放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影装置の制御方法
【課題】放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影の制御方法を提供する。
【解決手段】電気信号が第一閾値を越えた場合は、放射線の照射開始を検出する。照射が開始されると、放射線検知用画素20Bの電気信号の経時変化を取得し、微分処理して、第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したことを検出する。第三閾値を越えた場合は、ノイズの強度が強いことを検出し、第三閾値を越えた回数がn回以上である場合に、ノイズの発生期間が長いことを検出する。ノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、報知部108により報知すると共に、放射線画像の生成及び表示を行わない。強度が弱いノイズ及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方の場合は、報知部108により報知し、放射線画像を生成して表示させる。
【解決手段】電気信号が第一閾値を越えた場合は、放射線の照射開始を検出する。照射が開始されると、放射線検知用画素20Bの電気信号の経時変化を取得し、微分処理して、第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したことを検出する。第三閾値を越えた場合は、ノイズの強度が強いことを検出し、第三閾値を越えた回数がn回以上である場合に、ノイズの発生期間が長いことを検出する。ノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、報知部108により報知すると共に、放射線画像の生成及び表示を行わない。強度が弱いノイズ及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方の場合は、報知部108により報知し、放射線画像を生成して表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影装置の制御方法に係り、特に照射された放射線に応じた放射線画像の撮影に用いられる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断等を目的とした放射線撮影を行う放射線画像撮影装置が知られている。当該放射線画像撮影装置は、放射線照射装置から照射され、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を撮影する。当該放射線画像撮影装置は、照射された放射線に応じて発生した電荷を収集して読み出すことにより放射線画像の撮影を行う。このような放射線画像撮影装置としては、いわゆるカセッテ等のFPD(Flat Panel Detector)パネルが挙げられる。
【0003】
このような放射線画像撮影装置として、放射線または、放射線が変換された光が照射されることにより検知した放射線に応じて電荷を発生する光電変換素子等による放射線検知素子と、当該放射線検知素子で発生した電荷を読み出すスイッチ素子と、を備えると共に、当該スイッチ素子から読み出された電荷に基づいて、放射線の照射(照射の開始や、停止等)を検出する検出部を備えたものが知られている。例えば、特許文献1には、X線の発生タイミングとの同期を不要とし、X線を検出する検出器の駆動状態を報知する報知部を備えたX線撮影装置が記載されている。
【0004】
このような放射線画像撮影装置により放射線画像の撮影を行う場合に、衝撃や電磁波等の外乱ノイズ等に起因して、電気信号が発生してしまい、当該電気信号により、撮影された放射線画像に異常が生じる場合がある。
【0005】
そのため、ノイズの有無を検出する技術がある。例えば特許文献2には、放射線を検出する放射線検出部(画素)とは別個にノイズ検出部を設け、電気信号に基づいてノイズが無いと判断した場合に、放射線検出部(画素)によって発生した電荷を読み出して、放射線画像の撮影を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−264250号公報
【特許文献2】特開2004−24683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、ノイズの発生と放射線の曝射とのタイミングが近い場合は、ノイズの有無を誤検出する懸念がある。また、このような場合にノイズの発生がユーザに適切に報知されない懸念がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の放射線画像撮影装置は、照射された放射線の線量に応じた電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に放射線の照射開始を検出する検出手段と、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、取得した電気信号と、ノイズの強度検出用に予め定められた条件及びノイズの発生期間検出用に予め定められた条件と、に基づいて、前記ノイズの強度及び発生期間を検出し、検出した強度及び発生期間に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断することが好ましい。
【0011】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記ノイズの強度が弱いことを検出した場合及び発生期間が短いことを検出した場合の少なくとも一方の場合は、前記放射線画像を出力すると判断する。
【0012】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記ノイズの強度が強くかつ、ノイズの発生期間が長いことを検出した場合は、前記放射線画像を出力しないと判断する。
【0013】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記複数の画素に応じて予め定められた領域毎に、電荷に応じた電気信号を取得し、前記予め定められた領域毎に当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断する。
【0014】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域を報知する。
【0015】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断する。
【0016】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置が、領域全体に対する中央として予め定められた位置である場合は、放射線画像を出力しないと判断する。
【0017】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する。
【0018】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前制御手段は、取得した電気信号の時間変化を微分処理した電気信号に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する。
【0019】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、時間移動平均を算出し、算出した時間移動平均と判定する時点における電気信号の差分に基づいて、当該差分がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する。
【0020】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、取得した電気信号と強度検出用閾値との比較により、前記ノイズの強度を検出する。
【0021】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、取得した電気信号が発生時間検出用閾値に到達した回数に基づいて、前記ノイズの発生期間を検出する。
【0022】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記報知手段は、前記複数の画素を含む放射線画像検出器に備えられている。
【0023】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記報知手段は、前記複数の画素を備えた放射線画像検出器の外部に備えられている。
【0024】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記複数の画素は、放射線画像撮影用画素及び放射線検知用画素を備え、前記検出手段は、前記放射線検知用画素から出力された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得する。
【0025】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記放射線画像撮影用画素の前記スイッチ素子は、制御信号に基づいて前記信号配線に電荷を出力し、前記放射線検知用画素は、前記制御信号にかかわらず前記信号配線に電荷を出力する。
【0026】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記放射線検知用画素は、第一走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び第二走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線検知用のスイッチ素子を含み、前記検出手段は、前記前記放射線検知用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号、及び前記放射線検知用画素の前記放射線画像撮影用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号を取得する。
【0027】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記放射線画像撮影用画素は、前記放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び前記放射線検知用のスイッチ素子を含み、当該放射線検知用のスイッチ素子は、前記信号配線に非接続である。
【0028】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、バイアス電源から印加されたバイアス電圧を前記複数の画素の前記センサ部に供給するバイアス線と、前記バイアス線に流れる電荷を検出する電荷検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記電荷検出手段で検出した電荷の変化に基づいて放射線の照射開始を検出する。
【0029】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、前記検出手段が前記放射線の照射開始を検出する検出期間は、前記スイッチ素子をオフ状態とする。
【0030】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、前記検出期間は、所定時間毎に前記放射線の照射開始の検出を中断し、前記スイッチ素子をオン状態にして、前記センサ部で発生した電荷を読み出して前記信号配線に出力させた後、前記スイッチ素子をオフ状態にして、前記放射線の照射開始の検出を再開する。
【0031】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記予め定められた照射検出用条件は、照射検出用閾値により予め定められた条件である。
【0032】
本発明の放射線画像撮影システムは、放射線照射装置と、前記放射線照射装置から照射された放射線により放射線画像を撮影する本発明の放射線画像撮影装置と、を備える。
【0033】
本発明の放射線画像撮影装置の制御プログラムは、照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号と照射検出用閾値との比較結果に基づいて放射線の照射開始を検出する検出手段と、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、を備えた放射線画像撮影装置の、前記制御手段としてコンピュータを機能させるためのものである。
【0034】
本発明の放射線画像撮影装置の制御方法は、照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素を備えた放射線画像撮影装置により放射線画像を撮影する際に、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号と照射検出用閾値との比較結果に基づいて放射線の照射開始を検出する検出工程と、前記検出工程で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る放射線検出器の外観を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射線検出器の構成の一例を示す平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射線検出器の一例の線断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る放射線検出器の一例の線断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【図8】照射された放射線に応じた電気信号を説明するための説明図である。
【図9】ノイズを説明するための説明図であり、(A)は、交流ノイズを示し、(B)は矩形ノイズを示している。
【図10】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、信号解析処理の一例のフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態で行われる微分処理が行われる前の強度の時間変化のプロファイルを説明するための説明図であり、(A)は、ノイズが含まれていない場合を示し、(B)は、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合を示し、(C)は、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合を示している。
【図12】第1の実施の形態で行われる微分処理が行われた後の強度の時間変化のプロファイルを説明するための説明図であり、(A)は、ノイズが含まれていない場合を示し、(B)は、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合を示し、(C)は、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合を示している。
【図13】本実施の形態のノイズの判定の具体的一例を説明するための説明図である。
【図14】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、信号解析処理の一例のフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態で行われる微分処理が行われた後の強度の時間変化のプロファイルを説明するための説明図であり、(A)は、ノイズが含まれていない場合を示し、(B)は、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合を示し、(C)は、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合を示している。
【図16】第3の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図17】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、信号解析処理の一例のフローチャートである。
【図19】第3の実施の形態に係る放射線検出器の外観を説明するための説明図である。
【図20】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の制御装置における、放射線画像の撮画像表示理の一例のフローチャートである。
【図21】第3の実施の形態に係る放射線画像の表示の具体的一例を説明するための説明図である。
【図22】第4の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【図23】第5の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図24】第5の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成のその他の一例を示す構成図である。
【図25】第5の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線の照射開始検出処理の一例のフローチャートである。
【図26】第6の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図27】第6の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線の照射開始検出処理の一例のフローチャートである。
【図28】第7の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図29】第7の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0038】
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態の放射線画像撮影装置を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0039】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線画像撮影装置201と、を備えている。放射線画像撮影装置201は、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出器10を備えた放射線画像検出器100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像検出器100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えて構成されている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線画像検出器100に照射される。
【0040】
制御装置202は、制御部210、表示部212、及び報知部213を備えて構成されている。制御部210は、制御装置202及び放射線画像撮影装置201全体を制御する機能を有しており、マイクロコンピュータによって構成されている。制御部210は、CPU(中央処理装置)、ROMおよびRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部210は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、上述の制御を行う。表示部212は、例えば、ディスプレイや液晶等であり、撮影された放射線画像を表示したり、放射線画像の撮影に関する情報(詳細を後述するノイズに関する情報等を含む)等を表示したりする機能を有するものであれば、特に限定されない。報知部213は、詳細を後述するが放射線画像検出器100ノイズを検出した場合にその旨をユーザに対して報知する機能を有するものであり、例えば、スピーカや、表示部212とは別個に設けられた表示装置、LED等が挙げられるが、特に限定されない。また、制御装置202において、ノイズの検出に関する情報を表示部212のみに表示させる場合は、報知部213は、設けなくてもよい。
【0041】
次に、本実施の形態の放射線画像検出器100の概略構成について説明する。本実施の形態に係る放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図2に示す。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線画像検出器100は、間接変換方式の放射線検出器10を備えて構成されている。なお、図2では、放射線を光に変換するシンチレータは省略している。
【0042】
放射線検出器10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチ素子であるTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部103で電荷が発生する。
【0043】
画素20は、一方向(図2の走査線方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の信号配線方向、以下「列方向」ともいう)にマトリクス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024×1024個配置されている。
【0044】
本実施の形態では、複数の画素20のうち、放射線画像撮影用の画素20Aと放射線検知用の画素20Bが予め定められている。図1では、放射線検知用の画素20Bを破線で囲んで示している。放射線画像撮影用の画素20Aは、放射線を検出して放射線が示す画像を生成するために用いられ、放射線検知用の画素20Bは、放射線を検知するために用いられる画素であり、TFTスイッチ4のオン/オフに係わらず、電荷を出力する画素である(詳細後述)。
【0045】
また、放射線検出器10には、基板1(図4参照)上に、TFTスイッチ4をオン/オフするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、一方向の各画素列に信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に走査配線101が1本ずつ設けられており、例えば、画素20が行向及び列方向に1024×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101は1024本ずつ設けられている。
【0046】
さらに、放射線検出器10には、各信号配線3と並列にバイアス線25が設けられている。バイアス線25は、一端及び他端が並列に接続されており、一端が所定のバイアス電圧を供給する電源110に接続されている。センサ部103はバイアス線25に接続されており、バイアス線25を介してバイアス電圧が印加されている。
【0047】
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチングするための駆動信号が流れる。このように駆動信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。
【0048】
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4がオン状態の場合に、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がオンされることにより蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0049】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をオン/オフするための駆動信号を出力する走査配線駆動回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105及び走査配線駆動回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及び走査配線駆動回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続する。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、走査配線駆動回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続する。
【0050】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路50を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路50により増幅して、A/D(アナログ/デジタル)変換回路54に出力する。
【0051】
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えて構成されている。
【0052】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20のTFTスイッチ4により電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCにTFTスイッチ4により読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0053】
また、制御部106は、電荷リセット用スイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0054】
A/D変換回路54は、信号検出回路105のS/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。A/D変換回路54は、デジタル信号に変換した電気信号を制御部106に順次出力する。
【0055】
なお、本実施の形態のA/D変換回路54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのA/D変換回路54を備えている。
【0056】
この信号検出回路105及び走査配線駆動回路104には、制御部106が接続されている。本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROMおよびRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。
【0057】
本実施の形態の制御部106は、信号検出回路105において変換されたデジタル信号に対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、放射線の照射開始を検出して、検出したタイミングに基づいて、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、走査配線駆動回路104に対して駆動信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する機能を有している。また、本実施の形態の制御部106は、放射線の照射開始を検出した後に、画素20Bから読み出された電気信号に基づいて、当該電気信号が、ノイズに起因するものか放射線の照射に起因するものかを判定する機能を有している。
【0058】
また、制御部106は、上記所定の処理が施された画像データに対して、各放射線検知用の画素20Bの画像データを補間する処理(補間処理)を行って、照射された放射線が示す画像を生成する。すなわち、制御部106は、各放射線検知用の画素20Bの画像データを、上記所定の処理が施された画像データに基づいて補間することで、照射された放射線が示す放射線画像を生成する。
【0059】
また、本実施の形態の放射線画像検出器100は、報知部108を備えている。報知部108は、制御部106がノイズに起因する電気信号であると判定した場合に、その旨を放射線画像の撮影を行うユーザに対して、報知する機能を有するものである。報知部108の構成は特に限定されないが、例えば、可視表示を行うためのLEDや音で報知するためのスピーカ等が挙げられる。
【0060】
本実施の形態の放射線画像検出器100は、上述した、放射線検出器10、A/D変換回路54、走査配線駆動回路104、制御部106、信号検出回路105、及びバイアス電源110等が筐体120内に収納されている。図3に、筐体120の外観を示す。図3(A)には、報知部108がLEDである場合の具体的一例を示し、(B)には、報知部108がスピーカである場合の具体的一例を示している。このように報知部108は、筐体120の、放射線が照射されない位置(例えば側面等)であり、かつ、ユーザが認識しやすい位置に設けられている。
【0061】
図4には、本実施形態に係る間接変換方式の放射線検出器10の構造を示す平面図が示されており、図5には、図4の放射線画像撮影用の画素20AのA−A線断面図が示されており、図6には、図4の放射線検知用の画素20BのB−B線断面図が示されている。
【0062】
図5に示すように、放射線検出器10の画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図4参照)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図4参照)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0063】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiNX 等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0064】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0065】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図4参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
【0066】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiNX 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0067】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0068】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0069】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極11は、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0070】
一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。
【0071】
下部電極11上には、フォトダイオードとして機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21A及びp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11及び後述する上部電極22とi層21Bをと電気的に接続する。
【0072】
各半導体層21上には、それぞれ個別に上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。本実施の形態に係る放射線検出器10では、上部電極22や半導体層21、下部電極11を含んでセンサ部103が構成されている。
【0073】
層間絶縁膜12、半導体層21及び上部電極22上には、上部電極22に対応する一部で開口27Aを持ち、各半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0074】
この層間絶縁膜23上には、バイアス線25がAl若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。バイアス線25は、開口27A付近にコンタクトパッド27が形成され、層間絶縁膜23の開口27Aを介して上部電極22と電気的に接続される。
【0075】
一方、図6に示すように、放射線検出器10の放射線検知用の画素20Bでは、ソース電極9とドレイン電極13とが接触するようにTFTスイッチ4が形成されている。すなわち、画素20Bでは、TFTスイッチ4のソースとドレインが短絡している。これにより、画素20Bでは、下部電極11に収集された電荷がTFTスイッチ4のスイッチング状態にかかわらず信号配線3に流れ出す。
【0076】
このように形成された放射線検出器10の表面には、シンチレータが備えられる。例えば、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、放射線検出器10の表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータが貼り付けられる。また例えば、放射線検出器10の表面にCsI等からなるシンチレータが直接蒸着される。なお、CsIは、支持体に蒸着した後に、放射線検出器10の表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いて貼り付けてもよい。
【0077】
次に、上記構成の放射線画像検出器100による放射線画像を撮影する際の動作の流れについて説明する。本実施の形態では、制御装置202からの指示に基づいて、制御部106の制御により放射線画像の撮影を行う。制御部106では、制御装置202から撮影指示を受け付けると、放射線画像撮影プログラムがCPUにより実行されることにより以下の処理が実行される。当該処理全体の流れの一例のフローチャートを図7に示す。なお、当該放射線画像撮影プログラムは、予め、放射線画像検出器100に記憶されていてもよいし、CD−ROMやUSB、制御装置202等の外部から供給されてもよい。
【0078】
制御装置202から撮影指示を受け付けると制御部106は、ステップ100で、信号検出回路105の増幅回路50のアンプ52の駆動を開始させ、連続的に駆動させる。これにより、制御部106は、放射線検知用画素20Bから信号配線3に出力された電気信号(デジタル信号に変換された値、以下、単に電気信号という)を取得する。
【0079】
次のステップ102では、取得した電気信号を予め定めた放射線の照射開始検出用の第一閾値と比較し、第一閾値以上となった否かにより放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。なお、制御部106による放射線の照射開始の検出は、放射線検知用の第一閾値以上となったか否かに限らず、例えば、第一閾値以上となった回数等、予め設定した条件に基づいて検出するようにしてもよい。電気信号が第一閾値未満である場合は、放射線の照射が開始されていないとして否定されて待機状態になる。一方、電気信号が第一閾値以上となった場合は、放射線の照射開始であるとし、肯定されてステップ103へ進む。
【0080】
ステップ103では、放射線画像の撮影を開始させるために、走査配線駆動回路104に、ゲートオフ信号(TFTスイッチ4のゲートをオフ状態にする信号)となる駆動信号を出力させるように指示する。これにより、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103では、放射線の照射に応じて発生した電荷の蓄積が開始される。一方、放射線検知用画素20Bでは、ゲートオフ信号にかかわらず、放射線の照射に応じて発生した電荷を信号配線3に出力する。
【0081】
次のステップ104では、制御部106は、放射線検知用画素20Bから信号配線3に出力された電気信号の経時変化の取得を開始し、次のステップ106では、経時変化を取得するために予め定められた所定時間が経過したか否か判断する。所定時間が経過していない場合は電気信号の経時変化の取得を続ける。一方、所定時間が経過した場合は電気信号の経時変化の取得を停止して、ステップ108へ進む。なお、当該所定時間は、予め実験等によりノイズの検出に適切な時間が予め定められている。
【0082】
ステップ108では、信号解析処理により、ノイズの有無、強度、及び発生期間を検出する。
【0083】
ここで本実施の形態の信号解析処理について説明する前にまず、放射線画像撮影装置201(放射線画像検出器100)において発生するノイズについて説明する。図8に、照射された放射線(放射線により発生した電気信号)の強度の時間変化の具体的一例を示す。一方、電気信号に現れるノイズには、大きくわけて、2種類のノイズが存在する。ノイズによる電気信号の波形が交流波(図9(A)参照)である交流ノイズと、ノイズによる電気信号の波形が矩形波(図9(B)参照)である矩形ノイズである。交流ノイズは、他の電子機器等から発生する交流ノイズや、信号配線3や放射線検出器10のケーブル配線等に衝撃が加わることで発生する衝撃ノイズが含まれる。図9(A)は、強度が弱く、発生期間が短い交流ノイズを示している。一方、矩形ノイズは、放射線画像検出器100のセンサ部103への圧力(圧電効果による電荷発生)や、センサ部103の温度上昇等の影響による暗電流の増加等により発生する矩形ノイズが含まれる。図9(B)は、強度が弱く、発生期間が短い矩形ノイズを示している。
【0084】
以下では、具体的一例として、発生するノイズが交流ノイズである場合について詳細に説明するが、矩形ノイズにおいても同様であることはいうまでもない。
【0085】
本実施の形態の信号解析処理の流れの具体的一例のフローチャートを図10に示す。
【0086】
ステップ200では、電気信号の時間変化に対して微分処理を行う。なお、当該微分処理は、一般的な微分処理を行えばよい。具体的一例として、図11には、微分処理を行う前の電気信号の強度の時間変化のプロファイルを示す。図11(A)には、ノイズが含まれていない、放射線の照射により発生した電荷のみに基づく電気信号の強度の時間変化を示す。また、図11(B)には、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合に、図11(A)に示した電気信号に交流ノイズに起因する電気信号が加算された場合を示す。さらに、図11(C)には、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合に、図11(A)に示した電気信号に交流ノイズに起因する電気信号が加算された場合を示す。
【0087】
また、具体的一例として、図12には、図11に示した電気信号の経時変化を微分処理した電気信号の強度の時間変化のプロファイルを示す。図12(A)は、図11(A)に対応している。また、図12(B)は、図11(B)に対応している。さらに、図12(C)は、図11(C)に対応している。
【0088】
本実施の形態では、ノイズの有無検出用の第二閾値、及びノイズの強度検出用の第三閾値が予め定められている。ステップ202では、微分処理した電気信号(以下、微分処理前のものと区別する必要がない場合は、単に電気信号という)の強度が第二閾値以下であるか否かを判断し、さらに次のステップ204では、電気信号の強度が第三閾値以下であるか否かを判断する。なお、第二閾値及び第三閾値は、正・負の両方の値が設定されており、微分処理した電気信号の強度が正・負の両方の値に到達した場合に、第二閾値または第三閾値を越えたと判断している。また、本実施の形態では、第二閾値<第三閾値としている。
【0089】
本実施の形態の信号解析におけるノイズの判定の具体的一例を図13に示す。本実施の形態では、電気信号の強度が第二閾値以下の場合は、ノイズが発生していないことを検出する。一方、電気信号の強度が第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したこと検出する。さらに、ノイズの発生を検出した(電気信号の強度が第二閾値を越えた)場合に、第三閾値以下である場合は、発生したノイズの強度が弱いことを検出する。一方、第三閾値を越えた場合は、発生したノイズの強度が強いことを検出する。
【0090】
また、本実施の形態の信号解析では、予め定められた単位時間内において、電気信号の強度が第三閾値を越えた回数に基づいて、ノイズの発生期間を検出する。本実施の形態では、電気信号の強度が第三閾値を越えた回数がn回未満の場合は、ノイズの発生期間が短いことを検出する。一方、電気信号の強度が第三閾値を越えた回数がn回以上の場合は、ノイズの発生期間が長いことを検出する。なお、上述の単位時間及び「n」は、実験等により予め得ておけばよい。なお、本実施の形態では、第三閾値を越えた回数によりノイズの発生期間の長短を検出しているがこれに限らず、例えば、第二閾値を越えた回数により検出するようにしてもよい。
【0091】
上述のステップ202で、電気信号が第二閾値以下である場合は、ノイズが発生していないことを検出したため、肯定されて本処理を終了する。一方、電気信号が第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したことを検出したため、否定されて、ステップ204へ進む。ステップ204では、電気信号が第三閾値以下である場合は、肯定されてステップ206へ進み、ノイズの強度が弱い、弱いノイズであることを検出して信号解析処理を終了する。一方、電気信号が第三閾値を越えた場合は、否定されてステップ208へ進み、ノイズの強度が強い、強いノイズであることを検出した後、ステップ210へ進む。
【0092】
ステップ210では、電気信号が第三閾値以上になった回数が上述のn回以上であるか否かを判断する。n回以上である場合は、肯定されてステップ212へ進み、ノイズの発生期間が長いことを検出して信号解析処理を終了する。一方、n回未満である場合は、否定されてステップ214へ進み、ノイズの発生期間が短いことを検出して信号解析処理を終了する。
【0093】
このようにして、信号解析処理(図7、ステップ108)が終了すると放射線画像検出器100の制御部106では、ステップ110へ進む。ステップ110では、信号解析処理の結果に基づいて、放射線画像を表示させるか否かを判断する。なお、本実施の形態では、撮影された放射線画像は、制御部106から制御装置202へ出力され、制御装置202の表示部212に表示される。そのため、本実施の形態では、放射線画像を表示させないと判断した場合は、制御部106から制御装置202へ放射線画像が出力されない。
【0094】
本実施の形態では、ノイズの発生を検出し、さらに、発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長いことを検出した場合は、放射線画像を表示させないようにしている。そのため、信号解析処理により、発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長いことを検出した場合は、否定されてステップ112へ進む。ステップ112では、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズが発生したことを報知部108により、放射線画像を撮影するユーザに対して報知する。具体的一例として、本実施の形態では、報知部108がLEDにより構成されている場合(図3(A)参照)は、0.2秒間隔で点滅させて、ユーザに対して報知することにより強い警告を与える。また、報知部108がLED及びスピーカにより構成されている場合は、LEDを0.1秒間隔で点滅させると共に、スピーカにより警告音を発生させてユーザに対して報知することにより強い警告を与えるようにしてもよい。なお、報知する方法は、これに限らず、後述する、弱いノイズや、発生期間の短いノイズの場合と区別できるものであれば特に限定されない。また、放射線画像検出器100の報知部108に代わり、制御装置202の表示部212や報知部213等を用いてもよいし、放射線画像検出器100及び制御装置202の両方を用いるようにしてもよい。また、本実施の形態では、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズの場合は、放射線画像を表示(出力)させないため、制御装置202の表示部212に、その旨を表示させ、再撮影をユーザに促す旨を表示させるとよい。
【0095】
上述のように報知されることにより、ユーザは、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズの発生を認識できるため、放射線画像の撮影を停止し、適切に再撮影を行うことができる。具体的一例として、被検体206のポジショニングを解き、ノイズ源を確認して取り除いた後、被検体206を再度ポジショニングし、制御装置202に放射線画像の撮影を指示する。また、上述の報知によりユーザはノイズの発生を認識できたため、放射線画像が表示されないことに違和感を覚えることなく、再撮影を行うことができる。
【0096】
なお、このように強度が強く、かつ発生期間が長いノイズの発生した場合は、制御装置202を介して、放射線照射装置204に放射線の照射を停止させるように指示してもよい。このようにすることにより、被検体206の被曝量を低減させることができる。
【0097】
ユーザに報知を行った後のステップ114では、制御部106は、ゲートオン信号(TFTスイッチ4のゲートをオン状態にする信号)となる駆動信号を出力させるように指示して、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に蓄積された電荷をリセットさせた後、本処理を終了する。本実施の形態では、放射線画像の生成そのものを行わないため、このように放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷をリセットし、再撮影に備える。なお、ここでは、放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷をリセットするためにゲートオン信号を出力させるため、全ての放射線画像撮影用画素20A(走査配線101)に対して同時にオン信号を出力するようにすればよい。また、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に蓄積された電荷をリセットさせた後、ステップ100のアンプ52を連続的に駆動させた状態に戻るようにしてもよい。
【0098】
一方、ノイズが発生していない場合、及びノイズが発生していていも強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方である場合は、放射線画像を表示(撮影)させるため、ステップ110で肯定されてステップ116へ進む。ステップ116では、ノイズが発生していたかを判断し、ノイズが発生していなかった場合は、否定されてステップ120へ進む。一方、強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方が発生していた場合は、肯定されてステップ118へ進み、強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方が発生したことを報知部108により、放射線画像を撮影するユーザに対して報知する。具体的一例として、本実施の形態では、報知部108がLEDにより構成されている場合(図3(A)参照)は、0.5秒間隔で点滅させて、ユーザに対して報知することにより警告を与える。また、報知部108がLED及びスピーカにより構成されている場合は、スピーカにより警告音0.5秒間隔で発生させてユーザに対して報知することにより警告を与えるようにしてもよい。なお、報知する方法は、これに限らず、上述した、強度が強くかつ発生期間が長いノイズの場合と区別できるものであれば特に限定されない。また、上述と同様に、放射線画像検出器100の報知部108に代わり、制御装置202の表示部212や報知部213等を用いてもよいし、放射線画像検出器100及び制御装置202の両方を用いるようにしてもよい。
【0099】
このように、報知されることにより、ユーザは、強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方が発生したことを放射線画像が表示される前に認識できるため、放射線画像が異常画像である場合に行う再撮影に備えることができる。具体的一例として、放射線画像の撮影後も被検体206のポジショニングをそのままに、被検体206に身体を動かさないよう指示し、表示された放射線画像を確認後に、すぐに再撮影を行うことができる。なお、確認した際に、放射線画像に現れた異常の程度が低く、例えば、所望の範囲外でおきた経度の画像ムラ等の場合は、再撮影を行わないようにしてもよい。
【0100】
次のステップ120では、放射線画像の撮影のために予め定められた電荷の蓄積時間が経過したか否か判断する。経過していない場合は、否定されて待機状態になる。一方、経過した場合は、肯定されてステップ122へ進む。ステップ122では、画素20(放射線画像撮影用画素20A)毎に、電気信号を取得する必要があるため、制御部106は、ゲートオン信号(TFTスイッチ4のゲートをオン状態にする信号)となる駆動信号を走査配線101毎に順次出力させるように指示して、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に蓄積された電荷に応じた電気信号を取得する。また、制御部106は、取得した電気信号に基づいて、放射線画像を生成する。次のステップ124では、生成した放射線画像を出力し、表示させるよう制御装置202に出力した後、本処理を終了する。
【0101】
以上説明したように、本実施の形態の放射線画像撮影装置201では、放射線画像の撮影が指示されると、放射線画像検出器100の制御部106で、放射線検知用画素20Bから出力された電荷に応じた電気信号と、第一閾値とを比較して、第一閾値を越えた場合は、放射線の照射が開始されたことを検出する。放射線の照射が開始されると、制御部106は、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に電荷を蓄積させるよう制御すると共に、放射線検知用画素20Bから出力された電荷に応じた電気信号の経時変化を取得する。さらに、制御部106は、取得した電気信号の経時変化を信号解析により微分処理して、第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したことを検出する。さらに、第三閾値を越えた場合は、発生したノイズの強度が強いことを検出する。またさらに、第三閾値を越えた回数がn回以上である場合に、ノイズの発生期間が長いことを検出する。発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、報知部108によりユーザに報知すると共に、放射線画像の生成及び表示(出力)を行わない。一方、強度が弱いノイズ及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方である場合は、報知部108によりユーザに報知し、さらに、放射線画像を生成して、制御装置202の表示部212に表示させる。
【0102】
従って、本実施の形態の放射線画像撮影装置201では、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる。
【0103】
ここで、比較例として、上述した制御部106で行われる取得した電気信号の信号解析処理を行わず、すなわち、ノイズの有無の検出を行わず、さらに、報知部108を備えない放射線画像撮影装置により放射線画像の撮影を行った。この場合、上述した本実施の形態と異なり、ユーザは、放射線画像の撮影中にノイズが発生したことを、放射線画像が表示されるまで、認識することができないため、再度、被検体206のポジショニングからやりなおして再撮影を行わなければならなかった。また比較例として、上述した制御部106で行われる取得した電気信号の信号解析処理を行う(ノイズの有無の検出を行う)ものの、報知部108を備えない放射線画像撮影装置により放射線画像の撮影を行った。この場合、ユーザは、発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、放射線画像が表示されず、放射線画像撮影装置の故障と勘違いする場合があり、別の放射線画像撮影装置で再撮影を行う等の問題が生じた。また、強度が弱いノイズ及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方である場合は、ユーザは、ノイズが発生したことを放射線画像が表示されるまで、認識することができないため、再度、被検体206のポジショニングからやりなおして再撮影を行わなければならなかった。
【0104】
一方、本実施の形態では、上述のように、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができるため、ユーザの負荷を軽減することができる。また、再撮影を行う場合は、速やかに再撮影を行うことができる。またさらに、放射線画像にノイズにより異常が発生しているか否かを認識することができるため、誤診の可能性を抑制することができる。
【0105】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0106】
本実施の形態の画素20及び放射線画像検出器100は、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、上述の信号解析処理(図10参照)の一部が異なるため異なる処理のみここでは説明する。
【0107】
本実施の形態の信号解析処理の一例のフローチャートを図14に示す。本実施の形態では、第1の実施の形態で行った微分処理に代わり、電気信号の時間変化の移動平均の差分を用いている。そのため、ステップ300では、電気信号の時間変化を移動平均する。さらに次のステップ301では、移動平均を現時点での電気信号から減算し、差分を算出する。具体的一例として、図15には、図11に示した電気信号の経時変化の移動平均の差分の強度の時間変化のプロファイルを示す。図15(A)は、図11(A)に対応している。また、図15(B)は、図11(B)に対応している。さらに、図15(C)は、図11(C)に対応している。
【0108】
次のステップ302は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ202(図10参照)に対応しており、差分と第二閾値とを比較する。また、次のステップ304は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ204(図10参照)に対応しており、差分と第三閾値とを比較する。以下、本実施の形態の信号解析処理のステップ306〜ステップ314は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ206〜ステップ214にそれぞれ対応しており、同様の処理を行う。
【0109】
このように、本実施の形態では、電気信号の時間変化の移動平均の差分を用いてノイズの発生の有無、強度、及び発生期間を検出するため、第1の実施の形態と同様に、本実施の形態の放射線画像撮影装置201では、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる。
【0110】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。第1の実施の形態では、制御部106が各放射線検知用画素20Bから各信号配線3に出力された電気信号を一括して、一つの電気信号として取得しているが、本実施の形態の放射線画像検出器100は、各信号配線3(各増幅回路50)毎に出力された電気信号を取得し、取得した各電気信号に対してノイズの有無を検出して報知するものとして構成している。
【0111】
本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図16に示す。本実施の形態では、各信号配線3毎に、放射線検知用画素20Bが設けられている場合の放射線画像検出器100の一例を示している。また、各信号配線3(D1〜D4)毎に出力された電気信号を区別するため、各々に接続されている信号検出回路105の増幅回路50等を区別する際は、図16に示すように増幅回路501〜504のように、個々を区別するための番号を付し、総称する場合は、単に増幅回路50という。
【0112】
本実施の形態の放射線画像検出器100における放射線画像の撮影処理全体の流れの一例のフローチャートを図17に示す。なお、本処理は、第1の実施の形態の放射線画像検出器100における撮影処理全体(図7)と略同様のステップ(処理)を含んでいるため、略同様のステップ(処理)についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0113】
本実施の形態の撮影処理のステップ400〜ステップ403は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ100〜ステップ103(図7参照)にそれぞれ対応している。放射線画像の撮影を指示されると、増幅回路50のアンプ52の駆動を開始させ、取得した電気信号が第1閾値以上である場合は、放射線の照射が開始したと判断し、走査配線駆動回路104にゲートオフ信号を出力し、放射線画像撮影用画素20Aに電荷の蓄積を開始させる。
【0114】
次のステップ404では、第1の実施の形態の撮影処理のステップ104に対応しており、各信号配線3(増幅回路50)に、放射線検知用画素20Bから出力された電気信号の経時変化の取得を開始する。具体的に本実施の形態では、信号配線3(D1)に出力された電気信号を増幅回路501から取得する。同様に、信号配線3(D2)に出力された電気信号を増幅回路502から取得し、信号配線3(D3)に出力された電気信号を増幅回路503から取得し、信号配線3(D4)に出力された電気信号を増幅回路504から取得する。
【0115】
次のステップ406は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ106に対応しており、所定時間が経過したか否か判断し、経過していない場合は各信号配線3毎に電気信号の経時変化を取得し続ける。一方、所定時間が経過した場合は、電気信号の経時変化の取得を停止して、ステップ408へ進む。
【0116】
ステップ408は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ108に対応しており、信号解析処理により、各信号配線3(信号配線3が対応する領域)毎に、ノイズの有無、強度、及び発生期間を検出する。本実施の形態の信号解析処理の流れの具体的一例のフローチャートを図18に示す。なお、本信号解析処理は、第1の実施の形態の信号解析処理(図10参照)に対応しており、電気信号の時間変化に対して微分処理を行う場合について示しているが、第2の実施の形態の信号解析処理(図14参照)のように、電気信号の時間変化の移動平均の差分を用いるようにしてもよい。
【0117】
本実施の形態の信号解析処理のステップ500〜ステップ514は、ステップ500で、各信号配線3毎に電気信号の時間変化を微分処理している他は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ200〜ステップ214にそれぞれ対応した処理を行っている。1つの信号配線3の電気信号の時間変化を微分処理し、微分処理した電気信号(以下、単に電気信号という)の強度が第二閾値以下の場合は、ノイズが発生していないと判定してステップ515に進む。一方、第二閾値を超える場合は、ノイズが発生しているため、電気信号の強度を第三閾値と比較し、第三閾値以下の場合は、強度が弱いノイズと判定してステップ515へ進む。一方、第三閾値を超える場合は、強いノイズ判定し、さらにn回以上発生した場合は、発生期間が長いと判定し、n回未満の場合は、発生期間が短いと判定してステップ515へ進む。
【0118】
ステップ515では、各信号配線3毎に、ノイズの有無、強弱、及び発生期間の長短を記憶する。なお、本実施の形態では、各信号配線3毎に対応する領域(信号配線3に電気信号が出力される画素20により定められる領域)毎に、検出したノイズの有無、強弱、及び発生期間の長短を記憶する。
【0119】
次のステップ516では、全信号配線3について、ノイズの有無、強弱、及び発生期間の長短の検出及び記憶を終了したか否か判断する。終了していない場合は否定されてステップ500に戻り、本信号解析処理を繰り返す。一方、終了した場合は肯定されて本信号解析処理を終了する。
【0120】
このようにして信号解析処理が終了すると放射線画像検出器100の制御部106では、ステップ410へ進む。本実施の形態の撮影処理のステップ410では、上述の信号解析処理の処理結果に基づいて、強度が強くて、発生期間が長いノイズが発生した領域が有るか否かを判断する。強度が強く、かつ発生期間が長いノイズが発生した領域が無い場合は、否定され、放射線画像を表示させると判断してステップ416へ進む。一方、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズが発生した領域が有る場合は、肯定されてステップ411へ進む。
【0121】
ステップ411では、発生した領域の数が第四閾値以上で有るか否かを判断する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、検出したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、放射線画像を表示させないように制御していたが、本実施の形態では、ノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合であっても、発生した領域の数が少ない場合は、放射線画像を表示させるように制御する。そのため、本実施の形態の放射線画像検出器100では、画像表示の有無判断用の第四閾値が予め定められている。なお、第四閾値は、ノイズが視認しづらい領域数、視認しても支障が出づらい領域数等を予め実験等により得ておき、これに基づいて定めるようにしてもよいし、ユーザが設定するようにしてもよい。
【0122】
ステップ411で、領域数が第四閾値未満の場合は、否定されて放射線画像を表示させると判断してステップ416へ進む。一方、領域数が第四閾値以上の場合は、肯定されて放射線画像を表示させないと判断してステップ412へ進む。
【0123】
ステップ412は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ112に対応しており、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出したことを報知部108により、ユーザに報知する。なお、ユーザに報知する方法は、第1の実施の形態と同様に報知するようにしてもよいが、ノイズを検出した領域を示すように報知することが好ましい。本実施の形態の放射線画像検出器100では、ノイズを検出した領域を示すように報知できるように報知部108を設けている。図19に、本実施の形態の放射線画像検出器100(筐体120)の外観の一例を示す。なお、図19(A)は、報知部108がLEDである場合を示しており、第1の実施の形態の図3(A)に対応している。また、図19(B)は、報知部108がスピーカである場合を示しており、第1の実施の形態の図3(B)に対応している。図19に示すように、本実施の形態では、各領域に対応する位置に報知部108を設けておき、ノイズを検出した領域の位置に対応する報知部108を用いて、第1の実施の形態と同様にして、検出したノイズに関する報知をユーザに対して行う。図19に示した放射線画像検出器100(筐体120)では、報知部1081が信号配線3(D1)に応じた領域に対応し、報知部1082が信号配線3(D2)に応じた領域に対応し、報知部1083が信号配線3(D3)に応じた領域に対応し、報知部1084が信号配線3(D41)に応じた領域にそれぞれ対応している。例えば、信号配線3(D1)に出力された電気信号及び信号配線3(D2)に出力された電気信号に、強度が強く、発生期間が長いノイズが発生したことを検出した場合は、報知部1081及び報知部1082により、強度が強く、発生期間が長いノイズを検出したことを示すよう報知する。
【0124】
次のステップ414は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ114に対応しており、制御部106は、ゲートオン信号となる駆動信号を出力させるように指示して、放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷をリセットさせた後、本処理を終了する。
【0125】
一方、放射線画像を表示させると判断した場合のステップ416〜ステップ424は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ116〜ステップ124にそれぞれ対応している。ノイズを検出した領域が有るか否かを判断し、ノイズを検出した領域が有る場合は、ノイズの検出及び検出した領域を報知する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に検出したノイズの種類(強度、長さ)に応じた報知を行うようにしている。また、上述のステップ412と同様に、検出した領域を示すよう報知する。
【0126】
放射線画像の撮影のための電荷の蓄積時間が経過すると、ゲートオン信号となる駆動信号を走査配線101毎に順次出力させるように指示し、放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷に応じた電気信号を取得し、取得した電気信号に基づいて放射線画像を生成する。本実施の形態のステップ424では、生成した放射線画像を制御装置202に出力すると共に、ノイズを検出した領域(ユーザに警告するためのアラーム領域)を示す情報を制御装置202に出力する。さらに、放射線画像及びアラーム領域に関する情報を表示させるよう制御装置202に出力した後、本処理を終了する。
【0127】
本実施の形態の制御装置202では、このようにして放射線画像検出器100から出力された放射線画像及びアラーム領域に関する情報の表示の指示に基づいて、放射線画像を表示させる。図20に、本実施の形態の制御装置202で実行される放射線画像の画像表示処理の一例のフローチャートを示す。なお、本実施の形態では、放射線画像の撮影が指示されると、制御装置202の制御部210において本処理が実行される。
【0128】
ステップ600では、放射線画像(放射線画像を示す電気信号)が入力されたか否か判断する。まだ入力されていない場合は、否定されて待機状態になる。一方、上述の撮影処理のステップ424により、放射線画像が入力された場合は、肯定されてステップ602へ進む。ステップ602では、入力された放射線画像を表示部212に表示させる。本実施の形態における放射線画像の表示の具体的一例を図21に示す。図21に示すように、本実施の形態では、表示部212には、放射線画像60と、アラーム領域を示すアラーム領域表示部62(621〜624)と、ユーザが表示されている放射線画像に対して画像処理の実行を指示するための指示部64と、指示部66と、を表示させている。
【0129】
放射線画像60は、放射線画像検出器100から入力された放射線画像に対応している。図21では、ノイズNが含まれる放射線画像60が表示された場合を示している。アラーム領域表示部62は、入力されたアラーム領域の位置をユーザに認識可能に表示させることができれば、特に限定されない。本実施の形態では、具体的一例として、図21に示すように、各領域に対応してアラーム領域表示部621〜アラーム領域表示部624が設けられており、アラーム領域が点灯または点滅するように構成している。図21では、信号配線3(D2)に対応する領域のノイズ(ノイズN参照)を検出発生したためアラーム領域となっており、アラーム領域表示部622を点灯させた場合を示している。
【0130】
指示部64は、表示されている放射線画像60に対してノイズNを除去するための画像処理を実行(詳細後述)するようにユーザが指示する場合に用いられる。また、指示部66は、ユーザが放射線画像60の表示の終了を指示する場合に用いられる。
【0131】
放射線画像60を表示させると次のステップ604では、アラーム領域が有るか否かを判断する。無い場合は、否定されてステップ614へ進む。一方、アラーム領域が有る場合は、肯定されてステップ606へ進む、ステップ606では、アラーム領域表示部62により、アラーム領域を表示させる(図21参照)。
【0132】
次のステップ608では、ノイズNを除去するための画像処理を実行するか否か判断する。指示部64を介してユーザから画像処理の実行を指示されていない場合は、否定されてステップ614へ進む。一方、画像処理の実行を指示された場合は、肯定されてステップ610へ進む。ステップ610では、放射線画像60(放射線画像60に対応する画像情報)に対して、ノイズNを除去するための画像処理を実行する。なお、当該画像処理は特に限定されず、予め実験等により、ノイズNを除去するのに適切なフィルタ処理等を定めておけばよい。次のステップ612では、画像処理後の放射線画像60を表示部212に表示させる。
【0133】
次のステップ614では、放射線画像60の表示を終了するか否か判断する。指示部66を介してユーザから終了を指示されていない場合は、否定されてステップ608へ進み、本処理を繰り返す。一方、終了を指示された場合は、肯定されてステップ616へ進む。ステップ616では、放射線画像60(放射線画像60に対応する画像情報)と、アラーム領域に関する情報とを対応づけて記憶させた後、本処理を終了する。なお、記憶させる放射線画像60は、ステップ610の画像処理前のものであってもよいし、画像処理後のものでもよい。また、記憶させる場所は、制御装置202内の図示を省略したメモリ等の記憶部であってもよいし、制御装置202(放射線画像撮影装置201)外部の記憶部であってもよい。
【0134】
このように本実施の形態では、制御部106が、各信号配線3(各増幅回路50)毎に出力された電気信号を取得し、取得した各電気信号に対してノイズの有無、強度、及び発生期間の長さを検出しているため、ユーザに対して、ノイズを検出した位置(領域)を認識させることができる。また、本実施の形態では、ノイズを検出した領域の数に応じて放射線画像60を表示させており、領域の数が少ない場合は、放射線画像60を表示させる。検出した領域の数が少ない場合は、再撮影を行うよりも放射線画像60の表示を優先させ、放射線画像60をユーザに確認させることができるため、再撮影の負荷を軽減することができる。
【0135】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形は、第3の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。第3の実施の形態では、ノイズを検出した領域(アラーム領域)の数が少ない場合は、放射線画像60を表示させるように制御しているが、本実施の形態の放射線画像検出器100では、アラーム領域の位置に応じて、放射線画像60を表示させるように制御するものとして構成している。
【0136】
本実施の形態の放射線画像検出器100における放射線画像の撮影処理全体の流れの一例のフローチャートを図22に示す。なお、本処理は、第3の実施の形態の放射線画像検出器100における撮影処理全体(図17)と略同様のステップ(処理)を含んでいるため、略同様のステップ(処理)についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0137】
本実施の形態の撮影処理のステップ700〜ステップ724は、第3の実施の形態の撮影処理のステップ400〜ステップ424(図17参照)にそれぞれ対応している。本実施の形態では、ステップ711の処理が第3の実施の形態の撮影処理のステップ411と異なるため、当該処理について詳細に説明する。
【0138】
ステップ710で強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出した領域が有ると判断した場合のステップ711では、ノイズを検出した領域の位置が放射線画像60の中央であるか否か判断する。本実施の形態で放射線画像60の中央とは、放射線画像60に応じた領域、または、ユーザにより設定された領域により予め定められている。一般に、ユーザが観察等を行いたい関心領域等の重要な画像は、放射線画像60の中央付近に表示される。一方、放射線画像60の周辺は、重要な画像が表示される場合が少なく、当該周辺となる領域にノイズが発生していても問題とならない場合が多い。そのため、本実施の形態では、このように重要な画像が表示される放射線画像60の中央を予め実験等により得ておくか、またはユーザにより設定しておく。放射線画像60の中央に強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出した場合は、当該放射線画像60を表示させないよう制御する。一方、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズであっても、周辺(中央を除いた領域)に発生した場合は、ノイズを検出したことを報知してユーザに警告すると共に、放射線画像60の表示を行うように制御する。
【0139】
なお、ユーザが上述した放射線画像60の中央を設定する場合は、例えば、図21に示したアラーム領域表示部62と共に、各アラーム領域に対応して指示部を設けて、ノイズが発生していてもよい位置、またはノイズが発生していてはいけない位置をユーザが指示可能に構成するとよい。なお、本実施の形態では、説明の便宜上「中央」としているが、ユーザが放射線画像60の全領域(具体的には、全アラーム領域)を設定し、ノイズが発生している領域の位置にかかわらず、放射線画像60を表示させるように設定できることはいうまでもない。救急用等、緊急で放射線画像60の表示が必要な場合は、このように、ノイズの種類や位置等にかかわらず、放射線画像60の表示を優先させることが好ましい。
【0140】
ステップ711でノイズが発生した領域の位置が放射線画像60の中央であると判断した場合は、ステップ712へ進み、放射線画像60を表示させないと判断したステップ712以降の処理を行う。一方、中央ではないと判断した場合は、ステップ716へ進み、放射線画像60を表示させると判断したステップ716以降の処理を行う。放射線画像60を表示させる場合は、第3の実施の形態と同様に、検出したノイズの種類(強弱、長さ)、及びアラーム領域をユーザが認識可能となるように放射線画像60を制御装置202の表示部212に表示させるよう指示した後、本処理を終了する。
【0141】
このように本実施の形態では、制御部106が、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出した場合は、ノイズを検出した領域の位置に応じて放射線画像60を表示させるよう制御するため、ノイズを検出した領域が重要な画像が表示される領域ではない場合、放射線画像60の表示を優先させることができる。また、ユーザに対して、ノイズを検出した位置(領域)を認識させることができる。さらに本実施の形態では、ノイズの検出に関わらず、放射線画像60の表示を優先させることができる。
【0142】
なお、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態を組み合わせて、強度が強くかつ発生期間が長いノイズが発生した領域の数及び位置に応じて放射線画像60を表示させるか否か制御するようにしてもよい。また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態と同様にして、検出したノイズの強度が弱い場合や、発生期間が短い場合であっても、領域の数及び位置に応じて放射線画像60を表示させるか否か制御するようにしてもよい。
【0143】
また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、各信号配線3(増幅回路50)毎に、電気信号の経時変化を取得していたがこれに限らず、複数(所定数)の信号配線3(増幅回路50)毎に、電気信号の経時変化を取得し、複数の信号配線3に対応する領域に対して、上述の制御処理を行うようにしてもよい。
【0144】
また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態の放射線画像検出器100では、図16に示したように、各信号配線3毎に放射線検知用画素20Bが設けられていたが、第1の実施の形態の放射線画像検出器100(図2参照)のように、一部の信号配線3に放射線検知用画素20Bが設けられている場合であっても、放射線検知用画素20Bが設けられた信号配線3毎に、上述の制御処理を行うようにすればよい。
【0145】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態において、上述の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、放射線の照射開始の検出方法が上述の実施の形態と異なるため、放射線の照射開始の検出方法について説明する。
【0146】
本実施の形態の放射線画像検出器100では、バイアス線25に流れる電荷を検出器70で検出し、検出した電荷と閾値とに基づいて、放射線の照射開始を制御部106で検出する。本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図23に示す。また、本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成のその他の一例を示す構成図を図24に示す。図23に示した放射線画像検出器100では、バイアス線25のうち、バイアス線25Aに検出器70が接続されており、バイアス線25Aに流れる電荷を検出器70で検出し、制御部106が検出した電荷と閾値とに基づいて放射線の照射開始を検出する。一方、図24に示した放射線画像検出器100では、各バイアス線25毎に検出器70(701〜704)が設けられており、各バイアス線25に流れる電荷を各検出器70で検出し、制御部106が検出した電荷と閾値とに基づいて放射線の照射開始を検出する。なお、図24に示した放射線画像検出器100のように、各バイアス線25毎に、検出器70を設ける方が、各領域に応じて判断を行うことができ検出精度が向上するため、好ましい。
【0147】
本実施の形態の放射線の照射開始の検出方法について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の撮影処理における、放射線の照射開始を検出するためのステップ100及びステップ102(図7参照)の処理以外は、略同様の処理を行うため説明を省略する。
【0148】
本実施の形態の放射線の照射開始検出処理の一例のフローチャートを図25に示す。
【0149】
ステップ800では、全ての走査配線101にゲートオフ信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。これにより、走査配線駆動回路104から各画素20にゲートオフ信号が出力され、全画素20のTFTスイッチ4がオフ状態になる。
【0150】
次のステップ802では、検出器70でバイアス線25を流れる電気信号(電荷)を検出し、次のステップ804では、検出した電気信号が第五閾値以上であるか否かを判断する。なお、第五閾値は、予め実験等により、放射線の照射開始用の閾値として得ておけばよい。また、放射線画像検出器100が図24に示すように、バイアス線25毎に検出器70が設けられている場合は、所定数以上の検出器70で検出した電気信号が第五閾値以上となったか否かを判断してもよいし、全ての検出器70で検出した電気信号が第五閾値以上となったか否かを判断してもよい。いずれとするかは放射線画像検出器100の使用や撮影に応じて予め定めておけばよく、特に限定されない。
【0151】
電気信号が第五閾値未満の場合は、否定されてステップ806へ進む。ステップ806では、電荷リセットのための所定時間が経過したか否か判断する。本実施の形態の場合、ゲートオフ信号により、TFTスイッチ4がオフ状態であるため、全画素20に電荷が蓄積された状態にある。蓄積された電荷をリセットしないと、ノイズに起因する電気信号の増加や、ダイナミックレンジが小さくなり、放射線画像の画質が低下する。そのため、本実施の形態では、所定時間毎に、画素20に蓄積された電荷をリセットするように制御している。なお、当該所定時間は、放射線画像検出器100や画素20に応じて、予め実験等により得ておけばよい。
【0152】
所定時間が経過していない場合は、否定されてステップ802へ戻り本処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合は、肯定されてステップ808へ進む。ステップ808では、一旦、検出器70による放射線の照射開始の検出動作を中断し、全ての走査配線101にゲートオン信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。当該指示により、全画素20に蓄積された電荷をリセットさせるよう駆動させる。電荷のリセット後、ステップ800に戻り、再び、放射線の照射開始の検出動作を開始させる。
【0153】
一方、ステップ804で電気信号が第五閾値以上である場合は、肯定されてステップ810へ進み、放射線の照射開始を検出し、本処理を終了する。
【0154】
このように本実施の形態では、走査配線101にゲートオフ信号を出力した状態で、バイアス線25に流れる電荷(電気信号)を検出器70で検出し、電気信号と第五閾値とを比較して第五閾値以上の場合に、放射線の照射開始を検出する。これにより、走査配線101にゲートオン信号を出力(TFTスイッチ4のオン動作)に起因するノイズ(例えば、フィードスルーノイズ)が発生しないため、S/N比を向上させることができる。
【0155】
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態において、上述の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、放射線の照射開始の検出方法が上述の実施の形態と異なるため、放射線の照射開始の検出方法について説明する。
【0156】
本実施の形態の放射線画像検出器100では、画素20からリークする電流(電荷)と、閾値とに基づいて、放射線の照射開始を制御部106で検出する。本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図26に示す。
【0157】
本実施の形態の放射線の照射開始の検出方法について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の撮影処理における、放射線の照射開始を検出するためのステップ100及びステップ102(図7参照)の処理以外は、略同様の処理を行うため説明を省略する。
【0158】
本実施の形態の照射開始検出処理の一例のフローチャートを図27に示す。
【0159】
ステップ900では、第5の実施の形態の放射線の照射開始検出処理と同様に、全ての走査配線101にゲートオフ信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。当該指示により、走査配線駆動回路104から各画素20にゲートオフ信号が出力され、全画素20のTFTスイッチ4がオフ状態になる。
【0160】
次のステップ902では、信号検出回路105の増幅回路50(アンプ52)の駆動を開始させ、連続的に駆動させる。画素20のTFTスイッチ4がオフ状態であっても、放射線の照射に応じて、リーク電流が発生し、各信号配線3には、リーク電流に応じた電荷(電気信号)が流れ、増幅回路50(アンプ52)によりサンプリングされる。次のステップ904では、制御部106が、増幅回路50によりサンプリングされた電荷に応じた電気信号を第六閾値以と比較し、第六閾値以上となった否かにより放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。なお、第六閾値は、予め実験等により、放射線の照射開始用の閾値として得ておけばよい。
【0161】
電気信号が第六閾値未満の場合は、否定されてステップ906へ進む。ステップ906では、電荷リセットのための所定時間が経過したか否か判断する。本実施の形態の場合、第5の実施の形態と同様に、ゲートオフ信号により、TFTスイッチ4がオフ状態であるため、全画素20に電荷が蓄積された状態にある。そのため、蓄積された電荷をリセットしないと、ノイズに起因する電気信号の増加や、ダイナミックレンジが小さくなることにより、放射線画像の画質が低下する。そのため、本実施の形態では、所定時間毎に、画素20に蓄積された電荷をリセットするように制御している。なお、当該所定時間(一般的に、第5の実施の形態の「所定時間」と異なる)は、放射線画像検出器100や画素20に応じて、予め実験等により得ておけばよい。
【0162】
所定時間が経過していない場合は、否定されてステップ904へ戻り本処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合は、肯定されてステップ908へ進む。ステップ908では、一旦、検出器70による放射線の照射開始の検出動作を中断し、全ての走査配線101にゲートオン信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。当該指示により、全画素20に蓄積された電荷をリセットさせるよう駆動させる。電荷のリセット後、ステップ900に戻り、再び、放射線の照射開始の検出動作を開始させる。
【0163】
一方、ステップ904で電気信号が第六閾値以上である場合は、肯定されてステップ910へ進み、放射線の照射開始を検出し、本処理を終了する。
【0164】
このように本実施の形態では、走査配線101にゲートオフ信号を出力した状態で、各画素20から信号配線3に流れるリーク電流に応じた電気信号を増幅回路50でサンプリングし、サンプリングした電気信号と第六閾値とを比較して第六閾値以上の場合に、放射線の照射開始を検出する。これにより、駆動方法の変更だけで、放射線の照射開始を検出できるため、放射線の照射開始を検出するための構成を設ける必要がなく、例えば特殊なTFTスイッチ4の設計や、追加回路等を設ける必要がない。
【0165】
[第7の実施の形態]
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態において、上述の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、放射線の照射開始の検出方法が上述の実施の形態と異なるため、放射線の照射開始の検出方法について説明する。
【0166】
本実施の形態の放射線画像検出器100では、各画素20が、複数のTFTスイッチ4を備え、放射線の照射開始の検出と、放射線画像の撮影の場合とで、使用するTFTスイッチ4を変更するよう制御する。本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図28に示す。
【0167】
図28に示すように、本実施の形態の放射線画像検出器100の各画素20は、2つのTFTスイッチ4(4A、4B)を備えている。TFTスイッチ4Aは、走査配線101(G1A、G2A、G3A、G4A)を流れる駆動信号によって駆動され、放射線画像を生成するための電荷をセンサ部103から読み出す際にオン状態に駆動される。一方、TFTスイッチ4Bは、走査配線101(G1B、G2B、G3B、G4B)を流れる駆動信号によって駆動され、放射線の照射開始を検出する際にセンサ部103から電荷を読み出す際にオン場外に駆動される。放射線画像撮影用画素20Aでは、TFTスイッチ4Aは、信号配線3に接続されているが、TFTスイッチ4Bは、信号配線3に接続されていない。また、放射線検知用画素20Bでは、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bの両方が信号配線3に接続されている。
【0168】
本実施の形態の撮影処理について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の撮影処理(図7参照)と略同様のステップ(処理)を含んでいるため、略同様のステップ(処理)についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100における撮影処理全体の流れの一例のフローチャートを図29に示す。
【0169】
ステップ1000では、TFTスイッチ4Aをリセット駆動するための駆動信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示すると共に、TFTスイッチ4Bに駆動信号(ゲートオン信号)を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。
【0170】
以下、ステップ1001〜ステップ1024は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ100〜ステップ124にそれぞれお対応している。ステップ1001は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ100に対応しており、信号検出回路105の増幅回路50(アンプ52)の駆動を開始させ、連続的に駆動させる。これにより、放射線検知用画素20Bからは、TFTスイッチ4Bにより電荷が読み出されて放射線の照射に応じた電気信号が信号配線3に流れ、増幅回路50(アンプ52)によりサンプリングされる。なお、放射線画像撮影用画素20Aでは、TFTスイッチ4Bが信号配線3に接続されていないため、TFTスイッチ4Bにゲートオン信号が印加されているのにかかわらず、TFTスイッチ4Bにより電気信号が信号配線3に読み出されることがない。
【0171】
次のステップ1002では、制御部106が、増幅回路50によりサンプリングされた電荷に応じた電気信号を第七閾値以と比較し、第七閾値以上となった否かにより放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。なお、第七閾値は、予め実験等により、放射線の照射開始用の閾値として得ておけばよい。
【0172】
電気信号が第七閾値未満の場合は、否定されて待機状態になる。一方、第七閾値以上の場合は、放射線の照射開始を検出したため、肯定されてステップ1003へ進む。ステップ1003では、TFTスイッチ4A、及びTFTスイッチ4Bにゲートオフ信号を出力し、各画素20による電荷の蓄積を開始させる。電荷の蓄積開始後、ノイズを検出するためのステップ1004〜ステップ1018は、第1の実施の形態のステップ104〜ステップ118と略同様の処理である。電気信号の経時変化に基づいて、ノイズの有無、強弱、及び発生期間を検出し、検出結果に基づいて、検出結果の表示、及び放射線画像の表示を行う。なお、本実施の形態では、放射線画像を表示させない場合(強度が強くて発生期間が長いノイズを検出した場合)のステップ1014では、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bの両方に対してゲートオン信号を出力させ、画素20に蓄積された電荷をリセットさせる。
【0173】
また、放射線画像を撮影するためのステップ1020〜ステップ1024は、第1の実施の形態のステップ120〜ステップ124と略同様の処理である。蓄積時間が経過すると、順次、画素20から電荷を読み出す。なお、この際本実施の形態では、TFTスイッチ4Aに対してゲートオン信号を出力させて、TFTスイッチ4Aにより蓄積された電荷に応じた電気信号を信号配線3に読み出させる。本実施の形態では、この際、放射線画像撮影用画素20A及び放射線検知用画素20Bの両方の画素20から、電荷が読み出される。制御部106は、取得した電気信号に基づいて、放射線画像を生成する。さらに、生成した放射線画像を表示させるよう制御装置202に出力した後、本処理を終了する。
【0174】
このように本実施の形態では、各画素20が放射線画像撮影用のTFTスイッチ4Aと、放射線の照射開始検出用のTFTスイッチ4Bとを備えている。放射線の照射開始を検出する際は、放射線検知用画素20BからTFTスイッチ4Bにより信号配線3に出力された電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出する。また、放射線画像を撮影する際は、放射線画像撮影用画素20A及び放射線検知用画素20BのTFTスイッチ4Aにより信号配線3に出力された電気信号を取得して、放射線画像を生成する。これにより、放射線の照射開始を検出する際は、上述の第6の実施の形態において説明したリーク電流を用いる場合に比べて、信号強度を大きくすることができるため、S/N比が改善される。また、実際に放射線の照射を開始されてから照射開始を検出するまでの放射線のロス時間を小さくすることができるため、リセット駆動による電荷のロスを無視することができる。また、放射線画像撮影用画素20A及び放射線検知用画素20Bから読み出された電荷(電気信号)により放射線画像を生成することができるため、放射線検知用画素20Bが欠陥画素とならず、放射線画像に画像欠陥が生じるのを抑制することができる。
【0175】
なお、本実施の形態では、全ての画素20がTFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bを備えるように構成したが、これに限らず、放射線検知用画素20Bが両方のTFTスイッチ4(4A、4B)を備えていればよい。なお、全画素20がFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bを備える方が、放射線画像検出器100の製造等の観点から好ましい。
【0176】
なお、上述した各実施の形態では、ノイズに関する検出を放射線画像検出器100の制御部106で行っているがこれに限らず、例えば、制御装置202の制御部210で行ってもよい。
【0177】
また、上述した各実施の形態では各閾値を用いてノイズに関する検出を行っているがこれに限らず、例えば、電気信号の波形や、所定期間のピーク間の時間等に基づいて検出するようにしてもよい。また、また、上述した各実施の形態では、電気信号の微分処理や、移動平均との差分により信号解析を行っているがこれに限らず、その他の信号解析処理を行ってもよい。なお、微分処理は、分離能が高く、例えば、放射線の照射タイミングとノイズの発生タイミングとが重なった場合であっても適切に分離できるため、微分処理を行うことが好ましい。
【0178】
また、放射線の照射開始の検出は、上述の実施の形態に限らず、放射線の照射開始を検出する構成であれば、特に限定されない。例えば、別個、放射線検知用の画素20を備えるようにしてもよいし、放射線画像撮影用画素20Aのうち、一部を用いるようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、第一の閾値との比較により検出を行っていたが、これに限らず、放射線の照射開始条件として予め定められた条件を満たすか否かにより検出を行えばよく、特に限定されない。
【0179】
また、上述した各実施の形態では、制御装置202の表示部212に放射線画像を表示させる場合について説明したがこれに限らず、例えば、制御装置202以外の外部の表示装置等に表示させるようにしてもよい。
【0180】
また、上述した各実施の形態では、間接変換方式の場合について説明したがこれに限らず、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の場合に適用してもよい。この場合、直接変換方式における放射線検知素子は、放射線が照射されることにより電荷を発生する。
【0181】
その他、本実施の形態で説明した放射線画像検出器100、放射線検出器10等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0182】
また、本実施の形態では、本発明の放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【符号の説明】
【0183】
4 TFTスイッチ、4A 放射線画像撮影用のTFTスイッチ、4B 放射線の照射開始検出用のTFTスイッチ
10 放射線検出器
20 画素、20A 放射線画像撮影用画素、20B 放射線検知用画素20B
70 検出器
100 放射線画像撮影装置
103 センサ部
104 走査配線駆動回路
105 信号検出回路
106 制御部
108、213 報知部
200 放射線画像撮影システム
201 放射線画像撮影装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影装置の制御方法に係り、特に照射された放射線に応じた放射線画像の撮影に用いられる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断等を目的とした放射線撮影を行う放射線画像撮影装置が知られている。当該放射線画像撮影装置は、放射線照射装置から照射され、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を撮影する。当該放射線画像撮影装置は、照射された放射線に応じて発生した電荷を収集して読み出すことにより放射線画像の撮影を行う。このような放射線画像撮影装置としては、いわゆるカセッテ等のFPD(Flat Panel Detector)パネルが挙げられる。
【0003】
このような放射線画像撮影装置として、放射線または、放射線が変換された光が照射されることにより検知した放射線に応じて電荷を発生する光電変換素子等による放射線検知素子と、当該放射線検知素子で発生した電荷を読み出すスイッチ素子と、を備えると共に、当該スイッチ素子から読み出された電荷に基づいて、放射線の照射(照射の開始や、停止等)を検出する検出部を備えたものが知られている。例えば、特許文献1には、X線の発生タイミングとの同期を不要とし、X線を検出する検出器の駆動状態を報知する報知部を備えたX線撮影装置が記載されている。
【0004】
このような放射線画像撮影装置により放射線画像の撮影を行う場合に、衝撃や電磁波等の外乱ノイズ等に起因して、電気信号が発生してしまい、当該電気信号により、撮影された放射線画像に異常が生じる場合がある。
【0005】
そのため、ノイズの有無を検出する技術がある。例えば特許文献2には、放射線を検出する放射線検出部(画素)とは別個にノイズ検出部を設け、電気信号に基づいてノイズが無いと判断した場合に、放射線検出部(画素)によって発生した電荷を読み出して、放射線画像の撮影を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−264250号公報
【特許文献2】特開2004−24683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、ノイズの発生と放射線の曝射とのタイミングが近い場合は、ノイズの有無を誤検出する懸念がある。また、このような場合にノイズの発生がユーザに適切に報知されない懸念がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる、放射線画像撮影装置、放射線画像撮影システム、放射線画像撮影装置の制御プログラム、及び放射線画像撮影の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の放射線画像撮影装置は、照射された放射線の線量に応じた電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に放射線の照射開始を検出する検出手段と、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、取得した電気信号と、ノイズの強度検出用に予め定められた条件及びノイズの発生期間検出用に予め定められた条件と、に基づいて、前記ノイズの強度及び発生期間を検出し、検出した強度及び発生期間に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断することが好ましい。
【0011】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記ノイズの強度が弱いことを検出した場合及び発生期間が短いことを検出した場合の少なくとも一方の場合は、前記放射線画像を出力すると判断する。
【0012】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記ノイズの強度が強くかつ、ノイズの発生期間が長いことを検出した場合は、前記放射線画像を出力しないと判断する。
【0013】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、前記複数の画素に応じて予め定められた領域毎に、電荷に応じた電気信号を取得し、前記予め定められた領域毎に当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断する。
【0014】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域を報知する。
【0015】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断する。
【0016】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置が、領域全体に対する中央として予め定められた位置である場合は、放射線画像を出力しないと判断する。
【0017】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する。
【0018】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前制御手段は、取得した電気信号の時間変化を微分処理した電気信号に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する。
【0019】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、時間移動平均を算出し、算出した時間移動平均と判定する時点における電気信号の差分に基づいて、当該差分がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する。
【0020】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、取得した電気信号と強度検出用閾値との比較により、前記ノイズの強度を検出する。
【0021】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記制御手段は、取得した電気信号が発生時間検出用閾値に到達した回数に基づいて、前記ノイズの発生期間を検出する。
【0022】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記報知手段は、前記複数の画素を含む放射線画像検出器に備えられている。
【0023】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記報知手段は、前記複数の画素を備えた放射線画像検出器の外部に備えられている。
【0024】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記複数の画素は、放射線画像撮影用画素及び放射線検知用画素を備え、前記検出手段は、前記放射線検知用画素から出力された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得する。
【0025】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記放射線画像撮影用画素の前記スイッチ素子は、制御信号に基づいて前記信号配線に電荷を出力し、前記放射線検知用画素は、前記制御信号にかかわらず前記信号配線に電荷を出力する。
【0026】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記放射線検知用画素は、第一走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び第二走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線検知用のスイッチ素子を含み、前記検出手段は、前記前記放射線検知用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号、及び前記放射線検知用画素の前記放射線画像撮影用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号を取得する。
【0027】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記放射線画像撮影用画素は、前記放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び前記放射線検知用のスイッチ素子を含み、当該放射線検知用のスイッチ素子は、前記信号配線に非接続である。
【0028】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、バイアス電源から印加されたバイアス電圧を前記複数の画素の前記センサ部に供給するバイアス線と、前記バイアス線に流れる電荷を検出する電荷検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記電荷検出手段で検出した電荷の変化に基づいて放射線の照射開始を検出する。
【0029】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、前記検出手段が前記放射線の照射開始を検出する検出期間は、前記スイッチ素子をオフ状態とする。
【0030】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、前記検出期間は、所定時間毎に前記放射線の照射開始の検出を中断し、前記スイッチ素子をオン状態にして、前記センサ部で発生した電荷を読み出して前記信号配線に出力させた後、前記スイッチ素子をオフ状態にして、前記放射線の照射開始の検出を再開する。
【0031】
また、本発明の放射線画像撮影装置の前記予め定められた照射検出用条件は、照射検出用閾値により予め定められた条件である。
【0032】
本発明の放射線画像撮影システムは、放射線照射装置と、前記放射線照射装置から照射された放射線により放射線画像を撮影する本発明の放射線画像撮影装置と、を備える。
【0033】
本発明の放射線画像撮影装置の制御プログラムは、照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号と照射検出用閾値との比較結果に基づいて放射線の照射開始を検出する検出手段と、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、を備えた放射線画像撮影装置の、前記制御手段としてコンピュータを機能させるためのものである。
【0034】
本発明の放射線画像撮影装置の制御方法は、照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素を備えた放射線画像撮影装置により放射線画像を撮影する際に、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号と照射検出用閾値との比較結果に基づいて放射線の照射開始を検出する検出工程と、前記検出工程で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る放射線検出器の外観を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射線検出器の構成の一例を示す平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射線検出器の一例の線断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る放射線検出器の一例の線断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【図8】照射された放射線に応じた電気信号を説明するための説明図である。
【図9】ノイズを説明するための説明図であり、(A)は、交流ノイズを示し、(B)は矩形ノイズを示している。
【図10】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、信号解析処理の一例のフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態で行われる微分処理が行われる前の強度の時間変化のプロファイルを説明するための説明図であり、(A)は、ノイズが含まれていない場合を示し、(B)は、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合を示し、(C)は、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合を示している。
【図12】第1の実施の形態で行われる微分処理が行われた後の強度の時間変化のプロファイルを説明するための説明図であり、(A)は、ノイズが含まれていない場合を示し、(B)は、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合を示し、(C)は、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合を示している。
【図13】本実施の形態のノイズの判定の具体的一例を説明するための説明図である。
【図14】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、信号解析処理の一例のフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態で行われる微分処理が行われた後の強度の時間変化のプロファイルを説明するための説明図であり、(A)は、ノイズが含まれていない場合を示し、(B)は、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合を示し、(C)は、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合を示している。
【図16】第3の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図17】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【図18】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、信号解析処理の一例のフローチャートである。
【図19】第3の実施の形態に係る放射線検出器の外観を説明するための説明図である。
【図20】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の制御装置における、放射線画像の撮画像表示理の一例のフローチャートである。
【図21】第3の実施の形態に係る放射線画像の表示の具体的一例を説明するための説明図である。
【図22】第4の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【図23】第5の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図24】第5の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成のその他の一例を示す構成図である。
【図25】第5の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線の照射開始検出処理の一例のフローチャートである。
【図26】第6の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図27】第6の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線の照射開始検出処理の一例のフローチャートである。
【図28】第7の実施の形態に係る放射線画像検出器の全体構成の一例を示す構成図である。
【図29】第7の実施の形態に係る放射線画像撮影装置における、放射線画像の撮影処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0038】
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態の放射線画像撮影装置を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0039】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線画像撮影装置201と、を備えている。放射線画像撮影装置201は、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出器10を備えた放射線画像検出器100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像検出器100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えて構成されている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線画像検出器100に照射される。
【0040】
制御装置202は、制御部210、表示部212、及び報知部213を備えて構成されている。制御部210は、制御装置202及び放射線画像撮影装置201全体を制御する機能を有しており、マイクロコンピュータによって構成されている。制御部210は、CPU(中央処理装置)、ROMおよびRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部210は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、上述の制御を行う。表示部212は、例えば、ディスプレイや液晶等であり、撮影された放射線画像を表示したり、放射線画像の撮影に関する情報(詳細を後述するノイズに関する情報等を含む)等を表示したりする機能を有するものであれば、特に限定されない。報知部213は、詳細を後述するが放射線画像検出器100ノイズを検出した場合にその旨をユーザに対して報知する機能を有するものであり、例えば、スピーカや、表示部212とは別個に設けられた表示装置、LED等が挙げられるが、特に限定されない。また、制御装置202において、ノイズの検出に関する情報を表示部212のみに表示させる場合は、報知部213は、設けなくてもよい。
【0041】
次に、本実施の形態の放射線画像検出器100の概略構成について説明する。本実施の形態に係る放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図2に示す。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線画像検出器100は、間接変換方式の放射線検出器10を備えて構成されている。なお、図2では、放射線を光に変換するシンチレータは省略している。
【0042】
放射線検出器10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチ素子であるTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部103で電荷が発生する。
【0043】
画素20は、一方向(図2の走査線方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の信号配線方向、以下「列方向」ともいう)にマトリクス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024×1024個配置されている。
【0044】
本実施の形態では、複数の画素20のうち、放射線画像撮影用の画素20Aと放射線検知用の画素20Bが予め定められている。図1では、放射線検知用の画素20Bを破線で囲んで示している。放射線画像撮影用の画素20Aは、放射線を検出して放射線が示す画像を生成するために用いられ、放射線検知用の画素20Bは、放射線を検知するために用いられる画素であり、TFTスイッチ4のオン/オフに係わらず、電荷を出力する画素である(詳細後述)。
【0045】
また、放射線検出器10には、基板1(図4参照)上に、TFTスイッチ4をオン/オフするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、一方向の各画素列に信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に走査配線101が1本ずつ設けられており、例えば、画素20が行向及び列方向に1024×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101は1024本ずつ設けられている。
【0046】
さらに、放射線検出器10には、各信号配線3と並列にバイアス線25が設けられている。バイアス線25は、一端及び他端が並列に接続されており、一端が所定のバイアス電圧を供給する電源110に接続されている。センサ部103はバイアス線25に接続されており、バイアス線25を介してバイアス電圧が印加されている。
【0047】
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチングするための駆動信号が流れる。このように駆動信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。
【0048】
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4がオン状態の場合に、各画素20に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がオンされることにより蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0049】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されている。また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をオン/オフするための駆動信号を出力する走査配線駆動回路104が接続されている。図2では、信号検出回路105及び走査配線駆動回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号検出回路105及び走査配線駆動回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続する。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、走査配線駆動回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号検出回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続する。
【0050】
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路50を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路50により増幅して、A/D(アナログ/デジタル)変換回路54に出力する。
【0051】
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えて構成されている。
【0052】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20のTFTスイッチ4により電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCにTFTスイッチ4により読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0053】
また、制御部106は、電荷リセット用スイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0054】
A/D変換回路54は、信号検出回路105のS/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。A/D変換回路54は、デジタル信号に変換した電気信号を制御部106に順次出力する。
【0055】
なお、本実施の形態のA/D変換回路54には、信号検出回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号検出回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのA/D変換回路54を備えている。
【0056】
この信号検出回路105及び走査配線駆動回路104には、制御部106が接続されている。本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROMおよびRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。
【0057】
本実施の形態の制御部106は、信号検出回路105において変換されたデジタル信号に対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、放射線の照射開始を検出して、検出したタイミングに基づいて、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、走査配線駆動回路104に対して駆動信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する機能を有している。また、本実施の形態の制御部106は、放射線の照射開始を検出した後に、画素20Bから読み出された電気信号に基づいて、当該電気信号が、ノイズに起因するものか放射線の照射に起因するものかを判定する機能を有している。
【0058】
また、制御部106は、上記所定の処理が施された画像データに対して、各放射線検知用の画素20Bの画像データを補間する処理(補間処理)を行って、照射された放射線が示す画像を生成する。すなわち、制御部106は、各放射線検知用の画素20Bの画像データを、上記所定の処理が施された画像データに基づいて補間することで、照射された放射線が示す放射線画像を生成する。
【0059】
また、本実施の形態の放射線画像検出器100は、報知部108を備えている。報知部108は、制御部106がノイズに起因する電気信号であると判定した場合に、その旨を放射線画像の撮影を行うユーザに対して、報知する機能を有するものである。報知部108の構成は特に限定されないが、例えば、可視表示を行うためのLEDや音で報知するためのスピーカ等が挙げられる。
【0060】
本実施の形態の放射線画像検出器100は、上述した、放射線検出器10、A/D変換回路54、走査配線駆動回路104、制御部106、信号検出回路105、及びバイアス電源110等が筐体120内に収納されている。図3に、筐体120の外観を示す。図3(A)には、報知部108がLEDである場合の具体的一例を示し、(B)には、報知部108がスピーカである場合の具体的一例を示している。このように報知部108は、筐体120の、放射線が照射されない位置(例えば側面等)であり、かつ、ユーザが認識しやすい位置に設けられている。
【0061】
図4には、本実施形態に係る間接変換方式の放射線検出器10の構造を示す平面図が示されており、図5には、図4の放射線画像撮影用の画素20AのA−A線断面図が示されており、図6には、図4の放射線検知用の画素20BのB−B線断面図が示されている。
【0062】
図5に示すように、放射線検出器10の画素20Aは、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図4参照)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図4参照)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0063】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiNX 等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0064】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0065】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図4参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
【0066】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiNX 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0067】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0068】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0069】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極11は、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料、ITOなど導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0070】
一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光が吸収が十分でないため、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。
【0071】
下部電極11上には、フォトダイオードとして機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21A及びp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11及び後述する上部電極22とi層21Bをと電気的に接続する。
【0072】
各半導体層21上には、それぞれ個別に上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。本実施の形態に係る放射線検出器10では、上部電極22や半導体層21、下部電極11を含んでセンサ部103が構成されている。
【0073】
層間絶縁膜12、半導体層21及び上部電極22上には、上部電極22に対応する一部で開口27Aを持ち、各半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0074】
この層間絶縁膜23上には、バイアス線25がAl若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした合金あるいは積層膜で形成されている。バイアス線25は、開口27A付近にコンタクトパッド27が形成され、層間絶縁膜23の開口27Aを介して上部電極22と電気的に接続される。
【0075】
一方、図6に示すように、放射線検出器10の放射線検知用の画素20Bでは、ソース電極9とドレイン電極13とが接触するようにTFTスイッチ4が形成されている。すなわち、画素20Bでは、TFTスイッチ4のソースとドレインが短絡している。これにより、画素20Bでは、下部電極11に収集された電荷がTFTスイッチ4のスイッチング状態にかかわらず信号配線3に流れ出す。
【0076】
このように形成された放射線検出器10の表面には、シンチレータが備えられる。例えば、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、放射線検出器10の表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータが貼り付けられる。また例えば、放射線検出器10の表面にCsI等からなるシンチレータが直接蒸着される。なお、CsIは、支持体に蒸着した後に、放射線検出器10の表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いて貼り付けてもよい。
【0077】
次に、上記構成の放射線画像検出器100による放射線画像を撮影する際の動作の流れについて説明する。本実施の形態では、制御装置202からの指示に基づいて、制御部106の制御により放射線画像の撮影を行う。制御部106では、制御装置202から撮影指示を受け付けると、放射線画像撮影プログラムがCPUにより実行されることにより以下の処理が実行される。当該処理全体の流れの一例のフローチャートを図7に示す。なお、当該放射線画像撮影プログラムは、予め、放射線画像検出器100に記憶されていてもよいし、CD−ROMやUSB、制御装置202等の外部から供給されてもよい。
【0078】
制御装置202から撮影指示を受け付けると制御部106は、ステップ100で、信号検出回路105の増幅回路50のアンプ52の駆動を開始させ、連続的に駆動させる。これにより、制御部106は、放射線検知用画素20Bから信号配線3に出力された電気信号(デジタル信号に変換された値、以下、単に電気信号という)を取得する。
【0079】
次のステップ102では、取得した電気信号を予め定めた放射線の照射開始検出用の第一閾値と比較し、第一閾値以上となった否かにより放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。なお、制御部106による放射線の照射開始の検出は、放射線検知用の第一閾値以上となったか否かに限らず、例えば、第一閾値以上となった回数等、予め設定した条件に基づいて検出するようにしてもよい。電気信号が第一閾値未満である場合は、放射線の照射が開始されていないとして否定されて待機状態になる。一方、電気信号が第一閾値以上となった場合は、放射線の照射開始であるとし、肯定されてステップ103へ進む。
【0080】
ステップ103では、放射線画像の撮影を開始させるために、走査配線駆動回路104に、ゲートオフ信号(TFTスイッチ4のゲートをオフ状態にする信号)となる駆動信号を出力させるように指示する。これにより、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103では、放射線の照射に応じて発生した電荷の蓄積が開始される。一方、放射線検知用画素20Bでは、ゲートオフ信号にかかわらず、放射線の照射に応じて発生した電荷を信号配線3に出力する。
【0081】
次のステップ104では、制御部106は、放射線検知用画素20Bから信号配線3に出力された電気信号の経時変化の取得を開始し、次のステップ106では、経時変化を取得するために予め定められた所定時間が経過したか否か判断する。所定時間が経過していない場合は電気信号の経時変化の取得を続ける。一方、所定時間が経過した場合は電気信号の経時変化の取得を停止して、ステップ108へ進む。なお、当該所定時間は、予め実験等によりノイズの検出に適切な時間が予め定められている。
【0082】
ステップ108では、信号解析処理により、ノイズの有無、強度、及び発生期間を検出する。
【0083】
ここで本実施の形態の信号解析処理について説明する前にまず、放射線画像撮影装置201(放射線画像検出器100)において発生するノイズについて説明する。図8に、照射された放射線(放射線により発生した電気信号)の強度の時間変化の具体的一例を示す。一方、電気信号に現れるノイズには、大きくわけて、2種類のノイズが存在する。ノイズによる電気信号の波形が交流波(図9(A)参照)である交流ノイズと、ノイズによる電気信号の波形が矩形波(図9(B)参照)である矩形ノイズである。交流ノイズは、他の電子機器等から発生する交流ノイズや、信号配線3や放射線検出器10のケーブル配線等に衝撃が加わることで発生する衝撃ノイズが含まれる。図9(A)は、強度が弱く、発生期間が短い交流ノイズを示している。一方、矩形ノイズは、放射線画像検出器100のセンサ部103への圧力(圧電効果による電荷発生)や、センサ部103の温度上昇等の影響による暗電流の増加等により発生する矩形ノイズが含まれる。図9(B)は、強度が弱く、発生期間が短い矩形ノイズを示している。
【0084】
以下では、具体的一例として、発生するノイズが交流ノイズである場合について詳細に説明するが、矩形ノイズにおいても同様であることはいうまでもない。
【0085】
本実施の形態の信号解析処理の流れの具体的一例のフローチャートを図10に示す。
【0086】
ステップ200では、電気信号の時間変化に対して微分処理を行う。なお、当該微分処理は、一般的な微分処理を行えばよい。具体的一例として、図11には、微分処理を行う前の電気信号の強度の時間変化のプロファイルを示す。図11(A)には、ノイズが含まれていない、放射線の照射により発生した電荷のみに基づく電気信号の強度の時間変化を示す。また、図11(B)には、強度が強く、かつ発生期間が短い交流ノイズが発生した場合に、図11(A)に示した電気信号に交流ノイズに起因する電気信号が加算された場合を示す。さらに、図11(C)には、強度が強く、かつ発生期間が長い交流ノイズが発生した場合に、図11(A)に示した電気信号に交流ノイズに起因する電気信号が加算された場合を示す。
【0087】
また、具体的一例として、図12には、図11に示した電気信号の経時変化を微分処理した電気信号の強度の時間変化のプロファイルを示す。図12(A)は、図11(A)に対応している。また、図12(B)は、図11(B)に対応している。さらに、図12(C)は、図11(C)に対応している。
【0088】
本実施の形態では、ノイズの有無検出用の第二閾値、及びノイズの強度検出用の第三閾値が予め定められている。ステップ202では、微分処理した電気信号(以下、微分処理前のものと区別する必要がない場合は、単に電気信号という)の強度が第二閾値以下であるか否かを判断し、さらに次のステップ204では、電気信号の強度が第三閾値以下であるか否かを判断する。なお、第二閾値及び第三閾値は、正・負の両方の値が設定されており、微分処理した電気信号の強度が正・負の両方の値に到達した場合に、第二閾値または第三閾値を越えたと判断している。また、本実施の形態では、第二閾値<第三閾値としている。
【0089】
本実施の形態の信号解析におけるノイズの判定の具体的一例を図13に示す。本実施の形態では、電気信号の強度が第二閾値以下の場合は、ノイズが発生していないことを検出する。一方、電気信号の強度が第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したこと検出する。さらに、ノイズの発生を検出した(電気信号の強度が第二閾値を越えた)場合に、第三閾値以下である場合は、発生したノイズの強度が弱いことを検出する。一方、第三閾値を越えた場合は、発生したノイズの強度が強いことを検出する。
【0090】
また、本実施の形態の信号解析では、予め定められた単位時間内において、電気信号の強度が第三閾値を越えた回数に基づいて、ノイズの発生期間を検出する。本実施の形態では、電気信号の強度が第三閾値を越えた回数がn回未満の場合は、ノイズの発生期間が短いことを検出する。一方、電気信号の強度が第三閾値を越えた回数がn回以上の場合は、ノイズの発生期間が長いことを検出する。なお、上述の単位時間及び「n」は、実験等により予め得ておけばよい。なお、本実施の形態では、第三閾値を越えた回数によりノイズの発生期間の長短を検出しているがこれに限らず、例えば、第二閾値を越えた回数により検出するようにしてもよい。
【0091】
上述のステップ202で、電気信号が第二閾値以下である場合は、ノイズが発生していないことを検出したため、肯定されて本処理を終了する。一方、電気信号が第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したことを検出したため、否定されて、ステップ204へ進む。ステップ204では、電気信号が第三閾値以下である場合は、肯定されてステップ206へ進み、ノイズの強度が弱い、弱いノイズであることを検出して信号解析処理を終了する。一方、電気信号が第三閾値を越えた場合は、否定されてステップ208へ進み、ノイズの強度が強い、強いノイズであることを検出した後、ステップ210へ進む。
【0092】
ステップ210では、電気信号が第三閾値以上になった回数が上述のn回以上であるか否かを判断する。n回以上である場合は、肯定されてステップ212へ進み、ノイズの発生期間が長いことを検出して信号解析処理を終了する。一方、n回未満である場合は、否定されてステップ214へ進み、ノイズの発生期間が短いことを検出して信号解析処理を終了する。
【0093】
このようにして、信号解析処理(図7、ステップ108)が終了すると放射線画像検出器100の制御部106では、ステップ110へ進む。ステップ110では、信号解析処理の結果に基づいて、放射線画像を表示させるか否かを判断する。なお、本実施の形態では、撮影された放射線画像は、制御部106から制御装置202へ出力され、制御装置202の表示部212に表示される。そのため、本実施の形態では、放射線画像を表示させないと判断した場合は、制御部106から制御装置202へ放射線画像が出力されない。
【0094】
本実施の形態では、ノイズの発生を検出し、さらに、発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長いことを検出した場合は、放射線画像を表示させないようにしている。そのため、信号解析処理により、発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長いことを検出した場合は、否定されてステップ112へ進む。ステップ112では、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズが発生したことを報知部108により、放射線画像を撮影するユーザに対して報知する。具体的一例として、本実施の形態では、報知部108がLEDにより構成されている場合(図3(A)参照)は、0.2秒間隔で点滅させて、ユーザに対して報知することにより強い警告を与える。また、報知部108がLED及びスピーカにより構成されている場合は、LEDを0.1秒間隔で点滅させると共に、スピーカにより警告音を発生させてユーザに対して報知することにより強い警告を与えるようにしてもよい。なお、報知する方法は、これに限らず、後述する、弱いノイズや、発生期間の短いノイズの場合と区別できるものであれば特に限定されない。また、放射線画像検出器100の報知部108に代わり、制御装置202の表示部212や報知部213等を用いてもよいし、放射線画像検出器100及び制御装置202の両方を用いるようにしてもよい。また、本実施の形態では、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズの場合は、放射線画像を表示(出力)させないため、制御装置202の表示部212に、その旨を表示させ、再撮影をユーザに促す旨を表示させるとよい。
【0095】
上述のように報知されることにより、ユーザは、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズの発生を認識できるため、放射線画像の撮影を停止し、適切に再撮影を行うことができる。具体的一例として、被検体206のポジショニングを解き、ノイズ源を確認して取り除いた後、被検体206を再度ポジショニングし、制御装置202に放射線画像の撮影を指示する。また、上述の報知によりユーザはノイズの発生を認識できたため、放射線画像が表示されないことに違和感を覚えることなく、再撮影を行うことができる。
【0096】
なお、このように強度が強く、かつ発生期間が長いノイズの発生した場合は、制御装置202を介して、放射線照射装置204に放射線の照射を停止させるように指示してもよい。このようにすることにより、被検体206の被曝量を低減させることができる。
【0097】
ユーザに報知を行った後のステップ114では、制御部106は、ゲートオン信号(TFTスイッチ4のゲートをオン状態にする信号)となる駆動信号を出力させるように指示して、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に蓄積された電荷をリセットさせた後、本処理を終了する。本実施の形態では、放射線画像の生成そのものを行わないため、このように放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷をリセットし、再撮影に備える。なお、ここでは、放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷をリセットするためにゲートオン信号を出力させるため、全ての放射線画像撮影用画素20A(走査配線101)に対して同時にオン信号を出力するようにすればよい。また、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に蓄積された電荷をリセットさせた後、ステップ100のアンプ52を連続的に駆動させた状態に戻るようにしてもよい。
【0098】
一方、ノイズが発生していない場合、及びノイズが発生していていも強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方である場合は、放射線画像を表示(撮影)させるため、ステップ110で肯定されてステップ116へ進む。ステップ116では、ノイズが発生していたかを判断し、ノイズが発生していなかった場合は、否定されてステップ120へ進む。一方、強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方が発生していた場合は、肯定されてステップ118へ進み、強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方が発生したことを報知部108により、放射線画像を撮影するユーザに対して報知する。具体的一例として、本実施の形態では、報知部108がLEDにより構成されている場合(図3(A)参照)は、0.5秒間隔で点滅させて、ユーザに対して報知することにより警告を与える。また、報知部108がLED及びスピーカにより構成されている場合は、スピーカにより警告音0.5秒間隔で発生させてユーザに対して報知することにより警告を与えるようにしてもよい。なお、報知する方法は、これに限らず、上述した、強度が強くかつ発生期間が長いノイズの場合と区別できるものであれば特に限定されない。また、上述と同様に、放射線画像検出器100の報知部108に代わり、制御装置202の表示部212や報知部213等を用いてもよいし、放射線画像検出器100及び制御装置202の両方を用いるようにしてもよい。
【0099】
このように、報知されることにより、ユーザは、強度が弱いノイズ、及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方が発生したことを放射線画像が表示される前に認識できるため、放射線画像が異常画像である場合に行う再撮影に備えることができる。具体的一例として、放射線画像の撮影後も被検体206のポジショニングをそのままに、被検体206に身体を動かさないよう指示し、表示された放射線画像を確認後に、すぐに再撮影を行うことができる。なお、確認した際に、放射線画像に現れた異常の程度が低く、例えば、所望の範囲外でおきた経度の画像ムラ等の場合は、再撮影を行わないようにしてもよい。
【0100】
次のステップ120では、放射線画像の撮影のために予め定められた電荷の蓄積時間が経過したか否か判断する。経過していない場合は、否定されて待機状態になる。一方、経過した場合は、肯定されてステップ122へ進む。ステップ122では、画素20(放射線画像撮影用画素20A)毎に、電気信号を取得する必要があるため、制御部106は、ゲートオン信号(TFTスイッチ4のゲートをオン状態にする信号)となる駆動信号を走査配線101毎に順次出力させるように指示して、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に蓄積された電荷に応じた電気信号を取得する。また、制御部106は、取得した電気信号に基づいて、放射線画像を生成する。次のステップ124では、生成した放射線画像を出力し、表示させるよう制御装置202に出力した後、本処理を終了する。
【0101】
以上説明したように、本実施の形態の放射線画像撮影装置201では、放射線画像の撮影が指示されると、放射線画像検出器100の制御部106で、放射線検知用画素20Bから出力された電荷に応じた電気信号と、第一閾値とを比較して、第一閾値を越えた場合は、放射線の照射が開始されたことを検出する。放射線の照射が開始されると、制御部106は、放射線画像撮影用画素20Aのセンサ部103に電荷を蓄積させるよう制御すると共に、放射線検知用画素20Bから出力された電荷に応じた電気信号の経時変化を取得する。さらに、制御部106は、取得した電気信号の経時変化を信号解析により微分処理して、第二閾値を越えた場合は、ノイズが発生したことを検出する。さらに、第三閾値を越えた場合は、発生したノイズの強度が強いことを検出する。またさらに、第三閾値を越えた回数がn回以上である場合に、ノイズの発生期間が長いことを検出する。発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、報知部108によりユーザに報知すると共に、放射線画像の生成及び表示(出力)を行わない。一方、強度が弱いノイズ及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方である場合は、報知部108によりユーザに報知し、さらに、放射線画像を生成して、制御装置202の表示部212に表示させる。
【0102】
従って、本実施の形態の放射線画像撮影装置201では、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる。
【0103】
ここで、比較例として、上述した制御部106で行われる取得した電気信号の信号解析処理を行わず、すなわち、ノイズの有無の検出を行わず、さらに、報知部108を備えない放射線画像撮影装置により放射線画像の撮影を行った。この場合、上述した本実施の形態と異なり、ユーザは、放射線画像の撮影中にノイズが発生したことを、放射線画像が表示されるまで、認識することができないため、再度、被検体206のポジショニングからやりなおして再撮影を行わなければならなかった。また比較例として、上述した制御部106で行われる取得した電気信号の信号解析処理を行う(ノイズの有無の検出を行う)ものの、報知部108を備えない放射線画像撮影装置により放射線画像の撮影を行った。この場合、ユーザは、発生したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、放射線画像が表示されず、放射線画像撮影装置の故障と勘違いする場合があり、別の放射線画像撮影装置で再撮影を行う等の問題が生じた。また、強度が弱いノイズ及び発生期間が短いノイズの少なくとも一方である場合は、ユーザは、ノイズが発生したことを放射線画像が表示されるまで、認識することができないため、再度、被検体206のポジショニングからやりなおして再撮影を行わなければならなかった。
【0104】
一方、本実施の形態では、上述のように、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができるため、ユーザの負荷を軽減することができる。また、再撮影を行う場合は、速やかに再撮影を行うことができる。またさらに、放射線画像にノイズにより異常が発生しているか否かを認識することができるため、誤診の可能性を抑制することができる。
【0105】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0106】
本実施の形態の画素20及び放射線画像検出器100は、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、上述の信号解析処理(図10参照)の一部が異なるため異なる処理のみここでは説明する。
【0107】
本実施の形態の信号解析処理の一例のフローチャートを図14に示す。本実施の形態では、第1の実施の形態で行った微分処理に代わり、電気信号の時間変化の移動平均の差分を用いている。そのため、ステップ300では、電気信号の時間変化を移動平均する。さらに次のステップ301では、移動平均を現時点での電気信号から減算し、差分を算出する。具体的一例として、図15には、図11に示した電気信号の経時変化の移動平均の差分の強度の時間変化のプロファイルを示す。図15(A)は、図11(A)に対応している。また、図15(B)は、図11(B)に対応している。さらに、図15(C)は、図11(C)に対応している。
【0108】
次のステップ302は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ202(図10参照)に対応しており、差分と第二閾値とを比較する。また、次のステップ304は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ204(図10参照)に対応しており、差分と第三閾値とを比較する。以下、本実施の形態の信号解析処理のステップ306〜ステップ314は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ206〜ステップ214にそれぞれ対応しており、同様の処理を行う。
【0109】
このように、本実施の形態では、電気信号の時間変化の移動平均の差分を用いてノイズの発生の有無、強度、及び発生期間を検出するため、第1の実施の形態と同様に、本実施の形態の放射線画像撮影装置201では、放射線画像の撮影の際にノイズの有無を適切に検出して報知することができる。
【0110】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態において、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。第1の実施の形態では、制御部106が各放射線検知用画素20Bから各信号配線3に出力された電気信号を一括して、一つの電気信号として取得しているが、本実施の形態の放射線画像検出器100は、各信号配線3(各増幅回路50)毎に出力された電気信号を取得し、取得した各電気信号に対してノイズの有無を検出して報知するものとして構成している。
【0111】
本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図16に示す。本実施の形態では、各信号配線3毎に、放射線検知用画素20Bが設けられている場合の放射線画像検出器100の一例を示している。また、各信号配線3(D1〜D4)毎に出力された電気信号を区別するため、各々に接続されている信号検出回路105の増幅回路50等を区別する際は、図16に示すように増幅回路501〜504のように、個々を区別するための番号を付し、総称する場合は、単に増幅回路50という。
【0112】
本実施の形態の放射線画像検出器100における放射線画像の撮影処理全体の流れの一例のフローチャートを図17に示す。なお、本処理は、第1の実施の形態の放射線画像検出器100における撮影処理全体(図7)と略同様のステップ(処理)を含んでいるため、略同様のステップ(処理)についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0113】
本実施の形態の撮影処理のステップ400〜ステップ403は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ100〜ステップ103(図7参照)にそれぞれ対応している。放射線画像の撮影を指示されると、増幅回路50のアンプ52の駆動を開始させ、取得した電気信号が第1閾値以上である場合は、放射線の照射が開始したと判断し、走査配線駆動回路104にゲートオフ信号を出力し、放射線画像撮影用画素20Aに電荷の蓄積を開始させる。
【0114】
次のステップ404では、第1の実施の形態の撮影処理のステップ104に対応しており、各信号配線3(増幅回路50)に、放射線検知用画素20Bから出力された電気信号の経時変化の取得を開始する。具体的に本実施の形態では、信号配線3(D1)に出力された電気信号を増幅回路501から取得する。同様に、信号配線3(D2)に出力された電気信号を増幅回路502から取得し、信号配線3(D3)に出力された電気信号を増幅回路503から取得し、信号配線3(D4)に出力された電気信号を増幅回路504から取得する。
【0115】
次のステップ406は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ106に対応しており、所定時間が経過したか否か判断し、経過していない場合は各信号配線3毎に電気信号の経時変化を取得し続ける。一方、所定時間が経過した場合は、電気信号の経時変化の取得を停止して、ステップ408へ進む。
【0116】
ステップ408は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ108に対応しており、信号解析処理により、各信号配線3(信号配線3が対応する領域)毎に、ノイズの有無、強度、及び発生期間を検出する。本実施の形態の信号解析処理の流れの具体的一例のフローチャートを図18に示す。なお、本信号解析処理は、第1の実施の形態の信号解析処理(図10参照)に対応しており、電気信号の時間変化に対して微分処理を行う場合について示しているが、第2の実施の形態の信号解析処理(図14参照)のように、電気信号の時間変化の移動平均の差分を用いるようにしてもよい。
【0117】
本実施の形態の信号解析処理のステップ500〜ステップ514は、ステップ500で、各信号配線3毎に電気信号の時間変化を微分処理している他は、第1の実施の形態の信号解析処理のステップ200〜ステップ214にそれぞれ対応した処理を行っている。1つの信号配線3の電気信号の時間変化を微分処理し、微分処理した電気信号(以下、単に電気信号という)の強度が第二閾値以下の場合は、ノイズが発生していないと判定してステップ515に進む。一方、第二閾値を超える場合は、ノイズが発生しているため、電気信号の強度を第三閾値と比較し、第三閾値以下の場合は、強度が弱いノイズと判定してステップ515へ進む。一方、第三閾値を超える場合は、強いノイズ判定し、さらにn回以上発生した場合は、発生期間が長いと判定し、n回未満の場合は、発生期間が短いと判定してステップ515へ進む。
【0118】
ステップ515では、各信号配線3毎に、ノイズの有無、強弱、及び発生期間の長短を記憶する。なお、本実施の形態では、各信号配線3毎に対応する領域(信号配線3に電気信号が出力される画素20により定められる領域)毎に、検出したノイズの有無、強弱、及び発生期間の長短を記憶する。
【0119】
次のステップ516では、全信号配線3について、ノイズの有無、強弱、及び発生期間の長短の検出及び記憶を終了したか否か判断する。終了していない場合は否定されてステップ500に戻り、本信号解析処理を繰り返す。一方、終了した場合は肯定されて本信号解析処理を終了する。
【0120】
このようにして信号解析処理が終了すると放射線画像検出器100の制御部106では、ステップ410へ進む。本実施の形態の撮影処理のステップ410では、上述の信号解析処理の処理結果に基づいて、強度が強くて、発生期間が長いノイズが発生した領域が有るか否かを判断する。強度が強く、かつ発生期間が長いノイズが発生した領域が無い場合は、否定され、放射線画像を表示させると判断してステップ416へ進む。一方、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズが発生した領域が有る場合は、肯定されてステップ411へ進む。
【0121】
ステップ411では、発生した領域の数が第四閾値以上で有るか否かを判断する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、検出したノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合は、放射線画像を表示させないように制御していたが、本実施の形態では、ノイズの強度が強く、かつ発生期間が長い場合であっても、発生した領域の数が少ない場合は、放射線画像を表示させるように制御する。そのため、本実施の形態の放射線画像検出器100では、画像表示の有無判断用の第四閾値が予め定められている。なお、第四閾値は、ノイズが視認しづらい領域数、視認しても支障が出づらい領域数等を予め実験等により得ておき、これに基づいて定めるようにしてもよいし、ユーザが設定するようにしてもよい。
【0122】
ステップ411で、領域数が第四閾値未満の場合は、否定されて放射線画像を表示させると判断してステップ416へ進む。一方、領域数が第四閾値以上の場合は、肯定されて放射線画像を表示させないと判断してステップ412へ進む。
【0123】
ステップ412は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ112に対応しており、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出したことを報知部108により、ユーザに報知する。なお、ユーザに報知する方法は、第1の実施の形態と同様に報知するようにしてもよいが、ノイズを検出した領域を示すように報知することが好ましい。本実施の形態の放射線画像検出器100では、ノイズを検出した領域を示すように報知できるように報知部108を設けている。図19に、本実施の形態の放射線画像検出器100(筐体120)の外観の一例を示す。なお、図19(A)は、報知部108がLEDである場合を示しており、第1の実施の形態の図3(A)に対応している。また、図19(B)は、報知部108がスピーカである場合を示しており、第1の実施の形態の図3(B)に対応している。図19に示すように、本実施の形態では、各領域に対応する位置に報知部108を設けておき、ノイズを検出した領域の位置に対応する報知部108を用いて、第1の実施の形態と同様にして、検出したノイズに関する報知をユーザに対して行う。図19に示した放射線画像検出器100(筐体120)では、報知部1081が信号配線3(D1)に応じた領域に対応し、報知部1082が信号配線3(D2)に応じた領域に対応し、報知部1083が信号配線3(D3)に応じた領域に対応し、報知部1084が信号配線3(D41)に応じた領域にそれぞれ対応している。例えば、信号配線3(D1)に出力された電気信号及び信号配線3(D2)に出力された電気信号に、強度が強く、発生期間が長いノイズが発生したことを検出した場合は、報知部1081及び報知部1082により、強度が強く、発生期間が長いノイズを検出したことを示すよう報知する。
【0124】
次のステップ414は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ114に対応しており、制御部106は、ゲートオン信号となる駆動信号を出力させるように指示して、放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷をリセットさせた後、本処理を終了する。
【0125】
一方、放射線画像を表示させると判断した場合のステップ416〜ステップ424は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ116〜ステップ124にそれぞれ対応している。ノイズを検出した領域が有るか否かを判断し、ノイズを検出した領域が有る場合は、ノイズの検出及び検出した領域を報知する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に検出したノイズの種類(強度、長さ)に応じた報知を行うようにしている。また、上述のステップ412と同様に、検出した領域を示すよう報知する。
【0126】
放射線画像の撮影のための電荷の蓄積時間が経過すると、ゲートオン信号となる駆動信号を走査配線101毎に順次出力させるように指示し、放射線画像撮影用画素20Aに蓄積された電荷に応じた電気信号を取得し、取得した電気信号に基づいて放射線画像を生成する。本実施の形態のステップ424では、生成した放射線画像を制御装置202に出力すると共に、ノイズを検出した領域(ユーザに警告するためのアラーム領域)を示す情報を制御装置202に出力する。さらに、放射線画像及びアラーム領域に関する情報を表示させるよう制御装置202に出力した後、本処理を終了する。
【0127】
本実施の形態の制御装置202では、このようにして放射線画像検出器100から出力された放射線画像及びアラーム領域に関する情報の表示の指示に基づいて、放射線画像を表示させる。図20に、本実施の形態の制御装置202で実行される放射線画像の画像表示処理の一例のフローチャートを示す。なお、本実施の形態では、放射線画像の撮影が指示されると、制御装置202の制御部210において本処理が実行される。
【0128】
ステップ600では、放射線画像(放射線画像を示す電気信号)が入力されたか否か判断する。まだ入力されていない場合は、否定されて待機状態になる。一方、上述の撮影処理のステップ424により、放射線画像が入力された場合は、肯定されてステップ602へ進む。ステップ602では、入力された放射線画像を表示部212に表示させる。本実施の形態における放射線画像の表示の具体的一例を図21に示す。図21に示すように、本実施の形態では、表示部212には、放射線画像60と、アラーム領域を示すアラーム領域表示部62(621〜624)と、ユーザが表示されている放射線画像に対して画像処理の実行を指示するための指示部64と、指示部66と、を表示させている。
【0129】
放射線画像60は、放射線画像検出器100から入力された放射線画像に対応している。図21では、ノイズNが含まれる放射線画像60が表示された場合を示している。アラーム領域表示部62は、入力されたアラーム領域の位置をユーザに認識可能に表示させることができれば、特に限定されない。本実施の形態では、具体的一例として、図21に示すように、各領域に対応してアラーム領域表示部621〜アラーム領域表示部624が設けられており、アラーム領域が点灯または点滅するように構成している。図21では、信号配線3(D2)に対応する領域のノイズ(ノイズN参照)を検出発生したためアラーム領域となっており、アラーム領域表示部622を点灯させた場合を示している。
【0130】
指示部64は、表示されている放射線画像60に対してノイズNを除去するための画像処理を実行(詳細後述)するようにユーザが指示する場合に用いられる。また、指示部66は、ユーザが放射線画像60の表示の終了を指示する場合に用いられる。
【0131】
放射線画像60を表示させると次のステップ604では、アラーム領域が有るか否かを判断する。無い場合は、否定されてステップ614へ進む。一方、アラーム領域が有る場合は、肯定されてステップ606へ進む、ステップ606では、アラーム領域表示部62により、アラーム領域を表示させる(図21参照)。
【0132】
次のステップ608では、ノイズNを除去するための画像処理を実行するか否か判断する。指示部64を介してユーザから画像処理の実行を指示されていない場合は、否定されてステップ614へ進む。一方、画像処理の実行を指示された場合は、肯定されてステップ610へ進む。ステップ610では、放射線画像60(放射線画像60に対応する画像情報)に対して、ノイズNを除去するための画像処理を実行する。なお、当該画像処理は特に限定されず、予め実験等により、ノイズNを除去するのに適切なフィルタ処理等を定めておけばよい。次のステップ612では、画像処理後の放射線画像60を表示部212に表示させる。
【0133】
次のステップ614では、放射線画像60の表示を終了するか否か判断する。指示部66を介してユーザから終了を指示されていない場合は、否定されてステップ608へ進み、本処理を繰り返す。一方、終了を指示された場合は、肯定されてステップ616へ進む。ステップ616では、放射線画像60(放射線画像60に対応する画像情報)と、アラーム領域に関する情報とを対応づけて記憶させた後、本処理を終了する。なお、記憶させる放射線画像60は、ステップ610の画像処理前のものであってもよいし、画像処理後のものでもよい。また、記憶させる場所は、制御装置202内の図示を省略したメモリ等の記憶部であってもよいし、制御装置202(放射線画像撮影装置201)外部の記憶部であってもよい。
【0134】
このように本実施の形態では、制御部106が、各信号配線3(各増幅回路50)毎に出力された電気信号を取得し、取得した各電気信号に対してノイズの有無、強度、及び発生期間の長さを検出しているため、ユーザに対して、ノイズを検出した位置(領域)を認識させることができる。また、本実施の形態では、ノイズを検出した領域の数に応じて放射線画像60を表示させており、領域の数が少ない場合は、放射線画像60を表示させる。検出した領域の数が少ない場合は、再撮影を行うよりも放射線画像60の表示を優先させ、放射線画像60をユーザに確認させることができるため、再撮影の負荷を軽減することができる。
【0135】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形は、第3の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。第3の実施の形態では、ノイズを検出した領域(アラーム領域)の数が少ない場合は、放射線画像60を表示させるように制御しているが、本実施の形態の放射線画像検出器100では、アラーム領域の位置に応じて、放射線画像60を表示させるように制御するものとして構成している。
【0136】
本実施の形態の放射線画像検出器100における放射線画像の撮影処理全体の流れの一例のフローチャートを図22に示す。なお、本処理は、第3の実施の形態の放射線画像検出器100における撮影処理全体(図17)と略同様のステップ(処理)を含んでいるため、略同様のステップ(処理)についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。
【0137】
本実施の形態の撮影処理のステップ700〜ステップ724は、第3の実施の形態の撮影処理のステップ400〜ステップ424(図17参照)にそれぞれ対応している。本実施の形態では、ステップ711の処理が第3の実施の形態の撮影処理のステップ411と異なるため、当該処理について詳細に説明する。
【0138】
ステップ710で強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出した領域が有ると判断した場合のステップ711では、ノイズを検出した領域の位置が放射線画像60の中央であるか否か判断する。本実施の形態で放射線画像60の中央とは、放射線画像60に応じた領域、または、ユーザにより設定された領域により予め定められている。一般に、ユーザが観察等を行いたい関心領域等の重要な画像は、放射線画像60の中央付近に表示される。一方、放射線画像60の周辺は、重要な画像が表示される場合が少なく、当該周辺となる領域にノイズが発生していても問題とならない場合が多い。そのため、本実施の形態では、このように重要な画像が表示される放射線画像60の中央を予め実験等により得ておくか、またはユーザにより設定しておく。放射線画像60の中央に強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出した場合は、当該放射線画像60を表示させないよう制御する。一方、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズであっても、周辺(中央を除いた領域)に発生した場合は、ノイズを検出したことを報知してユーザに警告すると共に、放射線画像60の表示を行うように制御する。
【0139】
なお、ユーザが上述した放射線画像60の中央を設定する場合は、例えば、図21に示したアラーム領域表示部62と共に、各アラーム領域に対応して指示部を設けて、ノイズが発生していてもよい位置、またはノイズが発生していてはいけない位置をユーザが指示可能に構成するとよい。なお、本実施の形態では、説明の便宜上「中央」としているが、ユーザが放射線画像60の全領域(具体的には、全アラーム領域)を設定し、ノイズが発生している領域の位置にかかわらず、放射線画像60を表示させるように設定できることはいうまでもない。救急用等、緊急で放射線画像60の表示が必要な場合は、このように、ノイズの種類や位置等にかかわらず、放射線画像60の表示を優先させることが好ましい。
【0140】
ステップ711でノイズが発生した領域の位置が放射線画像60の中央であると判断した場合は、ステップ712へ進み、放射線画像60を表示させないと判断したステップ712以降の処理を行う。一方、中央ではないと判断した場合は、ステップ716へ進み、放射線画像60を表示させると判断したステップ716以降の処理を行う。放射線画像60を表示させる場合は、第3の実施の形態と同様に、検出したノイズの種類(強弱、長さ)、及びアラーム領域をユーザが認識可能となるように放射線画像60を制御装置202の表示部212に表示させるよう指示した後、本処理を終了する。
【0141】
このように本実施の形態では、制御部106が、強度が強く、かつ発生期間が長いノイズを検出した場合は、ノイズを検出した領域の位置に応じて放射線画像60を表示させるよう制御するため、ノイズを検出した領域が重要な画像が表示される領域ではない場合、放射線画像60の表示を優先させることができる。また、ユーザに対して、ノイズを検出した位置(領域)を認識させることができる。さらに本実施の形態では、ノイズの検出に関わらず、放射線画像60の表示を優先させることができる。
【0142】
なお、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態を組み合わせて、強度が強くかつ発生期間が長いノイズが発生した領域の数及び位置に応じて放射線画像60を表示させるか否か制御するようにしてもよい。また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態と同様にして、検出したノイズの強度が弱い場合や、発生期間が短い場合であっても、領域の数及び位置に応じて放射線画像60を表示させるか否か制御するようにしてもよい。
【0143】
また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、各信号配線3(増幅回路50)毎に、電気信号の経時変化を取得していたがこれに限らず、複数(所定数)の信号配線3(増幅回路50)毎に、電気信号の経時変化を取得し、複数の信号配線3に対応する領域に対して、上述の制御処理を行うようにしてもよい。
【0144】
また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態の放射線画像検出器100では、図16に示したように、各信号配線3毎に放射線検知用画素20Bが設けられていたが、第1の実施の形態の放射線画像検出器100(図2参照)のように、一部の信号配線3に放射線検知用画素20Bが設けられている場合であっても、放射線検知用画素20Bが設けられた信号配線3毎に、上述の制御処理を行うようにすればよい。
【0145】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態において、上述の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、放射線の照射開始の検出方法が上述の実施の形態と異なるため、放射線の照射開始の検出方法について説明する。
【0146】
本実施の形態の放射線画像検出器100では、バイアス線25に流れる電荷を検出器70で検出し、検出した電荷と閾値とに基づいて、放射線の照射開始を制御部106で検出する。本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図23に示す。また、本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成のその他の一例を示す構成図を図24に示す。図23に示した放射線画像検出器100では、バイアス線25のうち、バイアス線25Aに検出器70が接続されており、バイアス線25Aに流れる電荷を検出器70で検出し、制御部106が検出した電荷と閾値とに基づいて放射線の照射開始を検出する。一方、図24に示した放射線画像検出器100では、各バイアス線25毎に検出器70(701〜704)が設けられており、各バイアス線25に流れる電荷を各検出器70で検出し、制御部106が検出した電荷と閾値とに基づいて放射線の照射開始を検出する。なお、図24に示した放射線画像検出器100のように、各バイアス線25毎に、検出器70を設ける方が、各領域に応じて判断を行うことができ検出精度が向上するため、好ましい。
【0147】
本実施の形態の放射線の照射開始の検出方法について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の撮影処理における、放射線の照射開始を検出するためのステップ100及びステップ102(図7参照)の処理以外は、略同様の処理を行うため説明を省略する。
【0148】
本実施の形態の放射線の照射開始検出処理の一例のフローチャートを図25に示す。
【0149】
ステップ800では、全ての走査配線101にゲートオフ信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。これにより、走査配線駆動回路104から各画素20にゲートオフ信号が出力され、全画素20のTFTスイッチ4がオフ状態になる。
【0150】
次のステップ802では、検出器70でバイアス線25を流れる電気信号(電荷)を検出し、次のステップ804では、検出した電気信号が第五閾値以上であるか否かを判断する。なお、第五閾値は、予め実験等により、放射線の照射開始用の閾値として得ておけばよい。また、放射線画像検出器100が図24に示すように、バイアス線25毎に検出器70が設けられている場合は、所定数以上の検出器70で検出した電気信号が第五閾値以上となったか否かを判断してもよいし、全ての検出器70で検出した電気信号が第五閾値以上となったか否かを判断してもよい。いずれとするかは放射線画像検出器100の使用や撮影に応じて予め定めておけばよく、特に限定されない。
【0151】
電気信号が第五閾値未満の場合は、否定されてステップ806へ進む。ステップ806では、電荷リセットのための所定時間が経過したか否か判断する。本実施の形態の場合、ゲートオフ信号により、TFTスイッチ4がオフ状態であるため、全画素20に電荷が蓄積された状態にある。蓄積された電荷をリセットしないと、ノイズに起因する電気信号の増加や、ダイナミックレンジが小さくなり、放射線画像の画質が低下する。そのため、本実施の形態では、所定時間毎に、画素20に蓄積された電荷をリセットするように制御している。なお、当該所定時間は、放射線画像検出器100や画素20に応じて、予め実験等により得ておけばよい。
【0152】
所定時間が経過していない場合は、否定されてステップ802へ戻り本処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合は、肯定されてステップ808へ進む。ステップ808では、一旦、検出器70による放射線の照射開始の検出動作を中断し、全ての走査配線101にゲートオン信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。当該指示により、全画素20に蓄積された電荷をリセットさせるよう駆動させる。電荷のリセット後、ステップ800に戻り、再び、放射線の照射開始の検出動作を開始させる。
【0153】
一方、ステップ804で電気信号が第五閾値以上である場合は、肯定されてステップ810へ進み、放射線の照射開始を検出し、本処理を終了する。
【0154】
このように本実施の形態では、走査配線101にゲートオフ信号を出力した状態で、バイアス線25に流れる電荷(電気信号)を検出器70で検出し、電気信号と第五閾値とを比較して第五閾値以上の場合に、放射線の照射開始を検出する。これにより、走査配線101にゲートオン信号を出力(TFTスイッチ4のオン動作)に起因するノイズ(例えば、フィードスルーノイズ)が発生しないため、S/N比を向上させることができる。
【0155】
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態において、上述の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、放射線の照射開始の検出方法が上述の実施の形態と異なるため、放射線の照射開始の検出方法について説明する。
【0156】
本実施の形態の放射線画像検出器100では、画素20からリークする電流(電荷)と、閾値とに基づいて、放射線の照射開始を制御部106で検出する。本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図26に示す。
【0157】
本実施の形態の放射線の照射開始の検出方法について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の撮影処理における、放射線の照射開始を検出するためのステップ100及びステップ102(図7参照)の処理以外は、略同様の処理を行うため説明を省略する。
【0158】
本実施の形態の照射開始検出処理の一例のフローチャートを図27に示す。
【0159】
ステップ900では、第5の実施の形態の放射線の照射開始検出処理と同様に、全ての走査配線101にゲートオフ信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。当該指示により、走査配線駆動回路104から各画素20にゲートオフ信号が出力され、全画素20のTFTスイッチ4がオフ状態になる。
【0160】
次のステップ902では、信号検出回路105の増幅回路50(アンプ52)の駆動を開始させ、連続的に駆動させる。画素20のTFTスイッチ4がオフ状態であっても、放射線の照射に応じて、リーク電流が発生し、各信号配線3には、リーク電流に応じた電荷(電気信号)が流れ、増幅回路50(アンプ52)によりサンプリングされる。次のステップ904では、制御部106が、増幅回路50によりサンプリングされた電荷に応じた電気信号を第六閾値以と比較し、第六閾値以上となった否かにより放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。なお、第六閾値は、予め実験等により、放射線の照射開始用の閾値として得ておけばよい。
【0161】
電気信号が第六閾値未満の場合は、否定されてステップ906へ進む。ステップ906では、電荷リセットのための所定時間が経過したか否か判断する。本実施の形態の場合、第5の実施の形態と同様に、ゲートオフ信号により、TFTスイッチ4がオフ状態であるため、全画素20に電荷が蓄積された状態にある。そのため、蓄積された電荷をリセットしないと、ノイズに起因する電気信号の増加や、ダイナミックレンジが小さくなることにより、放射線画像の画質が低下する。そのため、本実施の形態では、所定時間毎に、画素20に蓄積された電荷をリセットするように制御している。なお、当該所定時間(一般的に、第5の実施の形態の「所定時間」と異なる)は、放射線画像検出器100や画素20に応じて、予め実験等により得ておけばよい。
【0162】
所定時間が経過していない場合は、否定されてステップ904へ戻り本処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合は、肯定されてステップ908へ進む。ステップ908では、一旦、検出器70による放射線の照射開始の検出動作を中断し、全ての走査配線101にゲートオン信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。当該指示により、全画素20に蓄積された電荷をリセットさせるよう駆動させる。電荷のリセット後、ステップ900に戻り、再び、放射線の照射開始の検出動作を開始させる。
【0163】
一方、ステップ904で電気信号が第六閾値以上である場合は、肯定されてステップ910へ進み、放射線の照射開始を検出し、本処理を終了する。
【0164】
このように本実施の形態では、走査配線101にゲートオフ信号を出力した状態で、各画素20から信号配線3に流れるリーク電流に応じた電気信号を増幅回路50でサンプリングし、サンプリングした電気信号と第六閾値とを比較して第六閾値以上の場合に、放射線の照射開始を検出する。これにより、駆動方法の変更だけで、放射線の照射開始を検出できるため、放射線の照射開始を検出するための構成を設ける必要がなく、例えば特殊なTFTスイッチ4の設計や、追加回路等を設ける必要がない。
【0165】
[第7の実施の形態]
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態において、上述の実施の形態と略同一の構成及び動作については、説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100では、放射線の照射開始の検出方法が上述の実施の形態と異なるため、放射線の照射開始の検出方法について説明する。
【0166】
本実施の形態の放射線画像検出器100では、各画素20が、複数のTFTスイッチ4を備え、放射線の照射開始の検出と、放射線画像の撮影の場合とで、使用するTFTスイッチ4を変更するよう制御する。本実施の形態の放射線画像検出器100の全体構成の一例を示す構成図を図28に示す。
【0167】
図28に示すように、本実施の形態の放射線画像検出器100の各画素20は、2つのTFTスイッチ4(4A、4B)を備えている。TFTスイッチ4Aは、走査配線101(G1A、G2A、G3A、G4A)を流れる駆動信号によって駆動され、放射線画像を生成するための電荷をセンサ部103から読み出す際にオン状態に駆動される。一方、TFTスイッチ4Bは、走査配線101(G1B、G2B、G3B、G4B)を流れる駆動信号によって駆動され、放射線の照射開始を検出する際にセンサ部103から電荷を読み出す際にオン場外に駆動される。放射線画像撮影用画素20Aでは、TFTスイッチ4Aは、信号配線3に接続されているが、TFTスイッチ4Bは、信号配線3に接続されていない。また、放射線検知用画素20Bでは、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bの両方が信号配線3に接続されている。
【0168】
本実施の形態の撮影処理について説明する。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の撮影処理(図7参照)と略同様のステップ(処理)を含んでいるため、略同様のステップ(処理)についてはその旨を記し、詳細な説明を省略する。本実施の形態の放射線画像検出器100における撮影処理全体の流れの一例のフローチャートを図29に示す。
【0169】
ステップ1000では、TFTスイッチ4Aをリセット駆動するための駆動信号を出力するよう走査配線駆動回路104に指示すると共に、TFTスイッチ4Bに駆動信号(ゲートオン信号)を出力するよう走査配線駆動回路104に指示する。
【0170】
以下、ステップ1001〜ステップ1024は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ100〜ステップ124にそれぞれお対応している。ステップ1001は、第1の実施の形態の撮影処理のステップ100に対応しており、信号検出回路105の増幅回路50(アンプ52)の駆動を開始させ、連続的に駆動させる。これにより、放射線検知用画素20Bからは、TFTスイッチ4Bにより電荷が読み出されて放射線の照射に応じた電気信号が信号配線3に流れ、増幅回路50(アンプ52)によりサンプリングされる。なお、放射線画像撮影用画素20Aでは、TFTスイッチ4Bが信号配線3に接続されていないため、TFTスイッチ4Bにゲートオン信号が印加されているのにかかわらず、TFTスイッチ4Bにより電気信号が信号配線3に読み出されることがない。
【0171】
次のステップ1002では、制御部106が、増幅回路50によりサンプリングされた電荷に応じた電気信号を第七閾値以と比較し、第七閾値以上となった否かにより放射線の照射が開始されたか否かの検出を行う。なお、第七閾値は、予め実験等により、放射線の照射開始用の閾値として得ておけばよい。
【0172】
電気信号が第七閾値未満の場合は、否定されて待機状態になる。一方、第七閾値以上の場合は、放射線の照射開始を検出したため、肯定されてステップ1003へ進む。ステップ1003では、TFTスイッチ4A、及びTFTスイッチ4Bにゲートオフ信号を出力し、各画素20による電荷の蓄積を開始させる。電荷の蓄積開始後、ノイズを検出するためのステップ1004〜ステップ1018は、第1の実施の形態のステップ104〜ステップ118と略同様の処理である。電気信号の経時変化に基づいて、ノイズの有無、強弱、及び発生期間を検出し、検出結果に基づいて、検出結果の表示、及び放射線画像の表示を行う。なお、本実施の形態では、放射線画像を表示させない場合(強度が強くて発生期間が長いノイズを検出した場合)のステップ1014では、TFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bの両方に対してゲートオン信号を出力させ、画素20に蓄積された電荷をリセットさせる。
【0173】
また、放射線画像を撮影するためのステップ1020〜ステップ1024は、第1の実施の形態のステップ120〜ステップ124と略同様の処理である。蓄積時間が経過すると、順次、画素20から電荷を読み出す。なお、この際本実施の形態では、TFTスイッチ4Aに対してゲートオン信号を出力させて、TFTスイッチ4Aにより蓄積された電荷に応じた電気信号を信号配線3に読み出させる。本実施の形態では、この際、放射線画像撮影用画素20A及び放射線検知用画素20Bの両方の画素20から、電荷が読み出される。制御部106は、取得した電気信号に基づいて、放射線画像を生成する。さらに、生成した放射線画像を表示させるよう制御装置202に出力した後、本処理を終了する。
【0174】
このように本実施の形態では、各画素20が放射線画像撮影用のTFTスイッチ4Aと、放射線の照射開始検出用のTFTスイッチ4Bとを備えている。放射線の照射開始を検出する際は、放射線検知用画素20BからTFTスイッチ4Bにより信号配線3に出力された電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出する。また、放射線画像を撮影する際は、放射線画像撮影用画素20A及び放射線検知用画素20BのTFTスイッチ4Aにより信号配線3に出力された電気信号を取得して、放射線画像を生成する。これにより、放射線の照射開始を検出する際は、上述の第6の実施の形態において説明したリーク電流を用いる場合に比べて、信号強度を大きくすることができるため、S/N比が改善される。また、実際に放射線の照射を開始されてから照射開始を検出するまでの放射線のロス時間を小さくすることができるため、リセット駆動による電荷のロスを無視することができる。また、放射線画像撮影用画素20A及び放射線検知用画素20Bから読み出された電荷(電気信号)により放射線画像を生成することができるため、放射線検知用画素20Bが欠陥画素とならず、放射線画像に画像欠陥が生じるのを抑制することができる。
【0175】
なお、本実施の形態では、全ての画素20がTFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bを備えるように構成したが、これに限らず、放射線検知用画素20Bが両方のTFTスイッチ4(4A、4B)を備えていればよい。なお、全画素20がFTスイッチ4A及びTFTスイッチ4Bを備える方が、放射線画像検出器100の製造等の観点から好ましい。
【0176】
なお、上述した各実施の形態では、ノイズに関する検出を放射線画像検出器100の制御部106で行っているがこれに限らず、例えば、制御装置202の制御部210で行ってもよい。
【0177】
また、上述した各実施の形態では各閾値を用いてノイズに関する検出を行っているがこれに限らず、例えば、電気信号の波形や、所定期間のピーク間の時間等に基づいて検出するようにしてもよい。また、また、上述した各実施の形態では、電気信号の微分処理や、移動平均との差分により信号解析を行っているがこれに限らず、その他の信号解析処理を行ってもよい。なお、微分処理は、分離能が高く、例えば、放射線の照射タイミングとノイズの発生タイミングとが重なった場合であっても適切に分離できるため、微分処理を行うことが好ましい。
【0178】
また、放射線の照射開始の検出は、上述の実施の形態に限らず、放射線の照射開始を検出する構成であれば、特に限定されない。例えば、別個、放射線検知用の画素20を備えるようにしてもよいし、放射線画像撮影用画素20Aのうち、一部を用いるようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、第一の閾値との比較により検出を行っていたが、これに限らず、放射線の照射開始条件として予め定められた条件を満たすか否かにより検出を行えばよく、特に限定されない。
【0179】
また、上述した各実施の形態では、制御装置202の表示部212に放射線画像を表示させる場合について説明したがこれに限らず、例えば、制御装置202以外の外部の表示装置等に表示させるようにしてもよい。
【0180】
また、上述した各実施の形態では、間接変換方式の場合について説明したがこれに限らず、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の場合に適用してもよい。この場合、直接変換方式における放射線検知素子は、放射線が照射されることにより電荷を発生する。
【0181】
その他、本実施の形態で説明した放射線画像検出器100、放射線検出器10等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0182】
また、本実施の形態では、本発明の放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【符号の説明】
【0183】
4 TFTスイッチ、4A 放射線画像撮影用のTFTスイッチ、4B 放射線の照射開始検出用のTFTスイッチ
10 放射線検出器
20 画素、20A 放射線画像撮影用画素、20B 放射線検知用画素20B
70 検出器
100 放射線画像撮影装置
103 センサ部
104 走査配線駆動回路
105 信号検出回路
106 制御部
108、213 報知部
200 放射線画像撮影システム
201 放射線画像撮影装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線の線量に応じた電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、
前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に照射開始を検出する検出手段と、
前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断し、ノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、取得した電気信号と、ノイズの強度検出用に予め定められた条件及びノイズの発生期間検出用に予め定められた条件と、に基づいて、前記ノイズの強度及び発生期間を検出し、検出した強度及び発生期間に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断する、請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ノイズの強度が弱いことを検出した場合及び発生期間が短いことを検出した場合の少なくとも一方の場合は、前記放射線画像を出力すると判断する、請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ノイズの強度が強くかつ、ノイズの発生期間が長いことを検出した場合は、前記放射線画像を出力しないと判断する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記複数の画素に応じて予め定められた領域毎に、電荷に応じた電気信号を取得し、前記予め定められた領域毎に当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断する、請求項1から請求項4に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域を報知する、請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断する、請求項5または請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置が、領域全体に対する中央として予め定められた位置である場合は、放射線画像を出力しないと判断する、請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前制御手段は、取得した電気信号の時間変化を微分処理した電気信号に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する、請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
前記制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、時間移動平均を算出し、算出した時間移動平均と判定する時点における電気信号の差分に基づいて、当該差分がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する、請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項12】
前記制御手段は、取得した電気信号と強度検出用閾値との比較により、前記ノイズの強度を検出する、請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項13】
前記制御手段は、取得した電気信号が発生時間検出用閾値に到達した回数に基づいて、前記ノイズの発生期間を検出する、請求項2から請求項12のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項14】
前記報知手段は、前記複数の画素を含む放射線画像検出器に備えられている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項15】
前記報知手段は、前記複数の画素を備えた放射線画像検出器の外部に備えられている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項16】
前記複数の画素は、放射線画像撮影用画素及び放射線検知用画素を備え、前記検出手段は、前記放射線検知用画素から出力された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項17】
前記放射線画像撮影用画素の前記スイッチ素子は、制御信号に基づいて前記信号配線に電荷を出力し、前記放射線検知用画素は、前記制御信号にかかわらず前記信号配線に電荷を出力する、請求項16に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項18】
前記放射線検知用画素は、第一走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び第二走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線検知用のスイッチ素子を含み、前記検出手段は、前記前記放射線検知用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号、及び前記放射線検知用画素の前記放射線画像撮影用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号を取得する、請求項16に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項19】
前記放射線画像撮影用画素は、前記放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び前記放射線検知用のスイッチ素子を含み、当該放射線検知用のスイッチ素子は、前記信号配線に非接続である、請求項18に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項20】
バイアス電源から印加されたバイアス電圧を前記複数の画素の前記センサ部に供給するバイアス線と、
前記バイアス線に流れる電荷を検出する電荷検出手段と、
を備え、前記検出手段は、前記電荷検出手段で検出した電荷の変化に基づいて放射線の照射開始を検出する、請求項1から請求項15に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項21】
前記検出手段が前記放射線の照射開始を検出する検出期間は、前記スイッチ素子をオフ状態とする、請求項20に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項22】
前記検出期間は、所定時間毎に前記放射線の照射開始の検出を中断し、前記スイッチ素子をオン状態にして、前記センサ部で発生した電荷を読み出して前記信号配線に出力させた後、前記スイッチ素子をオフ状態にして、前記放射線の照射開始の検出を再開する、請求項21に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項23】
前記予め定められた照射検出用条件は、照射検出用閾値により予め定められた条件である、請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項24】
放射線照射装置と、
前記放射線照射装置から照射された放射線により放射線画像を撮影する前記請求項1から前記請求項23のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項25】
照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に放射線の照射開始を検出する検出手段と、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断し、ノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、を備えた放射線画像撮影装置の、前記制御手段としてコンピュータを機能させるための放射線画像撮影装置の制御プログラム。
【請求項26】
照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素を備えた放射線画像撮影装置により放射線画像を撮影する際に、
前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に放射線の照射開始を検出する検出工程と、
前記検出工程で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断し、ノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御工程と、
を備えた放射線画像撮影装置の制御方法。
【請求項1】
照射された放射線の線量に応じた電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、
前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に照射開始を検出する検出手段と、
前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断し、ノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、取得した電気信号と、ノイズの強度検出用に予め定められた条件及びノイズの発生期間検出用に予め定められた条件と、に基づいて、前記ノイズの強度及び発生期間を検出し、検出した強度及び発生期間に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断する、請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ノイズの強度が弱いことを検出した場合及び発生期間が短いことを検出した場合の少なくとも一方の場合は、前記放射線画像を出力すると判断する、請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ノイズの強度が強くかつ、ノイズの発生期間が長いことを検出した場合は、前記放射線画像を出力しないと判断する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記複数の画素に応じて予め定められた領域毎に、電荷に応じた電気信号を取得し、前記予め定められた領域毎に当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断する、請求項1から請求項4に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域を報知する、請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置に基づいて、放射線画像を出力するか否かを判断する、請求項5または請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、ノイズに起因する電気信号が含まれると判断した前記予め定められた領域の位置が、領域全体に対する中央として予め定められた位置である場合は、放射線画像を出力しないと判断する、請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前制御手段は、取得した電気信号の時間変化を微分処理した電気信号に基づいて、当該電気信号がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する、請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
前記制御手段は、取得した電気信号の時間変化に基づいて、時間移動平均を算出し、算出した時間移動平均と判定する時点における電気信号の差分に基づいて、当該差分がノイズ検出用閾値を越えた場合に、ノイズに起因する電気信号を含むと判断する、請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項12】
前記制御手段は、取得した電気信号と強度検出用閾値との比較により、前記ノイズの強度を検出する、請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項13】
前記制御手段は、取得した電気信号が発生時間検出用閾値に到達した回数に基づいて、前記ノイズの発生期間を検出する、請求項2から請求項12のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項14】
前記報知手段は、前記複数の画素を含む放射線画像検出器に備えられている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項15】
前記報知手段は、前記複数の画素を備えた放射線画像検出器の外部に備えられている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項16】
前記複数の画素は、放射線画像撮影用画素及び放射線検知用画素を備え、前記検出手段は、前記放射線検知用画素から出力された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項17】
前記放射線画像撮影用画素の前記スイッチ素子は、制御信号に基づいて前記信号配線に電荷を出力し、前記放射線検知用画素は、前記制御信号にかかわらず前記信号配線に電荷を出力する、請求項16に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項18】
前記放射線検知用画素は、第一走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び第二走査配線を流れる制御信号に基づいて駆動される放射線検知用のスイッチ素子を含み、前記検出手段は、前記前記放射線検知用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号に基づいて放射線の照射開始を検出し、前記制御手段は、前記放射線検知用画素から読み出された電荷に応じた電気信号、及び前記放射線検知用画素の前記放射線画像撮影用のスイッチ素子の駆動により読み出された電荷に応じた電気信号を取得する、請求項16に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項19】
前記放射線画像撮影用画素は、前記放射線画像撮影用のスイッチ素子、及び前記放射線検知用のスイッチ素子を含み、当該放射線検知用のスイッチ素子は、前記信号配線に非接続である、請求項18に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項20】
バイアス電源から印加されたバイアス電圧を前記複数の画素の前記センサ部に供給するバイアス線と、
前記バイアス線に流れる電荷を検出する電荷検出手段と、
を備え、前記検出手段は、前記電荷検出手段で検出した電荷の変化に基づいて放射線の照射開始を検出する、請求項1から請求項15に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項21】
前記検出手段が前記放射線の照射開始を検出する検出期間は、前記スイッチ素子をオフ状態とする、請求項20に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項22】
前記検出期間は、所定時間毎に前記放射線の照射開始の検出を中断し、前記スイッチ素子をオン状態にして、前記センサ部で発生した電荷を読み出して前記信号配線に出力させた後、前記スイッチ素子をオフ状態にして、前記放射線の照射開始の検出を再開する、請求項21に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項23】
前記予め定められた照射検出用条件は、照射検出用閾値により予め定められた条件である、請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項24】
放射線照射装置と、
前記放射線照射装置から照射された放射線により放射線画像を撮影する前記請求項1から前記請求項23のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項25】
照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素と、前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に放射線の照射開始を検出する検出手段と、前記検出手段で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断し、ノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御手段と、を備えた放射線画像撮影装置の、前記制御手段としてコンピュータを機能させるための放射線画像撮影装置の制御プログラム。
【請求項26】
照射された放射線に応じて電荷を発生するセンサ部、及び前記センサ部で発生した電荷を読み出して信号配線に出力するスイッチ素子を各々備えた複数の画素を備えた放射線画像撮影装置により放射線画像を撮影する際に、
前記センサ部で発生した電荷に応じた電気信号が予め定められた照射検出用条件を満たす場合に放射線の照射開始を検出する検出工程と、
前記検出工程で放射線の照射開始を検出した後に、前記画素から読み出された電荷に応じた電気信号を取得し、当該電気信号がノイズに起因する電気信号を含むか判断し、ノイズに起因する電気信号を含む場合に、報知するよう報知手段を制御する制御工程と、
を備えた放射線画像撮影装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図4】
【図5】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−64719(P2013−64719A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84808(P2012−84808)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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