説明

撮像装置、リレー光学系、及び計測システム

【課題】メージ増倍装置によって形成された微弱な蛍光像を高速かつ高精度でより確実に検出できる撮像装置等を提供すること。
【解決手段】イメージ増倍装置11と信号変換装置12との間に配置されるリレー光学系13がイメージ増倍装置11の出力面11b側すなわち物体側でテレセントリックであるので、出力面11bから射出される光束が中心集中性を示す配光分布であることと相まって、出力面11bにおける蛍光像を、撮像面12a上において歪等の収差を低減した高精度な状態かつ明るい状態で再結像させることができ、イメージ増倍装置11によって形成された微弱な蛍光像を高精度で確実に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然界等において不規則に発生する事象を高速で検知し、その事象を記録できる撮像装置、並びに、この撮像装置に用いられるリレー光学系、及びこの撮像装置を用いる計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像対象となる事象を蛍光像に変換し、その蛍光像を光分配部により2つの蛍光像に分配した一方を用いて、残りの一方の蛍光像を撮像する撮像部のためのシャッター信号等を得ることで、撮像対象の事象を、高いS/Nで撮像可能である光分配型撮像装置が、本願の発明者によって提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−207980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光分配型撮像装置は、不規則に発生する事象、例えば微弱な電磁波の到来、微弱な光の発生等をナノ秒オーダーで撮像可能にする技術であるが、光量、速度、分解能等に関する検出限界の更なる向上が望まれている。
【0005】
本発明者は、上記のような検出限界に大きな影響を及ぼす要因について検討した結果、微弱な蛍光像を高いS/N比でより確実に検出するためには、イメージ増倍管の蛍光面に形成された蛍光像を固体撮像素子に少ないロスで正確に伝送する必要があることに着目し、イメージ増倍管の蛍光像を高精度かつ高効率で固体撮像素子の撮像面に結像できるリレー光学系について検討した。
【0006】
なお、結像用のレンズとして、例えば液晶パネルの像を投射するための様々な投射レンズが存在するが(特開2001−116990号公報、特開2009−186790号公報、特開2009−258395号公報等参照)、いずれのレンズもかなりな高倍率での拡大投射を前提としており、等倍に近い結像を前提とするリレー光学系にそのまま適用することはできない。また、上記のような投射レンズは、一般に可視光全域で一様に収差を抑えるものであり、特有の分光輝度分布を有する蛍光像を固体撮像素子の撮像面に高精度で結像するような事態について配慮されていない。
【0007】
本発明の目的は、微弱な蛍光像を高速かつ高精度でより確実に検出できる撮像装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、上記のような撮像装置に用いられ、イメージ増倍装置の蛍光像を高精度かつ高効率で固体撮像素子等の撮像面に結像できるリレー光学系を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、上記のような撮像装置を用いて、不規則に発生する事象等を高速かつ高精度で確実に計測可能な計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る撮像装置は、微弱な事象を蛍光像に変換するイメージ増倍装置と、イメージ増倍装置から出力された蛍光像を電気的な画像信号に変換する信号変換装置と、イメージ増倍装置の出力面における蛍光像を信号変換装置の撮像面に投射するともに、出力面側でテレセントリックであるリレー光学系とを備える。
【0011】
上記撮像装置によれば、リレー光学系が出力面側すなわち物体側でテレセントリックであるので、出力面から射出される光束が中心集中性を示す配光分布であることと相まって、出力面における蛍光像を、撮像面上において歪等の収差を低減した高精度な状態かつ明るい状態で再結像させることができ、イメージ増倍装置によって形成された微弱な蛍光像を高精度で確実に検出することができる。
【0012】
本発明の具体的な側面又は態様では、上記撮像装置において、リレー光学系が、イメージ増倍装置の出力面を信号変換装置の撮像面に略等倍で投射する。この場合、出力面の蛍光像を少ない歪で効率良く信号変換装置の撮像面上に結像させることができる。
【0013】
本発明の別の側面では、リレー光学系が、出力面から順に第1レンズ群と第2レンズ群とを備え、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔を調整することによって結像倍率を修正可能である。この場合、イメージ増倍装置の出力面上の蛍光像を撮像面上に適正な倍率で結像させることができ、高精度の撮像が可能になる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、リレー光学系が、イメージ増倍装置の出力面に対向して設けられ、イメージ増倍装置から出力された蛍光像を、第1蛍光像と第2蛍光像とに分離するとともに、第1蛍光像を信号変換装置に向かう光路に導くディストリビューターを有し、ディストリビューターにより分離された第2蛍光像から信号変換装置を動作させるための撮像タイミングを規定するタイミング設定装置とをさらに備える。この場合、タイミング設定装置によって撮像すべき像(事象)を検出した際に、信号変換装置を動作させることができ、不規則に発生する事象に同期又は予測させてその事象の撮像を行うことができ、高速の事象を的確に記録することが可能になる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、タイミング設定装置が、イメージ増倍装置の出力面を構成する区分領域からの第2蛍光像を個別に検出する光電子増倍装置を含む。この場合、出力面を構成する区分領域のうちいずれの区分領域で蛍光像が形成されているかを特定することができ、信号変換装置を適切に動作させることができる。
【0016】
本発明のさらに別の側面では、タイミング設定装置は、光電子増倍装置から出力される区分領域に対応する検出信号に基づいて、光電子増倍装置の区分領域に対応する信号変換装置の局所領域を選択的に動作させる駆動信号を出力する。この場合、駆動信号に基づいて信号変換装置の局所領域を選択的に動作させることができるので、イメージ増倍装置の出力面のうち蛍光像が形成されている現出領域に対応する信号変換装置の局所領域における撮像を、出力面のうち上記現出領域の蛍光像の状態に適合させた高感度で高精細なものとすることができる。
【0017】
本発明のさらに別の側面では、イメージ増倍装置は、入力段に配置される光電変換部と、光電変換部の後段に配置される近接型増倍素子と、近接型増倍素子の後段に配置される出力面とを有する。この場合、光電変換部の検出出力を近接型増倍素子で増倍した高輝度の蛍光像を計測することができる。
【0018】
本発明のさらに別の側面では、信号変換装置は、CMOS型撮像素子及びCCD型撮像素子のいずれか一方である固体撮像素子を含み、タイミング設定装置から出力されるタイミング信号に基づいて固体撮像素子を動作させる。この場合、タイミング設定装置を介してイメージ増倍装置と固体撮像素子とを高速で同期させて動作させることができる。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明に係るリレー光学系は、検出装置の出力面に形成された像を電気的な画像信号に変換する信号変換装置を有する撮像装置に組み込まれるリレー光学系であって、検出装置の出力面に形成された像を信号変換装置の撮像面に略等倍で投射するともに、対象像側でテレセントリックである。
【0020】
上記リレー光学系によれば、検出装置の出力面すなわち物体側に形成された像を信号変換装置の撮像面に略等倍で投射するともに、出力面側でテレセントリックであるので、出力面に形成された像を、撮像面上において歪等の収差を低減した高精度かつ明るい状態で効率良く再結像させることができ、出力面に形成された像が微弱な像であっても、高精度で確実に検出することができる。
【0021】
本発明の具体的な側面では、検出装置は、微弱な事象を出力面において蛍光像に変換するイメージ増倍装置である。この場合、イメージ増倍装置によって形成された微弱な蛍光像を高精度で確実に検出することができる。
【0022】
本発明の別の側面では、上記リレー光学系において、イメージ増倍装置の出力面に対向して設けられ、イメージ増倍装置から出力された蛍光像を、第1蛍光像と第2蛍光像とに分離するとともに、第1蛍光像を信号変換装置に向かう光路に導き、第2蛍光像を信号変換装置を動作させるための撮像タイミングを規定するタイミング設定装置に向かう光路に導くディストリビューターをさらに備える。この場合、ディストリビューターで分岐した第2蛍光像をトリガーとして信号変換装置を動作させることができ、高速の事象を的確に記録することが可能になる。
【0023】
本発明のさらに別の側面では、イメージ増倍装置の出力面を構成する蛍光体の分光輝度分布特性に合わせて信号変換装置の撮像面におけるスポット特性を調整した。この場合、イメージ増倍装置の蛍光体に適合した色収差のリレー光学系によって撮像面におけるスポット特性を最適化することができる。
【0024】
本発明のさらに別の側面では、出力面から順に第1レンズ群と第2レンズ群とを備え、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔を調整することによって結像倍率を修正可能である。この場合、この場合、出力面上の像を撮像面上に適正な倍率で結像させることができ、高精度の撮像が可能になる。
【0025】
本発明のさらに別の側面では、第1レンズ群の開口数をNA1とし、第2レンズ群の開口数をNA2とした場合に、以下の条件式(1)
1.15≦NA2/NA1≦1.8 … (1)
を満足する。この条件式(1)の範囲内とすることで、イメージ増倍装置の出力面を信号変換装置の撮像面に略等倍で投射する際の光損失を抑えることができる。
【0026】
本発明のさらに別の側面では、第1レンズ群の焦点距離をf1とし、第2レンズ群の焦点距離をf2とした場合に、以下の条件式(2)
0.5≦f2/f1≦2.0 … (2)
を満足し、より好ましくは
0.5≦f2/f1≦0.9 … (2)'
を満足する。この条件式(2)の範囲内とすることで、イメージ増倍装置の出力面を信号変換装置の撮像面に略等倍で歪を抑えて投射することができる。
【0027】
本発明のさらに別の側面では、結像倍率は、結像特性を略維持した状態で±1.5%の範囲で調整される。この場合、リレー光学系を構成する光学素子等の製造誤差を吸収できる仕上の調整が可能になる。
【0028】
上記課題を解決するため、本発明に係る計測システムは、レーザー光を出力する照明部と、照明部を動作させる照明駆動部と、上述の撮像装置と、照明部と同期して撮像装置を動作させる撮像駆動部とを備える。
【0029】
上記計測システムによれば、レーザー光の照射に応答する微弱で受動的な現象を空間的に特定して計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置を説明する概略図である。
【図2】図1の撮像装置に組み込まれるリレー光学系の第1実施例を説明する断面図である。
【図3】図1の撮像装置で用いられる蛍光体の分光輝度分布を示すグラフである。
【図4】(A)は、第1実施例のリレー光学系の低倍率時における諸収差を示し、(B)は、標準倍率時における諸収差を示す。
【図5】第1実施例のリレー光学系の高倍率時における諸収差を示す。
【図6】(A)及び(B)は、第1実施例のリレー光学系の低倍率時における横収差を示す。
【図7】(A)及び(B)は、第1実施例のリレー光学系の標準倍率時における横収差を示す。
【図8】(A)及び(B)は、第1実施例のリレー光学系の高倍率時における横収差を示す。
【図9】(A)〜(C)は、第1実施例のリレー光学系によるスポットダイアグラムを示す。
【図10】(A)及び(B)は、第1実施例のリレー光学系の低倍率時におけるエンサークルドエネルギーダイアグラムを示す。
【図11】(A)及び(B)は、第1実施例のリレー光学系の標準倍率時におけるエンサークルドエネルギーダイアグラムを示す。
【図12】(A)及び(B)は、第1実施例のリレー光学系の高倍率時におけるエンサークルドエネルギーダイアグラムを示す。
【図13】リレー光学系の第2実施例を説明する断面図である。
【図14】リレー光学系の第3実施例を説明する断面図である。
【図15】リレー光学系の第4実施例を説明する断面図である。
【図16】図1の撮像装置を組み込んだ計測装置の構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔1.撮像装置の構造等〕
以下、本発明の一実施形態に係る撮像装置の構造等について説明する。図1に示す撮像装置10は、微弱な事象を蛍光像に変換するイメージ増倍装置11と、イメージ増倍装置11からの蛍光像出力(以下、単に蛍光像と表記する)を電気的な画像信号に変換する信号変換装置12と、イメージ増倍装置11の出力面11bにおける蛍光像を信号変換装置12の撮像面12aに投射するリレー光学系13と、リレー光学系13に設けたディストリビューター15により分離された第2蛍光像から信号変換装置12を動作させるための撮像タイミングを規定するタイミング設定装置17とを備える。
【0032】
イメージ増倍装置11は、例えば自然界でランダムに発生する事象、すなわち微弱な電磁波の到来又は光の発生及び消失、或いはそれらの移動等を、蛍光およびその集合体である蛍光像に変換する。つまり、イメージ増倍装置11は、所定波長の電磁波の到来(光電変換部21への電磁波の入射)や移動(主要な成分が光電変換部21とは異なる方向に定義されている電磁波の時間的な変位)を検出し、検出した電磁波の強度分布に対応する蛍光像を出力面11bから出力する。このため、イメージ増倍装置11は、入力段に配置される光電変換部21と、その後段に配置される近接型増倍素子23と、出力段に配置されるファイバーオプティックプレート24とを有する。
【0033】
イメージ増倍装置11において、光電変換部21は、電磁波が到来する入力側に配置され、入射した電磁波を光電変換する光電子変換面21aと、光電子変換面21aから射出される電子を加速しつつ収束させる電極部21bとを有する。近接型増倍素子23は、光電変換部21で加速等された電子を増倍するマイクロチャネルプレート(MCP)であり、MCPを複数段に重ねたものとすることもできる。ファイバーオプティックプレート24は、入力側に設けられて近接型増倍素子23で増倍された電子を蛍光像に変換する蛍光面24aと、蛍光面24aから射出され溶融によって一体化されたファイバ束の一端から入射した蛍光像をそのまま他端から射出する出力面11bとを備える。
【0034】
なお、光電変換部21に設けた光電子変換面21aは、例えば直径10cmとされ、ファイバーオプティックプレート24に設けた出力面11bは、例えば直径2.5cmとされる。この場合、イメージ増倍装置11の倍率は0.25となる。
【0035】
信号変換装置12は、例えばCMOS型撮像素子である固体撮像素子31と、固体撮像素子31に撮像動作を行わせる駆動回路32とを有し、タイミング設定装置17から出力されるタイミング信号に基づいて固体撮像素子31に撮像動作を行わせることができる。固体撮像素子31は、撮像面12aを有しており、撮像面12aを格子状に分割するように、Y方向にm(例えば12)行で、X方向にn(例えば12)列で、全体としてm行×n列=A(例えば144)チャンネルの局所領域AR1を有する。各局所領域AR1は、単独でCMOS型撮像素子として機能し、2次元的な画像検出がそれぞれ可能になっている。各局所領域AR1は、個別の異なるタイミングで撮像動作を行うことができ、上記のタイミング設定装置17から出力される個別のタイミング信号に基づいて独立して撮像動作を行う。つまり、イメージ増倍装置11の出力面11bは、固体撮像素子31を構成する局所領域AR1によって、仮想的にm行×n列=Aチャンネルに区分して個別に観察可能になっている。
【0036】
リレー光学系13は、光軸OAに沿った光路上流側に配置されるディストリビューター15と、ディストリビューター15よりも光路下流側に配置される本体光学系14とを備える。リレー光学系13は、イメージ増倍装置11の出力面11bの像を、信号変換装置12の撮像面12a上に略等倍で投射する。リレー光学系13は、イメージ増倍装置11の出力面11bすなわち物体側でテレセントリックであり、信号変換装置12の撮像面12aすなわち像側で非テレセントリックである。
【0037】
ディストリビューター15は、一種のハーフミラーであるビームスプリットミラー15cを内蔵するプリズムである。ディストリビューター15は、イメージ増倍装置11の出力面11bにおける蛍光像を所定強度の2つの蛍光像すなわち第1及び第2蛍光像に分配する。ディストリビューター15のビームスプリットミラー15cを透過して直進する第1蛍光像の光束は、第1光路OP1に導かれ、本体光学系14を通過して信号変換装置12の撮像面12aに入射する。ディストリビューター15のビームスプリットミラー15cで反射されて折り曲げられた第2蛍光像の光束は、第2光路OP2に導かれ、タイミング設定装置17の光電撮像管41の撮像面41aに入射する。ディストリビューター15は、ビームスプリットミラー15cを透過する光の強度と、透過されずに反射される光の強度とが、α(透過率)対β(反射率)となるように設定されている。具体的には、ディストリビューター15自身の吸収による透過率の低下を考慮しない場合、例えば透過率α=70%、反射率β=30%に設定されている。なお、α/βの比は、信号変換装置12の撮像面12aに入射する第1蛍光像の光束の光量を多くする観点で、1よりも大きくすることが一般に望ましい。
【0038】
本体光学系14は、ディストリビューター15を介してイメージ増倍装置11の出力面11bに対向する第1レンズ群14aと、第1レンズ群14aよりも光路下流側に配置される第2レンズ群14bとを備える。第1レンズ群14aと第2レンズ群14bとの間には、間隔調整部材14cが設けられている。間隔調整部材14cは、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bとの間隔を調整することで、リレー光学系13の投射倍率を例えば±1.5%程度の範囲で微調整する。具体的には、第1レンズ群14aの鏡筒と第2レンズ群14bの鏡筒とを互いに接続する際に、接続面間に挿入するシート状の部材(例えば金属製箔)の厚みを変更することで、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bとの距離をミクロンオーダーで調整することができ、上記のような倍率調整が可能になる。倍率調整により、ディストリビューター15や本体光学系14を構成する各光学要素の公差又は製造誤差を吸収させることができ、精密な倍率等での結像が可能になると考えられる。
【0039】
本体光学系14を構成する第1レンズ群14aは、後に詳述するが、物体側から像側への順で、例えば正屈折力のレンズと、物体側に凸の正屈折力のメニスカスレンズと、負屈折力のレンズと、像側に凸の接合レンズと、2つの正屈折力のレンズとで構成される。第2レンズ群14bは、物体側から像側への順で、物体側に凸の接合レンズと、負屈折力のレンズと、正屈折力のレンズと、物体側に凸の正屈折力のレンズとで構成される。
【0040】
本体光学系14を構成する第1レンズ群14aの具体的な焦点距離f1は、例えば50mm〜90mm程度の範囲に設定され、第2レンズ群14bの具体的な焦点距離f2は、例えば16mm〜59mm程度の範囲に設定された。また、第1レンズ群14aの具体的な瞳径は、例えば26mm〜43mm程度の範囲に設定され、第2レンズ群14bの具体的な瞳径は、例えば26mm〜43mm程度の範囲に設定された。
【0041】
結果的に、第1レンズ群14aの開口数をNA1とし、第2レンズ群14bの開口数14bをNA2とした場合、開口数の比NA2/NA1は、1.15〜1.8程度の範囲内に収まり、特に高性能を達成した本体光学系14では、NA2/NA1が1.15〜1.45程度の範囲内に収まった。つまり、本体光学系14は、以下の条件式(1)
1.15≦NA2/NA1≦1.8 … (1)
を満足する。この条件式(1)の範囲内とすることで、イメージ増倍装置11の出力面11bを信号変換装置12の撮像面12aに略等倍で投射する際の歪及び光損失を抑えることができる。つまり、NA2/NA1が上記のような下限や上限を超えると、本体光学系14の光軸OAに沿った対称性が低下する。具体的には、本体光学系14の集光率を保存するならば、物体面である出力面11bから像面である撮像面12aまでの距離が長くなってしまい、出力面11bから撮像面12aまでの距離を保存するならば、レンズ径が小さくなってしまい、本体光学系14の集光率を下げることになる。
【0042】
一方、本体光学系14では、第1レンズ群14aに対する第2レンズ群14bの焦点距離の比f2/f1が0.55〜0.9程度の範囲内に収まり、特に高性能を達成した本体光学系14では、f2/f1が0.7〜0.9程度の範囲内に収まった。ここで、本体光学系14は、仕様の関係上幾分の縮小系になっているが、幾分の拡大系となる場合や厳密な等倍系となる場合も考慮すると、f2/f1の範囲は、その逆数を含めた範囲とすることが考えられる。つまり、本体光学系14は、以下の条件式(2)
0.5≦f2/f1≦2.0 … (2)
を満足し、より好ましくは
0.5≦f2/f1≦0.9 … (2) '
を満足する。以上の条件式(2)の範囲内とすることで、イメージ増倍装置11の出力面11bを信号変換装置12の撮像面12aに略等倍で歪及び光損失を抑えて投射することができる。つまり、f2/f1が上記のような下限や上限を超えると、本体光学系14の光軸OAに沿った対称性が低下する。
【0043】
タイミング設定装置17は、ディストリビューター15で反射されることにより第2光路OP2に導かれた第2蛍光像の光束が入射する光電撮像管41と、第2光路OP2に導かれた第2蛍光像を光電撮像管41の撮像面41a上に投射するトリガー用光学系42と、光電撮像管41の検出信号に基づいて動作する論理回路部43と、論理回路部43の出力に基づいて動作する位置/タイミング制御回路44とを備える。タイミング設定装置17は、リレー光学系13のディストリビューター15で分配された第2蛍光像の光束を監視して、信号変換装置12の固体撮像素子31による第1蛍光像の撮影を適切なものとする。
【0044】
光電撮像管41は、マルチアノードフォトマルチプライヤであり、その撮像面41aは、Y方向にm(例えば12)行で、X方向にn(例えば12)列で、全体としてm行×n列=A(例えば144)チャンネルの区分領域AR2を有する。つまり、光電撮像管41は、Aチャンネルの区分領域AR2に対応してメッシュダイノードを有し、第2蛍光像が所定以上の強度で入力されたダイノードのアノードからのみ、撮像面41a上の第2蛍光像を光電変換して得られた電流が出力される。なお、撮像面41a上に第2蛍光像の光束が入射して電流が出力されるまでに要する時間は、1ナノ秒程度である。光電撮像管41は、各アノードから出力された電流に基づいて、いずれの区分領域AR2に第2蛍光像の光束が入射したかを、その現出タイミングとともに特定できるようになっている。つまり、イメージ増倍装置11の出力面11bは、光電撮像管41の撮像面41aを構成する区分領域AR2によって、仮想的にm行×n列=Aチャンネルに区分されて個別に監視可能になっている。なお、このような区分領域AR2に対応するイメージ増倍装置11の出力面11b上の仮想的な区分領域は、固体撮像素子31の局所領域AR1にも対応するものとなっている。ここで、出力面11bのうち微弱な事象が現出した区分領域を現出領域と呼ぶものとする。
【0045】
トリガー用光学系42は、イメージ増倍装置11の出力面11bの像を、光電撮像管41の撮像面41a上に略等倍で投射する。トリガー用光学系42は、明るさを最も重視しており、物体側にも像側にも非テレセントリックである。なお、ディストリビューター15は、トリガー用光学系42の一部にもなっている。
【0046】
論理回路部43は、例えば波高弁別器を備えており、光電撮像管41の各アノードから出力される電流が所定の閾値を超えたか否か、すなわち微弱な事象の現出タイミングを例えば2値的な情報として検出する。具体的には、論理回路部43は、光電撮像管41を構成する任意の行のアノードから出力される電流と、任意の列のアノードから出力される電流とをスレショルドしており、光電撮像管41によって検出した第2蛍光像を、Y方向(m行)とX方向(n列)とのそれぞれに関する位置情報及びタイミング情報に変換する。つまり、光電撮像管41の特定の区分領域AR2に第2蛍光像の光束が入射した場合、論理回路部43は、その時間、位置等に関する情報を出力することにより、イメージ増倍装置11によって検出した微弱な事象について、この事象が現出している時間、位置、移動方向等を求めることを可能にする。
【0047】
位置/タイミング制御回路44は、例えばフィルター、遅延回路等を備えており、論理回路部43から出力された情報、すなわち微弱な事象の現出に関する位置情報及びタイミング情報に基づいて信号変換装置12を動作させる。具体的には、光電撮像管41の区分領域AR2と、固体撮像素子31の局所領域AR1との相関がとられており、位置/タイミング制御回路44は、区分領域AR2のうち第2蛍光像が検出された現出領域に対応する固体撮像素子31の局所領域AR1等において選択的に同期して第1蛍光像の撮像を行わせるべく、信号変換装置12の駆動回路32駆動信号を出力する。つまり、光電撮像管41によって検出された微弱な事象が現出している時間、位置、移動方向等に応じて、信号変換装置12による撮像動作を必要最小限に制限することができるので、イメージ増倍装置11の出力から高速で微弱な事象のみを抽出して高いS/N比で撮像することを可能にする。この際、位置/タイミング制御回路44は、光電撮像管41の出力に基づいて、固体撮像素子31による撮像の露光時間を調整することもできる。
【0048】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の撮像装置10によれば、イメージ増倍装置11と信号変換装置12との間に配置されるリレー光学系13がイメージ増倍装置11の出力面11b側すなわち物体側でテレセントリックであるので、出力面11bから射出される光束が中心集中性を示す配光分布であることと相まって、出力面11bにおける蛍光像を、撮像面12a上において歪等の収差を低減した高精度な状態かつ明るい状態で再結像させることができ、イメージ増倍装置11によって形成された微弱な蛍光像を高精度で確実に検出することができる。
【0049】
〔2.リレー光学系〕
〔2a.リレー光学系の第1実施例〕
以下、図2を参照して、第1実施例のリレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第1実施例のリレー光学系13は、入射側のディストリビューター15と、全体として正の屈折力を有する第1レンズ群14aと、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群14bと、出射側のプリズム部14dとを備える。ディストリビューター15と、第1レンズ群14aと、第2レンズ群14bと、プリズム部14dとは、イメージ増倍装置11のある物体側から信号変換装置12のある像側に向けて光軸OAに沿って順に設けられている。これらのうち、第1及び第2レンズ群14a,14bとプリズム部14dとは、本体光学系14を構成している。
【0050】
以下、リレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。まず、ディストリビューター15は、厚い平行平板と同様に機能する。また、第1レンズ群14aは、物体側から順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7とで構成される。第2レンズ群14bは、物体側から順に、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12とで構成される。プリズム部14dは、厚い平行平板と同様に機能する。なお、第1レンズ群14aにおいて、第6レンズL6と第7レンズL7との間には、絞りSTが配置されている。
【0051】
リレー光学系13の第1レンズ群14aにおいて、第1レンズL1は、両凸レンズである。また、第2レンズL2は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第3レンズL3は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第4レンズL4は、両凹レンズである。第5レンズL5は、両凸レンズであり、入射側で第4レンズL4に接合されており、第4レンズL4とともに接合レンズを構成している。第6レンズL6は、入射側が凹で出射側が凸のメニスカスレンズである。第7レンズL7は、両凸レンズである。
【0052】
リレー光学系13の第2レンズ群14bにおいて、第8レンズL8は、両凸レンズである。また、第9レンズL9は、両凹レンズであり、入射側で第8レンズL8に接合されており、第8レンズL8とともに接合レンズを構成している。第10レンズL10は、両凹レンズである。第11レンズL11は、両凸レンズである。第12レンズL12は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。
【0053】
表1に、第1実施例のリレー光学系13のレンズデータ等を示す。この表1の上欄において、「面番号」は、出力面(OBJ)11b側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「RDY」は、曲率半径を示し、「THI」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「材質」は、レンズ材料(記号は、株式会社オハラの硝種名)を示し、「光線有効径」は、レンズを通る光束の最大径を意味する。
【表1】

【0054】
表2に、第1実施例のリレー光学系13の近軸諸量を示す。表2の列を構成する3区分は、低倍率(−1.5%)、標準倍率、高倍率(+1.5%)の場合をそれぞれ示している。
【表2】

【0055】
図2に示す第1実施例のリレー光学系13の設計に際しては、物体側でテレセントリックとなるようにして、イメージ増倍装置11の出力面11bの蛍光像が信号変換装置12の撮像面12a上に少ない収差で投射されるようにしている。リレー光学系13による投射倍率は、厳密には等倍でないが、出力面11bと撮像面41aとが1対1で対応するように配慮している。以上のようにリレー光学系13を物体側でテレセントリックとすることにより、撮像面41a上に結像される蛍光像が歪みやボケの少ないものとなる。ただし、撮像面41a上に結像される蛍光像の輝度を確保するため、リレー光学系13を像側で非テレセントリックとしている。なお、出力面11bから射出される光束は、中心集中性の配光分布又は角度分布を示すため、出力面11bの蛍光像を物体側でテレセントリックなリレー光学系13に比較的高率良く取り込める。
【0056】
リレー光学系13の結果的な仕様は、共役長が250mmとなっており、投射倍率が18/25倍であり、物体側NAが0.24であり、解像度(スポットRMS直径)が14μmであり、ディストーションが0.1%であり、波長重み付きの積分値としての透過率が72%であり、±1.5%の倍率調整を可能にしている。なお、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの開口数の比NA2/NA1は、1.37となっており、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの焦点距離の比は、0.74となっている。
【0057】
図3は、リレー光学系13の仕様決定に利用した入射光特性を説明するためのグラフであり、イメージ増倍装置11の蛍光面24aを構成する蛍光体の分光輝度分布を示している。図2に示すリレー光学系13は、蛍光体P47を使用することを前提として設計されている。具体的には、以下の表3に示すように、蛍光体P47の分光輝度分布を細かく読み取るとともに複数のバンドに分割し、各バンド毎に重心波長を求めた(表3参照)。
【表3】

上記表3を活用して波長ごとに重み付けをすることにより、図2に示すリレー光学系13では、イメージ増倍装置11の出力面11b上のスポットを信号変換装置12の撮像面12a上に極小サイズで集光させることとしている。
【0058】
図4(A)は、低倍率(−1.5%)にした場合における第1実施例のリレー光学系の諸収差(球面収差と非点収差と歪みと)を示しており、図4(B)は、標準倍率(±0%)にした場合における諸収差(球面収差と非点収差と歪みと)を示しており、図5は、高倍率(+1.5%)にした場合における諸収差(球面収差と非点収差と歪みと)を示している。
【0059】
図6(A)及び6(B)は、第1実施例のリレー光学系の低倍率(−1.5%)にした場合における横収差を示しており、図7(A)及び7(B)は、標準倍率(±0%)にした場合における横収差を示しており、図8(A)及び8(B)は、高倍率(+1.5%)にした場合における横収差を示している。
【0060】
図9(A)〜9(C)は、第1実施例のリレー光学系の低倍率(−1.5%)、標準倍率、高倍率(+1.5%)におけるスポットダイアグラムを示す。以下の表4は、標準倍率でのRMSスポット直径を示している。
【表4】

表4からも明らかなように、物体高が変化しても、RMSスポット直径があまり大きく変化しないことが分かる。
【0061】
図10(A)及び10(B)は、低倍率(−1.5%)にした場合における第1実施例のエンサークルドエネルギーダイアグラム(encircled energy diagram)を示しており、図11(A)及び11(B)は、標準倍率(±0%)にした場合におけるエンサークルドエネルギーダイアグラムを示しており、図12(A)及び12(B)は、高倍率(+1.5%)にした場合におけるエンサークルドエネルギーダイアグラムを示している。各倍率のスポットにおいて、横軸の半径が増大した場合に滑らかにエネルギー分布が減少していることが分かり、第1実施例のリレー光学系によって信号変換装置12の撮像面12a上に回折等によるボケの少ないシャープな蛍光像が投射されていることが分かる。
【0062】
〔2b.リレー光学系の第2実施例〕
以下、図13を参照して、第2実施例のリレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第2実施例のリレー光学系13は、物体側から順に、入射側のディストリビューター15と、全体として正の屈折力を有する第1レンズ群14aと、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群14bと、出射側のプリズム部14dとを備える。
【0063】
以下、リレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第1レンズ群14aは、物体側から順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7とで構成される。第2レンズ群14bは、物体側から順に、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12とで構成される。図示のリレー光学系13において、物体側のディストリビューター15と、像側のプリズム部14dとは、厚い平行平板と同様に機能する。なお、第1レンズ群14aにおいて、第6レンズL6と第7レンズL7との間には、絞りSTが配置されている。
【0064】
リレー光学系13の第1レンズ群14aにおいて、第1レンズL1は、両凸レンズである。また、第2レンズL2は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第3レンズL3は、両凹レンズである。第4レンズL4は、両凹レンズである。第5レンズL5は、両凸レンズであり、入射側で第4レンズL4に接合されており、第4レンズL4とともに接合レンズを構成している。第6レンズL6は、入射側が凹で出射側が凸のメニスカスレンズである。第7レンズL7は、両凸レンズである。
【0065】
リレー光学系13の第2レンズ群14bにおいて、第8レンズL8は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。また、第9レンズL9は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズであり、入射側で第8レンズL8に接合されており、第8レンズL8とともに接合レンズを構成している。第10レンズL10は、両凹レンズである。第11レンズL11は、両凸レンズである。第12レンズL12は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。
【0066】
表5に、第2実施例のリレー光学系13のレンズデータ等を示す。この表5の上欄において、「面番号」は、出力面(OBJ)11b側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「RDY」は、曲率半径を示し、「THI」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「材質」は、レンズ材料を示し、「光線有効半径」は、レンズを通る光束の最大半径を意味する。
【表5】

【0067】
図13に示す第2実施例のリレー光学系13の設計に際しては、物体側でテレセントリックとなるようにして、イメージ増倍装置11の出力面11bの蛍光像が信号変換装置12の撮像面12a上に少ない収差で投射されるようにしている。ただし、撮像面41a上に結像される蛍光像の輝度を確保するため、リレー光学系13を像側で非テレセントリックとしている。なお、出力面11bから射出される光束は、中心集中性の配光分布又は角度分布を示すため、出力面11bの蛍光像を物体側でテレセントリックなリレー光学系13に比較的高率良く取り込める。
【0068】
第2実施例のリレー光学系13の場合、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの開口数の比NA2/NA1は、1.30となっており、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの焦点距離の比f2/f1は、0.77となっている。
【0069】
〔2c.リレー光学系の第3実施例〕
以下、図14を参照して、第3実施例のリレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第3実施例のリレー光学系13は、物体側から順に、入射側のディストリビューター15と、全体として正の屈折力を有する第1レンズ群14aと、全体として正の屈折力を有する第2レンズ群14bと、出射側のプリズム部14dとを備える。
【0070】
以下、リレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第1レンズ群14aは、物体側から順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7とで構成される。第2レンズ群14bは、物体側から順に、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12とで構成される。図示のリレー光学系13において、物体側のディストリビューター15と、像側のプリズム部14dとは、厚い平行平板と同様に機能する。なお、第1レンズ群14aにおいて、第6レンズL6と第7レンズL7との間には、絞りSTが配置されている。
【0071】
リレー光学系13の第1レンズ群14aにおいて、第1レンズL1は、両凸レンズである。また、第2レンズL2は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第3レンズL3は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第4レンズL4は、両凹レンズである。第5レンズL5は、両凸レンズであり、入射側で第4レンズL4に接合されており、第4レンズL4とともに接合レンズを構成している。第6レンズL6は、入射側が凹で出射側が凸のメニスカスレンズである。第7レンズL7は、両凸レンズである。
【0072】
リレー光学系13の第2レンズ群14bにおいて、第8レンズL8は、両凸レンズである。また、第9レンズL9は、両凹レンズであり、入射側で第8レンズL8に接合されており、第8レンズL8とともに接合レンズを構成している。第10レンズL10は、両凹レンズである。第11レンズL11は、両凸レンズである。第12レンズL12は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。
【0073】
表6に、第3実施例のリレー光学系13のレンズデータ等を示す。この表6の上欄において、「面番号」は、出力面(OBJ)11b側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「RDY」は、曲率半径を示し、「THI」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「材質」は、レンズ材料を示し、「光線有効半径」は、レンズを通る光束の最大半径を意味する。
【表6】

【0074】
図14に示す第3実施例のリレー光学系13の設計に際しては、物体側でテレセントリックとなるようにして、イメージ増倍装置11の出力面11bの蛍光像が信号変換装置12の撮像面12a上に少ない収差で投射されるようにしている。ただし、撮像面41a上に結像される蛍光像の輝度を確保するため、リレー光学系13を像側で非テレセントリックとしている。なお、出力面11bから射出される光束は、中心集中性の配光分布又は角度分布を示すため、出力面11bの蛍光像を物体側でテレセントリックなリレー光学系13に比較的高率良く取り込める。
【0075】
第3実施例のリレー光学系13の場合、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの開口数の比NA2/NA1は、1.40となっており、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの焦点距離の比f2/f1は、0.72となっている。
【0076】
〔2d.リレー光学系の第4実施例〕
以下、図15を参照して、第4実施例のリレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第4実施例のリレー光学系13は、物体側から順に、ディストリビューター15と、第1レンズ群14aと、第2レンズ群14bと、プリズム部14dと、第3レンズ群114aと、ミラー13rと、第4レンズ群114bとを備える。
【0077】
以下、リレー光学系13の具体的なレンズ構成等について説明する。第1レンズ群14aは、物体側から順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7とで構成される。第2レンズ群14bは、物体側から順に、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10と、第11レンズL11と、第12レンズL12とで構成される。第3レンズ群114aは、物体側から順に、第13レンズL13と、第14レンズL14と、第15レンズL15と、第16レンズL16とで構成される。第4レンズ群114bは、物体側から順に、第17レンズL17と、第18レンズL18と、第19レンズL19と、第20レンズL20と、第21レンズL21と、第22レンズL22と、第23レンズL23と、第24レンズL24と、第25レンズL25と、第26レンズL26とで構成される。図示のリレー光学系13において、物体側のディストリビューター15と、中間位置のプリズム部14dとは、厚い平行平板と同様に機能する。なお、第4レンズ群114bにおいて、第20レンズL20と第21レンズL21との間には、絞りSTが配置されている。
【0078】
リレー光学系13の第1レンズ群14aにおいて、第1レンズL1は、両凸レンズである。また、第2レンズL2は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第3レンズL3は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第4レンズL4は、両凹レンズである。第5レンズL5は、両凸レンズであり、入射側で第4レンズL4に接合されており、第4レンズL4とともに接合レンズを構成している。第6レンズL6は、入射側が凹で出射側が凸のメニスカスレンズである。第7レンズL7は、両凸レンズである。
【0079】
第2レンズ群14bにおいて、第8レンズL8は、両凸レンズである。また、第9レンズL9は、両凹レンズであり、入射側で第8レンズL8に接合されており、第8レンズL8とともに接合レンズを構成している。第10レンズL10は、両凹レンズである。第11レンズL11は、両凸レンズである。第12レンズL12は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。
【0080】
第3レンズ群114aにおいて、第13レンズL13は、両凹レンズである。また、第14レンズL14は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズであり、入射側で第13レンズL13に接合されており、第13レンズL13とともに接合レンズを構成している。第15レンズL15は、入射側が凹で出射側が凸のメニスカスレンズである。第16レンズL16は、両凸レンズである。
【0081】
第4レンズ群114bにおいて、第17レンズL17は、両凹レンズである。また、第18レンズL18は、両凹レンズである。第19レンズL19は、両凸レンズであり、入射側で第18レンズL18に接合されており、第18レンズL18とともに接合レンズを構成している。第20レンズL20は、両凸レンズである。第21レンズL21は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。第22レンズL22は、両凸レンズである。第23レンズL23は、両凹レンズであり、入射側で第22レンズL22に接合されており、第22レンズL22とともに接合レンズを構成している。第24レンズL24は、両凹レンズである。第25レンズL25は、入射側が凹で出射側が凸のメニスカスレンズである。第26レンズL26は、入射側が凸で出射側が凹のメニスカスレンズである。
【0082】
表7に、第4実施例のリレー光学系13のレンズデータ等を示す。この表7の上欄において、「面番号」は、出力面(OBJ)11b側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「RDY」は、曲率半径を示し、「THI」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「材質」は、レンズ材料を示し、「光線有効半径」は、レンズを通る光束の最大半径を意味する。
【表7】

【0083】
図15に示す第4実施例のリレー光学系13の設計に際しては、物体側でテレセントリックとなるようにして、イメージ増倍装置11の出力面11bの蛍光像が信号変換装置12の撮像面12a上に少ない収差で投射されるようにしている。ただし、撮像面41a上に結像される蛍光像の輝度を確保するため、リレー光学系13を像側で非テレセントリックとしている。なお、出力面11bから射出される光束は、中心集中性の配光分布又は角度分布を示すため、出力面11bの蛍光像を物体側でテレセントリックなリレー光学系13に比較的高率良く取り込める。
【0084】
第4実施例のリレー光学系13の場合、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの開口数の比NA2/NA1は、1.15となっており、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bの焦点距離の比f2/f1は、0.87となっている。
【0085】
以下の表8は、第1〜第4実施例等に関して、第1レンズ群14aと第2レンズ群14bとについて、焦点距離の比f2/f1と開口数の比NA2/NA1とをまとめたものである。なお、表9中の第5〜第8実施例については、具体的なレンズ構成の説明を省略したが、第1〜第4実施例と類似するレンズ構成を有する。
【表8】

【0086】
〔3.計測システムの構造等〕
以下、図16を参照して、本発明の一実施形態に係る計測システムの構造等について説明する。
【0087】
この計測システム100は、レーザー光を出力する照明部81と、照明部81を動作させる照明駆動部82と、計測対象からの電磁波を集光して結像させる結像光学系83と、照明部81の動作を制御する照明制御部85と、結像光学系83によって集光された電磁波を撮影する撮像装置10と、撮像装置10に付随する可視化・記憶装置84とを備える。
【0088】
照明部81は、照明用のレーザー光を発生するパルスレーザーを有するレーザー光源81aと、レーザー光を2次元的に走査する2つのポリゴンミラーを有する照射光学系81bとを備える。なお、照射光学系81bには、ポリゴンミラーを回転させるためのモーター81dが付随して設けられており、モーター81dには、モーター81dの回転角を検出するエンコーダー81eが付随して設けられている。
【0089】
照明駆動部82は、レーザー光源81aをパルス発光させるトリガー回路等を有しており、制御部85からの参照信号に基づいてレーザー光源81aから射出させる照明用のレーザー光の射出タイミングを調整する。
【0090】
照明部81等に付随する照明制御部85は、照明駆動部82の動作を制御しており、照明駆動部82のトリガー回路に参照信号を出力するパルスジェネレーター等を有する。また、照明制御部85は、パルスジェネレーターからの参照信号に基づいて、照明部81に設けたエンコーダー81eを監視しつつモーター81dの動作を制御しており、照明駆動部82を介して照明部81にレーザー光の走査を行わせている。
【0091】
撮像装置10は、計測対象からの電磁波を結像光学系83を介して撮影するものであるが、図1等に示した構造を有しており、詳細な説明は省略する。
【0092】
可視化・記憶装置84は、撮像装置10の信号変換装置12から不定期に出力される画像信号をその強度等に応じて可視化したデータに変換するとともに、このように可視化したデータを随時記憶装置に保管する。また、可視化・記憶装置84は、撮像装置10の動作状態を制御しており、結像光学系83を介して撮像装置10によって撮影すべき対象の撮影方向等を調整する。なお、撮像装置10による撮像領域は、照明部81によるレーザー光の照射範囲をカバーするものとなっている。
【0093】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0094】
すなわち、イメージ増倍装置11の構成は、図1に例示するものに限らず、様々なものとすることができる。
【0095】
また、信号変換装置12を構成する固体撮像素子31としては、CMOS型撮像素子に限らず、CCD型撮像素子を用いることができる。CCD型撮像素子を用いる場合、そのシャッター機能を活用することができる。
【0096】
タイミング設定装置17を構成する光電撮像管41、トリガー用光学系42、論理回路部43、制御回路44等も単なる例示であり、様々な変形が可能である。例えば、光電撮像管41は、ハイブリッド光検出器とすることができる。ハイブリッド光検出器とは、真空管中にCCD、CMOSといったシリコン多画素センサーを封入したものであり、光電撮像管のように真空管表面で光電子への変換を行い、その光電子を真空中の静電レンズで伝播させ、直接シリコン多画素センサーに入射させることで光検出信号を得るものである。
【0097】
上記計測システム100において、照明部81の動作と撮像装置10の動作とを統括的に制御する制御部を設けることができる。このような制御部により、撮像装置10による観察方向と、照明部81によるレーザー光の照射方向とを一致させて正確な関連付けを行うことができ、また、撮像装置10による観察タイミングと、照明部81によるレーザー光のタイミングとの差すなわち遅延を検出することもできる。
【0098】
上記実施形態の撮像装置10は、その仕様を適宜修正することにより、各種用途、例えば検査、監視、医療等の各種分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
AR1…局所領域、 AR2…区分領域、 L1〜L12…レンズ、 OA…光軸、 OP1…光路、 OP2…光路、 10…撮像装置、 11…イメージ増倍装置、 11b…出力面、 12…信号変換装置、 12a…撮像面、 13…リレー光学系、 14…本体光学系、 14a,14b…第1及び第2レンズ群、 14c…間隔調整部材、 14d…プリズム部、 15…ディストリビューター、 15c…ビームスプリットミラー、 17…タイミング設定装置、 21…光電変換部、 21a…光電子変換面、 21b…電極部、 23…近接型増倍素子、 24…ファイバーオプティックプレート、 24a…蛍光面、 31…固体撮像素子、 32…駆動回路、 41…光電撮像管、 41a…撮像面、 42…トリガー用光学系 43…論理回路部、 44…タイミング制御回路、 44…制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微弱な事象を蛍光像に変換するイメージ増倍装置と、
前記イメージ増倍装置から出力された蛍光像を電気的な画像信号に変換する信号変換装置と、
前記イメージ増倍装置の出力面における前記蛍光像を前記信号変換装置の撮像面に投射するともに、前記出力面側でテレセントリックであるリレー光学系と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記リレー光学系は、前記イメージ増倍装置の前記出力面を前記信号変換装置の前記撮像面に略等倍で投射する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記リレー光学系は、前記出力面から順に第1レンズ群と第2レンズ群とを備え、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を調整することによって結像倍率を修正可能である、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記リレー光学系は、前記イメージ増倍装置の前記出力面に対向して設けられ、前記イメージ増倍装置から出力された前記蛍光像を、第1蛍光像と第2蛍光像とに分離するとともに、前記第1蛍光像を前記信号変換装置に向かう光路に導くディストリビューターを有し、
前記ディストリビューターにより分離された前記第2蛍光像から前記信号変換装置を動作させるための撮像タイミングを規定するタイミング設定装置をさらに備える、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記タイミング設定装置は、前記イメージ増倍装置の前記出力面を構成する区分領域からの前記第2蛍光像を個別に検出する光電子増倍装置を含む、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記タイミング設定装置は、前記光電子増倍装置から出力される前記区分領域に対応する検出信号に基づいて、前記光電子増倍装置の前記区分領域に対応する前記信号変換装置の局所領域を選択的に動作させる駆動信号を出力する、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記イメージ増倍装置は、入力段に配置される光電変換部と、前記光電変換部の後段に配置される近接型増倍素子と、前記近接型増倍素子の後段に配置される前記出力面とを有する、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記信号変換装置は、CCD型撮像素子及びCMOS型撮像素子のいずれか一方である固体撮像素子を含み、前記タイミング設定装置から出力されるタイミング信号に基づいて前記固体撮像素子を動作させる、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
検出装置の出力面に形成された像を電気的な画像信号に変換する信号変換装置を有する撮像装置に組み込まれるリレー光学系であって、
前記検出装置の出力面に形成された像を前記信号変換装置の撮像面に略等倍で投射するともに、前記対象像側でテレセントリックであるリレー光学系。
【請求項10】
前記検出装置は、微弱な事象を前記出力面において蛍光像に変換するイメージ増倍装置である、請求項9に記載のリレー光学系。
【請求項11】
前記イメージ増倍装置の前記出力面に対向して設けられ、前記イメージ増倍装置から出力された前記蛍光像を、第1蛍光像と第2蛍光像とに分離するとともに、前記第1蛍光像を前記信号変換装置に向かう光路に導き、前記第2蛍光像を前記信号変換装置を動作させるための撮像タイミングを規定するタイミング設定装置に向かう光路に導くディストリビューターをさらに備える、請求項10に記載のリレー光学系。
【請求項12】
前記イメージ増倍装置の前記出力面を構成する蛍光体の分光輝度分布特性に合わせて前記信号変換装置の前記撮像面におけるスポット特性を調整した、請求項10及び請求項11のいずれか一項に記載のリレー光学系。
【請求項13】
前記出力面から順に第1レンズ群と第2レンズ群とを備え、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を調整することによって結像倍率を修正可能である、請求項9から請求項12までのいずれか一項に記載のリレー光学系。
【請求項14】
前記第1レンズ群の開口数をNA1とし、前記第2レンズ群の開口数をNA2とした場合に、以下の条件式(1)
1.15≦NA2/NA1≦1.8 … (1)
を満足する、請求項13に記載のリレー光学系。
【請求項15】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とした場合に、以下の条件式(2)
0.5≦f2/f1≦2.0 … (2)
を満足する、請求項13に記載のリレー光学系。
【請求項16】
前記結像倍率は、結像特性を略維持した状態で±1.5%の範囲で調整される、請求項13から請求項15までのいずれか一項に記載のリレー光学系。
【請求項17】
レーザー光を出力する照明部と、
前記照明部を動作させる照明駆動部と、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記照明部と同期して前記撮像装置を動作させる撮像駆動部と
を備える計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−244357(P2011−244357A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116802(P2010−116802)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】