説明

放熱構造体

【課題】放熱体の全体寸法を顕著に増加させることなく、極めて高い放熱性能を実現する放熱構造体を提供する。
【解決手段】熱伝導層1の最表面に3次元形状賦型層2を含む表皮層8が設けられた放熱構造体であって、熱伝導層の表皮層を除いた部位は、層内の少なくとも一方向における熱伝導率が2W/m・K以上、平均厚みが0.2〜5mmであって、熱伝導率と平均厚みの積が0.01W/K以上であり、3次元形状賦型層は、熱伝導層の全表面の10%以上の領域に複数の凸部が平均ピッチ0.03〜2mmで配され、凸部の根元側での平均幅もしくは平均太さが0.02〜0.7mm、凸部頂部の平均高さが、凸部の根元側平均幅もしくは平均太さの0.2〜5倍であり、3次元形状賦型層の設けられた領域の表面積が平坦面である場合に比べ、1.3倍以上であることを特徴とする放熱構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子(LED素子、レーザーダイオード、EL素子等)、能動受光素子(CCD等)、中央演算装置(CPU)、画像演算装置(MPU)、インバータ素子(IGBT、FET等)、モーター類、ヒーター素子等、発熱を伴うデバイス類の実装された機器、器具等の放熱対策として用いられる放熱構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子/電気機器の中には発熱密度の高いデバイス(LED素子、レーザーダイオード、CPU、MPU等)が多数実装されており、これらデバイス駆動に高い信頼性を確保する為の温度コントロールの必要、すなわち放熱対策が極めて重要になってきている。
【0003】
これらの放熱対策としては、熱伝導率の高い金属(銅、アルミニウム、アルミニウム合金等)を押出成型法やダイキャスト成型法等を用いて成形してなる放熱構造体(フィン型ヒートシンク等)を発熱源近傍に配して、外界空気に効率的に熱放散する経路設計を行うことが一般的であった。(例えば特許文献1〜3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−159012号公報
【特許文献2】特開平10−092986号公報
【特許文献3】特開2004−071599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来の放熱対策は、高い放熱性能を実現する上で放熱構造体の全体寸法、体積の増大が必要となるため、機器、器具の小型化や軽量化等の市場要求から、さらに高い放熱性能が求められている。本発明はこれらの事情に鑑み、放熱体の全体寸法を顕著に増加させることなく、極めて高い放熱性能を実現することを課題として、為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱伝導層の最表面に3次元形状賦型層を含む表皮層が設けられた放熱構造体であって、熱伝導層の表皮層を除いた部位は、層内の少なくとも一方向における熱伝導率が2W/m・K以上、平均厚みが0.2〜5mmであって、熱伝導率と平均厚みの積が0.01W/K以上であり、3次元形状賦型層は、熱伝導層の全表面の10%以上の領域に複数の凸部が平均ピッチ0.03〜2mmで配され、凸部の根元側での平均幅もしくは平均太さが0.02〜0.7mm、凸部の平均高さが凸部の根元側平均幅もしくは平均太さの0.2〜5倍であり、3次元形状賦型層の設けられた領域の表面積が平坦面である場合に比べ、1.3倍以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の放熱構造体は、放熱体の全体寸法の顕著な増加なく、極めて高い放熱性能を実現することができ、寸法制限のある機器類の放熱対策に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の放熱構造体の一例(正面からみた断面図)
【図2】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(断面〜斜視図)
【図3】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の各部寸法に関する説明図(上面からみた断面図)
【図4】本発明の放熱構造体の一例(正面からみた断面図)
【図5】本発明の放熱構造体の一例(正面からみた断面図)
【図6】本発明の放熱構造体の一例(正面からみた断面図)
【図7】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(上面からみた断面図)
【図8】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(側面からみた断面図)
【図9】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(断面〜斜視図)
【図10】本発明の放熱構造体の各部寸法の説明図(正面からみた断面図、図1の放熱構造体での例)
【図11】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(上面からみた断面図)
【図12】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(上面からみた断面図)
【図13】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例であって、放熱構造体の周方向に平行な方向に凸部が連なって形成されている場合の一例(側面からみた断面図)
【図14】本発明の放熱構造体のLED照明具への応用例(正面からみた断面図、図1の放熱構造体の応用例)
【図15】本発明の放熱構造体のLED照明具への応用例(正面からみた断面図、図1の放熱構造体の応用例)
【図16】本発明の放熱構造体の一例(正面からみた断面図)
【図17】本発明の放熱構造体の一例(正面からみた断面図)
【図18】本発明の放熱構造体のLED照明具への応用例(正面からみた断面図、図16、17の放熱構造体の応用例)
【図19】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(上面からみた断面図)
【図20】本発明の放熱構造体中の3次元形状賦型層の凸部形状の一例(上面からみた断面図)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は熱伝導層の最表面に3次元形状賦型層を含む表皮層が設けられた放熱構造体である。以下、本発明の実施の形態について順次詳述する。
【0010】
[3次元形状賦型層]
本発明の放熱構造体に用いられる3次元形状賦型層は最外郭層の表面積を増やし、外部空気層との接触面積を増やすことにより、最外郭層/外部空気層の界面の伝熱性を高める目的で形成される。一例として、LED照明具におけるLED素子の放熱部品として、本発明の放熱構造体を用いるケースで説明すると、LED素子の放熱促進の観点では、外部空気層の周囲温度(LED照明具からある程度の距離離れた場所)とLED照明具の最外郭層表面の温度差をできるだけ小さくすべく、本界面の伝熱性を高めることが重要である。本界面の伝熱性は、空気分子と最外郭層の衝突頻度、最外郭層から外部空間への赤外線輻射率に依存するので、最外郭層の表面積、表面形状、赤外線輻射率等が制御因子となり、最外郭層の赤外線輻射率を高め、かつ最外郭層の表面積を大きくすること、外部空気との熱交換効率を高めるのに好適な表面形状とすることが好ましい。
【0011】
3次元表面賦型層の形成により、最外郭層の表面積は、平坦面である場合に対比して、1.3倍以上であることが好ましく、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、更に好ましくは2.5倍以上、最も好ましくは3倍以上である。上限は可能な形状であればとくには無いが、後述のように本発明においては、凸部頂部の平均高さが凸部の根元側平均幅もしくは平均太さの5倍以内とすることが好ましく、この5倍である場合に表面積が実質最大となり、最大で約30倍前後となり得る。
【0012】
最外郭層の表面積の増加割合は、3次元表面賦型層として形成される凸部の形状、サイズ、形成密度等によって決定される。すなわち、凸部のピッチ、凸部の幅もしくは太さ、凸部の高さ、凸部の曲率(全体もしくは部分的に曲面が配される場合)等が主な支配要因となる。
【0013】
本発明における3次元表面賦型層とは複数の凸部を有しているものであるが、凸部の形状としては凸部が1次元的に連続的に形成されるもの、あるいは凸部が不連続に形成されるものが挙げられる。凸部のピッチは一定でも可変でも構わず、得ようとする放熱構造体の形状に合わせて選択してよい。凸部の高さ、大きさ等は一定でも可変でも構わず、得ようとする放熱構造体の形状に合わせて選択することができる。
【0014】
ここで本発明の課題とする、放熱体の全体寸法の顕著な増加なく、極めて高い放熱性能を実現するためには、3次元表面賦型層に形成される凸部の高さを可能な限り小さく抑制した上で、3次元表面賦型層の表面積を効率的に増加させる必要がある。
【0015】
特に本発明では、放熱体の全体寸法の顕著な増加を抑制する観点で、凸部の平均高さはおよそ2mm以下に抑えることを課題とする。本課題に関し、凸部の平均高さはより好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.7mm以下に抑えることが好ましい。
【0016】
更に極めて高い放熱性能の実現に関し、本発明では、前述のように凸部の平均高さを所定範囲に抑制した上で、3次元表面賦型層の形成された表面において、該表面が完全平坦面であった場合の表面積に比べて、少なくとも1.3倍以上の表面積を有するようにすることを課題とする。本課題に関し、3次元表面賦型層の形成面の表面積は平坦面に対比して、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、更に好ましくは2.5倍以上、最も好ましくは3倍以上とすることが好ましい。
【0017】
このように3次元表面賦型層に形成される凸部の平均高さを可能な限り抑制した上で、3次元表面賦型層の表面積を効率的に増加させる課題を解決するための方策としては、
凸部の根元側幅もしくは太さをできるだけ小さくすることが好ましい。ここで凸部が1次元的に連続的に形成される場合は幅として、不連続な突起として形成される場合には太さについて考えるものとする。また根元側幅もしくは太さとは凸部の根元側での幅もしくは太さのことを言う。
【0018】
凸部の高さ平均幅もしくは太さが、根元側平均値もしくは太さより、なるべく小さくならないようにすることが好ましい。また成形加工上の制約で凸部の頂点に曲面を設ける場合でも、その曲率半径をできる限り小さくすることが好ましい。ここで高さ平均幅もしくは太さとは、凸部の幅もしくは太さが高さ方向に変化する場合において高さ方向で平均した値である。
凸部の形成密度をできるだけ高くする。すなわち凸部のピッチをできるだけ小さくする
等が挙げられる。
【0019】
より具体的には、本発明の放熱構造体の3次元形状賦型層においては、凸部の根元側での平均幅もしくは平均太さが0.02〜0.7mm、根元側平均幅もしくは平均太さを高さ平均幅もしくは平均太さで割った値が0.7以上、凸部の平均ピッチは0.03〜2mmであることが好ましい。
【0020】
根元側平均幅もしくは平均太さが0.02mm未満である場合、もしくは平均ピッチが0.03mm未満である場合には、指紋汚れ、油汚れ、ゴミ等の異物付着等により、有効な表面積を維持できなくなる場合があり、あまり好ましくない。
根元側平均幅もしくは平均太さは、より好ましくは0.04〜0.6mm、更に好ましくは0.07〜0.5mm、最も好ましくは0.1〜0.4mmである。
【0021】
また平均ピッチは、より好ましくは0.06〜1.2mm、更に好ましくは0.11〜1mm、最も好ましくは0.15〜0.8mmである。
また根元側平均幅もしくは平均太さを、高さ平均幅もしくは平均太さで割った値は、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.85以上、最も好ましくは0.9以上である。
【0022】
また凸部の根元平均幅もしくは太さに対し、凸部の平均高さ(凸部の頂点と最外郭層の最底面もしくは最底点との距離の平均値)は0.2〜5倍であることが好ましい。0.2倍未満では表面積増加による放熱性の向上が不十分であり、また5倍超では寸法増加(主に凸部高さの増加)に伴う放熱性の向上効率が低くなる場合が多く、あまり好ましくない。
凸部の根元平均幅もしくは太さに対し、凸部の平均高さは、より好ましくは0.4〜4倍、更に好ましくは0.6〜3倍、最も好ましくは0.8〜2倍の範囲である。
【0023】
これら3次元表面賦型は、射出成形の金型内面に形状刻印を施すことにより、成形段階での実施が好ましいが、成形後の後処理による実施も可能であり、例えば、成形品に表面賦型用の形状刻印を施した金型面を押し付けて、熱プレスにより表面賦型を行う方法や、あらかじめ表面賦型の為された樹脂性のフィルムを成形品表面にラミネート、もしくは接着層等を介して貼り付ける方法、あらかじめ表面賦型の為された熱収縮チューブを加熱収縮させて成形品表面にラミネートする等の手法が挙げられる。
【0024】
3次元形状賦型を形成する凸部の形状や配列パターンは特に限定はなく、多種の形状、配列が可能である。凸部は連続的に連なった形でも、単独突起状でも良い。前者の場合、その配列方向は放熱構造体表面のいずれの方向でもよく、直線状に配列しても、曲線状に配列しても構わない。後者の場合、碁盤目状、市松模様状、同心円状等の一定の規則性を持って配列しても良いし、また規則性を持たずランダムに配列されても良い。
【0025】
より具体的に幾つかの例を挙げると、図2、9、11、12、19、20の例は、3次元形状賦型を形成する凸部の形状が、連続的に連なる凸部であって、各凸部が円筒状もしくは多角形筒状の放熱構造体の軸方向と平行な向きに伸びた形で配列している例である。尚、これらの中で図19、20の例は凸部が途中から分岐している例である。
【0026】
また図13は、連続的に連なる凸部であって、各凸部が円筒状もしくは多角形筒状の放熱構造体の周方向と平行な向きに伸びた形で配列している例である。
また図7、8は単独突起状の凸部が碁盤状もしくは市松模様状に配列した例であり、この場合、円筒状もしくは多角形筒状の放熱構造体の軸方向、周方向いずれの断面を見ても凸部を有した形状となる。
【0027】
ところで3次元形状賦型層内の空気流通性は放熱構造体最外層と外界空気間の熱伝達効率において重要であり、強制送風等のない自然条件においても、できるだけ空気は一箇所に滞留する事なく、置換が早く進む事が望ましい。
【0028】
ここで凸部が一方向に連なって伸びた構造は、場合によっては空気流通の障壁となる場合もあり、こうした構造の場合には、できる限り放熱構造体近傍の空気の流れ(自然対流、熱対流等)を阻害しない向きに配する事が好ましい。このあたりの状況は放熱構造体の用いられる用途によって異なるため、使用環境に応じて好適な配列方向を定める事が望ましい。
【0029】
一方、単独突起状に形成された凸部は相対的に空気の流通の障害になりにくく、また凸部形成による表面積向上効率も高い為、より広い使用環境において高い放熱性能を確保できる特徴がある。
【0030】
ただし射出成形により3次元形状賦型層を成形する場合においては、射出成形品の金型からの抜けの良し悪し(金型抜け特性)も考慮の上で、こうした凸部パターンの配列、配置を決めることも好ましい。例えば、単独突起状の凸部や曲線状に連なる凸部等を形成する上では、金型抜け適性確保の上で、一般的には2軸型もしくは多軸型の成形機を必要とする。
【0031】
3次元形状賦型層は熱伝導層の全表面の10%以上の領域に形成されることが好ましい。10%未満では放熱構造体の表面積増加の効果が不十分となりやすく、熱伝導層の全表面の10%以上、より好ましくは20%、更に好ましくは30%、最も好ましくは40%以上の領域に形成されることが好ましい。
【0032】
尚、表皮層は、外界空気等への熱放散効率をより高める上で、輻射率(赤外線放射率)の高い層であることが好ましく、輻射率は0.7以上であることが好ましく、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.8以上、最も好ましくは0.85以上である。
【0033】
また同様に表皮層は外界空気等への熱放散効率をより高める上で熱伝導率の高い層であることがより好ましく、好ましくは層内の少なくとも一方向における熱伝導率は2W/m・K以上であることが好ましい。より好ましくは5W/m・K以上、更に好ましくは10W/m・K以上、最も好ましくは15W/m・K以上である。表皮層が、上記の熱伝導層と同一材料とすることも好ましい。後述のように、相異なる材料からなる熱伝導層と表皮層を組み合わせて放熱構造体とする場合には、表皮層は、3次元形状賦型層とベース層を含むことが好ましい。これらの態様については追って詳述する。
【0034】
表皮層のベース層厚みが小さい場合、具体的にはベース層厚みが1.5mm以下である場合には、熱伝達のロス(温度差発生)が比較的少なくて済む為、必ずしも熱伝導率が2W/m・K未満の層でも表皮層として利用できる場合がある。尚、ベース層厚みはより好ましくは1mm以下、更に好ましくは0.7mm以下である。
【0035】
特に3次元形状賦型層を電気絶縁性の高い材料(特に体積抵抗が10cm・Ω以上の層、より好ましくは体積抵抗が1012cm・Ω以上の層)で形成することによって、放熱構造体の電気的安全性が高まる(絶縁耐圧や静電耐圧の増大、漏れ電流低減等)ので用途に応じて好ましく用いられる。
【0036】
[放熱構造体ならびに3次元形状賦型層]
本発明の放熱構造体は少なくともその一部が発熱体近傍に配置され、その接触面から発熱体の熱が伝達された後、構造体を通じて熱を輸送し、最終的に放熱構造体の最外郭から外界空気等に熱を放散する機能を有する層である。
【0037】
図1、4、5、6、16、17に放熱構造体の一例を例示した。図中、記号2で3次元形状賦型層形成部位を示す。これらの例ではいずれも円柱構造をベースとした形状となっているが、本発明の放熱構造体はこれら例示の形状に限定されるものではなく、また多角柱、円錐、多角錐、もしくは更に複雑な3次立体形状をベースとしたものでも構わない。
【0038】
本発明の放熱構造体は、前述の3次元形状賦型によって表面積が増大された3次元形状賦型層を最外郭に有することにより、最外郭から外界空気等への高い熱放散効率を有するが、これに加え、発熱体接触面で熱が伝達された後に、構造体内部を通じて最外郭に熱を高効率で移動させるための高い熱輸送能力を有する。
【0039】
放熱構造体の熱輸送能力は、その平均厚み(熱の流れる方向に対して垂直方向の平均肉厚、単位m)と熱伝導率(単位W/m・K)との積によって概ね表現でき、その値が0.01W/K以上であることが好ましく、それ未満では多くの用途において、発熱体の熱輸送が不十分になりやすい。熱伝導率と平均厚みの積は、好ましくは0.02W/K以上、より好ましくは0.03W/K以上、更に好ましくは0.04W/K以上、最も好ましくは0.05W/K以上である。なお熱伝導層の表皮層を除いた部位の熱伝導率と平均厚みの積の実質的な上限は約2W/Kである。(熱伝導層が純銀製で厚み5mmの場合、420W/m・K×0.005m=2.1W/K)
【0040】
放熱構造体の一部を放熱すべき発熱体(発熱源)と接触するように配し、発熱体から伝達された熱を最外郭に輸送する機能を求める場合、放熱構造体は層の少なくとも一方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であって、平均厚みが0.2〜5mmの層であることが好ましい。熱伝導率は2W/m・K未満であると、放熱構造体の厚みを増加させる必要が生じ、無用な全体寸法の増加を招くので好ましくない。熱伝導率は好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上、最も好ましくは25W/m・K以上である。放熱構造体の平均厚みは各用途において必要とされる熱輸送量を勘案した上でできる限り小さくすることが全体寸法低減の観点で好ましい。ただし0.2mm未満では機械的強度が低下する場合も多く、より好ましくは0.3〜3mm、更に好ましくは0.4〜2mm、最も好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0041】
本発明の放熱構造体は単一材料により一体成形することが好ましく、特に3次元形状を内面に刻印した金型を用いた金型成形(特に射出成形)により、生産性良く作成することが好ましいが、必要に応じて、3次元形状賦型層を含む表皮層のみ異なる材料で成形した上で一体化させることも可能である。
【0042】
すなわち3次元形状賦型層は非常に微細な形状の賦型が為される層である為、それを構成する材料や成形方法に制約がある場合が多い。例えば放熱構造体(ヒートシンク)として良く用いられる高熱伝導率の金属材料であるアルミニウム合金を用いてダイキャスト法にて本発明の3次元形状賦型層を成形しようとすると、金属溶融物の表面張力が高く、金型内面への濡れ性が低いこと、金属溶融物の溶融粘度が比較的高く、金型内での流れがあまり良くないこと等に起因して、金型内面掘り込みによる微細凹部(微細な3次元形状を凹形状で刻印した部位)内に金属溶融物が十分充填できないとの現象が発生する。すなわちアルミニウム合金によるダイキャスト成形により、本発明の微細な3次元形状賦型層の成形は難しい。
【0043】
この一方、一般的な樹脂成形法(射出成形、熱プレス成形等)はこうした微細な3次元形状賦型の制御性に適しており、多種多様の材料で本発明の3次元形状賦型層を精度良く作成することが可能である。
【0044】
こうした事情を鑑み、放熱構造体の一部を放熱すべき発熱体(発熱源)と接触するように配して発熱体から伝達された熱を最外郭に輸送する機能を司る層(熱伝導層)と、放熱構造体から外界空気等への効率的熱放散を図る機能を司る層(表皮層)とを、分離形成した方が好ましい場合もある。
【0045】
尚、金属ダイキャスト成形法に関しても、微細成形性に優れる金属材料として亜鉛合金が挙げられるが、亜鉛合金は比重が高く(7.3前後)、熱伝導率もアルミニウム合金対比劣る為、熱伝導層よりも表皮層として分離形成して利用することが好ましい場合が多い。
【0046】
熱伝導層と表皮層を相異なる材料で成型する場合、両者は個別に成形した上で、熱伝導層の表面の一部もしくは全体に、熱伝導性接着剤、放熱シート等を介して接着固定することが好ましいが、この他に、あらかじめ成形したいずれか一方の層を金型のキャビティ内にセットした上で、もう一方の層の金型成形を行う、いわゆるインサート成形法も好ましく利用できる。
【0047】
[熱伝導層]
熱伝導層は、放熱構造体の一部を放熱すべき発熱体(発熱源)と接触するように配して発熱体から伝達された熱を最外郭に輸送する機能を司る為、前述のように高い熱輸送能力が必要とされ、熱伝導層の表皮層を除いた部位は、層内の少なくとも一方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上、平均厚みが0.2〜5mmであって、熱伝導率と平均厚みの積が0.01W/K以上であることが好ましい。
【0048】
熱伝導率は好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上、最も好ましくは25W/m・K以上であり、平均厚みは、より好ましくは0.3〜3mm、更に好ましくは0.4〜2mm、最も好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0049】
熱伝導層として好適な材料としては、具体的には例えば、銅、銀、アルミニウム、鉄、ステンレス、亜鉛、チタン、珪素、クロム等の金属、もしくはこれら金属の合金類が挙げられる。これら金属もしくは合金類による熱伝導層は、鋳造法、鍛造法、ブロック状の金属塊の切削加工などにより成形が可能である。尚、鋳造法としては金型内で圧縮力を与えながら成形するダイカスト法、単に型内に流し込み、自然冷却で成形する方法などが挙げられる。また鍛造法としては加熱した金属層にズリ応力を与えて延性加工を行う冷間鍛造法などが好ましく挙げられる。
【0050】
特に、銅、銀、アルミニウム、珪素とそれらをベースとする金属合金類には50W/m・K以上の熱伝導率を有するものが多く、熱伝導層として求められる高い熱輸送能力を満足する場合が多く、好ましく用いることができる。尚、金属合金類による熱伝導層の熱伝導率はより好ましくは75W/m・K以上、更に好ましくは100W/m・K以上である。
【0051】
ただし熱伝導層に、これら金属、金属合金類を用いた場合には放熱構造体の全体重量が大きくなり、用途においては好ましくない場合もある。また高導電率である金属を熱伝導層に用いた場合には、機器、器具に実装される各種デバイスや電源配線ラインからの漏洩電流、誘起電流が増加する場合もあり、また熱伝導層と電源配線ラインの不慮の短絡が発生した場合等に多量の電流が熱伝導層に流れ込む為、機器、器具としての安全性に懸念が生じる場合がある。
【0052】
これら軽量性や電気的安全性の確保を重視する用途においては、熱伝導層は電気抵抗(体積抵抗)のなるべく大きい層を用いることが好ましく、層の体積抵抗として、1×10−2(Ω・cm)以上であることがより好ましく、好ましくは1×10(Ω・cm)以上、更に好ましくは1×10(Ω・cm)以上、最も好ましくは1×10(Ω・cm)以上である。
【0053】
これら要件を満足する熱伝導層としては、各種熱伝導性フィラーを複合してなり、層内の少なくとも一方向における熱伝導率が2W/m・K以上の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる層が特に好ましく用いられる。熱伝導率はより好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上、最も好ましくは25W/m・K以上である。
【0054】
尚、このように熱伝導率が高く、かつ3次元微細形状の成形性(精密転写性)に優れる層としては後述のピッチ系黒鉛化炭素短繊維を含む熱伝導性樹脂組成物を成形してなる層が好ましく挙げられる。
【0055】
これら熱伝導性樹脂組成物を用いて成形した熱伝導層は、前記の金属、金属合金類を用いた場合に比べ、低比重で軽量になること、細かく高精度な成形が可能であること、金属、金属合金類よりも電気抵抗が大きく、前記の好適な体積抵抗を実現できること等から、機器、器具の軽量性、落下安全性、意匠性、他の構成部品との勘合性、電気的安全性等の特徴を有する。
【0056】
[表皮層]
表皮層を熱伝導層と異なる材料で成型し、熱伝導層の全体もしくは一部の表面に積層一体化する方法により放熱構造体を作成する場合、層の成形性ならびに自立強度の観点から、表皮層は一定の厚みを持ったベース層を有し、その表面に3次元形状賦型が為されることが好ましい。ベース層の平均厚みは成形性、自立強度の観点から0.05mm以上の厚みとすることが好ましく、また無用な寸法増加を防ぐ観点から4.8mm以下の厚みであることが好ましい。ベース層の平均厚みは好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.15〜1.5mm、更に好ましくは0.2〜1mm、最も好ましくは0.25〜0.7mmである。
【0057】
ベース層と3次元形状賦型層は金型成形等により一体成形されることが好ましく、前述のように微細成形性の観点で樹脂の射出成形による一体成形することが好ましい。またこの他の方法として、柔軟性と自立性を有する樹脂製フィルムをベース層として用い、所定の3次元形状を内面に刻印した金型もしくはロールを用いて、熱プレスもしくは熱ロールプレスを行い、ベース層上に3次元形状賦型層の形状転写を行ってもよい。このようにして作成された3次元形状賦型層を表面に有する樹脂フィルムは熱伝導層芯層の成形物表面の一部もしくは全体にラミネートもしくは熱伝導接着剤等を介して貼り付けることにより一体化することが好ましい。これら3次元形状賦型層は熱伝導層の全表面の10%以上の領域で実質的に界面を接して積層一体化されることが好ましい。10%未満では放熱構造体の表面積増加の効果が不十分となりやすく、熱伝導層の全表面の10%以上、より好ましくは20%、更に好ましくは30%、最も好ましくは40%以上の領域で実質的に界面を接して積層一体化されることが好ましい。
【0058】
前述のように、表皮層は、外界空気等への熱放散効率をより高める上で、輻射率(赤外線放射率)の高い層であることが好ましく、輻射率は0.7以上であることが好ましく、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.8以上、最も好ましくは0.85以上である。輻射率を高める目的には、後述のピッチ系黒鉛化炭素短繊維ほかの炭素系材料、セラミック系材料等を含む層として表皮層を形成することが好ましい。
【0059】
表皮層は外界空気等への熱放散効率をより高める上で熱伝導率の高い層であることがより好ましく、少なくとも層内の一方向において熱伝導率が2W/m・K以上、より好ましくは5W/m・K以上、更に好ましくは10W/m・K以上、最も好ましくは15W/m・K以上である。このように熱伝導率が高く、かつ3次元微細形状の成形性(精密転写性)に優れる層としては、後述のピッチ系黒鉛化炭素短繊維等を含む熱伝導樹脂組成物を用いて成形した層が好ましく挙げられる。
【0060】
尚、表皮層の熱伝導率に関して、ベース層の平均厚みが小さい場合、具体的には表皮層のベース層の平均厚みがおよそ1.5mm以下である場合には、熱伝達のロス(温度差発生)が比較的少なくて済む為、必ずしも熱伝導率が2W/m・K未満の層でも利用できる場合がある。尚、表皮層のベース層厚みはより好ましくは1mm以下、更に好ましくは0.7mm以下である。
【0061】
特に表皮層を電気絶縁性の高い材料(特に体積抵抗が1011cm・Ω以上の層、より好ましくは体積抵抗が1013cm・Ω以上の層)で形成することによって、放熱構造体の電気的安全性が高まる(絶縁耐圧や静電耐圧の増大、漏れ電流低減等)ので用途に応じて好ましく用いられる。
【0062】
また電気絶縁層は、より好ましくは熱伝導率の高い層であることが好ましく、少なくとも層内の一方向に対する熱伝導率が0.5W/m・K以上であることが好ましく、より好ましくは1W/m・K以上である。
【0063】
電気絶縁層を樹脂もしくは樹脂組成物で形成する場合、マトリクス樹脂としては後述の熱伝導性樹脂組成物の樹脂マトリクス材料として例示する樹脂が好ましく例示される。また樹脂組成物としてはこれら樹脂マトリクス材料にガラス繊維、アラミド繊維等の補強用繊維材料、また各種用途に適したフィラー、添加剤を混合した樹脂組成物も好ましく例示される。
【0064】
層の熱伝導率を高めるには電気絶縁性のフィラーの混合が好ましく、補強層は、マトリクス樹脂100体積部に対して5〜100体積部の電気絶縁性の熱伝導性フィラーを含有することが好ましい。電気絶縁性のフィラーとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物等が挙げられる。
【0065】
また表皮層は、外観意匠上、最外郭層の着色が好ましい場合や、紫外線等への耐候性が必要な場合には、顔料、酸化チタン、硫酸バリウム等の光散乱性、光反射性のフィラーや、その他の顔料、染料等を混合しても構わない。また電気絶縁層には輻射率(赤外線放射率)を高める添加剤や、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤等の添加物を添加することも可能である。ただし電気絶縁層にこれらフィラー、添加剤類を多量に混合した場合には、層の機械的強度(特に耐衝撃性)や流動性(成形性)が低下する場合が多く、本発明の主旨において十分な機械的強度、流動性、を確保できる範囲で混合することが好ましい。
【0066】
尚、表皮層を形成する材料は、前記熱伝導層と同一であっても良い。この場合には両層が実質的に界面を有していない形になるように金型内で両層を一体成形することが好ましく、両層を分離して作成する必要は少ない。
【0067】
尚、表皮層もしくは表皮層の表面部分は、外界空気の構成分子(窒素、酸素)もしくは水分に対して吸脱着性の優れた層としても良い。表皮層と外界空気もしくは水分との熱エネルギー交換性を高め、本界面での熱伝達効率を高める効果を有する場合もある。具体的には活性炭、無機多孔質材料(多孔質シリカ、多孔質アルミナ等)、カーボンナノチューブ等を含む層、もしくはポリビニルアルコールおよびその共重合体等の吸水性に優れる層等が挙げられる。
【0068】
[その他の構成]
本発明の放熱構造体の機械的補強の目的や、電気絶縁性の確保の目的で、耐衝撃性や電気絶縁性に優れた層を放熱構造体の熱伝導層に積層しても良い。前者の目的には、ノッチ付アイゾット耐衝撃強度が5kJ/m以上で平均厚みが0.3〜3mmの層を積層することが好ましく、後者の目的には体積抵抗が1011Ω・cm以上、平均厚みが0.01〜3mmで、熱伝導層と電気絶縁層の積層体の厚み方向のIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、絶縁破壊電圧が0.5kV以上、の層を積層することが好ましい。尚、この両者の機能を兼ねた平均厚み0.3〜3mmの層とすることも好ましい。
【0069】
またこれらの機械的補強およびまたは電気絶縁性確保を目的とした層も、より好ましくは熱伝導率の高い層であることが好ましく、少なくとも層内の一方向に対する熱伝導率が0.5W/m・K以上であることが好ましく、より好ましくは1W/m・K以上である。
【0070】
[熱伝導性樹脂組成物]
本発明の放熱構造体の熱伝導層もしくは表皮層の成形に好適な熱伝導性樹脂組成物としては、マトリクス樹脂100体積部に対し、熱伝導性フィラーの含有量が10〜100体積部である樹脂組成物が好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が10体積部未満だと高い熱伝導性が得られ難い。逆に熱伝導性フィラーの含有量が100体積部を超えると、熱伝導性フィラーを樹脂に分散させ、均一な熱伝導性樹脂組成物を得るのが困難になりやすく、また樹脂の流動性が不十分となりやすい。熱伝導フィラーの含有量は好ましくは20〜90体積部である。
【0071】
熱伝導性フィラーとマトリクス樹脂との混合は、単軸型の溶融混練装置、二軸型の溶融混練装置等の公知の溶融混練装置を用いて実施できる。
熱伝導性フィラーとしては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛などの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属もしくは金属合金、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料などが挙げられ、2種類以上併用することも可能である。
【0072】
熱伝導樹脂組成物の熱伝導率を高めるにはピッチ系黒鉛化短繊維を用いるのが好ましく、その中でもメソフェーズピッチを出発材料とした黒鉛結晶構造の非常に発達したピッチ系黒鉛化短繊維を用いることが特に好ましい。すなわち黒鉛化短繊維の熱伝導性は黒鉛結晶の格子構造を伝播するフォノン振動に主に由来するため、熱伝導性を高めるには黒鉛結晶の結晶性を高めること、すなわち黒鉛結晶の格子構造ができるだけ欠陥少なく、かつ大きく広がるようにすることが好ましい。
【0073】
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維はいわゆるミルドファイバーに該当し、その平均繊維長(L1)は、より好ましくは20〜500μmであることが好ましい。ここで、平均繊維長は個数平均繊維長とし、顕微鏡下で所定本数を測定し、その平均値から求めることができる。L1が20μmより小さい場合、当該短繊維同士が接触しにくくなり、高い熱伝導率を有する熱伝導性組成物を得にくくなることがある。逆にL1が500μmより大きくなる場合、マトリクスとピッチ系黒鉛化短繊維を混練する際の粘度が高くなり、ハンドリングが困難になることがある。より好ましくは、20〜300μmの範囲である。この様なピッチ系黒鉛化短繊維を得る手法として特に制限はないがミリングの条件、すなわちカッター等で粉砕する際の、カッターの回転速度、ボールミルの回転数、ジェットミルの気流速度、クラッシャーの衝突回数、ミリング装置中の滞留時間を調節することにより平均繊維長を制御することができる。また、ミリング後のピッチ系炭素短繊維から、篩等の分級操作を行って、短い繊維長、または長い繊維長のピッチ系炭素短繊維を除去することにより調整することができる。
【0074】
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、黒鉛結晶からなり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズ(Lc)が少なくとも20nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは40nm以上、最も好ましくは50nm以上であることが好ましい。結晶子サイズは六角網面の成長方向のいずれも、黒鉛化度(黒鉛結晶の結晶性)の高低に対応するものであり、熱物性を発現するためには、一定サイズ以上が必要である。六角網面の成長方向の結晶子サイズは、X線回折法で求めることができる。測定手法は集中法とし、解析手法としては学振法が好適に用いられる。六角網面の成長方向の結晶子サイズは、(110)面からの回折線を用いて求めることができる。
【0075】
また黒鉛化度を示す他のパラメータとして、黒鉛結晶の層間隔があり、層間隔が小さいほど結晶性が高い。黒鉛結晶の層間隔は、例えばd002のX線回折線に基づく計算値として、少なくとも0.3420nm以下、より好ましくは0.3395nm以下、更に好ましくは0.3370nm以下、最も好ましくは0.3362nm以下であることが好ましい。
【0076】
またグラフェンシート端面構造は、黒鉛化の前に粉砕を実施するか、黒鉛化の後に粉砕を実施するかにより、大きく異なる。すなわち、黒鉛化後に粉砕処理を行った場合、黒鉛化で成長したグラフェンシートが切断破断され、グラフェンシート端面が開いた状態になり易い。一方、黒鉛化前に粉砕処理を行った場合、黒鉛の成長過程でグラフェンシート端面がU字上に湾曲し、湾曲部分がピッチ系黒鉛化短繊維端部に露出した構造になり易い。このため、グラフェンシート端面閉鎖率が80%を超えるようなピッチ系黒鉛化短繊維を得るためには、粉砕を行った後に黒鉛化処理することが好ましい。
【0077】
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は走査型電子顕微鏡での側面の観察表面が実質的に平坦であることが好ましい。ここで、実質的に平坦であるとは、フィブリル構造のような激しい凹凸をピッチ系黒鉛化短繊維に有しないことを意味する。ピッチ系黒鉛化短繊維の表面に激しい凹凸のような欠陥が存在する場合には、マトリクスとの混練に際して表面積の増大に伴う粘度の増大を引き起こし、成形性を悪化させる。よって、表面凹凸のような欠陥はできるだけ小さい状態が望ましい。より具体的には、走査型電子顕微鏡において1000倍で観察した像での観察視野に、凹凸のような欠陥が10箇所以下であることとする。この様なピッチ系黒鉛化短繊維を得る手法としては、ミリングを行った後に黒鉛化処理を実施することによって、好ましく得ることができる。
【0078】
熱伝導性樹脂組成物には、熱伝導性フィラー以外に、さらに、成形性、機械物性、難燃性、その他の特性をより高めるために、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼化アルミニウムウィスカ、窒化ホウ素ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維などの繊維状フィラー、ならびに、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、ガラスフレーク及びセラミックビーズ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの非繊維状フィラーも必要に応じて適宜添加することが可能である。これらは中空のものであってもよく、さらにはこれらを2種類以上併用することも可能である。ただ、上記化合物は、密度がピッチ系黒鉛化短繊維より大きなものが多く、軽量化を目的とするときには、添加量や添加比率に気を配る必要がある。
【0079】
マトリクスとする樹脂については、例えばポリエステル類及びその共重合体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート)、ポリスチレン類(ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレンなど)及びその共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、AES樹脂など)、ポリメチルメタクリレート類及びその共重合体(特にシクロ環およびその誘導体からなる構造を含むもの)、ポリ乳酸樹脂およびその共重合体、ポリアクリロニトリル類及びその共重合体、環状ポリオレフィン類およびその共重合体(特にシクロ環を含む樹脂、例えばJSR製 商標名「アートン」、三井化学製 商標名「アペル」、日本ゼオン製 登録商標「ゼオネックス」等)、ポリメチルペンテン類およびその共重合体(例えば三井化学製 登録商標「TPX」等)、ポリフェニレンエーテル(PPE)類及びその共重合体(変性PPE樹脂なども含む)、脂肪族ポリアミド類及びその共重合体、ポリイミド類及びその共重合体、ポリアミドイミド類及びその共重合体、ポリカーボネート類及びその共重合体、ポリフェニレンスルフィド類及びその共重合体、ポリサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルニトリル類及びその共重合体、ポリエーテルケトン類及びその共重合体、ポリエーテルエーテルケトン類及びその共重合体、ポリケトン類及びその共重合体、エラストマー、液晶性ポリエステル類などの液晶性ポリマー等が挙げられる。これらから一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0080】
また熱伝導樹脂組成物には必要に応じ、輻射率(赤外線放射率)を向上する添加剤や、各種着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤等の添加物を添加しても良い。
【0081】
尚、熱伝導樹脂層を前述の熱伝導性炭素繊維(特にピッチ系黒鉛化短繊維)を含む熱伝導樹脂組成物を用いて射出成形する場合には、樹脂射出金型におけるゲート部を、放熱の対象となる発熱体(発熱デバイス等)近傍に配置することが好ましい。すなわち熱伝導性炭素繊維の配向方向は熱伝導樹脂組成物の流動方向と一致する為、発熱体近傍にゲートを設けることで、発熱体の放熱方向と熱伝導性炭素繊維の配向方向(熱伝導樹脂の熱伝導率が最大となる方向)をほぼ一致させることができ、より効率的な放熱が可能となる場合がある。
【0082】
[放熱構造体の応用用途]
本発明の放熱構造体の具体的用途として、図14、15、18にLED照明具への応用例を例示した。尚、放熱構造体の用途はこれら例示以外のシステム、構造を有するLED照明具にも応用可能であるし、またLED照明具のみに限定されるものではなく、発熱体、発熱デバイス類の放熱を必要とする機器、器具において広く応用できるものである。
【0083】
LED素子の実装されたLED実装基板は熱伝導接着層もしくは放熱シート等を介して、放熱構造体の一部に接着固定されており、この接触面でLED素子から放熱構造体への熱伝達がまず行われる。その後、放熱構造体の中を熱が移動していき、最終的に一部もしくは全体に3次元形状賦型層の形成されているLED照明具の最外郭部から外界空気に熱放散される。
ここでLED照明具の全体寸法、形状は各用途での要求に従い、おのずと制約がある為、放熱構造体にはできるだけサイズが小さくコンパクトなもの、そしてできるだけ軽量なものが求められる。
【0084】
放熱の観点から放熱構造体(もしくはLED照明具)の設計上、大きなポイントとなるのは、LED素子の発熱量に対する放熱構造体の最外郭の表面積の割合である。すなわち放熱構造体単独での熱伝達能力(熱輸送能力)が十分高いものであったとしても、LED素子の発熱量に対する最外郭の表面積が低い場合には、最外郭と外界空気間の熱伝達のロス(温度差)が多く発生し、この熱伝達効率の悪さが律速となって、LED素子の発熱は放熱構造体内に溜め込まれてしまい、放熱構造体全体の温度が上昇する結果となる。すなわちLED素子の十分な放熱が為されない。従って、LED照明具の設計においては、LED素子の発熱量に対する放熱構造体の最外郭の表面積の割合を好適な範囲に設定することが肝要である。
【0085】
また一方で、LED素子の発熱量に対する放熱構造体の最外郭の表面積の割合が十分高いものであった場合にも、放熱構造体自身の熱伝達能力(熱輸送能力)が不十分な場合には、発熱部位(LED素子)近傍から最外郭部までの距離に対して、放熱構造体内部で熱伝達のロス(温度差)が多く発生してしまい、LED素子の放熱が不十分となる。従って、LED照明具の設計においては、LED素子の発熱量に対する放熱構造体の熱伝達能力(熱輸送能力)を好適な範囲に設定することが必要である。尚、放熱構造体の熱伝達能力は前述の通り、放熱構造体の厚み(主に熱の流れる方向に垂直な方向)、熱伝導率、最外郭までの距離によって決められる。
【0086】
ところで図14に例示したLED照明具に関しては放熱構造体のみならず、その光学システムにも特徴を有しており、LED素子を出射した光は直上に配された導光光拡散機能を有するレンズに入射し、その一部は同レンズの最上部に設けられた逆円錐状凹部からなる全反射面で反射を受け、LED素子から見た鉛直方向に対して45°〜135°の角度範囲を中心に同レンズから出射される。同レンズを出射した光は光透過性カバーを透過してLED照明具の外部に広く出射するが、この光学システムにおいては、レンズ最上部に設けられた逆円錐状凹部の形成面にあたかも光源があるように見える(擬似光源として利用できる)といった特徴を有する。このようなシステムによって、従来の丸電球、ミニクリプトンランプ等と外観類似して違和感のない、かつ非常に広角な照明光の配光分布を有したLED照明具とすることができる。
【0087】
また図15に例示したLED照明具も図14で例示のLED照明具と類似の光学システムを用いており、LED素子から見た鉛直方向に対して45°〜135°の角度範囲を中心に、導光光拡散機能を有するレンズから出射した光はリフレクタで反射を受けた後、LED素子からみて鉛直方向に指向性の良い照明光として出射する。このような光学システムによって、従来のハロゲンランプ等と外観類似して違和感のない、かつ指向性の良い良質な照明光の配光分布を有したLED照明具とすることができる。
【0088】
尚、図14、15に例示したLED照明具においては、放熱構造体の突き出し部(図10における記号12)の内面側に他部品(光透過カバーもしくはリフレクタ)との勘合の為のネジ切りを行っており、LED照明具の組み立ての際、ネジ締結の縦方向の締め付け力により、LED実装基板と放熱構造体の面的密着信頼性を高めることができる。
【実施例】
【0089】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は、JIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は、セイシン企業製PITA1を用いて1500本測定し、その平均値から求めた。
(3)ピッチ系黒鉛化短繊維の結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(4)ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は、透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大し、グラフェンシートを確認した。
(5)ピッチ系黒鉛化短繊維の表面は走査型電子顕微鏡で1000倍の倍率で観察し、凹凸を確認した。
(6)熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率は、4mm厚の熱伝導性組成物の成形体から3mm×10mmの短冊状にサンプルを切り出し、横に並べて一体化させ、ネッチ製LFA−447を用いて面内方向の熱伝導率を求めた。
(7)成型体の厚み方向の静電破壊電圧は、IEC61000に準拠し、株式会社ノイズ研究所製静電試験器モデル ESS−2002を用いて、成形体の厚み方向の静電破壊電圧(KV)を測定した。測定は5枚の試験片を用いて実施し、その中で最も低い値をもって、試験片の静電破壊電圧値とした。
(8)成形体の厚み方向の絶縁破壊電圧は、IEC60243短時間法に準拠し、ヤマヨ試験器製絶縁破壊試験装置YST−243−100RHOを用いて、成形体の厚み方向の絶縁破壊電圧(KV)を測定した。測定は5枚の試験片を用いて実施し、その中で最も低い値をもって、試験片の静電破壊電圧値とした。
【0090】
[参考例1]メソフェーズ系ピッチ黒鉛化短繊維の製造
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。この時の紡糸温度は328℃であり、溶融粘度は13.5Pa・s(135poise)であった。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付400g/mのピッチ系炭素繊維前駆体からなるピッチ系炭素繊維前駆体ウェブとした。
このピッチ系炭素繊維前駆体ウェブを空気中で170℃から320℃まで平均昇温速度5℃/分で昇温して不融化し、更に800℃で焼成を行った。このピッチ系炭素繊維ウェブをカッター(ターボ工業製)を用いて700rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)は9%であった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。尚、前記粉砕条件の調整により、個数平均繊維長170μmのもの(ピッチ系黒鉛化炭素短繊維Aとする)と個数平均繊維長140μmのもの(ピッチ系黒鉛化炭素短繊維Bとする)の2種を作成した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は透過型顕微鏡の観察によりグラフェンシートが閉じていることを確認した。また、表面は走査型電子顕微鏡の観察により、凹凸は1個であり実質的に平坦であった。
【0091】
[参考例2]熱伝導性樹脂組成物
マトリクスとなる樹脂には、日本公開特許2007−146105号公報記載の合成方法に基づくポリフェニレンスルフィド樹脂を用いた。すなわち攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、NaS・2.8HO1866g及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)5リットルを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、407gの水を溜出させた。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2280gとNMP1500gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、ポリマーを遠心分離器により単離した。温水でポリマーを繰り返し洗浄し、100℃で一昼夜乾燥し、更に空気雰囲気下235℃で加熱硬化処理を行い、ポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂を得た。
このポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂を粉砕機を用いてパウダー形状とした後、このポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂100体積部と、参考例1で得たピッチ系黒鉛化短繊維B92体積部、二軸混練装置を用いて溶融混練し、熱伝導性樹脂のペレットを得た。このペレットを用いて射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み4mmの熱伝導性成形品を得た。熱伝導性成形品の熱伝導率は20.4W/(m・K)、比重は約1.75であった。
【0092】
[参考例3]熱伝導性樹脂組成物
参考例1で得たピッチ系黒鉛化短繊維A55体積部、環状ポリオレフィン樹脂(JSR株式会社製アートン(登録商標)D4531F)100体積部を二軸混練装置を用いて溶融混練し、熱伝導性樹脂のペレットを得た。このペレットを用いて射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み4mmの熱伝導性成形品を得た。熱伝導性成形品の熱伝導率は15.9W/(m・K)、比重は1.48であった。
【0093】
[参考例4]樹脂組成物
ガラス繊維補強ポリフェニレンサルファイド樹脂(東ソー製 サスティール(登録商標)G10)を用いて厚み4mmの成形品を得た。本成形品の熱伝導率は0.2W/m・K、比重は1.97、体積抵抗は約1014Ω・cmであった。
【0094】
[参考例5]樹脂シート
ポリカーボネート樹脂による厚み0.4mmの成形シート(帝人化成製 パンライト(登録商標)シート PC2151)を用いた。本シートの熱伝導率は0.2W/m・K、比重は1.2、体積抵抗は約1013Ω・cmであった。
【0095】
[実施例1]
参考例2の熱伝導性樹脂組成物(熱伝導率20.4W/m・K)を用いて射出成形を行い、図1に図示する熱伝導層(記号1)と3次元形状賦型層(記号2)が連続層として一体形成された放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、円筒軸と平行に凹凸の筋を有する。尚、図1の放熱構造体における外径(図10における記号9。外形には3次元形状賦型層の凸部高さは含めないものとする)は約23mm、長さ(図10における記号10)は約25mm、天板厚み(図10における記号11)は3.0mm、突き出し部長さ(図10における記号12)は約3mmである。
熱伝導層の平均厚みは2.5mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.051(W/K)である。3次元形状賦型層は熱伝導層の表面に直接形成されており、図2に模式的に図示する規則的な凸部を有している。凸部の仕様(各位置の説明は図3に図示)については、平均ピッチ(記号5)約1mm、根元側平均幅(記号6)約0.6mm、高さ平均幅は約0.56mm、凸部頂部(記号3)の平均高さ(記号7)は約1mmである。尚、凸部の頂部は曲率半径約0.3mmの曲面状になっており、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約2.3倍となっていた。
尚、前記凸部頂部の平均高さとは凸部頂部(記号3)と最底部(記号4)との間の距離(記号7)であって、各凸部の平均をとった値を言う。
【0096】
次にこの放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成した。すなわち図14に図示する要領で、LED素子(記号13)としては日亜化学工業製の電球色チップタイプLED NS9L153MT−H3(定格出力約3W)を2素子で使用し(素子中心間隔約6mm)、投入電力は2.0W/素子(2素子で計4W)とした。またLED実装基板(記号14)としては厚み約1mm、直径23mmのALベース基板を用いた。
LED素子を実装したALベース基板は市販の熱伝導接着剤(記号15、信越シリコーン製、縮合型RTVシリコーンゴム KE−3466、熱伝導率1.9W/m・K)を介して前記放熱構造体に固定した。接着層の厚みは平均約50μmとした。
光透過性カバー(記号18)はアクリル樹脂のブロー成形により、LED光の導光光拡散機能を有するレンズ(記号19)はアクリル樹脂の射出成形により形成した。また電気絶縁層(記号17)には、白色(高光反射性)で難燃性のポリカーボネート樹脂(帝人化成製「パンライト」(登録商標)LN3010RZ、ノッチ付アイゾット耐衝撃強度約10kJ/m)を用い、口金にはJIS規格のE17口金を用いた。
本LED照明具の点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子のカソード側ハンダ接合部の近傍にK型熱電対を固定し、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約68℃であった。
【0097】
[実施例2]
図4に図示する放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、円筒軸と平行に凹凸の筋を有する。熱伝導層と表皮層は異なる材料から形成されている。熱伝導層はアルミニウム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)のダイキャスト成形で作成し、表皮層は参考例2の熱伝導性樹脂組成物(熱伝導率20.4W/m・K)の射出成形により作成した。尚、ここでは金型キャビティ内に熱伝導層のアルミニウム合金成形体をセットした後に、表皮層となる樹脂組成物の射出成形を行って一体化させるインサート成形法を用いた。
尚、図4の放熱構造体における外径、長さ、天板厚み、突き出し部長さは図1の放熱構造体と同様である。
熱伝導層の平均厚みは1.2mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.115(W/K)である。表皮層は平均厚み1.3mmのベース層表面に図2に模式的に図示する規則的な凸部を有する3次元形状賦型層が形成されており、ベース層の熱伝導率と平均厚みの積は0.027(W/K)であった。3次元形状賦型層の仕様は実施例1と同様であり、平均ピッチ約1mm、根元側平均幅(記号6)約0.6mm、高さ平均幅は約0.56mm、凸部頂部の平均高さ約1mmである。また凸部の頂部は曲率半径約0.3mmの曲面状になっており、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約2.3倍となっていた。
次に実施例1と同様に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約61℃であった。
【0098】
[実施例3]
図4に図示する放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、円筒軸と平行に凹凸の筋を有する。熱伝導層と表皮層は異なる材料から形成されている。熱伝導層はアルミニウム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)のダイキャスト成形で作成し、表皮層は参考例3の樹脂組成物(熱伝導率15.9W/m・K)の射出成形により作成した。熱伝導層と表皮層は熱伝導接着剤を介して接着固定、一体化した。
熱伝導層の平均厚みは1.2mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.115(W/K)である。表皮層は平均厚み1.3mmのベース層表面に図2に模式的に図示する規則的な凸部を有する3次元形状賦型層が形成されており、ベース層の熱伝導率と平均厚みの積は0.021(W/K)であった。3次元形状賦型層の仕様は実施例1と同様であり、平均ピッチ約1mm、根元側平均幅(記号6)約0.6mm、高さ平均幅は約0.56mm、凸部頂部の平均高さ約1mmである。また凸部の頂部は曲率半径約0.3mmの曲面状になっており、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約2.3倍となっていた。
次に実施例1と同様に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約63℃であった。
【0099】
[実施例4]
図5に図示する放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、円筒軸と平行に凹凸の筋を有する。熱伝導層と表皮層は異なる材料から形成されている。熱伝導層はアルミニウム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)のダイキャスト成形で作成し、3次元形状賦型層は参考例4の樹脂組成物(熱伝導率0.2W/m・K)の射出成形により作成した。熱伝導層と表皮層は熱伝導接着剤を介して接着固定、一体化した。
尚、図5の放熱構造体における外径、長さ、天板厚み、突き出し部長さは図1の放熱構造体と同様である。
熱伝導層の平均厚みは1.8mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.173(W/K)である。表皮層は平均厚み0.7mmのベース層表面に図2に模式的に図示する規則的な凸部を有する3次元形状賦型層が形成されている。尚、ベース成形層の熱伝導率と平均厚みの積は0.001(W/K)未満であった。3次元形状賦型層の仕様は実施例1と同様であり、平均ピッチ約1mm、根元側平均幅(記号6)約0.6mm、高さ平均幅は約0.56mm、凸部頂部の平均高さ約1mmである。また凸部の頂部は曲率半径約0.3mmの曲面状になっており、表皮層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約2.3倍となっていた。
次に実施例1と同様に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約74℃であった。尚、本放熱構造体は厚み方向の静電破壊電圧が30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上であった。
【0100】
[実施例5]
図6に図示する放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、一定のピッチで市松模様のような交互凹凸を有する。熱伝導層と表皮層は異なる材料から形成されている。熱伝導層はアルミニウム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)のダイキャスト成形で作成し、表皮層は参考例5の樹脂成形シート(熱伝導率0.2W/m・K)に、表面に凹凸形状を刻印しだ金型を用いた熱プレスにより、金型の凹凸賦型をシート表面に転写したものを用いた。
表皮層は所定の大きさにカットした後、熱伝導接着剤を介して熱伝導層の表面に接着固定、一体化した。
尚、図6の放熱構造体における外径、長さ、天板厚み、突き出し部長さは図1の放熱構造体と同様である。
熱伝導層の平均厚みは2.2mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.211(W/K)である。表皮層は平均厚み0.3mmのベース層表面に図7、図8に模式的に図示する二次元的に規則的な凸部を有する3次元形状賦型層が形成されている。尚、ベース層の熱伝導率と平均厚みの積は0.001(W/K)未満であった。
凸部の仕様については、平均ピッチ約0.16mm、根元側平均太さが約0.16mm、高さ平均太さが約0.08mm、凸部頂部の平均高さ約0.06mmである。尚、凸部の頂部と最底部はそれぞれ曲率半径約0.05mmの曲面状となっており、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約1.9倍となっていた。
尚、本放熱構造体は厚み方向の静電破壊電圧が30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上であった。
次に実施例1と同様に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約84℃であった。
【0101】
[実施例6]
参考例2の熱伝導性樹脂組成物(熱伝導率20.4W/m・K)を用いて射出成形を行い、図1に図示する熱伝導層と表皮層が連続層として一体形成された放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、円筒軸と平行に凹凸の筋を有する。熱伝導層の平均厚みは2.5mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.051(W/K)である。3次元形状賦型層は熱伝導層の表面に直接形成されており、図9に模式的に図示する規則的な凸部を有している。凸部の仕様については、平均ピッチ約0.7mm、根元側平均幅約0.4mm、高さ平均幅約0.37mm、凸部頂部の平均高さ約0.7mmである。尚、凸部頂部の一部は曲率半径約0.2mmの曲面状となっており、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約3.3倍となっていた。
次に実施例1と同様に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約58℃であった。
【0102】
[比較例1]
図1に図示した放熱構造体について、表皮層を設けず、熱伝導層のみによる構造体、すなわち全体形状は円筒形であり、最外装が平坦である放熱構造体に形状を変更し、実施例1で用いた熱伝導性樹脂組成物の射出成形により成形した。熱伝導層の平均厚みは実施例1と同様に2.5mmであり、熱伝導率と平均厚みとの積は0.051(W/K)である。
次に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約106℃であった。
【0103】
[比較例2]
図1に図示した放熱構造体について、表皮層を設けず、熱伝導層のみによる構造体、すなわち全体形状は円筒形であり、最外装が平坦である放熱構造体に形状を変更し、アルミニウム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)によるダイキャスト成形にて成形した。熱伝導層の平均厚みは実施例1同様の2.5mmであり、熱伝導率と平均厚みとの積は0.24(W/K)である。
次に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約101℃であった。
【0104】
[比較例3]
実施例1において、放熱構造体の成形にポリカーボネート樹脂(帝人化成 パンライト(登録商標)L1225Y、熱伝導率0.2W/m・K)を用いた以外は実施例1と同様にして図1に図示する放熱構造体を成形した。熱伝導層の平均厚みは実施例1同様の2.5mmであり、熱伝導率と平均厚みとの積は0.001(W/K)である。
次に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定しようとしたが、電力投入後直ぐにLED素子のカソード部温度が130℃を超え、LED素子の定格温度を越える状況となった為、測定を中止した。
【0105】
[比較例4]
アルミニクム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)のダイキャスト成形にて図1に図示する熱伝導層と3次元形状賦型層が連続層として一体形成された放熱構造体を作成した。全体形状は円筒形であり、円筒軸と平行に凹凸の筋を有する。熱伝導層の平均厚みは2.5mmで、熱伝導率と平均厚みとの積は0.25(W/K)である。
3次元形状賦型層は熱伝導層の表面に直接形成されており、図2に模式的に図示する規則的な凸部を有している。凸部は平均ピッチ約3mm、根元側平均幅約1.8mm、高さ平均幅約1.68mm、凸部頂部の平均高さ約3mmである。尚、凸部の頂部の一部は曲率半径約0.9mmの曲面状になっており、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は平坦面に比べて約2.3倍となっていた。
次に実施例1と同様に本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を周囲温度20℃に調整された室内で行い、LED素子の発熱状態を測定した。この結果、電力投入30分後のLED素子のカソード部温度は約65℃であった。
本参考例では凸部の平均幅が本発明の好適範囲より大きくなっており、この為に前記各実施例と比較すると、凸部の平均高さは著しく高く、本発明で課題とした範囲(2mm以下)を越えている。すなわち放熱体の全体寸法を顕著に増加させずに、できるだけ高い放熱性能を実現するとの本発明の目的に照らし合わせると好ましくない。
【0106】
[比較例5]
比較例4において、凸部の平均高さを1mmとした以外は比較例3と同様にして放熱構造体を作成し、本放熱構造体をLED素子の放熱用部品として組み込んだLED照明具を作成し、点灯試験を行った。
本比較例では凸部の平均幅が本発明の好適範囲より大きくなっているため、3次元形状賦型層の形成された領域の表面積は同一の凸部平均高さを有する実施例1〜4に比べて有意に小さく、平坦面に比べて約1.4倍に留まった。またLED素子のカソード部温度は90℃と実施例1〜4に対比して有意に高く、すなわちLED素子の放熱性能でこれら実施例よりも劣っていた。
【0107】
[参考例6]
図1に図示する放熱構造体を、実施例1と同様の凸部仕様にて、アルミニウム合金(ADC12、熱伝導率約96W/m・K、比重約2.7)のダイキャスト成形にて作成しようとした所、ダイキャスト金型内部の凹凸形状の刻印部分にアルミニウム合金の溶融物が十分に充填できず、金型凹凸形状の転写が不良となり、均一した形状の3次元形状賦型層が成形できず、3次元形状賦型層における表面積の増加も不十分となった。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の放熱構造体は、発光素子(LED素子、レーザーダイオード、EL素子等)、能動受光素子(CCD等)、中央演算装置(CPU)、画像演算装置(MPU)、インバータ素子(IGBT、FET等)、モーター類、ヒーター素子等、発熱を伴うデバイス類の実装された機器、器具等の放熱対策として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 熱伝導層
2 3次元形状賦型層形成部位(実際の凸形状は図示のものとは異なる)
3 凸部の頂点
4 最底部
5 凸部のピッチ
6 凸部の根元幅
7 凸部の高さ
8 表皮層のベース層
9 放熱構造体の外径(外径には3次元形状賦与層の凸部高さは含めないものとする)
10 放熱構造体の長さ
11 放熱構造体の天板厚み
12 放熱構造体の突き出し部(長さ)
13 LED素子
14 LED実装基板
15 熱伝導接着層(熱伝導性粘接着剤による層、放熱シート等)
16 口金(電源ソケット接続用)
17 電気絶縁層(兼補強層)
18 光透過性カバー
19 LED光の導光光拡散機能を有するレンズ
20 LED発光制御用等電子回路(その配置スペースを示す)
21 ねじ勘合部
22 リフレクタ
23 ねじ締結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導層の最表面に3次元形状賦型層を含む表皮層が設けられた放熱構造体であって、
熱伝導層の表皮層を除いた部位は、層内の少なくとも一方向における熱伝導率が2W/m・K以上、平均厚みが0.2〜5mmであって、熱伝導率と平均厚みの積が0.01W/K以上であり、3次元形状賦型層は、熱伝導層の全表面の10%以上の領域に複数の凸部が平均ピッチ0.03〜2mmで配され、凸部の根元側での平均幅もしくは平均太さが0.02〜0.7mm、凸部の平均高さが凸部の根元側平均幅もしくは平均太さの0.2〜5倍であり、3次元形状賦型層の設けられた領域の表面積が、平坦面である場合に比べ1.3倍以上であることを特徴とする放熱構造体。
【請求項2】
表皮層の層内の少なくとも一方向における熱伝導率が、2W/m・K以上である請求項1に記載の放熱構造体。
【請求項3】
表皮層が、請求項1に記載の熱伝導層と同一材料からなる請求項1または2に記載の放熱構造体。
【請求項4】
表皮層と熱伝導層とが一体成形されてなる請求項3に記載の放熱構造体。
【請求項5】
表皮層は、熱伝導性フィラーを含有し、層内の少なくとも一方向における熱伝導率が2W/m・K以上の熱伝導性樹脂組成物からなる請求項1〜4のいずれかに記載の放熱構造体。
【請求項6】
熱伝導層は、熱伝導性フィラーを含有し、層内の少なくとも一方向における熱伝導率が2W/m・K以上の熱伝導性樹脂組成物からなる請求項1〜5のいずれかに記載の放熱構造体。
【請求項7】
熱伝導性樹脂組成物は、マトリクス樹脂100体積部に対して10〜100体積部の熱伝導性フィラーを含有する請求項5または6に記載の放熱構造体。
【請求項8】
熱伝導性フィラーとして、主として、メソフェーズピッチを原料としたピッチ系黒鉛化短繊維を用いる請求項5〜7のいずれかに記載の放熱構造体。
【請求項9】
熱伝導層は、層内の少なくとも一方向に対する熱伝導率が50W/m・K以上の金属材料の成形層である請求項1〜5のいずれかに記載の放熱構造体。
【請求項10】
表皮層は、平均厚み0.05〜4.8mmのベース層を有し、その体積抵抗が1011Ω・cm以上であり、放熱構造体の厚み方向のIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、絶縁破壊電圧が0.5kV以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の放熱構造体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の放熱構造体をLED素子の放熱部品に用いたLED照明具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−165699(P2011−165699A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23177(P2010−23177)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】