10では、第1垂直転送パルスΦV_1がLレベル、第2垂直転送パルスΦV_2がHレベル、第3垂直転送パルスΦV_3がHレベル、第4垂直転送パルスΦV_4が低レベルにあり、センサ部11に信号電荷が蓄積されている。つまり、読出電極14を兼ねる第3垂直転送電極12_3に信号電荷読出し用の高電圧を印加する前は、第3垂直転送電極12_3に印加する電圧のみローレベルの状態にし、他の全ての垂直転送電極12_2〜12_4に印加する電圧はハイレベルの状態とする。
【0098】
次に、時点t11にて、読出電極14_3を兼ねる第3垂直転送電極12_3に、Hレベルの第3垂直転送パルスΦV_3による電荷転送時よりもさらに高電圧(SHレベル)の読出パルスΦROGを印加する。そうすると、垂直転送レジスタ13の第3垂直転送電極12_3下のポテンシャルが深くなり、対応するセンサ部11_3(図8(B)の画素2)の信号電荷eが第3垂直転送電極12_3下に読み出される。
【0099】
この時点t11では、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されたことにより、第3垂直転送電極12_3下のチャネルストップ部CSおよびセンサ部11の電位が変動し、ポテンシャルが深くなって電荷残りが生じている。
【0100】
しかし、次の瞬間の時点t12(読出パルスΦROGが印加されている期間内の任意の時点)で、第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の両隣に配されている第2垂直転送電極12_2および第4垂直転送電極12_4に読出パルスΦROGとは逆の電圧変化特性を持つ逆極性の逆変調パルスを略同時にもしくは少しずらして印加する。ここでは、具体的には、第2垂直転送パルスΦV_2および第4垂直転送パルスΦV_4がともにHレベルからLレベルに変化する。
【0101】
「少しずらして印加」とは、逆変調パルス印加時には、第2垂直転送電極12_2と第4垂直転送電極12_4への印加電圧の変化を同時に行なう必要が無いことを意味している。読出パルスΦROGが第3垂直転送電極12_3に印加されている間に第2および第4の垂直転送電極12_2,12_4へ逆変調パルスを印加すればよく、何れを先に変化させるかも自由である。
【0102】
この第2垂直転送電極12_2や第4垂直転送電極12_4における読出パルスΦROGとは逆特性の電圧変化により、第2垂直転送電極12_2下や第4垂直転送電極12_4下のチャネルストップ部CSおよびセンサ部11の電位が逆方向に変動し、チャネルストップ部CSおよびセンサ部11のポテンシャルが浅くなる方向に変化する。すなわち、この第2および第4の垂直転送電極12_2,12_4の電位変化で第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されたことによるポテンシャル変動が相殺され、もしくは、より浅いポテンシャルにシフトする。この結果、センサ部11の信号電荷eの垂直転送レジスタ13への読み出しが完全に行なわれるようになる。
【0103】
読出パルスΦROGを第3垂直転送電極12_3(読出転送電極12B)に印加している間に、その両隣の第2および第4の垂直転送電極12_2,12_4(専用転送電極12A)の電圧をHレベルからLレベルの状態に変化させてセンサ部11のポテンシャルを浅く変調することで、センサ部11から垂直転送レジスタ13への電界を強くして読み出し易くすることが可能となるのである。これによって、読出電圧(読出パルスΦROGの大きさ)の低減化が図れる。
【0104】
次に、垂直転送レジスタ13の取扱い電荷量が少なくならないよう、また電荷転送方向とも整合するように、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されている間に、読出電極14_3を兼ねる第3垂直転送電極12_3に対して垂直転送方向下流側に配置された第4垂直転送電極12_4の電圧をHレベルの状態に再度変化させ、チャージパケットを大容量化する(t13)。
【0105】
なお、「読出パルスΦROGが印加されている間」とは、第3垂直転送電極12_3の電圧が読出パルスΦROGレベルからHレベルに戻る時点t14までの間であり、第3垂直転送電極12_3の電圧が読出パルスΦROGレベルからHレベルに戻るのと略同時でもよい。
【0106】
ただし、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加されている間は、センサ部11が取得する信号電荷がどんどんと垂直転送レジスタ13に読み出されるので、その信号電荷がチャージパケットから溢れ出さないように、読出パルスΦROGの印加が停止され第3垂直転送電極12_3がHレベルに戻るよりもある程度早く第4垂直転送電極12_4をHレベルに戻すのがよい。
【0107】
第3垂直転送電極12_3への読出パルスΦROGの印加を停止した後(t14)、第1垂直転送電極12_1をハイレベルに変化させることで、チャージパケットを1電極分だけ下流側に移動させる(t15)。これにより、信号電荷eは1電極分だけ転送される。
【0108】
ここで本実施形態において、読出転送電極12Bの垂直転送方向両隣の専用転送電極12Aに逆変調パルスを供給するようにしたことで得られる効果についてさらに詳しく説明する。
【0109】
本実施形態で用いるCCD固体撮像素子10は、図2に示すように、読出電極14の垂直転送方向の中心位置がセンサ部11の垂直転送方向の中心位置と略一致し読出電極14が画素の中心部に配置されるため、センサ部11から垂直転送レジスタ13への信号電荷の読出し方向が真横の向きとなるし、逆変調パルスを加えた際のA−A切断線およびB−B切断線上の電圧ポテンシャルを読出電極14の電荷転送方向の中心に対して均等にすることができる。
【0110】
センサ部11から垂直転送レジスタ13への信号電荷の読出し方向が真横の向きの場合、読出パルスΦROGが印加される読出電極14_3を兼ねる第3垂直転送電極12_3(読出転送電極12B)の転送方向上流側の垂直転送専用の第2垂直転送電極12_2(専用転送電極12A)に逆変調パルスを印加してHレベルからLレベルにするだけでは、逆変調パルスを印加することにより得られる読出電圧低減効果が低い。
【0111】
何故なら、逆変調パルスを転送方向上流側の第2垂直転送電極12_2(もしくは下流側の第4垂直転送電極12_4)のみに印加して電極電圧をHレベルからLレベルに変化させるだけでは、センサ部11内の転送方向上流側から下流側(もしくは下流側から上流側)に向かう電界だけしか付けらず、電荷読出方向と同様の真横の向きの電界とならず、センサ内のポテンシャル変動が十分でないためである。
【0112】
これに対して、上流側に配置されている第2垂直転送電極12_2だけでなく下流側に配置されている第4垂直転送電極12_4にも、つまり読出対象のセンサ部11の真横に位置する読出電極14_3の垂直転送方向両隣の垂直転送電極12、つまり読出転送電極12Bに対して転送方向両隣の専用転送電極12Aに逆変調パルスを印加してHレベルからLレベルにする方が読出電圧低減効果が高くなる。
【0113】
何故なら、第2垂直転送電極12_2や第4垂直転送電極12_4は、垂直転送レジスタ13上だけでなく、画素間11a部にも配置され、その画素間11aにも電圧が印加されるようになっているため、読出転送電極12Bに対して両隣の垂直転送電極12_2,12_4に逆変調パルスを印加して電極電圧をHレベルからLレベルに変化させることで、電荷読出方向と同様の真横の向きの電界を付けることができる。
【0114】
逆変調パルスを加えた際のA−A切断線およびB−B切断線上の電圧ポテンシャルを読出電極14の電荷転送方向の中心に対して均等にすることができるからである。すなわち、センサ部11内の転送方向上流側と転送方向下流側の双方から斜め方向で垂直転送レジスタ13に向かう電界を付けることができ、その合成電界が、電荷読出方向と同様の真横の向きの電界となり、センサ内のポテンシャル変動を大きくできるからである。
【0115】
この点は、図6もしくは図7に示したように、読出電極の垂直転送方向の中心位置が、センサ部31の垂直転送方向の下流側(図6)もしくは上流側(図7)に位置するようになっているCCD固体撮像素子30では、読出電極34が画素の下流側もしくは上流側に配置されるため、センサ部31から垂直転送レジスタ33への信号電荷の読出し方向が左下向きの方向もしくは左上向きの方向となるので、図9や図10に示すように、時点t22にて、読出電極34の両隣の垂直転送専用の垂直転送電極12内の何れか一方のみを逆変調すれば十分であるのと大きく異なる。
【0116】
すなわち、図6もしくは図7に示す電極配置関係の場合には、読出パルスΦROGの印加中に逆変調パルスを印加して転送電極電圧をHレベルからLレベルに変化させるべき垂直転送電極32を、読み出される画素に対して上流側に配置されたもの(図6)もしくは下流側に配置されたもの(図7)とすればよい。画素間31a部にも電圧が印加されているため、印加電圧をHレベルからLレベルに変化させることで、センサ領域内上流側から下流側に向かう電界(図6の場合)、もしくはセンサ領域内下流側から上流側に向かう電荷読出方向と同様の向きの電界(図7の場合)を付けることができ、センサ内のポテンシャル変動が十分である。
【0117】
一方、図6もしくは図7に示す電極配置関係の場合に、読出パルスΦROGの印加中に逆変調パルスを印加して転送電極電圧をHレベルからLレベルに変化させるべき垂直転送電極32を、本実施形態と同様に、読出電極34に対して垂直転送方向の両隣の垂直転送電極32とすることも考えられる。
【0118】
たとえば、図11は、その場合におけるセンサ部31から信号電荷を読み出して垂直転送する手法を説明する図である。ここで、たとえば図6に示す電極配置関係の場合に、読出電極34_3の両隣の垂直転送電極32_2,32_4に逆変調パルスを印加すると、読出電極34_3のセンサ部31と対応する転送方向の中心である読出し間口の中心から離れた方の非読出電極垂直転送電極32_2だけでなく読出し間口の中心に近い方の垂直転送電極32_4にも逆変調パルスを供給することになる。
【0119】
その結果として、読出し間口の中心に近いところで逆変調パルスが印加されることにより読出し間口のポテンシャルが浅くなり、読出し間口を狭めてしまう影響が発生し、読出効率が低下してしまう弊害が起こり得る。つまり、逆変調パルスを読出し間口中心に近い垂直転送電極に供給することは、読出電極34に読出パルスΦROGを印加してセンサ部31から垂直転送レジスタ33に信号電荷を読み出そうとする動作の弊害になり得るのである。
【0120】
また、各垂直転送電極32を水平方向に延在するように配線するべく、画素間31aでは、一般的に、2層配線構造が採用されるので、電極間にオーバーラップ容量が形成され、たとえば読出電極34_3に対する両隣の垂直転送電極32_2,32_4の内の一方(図6では下流側のもの、図7では上流側のもの)では、オーバーラップ容量を介して、読出パルスΦROGと逆変調パルスとが緩衝し合うので、前述の読出し間口のポテンシャルが浅くなり読出し間口を狭めてしまう影響がより大きくなり得る。
【0121】
一方、図1や図2に示すように、読出電極14の中心がセンサ部11の中心と一致する電極配置構造のCCD固体撮像素子10では、読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bの中心に対して等距離、つまり読出し間口の中心から等距離の2つの専用転送電極12Aに逆変調パルスを供給するので、一方の専用転送電極12Aによって読出し間口のポテンシャルが浅くなり読出効率が低下してしまうという弊害は殆ど考慮しなくてもよい。むしろ、前述のように、読出電極14を兼ねる読出転送電極12Bの中心に対して等距離にある2つの専用転送電極12Aに逆変調パルスを供給するので、その効果を均等に発揮し得ることの効果の方が遙かに大きい。
【0122】
<N≧3への適用例>
上記実施形態では、2フィールド読出方式として、垂直転送電極12の相数が4相の場合で示したが、Nフィールド読出方式(N≧3)の場合でも適用可能である。たとえば最近では、高解像度化(多画素化)あるいは小型化のため、セルサイズが縮小化されており、フレーム読出方式においても、従来のような2つのフィールドに分けて読み出す2フィールド読出方式以外に、3フィールド読出方式や4フィールド読出方式によるフレーム読出方式が実用化されている。
【0123】
これらNフィールド読出し方式(N≧3)に対応する場合は、第4垂直転送電極12_4の後段の読出電極を兼ねる第1垂直転送電極12_1を第5の垂直転送パルスΦV5が印加される専用転送電極12Aとして、それより後段側に配置されている電極を順次VΦ6,VΦ7,…が印加される専用転送電極12Aとすればよい。
【0124】
そして、上記実施形態で説明したΦV1〜ΦV4までの電圧が印加される以外の残り(第4垂直転送電極12_4よりも後段側)の専用転送電極12Aに印加する電圧を全てHレベルの状態にしておけばよい。この状態で、読出転送電極12B以外でその読み出すセンサ部11に接する2つ以上の専用転送電極12Aに逆変調パルスを同位相もしくはずらして印加する。
【0125】
たとえば、図12は、垂直転送電極12の相数を6相にした6相垂直転送駆動として、3フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図であり、図12(A)が、上記実施形態で説明した仕組みを適用する場合を示し、図12(B)が、従来の駆動タイミングを示している。
【0126】
図12(A)に示すように、上述した実施形態と同様に、時点t61で、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加された後の時点t62(読出パルスΦROGが印加されている期間内の任意の時点)で、第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の両隣に配されている第2垂直転送電極12_2および第4垂直転送電極12_4に読出パルスΦROGとは逆の電圧変化特性を持つ逆極性の逆変調パルスを略同時にもしくは少しずらして印加する。
【0127】
また、図13は、垂直転送電極12の相数を8相にした8相垂直転送駆動として、4フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図であり、図13(A)が、上記実施形態で説明した仕組みを適用する場合を示し、図13(B)が、従来の駆動タイミングを示している。
【0128】
図13(A)に示すように、上述した実施形態と同様に、時点t81で、第3垂直転送電極12_3に読出パルスΦROGが印加された後の時点t62(読出パルスΦROGが印加されている期間内の任意の時点)で、第3垂直転送電極12_3の垂直転送方向の両隣に配されている第2垂直転送電極12_2および第4垂直転送電極12_4に読出パルスΦROGとは逆の電圧変化特性を持つ逆極性の逆変調パルスを略同時にもしくは少しずらして印加する。
【0129】
このように、6相垂直転送駆動および8相垂直転送駆動の何れにおいても、読出転送電極12Bに対して読出パルスΦROGを印加中に、読出転送電極12Bの上下に配置された専用転送電極12Aに印加している垂直転送パルスΦVをHレベルからLレベルに変化させることで、従来技術の片方の転送電極の電圧を変化させる方法に対して、センサ内のポテンシャルを浅くする効果が大きくなるため、完全読出しに必要な読出電圧の低減が可能になり、駆動電圧の低減や飽和信号量の増大を実現することができる。
【0130】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0131】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0132】
たとえば、上記実施形態では、インターライン転送(IT)型CCD固体撮像素子に適用して説明したが、その他、フレームインターライン転送(FIT)型CCD固体撮像素子に適用することができる。
【0133】
また、上記実施形態では、可視光を色分離して検知することでカラー画像を撮像する場合について説明したが、カラー画像に限らずモノクロ画像の撮像であってもよい。また。可視光に限らず、赤外線や紫外線などの任意の波長帯域の電磁波を検知することで、その所定波長帯域の画像を撮像する場合においても、上記実施形態の仕組みを同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示したCCD固体撮像素子の4種類の垂直転送電極の配置構造の一例を示す図である。
【図3】読出電極の画素間における水平方向の電気的な接続手法(第1例)を説明する図である。
【図4】読出電極の画素間における水平方向の電気的な接続手法(第2例)を説明する図である。
【図5】読出電極の画素間における水平方向の電気的な接続手法(第3例)を説明する図である。
【図6】比較例としての、特許文献1に示されているCCD固体撮像素子の4種類の垂直転送電極の配置構造の一例を示す図である。
【図7】特許文献1に示されているCCD固体撮像素子の垂直転送電極の配置構造の変形例を示す図である。
【図8】図1や図2に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(両側逆変調駆動)を説明する図である。
【図9】比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。
【図10】比較例としての、図7に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法(片側逆変調駆動)を説明する図である。
【図11】比較例としての、図6に示したCCD固体撮像素子のセンサ部から信号電荷を読み出して垂直転送する手法の変形例(両側逆変調駆動)を説明する図である。
【図12】6相垂直転送駆動/3フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図である。
【図13】8相垂直転送駆動/4フィールド読出方式を実現する場合の駆動タイミングを示した図である。
【符号の説明】
【0135】
1…撮像装置、10…CCD固体撮像素子、10a…撮像部、11…受光センサ、11a…画素間、12…垂直転送電極、12A…専用転送電極、12B…読出転送電極、13…垂直転送レジスタ、14…読出電極、15…水平転送レジスタ、16…水平転送電極、17…出力アンプ部、118…センサ開口部、50…駆動制御部、52…タイミング信号生成部、54…ドライバ(駆動部)、56…駆動電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される電磁波の強度に応じた信号電荷を取得する複数の電荷生成部が配置され、前記電荷生成部で取得した信号電荷を読み出すための読出電極を兼用する読出転送電極と前記読出電極を兼用しない専用転送電極が上面に形成された電荷転送部を備えた撮像素子を用いて画素信号を取得する撮像方法であって、
前記撮像素子は、前記読出転送電極の電荷転送方向の中心が、前記電荷生成部の前記電荷転送方向の中心と略一致するように各転送電極が形成されているものであり、
前記電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、当該読出しに関わる前記読出転送電極に対して対向した複数の前記専用転送電極に、前記読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号を印加する
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項2】
入力される電磁波の強度に応じた信号電荷を取得する複数の電荷生成部が配置され、前記電荷生成部で取得した信号電荷を読み出すための読出電極を兼用する読出転送電極と前記読出電極を兼用しない専用転送電極が上面に形成された電荷転送部を備えるとともに、前記読出転送電極の電荷転送方向の中心が、前記電荷生成部の前記電荷転送方向の中心と略一致するように各転送電極が形成された撮像素子を駆動制御する駆動装置であって、
前記電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、当該読出しに関わる前記読出転送電極に対して対向した複数の前記専用転送電極に、前記読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号を印加するように制御する駆動制御部
を備えたことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
入力される電磁波の強度に応じた信号電荷を取得する複数の電荷生成部が配置され、前記電荷生成部で取得した信号電荷を所定方向に転送する電荷転送部を具備した撮像素子を備えた撮像装置であって、
前記撮像素子は、前記電荷生成部で取得した信号電荷を読み出すための読出電極を兼用する読出転送電極と前記読出電極を兼用しない専用転送電極が上面に形成された電荷転送部を備えるとともに、前記読出転送電極の電荷転送方向の中心が、前記電荷生成部の前記電荷転送方向の中心と略一致するように各転送電極が形成されており、
前記電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、当該読出しに関わる前記読出転送電極に対して対向した複数の前記専用転送電極に、前記読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号を印加するように制御する駆動制御部
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
入力される電磁波の強度に応じた信号電荷を取得する複数の電荷生成部が配置され、前記電荷生成部で取得した信号電荷を読み出すための読出電極を兼用する読出転送電極と前記読出電極を兼用しない専用転送電極が上面に形成された電荷転送部を備えた撮像素子を用いて画素信号を取得する撮像方法であって、
前記撮像素子は、前記読出転送電極の電荷転送方向の中心が、前記電荷生成部の前記電荷転送方向の中心と略一致するように各転送電極が形成されているものであり、
前記電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、当該読出しに関わる前記読出転送電極に対して対向した複数の前記専用転送電極に、前記読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号を印加する
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項2】
入力される電磁波の強度に応じた信号電荷を取得する複数の電荷生成部が配置され、前記電荷生成部で取得した信号電荷を読み出すための読出電極を兼用する読出転送電極と前記読出電極を兼用しない専用転送電極が上面に形成された電荷転送部を備えるとともに、前記読出転送電極の電荷転送方向の中心が、前記電荷生成部の前記電荷転送方向の中心と略一致するように各転送電極が形成された撮像素子を駆動制御する駆動装置であって、
前記電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、当該読出しに関わる前記読出転送電極に対して対向した複数の前記専用転送電極に、前記読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号を印加するように制御する駆動制御部
を備えたことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
入力される電磁波の強度に応じた信号電荷を取得する複数の電荷生成部が配置され、前記電荷生成部で取得した信号電荷を所定方向に転送する電荷転送部を具備した撮像素子を備えた撮像装置であって、
前記撮像素子は、前記電荷生成部で取得した信号電荷を読み出すための読出電極を兼用する読出転送電極と前記読出電極を兼用しない専用転送電極が上面に形成された電荷転送部を備えるとともに、前記読出転送電極の電荷転送方向の中心が、前記電荷生成部の前記電荷転送方向の中心と略一致するように各転送電極が形成されており、
前記電荷生成部からの信号電荷の読出し時に、当該読出しに関わる前記読出転送電極に対して対向した複数の前記専用転送電極に、前記読出転送電極に供給する読出信号とは逆極性の変調信号を印加するように制御する駆動制御部
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−174059(P2007−174059A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366429(P2005−366429)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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