説明

操作受付装置、方法およびプログラム

【課題】操作指示の多様性と容易性とを両立させる技術を提供する。
【解決手段】操作受付装置であって、ステアリング操作部に対する接触位置を示す接触位置情報を取得する接触位置情報取得手段と、前記車両が停車中である場合の前記接触位置に対応する第1操作指示を受け付け、前記車両が走行中である場合の前記接触位置の移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける受付手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング操作部に対する操作を受け付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ステアリング操作部において荷重がかけられた位置に応じて異なる操作指示を受け付ける技術が提案されている(特許文献1、参照。)。また、ステアリング操作部に揺動可能なレバースイッチを備えさせ、レバースイッチに対する揺動操作に応じてクルーズコントロール装置を制御する技術が開示されている(特許文献2、参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−228126号公報
【特許文献2】特開2003−137103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1のようにステアリング操作部において荷重がかけられた位置に応じて操作指示を受け付ける構成とすると、運転者はステアリング操作部において荷重をかける位置を視認しなければならず、走行中に操作することが困難であるという問題があった。これに対して、ある操作指示を指定するために荷重をかける位置を広範とすれば走行中にステアリング操作部を視認する必要性は抑制されるが、ステアリング操作部によって指定できる操作指示の多様性が損なわれるという問題があった。引用文献2においても、ステアリング操作部に設けられたレバースイッチを視認して摘まなければならず、走行中において容易に操作することは困難であるという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、操作指示の多様性と容易性とを両立させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明において、接触位置情報取得手段は、ステアリング操作部に対する接触位置を示す接触位置情報を取得する。受付手段は、車両が停車中である場合はステアリング操作部の回転軸から見た場合の所定方向を基準とした接触位置に対応する第1操作指示を受け付ける。さらに、受付手段は、車両が走行中である場合は接触位置の移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける。ステアリング操作部に対する接触位置に対応する第1操作指示が受け付けられるのは車両の停車中であるため、運転者は停車中において接触位置を視認しながら意図通りの第1操作指示を指定することができる。ステアリング操作部に対する接触位置に対応する第1操作指示を受け付けることができるため、多様な操作指示を受け付けることができる。また、ステアリング操作部の回転軸から見た場合の所定方向を基準とした接触位置の方向に対応する第1操作指示を受け付けるため、ステアリング操作部の回転軸から見た方向が一定の方向にある接触位置を接触した場合に受け付ける第1操作指示は、ステアリング操作部の操舵角に依存することなく、一定となる。すなわち、運転者はステアリング操作部の操舵角を考慮することなく、自己の体や車両空間等を基準とした位置に手等を接触させることにより所望の第1操作指示を指定することができる。
【0006】
一方、車両の走行中においては、接触位置の移動方向に対応する第2操作指示を受け付けるため、容易な操作により第2操作指示を受け付けることができる。運転者がステアリング操作部に対する接触位置を視認しなくても、先の接触位置に対して後の接触位置が相対的に移動する移動方向は自己の動作によって意図通りとすることができるからである。例えば、手でステアリング操作部に接触する場合において、運転者が手の位置を視認しなくても、先の接触位置を接触している場合よりも腕を下げれば接触位置を下に移動させることができる。このような動作は特に運転者が視覚等の感覚に頼ることなく行うことができるため、運転者は運転に意識を集中させることができ、走行中の操作の容易性を確保することができる。以上のように、車両の停車中は多様な操作指示を受け付け可能とし、車両の走行中は容易に第2操作指示を指定することができる。また、ステアリング操作部は運転者の正面に位置するため、運転者の利き手や車両におけるステアリング操作部の配置に依存して操作しにくくなる場合が生じることもない。
【0007】
ステアリング操作部は基本的に全体が運転者の手等によって接触しやすい位置に存在するため、ステアリング操作部上のどの位置において接触位置を検出してもよい。また、接触位置は、機械的手法や電気的手法や光学的手法等のいずれによっても検出することができる。例えば、静電容量方式や抵抗膜方式等のタッチセンサを採用することができる。接触位置情報取得手段は接触位置情報を取得すればよく、他の装置にて生成された接触位置情報を有線通信や無線通信によって取得してもよい。
【0008】
第2操作指示に対応する接触位置の移動方向は、ステアリング操作部上を手等が移動可能な方向であればどの方向であってもよく、ステアリング操作部の形状に沿った方向であることが望ましい。また、ステアリング操作部の形状に沿った方向であれば、運転者は自然に第2操作指示に対応する接触位置の移動方向に手等を移動させることができる。例えば、ステアリング操作部のスポーク部(外周部と回転軸部とを径方向に接続する部分)では、スポーク部の形状に沿った径方向の移動方向に対応して第2操作指示を受け付けるのが望ましい。一方、ステアリング操作部の外周部では、円周方向の移動方向に対応して第2操作指示を受け付けるのが望ましい。また、第1操作指示と第2操作指示とは、例えばカーナビゲーション装置等の車両の付属装置に関するものであってもよいし、車両そのものの運転動作に関するものであってもよい。
【0009】
また、車両の走行中において、ステアリング操作部上の接触位置を視認しないにしても、接触位置の移動方向を微妙に調整することは運転者の意識が移動方向に集中することを招くため、第2操作指示に対応する接触位置の移動方向の数は少ない方が望ましい。接触位置の移動方向に応じて二択候補から択一した第2操作指示を受け付けるようにすれば、第2操作指示に対応する接触位置の移動方向の数は2方向となる。これにより、走行中は、運転者に2方向の移動方向だけを意識させることができ、走行中の操作の容易性をより高めることができる。また、互いに逆方向である2方向の移動方向に第2操作指示を対応させれば、互いに逆向きの動作によって第2操作指示を指定することができる。従って、誤操作が防止できる。
【0010】
一方、車両が停車中の場合、運転者はステアリング操作部を注視することができるため、ステアリング操作部において細かく区分された接触位置に対して手等を意図通りに接触させることができる。従って、車両が停車中の場合には、三以上の多択候補から択一して第1操作指示を受け付けることにより、多様な操作指示を受け付けることができる。
【0011】
さらに、接触位置が移動した状態から停止し、接触位置が停止したまま所定時間経過した場合に、接触位置が移動した状態にて受け付けた第2操作指示を再度受け付けるようにしてもよい。この構成によれば、運転者は、再度、同一の移動方向に接触位置を移動させなくても、接触位置が移動した状態にて受け付けた第2操作指示を再度指定することができる。運転者が連続して第2操作指示を指定したい場合に、接触位置を移動させる回数を低減できるため、走行中の操作の容易性をより高めることができる。
また、走行中においてステアリング操作部を操舵している場合には、運転者はステアリング操作部の操舵に集中すべきである。従って、ステアリング操作部の操舵角が所定角度以内である場合に限り第2操作指示を受け付けるのが望ましい。
【0012】
また、ステアリング操作部の外周部に対する接触位置に対応した第1操作指示を対応付ければ、第1操作指示として角度や方向を指定するのに好適である。すなわち、ステアリング操作部の外周部は一般的に円周状の形状を有するため、運転者は外周部に対する接触位置から第1操作指示として指定される角度や方向を容易に観念することができる。
【0013】
さらに、車両が走行中において接触位置が最後に検出されてから所定期間内において車両が停車した場合においては、第1操作指示ではなく、第2操作指示を受け付けるようにするのが望ましい。すなわち、運転者が走行中から第2操作指示を指定するためにステアリング操作部を操作している場合には、運転者は第2操作指示の指定を繰り返して行う可能性が高い。従って、第2操作指示の指定を遮断するのではなく、第2操作指示の指定を継続的に受け付ける方が運転者の使い勝手がよい。
さらに、第1操作指示を受け付けるに際し、第1操作指示として択一される選択候補を示す画像を車載表示部に表示させることにより、どのような操作指示が第1操作指示として受付可能なのかを運転者は認識できる。また、第2操作指示を受け付けるに際しても、第2操作指示として択一される二択候補を示す画像を車載表示部に表示させることにより、二択候補を示す画像に基づいてどのような操作指示が第2操作指示として受付可能なのかを運転者は認識できる。また、本発明では、車両が走行中か停車中かによって受付可能な第1操作指示と第2操作指示とが切り替わるため、車両が走行中か停車中かによって表示させる選択候補を示す画像と二択候補を示す画像とを切り替えることにより運転者が混乱することが防止できる。
【0014】
また、車両が停車中である場合には、運転者は第1操作指示を確認する余裕がある。従って、車両が停車中である場合には、接触位置が特定でき、かつ、運転者から確定操作を受け付けたことをもって第1操作指示を受け付けるようにすれば、誤操作を受け付けることが防止できる。一方、車両が走行中である場合には、確定操作を受け付けることなく運第2操作指示を受け付けることにより、操作の容易性を確保することができる。
【0015】
さらに、本発明のようにステアリング操作部に対する操作を受け付ける手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】2A,2Cはステアリング操作部の正面図、2Bはステアリング操作部の背面図である。
【図3】操作受付処理のフローチャートである。
【図4】4A,4Bは表示画像を示す図である。
【図5】第2実施形態の操作受付処理のフローチャートである。
【図6】6A,6Bは表示画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)操作受付処理:
(2−1)停車中の処理:
(2−2)走行中の処理:
(3)第2実施形態:
(4)他の実施形態:
【0018】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる操作受付装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPUとRAMとROM等を備える制御部11と記録媒体12とを備えており、制御部11は、記録媒体12やROMに記憶されたプログラムを実行する。このプログラムの一つとして制御部11はナビゲーションプログラム100を実行する。記録媒体12には、地図情報12aが記憶される。地図情報12aには、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータと、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データと、ノード同士の連結を示すリンクデータ等が含まれる。
【0019】
ナビゲーション装置10が備えられた車両には、ステアリング操作部41とタッチセンサ42とECU43とGPS受信部44と車速センサ45とジャイロセンサ46と車載表示装置としてのディスプレイ47とが備えられている。ステアリング操作部41には、タッチセンサ42が備えられている。
【0020】
図2A,2Cはステアリング操作部41の正面図であり、図2Bはステアリング操作部41の背面図である。図2Aに示すようにステアリング操作部41は、円環状の外周部41aと、外周部41aの中心に位置する円形状の回転軸部41bと、外周部41aと回転軸部41bとを径方向に接続する矩形状のスポーク部41cとを有している。ステアリング操作部41は回転軸部41bの中央を回転軸として回転し、図2Aに示すように外周部41aに設けられた基準位置Sが車両上方向に位置するとき、車両が直進可能となる。図2Cに示すように、ステアリング操作部41の回転軸から見た基準位置Sの方向の車両上方向を基準として表す角度を操舵角β(時計回りを正とする)とする。すなわち、ステアリング操作部41の操舵角βが0度(基準操舵角)となるとき、車両が直進可能となる。
【0021】
タッチセンサ42は、外周部41aに正面側に備えられた円周状の第1領域42aと、外周部41aの背面側であって左右一対のスポーク部41cと外周部41aとが接続する箇所の上方所定範囲に備えられた一対の円弧状の第2領域42bとを備える。タッチセンサ42は、運転者の手が触れている接触位置Tを示す信号を制御部11に出力する。本実施形態のタッチセンサ42は静電容量方式であるが、他の抵抗膜方式等のタッチセンサ42を用いてもよいし、機械的手法や光学的手法等によって接触位置Tを検出してもよい。ECU(Electronic Control Unit)43は、ステアリング操作部41の操舵角βを検出する。ECU43と制御部11とはCAN(Controller Area Network)によって接続され、ECU43はCANを介して制御部11に操舵角βを出力する。
【0022】
GPS受信部44は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を制御部11に出力する。車速センサ45は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部11に出力する。制御部11は、車速センサ45の出力信号に基づいて車速を特定する。ジャイロセンサ46は、車両の角加速度を検出し、当該角加速度に対応する信号を制御部11に出力する。制御部11は、角加速度に対応する信号に基づいて、車両の方向を取得する。制御部11は、GPS受信部44と車速センサ45とジャイロセンサ46の出力信号と地図情報12a等に基づいて車両の現在位置を特定する。ディスプレイ47は、例えば液晶ディスプレイであり、制御部11から出力された画像信号に基づいて画像を表示する。
【0023】
次に、ナビゲーションプログラム100の構成について説明する。ナビゲーションプログラム100は、接触位置情報取得部110と状態判定部120と操舵角判定部130と受付部140と表示制御部150とを備える。接触位置情報取得部110は、ステアリング操作部41に対する接触位置Tを示す接触位置情報を取得する機能を制御部11に実行させるモジュールである。具体的には、接触位置情報取得部110の機能により制御部11は、ステアリング操作部41に備えられたタッチセンサ42から接触位置Tを示す信号を取得し、当該信号を接触位置情報として取得する。
【0024】
状態判定部120は、車両が停車中であるか走行中であるかを判定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、状態判定部120の機能により制御部11は、車速が0である場合には車両が停車中であると判定し、車速が0以外である場合には車両が走行中であると判定する。なお、状態判定部120の機能により制御部11は、パーキングブレーキがかけられているか、または、シフトレバーがパーキングに操作されているか否かに応じて、車両が停車中であるか走行中であるかを判定してもよい。
【0025】
操舵角判定部130は、ステアリング操作部41の操舵角βが基準操舵角から所定角度以内であるか否かを判定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。具体的には、操舵角判定部130の機能により制御部11は、ECU43から操舵角βを示す信号を入力し、当該信号に基づいて操舵角βが基準操舵角から±γ以内の角度であるか否かを判定する。例えば、γは10度とされる。
【0026】
受付部140は、車両が停車中である場合と、車両が走行中である場合とで異なる機能を制御部11に実行させる。まず、車両が停車中である場合に受付部140が制御部11に実行させる機能について説明する。受付部140は、車両が停車中である場合に接触位置Tに対応する第1操作指示を受け付ける機能を制御部11に実行させるモジュールである。まず、車両が停車中である場合、受付部140の機能により制御部11は、タッチセンサ42の円周状の第1領域42aにて検出された接触位置Tを示す接触位置情報を取得する。そして、受付部140の機能により制御部11は、当該接触位置情報に基づいて、ステアリング操作部41の回転軸から見た場合の基準位置Sの方向と接触位置Tの方向とがなす角度である相対角α(図2A,2Cに図示、時計回りを正とする)を特定する。また、ステアリングが回転している場合は、ステアリングへの見かけの接触位置と、実際に接触している位置がずれてしまう場合がある。本実施形態では、このような位置のずれによることなく良好な操作性を確保するため、さらに、受付部140の機能により制御部11は、相対角αに操舵角βを加算した角度を補正角ε(図2Cに図示、時計回りを正とする)として取得する。補正角εによれば、ステアリング操作部41の車両上方を基準とした接触位置Tの方向が特定できる。
【0027】
受付部140の機能により制御部11は、補正角εが特定でき、かつ、所定の確定操作が受け付けられたことをもって、当該補正角εに対応付けられた第1操作指示を受け付ける。確定操作とは、運転者が地図の縮尺指定値の指定を確定させるために予め行う操作である。本実施形態では、ディスプレイ47に表示させる地図の縮尺指定値が補正角εに対応付けられている。本実施形態では、第1操作指示に基づいて操作される操作はディスプレイ47に表示させる地図の縮尺であり、多択候補としての8段階の縮尺指定値が接触位置Tに基づいて択一される。多択候補は、選択候補に相当する。
【0028】
次に、車両が走行中である場合に受付部140が制御部11に実行させる機能について説明する。受付部140は、車両が走行中である場合に接触位置Tの移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける機能を制御部11に実行させるモジュールである。まず、受付部140の機能により制御部11は、タッチセンサ42の第1領域42aに対する接触位置Tを取得する。受付部140の機能により制御部11は、第1領域42aに対する接触開始時の接触位置Tと接触終了時の接触位置Tとを取得する。なお、ステアリングが回転しているとき、例えば車両の右左折途中に操作指示を行うことは望ましくないため、本実施形態では車両が走行中である場合において、ステアリング操作部41の操舵角βが基準操舵角から所定角度以内である場合に限り、タッチセンサ42の第1領域42aに対する接触位置Tを取得するが、この制御は省略することも可能である。そして、受付部140の機能により制御部11は、接触開始時の接触位置Tと接触終了時の接触位置Tとの相対位置に基づいて接触位置Tの移動方向を特定し、当該移動方向を判定する。
【0029】
本実施形態では、接触開始時と接触終了時とで接触位置Tに対応する相対角αが減少したか増加したかを判定する。すなわち、外周部41aに沿って時計回りに接触位置Tが移動したか、その逆方向の反時計回り接触位置Tが移動したかを判定し、さらに当該判定の結果に基づいて運転者がステアリング操作部41の右側半分または左側半分において外周部41aに沿って手を上側に移動させたか、下側に移動させたかを判定する。そして、受付部140の機能により制御部11は、当該移動方向の判定結果に応じて二択候補を択一することにより、第2操作指示を受け付ける。本実施形態の二択候補は、ディスプレイ47に表示させる地図の縮尺指定値を、現在の縮尺指定値より1段階小さい縮尺指定値とすること、および、現在の縮尺指定値より1段階大きい縮尺指定値とすることである。従って、現在より1段階小さい縮尺指定値、または、現在より1段階大きい縮尺指定値が第2操作指示として択一的に受け付けられる。
【0030】
表示制御部150は、車両が停車中である場合に多択候補を示す画像をディスプレイ47に表示させ、車両が走行中である場合に二択候補を示す画像をディスプレイ47に表示させる機能を制御部11に実行させるモジュールである。具体的には、表示制御部150の機能により制御部11は、車両が停車中である場合には多択候補としての地図の縮尺指定値の8段階の値と、接触位置Tに対応する補正角εとを対応付けた画像をディスプレイ47に表示させる。一方、表示制御部150の機能により制御部11は、車両が走行中である場合には二択候補(現在より1段階小さい縮尺指定値、現在より1段階大きい縮尺指定値)と、接触位置Tの移動方向とを対応付けた画像をディスプレイ47に表示させる。さらに、表示制御部150の機能により制御部11は、地図情報12aに基づいて地図をディスプレイ47に表示させるとともに、第1操作指示としての8段階の縮尺指定値のいずれかと、第2操作指示として、現在より1段階小さい縮尺指定値、または、現在より1段階大きい縮尺指定値が受け付けられた場合には、これらに準じてディスプレイ47に表示させる地図を縮尺する。
【0031】
以上説明したように、車両の停車中においてステアリング操作部41に対する接触位置Tに対応する第1操作指示を受け付けるため、運転者は停車中において接触位置Tを視認しながら意図通りの第1操作指示を指定することができる。ステアリング操作部41に対する接触位置Tごとに異なる第1操作指示を受け付けることができるため、多様な操作指示を受け付けることができる。
【0032】
一方、車両の走行中においては、接触位置Tの移動方向に対応する第2操作指示を受け付けるため、走行中であっても容易に操作を指定することができる。運転者がステアリング操作部41に対する接触位置Tを視認しなくても、先の接触位置Tに対して後の接触位置Tが相対的に移動する移動方向は自己の動作によって意図通りとすることができるからである。このような動作は特に運転者が意識することなく行うことができる。特に、第2操作指示に対応する接触位置Tの移動方向は、ステアリング操作部の形状に沿った方向であるため、運転者は自然に第2操作指示に対応する接触位置Tの移動方向に手を移動させることができる。以上のように、車両の停車中は多様な操作指示を受け付け可能とし、車両の走行中は容易な操作により第2操作指示を受け付けることができる。また、ステアリング操作部41は運転者の正面に位置するため、運転者の利き手によって操作しにくくなる場合が生じることもない。また、ステアリング操作部41の操舵角βが所定角度γ以内である場合に限り第2操作指示を受け付けるため、操舵角βが大きい場合には運転者をステアリング操作部41の操舵に集中させることができる。
【0033】
また、ステアリング操作部41の回転軸から見た接触位置Tの方向を示す補正角εに対応する第1操作指示を受け付けるため、ステアリング操作部41の回転軸から見た方向が一定の方向にある接触位置Tを接触した場合に受け付けられる第1操作指示は、ステアリング操作部41の操舵角βに依存することなく一定となる。すなわち、運転者はステアリング操作部41の操舵角βを考慮することなく、自己の体や車両空間等を基準とした位置に手を接触させることにより所望の第1操作指示を指定することができる。
【0034】
また、接触位置Tの移動方向に応じて二択候補から択一した第2操作指示を受け付けるため、第2操作指示に対応する接触位置Tの移動方向の数は2方向となる。従って、走行中は、運転者に2方向の移動方向だけを意識させることができ、走行中の操作の容易性をより高めることができる。また、互いに逆方向である2方向の移動方向に第2操作指示を対応させるため、互いに逆向きの手の動作によって第2操作指示を指定することができる。従って、誤操作が防止できる。
【0035】
さらに、第1操作指示を受け付けるに際し、第1操作指示として択一される多択候補(8段階の縮尺指定値)を示す画像をディスプレイ47に表示させることにより、多択候補を示す画像に基づいてどのような操作指示が第1操作指示として受付可能なのかを運転者は認識できる。また、第2操作指示を受け付けるに際しても、第2操作指示として択一される二択候補(現在より1段階小さい縮尺指定値、現在より1段階大きい縮尺指定値)を示す画像をディスプレイ47に表示させることにより、二択候補を示す画像に基づいてどのような操作指示が第2操作指示として受付可能なのかを運転者は認識できる。また、車両が走行中か停車中かによって受付可能な第1操作指示と第2操作指示とが切り替わるが、多択候補を示す画像と二択候補を示す画像とを切り替えて表示することにより運転者が混乱することが防止できる。特に、多択候補を示す画像と二択候補を示す画像とを切り替えて表示することにより、第1操作指示と第2操作指示とが同一の操作(縮尺指定値)について指示するものである場合でも、運転者が混乱することが防止できる。ステアリング操作部41は走行中も停車中も絶えず運転者が握るものであるため、走行中と停車中とが切り替わるタイミングにおいて運転者がステアリング操作部41に対して操作を行おうとすることも考えられるが、二択候補と多択候補とが切り替わったことが認識できるため、運転者に誤った操作をさせることが防止できる。また、意図した操作指示が受け付けられないことにより、運転者に不快感を与えることが防止できる。
【0036】
さらに、車両が停車中である場合の接触位置Tに対応する多択候補(8段階の縮尺指定値)を第1操作指示として択一する場合、多択候補を示す画像を接触位置Tに対応する補正角εと対応付けて表示する。従って、運転者は、接触位置Tに対応する操作指示が受付可能であることが認識できるとともに、どの位置を接触すればどの多択候補が択一されるかを認識することができる。一方、車両が走行中である場合の接触位置Tの移動方向に対応する二択候補(現在より1段階小さい縮尺指定値、現在より1段階大きい縮尺指定値)を第2操作指示として択一する場合にも、二択候補を示す画像を接触方向と対応付けて表示する。従って、運転者は、接触位置Tの移動方向に対応する操作指示が受付可能であることが認識できるとともに、どの移動方向に接触位置Tを移動させればどの二択候補が択一されるかを認識することができる。
【0037】
また、車両が停車中である場合には、運転者は第1操作指示を確認する余裕がある。従って、車両が停車中である場合には、接触位置Tが特定でき、かつ、運転者から確定操作を受け付けたことをもって第1操作指示を受け付けることにより、誤操作を受け付けることが防止できる。一方、車両が走行中である場合には、確定操作を受け付けることなく運第2操作指示を受け付けるため、運転者は運転に意識を集中させることができる。
【0038】
(2)操作受付処理:
図3は、操作受付処理のフローチャートである。ステップS100において、制御部11は開始操作が受け付けられたか否かを判定する。開始操作は、例えばタッチセンサ42上の同一位置にて所定時間以内に2度接触する操作であってもよいし、タッチセンサ42以外のスイッチ等に対する操作であってもよいし、図示しないマイクを介した音声入力であってもよい。これらの操作にナビゲーション装置の各種機能が対応しており、例えば上述のタッチセンサ42上の同一位置にて所定時間以内に2度接触する操作で地図の縮尺機能を実行し、同様に3度接触する操作で地図のスクロール機能を実行する等の操作受付処理が行われる。ステップS105において、操舵角判定部130の機能により制御部11は、ECU43からの信号に基づいて操舵角βを取得する。ステップS110において、状態判定部120の機能により制御部11は、車速センサ45からの信号に基づいて車速を取得する。ステップS115において、状態判定部120の機能により制御部11は、現在、車両が停車中であるか走行中であるかを判定する。すなわち、状態判定部120の機能により制御部11は、車速を取得し、当該車速が0である場合には停車中であると判定し、当該車速が0でない場合には走行中であると判定する。
【0039】
(2−1)停車中の処理:
車両が停車中である場合には、ステップS120において、表示制御部150の機能により制御部11は、車両が停車中である場合には多択候補としての地図の縮尺指定値に対応する8段階の値と、接触位置Tに対応する補正角εとを対応付けた画像をディスプレイ47に表示させる。なお、表示制御部150の機能により制御部11は、ディスプレイ47に地図を表示させており、この地図に対して多択候補を示す画像を重畳する。
【0040】
図4Aは、多択候補を示す画像を示す図である。同図に示すように、ステアリング操作部41の外周部41aを模した円環R1が示されており、円環R1の上方を基準とした時計回りの中心角κの45度の範囲ごとに円環R1が区分されている。すなわち、円環R1は8個の区分領域Aに区分される。そして、地図の縮尺指定値に対応する多択候補としての8段階の縮尺指定値がそれぞれ区分領域Aに表示され、中心角κが大きい方向にある区分領域Aほど大きい値の縮尺指定値が表示されている。
【0041】
ステップS125において、制御部11は接触位置情報取得部110の機能により、タッチセンサ42の第1領域42a上の接触位置Tを示す接触位置情報を取得する。例えば、開始操作が受け付けられた後の接触開始時の接触位置Tや、接触終了時の接触位置Tや、これらの平均の接触位置T等を示す接触位置情報を取得する。さらに、ステップS125において、制御部11は受付部140の機能により、接触位置情報に基づいて接触位置Tを示す相対角αを取得し、当該相対角αに操舵角βを加算した補正角εを取得する。すなわち、ステアリング操作部41の外周部41aに対する接触位置Tの回転軸から見た方向の車両上方向に対する角度を示す補正角εを取得する。
【0042】
さらに、ステップS125において、制御部11は受付部140の機能により、補正角εを0度から45度区分で量子化し、量子化した補正角εに対応する地図の縮尺指定値を取得する。すなわち、多択候補としての8段階の縮尺指定値のなかから補正角εに対応する縮尺指定値を択一する。ここでは、量子化した補正角εが45度大きくなるごとに、1段階ずつ大きい縮尺指定値が択一される。すなわち、ステアリング操作部41の回転軸から見て車両上方を基準とした補正角εの方向にある接触位置Tに対応付けられた縮尺指定値と、円環R1において円環R1の上方を基準とした中心角κが当該補正角εと等しい方向にある区分領域Aに表示された縮尺指定値とが対応する。従って、所望の縮尺指定値が表示された区分領域Aの円環R1の中心から見た方向を認識し、ステアリング操作部41の回転軸から見た方向が当該認識した方向と同様の方向にある接触位置Tを接触することにより、当該所望の縮尺指定値を指定することができる。さらに、ステップS125において、制御部11は受付部140の機能により、取得した縮尺指定値が表示された区分領域Aを強調表示(文字の拡大)させる(図4Aにて4kmと表記された区分領域A、参照)。
【0043】
ステップS130において、制御部11は受付部140の機能により、接触終了時から所定期間内に確定操作が受け付けられたか否かを判定し、確定操作が受け付けられるまで待機する。確定操作は、例えばタッチセンサ42上の同一位置にて所定時間以内に2度接触する操作であってもよいし、タッチセンサ42以外のスイッチ等に対する操作であってもよいし、図示しないマイクを介した音声入力であってもよい。
【0044】
確定操作が受け付けられると、ステップS135において、制御部11は受付部140の機能により、ステップS125にて量子化した補正角εに対応して取得した縮尺指定値を確定的に第1操作指示として受け付ける。すなわち、ステップS125の段階では、第1操作指示は未確定であり、運転者が区分領域Aの強調表示を見て誤操作でないことを確認した上で第1操作指示としての縮尺指定値を確定することができる。当該縮尺指定値の確定をもって、表示制御部150の機能により制御部11は、当該縮尺指定値に対応する大きさに縮小された地図をディスプレイ47に表示させる。具体的には、ディスプレイ47に表示された目盛L(図4A,4Bに図示。)の長さに対応する地図上の距離が、縮尺指定値と等しくなるように地図が縮小される。すなわち、縮尺指定値が大きければ広域の地図が表示され、縮尺指定値が小さければ詳細の地図が表示される。なお、所定期間内に確定操作が受け付けられない場合には、ステップS125に戻り、再度、接触位置Tを示す接触位置情報を取得し、同様の処理を繰り返す。従って、運転者が所望する縮尺指定値を第1操作指示として受け付けることができる。ステップS140において、表示制御部150の機能により制御部11は、ディスプレイ47における多択候補を示す画像の表示を終了させる。
【0045】
(2−2)走行中の処理:
車両が走行中である場合には、ステップS145において、制御部11は操舵角判定部130の機能により、ステアリング操作部41の操舵角βが基準操舵角から所定角度以内であるか否かを判定する。すなわち、制御部11は操舵角判定部130の機能により、操舵角βが−γ<β<γを満足するか否かを判定する。ステアリング操作部41の操舵角βが基準操舵角から所定角度以内でなければ、制御部11は、接触位置Tを示す接触位置情報を取得することなく、次に開始操作が受け付けられるまで待機する。
【0046】
一方、ステアリング操作部41の操舵角βが基準操舵角から所定角度以内であれば、ステップS150において、制御部11は接触位置情報取得部110の機能により、運転者の右手と左手の少なくとも一方がステアリング操作部41の外周部41aを掴んでいるか否かを判定する。ここでは、制御部11は接触位置情報取得部110の機能により、外周部41aの背面側に備えられた第2領域42bの少なくとも一方に対する手の接触位置(背面接触位置)を検出する。そして、制御部11は接触位置情報取得部110の機能により、背面接触位置の検出と同時に、外周部41aにおける当該背面接触位置に前面側から対向する所定範囲の領域において接触が検出された場合に、運転者の右手と左手の少なくとも一方がステアリング操作部41の外周部41aを掴んでいると判定する。第2領域42bは、外周部41aにおいて左右一対のスポーク部41cと外周部41aとが接続する箇所の上方所定範囲にそれぞれ備えられているため、走行中に運転者が握るべき部位を運転者が掴んでいるか否かを判定することができる。運転者の右手と左手のいずれもステアリング操作部41の外周部41aを掴んでいないと判定した場合、制御部11は、次に開始操作が受け付けられるまで待機する。
【0047】
一方、運転者の右手と左手の少なくとも一方がステアリング操作部41の外周部41aを掴んでいると判定された場合、ステップS155において、表示制御部150の機能により制御部11は、二択候補として、現在より1段階小さい縮尺指定値、および、現在より1段階大きい縮尺指定値のそれぞれに対して接触位置Tの移動方向を対応付けた画像をディスプレイ47に表示させる。
【0048】
図4Bは、二択候補を示す画像を示す図である。本実施形態において、二択候補は現在より1段階小さい縮尺指定値と、現在より1段階大きい縮尺指定値であり、現在より1段階小さい縮尺指定値に対応する文字"詳細"を示すアイコンD1と、現在より1段階大きい縮尺指定値に対応する文字"広域"を示すアイコンD2がディスプレイ47の下部に表示されている。また、アイコンD1に対応付けてステアリング操作部41の外周部41aの右側半分を模した矢印E1が示されており当該矢印E1が反時計回り方向を指している。反対に、アイコンD2に対応付けてステアリング操作部41の外周部41aの右側半分を模した矢印E2が示されており当該矢印E2が時計回り方向を指している。矢印E1,E2は、外周部41aに対する接触位置Tの移動方向を示している。また、アイコンD1,D2の間には幅方向に細長い縮尺指定値のインジケータIが表示されており、現在の地図の縮尺指定値(黒表示)が当該インジケータIによって示されている。インジケータIによれば、運転者は、現在の地図の縮尺指定値と、現在より1段階小さい縮尺指定値と、現在より1段階大きい縮尺指定値とを具体的に認識できる。ただし、運転者は少なくとも接触位置Tの移動方向が"詳細"と"広域"のいずれに対応していることが認識できればよく、具体的な縮尺指定値まで認識する必要はない。以上の表示により、二択候補(現在より1段階小さい縮尺指定値と、現在より1段階大きい縮尺指定値)のそれぞれと接触位置Tの移動方向とが対応付けられる。従って、運転者は、どの方向に手を移動させれば、地図が広域となるか詳細となるかを容易に認識することができる。特に移動方向が反時計回りか時計回りかの2方向であるため、運転者は一目瞭然に詳細と広域とに対応する移動方向を認識できる。
【0049】
なお、図4Bは右利きの運転者を想定して外周部41aの右側半分を模した矢印E1,E2を示しているが、例えば運転者の設定により外周部41aの左側半分を模した矢印を示してもよい。ステップS160において、受付部140の機能により制御部11は、第1領域42aと第2領域42bのいずれかに対する接触位置Tを取得する。そして、受付部140の機能により制御部11は、開始操作が受け付けられた後における接触開始時の接触位置Tと接触終了時の接触位置Tとの相対位置に基づいて接触位置Tの移動方向を特定する。ここでは、接触位置Tの方向を示す相対角αに基づいて接触位置Tの移動方向が外周部41aに沿った時計回りであるか、反時計回りであるかを判定する。
【0050】
次に、ステップS165において、受付部140の機能により制御部11は、接触開始時から接触終了時の間の移動方向に基づいて二択候補から択一した第2操作指示を受け付ける。ここでは、受付部140の機能により制御部11は、ステアリング操作部41の右側半分を接触した場合と左側半分を接触した場合のそれぞれについて、運転者が手を外周部41aに沿って上方向に移動させたか否かに応じた第2操作指示を受け付ける。具体的には、受付部140の機能により制御部11は、0度≦α<180度にて相対角αが増加(時計回り)、または、180度≦α<360度にて相対角αが減少(反時計回り)した場合には、ディスプレイ47に表示させる地図の縮尺指定値を現在より1段階大きい縮尺指定値とする第2操作指示を受け付ける。反対に、受付部140の機能により制御部11は、0度≦α<180度にて相対角αが減少(反時計回り)、または、180度≦α<360度にて相対角αが増加(時計回り)した場合には、ディスプレイ47に表示させる地図の縮尺指定値を現在より1段階小さい縮尺指定値とさせる第2操作指示を受け付ける。なお、相対角αでなく補正角εに基づいて移動方向の判定や二択候補の択一を行ってもよい。第2操作指示としての縮尺指定値を受け付けたことをもって、表示制御部150の機能により制御部11は、当該縮尺指定値分の1の大きさに縮小された地図をディスプレイ47に表示させる。最後に、ステップS175において、表示制御部150の機能により制御部11は、二択候補を示す画像を示す図の表示を終了させる。
【0051】
(3)第2実施形態:
図5は、第2実施形態にかかる操作受付処理のうち走行中の処理の一部を示している。図5に示す処理は、図3のステップS160〜S165に代替する処理である。図3のステップS155において二択候補を示す画像を示す図が表示されると、ステップS1162において、受付部140の機能により制御部11は、接触位置Tの移動を検出し、接触位置Tの移動方向が特定できたか否かを判定する。ここでは、接触位置Tが移動を開始してから接触位置Tが停止(接触の終了も含む)するまでの移動方向を特定する。接触位置Tの移動が検出できれば、ステップS1164において、受付部140の機能により制御部11は、前記実施形態と同様に移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける。第2操作指示を受け付けると、受付部140の機能により制御部11は、前記検出した移動の終点において接触位置Tが所定期間(例えば、2秒等。)停止しているか否かをステップS1166にて判定する。移動の終点において接触位置Tが所定期間停止している場合には、受付部140の機能により制御部11は、ステップS1164に戻り、前回と同一の第2操作指示を再度受け付ける。ステップS1164〜S1166のループ処理は、接触位置Tが継続して停止している限り継続して繰り返される。
【0052】
移動の終点において接触位置Tが所定期間停止していない場合、あるいは、ステップS1162にて最初から移動方向が特定されない場合には、ステップS1168において、受付部140の機能により制御部11は、最後の接触から所定期間(例えば、5秒。)経過したか否かを判定する。最後の接触から所定期間経過した場合には、図3のステップS175に進み、二択候補を示す画像を示す図の表示を終了させる。一方、最後の接触から所定期間経過していない場合には、受付部140の機能により制御部11は、依然として、操舵角βが−γ<β<γを満足し(S1170)、運転者の右手と左手の少なくとも一方がステアリング操作部41の外周部41aを掴んでいる(S1172)場合に限り、ステップS1162に戻る。すなわち、受付部140の機能により制御部11は、再度、接触位置Tの移動を検出し、接触位置Tの移動方向に基づいて第2操作指示を受け付ける。
【0053】
以上説明した処理によれば、接触位置Tが移動した状態から停止し、接触位置Tが停止したまま所定時間経過した場合には、接触位置Tが移動した状態にて受け付けた第2操作指示を再度受け付けることができる。これにより、運転者は、再度、同一の移動方向に接触位置Tを移動させなくても、接触位置Tが移動した状態にて受け付けた第2操作指示を再度指定することができる。運転者が縮尺指定値を多段階にわたって変更する場合に接触位置Tを移動させる回数を低減できるため、走行中の操作の容易性をより高めることができる。むろん、接触位置Tを停止させるために、運転者がステアリング操作部41を視認することを要さない。
【0054】
また、ステアリング操作部41に対する接触の終了から所定期間を経過する前に、再度、ステアリング操作部41に移動方向が特定される限りにおいて、継続して第2操作指示を受け付けることができる。また、継続して第2操作指示を受け付ける処理(S1162〜S1172)は、車両が停車した場合でも繰り返されることとなる。従って、車両が停車した場合でも、車両の走行中と同様に移動方向による操作を運転者が行うことができ、使い勝手がよい。すなわち、すでに運転者が走行中の操作を開始している場合に、車両が停車をもって二択候補の択一の受付を遮断することが防止でき、運転者を不快にさせることもない。さらに、二択候補を示す画像も、第2操作指示を受け付ける処理を継続して実行する限りにおいて、車両が停車した場合でも継続して表示される。従って、移動方向による操作が継続して可能であることを運転者は認識できる。接触の終了から所定期間を経過し、第2操作指示を受け付ける処理が終了すれば、二択候補を示す画像も表示されなくなるため、走行中の操作が受付不能となったことを運転者は認識できる。
【0055】
(4)他の実施形態:
ナビゲーション装置10に関する第1操作指示と第2操作指示の他の実施形態として、ディスプレイ47に表示させる地図のスクロール方向(角度)の指定が挙げられる。図6A,6Bは、それぞれ車両の停車中と走行中において表示される多択候補を示す画像と二択候補を示す画像を表す図である。図6Aにおいてディスプレイ47の右上隅に円環R2が示されており、円環R2において放射状の矢印E3が示されている。この矢印E3は、ステアリング操作部41の外周部41aにおいて当該矢印E3が指す方向と同様の方向の接触位置Tを接触すれば、当該矢印E3の方向に地図をスクロールさせる第1操作指示が受け付けられることを意味している。なお、ステアリング操作部の外周部41aは円周状であるため、運転者は外周部41aに対する接触位置Tから第1操作指示として指定されるスクロール方向を容易に観念することができる。この場合、円環R2や矢印E3を表示させないことも可能であるが、接触位置Tに基づく第1操作指示が受付可能であることを運転者に通知するために、円環R2や矢印E3を表示するのが望ましい。
【0056】
図6Bにおいては、ディスプレイ47の右上隅にステアリング操作部の外周部41aの右側半分を模した矢印E4,E5が示されており、矢印E4,E5に対応付けて文字"前方","後方"を示すアイコンD3,D4が示されている。矢印E4は反時計回り方向を指し、矢印E5は時計回り方向を指す。本実施形態では、車両の走行中において、ステアリング操作部の外周部41aの右側半分において反時計回り方向の接触位置Tの移動方向が特定された場合、ディスプレイ47上の地図を経路前方にスクロールさせる第2操作指示を受け付ける。反対に、ステアリング操作部の外周部41aの右側半分において時計回り方向の接触位置Tの移動方向が特定された場合、ディスプレイ47上の地図を経路後方にスクロールさせる第2操作指示を受け付ける。
【0057】
前記実施形態においては、車両の走行中は二択候補から択一された第2操作指示を受け付けるようにしたが、車両の走行中において多択候補から択一された第2操作指示を受け付けてもよい。この場合でも、第2操作指示は接触位置Tの移動方向に対応するため、運転者はステアリング操作部41を視認することなく、容易に第2操作指示を指定することができる。反対に、車両の停車中であっても二択候補から択一された第1操作指示を受け付けるようにしてもよい。例えば、停車中でも運転者にYesかNoを問い合わせる場合には、二択候補から択一された第1操作指示を受け付けることとなる。
【0058】
また、ステアリング操作部41は基本的に全体が運転者の手によって接触しやすい位置に存在するため、ステアリング操作部41において接触位置Tが検出される領域は特に限定されない。例えば、スポーク部41cにもタッチセンサを備えさせ、当該スポーク部の形状に沿って直線的な移動方向に対応して第2操作指示を受け付けるようにしてもよい。さらに、移動方向とともに移動速度を検出し、当該移動速度に基づいて択一した第2操作指示を受け付けるようにしてもよい。また、第1操作指示と第2操作指示とは、例えばカーオーディオ装置やETC車載器等の車両の付属装置に関するものであってもよいし、車両そのものの運転動作に関するものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…ナビゲーション装置、11…制御部、12…記録媒体、12a…地図情報、41…ステアリング操作部、41a…外周部、41b…回転軸部、41c…スポーク部、42…タッチセンサ、42a…第1領域、42b…第2領域、43…ECU、44…GPS受信部、45…車速センサ、46…ジャイロセンサ、47…ディスプレイ、100…ナビゲーションプログラム、110…接触位置情報取得部、120…状態判定部、130…操舵角判定部、140…受付部、150…表示制御部、A…区分領域、D1〜D4…アイコン、I…インジケータ、E1〜E5…矢印、R1〜R2…円環、S…基準位置、T…接触位置、α…相対角、β…操舵角、γ…所定角度、ε…補正角、κ…中心角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング操作部に対する接触位置を示す接触位置情報を取得する接触位置情報取得手段と、
車両が停車中である場合は前記ステアリング操作部の回転軸から見た場合の所定方向を基準とした前記接触位置に対応する第1操作指示を受け付け、
前記車両が走行中である場合は前記接触位置の移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける受付手段と、
を備える操作受付装置。
【請求項2】
前記受付手段は、前記第1操作指示を選択候補からの択一により受け付け、前記第2操作指示を二択候補からの択一により受け付ける、
請求項1に記載の操作受付装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記接触位置が移動した状態から停止し、前記接触位置が停止したまま所定時間経過した場合に、前記接触位置が移動した状態にて受け付けた前記第2操作指示を再度受け付ける、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の操作受付装置。
【請求項4】
前記受付手段は、前記ステアリング操作部の操舵角が所定角度以内である場合に限り、前記第2操作指示を受け付ける、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の操作受付装置。
【請求項5】
前記第1操作指示は、前記ステアリング操作部の外周部に対する前記接触位置に応じて受け付けられる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の操作受付装置。
【請求項6】
前記受付手段は、前記車両が走行中において前記接触位置が最後に検出されてから所定期間内においては、前記車両が停車した場合も前記移動方向に対応する前記第2操作指示を受け付ける、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の操作受付装置。
【請求項7】
前記車両が停車中である場合に前記選択候補を示す画像を車載表示装置に表示させ、前記車両が走行中である場合に前記二択候補を示す画像を前記車載表示装置に表示させる表示制御手段を、
さらに備える、請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の操作受付装置。
【請求項8】
前記受付手段は、
前記車両が停車中である場合に、前記接触位置が特定でき、かつ、運転者から確定操作を受け付けたことをもって、前記第1操作指示を受け付け、
前記車両が走行中である場合に、前記移動方向が特定できたことをもって、前記第2操作指示を受け付ける、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の操作受付装置。
【請求項9】
ステアリング操作部に対する接触位置を示す接触位置情報を取得する接触位置情報取得工程と、
車両が停車中である場合は前記ステアリング操作部の回転軸から見た場合の所定方向を基準とした前記接触位置に対応する第1操作指示を受け付け、
前記車両が走行中である場合は前記接触位置の移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける受付工程と、
を含む操作受付方法。
【請求項10】
ステアリング操作部に対する接触位置を示す接触位置情報を取得する接触位置情報取得機能と、
車両が停車中である場合は前記ステアリング操作部の回転軸から見た場合の所定方向を基準とした前記接触位置に対応する第1操作指示を受け付け、
前記車両が走行中である場合は前記接触位置の移動方向に対応する第2操作指示を受け付ける受付機能と、
をコンピュータに実行させる操作受付プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−201496(P2011−201496A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73057(P2010−73057)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】