説明

撮像装置

【課題】連続撮影モードの時に被写体を観察するための光ファインダーと別個に電子ファインダーを設ける必要性を排除することにより、ファインダーの大型化を防止する。
【解決手段】単独撮影モードでは、光学ファインダーで被写体像を観察する場合にハーフミラーを挿入し、撮像する場合は退避する。連続撮影モードでも光学ファインダーで被写体像を観察することが可能となるよう、シャッターレリーズがされてもハーフミラーは退避せずに挿入したままとする。ハーフミラーを挿入したままの状態で撮像することにより生じる画像劣化は、画像処理により回復させる。撮影者が操作部材を介して行った設定に応じて、いずれかのモードが選択され、各モードでの撮像動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体光を光学ファインダーに導く光学観察位置と被写体光を撮像素子に受光させる撮像位置とに選択的に配置されるクイックリターンミラーと、電子ファインダーとを有する撮像装置がある。その撮像装置は、静止画単独撮影モードではクイックリターンミラーを上記両位置の間で移動させて光学ファインダー観察と撮像素子による撮影とを順次行わせる。連続撮影モードでは連続撮影前にはクイックリターンミラーを光学観察位置(すなわち、クイックリターンミラーを撮影光路に挿入した状態)に配置して光学ファインダー観察を行わせるとともに連続撮影中にはクイックリターンミラーを撮影位置(すなわち、クイックリターンミラーを撮影光路から退避した状態)に保持して電子ファインダー観察を行わせる。前記2つの撮影モードにおいて、クイックリターンミラーを光学観察位置に配置して光学ファインダー観察を行わせる状態において位相差方式による焦点検出および自動焦点調節を行う撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−300435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の撮像装置においては、連続撮影モードの時に被写体像を観察するために光学ファインダーとは別個に電子ファインダーを設ける必要があり、フィンダーが大型化してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1に記載の撮像装置は、被写体像を形成する撮影光学系と、被写体像を撮像して撮像信号を出力する複数の撮像画素と、撮影光学系を透過した透過光束に基づき、瞳分割型位相差検出方式により焦点検出信号を出力する複数の焦点検出画素とが2次元的に配列される撮像素子と、被写体像の観察のために撮影光学系を透過した透過光束が入射する観察光学系と、撮影光学系と撮像素子との間の撮影光路への挿入および撮影光路からの退避が可能に配設され、挿入がされたとき、撮影光学系を透過した透過光束を、撮像素子に向かう第1の光束と観察光学系に向かう第2の光束とに分割する分割光学系と、撮像信号に基づき撮像データを生成する生成手段と、分割光学系に対して挿入および退避を制御する制御手段と、制御手段に対して、第1の動作態様に応じた制御と第2の動作態様に応じた制御とを択一的に指定する指定手段とを備え、制御手段は、第1の動作態様が指定された場合、撮像データを生成するときは退避がされるように分割光学系を制御し、観察がされるときは挿入がされるように分割光学系を制御し、第2の動作態様が指定された場合、撮像データの生成時および観察時のいずれにおいても、挿入がされるように分割光学系を制御することを特徴とする。
(2)請求項14に記載の撮像装置は、被写体像を形成する撮影光学系と、被写体像を撮像して撮像信号を出力する複数の撮像画素が2次元的に配列される撮像素子と、被写体像の観察のために撮影光学系を透過した透過光束が入射する観察光学系と、撮影光学系と撮像素子との間の撮影光路への挿入および撮影光路からの退避が可能に配設され、挿入がされたとき、撮影光学系を透過した透過光束を、撮像素子に向かう第1の光束と観察光学系に向かう第2の光束とに分割する分割光学系と、撮像信号に基づき撮像データを生成する生成手段と、分割光学系に対して挿入および退避を制御する制御手段と、撮像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、制御手段は、撮像データを生成するときおよび観察がされるときのいずれのときにおいても、挿入がされるように分割光学系を制御し、所定の画像処理は、挿入に伴う撮像データの劣化を回復する画像処理であることを特徴とする。
(3)請求項15に記載の撮像装置は、被写体像を形成する撮影光学系と、被写体像を撮像して撮像信号を出力する複数の撮像画素が2次元的に配列される撮像素子と、被写体像の観察のために撮影光学系を透過した透過光束が入射する観察光学系と、撮影光学系と撮像素子との間の撮影光路への挿入および撮影光路からの退避が可能に配設され、挿入がされたとき、撮影光学系を透過した透過光束を、撮像素子に向かう第1の光束と観察光学系に向かう第2の光束とに分割する分割光学系と、撮像信号に基づき撮像データを生成する生成手段と、分割光学系に対して挿入および退避を制御する制御手段と、撮像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段と、撮像データから特定領域画像データを抽出する抽出手段をさらに備え、制御手段は、撮像データを生成するときおよび観察がされるときのいずれのときにおいても、挿入がされるように分光手段を制御し、分割光学系は、撮影光学系を透過した透過光束の一部が、分割光学系により第1の光束および第2の光束に分割され、かつ撮影光学系を透過した透過光束の残部が、撮像素子に向かうように、撮影光路に配置され、特定領域画像データは、撮像素子における第1の光束を受光した特定領域に含まれる複数の撮像画素が出力する撮像信号に基づくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による撮像装置においては、上記問題を解決し、単独撮影モード・連続撮影モードのいずれにおいても、常に撮像動作と、光学ファインダーでの観察と、位相差検出方式での自動焦点調節とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ハーフミラーが撮影光路中に挿入された状態にある一実施の形態のデジタルスチルカメラの構成を示す横断面図である。
【図2】ハーフミラーが撮影光路中から退避した状態にある一実施の形態のデジタルスチルカメラの構成を示す横断面図である。
【図3】撮影画面上の焦点検出位置を示す図である。
【図4】撮像素子の詳細な構成を示す正面図である。
【図5】撮像素子の詳細な構成を示す正面図である。
【図6】撮像画素と焦点検出画素のマイクロレンズの形状を示す図である。
【図7】撮像画素の正面図である。
【図8】焦点検出画素の正面図である。
【図9】緑画素、赤画素および青画素の分光特性を示す図である。
【図10】焦点検出画素の分光特性を示す図である。
【図11】撮像画素の断面図である。
【図12】焦点検出画素の断面図である。
【図13】撮像画素が受光する撮影光束の様子を説明するための図である。
【図14】焦点検出画素が受光する撮影光束の様子を説明するための図である。
【図15】デジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図16】単独撮影モードにおけるデジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図17】連続撮影モードにおけるデジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図18】第1動画撮影モードにおけるデジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図19】第2動画撮影モードにおけるデジタルスチルカメラの撮像動作を示すフローチャートである。
【図20】一対のデータのずらし量kに対する相関量C(k)の関係を示す図である。
【図21】ハーフミラーを透過する光線の様子を示す断面図である。
【図22】本来の像M1にゴースト像M2が重畳している例を示す図である。
【図23】絞り開口を通過した光束がハーフミラーを通過して撮像素子上に結像する様子を示した断面図である。
【図24】クリップ処理により画像データから切り抜かれる領域を示す図である。
【図25】絞り開口を通過した光束がハーフミラーを通過して撮像素子上に結像する様子を示した断面図である。
【図26】クリップ処理により画像データから切り抜かれる領域を示す図である。
【図27】撮像素子の詳細な構成を示す正面図である。
【図28】撮像素子の詳細な構成を示す正面図である。
【図29】焦点検出画素の正面図である。
【図30】焦点検出画素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施の形態の撮像装置として、レンズ交換式のデジタルスチルカメラを例に挙げて説明する。図1および図2は共に本実施の形態のデジタルスチルカメラの構成を示す横断面図である。本実施の形態のデジタルスチルカメラ201は交換レンズ202とカメラボディ203から構成され、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。カメラボディ203にはマウント部204を介して種々の撮影光学系を有する交換レンズ202が装着可能である。
【0009】
図1はハーフミラー222が撮影光路中に挿入された状態を示し、図2はハーフミラー222が撮影光路中から退避した状態を示している。
【0010】
交換レンズ202は、レンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。レンズ駆動制御装置206は、不図示のマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成される。レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の状態検出などを行う。また、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の受信を行う。絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
【0011】
カメラボディ203は、撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、スクリーン215、ペンタプリズム216、接眼レンズ217、操作部材218、メモリカード219、背面液晶表示素子(背面LCD)220、ミラーおよびアイピースシャッタ制御手段221、ハーフミラー222、アイピースシャッタ223などを備えている。撮像素子212には、撮像画素が二次元状に配置されるとともに、焦点検出位置(焦点検出エリア)に対応した部分に焦点検出画素が組み込まれている。この撮像素子212については詳細を後述する。
【0012】
ボディ駆動制御装置214は、マイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成される。ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の駆動制御と画像信号および焦点検出信号の読み出しと、焦点検出信号に基づく焦点検出演算と交換レンズ202の焦点調節を繰り返し行うとともに、画像信号の処理と記録、デジタルスチルカメラ201の動作制御などを行う。また、ボディ駆動制御装置214は、電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報の送信を行う。
【0013】
ハーフミラー222は、入射光を反射光と透過光に分離する半透過ミラーであって、ミラーおよびアイピースシャッタ制御手段221により交換レンズ202から撮像素子212に至る撮影光路中に挿入および退避される。図1のようにハーフミラー222が撮影光路中に挿入された状態において、交換レンズ202からの入射する撮影光束の一部はハーフミラー222により反射され、撮像素子212と等価な面に配置されたスクリーン(焦点板)215上に実像を形成する。スクリーン215で拡散された光はペンタプリズム216で接眼レンズ217の方向に偏向される。撮影者は接眼レンズ217を介してスクリーン215上の実像を観察することができる。スクリーン215、ペンタプリズム216、接眼レンズ217が光学ファインダーを構成する。またハーフミラー222を透過した一部の光束は撮像素子212上に結像する。
【0014】
図2のようにハーフミラー222が撮影光路中から退避された状態において、交換レンズ202からの入射するすべての撮影光束は撮像素子212上に結像するが、光学フィンダーでの観察は不能になる。
【0015】
アイピースシャッタ223は、ミラーおよびアイピースシャッタ制御手段221によりペンタプリズム216と接眼レンズ217の間に挿入退避されるシャッタである。アイピースシャッタ223は、図1のようにハーフミラー222が撮影光路中に挿入された状態においてはペンタプリズム216と接眼レンズ217の間から退避される。アイピースシャッタ223は、図2のようにハーフミラー222が撮影光路中から退避された状態においては、デジタルスチルカメラ201の外部から接眼レンズ217に入射する光がペンタプリズム216およびスクリーン215およびハーフミラー222を介して撮像素子212に到達するのを防止するために、ペンタプリズム216と接眼レンズ217の間に挿入される。
【0016】
撮像素子212より出力されるスルー画像は、背面液晶表示素子220により表示され、撮影者はスルー画像を観察することができる。メモリカード219は、撮像素子212により撮像された画像を記憶する画像ストレージである。操作部材218は、後述する撮影モードを撮影者が切換えるための切換え手段および撮影者が撮像(シャッターレリーズ)を指示するためのシャッターボタンの総称である。
【0017】
ハーフミラー222が撮影光路中に挿入された状態においても退避された状態においても交換レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212により光電変換され、画像信号と焦点検出信号がボディ駆動制御装置214へ送られる。
【0018】
ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の焦点検出画素からの焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212からの画像信号を処理して画像データを生成し、メモリカード219に格納するとともに、撮像素子212からのスルー画像信号を背面液晶表示素子220に表示させる。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口径の制御を行う。
【0019】
レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値に応じたレンズ情報を選択する。
【0020】
レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
【0021】
図3は、交換レンズ202の撮影画面上における焦点検出位置を示す図であり、後述する撮像素子212上の焦点検出画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする焦点検出エリアの一例を示す。この例では、矩形の撮影画面100上の中央(光軸上)および上下左右の5箇所に焦点検出エリア101〜105が配置される。長方形で示す焦点検出エリアの長手方向に、焦点検出画素が直線的に配列される。焦点検出エリア101、102、103においては焦点検出画素が水平方向に配列され、焦点検出エリア104、105においては焦点検出画素が垂直方向に配列される。
【0022】
図4および図5は、いずれも撮像素子212の詳細な構成を示す正面図である。図4は、図3における焦点検出エリア101、102、または103の近傍を拡大した画素配列の詳細を示し、図5は、図3における焦点検出エリア104または105の近傍を拡大した画素配列の詳細を示す。撮像素子212には撮像画素310が二次元正方格子状に稠密に配列される。撮像画素310は赤画素(R)、緑画素(G)、青画素(B)からなり、ベイヤー配列の配置規則によって配置されている。図5においては、垂直方向の焦点検出用に、撮像画素310と同一の画素サイズを有する垂直方向焦点検出用の焦点検出画素313、314が交互に、本来緑画素と青画素が連続的に配置されるべき垂直方向の直線上に連続して配列される。同じく図4においては、水平方向の焦点検出用に撮像画素と同一の画素サイズを有する水平方向焦点検出用の焦点検出画素315、316が交互に、本来緑画素と青画素が連続的に配置されるべき水平方向の直線上に連続して配列される。
【0023】
図6は、撮像画素310と焦点検出画素313、314、315、316のマイクロレンズ10の形状を示す図である。撮像画素310と焦点検出画素313、314、315、316のマイクロレンズ10の形状は、元々、画素サイズより大きな円形のマイクロレンズ9から画素サイズに対応した正方形の形状で切り出した形状をしている。マイクロレンズ10の光軸を通る対角線の方向の断面と、マイクロレンズ10の光軸を通る水平線の方向の断面とは、それぞれ図6に(a)、(b)で示す形状になっている。
【0024】
撮像画素310は、図7に示すように矩形のマイクロレンズ10、後述の遮光マスクで受光領域を正方形に制限された光電変換部11、および色フィルタ(不図示)から構成される。色フィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類からなり、それぞれの分光感度は図9に示す特性を有している。撮像素子212には、各色フィルタを備えた撮像画素310がベイヤー配列されている。
【0025】
焦点検出画素313、314、315、316には全ての色に対して焦点検出を行うために全ての可視光を透過する白色フィルタが設けられており、その白色フィルタの分光感度特性は図10に示される。つまり、図9に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光感度特性となり、そのような分光感度特性に対応する光波長領域は、緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0026】
図8は焦点検出画素313、314、315、316の正面図である。焦点検出画素313は、図8(a)に示すように矩形のマイクロレンズ10と後述の遮光マスクで受光領域を正方形の上半分(正方形を水平線で2等分した場合の上半分)に制限された光電変換部13、および白色フィルタ(不図示)とから構成される。
【0027】
また、焦点検出画素314は、図8(b)に示すように、矩形のマイクロレンズ10と後述の遮光マスクで受光領域を正方形の下半分(正方形を水平線で2等分した場合の下半分)に制限された光電変換部14、および白色フィルタ(不図示)とから構成される。
【0028】
焦点検出画素313と焦点検出画素314とをマイクロレンズ10を基準に重ね合わせて表示すると、遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部13と14が垂直方向に並んでいる。
【0029】
また図8(a)、(b)において、正方形を半分にした受光領域の部分に正方形を半分にした残りの部分(破線部分)を加えると、撮像画素310の受光領域と同じサイズの正方形となる。
【0030】
焦点検出画素315は、図8(c)に示すように、矩形のマイクロレンズ10と後述の遮光マスクで受光領域を正方形の左半分(正方形を垂直線で2等分した場合の左半分)に制限された光電変換部15、および白色フィルタ(不図示)とから構成される。
【0031】
また、焦点検出画素316は、図8(d)に示すように、矩形のマイクロレンズ10と後述の遮光マスクで受光領域を正方形の右半分(正方形を垂直線で2等分した場合の右半分)に制限された光電変換部16、および白色フィルタ(不図示)とから構成される。
【0032】
焦点検出画素315の正面図と焦点検出画素316の正面図とをマイクロレンズ10を基準に重ね合わせて表示すると、遮光マスクで受光領域を制限された光電変換部15と16が水平方向に並んでいる。
【0033】
また図8(c)、(d)において、正方形を半分にした受光領域の部分に正方形を半分にした残りの部分(破線部分)を加えると、撮像画素310の受光領域と同じサイズの正方形となる。
【0034】
図11は、垂直方向の直線で撮像画素配列の断面をとった場合の撮像画素310の断面図である。撮像画素310では撮像用の光電変換部11の上に近接して遮光マスク30が形成され、光電変換部11は、遮光マスク30の開口部30aを通過した光を受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上に色フィルタ38が形成される。色フィルタ38の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30aの形状が前方に投影される。光電変換部11は半導体回路基板29上に形成される。
【0035】
図12は、垂直方向の直線で焦点検出画素313、314からなる焦点検出画素配列の断面をとった場合の焦点検出画素313、314の断面図である。焦点検出画素313、314では焦点検出用の光電変換部13,14の上に近接して遮光マスク30が形成され、光線変換部13,14は、遮光マスク30の開口部30b、30cを通過した光を受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上に白色フィルタ34が形成される。白色フィルタ34の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30b、30cの形状が前方に投影される。光電変換部13,14は半導体回路基板29上に形成される。
【0036】
焦点検出画素315、316の構造も焦点検出画素313、314の構造を90度回転しただけであって、基本的に図12に示す焦点検出画素313、314の構造と同様である。
【0037】
図13は、図4、図5、図11に示す撮像画素310が受光する撮影光束の様子を説明するための図であって、垂直方向の直線で撮像画素配列の断面をとっている。
【0038】
撮像素子212上に配列された全ての撮像画素310の光電変換部11は、光電変換部11に近接して配置された前記遮光マスク30の開口部30aを通過した光束を受光する。遮光マスク30の開口部30aの形状は、各撮像画素310のマイクロレンズ10によりマイクロレンズ10から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上の全撮像画素共通な領域95に投影される。
【0039】
従って各撮像画素310の光電変換部11は、領域95と各撮像画素310のマイクロレンズ10を通過する撮影光束71を受光し、領域95を通過して各撮像画素310のマイクロレンズ10へ向う撮影光束71によって各マイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0040】
図14は、図5、図12に示す焦点検出画素313,314が受光する焦点検出光束の様子を図13と比較して説明するための図であって、垂直方向の直線で焦点検出画素配列の断面をとっている。
【0041】
撮像素子212上に配列された全ての焦点検出画素の光電変換部13,14は、光電変換部13,14に近接して配置された前記遮光マスク30の開口部30b、30cを通過した光束を受光する。遮光マスク30の開口部30bの形状は、各焦点検出画素313のマイクロレンズ10によりマイクロレンズ10から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上の焦点検出画素313に全てに共通した領域93に投影される。同じく、遮光マスク30の開口部30cの形状は、各焦点検出画素314のマイクロレンズ10により、マイクロレンズ10から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上の焦点検出画素314に全てに共通した領域94に投影される。一対の領域93,94を測距瞳と呼ぶ。
【0042】
従って各焦点検出画素313の光電変換部13は、測距瞳93と各撮像画素310のマイクロレンズ10を通過する焦点検出用光束73を受光し、測距瞳93を通過して各撮像画素310のマイクロレンズ10へ向う焦点検出用光束73によって各マイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、各焦点検出画素314の光電変換部14は、測距瞳94と各撮像画素310のマイクロレンズ10を通過する焦点検出用光束74を受光し、測距瞳94を通過して各撮像画素310のマイクロレンズ10へ向う焦点検出用光束74によって各マイクロレンズ10上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0043】
一対の焦点検出画素313,314が受光する焦点検出用光束73,74が通過する射出瞳90上の測距瞳93と94を統合した領域は、撮像画素310が受光する撮影光束71が通過する射出瞳90上の領域95と一致する。射出瞳90上において焦点検出用光束73,74は撮影光束71に対して相補的な関係になっている。
【0044】
上述した一対の焦点検出画素313、314を交互にかつ直線状に多数配置する。各焦点検出画素313、314の光電変換部13、14の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した一対の出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する一対の光束が焦点検出画素配列上(垂直方向)に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して、後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔と測距瞳距離の比例関係に応じた変換演算を行うことによって、焦点検出位置(垂直方向)における予定結像面と結像面の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0045】
焦点検出画素315、316が受光する焦点検出光束も焦点検出画素313、314の受光する一対の焦点検出光束73,74を90度回転しただけであって、基本的に図14に示す焦点検出光束73,74と同様であり、測距瞳93、94を90度回転した一対の測距瞳が設定される。一対の焦点検出画素315、316を交互にかつ直線状に多数配置する。各焦点検出画素315、316の光電変換部15、16の出力を一対の測距瞳に対応した一対の出力グループにまとめることによって、一対の測距瞳をそれぞれ通過する一対の光束が焦点検出画素配列上(水平方向)に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に基づき、焦点検出位置(水平方向)における予定結像面と結像面の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0046】
図15〜図19は、デジタルスチルカメラ201の撮像動作を示すフローチャートである。図15において、ボディ駆動制御装置214は、ステップS100でデジタルスチルカメラ201の電源がオンされると、ステップS110以降の動作を開始する。ステップS110では、撮影モードに応じて、ステップS200の単独撮影モード、ステップS400の連続撮影モード、ステップS600の第1動画撮影モード、ステップS800の第2動画撮影モードに分岐する。なお、撮影モードは、撮影者が操作部材218によって設定するものであり、各モードの動作中に撮影モードが切換えられた場合にはステップS120の撮影モード切換え割り込みによりステップS110に戻る。なお、単独撮影モードとは静止画像を1枚単位で撮影する撮影モードであり、連続撮影モードとは静止画像を連続的に撮影する撮影モードである。また、第1動画撮影モードとは、光学ファインダーを使用しないで動画像を撮影する撮影モードであり、第2動画撮影モードとは、光学ファインダーを使用可能な状態で動画像を撮影する撮影モードである。
【0047】
図16は、単独撮影モードの動作フローチャートである。ステップS200で単独撮影モードの動作が開始される。
【0048】
ステップS210でハーフミラー222を撮影光路中に挿入し、アイピースシャッタ223を開ける。従って撮影者は光学ファインダーによる観察が可能になる。
【0049】
ステップS220において、撮像素子212は一定周期で撮像動作を繰り返す動作モード(例えば1秒間に60フレームを出力する)に設定される。そして1フレーム分の全画素データを読み出す。続くステップS230では、撮像画素310のデータから間引きしたデータ(スルー画像)を背面液晶表示素子220にライブビュー表示させる。ステップS240では、焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づき5つの焦点検出エリア101〜105において、焦点検出を行って5つのデフォーカス量を算出し、その中で信頼性が所定値以上のデフォーカス量を抽出する。抽出されたデフォーカス量の中で相対的に最も近距離側にあるデフォーカス量を最終的なデフォーカス量とする。全てのデフォーカス量の信頼性が低い場合、またはデフォーカス量の算出が不能であった場合は、焦点検出不能となる。ステップS240におけるデフォーカス量の算出処理の詳細については後述する。
【0050】
ステップS250で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍でないと判定された場合は、ステップS260へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシング用レンズ210を合焦位置に駆動させるように指示する。その後、ステップS210へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0051】
なお、焦点検出不能な場合もこのステップに分岐し、レンズ駆動制御装置206へスキャン駆動命令を送信し、交換レンズ202のフォーカシング用レンズ210を無限から至近までの間でスキャン駆動させる。その後、ステップS210へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0052】
ステップS250で合焦近傍であると判定された場合はステップS270へ進み、シャッターボタンの操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS210へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップS280へ進み、ハーフミラー222を撮影光路中から退避するとともに、外部光が光学ファインダーからハーフミラー222を通過して撮像素子212に入射するのを防止するためにアイピースシャッタ223を閉める。ステップS290ではレンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御が終了した時点で、撮像素子212に被写体輝度に応じた露光時間による撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像画素310および全ての焦点検出画素313、314、315、316から画像データを読み出す。
【0053】
ステップS300において、焦点検出画素列の各画素位置における仮想的な撮像画素のデータを焦点検出画素の周囲の撮像画素310のデータと焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づいて画素補間する。続くステップS310では、撮像画素310のデータおよび補間された撮像画素のデータからなる画像データ(静止画データ)をメモリカード219に記憶し、ステップS210へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0054】
次に図16のステップS240で用いられるデフォーカス量の算出処理(相関演算処理)の詳細について説明する。
【0055】
簡単のため1つの焦点検出エリアの焦点検出画素配列に対する処理を記載するが、他の焦点検出エリアにおける処理も同様である。
【0056】
焦点検出画素313,314、または焦点検出画素315,316が検出する一対の像は、測距瞳がレンズの絞り開口により口径蝕を受けて光量バランスが崩れている可能性があるので、光量バランスに対して像ズレ検出精度を維持できるタイプの相関演算を施す。
【0057】
焦点検出画素列から読み出された一対のデータ列(A1〜A1、A2〜A2:Mはデータ数)に対し、特開2007−333720号公報に開示された相関演算式(1)を行い、相関量C(k)を演算する。
C(k)=Σ|A1×A2n+1+k−A2n+k×A1n+1| (1)
【0058】
式(1)において、Σ演算はnについて累積されるが、nのとる範囲は、像ずらし量kに応じてA1、A1n+1、A2n+k、A2n+1+kのデータが存在する範囲に限定される。像ずらし量kは整数であり、データ列のデータ間隔を単位とした相対的ずらし量である。
【0059】
式(1)の演算結果は、図20(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図20(a)ではk=kj=2)において相関量C(k)が極小(小さいほど相関度が高い)になる。
【0060】
式(2)〜(5)による3点内挿の手法を用いて連続的な相関量に対する極小値C(k)を与えるずらし量kを求める。
=k+D/SLOP (2)
C(k)= C(k)−|D| (3)
D={C(k−1)−C(k +1)}/2 (4)
SLOP=MAX{C(k+1)−C(k),C(k−1)−C(k)} (5)
【0061】
式(2)で算出されたずらし量kの信頼性があるかどうかは、以下のようにして判定される。
【0062】
図20(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の極小値C(k)の値が大きくなる。
【0063】
したがって、C(k)が所定の閾値以上の場合は算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量kをキャンセルする。
【0064】
あるいは、C(k)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(k)を除した値が所定値以上の場合は、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量kをキャンセルする。
【0065】
あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたずらし量の信頼性が低いと判定し、算出されたずらし量kをキャンセルする。
【0066】
図20(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、ずらし量の範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、極小値C(k)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。
【0067】
算出されたずらし量kの信頼性があると判定された場合は、式(6)により像ズレ量shftに換算される。式(6)において、PYは焦点検出画素313,314、または焦点検出画素315,316の画素ピッチの2倍(検出ピッチ)である。
shft=PY×k (6)
【0068】
式(6)で算出された像ずらし量に所定の変換係数Kを乗じてデフォーカス量defへ変換する。なお、変換係数Kは、焦点検出画素313,314、または焦点検出画素315,316が受光する一対の光束の開き角に対応しており、測距瞳距離dを一対の測距瞳の重心間隔で除算した値である。
def=K×shft (7)
【0069】
なお変換係数Kは測距瞳の重心間隔が絞り開口径に応じて変化するために、絞り開口径に応じて変化する。
【0070】
図17は連続撮影モードの動作フローチャートである。ステップS400で連続撮影モードの動作が開始される。連続撮影とは、例えば1秒間に10フレームを撮影することをいう。
【0071】
ステップS410でハーフミラー222を撮影光路中に挿入し、アイピースシャッタ223を開ける。従って撮影者は光学ファインダーによる観察が可能になる。
【0072】
ステップS420においてシャッターボタンの操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS430へ進み、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップS480へ進む。
【0073】
ステップS430では、撮像素子212は一定周期で撮像動作を繰り返す動作モード(例えば1秒間に60フレームを出力する)に設定される。そして1フレーム分の全画素データを読み出す。続くステップS440では、撮像画素310のデータから間引きしたデータ(スルー画像)を背面液晶表示素子220にライブビュー表示させる。ステップS450では、焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づき、5つの焦点検出エリア101〜105において焦点検出を行って5つのデフォーカス量を算出し、その中で信頼性が所定値以上のデフォーカス量を抽出する。抽出されたデフォーカス量に中で相対的に最も近距離側にあるデフォーカス量を最終的なデフォーカス量とする。全てのデフォーカス量の信頼性が低い場合またはデフォーカス量の算出が不能であった場合は焦点検出不能となる。
【0074】
ステップS460で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍であると判定された場合はステップS420へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0075】
合焦近傍でないと判定された場合はステップS470へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシング用レンズ210を合焦位置に駆動させるように指示する。その後、ステップS420へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0076】
ステップS420でシャッターレリーズがなされた(連続撮影の間はシャッターボタンの操作を継続する)と判定された場合はステップS480へ進み、一定周期で撮像動作を繰り返す動作モードで動作していた撮像素子212をリセットする。レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御が終了した時点で、撮像素子212に被写体輝度に応じた露光時間による撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像画素310および全ての焦点検出画素313、314、315、316から画像データを読み出す。
【0077】
続くステップS490では、撮像画素310のデータを背面液晶表示素子220に表示する。ステップS500では、焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づき、5つの焦点検出エリア101〜105において焦点検出を行って5つのデフォーカス量を算出し、その中で信頼性が所定値以上のデフォーカス量を抽出する。抽出されたデフォーカス量の中で相対的に最も近距離側にあるデフォーカス量を最終的なデフォーカス量とする。全てのデフォーカス量の信頼性が低い場合またはデフォーカス量の算出が不能であった場合は焦点検出不能となる。
【0078】
ステップS510で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍であると判定された場合はステップS530へ進む。合焦近傍でないと判定された場合はステップS520へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシング用レンズ210を合焦位置に駆動させるように指示してからステップS530へ進む。
【0079】
ステップS530において、焦点検出画素列の各画素位置における仮想的な撮像画素のデータを焦点検出画素313、314、315、316の周囲の撮像画素310のデータと焦点検出画素のデータ313、314、315、316に基づいて画素補間する。
【0080】
ステップS540では、ハーフミラー222を挿入した状態で撮像した画像データに対して、ハーフミラー222挿入により生じた画像劣化を回復する画像処理を施す。
【0081】
図21は、ハーフミラー222を透過する光線L1の様子を示す断面図(図1、図2と同じ断面による断面図)である。交換レンズ202から到来する光線L1は、ハーフミラー222の前面222aに入射し、後面222bから出射する光線L2と、後面222bにて反射しさらに前面222aにて反射し、後面222bから出射する光線L3とに分離する。ハーフミラー222の前面222aと後面222bとは平行であるので、光線L2と光線L3とは平行線となる。光線L3の量は光線L2の量に比較して微量ではあるが、天体撮影画像や夜景撮影画像等のコントラストの大きな画像の場合には、ゴーストとして光線L3の像が本来の像に重畳し、見にくい画像になってしまう。図22は、撮影画面100上において、本来の像M1にゴースト像M2が重畳している例を示す。撮影画面100上で、画面中心を通る水平軸をx、垂直軸をy、ハーフミラー222を通過後の2つの光線L2、L3のy軸方向の偏位量をΔ、光量比(L3/L2<<1)をWとする。また、本来の像M1の強度分布をM1(x,y)、ゴースト像M2の強度分布をM2(x,y)とすると、撮像素子212が出力する画像データM0の強度分布M0(x,y)は、以下のように式(8)および(9)のように表される。
M0(x,y)=M1(x,y)+W×M1(x,y+Δ) (8)
M2(x,y)=W×M1(x,y+Δ) (9)
【0082】
偏位量Δは、ハーフミラー222の厚さ、ハーフミラー222の素材の屈折率、および光線L1のハーフミラー222への入射角より算出できる。光量比Wは、ハーフミラー222の前面222aおよび後面222bの反射率より算出できる。式(10)に示すように、最左辺{M0(x,y)−W×M0(x,y+Δ)}に対して、式(8)を用いた代入計算を行い、{W×W×M1(x,y+2×Δ)}を0とする近似計算を行うことにより、M1(x,y)が求められる。すなわち、偏位量Δと光量比Wがわかれば、本来の像M1(x,y)は、式(10)の最左辺に示すような画像処理を施すことにより近似できる。このような画像処理をRGBの各色毎の画像データに対して施す。
M0(x,y)−W×M0(x,y+Δ)
=M1(x,y)−W×W×M1(x,y+2×Δ)
≒M1(x,y) (10)
【0083】
ステップS550では、ハーフミラー222を挿入したことによる、いわゆるミラー切れの影響を除去するために、画像データからハーフミラー222を通過した光束のみで被写体像が形成される領域の画像データを切り抜く処理(クリップ処理)を行う。ミラー切れとは、撮像素子212上にハーフミラー222を通過した光束のみで被写体像が形成される領域と、ハーフミラー222を通過しない光束とハーフミラー222を通過した光束とで被写体像が形成される領域とから構成される2つの領域が発生する状況をいう。
【0084】
ハーフミラー222は撮像素子212の長辺および短辺と平行な辺を有する矩形形状をしており図1、図2に示すように撮影光路中に挿入退避されるが、退避時には撮影光軸と略平行となるように、撮像素子212に近い辺を軸に回転してスクリーン215の下に退避格納される。この際、あまりにハーフミラー222の長さが長いとマウント部204や交換レンズ202と機械的な干渉を生じるために、ハーフミラー222の長さは所定値以下に制限される。
【0085】
図23は絞り開口径がFaの場合において、絞り開口を通過した光束がハーフミラー222を通過して撮像素子212上に結像する様子を示した断面図である。撮像素子212の上端の点P2に絞り開口Faを通過して結像する光束R2は、全てハーフミラー222を通過する。撮像素子212の下端の点P1に絞り開口Faを通過して結像する光束R1の一部はハーフミラー222を通過し、一部はハーフミラー222を通過しない。ハーフミラー222の通過の有無により、光量減少量、収差量などが異なるので、点P1に結像した像と点P2に結像した像は、同一の被写体画像を形成するための同じ画像特性を有しているとは言えない。また、撮像素子212上の点P3は、絞り開口Faを通過した光束R3に含まれる全ての光線がハーフミラー222を通過して撮像素子212上に結像することができる下限の位置を示している。点P3の位置は絞り開口径Fa、絞りから撮像素子212までの距離、ハーフミラー222の下端の位置(y軸方向および光軸方向)に基づき決定することができる。
【0086】
図24は、絞り開口径がFaの場合においてクリップ処理により画像データから切り抜かれる領域300を示す図である。撮像データが出力される撮影画面100上において、y軸方向(図23の断面図における上下方向)のクリップ処理は、点P2から点P3までが切り取られることによって行われる。x軸方向のクリップ処理は、クリップ処理前の撮影画面100のアスペクト比とクリップ処理後のアスペクト比が同一になるように決定される。
【0087】
図25は、絞り開口径がFb(<Fa)の場合において、絞り開口を通過した光束がハーフミラー222を通過して撮像素子212上に結像する様子を示した断面図である。撮像素子212の上端の点P2に絞り開口Fbを通過して結像する光束Q2は、全てハーフミラー222を通過する。撮像素子212の下端の点P1に絞り開口Fbを通過して結像する光束Q1の一部はハーフミラー222を通過し、一部はハーフミラー222を通過しない。また、撮像素子212上の点P4は、絞り開口Fbを通過した光束Q4に含まれるすべての光線がハーフミラー222を通過して撮像素子212上に結像することができる下限の位置を示している。点Q4の位置は絞り開口径Fb、絞りから撮像素子212までの距離、ハーフミラー222の下端の位置(y軸方向および光軸方向)に基づき決定することができる。
【0088】
図26は、絞り開口径がFbの場合においてクリップ処理により画像データから切り抜かれる領域301を示す図である。撮像データが出力される撮影画面100上において、y軸方向のクリップ処理は、点P2から点P4までが切り取られることによって行われる。x軸方向のクリップ処理は、クリップ処理前の撮影画面100のアスペクト比とクリップ処理後のアスペクト比が同一になるように決定される。
【0089】
以上のように、ステップS550では、同一撮像データにおいて、撮影画面100上のいずれの位置においてもその画像特性が一様となるようにするために、画像データからハーフミラー222を通過した光束のみで被写体像が形成される領域の画像データを切り抜くクリップ処理を行う。その際には交換レンズ202から送信される絞り開口径の情報を用いてクリップ領域の位置および大きさを決定する。
【0090】
続くステップS560では、撮像画素310のデータおよび補間された撮像画素310のデータからなる画像データ(静止画データ)をメモリカード219に記憶し、ステップS420へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0091】
図18は、第1動画撮影モードの動作フローチャートである。第1動画撮影モードにおいては、ハーフミラー222が撮影光路から退避される。第1動画撮影モードは、撮影光路中に何もない状態で動画データが取得されるとともに、撮影者が、背面液晶表示素子220により画像を観察することのできるモードである。このようにして取得された動画データは、高品質画像データであり、クリップ処理がなされていないものである。動画撮影とは、例えば1秒間に連続撮影の場合よりも多い60フレームを撮影することをいう。ステップS600で第1動画撮影モードの動作が開始される。
【0092】
ステップS610でハーフミラー222を撮影光路中から退避し、光学ファインダーからの逆入射光を阻止するためにアイピースシャッタ223を閉める。ステップS620において、撮像素子212は、一定周期で撮像動作を繰り返す動作モード(例えば1秒間に60フレームを出力する)に設定される。そして1フレーム分の全画素データを読み出す。また測光結果に応じてレンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、光量調整を行う。続くステップS630では、撮像画素310のデータから間引きしたデータ(スルー画像)を背面液晶表示素子220にライブビュー表示させる。ステップS640では、焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づき、5つの焦点検出エリア101〜105において焦点検出を行って5つのデフォーカス量を算出し、その中で信頼性が所定値以上のデフォーカス量を抽出する。抽出されたデフォーカス量の中で相対的に最も近距離側にあるデフォーカス量を最終的なデフォーカス量とする。全てのデフォーカス量の信頼性が低い場合、またはデフォーカス量の算出が不能であった場合は焦点検出不能となる。
【0093】
ステップS650で、合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べ、合焦近傍であると判定された場合はステップS670へ進む。合焦近傍でないと判定された場合は、ステップS660へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシング用レンズ210を合焦位置に駆動させるように指示してから、ステップS670に進む。
【0094】
ステップS670では、シャッターボタンの操作によりシャッターレリーズ、すなわち動画撮影指示(動画撮影の間はシャッターボタンの操作を継続する)がなされているか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS620へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされていると判定された場合はステップS680へ進み、焦点検出画素列の各画素位置における仮想的な撮像画素のデータを焦点検出画素313、314、315、316の周囲の撮像画素310のデータと焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づいて画素補間する。ステップS690では静止画データに基づき、動画フォーマットの動画データを作成する。続くステップS700では、画像データ(動画データ)をメモリカード219に記憶し、ステップS620へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0095】
図19は第2動画撮影モードの動作フローチャートである。第2動画撮影モードにおいては、ハーフミラー222が撮影光路に挿入され、動画データは撮影光路中にハーフミラー222が挿入された状態で取得されるとともに、撮影者は光学ファインダーにより画像を観察する可能なモードである。このようにして取得された動画データは、画像処理およびクリップ処理がなされていないものである。ステップS800で第2動画撮影モードの動作が開始される。
【0096】
ステップS810で、ハーフミラー222を撮影光路中に挿入し、光学ファインダーからの画像観察を可能にするためにアイピースシャッタ223を開ける。ステップS820において、撮像素子212は、一定周期で撮像動作を繰り返す動作モード(例えば1秒間に60フレームを出力する)に設定される。そして1フレーム分の全画素データを読み出す。また、測光結果に応じてレンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、光量調整を行う。続くステップS830では、撮像画素310のデータから間引きしたデータ(スルー画像)を背面液晶表示素子220にライブビュー表示させる。ステップS840では、焦点検出画素313、314、315、316のデータに基づき、5つの焦点検出エリア101〜105において焦点検出を行って5つのデフォーカス量を算出し、その中で信頼性が所定値以上のデフォーカス量を抽出する。抽出されたデフォーカス量の中で相対的に最も近距離側にあるデフォーカス量を、最終的なデフォーカス量とする。全てのデフォーカス量の信頼性が低い場合またはデフォーカス量の算出が不能であった場合は焦点検出不能となる。
【0097】
ステップS850で、合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べ、合焦近傍であると判定された場合はステップS870へ進む。合焦近傍でないと判定された場合はステップS860へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシング用レンズ210を合焦位置に駆動させるように指示してから、ステップS870に進む。
【0098】
ステップS870では、シャッターボタンの操作によりシャッターレリーズ、すなわち動画撮影指示(動画撮影の間はシャッターボタンの操作を継続する)がなされているか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS820へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされていると判定された場合はステップS880へ進む。
【0099】
ステップS890では、ハーフミラー222を挿入した状態で撮像した画像データに対して、ハーフミラー222挿入により生じた画像劣化を回復する画像処理を施す。
【0100】
ステップS900では、ハーフミラー222を挿入したことによる、いわゆるミラー切れの影響を除去するために、画像データからハーフミラー222を通過した光束のみで被写体像が形成される領域の画像データを絞り開口径に応じて切り抜く処理(クリップ処理)を行う。
【0101】
ステップS910では、焦点検出画素列の各画素位置における仮想的な撮像画素のデータを、焦点検出画素313、314、315、316の周囲の撮像画素310のデータと、焦点検出画素313、314、315、316のデータとに基づいて画素補間する。ステップS920では、静止画データに基づき動画フォーマットの動画データを作成する。続くステップS930では、画像データ(動画データ)をメモリカード219に記憶し、ステップS820へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0102】
以上説明した実施形態においては、単独撮影モード・連続撮影モード・第2動画撮影モードのいずれにおいても、常に光学ファインダーを用いた高品質な被写体観察が可能になると同時に、位相差検出方式での迅速かつ正確な自動焦点調節が可能となる。
【0103】
したがって、本実施の形態のデジタルスチルカメラ201によって、連続撮影等において、光学ファインダーより総合的に視認性(解像度、応答性)の劣る電子ファインダー観察では困難な被写体追尾が容易となる。移動する被写体に対しては、迅速な焦点調節を行って追従しつつ撮影することが可能となる。
【0104】
また、ハーフミラー222を透過した光束により画像データが形成された場合には、ハーフミラー222挿入によって生じる画像劣化を画像処理により回復するとともに、ハーフミラー222挿入によって生じる画像データにおけるミラー切れ領域を、クリップ処理により取り除くことにより画像特性が揃った自然な画像を得ることができる。
【0105】
−変形例−
<ハーフミラー挿入時の色補正>
ハーフミラー222の半透過機能を積層透明薄膜によって実現する場合には、可視光領域において波長によらず透過率を完全に一様にすることは技術的に難しく、透過率の波長依存性のために透過光によって得られた画像データには色づき(分光特性の劣化)が発生する場合がある。図17のステップS540や図19のステップS890においては、あらかじめ測定されたハーフミラー222の透過率の分光分布データに基づき、撮像データのRGB間の成分比を調整することによりこのような色づきを補正するようにしてもよい。
【0106】
<ハーフミラー挿入時の収差補正画像処理>
ハーフミラー222を撮影光路中に挿入して撮影を行う場合には、ゴースト二重像による画像劣化以外にも、色収差の発生による色滲みによる画像劣化も生じる。また、各種光学的収差(球面収差、非点収差、コマ収差、歪曲収差、像面湾曲収差)も発生するので、これらの収差を、ハーフミラー222の諸元(厚さ、屈折率、分散等)に応じて画像処理により補正するようにしてもよい。具体的には、ハーフミラー222の挿入による収差劣化を測定または計算し、求められた収差劣化に基づく点像分布関数(PSF)を算出し、該点像分布関数に基づき、撮像データに対しデコンボルーションのような画像処理を施すことにより、画像劣化を回復することができる。また、これらの収差や色づきや二重像の影響は、ハーフミラー222への入射する光束の入射角度にも依存するので、撮像素子212上の位置に応じた画像処理を施すようにしてもよい。
【0107】
<クリップ領域の表示>
図17のステップS550や図19のステップS900においては、画像データにおけるミラー切れ領域を取り除くためのクリップ処理を行うこととした。しかし、撮影者にクリップ領域を視認させるために、図1、図2において、スクリーン215の近傍に透過型液晶表示素子を配置し、クリップ領域を被写体像に重畳して表示させるようにしてもよい。
【0108】
<ペリクルミラー>
以上説明した実施形態においては、ハーフミラー222は、ガラス板のようにmmオーダの厚み(1mm程度)をもった素材により形成されている。しかし、ペリクルミラーのようなμmオーダの厚さ(数十μm程度)を有するミラーを利用することにより、二重像による画像劣化を緩和することができる。なお、ペリクルミラーとは、堅固な支持枠に接着され、薄く引き伸ばされたポリエステルシート等の薄膜上に蒸着等により半透過膜を形成して得られる半透過鏡のことをいう。
【0109】
<1つの焦点検出画素に一対の受光領域を備える>
図4、図5に示す撮像素子212の部分拡大図では、各画素に1つの光電変換部を有する一対の焦点検出画素313,314および一対の焦点検出画素315,316を備える例を示したが、図27、図28に示すように、一つの焦点検出画素内に一対の光電変換部を備えるようにしてもよい。図27、図28は、撮像素子212の部分拡大図であり、焦点検出画素311および312は一対の光電変換部を備える。
【0110】
図28に示す焦点検出画素311は、図8(a)、図8(b)に示す焦点検出画素313と焦点検出画素314のペアに相当した機能を果たし、図27に示す焦点検出画素312は、図8(c)、図8(d)に示す焦点検出画素315と焦点検出画素316のペアに相当した機能を果たす。焦点検出画素311、312は、図29(a)、図29(b)に示すようにマイクロレンズ10と、一対の光電変換部13,14または一対の光電変換部15,16から構成される。焦点検出画素311,312には後述する白色フィルタ34が配置されており、その分光感度特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光感度特性と、赤外カットフィルタ(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図10参照)となる。つまり、図9に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光感度特性となり、その分光感度特性に対応する光波長領域は、緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0111】
図30は、図29(a)に示した焦点検出画素311の断面図であって、光電変換部13,14の上に近接して遮光マスク30が形成され、光線変換部13,14は、遮光マスク30の開口部30dを通過した光を受光する。遮光マスク30の上には平坦化層31が形成され、その上に白色フィルタ34が形成される。白色フィルタ34の上には平坦化層32が形成され、その上にマイクロレンズ10が形成される。マイクロレンズ10により開口部30dに制限された光電変換部13,14の形状が前方に投影されて、一対の測距瞳を形成する。光電変換部13,14は半導体回路基板29上に形成される。
【0112】
焦点検出画素312の構造も焦点検出画素311の構造を90度回転しただけであって、基本的に図30に示す焦点検出画素311の構造と同様である。
【0113】
上述した実施形態における撮像素子212では、焦点検出画素311〜316が白色フィルタ34を備えた例を示したが、撮像画素310と同じ色フィルタ(例えば緑フィルタ)を備えるようにした場合にも本発明を適用することができる。
【0114】
上述した実施形態における撮像素子212では、撮像画素310がベイヤー配列の色フィルタを備えた例を示したが、色フィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列やベイヤー配列以外の配列にも本発明を適用することができる。
【0115】
また、色フィルタを備えないモノクロの撮像素子にも適用することができる。
【0116】
なお、撮像装置としては、上述したような、カメラボディに交換レンズが装着される構成のデジタルスチルカメラやフィルムスチルカメラに限定されない。例えば、レンズ一体型のデジタルスチルカメラ、フィルムスチルカメラ、あるいはビデオカメラにも本発明を適用することができる。さらには、携帯電話などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラやロボット用の視覚認識装置、車載カメラなどにも適用できる。
【符号の説明】
【0117】
9,10 マイクロレンズ 11,13,14,15,16 光電変換部
29 半導体回路基板 30 遮光マスク
31,32 平坦化層 34 白色フィルタ
38 色フィルタ 71 撮影光束
73,74 焦点検出用光束 90 射出瞳
91 交換レンズの光軸 93,94 測距瞳
95 射出瞳上の領域 100 撮影画面
101〜105 焦点検出エリア 201 デジタルスチルカメラ
202 交換レンズ 203 カメラボディ
204 マウント部 206 レンズ駆動制御装置
208 ズーミング用レンズ 209 レンズ
210 フォーカシング用レンズ 211 絞り
212 撮像素子 213 電気接点
214 ボディ駆動制御装置 215 スクリーン
216 ペンタプリズム 217 接眼レンズ
218 操作部材 219 メモリカード
220 背面液晶表示素子(背面LCD)
221 ミラーおよびアイピースシャッタ制御手段
222 ハーフミラー 223 ミラーおよびアイピースシャッタ
300,301 切り抜かれる領域
310 撮像画素 311〜316 焦点検出画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を形成する撮影光学系と、
前記被写体像を撮像して撮像信号を出力する複数の撮像画素と、前記撮影光学系を透過した透過光束に基づき、瞳分割型位相差検出方式により焦点検出信号を出力する複数の焦点検出画素とが2次元的に配列される撮像素子と、
前記被写体像の観察のために前記撮影光学系を透過した透過光束が入射する観察光学系と、
前記撮影光学系と前記撮像素子との間の撮影光路への挿入および前記撮影光路からの退避が可能に配設され、前記挿入がされたとき、前記撮影光学系を透過した透過光束を、前記撮像素子に向かう第1の光束と前記観察光学系に向かう第2の光束とに分割する分割光学系と、
前記撮像信号に基づき撮像データを生成する生成手段と、
前記分割光学系に対して前記挿入および前記退避を制御する制御手段と、
前記制御手段に対して、第1の動作態様に応じた制御と第2の動作態様に応じた制御とを択一的に指定する指定手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の動作態様が指定された場合、前記撮像データを生成するときは前記退避がされるように前記分割光学系を制御し、前記観察がされるときは前記挿入がされるように前記分割光学系を制御し、前記第2の動作態様が指定された場合、前記撮像データの生成時および前記観察時のいずれにおいても、前記挿入がされるように前記分割光学系を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記指定手段により前記第1の動作態様が指定されると、前記生成手段は、1枚の画像に対応する前記撮像データおよび複数の時系列画像に対応する前記撮像データのうちの少なくとも一方を生成し、
前記指定手段により前記第2の動作態様が指定されると、前記生成手段は、複数の時系列画像に対応する前記撮像データを生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記挿入時および前記退避時のいずれにおいても、前記焦点検出信号に基づき、前記撮影光学系の焦点調節状態が合焦状態となるためのデフォーカス量を検出し、該デフォーカス量に基づき、前記撮影光学系を駆動する駆動手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の撮像装置において、
前記退避がされたとき、前記観察光学系を介して外部から前記撮像素子に入射する外光を遮断する遮光手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至3に記載の撮像装置において、
前記撮像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段をさらに備え、
前記所定の画像処理は、前記第2の動作態様が指定された場合、前記挿入に伴う前記撮像データの劣化を回復する画像処理であることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記撮像データの劣化は、少なくとも前記分割光学系の前記挿入によるゴースト像に起因することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1乃至3に記載の撮像装置において、
前記撮像データから特定領域画像データを抽出する抽出手段をさらに備え、
前記分割光学系は、前記撮影光学系を透過した透過光束の一部を、前記第1の光束および前記第2の光束に分割し、かつ前記撮影光学系を透過した透過光束の残部を、前記撮像素子に向かわせるように、前記撮影光路に配置され、
前記特定領域画像データは、前記撮像素子における前記第1の光束を受光した特定領域に含まれる前記複数の撮像画素が出力する前記撮像信号に基づくことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記撮影光学系を透過する前記透過光束が該撮影光学系を透過する際、該透過光束を開口により制限する制限手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記開口の開口径の変化に応じて前記特定領域画像データを抽出することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記観察光学系は、前記第2の光束により前記被写体像が形成される焦点板と、
前記焦点板の近傍に配置され、前記特定領域に対応する範囲を、前記焦点板に形成される前記被写体像に重畳して表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1乃至3に記載の撮像装置において、
前記複数の焦点検出画素の各々は、前記撮影光学系を透過する一対の焦点検出用光束のうちの少なくとも一方を受光することにより、前記焦点検出信号を出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の撮像装置において、
前記複数の焦点検出画素の各々は、マイクロレンズと該マイクロレンズに対応して設けられた光電変換部とを有し、
前記複数の焦点検出画素は、前記一対の焦点検出用光束のうちの一方を受光する第1の焦点検出画素と、前記一対の焦点検出用光束のうちの他方を受光する第2の焦点検出画素とを含み、
前記第1の焦点検出画素と前記第2の焦点検出画素とが交互に配列されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項10に記載の撮像装置において、
前記複数の焦点検出画素の各々は、マイクロレンズと該マイクロレンズに対応して設けられた第1の光電変換部および第2の光電変換部とを有し、
前記第1の光電変換部は、前記一対の焦点検出用光束のうちの一方を受光し、前記第2の光電変換部は、前記一対の焦点検出用光束のうちの他方を受光することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
請求項10に記載の撮像装置において、
前記焦点検出信号に基づき、前記一対の焦点検出用光束を前記複数の焦点検出画素の各々が受光して形成される一対の像の相対的な像ズレ量を特定し、前記一対の光束の開き角に応じた変換係数を前記像ズレ量に乗じてデフォーカス量を算出する焦点検出手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項14】
被写体像を形成する撮影光学系と、
前記被写体像を撮像して撮像信号を出力する複数の撮像画素が2次元的に配列される撮像素子と、
前記被写体像の観察のために前記撮影光学系を透過した透過光束が入射する観察光学系と、
前記撮影光学系と前記撮像素子との間の撮影光路への挿入および前記撮影光路からの退避が可能に配設され、前記挿入がされたとき、前記撮影光学系を透過した透過光束を、前記撮像素子に向かう前記第1の光束と前記観察光学系に向かう前記第2の光束とに分割する分割光学系と、
前記撮像信号に基づき撮像データを生成する生成手段と、
前記分割光学系に対して前記挿入および前記退避を制御する制御手段と、
前記撮像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段とを備え、
前記制御手段は、前記撮像データを生成するときおよび前記観察がされるときのいずれのときにおいても、前記挿入がされるように前記分割光学系を制御し、
前記所定の画像処理は、前記挿入に伴う前記撮像データの劣化を回復する画像処理であることを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
被写体像を形成する撮影光学系と、
前記被写体像を撮像して撮像信号を出力する複数の撮像画素が2次元的に配列される撮像素子と、
前記被写体像の観察のために前記撮影光学系を透過した透過光束が入射する観察光学系と、
前記撮影光学系と前記撮像素子との間の撮影光路への挿入および前記撮影光路からの退避が可能に配設され、前記挿入がされたとき、前記撮影光学系を透過した透過光束を、前記撮像素子に向かう前記第1の光束と前記観察光学系に向かう前記第2の光束とに分割する分割光学系と、
前記撮像信号に基づき撮像データを生成する生成手段と、
前記分割光学系に対して前記挿入および前記退避を制御する制御手段と、
前記撮像データに対して所定の画像処理を行う画像処理手段と、
前記撮像データから特定領域画像データを抽出する抽出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記撮像データを生成するときおよび前記観察がされるときのいずれのときにおいても、前記挿入がされるように前記分光手段を制御し、
前記分割光学系は、前記撮影光学系を透過した透過光束の一部が、前記分割光学系により前記第1の光束および前記第2の光束に分割され、かつ前記撮影光学系を透過した透過光束の残部が、前記撮像素子に向かうように、前記撮影光路に配置され、
前記特定領域画像データは、前記撮像素子における前記第1の光束を受光した特定領域に含まれる前記複数の撮像画素が出力する前記撮像信号に基づくことを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−28177(P2011−28177A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176544(P2009−176544)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】