説明

撮像装置およびテレビドアホン装置

【課題】撮像装置およびテレビドアホン装置に関し、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラーの撮影映像を得る場合であっても、撮影開始後直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることを目的とする。
【解決手段】撮像装置9は、被写体を照明する撮影用赤外光源部9aと、被写体を照明する撮影用可視光源部9bと、被写体を撮影する撮像部9cと、撮影用赤外光源部9aおよび撮影用可視光源部9bの発光を制御する発光制御部9eとを備え、発光制御部9eは、撮像部9cで撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影してカラーの撮影映像を得ることが可能な撮像装置およびテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、玄関に設置した子機に備えたカメラで撮影して得た撮影映像を居室内に設置されている親機のモニタに出画させ、玄関の来訪者と通話を行うと共に居室内の居住者が来訪者の撮影映像を確認することができるテレビドアホン装置が提案されている。
【0003】
従来のテレビドアホン装置では、夜間に来訪者により子機の呼出ボタンが押された場合、来訪者を可視光により照明して撮影していた。また、従来のテレビドアホン装置は来訪者にとって照明される光が眩しくならないように、可視光の光量を時間と共に増加させていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−73060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のテレビドアホン装置では、時間と共に可視光を増加させるので、可視光の光量が撮影に適切な輝度になるまでしばらく時間を要し、撮影開始直後の撮影映像は暗かった。すなわち、呼出ボタンを押された直後に撮影映像を親機のモニタで確認する場合、モニタ内の表示画像はしばらく暗くて視認性がよくなく来訪者である被写体の判別が難しいという課題があった。
【0005】
一方、被写体にとって眩しさを感じない赤外光を被写体に照射して撮影映像に必要な輝度成分を確保することも考えられるが、赤外光は可視波長領域外のため色情報が得られず、撮影映像は白黒となり来訪者を判別しにくい。
【0006】
そこで本発明は、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラー映像信号を得る場合であっても、撮影開始後、直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明の撮像装置は、被写体を照明する撮影用赤外光源部と、被写体を照明する撮影用可視光源部と、被写体を撮影する撮像部と、撮影用赤外光源部および撮影用可視光源部の発光を制御する発光制御部とを備え、発光制御部は、撮像部で撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成としたことを特徴とする。このような構成により、所期の目的を達成するものである。
【0008】
また、本発明のテレビドアホン装置は、上記した撮像装置と、来訪者が居住者を呼出すための呼出ボタンを有する子機と、撮像装置により撮影して得たカラー映像信号を記録する録画装置と、子機からの呼出ボタンの押下に応じて撮像装置と録画装置とを制御する制御部とを備え、制御部は、子機の呼出ボタンが押下されたときに、撮像装置の撮影を開始させる共に録画装置によりカラー映像信号の録画を開始させる構成としたことを特徴とする。このような構成により、所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の撮像装置は、被写体を照明する撮影用赤外光源部と、被写体を照明する撮影用可視光源部と、被写体を撮影する撮像部と、撮影用赤外光源部および撮影用可視光源部の発光を制御する発光制御部とを備え、発光制御部は、撮像部で撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成としたので、撮影開始と同時に先に被写体にとって眩しくない赤外光により撮影映像に必要となる輝度を確保し、その後で赤外光より緩やかに光量を増加させた可視光により視認性のよいカラー映像信号を得ることができる。すなわち、撮影開始後直ぐに被写体を撮影するのに必要となる撮影映像の輝度成分を赤外光により確保し、可視光は目の順応に合わせて赤外光より緩やかに光量を増加させる。これにより、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラー映像信号を得る場合であっても、撮影開始後直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることができる。
【0010】
また、本発明のテレビドアホン装置は、上記した撮像装置と、来訪者が居住者を呼出すための呼出ボタンを有する子機と、撮像装置により撮影して得たカラー映像信号を記録する録画装置と、子機からの呼出ボタンの押下に応じて撮像装置と録画装置とを制御する制御部とを備え、制御部は、子機の呼出ボタンが押下されたときに、撮像装置の撮影を開始させる共に録画装置によりカラー映像信号の録画を開始させる構成としたので、暗い場所で来訪者にとって照明される光が眩しくないように撮影すると共に、呼出ボタンが押下され撮影が開始された後直ぐに視認性のよいカラー映像信号を録画装置に録画することができ、録画を再生するときに来訪者の判別が容易となる。これにより、呼出ボタンが押下されてから1〜5秒くらいの間に映る可能性がきわめて高い呼出ボタンの押し逃げなどをする者を撮りそこなうことなく、録画装置に来訪者のカラー映像信号を録画することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態)
図1〜図10を参照しながら、本発明の実施の形態におけるテレビドアホン装置について説明する。ここでは、来訪者をカラーの撮影映像により確認できるテレビドアホン装置を例に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態におけるテレビドアホン装置1の概略構成図であり、テレビドアホン装置1は子機2と親機3とから構成され、子機2と親機3は通信回線を介して電気的に接続されている。そして、子機2は玄関先に親機3は居室内にそれぞれ設置されている。これにより、来訪者4は玄関先にある子機2、居室内にある親機3を介して居住者5と通話することができる。
【0014】
まず、図2、図3を参照しながら、子機2の構成について説明する。図2はテレビドアホン装置1の回路ブロック図であり、子機2は呼出ボタン6と子機制御部7と子機通話部8と撮像装置9とを備えている。また、撮像装置9は、来訪者4を照明する撮影用赤外光源部9aと、来訪者4を照明する撮影用可視光源部9bと、来訪者4を撮影する撮像部9cと、映像インタフェース(以下、「映像I/F」と記す)9dと、発光制御部9eとを備えている。
【0015】
図3は子機2の正面図であり、子機2では子機本体2aの前面下側に来訪者4の指により押下される呼出ボタン6を設けている。
【0016】
また、撮像装置9の撮影用赤外光源部9aと撮影用可視光源部9bとを呼出ボタン6の位置よりも上側に設けている。これにより、来訪者4の指や手で照明光が遮られるのを防ぐことができる。また、撮影用赤外光源部9aからの赤外光の照明方向と撮影用可視光源部9bからの可視光の照明方向とが同じ方向になるように撮像部9cから見て同じ側に撮影用赤外光源部9aと撮影用可視光源部9bとを配置している。これにより、来訪者4の顔部の凹凸部により照明光で発生する影が同じになるようにし、赤外光と可視光のそれぞれの光量変化から発生する撮影映像中における来訪者4の輪郭領域の変化などの影響を抑えている。
【0017】
また、図2に示すように、呼出ボタン6は来訪者4の指により押下されると子機制御部7へ押下信号を通知する。
【0018】
子機制御部7は子機2の全体を制御し、来訪者4により呼出ボタン6が押下されると親機3へ呼出通知を送信すると共に、子機通話部8および撮像装置9を作動させる。また子機制御部7は、親機3からの応答終了の信号の通知を受け取ると子機通話部8および撮像装置9の動作を終了させる。
【0019】
子機通話部8は、マイクロフォン(以下、「マイク」と記す)8aとスピーカ8bと通話インタフェース(以下、「通話I/F」と記す)8cとを備え、子機本体2aの前面に設けられている。マイク8aは来訪者4の音声を音声信号として出力する。スピーカ8bは親機3からの音声信号を音声として出力する。通話I/F8cは親機3との音声の入出力を行う。
【0020】
撮像装置9は子機制御部7により起動されると、撮影用赤外光源部9aおよび撮影用可視光源部9bのそれぞれの発光を発光制御部9eにより制御すると共に、来訪者4を撮像部9cにより撮影してカラー映像信号(例えば、色差信号と輝度信号)を映像I/F9dを介して親機3に出力する。この撮像装置9内の発光制御部9eの制御動作、撮像部9cの構成については後述する。
【0021】
次に、図2、図4を参照しながら、親機3の構成について説明する。図2の親機3は操作ボタン10と親機制御部11と親機通話部12と表示装置13と録画装置14とを備えている。
【0022】
図4は親機3の正面図であり、親機3の操作ボタン10は親機本体3aの前面下側に設けられている。また、親機通話部12のマイク12aとスピーカ12bは親機本体3aの前面中央、すなわち操作ボタン10の上側に設けられている。そして、表示装置13は親機本体3aの前面上側に設けられている。
【0023】
図2に示すように、操作ボタン10は、居室内にいる居住者5が来訪者4と通話する際に使用される応答ボタンであり、親機制御部11に接続されている。
【0024】
親機制御部11は、親機3の全体を統括制御する機能を備えており、呼出ボタン6の押下によって子機2の子機制御部7から呼出通知を受け取ると、親機通話部12、表示装置13および録画装置14を作動させ動作状態となる。すなわち、呼出ボタン6の押下により子機通話部8と親機通話部12との間で通話I/F8c、後述する通話I/F12cを介して音声信号の入出力が可能となり通話可能状態となる。また親機制御部11は、居住者5が来訪者4との通話が終了したことで押下される操作ボタン10からの信号により親機通話部12、表示装置13および録画装置14を停止状態にする機能を備えている。親機制御部11と子機制御部7とは互いに連携しながら、テレビドアホン装置1の各部の制御部となっている。
【0025】
親機通話部12は、マイク12aとスピーカ12bと通話I/F12cとを備えている。マイク12aは居住者5の音声を音声信号として出力する。スピーカ12bは子機2からの音声信号を音声として出力する。通話I/F12cは子機2との音声信号の入出力を行うものである。
【0026】
表示装置13は、映像I/F13aと表示パネル13bとを備えている。表示装置13は、映像I/F13aにより子機2からのカラー映像信号を入力し、入力したカラー映像信号(色差信号、輝度信号)を表示パネル13bにカラーの撮影映像として表示する。
【0027】
録画装置14は、親機制御部11からの録画の指示がなされるとカラー映像信号の録画(静止画像または動画像)を開始する。また、録画装置14は親機制御部11により停止の指示がなされるとカラー映像信号の録画を停止する。録画装置14として半導体メモリやディスクなどの記録媒体、磁気記録のハードディスクドライブなどを用いる。半導体メモリは応答性がよく、これにより録画装置14は直ぐにカラー映像信号から静止画像、動画像の録画を行うことができる。
【0028】
次に、テレビドアホン装置1の構成が理解されたところで本実施の形態の特徴となる撮像装置9の詳細について説明する。
【0029】
図2のテレビドアホン装置1では、子機2の撮像装置9の撮像部9cにより来訪者4を撮影し、親機3の表示パネル13bにより来訪者4の撮影映像を確認するので、夜間など撮像部9cの周囲が暗くなるほど撮影に必要な輝度が不足し、撮影映像が暗くなり視認性が悪くなる。そこで、テレビドアホン装置1では不足する輝度を補うために来訪者4に可視光を照明して撮影する。しかし、暗いところで来訪者4に向けていきなり可視光を照明すると、来訪者4にとって照明光が眩しいと感じる。すなわち、来訪者4の目は周囲の明るさに順応しており、来訪者4の瞳孔の開口度合いは暗い場所では大きくなり、明るい場所では小さくなる。この順応により、同じ明るさの光でも暗いところでは眩しく感じ、明るいところでは眩しく感じない。
【0030】
このため、本実施の形態の撮像装置9では来訪者4の撮影を開始するときに赤外光を発光させると共に、図5に示すように、可視光を消灯状態(光量0)から所定の光量(Wb)まで時間と共に緩やかに増加させるように制御する。すなわち、撮像装置9では来訪者4の目を可視光に明順応させながら可視光が眩しくならないように撮影に必要な輝度まで光量を増加させている。
【0031】
しかしながら、夜間に子機2の呼出ボタン6が押されたときに可視光の光量を時間と共に徐々に増加させると、撮像部9cの撮影に必要な輝度が得られるまでしばらく時間(例えば、図5中の時間t2)を要するため、撮影開始後の撮影映像はしばらく暗くなってしまう。このため、テレビドアホン装置1では呼出ボタン6が押された直後では、親機3の表示パネル13bに映し出される撮影映像はしばらく暗くて視認性がよくなく、来訪者4である被写体の判別が難しい。一方、被写体にとって眩しさを感じない赤外光を被写体に照射して撮影映像に必要な輝度成分を確保することも考えられるが、赤外光は可視波長領域外のため色情報が得られず、撮影映像は白黒となり来訪者4を判別しにくい。
【0032】
そこで撮像装置9では、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにしてカラーの撮影映像を得る場合であっても、撮影開始後直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくするようにした。
【0033】
すなわち、撮像装置9は、被写体を照明する撮影用赤外光源部9aと、被写体を照明する撮影用可視光源部9bと、被写体を撮影する撮像部9cと、撮影用赤外光源部9aおよび撮影用可視光源部9bの発光を制御する発光制御部9eとを備え、発光制御部9eは、撮像部9cで撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、図5に示すように、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成とした。
【0034】
この構成により、撮像装置9は、撮影開始と同時に先に被写体にとって眩しくない赤外光を撮影映像に必要となる輝度に相当する光量(例えば、IRa)まで立ち上げ、その後で赤外光より光量増加率を小さくして緩やかに可視光の光量を徐々に増加させて視認性のよいカラー映像信号を得る。すなわち、撮像装置9は撮影開始後直ぐに被写体を撮影するのに必要となる撮影映像の輝度成分を赤外光により確保し、可視光は目の順応に合わせて赤外光より緩やかに可視光の光量を増加させる。
【0035】
具体的には、例えば、図5中の時間t1までに赤外光の光量をIRaまで立ち上げ、時間t3(t3>t1)までに可視光の光量をWbまで立ち上げる。これにより、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラー映像信号を得る場合であっても、撮影開始後直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることができる。
【0036】
また、例えばテレビドアホン装置1に撮像装置9を備え、来訪者4の撮影映像を録画装置14に録画する場合であっても、撮影開始後直ぐに視認性のよい撮影映像を録画装置14に録画することができ、録画を再生するときに来訪者4の判別が容易となる。これにより、テレビドアホン装置1では、最初の数秒の間に映る可能性がきわめて高い来訪者4を撮りそこなうことなく、録画装置14に録画することができる。
【0037】
なお、撮像装置9では赤外光と可視光とを来訪者4に併用照明するので、適切な可視光の輝度(立ち上がり後の輝度)として、例えば眩しくない3000cd/mの輝度に相当する光量(図5中のWb)に設定し、これにより撮像装置9で得られる撮影映像の輝度が低下するのを赤外光の照明により補う。ここでは、適切な可視光の輝度を5000cd/mとし、可視光を弱めた分の不足する輝度(2000cd/m)分に相当する光量より多く赤外光の光量(図5中のIRa)を設定して照明する。赤外光は肉眼に対して何ら明暗感覚を起こさせないので、来訪者4にとって眩しくない。
【0038】
撮影用赤外光源部9aは、例えば赤外発光ダイオード(例えば、ピーク波長が810〜950nm)から構成される。また、撮影用可視光源部9bは、例えば白色発光ダイオードから構成される。白色発光ダイオードは、波長が異なる複数の光を重ね合わせたものであり、3波長(赤色、緑色、青色)それぞれの色の発光ダイオードを組み合わせたもの、青色発光ダイオードと黄色成分の発光色を生成する蛍光材とを組み合わせたものなどを用いる。
【0039】
撮像部9cは、撮影用赤外光源部9aからの赤外光と撮影用可視光源部9bからの可視光とを来訪者4に照明して撮影すると共に、来訪者4を撮影して得たカラー映像信号を映像I/F9dを介して親機3に出力する。撮像部9cのカラー信号処理の詳細については後述する。
【0040】
発光制御部9eは、撮影用赤外光源部9aからの赤外光と撮影用可視光源部9bからの可視光との点灯タイミングや光量などの発光をそれぞれ制御する。例えば図5に示すように、発光制御部9eは、撮像部9cにより撮影が開始されるときに、撮影用赤外光源部9aおよび撮影用可視光源部9bを起動し、まず赤外光を所定の光量で発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量増加率が赤外光より小さくなるように可視光を発光させる。すなわち、発光制御部9eは、撮像部9cにより撮影が開始されると直ぐに赤外光を所定の光量(IRa)で発光開始し、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる。図5の例では、時間0から時間t1までに赤外光の光量を0からIRaにし、時間0〜時間t3までに可視光の光量を0からWbにする。赤外光の光量増加率をA、可視光の光量増加率をBとすると、A>Bの関係となるように可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる。また、発光制御部9eは、時間t3以降は可視光の光量をWbに固定する。例えば、時間t1として0.03秒、時間t3として1〜5秒程度にするのが好ましい。このように、撮影後に直ぐに赤外光を十分な光量で発光させて撮影映像に必要となる輝度を確保し、その後、来訪者4の目を可視光に明順応させながら可視光の光量を赤外光より緩やかに徐々に増加させる。また、可視光の光量が時間t2(例えば、0.5秒から2.5秒)後にWa(図5)となり、この光量から色判別が十分にできるようになり、視認性のあるカラー映像信号が得られる。なお、可視光の光量を0(消灯状態)から増加させるようにしたが、眩しくない程度の光量から増加させるようにしてもよい。例えば、光量Wb(可視光で必要な輝度に相当する光量)の1/20程度の150cd/mの輝度から増加させる。
【0041】
また発光制御部9eは、予め赤外光および可視光の増分量を設定したテーブル値に基づいて撮影用赤外光源部9aおよび撮影用可視光源部9bの光量を制御する。このテーブル値に基づいて赤外光および可視光の光量を制御することにより、撮像部9cの周囲が暗くても撮影映像の輝度成分を赤外光により確保し、来訪者4の目を可視光に明順応させて可視光が眩しくならないようにし、必要とする輝度まで光量を増加させることができる。
【0042】
次に撮像部9cのカラー信号処理について説明する。図6は撮像装置9内の撮像部9cを含むブロック図であり、撮像部9cは、レンズ部20と、色分解フィルタ21と、受光素子22と、カラー信号処理部23とを備えている。
【0043】
図6に示すように、レンズ部20は、単一のレンズまたは複数のレンズが組み合わされたレンズ群であり、被写体の像を色分解フィルタ21を介して受光素子22の受光面に結像させる。
【0044】
色分解フィルタ21は、受光素子22の受光面の前に設けられ、可視光における赤成分(R)、緑成分(G)、青成分(B)の光のみを透過させるフィルタ、および赤外成分(Ir)の光のみを透過させるフィルタを同一平面上に複数並べた構成である。色分解フィルタ21は、例えば図7に示すように、赤成分(R)の光のみを透過させる赤フィルタ21aと、緑成分(G)の光のみを透過させる緑フィルタ21bと、青成分(B)の光のみを透過させる青フィルタ21cと、赤外成分(Ir)の光のみを透過させる赤外フィルタ21dとを備え、最小単位が2×2で構成されている。各フィルタは、赤フィルタ21aと青フィルタ21cとが斜めの位置関係となるように配置され、緑フィルタ21bと赤外フィルタ21dとが斜めの位置関係となるように配置されている。
【0045】
このように構成した色分解フィルタ21は、図8に示す光透過特性を示す。すなわち、可視光を透過させるフィルタの波長に多少の重なりはあるものの、光の透過が最大となるピーク波長は可視光の範囲内にある1つのみである。また、赤外フィルタ21dは赤外領域のみを透過する。
【0046】
図6に戻り、受光素子22は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像デバイスを用い、色分解フィルタ21の各フィルタに対応した画素から、赤成分を赤色信号(R信号)とし、緑成分を緑色信号(G信号)とし、青成分を青色信号(B信号)とした原色信号(R,G,B)を出力する。
【0047】
次に、カラー信号処理部23は輝度色差変換部23aと輝度合成部23bとを備えている。
【0048】
輝度色差変換部23aは原色信号(R,G,B)の各信号を輝度信号と色差信号(例えば、Cr信号、Cb信号)とに変換する。輝度色差変換部23aは公知の変換式を用いて算出することができる。例えば、輝度信号をY、赤色信号をR、緑色信号をG、青色信号をBとした場合、Y=0.30×R+0.59×G+0.11×Bとなり、色差信号(Cb,Cr)は、Cb=0.564×(B−Y)、Cr=0.713×(R−Y)として算出することができる。なお、上記のカラーマトリクスとしてSDTVのものを用いた例について説明したが、これに限定されるものではない。他のカラーマトリクス、例えばHDTV用のY,Pb,Prを用いてもよい。
【0049】
また、輝度合成部23bは輝度信号(Y)と赤外信号(Ir)とを合成した輝度合成信号を出力する。輝度合成部23bは、加算器により輝度信号と赤外信号とを所定の比率(例えば、1:1)で加算する。このように、カラー信号処理部23は、輝度信号に赤外信号を合成して必要とする撮影映像の輝度成分を確保したカラー映像信号を出力する。
【0050】
なお、図9に示すように、赤外信号から来訪者4の輪郭情報を抽出した輪郭信号を生成する輪郭生成部24と、赤外信号と輪郭信号とを混合する混合部25とを備え、輝度合成部23bが可視光の光量が光量設定基準値より大きくなるのに応じて、赤外信号の高周波成分の割合を高めた信号(以下、この信号を「混合信号」と記す)と輝度信号とを合成した輝度合成信号を出力するようにしてもよい。混合部25は発光制御部9e(図2)から可視光の光量情報を取得し、この光量情報に基づいて赤外信号と輪郭信号との混合比率を変更する。輝度合成部23bは、図9の例では、輝度信号と混合信号とを所定の比率(例えば、1:1)で加算して、合成する。
【0051】
輪郭生成部24は、赤外信号の高周波成分を抽出する公知のバンドパスフィルタ(BPF)から構成される。また混合部25は、発光制御部9eからの光量情報として、例えば図5に示すような赤外光と可視光との光量情報が得られた場合、図10の曲線Aに示す混合比率で赤外信号と輪郭信号とを混合した混合信号を出力する。すなわち、混合部25は、可視光の光量が光量設定基準値Wa(図5中の時間で時間t2のときの値)より大きくなるのに応じて、図10に示すように混合比率を0.0から1.0まで高め、これにより赤外信号の高周波成分の割合を時間で時間t2から時間t3の区間で0%から100%まで高めた混合信号を出力する。
【0052】
これにより、輝度合成部23bは、可視光の輝度の立ち上がり区間(図10の時間で時間0〜時間t2の区間)では撮影映像の輝度成分を赤外信号により確保し、可視光の光量が増加される(図10の時間で時間t2から時間t3の区間)のに応じて撮影映像内の来訪者4の輪郭情報である赤外信号の高周波成分(輪郭信号)の割合を高めるようした輝度合成信号を出力する。また、可視光の光量が立ち上がった後(時間t3の後)では、輝度信号と輪郭信号との合成となるので、撮影映像中の来訪者4の輪郭領域外では主に輝度信号から色合いの情報が得られるので可視光と赤外光との反射特性の違いが原因で発生する撮影映像の色合いの変化は抑えられる。
【0053】
すなわち、カラー信号処理部23では、輝度信号から色合いの情報、赤外信号の高周波成分から来訪者4の輪郭情報を得ることができるので、視覚がもつ色合いの感覚に近い輪郭の明瞭なカラー映像信号を出力することができる。この実施の形態の例によれば、カラー信号処理部23は、来訪者4にとって照明光の眩しさを抑えながら必要とする撮影映像の輝度成分を確保でき、色合いが自然なものに近いカラー映像信号を出力することができる。
【0054】
次に、図11を参照しながら、テレビドアホン装置1の動作について説明する。図11は本発明の実施の形態におけるテレビドアホン装置1の動作を示すフローチャートである。
【0055】
図11に示すように、テレビドアホン装置1は子機2の呼出ボタン6が来訪者4により押下されると(S100)、子機2内の撮像装置9が撮影を開始する。これにより、撮像装置9の発光制御部9eにより、赤外光および可視光の光量を制御しながら来訪者4を照明する(S102)。
【0056】
次にテレビドアホン装置1は、子機制御部7により、来訪者4により呼出ボタン6が押下されたことを親機3の親機制御部11へ呼出通知すると共に子機通話部8を作動させる。親機3の親機制御部11は子機2からの呼出通知により親機通話部12、表示装置13および録画装置14を作動させる。これにより、テレビドアホン装置1は、子機2から出力されるカラー映像信号を親機3で受信し、カラー映像信号(色差信号、輝度信号)に基づいて親機3の表示パネル13bにカラーの撮影映像を表示する。また、子機通話部8と親機通話部12との間で音声信号の入出力を行い通話可能状態にする。これにより、居住者5は表示パネル13bにより来訪者4の撮影映像を確認しながら来訪者4と通話ができる。また、子機2は来訪者4の撮影を開始し、親機3はカラー映像信号を録画装置14に録画する(S104、S106)。
【0057】
次にテレビドアホン装置1は、図5に示すように、撮影開始後直ぐに赤外光を撮影映像に必要となる輝度に相当する光量で発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに所定の時間までに所定の値まで増加させる(S108、S110)。例えば、時間0〜時間t1の区間で赤外光の光量を短時間に十分な光量まで増加させ、時間0〜時間t3の区間で可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる。このようにして、来訪者4の目を可視光に明順応させ、可視光が眩しくならないように可視光の光量を徐々に増加させている。
【0058】
次にテレビドアホン装置1は、居住者5が来訪者4との通話が終了したことで押下される親機3の操作ボタン10からの信号を親機制御部11が受けると、親機制御部11は親機通話部12、表示装置13および録画装置14を停止状態にし、録画装置14の録画を終了する。また、親機3の親機制御部11から子機制御部7に応答終了の信号を通知し、子機2は子機制御部7により子機通話部8および撮像装置9の撮影動作を終了させる(S112、S114)。
【0059】
以上のように本実施の形態によれば、図2、図6に示すように、撮像装置9は、被写体を照明する撮影用赤外光源部9aと、被写体を照明する撮影用可視光源部9bと、被写体を撮影する撮像部9cと、撮影用赤外光源部9aおよび撮影用可視光源部9bの発光を制御する発光制御部9eとを備え、発光制御部9eは、撮像部9cで撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成とした。この構成により、撮像装置9は、撮影開始と同時に先に被写体にとって眩しくない赤外光により撮影映像に必要となる輝度を得、その後で赤外光より緩やかに光量が増加される可視光により視認性のよいカラー映像信号を得ることができる。すなわち、撮像装置9は撮影開始後直ぐに被写体を撮影するのに必要となる撮影映像の輝度成分を赤外光により確保し、可視光は目の順応に合わせて赤外光より緩やかに光量を増加させる。これにより、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラー映像信号を得る場合であっても、撮影開始後直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることができる。
【0060】
また本実施の形態のテレビドアホン装置1は、撮像装置9と、来訪者4が居住者5を呼出すための呼出ボタン6を有する子機2と、撮像装置9により撮影して得たカラー映像信号を記録する録画装置14とを有する親機3とを備え、子機2の呼出ボタン6が押下されたときに、撮像装置9が静止画像または動画像の撮影を開始すると共に親機3が録画装置14によりカラー映像信号の録画(静止画像または動画像)を開始する構成としたので、暗い場所で来訪者4にとって照明される光が眩しくないように撮影でき、撮影開始後から直ぐに視認性のよいカラー映像信号を録画装置14に録画することができ、録画を再生するときに来訪者4の判別が容易となる。これにより、呼出ボタン6が押下されてから1〜5秒くらいの間に映る可能性がきわめて高い呼出ボタン6の押し逃げなどをする者を撮りそこなうことなく、録画装置14に来訪者4のカラー映像信号を録画することができる。
【0061】
なお、図7の色分解フィルタ21の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図12は図7に示す色分解フィルタ21の他の例を示す構成図であり、色分解フィルタ30は、各フィルタには各色成分領域それぞれと赤外領域とを透過する2バンド透過特性を有するフィルタとなっている。この色分解フィルタ30は、赤成分(R)だけでなく赤外成分(Ir)の光を透過させる赤・赤外フィルタ30aと、緑成分(G)だけでなく赤外成分(Ir)の光を透過させる緑・赤外フィルタ30bと、青成分(B)だけでなく赤外成分(Ir)の光を透過させる青・赤外フィルタ30cと、赤外成分(Ir)の光のみを透過させる赤外フィルタ30dとを備え、最小単位が2×2で構成されている。この構成により、色分解フィルタ21に比べて、色分解フィルタ30では赤外光を透過させる領域の大きさを4倍にし、受光素子22における赤外光の受光量が多くなる。このため、暗い場所でも撮像装置9により撮影映像の輝度成分が得やすく、視認性のよい撮影映像を得ることができる。この色分解フィルタ30を用いる場合、原色信号の各色信号は赤外成分を含むので受光素子22の後段に各色信号から赤外信号(Ir)を引き算して赤外成分を除去する減算器(図示せず)を設け、各原色信号を抽出する。これにより、図6の場合と同様に、各原色信号から彩度の高いカラー映像信号を得ることができる。
【0062】
また、さらに他の構成の色分解フィルタを用いてもよい。例えば図13は図7に示す色分解フィルタ21のさらに他の例を示す構成図であり、色分解フィルタ31の個々のフィルタは可視光波長領域の各色成分と赤外波長領域とを透過する2バンド透過特性を有する。この色分解フィルタ31は、赤成分(R)だけでなく赤外成分(Ir)の光を透過させる赤・赤外フィルタ31aと、緑成分(G)だけでなく赤外成分(Ir)の光を透過させる緑・赤外フィルタ31bと、青成分(B)だけでなく赤外成分(Ir)の光を透過させる青・赤外フィルタ31cとを備え、最小単位が2×2で構成されている。このような構成により、色分解フィルタ21に比べて、色分解フィルタ31では赤外光を透過させる領域の大きさを4倍にし、受光素子22における赤外光の受光量を多くすることができる。
【0063】
この色分解フィルタ31を用いる場合、カラー信号処理部23に代えてカラー信号処理部26を用いる。すなわち、図14に示すように、カラー信号処理部26は、輝度色差変換部26aと色差補正部26bとを備えている。
【0064】
輝度色差変換部26aは、赤外成分が重畳された複数の色信号である混合色信号(R+Ir,G+Ir,B+Ir)を輝度信号と色差信号(例えば、Cr信号、Cb信号)とに変換する。これにより、輝度色差変換部26aから出力される輝度信号には赤外成分が含まれているためコントラストの高い撮影映像が得られ、暗い場所で撮影しても来訪者4の顔部の検出がしやすい。
【0065】
ところで、図14の撮像装置9では、撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に赤外光より緩やかに可視光の光量を増加させているので、赤外光と可視光との光量比率が大きく変化する。このため、輝度色差変換部26aにより色変換して得た輝度信号と色差信号とをカラー映像信号としてそのまま出力すると不具合が発生する場合がある。すなわち、色分解フィルタ31を構成している各フィルタの色バランス特性の違いから、輝度色差変換部26aで色変換された結果で、色合いが薄くなる、色が破綻するなどの不具合を生じる場合がある。
【0066】
そこで、図14のカラー信号処理部26では、輝度色差変換部26aの後段に色差信号の彩度を補正する色差補正部26bを設け、この色差補正部26bに色バランスに応じて、色差信号の彩度を補正した補正色差信号を出力させるようにした。すなわち、色分解フィルタ31の色分解特性において、例えば図16に示すように、RGB各フィルタの赤外波長領域における透過率がすべて破線IrとなるようにRGB各フィルタ間でバランスが取れている場合、各色信号に重畳されている赤外成分が多くなると、輝度信号に対して色差信号(Cr,Cb)は赤外成分ほど嵩上げされた薄い色合いとなる。この場合、色差補正部26bは、図15に示すように、可視光に対する赤外光の光量比率が比率設定基準値(例えば、図15に示す光量比率で0.25)より大きくなるのに応じて色差信号の彩度を高くなるように補正する。すなわち、色差信号(Cr,Cb)の各Cr、Cbの値を1.0倍から2.0倍にする。カラー信号処理部26は、この補正により色差信号の彩度を高くすることができ、輝度信号と彩度を高くした補正色差信号とをカラー映像信号として出力することで、色合いの濃い視認性を高めたカラー映像信号を出力することができる。
【0067】
一方、色分解フィルタ31の色分解特性において、例えば図16に示すように、赤外波長領域における透過率がRGB各フィルタ間でバランスが取れていない場合(例えば、図16中のIr(R),Ir(G),Ir(B)のようにバランスが取れていない場合)、各色信号に重畳されている赤外成分の量が変化すると混合色信号のバランスが崩れ、不自然な色になるなど破綻する場合もある。この場合、色差補正部26bは、図17に示すように、可視光に対する赤外光の光量比率が比率設定基準値(例えば、図17に示す光量比率で0.25)より大きくなるのに応じて色差信号の彩度が低くなるように補正する。すなわち、色差信号(Cr,Cb)の各Cr、Cbの値を1.0倍から0.5倍にする。色差信号の彩度を低く補正して色を薄くしてモノクロに近い画像にし、この輝度信号と彩度を低くした補正色差信号とをカラー映像信号として出力することにより、赤外光の光量比率が可視光に対して高くなったときに、色が緑色に変わるなど実際とかけ離れた色に変化するのを抑え、これにより撮影映像でも来訪者4の色合いが薄くなり識別性は低下するものの、まったく違う色になるなど誤判別するのを防ぐことができる。
【0068】
また、本実施の形態では図2の撮像装置9に撮影用赤外光源部9aと撮影用可視光源部9bとを設け、子機本体2aに予め取り付けているが、撮影用赤外光源部9aと撮影用可視光源部9bとを着脱自在にし、後でオプション光源として取り付けられるようにしてもよい。この場合、オプション光源が取り付けられたときに、オプション光源と撮像部9cとが連動して動作するようにする。また、外設されている撮影用赤外光源部9aと撮影用可視光源部9bとを発光制御部9eに電気的に接続するようにして、発光制御部9eにより赤外光および可視光の光量を制御するようにしてもよい。
【0069】
また、撮像装置9では、図5に示すように、撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に赤外光より緩やかに可視光の光量を増加させるようにしているが、これに限定されるものではない。可視光の光量を増加させるのに伴って必要な輝度が確保されるのに応じて、赤外光の光量を低減させるようにしてもよい。これにより、撮像装置9で得られるカラー映像信号の色の再現性をよくすることができる。また、撮像装置9の消費電力を下げることができる。
【0070】
また、本実施の形態ではテレビドアホン装置1を用いて説明したが、暗い場所でも照明による眩しさを抑えて鮮明なカラー画像を得ることができるため、夜間に人物や動物を撮影する電子機器(例えば、監視カメラ、デジタルカメラ、デジタルムービ、携帯電話など)にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように本発明は、被写体を照明する撮影用赤外光源部と、被写体を照明する撮影用可視光源部と、被写体を撮影する撮像部と、撮影用赤外光源部および撮影用可視光源部の発光を制御する発光制御部とを備え、発光制御部は、撮像部で撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成としたので、撮影開始と同時に先に被写体にとって眩しくない赤外光により撮影映像に必要となる輝度を得、その後で赤外光より緩やかに光量が増加される可視光により視認性のよいカラー映像信号を得ることができる。すなわち、撮影開始後から被写体を撮影するのに必要となる撮影映像の輝度成分を赤外光により確保し、可視光は目の順応に合わせて赤外光より緩やかに光量を増加させる。これにより、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラー映像信号を得る場合であっても、撮影開始後、直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることができる。
【0072】
このため、例えばテレビドアホン装置に上記した撮像装置を備え、来訪者の撮影映像を録画装置に録画する場合でも、撮影開始後、直ぐに視認性のよい撮影映像を録画装置に録画でき、録画を再生するときに来訪者の判別が容易になる。これにより、呼出ボタンが押下されてから1〜5秒くらいの間に映る可能性がきわめて高い呼出ボタンの押し逃げなどをする者を撮りそこなうことなく、録画装置に録画することができる。
【0073】
これにより、暗い場所で被写体にとって照明される光が眩しくならないようにカラーの撮影映像を得る場合であっても、撮影開始後、直ぐに被写体の視認性をよくし判別しやすくすることを可能とする撮像装置、テレビドアホン装置、監視カメラ、デジタルカメラ、デジタルムービ、携帯電話などに有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン装置の概略構成図
【図2】同テレビドアホン装置の回路ブロック図
【図3】同テレビドアホン装置の子機の正面図
【図4】同テレビドアホン装置の親機の正面図
【図5】本発明の実施の形態における撮像装置の発光制御部の制御特性を説明する特性図
【図6】同撮像装置内の撮像部のブロック図
【図7】同撮像装置内における撮像部の色分解フィルタの構成図
【図8】図7に示す色分解フィルタの光透過特性を示す特性図
【図9】同撮像装置内における撮像部の輪郭生成部および混合部を説明するブロック図
【図10】図9の混合部の制御例を示す特性図
【図11】本発明の実施の形態におけるテレビドアホン装置の動作を示すフローチャート
【図12】図7に示す色分解フィルタの他の例を示す構成図
【図13】図7に示す色分解フィルタのさらに他の例を示す構成図
【図14】本発明の実施の形態における撮像装置内の撮像部の他の例を示すブロック図
【図15】同撮像装置内における撮像部の色差補正部の特性例を示す特性図
【図16】図13に示す色分解フィルタの光透過特性を示す特性図
【図17】本発明の実施の形態における撮像装置内の撮像部の色差補正部の他の特性例を示す特性図
【符号の説明】
【0075】
1 テレビドアホン装置
2 子機
2a 子機本体
3 親機
3a 親機本体
4 来訪者
5 居住者
6 呼出ボタン
7 子機制御部
8 子機通話部
8a,12a マイク
8b,12b スピーカ
8c,12c 通話I/F
9 撮像装置
9a 撮影用赤外光源部
9b 撮影用可視光源部
9c 撮像部
9d,13a 映像I/F
9e 発光制御部
10 操作ボタン
11 親機制御部
12 親機通話部
13 表示装置
13b 表示パネル
14 録画装置
20 レンズ部
21,30,31 色分解フィルタ
22 受光素子
23,26 カラー信号処理部
23a,26a 輝度色差変換部
23b 輝度合成部
24 輪郭生成部
25 混合部
26b 色差補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を照明する撮影用赤外光源部と、
前記被写体を照明する撮影用可視光源部と、
前記被写体を撮影する撮像部と、
前記撮影用赤外光源部および前記撮影用可視光源部の発光を制御する発光制御部とを備え、
前記発光制御部は、前記撮像部で撮影を開始するときに赤外光を発光開始させると共に、この発光開始後、時間経過と共に可視光の光量を赤外光より緩やかに増加させる構成としたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部は、
入射される入射光を複数の色成分と赤外成分とに分解する色分解フィルタと、
前記色分解フィルタを介して前記入射光を受光し、前記複数の色成分に対応した複数の色信号と前記赤外成分に対応した赤外信号とを出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された前記複数の色信号を色差信号と輝度信号とに変換する輝度色差変換部と、
前記輝度信号と前記赤外信号とを合成した輝度合成信号を出力する輝度合成部とを備え、
前記輝度色差変換部から出力された前記色差信号と前記輝度合成部から出力された前記輝度合成信号とをカラー映像信号として出力する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記可視光の光量が光量設定基準値より大きくなるのに応じて、前記赤外信号の高周波成分の割合を高めた信号と前記輝度信号とを合成することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部は、
入射される入射光を赤外成分をそれぞれ含む複数の色成分に分解する色分解フィルタと、
前記色分解フィルタを介して前記入射光を受光し、前記赤外成分が重畳された複数の色信号を出力する受光素子と、
前記受光素子から出力された前記複数の色信号を色差信号と輝度信号とに変換する輝度色差変換部と、
前記発光制御部により制御される可視光と赤外光との光量比率に基づいて前記輝度色差変換部から出力された前記色差信号の彩度を補正した補正色差信号を出力する色差補正部とを備え、
前記輝度色差変換部から出力された前記輝度信号と前記色差補正部から出力された前記補正色差信号とをカラー映像信号として出力する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記色差補正部は、可視光に対する赤外光の光量比率が比率設定基準値より大きくなるのに応じて前記色差信号の彩度を高く補正した前記補正色差信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記色差補正部は、可視光に対する赤外光の光量比率が比率設定基準値より大きくなるのに応じて前記色差信号の彩度を低く補正した前記補正色差信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置と、
来訪者が居住者を呼出すための呼出ボタンを有する子機と、
前記撮像装置により撮影して得たカラー映像信号を記録する録画装置と、
前記子機からの前記呼出ボタンの押下に応じて前記撮像装置と前記録画装置とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記子機の前記呼出ボタンが押下されたときに、前記撮像装置の撮影を開始させる共に前記録画装置により前記カラー映像信号の録画を開始させる構成としたことを特徴とするテレビドアホン装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−212941(P2010−212941A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56208(P2009−56208)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】