説明

操作部構造

【課題】押圧操作部材と回動操作部材から成る操作部構造であって、部品点数が少ない操作部構造を提供する。
【解決手段】シャッターボタンユニット34は、中央ボタン40、回動レバー42、基台44、クリック板46から成り、回動レバー42は基台44を挟んでクリック板46に固定され、中央ボタン40は基台44を挟んでクリック板46に係合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作部構造に係り、特に電子スチルカメラのシャッターボタンとして使用される操作部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子スチルカメラの操作部構造として、押圧式のボタンと回動式のダイヤルを組み合わせたものが使用されている。例えば、特許文献1には、中央の押圧ボタンと、その周囲の回動ダイヤルとを備えた操作部構造が記載されている。この操作部構造は、回動ダイヤルが基台を挟んで保持部材に係合保持されており、この保持部材にスライド式の電気接触片が取り付けられている。そして、回動ダイヤルを回動操作することによって、電気接触片が回動して基板上のパターンに摺動する。これにより、所望のパターンが短絡され、動作モードの設定や押圧ボタンのロックが行われる。
【特許文献1】特開2003−16879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1は、操作部構造の部品点数が多いため、装置全体が大型化するという問題や、組立工数が増加するという問題があった。また、特許文献1は、回動ダイヤルと保持部材の固定強度、さらには保持部材と電気接触片の固定強度が弱く、ガタツキが発生して故障しやすいという問題があった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、部品点数が少ない操作部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、基台と、押圧操作されることによって前記基台に対して押圧方向に移動する押圧操作部材と、回動操作されることによって前記基台に対して回動方向に移動する回動操作部材と、前記基台に対して前記回動操作部材の反対側に配置され、前記回動操作部材とともに回動し、クリック動作によって前記回動操作部材を位置決めするクリック部材と、を備え、前記クリック部材は、前記回動操作部材に取り付けられれるとともに前記押圧操作部材に係合され、前記回動操作部材及び前記押圧操作部材の前記基台からの抜け止め手段として兼用されることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、回動操作部材をクリック部材に取り付けるとともに押圧操作部材にクリック部材を係合させるようにしたので、クリック部材が押圧操作部材と回動操作部材の抜け止め手段として兼用される。したがって、押圧操作部材と回動操作部材の抜け止め部材を別途設ける必要がなく、部品点数を減少させることができる。これにより、組立工数を減らすことができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記クリック部材は、前記回動操作部材の回動位置を電気的に検出するための電気接触片を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記回動操作部材は略リング状に形成され、該回動操作部材の内周面にはねじ固定部が突出形成されるとともに、前記クリック部材は、前記回動操作部材のねじ固定部にねじによって固定されることを特徴とする。したがって、請求項3の発明によれば、ねじ固定なので、溶着や接着に比べて、大きな強度を安定して確保することができ、ガタツキの発生を防止することができる。また、回動操作部材のねじ固定部を突出形成したので、回動操作部材を小さく形成した場合にもねじ固定部の肉厚を確保することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は請求項3の発明において、前記ねじ止め部は、前記回動操作部材を回動操作することによって、前記押圧操作部材の押圧操作を機械的にロックするロック位置に配置されることを特徴とする。したがって、ねじ固定部が機械的なロック手段を兼用しており、操作部構造の部品点数をさらに減少させることができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は前記目的を達成するために、基台と、押圧操作されることによって前記基台に対して押圧方向に移動する押圧操作部材と、回動操作されることによって前記基台に対して回動方向に移動する回動操作部材と、前記基台に対して前記回動操作部材の反対側に配置され、前記回動操作部材とともに回動し、前記回動操作部材の位置を電気的に検出するための電気接触部材と、を備え、前記電気接触部材は、前記回動操作部材に取り付けられ、前記回動操作部材の前記基台からの抜け止め手段として兼用されることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明によれば、回動操作部材を電気接触部材に取り付けるようにしたので、電気接触部材が回動操作部材の抜け止め手段として兼用される。したがって、回動操作部材の抜け止め部材を別途設ける必要がなく、部品点数を減少させることができる。これにより、組立工数を減らすことができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る操作部構造によれば、クリック部材や電気接触部材を回動操作部材に取り付けて、回動操作部材の抜け止め手段として兼用するようにしたので、回動操作部材の抜け止め部材を別途設ける必要がなく、部品点数を減少させることができる。これにより、組立工数を減らすことができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面に従って本発明に係る操作部構造の好ましい実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る操作部構造がシャッターボタンに適用されたカメラ10の斜視図である。同図に示すカメラ10は、被写体像を撮影レンズ12を介して固体撮像素子に結像し、被写体像を電子データとして取得するデジタルカメラである。カメラ10のカメラ本体14の前部には、撮影レンズ12を保持するレンズ鏡胴16が設けられ、レンズ鏡胴16に回動自在に設けられたフォーカスリング18を手動で回動させることにより撮影レンズ12のフォーカスレンズが移動されて合焦操作される。
【0015】
また、カメラ本体14の上部には、外付けストロボ装置が取り付けられるホットシュー20が設けられ、ホットシュー20の前方には、ポップアップ式のストロボ22がカメラ本体14に起伏自在に設けられている。このストロボ22は、ポップアップボタン24を押圧操作することにより、カメラ本体14側との係合が解除されて起立し、そのストロボ発光部が前方に向く。さらに、カメラ本体14の上面には、撮影モード選択ダイヤル26、コマンドダイヤル28が近接配置される。
【0016】
カメラ本体14の背面には不図示の電子ビューファインダが設けられ、カメラ本体14の側面にはスピーカ30、ストラップ取付部32が配置されている。
【0017】
カメラ本体14のグリップ部33の上面には、本発明に係る操作部構造が適用されたシャッターボタンユニット34が配設されている。図2は、シャッターボタンユニット34の構造を示す分解斜視図であり、図3は、シャッターボタンユニット34の縦断面図である。
【0018】
これらの図に示すように、シャッターボタンユニット34は、中央ボタン(押圧操作ボタンに相当)40、回動レバー(回動操作部材に相当)42、基台44、クリック板46(クリック部材に相当)、及びスイッチユニット48で構成される。
【0019】
基台44は、図1のカメラ本体14のケースを成す部材であり、中央ボタン40の軸部50が挿通される貫通孔44Aと、その貫通孔44Aの周囲に所定の角度範囲で円弧状に形成された一対のガイド孔44B、44Bを備えている。貫通孔44Aには切欠き溝44Cが形成されており、この切欠き溝44Cに、軸部50に突出形成された突条部50Cが係合され、中央ボタン40の回転が防止される。基台44の裏面には、クリック溝44D、44D…が形成されており、このクリック溝44D、44D…にクリック板46の板ばね部46D、46Dが係合されることによってクリック感が得られる。
【0020】
回動レバー42は略リングに形成され、基台44に回動自在に支持される。回動レバー42には摘まみ部54が外周側に突出形成され、この摘まみ部54によってユーザーが回動レバー42を回動操作できるようになっている。また、回動レバー42にはネジ固定部56、56が内周面と下面に対して突出形成されている。すなわち、ネジ固定部56、56は、回動レバー42の内周面に突出し、且つ、回動レバー42の下面に突出して形成されている。このネジ固定部56、56は、回動レバー42を基台44に取り付けた際に基台44のガイド孔44B、44Bに挿入される。ネジ固定部56、56には、雌ねじ56A、56Aが形成され、この雌ねじ56A、56Aに後述のねじ60、60が螺合される。
【0021】
クリック板46は金属板によって構成され、その中央部分には中央ボタン40の軸部50が挿通される挿通孔46Aが略半円状に形成されている。この挿通孔46Aは、後述の軸部50の先端のつば部50Fを挿通するための切欠き46Fを備えている。クリック板46の外周部分には、板ばね部46C、46Cが周方向に延設されており、その先端には係合部46D、46Dが上側に円弧状に湾曲して形成される。さらに、クリック板46にはねじ60が挿通される孔46B、46Bが形成されている。ねじ60は、この孔46Bを挿通させた後、ガイド孔44Bに配置されたネジ固定部56の雌ねじ56Aに螺合される。これにより、クリック板46と回動レバー42が固定され、回動レバー42が基台44から抜け落ちることが防止される。固定されたクリック板46と回動レバー42は、ネジ固定部56、56がガイド孔44B、44Bの内部を移動する角度範囲で回動自在となる。そして、回動レバー42を回動させることによってクリック板46を回動させることができる。クリック板46が回動されると、板ばね部46C、46Cの先端のクリック部46D、46Dが、板ばね部46C、46Cの弾性力によって基台44のクリック溝44D、44D…に係合され、回動方向の位置決めが成されるとともにクリック感が得られる。
【0022】
中央ボタン40は略円盤状の押圧操作部52とその下方に突設された軸部50とから構成される。軸部50は断面が略D状に形成されており、その下端(先端)にはD状のつば部50Fが設けられている。つば部50Fは、その一部が軸部50に対して突出して形成されており、この突出部分がクリック板46に係合する係合部として作用する(図4参照)。軸部50の下端面(先端面)には、半球状に突出した突起部50Gが形成されており、後述の電気接触片62を一点で押圧できるようになっている。
【0023】
図4は、中央ボタン40と回動レバー42を下方から示している。同図に示すように、押圧操作部52の下面には外縁に沿って凸条部58、58が所定の角度範囲で形成されている。この中央ボタン40の凸条部58、58と、前述した回動レバー42のネジ固定部56、56によって、中央ボタン40の押圧動作の機械的ロック機構が構成される。すなわち、回動レバー42を回動操作してそのネジ固定部56、56を凸条部58、58の真下(すなわち機械的ロック位置)に配置すると、中央ボタン40を押圧操作した際に凸条部58、58とネジ固定部56、56が当接し、押圧操作が規制される。また、回動レバー42を回動操作して図4に示す如くネジ固定部56、56を、凸条部58、58の途切れた位置に配置すると、中央ボタン40を押圧操作することが可能となる。
【0024】
スイッチユニット48は、図2、図3に示すように、金属板から成る三枚の電気接触片62、62、62を有し、この三枚の電気接触片62、62、62が上下に並んで配置されている。電気接触片62、62、62はその先端が中央ボタン40の軸部50の下方に配置されるように設けられる。また、電気接触片62はその基端部が樹脂製のブロック64に支持され、このブロック64がねじ70によって基台44に固定される。ブロックには端子66、66、66が設けられており、各端子66はそれぞれ電気接触片62、62、62に電気的に接続される。これらの端子66は、支持ブロック64にフレキシブル基板68を取り付けることによって配線される。上記の如く構成されたスイッチユニット48は、中央ボタン40を半押しすることによって、上側の電気切片62と中間の電気接触片62が接触し、これによってピント合わせが行われる。また、中央ボタン40を全押しした際には、中間の電気接触片62と下側の電気接触片62が接触し、これによって撮影の実行が行われる。
【0025】
次に上記の如く構成されたシャッターボタンユニット34の作用について説明する。
【0026】
シャッターボタンユニット34を組み立てる場合、まず、中央ボタン40と回動レバー42を基台44の上に配置する。すなわち、回動レバー42のネジ固定部56、56を基台44のガイド孔44B、44Bに挿入することによって回動レバー42を基台44の上に配置し、さらに中央ボタン40の軸部50を基台44の貫通孔44Aに挿通させることによって中央ボタン40を基台44の上に配置する。その際、軸部50の突条部50Cを貫通孔44Aの切欠き溝44Cに挿入することによって、中央ボタン40は周方向への回転が防止される。
【0027】
次に、クリック板46を基台44の下側に配置する。すなわち、基台44の貫通孔44Aから突出した中央ボタン40の軸部50に、クリック板46の挿通孔46Aを挿通させる。その際、軸部50の下端に設けたつば部50の突出部分を、挿通孔46Aの切欠き46Fの位置に合わせて、軸部50を挿通孔46Aに挿通させる。次いで、クリック板46を回動することによって、孔46B、46Bとネジ固定部56、56の雌ねじ56A、56Aの位置を合わせる。そして、ねじ60、60を孔46B、46Bに挿通させた後、雌ねじ56A、56Aに螺合させる。これにより、クリック板46がネジ固定部56、56に取り付けられ、クリック板46と回動レバー42が固定される。よってクリック板46は、回動レバー42が基台44から抜け落ちることを防止する抜け止め手段として作用する。
【0028】
また、クリック板46を回動レバー42に固定した際、中央ボタン40のつば部50Fは挿通孔46Aの切欠き46Fの位置からずれるため、つば部50Fがクリック板46に係合される。よって、クリック板46は、中央ボタン40が基台44から抜け落ちることを防止する抜け止め手段として作用する。
【0029】
以上説明したように本実施の形態のシャッターボタンユニット34によれば、クリック板46は、回動レバー42及び中央ボタンが基台44から抜け落ちることを防止する抜け止め手段として兼用されるので、回動レバー42や中央ボタンの抜け止め手段を別途設ける必要がなく、部品点数を減少させることができる。よって、装置を小型化できるとともに、組立工数を減らすことができる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、回動レバー42とクリック板46をネジ固定するようにしたので、溶着や係合等の方法で固定した場合に比べて、回動レバー42とクリック板46とを強固に固定することができる。したがって、固定の強度不足によってガタツキが発生したり、固定部分が損傷することを防止することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態によれば、ネジ固定のために突出させて厚みを持たせたネジ固定部56、56を利用して、中央ボタン40の押圧操作のロックを行うようにしたので、ロック手段を別途設ける必要がなく、装置を小型化することができる。
【0032】
なお、上述した実施形態は、回動レバー42を回動操作することによって中央ボタン40の押圧操作をロックするようにしたが、回動レバー42によって作用する機能はこれに限定するものではなく、例えば撮影モードや再生モード等の動作モードを回動レバー42の回動操作によって切り替えるようにしてもよい。この場合、図5に示すように、クリック板46に電気接触片46E、46Eを設けるとよい。図5に示す電気接触片46E、46Eはクリック板46の外周部分に一体的に形成されている。電気接触片46E、46Eの先端は下方に突出して形成されており、クリック板46を回転させることによって基板74のパターン76、76…に摺動するようになっている。そして、電気接触片46Eとパターン76が接触して回路が接続された際に、制御装置78が動作モードを切り替え制御する。このように本発明は、回動することによって機械的或いは電気的に機能を発揮する部材に、回動レバー42が取り付けられていればよい。なお、中央ボタン40の押圧動作を電気的にロックするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る操作部構造が適用されたカメラの斜視図
【図2】図1のシャッターボタンユニットの構造を示す分解斜視図
【図3】図1のシャッターボタンユニットの縦断面図
【図4】中央ボタンと回動ダイヤルの下面図
【図5】電気切片を有するクリック板を示す斜視図
【符号の説明】
【0034】
10…カメラ、34…シャッターボタンユニット、40…中央ボタン、42…回動レバー、44…基台、46…クリック板、48…スイッチユニット、56…ネジ固定部、58…板ばね部、60…ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
押圧操作されることによって前記基台に対して押圧方向に移動する押圧操作部材と、
回動操作されることによって前記基台に対して回動方向に移動する回動操作部材と、
前記基台に対して前記回動操作部材の反対側に配置され、前記回動操作部材とともに回動し、クリック動作によって前記回動操作部材を位置決めするクリック部材と、
を備え、前記クリック部材は、前記回動操作部材に取り付けられるとともに前記押圧操作部材に係合され、前記回動操作部材及び前記押圧操作部材の前記基台からの抜け止め手段として兼用されることを特徴とする操作部構造。
【請求項2】
前記クリック部材は、前記回動操作部材の回動位置を電気的に検出するための電気接触片を有することを特徴とする請求項1に記載の操作部構造。
【請求項3】
前記回動操作部材は略リング状に形成され、該回動操作部材の内周面にはねじ固定部が突出形成されるとともに、
前記クリック部材は、前記回動操作部材のねじ固定部にねじによって固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作部構造。
【請求項4】
前記ねじ止め部は、前記回動操作部材を回動操作することによって、前記押圧操作部材の押圧操作を機械的にロックするロック位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の操作部構造。
【請求項5】
基台と、
押圧操作されることによって前記基台に対して押圧方向に移動する押圧操作部材と、
回動操作されることによって前記基台に対して回動方向に移動する回動操作部材と、
前記基台に対して前記回動操作部材の反対側に配置され、前記回動操作部材とともに回動し、前記回動操作部材の位置を電気的に検出するための電気接触部材と、
を備え、前記電気接触部材は、前記回動操作部材に取り付けられ、前記回動操作部材の前記基台からの抜け止め手段として兼用されることを特徴とする操作部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−179314(P2006−179314A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371587(P2004−371587)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】