放射線画像撮影装置
【課題】簡易な構成で、読み出された画像データの不整合を防止することが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】制御手段22は、放射線画像撮影前にゲートドライバ15bの端子のうち走査線5と接続する端子がアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、放射線の照射開始の有無を判定し、放射線画像撮影前にゲートドライバ15bの端子のうち非接続の端子tがアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせず、通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、通常シフト処理を各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始し、高速シフト処理を各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始する。
【解決手段】制御手段22は、放射線画像撮影前にゲートドライバ15bの端子のうち走査線5と接続する端子がアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、放射線の照射開始の有無を判定し、放射線画像撮影前にゲートドライバ15bの端子のうち非接続の端子tがアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせず、通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、通常シフト処理を各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始し、高速シフト処理を各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置が自ら放射線の照射を検出して放射線画像撮影を行う放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成された、いわゆる専用機型として構成されていた(例えば特許文献1参照)。そして、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図7等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」という。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
そして、通常、放射線画像撮影は、放射線発生装置の放射線源から放射線画像撮影装置に対して、被験者の身体等の所定の撮影部位(すなわち胸部正面や腰椎側面等)を介した状態で放射線が照射されて行われる。
【0005】
その際、放射線画像撮影装置の走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して全てのTFT8をオフ状態とした状態で放射線を照射することで、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に的確に蓄積される。
そして、放射線画像撮影の後、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、各読み出し回路17で画像データとしてそれぞれ読み出すように構成される。
【0006】
ところで、上記のように、放射線画像撮影が的確に行われるためには、放射線画像撮影装置に放射線が照射される際に、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに適切にオフ電圧が印加され、スイッチ手段である各TFT8がオフ状態になることが必要となる。
そこで、例えば従来の専用機型の放射線画像撮影装置等では、放射線発生装置との間でインターフェースを構築し、互いに信号等をやり取りして、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して電荷蓄積状態になったことを確認したうえで、放射線源から放射線を照射させるように構成される場合が多い。
【0007】
しかし、例えば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置との製造メーカーが異なっているような場合には、両者の間でインターフェースを構築することが必ずしも容易でない場合がある。また、インターフェースを構築できない場合もある。
このように放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されない場合、放射線画像撮影装置側から見ると、放射線源からどのようなタイミングで放射線が照射されるかが分からない。そのため、放射線源から放射線が照射されたことを、放射線画像撮影装置が自ら検出しなければならなくなる。
【0008】
そこで、近年、このような放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間のインターフェースによらずに、放射線が照射されたことを自ら検出するように構成された放射線画像撮影装置が種々開発されている。
例えば、特許文献4や特許文献5に記載の発明では、放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されて各放射線検出素子7内に電荷が発生すると、各放射線検出素子7から、各放射線検出素子7に接続されているバイアス線9(後述する図7等参照)に電荷が流れ出してバイアス線9を流れる電流が増加することを利用して、バイアス線9に電流検出手段を設けてバイアス線9内を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】米国特許第7211803号明細書
【特許文献5】特開2009−219538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本発明者らの研究で、上記の手法は、バイアス線9が各放射線検出素子7の電極に接続されているため、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わり、放射線検出素子7から読み出される画像データにノイズとして重畳される場合があるなど、必ずしも解決が容易でない問題があることが分かってきた。
そして、本発明者らは、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出する別の手法について種々研究を重ねた結果、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能ないくつかの新たな手法を見出すことができた。
【0011】
これらの新たな手法については本願出願時点では公知ではないが、後述するように、本発明者らが見出した新たな放射線の照射開始の検出方法のうちの一つでは、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから全ての走査線5にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で読み出し回路17に読み出し動作を行わせ、TFT8を介して放射線検出素子7からリークした電荷q(後述する図11参照)をリークデータdleakに変換するリークデータ読み出し処理を行うように構成される。
そして、放射線画像撮影装置に放射線が照射されると、読み出されるリークデータdleakの値が上昇するため、それを利用して、読み出されたリークデータdleakの値に基づいて放射線画像撮影装置に対する放射線の照射開始を検出するように構成される。
【0012】
その際、前述したように、リークデータ読み出し処理では各TFT8がオフ状態とされるが、各TFT8がオフ状態のままであると、放射線検出素子7自体の熱(温度)による熱励起等により常時発生している、いわゆる暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積されてしまう。
そのため、後述するように、ゲートドライバ15bから走査線5にオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7内から暗電荷を除去する各放射線検出素子7のリセット処理を、リークデータ読み出し処理と交互に繰り返し行うように構成される。
【0013】
ところで、各放射線検出素子7のリセット処理においては、通常、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加させて、オン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら、オン状態とするTFT8を順次切り替えて各放射線検出素子7を次々とリセットしていく。
その際、図19に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bに、走査線5が接続されていない、いわゆる非接続の端子tが存在する場合がある。このような場合、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加するために、アクティブな状態の端子をシフトさせてオン電圧を印加する端子を順次切り替えていくと、非接続の端子tにオン電圧が印加される期間が生じる。
【0014】
しかし、非接続の端子tには走査線5が接続されていないため、非接続の端子tにオン電圧が印加されている間、すなわち非接続の端子tがアクティブな状態である間は、リセット処理を行ってアクティブな状態の非接続の端子tにオン電圧を印加しても、走査線5の何れのラインL1〜Lxにもオン電圧が印加されない。すなわち、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない状態になる。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、無駄にリセット処理を行うことになる。
【0015】
また、リセット処理は、放射線検出素子7自体の熱による熱励起等により発生する暗電荷を各放射線検出素子7内から除去するために行われる。しかし、前述したように、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない状態になる。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、その間に、暗電荷が各放射線検出素子7内に徐々に蓄積していくので、暗電荷が無駄に多く蓄積されてしまうことになる。
【0016】
そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合には、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブな状態の端子を高速にシフトさせて、何れの放射線検出素子7もリセットされない期間を短縮することが図られている。
【0017】
放射線画像撮影装置が備えるセンサパネルSPでは、通常、基板4上に交差するように配設された複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rにそれぞれ放射線検出素子7が配置され、複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されて検出部Pが形成される。そして、後述する図18に示すように、検出部Pが複数のブロック領域(図18の場合は上側ブロック領域P1および下側ブロック領域P2)から構成されている場合もある。
【0018】
例えば図18に示すように、検出部Pが上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで構成されている場合、図26〜図28に示すように、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで、リークデータ読み出し処理およびリセット処理を実行するように構成される場合が多い。
【0019】
なお、図26〜図28において、「L」はリークデータ読み出し処理を表し、「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表す。
また、図26〜図28において、リークデータ読み出し処理(「L」)の後ろにある斜線部分は、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定する期間を表す。
また、図26〜図28において、「1〜64」や「65」などの数字は、アクティブな状態の端子の位置を表す。すなわち、「1〜64」は、外側から1番目の端子、外側から2番目の端子、・・・、外側から63番目の端子、外側から64番目の端子の順にアクティブな状態の端子になることを表し、「65」は、外側から65番目の端子がアクティブな状態の端子であることを表す。
【0020】
また、図26〜図28では、各ブロック領域P1、P2において、アクティブな状態の端子が外側から内側へとそれぞれシフトするように構成されている場合について示す。
また、図26〜図28では、各ブロック領域P1、P2において、ゲートドライバ15bはそれぞれ1280個の端子を有し、1280個の端子のうち外側の64個の端子が非接続の端子tである場合について示す。
また、図26〜図28では、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理およびリセット処理の開始タイミングよりも、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理およびリセット処理の開始タイミングが遅い場合について示す。
【0021】
このような場合、図26に示すように、上側ブロック領域P1においては、まず、アクティブな状態の端子が「上から1番目の端子(最も外側の端子)」から「上から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブな状態の端子を高速にシフトさせる高速シフト処理が実行される。
次いで、上側ブロック領域P1においては、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」は走査線5が接続されている端子であるため、リークデータ読み出し処理およびリセット処理を行いながら、アクティブな状態の端子をシフトさせる通常シフト処理が実行される。
次いで、「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「上から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になり、再度「上から1番目の端子」から上記と同様の制御が繰り返し行われる。
【0022】
一方、図26に示すように、下側ブロック領域P2においては、上側ブロック領域P1における処理が開始されてから所定の待機時間が経過した後に、下側ブロック領域P2における処理が開始される。そして、まず、高速シフト処理が実行されて、アクティブな状態の端子が「下から1番目の端子(最も外側の端子)」から「下から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。
次いで、下側ブロック領域P2においては、通常シフト処理が実行されて、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。
次いで、「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「下から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になり、再度「下から1番目の端子」から上記と同様の制御が繰り返し行われる。
【0023】
そして、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定、或いは、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定で、放射線の照射開始が検出されると、電荷蓄積状態に移行され、その後、画像データ読み出し処理が開始される。
【0024】
具体的には、例えば図27に示すように、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
【0025】
この場合、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、まず、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始される。そして、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間が経過した後に、上側ブロック処理P1における画像データ読み出し処理が開始される。
【0026】
その際、図27の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から129番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「下から129番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
また、図27の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から130番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「上から130番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
【0027】
一方、例えば図28に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際、すなわちアクティブな状態の端子が最終接続端子(後述)である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
ここで、処理が後から開始されるブロック領域(図28では、下側ブロック領域P2)に配置された走査線5が接続されている端子のうち、非接続の端子tをアクティブな状態にする直前にアクティブな状態にされる端子(図28では、下から1280番目の端子)を、「最終接続端子」と称する。
【0028】
この場合、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、まず、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始される。そして、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間が経過した後に、上側ブロック処理P1における画像データ読み出し処理が開始される。
【0029】
その際、図28の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から1280番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「下から1280番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
また、図28の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「上から65番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
【0030】
すなわち、図28の場合、下側ブロック領域P2においては、「下から1280番目の端子」→「下から1番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。これに対し、上側ブロック処理P1においては、「上から65番目の端子」→「上から66番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。そのため、図28の場合、読み取った画像データを単に並べただけでは不整合が生じてしまう。
【0031】
具体的には、図27に示すように、最終接続端子以外の端子である「下から129番目の端子」が、アクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
この場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から129番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から130番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から130番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から131番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べるだけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0032】
一方、図28に示すように、最終接続端子である「下から1280番目の端子」が、アクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
この場合、放射線の照射開始が検出された時点では、処理が後から開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は下側ブロック領域P2)では高速シフト処理は再開されていないが、処理が先に開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は上側ブロック領域P1)では当該高速シフト処理に対応する高速シフト処理が終了し、その後に行われる通常シフト処理が再開されている。そのため、当該検出の時点では、処理が後から開始されるブロック領域よりも、処理が先に開始されるブロック領域の方が、アクティブな状態の端子の位置が複数端子分(図28に示す例の場合は65端子分)進んでおり、その後に行われる画像データ読み出し処理の際に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しなくなる。
【0033】
すなわち、その後に行われる画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から1280番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から65番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から66番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出され、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応していない。
したがって、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応していないので、画像データを読み出された順に並べただけでは、読み出された画像データを整合した状態に並べることができない。
【0034】
そのため、読み出された画像データを整合した状態に並べるためには、最終接続端子が、アクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合(図28のような場合)のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならず、処理が煩雑になるという問題がある。
【0035】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、読み出された画像データの不整合を防止することが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに同一のタイミングで開始することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータが、前記閾値を上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないことを特徴とする。
【0038】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち前記高速シフト処理が先に開始される前記ブロック領域における前記画像データ読み出し処理で、前記高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら前記画像データを読み出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、簡易な構成で、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
したがって、簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置のコネクタにケーブルのコネクタを接続した状態を表す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子やTFTなどの構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板などが取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】画像データ読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図12】リークデータ読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図13】放射線画像撮影前にリークデータ読み出し処理とリセット処理とを交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図14】放射線の照射開始の検出の仕方を説明するための図である。
【図15】読み出されるリークデータを時系列的にプロットしたグラフである。
【図16】放射線の照射終了の検出の仕方を説明するための図である。
【図17】放射線の照射が終了するとリークデータが減少することを示すグラフである。
【図18】検出部が2つのブロック領域で構成される場合の放射線画像撮影装置の基板の構成例を示す平面図である。
【図19】非接続の端子を説明するための図である。
【図20】アクティブな状態となる端子のシフトのさせ方について説明するための図である。
【図21】第1実施形態の場合における、高速シフト処理および通常シフト処理の開始のタイミングを説明するための図である。
【図22】第1実施形態の場合における、最終リークデータ以外のリークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる処理を説明するための図である。
【図23】第1実施形態の場合における、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる制御を説明するための図である。
【図24】第2実施形態の場合における、最終リークデータが閾値を上回った場合に行われる制御を説明するための図である。
【図25】第3実施形態の場合における、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる制御を説明するための図である。
【図26】従来の場合、第2実施形態の場合、第3実施形態の場合における、高速シフト処理および通常シフト処理の開始のタイミングを説明するための図である。
【図27】従来の場合、第2実施形態の場合、第3実施形態の場合における、最終リークデータ以外のリークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる処理を説明するための図である。
【図28】従来の場合における、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではない。また、本発明は図示例に限定されるものでもない。
【0042】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得る、いわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0043】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。
以下、放射線画像撮影装置の基本的な構成について説明し、本実施形態に特有の構成については、基本的な構成を説明した後で説明する。
【0044】
[放射線画像撮影装置の基本的な構成について]
図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4などで構成されるセンサパネルSPが収納されて構成されている。
【0045】
本実施形態において、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチックなどの材料で形成されている。このハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フロント板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
【0046】
本実施形態において、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38などが配置されている。
また、本実施形態において、蓋部材2Bには、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態などを表示するLED等で構成されたインジケータ40が配置されている。
【0047】
また、本実施形態において、蓋部材2Bには、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクタCが接続され、ケーブルCaを介してコンソール等の外部装置との間で有線通信を行うためのコネクタ39が配置されている。放射線画像撮影装置1は、コンソール等の外部装置との間で有線通信を行って、信号等を送受信したり、画像データ等を送信したりするようになっている。
なお、コネクタ39の設置位置は蓋部材2Bに限定されず、放射線画像撮影装置1の適宜の位置に設置することが可能である。
【0048】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の他方側の蓋部材2C等には、コンソール等の外部装置との間で無線通信を行うためのアンテナ装置41(後述する図7参照)が、例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられている。放射線画像撮影装置1は、コンソール等の外部装置との間で無線通信を行って、信号等を送受信したり、画像データ等を送信したりするようになっている。
なお、アンテナ装置41の設置位置は蓋部材2Cに限定されず、放射線画像撮影装置1の任意の位置にアンテナ装置41を設置することが可能である。また、設置するアンテナ装置41は1個に限らず、複数設けることも可能である。
【0049】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置されている。この基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリ24などが取り付けられている。
また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側の面には、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。
また、本実施形態においては、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0050】
シンチレータ3は、基板4の検出部P(後述)に対向する位置に設けられている。本実施形態において、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0051】
本実施形態において、基板4は、ガラス基板で構成されている。この基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、図4に示すように、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。なお、図4に示す基板4の構成は、放射線画像撮影装置1の基本的な構成を説明するためのものであり、本実施形態に特有の構成については後で説明する。
【0052】
基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6とで区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0053】
本実施形態においては、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0054】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレータ3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するように構成されている。
【0055】
そして、TFT8は、走査駆動手段15(後述)から、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるように構成されている。
また、TFT8は、走査駆動手段15(後述)から、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるように構成されている。
【0056】
本実施形態においては、図4や図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、図4に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0057】
また、本実施形態において、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、図4に示すように、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(「パッド」ともいう。)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15b(後述)を構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(「Chip On Film」等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)などの異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0058】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板33に接続されている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0059】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図である。また、図8は、検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0060】
基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するように構成されている。
また、バイアス電源14は、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によって、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるように構成されている。
【0061】
図7や図8に示すように、本実施形態においては、バイアス電源14から、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるように構成されている。
【0062】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバ15bにオン電圧とオフ電圧とを供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態において、ゲートドライバ15bは、複数のゲートIC15c(図6参照)が並設されて構成されている。
【0063】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。
読み出しIC16内には、主に、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19などで構成される読み出し回路17と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0064】
本実施形態において、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列に接続されたコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cと、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dとを備えたチャージアンプ回路で構成されている。
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるように構成されている。
なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0065】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるように構成されている。
また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するように構成されている。
【0066】
放射線画像撮影装置1では、各放射線検出素子7内に残存する電荷を各放射線検出素子7内から除去して各放射線検出素子7をリセットするためのリセット処理が行われる場合がある。
各放射線検出素子7のリセット処理の際には、図9に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出したりする。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。
【0067】
一方、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積される。
増幅回路18では、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるように構成されている。すなわち、各放射線検出素子7から流出した電荷は、増幅回路18によって電荷電圧変換される。
【0068】
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が設けられている。
相関二重サンプリング回路19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積された後に制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0069】
そして、相関二重サンプリング回路19は、2回目のパルス信号Sp2で電圧値Vfiを保持すると、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データとして下流側に出力する。このアナログ値の画像データは、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信されて、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換される。そして、記憶手段23に出力されて順次保存される。
【0070】
なお、1回の画像データ読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図10参照)、コンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出したりする等して、増幅回路18がリセットされる。
【0071】
制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御する。
具体的には、制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェースなどがバスに接続されたコンピュータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。なお、制御手段22は、専用の制御回路で構成されていてもよい。
また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)などで構成される記憶手段23が接続されている。
【0072】
また、本実施形態では、制御手段22には、アンテナ装置41が接続されている。
さらに、制御手段22には、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14などの各機能部に電力を供給するためのバッテリ24が接続されている。このバッテリ24には、図示しない充電装置からバッテリ24に電力を供給してバッテリ24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
【0073】
前述したように、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17などを制御して、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理や各放射線検出素子7をリセットするためのリセット処理などを行わせたり、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりする等して、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するように構成されている。
【0074】
[放射線の照射開始の検出について]
本実施形態においては、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されず、放射線画像撮影装置1自体で放射線発生装置の放射線源から放射線が照射されたことを検出するように構成されている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0075】
本実施形態においては、放射線画像撮影に際し放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータ読み出し処理を繰り返し行うように構成されている。
ここで、リークデータdleakとは、図11に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0076】
リークデータ読み出し処理では、図9に示した各放射線検出素子7のリセット処理や図10に示した画像データ読み出し処理の場合と異なり、図12に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19にパルス信号Sp1、Sp2が送信される。
【0077】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサ18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0078】
そして、相関二重サンプリング回路19は電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力するが、この差分Vfi−Vinがリークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データ読み出し処理の場合と同様である。
【0079】
しかし、リークデータ読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
そのため、放射線画像撮影前に、リークデータ読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータ読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。
【0080】
このように、放射線画像撮影前にリークデータ読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレータ3で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qがそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
【0081】
例えば図14に示すように、放射線画像撮影前にリークデータ読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行う場合、図15に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
【0082】
なお、図14および図15では、図14で走査線5のラインL3にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目のリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図15の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。
また、図14において、「L」はリークデータ読み出し処理を表し、「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表す。
【0083】
そこで、本実施形態においては、制御手段22によって、放射線画像撮影前のリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図15参照)を上回った時点で、放射線の照射開始を検出するように構成する。
【0084】
制御手段22は、放射線の照射開始を検出すると、図14に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止する。そして、ゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0085】
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、或いは、後述するように放射線の照射終了を検出した後に、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータ読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点でオン電圧が印加されていた走査線5(図14の場合は走査線5のラインL3)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理を行うように構成されている。
【0086】
[放射線の照射終了の検出について]
図14に示したように、放射線の照射開始を検出した後、各走査線5にオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理は停止して、電荷蓄積状態に移行する。
【0087】
その際、例えば図16に示すように、電荷蓄積状態で、各走査線5にオフ電圧を印加して行うリークデータ読み出し処理を続行するように構成して、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射終了を検出するように構成することも可能である。
【0088】
放射線の照射開始を検出した後、リークデータ読み出し処理を続行するように構成すると、電荷蓄積状態では既に放射線の照射が開始されているため、図17に示すように、読み出されるリークデータdleakは大きな値になっているが、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了すると、リークデータdleakは元の小さな値に戻る。
【0089】
そのため、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th*を下回った時点(図17では時刻t2)で、放射線の照射終了を検出するように構成することができる。
【0090】
なお、放射線の照射終了を検出するための閾値dleak_th*は、放射線の照射開始を検出するための閾値dleak_thと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
また、図17では、時刻t2で放射線の照射の終了を検出した後もリークデータ読み出し処理を引き続き行ってリークデータdleakを読み出す場合が示されているが、実際には、放射線の照射終了を検出するとリークデータ読み出し処理は停止される。
【0091】
そして、リークデータdleakが閾値dleak_th*を下回り、放射線の照射終了が検出された時点で、各走査線5へのオン電圧の順次の印加を開始して、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理を開始するように構成することが可能となる。
【0092】
このように構成すれば、図16に示したように、放射線の照射終了を検出した後、直ちに画像データ読み出し処理を開始することが可能となり、画像データ読み出し処理以降の処理を早期に行うことが可能となるといった利点がある。
【0093】
[検出手法の改良について]
放射線画像撮影装置1の検出部Pには、通常、数千本から数万本の信号線6が配線されており、各信号線6にそれぞれ読み出し回路17が設けられている。そのため、1回のリークデータ読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの数は、数千個から数万個の数になる。
【0094】
それら全てのリークデータdleakについて、上記のように閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断する処理を各リークデータ読み出し処理ごとに行うように構成すると、処理が重くなり、リアルタイムで放射線の照射開始(或いは、照射終了)を検出することができなくなる虞れがある。そこで、以下のような検出手法A等を採用することが可能である。
【0095】
[検出手法A]
読み出しIC16内には、例えば、128個や256個の読み出し回路17が形成されて内蔵されている。すなわち、1個の読み出しIC16には、128本や256本の信号線6が接続されている。そして、1回のリークデータ読み出し処理で、1個の読み出しIC16から各信号線6ごとに128個や256個のリークデータdleakが出力される。
【0096】
いま、仮に信号線6が4096本設けられており、1個の読み出しIC16に256個の読み出し回路17が内蔵されている(すなわち、1個の読み出しIC16に256本の信号線6が接続されている)とすると、読み出しIC16の数は、全部で16個(=4096÷256)になる。
【0097】
そこで、例えば、1回のリークデータ読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの合計値や平均値、中間値、最大値など(以下、これらを代表して「平均値」という。)を算出し、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が、それぞれ閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断するように構成することが可能である。
【0098】
なお、平均値dleak_ave(z)中の“z”は、読み出しIC16の番号であり、例えば、上記の例では、読み出しIC16は16個設けられているため、“z”は1から16までの値をとる。
【0099】
この検出手法Aのように構成すれば、制御手段22は、上記の例で言えば、1回のリークデータ読み出し処理で読み出される4096個のリークデータdleakについて各々閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断する必要がなくなり、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの16個の平均値dleak_ave(z)について閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断するだけで済む。そのため、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始(或いは、照射終了)の判断処理が軽くなる。
【0100】
なお、上記の検出手法A以外にも、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始(或いは、照射終了)の検出方法については種々の改良が可能である。
【0101】
[検出部の構成について]
本実施形態において、検出部Pは、複数のブロック領域で構成されている。
具体的には、例えば図18に示すように、検出部P上で各信号線6および各バイアス線9をその延在方向の途中で分断し、検出部Pを2つのブロック領域P1、P2に分割している。本実施形態において、各信号線6および各バイアス線9は、その延在方向の中央部分でそれぞれ等分するように分断されている。
【0102】
そして、検出部Pの各ブロック領域P1、P2の各走査線5は、図19に示すように、それぞれ別々のゲートドライバ15b(ゲートドライバ15ba、15bb)に接続されている。また、検出部Pの各ブロック領域P1、P2の各信号線6も、それぞれ別々の読み出しIC16(読み出しIC16a、16b)に接続されている。なお、図19では、入出力端子11等の図示が省略されている。
以下、説明の便宜上、「上」、「下」、「左」、「右」を用いて説明するが、この「上」、「下」、「左」、「右」に特に意味はない。図18や図19、後述する図20などにおいて図示した状態を便宜的に「上」、「下」、「左」、「右」と呼ぶだけである。
【0103】
図18に示すように、本実施形態において、検出部Pは、当該検出部Pにおける上下方向略中央よりも上側の上側ブロック領域P1と、当該検出部Pにおける上下方向略中央よりも下側の下側ブロック領域P2とから構成されている。すなわち、検出部Pは、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2との上下2つのブロック領域で構成されている。
【0104】
また、本実施形態において、信号線6は、上下方向に沿って延在しており、検出部Pにおける上下方向略中央の位置で、上側ブロック領域P1に配置される信号線6と、下側ブロック領域P2に配置される信号線6とに分断されている。
そして、上側ブロック領域P1に配置されている信号線6は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも上側に延設されて、検出部Pよりも上側の位置でそれぞれ入出力端子11に接続されている。
また、下側ブロック領域P2に配置されている信号線6は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも下側に延設されて、検出部Pよりも下側の位置でそれぞれ入出力端子11に接続されている。
【0105】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数の信号線6は、所定の本数ごと(例えば、128本や256本ごと)に組になっている。同じ組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11は、互いに近接して配置されている。
同じ組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11は、1つのフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。そして、同じ組に属する複数の信号線6は、1つの読み出しIC16に接続されるようになっている。すなわち、上側ブロック領域P1には、複数の読み出しIC16aが配置され、下側ブロック領域P2には、複数の読み出しIC16bが配置されている。
【0106】
また、本実施形態において、バイアス線9は、上下方向に沿って延在しており、検出部Pにおける上下方向略中央の位置で、上側ブロック領域P1に配置されるバイアス線9と、下側ブロック領域P2に配置されるバイアス線9とに分断されている。
そして、上側ブロック領域P1に配置されている各バイアス線9は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも上側に延設されて、検出部Pよりも上側の位置でそれぞれ結線10に結束されている。
また、下側ブロック領域P2に配置されている各バイアス線9は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも下側に延設されて、検出部Pよりも下側の位置でそれぞれ結線10に結束されている。
【0107】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数のバイアス線9は、所定の本数ごと(例えば、128本や256本ごと)に組になっている。
具体的には、バイアス線9は、同じ組に属する複数の信号線6に接続されている各放射線検出素子7と接続するバイアス線9ごとに組になっている。すなわち、同じ組に属する複数の信号線6に接続されている各放射線検出素子7は、同じ組に属する複数のバイアス線9と接続している。
【0108】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数のバイアス線9は、所定の本数ごとに1本の結線10で結束されている。
具体的には、図18に示すように、同じ組に属する複数のバイアス線9のうち、左側の所定本数分が、1本の結線10に結束されている。当該1本の結線10は、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11のうち最も左側に位置する入出力端子11の左側に近接して配置された入出力端子11に接続されている。そして、この入出力端子11、すなわち当該1本の結線10に接続する入出力端子11は、例えば、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11と同一のフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。
【0109】
また、図18に示すように、同じ組に属する複数のバイアス線9のうち、右側の所定本数分が、1本の結線10に結束されている。当該1本の結線10は、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11のうち最も右側に位置する入出力端子11の右側に近接して配置された入出力端子11に接続されている。そして、この入出力端子11、すなわち当該1本の結線10に接続する入出力端子11は、例えば、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11と同一のフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。
【0110】
また、本実施形態において、走査線5は、左右方向に沿って延在している。走査線5のうち、検出部Pにおける上下方向略中央よりも上側に配設されている走査線5は、上側ブロック領域P1に配置されており、検出部Pにおける上下方向略中央よりも下側に配設されている走査線5は、下側ブロック領域P2に配置されている。
そして、上側ブロック領域P1に配置されている走査線5と、下側ブロック領域P2に配置されている走査線5とはともに、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも左側に延設されて、検出部Pよりも左側の位置でそれぞれ入出力端子11に接続されている。
【0111】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数の走査線5は、所定の本数ごと(例えば、128本や256本ごと)に組になっている。同じ組に属する複数の走査線5に接続された各入出力端子11は、互いに近接して配置されている。
同じ組に属する複数の走査線5に接続された各入出力端子11は、1つのフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。そして、同じ組に属する複数の走査線5は、1つのゲートIC15cに接続されるようになっている。すなわち、上側ブロック領域P1には、複数のゲートIC15cが並設されて構成されるゲートドライバ15baが配置され、下側ブロック領域P2には、複数のゲートIC15cが並設されて構成されるゲートドライバ15bbが配置されている。
【0112】
なお、本実施形態では、上側ブロック領域P1に5組の複数の走査線5が配置されているとともに、下側ブロック領域P2に5組の複数の走査線5が配置され、走査線5が256本ごとに1組とされていることとする。すなわち、上側ブロック領域P1に配置されているゲートドライバ15baは5つのゲートIC15cが並設されて構成されているとともに、下側ブロック領域P2に配置されているゲートドライバ15bbは5つのゲートIC15cが並設されて構成されており、各ゲートIC15cには256本の走査線5が接続されていることとするが、これに限定されるものではない。
【0113】
[アクティブな状態の端子について]
次に、本実施形態における走査駆動手段15のゲートドライバ15bの構成や駆動のさせ方について説明する。
図20は、本実施形態に係る走査駆動手段15の構成およびゲートドライバ15bに対する配線などを表す図である。なお、図20では、入出力端子11等の図示が省略されている。
【0114】
本実施形態において、走査駆動手段15のゲートドライバ15bは、複数のゲートIC15cが並設されて構成されている。
各ゲートIC15cには、電源回路15aからオン電圧を供給する配線Lonを介してオン電圧が供給される。また、各ゲートIC15cには、電源回路15aから図示しない別の配線を介してオフ電圧が供給される。そして、この配線Lonとオフ電圧を供給する配線とで、配線15d(図7参照)が構成されている。
【0115】
また、図20に示すように、本実施形態において、各ゲートIC15cの両端部には、それぞれ配線Lse1と配線Lse2とが接続されている。そして、各配線Lse1、Lse2は、それぞれ制御手段22に接続されている。
また、各ゲートIC15cには、制御手段22からの配線Lshがそれぞれ接続されている。
【0116】
各ゲートIC15cの配線Lse1からシード信号が入力されると、各ゲートIC15cの図中上端の端子がアクティブな状態となる。そして、電源回路15aから配線Lonを介してオン電圧が供給されると、アクティブな状態の端子にオン電圧が印加され、当該端子に走査線5が接続されていれば、その走査線5にオン電圧が印加される。
【0117】
次いで、配線Lshを介してシフト信号が入力されると、アクティブな状態となる端子が、この場合は図中の1つ下側の端子に移動する。そして、その状態で、電源回路15aから配線Lonを介してオン電圧が供給されると、アクティブな状態の端子にオン電圧が印加され、当該端子に走査線5が接続されていれば、その走査線5にオン電圧が印加される。
【0118】
このようにして、各ゲートIC15cは、配線Lse1を介してゲートIC15cにシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力することで、アクティブな状態の端子を1つずつ移動させることができるように構成されている。
また、各端子がアクティブな状態となるごとに配線Lonを介して電源回路15aからオン電圧を供給することで、各端子にオン電圧を順次印加し、各端子に接続されている各走査線5にオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0119】
そして、本実施形態においては、配線Lse1側から各ゲートIC15cにシード信号を入力すると、各ゲートIC15cの図中下端の端子がアクティブな状態とされた次のタイミングで配線Lse2からシード信号が出力されるように構成されている。
【0120】
これにより、例えば、図20中の最も上側のゲートIC15cに配線Lse1からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を下側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse2を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、上から2番目のゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。
そして、配線Lshを介して上から2番目のゲートIC15cにシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を下側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse2を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、上から3番目のゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、上側のラインから順に下側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0121】
また、本実施形態においては、上記とは逆に、配線Lse2側から各ゲートIC15cにシード信号を入力して、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力すると、今度は、各ゲートIC15cの図中下側の端子から順にアクティブな状態の端子が上側にシフトしていくように構成されている。
【0122】
これにより、例えば、図20中の最も下側のゲートIC15cに配線Lse2からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を上側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse1を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、下から2番目のゲートIC15cに配線Lse2を介してシード信号を入力する。
そして、配線Lshを介して下から2番目のゲートIC15cにシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を上側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse1を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、下から3番目のゲートIC15cに配線Lse2を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、下側のラインから順に上側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0123】
なお、本実施形態では、例えば図19に太矢印で示すように、上側ブロック領域P1において、アクティブな状態の端子が上側から下側へとシフトし、下側ブロック領域P2において、アクティブな状態の端子が下側から上側へとシフトするように構成されている。すなわち、各ブロック領域P1、P2において、アクティブな状態の端子が外側から内側へとそれぞれシフトするように構成されているが、これに限ることはなく、アクティブな状態の端子が内側から外側へとそれぞれシフトするように構成することも可能である。
【0124】
[非接続の端子について]
ところで、ゲートドライバ15bを構成する各ゲートIC15cの1つ(或いは複数)に、走査線5が接続されていない、いわゆる非接続の端子tが複数(或いは1つ)存在する場合がある。
【0125】
なお、本実施形態では、図19や図20に示すように、上側ブロック領域P1に配置されているゲートドライバ15baを構成するゲートIC15cのうち最も上側のゲートIC15cに非接続の端子tが存在するとともに、下側ブロック領域P2に配置されているゲートドライバ15bbを構成するゲートIC15cのうち最も下側のゲートIC15cに非接続の端子tが存在することとする。
すなわち、各ブロック領域P1、P2において、最も外側のゲートIC15cに非接続の端子tが存在することとするが、これに限定されるものではなく、非接続の端子tを有するゲートIC15cの位置や個数は任意である。
【0126】
また、本実施形態では、各ゲートIC15cは256個の端子を有し、上側ブロック領域P1における最も上側のゲートIC15cが有する256個の端子のうち上側の64個の端子が非接続の端子tであるとともに、下側ブロック領域P2における最も下側のゲートIC15cが有する256個の端子のうち下側の64個の端子が非接続の端子tであることとする。
すなわち、各ゲートドライバ15bはそれぞれ5個のゲートIC15cにより構成されるので、各ブロック領域P1、P2において、ゲートドライバ15bはそれぞれ1280個(=256×5)の端子を有し、1280個の端子のうち外側の64個の端子が非接続の端子tであることとするが、これに限定されるものではなく、ゲートドライバ15bが有する端子の個数、ゲートドライバ15bにおける非接続の端子tの位置や個数は任意である。なお、図19や図20では、便宜上、各ブロック領域P1、P2において外側の8個の端子が非接続の端子tとなっている。
【0127】
したがって、本実施形態において、上側ブロック領域P1に配置されている走査線5の本数は、1216本(=1280−64)であり、そのうち上側の192本(=256−64)の走査線5は、192本で1組となっている。
すなわち、各ゲートIC15cは256個の端子を有しているが、上側ブロック領域P1に配置されているゲートドライバ15baを構成するゲートIC15cのうち、最も上側のゲートIC15cには192本の走査線5が接続され、他のゲートIC15cには256本の走査線5が接続されている。
【0128】
また、本実施形態において、下側ブロック領域P2に配置されている走査線5の本数は、1216本(=1280−64)であり、そのうち下側の192本(=256−64)の走査線5は、192本で1組となっている。
すなわち、各ゲートIC15cは256個の端子を有しているが、下側ブロック領域P2に配置されているゲートドライバ15baを構成するゲートIC15cのうち、最も下側のゲートIC15cには192本の走査線5が接続され、他のゲートIC15cには256本の走査線5が接続されている。
【0129】
[通常シフト処理および高速シフト処理について]
次に、本実施形態における通常シフト処理および高速シフト処理について説明する。
本実施形態においては、放射線画像撮影前に放射線の照射開始を検出するため、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータ読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成されている。
【0130】
具体的には、制御手段22は、上側ブロック領域P1において、一の端子がアクティブな状態になると、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。当該リークデータ読み出し処理では、上側ブロック領域P1に配置されている全放射線検出素子7からリークする電荷qに基づくリークデータdleakが読み出される。また、当該リセット処理では、当該一の端子、すなわちアクティブな状態の端子と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7がリセットされる。
次いで、上側ブロック領域P1において、当該一の端子よりも1つ内側(1つ下側)の端子がアクティブな状態になると、制御手段22は、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。
【0131】
このような制御が繰り返し行われることで、上側ブロック領域P1において、最も内側(最も下側)の端子がアクティブな状態になり、リークデータ読み出し処理とリセット処理とが行われると、再び最も外側(最も上側)の端子がアクティブな状態になる。そして、同様の制御が繰り返し行われる。
【0132】
また、下側ブロック領域P2においても同様に、制御手段22は、一の端子がアクティブな状態になると、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。当該リークデータ読み出し処理では、下側ブロック領域P2に配置されている全放射線検出素子7からリークする電荷qに基づくリークデータdleakが読み出される。また、当該リセット処理では、当該一の端子、すなわちアクティブな状態の端子と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7がリセットされる。
次いで、下側ブロック領域P2において、当該一の端子よりも1つ内側(1つ上側)の端子がアクティブな状態になると、制御手段22は、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。
【0133】
このような制御が繰り返し行われることで、下側ブロック領域P2において、最も内側(最も上側)の端子がアクティブな状態になり、リークデータ読み出し処理とリセット処理とが行われると、再び最も外側(最も下側)の端子がアクティブな状態になる。そして、同様の制御が繰り返し行われる。
【0134】
その際、非接続の端子tには走査線5が接続されていないため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合、リセット処理を行ってアクティブな状態の非接続の端子tにオン電圧を印加しても、走査線5の何れのラインL1〜Lxにもオン電圧が印加されない。すなわち、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、無駄にリセット処理を行うことになる。
【0135】
また、リセット処理は、放射線検出素子7自体の熱による熱励起等により発生する、いわゆる暗電荷を各放射線検出素子7内から除去するために行われる。しかし、前述したように、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、その間に、暗電荷が各放射線検出素子7内に徐々に蓄積していくので、暗電荷が無駄に多く蓄積されてしまうことになる。
【0136】
そこで、本実施形態においては、非接続の端子tがアクティブな状態である場合、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わずアクティブな状態の端子を高速にシフトさせて、何れの放射線検出素子7もリセットされない期間を短縮することとする。
【0137】
すなわち、制御手段22は、ゲートドライバ15bの端子(具体的には、ゲートドライバ15bを構成する各ゲートIC15cの端子)のうち走査線5と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行する。
【0138】
また、制御手段22は、ゲートドライバ15bの端子(具体的には、ゲートドライバ15bを構成する各ゲートIC15cの端子)のうち非接続の端子tがアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせず、直ちにアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行する。すなわち、高速シフト処理では、通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子がシフトされる。また、高速シフト処理では、非接続の端子tをアクティブな状態とするだけで、当該非接続の端子tにはオン電圧は印加されない。
【0139】
より具体的に、本実施形態における通常シフト処理および高速シフト処理について、図21〜図23を参照して説明する。
なお、図21〜図23および後述する図24や図25における、「L」、「R」、リークデータ読み出し処理(「L」)の後ろにある斜線部分、「1〜64」や「65」などの数字等については、図26等と同様であるので、その説明は省略する。
【0140】
前述したように、本実施形態では、各ブロック領域P1、P2において、アクティブな状態となる端子が外側から内側へとそれぞれシフトするように構成されている。
また、前述したように、本実施形態では、各ブロック領域P1、P2において、ゲートドライバ15bはそれぞれ1280個の端子を有し、1280個の端子のうち外側の64個の端子が非接続の端子tである。
【0141】
ここで、本実施形態においては、上側ブロック領域P1に配置されている放射線検出素子7から読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングと、下側ブロック領域P2に配置されている放射線検出素子7から読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングとがずれるように、通常シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。これにより、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングと、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングとが同時である場合と比較して、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを的確に判定することが可能となる。
【0142】
なお、本実施形態では、上側ブロック領域P1における通常シフト処理の開始タイミングよりも、下側ブロック領域P2における通常シフト処理の開始タイミングが遅い場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、下側ブロック領域P2における通常シフト処理の開始タイミングよりも、上側ブロック領域P1における通常シフト処理の開始タイミングが早くなるように構成することも可能である。
【0143】
また、本実施形態において、制御手段22は、高速シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに同一のタイミングで開始するように構成されている。
【0144】
具体的には、図21に示すように、上側ブロック領域P1においては、まず、アクティブな状態の端子が「上から1番目の端子(最も外側の端子)」から「上から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」へとシフトさせる。
【0145】
また、下側ブロック領域P2においても、上側ブロック領域P1と同じタイミングで、アクティブな状態の端子が「下から1番目の端子(最も外側の端子)」から「下から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「下から1番目の端子」から「下から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「下から1番目の端子」から「下から64番目の端子」へとシフトさせる。
【0146】
次いで、上側ブロック領域P1においては、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」は走査線5が接続されている端子であるため、制御手段22は、通常シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」へとシフトさせる。
【0147】
次いで、「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「上から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、再度「上から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0148】
一方、下側ブロック領域P2においても同様に、通常シフト処理が実行されて、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトするが、制御手段22は、上側ブロック領域P1における一連の通常シフト処理を開始してから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、下側ブロック領域P2における一連の通常シフト処理を開始する。
【0149】
次いで、「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「下から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、再度「下から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0150】
なお、通常シフト処理において、一の端子がアクティブな状態になっている時間は、例えば2m秒である。
また、高速シフト処理において、一の端子がアクティブな状態になっている時間は、例えば5μ秒である。したがって、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」までの一連の高速シフト処理に要する時間は、320μ秒(=5μ秒×64)となる。
【0151】
そして、本実施形態においては、各待機時間を揃えることで、通常シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始され、高速シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成されている。
なお、通常シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始され、高速シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成可能であれば、各待機時間はそれぞれ異なってもよい。
【0152】
また、各待機時間、通常シフト処理において一の端子がアクティブな状態になっている時間、高速シフト処理において一の端子がアクティブな状態になっている時間等は、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定と、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定とを交互に行うことができるのであれば任意である。
【0153】
そして、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定、或いは、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定で、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったと判定して、放射線の照射開始を検出すると、制御手段22は、電荷蓄積状態に移行し、その後、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0154】
具体的には、例えば図22に示すように、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
【0155】
本実施形態において、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図22に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理の後に行われるリセット処理、すなわちアクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、当該リークデータ読み出し処理の後に行われるリセット処理、すなわちアクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「上から130番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0156】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0157】
具体的には、図22に示す例の場合は、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0158】
その際、図22に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から129番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から129番目の端子」から順に、すなわち「下から129番目の端子」→「下から130番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図22に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から130番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から130番目の端子」から順に、すなわち「上から130番目の端子」→「上から131番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0159】
一方、例えば図23に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
【0160】
前述したように、本実施形態において、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図23に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「下から1280番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、「上から1番目の端子」をアクティブな状態にして高速シフト処理の開始を待機している状態にあるので、所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、高速シフト処理を開始せずそのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0161】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0162】
具体的には、図23に示す例の場合は、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0163】
その際、図23に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から1280番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から1280番目の端子」から順に、すなわち「下から1280番目の端子」→「下から1番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図23に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から1番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から1番目の端子」から順に、すなわち「上から1番目の端子」→「上から2番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0164】
図23に示す例の場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から1280番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から2番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べただけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0165】
例えば、通常シフト処理と同様、高速シフト処理も、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている場合、画像データ読み出し処理で画像データを読み出す位置が、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで対応しなくなることがある。
【0166】
具体的には、図28に示すように、最終接続端子(図28の場合は「下から1280番目の端子」)がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合、当該検出の時点では、処理が後から開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は下側ブロック領域P2)では高速シフト処理は再開されていないが、処理が先に開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は上側ブロック領域P1)では当該高速シフト処理に対応する高速シフト処理が終了し、その後に行われる通常シフト処理が再開されている。そのため、当該検出の時点では、処理が後から開始されるブロック領域よりも、処理が先に開始されるブロック領域の方が、アクティブな状態の端子の位置が複数端子分(図28に示す例の場合は65端子分)進んでおり、その後に行われる画像データ読み出し処理の際に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しなくなる。したがって、画像データを読み出された順に並べただけでは、読み出された画像データを整合した状態に並べることができない。そのため、読み出された画像データを整合した状態に並べるためには、例えば、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等、処理が煩雑になるという問題がある。
【0167】
これに対し、本実施形態のように、高速シフト処理を上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに同一のタイミングで開始するように構成することによって、常に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。すなわち、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0168】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、通常シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始するとともに、高速シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始するように構成されている。
【0169】
すなわち、高速シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成されているので、最終接続端子(すなわち、処理が後から開始されるブロック領域に配置された走査線5が接続されている端子のうち、非接続の端子tをアクティブな状態にする直前にアクティブな状態にされる端子)がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合であっても、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0170】
したがって、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleak、すなわち最終リークデータ(後述)に基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等の煩雑な処理を行わなくても、高速シフト処理を各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成するだけの簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【0171】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を外側から内側へとそれぞれシフトさせるように構成されている。
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を内側から外側へとそれぞれシフトさせるように構成することも可能である。
【0172】
画像データ読み出し処理に携わる機能部を構成する半導体等の安定性が、読み出された画像データに基づく画像の品質に大きく影響する場合等には、アクティブな状態となる端子を外側から内側へとシフトさせた方が、特に重要な情報が含まれることの多い内側部分の画像としてより高品質な画像を得ることができる。
一方、画像データ読み出し処理の間に蓄積される暗電荷が、読み出された画像データに基づく画像の品質に大きく影響する場合等には、アクティブな状態となる端子を内側から外側へとシフトさせた方が、特に重要な情報が含まれることの多い内側部分の画像としてより高品質な画像を得ることができる。
【0173】
ここで、1枚の画像の中で、特に重要な情報が含まれることの多い部分は内側部分(中央部分)である。
【0174】
各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を外側から内側へとそれぞれシフトさせるように構成した場合、一連の画像データ読み出し処理において、内側部分(中央部分)の画像の画像データは後から読み出されることになる。一連の画像データ読み出し処理を開始し各画像データ読み出し処理を繰り返すうちに画像データ読み出し処理に携わる機能部を構成する半導体等が安定していくので、内側部分の画像の画像データを後から読み出すことで、内側部分の画像の画像データを、外側部分の画像の画像データよりも安定した状態で読み出すことができる。
【0175】
一方、各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を内側から外側へとそれぞれシフトさせるように構成した場合、一連の画像データ読み出し処理において、内側部分(中央部分)の画像の画像データは先に読み出されることになる。TFT8がオフ状態である期間が長いほど放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷の量が多くなるので、内側部分の画像の画像データを先に読み出すことで、内側部分の画像の画像データを、外側部分の画像の画像データよりも重畳されている暗電荷の量が少ない状態で読み出すことができる。
【0176】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。
なお、第2実施形態においては、高速シフト処理を開始するタイミングや、最終リークデータ(後述)が閾値dleak_thを上回った場合には放射線の照射開始を検出しない点などが、第1実施形態と異なる。したがって、第1実施形態と同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0177】
本実施形態において、制御手段22は、第1実施形態の場合と異なり、高速シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
すなわち、制御手段22は、通常シフト処理も高速シフト処理も、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
【0178】
具体的には、従来の場合と同様、図26に示すように、上側ブロック領域P1においては、まず、アクティブな状態の端子が「上から1番目の端子(最も外側の端子)」から「上から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」へとシフトさせる。
【0179】
次いで、上側ブロック領域P1においては、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」は走査線5が接続されている端子であるため、制御手段22は、通常シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」へとシフトさせる。
【0180】
次いで、「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「上から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、再度「上から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0181】
一方、図26に示すように、下側ブロック領域P2においては、上側ブロック領域P1における処理が開始されてから所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、下側ブロック領域P2における処理が開始される。
【0182】
そして、まず、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「下から1番目の端子(最も外側の端子)」から「下から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトさせる。
次いで、制御手段22は、通常シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「下から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトさせる。
次いで、「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「下から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、再度「下から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0183】
そして、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定、或いは、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定で、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったと判定して、放射線の照射開始を検出すると、制御手段22は、電荷蓄積状態に移行し、その後、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0184】
具体的には、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったとする。
【0185】
ここで、本実施形態においては、最終リークデータ(後述)が閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成されている。ここで、高速シフト処理が後から開始されるブロック領域(本実施形態の場合は下側ブロック領域P2)におけるリークデータ読み出し処理で読み出されるリークデータdleakのうち、高速シフト処理の直前に行われるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを、「最終リークデータ」と称する。
しかし、本実施形態の場合、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakは、最終リークデータではない。したがって、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回った場合には、制御手段22は、放射線の照射開始を検出する。
【0186】
すなわち、本実施形態において、制御手段22は、最終リークデータ以外のリークデータdleakが閾値dleak_thを上回った場合には、従来の場合と同様、例えば図27に示すような制御を行う。
【0187】
本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図27に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、アクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「上から130番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0188】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0189】
具体的には、図27に示す例の場合は、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0190】
その際、図27に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から129番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から129番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図27に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から130番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から130番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0191】
一方、例えば図24に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったとする。
【0192】
前述したように、本実施形態においては、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成されている。アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakは、最終リークデータである。したがって、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回っても、制御手段22は、放射線の照射開始を検出しない。
【0193】
そして、この場合、制御手段22は、最終リークデータの次に読み出されるリークデータdleak、すなわち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域(本実施形態の場合は上側ブロック領域P1)におけるリークデータ読み出し処理で読み出されるリークデータdleakのうち高速シフト処理の直後に行われるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて、放射線の照射開始を検出する。
したがって、図24に示す例の場合、「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて、放射線の照射開始が検出される。
【0194】
前述したように、本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図24に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、下側ブロック領域P2においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「下から65番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0195】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0196】
具体的には、図24に示す例の場合は、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0197】
その際、図24に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から65番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図24に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から65番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0198】
図24に示す例の場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「上から65番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から65番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から66番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から66番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べただけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0199】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、通常シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始するとともに、高速シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始し、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成されている。
【0200】
すなわち、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射が開始されたことを検出しないように構成されており、最終リークデータ、すなわち最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されないので、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0201】
したがって、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleak、すなわち最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等の煩雑な処理を行わなくても、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成するだけの簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【0202】
なお、この他の点は第1実施形態で示した作用・効果と同様であるので、その説明は省略する。
【0203】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。
なお、第3実施形態においては、高速シフト処理を開始するタイミングや、ゲートクリア処理(後述)を行う点などが、第1実施形態と異なる。したがって、第1実施形態と同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0204】
本実施形態において、制御手段22は、第1実施形態の場合と異なり、高速シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
すなわち、制御手段22は、第2実施形態の場合と同様、通常シフト処理も高速シフト処理も、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
【0205】
なお、本実施形態においては、通常シフト処理や高速シフト処理を開始するタイミング(例えば図26参照)、最終リークデータ以外のリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出した場合の制御(例えば図27参照)は、従来の場合や第2実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0206】
一方、例えば図25に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
すなわち、制御手段22が、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出したとする。
【0207】
本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図25に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「上から65番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0208】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始される。
【0209】
本実施形態において、制御手段22は、一連の画像データ読み出し処理が開始される前に、当該一連の画像データ読み出し処理のうち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域(本実施形態の場合は上側ブロック領域P1)における画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子(本実施形態の場合は「上から1番目の端子」)から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させることができるように、高速シフト処理が先に開始されるブロック領域に対してゲートクリア処理を行うように構成されている。
【0210】
ゲートクリア処理とは、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブゲートIC(後述)が有する残りの端子(後述)内でアクティブな状態となる端子を高速にシフトさせる。そして、当該アクティブゲートICが有する端子のうち最初にアクティブな状態となる端子を再びアクティブな状態にする処理のことである。
ここで、高速シフト処理が先に開始されるブロック領域(本実施形態の場合は上側ブロック領域P1)に配置されているゲートドライバ15b(本実施形態の場合はゲートドライバ15ba)を構成するゲートIC15cのうち、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された時点でアクティブな状態になっていた端子を有するゲートIC15cを、「アクティブゲートIC」と称する。また、アクティブゲートICが有する端子のうち、当該検出の時点でアクティブな状態になっていた端子以降にアクティブな状態とされる端子を、「残りの端子」と称する。
【0211】
本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、配線Lse1側から各ゲートIC15cにシード信号を入力すると、各ゲートIC15cの下端の端子がアクティブな状態とされた次のタイミングで配線Lse2からシード信号が出力されるように構成されている。
【0212】
これにより、例えば、図20中の最も上側のゲートIC15cに配線Lse1からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を下側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse2を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、上から2番目のゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、上側のラインから順に下側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0213】
また、本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、上記とは逆に、配線Lse2側から各ゲートIC15cにシード信号を入力して、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力すると、今度は、各ゲートIC15cの下側の端子から順にアクティブな状態の端子が上側にシフトしていくように構成されている。
【0214】
これにより、例えば、図20中の最も下側のゲートIC15cに配線Lse2からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を上側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse1を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、下から2番目のゲートIC15cに配線Lse2を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、下側のラインから順に上側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0215】
すなわち、本実施形態において、制御手段22は、第1実施形態の場合と同様、1つのゲートIC15cの配線Lse2または配線Lse1からシード信号が出力されたタイミングと同じタイミングで、次のゲートIC15cに配線Lse1または配線Lse2を介してシード信号を入力するように構成されている。
これにより、本実施形態のように、アクティブな状態の端子を外側から内側へとシフトさせる場合には、各ブロック領域P1、P2においてシフト信号が入力されるゲートIC15cを外側から内側へとそれぞれシフトさせるように構成される。或いは、アクティブな状態の端子を内側から外側へとシフトさせる場合には、各ブロック領域P1、P2においてシフト信号が入力されるゲートIC15cを内側から外側へとそれぞれシフトさせるように構成される。
【0216】
ただし、本実施形態において、制御手段22は、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、ゲートクリア処理を行って、アクティブゲートICの配線Lse2または配線Lse1からシード信号が出力されたタイミングと同じタイミングで、次のゲートIC15cではなく当該アクティブゲートICに配線Lse1または配線Lse2を介してシード信号を入力するように構成されている。
これにより、アクティブゲートICが有する端子のうち最初にアクティブな状態となる端子(本実施形態の場合は「上から1番目の端子」)を再びアクティブな状態にすることが可能となる。
【0217】
具体的には、図25に示す例の場合、ゲートクリア処理が行われる上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、アクティブゲートICは当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15cとなり、アクティブゲートICが有する残りの端子は、当該「上から65番目の端子」から「上から256番目の端子」となる。
したがって、制御手段22は、ゲートクリア処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から65番目の端子」から「上から256番目の端子」へとシフトさせる。その際、高速シフト処理の場合と同様、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブな状態の端子を高速にシフトさせる。
【0218】
次いで、制御手段22は、引き続きゲートクリア処理を行って、当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15c(すなわち、アクティブゲートIC)の配線Lse2からシード信号が出力されたタイミングと同じタイミングで、当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。これにより、当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15cが有する端子のうち最初にアクティブな状態となる端子、すなわち「上から1番目の端子」が再びアクティブな状態となる。
【0219】
次いで、図25に示す例の場合は、下側ブロック領域P2に配置されている放射線検出素子7から読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0220】
その際、図25に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から1280番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から1280番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図25に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、ゲートクリア処理の実行により「上から1番目の端子」がアクティブな状態になっているので、制御手段22は、当該「上から1番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0221】
図25に示す例の場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から1280番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から2番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べただけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0222】
以上説明したように、本実施形態によれば、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、ゲートクリア処理を行って、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域における画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させるように構成することによって、常に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。すなわち、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0223】
したがって、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleak、すなわち最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等の煩雑な処理を行わなくても、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された場合には、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域における画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させるように構成するだけの簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【0224】
なお、この他の点は第1実施形態で示した作用・効果と同様であるので、その説明は省略する。
【0225】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨から逸脱しない限り、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0226】
例えば、上記実施形態では、検出部Pを2つのブロック領域で構成したが、これに限定されるものではなく、検出部Pを構成するブロック領域の個数は複数であれば任意である。
検出部Pが3つ以上のブロック領域で構成される場合、本発明でいう「高速シフト処理が後から開始されるブロック領域」は、高速シフト処理を最初に開始するブロック領域以外のブロック領域のことを指す。また、本発明でいう「高速シフト処理が先に開始されるブロック領域」は、高速シフト処理を最後に開始するブロック領域以外のブロック領域であって、放射線の照射開始が検出された後にゲートクリア処理を行わないと、その後に行われる画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子以外の端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させることになるブロック領域のことを指す。
【0227】
また、各ゲートドライバ15bにおける非接続の端子tの位置や個数はそれぞれ任意である。
ゲートドライバ15bが有する非接続の端子tの個数が1個である場合等、両隣に配置された端子が走査線5と接続する端子である非接続の端子tが存在する場合、本発明でいう「高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子」は、当該非接続の端子tのことを指す。
【0228】
また、例えば、本発明でいう「リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出」には、リークデータdleakが閾値dleak_thを上回った時点で放射線の照射開始を検出する場合も、検出手法A等により放射線の照射開始を検出する場合も含まれる。
【符号の説明】
【0229】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
15a 電源回路
15b ゲートドライバ
17 読み出し回路
22 制御手段
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
P 検出部
P1、P2 ブロック領域
q リークした電荷
r 小領域
t 非接続の端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置が自ら放射線の照射を検出して放射線画像撮影を行う放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成された、いわゆる専用機型として構成されていた(例えば特許文献1参照)。そして、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図7等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」という。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
そして、通常、放射線画像撮影は、放射線発生装置の放射線源から放射線画像撮影装置に対して、被験者の身体等の所定の撮影部位(すなわち胸部正面や腰椎側面等)を介した状態で放射線が照射されて行われる。
【0005】
その際、放射線画像撮影装置の走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して全てのTFT8をオフ状態とした状態で放射線を照射することで、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷が、各放射線検出素子7内に的確に蓄積される。
そして、放射線画像撮影の後、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、各読み出し回路17で画像データとしてそれぞれ読み出すように構成される。
【0006】
ところで、上記のように、放射線画像撮影が的確に行われるためには、放射線画像撮影装置に放射線が照射される際に、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxに適切にオフ電圧が印加され、スイッチ手段である各TFT8がオフ状態になることが必要となる。
そこで、例えば従来の専用機型の放射線画像撮影装置等では、放射線発生装置との間でインターフェースを構築し、互いに信号等をやり取りして、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して電荷蓄積状態になったことを確認したうえで、放射線源から放射線を照射させるように構成される場合が多い。
【0007】
しかし、例えば、放射線画像撮影装置と放射線発生装置との製造メーカーが異なっているような場合には、両者の間でインターフェースを構築することが必ずしも容易でない場合がある。また、インターフェースを構築できない場合もある。
このように放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されない場合、放射線画像撮影装置側から見ると、放射線源からどのようなタイミングで放射線が照射されるかが分からない。そのため、放射線源から放射線が照射されたことを、放射線画像撮影装置が自ら検出しなければならなくなる。
【0008】
そこで、近年、このような放射線画像撮影装置と放射線発生装置との間のインターフェースによらずに、放射線が照射されたことを自ら検出するように構成された放射線画像撮影装置が種々開発されている。
例えば、特許文献4や特許文献5に記載の発明では、放射線画像撮影装置に対する放射線の照射が開始されて各放射線検出素子7内に電荷が発生すると、各放射線検出素子7から、各放射線検出素子7に接続されているバイアス線9(後述する図7等参照)に電荷が流れ出してバイアス線9を流れる電流が増加することを利用して、バイアス線9に電流検出手段を設けてバイアス線9内を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】米国特許第7211803号明細書
【特許文献5】特開2009−219538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本発明者らの研究で、上記の手法は、バイアス線9が各放射線検出素子7の電極に接続されているため、電流検出手段で発生したノイズがバイアス線9を介して各放射線検出素子7に伝わり、放射線検出素子7から読み出される画像データにノイズとして重畳される場合があるなど、必ずしも解決が容易でない問題があることが分かってきた。
そして、本発明者らは、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを検出する別の手法について種々研究を重ねた結果、放射線画像撮影装置自体で放射線が照射されたことを的確に検出することが可能ないくつかの新たな手法を見出すことができた。
【0011】
これらの新たな手法については本願出願時点では公知ではないが、後述するように、本発明者らが見出した新たな放射線の照射開始の検出方法のうちの一つでは、放射線画像撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから全ての走査線5にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で読み出し回路17に読み出し動作を行わせ、TFT8を介して放射線検出素子7からリークした電荷q(後述する図11参照)をリークデータdleakに変換するリークデータ読み出し処理を行うように構成される。
そして、放射線画像撮影装置に放射線が照射されると、読み出されるリークデータdleakの値が上昇するため、それを利用して、読み出されたリークデータdleakの値に基づいて放射線画像撮影装置に対する放射線の照射開始を検出するように構成される。
【0012】
その際、前述したように、リークデータ読み出し処理では各TFT8がオフ状態とされるが、各TFT8がオフ状態のままであると、放射線検出素子7自体の熱(温度)による熱励起等により常時発生している、いわゆる暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積されてしまう。
そのため、後述するように、ゲートドライバ15bから走査線5にオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7内から暗電荷を除去する各放射線検出素子7のリセット処理を、リークデータ読み出し処理と交互に繰り返し行うように構成される。
【0013】
ところで、各放射線検出素子7のリセット処理においては、通常、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加させて、オン電圧を印加する走査線5をシフトさせながら、オン状態とするTFT8を順次切り替えて各放射線検出素子7を次々とリセットしていく。
その際、図19に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15bに、走査線5が接続されていない、いわゆる非接続の端子tが存在する場合がある。このような場合、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加するために、アクティブな状態の端子をシフトさせてオン電圧を印加する端子を順次切り替えていくと、非接続の端子tにオン電圧が印加される期間が生じる。
【0014】
しかし、非接続の端子tには走査線5が接続されていないため、非接続の端子tにオン電圧が印加されている間、すなわち非接続の端子tがアクティブな状態である間は、リセット処理を行ってアクティブな状態の非接続の端子tにオン電圧を印加しても、走査線5の何れのラインL1〜Lxにもオン電圧が印加されない。すなわち、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない状態になる。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、無駄にリセット処理を行うことになる。
【0015】
また、リセット処理は、放射線検出素子7自体の熱による熱励起等により発生する暗電荷を各放射線検出素子7内から除去するために行われる。しかし、前述したように、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない状態になる。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、その間に、暗電荷が各放射線検出素子7内に徐々に蓄積していくので、暗電荷が無駄に多く蓄積されてしまうことになる。
【0016】
そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合には、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブな状態の端子を高速にシフトさせて、何れの放射線検出素子7もリセットされない期間を短縮することが図られている。
【0017】
放射線画像撮影装置が備えるセンサパネルSPでは、通常、基板4上に交差するように配設された複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rにそれぞれ放射線検出素子7が配置され、複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されて検出部Pが形成される。そして、後述する図18に示すように、検出部Pが複数のブロック領域(図18の場合は上側ブロック領域P1および下側ブロック領域P2)から構成されている場合もある。
【0018】
例えば図18に示すように、検出部Pが上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで構成されている場合、図26〜図28に示すように、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで、リークデータ読み出し処理およびリセット処理を実行するように構成される場合が多い。
【0019】
なお、図26〜図28において、「L」はリークデータ読み出し処理を表し、「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表す。
また、図26〜図28において、リークデータ読み出し処理(「L」)の後ろにある斜線部分は、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定する期間を表す。
また、図26〜図28において、「1〜64」や「65」などの数字は、アクティブな状態の端子の位置を表す。すなわち、「1〜64」は、外側から1番目の端子、外側から2番目の端子、・・・、外側から63番目の端子、外側から64番目の端子の順にアクティブな状態の端子になることを表し、「65」は、外側から65番目の端子がアクティブな状態の端子であることを表す。
【0020】
また、図26〜図28では、各ブロック領域P1、P2において、アクティブな状態の端子が外側から内側へとそれぞれシフトするように構成されている場合について示す。
また、図26〜図28では、各ブロック領域P1、P2において、ゲートドライバ15bはそれぞれ1280個の端子を有し、1280個の端子のうち外側の64個の端子が非接続の端子tである場合について示す。
また、図26〜図28では、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理およびリセット処理の開始タイミングよりも、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理およびリセット処理の開始タイミングが遅い場合について示す。
【0021】
このような場合、図26に示すように、上側ブロック領域P1においては、まず、アクティブな状態の端子が「上から1番目の端子(最も外側の端子)」から「上から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブな状態の端子を高速にシフトさせる高速シフト処理が実行される。
次いで、上側ブロック領域P1においては、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」は走査線5が接続されている端子であるため、リークデータ読み出し処理およびリセット処理を行いながら、アクティブな状態の端子をシフトさせる通常シフト処理が実行される。
次いで、「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「上から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になり、再度「上から1番目の端子」から上記と同様の制御が繰り返し行われる。
【0022】
一方、図26に示すように、下側ブロック領域P2においては、上側ブロック領域P1における処理が開始されてから所定の待機時間が経過した後に、下側ブロック領域P2における処理が開始される。そして、まず、高速シフト処理が実行されて、アクティブな状態の端子が「下から1番目の端子(最も外側の端子)」から「下から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。
次いで、下側ブロック領域P2においては、通常シフト処理が実行されて、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。
次いで、「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「下から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になり、再度「下から1番目の端子」から上記と同様の制御が繰り返し行われる。
【0023】
そして、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定、或いは、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定で、放射線の照射開始が検出されると、電荷蓄積状態に移行され、その後、画像データ読み出し処理が開始される。
【0024】
具体的には、例えば図27に示すように、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
【0025】
この場合、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、まず、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始される。そして、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間が経過した後に、上側ブロック処理P1における画像データ読み出し処理が開始される。
【0026】
その際、図27の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から129番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「下から129番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
また、図27の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から130番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「上から130番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
【0027】
一方、例えば図28に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際、すなわちアクティブな状態の端子が最終接続端子(後述)である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
ここで、処理が後から開始されるブロック領域(図28では、下側ブロック領域P2)に配置された走査線5が接続されている端子のうち、非接続の端子tをアクティブな状態にする直前にアクティブな状態にされる端子(図28では、下から1280番目の端子)を、「最終接続端子」と称する。
【0028】
この場合、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、まず、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始される。そして、下側ブロック処理P2における画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間が経過した後に、上側ブロック処理P1における画像データ読み出し処理が開始される。
【0029】
その際、図28の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から1280番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「下から1280番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
また、図28の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、当該「上から65番目の端子」から順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。
【0030】
すなわち、図28の場合、下側ブロック領域P2においては、「下から1280番目の端子」→「下から1番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。これに対し、上側ブロック処理P1においては、「上から65番目の端子」→「上から66番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子がシフトしながら、画像データ読み出し処理が行われる。そのため、図28の場合、読み取った画像データを単に並べただけでは不整合が生じてしまう。
【0031】
具体的には、図27に示すように、最終接続端子以外の端子である「下から129番目の端子」が、アクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
この場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から129番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から130番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から130番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から131番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べるだけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0032】
一方、図28に示すように、最終接続端子である「下から1280番目の端子」が、アクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
この場合、放射線の照射開始が検出された時点では、処理が後から開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は下側ブロック領域P2)では高速シフト処理は再開されていないが、処理が先に開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は上側ブロック領域P1)では当該高速シフト処理に対応する高速シフト処理が終了し、その後に行われる通常シフト処理が再開されている。そのため、当該検出の時点では、処理が後から開始されるブロック領域よりも、処理が先に開始されるブロック領域の方が、アクティブな状態の端子の位置が複数端子分(図28に示す例の場合は65端子分)進んでおり、その後に行われる画像データ読み出し処理の際に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しなくなる。
【0033】
すなわち、その後に行われる画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から1280番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から65番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から66番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出され、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応していない。
したがって、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応していないので、画像データを読み出された順に並べただけでは、読み出された画像データを整合した状態に並べることができない。
【0034】
そのため、読み出された画像データを整合した状態に並べるためには、最終接続端子が、アクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合(図28のような場合)のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならず、処理が煩雑になるという問題がある。
【0035】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、読み出された画像データの不整合を防止することが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに同一のタイミングで開始することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータが、前記閾値を上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないことを特徴とする。
【0038】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち前記高速シフト処理が先に開始される前記ブロック領域における前記画像データ読み出し処理で、前記高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら前記画像データを読み出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、簡易な構成で、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
したがって、簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置のコネクタにケーブルのコネクタを接続した状態を表す斜視図である。
【図4】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図5】図4の基板上の小領域に形成された放射線検出素子やTFTなどの構成を示す拡大図である。
【図6】フレキシブル回路基板やPCB基板などが取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各放射線検出素子のリセット処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】画像データ読み出し処理における電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図11】TFTを介して各放射線検出素子からリークした各電荷がリークデータとして読み出されることを説明する図である。
【図12】リークデータ読み出し処理における電荷リセット用スイッチやTFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図13】放射線画像撮影前にリークデータ読み出し処理とリセット処理とを交互に行うように構成した場合の電荷リセット用スイッチ、パルス信号、TFTのオン/オフのタイミングを表すタイミングチャートである。
【図14】放射線の照射開始の検出の仕方を説明するための図である。
【図15】読み出されるリークデータを時系列的にプロットしたグラフである。
【図16】放射線の照射終了の検出の仕方を説明するための図である。
【図17】放射線の照射が終了するとリークデータが減少することを示すグラフである。
【図18】検出部が2つのブロック領域で構成される場合の放射線画像撮影装置の基板の構成例を示す平面図である。
【図19】非接続の端子を説明するための図である。
【図20】アクティブな状態となる端子のシフトのさせ方について説明するための図である。
【図21】第1実施形態の場合における、高速シフト処理および通常シフト処理の開始のタイミングを説明するための図である。
【図22】第1実施形態の場合における、最終リークデータ以外のリークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる処理を説明するための図である。
【図23】第1実施形態の場合における、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる制御を説明するための図である。
【図24】第2実施形態の場合における、最終リークデータが閾値を上回った場合に行われる制御を説明するための図である。
【図25】第3実施形態の場合における、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる制御を説明するための図である。
【図26】従来の場合、第2実施形態の場合、第3実施形態の場合における、高速シフト処理および通常シフト処理の開始のタイミングを説明するための図である。
【図27】従来の場合、第2実施形態の場合、第3実施形態の場合における、最終リークデータ以外のリークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる処理を説明するための図である。
【図28】従来の場合における、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合に行われる制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではない。また、本発明は図示例に限定されるものでもない。
【0042】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得る、いわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0043】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。
以下、放射線画像撮影装置の基本的な構成について説明し、本実施形態に特有の構成については、基本的な構成を説明した後で説明する。
【0044】
[放射線画像撮影装置の基本的な構成について]
図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。また、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4などで構成されるセンサパネルSPが収納されて構成されている。
【0045】
本実施形態において、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチックなどの材料で形成されている。このハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。
なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フロント板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
【0046】
本実施形態において、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38などが配置されている。
また、本実施形態において、蓋部材2Bには、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態などを表示するLED等で構成されたインジケータ40が配置されている。
【0047】
また、本実施形態において、蓋部材2Bには、例えば図3に示すように、ケーブルCaの先端に設けられたコネクタCが接続され、ケーブルCaを介してコンソール等の外部装置との間で有線通信を行うためのコネクタ39が配置されている。放射線画像撮影装置1は、コンソール等の外部装置との間で有線通信を行って、信号等を送受信したり、画像データ等を送信したりするようになっている。
なお、コネクタ39の設置位置は蓋部材2Bに限定されず、放射線画像撮影装置1の適宜の位置に設置することが可能である。
【0048】
また、図示を省略するが、例えば筐体2の他方側の蓋部材2C等には、コンソール等の外部装置との間で無線通信を行うためのアンテナ装置41(後述する図7参照)が、例えば蓋部材2Cに埋め込む等して設けられている。放射線画像撮影装置1は、コンソール等の外部装置との間で無線通信を行って、信号等を送受信したり、画像データ等を送信したりするようになっている。
なお、アンテナ装置41の設置位置は蓋部材2Cに限定されず、放射線画像撮影装置1の任意の位置にアンテナ装置41を設置することが可能である。また、設置するアンテナ装置41は1個に限らず、複数設けることも可能である。
【0049】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置されている。この基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリ24などが取り付けられている。
また、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側の面には、それらを保護するためのガラス基板34が配設されている。
また、本実施形態においては、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材35が設けられている。
【0050】
シンチレータ3は、基板4の検出部P(後述)に対向する位置に設けられている。本実施形態において、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0051】
本実施形態において、基板4は、ガラス基板で構成されている。この基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、図4に示すように、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。なお、図4に示す基板4の構成は、放射線画像撮影装置1の基本的な構成を説明するためのものであり、本実施形態に特有の構成については後で説明する。
【0052】
基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6とで区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図4に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0053】
本実施形態においては、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
各放射線検出素子7は、図4の拡大図である図5に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0054】
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させる。放射線検出素子7は、このようにして、照射された放射線(本実施形態ではシンチレータ3で放射線から変換された電磁波)を電荷に変換するように構成されている。
【0055】
そして、TFT8は、走査駆動手段15(後述)から、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるように構成されている。
また、TFT8は、走査駆動手段15(後述)から、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を蓄積させるように構成されている。
【0056】
本実施形態においては、図4や図5に示すように、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、図4に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0057】
また、本実施形態において、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、図4に示すように、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(「パッド」ともいう。)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、走査駆動手段15のゲートドライバ15b(後述)を構成するゲートIC15c等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(「Chip On Film」等ともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)などの異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0058】
そして、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板33に接続されている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPが形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0059】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図である。また、図8は、検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0060】
基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極7bにそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれバイアス電圧を印加するように構成されている。
また、バイアス電源14は、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によって、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるように構成されている。
【0061】
図7や図8に示すように、本実施形態においては、バイアス電源14から、放射線検出素子7の第2電極7bにバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極7a側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるように構成されている。
【0062】
走査駆動手段15は、配線15dを介してゲートドライバ15bにオン電圧とオフ電圧とを供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態において、ゲートドライバ15bは、複数のゲートIC15c(図6参照)が並設されて構成されている。
【0063】
図7や図8に示すように、各信号線6は、読み出しIC16内に内蔵された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。
読み出しIC16内には、主に、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19などで構成される読み出し回路17と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とが設けられている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0064】
本実施形態において、増幅回路18は、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列に接続されたコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cと、オペアンプ18a等に電力を供給する電源供給部18dとを備えたチャージアンプ回路で構成されている。
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるように構成されている。
なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
【0065】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるように構成されている。
また、オペアンプ18aと相関二重サンプリング回路19との間には、電荷リセット用スイッチ18cと連動して開閉するスイッチ18eが設けられており、スイッチ18eは、電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフ動作と連動してオフ/オン動作するように構成されている。
【0066】
放射線画像撮影装置1では、各放射線検出素子7内に残存する電荷を各放射線検出素子7内から除去して各放射線検出素子7をリセットするためのリセット処理が行われる場合がある。
各放射線検出素子7のリセット処理の際には、図9に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態(およびスイッチ18eがオフ状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを通過して、オペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出したりする。このようにして、各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。
【0067】
一方、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理の際には、図10に示すように、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(およびスイッチ18eがオン状態)とされた状態で、各TFT8がオン状態とされる。
すると、オン状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から電荷が信号線6に放出され、増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積される。
増幅回路18では、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるように構成されている。すなわち、各放射線検出素子7から流出した電荷は、増幅回路18によって電荷電圧変換される。
【0068】
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が設けられている。
相関二重サンプリング回路19は、各放射線検出素子7から電荷が流出する前に制御手段22からパルス信号Sp1(図10参照)が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持し、各放射線検出素子7から流出した電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積された後に制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0069】
そして、相関二重サンプリング回路19は、2回目のパルス信号Sp2で電圧値Vfiを保持すると、電圧値の差分Vfi−Vinを算出し、算出した差分Vfi−Vinをアナログ値の画像データとして下流側に出力する。このアナログ値の画像データは、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信されて、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換される。そして、記憶手段23に出力されて順次保存される。
【0070】
なお、1回の画像データ読み出し処理が終了すると、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされ(図10参照)、コンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、上記と同様に、放電された電荷がオペアンプ18aの出力端子側からオペアンプ18a内を通り、非反転入力端子から出てアースされたり、電源供給部18dに流れ出したりする等して、増幅回路18がリセットされる。
【0071】
制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御する。
具体的には、制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェースなどがバスに接続されたコンピュータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。なお、制御手段22は、専用の制御回路で構成されていてもよい。
また、図7等に示すように、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)などで構成される記憶手段23が接続されている。
【0072】
また、本実施形態では、制御手段22には、アンテナ装置41が接続されている。
さらに、制御手段22には、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14などの各機能部に電力を供給するためのバッテリ24が接続されている。このバッテリ24には、図示しない充電装置からバッテリ24に電力を供給してバッテリ24を充電する際の接続端子25が取り付けられている。
【0073】
前述したように、制御手段22は、走査駆動手段15や読み出し回路17などを制御して、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理や各放射線検出素子7をリセットするためのリセット処理などを行わせたり、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり可変させたりする等して、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作を制御するように構成されている。
【0074】
[放射線の照射開始の検出について]
本実施形態においては、放射線画像撮影装置1と放射線発生装置との間でインターフェースが構築されず、放射線画像撮影装置1自体で放射線発生装置の放射線源から放射線が照射されたことを検出するように構成されている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1で行われる放射線の照射開始の検出の仕方について説明する。
【0075】
本実施形態においては、放射線画像撮影に際し放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前に、リークデータ読み出し処理を繰り返し行うように構成されている。
ここで、リークデータdleakとは、図11に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で、オフ状態になっている各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qの信号線6ごとの合計値に相当するデータである。
【0076】
リークデータ読み出し処理では、図9に示した各放射線検出素子7のリセット処理や図10に示した画像データ読み出し処理の場合と異なり、図12に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態で、制御手段22から各読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19にパルス信号Sp1、Sp2が送信される。
【0077】
相関二重サンプリング回路19は、制御手段22からパルス信号Sp1が送信されると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する。そして、増幅回路18のコンデンサ18bに各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qが蓄積されて増幅回路18から出力される電圧値が上昇し、制御手段22からパルス信号Sp2が送信されると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する。
【0078】
そして、相関二重サンプリング回路19は電圧値の差分Vfi−Vinを算出して出力するが、この差分Vfi−Vinがリークデータdleakとなる。リークデータdleakが、その後、A/D変換器20でデジタル値に変換されることは、前述した画像データ読み出し処理の場合と同様である。
【0079】
しかし、リークデータ読み出し処理のみを繰り返し行うように構成すると、各TFT8がオフ状態のままとなってしまい、各放射線検出素子7内で発生した暗電荷が各放射線検出素子7内に蓄積され続ける状態になってしまう。
そのため、放射線画像撮影前に、リークデータ読み出し処理を繰り返し行うように構成する場合には、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータ読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成することが望ましい。
【0080】
このように、放射線画像撮影前にリークデータ読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成した場合、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されると、シンチレータ3で放射線から変換された電磁波が、各TFT8に照射される。そして、それにより、各TFT8を介して各放射線検出素子7からリークする電荷qがそれぞれ増加することが本発明者らの研究で分かった。
【0081】
例えば図14に示すように、放射線画像撮影前にリークデータ読み出し処理と各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行う場合、図15に示すように、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始された時点で読み出されたリークデータdleakが、それ以前に読み出されたリークデータdleakよりも格段に大きな値になる。
【0082】
なお、図14および図15では、図14で走査線5のラインL3にオン電圧が印加されてリセット処理が行われた後の4回目のリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが、図15の時刻t1におけるリークデータdleakに対応する。
また、図14において、「L」はリークデータ読み出し処理を表し、「R」は各放射線検出素子7のリセット処理を表す。
【0083】
そこで、本実施形態においては、制御手段22によって、放射線画像撮影前のリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを監視し、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th(図15参照)を上回った時点で、放射線の照射開始を検出するように構成する。
【0084】
制御手段22は、放射線の照射開始を検出すると、図14に示したように、その時点で各走査線5へのオン電圧の印加を停止する。そして、ゲートドライバ15bから走査線5の全てのラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させ、各TFT8をオフ状態にして、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させる。
【0085】
そして、例えば放射線の照射開始を検出してから所定時間が経過した後、或いは、後述するように放射線の照射終了を検出した後に、制御手段22は、放射線画像撮影前のリークデータ読み出し処理で放射線の照射が開始されたことを検出した時点でオン電圧が印加されていた走査線5(図14の場合は走査線5のラインL3)からオン電圧の印加を開始し、各走査線5にオン電圧を順次印加させて、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理を行うように構成されている。
【0086】
[放射線の照射終了の検出について]
図14に示したように、放射線の照射開始を検出した後、各走査線5にオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理は停止して、電荷蓄積状態に移行する。
【0087】
その際、例えば図16に示すように、電荷蓄積状態で、各走査線5にオフ電圧を印加して行うリークデータ読み出し処理を続行するように構成して、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射終了を検出するように構成することも可能である。
【0088】
放射線の照射開始を検出した後、リークデータ読み出し処理を続行するように構成すると、電荷蓄積状態では既に放射線の照射が開始されているため、図17に示すように、読み出されるリークデータdleakは大きな値になっているが、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了すると、リークデータdleakは元の小さな値に戻る。
【0089】
そのため、読み出されたリークデータdleakが、例えば予め設定された所定の閾値dleak_th*を下回った時点(図17では時刻t2)で、放射線の照射終了を検出するように構成することができる。
【0090】
なお、放射線の照射終了を検出するための閾値dleak_th*は、放射線の照射開始を検出するための閾値dleak_thと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
また、図17では、時刻t2で放射線の照射の終了を検出した後もリークデータ読み出し処理を引き続き行ってリークデータdleakを読み出す場合が示されているが、実際には、放射線の照射終了を検出するとリークデータ読み出し処理は停止される。
【0091】
そして、リークデータdleakが閾値dleak_th*を下回り、放射線の照射終了が検出された時点で、各走査線5へのオン電圧の順次の印加を開始して、各放射線検出素子7から画像データを読み出すための画像データ読み出し処理を開始するように構成することが可能となる。
【0092】
このように構成すれば、図16に示したように、放射線の照射終了を検出した後、直ちに画像データ読み出し処理を開始することが可能となり、画像データ読み出し処理以降の処理を早期に行うことが可能となるといった利点がある。
【0093】
[検出手法の改良について]
放射線画像撮影装置1の検出部Pには、通常、数千本から数万本の信号線6が配線されており、各信号線6にそれぞれ読み出し回路17が設けられている。そのため、1回のリークデータ読み出し処理で読み出されるリークデータdleakの数は、数千個から数万個の数になる。
【0094】
それら全てのリークデータdleakについて、上記のように閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断する処理を各リークデータ読み出し処理ごとに行うように構成すると、処理が重くなり、リアルタイムで放射線の照射開始(或いは、照射終了)を検出することができなくなる虞れがある。そこで、以下のような検出手法A等を採用することが可能である。
【0095】
[検出手法A]
読み出しIC16内には、例えば、128個や256個の読み出し回路17が形成されて内蔵されている。すなわち、1個の読み出しIC16には、128本や256本の信号線6が接続されている。そして、1回のリークデータ読み出し処理で、1個の読み出しIC16から各信号線6ごとに128個や256個のリークデータdleakが出力される。
【0096】
いま、仮に信号線6が4096本設けられており、1個の読み出しIC16に256個の読み出し回路17が内蔵されている(すなわち、1個の読み出しIC16に256本の信号線6が接続されている)とすると、読み出しIC16の数は、全部で16個(=4096÷256)になる。
【0097】
そこで、例えば、1回のリークデータ読み出し処理で1つの読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの合計値や平均値、中間値、最大値など(以下、これらを代表して「平均値」という。)を算出し、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの平均値dleak_ave(z)が、それぞれ閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断するように構成することが可能である。
【0098】
なお、平均値dleak_ave(z)中の“z”は、読み出しIC16の番号であり、例えば、上記の例では、読み出しIC16は16個設けられているため、“z”は1から16までの値をとる。
【0099】
この検出手法Aのように構成すれば、制御手段22は、上記の例で言えば、1回のリークデータ読み出し処理で読み出される4096個のリークデータdleakについて各々閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断する必要がなくなり、各読み出しIC16から出力されたリークデータdleakの16個の平均値dleak_ave(z)について閾値を上回るか(或いは、下回るか)否かを判断するだけで済む。そのため、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始(或いは、照射終了)の判断処理が軽くなる。
【0100】
なお、上記の検出手法A以外にも、放射線画像撮影装置1における放射線の照射開始(或いは、照射終了)の検出方法については種々の改良が可能である。
【0101】
[検出部の構成について]
本実施形態において、検出部Pは、複数のブロック領域で構成されている。
具体的には、例えば図18に示すように、検出部P上で各信号線6および各バイアス線9をその延在方向の途中で分断し、検出部Pを2つのブロック領域P1、P2に分割している。本実施形態において、各信号線6および各バイアス線9は、その延在方向の中央部分でそれぞれ等分するように分断されている。
【0102】
そして、検出部Pの各ブロック領域P1、P2の各走査線5は、図19に示すように、それぞれ別々のゲートドライバ15b(ゲートドライバ15ba、15bb)に接続されている。また、検出部Pの各ブロック領域P1、P2の各信号線6も、それぞれ別々の読み出しIC16(読み出しIC16a、16b)に接続されている。なお、図19では、入出力端子11等の図示が省略されている。
以下、説明の便宜上、「上」、「下」、「左」、「右」を用いて説明するが、この「上」、「下」、「左」、「右」に特に意味はない。図18や図19、後述する図20などにおいて図示した状態を便宜的に「上」、「下」、「左」、「右」と呼ぶだけである。
【0103】
図18に示すように、本実施形態において、検出部Pは、当該検出部Pにおける上下方向略中央よりも上側の上側ブロック領域P1と、当該検出部Pにおける上下方向略中央よりも下側の下側ブロック領域P2とから構成されている。すなわち、検出部Pは、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2との上下2つのブロック領域で構成されている。
【0104】
また、本実施形態において、信号線6は、上下方向に沿って延在しており、検出部Pにおける上下方向略中央の位置で、上側ブロック領域P1に配置される信号線6と、下側ブロック領域P2に配置される信号線6とに分断されている。
そして、上側ブロック領域P1に配置されている信号線6は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも上側に延設されて、検出部Pよりも上側の位置でそれぞれ入出力端子11に接続されている。
また、下側ブロック領域P2に配置されている信号線6は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも下側に延設されて、検出部Pよりも下側の位置でそれぞれ入出力端子11に接続されている。
【0105】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数の信号線6は、所定の本数ごと(例えば、128本や256本ごと)に組になっている。同じ組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11は、互いに近接して配置されている。
同じ組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11は、1つのフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。そして、同じ組に属する複数の信号線6は、1つの読み出しIC16に接続されるようになっている。すなわち、上側ブロック領域P1には、複数の読み出しIC16aが配置され、下側ブロック領域P2には、複数の読み出しIC16bが配置されている。
【0106】
また、本実施形態において、バイアス線9は、上下方向に沿って延在しており、検出部Pにおける上下方向略中央の位置で、上側ブロック領域P1に配置されるバイアス線9と、下側ブロック領域P2に配置されるバイアス線9とに分断されている。
そして、上側ブロック領域P1に配置されている各バイアス線9は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも上側に延設されて、検出部Pよりも上側の位置でそれぞれ結線10に結束されている。
また、下側ブロック領域P2に配置されている各バイアス線9は、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも下側に延設されて、検出部Pよりも下側の位置でそれぞれ結線10に結束されている。
【0107】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数のバイアス線9は、所定の本数ごと(例えば、128本や256本ごと)に組になっている。
具体的には、バイアス線9は、同じ組に属する複数の信号線6に接続されている各放射線検出素子7と接続するバイアス線9ごとに組になっている。すなわち、同じ組に属する複数の信号線6に接続されている各放射線検出素子7は、同じ組に属する複数のバイアス線9と接続している。
【0108】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数のバイアス線9は、所定の本数ごとに1本の結線10で結束されている。
具体的には、図18に示すように、同じ組に属する複数のバイアス線9のうち、左側の所定本数分が、1本の結線10に結束されている。当該1本の結線10は、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11のうち最も左側に位置する入出力端子11の左側に近接して配置された入出力端子11に接続されている。そして、この入出力端子11、すなわち当該1本の結線10に接続する入出力端子11は、例えば、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11と同一のフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。
【0109】
また、図18に示すように、同じ組に属する複数のバイアス線9のうち、右側の所定本数分が、1本の結線10に結束されている。当該1本の結線10は、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11のうち最も右側に位置する入出力端子11の右側に近接して配置された入出力端子11に接続されている。そして、この入出力端子11、すなわち当該1本の結線10に接続する入出力端子11は、例えば、対応する組に属する複数の信号線6に接続された各入出力端子11と同一のフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。
【0110】
また、本実施形態において、走査線5は、左右方向に沿って延在している。走査線5のうち、検出部Pにおける上下方向略中央よりも上側に配設されている走査線5は、上側ブロック領域P1に配置されており、検出部Pにおける上下方向略中央よりも下側に配設されている走査線5は、下側ブロック領域P2に配置されている。
そして、上側ブロック領域P1に配置されている走査線5と、下側ブロック領域P2に配置されている走査線5とはともに、図18に一点鎖線で示される検出部Pよりも左側に延設されて、検出部Pよりも左側の位置でそれぞれ入出力端子11に接続されている。
【0111】
また、本実施形態において、同一のブロック領域に配置されている複数の走査線5は、所定の本数ごと(例えば、128本や256本ごと)に組になっている。同じ組に属する複数の走査線5に接続された各入出力端子11は、互いに近接して配置されている。
同じ組に属する複数の走査線5に接続された各入出力端子11は、1つのフレキシブル回路基板12に接続されるようになっている。そして、同じ組に属する複数の走査線5は、1つのゲートIC15cに接続されるようになっている。すなわち、上側ブロック領域P1には、複数のゲートIC15cが並設されて構成されるゲートドライバ15baが配置され、下側ブロック領域P2には、複数のゲートIC15cが並設されて構成されるゲートドライバ15bbが配置されている。
【0112】
なお、本実施形態では、上側ブロック領域P1に5組の複数の走査線5が配置されているとともに、下側ブロック領域P2に5組の複数の走査線5が配置され、走査線5が256本ごとに1組とされていることとする。すなわち、上側ブロック領域P1に配置されているゲートドライバ15baは5つのゲートIC15cが並設されて構成されているとともに、下側ブロック領域P2に配置されているゲートドライバ15bbは5つのゲートIC15cが並設されて構成されており、各ゲートIC15cには256本の走査線5が接続されていることとするが、これに限定されるものではない。
【0113】
[アクティブな状態の端子について]
次に、本実施形態における走査駆動手段15のゲートドライバ15bの構成や駆動のさせ方について説明する。
図20は、本実施形態に係る走査駆動手段15の構成およびゲートドライバ15bに対する配線などを表す図である。なお、図20では、入出力端子11等の図示が省略されている。
【0114】
本実施形態において、走査駆動手段15のゲートドライバ15bは、複数のゲートIC15cが並設されて構成されている。
各ゲートIC15cには、電源回路15aからオン電圧を供給する配線Lonを介してオン電圧が供給される。また、各ゲートIC15cには、電源回路15aから図示しない別の配線を介してオフ電圧が供給される。そして、この配線Lonとオフ電圧を供給する配線とで、配線15d(図7参照)が構成されている。
【0115】
また、図20に示すように、本実施形態において、各ゲートIC15cの両端部には、それぞれ配線Lse1と配線Lse2とが接続されている。そして、各配線Lse1、Lse2は、それぞれ制御手段22に接続されている。
また、各ゲートIC15cには、制御手段22からの配線Lshがそれぞれ接続されている。
【0116】
各ゲートIC15cの配線Lse1からシード信号が入力されると、各ゲートIC15cの図中上端の端子がアクティブな状態となる。そして、電源回路15aから配線Lonを介してオン電圧が供給されると、アクティブな状態の端子にオン電圧が印加され、当該端子に走査線5が接続されていれば、その走査線5にオン電圧が印加される。
【0117】
次いで、配線Lshを介してシフト信号が入力されると、アクティブな状態となる端子が、この場合は図中の1つ下側の端子に移動する。そして、その状態で、電源回路15aから配線Lonを介してオン電圧が供給されると、アクティブな状態の端子にオン電圧が印加され、当該端子に走査線5が接続されていれば、その走査線5にオン電圧が印加される。
【0118】
このようにして、各ゲートIC15cは、配線Lse1を介してゲートIC15cにシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力することで、アクティブな状態の端子を1つずつ移動させることができるように構成されている。
また、各端子がアクティブな状態となるごとに配線Lonを介して電源回路15aからオン電圧を供給することで、各端子にオン電圧を順次印加し、各端子に接続されている各走査線5にオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0119】
そして、本実施形態においては、配線Lse1側から各ゲートIC15cにシード信号を入力すると、各ゲートIC15cの図中下端の端子がアクティブな状態とされた次のタイミングで配線Lse2からシード信号が出力されるように構成されている。
【0120】
これにより、例えば、図20中の最も上側のゲートIC15cに配線Lse1からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を下側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse2を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、上から2番目のゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。
そして、配線Lshを介して上から2番目のゲートIC15cにシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を下側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse2を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、上から3番目のゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、上側のラインから順に下側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0121】
また、本実施形態においては、上記とは逆に、配線Lse2側から各ゲートIC15cにシード信号を入力して、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力すると、今度は、各ゲートIC15cの図中下側の端子から順にアクティブな状態の端子が上側にシフトしていくように構成されている。
【0122】
これにより、例えば、図20中の最も下側のゲートIC15cに配線Lse2からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を上側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse1を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、下から2番目のゲートIC15cに配線Lse2を介してシード信号を入力する。
そして、配線Lshを介して下から2番目のゲートIC15cにシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を上側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse1を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、下から3番目のゲートIC15cに配線Lse2を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、下側のラインから順に上側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0123】
なお、本実施形態では、例えば図19に太矢印で示すように、上側ブロック領域P1において、アクティブな状態の端子が上側から下側へとシフトし、下側ブロック領域P2において、アクティブな状態の端子が下側から上側へとシフトするように構成されている。すなわち、各ブロック領域P1、P2において、アクティブな状態の端子が外側から内側へとそれぞれシフトするように構成されているが、これに限ることはなく、アクティブな状態の端子が内側から外側へとそれぞれシフトするように構成することも可能である。
【0124】
[非接続の端子について]
ところで、ゲートドライバ15bを構成する各ゲートIC15cの1つ(或いは複数)に、走査線5が接続されていない、いわゆる非接続の端子tが複数(或いは1つ)存在する場合がある。
【0125】
なお、本実施形態では、図19や図20に示すように、上側ブロック領域P1に配置されているゲートドライバ15baを構成するゲートIC15cのうち最も上側のゲートIC15cに非接続の端子tが存在するとともに、下側ブロック領域P2に配置されているゲートドライバ15bbを構成するゲートIC15cのうち最も下側のゲートIC15cに非接続の端子tが存在することとする。
すなわち、各ブロック領域P1、P2において、最も外側のゲートIC15cに非接続の端子tが存在することとするが、これに限定されるものではなく、非接続の端子tを有するゲートIC15cの位置や個数は任意である。
【0126】
また、本実施形態では、各ゲートIC15cは256個の端子を有し、上側ブロック領域P1における最も上側のゲートIC15cが有する256個の端子のうち上側の64個の端子が非接続の端子tであるとともに、下側ブロック領域P2における最も下側のゲートIC15cが有する256個の端子のうち下側の64個の端子が非接続の端子tであることとする。
すなわち、各ゲートドライバ15bはそれぞれ5個のゲートIC15cにより構成されるので、各ブロック領域P1、P2において、ゲートドライバ15bはそれぞれ1280個(=256×5)の端子を有し、1280個の端子のうち外側の64個の端子が非接続の端子tであることとするが、これに限定されるものではなく、ゲートドライバ15bが有する端子の個数、ゲートドライバ15bにおける非接続の端子tの位置や個数は任意である。なお、図19や図20では、便宜上、各ブロック領域P1、P2において外側の8個の端子が非接続の端子tとなっている。
【0127】
したがって、本実施形態において、上側ブロック領域P1に配置されている走査線5の本数は、1216本(=1280−64)であり、そのうち上側の192本(=256−64)の走査線5は、192本で1組となっている。
すなわち、各ゲートIC15cは256個の端子を有しているが、上側ブロック領域P1に配置されているゲートドライバ15baを構成するゲートIC15cのうち、最も上側のゲートIC15cには192本の走査線5が接続され、他のゲートIC15cには256本の走査線5が接続されている。
【0128】
また、本実施形態において、下側ブロック領域P2に配置されている走査線5の本数は、1216本(=1280−64)であり、そのうち下側の192本(=256−64)の走査線5は、192本で1組となっている。
すなわち、各ゲートIC15cは256個の端子を有しているが、下側ブロック領域P2に配置されているゲートドライバ15baを構成するゲートIC15cのうち、最も下側のゲートIC15cには192本の走査線5が接続され、他のゲートIC15cには256本の走査線5が接続されている。
【0129】
[通常シフト処理および高速シフト処理について]
次に、本実施形態における通常シフト処理および高速シフト処理について説明する。
本実施形態においては、放射線画像撮影前に放射線の照射開始を検出するため、図13に示すように、各走査線5にオフ電圧を印加した状態で行うリークデータ読み出し処理と、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して行う各放射線検出素子7のリセット処理とを交互に繰り返し行うように構成されている。
【0130】
具体的には、制御手段22は、上側ブロック領域P1において、一の端子がアクティブな状態になると、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。当該リークデータ読み出し処理では、上側ブロック領域P1に配置されている全放射線検出素子7からリークする電荷qに基づくリークデータdleakが読み出される。また、当該リセット処理では、当該一の端子、すなわちアクティブな状態の端子と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7がリセットされる。
次いで、上側ブロック領域P1において、当該一の端子よりも1つ内側(1つ下側)の端子がアクティブな状態になると、制御手段22は、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。
【0131】
このような制御が繰り返し行われることで、上側ブロック領域P1において、最も内側(最も下側)の端子がアクティブな状態になり、リークデータ読み出し処理とリセット処理とが行われると、再び最も外側(最も上側)の端子がアクティブな状態になる。そして、同様の制御が繰り返し行われる。
【0132】
また、下側ブロック領域P2においても同様に、制御手段22は、一の端子がアクティブな状態になると、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。当該リークデータ読み出し処理では、下側ブロック領域P2に配置されている全放射線検出素子7からリークする電荷qに基づくリークデータdleakが読み出される。また、当該リセット処理では、当該一の端子、すなわちアクティブな状態の端子と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7がリセットされる。
次いで、下側ブロック領域P2において、当該一の端子よりも1つ内側(1つ上側)の端子がアクティブな状態になると、制御手段22は、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせる。
【0133】
このような制御が繰り返し行われることで、下側ブロック領域P2において、最も内側(最も上側)の端子がアクティブな状態になり、リークデータ読み出し処理とリセット処理とが行われると、再び最も外側(最も下側)の端子がアクティブな状態になる。そして、同様の制御が繰り返し行われる。
【0134】
その際、非接続の端子tには走査線5が接続されていないため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合、リセット処理を行ってアクティブな状態の非接続の端子tにオン電圧を印加しても、走査線5の何れのラインL1〜Lxにもオン電圧が印加されない。すなわち、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、無駄にリセット処理を行うことになる。
【0135】
また、リセット処理は、放射線検出素子7自体の熱による熱励起等により発生する、いわゆる暗電荷を各放射線検出素子7内から除去するために行われる。しかし、前述したように、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行っても、何れの放射線検出素子7もリセットされない。そのため、非接続の端子tがアクティブな状態である場合にリセット処理を行うと、その間に、暗電荷が各放射線検出素子7内に徐々に蓄積していくので、暗電荷が無駄に多く蓄積されてしまうことになる。
【0136】
そこで、本実施形態においては、非接続の端子tがアクティブな状態である場合、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わずアクティブな状態の端子を高速にシフトさせて、何れの放射線検出素子7もリセットされない期間を短縮することとする。
【0137】
すなわち、制御手段22は、ゲートドライバ15bの端子(具体的には、ゲートドライバ15bを構成する各ゲートIC15cの端子)のうち走査線5と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行する。
【0138】
また、制御手段22は、ゲートドライバ15bの端子(具体的には、ゲートドライバ15bを構成する各ゲートIC15cの端子)のうち非接続の端子tがアクティブな状態となる場合には、リークデータ読み出し処理とリセット処理とを行わせず、直ちにアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行する。すなわち、高速シフト処理では、通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子がシフトされる。また、高速シフト処理では、非接続の端子tをアクティブな状態とするだけで、当該非接続の端子tにはオン電圧は印加されない。
【0139】
より具体的に、本実施形態における通常シフト処理および高速シフト処理について、図21〜図23を参照して説明する。
なお、図21〜図23および後述する図24や図25における、「L」、「R」、リークデータ読み出し処理(「L」)の後ろにある斜線部分、「1〜64」や「65」などの数字等については、図26等と同様であるので、その説明は省略する。
【0140】
前述したように、本実施形態では、各ブロック領域P1、P2において、アクティブな状態となる端子が外側から内側へとそれぞれシフトするように構成されている。
また、前述したように、本実施形態では、各ブロック領域P1、P2において、ゲートドライバ15bはそれぞれ1280個の端子を有し、1280個の端子のうち外側の64個の端子が非接続の端子tである。
【0141】
ここで、本実施形態においては、上側ブロック領域P1に配置されている放射線検出素子7から読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングと、下側ブロック領域P2に配置されている放射線検出素子7から読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングとがずれるように、通常シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。これにより、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングと、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを判定するタイミングとが同時である場合と比較して、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かを的確に判定することが可能となる。
【0142】
なお、本実施形態では、上側ブロック領域P1における通常シフト処理の開始タイミングよりも、下側ブロック領域P2における通常シフト処理の開始タイミングが遅い場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、下側ブロック領域P2における通常シフト処理の開始タイミングよりも、上側ブロック領域P1における通常シフト処理の開始タイミングが早くなるように構成することも可能である。
【0143】
また、本実施形態において、制御手段22は、高速シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに同一のタイミングで開始するように構成されている。
【0144】
具体的には、図21に示すように、上側ブロック領域P1においては、まず、アクティブな状態の端子が「上から1番目の端子(最も外側の端子)」から「上から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」へとシフトさせる。
【0145】
また、下側ブロック領域P2においても、上側ブロック領域P1と同じタイミングで、アクティブな状態の端子が「下から1番目の端子(最も外側の端子)」から「下から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「下から1番目の端子」から「下から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「下から1番目の端子」から「下から64番目の端子」へとシフトさせる。
【0146】
次いで、上側ブロック領域P1においては、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」は走査線5が接続されている端子であるため、制御手段22は、通常シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」へとシフトさせる。
【0147】
次いで、「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「上から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、再度「上から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0148】
一方、下側ブロック領域P2においても同様に、通常シフト処理が実行されて、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトするが、制御手段22は、上側ブロック領域P1における一連の通常シフト処理を開始してから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、下側ブロック領域P2における一連の通常シフト処理を開始する。
【0149】
次いで、「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「下から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、再度「下から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0150】
なお、通常シフト処理において、一の端子がアクティブな状態になっている時間は、例えば2m秒である。
また、高速シフト処理において、一の端子がアクティブな状態になっている時間は、例えば5μ秒である。したがって、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」までの一連の高速シフト処理に要する時間は、320μ秒(=5μ秒×64)となる。
【0151】
そして、本実施形態においては、各待機時間を揃えることで、通常シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始され、高速シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成されている。
なお、通常シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始され、高速シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成可能であれば、各待機時間はそれぞれ異なってもよい。
【0152】
また、各待機時間、通常シフト処理において一の端子がアクティブな状態になっている時間、高速シフト処理において一の端子がアクティブな状態になっている時間等は、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定と、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定とを交互に行うことができるのであれば任意である。
【0153】
そして、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定、或いは、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定で、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったと判定して、放射線の照射開始を検出すると、制御手段22は、電荷蓄積状態に移行し、その後、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0154】
具体的には、例えば図22に示すように、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
【0155】
本実施形態において、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図22に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理の後に行われるリセット処理、すなわちアクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、当該リークデータ読み出し処理の後に行われるリセット処理、すなわちアクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「上から130番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0156】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0157】
具体的には、図22に示す例の場合は、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0158】
その際、図22に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から129番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から129番目の端子」から順に、すなわち「下から129番目の端子」→「下から130番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図22に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から130番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から130番目の端子」から順に、すなわち「上から130番目の端子」→「上から131番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0159】
一方、例えば図23に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
【0160】
前述したように、本実施形態において、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図23に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「下から1280番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、「上から1番目の端子」をアクティブな状態にして高速シフト処理の開始を待機している状態にあるので、所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、高速シフト処理を開始せずそのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0161】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0162】
具体的には、図23に示す例の場合は、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0163】
その際、図23に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から1280番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から1280番目の端子」から順に、すなわち「下から1280番目の端子」→「下から1番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図23に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から1番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から1番目の端子」から順に、すなわち「上から1番目の端子」→「上から2番目の端子」→・・・の順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0164】
図23に示す例の場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から1280番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から2番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べただけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0165】
例えば、通常シフト処理と同様、高速シフト処理も、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている場合、画像データ読み出し処理で画像データを読み出す位置が、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで対応しなくなることがある。
【0166】
具体的には、図28に示すように、最終接続端子(図28の場合は「下から1280番目の端子」)がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合、当該検出の時点では、処理が後から開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は下側ブロック領域P2)では高速シフト処理は再開されていないが、処理が先に開始されるブロック領域(図28に示す例の場合は上側ブロック領域P1)では当該高速シフト処理に対応する高速シフト処理が終了し、その後に行われる通常シフト処理が再開されている。そのため、当該検出の時点では、処理が後から開始されるブロック領域よりも、処理が先に開始されるブロック領域の方が、アクティブな状態の端子の位置が複数端子分(図28に示す例の場合は65端子分)進んでおり、その後に行われる画像データ読み出し処理の際に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しなくなる。したがって、画像データを読み出された順に並べただけでは、読み出された画像データを整合した状態に並べることができない。そのため、読み出された画像データを整合した状態に並べるためには、例えば、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等、処理が煩雑になるという問題がある。
【0167】
これに対し、本実施形態のように、高速シフト処理を上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに同一のタイミングで開始するように構成することによって、常に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。すなわち、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0168】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、通常シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始するとともに、高速シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始するように構成されている。
【0169】
すなわち、高速シフト処理が、各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成されているので、最終接続端子(すなわち、処理が後から開始されるブロック領域に配置された走査線5が接続されている端子のうち、非接続の端子tをアクティブな状態にする直前にアクティブな状態にされる端子)がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出された場合であっても、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0170】
したがって、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleak、すなわち最終リークデータ(後述)に基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等の煩雑な処理を行わなくても、高速シフト処理を各ブロック領域P1、P2で互いに同一のタイミングで開始されるように構成するだけの簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【0171】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を外側から内側へとそれぞれシフトさせるように構成されている。
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を内側から外側へとそれぞれシフトさせるように構成することも可能である。
【0172】
画像データ読み出し処理に携わる機能部を構成する半導体等の安定性が、読み出された画像データに基づく画像の品質に大きく影響する場合等には、アクティブな状態となる端子を外側から内側へとシフトさせた方が、特に重要な情報が含まれることの多い内側部分の画像としてより高品質な画像を得ることができる。
一方、画像データ読み出し処理の間に蓄積される暗電荷が、読み出された画像データに基づく画像の品質に大きく影響する場合等には、アクティブな状態となる端子を内側から外側へとシフトさせた方が、特に重要な情報が含まれることの多い内側部分の画像としてより高品質な画像を得ることができる。
【0173】
ここで、1枚の画像の中で、特に重要な情報が含まれることの多い部分は内側部分(中央部分)である。
【0174】
各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を外側から内側へとそれぞれシフトさせるように構成した場合、一連の画像データ読み出し処理において、内側部分(中央部分)の画像の画像データは後から読み出されることになる。一連の画像データ読み出し処理を開始し各画像データ読み出し処理を繰り返すうちに画像データ読み出し処理に携わる機能部を構成する半導体等が安定していくので、内側部分の画像の画像データを後から読み出すことで、内側部分の画像の画像データを、外側部分の画像の画像データよりも安定した状態で読み出すことができる。
【0175】
一方、各ブロック領域P1、P2においてアクティブな状態となる端子を内側から外側へとそれぞれシフトさせるように構成した場合、一連の画像データ読み出し処理において、内側部分(中央部分)の画像の画像データは先に読み出されることになる。TFT8がオフ状態である期間が長いほど放射線検出素子7内に蓄積される暗電荷の量が多くなるので、内側部分の画像の画像データを先に読み出すことで、内側部分の画像の画像データを、外側部分の画像の画像データよりも重畳されている暗電荷の量が少ない状態で読み出すことができる。
【0176】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。
なお、第2実施形態においては、高速シフト処理を開始するタイミングや、最終リークデータ(後述)が閾値dleak_thを上回った場合には放射線の照射開始を検出しない点などが、第1実施形態と異なる。したがって、第1実施形態と同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0177】
本実施形態において、制御手段22は、第1実施形態の場合と異なり、高速シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
すなわち、制御手段22は、通常シフト処理も高速シフト処理も、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
【0178】
具体的には、従来の場合と同様、図26に示すように、上側ブロック領域P1においては、まず、アクティブな状態の端子が「上から1番目の端子(最も外側の端子)」から「上から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」は非接続の端子tであるため、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から1番目の端子」から「上から64番目の端子」へとシフトさせる。
【0179】
次いで、上側ブロック領域P1においては、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトする。その際、「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」は走査線5が接続されている端子であるため、制御手段22は、通常シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から65番目の端子」から「上から1280番目の端子」へとシフトさせる。
【0180】
次いで、「上から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「上から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、再度「上から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0181】
一方、図26に示すように、下側ブロック領域P2においては、上側ブロック領域P1における処理が開始されてから所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、下側ブロック領域P2における処理が開始される。
【0182】
そして、まず、制御手段22は、高速シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「下から1番目の端子(最も外側の端子)」から「下から64番目の端子(非接続の端子tのうち最も内側の端子)」へとシフトさせる。
次いで、制御手段22は、通常シフト処理を実行して、アクティブな状態の端子を「下から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」から「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」へとシフトさせる。
次いで、「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」の次は、再び「下から1番目の端子(最も外側の端子)」がアクティブな状態になる。そして、制御手段22は、再度「下から1番目の端子」から上記と同様の制御を繰り返し行う。
【0183】
そして、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定、或いは、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったか否かの判定で、読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったと判定して、放射線の照射開始を検出すると、制御手段22は、電荷蓄積状態に移行し、その後、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0184】
具体的には、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったとする。
【0185】
ここで、本実施形態においては、最終リークデータ(後述)が閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成されている。ここで、高速シフト処理が後から開始されるブロック領域(本実施形態の場合は下側ブロック領域P2)におけるリークデータ読み出し処理で読み出されるリークデータdleakのうち、高速シフト処理の直前に行われるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakを、「最終リークデータ」と称する。
しかし、本実施形態の場合、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakは、最終リークデータではない。したがって、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回った場合には、制御手段22は、放射線の照射開始を検出する。
【0186】
すなわち、本実施形態において、制御手段22は、最終リークデータ以外のリークデータdleakが閾値dleak_thを上回った場合には、従来の場合と同様、例えば図27に示すような制御を行う。
【0187】
本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図27に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から129番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、アクティブな状態の端子が「上から130番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「上から130番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0188】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0189】
具体的には、図27に示す例の場合は、下側ブロック領域P2におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0190】
その際、図27に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から129番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から129番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図27に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から130番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から130番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0191】
一方、例えば図24に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回ったとする。
【0192】
前述したように、本実施形態においては、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成されている。アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakは、最終リークデータである。したがって、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakが閾値dleak_thを上回っても、制御手段22は、放射線の照射開始を検出しない。
【0193】
そして、この場合、制御手段22は、最終リークデータの次に読み出されるリークデータdleak、すなわち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域(本実施形態の場合は上側ブロック領域P1)におけるリークデータ読み出し処理で読み出されるリークデータdleakのうち高速シフト処理の直後に行われるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて、放射線の照射開始を検出する。
したがって、図24に示す例の場合、「上から65番目の端子(走査線5が接続されている端子のうち最も外側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて、放射線の照射開始が検出される。
【0194】
前述したように、本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図24に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、下側ブロック領域P2においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、アクティブな状態の端子が「下から65番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「下から65番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0195】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始されると、例えば、放射線の照射開始を検出した時点でアクティブな状態になっていた端子から順にアクティブな状態となる。
【0196】
具体的には、図24に示す例の場合は、上側ブロック領域P1におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(前述の待機時間と同じ、例えば1m秒)が経過した後に、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0197】
その際、図24に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「上から65番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図24に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から65番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0198】
図24に示す例の場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「上から65番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から65番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から66番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から66番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べただけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0199】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、通常シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始するとともに、高速シフト処理を、各ブロック領域P1、P2で互いに異なるタイミングで開始し、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成されている。
【0200】
すなわち、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射が開始されたことを検出しないように構成されており、最終リークデータ、すなわち最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されないので、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0201】
したがって、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleak、すなわち最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等の煩雑な処理を行わなくても、最終リークデータが閾値dleak_thを上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないように構成するだけの簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【0202】
なお、この他の点は第1実施形態で示した作用・効果と同様であるので、その説明は省略する。
【0203】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。
なお、第3実施形態においては、高速シフト処理を開始するタイミングや、ゲートクリア処理(後述)を行う点などが、第1実施形態と異なる。したがって、第1実施形態と同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0204】
本実施形態において、制御手段22は、第1実施形態の場合と異なり、高速シフト処理を、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
すなわち、制御手段22は、第2実施形態の場合と同様、通常シフト処理も高速シフト処理も、上側ブロック領域P1と下側ブロック領域P2とで互いに異なるタイミングで開始するように構成されている。
【0205】
なお、本実施形態においては、通常シフト処理や高速シフト処理を開始するタイミング(例えば図26参照)、最終リークデータ以外のリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始を検出した場合の制御(例えば図27参照)は、従来の場合や第2実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0206】
一方、例えば図25に示すように、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子(最も内側の端子)」である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたとする。
すなわち、制御手段22が、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出したとする。
【0207】
本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、放射線の照射開始を検出した後は、各放射線検出素子7のリセット処理を行わないように構成されている。そのため、図25に示す例の場合は、アクティブな状態の端子が「下から1280番目の端子」である際におけるリセット処理は行われない。
また、上側ブロック領域P1においては、当該検出の時点には、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子」である際におけるリークデータ読み出し処理が行われているので、アクティブな状態の端子が「上から65番目の端子」である際におけるリセット処理は行わず、「上から65番目の端子」がアクティブな状態となってから所定時間(例えば2m秒)が経過した後に、そのまま電荷蓄積状態に移行する。
【0208】
そして、電荷蓄積状態に移行し、所定のタイミングで一連の画像データ読み出し処理が開始される。
【0209】
本実施形態において、制御手段22は、一連の画像データ読み出し処理が開始される前に、当該一連の画像データ読み出し処理のうち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域(本実施形態の場合は上側ブロック領域P1)における画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子(本実施形態の場合は「上から1番目の端子」)から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させることができるように、高速シフト処理が先に開始されるブロック領域に対してゲートクリア処理を行うように構成されている。
【0210】
ゲートクリア処理とは、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブゲートIC(後述)が有する残りの端子(後述)内でアクティブな状態となる端子を高速にシフトさせる。そして、当該アクティブゲートICが有する端子のうち最初にアクティブな状態となる端子を再びアクティブな状態にする処理のことである。
ここで、高速シフト処理が先に開始されるブロック領域(本実施形態の場合は上側ブロック領域P1)に配置されているゲートドライバ15b(本実施形態の場合はゲートドライバ15ba)を構成するゲートIC15cのうち、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された時点でアクティブな状態になっていた端子を有するゲートIC15cを、「アクティブゲートIC」と称する。また、アクティブゲートICが有する端子のうち、当該検出の時点でアクティブな状態になっていた端子以降にアクティブな状態とされる端子を、「残りの端子」と称する。
【0211】
本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、配線Lse1側から各ゲートIC15cにシード信号を入力すると、各ゲートIC15cの下端の端子がアクティブな状態とされた次のタイミングで配線Lse2からシード信号が出力されるように構成されている。
【0212】
これにより、例えば、図20中の最も上側のゲートIC15cに配線Lse1からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を下側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse2を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、上から2番目のゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、上側のラインから順に下側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0213】
また、本実施形態においては、第1実施形態の場合と同様、上記とは逆に、配線Lse2側から各ゲートIC15cにシード信号を入力して、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力すると、今度は、各ゲートIC15cの下側の端子から順にアクティブな状態の端子が上側にシフトしていくように構成されている。
【0214】
これにより、例えば、図20中の最も下側のゲートIC15cに配線Lse2からシード信号を入力し、配線Lshを介してシフト信号を次々と入力してアクティブな状態の端子を上側にシフトさせて、各走査線5にオン電圧を順次印加した後、配線Lse1を介してシード信号が出力されるタイミングと同じタイミングで、下から2番目のゲートIC15cに配線Lse2を介してシード信号を入力する。
このような制御を繰り返すことで、各ゲートIC15cの各端子に接続されている走査線5の各ラインL1〜Lxに、下側のラインから順に上側のラインに向けてオン電圧を順次印加することができるように構成されている。
【0215】
すなわち、本実施形態において、制御手段22は、第1実施形態の場合と同様、1つのゲートIC15cの配線Lse2または配線Lse1からシード信号が出力されたタイミングと同じタイミングで、次のゲートIC15cに配線Lse1または配線Lse2を介してシード信号を入力するように構成されている。
これにより、本実施形態のように、アクティブな状態の端子を外側から内側へとシフトさせる場合には、各ブロック領域P1、P2においてシフト信号が入力されるゲートIC15cを外側から内側へとそれぞれシフトさせるように構成される。或いは、アクティブな状態の端子を内側から外側へとシフトさせる場合には、各ブロック領域P1、P2においてシフト信号が入力されるゲートIC15cを内側から外側へとそれぞれシフトさせるように構成される。
【0216】
ただし、本実施形態において、制御手段22は、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、ゲートクリア処理を行って、アクティブゲートICの配線Lse2または配線Lse1からシード信号が出力されたタイミングと同じタイミングで、次のゲートIC15cではなく当該アクティブゲートICに配線Lse1または配線Lse2を介してシード信号を入力するように構成されている。
これにより、アクティブゲートICが有する端子のうち最初にアクティブな状態となる端子(本実施形態の場合は「上から1番目の端子」)を再びアクティブな状態にすることが可能となる。
【0217】
具体的には、図25に示す例の場合、ゲートクリア処理が行われる上側ブロック領域P1においては、放射線の照射開始を検出した時点で「上から65番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、アクティブゲートICは当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15cとなり、アクティブゲートICが有する残りの端子は、当該「上から65番目の端子」から「上から256番目の端子」となる。
したがって、制御手段22は、ゲートクリア処理を実行して、アクティブな状態の端子を「上から65番目の端子」から「上から256番目の端子」へとシフトさせる。その際、高速シフト処理の場合と同様、リークデータ読み出し処理もリセット処理も行わず、アクティブな状態の端子を高速にシフトさせる。
【0218】
次いで、制御手段22は、引き続きゲートクリア処理を行って、当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15c(すなわち、アクティブゲートIC)の配線Lse2からシード信号が出力されたタイミングと同じタイミングで、当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15cに配線Lse1を介してシード信号を入力する。これにより、当該「上から65番目の端子」を有するゲートIC15cが有する端子のうち最初にアクティブな状態となる端子、すなわち「上から1番目の端子」が再びアクティブな状態となる。
【0219】
次いで、図25に示す例の場合は、下側ブロック領域P2に配置されている放射線検出素子7から読み出されたリークデータdleakに基づいて放射線の照射開始が検出されたので、制御手段22は、まず、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理を開始する。そして、制御手段22は、下側ブロック処理P2における一連の画像データ読み出し処理が開始されてから所定の待機時間(例えば1m秒)が経過した後に、上側ブロック処理P1における一連の画像データ読み出し処理を開始する。
【0220】
その際、図25に示す例の場合、下側ブロック領域P2においては、放射線の照射開始を検出した時点で「下から1280番目の端子」がアクティブな状態になっていたので、制御手段22は、当該「下から1280番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
また、図25に示す例の場合、上側ブロック領域P1においては、ゲートクリア処理の実行により「上から1番目の端子」がアクティブな状態になっているので、制御手段22は、当該「上から1番目の端子」から順にアクティブな状態の端子をシフトさせながら、一連の画像データ読み出し処理を行わせる。
【0221】
図25に示す例の場合、画像データ読み出し処理では、検出部P全体で見れば、「下から1280番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「下から1番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→「上から2番目の端子」と接続する走査線5に接続されている各放射線検出素子7からの画像データ→・・・の順に画像データが読み出される。
したがって、この場合、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置が対応しているので、画像データを読み出された順に並べただけで、読み出された画像データを整合した状態に並べることができる。
【0222】
以上説明したように、本実施形態によれば、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、ゲートクリア処理を行って、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域における画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させるように構成することによって、常に、一方のブロック領域と他方のブロック領域とで画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。すなわち、常に、各ブロック領域同士の間で画像データを読み出す位置を対応させることが可能となる。
【0223】
したがって、最終接続端子がアクティブな状態である際におけるリークデータ読み出し処理で読み出されたリークデータdleak、すなわち最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された場合のみ、読み出された画像データを特別な順に並べなければならない等の煩雑な処理を行わなくても、最終リークデータに基づいて放射線の照射開始が検出された場合には、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち高速シフト処理が先に開始されるブロック領域における画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させるように構成するだけの簡易な構成で、画像データ読み出し処理で読み出された画像データの不整合を防止することが可能となる。
【0224】
なお、この他の点は第1実施形態で示した作用・効果と同様であるので、その説明は省略する。
【0225】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨から逸脱しない限り、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0226】
例えば、上記実施形態では、検出部Pを2つのブロック領域で構成したが、これに限定されるものではなく、検出部Pを構成するブロック領域の個数は複数であれば任意である。
検出部Pが3つ以上のブロック領域で構成される場合、本発明でいう「高速シフト処理が後から開始されるブロック領域」は、高速シフト処理を最初に開始するブロック領域以外のブロック領域のことを指す。また、本発明でいう「高速シフト処理が先に開始されるブロック領域」は、高速シフト処理を最後に開始するブロック領域以外のブロック領域であって、放射線の照射開始が検出された後にゲートクリア処理を行わないと、その後に行われる画像データ読み出し処理で、高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子以外の端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら画像データを読み出させることになるブロック領域のことを指す。
【0227】
また、各ゲートドライバ15bにおける非接続の端子tの位置や個数はそれぞれ任意である。
ゲートドライバ15bが有する非接続の端子tの個数が1個である場合等、両隣に配置された端子が走査線5と接続する端子である非接続の端子tが存在する場合、本発明でいう「高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子」は、当該非接続の端子tのことを指す。
【0228】
また、例えば、本発明でいう「リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出」には、リークデータdleakが閾値dleak_thを上回った時点で放射線の照射開始を検出する場合も、検出手法A等により放射線の照射開始を検出する場合も含まれる。
【符号の説明】
【0229】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ手段)
15 走査駆動手段
15a 電源回路
15b ゲートドライバ
17 読み出し回路
22 制御手段
dleak リークデータ
dleak_th 閾値
P 検出部
P1、P2 ブロック領域
q リークした電荷
r 小領域
t 非接続の端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに同一のタイミングで開始することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータが、前記閾値を上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち前記高速シフト処理が先に開始される前記ブロック領域における前記画像データ読み出し処理で、前記高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら前記画像データを読み出させることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記各ブロック領域においてアクティブな状態となる端子を外側から内側へとそれぞれシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記各ブロック領域においてアクティブな状態となる端子を内側から外側へとそれぞれシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに同一のタイミングで開始することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータが、前記閾値を上回った場合には、放射線の照射開始を検出しないことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
電源回路と複数のゲートドライバとを備え、オン電圧を印加する前記各走査線を切り替えながら前記各走査線にオン電圧を順次印加する走査駆動手段と、
前記各走査線に接続され、オン電圧が印加されると前記放射線検出素子に蓄積された電荷を前記信号線に放出させるスイッチ手段と、
前記信号線に接続され、前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子から前記画像データを読み出す画像データ読み出し処理を行わせる制御手段と、を備え、
前記検出部は、複数のブロック領域で構成され、
前記各ブロック領域には、前記ゲートドライバがそれぞれ配置され、
前記ゲートドライバは、何れの前記走査線とも接続されていない非接続の端子を含む複数の端子を有し、
前記制御手段は、
前記ゲートドライバが有する複数の端子内でアクティブな状態となる端子を順次シフトさせ、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記走査線と接続されている端子がアクティブな状態となる場合には、前記走査駆動手段から全ての前記走査線にオフ電圧を印加して前記各スイッチ手段をオフ状態とした状態で前記読み出し回路に読み出し動作を行わせて、前記スイッチ手段を介して前記放射線検出素子からリークした前記電荷をリークデータに変換するリークデータ読み出し処理と、前記各放射線検出素子のリセット処理とを行わせた後に、アクティブな状態となる端子をシフトさせる通常シフト処理を実行して、読み出された前記リークデータが閾値を上回った時点で放射線の照射が開始されたことを検出し、
放射線画像撮影前に、前記ゲートドライバの端子のうち前記非接続の端子がアクティブな状態となる場合には、前記リークデータ読み出し処理と前記リセット処理とを行わせず、前記通常シフト処理の実行時よりも高速にアクティブな状態となる端子をシフトさせる高速シフト処理を実行し、
前記通常シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始するとともに、前記高速シフト処理を、前記各ブロック領域で互いに異なるタイミングで開始し、
前記高速シフト処理が後から開始される前記ブロック領域における前記リークデータ読み出し処理で読み出される前記リークデータのうち前記高速シフト処理の直前に行われる前記リークデータ読み出し処理で読み出された前記リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出した場合には、その後に行われる画像データ読み出し処理のうち前記高速シフト処理が先に開始される前記ブロック領域における前記画像データ読み出し処理で、前記高速シフト処理の際に最初にアクティブな状態となる端子から順次アクティブな状態の端子をシフトさせながら前記画像データを読み出させることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記各ブロック領域においてアクティブな状態となる端子を外側から内側へとそれぞれシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記各ブロック領域においてアクティブな状態となる端子を内側から外側へとそれぞれシフトさせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−199840(P2012−199840A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63508(P2011−63508)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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