説明

撮像装置

【課題】 NDフィルタ切替により発生するメカ音や影が見えることが、特定の被写体輝度でNDフィルタの切替頻度が高いことにより目立つ。
【解決手段】 被写体輝度をみて、NDフィルタの切替頻度を下げるようにプログラム線図を切り替える。
具体的には、高輝度時には低輝度側でNDフィルタの切替を行ない、低輝度時には高輝度側でNDフィルタの切替を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体撮像素子を用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の絞りとNDフィルタを併用して露出制御を行なう撮像装置は、被写体輝度が高輝度時に絞り込み、回折の影響による解像度の低下や被写界深度が深くなることを嫌い、NDフィルタを挿入することにより絞りを開放側で使用することがある(特許文献1)。また、その際に被写体輝度に対して閾値を設け、被写体輝度が閾値より高ければNDフィルタを挿入し、被写体輝度が閾値より低ければNDフィルタを外すことが考えられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−135479号公報
【特許文献2】特開2006−238376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では特定の被写体輝度においてNDフィルタ切り替えの頻度が上がることが考えられ、特にNDフィルタを入り切りする際に発生するメカ音、及びNDフィルタ入り切り途中に見える影が目立つことが避けられない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、入射した光を固体撮像素子上に結像させるレンズ、露出を制御する絞り及びNDフィルタを備える光学系と、それらを制御するための光学系制御部と、結像させた光学像を電気信号に変換する固体撮像素子と、固体撮像素子を駆動するための電圧、パルスを供給する撮像系制御部と、固体撮像素子の出力にクランプ、ゲインをかける等の処理を行うアナログ信号処理部と、アナログ信号にデジタル変換を行なうアナログ/デジタル(A/D)変換部と、A/D変換したデジタル信号から出力画像を生成するデジタル信号処理部と、デジタル信号処理部にて出力画像を生成する際に一時的に画像データを格納する内部記憶部と、生成した画像データを表示する画像表示部と、生成した画像データを最終的に保存するための外部記憶装置とのインターフェース(I/F)部を備える撮像装置において、複数のプログラム線図を有し、電源投入時の被写体輝度を用いて、その輝度近辺でNDフィルタ切り替えを行なわないようにプログラム線図を設定することを特徴としている。
【0006】
また、本発明は、電源投入時の被写体輝度が高輝度であった場合に、低輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を設定し、電源投入時の被写体輝度が低輝度であった場合に、高輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を設定することを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、プログラム線図を設定後にNDフィルタ切り替えが発生した場合に、プログラム線図を切り替えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、低輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を使用している時にNDフィルタ切り替えが発生した場合、高輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図に切り替え、高輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を使用している時にNDフィルタ切り替えが発生した場合、低輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図に切り替えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、従来技術であった特定の被写体輝度においてのNDフィルタ切り替えの頻度を低減することが可能となり、特にNDフィルタを入り切りする際に発生するメカ音、及びNDフィルタ入り切り途中に見える影が目立つ頻度を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】撮像装置の構成
【図2】撮像装置のうち、光学系の構成
【図3】本発明をプログラム線図を用いて説明する図
【図4】電源投入時の露出制御フロー
【図5】露出制御フローのうち、通常露出制御のフロー
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施例1]
本発明の撮像装置の構成を図1及び図2を用いて説明する。
【0012】
図1は本発明の撮像装置の構成を示す図である。
【0013】
入射した光を固体撮像素子上に結像させる光学系101と、光学系の露出やズーム、フォーカス等を制御するための光学系制御部102と、結像させた光学像を電気信号に変換する固体撮像素子103と、固体撮像素子を駆動するための撮像系制御部104と、固体撮像素子の出力にクランプ、ゲインをかける等の処理を行うアナログ信号処理部105と、アナログ信号にデジタル変換を行なうアナログ/デジタル(A/D)変換部106と、A/D変換したデジタル信号から出力画像を生成するデジタル信号処理部107と、デジタル信号処理部にて出力画像を生成する際に一時的に画像データを格納する内部記憶部108と、生成した画像データを最終的に保存するための外部記憶装置とのインターフェース(I/F)部109と、生成された画像を表示する電子ファインダとしての画像表示部110から構成する。
【0014】
図2は、図1のうち101で示す光学系の構成を示す図である。
【0015】
入射した光を固体撮像素子上に結像させるレンズ群201と、入射する光量を制限する絞り202及びNDフィルタ203から構成する。
【0016】
図3は本発明をプログラム線図を用いて説明する図である。
【0017】
図3(a)、(b)共に横軸が被写体輝度Evを示し、図の右から高輝度から低輝度に変化する際にプログラム線図により設定するシャッター秒時、絞り、ND、ゲインの各パラメータの変化を示している。尚、シャッター秒時はメカシャッター及び固体撮像素子の機能である電子シャッターのどちらでもよい。また、ゲインは図1の105で示すアナログ信号処理部のアンプゲイン及び107で示すデジタル信号処理部のデジタルゲインのどちらでもよい。
【0018】
図3(a)は電源投入時にEvが点線で示す輝度より高い場合のプログラム線図である。急激な構図変化がない限りEv変動は高輝度で推移する可能性が高いため、なるべくND切り替えを行なうのは低輝度側に設定する。つまり、最初にNDを入れ、高輝度側から、まずシャッター秒時を遅くし(301)、次に絞りを開いていき(302)、再度シャッター秒時を遅くする(303)、その後ゲインアップを行ない(304)、最後にNDを切る(305)。尚、NDは2値切り替えのため、その中間値はシャッター秒時等で補間する。
【0019】
図3(b)は電源投入時にEvが点線で示す輝度より低い場合のプログラム線図である。急激な構図変化がない限りEv変動は低輝度で推移する可能性が高いため、なるべくND切り替えを行なうのは高輝度側に設定する。つまり、最初はNDを入れず、低輝度側から、まずゲインダウンし(306)、次にシャッター秒時を速くし(307)、絞りを絞り(308)、NDを入れ(309)、最後に再度シャッター秒時を速くする。
【0020】
図4及び図5は本発明の動作を示すフローである。
【0021】
図4は電源投入時の露出制御フローである。
【0022】
電源投入し(S401)、初期状態の露出制御としての絞り、ゲイン、シャッター秒時を設定し(S402)、固体撮像素子の出力信号レベルより輝度Yを取得する(S403)。取得したYが一定範囲内であれば適正露出と判定し(S404)、適正露出でないと判定した場合はS402の露出制御に戻る。S402の露出制御からS404の適正露出判定までがND入り切りの初期状態を設定するための簡易露出制御である。S404にて適正露出であると判定した場合は被写体輝度Evが閾値以上であるかを判定し(S405)、Evが閾値以上であれば高輝度時のプログラム線図(図3(a))を選択し(S406)、NDを入れ、絞り、ゲイン、シャッター秒時の露出制御を行なう(S407)。また、S405にてEvが閾値未満であれば低輝度時のプログラム線図(図3(b))を選択し(S408)、NDを切り、絞り、ゲイン、シャッター秒時の露出制御を行なう(S409)。露出制御が完了した後、図1中110で示す画像表示部にライブ画像を表示する(S410)。これ以降は電源を切るまで(S411)通常露出制御(S412)を繰り返す。
【0023】
図5は図4中S412で示す通常露出制御のフローである。
【0024】
固体撮像素子の出力信号レベルより輝度Yを取得し(S501)、取得したYが一定範囲内であれば適正露出と判定し(S502)、適正露出であると判定した場合は露出制御を保持する。S502にて適正露出でないと判定した場合は前回選択したプログラム線図を用いてND、絞り、ゲイン、シャッター秒時の露出制御を行なう(S503)。S503にてND入りから切りへの切り替えが発生した場合は(S505)、使用するプログラム線図を高輝度時のプログラム線図(図3(a)から低輝度時のプログラム線図(図3(b))に変更する(S505)。S503にてND切りから入りへの切り替えが発生した場合は(S506)、使用するプログラム線図を低輝度時のプログラム線図(図3(b))から高輝度時のプログラム線図(図3(a))に変更する(S507)。S502にて適正露出でないと判定した場合にはプログラム線図の変更有無によらずS501に戻る。
【符号の説明】
【0025】
101 光学系
102 光学系制御部
103 固体撮像素子
104 撮像系制御部
105 アナログ信号処理部
106 アナログ/デジタル変換部
107 デジタル信号処理部
108 内部記憶部
109 外部インターフェース部
110 画像表示部
201 レンズ群
202 絞り
203 NDフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を固体撮像素子上に結像させるレンズ、露出を制御する絞り及びNDフィルタを備える光学系と、それらを制御するための光学系制御部と、結像させた光学像を電気信号に変換する固体撮像素子と、固体撮像素子を駆動するための電圧、パルスを供給する撮像系制御部と、固体撮像素子の出力にクランプ、ゲインをかける等の処理を行うアナログ信号処理部と、アナログ信号にデジタル変換を行なうアナログ/デジタル(A/D)変換部と、A/D変換したデジタル信号から出力画像を生成するデジタル信号処理部と、デジタル信号処理部にて出力画像を生成する際に一時的に画像データを格納する内部記憶部と、生成した画像データを表示する画像表示部と、生成した画像データを最終的に保存するための外部記憶装置とのインターフェース(I/F)部を備える撮像装置において、複数のプログラム線図を有し、電源投入時の被写体輝度を用いて、その輝度近辺でNDフィルタ切り替えを行なわないようにプログラム線図を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、電源投入時の被写体輝度が高輝度であった場合に、低輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を設定し、電源投入時の被写体輝度が低輝度であった場合に、高輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置において、プログラム線図を設定後にNDフィルタ切り替えが発生した場合に、プログラム線図を切り替えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の撮像装置において、低輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を使用している時にNDフィルタ切り替えが発生した場合、高輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図に切り替え、高輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図を使用している時にNDフィルタ切り替えが発生した場合、低輝度側でNDフィルタ切り替えを行なうプログラム線図に切り替えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−272941(P2010−272941A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120867(P2009−120867)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】