説明

撮像装置

【課題】沈胴式レンズのより一層の薄型化を実現できるようにした撮像装置を得る。
【解決手段】後部鏡筒17は光学フィルタ26とこれを保持する手段を含むフィルタホルダ25とこれを付勢する引っ張りコイルばねと第1のストッパと第2のストッパとを備えている。レンズ枠は、鏡筒側に位置する操作部材を備え、沈胴していないときは、フィルタホルダが第1のストッパに当接することで光学フィルタが光軸上に位置し、沈胴動作時に、鏡筒とレンズ枠の光軸上の距離が短くなって第1の距離となりフィルタホルダと操作部材が当接することで、保持部材が光軸の方向と直交する第1の方向に移動することにより退避される。その退避により鏡筒とレンズ枠の光軸上の距離が、第1の距離よりも短い第2の距離になり、第2のストッパは、少なくとも沈胴時に保持部材の第1の方向への移動を規制し、鏡筒は孔を備え、操作部材が孔に入り込むことにより第2の距離になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置に使用して好適な沈胴式の光学ユニットを備えた撮像装置に関し、詳しくは、光学ユニットの沈胴時に光学フィルタを光軸と直交方向に退避させることにより、退避されたスペース部分に、例えばフォーカスレンズのレンズ枠を入り込ませることで沈胴式レンズの薄型化を実現するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置においては、携帯性の向上や使い勝手の向上が求められ、カメラ全体の小型化が追求されており、撮像装置に用いられる光学系レンズ鏡筒やレンズの小型化も進められているが、さらなる高画質化・高画素化の要望は強く、光学系の構成部材であるレンズは大型化しても駆動機構を小型化することによって光学系レンズ鏡筒の小型化が要望される場合がある。また、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置に使用されている、いわゆる沈胴式レンズに関しても携帯性の利便性という観点から小型化及び薄型化が要望されている。
【0003】
また、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置においては、CCDやCMOS等の固体撮像素子は、光学系レンズ鏡筒によって結像された被写体像を受像し、この受像した光を光電変換して電気信号として出力し、被写体像に対応したデジタルデータを生成する。ここで、CCDやCMOS等の固体撮像素子は、幾何学的に離散的なサンプリングをするために、撮像素子の周期配列より細かい幾何学模様(髪の毛や縞模様、タイル模様等)を写すと、偽色信号やモアレ等が生じ、画像に違和感が生じてしまうという不具合がある。この不要な高周波成分を除くために光学式ローパスフィルタによってボケを加えるということが一般的に行われている。
【0004】
また、CCDやCMOS等の固体撮像素子は、一般的に可視光だけでなく赤外域にも高い感度を持っているため、不要な赤外域を遮断しなければ正しい色再現ができない。このため、不要な赤外域を遮断するために赤外線カットフィルタが用いられる。
【0005】
図5は沈胴式レンズを備えた、例えばデジタルスチルカメラの不使用時のレンズ収納状態、つまりレンズの沈胴位置の外観斜視図、図6はレンズ鏡筒が伸長したカメラ使用状態で、ワイド(広角)位置若しくはテレ(望遠)位置の外観斜視図である。また、図7a、b、cに従来の沈胴式レンズの断面図を示し、図7aが不使用時のレンズ収納位置、図7bがワイド(広角)位置、図7cがテレ(望遠)位置の各断面図である。また、図8は沈胴式レンズの分離状態の斜視図である。
【0006】
まず、図5及び図6においてデジタルスチルカメラの主な機能について説明する。符号1がデジタルスチルカメラのカメラ本体部であり、符号2がカメラ本体部1の一側前面に設けられている沈胴式の撮像レンズ部であり、図5の沈胴状態ではバリア3により撮像レンズ部2の前玉レンズ面が保護されている。また、カメラ本体部1の前面側にはファインダレンズ4と、ストロボ5と、被写体との距離を検出するためのオートフォーカス補助光6が配置されている。また、符号7はファインダ窓、8はシャッターボタン、9はモード切り換えつまみである。
【0007】
次に、図7a、b、c及び図8を参照して沈胴式の光学ユニットである撮像レンズ部2の詳細な構成について説明する。
【0008】
符号10は複数のレンズ11を保持した1群レンズ枠であり、1群レンズ枠10はカム環12の第1のカム溝12aに嵌合される複数のカムピン10aを備えており、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0009】
符号13は複数のレンズ13aを保持した2群レンズ枠であり、2群レンズ枠13はカム環12の第2のカム溝12bに嵌合される複数のカムピン13bを備えており、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。また、2群レンズ枠13にはアイリスシャッター機構を構成している場合もある。
【0010】
上述したカム環12はギアユニット14のギア14aにより固定環15の内径内で回転駆動するためのギア部12c及び固定環15のカム溝15aに嵌合される複数のカムピン12dを備えており、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。第1のカム溝12a及び第2のカム溝12bは1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13を所定のカーブに沿って光軸L方向に移動させズーミング動作が行われる。
【0011】
符号16は直進案内環であり、カム環12と一体的に固定環15の内径で光軸L方向に移動する部材で、1群レンズ枠10を光軸方向にガイドする複数の案内溝16aと、2群レンズ枠13を光軸方向にガイドする複数の案内溝16bを備えており、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0012】
固定環15は後部鏡筒17に固定される部材であり、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0013】
符号18はレンズ19を保持した3群レンズ枠であり、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。この3群レンズ枠18は後部鏡筒17に対して光軸方向に移動可能に保持されており、図示しないステッピングモータ等の動力源によって光軸方向に微小に変移するようになっている。
【0014】
後部鏡筒17には固定環15、バリア駆動機構20、ギアユニット14が固定される。また、後部鏡筒17には3群レンズ枠18に対面するようにした保持部21に光学式ローパスフィルタや赤外線カットフィルタからなる光学フィルタ22がシールゴム23で弾性付勢されるようにして位置決め固定されている。また、後部鏡筒17には光学フィルタ22の背後にCCDやCMOS等の固体撮像素子24が位置決め固定されている。
【0015】
バリア駆動機構20は撮像レンズ部2の沈胴時に連動してバリア3を閉止駆動するための突起部材である。また、ギアユニット14はギア14aと噛み合うギア部12cを介してカム環12を回転駆動するものであり、そのギア比は沈胴状態→ワイド状態→テレ状態及びテレ状態→ワイド状態→沈胴状態の範囲において十分な駆動力を得られるように決められている。
【0016】
次に、撮像レンズ部2の動作について説明する。
図7aの沈胴状態から図7bのワイド位置の間の動作において、カム環12はギア部12cがギアユニット14のギア14aがDCモータ等の駆動源によって駆動され、カムピン12dが固定環15のカム溝15aに沿って回転しながら光軸方向に被写体に向けて移動する。このとき、直進案内環16はカム環12と一体に矢印A方向に移動する。これと同時に1群レンズ枠10はそのカムピン10aがカム環12の第1のカム溝12a及び直進案内環16の案内溝16aに沿って矢印B方向へ移動する。これと同時に2群レンズ枠13はそのカムピン13bがカム環12の第2のカム溝12b及び直進案内環16の案内溝16bに沿って矢印C方向へ移動する。以上のような動作により1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は光学的にワイド位置となる。
【0017】
そして、ワイド位置から図7cのテレ位置の間の動作においても、カム環12はギアユニット14により駆動されるが、この範囲においてカムピン12dはカム溝15aの水平なカム溝15bを移動することでカム環12が光軸方向に移動しないことから、直進案内環16も矢印Dに示すように光軸方向には移動しない。このとき、1群レンズ枠10はそのカムピン10aがカム環12のカム溝12a及び直進案内環16の案内溝16aに沿って矢印E方向に移動する。同時に2群レンズ枠13はそのカムピン13bがカム環12のカム溝12b及び直進案内環16の案内溝16bに沿って矢印F方向に移動する。以上のような動作により1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は光学的にワイド位置からテレ位置の間を移動することによってズーミング動作を行う。尚、テレ位置からワイド位置、ワイド位置から沈胴状態については、ギアユニット14のギア14aを逆回転駆動することで、カム環12を逆向きに回転させることによって行う。
【0018】
ここで、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13がズーミング動作を行ったとき、これとは別の図示しない例えばステッピングモータ等からなる駆動源によって3群レンズ枠18が光軸方向に微小に変位することによりフォーカシング動作を行う。
【特許文献1】特開平11−4371号公報
【特許文献2】特開2001−330878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、上述したように構成した沈胴式の撮像レンズ部2は、沈胴状態において光学フィルタ22自体の厚さ及び光学フィルタ22の固定部分である保持部21の厚さにより、3群レンズ枠18が固定撮像素子24側に移動できる範囲が規制されてしまう。また、3群レンズ枠18と2群レンズ枠13の間や2群レンズ枠13と1群レンズ枠10の間を近づけることができる距離に関してもある一定の限度があった。仮に3群レンズ枠18を後部鏡筒17に設けられた保持部21に接触するうところまで移動させ、3群レンズ枠18と2群レンズ枠13、2群レンズ枠13と1群レンズ枠10をそれぞれ接触するところまで近づけたとしても撮像レンズ部2の沈胴全長はある一定の限界までしか薄型化することができなかった。
【0020】
本発明は、上述したような課題を解消するためになされたもので、沈胴式レンズのより一層の薄型化を実現できるようにした撮像装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述の目的を達成するため、本発明による撮像装置は、鏡筒と、レンズ枠と、を備え、鏡筒とレンズ枠は光軸上に位置し、沈胴時に沈胴していないときに比べて、鏡筒とレンズ枠の光軸の方向の距離が短くなる沈胴式光学ユニットを備えた撮像装置において、鏡筒は、光学フィルタと、その光学フィルタを保持する手段を含む保持部材と、その保持部材を付勢する付勢手段と、第1のストッパ部材と、第2のストッパ部材と、を備え、レンズ枠は、鏡筒側に位置する操作部材を備え、沈胴していないときは、保持部材が付勢部材により付勢されることによって、保持部材が第1のストッパ部材に当接することで光学フィルタが光軸上に位置し、沈胴動作時に、鏡筒とレンズ枠の光軸上の距離が短くなって第1の距離となり保持部材と操作部材が当接することで、保持部材が光軸の方向と直交する第1の方向に移動することにより退避され、その退避により鏡筒とレンズ枠の光軸上の距離が、第1の距離よりも短い第2の距離になり、更に、第2のストッパ部材は、少なくとも沈胴時において保持部材の第1の方向への移動を規制し、鏡筒は孔を備え、操作部材が孔に入り込むことにより第2の距離になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による撮像装置は、固定環に対して少なくとも1つのレンズ枠が沈胴可能であり、レンズ枠の光軸方向の後方に光学フィルタを備え、沈胴時に光学フィルタが光軸と直交方向に退避可能にされ、その光学フィルタが退避された空間部分に沈胴時のレンズ枠を入り込ませるようにしたので、光学ユニットの沈胴全長の薄型化を実現することができ、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置に適用することで、この種カメラの小型化及び薄型化を可能にすることができるといった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明による沈胴式の光学ユニットを備えた撮像装置の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1a、b、cは本発明による沈胴式レンズの断面図であり、図1aが不使用時のレンズ収納状態である沈胴位置、図1bがワイド(広角)位置、図1cがテレ(望遠)位置の各断面図であり、図7a、b、cで説明した構成部分と同一部分には同じ符号を付して説明する。
【0025】
ここで、複数のレンズ11を保持した1群レンズ枠10及び複数のレンズ13aを保持した2群レンズ枠13がカム環12の回転駆動により図1aの沈胴位置から図1bのワイド位置及び図1bのワイド位置から図1cのテレ位置にズーミング動作を行う動作は図7a、b、cで説明した従来の場合と同様である。
【0026】
ここで、本発明の特徴とする部分は、光学ユニットの沈胴状態において光学式ローパスフィルタや赤外線カットフィルタからなる光学フィルタを光軸Lに対して直交方向に退避させ、退避された空間部分にフォーカスレンズよりなる3群レンズ枠18を入り込ませることで光学ユニットの沈胴全長の薄型化を可能にするものである。
【0027】
以下に光学フィルタの退避機構を、図2〜図4について説明する。図2は光学フィルタが光軸上に位置している場合の正面図、図3は光学フィルタが光軸と直交方向に退避した状態の正面図、図4は光学フィルタを退避するための作動機構を備えた2群レンズ枠13の側面図である。
【0028】
さて、後部鏡筒17には3群レンズ枠18と対面する位置にフィルタホルダ25に保持された光学フィルタ26が配置されている。フィルタホルダ25にはほぼ逆「く」の字形に形成された作動レバー27が設けられ、この作動レバー27のほぼ中間部分が後部鏡筒17に設けた支軸28を支点として光学フィルタ26が回動可能にされている。そして、作動レバー27の支軸28から離れた端部には引っ張りコイルばね29の一端29aが係止され、引っ張りコイルばね29の他端29bが後部鏡筒17に設けた固定ピン30に係止されている。
【0029】
すなわち、作動レバー27は引っ張りコイルばね29のばね付勢力により当該作動レバー27の一側面が第1のストッパ31に圧接されることで、光学フィルタ26が光軸上に精度よく位置決めさせることができる。
【0030】
上述した光学フィルタ26を光軸と直交方向に退避させるための部材が2群レンズ枠13に設けられている突起状の操作部材32である。操作部材32は、本例では図4に示すように先端部に平面状のテーパー面32aが形成されている。
【0031】
次に、光学フィルタ26の動作について説明する。
図2に示すように、光学フィルタ26が光軸上にある状態は1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13が図1bに示すようなワイド位置や図1cに示すようなテレ位置である。ここで、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13が沈胴方向に動作すると、2群レンズ枠13に設けられている突起状の操作部材32の先端部が光学フィルタ26の作動レバー27の一側面に接触し、2群レンズ枠13のさらなる沈胴動作に伴って操作部材32のテーパー面32aで作動レバー27が支軸28を中心にして押し戻されるようにして反時計回り方向へ回動され、図1に示した沈胴状態において光学フィルタ26は図3に示すように光軸上から退避される。光学フィルタ26が退避された状態において、光学フィルタ26が直進案内環16などの収納を妨害することのないよう、作動レバー27の他側面に対する第2のストッパ33を設けることもできる。このとき、作動レバー27の両側面にテーパー面32a及び第2のストッパ33が当接して挟み込んでしまうと、沈胴動作を妨害して動作不良を起こしてしまったり、あるいは作動レバー27などの機構を破壊してしまう恐れがあるため、沈胴状態すなわち光学フィルタ26が光軸上から退避した状態においては、作動レバー27はテーパー面32aによって位置を決められ、第2のストッパ33はあくまでも非常時の光学フィルタ26に対する規制としておくことが好ましい。尚、作動レバー27を回動するための操作部材32は、後部鏡筒17側に入り込むようになるので、後部鏡筒17に孔あるいは凹部34が形成されている。これによって、作動レバー27や操作部材32の設計自由度を増すことができる。また、操作部材32は平面状のテーパー面32aに変わって曲面であってもよい。
【0032】
このように光学フィルタ26が光軸と直交方向に退避できるようにしたことで、光学フィルタ26が退避して空いた空間部分eにステッピングモータ等により駆動される3群レンズ枠18を後部鏡筒17に接する位置まで矢印Hに示すように深く収納することができるようになる。これによって、1群レンズ枠10、2群レンズ枠13、直進案内環16を空いた空間部分eの分、それぞれ深く収納することができるようになり、全体として沈胴式レンズの沈胴全長の薄型化を図ることができる。従って、このような沈胴式レンズを用いることでデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置の小型化及び薄型化を実現することができる。
【0033】
尚、光学ユニットが沈胴状態からワイド位置にされる動作は、先ず、3群レンズ枠18が空間部分eから後退すると共に、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13が図1bのワイド位置に移動する動作に伴って2群レンズ枠13の操作部材32が光学フィルタ26の作動レバー27から後退する。これによって、光学フィルタ26が引っ張りコイルばね29のばね力により支軸28を回動支点にして図3において時計回り方向へ回動し、光学フィルタ26を再び光軸上に位置させることができる。
【0034】
本発明は、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0035】
本例では光学フィルタ26を光軸上に復帰する部材として引っ張りコイルばね29を使用した場合について説明したが、引っ張りコイルばね29に変わって板ばねやねじりコイルばね等の弾性部材を使用することであってもよい。
【0036】
また、本例では光学フィルタ26が光軸と直交方向に出し入れできる機構として支軸28を支点にして回動動作するようにした機構について説明したが、その他、後部鏡筒17とバリア駆動機構(図8のバリア駆動機構20)との間に光軸と直交方向にガイドレールを設け、このガイドレールに沿って光学フィルタを光軸と直交方向に出し入れ可能にすることであってもよく、また、ガイドレールは後部鏡筒17とバリア駆動機構との間に限定されず、別の部材を構成することであっても同様の作用を得ることができる。
【0037】
また、光学フィルタ26を光軸と直交方向に出し入れするための手段として、ガイドレールに限らず、作動レバー27の支軸部分の周辺をギア駆動機構と同様な機構で挟み込むようなことであってもよい。
【0038】
また、光学ユニットが沈胴動作時に光学フィルタ26を光軸と直交方向に移動させるための操作部材32は、2群レンズ枠13に必ずしも限定されるものでなく、例えば2群レンズ枠13と一体に光軸方向に移動する直進案内環16に設けるようにしてもよい。
【0039】
また、本発明の光学ユニットは3つの群からなるレンズ構成に限定されるものではなく、光学フィルタ26を光軸と直交方向に退避する機構を採用することで、沈胴全長の薄型化が図れるような沈胴式レンズであれば実施可能である。
【0040】
また、沈胴式レンズの駆動源は、一般的なDCモータやステッピングモータ以外、超音波モータ等を使用することであってもよい。また、ギア機構を必ずしも使用する必要もなく、例えば超音波モータやリニアモータ等によるダイレクト駆動でもよい。
【0041】
さらに、沈胴式レンズの沈胴構造はカム溝やカムピンによるカム機構に限定されることなく、光学レンズ系を沈胴式に薄型に収納する機構にも広く採用可能である。
【0042】
上述した撮像装置によれば、レンズ鏡筒の沈胴時に光学フィルタを光軸と直交方向に退避させることで、退避された空間部分にレンズ鏡筒のレンズ枠が入り込み、これによって、撮像装置の沈胴全長の薄型化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】a 本例の撮像装置に係る光学ユニットの沈胴状態の断面図である。 b 本例の撮像装置に係る光学ユニットの沈胴状態の断面図である。 c 本例の撮像装置に係る光学ユニットの沈胴状態の断面図である。
【図2】光学フィルタが光軸上に位置している状態の正面図である。
【図3】光学フィルタが光軸上から退避した状態の正面図である。
【図4】2群レンズ枠の側面図である。
【図5】光学ユニットが沈胴状態であるデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
【図6】光学ユニットがワイドまたはテレ状態に伸長したデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
【図7】a 従来の光学ユニットの沈胴状態の断面図である。 b 同じく光学ユニットのワイド位置の断面図である。 c 同じく光学ユニットのテレ位置の断面図である。
【図8】光学ユニットを分離した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
10…1群レンズ枠、 12…カム環、 13…2群レンズ枠、 15…固定環、 17…後部鏡筒、 18…3群レンズ枠、 24…CCD、 25…フィルタホルダ、 26…光学フィルタ、 27…作動レバー、 28…支軸、 30…固定ピン、 31…第1のストッパ、 32…操作部材、 32a…テーパー面、 33…第2のストッパ、 e…空間部分、 L…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒と、
レンズ枠と、を備え、
前記鏡筒と前記レンズ枠は光軸上に位置し、
沈胴時に沈胴していないときに比べて、前記鏡筒と前記レンズ枠の前記光軸の方向の距離が短くなる沈胴式光学ユニットを備えた撮像装置において、
前記鏡筒は、
光学フィルタと、
前記光学フィルタを保持する手段を含む保持部材と、
前記保持部材を付勢する付勢手段と、
第1のストッパ部材と、
第2のストッパ部材と、を備え、
前記レンズ枠は、前記鏡筒側に位置する操作部材を備え、
沈胴していないときは、前記保持部材が前記付勢部材により付勢されることによって、前記保持部材が前記第1のストッパ部材に当接することで前記光学フィルタが前記光軸上に位置し、
沈胴動作時に、前記鏡筒と前記レンズ枠の前記光軸上の距離が短くなって第1の距離となり前記保持部材と前記操作部材が当接することで、前記保持部材が前記光軸の方向と直交する第1の方向に移動することにより退避され、当該退避により前記鏡筒と前記レンズ枠の前記光軸上の距離が、前記第1の距離よりも短い第2の距離になり、
更に、前記第2のストッパ部材は、少なくとも沈胴時において前記保持部材の前記第1の方向への移動を規制し、
前記鏡筒は孔を備え、前記操作部材が前記孔に入り込むことにより前記第2の距離になる
撮像装置。
【請求項2】
前記操作部材は、先端がテーパ形状になっている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記沈胴動作時に、前記レンズ枠が前記光軸の方向に移動することにより、前記鏡筒と前記レンズ枠の前記光軸上の距離が短くなる
請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光学フィルタは、ローパスフィルタ及び赤外線カットフィルタである
請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−42765(P2009−42765A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210194(P2008−210194)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【分割の表示】特願2002−284354(P2002−284354)の分割
【原出願日】平成14年9月27日(2002.9.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】