説明

撮像装置の遠隔操作システム、遠隔操作方法、双方向通信システム、および双方向通信方法

【課題】通信可能に接続された撮像装置10の撮像方向を迅速、容易、かつ直感的に操作できるようにする。
【解決手段】ユーザが表示装置20の表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出部(水平角度センサ23,垂直角度センサ24)と、角度検出部の検出した回転角度に応じて撮像装置10に備えられる撮像部11の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出部(水平回転角度算出部29,垂直回転角度算出部30)と、撮像部11の撮像方向を回転させる回転部(水平回転部12,垂直回転部13)と、回転角度算出部が算出した回転角度に応じて撮像部11の撮像方向を回転させるように回転部の動作を制御する撮像制御部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と当該撮像装置によって撮像した画像を表示する表示装置とがネットワークを介して接続された通信システムにおいて表示装置側から撮像装置の撮像方向の操作を行う遠隔操作システムおよび遠隔操作方法、並びに、上記遠隔操作システムを用いて双方向通信を行う双方向通信システムおよび双方向通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置と撮像装置とを通信ネットワークを介して接続し、撮像装置で撮像した画像を表示装置に表示させる通信システムが知られている。このようなシステムの一例としては、例えばテレビ会議システムやテレビ電話システムなどがあげられる。
【0003】
ところで、この種の通信システムにおいて、表示装置の観察者が撮像装置の撮影範囲外のものを見たい場合には、遠隔地の撮像装置の近傍にいる者に連絡を取り、撮像装置を移動させてもらう必要がある。ところが、例えばテレビ会議システムやテレビ電話システムにおいて、相手方の会議室にいる者と連絡を取って撮像装置を移動してもらうようにすると、会議や会話が頻繁に中断されてしまう。
【0004】
このような問題を解消するための技術として、例えば、特許文献1には、撮像手段によって撮像した画像と、撮像手段の撮像動作に関する指示入力を行うための制御メニューとをマルチウィンドウ表示機能を用いて表示させ、ポインティングデバイスを用いた制御メニューに対するユーザからの入力に応じて撮像手段の撮像動作を制御する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、遠隔地のカメラで撮像した映像を、遠隔映像制御装置を介して携帯端末に送信して携帯端末に表示させる構成において、携帯端末のカメラで撮像した映像の時間的変化に基づいて携帯端末の移動または回転を検出し、検出結果に応じて遠隔地のカメラの撮影動作を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−135594号公報(平成7年5月23日公開)
【特許文献2】特開2004−128997号公報(平成16年4月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、撮像手段の操作を行う際にユーザがポインティングデバイスの操作を行う必要があるので、ユーザにとって煩わしい操作が必要であり、また直感的な操作を行うことが困難であるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2の技術では、携帯端末のカメラで撮像した映像の時間的変化を検出する必要があるので、(i)検出処理を行うための複雑な構成が必要であり、装置構成の複雑化およびコストの増大を招いてしまう、(ii)検出処理に時間がかかるので遠隔地のカメラの撮像動作をリアルタイムに制御することが困難である、(iii)検出処理を精度よく行うことが困難なため、遠隔地のカメラにユーザの意図した撮像動作を行わせることが困難である、といった問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信可能に接続された撮像装置の撮像方向を迅速、容易、かつ直感的に操作することのできる撮像装置の遠隔操作システムおよび遠隔操作方法、上記遠隔操作システムを用いた双方向通信システムおよび双方向通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の遠隔操作システムは、所定方向の画像を撮像して画像データを生成する撮像部と上記撮像部の撮像方向を回転させる回転部とを備えた撮像装置と、上記撮像部によって生成された画像データを表示する表示画面を有する表示部を備えた表示装置とが通信ネットワークを介して通信可能に接続された表示システムにおいて上記表示装置を介して上記撮像部の撮像方向の操作を行う撮像装置の遠隔操作システムであって、上記表示装置は、ユーザが上記表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出センサを備え、上記撮像装置または上記表示装置は、上記角度検出センサの検出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出部を備えており、上記回転部は、上記回転角度算出部が算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の遠隔操作方法は、所定方向の画像を撮像して画像データを生成する撮像部と上記撮像部の撮像方向を回転させる回転部とを備えた撮像装置と、上記撮像部によって生成された画像データを表示する表示画面を有する表示装置とが通信ネットワークを介して通信可能に接続された表示システムにおいて上記表示装置を介して上記撮像部の撮像方向の操作を行う撮像装置の遠隔操作方法であって、ユーザが上記表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出工程と、上記角度検出工程で検出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出工程と、上記撮像装置に備えられる撮像制御部が上記回転部の動作を制御し、上記回転角度算出工程で算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる撮像方向回転工程とを含むことを特徴としている。
【0012】
上記の遠隔操作システムおよび遠隔操作方法によれば、ユーザが上記表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出し、検出した回転角度に応じて撮像部の撮像方向の回転角度を算出し、算出した回転角度に応じて撮像部の撮像方向を回転させる。これにより、ユーザは、表示画面を回転させることにより、その回転角度に応じて撮像部の撮像方向を操作することができるので、撮像部の撮像方向を迅速、容易、かつ直感的に操作することができる。また、表示画面に表示される画像は撮像部によって撮像された画像データに応じた画像なので、撮像部の撮像方向の移動方向と表示画面に表示される画像の移動方向とは一致している。このため、ユーザは表示画面に表示されている画像を見ながら撮像部の撮像方向を操作することができるので、撮像部の撮像方向をより直感的に操作することができる。
【0013】
また、上記表示装置は、当該表示装置を被載置面に載置するための台座と、上記表示部を上記台座に対して相対的に回転可能に支持する支持部とを有し、上記角度検出センサは、上記台座に対する上記表示画面の回転角度を検出する構成としてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、表示画面の回転角度を容易に検出することができる。
【0015】
また、上記回転部は、上記撮像部の撮像方向を互いに垂直な2方向に回転可能であり、上記支持部は、上記表示部を上記台座に対して互いに垂直な第1方向および第2方向に回転可能に支持しており、上記角度検出センサは、上記表示部の上記台座に対する上記第1方向および第2方向の回転角度を検出し、上記回転角度算出部は、上記角度検出センサによる上記各方向の回転角度の検出結果に応じて上記撮像部の撮像方向の上記2方向についての回転角度をそれぞれ算出し、上記回転部は、上記回転角度算出部が算出した上記2方向についての回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、表示画面の第1方向および第2方向(例えば被載置面に平行な方向および垂直な方向)の回転角度を検出し、これら両回転角度に応じて、撮像部の2方向の回転角度を算出することができる。したがって、ユーザが撮像部の撮像方向を互いに直交する2方向(例えば水平方向および垂直方向)に制御することができる。
【0017】
また、ユーザが上記表示画面を観察する位置として想定される位置である観察位置を中心とする円弧状の軌道面を有し、上記表示部を上記軌道面に沿って平行移動可能に支持するレール部材を備え、上記角度検出センサは、上記観察位置を中心とする上記軌道面に沿った上記表示部の回転角度を検出する構成としてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、表示画面を観察するユーザを中心とする表示画面の回転角度を検出し、それに応じて撮像部の撮像方向を操作することができる。したがって、ユーザがより直感的に撮像部の撮像方向を制御することができる。
【0019】
また、上記回転部は、上記撮像部の撮像方向を互いに垂直な2方向に回転可能であり、上記表示装置は、上記レール部材を、上記観察位置を通る直線を軸として上記軌道面に垂直な方向に回転可能に支持するレール支持部を備え、上記角度検出センサは、上記観察位置を中心とする上記軌道面に沿った上記表示部の回転角度と、上記レール部材の上記軸を中心とする回転角度とを検出し、上記回転角度算出部は、上記角度検出センサによる上記軌道面に沿った上記表示部の回転角度および上記レール部材の上記軸を中心とする回転角度の検出結果に応じて上記撮像部の撮像方向の上記2方向についての回転角度をそれぞれ算出し、上記回転部は、上記回転角度算出部が算出した上記各回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、観察位置を中心とするレール部材の軌道面に沿った回転角度と、観察位置を通る直線を軸とするレール部材の回転角度とを検出し、これら両回転角度に応じて、撮像部についての2方向の回転角度を算出することができる。したがって、ユーザが撮像部の撮像方向を互いに直交する2方向に制御することができる。
【0021】
また、ユーザによる上記表示画面の向きの回転動作に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる撮像方向制御モードと、上記回転動作に応じた上記撮像部の撮像方向の回転を行わない撮像方向非制御モードとをユーザが任意に切り替えるための撮像制御切替手段を備えており、撮像方向制御モードが選択されている場合にのみ、上記角度検出センサの検出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、表示画面の回転に応じて撮像部の撮像方向を回転させるか否かをユーザが任意に設定することができる。これにより、例えば、撮像部の撮像方向を変化させることなく表示画面の向きだけを変更することができる。
【0023】
また、上記角度検出センサの検出した上記回転角度に対する上記撮像部の回転角度の比率をユーザが調整するための回転比率調節手段を備え、上記回転角度算出部は、上記角度検出センサの検出した上記回転角度と、上記回転比率調節手段を介してユーザが指示した上記比率とに基づいて上記撮像部の回転角度を算出する構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、表示画面の回転角度に対する撮像部の撮像方向の回転角度の比率をユーザが任意に設定することができる。
【0025】
本発明の双方向通信システムは、上記したいずれかの遠隔操作システムに備えられる上記撮像装置と上記表示装置とを2組用い、第1会場に配置される第1の上記撮像装置で撮像した画像データを第2会場に配置される第1の上記表示装置に表示させ、第2会場に配置される第2の上記撮像装置で撮像した画像データを第1会場に配置される第2の上記表示装置に表示させる双方向通信システムであって、第1の上記表示装置に備えられる上記角度検出センサの検出した上記表示画面の回転角度に応じて第1の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向を回転させ、第2の上記表示装置に備えられる上記角度検出センサの検出した上記表示画面の回転角度に応じて第2の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の双方向通信方法は、上記したいずれかの遠隔操作システムに備えられる上記撮像装置と上記表示装置とを2組用い、第1会場に配置される第1の上記撮像装置で撮像した画像データを第2会場に配置される第1の上記表示装置に表示させ、第2会場に配置される第2の上記撮像装置で撮像した画像データを第1会場に配置される第2の上記表示装置に表示させる双方向通信方法であって、第2会場のユーザが第1の上記表示装置に備えられる表示画面の向きを回転させたときに、当該回転の回転角度を検出する第1角度検出工程と、上記第1角度検出工程で検出した上記回転角度に応じて第1の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する第1角度算出工程と、第1の上記撮像装置に備えられる撮像制御部が当該撮像装置に備えられる上記回転部の動作を制御し、上記第1角度算出工程で算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる第1撮像方向回転工程と、第1会場のユーザが第2の上記表示装置に備えられる表示画面の向きを回転させたときに、当該回転の回転角度を検出する第2角度検出工程と、上記第2角度検出工程で検出した上記回転角度に応じて第2の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する第2角度算出工程と、第2の上記撮像装置に備えられる撮像制御部が当該撮像装置に備えられる上記回転部の動作を制御し、上記第2角度算出工程で算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転第2撮像方向回転工程とを含むことを特徴としている。
【0027】
上記の双方向通信システムおよび双方向通信システムによれば、第1会場の撮像装置で撮像した画像を第2会場の表示装置に表示させ、第2会場の撮像装置で撮像した画像を第1会場の表示装置に表示させる双方向通信システム(例えばテレビ会議システムやテレビ電話システムなど)において、一方の会場の表示装置を回転させることによって他方の会場の撮像装置の撮像方向を操作することができる。したがって、相手方の撮像装置の撮像方向を迅速、容易、かつ直感的に操作することのできる双方向通信システムを実現できる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明の遠隔操作システムは、表示装置が、ユーザが上記表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出センサを備え、撮像装置または表示装置が、角度検出センサの検出した回転角度に応じて撮像部の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出部を備えており、回転部が、回転角度算出部が算出した回転角度に応じて撮像部の撮像方向を回転させる。
【0029】
また、本発明の遠隔操作方法は、ユーザが表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出工程と、角度検出工程で検出した回転角度に応じて撮像部の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出工程と、撮像装置に備えられる撮像制御部が回転部の動作を制御し、回転角度算出工程で算出した回転角度に応じて撮像部の撮像方向を回転させる撮像方向回転工程とを含む。
【0030】
それゆえ、本発明の遠隔操作システムおよび遠隔操作方法によれば、撮像部の撮像方向を迅速、容易、かつ直感的に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態にかかる遠隔操作システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の遠隔操作システムに備えられる表示装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2の表示装置に備えられる表示パネルの模式図である。
【図4】図1に示した遠隔操作システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1に示した遠隔操作システムの動作を示す説明図である。
【図6】図1に示した遠隔操作システムの動作を示す説明図である。
【図7】図1に示した遠隔操作システムを用いた双方向通信システムを示す説明図である。
【図8】図1の遠隔操作システムに備えられる表示装置の変形例を示す説明図である。
【図9】図8に示した表示装置を用いた遠隔操作システムの動作を示す説明図である。
【図10】図8に示した表示装置を用いた遠隔操作システムの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の一実施形態について説明する。
【0033】
(1−1.遠隔操作システム1の構成)
図1は、本実施形態にかかる遠隔操作システム1の構成を示すブロック図である。この図に示したように、遠隔操作システム1は、撮像装置10と表示装置20とが通信ネットワーク2を介して接続された構成である。
【0034】
なお、通信ネットワーク2の構成は特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワーク2を構成する伝送媒体についても特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でもよく、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でもよい。
【0035】
撮像装置10は、撮像部11、水平回転部12、垂直回転部13、通信部14、記憶部15、および撮像制御部16を備えている。
【0036】
撮像部11は、所定方向の画像を撮像して撮像結果に応じた画像データを生成するものであり、例えばCCD素子を用いたものなど、従来から公知の種々の撮像手段を用いることができる。
【0037】
水平回転部12は、モータやギア等からなる回転駆動手段(図示せず)によって撮像部11を水平方向に回転させ、それによって撮像部11の撮像方向を水平方向に移動させるものである。
【0038】
垂直回転部13は、モータやギア等からなる回転駆動手段(図示せず)によって撮像部11を垂直方向(水平方向に対して垂直な面内方向)に回転させ、それによって撮像部11の撮像方向を垂直方向に移動させるものである。
【0039】
通信部14は、通信ネットワーク2を介して表示装置20との間で通信を行うものであり、撮像部11で撮像した画像データを表示装置20に送信するとともに、表示装置20から撮像部11の撮像処理に関する制御情報等を受信する。
【0040】
記憶部15は、撮像装置10の各部の動作を制御するための各種設定値、データテーブル、プログラムなどを記憶するものである。記憶部15としては、従来から公知の種々の記憶手段、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などを用いることができる。
【0041】
撮像制御部16は、撮像装置10に備えられる各部の動作を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。撮像制御部16は、記憶部15に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラムを取り出して演算処理や判定処理を行い、これらの処理結果に基づいて撮像装置10の各部に制御信号を送って各部の動作を制御する。
【0042】
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、通信部14が通信ネットワークを介して表示装置20から受信した制御情報に基づいて水平回転部12および垂直回転部13の動作を制御して撮像部11の撮像方向を回転させるようになっている。
【0043】
表示装置20は、表示パネル(表示部)21、表示制御部22、水平角度センサ(角度検出センサ)23、垂直角度センサ(角度検出センサ)24、撮像制御切替スイッチ(撮像制御切替手段)25、回転比率調節ツマミ(回転比率調節手段)26、指示入力部27、記憶部28、水平回転角度算出部(回転角度算出部)29、垂直回転角度算出部(回転角度算出部)30、通信部31、および制御部32を備えている。
【0044】
表示パネル21は画像データに応じた画像を表示する表示手段である。表示パネル21の構成は特に限定されるものではないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT(cathode ray tube)などを用いることができる。
【0045】
表示制御部22は、画像データに応じて表示パネル21を制御し、その画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる。例えば、表示制御部22は、通信部31が通信ネットワーク2を介して撮像装置10から受信した画像データ(撮像装置10の撮像部11で撮像された画像データ)に応じた画像を表示パネル21に表示させる。
【0046】
水平角度センサ23は表示パネル21の基準位置(表示画面の法線方向が観察者の方向を向く位置)に対する水平方向(表示装置20の被載置面に平行な方向)の回転角度x°、すなわち表示パネル21の表示面法線方向の水平方向(第1方向)についての回転角度を検出するセンサである。
【0047】
垂直角度センサ24は表示パネル21の基準位置に対する垂直方向の回転角度y°(水平方向に対して垂直な面内方向についての回転角度)、すなわち表示パネル21の表示面法線方向の垂直方向(第2方向)についての回転角度を検出するセンサである。なお、水平角度センサ23および垂直角度センサ24は、表示パネル21の回転角度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ロータリーポテンショメータなどを用いることができる。
【0048】
撮像制御切替スイッチ25は、表示パネル21の回転角度の検出結果に基づいて撮像部11の撮像方向を制御する撮像方向制御モードと、撮像部11の撮像方向の制御を行わない撮像方向非制御モードとをユーザが任意に切り替えるためのものである。これにより、例えば、撮像装置10の撮像方向を変更させることなく表示パネル21を回転させたい場合には、撮像方向非制御モードを選択して表示パネル21を回転させることで、撮像部11の撮像方向がユーザの意図に反して変更されることを防止できるようになっている。
【0049】
回転比率調節ツマミ26は、水平角度センサ23および垂直角度センサ24の検出した表示パネル21の回転角度に対する撮像部11の撮像方向の回転角度の比率α(水平方向の回転比率α1および垂直方向の回転比率α2)をユーザが任意に調節するためのものである。なお、回転比率調節ツマミ26は、水平方向についての回転比率α1と、垂直方向についての回転比率α2とをそれぞれ別々に調節するものであってもよく、α=α1=α2として両者を共通に調節するものであってもよい。
【0050】
指示入力部27は、表示装置20に対するユーザからの各種指示入力を受け付けるためのものである。例えば、指示入力部27は、表示装置20に対して非接触に備えられるリモコンであってもよく、表示装置20の一部に備えられる各種キー操作ボタン等であってもよい。また、上述した撮像制御切替スイッチ25および回転比率調節ツマミ26は、指示入力部27の一部として備えられていてもよい。
【0051】
記憶部28は、表示装置20の各部の動作を制御するための各種設定値、データテーブル、プログラムなどを記憶するものである。記憶部28としては、従来から公知の種々の記憶手段、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などを用いることができる。
【0052】
水平回転角度算出部29は、水平角度センサ23が検出した表示パネル21の水平方向についての回転角度x°と、回転比率調節ツマミ26を用いて設定された水平方向の回転比率α1とに基づいて撮像部11の水平方向についての回転角度X°=α1・x°を算出する。
【0053】
垂直回転角度算出部30は、垂直角度センサ24が検出した表示パネル21の垂直方向についての回転角度y°と、回転比率調節ツマミ26を用いて設定された垂直方向の回転比率α2とに基づいて撮像部11の垂直方向についての回転角度Y°=α1・y°を算出する。
【0054】
通信部31は、通信ネットワーク2を介して撮像装置10と通信を行うものであり、撮像装置10から撮像部11で撮像された画像データを受信するととともに、水平回転角度算出部29の算出した回転角度X°、および垂直回転角度算出部30の算出した回転角度Y°を示す制御情報を撮像装置10に送信する。
【0055】
なお、本実施形態では、表示装置20の水平回転角度算出部29および垂直回転角度算出部30が撮像部11の回転角度X°,Y°を算出しているが、これに限るものではない。例えば、水平回転角度算出部29および垂直回転角度算出部30を撮像装置10に備え、表示装置20から撮像装置10に上記回転角度x°、上記回転角度y°、上記比率α1、および上記比率α2を送信し、これら各値に基づいて撮像装置10において上記回転角度X°および上記回転角度Y°を算出するようにしてもよい。
【0056】
制御部32は、表示装置20に備えられる各部の動作を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。制御部32は、記憶部28に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラムを取り出して演算処理や判定処理を行い、これらの処理結果に基づいて表示装置20の各部に制御信号を送って各部の動作を制御する。
【0057】
図2は、表示装置20の外観を示す斜視図である。この図に示すように、表示装置20は、台座41、第1支持アーム42、第1回転支持部43、第2支持アーム44、および第2回転支持部45を備えており、これら各部材によって表示パネル21が支持されている。
【0058】
台座41は、表示装置20を机等の被載置面に載置するためのものである。第1支持アーム42の一端は第1回転支持部43によって台座41に対して水平方向に回転可能に取り付けられている。また、第1支持アーム42の他端には第2回転支持部45が設けられており、この第2回転支持部45によって第2支持アーム44の一端が第1支持アーム42に対して垂直方向(第1回点支持部43の台座41に対する回転可能方向に対して垂直な面内方向)に回転可能に支持されている。また、第2支持アーム44の他端には表示パネル21が取り付けられている。
【0059】
これにより、表示パネル21は、台座41(表示装置20の被載置面)に対して水平方向および垂直方向に回転可能に支持されている。なお、表示パネル21を台座41に対して回転させるときには、ユーザが表示パネル21の一部に触れて所望する方向に手動で回転させるようになっている。
【0060】
また、第1回転支持部43の内部には水平角度センサ23が設けられており、第2回転支持部45の内部には垂直角度センサ24が設けられている。
【0061】
なお、本実施形態では、第1回転支持部43と第2回転支持部45とを別々に設けているが、これに限らず、台座41に対して水平方向および垂直方向を含む多方向に回転可能な支持部を介して表示パネル21を支持するようにしてもよい。また、本実施形態では、表示パネル21を台座41に対して水平方向および垂直方向に回転可能としているが、これに限らず、少なくとも1方向に回転可能であればよい。
【0062】
図3は、表示パネル21の外観を示す模式図である。この図に示すように、表示パネル21は、表示画面46と、表示画面46の周囲を囲むように設けられた額縁部47とを備えており、上述した撮像制御切替スイッチ25および回転比率調節ツマミ26は額縁部47に設けられている。なお、指示入力部27を構成する各種スイッチや電源スイッチなどを額縁部47に設けてもよい(いずれも図示せず)。また、指示入力部27がリモコンである場合には、リモコンとの通信を行うための赤外線受光部(図示せず)を額縁部47に設けてもよい。
【0063】
また、図1に示した表示制御部22、記憶部28、水平回転角度算出部29、垂直回転角度算出部30、通信部31、および制御部32の一部または全部を表示パネル21の筐体内あるいは台座41の内部に設けてもよい。
【0064】
(1−2.遠隔操作システム1の動作)
図4は、遠隔操作システム1における処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
まず、撮像装置10の撮像制御部16は、撮像部11を制御して撮像を行わせ、画像データを生成させる(S11)。そして、撮像制御部16は、通信部14を制御し、撮像部11の撮像によって生成された画像データを表示装置20に送信させる(S12)。
【0066】
表示装置20の制御部32は、通信部31を介して撮像装置10から画像データを受信すると(S21)、表示制御部22を制御して受信した画像データに応じた画像を表示パネル21に表示させる(S22)。これにより、撮像装置10で撮像した画像が表示パネル21にリアルタイムに表示されるようになっている。
【0067】
次に、制御部32は、撮像方向制御モードが選択されているか否かを判断する(S23)。すなわち、撮像制御切替スイッチ25がON(撮像方向制御モード)になっているか、あるいはOFF(撮像方向非制御モード)になっているかを判断する。
【0068】
そして、撮像方向制御モードが選択されていると判断した場合、制御部32は、水平角度センサ23に表示パネル21の水平方向についての回転角度x°を検出させ(S24)、垂直角度センサ24に表示パネル21の垂直方向についての回転角度y°を検出させる(S25)。また、制御部32は、検出した回転角度x°およびy°が0であるか否か、すなわちx°=y°=0であるか否かを判断する(S26)。
【0069】
そして、x°=y°=0ではないと判断した場合、すなわちx°およびy°のうちの少なくとも一方が0ではないと判断した場合、制御部32は、水平方向についての回転比率α1、および垂直方向についての回転比率α2を取得する(S27,S28)。例えば、制御部32は、回転比率調節ツマミ26の設定値を検出することで回転比率α1,α2を取得する。
【0070】
次に、制御部32は、水平回転角度算出部29に撮像方向の回転角度X°=α1・x°を算出させ(S29)、垂直回転角度算出部30に撮像方向の回転角度Y°=α2・y°を算出させる(S30)。そして、制御部32は、撮像装置10の撮像方向を水平方向にX°、垂直方向にY°回転させるための撮像制御信号を生成し、通信部31を制御してその撮像制御信号を撮像装置10に送信させる(S31)。
【0071】
一方、S23において撮像方向制御モードが選択されていないと判断した場合、およびS26においてx°およびy°の両方が0°であると判断した場合、制御部32は、撮像装置10によって撮像された画像データの表示を終了するか否かを判断する(S32)。この判断は、例えば、指示入力部27を介して表示終了を示す指示入力がなされたか否かに応じて行えばよい。
【0072】
そして、S32において表示を終了すると判断した場合、制御部32は、撮像を終了させるための撮像制御信号を生成し、通信部31を制御してその撮像制御信号を撮像装置10に送信させ(S32)、処理を終了する。
【0073】
撮像装置10の撮像制御部16は、表示装置20から撮像制御信号を受信すると(S13)、その撮像制御信号が撮像の終了を示すものであるか否かを判断する(S14)。
【0074】
そして、S14において撮像制御信号が撮像の終了を示すものではないと判断した場合、撮像制御部16は、水平回転部12を制御して撮像部11の撮像方向を撮像制御信号に示された水平方向の回転角度X°だけ水平方向に回転させ(S15)、垂直回転部13を制御して撮像部11の撮像方向を撮像制御信号に示された垂直方向の回転角度Y°だけ垂直方向に回転させる(S16)。そして、S11の処理に戻る。
【0075】
一方、撮像の終了を示すものである場合、撮像制御部16は、撮像部11による撮像を終了させ(S17)、処理を終了する。
【0076】
以上のように、本実施形態にかかる遠隔操作システム1では、表示装置20の観察者(ユーザ)による表示パネル21の回転角度x°,y°を検出し、検出した表示パネル21の回転角度x°,y°に基づいて撮像部11の撮像方向の回転角度X°,Y°を算出し、算出した回転角度X°,Y°に応じて撮像制御部16が水平回転部12および垂直回転部14を制御して撮像部11の撮像方向を回転させる。例えば、図5に示すように、表示パネル21の観察者が表示パネル21を水平方向にx°回転させると、撮像装置10の撮像方向がX°=α1・x°だけ水平方向に回転する。
【0077】
これにより、表示パネル21を観察する観察者は、表示パネル21を回転させることによって撮像部11の撮像方向を操作することができるので、撮像部11の撮像方向を迅速、容易、かつ直感的に操作することができる。
【0078】
また、表示パネル21に表示される画像は撮像装置10によって撮像された画像なので、撮像装置10の撮像方向の移動方向と表示パネル21に表示される画像の移動方向とは一致している。このため、観察者は表示パネル21に表示されている画像を見ながら撮像部11の撮像方向をより直感的に操作することができる。
【0079】
例えば、図6に示すように、撮像装置10によって撮像されて表示パネル21に表示された画像に観察者が視認したい被写体Aの全体が含まれない場合に、観察者が表示パネル21を回転させることにより、撮像装置10の撮像方向を回転させ、被写体Aの全体を撮像させて表示させることができる。
【0080】
なお、本実施形態にかかる遠隔操作システム1を2組用いることにより、例えばテレビ会議システムやテレビ電話などの撮像した画像データを双方向に送信する双方向通信システムに用いることもできる。
【0081】
図7は、遠隔操作システム1をテレビ会議システムに適用した場合の様子を示す模式図である。この図に示すように、図7に示す例では、表示装置20aと撮像装置10bとが第1会議室(第1会場)に配置され、表示装置20bと撮像装置10aとが第2会議室(第2会場)に配置されている。撮像装置10a,10bの構成は上述した撮像装置10と同様であり、表示装置20a,20bの構成は上述した表示装置20と同様である。
【0082】
図7の例では、第2会議室に配置された撮像装置10aで撮像された画像が第1会議室に配置された表示装置20aに送信されてこの表示装置20aに表示される。また、表示装置20aをx°回転させると、撮像装置10aの撮像方向がα1・x°回転する。また、第1会議室に配置された撮像装置10bで撮像された画像が第2会議室に配置された表示装置20bに送信されてこの表示装置20bに表示される。また、表示装置20bをx2°回転させると、撮像装置10bの撮像方向がα1・x2°回転する。
【0083】
これにより、例えば、図7に示したように、第2会議室の会議出席者A,B、C,DのうちDが表示装置20aの表示画面に映っていない場合に、観察者が表示装置20aの表示パネル21をDが存在すると思われる方向に回転させることにより、撮像装置10aの撮像方向を回転させてDを撮像させ、表示装置20aにDを表示させることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、表示パネル21の台座41に対する回転角度x°,y°を検出し、その検出結果に応じて撮像装置10の撮像方向を回転させる構成について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
【0085】
例えば、観察者を中心とする表示パネル21の水平方向の回転角度m°および垂直方向の回転角度n°を検出し、その検出結果に応じて撮像装置10の撮像方向を水平方向にX°=α1・m°、垂直方向にY°=α2・n°回転させる構成としてもよい。図8は、その場合の表示装置20の構成例を示す説明図である。
【0086】
図8に示す表示装置20は、図2に示した構成における台座41、第1支持アーム42、第1回転支持部43、第2支持アーム44、および第2回転支持部45に代えて、レール51とレール支持部52a,52bとを備えている。
【0087】
レール51は、観察者の観察位置(観察者が表示パネル21を観察する位置として設定されている位置)を中心とする円弧状に設けられており、ユーザの手動操作によってレール51上を表示パネル21が平行移動できるようになっている。これにより、観察者を中心とする円弧状の軌道に沿って表示パネル21を移動させることができるようになっている。また、この移動の際、表示パネル21の表示面法線方向は常に観察者の方向を向くようになっている。
【0088】
なお、レール51の円弧形状の半径は特に限定されるものではないが、例えば表示パネル21の観察者が1人であることを想定したシステムの場合、その観察者が手を伸ばすことにより表示パネル21に触れて表示パネル21を移動させることができる範囲内(例えば70cm以下)に設定してもよい。また、複数の観察者が表示パネル21を同時に観察することを想定したシステムの場合には、同時に観察する観察者の人数や表示装置20の設置スペースなどを考慮して適宜設定すればよい。
【0089】
レール支持部52a,52bはレール51の両端部に備えられており、レール51を、ユーザが表示パネル21を垂直方向に移動させる手動操作を行うことによってレール51の軌道面(レール51がなす円弧形状に平行な平面)に対して垂直方向(上記軌道面に垂直な面内方向)に回転させることができるように支持している。すなわち、レール支持部52a,52bは、レール部材51を、観察者の観察位置を通る直線を軸として当該レール部材51の軌道面に垂直な方向に回転可能に支持する。
【0090】
また、表示パネル21あるいはレール51には、表示パネル21のレール51に沿った移動量を検出するためのリニアポテンショメータ等の変位センサ(図示せず)が備えられている。また、表示装置20は、上記変位センサの検出結果に基づいて観察者を中心とする表示パネル21の水平方向への回転角度m°、すなわち表示パネル21の表示面法線方向の基準位置に対する水平方向についての回転角度を演算する演算部(図示せず)を備えており、上記変位センサと上記演算部とによって水平角度センサ23が構成されている。
【0091】
また、レール支持部52aおよびレール支持部52bのうちの少なくとも一方には、レール51の基準位置に対する回転角度n°、すなわち表示パネル21の表示面法線方向の基準位置に対する垂直方向についての回転角度を検出するためのロータリーポテンショメータ等の垂直角度センサ24が設けられている。
【0092】
これにより、図9に示すように、観察者が自身を中心として表示パネル21を水平方向にm°回転させると、それに応じて撮像部11の撮像方向を水平方向にα1・m°回転させることができるようになっている。
【0093】
また、例えば、図10に示すように、被写体Aが撮像装置10の撮像範囲から撮像範囲外に移動した場合など、動きのある被写体を撮像して表示する場合に、観察者が表示パネル21を直感的に移動させることによって撮像装置10の撮像方向を操作し、被写体Aを追跡するように撮像部11の撮像方向を回転させて撮像させることができる。なお、被写体を追跡して撮像させる場合、表示パネル21に表示される被写体の移動方向と、撮像方向を被写体の移動方向に移動させるための表示パネル21の回転方向とが一致するので、観察者は表示パネル21を直感的に操作して撮像装置10の撮像方向を操作することができる。
【0094】
なお、本実施形態では、撮像部11の撮像方向を水平方向および垂直方向の2方向に回転できるものとしているが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、互いに垂直な2方向(非水平方向、非垂直方向)に回転させる構成としてもよく、1方向にのみ回転可能な構成としてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、表示パネル21を水平方向および垂直方向の2方向に回転できるものとしているが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、互いに垂直な2方向(非水平方向、非垂直方向)に回転可能な構成としてもよく、水平方向および垂直方向を含む多方向に回転可能な構成としてもよく、1方向にのみ回転可能な構成としてもよい。多方向に回転可能な構成にする場合、表示パネル21の回転方向と回転角度とを検出する角度センサを設け、この角度センサの検出結果に応じて撮像部11の回転方向および回転角度を算出すればよい。
【0096】
また、表示装置20の回転方向の座標系と撮像部11による撮像方向の回転方向の座標系とが非平行である場合には、水平回転角度算出部29および垂直回転角度算出部30がこの座標系の相違を考慮して撮像部11の回転方向および回転角度を算出し、それに応じて撮像部11の回転を制御すればよい。
【0097】
また、上記実施形態における表示装置20に備えられる制御部22、表示制御部22、水平回転角度算出部29、および垂直回転角度算出部30、並びに撮像装置10に備えられる撮像制御部16を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、表示装置20および撮像装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示装置20あるいは撮像装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、表示装置20あるいは撮像装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0098】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0099】
また、表示装置20あるいは表示装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0100】
また、表示装置20および撮像装置10の上記各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0101】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、
【符号の説明】
【0103】
1 遠隔操作システム
2 通信ネットワーク
10,10a,10b 撮像装置
11 撮像部
12 水平回転部(回転部)
13 垂直回転部(回転部)
14 通信部
15 記憶部
16 撮像制御部
20,20a,20b 表示装置
21 表示パネル(表示部)
22 表示制御部
23 水平角度センサ(角度検出センサ)
24 垂直角度センサ(角度検出センサ)
25 撮像制御切替スイッチ(撮像制御切替手段)
26 回転比率調節ツマミ(回転比率調節手段)
27 指示入力部
28 記憶部
29 水平回転角度算出部(回転角度算出部)
30 垂直回転角度算出部(回転角度算出部)
31 通信部
32 制御部
41 台座
42 第1支持アーム(支持部)
43 第1回転支持部(支持部)
44 第2支持アーム(支持部)
45 第2回転支持部(支持部)
46 表示画面
47 額縁部
51 レール
52a,52b レール支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向の画像を撮像して画像データを生成する撮像部と上記撮像部の撮像方向を回転させる回転部とを備えた撮像装置と、上記撮像部によって生成された画像データを表示する表示画面を有する表示部を備えた表示装置とが通信ネットワークを介して通信可能に接続された表示システムにおいて上記表示装置を介して上記撮像部の撮像方向の操作を行う撮像装置の遠隔操作システムであって、
上記表示装置は、ユーザが上記表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出センサを備え、
上記撮像装置または上記表示装置は、上記角度検出センサの検出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出部を備えており、
上記回転部は、上記回転角度算出部が算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
上記表示装置は、当該表示装置を被載置面に載置するための台座と、上記表示部を上記台座に対して相対的に回転可能に支持する支持部とを有し、
上記角度検出センサは、上記台座に対する上記表示画面の回転角度を検出することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
上記回転部は、上記撮像部の撮像方向を互いに垂直な2方向に回転可能であり、
上記支持部は、上記表示部を上記台座に対して互いに垂直な第1方向および第2方向に回転可能に支持しており、
上記角度検出センサは、上記表示部の上記台座に対する上記第1方向および第2方向の回転角度を検出し、
上記回転角度算出部は、上記角度検出センサによる上記各方向の回転角度の検出結果に応じて上記撮像部の撮像方向の上記2方向についての回転角度をそれぞれ算出し、
上記回転部は、上記回転角度算出部が算出した上記2方向についての回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴とする請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
ユーザが上記表示画面を観察する位置として想定される位置である観察位置を中心とする円弧状の軌道面を有し、上記表示部を上記軌道面に沿って平行移動可能に支持するレール部材を備え、
上記角度検出センサは、上記観察位置を中心とする上記軌道面に沿った上記表示部の回転角度を検出することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
上記回転部は、上記撮像部の撮像方向を互いに垂直な2方向に回転可能であり、
上記表示装置は、上記レール部材を、上記観察位置を通る直線を軸として上記軌道面に垂直な方向に回転可能に支持するレール支持部を備え、
上記角度検出センサは、上記観察位置を中心とする上記軌道面に沿った上記表示部の回転角度と、上記レール部材の上記軸を中心とする回転角度とを検出し、
上記回転角度算出部は、上記角度検出センサによる上記軌道面に沿った上記表示部の回転角度および上記レール部材の上記軸を中心とする回転角度の検出結果に応じて上記撮像部の撮像方向の上記2方向についての回転角度をそれぞれ算出し、
上記回転部は、上記回転角度算出部が算出した上記各回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴とする請求項4に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
ユーザによる上記表示画面の向きの回転動作に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる撮像方向制御モードと、上記回転動作に応じた上記撮像部の撮像方向の回転を行わない撮像方向非制御モードとをユーザが任意に切り替えるための撮像制御切替手段を備えており、撮像方向制御モードが選択されている場合にのみ、上記角度検出センサの検出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
上記角度検出センサの検出した上記回転角度に対する上記撮像部の回転角度の比率をユーザが調整するための回転比率調節手段を備え、
上記回転角度算出部は、上記角度検出センサの検出した上記回転角度と、上記回転比率調節手段を介してユーザが指示した上記比率とに基づいて上記撮像部の回転角度を算出することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
所定方向の画像を撮像して画像データを生成する撮像部と上記撮像部の撮像方向を回転させる回転部とを備えた撮像装置と、上記撮像部によって生成された画像データを表示する表示画面を有する表示装置とが通信ネットワークを介して通信可能に接続された表示システムにおいて上記表示装置を介して上記撮像部の撮像方向の操作を行う撮像装置の遠隔操作方法であって、
ユーザが上記表示画面の向きを回転させたときに当該回転の回転角度を検出する角度検出工程と、
上記角度検出工程で検出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する回転角度算出工程と、
上記撮像装置に備えられる撮像制御部が上記回転部の動作を制御し、上記回転角度算出工程で算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる撮像方向回転工程とを含むことを特徴とする遠隔操作方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の遠隔操作システムに備えられる上記撮像装置と上記表示装置とを2組用い、第1会場に配置される第1の上記撮像装置で撮像した画像データを第2会場に配置される第1の上記表示装置に表示させ、第2会場に配置される第2の上記撮像装置で撮像した画像データを第1会場に配置される第2の上記表示装置に表示させる双方向通信システムであって、
第1の上記表示装置に備えられる上記角度検出センサの検出した上記表示画面の回転角度に応じて第1の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向を回転させ、
第2の上記表示装置に備えられる上記角度検出センサの検出した上記表示画面の回転角度に応じて第2の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向を回転させることを特徴とする双方向通信システム。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載の遠隔操作システムに備えられる上記撮像装置と上記表示装置とを2組用い、第1会場に配置される第1の上記撮像装置で撮像した画像データを第2会場に配置される第1の上記表示装置に表示させ、第2会場に配置される第2の上記撮像装置で撮像した画像データを第1会場に配置される第2の上記表示装置に表示させる双方向通信方法であって、
第2会場のユーザが第1の上記表示装置に備えられる表示画面の向きを回転させたときに、当該回転の回転角度を検出する第1角度検出工程と、
上記第1角度検出工程で検出した上記回転角度に応じて第1の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する第1角度算出工程と、
第1の上記撮像装置に備えられる撮像制御部が当該撮像装置に備えられる上記回転部の動作を制御し、上記第1角度算出工程で算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転させる第1撮像方向回転工程と、
第1会場のユーザが第2の上記表示装置に備えられる表示画面の向きを回転させたときに、当該回転の回転角度を検出する第2角度検出工程と、
上記第2角度検出工程で検出した上記回転角度に応じて第2の上記撮像装置に備えられる上記撮像部の撮像方向の回転角度を算出する第2角度算出工程と、
第2の上記撮像装置に備えられる撮像制御部が当該撮像装置に備えられる上記回転部の動作を制御し、上記第2角度算出工程で算出した上記回転角度に応じて上記撮像部の撮像方向を回転第2撮像方向回転工程とを含むことを特徴とする双方向通信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−49781(P2012−49781A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189380(P2010−189380)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】