説明

文書管理システム

【課題】 RFIDタグを用いて文書や用紙を管理し、文書の機密性を高める文書管理システムを提供する。
【解決手段】 利用者がクライアント20から文書のプリントアウト処理を指示する(ステップS1)。その際、利用者はRFIDタグが付いている用紙をプリンタの給紙部にセットする。プリンタのRFID制御部8では、用紙に付されたRFIDタグを読み取り(ステップS2)、該用紙に文書印刷を行うことが可能か否かをドキュメントサーバ10に問い合わせる(ステップS3)。問い合わせた結果、印刷が可能である場合(ステップS4/Yes)は、該用紙に対する文書印刷を実行する(ステップS5)。印刷が不可能である場合(ステップS4/No)は、セキュリティの問題から、印刷することができない旨のメッセージを出力し、文書印刷は行わない(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、スキャナ、複写機、ファクシミリ等の複合機を用いた文書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
微少な無線チップを用いることにより、人や物を識別・管理する仕組みとして、RFIDがあり、近年では流通業界におけるバーコードに代わる商品識別・管理に用いられている。商品等に付されるRFIDタグには、コンピュータで処理可能な情報を格納することが可能であり、これにより、商品の在庫管理や在庫管理に連動した受発注の管理等を行うことが可能である。
また、RFIDタグの情報を書き換える技術も進歩し、例えば、商品購入時にはタグ情報を書き換えて、RFID読み取り器を有する入退場ゲートを通過できるようにして、いわゆる「万引き行為」等を防いでいる。
【特許文献1】特開2003−54072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
企業において、文書の管理は重要視すべき問題であり、不正なコピー等による文書情報の流出は、近年において、最も注意しなければならない問題である。
そして、従来のプリンタ、スキャナ、複写、FAX送信などにおいては、不正なコピーが容易であり、このような不正行為を防ぐ技術が望まれていた。
【0004】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、RFIDタグを用いて文書や用紙を管理し、文書の機密性を高める文書管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、利用者がプリントの指示を行う手段と、プリントされる用紙に付されたRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、前記RFIDに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報を関連づけて、予め記憶しておく第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段を参照し、プリントの可否を決定する手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、利用者がスキャンの指示を行う手段と、スキャンにより読み取る文書に付されたRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、前記RFIDに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報を関連づけて、予め記憶しておく第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段を参照し、スキャンの可否を決定する手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、利用者がコピーの指示を行う手段と、コピー元の用紙に付された第1のRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、コピー先の用紙に付された第2のRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、前記第1のRFIDタグ及び第2のRFIDタグに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報を関連づけて、予め記憶しておく第3の記憶手段と、前記第3の記憶手段を参照し、コピーの可否を決定する手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、利用者がFAX送信の指示を行う手段と、FAX送信用紙に付されたRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、前記RFIDタグに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報及びFAX送信可能な送信先FAX番号を関連づけて、予め記憶しておく第4の記憶手段と、前記第4の記憶手段を参照し、FAX送信の可否を決定する手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の実施例の説明から明らかなように、文書の印刷においては、文書のプリントコントロールが可能となり、どのユーザが印刷した文書であるか確認可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例であるコピー・プリンタ・スキャナ・ファクシミリ複合機の内部構成を示したブロック図である。
複合機は、制御部1、記憶部2、読取部3、印字部4、FAX通信制御部5、ネットワーク通信制御部6、操作部7、RFID制御部8、RFIDアンテナ9を有する。
制御部1では、複合機としての機能全体を制御している。
記憶部2は、読み取り画像や各種設定値等を記憶している。
読取部3は、CCDまたは密着センサ、AD変換部、画像処理部等で構成され、読み取りデータをデジタル信号として出力する。
印字部4は、レーザまたはサーマルプリントユニット等で構成され、転写材(紙など)に印字出力する。
【0012】
FAX通信制御部5は、ファクシミリ通信、画情報圧縮伸張(DCR)部で構成されている。
ネットワーク通信制御部6では、LAN等のネットワーク回線を介して接続されている外部の装置(パーソナルコンピュータ等)とのデータ通信の制御を行う。
操作部7では、番号入力キーやファンクション・キー等で構成され、データの入力を行うことができる。また、液晶タッチパネルの様に、表示部を兼ね備えている。
RFID制御部8では、RFIDアンテナ9などの、RFIDに関する制御を行っている。
【0013】
図2では、複合機を含む文書管理システムとしてのネットワーク構成を示している。
例えば、図2に示すように、ネットワーク30にはドキュメントサーバ10、プリンタ11、ファクシミリ12、スキャナ13、各種クライアントとして機能する端末(クライアント)20が含まれている。
【0014】
以下に、文書管理の動作について説明する。
図3では、プリントにおける文書管理の動作を示している。
利用者がクライアント20から文書のプリントアウト処理を指示する(ステップS1)。その際、利用者はRFIDタグが付いている用紙をプリンタの給紙部にセットする。
プリンタのRFID制御部8では、用紙に付されたRFIDタグを読み取り(ステップS2)、該用紙に文書印刷を行うことが可能か否かをドキュメントサーバ10に問い合わせる(ステップS3)。
問い合わせた結果、印刷が可能である場合(ステップS4/Yes)は、該用紙に対する文書印刷を実行する(ステップS5)。印刷が不可能である場合(ステップS4/No)は、セキュリティの問題から、印刷することができない旨のメッセージを出力し、文書印刷は行わない(ステップS6)。
【0015】
ここで、処理ステップS3「ドキュメントサーバへの問い合わせ」において、出力用紙のRFIDタグに記憶された用紙IDをドキュメントサーバ10に送信すると同時に、ユーザIDを送信することも可能である。
すなわち、ドキュメントサーバ10には、プリント可否に関する情報がユーザIDと関連した情報として格納されている。そして、ドキュメントサーバ10は、プリント可否に関する情報を参照することにより、プリント可否を決定している。
【0016】
例えば、あるユーザに対して、プリントしてもよい用紙を用紙IDによって管理する。その一例として、ユーザAは、用紙ID=0001〜0100までの用紙を用いてプリントしてもよい、また、ユーザBは、用紙ID=0101〜0200までの用紙を用いてプリントしてもよい、そして、ドキュメントサーバ10は、この情報を管理している場合において、ユーザAが用紙ID=0050である用紙を用いてプリントする場合は、自分の用紙を用いてプリントを行おうとしているので、ドキュメントサーバ10は、プリントOKを返す。
逆に、ユーザAが用紙ID=0150の用紙を用いてプリントする場合は、他のユーザの用紙を用いてプリントしようとしているので、プリントNGを返す。
【0017】
また、用紙とユーザの対応については、例えば、ユーザが所属する部署と用紙との関係に置き換えることも可能である。
すなわち、部署Xには用紙ID=0001〜1000の用紙が割り振られ、部署Yには用紙ID=1001〜2000までの用紙が割り当てられている場合において、部署Xに所属するユーザAが用紙ID=0500の用紙を用いてプリントする場合、該用紙は、部署Xに割り当てられた用紙であるので、ドキュメントサーバ10はプリントOKを返す。
【0018】
図4では、スキャナ読み取りにおける文書管理の動作を示している。
利用者がスキャナ13または端末20から文書のスキャナ読み取り指示を行い(ステップS11)、スキャナ13に置かれた文書のタグのIDを読み取り(ステップS12)、読み取ったIDの文書が読み取り可能か否かをドキュメントサーバ10に問い合わせる。
問い合わせた結果、読み取りが可能である場合(ステップS14/Yes)は、読み取りを行い(ステップS15)、保存ファイルにセキュリティ情報を付加する(ステップS16)。読み取りが不可能である場合(ステップS14/No)は、セキュリティの問題から、スキャンすることができない旨のメッセージを出力し、動作を終了する(ステップS17)。
ここで、保存ファイルとは、スキャンした文書を電子的に保存したファイルであり、例えば、PDF形式のファイルや、JPEG形式のファイル等がある。そして、スキャンした文書に、文書IDやユーザIDを付加している。
【0019】
ここで、処理ステップS13「文書の読み取り可否の問い合わせ」において、スキャンする文書の文書IDをドキュメントサーバ10に送信すると同時に、ユーザIDを送信している。
すなわち、ドキュメントサーバ10には、文書のスキャン可否に関する情報がユーザIDと関連した情報として格納されている。そして、ドキュメントサーバ10は、文書のスキャン可否に関する情報を参照することにより、文書のスキャン可否を決定している。
【0020】
一般的には、役職レベルに応じてスキャンできる文書は異なり、例えば、役職の高いユーザは多くの文書をスキャンすることが可能であり、役職の低いユーザは限られた文書しかスキャンすることができない、という具合に、ドキュメントサーバに文書のスキャン可否に関する情報が格納されている。
また、部署単位でスキャン可否に関する情報を設定することも可能である。
【0021】
図5では、コピーにおける文書管理の動作を示している。
コピーの場合には、図3,図4に示したプリント・スキャナの動作の両方の手順を行う。すなわち、利用者がコピー処理の指示を行う(ステップS21)と、コピー元の文書のIDを読み取り(ステップS22)、更に、出力用紙のIDを読み取る(ステップS23)。その後、コピー動作が可能か否かをドキュメントサーバ10に問い合わせる(ステップS24)。
問い合わせた結果、コピーが可能である場合(ステップS25/Yes)は、コピー動作を実行する(ステップS26)。一方で、コピーが不可能である場合(ステップS25/No)は、セキュリティの問題から、スキャンすることができない旨のメッセージを出力し、動作を終了する(ステップS27)。
【0022】
ここで、処理ステップS24「コピー可否の問い合わせ」において、コピー元文書のID、出力用紙のIDをドキュメントサーバ10に送信すると同時に、ユーザIDを送信している。
すなわち、ドキュメントサーバ10には、文書のコピー可否に関する情報がユーザIDと関連した情報として格納されている。そして、ドキュメントサーバ10は、文書のコピー可否に関する情報を参照することにより、文書のコピー可否を決定している。
【0023】
図6では、FAX送信における文書管理の動作を示している。
利用者がFAX送信文書をセットし、送信先を入力し、FAX送信の指示を行う(ステップ31)。ファクシミリ12では、送信文書のIDを読み取り(ステップS32)、更に送信先番号を確認し(ステップS33)、FAX送信動作が可能か否かをドキュメントサーバ10に問い合わせる(ステップS34)。
問い合わせた結果、FAX送信が可能である場合(ステップS35/Yes)は、FAX送信を実行する(ステップS36)。一方で、FAX送信が不可能である場合(ステップS35/No)は、セキュリティの問題から、FAX送信することができない旨のメッセージを出力し、動作を終了する(ステップS37)。
【0024】
ここで、処理ステップS34「FAX送信可否の問い合わせ」において、送信文書のID、送信先電話番号をドキュメントサーバ10に送信すると同時に、ユーザIDを送信している。
すなわち、ドキュメントサーバ10には、文書のFAX送信可否に関する情報がユーザIDに関連した情報として格納されている。そして、ドキュメントサーバ10は、文書のFAX送信可否に関する情報を参照することにより、文書のFAX送信可否を決定している。
【0025】
なお、上記に示した実施形態は、本発明の好適な実施の一例である。しかしながら、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、様々な変形実施が可能である。
例えば、図2に示した構成図において、プリンタ11、ファクシミリ12、スキャナ13は、複合機として1台の装置に構成させることも可能である。
【0026】
また、例えば、ドキュメントサーバ10が有するプリント可否を決める手段やスキャナ読み取り可否を決める手段は、複合機に持たせることも可能である。
しかしながら、企業、特に大規模な企業においては、扱うべき文書の数は非常に膨大であり、これらのデータを格納するための領域は、汎用的に利用可能なサーバがその領域を有する方が好ましい。しかしながら、設置場所の問題等により、1台の複合機が本発明に係る全ての手段を有してもよい。
【0027】
以上の説明から明らかなように、文書の印刷においては、文書のプリントコントロールが可能となり、どのユーザが印刷した文書であるか確認可能である。
【0028】
また、文書のスキャンにおいては、文書が不法に読み取られ、電子データとして保存されるのを防ぐ効果がある。
【0029】
また、文書の複写においては、文書が不法に読み取られ、複写されるのを防ぐ効果がある。
【0030】
また、文書のFAX送信においては、文書が不法にFAX送信されるのを防ぐ効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例である複合機の内部構成を示したブロック図である。
【図2】複合機を含む文書管理システムとしてのネットワーク構成を示した図である。
【図3】プリントにおける文書管理の動作を示したフローチャートである。
【図4】スキャナ読み取りにおける文書管理の動作を示したフローチャートである。
【図5】コピーにおける文書管理の動作を示したフローチャートである。
【図6】FAX送信における文書管理の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 制御部
2 記憶部
3 読取部
4 印字部
5 FAX通信制御部
6 ネットワーク通信制御部
7 操作部
8 RFID制御部
9 RFIDアンテナ
10 ドキュメントサーバ
11 プリンタ
12 ファクシミリ
13 スキャナ
20 クライアント(端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者がプリントの指示を行う手段と、
プリントされる用紙に付されたRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、
前記RFIDに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報を関連づけて、予め記憶しておく第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段を参照し、プリントの可否を決定する手段と、を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
利用者がスキャンの指示を行う手段と、
スキャンにより読み取る文書に付されたRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、
前記RFIDに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報を関連づけて、予め記憶しておく第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段を参照し、スキャンの可否を決定する手段と、を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項3】
利用者がコピーの指示を行う手段と、
コピー元の用紙に付された第1のRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、
コピー先の用紙に付された第2のRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、
前記第1のRFIDタグ及び第2のRFIDタグに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報を関連づけて、予め記憶しておく第3の記憶手段と、
前記第3の記憶手段を参照し、コピーの可否を決定する手段と、を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項4】
利用者がFAX送信の指示を行う手段と、
FAX送信用紙に付されたRFIDタグに記憶された情報を読み取る手段と、
前記RFIDタグに記憶された情報に対して、前記利用者に関する情報及びFAX送信可能な送信先FAX番号を関連づけて、予め記憶しておく第4の記憶手段と、
前記第4の記憶手段を参照し、FAX送信の可否を決定する手段と、を有することを特徴とする文書管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−5442(P2006−5442A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176970(P2004−176970)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】