説明

撮像装置

【課題】ライブビュー撮像での消費電力を削減できる撮像装置を提供する。
【解決手段】制御部(300)は、操作部(350)により照明発光モードが選択されたときに、補助光部(104)を制御して、被写体の全体を照射する第一照明状態で発光させ、照明発光モードの選択中に操作部(350)により撮像準備状態が指示されたときに、焦点検出部の検出結果に基づいてレンズ駆動部(315)を制御して被写体を合焦させ、一部の被写体の近傍を表示部(132)に拡大して表示させ、補助光部(104)を制御して、一部の被写体の近傍を照射する第二照明状態で発光させ、操作部(350)により撮像が指示されたときは、補助光部(104)を制御して第一照明状態で発光させ、被写体を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からなる補助光源を用いて被写体を撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境光が暗い状態での撮像時に、撮像装置から被写体に補助光を照射して撮像を行うものが従来から利用されている。
【0003】
近年、白色発光ダイオードの輝度、発色及び入手性が向上したことにより、これを補助光源に用いることによって省電力化を可能とするものが知られている。
【0004】
一方、発光ダイオードは、従来の補助光源として利用されていたキセノン管と比較して輝度が低いため、複数の発光ダイオードを組み合わせて一つの補助光ユニットを構成することが一般的である。また、輝度は高いが、瞬間的な発光に適し連続的な発光が難しいキセノン管に対して、発光ダイオードは連続的な発光が可能である。
【0005】
このような補助光源の利用法として、6個の白色LEDをカメラボディに配置し、例えば近距離の場合は2個の白色LED、中距離は4個の白色LED、遠距離の場合6個の白色LEDの全部がそれぞれ点灯する撮影用照明装置(特許文献1参照。)が知られている。
【0006】
また、撮像素子に結蔵された被写体像を表示手段において表示させるいわゆるライブビュー表示を行う電子的撮像装置(特許文献2参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−207236号公報
【特許文献2】特許4190094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように発光ダイオードを補助光源に用いることで、省電力化することができる。例えば、環境輝度が低い状況における撮影準備中(例えばライブビュー動作中、焦点調整動作中など)の補助光源として使用することに適する。
【0009】
一方で、ライブビュー中などに複数の発光ダイオードを連続して点灯させると、電力の消費量が上昇し、バッテリーの負荷が大きくなる。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、複数の発光素子を利用して被写体を照射する補助光装置を備える撮影装置において、照明動作に係る電力消費量を削減できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様に係る撮像装置は、被写体を結像する撮影レンズと、撮影レンズによって結像された被写体像を画像データに変換して出力する撮像部と、出力された画像データをライブビュー表示可能な表示部と、被写体との距離を検出する被写体検出部と、撮影レンズの焦点位置を変更するレンズ駆動部と、複数の発光素子が二次元平面上に配置された発光部を有する補助光部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、撮像部、表示部、被写体検出部、レンズ駆動部、補助光部及び操作部を制御して被写体像を画像データとして撮像する制御部と、を備え、制御部は、操作部により照明発光モードが選択されたときに、補助光部を制御して、被写体の全体を照射する第一照明状態で発光させ、照明発光モードの選択中に操作部により撮像準備状態が指示されたときに、焦点検出部の検出結果に基づいてレンズ駆動部を制御して被写体を合焦させ、一部の被写体の近傍を拡大して表示部に表示させ、補助光部を制御して、一部の被写体の近傍を照射する第二照明状態で発光させ、操作部により撮像が指示されたときは、補助光部を制御して第一照明状態で発光させ、被写体を撮像することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によると、複数の発光素子からなる補助光部を備える撮影装置において、補助光部が補助光を照射しながらライブビュー撮影を行うときに消費電力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態のデジタルカメラの概略的構成を示す正面側の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態のデジタルカメラの概略的構成を示す背面側の外観斜視図である。
【図3】本発明の実施形態のデジタルカメラの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態のシステムコントローラが実行する制御のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態のデジタルカメラにおける撮像の動作を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態のデジタルカメラにおける撮像の動作を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態のデジタルカメラにおける撮像の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態のシステムコントローラが実行する処理のタイミングチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ100の構成を示す斜視図である。図1は、デジタルカメラ100の正面側(撮像時に被写体に向けられる側)を示す。デジタルカメラ100は、撮像装置の一例として示されている。図2は、同じくデジタルカメラ100の構成を示す斜視図であり、デジタルカメラ100の背面側(撮像時にデジタルカメラ100のユーザと向き合う側)を示す。
【0015】
図1及び図2を参照すると、デジタルカメラ100は、撮影レンズ102と、補助光ユニット104と、電源スイッチ106と、レリーズスイッチ108と、加速度センサ114と、再生スイッチ120と、メニュースイッチ122と、ズーム指示スイッチ126、128と、十字キースイッチ130と、タッチパネルディスプレイ132とを有する。
【0016】
図1において、撮影レンズ102は、画像記録モード時に鏡胴ユニットがデジタルカメラ100の本体から突出しない構成を有する。しかし、撮影レンズ102は、画像記録モード時に鏡銅ユニットが本体から突出する構成を有するものでもよい。補助光ユニット104は、撮像時、必要に応じて発光して被写体に光を照射する。
【0017】
デジタルカメラ100の各スイッチは、デジタルカメラ100のユーザにより操作される。各スイッチは、ユーザによる操作に応じて、システムコントローラ300に指示を送出する。各スイッチは、デジタルカメラ100のカメラ操作部350を構成する。
【0018】
電源スイッチ106は、デジタルカメラ100の起動及びシャットダウンを、システムコントローラ300に指示する。レリーズスイッチ108は、撮像動作の開始を、システムコントローラ300に指示する。ズーム指示スイッチ126及び128は、デジタルカメラ100が画像記録モードに設定されている場合に、撮影レンズ102の変倍動作をシステムコントローラ300に指示する。
【0019】
再生スイッチ120は、画像記録モードにあるデジタルカメラ100を画像再生モードへ切り替える動作、または画像再生モードにあるデジタルカメラ100を画像記録モードへ切り替える動作を、システムコントローラ300に指示する。メニュースイッチ122は、メニュー画面をタッチパネルディスプレイ132に呼び出すようシステムコントローラ300に指示する。ユーザは、タッチパネルディスプレイ132に表示されたメニュー画面に触れるなどして、画像記録モード、または画像再生モードにおけるデジタルカメラ100の各種設定の変更を、システムコントローラ300に指示する。また、メニュースイッチ122は、タッチパネルディスプレイ132にメニュー画面を表示するのを中止するようシステムコントローラ300に指示する。
【0020】
十字キースイッチ130は、メニュー画面がタッチパネルディスプレイ132に表示されている場合に、ユーザの操作に応じて、デジタルカメラ100の各種設定の変更をシステムコントローラ300に指示する。なお、デジタルカメラ100の各種設定の変更は、メニュー画面が表示されている場合に、タッチパネル338の操作により行われてもよい。
【0021】
加速度センサ114は、デジタルカメラ100に対して加わる加速度を検出する。加速度センサ114としては、MEMES(micro electro mechanical systems)を用いたものがすでに実用化されている。加速度センサ114は、図1、図2に示したX、Y、Z軸に沿う方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ114は、必要に応じて、X、Y、Z軸回りの角速度を検出可能に構成されてもよい。
【0022】
図3は、本発明の実施形態のデジタルカメラ100の内部構成を示すブロック図である。
【0023】
デジタルカメラ100の動作を制御するための制御部として機能するシステムコントローラ300は、CPU302と、複数の回路ブロック(機能ブロック)とを備える。複数の回路ブロックは、画像処理回路304と、圧縮・伸長回路306と、被写体認識回路307と、AD(アナログ−デジタル)コンバータ308と、焦点検出回路310等である。CPU302とこれら各回路ブロックとは、制御ラインやバスラインを介して互いに接続され、CPU302の指令によって各回路ブロックは制御される。
【0024】
システムコントローラ300(制御部)は、撮像素子IF(InterFace)回路312、絞り駆動機構316、シャッタ駆動機構318、姿勢・運動検出回路320、表示素子駆動回路332、タッチパネル駆動回路336、メモリカード340、FlashRom(フラッシュ・リードオンリー・メモリ)342、SDRAM(シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)344、表示用発光素子346、補助光ユニット104、カメラ操作部350に電気的に接続する。撮像素子IF回路312は、撮像素子314に電気的に接続し、表示素子駆動回路332は表示素子334に接続し、タッチパネル駆動回路336は表示素子334に備えられるタッチパネル338に接続する。
【0025】
撮影レンズ102は、カメラ外部から取り込んだ被写体からの光を撮像素子314に結像する。撮像素子314は、光電変換により、撮像素子314に結像された光学像を画像信号に変換する。撮像素子314は、例えば、CCD(電荷結合素子)センサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサである。撮像素子IF回路312は、システムコントローラ300の制御信号に応じて撮像素子314の駆動信号を生成する回路や、撮像素子314の出力をAD変換するAD変換回路等を含んでいる。光学像の画像信号は、撮像素子IF回路312によってAD変換されて、システムコントローラ300へ画像データとして入力される。
【0026】
すなわち、撮像素子314及び撮像素子IF回路312が、撮影レンズによって結像された被写体像を画像データに変換して出力する撮像部を構成する。
【0027】
焦点・焦点距離調整機構315は、撮影レンズ102の焦点を調整して被写体像を撮像素子314に結像させるレンズ駆動部として構成される。また、焦点・焦点距離調節機構315は、撮影レンズ102の焦点距離を調節して撮像素子314に結像する被写体像の倍率を変更する。
【0028】
絞り駆動機構316は、撮影レンズ102を通過する光の量を制御する絞りを駆動する。シャッタ駆動機構318は、撮像素子314を露光状態と遮光状態とに設定するシャッタを駆動する。
【0029】
システムコントローラ300のCPU302は、回路ブロックを以下の動作を行うように制御する。画像処理回路304は、撮像素子IF回路312から出力される画像データにγ補正、色変換、デモザイキング等の処理をし、圧縮・伸長回路306に出力する。画像処理回路304は、また、デジタルカメラ100が撮像前の状態にあるときに、撮像素子IF回路312から入力した表示用の画像データを所定のフレームレート(30fps、60fps)で処理し、表示素子駆動回路332へ出力してよい。この撮像前の状態は、デジタルカメラ100が画像記録モードに設定されていて、ユーザがデジタルカメラ100を被写体に向けている状態である。表示素子駆動回路332は、画像処理回路304から出力される画像データに基づく画像を表示素子334へ表示する。このとき表示素子に表示される画像は、一般にスルー画像、ライブビュー画像、モニター画像等と称される。
【0030】
圧縮・伸長回路306は、画像処理回路304から出力された画像データを圧縮し、メモリカード340に記録する。圧縮・伸長回路306はまた、デジタルカメラ100が画像再生モードに設定されているときに、メモリカードから読み込んだ圧縮画像データを伸長し、表示素子駆動回路332へ出力する。
【0031】
表示素子駆動回路332は、圧縮・伸長回路306から入力した画像データに基づく画像を表示素子334へ表示する。ADコンバータ308は、デジタルカメラ内に設けられたセンサの出力をデジタルデータへ変換する。
【0032】
表示素子334は、タッチパネル338が配置される。タッチパネル駆動回路336は、タッチパネル上の操作位置(後述のモード設定部材、指、ペン等で押圧(接触)された位置)を検出してシステムコントローラ300へ出力する。
【0033】
表示用発光素子337は、LED(発光ダイオード)等から構成され、電源のON・OFF状態、メモリカード340へのアクセス状態、セルフタイマーの動作状態等、デジタルカメラ100の動作状態を表示する。
【0034】
SDRAM344は、画像処理回路304、圧縮・伸長回路306が上述した処理をする際の作業領域(WorkArea)として主に用いられる。CPU302は、回路ブロックをFlashRom342に記録されたプログラムコードと制御パラメータに基づき制御する。
【0035】
姿勢・運動検出回路320は、デジタルカメラ100の筐体(カメラ筐体100a)の姿勢を検出する。姿勢・運動検出回路320は、デジタルカメラ100の3軸(X、Y、Z軸)方向の加速度を検出するための加速度センサ114とその処理回路116から構成される。加速度センサ114は、X軸方向の加速度センサ部114a、Y軸方向の加速度センサ部114b、Z軸方向の加速度センサ部114cから構成される。本実施形態において、X軸は、デジタルカメラ100の筐体の横方向(または、長軸方向又は長手方向)に平行であり、Y軸は、デジタルカメラ100の筐体の縦方向(または、短軸方向)に平行であり、Z軸は、撮影レンズ102の光軸方向(または、筐体の厚み方向)に平行である。
【0036】
加速度センサ114は、重力の静的加速度を計測することができると同時に、動き、衝撃あるいは振動などから生じる動的加速度も計測できる。3軸方向の加速度センサ部114a、114b、114cの出力を分析することでデジタルカメラ100に加わる重力の方向を検出し、デジタルカメラ100の姿勢(水平方向に対する傾き)を検出できる。また、デジタルカメラ100の移動方向やデジタルカメラ100へ印加された衝撃の方向も検出できる。加速度センサ114の出力は、加速度センサ処理回路116によって所定の信号へ変換されて、システムコントローラ300のADコンバータ308へ供給される。姿勢・運動検出回路320として、例えばアナログ・デバイセズ社製のADXL327などが利用できる。なお、姿勢・運動検出回路320は、検出精度を上げるため、上記のX、Y、Z軸方向の加速度センサに加え、X、Y、Z軸回りの角速度も検出できる構成(すでにMEMSジャイロセンサとして実用化されている)を有してもよい。
【0037】
電源回路380は、DC/DCコンバータを含んでおり、電池383からの電力を、システムコントローラ300や、電力の供給を必要とする他の機能ブロックに対して電力を分配(供給)する。このとき電源回路380は、電力を供給する対象のシステムコントローラ300や機能ブロックのそれぞれで必要とする電圧に昇圧、または降圧する。電源回路380による電力の分配は、システムコントローラ300から出力される指令信号に基づいて制御される。電池382は、一次電池であっても二次電池であってもよい。
【0038】
カメラ操作部350は、電源スイッチ106、レリーズスイッチ108、加速度センサ114、再生スイッチ120、メニュースイッチ122、ズーム指示スイッチ126、128、十字キースイッチ130等の各種スイッチに対するユーザからの操作を検出して、検出結果をシステムコントローラ300に出力する。
【0039】
補助光部としての補助光ユニット104は、補助光制御回路352、発光素子としての複数の発光ダイオード(LED)を二次平面上に配置した発光部としてのLEDマトリクス回路360、LEDマトリクス回路360から照射される光量を変化させる拡散レンズ364、拡散レンズ364の位置を設定する照明範囲調整機構362を備える。本実施形態では、15個のLED(L11〜L35)を、Y軸方方向に3行X軸方向の5列の格子状に配置している。
【0040】
補助光制御回路352は、補助光コントローラ354、駆動電流制御回路356、駆動時問制御回路358から構成される。駆動時間制御回路356は、各々のLED(L11〜L35)に駆動電流の供給を制御するための半導体スイッチ(S11〜S35)を有し、補助光コントローラ354の制御に従って、各々のLED(L11〜L35)の発光時問を制御する。駆動電流制御回路358は、各々のLED(L11〜L35)の駆動電流を供給する定電流源(I11〜I35)を有し、補助光コントローラ354の制御に従って、各々のLED(L11〜L35)の駆動電流を制御する。補助光コントローラ354は、システムコントローラ300からの指令に従って、撮影レンズ102の画角に応じた照射範囲を設定し、照射範囲調整機構362を制御して、拡散レンズ364を駆動する。
【0041】
補助光コントローラ354によるLED(L11〜L35)の発光量の制御は、半導体スイッチ(S11〜S35)のON/OFFの比を制御するPWM制御としてもよい。定電流源(I11〜I35)の設定とPWM制御とを組み合わせてもよい。
【0042】
補助光ユニット104は、デジタルカメラ100内に組み込まれた状態であってもよいし、デジタルカメラ100のボディへ着脱可能なアクセサリとしてもよい。補助光ユニット104を着脱可能とした場合は、ユーザは必要に応じて、カメラ筐体100aに設けられたコネクタ(例えば外部ストロボを装着するためのホットシュー)に補助光ユニット104を接続する。
【0043】
図4は、本実施形態のデジタルカメラ100のシステムコントローラ300が実行する制御のフローチャートである。この図4に示すフローチャートは、実施形態の特徴部分に関しての手順が記載されその他の手順は省略されている。
【0044】
ステップS100では、ユーザによって電源スイッチ106がオンされると、システムコントローラ300が起動する。システムコントローラ300は、まず、初期設定の動作(メモリの初期化、周辺回路の初期化など)を行う。
【0045】
次に、ステップS102では、システムコントローラ300は、撮像素子314から所定のフレームレートで画像を取得し、被写体の画像を表示素子334に表示する動作(ライブビュー動作)を開始する。
【0046】
次に、ステップS104では、システムコントローラ300は、カメラ操作部350の一つであるモード設定SWの操作により「照明発光モード」が選択されたかを判断する。照明発光モードが選択されたと判定した場合はステップS106へ移行し、選択されていないと判定した場合はステップS200へ移行する。ステップS200では、本フローチャートでは規定しないその他のカメラ動作(測光、合焦、撮像、再生等)が実行される。
【0047】
ステップS106では、システムコントローラ300は、撮影レンズ102の合焦範囲を設定する。補助光ユニット104による照明は、カメラ100から所定の距離以内でしか有効に照射できない。そのため、照明発光モードが選択されたときには、撮影レンズ102の合焦範囲を所定範囲内に制限することにより合焦の速度及び精度が向上する。例えばマクロ撮像モード、人物撮像モード等を選択する。
【0048】
次に、ステップS108では、システムコントローラ300は、補助光ユニット104に、照度分布測定のための発光開始の命令を送信する。ここでは、各々のLED(L11〜L35)が同じ発光量となるような命令する。
【0049】
次に、ステップS110では、システムコントローラ300は、撮像素子314を用いて、被写体の測光を行う。そして、この測光の結果から、被写体の照度分布を測定する。
【0050】
補助光ユニット104において、各々のLED(L11〜L35)の発光量を同じにした場合は、被写体とカメラ100と距離に応じて被写体光の明るさが変わる。被写体がより近ければ被写体光は明るくなり、被写体がより遠ければ被写体光は暗くなる。
【0051】
そこで、システムコントローラ300は、ステップS110で測定した被写体の照度分布から、デジタルカメラ100と被写体との距離を推定する。より具体的には、各々のLED(L11〜L35)の照射範囲に対応する撮像範囲にある各々の被写体の距離を推定する。
【0052】
次に、ステップS112では、システムコントローラ300は、ステップS110で推定した、各々のLED(L11〜L35)の照射範囲に対応する撮像範囲にある被写体の距離に基づいて、これら各々の撮像範囲にある被写体の光度差が小さくなるように各々のLED(L11〜L35)の発光量を決定する。そして、決定された発光量を、補助光ユニット104に対して指示する。なお、補助光ユニット104が各々のLED(L11〜L35)によって被写体の全体を照射することで、第一照明状態が構成される。
【0053】
次に、ステップS114では、システムコントローラ300は、ユーザによってカメラ操作部350のレリーズスイッチ108が操作されて、1stレリーズが検出されたか否かを判定する。1stレリーズが検出されたと判定した場合はステップS116に移行する。1stレリーズが検出されていない場合はステップS140に移行する。
【0054】
1stレリーズとは、ユーザがデジタルカメラ100に対して撮像準備状態を指示するために行うものであり、通常は、ユーザがレリーズスイッチ108を半押しすることで指示される。1stレリーズの指示がなされた場合は、デジタルカメラ100は、焦点や露出の調整等の撮像準備を行う撮影準備状態に移行する。
【0055】
1stレリーズが検出されていない場合はステップS140に移行し、システムコントローラ300は、ステップS104において判定した照明発光モードの選択が解除されたか否かを判定する。照明発光モードの選択が解除されたと判定した場合はステップS142に移行し、照明発光モードの選択が解除されていない場合はステップS116に移行する。ステップS142では、システムコントローラ300は、補助光ユニット104に発光停止を指示し、ステップS104に戻る。照明発光モードの選択が解除されていない場合は、ステップS110に戻る。
【0056】
ステップS116では、システムコントローラ300は、被写体検出動作を実行する。被写体検出動作は、合焦や測光、ホワイトバランス等の対象となる被写体を、撮像素子314における撮像範囲の中から抽出する動作である。例えば、撮像範囲中に予め定めた所定の位置にある被写体であってもよいし、タッチパネル338を介してユーザによって指示された位置でもよいし、顔認識等によって被写体を自動的に抽出してもよい。なお、顔認識は、被写体認識回路307によって行われる。
【0057】
次に、ステップS118では、システムコントローラ300は、焦点検出動作を実行する。焦点検出動作は、ステップS116によって検出した被写体についてコントラストを検出し、焦点・焦点距離調整315を制御して、被写体のコントラストが最大となる焦点位置、すなわち、検出した被写体が合焦する位置となる方向に、撮影レンズ102を駆動させる。
【0058】
そして、ステップS120では、システムコントローラ300は、検出した被写体が合焦したか否か、すなわち、撮影レンズ102の焦点位置が、検出した被写体のコントラストが最大となる位置となったか否かを判定する。被写体が合焦したと判定した場合はステップS122に移行する。被写体が合焦していないと判定した場合は、ステップS144において検出した被写体が合焦する位置となる方向に撮影レンズ102を駆動させて、ステップS110に戻る。
【0059】
次に、ステップS122では、システムコントローラ300は、ステップS118において検出した被写体位置の近傍を拡大表示する。このときの拡大範囲及び拡大率は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。このように、被写体を拡大表示することによって、ユーザは焦点位置の確認や微調整、露出、ホワイトバランス等の微調整を行うことができる。
【0060】
次に、ステップS124では、システムコントローラ300は、拡大表示した被写体に対応して、補助光ユニット104の発光量を制御する。
【0061】
より具体的には、選択された被写体の近傍は、ユーザが認識できるように、システムコントローラ300は、ステップS112で決定した発光量で、各々のLED(L11〜L53)のうちの少なくとも一つを発光させる。また、選択された被写体の近傍以外の領域は、カメラ100の表示素子334には表示されないため、その領域に対応する各々のLED(L11〜L53)の発光量を小さくする。このように、拡大表示された被写体以外の領域への発光量を小さくすることによって、消費電力を節約することができる。なお、補助光ユニット104が一部のLEDを発光させて被写体の一部を照射することで、第二照明状態が構成される。
【0062】
次に、ステップS126では、システムコントローラ300は、1stレリーズの検出が継続されているか否かを判定する。1stレリーズが検出されないと判定した場合は、ステップS146に移行し、システムコントローラ300は、拡大表示を終了し、タッチパネルディスプレイ132に全画面を表示させる。そして、ステップS148に移行し、補助光ユニット104に、被写体の全体を照射させる第1の照明状態を指示して、ステップS110に戻る。
【0063】
1stレリーズの検出が継続されていると判定した場合は、ステップS128に移行し、システムコントローラ300は、1stレリーズ状態からユーザによってレリーズスイッチ108がさらに押下されて2ndレリーズが検出されたか否かを判定する。2ndレリーズとは、ユーザがデジタルカメラ100に対して撮像を指示するために行うものであり、通常は、ユーザがレリーズスイッチ108を全押しすることで指示される2ndレリーズが検出されたと判定した場合はステップS130に移行する。2ndレリーズが検出されていない場合はステップS126に戻る。
【0064】
2ndレリーズが検出された場合は、システムコントローラ300は、直ちに撮像操作に移行する。
【0065】
ステップS130では、システムコントローラ300は、タッチパネルディスプレイ132でのライブビュー動作を停止する。次に、ステップS132では、システムコントローラ300は、補助光ユニット104に、各々のLED(L11〜L35)がそれぞれ撮像に適した発光量で発光するように指示するとともに、撮像素子314に画像の取得を指示する。なお、このときの発光状態は、前述の第一発光状態である。
【0066】
次に、ステップS134では、システムコントローラ300は、撮像素子314によって取得された信号を、撮像素子IF回路312を介して取得し、これを画像データとして生成する。生成された画像データは、SDRAM344やメモリカード340に格納する。
【0067】
次に、ステップS136では、システムコントローラ300は、ステップS102と同様にライブビュー動作を開始して、ステップS108に戻る。
【0068】
以上のような処理によって、システムコントローラ300は、補助光ユニットの各々のLED(L11〜L35)の発光量を決定して、その発光量によって被写体を適切に照射し、その結果撮像された画像データを得ることができる。
【0069】
図5、図6及び図7は、本実施形態のデジタルカメラ100における撮像の動作を示す説明図である。
【0070】
図5に示す例は、デジタルカメラ100の撮像素子314の撮像面に対して、補助光ユニットが照射する補助光が当たる被写体の照射面が傾斜している。被写体の垂直方向(Y軸)の下側(Anearと表記する)は、被写体のY軸の中央部(Amiddleと表記する)と比較してデジタルカメラ100により近い。被写体のY軸の上部(Afarと表記する)は、Amiddleの被写体と比較してデジタルカメラ100により近い。
【0071】
このような被写体に対して、システムコントローラ300は、まず、前述の図4のステップS108において、補助光ユニット104は、各々のLED(L11〜L35)が同じ発光量となるように補助光を照射する。
【0072】
この結果、Anearの被写体はAmiddleの被写体よりも明るくなり、Afarの被写体はAmiddleの被写体よりも暗くなる。
【0073】
次に、図4のステップS110において、システムコントローラ300は、撮像素子314を用いて被写体の測光を行い、被写体の照度分布を測定する。
【0074】
図5の例では、Anearの被写体はAmiddleの被写体よりも明く、Afarの被写体はAmiddleの被写体よりも暗く撮像される。この測光結果により、システムコントローラ300は、Anearの被写体が近く、Afarの被写体が遠いと推定する。
【0075】
次に、図4のステップS112において、システムコントローラ300は、このように距離が推定された、Anear、Amiddle、Afarの被写体に対応する各々のLED(L11〜L35)の照明発光条件を算出する。
【0076】
図6は、システムコントローラ300により算出された照明発光条件を模した説明図である。すなわち、補助光ユニット104の照射領域において、Anearの被写体に対応するLED(L11〜L15)をより暗く、Afarの被写体に対応するLED(L31〜L35)をより明るくなるように、照明発光条件を設定する。
【0077】
また、図4のステップ124において、システムコントローラ300は、拡大表示した被写体に対応して、補助光ユニット104の発光量を制限する。
【0078】
具体的には、図7に示すように、システムコントローラ300は、拡大表示領域500について、この拡大表示領域を照射するLED(L22、L23)のみを、算出された照明発光条件に基づいて照射し、その他のLED(L11〜L21、L24〜L35)の輝度を小さくする(第二発光状態)。
【0079】
なお、消費電力の削減のためには、拡大領域に対応しないLEDを全て消灯してもよい。一方、拡大領域に対応しないLEDを全て消灯した場合は、環境光によっては撮像領域を直接眼視することが難しくなるため、撮影が困難となる場合がある。そのときには、拡大領域に対応しないLEDを最低限必要な輝度で照射してもよい。また、このときの輝度はユーザによって設定可能に構成してもよい。
【0080】
図8は、本実施形態のシステムコントローラ300が実行する処理のタイミングチャートを示す。このタイミングチャートは、図4のステップS130及びS132の処理の詳細を説明するものである。
【0081】
システムコントローラ300は、図4のステップS128において2ndレリーズの検出を判定すると、図4のステップS108からS112の処理と同様に、被写体の照度分布を測定して、実際の撮像に反映させる。
【0082】
具体的には、システムコントローラ300は、補助光ユニット104に、照度分布測定のために、各々のLED(L11〜L35)が同じ発光量となるような命令を送信する(タイミングt1)。これを受けて、駆動電流制御回路356は、各々のLED(L11〜L35)に供給する電流値を決定し、決定した電流値の命令を送信する(タイミングt2)。
【0083】
次に、システムコントローラ300は、撮像素子314を用いて、被写体の測光を行う。システムコントローラは、撮像素子314から画像データを得るとともに、補助光ユニット104に同期信号を送信する(タイミングt3)。補助光ユニット104は、同期信号を受信したタイミングで補助光を発光する。システムコントローラ300は、同期信号を送信したタイミングで撮像素子314から静止画データを取得する。
【0084】
なお、このとき補助光ユニット104は、各々のLED(L11〜L35)を、略同一の発光時間(Tp)で駆動させる。
【0085】
システムコントローラ300は、このとき得た静止画データに基づいて、被写体の輝度分布を測定して、各々のLED(L11〜L35)の照射範囲に対応する撮像範囲にある各々の被写体の距離を推定する。
【0086】
そして、システムコントローラ300は、推定された被写体の距離に基づいて、これら各々の撮像範囲にある被写体の光度差が小さくなるように各々のLED(L11〜L35)の発光量を決定する。決定され各々のLED(L11〜L35)の発光量を補助光ユニット104に命令する(タイミングt4)。これを受けて、駆動電流制御回路356は、各々のLED(L11〜L35)に供給する電流値を決定し、決定した電流値の命令を送信する(タイミングt5)。
【0087】
次に、システムコントローラ300は、撮像素子314から画像データを得るとともに、補助光ユニット104に同期信号を送信する(タイミングt6)。補助光ユニット104は、同期信号を受信したタイミングで補助光を発光する。システムコントローラ300は、同期信号を送信したタイミングで撮像素子314から静止画データを取得する。
【0088】
なお、このとき補助光ユニット104は、各々のLED(L11〜L35)を、システムコントローラ300によって決定された発光に基づいて、各々のLED(L11〜L35)を駆動させる。この図8の例では、LED(L31〜L34)の発光時間(T3)が、LED(L21〜24)の発光時間(T2)と比較して短い発光時間に制御され、LED(L11〜L14)の発光時間(T1)が、LED(L21〜24)の発光時間(T1)と比較して長い発光時間に制御される。なお、この発光時間は、LEDの点灯から消灯までの時間であってもよいし、LEDをパルス発光させる場合のデューティー比であってもよい。
【0089】
このような処理によって、デジタルカメラ100において、距離が異なる被写体を含む被写体像を、補助光ユニット104によって適切な明るさとなるように補助光を発光することができる。
【0090】
以上説明したように、本発明の実施形態のデジタルカメラ100は、ライブビュー中に、被写体のうちの一部の被写体を表示部であるタッチパネルディスプレイ132に拡大表示するとともに、拡大表示された被写体の近傍のみに対して補助光を照射する(第二発光状態)ので、ライブビュー中に被写体を照射することによって消費される電力を削減することができる。
【0091】
また、拡大表示された被写体以外の他の被写体に対しては、補助光を消灯する、又は、補助光の輝度を落として照射するので、環境光に応じて補助光の輝度を調節できるとともに、他の被写体に対して補助光の照射が必要ない場合は、消費電力をより削減することができる。
【0092】
また、ライブビュー中の補助光ユニット104の制御は、近距離撮影時(いわゆるマクロモード)に実行するので、各々のLED(L11〜L35)と対応する被写体との関係がより明確となり、消費電力の削減効果が大きい。
【0093】
また、被写体を撮像する場合には、補助光ユニット104の各々のLED(L11〜L35)を、まず同じ発光量で照射し、このときに取得した被写体像の画像データから被写体の照度分布を測定して、測定した被写体の照度分布から、デジタルカメラ100と被写体との距離を推定する。そして、各々のLED(L11〜L35)の照射範囲に対応する撮像範囲にある被写体の距離に基づいて、これら各々の撮像範囲にある被写体の光度差が小さくなるように各々のLED(L11〜L35)の発光量を決定するので、被写体を均一な光度で照射して撮像することができる。
【0094】
なお、本発明は上記の実施形態や変形例に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0095】
100 デジタルカメラ
102 撮影レンズ
104 補助光ユニット(補助光部)
132 タッチパネルディスプレイ
300 システムコントローラ(制御部)
314 撮像素子
315 焦点・焦点距離調整機構(レンズ駆動部)
350 カメラ操作部
L11〜L35 LED(発光素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を結像する撮影レンズと、
前記撮影レンズによって結像された被写体像を画像データに変換して出力する撮像部と、
前記出力された画像データをライブビュー表示可能な表示部と、
前記出力された画像データに基づいて焦点位置を検出する焦点検出部と、
前記撮影レンズの焦点位置を変更するレンズ駆動部と、
複数の発光素子が二次元平面上に配置された発光部を有する補助光部と、
ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
前記撮像部、前記表示部、前記焦点検出部、前記レンズ駆動部、前記補助光部及び前記操作部を制御して被写体像を画像データとして撮像する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記操作部により照明発光モードが選択されたときに、前記補助光部を制御して、前記被写体の全体を照射する第一照明状態で発光させ、
前記照明発光モードの選択中に前記操作部により撮像準備状態が指示されたときに、前記焦点検出部の検出結果に基づいて前記レンズ駆動部を制御して被写体を合焦させ、一部の前記被写体の近傍を拡大して前記表示部にライブビュー表示させ、前記補助光部を制御して、前記一部の被写体の近傍を照射する第二照明状態で発光させ、
前記操作部により撮像が指示されたときは、前記補助光部を制御して前記第一照明状態で発光させ、前記被写体を撮像することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第二照明状態において、前記補助光部を制御して、前記複数の発光素子のうちの一部を発光させて前記拡大表示される一部の被写体の近傍を照射し、他の発光素子を消灯することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第二照明状態において、前記補助光部を制御して、前記複数の発光素子のうちの一部を発光させて前記拡大表示される一部の被写体の近傍を照射し、他の発光素子の輝度を前記一部の発光素子よりも小さくすることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記操作部により照明発光モードが選択されたときに、前記レンズ駆動部を制御して、撮影レンズの駆動領域を近距離側に設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、
前記第一照明モードにおいて、前記補助光部を制御して、前記複数の発光素子を略同一の輝度で発光するとともに、該発光された被写体像を撮像し、
前記撮像された画像データから、前記複数の発光素子各々に対応する前記被写体の領域の距離を検出し、
前記検出された前記被写体の領域の距離に対応して、前記複数の発光素子の輝度を変更することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−254202(P2011−254202A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125637(P2010−125637)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】