説明

操作位置判定装置

【課題】簡単な構成で、正確に所定の操作位置を判定することができる操作位置判定装置を提供する。
【解決手段】操作位置判定装置1は、磁石2と、第1のハーフブリッジ回路、及び第2のハーフブリッジ回路を有する第1のMRセンサ4と、第3のハーフブリッジ回路、及び第4のハーフブリッジ回路を有する第2のMRセンサ5と、判定部6と、を備え、判定部6は、磁石2によって発生する磁界に基づいて第1のハーフブリッジ回路と第3のハーフブリッジ回路から出力される出力信号の第1の差分値と、第2のハーフブリッジ回路と第4のハーフブリッジ回路から出力される出力信号の第2の差分値とを、所定の区間に分け、その区間の組合せに基づいて操作位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、複数の操作位置を指示するシフトレバーと、ケースに設けられ、シフトレバーを案内する第1及び第2の溝と、シフトレバーが第1の溝及び第2の溝のどちらに位置するかを検出する検出スイッチと、ケース内に設けられた2つのバイアスマグネットと、ケース内に設けられ、2つのバイアスマグネットによって安定した磁界が印加され、60°ずつ磁界の検知面が異なる3つの磁気抵抗から構成される磁気抵抗素子と、シフトレバーに設けられたカウンタマグネットと、検出スイッチからの出力信号と磁気抵抗素子から出力される出力信号に基づいてシフトレバーの操作位置を判定するCPU(Central Processing Unit)と、を備えたシフト装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このシフト装置によると、まず、CPUは、検出スイッチからの出力信号に基づいてシフトレバーが第1の溝に位置するか、第2の溝に位置するのかを判定する。続いてCPUは、カウンタマグネットの移動に基づいて磁気抵抗素子から出力される位相がそれぞれ60°ずつ異なる3つの出力信号に応じて第1又は第2の溝のどの位置に操作されているのかを判定し、この2つの判定結果に基づいてシフトレバーの操作位置を検出することができる。
【特許文献1】特開2007−333490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシフト装置は、検出スイッチを組み合わせることによって5つの操作位置を判定することができるが、部品点数が増加するという問題があった。また、従来のシフト装置は、磁気抵抗の配置を60°ずつずらすことによって3つの操作位置を判定することができるが、3つ以上の操作位置を判定するためには、さらに位相をずらさなければならず、配置の際の位置ずれ等で判定精度が落ちる可能性があった。
【0005】
従って本発明の目的は、簡単な構成で、正確に所定の操作位置を判定することができる操作位置判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記目的を達成するため、磁界を発生させる磁界発生部と、前記磁界発生部との相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第1の磁気センサと、前記磁界発生部との前記相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第2の磁気センサと、前記磁界の変化に基づいて前記第1の磁気センサ、及び前記第2の磁気センサから出力される複数の出力信号から正弦波形状、及び余弦波形状となる2つの差分値を算出し、しきい値に基づいて前記2つの差分値をそれぞれ異なる複数の区間に分割し、分割された区間ごとに定められた値の組合せに基づいて前記相対距離に応じた複数の操作位置を判定する判定部と、を備えた操作位置判定装置を提供する。
【0007】
(2)本発明は上記目的を達成するため、前記磁界発生部は、傾倒操作可能に支持された操作部に設けられる前記(1)に記載の操作位置判定装置を提供する。
【0008】
(3)本発明は上記目的を達成するため、前記第1及び第2の磁気センサは、位相が90°異なる前記出力信号を出力する2つのハーフブリッジ回路から構成される前記(1)に記載の操作位置判定装置を提供する。
【0009】
(4)本発明は上記目的を達成するため、前記第1及び第2の磁気センサは、前記磁界発生部の側面領域に発生する前記磁界を検出対象として基板から垂直方向に設けられ、かつ、前記磁界発生部を介して対向する位置に設けられる前記(1)に記載の操作位置判定装置を提供する。
【0010】
(5)本発明は上記目的を達成するため、前記第1の磁気センサは、前記磁界の変化によって磁気抵抗値が変化する感磁部が互いに直交する2つの磁気抵抗素子からなり、前記磁界の変化に基づいて第1の出力信号を出力する第1のハーフブリッジ回路と、前記第1のハーフブリッジ回路を反時計回りに90°回転させた配置を有し、前記磁界の変化に基づいて第2の出力信号を出力する第2のハーフブリッジ回路と、を有し、前記第2の磁気センサは、前記第1のハーフブリッジ回路を180°回転させた配置を有する第3のハーフブリッジ回路と、前記第2のハーフブリッジ回路を180°回転させた第4のハーフブリッジ回路と、を有する前記(1)に記載の操作位置判定装置を提供する。
【0011】
(6)本発明は上記目的を達成するため、前記判定部は、前記2つの差分値として前記第1の出力信号と前記第3の出力信号に基づいて第1の差分値、及び前記第2の出力信号と前記第4の出力信号に基づいて第2の差分値を算出する前記(5)に記載の操作位置判定装置を提供する。
【0012】
(7)本発明は上記目的を達成するため、前記判定部は、前記しきい値に基づいて前記第1の差分値を第1の区間、第2の区間及び第3の区間に分け、また、前記第2の差分値を第4の区間及び第5の区間に分け、これらの前記組合せに基づいて前記複数の操作位置としての5つの操作位置を判定する前記(6)に記載の操作位置判定装置を提供する。
【0013】
(8)本発明は上記目的を達成するため、磁界を発生させる磁界発生部と、前記磁界発生部との相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第1のハーフブリッジ回路と第2のハーフブリッジ回路を有する第1の磁気センサと、前記磁界発生部との前記相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第3のハーフブリッジ回路と第4のハーフブリッジ回路を有する第2の磁気センサと、前記第1のハーフブリッジ回路から出力される第1の出力信号と前記第3のハーフブリッジ回路から出力される第3の出力信号とに基づいて第1の差分値を算出し、前記第2のハーフブリッジ回路から出力される第2の出力信号と前記第4のハーフブリッジ回路から出力される第4の出力信号とに基づいて前記第1の差分値に対して位相が90°異なる第2の差分値を算出し、少なくとも1つのしきい値に基づいて前記第1及び第2の差分値をそれぞれ異なる複数の区間に分割し、分割された区間ごとに定められた値の組合せに基づいて前記相対距離に応じた複数の操作位置を判定する判定部と、を備えた操作位置判定装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
このような発明によれば、簡単な構成で、正確に所定の操作位置を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の操作位置判定装置の実施の形態を図面を参考にして詳細に説明する。
【0016】
[実施の形態]
(操作位置判定装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る操作位置判定装置の側面図である。操作位置判定装置1は、図1に示すように、X軸方向に傾倒操作可能に支持された操作部10と、操作部10の先端部に設けられ、操作部10に近い方からN極、S極の順に磁化され、所定の領域に磁界を発生する磁石(磁界発生部)2と、図示しない配線回路を有するプリント配線基板3と、磁石2との相対距離の変化に伴う磁界の変化を検出する第1のMR(Magneto Resistance;第1の磁気センサ)センサ4と、磁石2との相対距離の変化に伴う磁界の変化を検出する第2のMRセンサ(第2の磁気センサ)5と、磁石2と第1及び第2のMRセンサ4、5との相対距離に応じた複数の操作位置を判定する判定部6と、を備えて概略構成されている。なお、図1に示すZ軸は、操作部10の基準操作位置を示しており、操作部10の中心軸をZ軸と定義するものとする。
【0017】
操作部10は、一例として、X軸上の5つの操作位置を有するものとし、操作位置判定装置1は、無接点で5つの操作位置に割り付けられた車両の各機能をオン・オフすることができる多機能スイッチ装置として利用される。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係る磁石と磁気センサ部の位置関係を示す側面図である。磁石2は、アルニコ、フェライト及びネオジム等によって形成された永久磁石であり、図2に示すように、中央が中空となった円筒形状を有し、操作部10側からN極、S極とZ軸方向に磁化され、外側に向けて放射状に磁界を形成している。なお、磁石2は、上記の中空構造に限定されず、中空構造を持たない円柱形状でも良い。また、磁石2は、図1に示すように、その厚みWは、一例として5mmである。
【0019】
磁石2は、操作部10の傾倒操作に基づいて基準操作位置にあるときのZ軸から傾き、図1に示すθは、その傾きを示すものとする。
【0020】
(第1のMRセンサの構成)
第1のMRセンサ(S1)4は、図1に示すように、基板40上の配置面に後述する複数の磁気抵抗素子が形成され、磁石2の側面領域に発生する磁界が、磁気抵抗素子の後述する感磁部を横切るようにプリント配線基板3から立ち上がるように設けられている。言い換えるなら、第1のMRセンサ4は、X軸と基準操作位置にあるときのZ軸とで作る平面と、磁気抵抗素子が作る平面とが、略平行となるようにプリント配線基板3に設けられている。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態に係る第1のMRセンサの等価回路図である。図3に示す等価回路図は、図1に示す第1のMRセンサ4の回路図を示しており、M1〜M4は、磁気抵抗素子を示している。
【0022】
なお、以下に記述する磁気抵抗素子は、一例として、基板40上の設置面に強磁性金属の薄膜によって形成され、磁界が横切る角度によって抵抗値が変化する感磁部を有し、感磁部は、図3に示す矩形状の図形に対して短手方向にじゃばら状に折り返した形状を有している。感磁部は、磁界が平行に横切るとき、その抵抗値は変化せず、磁界と感磁部との角度が大きくなるにつれて、その抵抗値が小さくなる性質を有している。
【0023】
第1のMRセンサ4は、図3に示すように、磁気抵抗素子M1〜M4によってフルブリッジ回路を形成しており、さらに、磁気抵抗素子M1と磁気抵抗素子M2とによって第1のハーフブリッジ回路、及び磁気抵抗素子M3と磁気抵抗素子M4とによって第2のハーフブリッジ回路が形成されている。
【0024】
磁気抵抗素子M1と磁気抵抗素子M2は、90°の角度をなして配置され、第1のハーフブリッジ回路は、基準操作位置にあるZ軸に平行な直線に対して感磁部が45°となるように傾いて基板40上に形成されている。
【0025】
磁気抵抗素子M3と磁気抵抗素子M4は、90°の角度をなして配置され、第2のハーフブリッジ回路は、基準操作位置にあるZ軸に平行な直線に対して磁気抵抗素子M3の感磁部が直交するように基板40上に形成されている。
【0026】
磁気抵抗素子M1と磁気抵抗素子M3の間には、電圧Vccが印加され、磁気抵抗素子M2と磁気抵抗素子M4の間は、プリント配線基板3の接地回路に電気的に接続されている。
【0027】
磁気抵抗素子M1と磁気抵抗素子M2の間の中点電位は、出力電圧V1(第1の出力信号)として出力され、磁気抵抗素子M3と磁気抵抗素子M4の間の中点電位は、出力電圧V2(第2の出力信号)として出力される。
【0028】
(第2のMRセンサの構成)
第2のMRセンサ(S2)5は、図1に示すように、基板50上の設置面に複数の磁気抵抗素子が形成され、第1のMRセンサ4と同様に、磁石2の側面領域に発生する磁界が、磁気抵抗素子の後述する感磁部を横切るようにプリント配線基板3から立ち上がるように設けられている。言い換えるなら、第2のMRセンサ5は、X軸と基準操作位置にあるときのZ軸とで作る平面と、磁気抵抗素子が作る平面とが、略平行となるようにプリント配線基板3に設けられている。つまり、第1及び第2のMRセンサ4、5は、磁石2を介して対称に位置し、かつ、磁石2のN極とS極の境界線の延長上に第1及び第2のMRセンサ4、5のフルブリッジ回路の重心が来るように設けられる。
【0029】
図4は、本発明の実施の形態に係る第2のMRセンサの等価回路図である。図4に示す等価回路図は、図1に示す第2のMRセンサ5の回路図を示しており、磁気抵抗素子M5〜M8は、第1のMRセンサ4の磁気抵抗素子M1〜M4と同様の磁気抵抗値を有し、その配置が異なるものとする。
【0030】
第2のMRセンサ5は、図4に示すように、磁気抵抗素子M5〜M8によってフルブリッジ回路を形成しており、さらに、磁気抵抗素子M5と磁気抵抗素子M6とによって第3のハーフブリッジ回路、及び磁気抵抗素子M7と磁気抵抗素子M8とによって第4のハーフブリッジ回路が形成されている。
【0031】
磁気抵抗素子M5と磁気抵抗素子M6は、90°の角度をなして配置され、第3のハーフブリッジ回路は、基準操作位置にあるZ軸に平行な直線に対して感磁部が45°となるように傾いて基板50上に形成され、さらに、第1のハーフブリッジ回路を180°回転して形成されている。
【0032】
磁気抵抗素子M7と磁気抵抗素子M8は、90°の角度をなして配置され、第4のハーフブリッジ回路は、基準操作位置にあるZ軸に平行な直線に対して磁気抵抗素子M8の感磁部が直交するように基板50上に形成され、さらに、第2のハーフブリッジ回路を180回転して形成されている。
【0033】
磁気抵抗素子M5と磁気抵抗素子M7の間には、電圧Vccが印加され、磁気抵抗素子M6と磁気抵抗素子M8の間は、プリント配線基板3の接地回路に電気的に接続されている。
【0034】
磁気抵抗素子M5と磁気抵抗素子M6の間の中点電位は、出力電圧V3(第3の出力信号)として出力され、磁気抵抗素子M4と磁気抵抗素子M8の間の中点電位は、出力電圧V4(第4の出力信号)として出力される。
【0035】
(判定部の構成)
図5は、本発明の実施の形態に係る操作位置判定装置に関するブロック図である。操作位置判定装置1の判定部6は、図5に示すように、第1のMRセンサ4及び第2のMRセンサ5に接続され、第1のMRセンサ4及び第2のMRセンサ5から出力される出力信号に基づいて操作部10の複数の操作位置を判定し、判定した判定結果を車両を総合的に制御する車両制御部7に送信する。
【0036】
判定部6は、出力電圧V1及びV3に基づいて正弦波形状となる第1の差分値(=V1−V3)を算出し、以下においてこの差分値を出力1とするものとする。また、判定部6は、出力電圧V2及びV4に基づいて当該正弦波と位相が90°異なる余弦波形状となる第2の差分値(=V2−V4)を算出し、以下においてこの差分値を出力2とするものとする。
【0037】
車両制御部7は、操作位置判定装置1によって操作可能な被制御装置8に接続され、判定結果に基づいて被制御装置8を制御する。
【0038】
(動作)
以下に、本実施の形態における操作位置判定装置に関する動作を各図を参照して詳細に説明する。
【0039】
図6(a)は、本発明の実施の形態に係るX方向の操作位置と出力電圧(第1の差分値)の関係を示すグラフであり、(b)は、操作位置と出力1の関係を示す表であり、図7は、本発明の実施の形態に係るX方向の操作位置と出力電圧(第2の差分値)の関係を示すグラフであり、(b)は、操作位置と出力2の関係を示す表であり、図8は、本発明の実施の形態に係る操作位置と出力1及び出力2の組み合わせの関係を示す表である。以下におけるグラフは、一例として、電圧Vccを5vとしてシュミレーションした結果に基づいて作成されている。
【0040】
判定部6は、第1のハーフブリッジ回路からの出力電圧V1、及び第3のハーフブリッジ回路からの出力電圧V3に基づいて第1の差分値(出力1)を算出する。
【0041】
また、判定部6は、第2のハーフブリッジ回路からの出力電圧V2、及び第4のハーフブリッジ回路からの出力電圧V4に基づいて第2の差分値(出力2)を算出する。
【0042】
出力1は、図6(a)に示すように、正弦波形状となり、出力2は、図7(a)に示すように、出力1とは位相が90°異なる曲線となる。
【0043】
判定部6は、図6(a)に示すように、一例として、しきい値20mv、−20mvを設定し、出力1<―20mvの範囲(第1の区間)の出力1を「L」、−20mv≦出力1≦20mvの範囲(第2の区間)の出力1を「M」、出力1<20mvの範囲(第3の区間)の出力1を「H」、として出力1を値によって「L」、「M」、「H」の3つの区間に分ける。
【0044】
操作部10の操作位置は、Z軸との角度で示すと「−10°」、「−5°」、「0°」、「5°」及び「10°」の5つの操作位置であるから、判定部6は、図6(a)に示すグラフから明らかなように、出力1の値に基づいて「−10°=L」、「−5°=L」、「0°=M」、「5°=H」及び「10°=H」と判定する。
【0045】
また、判定部6は、図7(a)に示すように、一例として、しきい値30mv、−30mvを設定し、出力2<―30mvの範囲(第4の区間)の出力2を「L」、−30mv≦出力2≦30mvの範囲(第5の区間)の出力2を「M」、出力2<30mvの範囲の出力2を「H」、として出力2を値によって「L」、「M」、「H」の3つの区間に分ける。
【0046】
操作部10の操作位置は、Z軸との角度で示すと「−10°」、「−5°」、「0°」、「5°」及び「10°」の5つの操作位置であるから、判定部6は、図7(a)に示すグラフから明らかなように、出力2の値に基づいて「−10°=M」、「−5°=L」、「0°=L」、「5°=L」及び「10°=M」と判定する。
【0047】
判定部6は、上記の方法によって出力1及び出力2を3つの区間「L」、「M」、「H」に分け、得られた区間「L」、「M」、「H」の組み合わせに基づいて予め記憶されていた図8の表から該当する組み合わせを選択し、操作部10の操作位置を判定する。
【0048】
例えば、操作部10が、角度5°の操作位置に操作されたとき、出力1は、図6(a)に示すように、「H」の区間にあり、出力2は、図7(a)に示すように、「L」の区間にあるので、判定部6は、出力1と出力2の組合せを「H、L」とし、図8に示すように、「H、L」の組合せは、角度5°であるから、操作部10が角度5°の操作位置に操作されたと容易に判断することができる。
【0049】
判定部6は、車両制御部7に判定結果を送信する。車両制御部7は、判定結果に基づいて車両に搭載される被制御装置8の制御を行う。
【0050】
(効果)
(1)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、簡単な構成で複数の操作位置を判定することができる。
【0051】
(2)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、少ない数の磁気センサを用いて複数の操作位置を判定することができる。
【0052】
(3)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、位相が90°異なる差分値を算出して、所定の区間に分け、その組合わせによって操作位置を判定するので、無理なく複数の操作位置を判定することができる。
【0053】
(4)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、少ない磁石によって複数の操作位置を判定することができる。
【0054】
(5)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、可動する操作部10に配線を持たない磁石2を配置するので、配線の断線等の不具合を防止することができる。
【0055】
(6)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、第1及び第2のMRセンサ4、5は、磁石2の側面部に配置されるので、操作部10の操作に基づく磁界の変化が大きく、よって、磁界の変化に基づいた変化の大きな出力電圧を出力することができる。
【0056】
(7)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、互いに対称に配置された2つのハーフブリッジ回路からの出力電圧の差分値に基づいて操作位置が判定されるので、第1及び第2のMRセンサ4、5の配置にずれが生じても、正確に操作位置を判定することができる。
【0057】
(8)上記した実施の形態における操作位置判定装置1によれば、無接点によって複数の操作位置を判定することができるので、接点不良に起因する不具合がなく、長寿命である。
【0058】
(他の実施の形態について)
本実施の形態における第1及び第2のMRセンサ4、5の磁気抵抗素子の配置は、上記に限定されず、第1及び第2のMRセンサ4、5からの出力電圧の差分値が、正弦波形状及び余弦波形状となるような組み合わせであれば、その配置は問わない。
【0059】
また、本実施の形態における磁石2は、操作部10に設けられたがこれに限定されず、操作部10に第1及び第2のMRセンサ4、5が配置されても良い。
【0060】
さらに、本実施の形態における操作位置判定装置1は、X軸方向の傾倒操作を検出の対象としたが、これに限定されず、Y軸方向の傾倒操作、及びZ軸方向のプッシュ操作を検出可能な構成に、本実施の形態における第1及び第2のMRセンサ4、5を構成として加えても良い。
【0061】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作位置判定装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る磁石と磁気センサ部の位置関係を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る第1のMRセンサの等価回路図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る第2のMRセンサの等価回路図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る操作位置判定装置に関するブロック図である。
【図6】(a)は、本発明の実施の形態に係るX方向の操作位置と出力電圧の関係を示すグラフであり、(b)は、操作位置と出力1の関係を示す表である。
【図7】(a)は、本発明の実施の形態に係るX方向の操作位置と出力電圧の関係を示すグラフであり、(b)は、操作位置と出力2の関係を示す表である。
【図8】本発明の実施の形態に係る操作位置と出力1及び出力2の組み合わせの関係を示す表である。
【符号の説明】
【0063】
1…操作位置判定装置、2…磁石、3…プリント配線基板、4…第1のMRセンサ、5…第2のMRセンサ、6…判定部、7…車両制御部、8…被制御装置、10…操作部、40…基板、50…基板、M1〜M6…磁気抵抗素子、V1〜V4…出力電圧、Vcc…電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を発生させる磁界発生部と、
前記磁界発生部との相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第1の磁気センサと、
前記磁界発生部との前記相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第2の磁気センサと、
前記磁界の変化に基づいて前記第1の磁気センサ、及び前記第2の磁気センサから出力される複数の出力信号から正弦波形状、及び余弦波形状となる2つの差分値を算出し、しきい値に基づいて前記2つの差分値をそれぞれ異なる複数の区間に分割し、分割された区間ごとに定められた値の組合せに基づいて前記相対距離に応じた複数の操作位置を判定する判定部と、
を備えた操作位置判定装置。
【請求項2】
前記磁界発生部は、傾倒操作可能に支持された操作部に設けられる請求項1に記載の操作位置判定装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の磁気センサは、位相が90°異なる前記出力信号を出力する2つのハーフブリッジ回路から構成される請求項1に記載の操作位置判定装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の磁気センサは、前記磁界発生部の側面領域に発生する前記磁界を検出対象として基板から垂直方向に設けられ、かつ、前記磁界発生部を介して対向する位置に設けられる請求項1に記載の操作位置判定装置。
【請求項5】
前記第1の磁気センサは、前記磁界の変化によって磁気抵抗値が変化する感磁部が互いに直交する2つの磁気抵抗素子からなり、前記磁界の変化に基づいて第1の出力信号を出力する第1のハーフブリッジ回路と、前記第1のハーフブリッジ回路を反時計回りに90°回転させた配置を有し、前記磁界の変化に基づいて第2の出力信号を出力する第2のハーフブリッジ回路と、を有し、
前記第2の磁気センサは、前記第1のハーフブリッジ回路を180°回転させた配置を有する第3のハーフブリッジ回路と、前記第2のハーフブリッジ回路を180°回転させた第4のハーフブリッジ回路と、を有する請求項1に記載の操作位置判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記2つの差分値として前記第1の出力信号と前記第3の出力信号に基づいて第1の差分値、及び前記第2の出力信号と前記第4の出力信号に基づいて第2の差分値を算出する請求項5に記載の操作位置判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記しきい値に基づいて前記第1の差分値を第1の区間、第2の区間及び第3の区間に分け、また、前記第2の差分値を第4の区間及び第5の区間に分け、これらの前記組合せに基づいて前記複数の操作位置としての5つの操作位置を判定する請求項6に記載の操作位置判定装置。
【請求項8】
磁界を発生させる磁界発生部と、
前記磁界発生部との相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第1のハーフブリッジ回路と第2のハーフブリッジ回路を有する第1の磁気センサと、
前記磁界発生部との前記相対距離の変化に伴う前記磁界の変化を検出する第3のハーフブリッジ回路と第4のハーフブリッジ回路を有する第2の磁気センサと、
前記第1のハーフブリッジ回路から出力される第1の出力信号と前記第3のハーフブリッジ回路から出力される第3の出力信号とに基づいて第1の差分値を算出し、前記第2のハーフブリッジ回路から出力される第2の出力信号と前記第4のハーフブリッジ回路から出力される第4の出力信号とに基づいて前記第1の差分値に対して位相が90°異なる第2の差分値を算出し、少なくとも1つのしきい値に基づいて前記第1及び第2の差分値をそれぞれ異なる複数の区間に分割し、分割された区間ごとに定められた値の組合せに基づいて前記相対距離に応じた複数の操作位置を判定する判定部と、
を備えた操作位置判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−60491(P2010−60491A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228093(P2008−228093)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】