敷設ブロック、脱着工具、埋設部材、蓋部材および目地幅調整部材
【課題】その表面の一部に植生用の中空空間を有する敷設ブロックの歩行性や走行性を容易に向上させる。
【解決手段】その上面31が中空空間26以外の上面21と略同一の高さ位置で中空空間26を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有し、中空空間26に埋設された状態と離脱された状態とを採りうる着脱可能の埋設部材30(閉塞部材、埋設部材)を備える。
【解決手段】その上面31が中空空間26以外の上面21と略同一の高さ位置で中空空間26を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有し、中空空間26に埋設された状態と離脱された状態とを採りうる着脱可能の埋設部材30(閉塞部材、埋設部材)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷設ブロックおよびこの敷設ブロックに用いられる脱着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製敷設ブロックの一例として、その表面の一部(例えば中央部)に植生用の中空空間を有するものが用いられている。このような敷設ブロックは、その中空空間に芝生などを根付かせて植生を図ることで、緑化率を向上させることができる。
【0003】
すなわち、例えば駐車場に敷設した場合、タイヤは中空空間以外のコンクリート成形部分に載るため、このコンクリート成形部分が車両の輪荷重を支え、これによって敷設ブロックの機能を確保する一方、中空空間に芝生等の植物が植生されたことで、敷設ブロックの表面における緑化を実現することができ、これにより駐車場の景観を向上させ、さらに、中空空間への雨水の浸透により水溜まりの発生も抑制することができる(特許文献1)。
【特許文献1】特開平07−150505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した敷設ブロックの中空空間に植生した芝生などは、コンクリート成形部分に比べて軟らかいため、例えば、歩行時に爪先や踵が、植生された中空空間のみを踏むと、この爪先や踵が沈み込むため歩行性が悪くなる、という問題がある。
【0005】
また、この沈み込みの際に、芝生下の土が泥となって靴に付着することもある。
【0006】
これらの問題は、車輪径の小さいベビーカーや車椅子(前輪の車輪径は小さい)によって通過する場合も同様であり、走行性の向上が求められるところである。
【0007】
なお、この問題は、上述した敷設ブロックが敷設された駐車場においてのみ生じるものではなく、人やベビーカー、車椅子等が通過する場所に敷設されたときは、同様に生じ得る問題である。
【0008】
このような問題を解決するために、人が歩行する場所等については、植生用の中空空間が形成されていないブロックを予め敷設すればよいが、後からそのような問題を改善しようとすると、既に敷設されているブロックを掘り出して、中空空間の無い敷設ブロックを埋設し直さなければならず、非常に手間がかかる。
【0009】
例えば、駐車場内で各車両ごとの駐車区画を示す境界線となる部分に、中空空間の無いブロックを敷設することで、各駐車区画の境界を視覚的に認識しやすくすると同時に、その境界線となるブロック(中空空間の無いブロック)での歩行性や走行性を良好に確保することができるが、駐車区画を変更する場合には、上記と同様に、既に敷設されているブロックを掘り起こして、中空空間の無いブロックに置き換えたり、これとは反対に中空空間の無いブロックを中空空間の有るブロックに置き換えたりする必要があり、施工に手間がかかる。
【0010】
また、駐車場に限らず、中空空間の有るブロックが配列された領域に、中空空間の無いブロックを点在させるなどして、領域全体としての装飾性を表現することもあるが、このような場合に、中空空間の有るブロックと中空空間の無いブロックとの配置を変更して、領域全体のデザインを変更しようとすると、上述した駐車場の区画変更の場合と同様に、施工に大きな労力を要する。
【0011】
上述したように敷設ブロックを置き換える労力は、敷設ブロックが2以上互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックの場合に一層顕著になる。
【0012】
すなわち、各インターロッキングブロックは、互いに接することで、輪郭同士が噛み合ったデザインを有しているため、一つを掘り起こそうとすると、周囲の隣接したインターロッキングブロックに悪影響を与える虞があり、結局、広範囲にブロックの置き換えを行なわなければならなくなり、施工の手間がより増大する。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その表面の一部に植生用の中空空間を有するものであっても、歩行性や走行性を容易に向上させることができる敷設ブロック、およびそのような敷設ブロックに用いられる脱着工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る敷設ブロックは、その表面の一部に形成されている植生用の中空空間を塞ぐ、着脱可能の閉塞部材を備えて、植生を優先する状況下では、その中空空間に植生を施し、歩行性や走行性を優先する状況下では、着脱可能の閉塞部材でその中空空間を塞ぐことにより、植生優先または歩行性・走行性優先の切替えを容易に行えるようにしたものである。
【0015】
すなわち、本発明に係る敷設ブロックは、コンクリートで形成され、その表面の一部に植生用の中空空間を有する敷設ブロックにおいて、その上面が前記表面と略同一の高さ位置で前記中空空間を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する、着脱可能の閉塞部材を備えたことを特徴とする。
【0016】
ここで、上記植生用の中空空間は、ブロック本体部(中空空間以外の部分)の下面まで貫通しているもの(中空空間は貫通孔となる)であってもよいし、ブロック本体部(中空空間以外の部分)の下面までは貫通していないもの(底部を有するもの。すなわち、中空空間は凹部として形成されている)であってもよい。
【0017】
このように構成された本発明に係る敷設ブロックによれば、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する閉塞部材が、植生用の中空空間を塞ぐことで、歩行性や走行性を向上させることができる。
【0018】
つまり、歩行時に爪先や踵が、植生で占有された空間(植生を除いたときの中空空間)を踏むと、この爪先や踵が沈み込むため歩行性が悪く、また、芝生下の土が泥となって靴等に付着することもあるが、閉塞部材がこの中空空間を塞いでいるため、歩行時に爪先や踵が中空空間を踏むことなく閉塞部材の上面を踏むことになり、しかもこの閉塞部材は、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有しているため、閉塞部材の上面を踏んだ爪先や踵、ベビーカー等の車輪は、この閉塞部材によって支えられ、中空空間以外のコンクリート成形部分を踏んだときと同様に下方に沈み込むことがない。
【0019】
したがって、歩行者の歩行性や、ベビーカー、車椅子等の走行性を向上させることができる。
【0020】
さらに、閉塞部材は、敷設ブロックの中空空間にセットされた状態においては、その上面(足や車輪で直接踏まれる面)が中空空間以外のコンクリート成形部分である表面と同じ高さ位置となるため、この閉塞部材の上面の外縁部に歩行者の足やベビーカーの車輪等が突き当たりにくくなり、つまづきを防止することもできる。
【0021】
そして、この閉塞部材は、中空空間から着脱自在(着脱可能)であるため、駐車区画を示す境界線となる部分では、この閉塞部材で中空空間を塞いだ状態として歩行性および走行性を向上させ、それ以外の部分では、この閉塞部材を中空空間から取り外した状態で緑化率の向上を図ることができ、しかも、これら境界線等のレイアウトを変更する場合は、閉塞部材の着脱を行うだけでよいため、従来のように、敷設ブロック全体を掘り起こして交換する必要がなく、施工の手間を大幅に低減することができるとともに、施工期間の短縮および施工費用の低減を図ることができる。
【0022】
一般的に、敷設ブロックを駐車場に施工する場合、駐車区画を示す境界線としては、ふち石が使用されるが、ふち石と取り合う部分(ふち石で占有される部分)に対応した敷設ブロックの部分は、施工現場でカットされていた。
【0023】
これに対して、閉塞部材で中空空間が塞がれた状態での本発明の敷設ブロックを、この境界線に用いることで、施工現場でのカット作業が不要となり、この点でも施工の労力を低減することができる。
【0024】
なお、閉塞部材が有するべき、上方から負荷する荷重に対する強度としては、一般的なサイズの人間の大人の体重が上方から負荷したときに、撓まない程度、または割れたり崩れたりといった破壊を生じない程度の強度であればよく、中空空間以外のコンクリート成形部分(ブロック本体部)と同程度の強度まで要求するものではない。
【0025】
つまり、人の足や、乳幼児が乗ったベビーカーの車輪、大人が乗った車椅子の車輪が、この閉塞部材の上面に載ったときに、この閉塞部材が容易に変形しない程度の強度であればよい。
【0026】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記閉塞部材は、前記中空空間に埋設される埋設部材であることが好ましい。
【0027】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、植生用の中空空間に芝生等の植生がなされている状態のときは、この中空空間から芝生等を除去して、空いた中空空間に埋設部材(中実の塊状であってもよいし、中空のものであってもよい。)を埋めることで、中空空間を塞ぐことができる。
【0028】
このとき、埋設部材は、中空空間の、芝生等の植生が施されていた深さ位置(底の位置)まで埋められることになるため、この中空空間に埋設された後の埋設部材の上面を足で踏んだときも、埋設部材は中空空間の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0029】
なお、中空空間が敷設ブロックの下面まで貫通しているものであっても、中空空間以外のコンクリート成形部分の下面が載っている基礎(例えば、敷砂層および路盤)に埋設部材が載ることになるため、上述した硬さ感を確保することができる。
【0030】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材ブロック体であることが好ましい。
【0031】
このブロック体の素材としては、コンクリート、レンガ、石材、木材、樹脂など、種々のものを適用することができる。
【0032】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、この埋設部材自体の強度を確保し易い。
【0033】
また、ブロック体の素材としてコンクリートを適用したものでは、中空空間以外のコンクリート成形部分(ブロック本体部)と材質が揃うため、閉塞部材(埋設部材)と中空空間以外の部分(コンクリート本体部)とを一体的に感じさせる効果を得ることができる。
【0034】
なお、埋設部材を、コンクリート製のブロック体、煉瓦のブロック体または石材製のブロック体としたものでは、他の用途等で用いられる既存のコンクリート製のブロック体、煉瓦のブロック体および石材製のブロック体等の各種ブロック体のうちから、敷設ブロック本体部の中空空間と略同一の輪郭形状を有するブロック体を選択することもできるため、そのようなブロック体を転用することで、新規に埋設部材を製作するのに比べて、製造コストを低減することができる。
【0035】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記ブロック体は透水性または保水性を有するブロックであることが好ましい。
【0036】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、埋設部材であるブロック体が透水性を有するため、雨水等を、この埋設部材としての透水性ブロックに浸透させて敷設ブロックの下方に排水させることができ、水捌けを向上させることができる。
【0037】
したがって、敷設ブロックが敷設されている領域の表面(路面)上に、雨水等による水たまりができるのを防止することができ、この結果、埋設部材の上面での水跳ねも低減させることができる。
【0038】
また、埋設部材であるブロック体が保水性ブロックの場合には、保水した水分が蒸発散する際の潜熱(気化熱)により、温度を低下させることができ、この結果、ヒートアイランド現象を緩和させることができるとともに、植生(例、芝生等)への水の供給源にもなり、植物の生育を良くすることができる。
【0039】
なお、透水性または保水性を有するブロック体の素材としては、コンクリートや煉瓦などを適用することができる。
【0040】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材は、その上面部に発光部を備えたことが好ましい。
【0041】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、埋設部材の上面に備えられた発光部が発光することにより、夜間等の暗い場所であっても、路面に埋め込まれた誘導灯的な機能を発揮させることができる。
【0042】
したがって、例えば、歩行者が歩行する領域には、このような発光部付き埋設部材を埋設することで、夜間等の足元が見えにくい状況下においても、発光部の発光を車両の運転者や歩行者に視認させることで、歩行者用領域やその幅員等を正確に認識させることができる。
【0043】
また、区別することを希望する領域ごとに、発光部の発光色に差異を持たせることで領域の区別を、色分けで視認させることができる。
【0044】
なお、本発明における発光部は、電池等の電力が供給されることで発光する電球やLED等のようないわゆる照明部材を用いたものであってもよいし、昼間の太陽光等環境光を蓄光し、その蓄光によって発光を得る蓄光部材を用いたものであってもよい。
【0045】
蓄光部材としては、コンクリートに蓄光材料を練り込んで固めたものを適用するのが好ましく、このように好ましい構造の蓄光部材を埋設部材の上面に積層した構造の発光部は、車両の走行や歩行者の歩行等によって表層が経年的に摩耗しても、発光を長期間に亘って確保することができ、埋設部材の上面に蓄光材料を単に塗布したものに比べて、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0046】
しかも、蓄光部材自体の摩耗が進んで、十分な発光を得られなくなった場合は、この蓄光部材を含む埋設部材を脱着交換することで、発光部の発光を容易に回復することができる。
【0047】
なお、発光部として電力の供給により発光する照明部材を用いたものを適用したものでは、発光部を連続的に点灯させ、間欠的に点滅させ、あるいは消灯させる、等の点灯パターンの差異によって、領域の区別を行わせることもできる。
【0048】
また、本発明の敷設ブロックを敷設する領域としては、上述した駐車場に限らず、広場等に敷設することもできるため、そのような場所に敷設された敷設ブロックによれば、発光部の発光パターンや発光色の差異によって、イルミネーションとして演出する効果を得ることもできる。
【0049】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材は、前記中空空間の深さよりも低い高さに形成された埋設部材本体部分と、前記中空空間の深さから前記埋設部材本体部分の高さを差し引いた高さで形成され、かつ、前記中空空間のうち前記埋設部材本体部分よりも下方の空間に埋められる埋設部材補助部分とからなり、前記埋設部材本体部分と前記埋設部材補助部分とは別体の部材であることが好ましい。
【0050】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、埋設部材は、埋設部材本体部分と埋設部材補助部分との2部品で構成され、単一のものとして形成される必要がないため、例えば、埋設部材本体部分と略同一の輪郭形状を有する既存のブロック等が存在する場合に、中空空間の高さとその既存ブロック等の高さとの間で差が生じることが十分に考えられるが、その場合は、中空空間の高さとその既存ブロック等の高さとの間の差に相当する高さの埋設部材補助部分を用意することで、既存のブロック等を埋設部材本体部分とし、この埋設部材本体部分を埋設部材補助部分に重ねて、中空空間を塞ぐことで、既存のブロック等を有効に利用することができ、埋設部材の製造コストを低減することができる。
【0051】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に所定の幅の目地が形成され、前記埋設部材の外周面のうち前記上面の近傍部分には、前記目地に挿入される脱着工具の先端が引っ掛けられる係合部が形成されていることが好ましい。
【0052】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に形成されている所定の幅の目地に、脱着工具を挿し入れると、埋設部材の外周面のうち上面の近傍部分に形成されている係合部に、脱着工具の先端を引っ掛けることができ、これにより、脱着工具を目地から引き出す操作に伴って、埋設部材を中空空間から引き出し、敷設ブロック本体部(コンクリート形成部分)から、容易に分離することができる。
【0053】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に形成される目地の幅を、目地の全周に亘って略均等に保持する目地幅調整部材を備えたことが好ましい。
【0054】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に備えられた目地幅調整部材が、これら中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に形成される目地幅を、目地の全周(埋設部材の上面における外周の全周)に亘って略均等に保持することができる。
【0055】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記目地幅調整部材は、前記目地内において、上下方向に延びて前記中空空間を画成する面に接する第一直線部と、上下方向に延びて前記埋設部材の外周面に接する第二直線部と、前記第一直線部と前記第二直線部とをこれらの下部において接続した湾曲部とからなる断面が略U字状の弾性部材であることが好ましい。
【0056】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、断面が略U字状の弾性部材で形成された目地幅調整部材は、そのU字のうち第一直線部(U字の縦に延びた2つの部分のうちの一方)が中空空間を画成する面に接し、一方、第二直線部分(U字の縦に延びた2つ部分のうちの他方)が埋設部材の外周面に接するため、目地幅が狭くなるにしたがって、U字の湾曲部(第一直線部分と第二直線部分とがそれぞれの下部で接続される部分)で発生する弾性力は強くなる。
【0057】
そして、目地の全周のうち複数箇所に上述した断面略U字状の弾性部材の目地幅調整部材が設置されていることにより、全ての目地幅調整部材における湾曲部で発生する弾性力が略均等となるように、目地幅が自動的に調整される。
【0058】
しかも、上述した断面略U字状の弾性部材は、比較的安価、かつ容易に形成することができるため、実用上の有用性が高い。
【0059】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記閉塞部材は、前記中空空間を覆う蓋部材であることが好ましい。
【0060】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、植生用の中空空間に芝生等の植生がなされている状態のときは、植生の上方から中空空間に蓋部材を被せることで、中空空間を塞ぐことができる。一方、蓋部材を中空空間から取り外すことで、植生に戻すことができる。
【0061】
しかも、この敷設ブロックは、中空空間に埋設される閉塞部材(埋設部材)とは異なり、中空空間に植生されている芝生等を掘り出して除去することなく、その植生を残したままで中空空間を蓋部材で覆うことができるため、埋設部材を閉塞部材としたものよりも、一層容易に、植生を優先する状態(蓋部材を被せない状態)か、歩行性・走行性を優先する状態(蓋部材を被せた状態)か、の切替えを行うことができる。
【0062】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記中空空間の、前記表面における開口の外縁部に傾斜面または段差部が形成され、前記蓋部材は、その外周縁部が前記傾斜面または前記段差部に載置されるように形成されたものであることが好ましい。
【0063】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、蓋部材は、その外周縁部が、敷設ブロック本体部の開口の外縁に形成された傾斜面または段差部に載置されるため、蓋部材が中空空間に脱落するのを防止することができる。
【0064】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記表面に、前記中空空間から周縁まで延びる溝部が形成され、前記蓋部材は、前記溝部の少なくとも一部に挿入されて前記溝部の底部に載置される突起部を備えるものであることが好ましい。
【0065】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、蓋部材に形成された突起部が、敷設ブロック本体部の表面に形成された、中空空間から外周縁まで延びる溝部の少なくとも一部に挿入されて、この溝部の底部に載置されることにより、蓋部材が中空空間に脱落するのを防止することができる。
【0066】
また、敷設ブロック本体部の表面における中空空間の開口が略円形の場合であっても、蓋部材の突起部が敷設ブロック本体部の溝部に挿入された状態となるため、蓋部材の自由な回転(表面の面内における回転)を規制することができる。
【0067】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記閉塞部材は、前記中空空間に充填される玉砂利であることが好ましい。
【0068】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、植生用の中空空間に芝生等の植生がなされている状態のときは、この中空空間から芝生等を除去して、空いた中空空間に玉砂利を充填することで、中空空間を塞ぐことができる。
【0069】
このとき、玉砂利は、中空空間の、芝生等の植生が施されていた深さ位置(底の位置)から充填されるため、この中空空間に充填された後の玉砂利の上面を足で踏んだときも、玉砂利は中空空間の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0070】
なお、中空空間が敷設ブロックの下面まで貫通しているものであっても、中空空間以外のコンクリート成形部分の下面が載っている基礎(敷砂層および路盤)と同じ層上に玉砂利が載ることになるため、上述した硬さ感を確保することができる。
【0071】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記敷設ブロックは、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであり、かつ、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列された状態で個々の敷設ブロックの外周面の一部分同士により囲まれて前記中空空間と同一の大きさの中空空間を形成する輪郭形状を有するものであり、前記閉塞部材は、前記2以上の敷設ブロックの隣接した配列によって新たに形成される中空空間をも塞ぐものとして共用されることが好ましい。
【0072】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、敷設ブロックが、2以上の敷設ブロックが互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであり、かつ、これら2以上の敷設ブロックが互いに隣接して配列された状態で個々の敷設ブロックの外周面の一部分同士により囲まれて形成される新たな中空空間が、個々の敷設ブロック本体部に形成されている中空空間と同一の輪郭形状(同一の大きさ)を有するものであるため、閉塞部材を、個々の敷設ブロック本体部に形成されている中空空間を塞ぐのに用いる他、上記2以上の敷設ブロックの配列によって新たに形成される中空空間を塞ぐのにも用いることができ、個々の敷設ブロック本体部に形成されている中空空間を塞ぐための閉塞部材と、2以上の敷設ブロックの配列によって新たに形成される中空空間を塞ぐための閉塞部材とを別個に製作するよりも、コストを低減することができる。
【0073】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記表面および前記上面には、2〜6[mm]の幅の溝が、6〜15[mm]の等間隔で形成されていることが好ましい。
【0074】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、敷設ブロック本体部の表面および閉塞部材の上面には、幅が2〜6[mm]の溝が、6〜15[mm]の等間隔で形成されているため、この敷設ブロックが敷設された部分を歩行する場合にも、この溝が滑り止めとなるため、足の滑りを防止することができ、歩行性を向上させることができる。
【0075】
なお、敷設ブロック本体部の表面に形成された溝と、閉塞部材の上面に形成された溝とは、敷設ブロック本体部の中空空間に閉塞部材を設置した状態において、その向きが揃っていればよく、両溝が一直線上に繋がる必要はない。ただし、そのように一直線上に繋がるように溝を形成したものでは、見栄えを向上させることができる。
【0076】
また、溝の間隔が6〜15[mm]の等間隔であることにより、この敷設ブロック本体部の表面および閉塞部材の上面を定速走行するベビーカーの車輪や車椅子の車輪は、この溝から、一定周波数の振動に受け、これにより、上述した車輪が、隣接する敷設ブロック間の目地や敷設ブロック本体部と閉塞部材との間の目地を通過するときに受ける衝撃を、緩和させることができる。
【0077】
溝の断面輪郭形状としては、V字状であってもよいし、U字状であってもよいし、底部の角が尖ったU字状であってもよいし、逆M字状であってもよいし、どのような形状であってもよい。
【0078】
なお、滑り止めの効果だけを発揮させるにとどまるのであれば、溝は等間隔ではなく、不等間隔であってもよい。
【0079】
本発明に係る脱着工具は、請求項7に記載の敷設ブロックのうち中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に形成された所定の幅の目地に挿入され、その先端が、前記埋設部材の外周面に形成された前記係合部を引っ掛けて、前記埋設部材を上方に吊り上げることにより、前記埋設部材を前記中空空間から離脱させることを特徴とする。
【0080】
このように構成された本発明に係る脱着工具によれば、その先端が、敷設ブロック本体部の中空空間を画成する面と閉塞部材としての埋設部材の外周面との間に形成された所定の幅の目地に挿入され、そして、この先端が、埋設部材の外周面に形成された係合部を引っ掛けて、埋設部材を上方に吊り上げることにより、埋設部材を中空空間から容易に離脱させることができる。
【0081】
本発明に係る敷設ブロック用埋設部材は、請求項2から9のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記埋設部材として用いられることを特徴とする。
【0082】
このように構成された本発明に係る敷設ブロック用埋設部材によれば、請求項2から9のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける埋設部材として用いることができる。
【0083】
本発明に係る敷設ブロック用蓋部材は、請求項10から12のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記蓋部材として用いられることを特徴とする。
【0084】
このように構成された本発明に係る敷設ブロック用蓋部材によれば、請求項10から12のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける蓋部材として用いることができる。
【0085】
本発明に係る敷設ブロック用目地幅調整部材は、請求項8または9に記載の敷設ブロックにおける前記目地幅調整部材として用いられることを特徴とする。
【0086】
このように構成された本発明に係る敷設ブロック用目地幅調整部材によれば、請求項8または9に記載の敷設ブロックにおける目地幅調整部材として用いることができる。
【発明の効果】
【0087】
本発明に係る敷設ブロックによれば、その表面の一部に植生用の中空空間を有するものであっても、歩行性や走行性を容易に向上させることができる。
【0088】
また、本発明に係る脱着工具によれば、その表面の一部に植生用の中空空間を有するものであっても、歩行性や走行性を容易に向上させるために設けられる閉塞部材を、容易に脱着することができる。
【0089】
本発明に係る敷設ブロック用埋設部材によれば、本発明に係る敷設ブロックにおける埋設部材として用いることができ、閉塞部材として埋設部材を適用した本発明に係る敷設ブロックによって奏される効果を得ることができる。
【0090】
本発明に係る敷設ブロック用蓋部材によれば、本発明に係る敷設ブロックにおける蓋部材として用いることができ、閉塞部材として蓋部材を適用した本発明に係る敷設ブロックによって奏される効果を得ることができる。
【0091】
本発明に係る敷設ブロック用目地幅調整部材によれば、本発明に係る敷設ブロックにおける目地幅調整部材として用いることができ、この目地幅調整部材を用いた本発明に係る敷設ブロックによって奏される効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、本発明に係る敷設ブロックを実施するための具体的な形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1;埋設部材を用いた敷設ブロック)
図1は、本発明の一実施形態に係る敷設ブロック10を示し、(a)は全体を示す斜視図である。図示の敷設ブロック10は、同図(b)に示すように、コンクリートで形成され、その表面の一部に、上面21から下面22まで貫通した植生用の中空空間26を有するブロック本体部20(従来の敷設ブロックの全体に相当)と、同図(c)に示すように、その上面31がブロック本体部20の上面21と略同一の高さ位置で中空空間26を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する、ブロック本体部20に対して着脱可能の閉塞部材30とを備えた構成である。
【0093】
ここで、本実施形態の敷設ブロック10は、2個以上が互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであるが、本発明の敷設ブロックは、インターロッキングブロックに限定されるものではない。
【0094】
ブロック本体部20に形成された中空空間26には、芝生等の植生がなされることで、この敷設ブロック10が敷設された領域の緑化率を高める効用がある。
【0095】
また、ブロック本体部20は、比較的安価な基層20bと、この基層20bの上に形成された化粧層20aとからなり、化粧層20aの上面21には、2〜6[mm]の幅Wの溝24が複数、6〜15[mm]の等間隔Pで平行に形成されている。
【0096】
この溝24の断面輪郭形状は、略V字状であってもよいし、U字状であってもよいし、底部の角が尖ったU字状であってもよいし、逆M字状であってもよいし、どのような形状であってもよい。
【0097】
なお、ブロック本体部20が化粧層20aを有しない基層20bのみからなるものであっても、その上面に上記溝24を形成することが好ましい。
【0098】
この溝24は、後述するように、滑り止めとしての効用の他、隣接する他の敷設ブロック10との間に形成される目地を通過する際に振動を緩和する効果もある。滑り止めとしての効用のみを求めるときは、溝24の間隔Pは等間隔である必要はない。
【0099】
また、ブロック本体部20の上面21には、中空空間26を画成する内周面26aからブロック本体部20の外周面23まで延びる直線状の溝部25,25が形成されており、この溝部25,25は、ブロック本体部20の中空空間26を形成するための中子を吊り下げる支持棒の痕跡である。
【0100】
図1(c)に示した閉塞部材30は、中空空間26に埋設されるブロック状の埋設部材であり、中空空間26に埋設された状態で、同図(a)に示すように、中空空間26を塞いだ状態となり、中空空間26から脱着させることが可能となっている。
【0101】
この閉塞部材30としての埋設部材30も、ブロック本体部20と同様にコンクリート製であり、またその上面31には、ブロック本体部20の溝24と同様、2〜6[mm]の幅Wの溝34が複数、6〜15[mm]の等間隔Pで平行に形成されている。
【0102】
ここで、ブロック本体部20の上面21に形成された溝24と埋設部材30の上面31に形成された溝34とは、その方向が揃ったものであればよく、埋設部材30がブロック本体部20の中空空間26に埋設された状態で、ブロック本体20の溝24と埋設部材30の溝34とが一直線上に繋がる配置となっている必要はない。
【0103】
なお、ブロック本体20の溝24と埋設部材30の溝34とが一直線上に繋がる配置となる構成を採用した敷設ブロックでは、見栄えを向上させることができるという効果を得ることができる。
【0104】
また、この埋設部材30は透水性を有するものとなっており、中空空間26に埋設された状態で敷設ブロック10に雨水等は降りかかっても、雨水等は埋設部材30に直ぐに浸透して、その上面31に雨水等が溜まることがなく、大量の降雨の場合も、雨水等は埋設部材30を透過して、図2(a)(図1のA−A線に沿った断面を表す図)に示すように、敷設ブロック10が敷設されている基礎100(敷砂層100aおよび路盤100b)に排水され、水捌けを良好なものとすることができ、埋設部材30の上面31での水跳ねも低減させることができる。
【0105】
なお、ブロック本体部10の中空空間26に埋設部材30が埋設されていない状態の敷設ブロック10(ブロック本体部20のみの状態)においては、雨水等は中空空間26を通って基礎100に排水される。
【0106】
図2(a)において、符号110は基礎100の上面、すなわち敷砂層100aの上面であり、符号200は、敷設ブロック200の上面(ブロック本体20の上面21および埋設部材30の上面31)によって形成される路面である。
【0107】
ここで、埋設部材30は、その高さが、ブロック本体部20の中空空間26の高さh0(本実施形態の中空空間26は、ブロック本体部20の上面21から下面22まで貫通して形成されたものであるため、実質的にこの高さh0はブロック本体部20の高さに等しい。)と同一のh0に形成されているが、高さh0で単一のもので形成されたものでなくてもよい。
【0108】
例えば、図4に示すように、埋設部材30が、中空空間(26)の高さh0よりも低い高さh2(<h0)に形成された埋設部材本体部分38と、中空空間(26)の高さh0から埋設部材本体部分38の高さh2を差し引いた高さh1(=h0−h2<h0)で形成され、かつ、中空空間(26)のうち埋設部材本体部分38よりも下方の空間に埋められる埋設部材補助部分37とからなり、埋設部材本体部分38と埋設部材補助部分37とが別体の部材で形成されたものであってもよい。
【0109】
このように、埋設部材30を、高さh2の埋設部材本体部分38と、高さh1の埋設部材補助部分37との2部品で構成し、高さh0の単一のものとして構成しないことにより、例えば、埋設部材本体部分38と略同一の輪郭形状を有する既存のブロック等(高さh2)を、この埋設部材30としても活用することができる。
【0110】
この場合、中空空間26の高さh0とその既存ブロック等の高さh2との間で高さの差Δh(=h0−h2)が生じるが、その場合は、中空空間の高さh0とその既存ブロック等の高さh2との間の差Δhに相当する高さの埋設部材補助部分37を用意することで、既存のブロック等を埋設部材本体部分38とし、この埋設部材本体部分38を埋設部材補助部分37に重ねて、中空空間26を塞ぐことで、既存のブロック等を有効に利用することができ、埋設部材30の製造コストを低減することができる。
【0111】
つまり、敷設ブロック10として、その中空空間26の高さh0がそれぞれ異なるような複数種類のものが存在する場合に、その高さh0の異なる敷設ブロック10ごとに、それぞれ対応する高さh0の埋設部材30を準備するのは、製造用の型のコストなどに鑑みて、高コストとなる虞がある。
【0112】
しかし、埋設部材30を、一定高さh2の既存ブロック等である埋設部材本体部分38と、高さh1の異なる複数種類の埋設部材補助部分37とからなる構成とすることで、既存ブロック等を、種々の高さの敷設ブロック10に活用することができる一方、高さ違いの埋設部材補助部分37を多種類用意することは、高さ違いの単一の埋設部材30を多種類用意するよりも低コストで実現することができるため、埋設部材30の全体で製造コストを低減することができる。
【0113】
また、この敷設ブロック10は、埋設部材30がブロック本体部20の中空空間26に埋設された状態で、中空空間26を画成する内周面26aと埋設部材30の外周面35との間に所定の幅の目地60(図1(a)参照)が形成され、この埋設部材30の外周面35のうち上面31の近傍部分には、目地60に挿入される脱着工具500(後述する図11)の先端511,511が引っ掛けられる係合溝33(係合部)が外周面35の全周に亘って形成されており、この脱着工具500を用いて、埋設部材30を、ブロック本体部20の中空空間26から容易に引き出してブロック本体部20から分離することができる。
【0114】
さらに、この敷設ブロック10は、埋設部材30が中空空間26に埋設された状態で、図2(b)に示すように、中空空間26を画成する内周面26aと埋設部材30の外周面35との間に形成される目地60の幅を、目地60の全周に亘って略均等に保持する目地幅調整部材50を備えており、これによって、目地幅調整部材50が、これら中空空間26を画成する内周面26aと埋設部材30の外周面35との間に形成される目地60の幅を均等に保つことができる。
【0115】
本実施形態における目地幅調整部材50は、具体的には、断面が略U字状の弾性部材であって、目地60内において、上下方向に延びて中空空間26を画成する内周面26aに接する第一直線部51と、上下方向に延びて埋設部材30の外周面35に接する第二直線部52と、第一直線部51と第二直線部52とをこれらの下部において接続した湾曲部53とからなる。
【0116】
この目地幅調整部材50は、目地60の幅が相対的に狭いときは、湾曲部53で生じる弾性力が相対的に強くなるため、目地60の幅が相対的に広くなるように、第一直線部51と第二直線部52との間隔が拡げられ、これによって目地の幅を調整することができる。
【0117】
なお、この目地幅調整部材50は、目地60の全周のうち、埋設部材30を間に挟んだひと組の対辺にそれぞれ配置されることによって、一方の辺側の目地60の幅が相対的に広いときは、対辺側の目地60の幅が相対的に狭くなっているため、上述した作用により、この対辺側の目地60の幅が相対的に広くなるように、第一直線部51と第二直線部52との間隔が拡げられるため、ひと組の対辺の目地60,60の幅は均等に調整される。
【0118】
本実施形態の敷設ブロック10においては、4辺の目地60のうち、互いに対辺となるひと組の辺にはそれぞれ同数の目地幅調整部材50を配置するのが好ましい。
【0119】
すなわち、例えば図3(a)に示すように、互いに対辺となるひと組の2辺のうち一方の辺の位置P1,P2にそれぞれ目地幅調整部材50を設けた場合(1辺に2個の目地幅調整部材50を設けた構成)は、他方の辺にも、位置P1,P2にそれぞれ対向する位置P3,P4に目地幅調整部材50をそれぞれ設け、また、他のひと組の2辺のうち一方の辺の位置P5,P6にそれぞれ目地幅調整部材50を設けた場合(1辺に2個の目地幅調整部材50を設けた構成)は、他方の辺にも、位置P5,P6にそれぞれ対向する位置P7,P8に目地幅調整部材50をそれぞれ設けるのが好ましい。
【0120】
このように、互いに対辺となるひと組の辺にはそれぞれ同数の目地幅調整部材50を配置することで、目地幅調整部材50によって埋設部材30に作用する、互いに反対向きの荷重(弾性力)が均等になり、目地60の幅を均等に揃えやすくなる。
【0121】
また、各辺に2個ずつ目地幅調整部材50を配設することで、1辺内での目地60の幅も均等にすることができる。つまり、埋設部材30の外周面35がブロック本体部20の内周面26aに対して傾くのが抑制されるため、ブロック本体部20の内周面26aに対して埋設部材30の外周面35を平行に保持することができる。
【0122】
なお、図3(b)に示すように、互いに対辺となるひと組の2辺のうち一方の辺の位置P9(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設けた場合は、他方の辺にも、位置P9に対向する位置P10(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設け、また、他のひと組の2辺のうち一方の辺の位置P5,P6にそれぞれ目地幅調整部材50を設けた場合(1辺に2個の目地幅調整部材50を設けた構成)は、他方の辺にも、位置P5,P6にそれぞれ対向する位置P7,P8に目地幅調整部材50をそれぞれ設ければよい。
【0123】
このように、互いに対辺となるふた組の辺(全部で4辺)のうち、ひと組の2辺についてだけ、2個ずつ目地幅調整部材50を配設し、他のひと組の2辺については、1個ずつ目地幅調整部材50を配設した構成によっても、埋設部材30の外周面35がブロック本体部20の内周面26aに対して傾くのを抑制することができる。
【0124】
なお、1つの辺に2個の目地幅調整部材50を配設する場合の配設位置は、図3(a),(b)に示すように、辺の両端部に近い位置とするのが、上記傾きの抑制効果の観点から好ましい。
【0125】
図3(c)に示すように、互いに対辺となるひと組の2辺のうち一方の辺の位置P9(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設けた場合は、他方の辺にも、位置P9に対向する位置P10(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設け、また、他のひと組の2辺のうち一方の辺の位置P11(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設けた場合は、他方の辺にも、位置P11に対向する位置P12(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設ければよい。
【0126】
なお、本実施形態の敷設ブロックは、中空空間26およびこの中空空間26を塞ぐ埋設部材30がいずれも、平面視において略矩形であるため、互いに対向する2辺の特定が明確であるが、例えば中空空間26および埋設部材30が、平面視で円形である場合は、この円形の周上の3つ以上の位置に目地幅調整部材50を配置すればよく、この場合、目地幅調整部材50を、円形の中心回りの角度が等間隔(3個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔120°、4個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔90°、5個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔72°、6個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔60°など。)となる円周上の位置(等角度間隔位置)に配置するのが、目地60の幅を均等にする上で好ましい。
【0127】
また、中空空間26および埋設部材30が、平面視で五角形である場合は、この五角形の各辺に対応する目地60にそれぞれ目地幅調整部材50を配置すればよく、平面視で六角形である場合は、この六角形の各辺に対応する目地60にそれぞれ目地幅調整部材50を配置してもよいし、隣接する辺に隣接する3辺に対応する目地60にのみそれぞれ目地幅調整部材50を配置してもよい。
【0128】
本実施形態における目地幅調整部材50は、上述したように断面略U字状の弾性部材であるため、比較的安価、かつ容易に形成することができ、実用上の有用性が高い。
【0129】
さらに、この目地幅調整部材50は、埋設部材30の外周面35に接する第二直線部52に、埋設部材30の外周面35に形成された係合溝33に係合する凸部52aが形成されており、目地幅調整部材50が目地60に配設された状態において、この凸部52aが埋設部材3の係合溝33に突入した状態で係合溝33に係合するため、目地60から容易に脱落するのを防止することができる。
【0130】
次に、本実施形態の敷設ブロック10の作用について説明する。
【0131】
まず、図5(a)およびそのA′−A′線に沿った断面を表す同図(b)に示すように、敷設ブロック10は、その埋設部材30が取り除かれた状態(ブロック本体部20)で、その中空空間26に、土29bおよびこの土29bに根を張った芝生29aからなる植生29が充填され、基礎100の上面110に敷設される。
【0132】
ここで、この敷設ブロック10は、図6の平面図に示すように、インターロッキングブロックとして、他の複数の敷設ブロック10,10,…との間で、その外周面23を接した状態で規則的に配列され、これら敷設ブロック10(ブロック本体部20)の上面21が、例えば図7に示すような、車両400の駐車される駐車場などの領域300の路面200(図5(b))となる。
【0133】
このとき、本実施形態の敷設ブロック10は、上述したように、2以上の敷設ブロック10,10,…同士が互いに隣接して配列された状態において個々の敷設ブロック10の外周面23の一部分同士により囲まれた略矩形の輪郭を有する空間領域40(図6参照)は、各敷設ブロック10の中空空間26と略同一の輪郭形状を有する。
【0134】
そして、この4つの敷設ブロック10,10,10,10の各外周面23,23,23,23により囲まれて形成された空間領域40にも、土29bおよびこの土29bに根を張った芝生29aからなる植生29が充填され、基礎100の敷砂層100aの上面110に敷設される。
【0135】
このように構成された敷設ブロック10によれば、車両400の輪荷重をブロック本体部20の上面21である路面200によって支持しつつ、各敷設ブロック10が有する中空空間26および4つの敷設ブロック10で囲んで新たに形成された空間領域(新たな中空空間)40がそれぞれ植生29に供されたことにより、緑化の面積比を大きいものとすることができる。
【0136】
なお、図6,7において記載を省略しているが、路面200となるブロック本体部20の上面21には、図5に示したように溝24が形成されているため、車両400がスリップするのを防止することができる。
【0137】
この場合、溝24の延在方向が、車両の進行方向となるY方向に直交する方向、すなわちX方向に平行となるように、敷設ブロック10を配置するのが、スリップ防止効果を高める上で効果的である。
【0138】
次に、図7に示した領域300に対して、例えば車両1台ごとの駐車区画を表す区画線(境界線)を、この敷設ブロック10で表示する場合について説明する。
【0139】
まず、区画線として利用しようとする敷設ブロック10に対して、その中空空間26に植生した芝生29aおよび土29bを掘り出す。
【0140】
さらに、本実施形態の敷設ブロック10は、個々の敷設ブロック10の外周面23の一部分同士により囲まれた略矩形の輪郭を有する空間領域40が、各敷設ブロック10の中空空間26と略同一の輪郭形状を有しているため、区画線として利用しようとする敷設ブロック10,10の間に存在するこの空間領域40(図8参照)に充填されている植生29も掘り出して、この空間領域40(新たな中空空間40)も中空空間とする。
【0141】
次いで、これらの中空空間26,40に、上述した埋設部材30をそれぞれ埋設させる(図8)。この操作を、図9に示すように、区画線として利用しようとする全ての敷設ブロック10および敷設ブロック10間に対して行うことで、領域300の緑化領域320(植生が行われている領域)を、植生29の行われていない区画線の領域310に切り替えることができる。
【0142】
なお、ブロック本体部20の中空空間26に埋設された埋設部材30は、所定の脱着工具を用いる等して、中空空間26から容易に離脱させることができる着脱自在の部材であるため、この埋設部材30の脱着に応じて、植生29の有無を容易に切り替えることができる。
【0143】
また、駐車区画を示す区画線の領域310は、中空空間26に軟らかい植生29が充填されていないため、すなわち、中空空間26に埋設された埋設部材30は上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有するため、歩行している歩行者が、この埋設部材30の上面31を踏んだり、ベビーカー等の車輪や車椅子の前輪が、この埋設部材30の上面31を通過する場合であっても、これら歩行者の足やベビーカー等の車輪等は、埋設部材30によって支えられ、ブロック本体部20(コンクリート成形部分)の上面21を踏んだときと同様に、下方に沈み込むことがない。
【0144】
したがって、歩行者の歩行性や、ベビーカー、車椅子等の走行性を向上させることができる。
【0145】
さらに、埋設部材30は、敷設ブロック10の中空空間26にセットされた状態においては、その上面31が中空空間26以外のコンクリート成形部分であるブロック本体部20の上面21と同じ高さ位置となるため、この埋設部材30の上面31の外縁部やブロック本体部20における中空空間26の開口縁部等に、歩行者の足やベビーカーの車輪等が引っかかりにくくなり、つまづき等を防止することもできる。
【0146】
そして、この埋設部材30は、中空空間26から着脱自在(着脱可能)であるため、駐車区画を示す区画線となる領域310では、この埋設部材30で中空空間26を塞いだ状態として歩行性および走行性を向上させ、それ以外の領域320では、この埋設部材30を中空空間26から取り外した状態で植生29により緑化率の向上を図ることができ、しかも、これら区画線等のレイアウトを変更する場合は、埋設部材30の着脱を行うだけでよいため、従来のように、敷設ブロック10の全体を掘り起こして、中空空間26の形成されていない他の種類の敷設ブロックに交換する必要がなく、施工の手間を大幅に低減することができるとともに、施工期間の短縮および施工費用の低減を図ることができる。
【0147】
なお、歩行者の通行に供する場合は、区画線の領域310の幅は、上述した敷設ブロック10の1列分(図9参照)でも十分であるが、ベビーカーや車椅子等で通行する場合の便宜のために、区画線の領域310の幅は、図10に示すように、敷設ブロック10の3列分程度まで広く設定するのが好ましい。
【0148】
本実施形態の敷設ブロック10は、歩行性や通行性を向上させる目的だけでなく、植生29の有無の分布を変化させることで、領域300全体の見た目の変化を与えることもでき、このような効果を得ることのみを目的とするときは、配列されている敷設ブロック10のうち、空間的に連続して位置している敷設ブロック10について埋設部材30が備えられている状態とする必要はなく、領域300のうち、埋設部材30が備えられている敷設ブロック10が点在(空間的に離散して配置されている状態)していてもよい。
【0149】
なお、図8,9,10において記載を省略しているが、路面200となるブロック本体部20の上面21だけでなく、埋設部材30の上面31にも、図1に示したように溝34が形成されているため、歩行者等が歩行する際にスリップするのを防止することができる。この場合、溝34の延在方向は、溝24と同一方向、すなわちX方向に平行となるように、埋設部材30を埋設させるのが、スリップ防止効果を高める上で効果的である。
【0150】
また、この敷設ブロック10に形成されている溝24,34は、間隔が6〜15[mm]の等間隔であることにより、ブロック本体部20の上面21(表面)および埋設部材30の上面31を定速走行するベビーカーの車輪や車椅子の車輪は、この溝24,34から、一定周波数の振動に受け、これにより、ベビーカー等の車輪が、隣接する敷設ブロック10間の目地やブロック本体部20と埋設部材30との間の目地60を通過するときに受ける衝撃(振動や音)を、緩和させることができる。
【0151】
以上のように、本実施形態の敷設ブロック10によれば、埋設部材30を着脱することにより、歩行性および走行性を向上させるか、または植生29を増やすかを、容易に切り替えることができる。
【0152】
また、本実施形態の敷設ブロック10は、埋設部材30が、中空空間26の、芝生等の植生26が施されていた深さ位置(底の位置。本実施形態においては基礎100の上面110の位置。)まで埋められることになるため、この中空空間26に埋設された後の埋設部材30の上面31を足で踏んだときも、埋設部材30は中空空間26の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0153】
なお、中空空間26が敷設ブロック10の下面22まで貫通していない敷設ブロックであっても、上述した実施形態の敷設ブロック10と同様の作用、効果を得ることができる。
【0154】
また、埋設部材30はコンクリート製のものに限定されるものではなく、煉瓦や石材によって形成されたものであってもよく、そのような煉瓦や石材によって形成された埋設部材30を有する敷設ブロックによっても、上述したコンクリート製の埋設部材30を有する敷設ブロック10と同様の作用・効果を得ることができる。
(実施形態2;脱着工具)
図11は、本実施形態の敷設ブロック10から、埋設部材30を脱着するために用いられる脱着工具500の一例を示すものであり、この脱着工具500は、本発明に係る脱着工具の一実施形態である。
【0155】
この脱着工具500は、円筒状乃至円柱状の手持ち部520の下方に、蝶番状に軸支された2つの把持腕510,510が設けられた構造であり、2つの把持腕510,510はそれぞれ軸C1を回転中心として独立して、図示矢印方向に回動する構成である。
【0156】
そして、各把持腕510,510の回動外側の端部は、周方向に折り曲げられて周壁511,511を形成し、さらにその先端部512,512は折り返されてフック状に形成されている。
【0157】
そして、図12に示すように、この脱着工具500を用いて、上記実施形態に係る敷設ブロック10の埋設部材30を、ブロック本体部20の中空空間26から、上方に引き出してブロック本体部20から離脱させることができる。
【0158】
すなわち、図12(a),(b)に示すように、埋設部材30がブロック本体部20の中空空間26に埋設された状態の敷設ブロック10の上方から、脱着工具500を、その把持腕510,510の先端部512,512および周壁511,511が目地60に挿入されるように下降させる。
【0159】
この下降の際、把持腕510,510は、それぞれ自重によって軸C1回りに回動して、鉛直方向に垂れ下がった状態になろうとするが、両把持腕510,510が垂れ下がらないように、脱着工具500の使用者等が、両把持腕510,510を水平に保って下降させる。
【0160】
そして、同図(c),(d)に示すように、脱着工具500の先端部512,512を目地60に挿入させると、両把持腕510,510は自重によって、軸C1回りに僅かに回動し、これにより、各把持腕510,510のフック状の先端部512,512が、埋設部材30の上面31の近傍に形成された係合溝33に突入した状態となる。
【0161】
この脱着工具500の先端部512,512がそれぞれ埋設部材300の係合溝33に突入した状態(図12(c),(d))で脱着工具500を上方に引き上げると(同図(e),(f))、両端腕510,510は、自重によって軸C1回りに下方に垂れ下がるように回転した状態のまま引き上げられ、この際に、埋設部材30の係合溝33に突入していた先端部512,512は係合溝33に引っ掛かった状態となる。
【0162】
この結果、両把持腕510,510の先端部512,512には、埋設部材30の重量(埋設部材30の質量が、重力によって下方に向いて作用する荷重)が作用し、この荷重は、両端腕510,510をさらに垂れ下がる向きに回動させるように作用し、結果的に、脱着工具500が埋設部材30を把持する荷重を増大させる。
【0163】
したがって、使用者が手持ち部520を手で持って、同図(e),(f)に示すように、脱着工具500を上方に引き上げると、脱着工具500の先端部512,512に引っ掛けられた埋設部材30が上方に吊り上げられ、ブロック本体部20の中空空間26から離脱され、最終的に、ブロック本体部20から分離される。
【0164】
これとは反対に、埋設部材30をブロック本体部20の中空空間26に取り付ける操作を行う場合は、上述した離脱操作と反対の手順を行えばよい。
【0165】
このように、本実施形態に係る脱着工具500によれば、埋設部材30を中空空間26から容易に離脱させることができる。
【0166】
また、本実施形態の脱着工具500は、軸C1回りに2つの把持腕510,510がそれぞれ回動することで、鉛直下方に垂れ下がり、2つの把持腕510,510が互いに重なり合った状態となるため、脱着工具500全体としての厚さが、この2つの把持腕510,510の重なり合った部分の厚さ程度まで薄くでき、したがって、この脱着工具500を保管等する場合の占有スペースを抑制することができる。
【0167】
なお、本実施形態の脱着工具500は、2つの把持腕510,510を有するものであるが、本発明に係る脱着工具はこの形態に限定されるものではなく、目地60に挿入され、その先端部512が、埋設部材30の外周面35に形成された係合溝33を引っ掛けて、埋設部材30を上方に吊り上げることにより、埋設部材30を中空空間26から離脱させるものであればどのような形態であってもよい。
【0168】
また、本発明に係る脱着工具は上記実施形態のものに限定されるものではなく、離脱させようとする埋設部材30の形状(平面視において、円形であるのか、三角形であるのか、四角形であるのか、五角形以上の多角形であるのか等)や、その埋設部材30に形成されている係合溝33の数や位置などに応じて、種々の形態を採用することができる。
(実施形態3;発光部材を有する埋設部材を備えた敷設ブロック)
図13は、上述した埋設部材30として、その上面71に発光部74または発光部75を備えた構成の埋設部材70を適用した実施形態を示す斜視図である。なお、図中の符号73は、図1等に示した埋設部材30における係合溝33に相当する係合溝である。
【0169】
ここで、図13(a)に示した発光部74は、昼間の太陽光等環境光を蓄光し、その蓄光によって発光を得る蓄光部材を用いたものであり、この蓄光部材は、コンクリートに蓄光材料を練り込んで固めたものである。
【0170】
また、図13(b)に示した発光部75は、電池等の電源77によって電力が供給されることで発光する電球やLED等のようないわゆる照明部材を用いたものであり、その上方は、無色透明または有色透明の樹脂等によるカバー76が設けられている。
【0171】
なお、このカバー76の一部やカバーで覆われた内部に、太陽電池パネルを設けて、電源77を二次電池として用いる構成としてもよい。
【0172】
また、これらの埋設部材70は、上述した発光部74,75を除いた他の構成・構造が図1または図4に示した埋設部材30と共通するため、これらの埋設部材70を有する敷設ブロックも、上述した実施形態の敷設ブロックと同様の作用、効果を得ることができる。
【0173】
さらに、この発光部74または発光部75を有する埋設部材70を備えた敷設ブロックによれば、埋設部材70の上面71に備えられた発光部74または発光部75が発光することにより、夜間等の暗い場所であっても、路面に埋め込まれた誘導灯としての機能を発揮させることができる。
【0174】
したがって、例えば、歩行者が歩行する領域には、このような発光部74,75付き埋設部材70を埋設した敷設ブロックを用いることで、夜間等の足元が見えにくい状況下においても、発光部74,75からの発光を、車両の運転者や歩行者に視認させることで、歩行者用領域やその幅員等を正確に認識させることができる。
【0175】
また、区別することを希望する領域ごとに、発光部74,75からの発光色に差異を持たせた敷設ブロックを用いることで領域の区別を、色分けで視認させることができる。しかもこの発光部74,75は、敷設ブロックのうち、脱着可能の埋設部材70に設けられているため、発光色で区分けしようとする領域のレイアウトの変更の度に、敷設ブロック全体を掘り起こして交換する必要はなく、埋設部材70を、他の発光色の発光部74,75を有する埋設部材70に脱着交換するだけでよいため、施工を容易にすることができる。
【0176】
また、車両の走行や歩行者の歩行等によって発光部74,75が経年的に劣化した場合における発光部74,75の交換も容易であるため、メンテナンス性も向上させることができる。
【0177】
なお、蓄光材料をコンクリートに練り込んだ蓄光部材で発光部74を形成したものでは、蓄光材料による発光を長期間に亘って確保することができ、埋設部材70の上面71にのみ蓄光材料を単に塗布したものに比べて、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0178】
しかも、蓄光部材自体の摩耗が進んで、十分な発光を得られなくなった場合は、この蓄光部材を含む埋設部材70を脱着交換することで、発光部74の発光を容易に回復することができる。
【0179】
一方、電力の供給により発光する照明部材を用いたものを適用した発光部75を有する敷設ブロックは、発光部75を連続的に点灯させ、間欠的に点滅させ、あるいは消灯させる、等の点灯パターンの差異によって、領域の区別を行わせることもできる。
【0180】
また、このような敷設ブロックを敷設する領域としては、上述した駐車場に限らず、広場等に敷設することもできるため、そのような場所に敷設された敷設ブロックによれば、発光部75の発光パターンや発光部74,75の発光色の差異によって、イルミネーションとして演出する効果を得ることもできる。
(実施形態4;蓋部材を有する敷設ブロック)
図14は、敷設ブロック10におけるブロック本体部20に形成された中空空間26を塞ぐ、図1等に示した埋設部材30,70に代えて、中空空間26を覆うようにした、閉塞部材としての蓋部材80を示す斜視図である。
【0181】
ここで、図14(a)に示した蓋部材80は、多数の水捌け孔84が形成された平板81の下面から、4つの脚部83が下方に延びて形成されおり、さらに、平板81からは、図1に示したブロック本体部20の上面21に形成された溝部25に挿入されて、この溝部25,25の底部に載置されて支持される2つの突起部84,84を備えている。
【0182】
なお、平板81は、その平面視における輪郭形状が、ブロック本体部20の中空空間26の平面視よりも僅かに小さく形成されている。
【0183】
そして、図15(a)に示すように、植生29が施されたままの中空空間26に対して、上方から降下されて、蓋部材80の脚部83,83,83,83は、この中空空間26に配設された植生29に突き刺さり、アンカーとして機能する。
【0184】
一方、突起部84,84は、同図15(b)に示すように、それぞれブロック本体部20の上面21に形成された溝部25に挿入されて、この溝部25,25の底部に載置されて支持される。
【0185】
このとき、平板81の上面は、ブロック本体部20の上面21に略一致する高さ位置となるように形成されている。
【0186】
そして、このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、蓋部材80に形成された突起部84,84が、ブロック本体部20の溝部25,25の少なくとも一部に挿入されて、この溝部25,25の底部に載置されることにより、蓋部材80が中空空間26の内部に脱落するのを防止することができる。
【0187】
そして、このように蓋部材80によって中空空間26を覆うことにより、この中空空間26の植生29を掘り出して除去することなく、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有するものとすることができ、歩行している歩行者が、この蓋部材80の平板部81を踏んだり、ベビーカー等の車輪や車椅子の前輪が、この蓋部材80の平板部81の上面を通過する場合であっても、これら歩行者の足やベビーカー等の車輪等は、蓋部材80によって支えられ、ブロック本体部20の上面21を踏んだときと同様に、下方に沈み込むことがない。
【0188】
したがって、歩行者の歩行性や、ベビーカー、車椅子等の走行性を向上させることができる。
【0189】
なお、この蓋部材80が中空空間26の上方を覆っている状態においても、平板81に形成された多数の水捌け孔82を通って、雨水等が植生29に供給されるため、植生29の生育を維持しつつ、歩行性・走行性の改善を図ることができる。
【0190】
また、この蓋部材80を取り除くことで、中空空間26の植生29が元通り現れるため、緑化を得ることができる。
【0191】
しかも、この蓋部材80は、その突起部84,84がブロック本体部80の溝部25,25に載置されているだけであるため、ブロック本体部20からの脱着が容易であり、歩行性・走行性を向上させる(蓋部材80を被せた状態)か、緑化を優先する(蓋部材を被せない状態)か、を容易に切り替えることができる。
【0192】
なお、蓋部材80で中空空間26を閉塞した状態のときは、蓋部材80の下面に形成された脚部83が、中空空間26の配設された植生29(特に土29b)に差し込まれた状態となるため、蓋部材80が簡単に浮き上がったり、中空空間26から容易に脱落するのを防止することができる。
【0193】
また、本実施形態の敷設ブロック10における蓋部材80は、平面視において略矩形のものであるが、蓋部材80の突起部84,84がブロック本体部20の溝部25,25に挿入された状態となるため、例えば、中空空間26の開口が略円形で、かつ蓋部材80の平板81も平面視で略円形であっても、蓋部材80が、その平板81の面内で自由に回転するのを規制することができる。
【0194】
一方、閉塞部材としての蓋部材80は、図14(a)に示したものの他、同図(b)に示したものも適用することができる。
【0195】
すなわち、同図(b)に示した蓋部材80は、同図(a)に示した蓋部材80から2つの突起部84,84を除去したものである。
【0196】
このように構成された蓋部材80は、脚部83が植生29(特に土29b)に刺さることによって、下方への沈み込みを防止することもできるが、蓋部材80に歩行者等の足やベビーカー等の車輪が載ると、下方に沈み込む虞がある。
【0197】
そこで、突起部84,84を有しない形態の蓋部材80(図14(b)参照)を、本発明に係る敷設ブロックの部品として用いる場合には、蓋部材80の沈み込みを防止するために、図16(b)に示すように、中空空間26の、上面21における開口の外縁部に傾斜面26b(図16(b))または段差部26c(図16(c))が形成され、蓋部材80は、その外周縁部がこの傾斜面26bまたは段差部26cに載置されるものとすればよい。
【0198】
このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、蓋部材80は、その外周縁部が、ブロック本体部20の中空空間26の開口の外縁に形成された傾斜面26bまたは段差部26cに載置されるため、蓋部材80が中空空間26に脱落するのを防止することができる。
(実施形態5;化粧玉砂利)
図17は、本発明に係る敷設ブロックの他の実施形態を示す斜視図であり、図1等に示した敷設ブロック10のうち埋設部材30に代えて、化粧玉砂利90をブロック本体部20の中空空間26に充填することで、この中空空間26を塞ぐ閉塞部材として適用した実施形態である。
【0199】
このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、上述した図1,13に示した埋設部材30,70を閉塞部材として適用した敷設ブロック10や、図14,15に示した蓋部材80を閉塞部材として適用した敷設ブロック10と同様に、ブロック本体部20の中空空間26に配設された植生29に代えて玉砂利90を充填することで、歩行者の歩行性およびベビーカー等の走行性を向上させることができ、また、玉砂利90を取り除いて、空になった中空空間26に再び植生29を配設することにより、植生29による緑化の増大を図ることができ、これら歩行性等の向上と緑化増大とを、容易に切り替えることができる。
【0200】
また、このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、ブロック本体部20の植生用の中空空間26に芝生等の植生29がなされている状態のときは、この中空空間26から芝生等の植生29を除去して、空の中空空間26に玉砂利90を充填することで、中空空間26を塞ぐことができる。
【0201】
このとき、玉砂利90は、中空空間26の、植生29が施されていた深さ位置(底の位置)から順次積み上げられて充填されるため、この中空空間26に充填された後の玉砂利90の上面を足で踏んだときも、玉砂利90は中空空間26の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0202】
また、中空空間26が敷設ブロック10の下面22まで貫通しているものであっても、中空空間26以外のブロック本体部20(コンクリート成形部分)の下面22が載っている基礎100(例えば、敷砂層100aおよび路盤100b(図5(b)参照))上に玉砂利90が載ることになるため、上述した硬さ感を確保することができる。
【0203】
なお、上述した各実施形態の敷設ブロック10における埋設部材30、蓋部材80、目地幅調整部材50は、それぞれ本発明に係る埋設部材の一実施形態、本発明に係る蓋部材の一実施形態、本発明に係る目地幅調整部材の一実施形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の一実施形態に係る敷設ブロックを示し、(a)は全体、(b)はブロック本体部、(c)は閉塞部材(埋設部材)、をそれぞれ示す斜視図である。図である。
【図2】(a)は図1のA−A線に沿った断面を表す図であり、(b)は(a)におけるB部の詳細を示す図である。
【図3】図2(b)に示した目地幅調整部材の配設位置を例示する模式図であり、(a)は8個、(b)は6個、(c)は4個、の場合をそれぞれ示す。
【図4】埋設部材を、一定高さの本体部分と、高さ違いで用意されている複数の補助部分との2部品からなるものとした例を示す斜視図である。
【図5】中空空間に植生を配設した状態の敷設ブロックを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるA′−A′線に沿った断面を示す図である。
【図6】中空空間に植生を配設した敷設ブロックのみ配列を示す図である。
【図7】図6に示した敷設ブロックの組合せ集合体を駐車場に適用した状態の平面視を示す図である。
【図8】中空空間に埋設部材(閉塞部材)を備えた敷設ブロックも含む配列を示す図である。
【図9】図8に示した敷設ブロックの組合せ集合体を駐車場に適用した状態の平面視を示す図である。
【図10】駐車場の区画線幅を広くした状態を示す、図9相当の平面視を表す図である。
【図11】図1に示した敷設ブロックに対して、埋設部材を離脱させるために用いられる本発明の一実施形態に係る脱着工具を示す斜視図である。
【図12】図11に示した脱着工具を用いて埋設部材を離脱させる作用を説明する図であり、(a)は離脱前の斜視図、(b)は離脱前の断面図、(c)は敷設ブロックに脱着工具を装着した状態の斜視図、(d)は敷設ブロックに脱着工具を装着した状態の断面図、(e)は離脱中の斜視図、(f)は離脱中の断面図、をそれぞれ示す。
【図13】発光部を有する形態の埋設部材を示す斜視図であり、(a)は蓄光材料をコンクリートに練り込んで形成した発光部を有するもの、(b)は照明部材により形成した発光部を有するもの、をそれぞれ示す。
【図14】閉塞部材としての蓋部材を示す斜視図であり、(a)は突起部を有する構造の蓋部材、(b)は突起部を有しない構造の蓋部材、をそれぞれ示す。
【図15】脱着可能の蓋部材を備えた敷設ブロックに、蓋部材を脱着させた要図を示す図であり、(a)は蓋部材を取り外した状態、(b)は蓋部材を取り付けた状態、をそれぞれ示す。
【図16】突起部を有しない蓋部材をブロック本体部に支持するための構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は傾斜面による支持、(c)は段差部による支持、をそれぞれ示す。
【図17】閉塞部材として化粧玉砂利を適用した敷設ブロックの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0205】
10 敷設ブロック
20 ブロック本体部
21,31 上面
26 中空空間
30 閉塞部材、埋設部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷設ブロックおよびこの敷設ブロックに用いられる脱着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製敷設ブロックの一例として、その表面の一部(例えば中央部)に植生用の中空空間を有するものが用いられている。このような敷設ブロックは、その中空空間に芝生などを根付かせて植生を図ることで、緑化率を向上させることができる。
【0003】
すなわち、例えば駐車場に敷設した場合、タイヤは中空空間以外のコンクリート成形部分に載るため、このコンクリート成形部分が車両の輪荷重を支え、これによって敷設ブロックの機能を確保する一方、中空空間に芝生等の植物が植生されたことで、敷設ブロックの表面における緑化を実現することができ、これにより駐車場の景観を向上させ、さらに、中空空間への雨水の浸透により水溜まりの発生も抑制することができる(特許文献1)。
【特許文献1】特開平07−150505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した敷設ブロックの中空空間に植生した芝生などは、コンクリート成形部分に比べて軟らかいため、例えば、歩行時に爪先や踵が、植生された中空空間のみを踏むと、この爪先や踵が沈み込むため歩行性が悪くなる、という問題がある。
【0005】
また、この沈み込みの際に、芝生下の土が泥となって靴に付着することもある。
【0006】
これらの問題は、車輪径の小さいベビーカーや車椅子(前輪の車輪径は小さい)によって通過する場合も同様であり、走行性の向上が求められるところである。
【0007】
なお、この問題は、上述した敷設ブロックが敷設された駐車場においてのみ生じるものではなく、人やベビーカー、車椅子等が通過する場所に敷設されたときは、同様に生じ得る問題である。
【0008】
このような問題を解決するために、人が歩行する場所等については、植生用の中空空間が形成されていないブロックを予め敷設すればよいが、後からそのような問題を改善しようとすると、既に敷設されているブロックを掘り出して、中空空間の無い敷設ブロックを埋設し直さなければならず、非常に手間がかかる。
【0009】
例えば、駐車場内で各車両ごとの駐車区画を示す境界線となる部分に、中空空間の無いブロックを敷設することで、各駐車区画の境界を視覚的に認識しやすくすると同時に、その境界線となるブロック(中空空間の無いブロック)での歩行性や走行性を良好に確保することができるが、駐車区画を変更する場合には、上記と同様に、既に敷設されているブロックを掘り起こして、中空空間の無いブロックに置き換えたり、これとは反対に中空空間の無いブロックを中空空間の有るブロックに置き換えたりする必要があり、施工に手間がかかる。
【0010】
また、駐車場に限らず、中空空間の有るブロックが配列された領域に、中空空間の無いブロックを点在させるなどして、領域全体としての装飾性を表現することもあるが、このような場合に、中空空間の有るブロックと中空空間の無いブロックとの配置を変更して、領域全体のデザインを変更しようとすると、上述した駐車場の区画変更の場合と同様に、施工に大きな労力を要する。
【0011】
上述したように敷設ブロックを置き換える労力は、敷設ブロックが2以上互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックの場合に一層顕著になる。
【0012】
すなわち、各インターロッキングブロックは、互いに接することで、輪郭同士が噛み合ったデザインを有しているため、一つを掘り起こそうとすると、周囲の隣接したインターロッキングブロックに悪影響を与える虞があり、結局、広範囲にブロックの置き換えを行なわなければならなくなり、施工の手間がより増大する。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その表面の一部に植生用の中空空間を有するものであっても、歩行性や走行性を容易に向上させることができる敷設ブロック、およびそのような敷設ブロックに用いられる脱着工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る敷設ブロックは、その表面の一部に形成されている植生用の中空空間を塞ぐ、着脱可能の閉塞部材を備えて、植生を優先する状況下では、その中空空間に植生を施し、歩行性や走行性を優先する状況下では、着脱可能の閉塞部材でその中空空間を塞ぐことにより、植生優先または歩行性・走行性優先の切替えを容易に行えるようにしたものである。
【0015】
すなわち、本発明に係る敷設ブロックは、コンクリートで形成され、その表面の一部に植生用の中空空間を有する敷設ブロックにおいて、その上面が前記表面と略同一の高さ位置で前記中空空間を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する、着脱可能の閉塞部材を備えたことを特徴とする。
【0016】
ここで、上記植生用の中空空間は、ブロック本体部(中空空間以外の部分)の下面まで貫通しているもの(中空空間は貫通孔となる)であってもよいし、ブロック本体部(中空空間以外の部分)の下面までは貫通していないもの(底部を有するもの。すなわち、中空空間は凹部として形成されている)であってもよい。
【0017】
このように構成された本発明に係る敷設ブロックによれば、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する閉塞部材が、植生用の中空空間を塞ぐことで、歩行性や走行性を向上させることができる。
【0018】
つまり、歩行時に爪先や踵が、植生で占有された空間(植生を除いたときの中空空間)を踏むと、この爪先や踵が沈み込むため歩行性が悪く、また、芝生下の土が泥となって靴等に付着することもあるが、閉塞部材がこの中空空間を塞いでいるため、歩行時に爪先や踵が中空空間を踏むことなく閉塞部材の上面を踏むことになり、しかもこの閉塞部材は、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有しているため、閉塞部材の上面を踏んだ爪先や踵、ベビーカー等の車輪は、この閉塞部材によって支えられ、中空空間以外のコンクリート成形部分を踏んだときと同様に下方に沈み込むことがない。
【0019】
したがって、歩行者の歩行性や、ベビーカー、車椅子等の走行性を向上させることができる。
【0020】
さらに、閉塞部材は、敷設ブロックの中空空間にセットされた状態においては、その上面(足や車輪で直接踏まれる面)が中空空間以外のコンクリート成形部分である表面と同じ高さ位置となるため、この閉塞部材の上面の外縁部に歩行者の足やベビーカーの車輪等が突き当たりにくくなり、つまづきを防止することもできる。
【0021】
そして、この閉塞部材は、中空空間から着脱自在(着脱可能)であるため、駐車区画を示す境界線となる部分では、この閉塞部材で中空空間を塞いだ状態として歩行性および走行性を向上させ、それ以外の部分では、この閉塞部材を中空空間から取り外した状態で緑化率の向上を図ることができ、しかも、これら境界線等のレイアウトを変更する場合は、閉塞部材の着脱を行うだけでよいため、従来のように、敷設ブロック全体を掘り起こして交換する必要がなく、施工の手間を大幅に低減することができるとともに、施工期間の短縮および施工費用の低減を図ることができる。
【0022】
一般的に、敷設ブロックを駐車場に施工する場合、駐車区画を示す境界線としては、ふち石が使用されるが、ふち石と取り合う部分(ふち石で占有される部分)に対応した敷設ブロックの部分は、施工現場でカットされていた。
【0023】
これに対して、閉塞部材で中空空間が塞がれた状態での本発明の敷設ブロックを、この境界線に用いることで、施工現場でのカット作業が不要となり、この点でも施工の労力を低減することができる。
【0024】
なお、閉塞部材が有するべき、上方から負荷する荷重に対する強度としては、一般的なサイズの人間の大人の体重が上方から負荷したときに、撓まない程度、または割れたり崩れたりといった破壊を生じない程度の強度であればよく、中空空間以外のコンクリート成形部分(ブロック本体部)と同程度の強度まで要求するものではない。
【0025】
つまり、人の足や、乳幼児が乗ったベビーカーの車輪、大人が乗った車椅子の車輪が、この閉塞部材の上面に載ったときに、この閉塞部材が容易に変形しない程度の強度であればよい。
【0026】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記閉塞部材は、前記中空空間に埋設される埋設部材であることが好ましい。
【0027】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、植生用の中空空間に芝生等の植生がなされている状態のときは、この中空空間から芝生等を除去して、空いた中空空間に埋設部材(中実の塊状であってもよいし、中空のものであってもよい。)を埋めることで、中空空間を塞ぐことができる。
【0028】
このとき、埋設部材は、中空空間の、芝生等の植生が施されていた深さ位置(底の位置)まで埋められることになるため、この中空空間に埋設された後の埋設部材の上面を足で踏んだときも、埋設部材は中空空間の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0029】
なお、中空空間が敷設ブロックの下面まで貫通しているものであっても、中空空間以外のコンクリート成形部分の下面が載っている基礎(例えば、敷砂層および路盤)に埋設部材が載ることになるため、上述した硬さ感を確保することができる。
【0030】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材ブロック体であることが好ましい。
【0031】
このブロック体の素材としては、コンクリート、レンガ、石材、木材、樹脂など、種々のものを適用することができる。
【0032】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、この埋設部材自体の強度を確保し易い。
【0033】
また、ブロック体の素材としてコンクリートを適用したものでは、中空空間以外のコンクリート成形部分(ブロック本体部)と材質が揃うため、閉塞部材(埋設部材)と中空空間以外の部分(コンクリート本体部)とを一体的に感じさせる効果を得ることができる。
【0034】
なお、埋設部材を、コンクリート製のブロック体、煉瓦のブロック体または石材製のブロック体としたものでは、他の用途等で用いられる既存のコンクリート製のブロック体、煉瓦のブロック体および石材製のブロック体等の各種ブロック体のうちから、敷設ブロック本体部の中空空間と略同一の輪郭形状を有するブロック体を選択することもできるため、そのようなブロック体を転用することで、新規に埋設部材を製作するのに比べて、製造コストを低減することができる。
【0035】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記ブロック体は透水性または保水性を有するブロックであることが好ましい。
【0036】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、埋設部材であるブロック体が透水性を有するため、雨水等を、この埋設部材としての透水性ブロックに浸透させて敷設ブロックの下方に排水させることができ、水捌けを向上させることができる。
【0037】
したがって、敷設ブロックが敷設されている領域の表面(路面)上に、雨水等による水たまりができるのを防止することができ、この結果、埋設部材の上面での水跳ねも低減させることができる。
【0038】
また、埋設部材であるブロック体が保水性ブロックの場合には、保水した水分が蒸発散する際の潜熱(気化熱)により、温度を低下させることができ、この結果、ヒートアイランド現象を緩和させることができるとともに、植生(例、芝生等)への水の供給源にもなり、植物の生育を良くすることができる。
【0039】
なお、透水性または保水性を有するブロック体の素材としては、コンクリートや煉瓦などを適用することができる。
【0040】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材は、その上面部に発光部を備えたことが好ましい。
【0041】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、埋設部材の上面に備えられた発光部が発光することにより、夜間等の暗い場所であっても、路面に埋め込まれた誘導灯的な機能を発揮させることができる。
【0042】
したがって、例えば、歩行者が歩行する領域には、このような発光部付き埋設部材を埋設することで、夜間等の足元が見えにくい状況下においても、発光部の発光を車両の運転者や歩行者に視認させることで、歩行者用領域やその幅員等を正確に認識させることができる。
【0043】
また、区別することを希望する領域ごとに、発光部の発光色に差異を持たせることで領域の区別を、色分けで視認させることができる。
【0044】
なお、本発明における発光部は、電池等の電力が供給されることで発光する電球やLED等のようないわゆる照明部材を用いたものであってもよいし、昼間の太陽光等環境光を蓄光し、その蓄光によって発光を得る蓄光部材を用いたものであってもよい。
【0045】
蓄光部材としては、コンクリートに蓄光材料を練り込んで固めたものを適用するのが好ましく、このように好ましい構造の蓄光部材を埋設部材の上面に積層した構造の発光部は、車両の走行や歩行者の歩行等によって表層が経年的に摩耗しても、発光を長期間に亘って確保することができ、埋設部材の上面に蓄光材料を単に塗布したものに比べて、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0046】
しかも、蓄光部材自体の摩耗が進んで、十分な発光を得られなくなった場合は、この蓄光部材を含む埋設部材を脱着交換することで、発光部の発光を容易に回復することができる。
【0047】
なお、発光部として電力の供給により発光する照明部材を用いたものを適用したものでは、発光部を連続的に点灯させ、間欠的に点滅させ、あるいは消灯させる、等の点灯パターンの差異によって、領域の区別を行わせることもできる。
【0048】
また、本発明の敷設ブロックを敷設する領域としては、上述した駐車場に限らず、広場等に敷設することもできるため、そのような場所に敷設された敷設ブロックによれば、発光部の発光パターンや発光色の差異によって、イルミネーションとして演出する効果を得ることもできる。
【0049】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材は、前記中空空間の深さよりも低い高さに形成された埋設部材本体部分と、前記中空空間の深さから前記埋設部材本体部分の高さを差し引いた高さで形成され、かつ、前記中空空間のうち前記埋設部材本体部分よりも下方の空間に埋められる埋設部材補助部分とからなり、前記埋設部材本体部分と前記埋設部材補助部分とは別体の部材であることが好ましい。
【0050】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、埋設部材は、埋設部材本体部分と埋設部材補助部分との2部品で構成され、単一のものとして形成される必要がないため、例えば、埋設部材本体部分と略同一の輪郭形状を有する既存のブロック等が存在する場合に、中空空間の高さとその既存ブロック等の高さとの間で差が生じることが十分に考えられるが、その場合は、中空空間の高さとその既存ブロック等の高さとの間の差に相当する高さの埋設部材補助部分を用意することで、既存のブロック等を埋設部材本体部分とし、この埋設部材本体部分を埋設部材補助部分に重ねて、中空空間を塞ぐことで、既存のブロック等を有効に利用することができ、埋設部材の製造コストを低減することができる。
【0051】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に所定の幅の目地が形成され、前記埋設部材の外周面のうち前記上面の近傍部分には、前記目地に挿入される脱着工具の先端が引っ掛けられる係合部が形成されていることが好ましい。
【0052】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に形成されている所定の幅の目地に、脱着工具を挿し入れると、埋設部材の外周面のうち上面の近傍部分に形成されている係合部に、脱着工具の先端を引っ掛けることができ、これにより、脱着工具を目地から引き出す操作に伴って、埋設部材を中空空間から引き出し、敷設ブロック本体部(コンクリート形成部分)から、容易に分離することができる。
【0053】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に形成される目地の幅を、目地の全周に亘って略均等に保持する目地幅調整部材を備えたことが好ましい。
【0054】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に備えられた目地幅調整部材が、これら中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に形成される目地幅を、目地の全周(埋設部材の上面における外周の全周)に亘って略均等に保持することができる。
【0055】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記目地幅調整部材は、前記目地内において、上下方向に延びて前記中空空間を画成する面に接する第一直線部と、上下方向に延びて前記埋設部材の外周面に接する第二直線部と、前記第一直線部と前記第二直線部とをこれらの下部において接続した湾曲部とからなる断面が略U字状の弾性部材であることが好ましい。
【0056】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、断面が略U字状の弾性部材で形成された目地幅調整部材は、そのU字のうち第一直線部(U字の縦に延びた2つの部分のうちの一方)が中空空間を画成する面に接し、一方、第二直線部分(U字の縦に延びた2つ部分のうちの他方)が埋設部材の外周面に接するため、目地幅が狭くなるにしたがって、U字の湾曲部(第一直線部分と第二直線部分とがそれぞれの下部で接続される部分)で発生する弾性力は強くなる。
【0057】
そして、目地の全周のうち複数箇所に上述した断面略U字状の弾性部材の目地幅調整部材が設置されていることにより、全ての目地幅調整部材における湾曲部で発生する弾性力が略均等となるように、目地幅が自動的に調整される。
【0058】
しかも、上述した断面略U字状の弾性部材は、比較的安価、かつ容易に形成することができるため、実用上の有用性が高い。
【0059】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記閉塞部材は、前記中空空間を覆う蓋部材であることが好ましい。
【0060】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、植生用の中空空間に芝生等の植生がなされている状態のときは、植生の上方から中空空間に蓋部材を被せることで、中空空間を塞ぐことができる。一方、蓋部材を中空空間から取り外すことで、植生に戻すことができる。
【0061】
しかも、この敷設ブロックは、中空空間に埋設される閉塞部材(埋設部材)とは異なり、中空空間に植生されている芝生等を掘り出して除去することなく、その植生を残したままで中空空間を蓋部材で覆うことができるため、埋設部材を閉塞部材としたものよりも、一層容易に、植生を優先する状態(蓋部材を被せない状態)か、歩行性・走行性を優先する状態(蓋部材を被せた状態)か、の切替えを行うことができる。
【0062】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記中空空間の、前記表面における開口の外縁部に傾斜面または段差部が形成され、前記蓋部材は、その外周縁部が前記傾斜面または前記段差部に載置されるように形成されたものであることが好ましい。
【0063】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、蓋部材は、その外周縁部が、敷設ブロック本体部の開口の外縁に形成された傾斜面または段差部に載置されるため、蓋部材が中空空間に脱落するのを防止することができる。
【0064】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記表面に、前記中空空間から周縁まで延びる溝部が形成され、前記蓋部材は、前記溝部の少なくとも一部に挿入されて前記溝部の底部に載置される突起部を備えるものであることが好ましい。
【0065】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、蓋部材に形成された突起部が、敷設ブロック本体部の表面に形成された、中空空間から外周縁まで延びる溝部の少なくとも一部に挿入されて、この溝部の底部に載置されることにより、蓋部材が中空空間に脱落するのを防止することができる。
【0066】
また、敷設ブロック本体部の表面における中空空間の開口が略円形の場合であっても、蓋部材の突起部が敷設ブロック本体部の溝部に挿入された状態となるため、蓋部材の自由な回転(表面の面内における回転)を規制することができる。
【0067】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記閉塞部材は、前記中空空間に充填される玉砂利であることが好ましい。
【0068】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、植生用の中空空間に芝生等の植生がなされている状態のときは、この中空空間から芝生等を除去して、空いた中空空間に玉砂利を充填することで、中空空間を塞ぐことができる。
【0069】
このとき、玉砂利は、中空空間の、芝生等の植生が施されていた深さ位置(底の位置)から充填されるため、この中空空間に充填された後の玉砂利の上面を足で踏んだときも、玉砂利は中空空間の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0070】
なお、中空空間が敷設ブロックの下面まで貫通しているものであっても、中空空間以外のコンクリート成形部分の下面が載っている基礎(敷砂層および路盤)と同じ層上に玉砂利が載ることになるため、上述した硬さ感を確保することができる。
【0071】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記敷設ブロックは、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであり、かつ、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列された状態で個々の敷設ブロックの外周面の一部分同士により囲まれて前記中空空間と同一の大きさの中空空間を形成する輪郭形状を有するものであり、前記閉塞部材は、前記2以上の敷設ブロックの隣接した配列によって新たに形成される中空空間をも塞ぐものとして共用されることが好ましい。
【0072】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、敷設ブロックが、2以上の敷設ブロックが互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであり、かつ、これら2以上の敷設ブロックが互いに隣接して配列された状態で個々の敷設ブロックの外周面の一部分同士により囲まれて形成される新たな中空空間が、個々の敷設ブロック本体部に形成されている中空空間と同一の輪郭形状(同一の大きさ)を有するものであるため、閉塞部材を、個々の敷設ブロック本体部に形成されている中空空間を塞ぐのに用いる他、上記2以上の敷設ブロックの配列によって新たに形成される中空空間を塞ぐのにも用いることができ、個々の敷設ブロック本体部に形成されている中空空間を塞ぐための閉塞部材と、2以上の敷設ブロックの配列によって新たに形成される中空空間を塞ぐための閉塞部材とを別個に製作するよりも、コストを低減することができる。
【0073】
本発明に係る敷設ブロックにおいては、前記表面および前記上面には、2〜6[mm]の幅の溝が、6〜15[mm]の等間隔で形成されていることが好ましい。
【0074】
このように好ましい構成の本発明に係る敷設ブロックによれば、敷設ブロック本体部の表面および閉塞部材の上面には、幅が2〜6[mm]の溝が、6〜15[mm]の等間隔で形成されているため、この敷設ブロックが敷設された部分を歩行する場合にも、この溝が滑り止めとなるため、足の滑りを防止することができ、歩行性を向上させることができる。
【0075】
なお、敷設ブロック本体部の表面に形成された溝と、閉塞部材の上面に形成された溝とは、敷設ブロック本体部の中空空間に閉塞部材を設置した状態において、その向きが揃っていればよく、両溝が一直線上に繋がる必要はない。ただし、そのように一直線上に繋がるように溝を形成したものでは、見栄えを向上させることができる。
【0076】
また、溝の間隔が6〜15[mm]の等間隔であることにより、この敷設ブロック本体部の表面および閉塞部材の上面を定速走行するベビーカーの車輪や車椅子の車輪は、この溝から、一定周波数の振動に受け、これにより、上述した車輪が、隣接する敷設ブロック間の目地や敷設ブロック本体部と閉塞部材との間の目地を通過するときに受ける衝撃を、緩和させることができる。
【0077】
溝の断面輪郭形状としては、V字状であってもよいし、U字状であってもよいし、底部の角が尖ったU字状であってもよいし、逆M字状であってもよいし、どのような形状であってもよい。
【0078】
なお、滑り止めの効果だけを発揮させるにとどまるのであれば、溝は等間隔ではなく、不等間隔であってもよい。
【0079】
本発明に係る脱着工具は、請求項7に記載の敷設ブロックのうち中空空間を画成する面と埋設部材の外周面との間に形成された所定の幅の目地に挿入され、その先端が、前記埋設部材の外周面に形成された前記係合部を引っ掛けて、前記埋設部材を上方に吊り上げることにより、前記埋設部材を前記中空空間から離脱させることを特徴とする。
【0080】
このように構成された本発明に係る脱着工具によれば、その先端が、敷設ブロック本体部の中空空間を画成する面と閉塞部材としての埋設部材の外周面との間に形成された所定の幅の目地に挿入され、そして、この先端が、埋設部材の外周面に形成された係合部を引っ掛けて、埋設部材を上方に吊り上げることにより、埋設部材を中空空間から容易に離脱させることができる。
【0081】
本発明に係る敷設ブロック用埋設部材は、請求項2から9のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記埋設部材として用いられることを特徴とする。
【0082】
このように構成された本発明に係る敷設ブロック用埋設部材によれば、請求項2から9のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける埋設部材として用いることができる。
【0083】
本発明に係る敷設ブロック用蓋部材は、請求項10から12のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記蓋部材として用いられることを特徴とする。
【0084】
このように構成された本発明に係る敷設ブロック用蓋部材によれば、請求項10から12のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける蓋部材として用いることができる。
【0085】
本発明に係る敷設ブロック用目地幅調整部材は、請求項8または9に記載の敷設ブロックにおける前記目地幅調整部材として用いられることを特徴とする。
【0086】
このように構成された本発明に係る敷設ブロック用目地幅調整部材によれば、請求項8または9に記載の敷設ブロックにおける目地幅調整部材として用いることができる。
【発明の効果】
【0087】
本発明に係る敷設ブロックによれば、その表面の一部に植生用の中空空間を有するものであっても、歩行性や走行性を容易に向上させることができる。
【0088】
また、本発明に係る脱着工具によれば、その表面の一部に植生用の中空空間を有するものであっても、歩行性や走行性を容易に向上させるために設けられる閉塞部材を、容易に脱着することができる。
【0089】
本発明に係る敷設ブロック用埋設部材によれば、本発明に係る敷設ブロックにおける埋設部材として用いることができ、閉塞部材として埋設部材を適用した本発明に係る敷設ブロックによって奏される効果を得ることができる。
【0090】
本発明に係る敷設ブロック用蓋部材によれば、本発明に係る敷設ブロックにおける蓋部材として用いることができ、閉塞部材として蓋部材を適用した本発明に係る敷設ブロックによって奏される効果を得ることができる。
【0091】
本発明に係る敷設ブロック用目地幅調整部材によれば、本発明に係る敷設ブロックにおける目地幅調整部材として用いることができ、この目地幅調整部材を用いた本発明に係る敷設ブロックによって奏される効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、本発明に係る敷設ブロックを実施するための具体的な形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態1;埋設部材を用いた敷設ブロック)
図1は、本発明の一実施形態に係る敷設ブロック10を示し、(a)は全体を示す斜視図である。図示の敷設ブロック10は、同図(b)に示すように、コンクリートで形成され、その表面の一部に、上面21から下面22まで貫通した植生用の中空空間26を有するブロック本体部20(従来の敷設ブロックの全体に相当)と、同図(c)に示すように、その上面31がブロック本体部20の上面21と略同一の高さ位置で中空空間26を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する、ブロック本体部20に対して着脱可能の閉塞部材30とを備えた構成である。
【0093】
ここで、本実施形態の敷設ブロック10は、2個以上が互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであるが、本発明の敷設ブロックは、インターロッキングブロックに限定されるものではない。
【0094】
ブロック本体部20に形成された中空空間26には、芝生等の植生がなされることで、この敷設ブロック10が敷設された領域の緑化率を高める効用がある。
【0095】
また、ブロック本体部20は、比較的安価な基層20bと、この基層20bの上に形成された化粧層20aとからなり、化粧層20aの上面21には、2〜6[mm]の幅Wの溝24が複数、6〜15[mm]の等間隔Pで平行に形成されている。
【0096】
この溝24の断面輪郭形状は、略V字状であってもよいし、U字状であってもよいし、底部の角が尖ったU字状であってもよいし、逆M字状であってもよいし、どのような形状であってもよい。
【0097】
なお、ブロック本体部20が化粧層20aを有しない基層20bのみからなるものであっても、その上面に上記溝24を形成することが好ましい。
【0098】
この溝24は、後述するように、滑り止めとしての効用の他、隣接する他の敷設ブロック10との間に形成される目地を通過する際に振動を緩和する効果もある。滑り止めとしての効用のみを求めるときは、溝24の間隔Pは等間隔である必要はない。
【0099】
また、ブロック本体部20の上面21には、中空空間26を画成する内周面26aからブロック本体部20の外周面23まで延びる直線状の溝部25,25が形成されており、この溝部25,25は、ブロック本体部20の中空空間26を形成するための中子を吊り下げる支持棒の痕跡である。
【0100】
図1(c)に示した閉塞部材30は、中空空間26に埋設されるブロック状の埋設部材であり、中空空間26に埋設された状態で、同図(a)に示すように、中空空間26を塞いだ状態となり、中空空間26から脱着させることが可能となっている。
【0101】
この閉塞部材30としての埋設部材30も、ブロック本体部20と同様にコンクリート製であり、またその上面31には、ブロック本体部20の溝24と同様、2〜6[mm]の幅Wの溝34が複数、6〜15[mm]の等間隔Pで平行に形成されている。
【0102】
ここで、ブロック本体部20の上面21に形成された溝24と埋設部材30の上面31に形成された溝34とは、その方向が揃ったものであればよく、埋設部材30がブロック本体部20の中空空間26に埋設された状態で、ブロック本体20の溝24と埋設部材30の溝34とが一直線上に繋がる配置となっている必要はない。
【0103】
なお、ブロック本体20の溝24と埋設部材30の溝34とが一直線上に繋がる配置となる構成を採用した敷設ブロックでは、見栄えを向上させることができるという効果を得ることができる。
【0104】
また、この埋設部材30は透水性を有するものとなっており、中空空間26に埋設された状態で敷設ブロック10に雨水等は降りかかっても、雨水等は埋設部材30に直ぐに浸透して、その上面31に雨水等が溜まることがなく、大量の降雨の場合も、雨水等は埋設部材30を透過して、図2(a)(図1のA−A線に沿った断面を表す図)に示すように、敷設ブロック10が敷設されている基礎100(敷砂層100aおよび路盤100b)に排水され、水捌けを良好なものとすることができ、埋設部材30の上面31での水跳ねも低減させることができる。
【0105】
なお、ブロック本体部10の中空空間26に埋設部材30が埋設されていない状態の敷設ブロック10(ブロック本体部20のみの状態)においては、雨水等は中空空間26を通って基礎100に排水される。
【0106】
図2(a)において、符号110は基礎100の上面、すなわち敷砂層100aの上面であり、符号200は、敷設ブロック200の上面(ブロック本体20の上面21および埋設部材30の上面31)によって形成される路面である。
【0107】
ここで、埋設部材30は、その高さが、ブロック本体部20の中空空間26の高さh0(本実施形態の中空空間26は、ブロック本体部20の上面21から下面22まで貫通して形成されたものであるため、実質的にこの高さh0はブロック本体部20の高さに等しい。)と同一のh0に形成されているが、高さh0で単一のもので形成されたものでなくてもよい。
【0108】
例えば、図4に示すように、埋設部材30が、中空空間(26)の高さh0よりも低い高さh2(<h0)に形成された埋設部材本体部分38と、中空空間(26)の高さh0から埋設部材本体部分38の高さh2を差し引いた高さh1(=h0−h2<h0)で形成され、かつ、中空空間(26)のうち埋設部材本体部分38よりも下方の空間に埋められる埋設部材補助部分37とからなり、埋設部材本体部分38と埋設部材補助部分37とが別体の部材で形成されたものであってもよい。
【0109】
このように、埋設部材30を、高さh2の埋設部材本体部分38と、高さh1の埋設部材補助部分37との2部品で構成し、高さh0の単一のものとして構成しないことにより、例えば、埋設部材本体部分38と略同一の輪郭形状を有する既存のブロック等(高さh2)を、この埋設部材30としても活用することができる。
【0110】
この場合、中空空間26の高さh0とその既存ブロック等の高さh2との間で高さの差Δh(=h0−h2)が生じるが、その場合は、中空空間の高さh0とその既存ブロック等の高さh2との間の差Δhに相当する高さの埋設部材補助部分37を用意することで、既存のブロック等を埋設部材本体部分38とし、この埋設部材本体部分38を埋設部材補助部分37に重ねて、中空空間26を塞ぐことで、既存のブロック等を有効に利用することができ、埋設部材30の製造コストを低減することができる。
【0111】
つまり、敷設ブロック10として、その中空空間26の高さh0がそれぞれ異なるような複数種類のものが存在する場合に、その高さh0の異なる敷設ブロック10ごとに、それぞれ対応する高さh0の埋設部材30を準備するのは、製造用の型のコストなどに鑑みて、高コストとなる虞がある。
【0112】
しかし、埋設部材30を、一定高さh2の既存ブロック等である埋設部材本体部分38と、高さh1の異なる複数種類の埋設部材補助部分37とからなる構成とすることで、既存ブロック等を、種々の高さの敷設ブロック10に活用することができる一方、高さ違いの埋設部材補助部分37を多種類用意することは、高さ違いの単一の埋設部材30を多種類用意するよりも低コストで実現することができるため、埋設部材30の全体で製造コストを低減することができる。
【0113】
また、この敷設ブロック10は、埋設部材30がブロック本体部20の中空空間26に埋設された状態で、中空空間26を画成する内周面26aと埋設部材30の外周面35との間に所定の幅の目地60(図1(a)参照)が形成され、この埋設部材30の外周面35のうち上面31の近傍部分には、目地60に挿入される脱着工具500(後述する図11)の先端511,511が引っ掛けられる係合溝33(係合部)が外周面35の全周に亘って形成されており、この脱着工具500を用いて、埋設部材30を、ブロック本体部20の中空空間26から容易に引き出してブロック本体部20から分離することができる。
【0114】
さらに、この敷設ブロック10は、埋設部材30が中空空間26に埋設された状態で、図2(b)に示すように、中空空間26を画成する内周面26aと埋設部材30の外周面35との間に形成される目地60の幅を、目地60の全周に亘って略均等に保持する目地幅調整部材50を備えており、これによって、目地幅調整部材50が、これら中空空間26を画成する内周面26aと埋設部材30の外周面35との間に形成される目地60の幅を均等に保つことができる。
【0115】
本実施形態における目地幅調整部材50は、具体的には、断面が略U字状の弾性部材であって、目地60内において、上下方向に延びて中空空間26を画成する内周面26aに接する第一直線部51と、上下方向に延びて埋設部材30の外周面35に接する第二直線部52と、第一直線部51と第二直線部52とをこれらの下部において接続した湾曲部53とからなる。
【0116】
この目地幅調整部材50は、目地60の幅が相対的に狭いときは、湾曲部53で生じる弾性力が相対的に強くなるため、目地60の幅が相対的に広くなるように、第一直線部51と第二直線部52との間隔が拡げられ、これによって目地の幅を調整することができる。
【0117】
なお、この目地幅調整部材50は、目地60の全周のうち、埋設部材30を間に挟んだひと組の対辺にそれぞれ配置されることによって、一方の辺側の目地60の幅が相対的に広いときは、対辺側の目地60の幅が相対的に狭くなっているため、上述した作用により、この対辺側の目地60の幅が相対的に広くなるように、第一直線部51と第二直線部52との間隔が拡げられるため、ひと組の対辺の目地60,60の幅は均等に調整される。
【0118】
本実施形態の敷設ブロック10においては、4辺の目地60のうち、互いに対辺となるひと組の辺にはそれぞれ同数の目地幅調整部材50を配置するのが好ましい。
【0119】
すなわち、例えば図3(a)に示すように、互いに対辺となるひと組の2辺のうち一方の辺の位置P1,P2にそれぞれ目地幅調整部材50を設けた場合(1辺に2個の目地幅調整部材50を設けた構成)は、他方の辺にも、位置P1,P2にそれぞれ対向する位置P3,P4に目地幅調整部材50をそれぞれ設け、また、他のひと組の2辺のうち一方の辺の位置P5,P6にそれぞれ目地幅調整部材50を設けた場合(1辺に2個の目地幅調整部材50を設けた構成)は、他方の辺にも、位置P5,P6にそれぞれ対向する位置P7,P8に目地幅調整部材50をそれぞれ設けるのが好ましい。
【0120】
このように、互いに対辺となるひと組の辺にはそれぞれ同数の目地幅調整部材50を配置することで、目地幅調整部材50によって埋設部材30に作用する、互いに反対向きの荷重(弾性力)が均等になり、目地60の幅を均等に揃えやすくなる。
【0121】
また、各辺に2個ずつ目地幅調整部材50を配設することで、1辺内での目地60の幅も均等にすることができる。つまり、埋設部材30の外周面35がブロック本体部20の内周面26aに対して傾くのが抑制されるため、ブロック本体部20の内周面26aに対して埋設部材30の外周面35を平行に保持することができる。
【0122】
なお、図3(b)に示すように、互いに対辺となるひと組の2辺のうち一方の辺の位置P9(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設けた場合は、他方の辺にも、位置P9に対向する位置P10(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設け、また、他のひと組の2辺のうち一方の辺の位置P5,P6にそれぞれ目地幅調整部材50を設けた場合(1辺に2個の目地幅調整部材50を設けた構成)は、他方の辺にも、位置P5,P6にそれぞれ対向する位置P7,P8に目地幅調整部材50をそれぞれ設ければよい。
【0123】
このように、互いに対辺となるふた組の辺(全部で4辺)のうち、ひと組の2辺についてだけ、2個ずつ目地幅調整部材50を配設し、他のひと組の2辺については、1個ずつ目地幅調整部材50を配設した構成によっても、埋設部材30の外周面35がブロック本体部20の内周面26aに対して傾くのを抑制することができる。
【0124】
なお、1つの辺に2個の目地幅調整部材50を配設する場合の配設位置は、図3(a),(b)に示すように、辺の両端部に近い位置とするのが、上記傾きの抑制効果の観点から好ましい。
【0125】
図3(c)に示すように、互いに対辺となるひと組の2辺のうち一方の辺の位置P9(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設けた場合は、他方の辺にも、位置P9に対向する位置P10(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設け、また、他のひと組の2辺のうち一方の辺の位置P11(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設けた場合は、他方の辺にも、位置P11に対向する位置P12(辺の略中央)に1つの目地幅調整部材50を設ければよい。
【0126】
なお、本実施形態の敷設ブロックは、中空空間26およびこの中空空間26を塞ぐ埋設部材30がいずれも、平面視において略矩形であるため、互いに対向する2辺の特定が明確であるが、例えば中空空間26および埋設部材30が、平面視で円形である場合は、この円形の周上の3つ以上の位置に目地幅調整部材50を配置すればよく、この場合、目地幅調整部材50を、円形の中心回りの角度が等間隔(3個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔120°、4個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔90°、5個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔72°、6個の目地幅調整部材50の場合は角度間隔60°など。)となる円周上の位置(等角度間隔位置)に配置するのが、目地60の幅を均等にする上で好ましい。
【0127】
また、中空空間26および埋設部材30が、平面視で五角形である場合は、この五角形の各辺に対応する目地60にそれぞれ目地幅調整部材50を配置すればよく、平面視で六角形である場合は、この六角形の各辺に対応する目地60にそれぞれ目地幅調整部材50を配置してもよいし、隣接する辺に隣接する3辺に対応する目地60にのみそれぞれ目地幅調整部材50を配置してもよい。
【0128】
本実施形態における目地幅調整部材50は、上述したように断面略U字状の弾性部材であるため、比較的安価、かつ容易に形成することができ、実用上の有用性が高い。
【0129】
さらに、この目地幅調整部材50は、埋設部材30の外周面35に接する第二直線部52に、埋設部材30の外周面35に形成された係合溝33に係合する凸部52aが形成されており、目地幅調整部材50が目地60に配設された状態において、この凸部52aが埋設部材3の係合溝33に突入した状態で係合溝33に係合するため、目地60から容易に脱落するのを防止することができる。
【0130】
次に、本実施形態の敷設ブロック10の作用について説明する。
【0131】
まず、図5(a)およびそのA′−A′線に沿った断面を表す同図(b)に示すように、敷設ブロック10は、その埋設部材30が取り除かれた状態(ブロック本体部20)で、その中空空間26に、土29bおよびこの土29bに根を張った芝生29aからなる植生29が充填され、基礎100の上面110に敷設される。
【0132】
ここで、この敷設ブロック10は、図6の平面図に示すように、インターロッキングブロックとして、他の複数の敷設ブロック10,10,…との間で、その外周面23を接した状態で規則的に配列され、これら敷設ブロック10(ブロック本体部20)の上面21が、例えば図7に示すような、車両400の駐車される駐車場などの領域300の路面200(図5(b))となる。
【0133】
このとき、本実施形態の敷設ブロック10は、上述したように、2以上の敷設ブロック10,10,…同士が互いに隣接して配列された状態において個々の敷設ブロック10の外周面23の一部分同士により囲まれた略矩形の輪郭を有する空間領域40(図6参照)は、各敷設ブロック10の中空空間26と略同一の輪郭形状を有する。
【0134】
そして、この4つの敷設ブロック10,10,10,10の各外周面23,23,23,23により囲まれて形成された空間領域40にも、土29bおよびこの土29bに根を張った芝生29aからなる植生29が充填され、基礎100の敷砂層100aの上面110に敷設される。
【0135】
このように構成された敷設ブロック10によれば、車両400の輪荷重をブロック本体部20の上面21である路面200によって支持しつつ、各敷設ブロック10が有する中空空間26および4つの敷設ブロック10で囲んで新たに形成された空間領域(新たな中空空間)40がそれぞれ植生29に供されたことにより、緑化の面積比を大きいものとすることができる。
【0136】
なお、図6,7において記載を省略しているが、路面200となるブロック本体部20の上面21には、図5に示したように溝24が形成されているため、車両400がスリップするのを防止することができる。
【0137】
この場合、溝24の延在方向が、車両の進行方向となるY方向に直交する方向、すなわちX方向に平行となるように、敷設ブロック10を配置するのが、スリップ防止効果を高める上で効果的である。
【0138】
次に、図7に示した領域300に対して、例えば車両1台ごとの駐車区画を表す区画線(境界線)を、この敷設ブロック10で表示する場合について説明する。
【0139】
まず、区画線として利用しようとする敷設ブロック10に対して、その中空空間26に植生した芝生29aおよび土29bを掘り出す。
【0140】
さらに、本実施形態の敷設ブロック10は、個々の敷設ブロック10の外周面23の一部分同士により囲まれた略矩形の輪郭を有する空間領域40が、各敷設ブロック10の中空空間26と略同一の輪郭形状を有しているため、区画線として利用しようとする敷設ブロック10,10の間に存在するこの空間領域40(図8参照)に充填されている植生29も掘り出して、この空間領域40(新たな中空空間40)も中空空間とする。
【0141】
次いで、これらの中空空間26,40に、上述した埋設部材30をそれぞれ埋設させる(図8)。この操作を、図9に示すように、区画線として利用しようとする全ての敷設ブロック10および敷設ブロック10間に対して行うことで、領域300の緑化領域320(植生が行われている領域)を、植生29の行われていない区画線の領域310に切り替えることができる。
【0142】
なお、ブロック本体部20の中空空間26に埋設された埋設部材30は、所定の脱着工具を用いる等して、中空空間26から容易に離脱させることができる着脱自在の部材であるため、この埋設部材30の脱着に応じて、植生29の有無を容易に切り替えることができる。
【0143】
また、駐車区画を示す区画線の領域310は、中空空間26に軟らかい植生29が充填されていないため、すなわち、中空空間26に埋設された埋設部材30は上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有するため、歩行している歩行者が、この埋設部材30の上面31を踏んだり、ベビーカー等の車輪や車椅子の前輪が、この埋設部材30の上面31を通過する場合であっても、これら歩行者の足やベビーカー等の車輪等は、埋設部材30によって支えられ、ブロック本体部20(コンクリート成形部分)の上面21を踏んだときと同様に、下方に沈み込むことがない。
【0144】
したがって、歩行者の歩行性や、ベビーカー、車椅子等の走行性を向上させることができる。
【0145】
さらに、埋設部材30は、敷設ブロック10の中空空間26にセットされた状態においては、その上面31が中空空間26以外のコンクリート成形部分であるブロック本体部20の上面21と同じ高さ位置となるため、この埋設部材30の上面31の外縁部やブロック本体部20における中空空間26の開口縁部等に、歩行者の足やベビーカーの車輪等が引っかかりにくくなり、つまづき等を防止することもできる。
【0146】
そして、この埋設部材30は、中空空間26から着脱自在(着脱可能)であるため、駐車区画を示す区画線となる領域310では、この埋設部材30で中空空間26を塞いだ状態として歩行性および走行性を向上させ、それ以外の領域320では、この埋設部材30を中空空間26から取り外した状態で植生29により緑化率の向上を図ることができ、しかも、これら区画線等のレイアウトを変更する場合は、埋設部材30の着脱を行うだけでよいため、従来のように、敷設ブロック10の全体を掘り起こして、中空空間26の形成されていない他の種類の敷設ブロックに交換する必要がなく、施工の手間を大幅に低減することができるとともに、施工期間の短縮および施工費用の低減を図ることができる。
【0147】
なお、歩行者の通行に供する場合は、区画線の領域310の幅は、上述した敷設ブロック10の1列分(図9参照)でも十分であるが、ベビーカーや車椅子等で通行する場合の便宜のために、区画線の領域310の幅は、図10に示すように、敷設ブロック10の3列分程度まで広く設定するのが好ましい。
【0148】
本実施形態の敷設ブロック10は、歩行性や通行性を向上させる目的だけでなく、植生29の有無の分布を変化させることで、領域300全体の見た目の変化を与えることもでき、このような効果を得ることのみを目的とするときは、配列されている敷設ブロック10のうち、空間的に連続して位置している敷設ブロック10について埋設部材30が備えられている状態とする必要はなく、領域300のうち、埋設部材30が備えられている敷設ブロック10が点在(空間的に離散して配置されている状態)していてもよい。
【0149】
なお、図8,9,10において記載を省略しているが、路面200となるブロック本体部20の上面21だけでなく、埋設部材30の上面31にも、図1に示したように溝34が形成されているため、歩行者等が歩行する際にスリップするのを防止することができる。この場合、溝34の延在方向は、溝24と同一方向、すなわちX方向に平行となるように、埋設部材30を埋設させるのが、スリップ防止効果を高める上で効果的である。
【0150】
また、この敷設ブロック10に形成されている溝24,34は、間隔が6〜15[mm]の等間隔であることにより、ブロック本体部20の上面21(表面)および埋設部材30の上面31を定速走行するベビーカーの車輪や車椅子の車輪は、この溝24,34から、一定周波数の振動に受け、これにより、ベビーカー等の車輪が、隣接する敷設ブロック10間の目地やブロック本体部20と埋設部材30との間の目地60を通過するときに受ける衝撃(振動や音)を、緩和させることができる。
【0151】
以上のように、本実施形態の敷設ブロック10によれば、埋設部材30を着脱することにより、歩行性および走行性を向上させるか、または植生29を増やすかを、容易に切り替えることができる。
【0152】
また、本実施形態の敷設ブロック10は、埋設部材30が、中空空間26の、芝生等の植生26が施されていた深さ位置(底の位置。本実施形態においては基礎100の上面110の位置。)まで埋められることになるため、この中空空間26に埋設された後の埋設部材30の上面31を足で踏んだときも、埋設部材30は中空空間26の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0153】
なお、中空空間26が敷設ブロック10の下面22まで貫通していない敷設ブロックであっても、上述した実施形態の敷設ブロック10と同様の作用、効果を得ることができる。
【0154】
また、埋設部材30はコンクリート製のものに限定されるものではなく、煉瓦や石材によって形成されたものであってもよく、そのような煉瓦や石材によって形成された埋設部材30を有する敷設ブロックによっても、上述したコンクリート製の埋設部材30を有する敷設ブロック10と同様の作用・効果を得ることができる。
(実施形態2;脱着工具)
図11は、本実施形態の敷設ブロック10から、埋設部材30を脱着するために用いられる脱着工具500の一例を示すものであり、この脱着工具500は、本発明に係る脱着工具の一実施形態である。
【0155】
この脱着工具500は、円筒状乃至円柱状の手持ち部520の下方に、蝶番状に軸支された2つの把持腕510,510が設けられた構造であり、2つの把持腕510,510はそれぞれ軸C1を回転中心として独立して、図示矢印方向に回動する構成である。
【0156】
そして、各把持腕510,510の回動外側の端部は、周方向に折り曲げられて周壁511,511を形成し、さらにその先端部512,512は折り返されてフック状に形成されている。
【0157】
そして、図12に示すように、この脱着工具500を用いて、上記実施形態に係る敷設ブロック10の埋設部材30を、ブロック本体部20の中空空間26から、上方に引き出してブロック本体部20から離脱させることができる。
【0158】
すなわち、図12(a),(b)に示すように、埋設部材30がブロック本体部20の中空空間26に埋設された状態の敷設ブロック10の上方から、脱着工具500を、その把持腕510,510の先端部512,512および周壁511,511が目地60に挿入されるように下降させる。
【0159】
この下降の際、把持腕510,510は、それぞれ自重によって軸C1回りに回動して、鉛直方向に垂れ下がった状態になろうとするが、両把持腕510,510が垂れ下がらないように、脱着工具500の使用者等が、両把持腕510,510を水平に保って下降させる。
【0160】
そして、同図(c),(d)に示すように、脱着工具500の先端部512,512を目地60に挿入させると、両把持腕510,510は自重によって、軸C1回りに僅かに回動し、これにより、各把持腕510,510のフック状の先端部512,512が、埋設部材30の上面31の近傍に形成された係合溝33に突入した状態となる。
【0161】
この脱着工具500の先端部512,512がそれぞれ埋設部材300の係合溝33に突入した状態(図12(c),(d))で脱着工具500を上方に引き上げると(同図(e),(f))、両端腕510,510は、自重によって軸C1回りに下方に垂れ下がるように回転した状態のまま引き上げられ、この際に、埋設部材30の係合溝33に突入していた先端部512,512は係合溝33に引っ掛かった状態となる。
【0162】
この結果、両把持腕510,510の先端部512,512には、埋設部材30の重量(埋設部材30の質量が、重力によって下方に向いて作用する荷重)が作用し、この荷重は、両端腕510,510をさらに垂れ下がる向きに回動させるように作用し、結果的に、脱着工具500が埋設部材30を把持する荷重を増大させる。
【0163】
したがって、使用者が手持ち部520を手で持って、同図(e),(f)に示すように、脱着工具500を上方に引き上げると、脱着工具500の先端部512,512に引っ掛けられた埋設部材30が上方に吊り上げられ、ブロック本体部20の中空空間26から離脱され、最終的に、ブロック本体部20から分離される。
【0164】
これとは反対に、埋設部材30をブロック本体部20の中空空間26に取り付ける操作を行う場合は、上述した離脱操作と反対の手順を行えばよい。
【0165】
このように、本実施形態に係る脱着工具500によれば、埋設部材30を中空空間26から容易に離脱させることができる。
【0166】
また、本実施形態の脱着工具500は、軸C1回りに2つの把持腕510,510がそれぞれ回動することで、鉛直下方に垂れ下がり、2つの把持腕510,510が互いに重なり合った状態となるため、脱着工具500全体としての厚さが、この2つの把持腕510,510の重なり合った部分の厚さ程度まで薄くでき、したがって、この脱着工具500を保管等する場合の占有スペースを抑制することができる。
【0167】
なお、本実施形態の脱着工具500は、2つの把持腕510,510を有するものであるが、本発明に係る脱着工具はこの形態に限定されるものではなく、目地60に挿入され、その先端部512が、埋設部材30の外周面35に形成された係合溝33を引っ掛けて、埋設部材30を上方に吊り上げることにより、埋設部材30を中空空間26から離脱させるものであればどのような形態であってもよい。
【0168】
また、本発明に係る脱着工具は上記実施形態のものに限定されるものではなく、離脱させようとする埋設部材30の形状(平面視において、円形であるのか、三角形であるのか、四角形であるのか、五角形以上の多角形であるのか等)や、その埋設部材30に形成されている係合溝33の数や位置などに応じて、種々の形態を採用することができる。
(実施形態3;発光部材を有する埋設部材を備えた敷設ブロック)
図13は、上述した埋設部材30として、その上面71に発光部74または発光部75を備えた構成の埋設部材70を適用した実施形態を示す斜視図である。なお、図中の符号73は、図1等に示した埋設部材30における係合溝33に相当する係合溝である。
【0169】
ここで、図13(a)に示した発光部74は、昼間の太陽光等環境光を蓄光し、その蓄光によって発光を得る蓄光部材を用いたものであり、この蓄光部材は、コンクリートに蓄光材料を練り込んで固めたものである。
【0170】
また、図13(b)に示した発光部75は、電池等の電源77によって電力が供給されることで発光する電球やLED等のようないわゆる照明部材を用いたものであり、その上方は、無色透明または有色透明の樹脂等によるカバー76が設けられている。
【0171】
なお、このカバー76の一部やカバーで覆われた内部に、太陽電池パネルを設けて、電源77を二次電池として用いる構成としてもよい。
【0172】
また、これらの埋設部材70は、上述した発光部74,75を除いた他の構成・構造が図1または図4に示した埋設部材30と共通するため、これらの埋設部材70を有する敷設ブロックも、上述した実施形態の敷設ブロックと同様の作用、効果を得ることができる。
【0173】
さらに、この発光部74または発光部75を有する埋設部材70を備えた敷設ブロックによれば、埋設部材70の上面71に備えられた発光部74または発光部75が発光することにより、夜間等の暗い場所であっても、路面に埋め込まれた誘導灯としての機能を発揮させることができる。
【0174】
したがって、例えば、歩行者が歩行する領域には、このような発光部74,75付き埋設部材70を埋設した敷設ブロックを用いることで、夜間等の足元が見えにくい状況下においても、発光部74,75からの発光を、車両の運転者や歩行者に視認させることで、歩行者用領域やその幅員等を正確に認識させることができる。
【0175】
また、区別することを希望する領域ごとに、発光部74,75からの発光色に差異を持たせた敷設ブロックを用いることで領域の区別を、色分けで視認させることができる。しかもこの発光部74,75は、敷設ブロックのうち、脱着可能の埋設部材70に設けられているため、発光色で区分けしようとする領域のレイアウトの変更の度に、敷設ブロック全体を掘り起こして交換する必要はなく、埋設部材70を、他の発光色の発光部74,75を有する埋設部材70に脱着交換するだけでよいため、施工を容易にすることができる。
【0176】
また、車両の走行や歩行者の歩行等によって発光部74,75が経年的に劣化した場合における発光部74,75の交換も容易であるため、メンテナンス性も向上させることができる。
【0177】
なお、蓄光材料をコンクリートに練り込んだ蓄光部材で発光部74を形成したものでは、蓄光材料による発光を長期間に亘って確保することができ、埋設部材70の上面71にのみ蓄光材料を単に塗布したものに比べて、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0178】
しかも、蓄光部材自体の摩耗が進んで、十分な発光を得られなくなった場合は、この蓄光部材を含む埋設部材70を脱着交換することで、発光部74の発光を容易に回復することができる。
【0179】
一方、電力の供給により発光する照明部材を用いたものを適用した発光部75を有する敷設ブロックは、発光部75を連続的に点灯させ、間欠的に点滅させ、あるいは消灯させる、等の点灯パターンの差異によって、領域の区別を行わせることもできる。
【0180】
また、このような敷設ブロックを敷設する領域としては、上述した駐車場に限らず、広場等に敷設することもできるため、そのような場所に敷設された敷設ブロックによれば、発光部75の発光パターンや発光部74,75の発光色の差異によって、イルミネーションとして演出する効果を得ることもできる。
(実施形態4;蓋部材を有する敷設ブロック)
図14は、敷設ブロック10におけるブロック本体部20に形成された中空空間26を塞ぐ、図1等に示した埋設部材30,70に代えて、中空空間26を覆うようにした、閉塞部材としての蓋部材80を示す斜視図である。
【0181】
ここで、図14(a)に示した蓋部材80は、多数の水捌け孔84が形成された平板81の下面から、4つの脚部83が下方に延びて形成されおり、さらに、平板81からは、図1に示したブロック本体部20の上面21に形成された溝部25に挿入されて、この溝部25,25の底部に載置されて支持される2つの突起部84,84を備えている。
【0182】
なお、平板81は、その平面視における輪郭形状が、ブロック本体部20の中空空間26の平面視よりも僅かに小さく形成されている。
【0183】
そして、図15(a)に示すように、植生29が施されたままの中空空間26に対して、上方から降下されて、蓋部材80の脚部83,83,83,83は、この中空空間26に配設された植生29に突き刺さり、アンカーとして機能する。
【0184】
一方、突起部84,84は、同図15(b)に示すように、それぞれブロック本体部20の上面21に形成された溝部25に挿入されて、この溝部25,25の底部に載置されて支持される。
【0185】
このとき、平板81の上面は、ブロック本体部20の上面21に略一致する高さ位置となるように形成されている。
【0186】
そして、このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、蓋部材80に形成された突起部84,84が、ブロック本体部20の溝部25,25の少なくとも一部に挿入されて、この溝部25,25の底部に載置されることにより、蓋部材80が中空空間26の内部に脱落するのを防止することができる。
【0187】
そして、このように蓋部材80によって中空空間26を覆うことにより、この中空空間26の植生29を掘り出して除去することなく、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有するものとすることができ、歩行している歩行者が、この蓋部材80の平板部81を踏んだり、ベビーカー等の車輪や車椅子の前輪が、この蓋部材80の平板部81の上面を通過する場合であっても、これら歩行者の足やベビーカー等の車輪等は、蓋部材80によって支えられ、ブロック本体部20の上面21を踏んだときと同様に、下方に沈み込むことがない。
【0188】
したがって、歩行者の歩行性や、ベビーカー、車椅子等の走行性を向上させることができる。
【0189】
なお、この蓋部材80が中空空間26の上方を覆っている状態においても、平板81に形成された多数の水捌け孔82を通って、雨水等が植生29に供給されるため、植生29の生育を維持しつつ、歩行性・走行性の改善を図ることができる。
【0190】
また、この蓋部材80を取り除くことで、中空空間26の植生29が元通り現れるため、緑化を得ることができる。
【0191】
しかも、この蓋部材80は、その突起部84,84がブロック本体部80の溝部25,25に載置されているだけであるため、ブロック本体部20からの脱着が容易であり、歩行性・走行性を向上させる(蓋部材80を被せた状態)か、緑化を優先する(蓋部材を被せない状態)か、を容易に切り替えることができる。
【0192】
なお、蓋部材80で中空空間26を閉塞した状態のときは、蓋部材80の下面に形成された脚部83が、中空空間26の配設された植生29(特に土29b)に差し込まれた状態となるため、蓋部材80が簡単に浮き上がったり、中空空間26から容易に脱落するのを防止することができる。
【0193】
また、本実施形態の敷設ブロック10における蓋部材80は、平面視において略矩形のものであるが、蓋部材80の突起部84,84がブロック本体部20の溝部25,25に挿入された状態となるため、例えば、中空空間26の開口が略円形で、かつ蓋部材80の平板81も平面視で略円形であっても、蓋部材80が、その平板81の面内で自由に回転するのを規制することができる。
【0194】
一方、閉塞部材としての蓋部材80は、図14(a)に示したものの他、同図(b)に示したものも適用することができる。
【0195】
すなわち、同図(b)に示した蓋部材80は、同図(a)に示した蓋部材80から2つの突起部84,84を除去したものである。
【0196】
このように構成された蓋部材80は、脚部83が植生29(特に土29b)に刺さることによって、下方への沈み込みを防止することもできるが、蓋部材80に歩行者等の足やベビーカー等の車輪が載ると、下方に沈み込む虞がある。
【0197】
そこで、突起部84,84を有しない形態の蓋部材80(図14(b)参照)を、本発明に係る敷設ブロックの部品として用いる場合には、蓋部材80の沈み込みを防止するために、図16(b)に示すように、中空空間26の、上面21における開口の外縁部に傾斜面26b(図16(b))または段差部26c(図16(c))が形成され、蓋部材80は、その外周縁部がこの傾斜面26bまたは段差部26cに載置されるものとすればよい。
【0198】
このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、蓋部材80は、その外周縁部が、ブロック本体部20の中空空間26の開口の外縁に形成された傾斜面26bまたは段差部26cに載置されるため、蓋部材80が中空空間26に脱落するのを防止することができる。
(実施形態5;化粧玉砂利)
図17は、本発明に係る敷設ブロックの他の実施形態を示す斜視図であり、図1等に示した敷設ブロック10のうち埋設部材30に代えて、化粧玉砂利90をブロック本体部20の中空空間26に充填することで、この中空空間26を塞ぐ閉塞部材として適用した実施形態である。
【0199】
このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、上述した図1,13に示した埋設部材30,70を閉塞部材として適用した敷設ブロック10や、図14,15に示した蓋部材80を閉塞部材として適用した敷設ブロック10と同様に、ブロック本体部20の中空空間26に配設された植生29に代えて玉砂利90を充填することで、歩行者の歩行性およびベビーカー等の走行性を向上させることができ、また、玉砂利90を取り除いて、空になった中空空間26に再び植生29を配設することにより、植生29による緑化の増大を図ることができ、これら歩行性等の向上と緑化増大とを、容易に切り替えることができる。
【0200】
また、このように構成された実施形態の敷設ブロック10によれば、ブロック本体部20の植生用の中空空間26に芝生等の植生29がなされている状態のときは、この中空空間26から芝生等の植生29を除去して、空の中空空間26に玉砂利90を充填することで、中空空間26を塞ぐことができる。
【0201】
このとき、玉砂利90は、中空空間26の、植生29が施されていた深さ位置(底の位置)から順次積み上げられて充填されるため、この中空空間26に充填された後の玉砂利90の上面を足で踏んだときも、玉砂利90は中空空間26の底に突き当たっているため、踏んだ感触として安定した硬さ感(しっかり感)を与えることができる。
【0202】
また、中空空間26が敷設ブロック10の下面22まで貫通しているものであっても、中空空間26以外のブロック本体部20(コンクリート成形部分)の下面22が載っている基礎100(例えば、敷砂層100aおよび路盤100b(図5(b)参照))上に玉砂利90が載ることになるため、上述した硬さ感を確保することができる。
【0203】
なお、上述した各実施形態の敷設ブロック10における埋設部材30、蓋部材80、目地幅調整部材50は、それぞれ本発明に係る埋設部材の一実施形態、本発明に係る蓋部材の一実施形態、本発明に係る目地幅調整部材の一実施形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の一実施形態に係る敷設ブロックを示し、(a)は全体、(b)はブロック本体部、(c)は閉塞部材(埋設部材)、をそれぞれ示す斜視図である。図である。
【図2】(a)は図1のA−A線に沿った断面を表す図であり、(b)は(a)におけるB部の詳細を示す図である。
【図3】図2(b)に示した目地幅調整部材の配設位置を例示する模式図であり、(a)は8個、(b)は6個、(c)は4個、の場合をそれぞれ示す。
【図4】埋設部材を、一定高さの本体部分と、高さ違いで用意されている複数の補助部分との2部品からなるものとした例を示す斜視図である。
【図5】中空空間に植生を配設した状態の敷設ブロックを示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるA′−A′線に沿った断面を示す図である。
【図6】中空空間に植生を配設した敷設ブロックのみ配列を示す図である。
【図7】図6に示した敷設ブロックの組合せ集合体を駐車場に適用した状態の平面視を示す図である。
【図8】中空空間に埋設部材(閉塞部材)を備えた敷設ブロックも含む配列を示す図である。
【図9】図8に示した敷設ブロックの組合せ集合体を駐車場に適用した状態の平面視を示す図である。
【図10】駐車場の区画線幅を広くした状態を示す、図9相当の平面視を表す図である。
【図11】図1に示した敷設ブロックに対して、埋設部材を離脱させるために用いられる本発明の一実施形態に係る脱着工具を示す斜視図である。
【図12】図11に示した脱着工具を用いて埋設部材を離脱させる作用を説明する図であり、(a)は離脱前の斜視図、(b)は離脱前の断面図、(c)は敷設ブロックに脱着工具を装着した状態の斜視図、(d)は敷設ブロックに脱着工具を装着した状態の断面図、(e)は離脱中の斜視図、(f)は離脱中の断面図、をそれぞれ示す。
【図13】発光部を有する形態の埋設部材を示す斜視図であり、(a)は蓄光材料をコンクリートに練り込んで形成した発光部を有するもの、(b)は照明部材により形成した発光部を有するもの、をそれぞれ示す。
【図14】閉塞部材としての蓋部材を示す斜視図であり、(a)は突起部を有する構造の蓋部材、(b)は突起部を有しない構造の蓋部材、をそれぞれ示す。
【図15】脱着可能の蓋部材を備えた敷設ブロックに、蓋部材を脱着させた要図を示す図であり、(a)は蓋部材を取り外した状態、(b)は蓋部材を取り付けた状態、をそれぞれ示す。
【図16】突起部を有しない蓋部材をブロック本体部に支持するための構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は傾斜面による支持、(c)は段差部による支持、をそれぞれ示す。
【図17】閉塞部材として化粧玉砂利を適用した敷設ブロックの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0205】
10 敷設ブロック
20 ブロック本体部
21,31 上面
26 中空空間
30 閉塞部材、埋設部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートで形成され、その表面の一部に植生用の中空空間を有する敷設ブロックにおいて、
その上面が前記表面と略同一の高さ位置で前記中空空間を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する、着脱可能の閉塞部材を備えたことを特徴とする敷設ブロック。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記中空空間に埋設される埋設部材であることを特徴とする請求項1に記載の敷設ブロック。
【請求項3】
前記埋設部材はブロック体であることを特徴とする請求項2に記載の敷設ブロック。
【請求項4】
前記ブロック体は透水性または保水性を有するブロックであることを特徴とする請求項3に記載の敷設ブロック。
【請求項5】
前記埋設部材は、その上面部に、発光する発光部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載の敷設ブロック。
【請求項6】
前記埋設部材は、前記中空空間の深さよりも低い高さに形成された埋設部材本体部分と、前記中空空間の深さから前記埋設部材本体部分の高さを差し引いた高さで形成され、かつ、前記中空空間のうち前記埋設部材本体部分よりも下方の空間に埋められる埋設部材補助部分とからなり、前記埋設部材本体部分と前記埋設部材補助部分とは別体の部材であることを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項7】
前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に所定の幅の目地が形成され、
前記埋設部材の外周面のうち前記上面の近傍部分には、前記目地に挿入される脱着工具の先端が引っ掛けられる係合部が形成されていることを特徴とする請求項2から6のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項8】
前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に形成される目地の幅を、目地の全周に亘って略均等に保持する目地幅調整部材を備えたことを特徴とする請求項2から7のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項9】
前記目地幅調整部材は、前記目地内において、上下方向に延びて前記中空空間を画成する面に接する第一直線部と、上下方向に延びて前記埋設部材の外周面に接する第二直線部と、前記第一直線部と前記第二直線部とをこれらの下部において接続した湾曲部とからなる断面が略U字状の弾性部材であることを特徴とする請求項8に記載の敷設ブロック。
【請求項10】
前記閉塞部材は、前記中空空間を覆う蓋部材であることを特徴とする請求項1に記載の敷設用ブロック。
【請求項11】
前記中空空間の、前記表面における開口の外縁部に傾斜面または段差部が形成され、
前記蓋部材は、その外周縁部が前記傾斜面または前記段差部に載置されるように形成されたものであることを特徴とする請求項10に記載の敷設ブロック。
【請求項12】
前記表面に、前記中空空間から周縁まで延びる溝部が形成され、
前記蓋部材は、前記溝部の少なくとも一部に挿入されて前記溝部の底部に載置される突起部を備えるものであることを特徴とする請求項10または11に記載の敷設ブロック。
【請求項13】
前記閉塞部材は、前記中空空間に充填される玉砂利であることを特徴とする請求項1に記載の敷設ブロック。
【請求項14】
前記敷設ブロックは、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであり、かつ、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列された状態で個々の敷設ブロックの外周面の一部分同士により囲まれて前記中空空間と同一の大きさの中空空間を形成する輪郭形状を有するものであり、
前記閉塞部材は、前記2以上の敷設ブロックの隣接した配列によって新たに形成される中空空間をも塞ぐものとして共用されることを特徴とする請求項1から13のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項15】
前記表面および前記上面には、2〜6[mm]の幅の溝が、6〜15[mm]の等間隔で形成されていることを特徴とする請求項1から14のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項16】
請求項7に記載の敷設ブロックのうち前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に形成された所定の幅の目地に挿入され、その先端が、前記埋設部材の外周面に形成された前記係合部を引っ掛けて、前記埋設部材を上方に吊り上げることにより、前記埋設部材を前記中空空間から離脱させることを特徴とする脱着工具。
【請求項17】
請求項2から9のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記埋設部材として用いられることを特徴とする敷設ブロック用埋設部材。
【請求項18】
請求項10から12のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記蓋部材として用いられることを特徴とする敷設ブロック用埋設部材。
【請求項19】
請求項8または9に記載の敷設ブロックにおける前記目地幅調整部材として用いられることを特徴とする敷設ブロック用目地幅調整部材。
【請求項1】
コンクリートで形成され、その表面の一部に植生用の中空空間を有する敷設ブロックにおいて、
その上面が前記表面と略同一の高さ位置で前記中空空間を塞ぎ、上方から負荷する所定の荷重に対する強度を有する、着脱可能の閉塞部材を備えたことを特徴とする敷設ブロック。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記中空空間に埋設される埋設部材であることを特徴とする請求項1に記載の敷設ブロック。
【請求項3】
前記埋設部材はブロック体であることを特徴とする請求項2に記載の敷設ブロック。
【請求項4】
前記ブロック体は透水性または保水性を有するブロックであることを特徴とする請求項3に記載の敷設ブロック。
【請求項5】
前記埋設部材は、その上面部に、発光する発光部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載の敷設ブロック。
【請求項6】
前記埋設部材は、前記中空空間の深さよりも低い高さに形成された埋設部材本体部分と、前記中空空間の深さから前記埋設部材本体部分の高さを差し引いた高さで形成され、かつ、前記中空空間のうち前記埋設部材本体部分よりも下方の空間に埋められる埋設部材補助部分とからなり、前記埋設部材本体部分と前記埋設部材補助部分とは別体の部材であることを特徴とする請求項2から5のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項7】
前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に所定の幅の目地が形成され、
前記埋設部材の外周面のうち前記上面の近傍部分には、前記目地に挿入される脱着工具の先端が引っ掛けられる係合部が形成されていることを特徴とする請求項2から6のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項8】
前記埋設部材が前記中空空間に埋設された状態で、前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に形成される目地の幅を、目地の全周に亘って略均等に保持する目地幅調整部材を備えたことを特徴とする請求項2から7のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項9】
前記目地幅調整部材は、前記目地内において、上下方向に延びて前記中空空間を画成する面に接する第一直線部と、上下方向に延びて前記埋設部材の外周面に接する第二直線部と、前記第一直線部と前記第二直線部とをこれらの下部において接続した湾曲部とからなる断面が略U字状の弾性部材であることを特徴とする請求項8に記載の敷設ブロック。
【請求項10】
前記閉塞部材は、前記中空空間を覆う蓋部材であることを特徴とする請求項1に記載の敷設用ブロック。
【請求項11】
前記中空空間の、前記表面における開口の外縁部に傾斜面または段差部が形成され、
前記蓋部材は、その外周縁部が前記傾斜面または前記段差部に載置されるように形成されたものであることを特徴とする請求項10に記載の敷設ブロック。
【請求項12】
前記表面に、前記中空空間から周縁まで延びる溝部が形成され、
前記蓋部材は、前記溝部の少なくとも一部に挿入されて前記溝部の底部に載置される突起部を備えるものであることを特徴とする請求項10または11に記載の敷設ブロック。
【請求項13】
前記閉塞部材は、前記中空空間に充填される玉砂利であることを特徴とする請求項1に記載の敷設ブロック。
【請求項14】
前記敷設ブロックは、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列されるインターロッキングブロックであり、かつ、2以上の前記敷設ブロックが互いに隣接して配列された状態で個々の敷設ブロックの外周面の一部分同士により囲まれて前記中空空間と同一の大きさの中空空間を形成する輪郭形状を有するものであり、
前記閉塞部材は、前記2以上の敷設ブロックの隣接した配列によって新たに形成される中空空間をも塞ぐものとして共用されることを特徴とする請求項1から13のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項15】
前記表面および前記上面には、2〜6[mm]の幅の溝が、6〜15[mm]の等間隔で形成されていることを特徴とする請求項1から14のうちいずれか1項に記載の敷設ブロック。
【請求項16】
請求項7に記載の敷設ブロックのうち前記中空空間を画成する面と前記埋設部材の外周面との間に形成された所定の幅の目地に挿入され、その先端が、前記埋設部材の外周面に形成された前記係合部を引っ掛けて、前記埋設部材を上方に吊り上げることにより、前記埋設部材を前記中空空間から離脱させることを特徴とする脱着工具。
【請求項17】
請求項2から9のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記埋設部材として用いられることを特徴とする敷設ブロック用埋設部材。
【請求項18】
請求項10から12のうちいずれか1項に記載の敷設ブロックにおける前記蓋部材として用いられることを特徴とする敷設ブロック用埋設部材。
【請求項19】
請求項8または9に記載の敷設ブロックにおける前記目地幅調整部材として用いられることを特徴とする敷設ブロック用目地幅調整部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−95924(P2010−95924A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268124(P2008−268124)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(591286085)東洋工業株式会社 (17)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(591286085)東洋工業株式会社 (17)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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