断熱パッケージ及び反応装置並びにこれらの製造方法
【課題】断熱パッケージの内面に膜を直接成膜せずとも、その断熱パッケージの内側に膜を設けることができるようにする。
【解決手段】部材31〜43を積層することによって、枠体24とその枠体24に連なった反応装置本体部25とを有する積層体23を作成する。入子枠24bの内側の面に輻射反射膜24cを成膜し、入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠24bを枠体24に接合する。上蓋材21の内面に輻射反射膜21cを成膜し、下蓋材22の内面に輻射反射膜22cを成膜する。入子枠24bの上端を上蓋材21に嵌め込み、入子枠24bの下端を下蓋材22に嵌め込み、入子枠24bを上蓋材21及び下蓋材22に接合する。
【解決手段】部材31〜43を積層することによって、枠体24とその枠体24に連なった反応装置本体部25とを有する積層体23を作成する。入子枠24bの内側の面に輻射反射膜24cを成膜し、入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠24bを枠体24に接合する。上蓋材21の内面に輻射反射膜21cを成膜し、下蓋材22の内面に輻射反射膜22cを成膜する。入子枠24bの上端を上蓋材21に嵌め込み、入子枠24bの下端を下蓋材22に嵌め込み、入子枠24bを上蓋材21及び下蓋材22に接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パッケージ及び反応装置並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー変換効率の高いクリーンな電源として燃料電池が注目されるようになり、燃料電池自動車や電化住宅などへの実用化が進められてきている。燃料電池とは、水素と酸素の電気化学反により発電するものであり、このような燃料電池には、水素を生成する反応装置が接続されている(例えば、特許文献1参照)。反応装置は、燃料と水の混合気を水素に改質する改質器、改質器で生成された微量の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器等から構成されており、改質器と一酸化炭素除去器はパイプで接続されている。
【0003】
改質器及び一酸化炭素除去器は常温より高温で効率よく反応を行うので、改質器や一酸化炭素除去器を電熱材又は燃焼器で加熱する。また、エネルギーの利用効率を高めるため、改質器や一酸化炭素除去器を断熱パッケージに収容した状態で改質器や一酸化炭素除去器を電熱材又は燃焼器で加熱することも行われている。
【特許文献1】特開2002−356310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、断熱パッケージに機能性を付加するために、機能性のある膜を断熱パッケージの内面に成膜することがある。例えば、金属膜を断熱パッケージの内面に成膜し、断熱パッケージ内の電熱材や燃焼器で発した輻射線を反射させて、輻射線が外部に漏れるのを防止し、これにより断熱効果を高めることがある。
【0005】
しかし、断熱パッケージの内側には改質器や一酸化炭素除去器を収容するため、改質器や一酸化炭素除去器が邪魔となって、断熱パッケージの内面に膜を成膜することが難しかった。特に、改質器や一酸化炭素除去器を断熱パッケージの内側で固定するため、断熱パッケージを作成する際には、断熱パッケージの構成部品に改質器や一酸化炭素除去器に支持した状態で、断熱パッケージの構成部品を組み立てることが行われるが、改質器や一酸化炭素除去器が支持された構成部品に膜を成膜することは難しかった。
そこで、本発明の課題は、断熱パッケージの内面に膜を直接成膜せずとも、その断熱パッケージの内側に膜を設けることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、断熱パッケージの製造方法において、入子に成膜された膜を枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする。
【0008】
請求項7に係る発明は、反応装置の製造方法において、化学反応を行う反応装置本体部が枠体の内側に配置されて前記枠体と前記反応装置本体部が連なった状態で、入子に成膜された膜を前記枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の反応装置の製造方法において、前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8に記載の反応装置の製造方法において、前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項7から9の何れか一項に記載の反応装置の製造方法において、前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項7から10の何れか一項に記載の反応装置の製造方法において、前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項7から11の何れか一項に記載の反応装置の製造方法において、前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項13に係る発明は、断熱パッケージにおいて、枠体と、前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、前記入子の内面に成膜された膜と、前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の断熱パッケージにおいて、前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする。
請求項15に係る発明は、請求項13又は14に記載の断熱パッケージにおいて、前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする。
【0012】
請求項16に係る発明は、反応装置において、枠体と、化学反応を行うと共に、前記枠体の内側に配置されて前記枠体に連なった反応装置本体部と、前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、前記入子の内面に成膜された膜と、前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の反応装置において、前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする。
請求項18に係る発明は、請求項16又は17に記載の反応装置において、前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入子に膜が成膜されており、その入子が枠体に嵌め込まれているので、枠体の内側に膜を直接成膜せずとも、枠体の内側に膜を設けることができ、断熱パッケージ、反応装置の製造を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
反応装置の製造方法について説明するにあたって、まず反応装置の用途について説明する。図1は、反応装置2の概略的な構成を示すとともに、その反応装置2を用いた発電装置1の概略的な構成を示したブロック図である。この発電装置1は、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、腕時計、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、遊技機、その他の電子機器に備え付けられるものであり、これらの電子機器本体を動作させるための電源として用いられる。
【0017】
この発電装置1は、小型な反応装置2と、燃料カートリッジ3と、燃料電池型発電セル4と、を備える。燃料カートリッジ3には、燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ブタン、ガソリン)と水が別々に又は混合した状態で貯留されている。図示しないマイクロポンプによって燃料と水が混合した状態で反応装置2に供給される。
【0018】
反応装置2は、気化器5と、改質器6と、一酸化炭素除去器7と、改質用燃焼器8と、気化用燃焼器9と、熱交換器10とを備える。
【0019】
燃料カートリッジ3から反応装置2に供給された燃料と水は気化器5に送られる。燃料と水が気化器5において気化され、燃料と水の混合気が気化器5から改質器6に送られる。気化器5での燃料と水の気化は、気化用燃焼器9における燃焼熱等を吸熱して引き起こされる。
【0020】
改質器6は、気化した水と燃料から水素ガス等を触媒反応により生成し、更に微量ながら一酸化炭素ガスを生成する。燃料がメタノールの場合には、次式(1)、(2)のような化学反応が改質器6で起こる。なお、水素が生成される反応は吸熱反応であって、改質用燃焼器8における燃焼熱等が用いられる。
【0021】
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
H2+CO2→H2O+CO …(2)
【0022】
改質器6で生成された水素ガス及び一酸化炭素ガス等を含む改質ガスは一酸化炭素除去器7に送られ、更に外部の空気が一酸化炭素除去器7に送られる。一酸化炭素除去器7は、副生された一酸化炭素を触媒により優先的に酸化させることで、一酸化炭素を選択的に除去する。このように一酸化炭素が酸化する反応は発熱反応であり、一酸化炭素除去器7と熱交換器10との間で熱交換が行われることによって一酸化炭素除去器7が冷却される。
【0023】
燃料電池型発電セル4は、燃料極4aと、酸素極4bと、燃料極4aと酸素極4bとの間に挟まされた電解質膜4cとを有する。一酸化炭素除去器7を経由した改質ガスは反応装置2から排出されて燃料電池型発電セル4の燃料極4aに供給され、更に外部の空気が酸素極4bに送られる。そして、燃料極4aに供給された改質ガス中の水素が、電解質膜4cを介して、酸素極4bに供給された空気中の酸素と電気化学反応することによって、燃料極4aと酸素極4bとの間で電力が生じる。燃料極4aと酸素極4bによって出力された電力は電子機器本体に供給される。
【0024】
電解質膜4cが水素イオン透過性の電解質膜(例えば、固体高分子電解質膜)の場合には、燃料極4aでは次式(3)のような反応が起き、燃料極4aで生成された水素イオンが電解質膜4cを透過し、酸素極4bでは次式(4)のような反応が起こる。
H2→2H++2e- …(3)
2H++1/2O2+2e-→H2O …(4)
【0025】
一方、電解質膜4cが酸素イオン透過性の電解質膜(例えば、固体酸化物電解質膜)の場合には、酸素極4bでは次式(5)のような反応が起き、酸素極4bで生成された酸素イオンが電解質膜4cを透過し、燃料極4aでは次式(6)のような反応が起こる。
1/2O2+2e−→2O2−・・・(5)
H2+2O2−→H2O+2e−・・・(6)
【0026】
燃料極4aで電気化学反応せずに残った水素ガス等が空気と混合されて、水素ガスと空気等の混合気が改質用燃焼器8に供給されるとともに、気化用燃焼器9にも供給される。燃焼器8,9は、水素ガスを触媒反応により燃焼させる。これにより燃焼熱が発する。そして、排ガスが改質用燃焼器8及び気化用燃焼器9から外部に排出される。
【0027】
熱交換器10には水が送られ、一酸化炭素除去器7等によって加熱された水が熱交換器10から排出される。熱交換器10から排出された水が一旦冷却されて、再び熱交換器10に送られることによって、水が循環するものでも良い。
【0028】
続いて、反応装置2の製造方法について説明する。
図2及び図3に示すように、まず積層体23を作成する。作成された積層体23は、矩形枠状の枠体24と、枠体24の内側において枠体24に連なった状態に設けられ、上又は下から見て中央部で括れた鼓状の反応装置本体部25と、枠体24に連なった状態に設けられ、枠体24から外側に突出した導入排出部26と、を有する。この反応装置本体部25は、図1に示された気化器5、改質器6、一酸化炭素除去器7、改質用燃焼器8、気化用燃焼器9及び熱交換器10を組み込む部分となる。
【0029】
具体的には、図4に示すように、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる部材31〜43を積層して拡散接合することによって、積層体23を作成する。部材31〜43は、金属プレートを形状加工することによって図8に示すような形状を成している。部材31〜43の形状に応じて複数の孔・スリット・切欠き・隙間等が部材31〜43に形成されており、部材31〜43が積層されてこれらが接合され、室、セル、流路及び孔等の内部空間が積層体23に形成される。積層体23に形成された内部空間が、図1に示した反応装置2の経路となる。
【0030】
部材31〜43のうち最も上層の部材31は、矩形枠31aと、矩形枠31aの内側において矩形枠31aの右後部に連なった状態に設けられた矩形プレート31bと、矩形プレート31bの左側前後中央部に連なった状態に設けられた連結プレート31eと、連結プレート31eの左側に連なった状態に設けられた仕切フレーム31cと、矩形枠31aの外側に配設され、矩形枠31aの右後部に連なった状態に設けられた延出部31dと、を有する。
【0031】
上から2層目の部材32は、矩形枠32aと、矩形枠32aの内側において矩形枠32aの右後部に連なった状態に設けられた仕切フレーム32bと、仕切フレーム32bの左側に連なった状態に設けられた連結フレーム32eと、連結フレーム32eの左側に連なった状態に設けられた仕切フレーム32cと、矩形枠32aの外側において矩形枠32aの右後部に連なった状態に設けられた延出部32dと、を有する。
【0032】
部材32と部材31については、矩形枠32aを矩形枠31aに、仕切フレーム32bを矩形プレート31bに、仕切フレーム32cを仕切フレーム31cに、連結フレーム32eを連結プレート31eに、延出部32dを延出部31dに重ねて接合する。
【0033】
上から3層目の部材33は、矩形枠33aと、矩形枠33aの内側において矩形枠33aの右後部に連なった状態に設けられた矩形プレート33bと、矩形プレート33bの左側前後中央部に連なった状態に設けられた連結プレート33eと、連結プレート33eの左側に連なった状態に設けられた矩形プレート33cと、矩形枠33aの外側において矩形枠33aの右後部に連なった状態に設けられた延出部33dと、を有する。
【0034】
部材33と部材32については、矩形枠33aを矩形枠32aに、矩形プレート33bを仕切フレーム32bに、矩形プレート33cを仕切フレーム32cに、連結プレート33eを連結フレーム32eに、延出部33dを延出部32dに重ねて接合する。なお、矩形プレート33bと矩形プレート31bとの間に挟持された仕切フレーム32bの内側に流路が形成され、その流路に水が流れることで、この部分が図1に示された熱交換器10として機能する。
【0035】
上から4層目の部材34と3層目の部材33については、矩形枠34aを矩形枠33aに、枠部34bを矩形プレート33bに、枠部34cを矩形プレート33cに、二股延出部34dを延出部33dに重ねて接合する。部材34と部材33の接合前では部材34の枠部34cが矩形枠34aに連結しており、接合後に枠部34cと矩形枠34aを切り離す。
【0036】
上から5層目の部材35と4層目の部材34については、矩形枠35aを矩形枠34aに、二股延出部35dを二股延出部34dに、多孔板35bを枠部34bに、多孔板35cを枠部34cに重ねて接合する。接合後に多孔板35cを矩形枠35aから切り離す。
【0037】
上から6層目の部材36と5層目の部材35については、矩形枠36aを矩形枠35aに、二股延出部36dを二股延出部35dに、枠部36bを多孔板35bに、枠部36cを多孔板35cに重ねて接合する。接合後に枠部36cを矩形枠36aから切り離す。
【0038】
上から7層目の部材37と6層目の部材36については、矩形枠37aを矩形枠36aに、二股延出部37dを二股延出部36dに、多孔板37bを枠部36bに、多孔板37cを枠部36cに重ねて接合する。接合後に多孔板37cを矩形枠37aから切り離す。
【0039】
上から8層目の部材38と7層目の部材37については、矩形枠38aを矩形枠37aに、二股延出部38dを二股延出部37dに、枠部38bを多孔板37bに、枠部38cを多孔板37cに重ねて接合する。接合後に枠部38cを矩形枠38aから切り離す。
【0040】
上から9層目の部材39と8層目の部材38については、矩形枠39aを矩形枠38aに、二股延出部39dを二股延出部38dに、多孔板39bを枠部38bに、多孔板39cを枠部38cに重ねて接合する。接合後に多孔板39cを矩形枠39aから切り離す。
【0041】
上から10層目の部材40と9層目の部材39については、矩形枠40aを矩形枠39aに、二股延出部40dを二股延出部39dに、枠部40bを多孔板39bに、枠部40cを多孔板39cに重ねて接合する。接合後に枠部40cを矩形枠40aから切り離す。
【0042】
上から11層目の部材41と10層目の部材40については、矩形枠41aを矩形枠40aに、延出部41dを二股延出部40dに、多孔板41bを枠部40bに、多孔板41cを枠部40cに重ねて接合する。接合後に多孔板41cを矩形枠41aから切り離す。
【0043】
上から12層目の部材42と11層目の部材41については、矩形枠42aを矩形枠41aに、延出部42dを延出部41dに、枠部42bを多孔板41bに、枠部42cを多孔板41cに重ねて接合する。接合後に枠部42cを矩形枠42aから切り離す。
【0044】
上から13層目の部材43と12層目の部材42については、矩形枠43aを矩形枠42aに、延出部43dを延出部42dに、枠部43bを枠部42bに、枠部43cを枠部42cに重ねて接合する。接合後に枠部43cを矩形枠43aから切り離す。
【0045】
部材31〜43の積層体23のうち、矩形枠31a〜43aを積層した部分が図2〜図3に示された枠体24となる。また、延出部31d〜33d、二股延出部34d〜40d及び延出部41d〜43dを積層した部分が、図2〜図3に示された導入排出部26となる。また、31b〜43bを積層した部分、31e〜33eを積層した部分及び31c〜43cを積層した部分の組み合わせが、図2〜図3に示された反応装置本体部25となる。
【0046】
積層体23を作成した後、積層体23の上面の長孔31n、長孔31p及び矩形孔31qに触媒分散液をそれぞれ注入するとともに、仕切フレーム31c,32cの内側に触媒分散液を注入した。その後、注入した触媒分散液を流し出し、積層体23の内部に残留した触媒分散液を乾燥させて、焼成させる。これにより、積層体23の内部に触媒が担持される。長孔31nに注入した触媒分散液によって改質用触媒(例えば、Cu/ZnO系触媒、Pd/ZnO系触媒)が担持され、これによって34c〜43cの積層部分が図1に示された改質器6として機能する。仕切フレーム31c,32cの内側に注入した触媒分散液によって燃焼用触媒(例えば、白金)が担持され、これによって仕切フレーム31c,32cの積層部分が図1に示された改質用燃焼器8として機能する。長孔31pに注入した触媒分散液によって選択酸化触媒(例えば、白金)が担持され、これによって34b〜43bの積層部分が図1に示された一酸化炭素除去器7として機能する。矩形孔31qに注入した触媒分散液によって燃焼用触媒(例えば、白金)が担持され、これによって31c〜43cの積層部分の一部が図1に示された気化用燃焼器9として機能する。
【0047】
次に、枠部43cにキャップ48を、枠部43bにキャップ49を、仕切フレーム31cにキャップ46を、長孔31nキャップ47を、長孔31pにキャップ44を、矩形孔31q及び矩形孔31rにキャップ45を被せ、これらキャップ44〜49を積層体23に拡散接合する。キャップ44〜49は、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる。なお、予め、電気抵抗が温度に依存する電熱材からなる電熱パターン69がキャップ49の表面に、電気抵抗が温度に依存する電熱材からなる電熱パターン68がキャップ49の表面にパターニングされている。
【0048】
図5に示すように、次に、枠体24に長孔24aを穿孔し、端子付のリード線61〜66を長孔24aに通し、ワイヤーボンディング法を用いてリード線61〜64と電熱パターン68をボンディングワイヤ71〜74によって接続する。次に、枠体24の内側において、ゲッター材77をリード線64,65に接続する。次に、リード線61〜66を長孔24aに通した状態で、長孔24aを封止材67で閉塞する。次に、導入排出部26の開口50に繊維材等の吸液材51を挿入し、吸液材51を棒体53で圧縮して押し込み、棒体53に設けられたキャップ52を開口50に嵌め込んで開口50を閉塞する。この吸液材51を組み込んだ部分が図1に示した気化器5として機能する。
【0049】
次に、枠体24の内側の面に輻射反射膜、具体的には金属(例えば、金)の膜を成膜したいが、枠体24の内側には反応装置本体部25が収まっているので、枠体24の内側の面に輻射反射膜を直接成膜しづらい。そこで、以下の〔A〕〜〔F〕の何れかの方法で枠体24の内側に輻射反射膜を設ける。
【0050】
〔A〕予め輻射反射膜を成膜した入子を枠体の内側に設ける方法
図6及び図7を用いて説明する。図6は反応装置2を部分的に分解した状態で示した分解斜視図であり、図7は反応装置2の断熱パッケージの製造工程の概略図である。図7(a)、(b)においては、反応装置2の断面が概略的に示されている。
【0051】
まず、入子枠24bを準備する。平面視した場合に入子枠24bの外周が枠体24の内周にほぼ一致し、側面視した場合に入子枠24bの高さは枠体24の高さよりも高い。この入子枠24bは、テンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる。
【0052】
そして、入子枠24bの内側の面に、輻射反射膜24cをメッキ法により成膜する。なお、輻射反射膜24cの成膜法はメッキ法でなくとも、気相成長法であっても良い。
【0053】
次に、入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠24bの外面を枠体24の内面に面接触させる。ここで、入子枠24bの上部を枠体24の上端から上に突出させ、入子枠24bの下部を枠体24の下端から下に突出させる。
【0054】
次に、枠体24を入子枠24bに接合する。具体的には、枠体24の上端(主に矩形枠31a)を全周に亘って入子枠24bに溶接し、枠体24の下端(主に矩形枠43a)を全周に亘って入子枠24bに溶接する。又は、固定できる程度の部分溶接でも良い。これにより、枠体24の内側において輻射反射膜24cが露出する。なお、予め枠状に形成された入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込むのではなく、輻射反射膜が成膜された平板状の複数のプレートを枠体24の内側に差し込み、これらプレートを枠状に組むことによって、枠体24の内側に入子枠24bを組み付けても良い。
【0055】
以上のように、枠体24と反応装置本体部25の隙間が狭くて、枠体24の内側の面に輻射反射膜を直接成膜できなくても、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することができる。また、反応装置本体部25と枠体24の間の隙間が狭くても済むので、枠体24を小さくすることもできる。
【0056】
次に、上蓋材21と下蓋材22を準備する。上蓋材21は下側が凹んだ状態に設けられ、下蓋材22は上側が凹んだ状態に設けられ、上蓋材21及び下蓋材22はステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる。
【0057】
次に、上蓋材21の内側となる面、つまり、上蓋材21の凹面に輻射反射膜21cをメッキ法により成膜し、同様に、下蓋材22の凹面に輻射反射膜22cを成膜する。なお、輻射反射膜21c,22cの成膜法はメッキ法でなくとも、気相成長法であっても良い。
【0058】
次に、入子枠24bの突出した上部を上蓋材21に嵌め込んで、枠体24の上端に上蓋材21の縁を重ね、入子枠24bの突出した下部を下蓋材22に嵌め込んで、枠体24の下端に下蓋材22を重ねる。これにより、枠体24の上側開口を上蓋材21によって閉塞し、枠体24の下側開口を下蓋材22によって閉塞する。
【0059】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス(例えば、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン)若しくは炭酸ガスを充填する。次に、枠体24の全周に亘って上蓋材21を枠体24の上端に接合し、枠体24の全周に亘って下蓋材22を枠体24の下端に接合する。このようにして上蓋材21、枠体24及び下蓋材22の組み体が略直方体状の箱体を成し、上蓋材21、枠体24及び下蓋材22によってその内側に密閉空間が形成される。接合法は、各種の溶接法であっても良いし、拡散接合法であっても良いし、他の接合法であっても良い。
【0060】
以上のように上蓋材21及び下蓋材22を接合することによって、反応装置2が完成する。
【0061】
〔B〕変形例
図8に示すように、この変形例においては、枠体24の上端及び下端には、外側に突出するフランジ24d,24eが設けられている。具体的には、最上層の矩形枠31a及び最下層の矩形枠43aを他の矩形枠32a〜42aよりも幅広にすることで、矩形枠31a,43aがフランジ24d,24eとなっている。また、上蓋材21の縁には、外側に突出するフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にも、外側に突出するフランジ22eが設けられている。
【0062】
入子枠24bを用いたことは〔A〕の場合と同様である。そして、入子枠24bを枠体24の内側に組み付けた後、枠体24の上端に上蓋材21の縁を重ねてフランジ24dとフランジ21dを重ね、更に、枠体24の下端に下蓋材22を重ねてフランジ24eとフランジ22eを重ねる。フランジ24dとフランジ21dを含めて、枠体24の全周に亘って上蓋材21を枠体24の上端に接合し、フランジ24eとフランジ22eを含めて、枠体24の全周に亘って下蓋材22を枠体24の下端に接合する。この変形例においても〔A〕の場合と同様に、輻射反射膜21c,22c,24cの成膜や、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側の真空引き又はフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスの充填を接合前に行う。
【0063】
この変形例においては、枠体24が薄く、更に、上蓋材21の側面が薄い場合でも、フランジ21d,24dを重ね合わせることで上蓋材21と枠体24の位置合わせが容易となり、接合も簡単に行うことができる。下蓋材22と枠体24についても同様である。勿論、入子枠24bを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0064】
〔C〕変形例
図9に示すように、この変形例においては、枠体24を入子状に上蓋材21及び下蓋材22に入れ込み、上蓋材21と下蓋材22を接合する。具体的には、上蓋材21の下側開口の内側には段差21aが設けられ、下蓋材22の上側開口の内側にも段差22aが設けられている。
【0065】
そして、枠体24を上蓋材21の段差21aに嵌め込んで、更に入子枠24bの突出した上部を上蓋材21に嵌め込み、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞する。また、枠体24を下蓋材22の段差22aに嵌め込んで、更に入子枠24bの突出した下部を下蓋材22に嵌め込む、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。これにより、上蓋材21の下端の縁と下蓋材22の上端の縁が重なり、この重なった部分を接合する。接合法は、各種の溶接法であっても良いし、拡散接合法であっても良いし、他の接合法であっても良い。以上のことを除いて、この変形例においては〔A〕の場合と同様の手順で行う。この変形例においても〔A〕の場合と同様に、輻射反射膜21c,22c,24cの成膜や、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側の真空引き又はフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスの充填を接合前に行う。
【0066】
この変形例においては、段差21aが上蓋材21に形成されているから、枠体24と上蓋材21の位置合わせを容易に行うことができる。下蓋材22と枠体24についても同様である。また、接合工程については、上蓋材21と下蓋材22の接合一回で済ませることができる。勿論、入子枠24bを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0067】
なお、図10に示すように、上蓋材21の縁には、外側に突出するフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にも、外側に突出するフランジ22eが設けられても良い。この場合、フランジ21dとフランジ22eも接合する。これにより、接合を容易に行うことができる。
【0068】
〔D〕変形例
図11に示すように、この変形例においては、入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込む前に、この入子枠24bを下蓋材22の内側に嵌め込む。入子枠24bが下蓋材22に嵌め込まれた状態では、入子枠24bは下蓋材22の上端よりも上に突出している。そして、下蓋材22の上端の縁に沿って下蓋材22を入子枠24bに接合する。これにより、入子枠24bと下蓋材22が一体になる。なお、入子枠24bを先に下蓋材22に嵌め込むのではなく、先に上蓋材21に嵌め込んでも良い。
【0069】
次に、入子枠24bを下蓋材22に嵌め込んだ状態で下蓋材22の内側の面に輻射反射膜22cを成膜すると、入子枠24bの内側の面にも輻射反射膜22cが成膜される。
【0070】
次に、入子枠24bを枠体24の下から枠体24の内側に嵌め込み、入子枠24bの上部を枠体24の上端から上に突出させる。これにより、入子枠24bの外面を枠体24の内面に面接触させる。この時、枠体24の下端が下蓋材22の縁に重なって、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。次に、輻射反射膜21cが成膜された上蓋材21に入子枠24bの突出した上部を嵌め込んで、枠体24の上端に上蓋材21の縁を重ね、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞する。
【0071】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスを充填する。
次に、枠体24の全周に亘って上蓋材21を枠体24の上端に接合し、枠体24の全周に亘って下蓋材22を枠体24の下端に接合する。
【0072】
この変形例においては、輻射反射膜の成膜工程を、上蓋材21に対する成膜工程と、下蓋材22及び入子枠24bに対する成膜工程の2回で済ませることができる。勿論、入子枠24bを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0073】
なお、図12に示すように、〔B〕の変形例の場合と同様に、枠体24の上端及び下端にフランジ24d,24eが設けられ、上蓋材21の縁にフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にフランジ22eが設けられても良い。上蓋材21及び下蓋材22を枠体24に接合するにあたっては、フランジ24dとフランジ21dも接合するととともに、フランジ24eとフランジ22eも接合する。
【0074】
〔A〕〜〔D〕の場合では、入子が入子枠24bとして上蓋材21及び下蓋材22と別部材であるが、以下の〔E〕〜〔F〕の変形例では、入子が上蓋材21又は下蓋材22と一体形成されている。
【0075】
〔E〕変形例
図13に示すように、この変形例においては、上蓋材21の下側開口の外側には段差21gが設けられ、これにより入子枠部21fが上蓋材21の下側開口に沿って形成され、入子枠部21fが上蓋材21と一体になっている。同様に、下蓋材22の上側開口の外側には段差22gが設けられ、これにより入子枠部22fが下蓋材22の下側開口に沿って形成され、入子枠部22fが下蓋材22と一体になっている。
【0076】
そして、上蓋材21の内側の面に輻射反射膜21cを成膜すると、入子枠部22fの内側の面にも輻射反射膜21cが成膜される。また、下蓋材22の内側の面に輻射反射膜22cを成膜すると、入子枠24bの内側の面にも輻射反射膜22cが成膜される。
次に、入子枠部21fを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠部21fの外面を枠体24の内面に面接触させ、入子枠部22fを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠部22fの外面を枠体24の内面に面接触させる。枠体24は段差21g〜22gに収まり、入子枠部21fの下端が入子枠部22fの上端に接触する。これにより、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞し、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。
【0077】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスを充填する。
次に、段差21gの部分で枠体24を上蓋材21に全周に亘って接合し、段差22gの部分で枠体24を下蓋材22に全周に亘って接合する。
【0078】
この変形例においては、輻射反射膜の成膜工程を、上蓋材21に対する成膜工程と、下蓋材22に対する成膜工程の2回で済ませることができる。勿論、入子枠部21f,22fを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜21c,22cを設けて輻射反射膜21c,22cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0079】
なお、図14に示すように、〔B〕の変形例の場合と同様に、枠体24の上端及び下端にフランジ24d,24eが設けられ、上蓋材21の段差21gの外側にフランジ21dが設けられ、下蓋材22の段差22gの外側にフランジ22eが設けられても良い。上蓋材21及び下蓋材22を枠体24に接合するにあたっては、フランジ24dとフランジ21dも接合するととともに、フランジ24eとフランジ22eも接合する。
【0080】
〔F〕変形例
図15に示すように、この変形例においては、上蓋材21の下側開口の外側には段差21gが設けられ、これにより入子枠部21fが上蓋材21の下側開口に沿って形成され、入子枠部21fが上蓋材21と一体になっている。〔F〕の変形例における入子枠部21fは〔E〕の変形例における入子枠部21fよりも高い。一方、下蓋材22の上側開口の内側には段差22aが設けられている。
【0081】
そして、上蓋材21の内側の面に輻射反射膜21cを成膜すると、入子枠部22fの内側の面にも輻射反射膜21cが成膜される。また、下蓋材22の内側の面については、段差22aよりも底側の部分に輻射反射膜22cを成膜する。
次に、入子枠部21fを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠部21fの外面を枠体24の内面に面接触させる。枠体24を下蓋材22の段差22aに嵌め込む。更に入子枠部21fの下端部を下蓋材22に嵌め込み、上蓋材21の段差21gより上側の部分を下蓋材22に嵌め込み、下蓋材22の上端が段差21g近傍において上蓋材21に接する。以上により、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞し、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。
【0082】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスを充填する。
次に、段差21gの部分で下蓋材22を上蓋材21に全周に亘って接合する。
【0083】
この変形例においては、輻射反射膜の成膜工程を、上蓋材21に対する成膜工程と、下蓋材22に対する成膜工程の2回で済ませることができる。また、接合工程は、上蓋材21と下蓋材22の接合一回で済ませることができる。また、枠体24の内側と外側が上蓋材21及び下蓋材22によって補強される。勿論、入子枠部21fを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜21cを設けて輻射反射膜21cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0084】
なお、図15に示すように、上蓋材21の段差21gの外側には、外側に突出するフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にも、外側に突出するフランジ22eが設けられても良い。この場合、フランジ21dとフランジ22eも接合する。
【0085】
〔G〕上蓋材21、下蓋材22及び枠体24を組み立ててなる箱体の機能
上蓋材21、下蓋材22及び枠体24を組み立ててなる箱体は、断熱パッケージとして機能する。つまり、反応装置本体部25には電熱パターン68〜69が設けられており、リード線61〜64を通じて電熱パターン68〜69に電力が供給されると、電熱パターン68〜69が発熱し、反応装置本体部25が加熱される。また、反応装置本体部25は一酸化炭素除去器7、改質用燃焼器8及び気化用燃焼器9を組み込んだものであり、一酸化炭素除去器7、改質用燃焼器8及び気化用燃焼器9における酸化反応は発熱反応である。このような反応装置本体部25及び電熱パターン68,69が上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の箱体に収容されているので、これらから発した熱が上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の箱体内に籠もり、箱体の内側と外側の断熱が行われる。これにより、エネルギーの利用効率が高まる。なお、改質器6の改質反応は吸熱反応であり、気化器5における気化によって吸熱が起こる。
【0086】
〔H〕輻射反射膜の機能
反応装置本体部25や電熱パターン68〜69は室温よりも高温になり、特に反応装置本体部25のうち31c〜43cを積層した部分(主に、改質器6や改質用燃焼器8)は360〜380℃に加熱され、31b〜43bを積層した部分(主に、一酸化炭素除去器7や熱交換器10)は130〜150℃に加熱される。そのため、反応装置本体部25から輻射線が発する。放射した輻射線が輻射反射膜21c,22c,24cによって反射されるので、輻射線が上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の箱体の内側に閉じ込められる。そのため、エネルギーの利用効率が高まる。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を行ったものも本発明の範囲に含まれる。
例えば、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側に設けられる膜は、輻射線を反射させるために金属からなる輻射反射膜21c,22c,24cであったが、他の機能を持った膜であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態における反応装置を用いた発電装置が示されたブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における反応装置の積層体からキャップを分解した状態で示した斜視図である。
【図3】上記積層体からキャップを分解した状態で示した分解斜視図である。
【図4】上記積層体の分解斜視図である。
【図5】上記積層体とその積層体に組み込む部品・部材とを示した分解斜視図である。
【図6】上記積層体とその積層体の枠体に接合する蓋材とを示した分解斜視図である。
【図7】断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図8】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図9】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図10】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図11】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図12】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図13】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図14】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図15】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図16】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【符号の説明】
【0089】
2 反応装置
21 上蓋材
21c 輻射反射膜
21f 入子枠部
22 下蓋材
22c 輻射反射膜
22f 入子枠部
24 枠体
24b 入子枠
24c 輻射反射膜
25 反応装置本体部
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パッケージ及び反応装置並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー変換効率の高いクリーンな電源として燃料電池が注目されるようになり、燃料電池自動車や電化住宅などへの実用化が進められてきている。燃料電池とは、水素と酸素の電気化学反により発電するものであり、このような燃料電池には、水素を生成する反応装置が接続されている(例えば、特許文献1参照)。反応装置は、燃料と水の混合気を水素に改質する改質器、改質器で生成された微量の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器等から構成されており、改質器と一酸化炭素除去器はパイプで接続されている。
【0003】
改質器及び一酸化炭素除去器は常温より高温で効率よく反応を行うので、改質器や一酸化炭素除去器を電熱材又は燃焼器で加熱する。また、エネルギーの利用効率を高めるため、改質器や一酸化炭素除去器を断熱パッケージに収容した状態で改質器や一酸化炭素除去器を電熱材又は燃焼器で加熱することも行われている。
【特許文献1】特開2002−356310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、断熱パッケージに機能性を付加するために、機能性のある膜を断熱パッケージの内面に成膜することがある。例えば、金属膜を断熱パッケージの内面に成膜し、断熱パッケージ内の電熱材や燃焼器で発した輻射線を反射させて、輻射線が外部に漏れるのを防止し、これにより断熱効果を高めることがある。
【0005】
しかし、断熱パッケージの内側には改質器や一酸化炭素除去器を収容するため、改質器や一酸化炭素除去器が邪魔となって、断熱パッケージの内面に膜を成膜することが難しかった。特に、改質器や一酸化炭素除去器を断熱パッケージの内側で固定するため、断熱パッケージを作成する際には、断熱パッケージの構成部品に改質器や一酸化炭素除去器に支持した状態で、断熱パッケージの構成部品を組み立てることが行われるが、改質器や一酸化炭素除去器が支持された構成部品に膜を成膜することは難しかった。
そこで、本発明の課題は、断熱パッケージの内面に膜を直接成膜せずとも、その断熱パッケージの内側に膜を設けることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、断熱パッケージの製造方法において、入子に成膜された膜を枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法において、前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする。
【0008】
請求項7に係る発明は、反応装置の製造方法において、化学反応を行う反応装置本体部が枠体の内側に配置されて前記枠体と前記反応装置本体部が連なった状態で、入子に成膜された膜を前記枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の反応装置の製造方法において、前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項7又は8に記載の反応装置の製造方法において、前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項7から9の何れか一項に記載の反応装置の製造方法において、前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項7から10の何れか一項に記載の反応装置の製造方法において、前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項7から11の何れか一項に記載の反応装置の製造方法において、前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項13に係る発明は、断熱パッケージにおいて、枠体と、前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、前記入子の内面に成膜された膜と、前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載の断熱パッケージにおいて、前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする。
請求項15に係る発明は、請求項13又は14に記載の断熱パッケージにおいて、前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする。
【0012】
請求項16に係る発明は、反応装置において、枠体と、化学反応を行うと共に、前記枠体の内側に配置されて前記枠体に連なった反応装置本体部と、前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、前記入子の内面に成膜された膜と、前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の反応装置において、前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする。
請求項18に係る発明は、請求項16又は17に記載の反応装置において、前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入子に膜が成膜されており、その入子が枠体に嵌め込まれているので、枠体の内側に膜を直接成膜せずとも、枠体の内側に膜を設けることができ、断熱パッケージ、反応装置の製造を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
反応装置の製造方法について説明するにあたって、まず反応装置の用途について説明する。図1は、反応装置2の概略的な構成を示すとともに、その反応装置2を用いた発電装置1の概略的な構成を示したブロック図である。この発電装置1は、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、腕時計、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、遊技機、その他の電子機器に備え付けられるものであり、これらの電子機器本体を動作させるための電源として用いられる。
【0017】
この発電装置1は、小型な反応装置2と、燃料カートリッジ3と、燃料電池型発電セル4と、を備える。燃料カートリッジ3には、燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ブタン、ガソリン)と水が別々に又は混合した状態で貯留されている。図示しないマイクロポンプによって燃料と水が混合した状態で反応装置2に供給される。
【0018】
反応装置2は、気化器5と、改質器6と、一酸化炭素除去器7と、改質用燃焼器8と、気化用燃焼器9と、熱交換器10とを備える。
【0019】
燃料カートリッジ3から反応装置2に供給された燃料と水は気化器5に送られる。燃料と水が気化器5において気化され、燃料と水の混合気が気化器5から改質器6に送られる。気化器5での燃料と水の気化は、気化用燃焼器9における燃焼熱等を吸熱して引き起こされる。
【0020】
改質器6は、気化した水と燃料から水素ガス等を触媒反応により生成し、更に微量ながら一酸化炭素ガスを生成する。燃料がメタノールの場合には、次式(1)、(2)のような化学反応が改質器6で起こる。なお、水素が生成される反応は吸熱反応であって、改質用燃焼器8における燃焼熱等が用いられる。
【0021】
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
H2+CO2→H2O+CO …(2)
【0022】
改質器6で生成された水素ガス及び一酸化炭素ガス等を含む改質ガスは一酸化炭素除去器7に送られ、更に外部の空気が一酸化炭素除去器7に送られる。一酸化炭素除去器7は、副生された一酸化炭素を触媒により優先的に酸化させることで、一酸化炭素を選択的に除去する。このように一酸化炭素が酸化する反応は発熱反応であり、一酸化炭素除去器7と熱交換器10との間で熱交換が行われることによって一酸化炭素除去器7が冷却される。
【0023】
燃料電池型発電セル4は、燃料極4aと、酸素極4bと、燃料極4aと酸素極4bとの間に挟まされた電解質膜4cとを有する。一酸化炭素除去器7を経由した改質ガスは反応装置2から排出されて燃料電池型発電セル4の燃料極4aに供給され、更に外部の空気が酸素極4bに送られる。そして、燃料極4aに供給された改質ガス中の水素が、電解質膜4cを介して、酸素極4bに供給された空気中の酸素と電気化学反応することによって、燃料極4aと酸素極4bとの間で電力が生じる。燃料極4aと酸素極4bによって出力された電力は電子機器本体に供給される。
【0024】
電解質膜4cが水素イオン透過性の電解質膜(例えば、固体高分子電解質膜)の場合には、燃料極4aでは次式(3)のような反応が起き、燃料極4aで生成された水素イオンが電解質膜4cを透過し、酸素極4bでは次式(4)のような反応が起こる。
H2→2H++2e- …(3)
2H++1/2O2+2e-→H2O …(4)
【0025】
一方、電解質膜4cが酸素イオン透過性の電解質膜(例えば、固体酸化物電解質膜)の場合には、酸素極4bでは次式(5)のような反応が起き、酸素極4bで生成された酸素イオンが電解質膜4cを透過し、燃料極4aでは次式(6)のような反応が起こる。
1/2O2+2e−→2O2−・・・(5)
H2+2O2−→H2O+2e−・・・(6)
【0026】
燃料極4aで電気化学反応せずに残った水素ガス等が空気と混合されて、水素ガスと空気等の混合気が改質用燃焼器8に供給されるとともに、気化用燃焼器9にも供給される。燃焼器8,9は、水素ガスを触媒反応により燃焼させる。これにより燃焼熱が発する。そして、排ガスが改質用燃焼器8及び気化用燃焼器9から外部に排出される。
【0027】
熱交換器10には水が送られ、一酸化炭素除去器7等によって加熱された水が熱交換器10から排出される。熱交換器10から排出された水が一旦冷却されて、再び熱交換器10に送られることによって、水が循環するものでも良い。
【0028】
続いて、反応装置2の製造方法について説明する。
図2及び図3に示すように、まず積層体23を作成する。作成された積層体23は、矩形枠状の枠体24と、枠体24の内側において枠体24に連なった状態に設けられ、上又は下から見て中央部で括れた鼓状の反応装置本体部25と、枠体24に連なった状態に設けられ、枠体24から外側に突出した導入排出部26と、を有する。この反応装置本体部25は、図1に示された気化器5、改質器6、一酸化炭素除去器7、改質用燃焼器8、気化用燃焼器9及び熱交換器10を組み込む部分となる。
【0029】
具体的には、図4に示すように、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる部材31〜43を積層して拡散接合することによって、積層体23を作成する。部材31〜43は、金属プレートを形状加工することによって図8に示すような形状を成している。部材31〜43の形状に応じて複数の孔・スリット・切欠き・隙間等が部材31〜43に形成されており、部材31〜43が積層されてこれらが接合され、室、セル、流路及び孔等の内部空間が積層体23に形成される。積層体23に形成された内部空間が、図1に示した反応装置2の経路となる。
【0030】
部材31〜43のうち最も上層の部材31は、矩形枠31aと、矩形枠31aの内側において矩形枠31aの右後部に連なった状態に設けられた矩形プレート31bと、矩形プレート31bの左側前後中央部に連なった状態に設けられた連結プレート31eと、連結プレート31eの左側に連なった状態に設けられた仕切フレーム31cと、矩形枠31aの外側に配設され、矩形枠31aの右後部に連なった状態に設けられた延出部31dと、を有する。
【0031】
上から2層目の部材32は、矩形枠32aと、矩形枠32aの内側において矩形枠32aの右後部に連なった状態に設けられた仕切フレーム32bと、仕切フレーム32bの左側に連なった状態に設けられた連結フレーム32eと、連結フレーム32eの左側に連なった状態に設けられた仕切フレーム32cと、矩形枠32aの外側において矩形枠32aの右後部に連なった状態に設けられた延出部32dと、を有する。
【0032】
部材32と部材31については、矩形枠32aを矩形枠31aに、仕切フレーム32bを矩形プレート31bに、仕切フレーム32cを仕切フレーム31cに、連結フレーム32eを連結プレート31eに、延出部32dを延出部31dに重ねて接合する。
【0033】
上から3層目の部材33は、矩形枠33aと、矩形枠33aの内側において矩形枠33aの右後部に連なった状態に設けられた矩形プレート33bと、矩形プレート33bの左側前後中央部に連なった状態に設けられた連結プレート33eと、連結プレート33eの左側に連なった状態に設けられた矩形プレート33cと、矩形枠33aの外側において矩形枠33aの右後部に連なった状態に設けられた延出部33dと、を有する。
【0034】
部材33と部材32については、矩形枠33aを矩形枠32aに、矩形プレート33bを仕切フレーム32bに、矩形プレート33cを仕切フレーム32cに、連結プレート33eを連結フレーム32eに、延出部33dを延出部32dに重ねて接合する。なお、矩形プレート33bと矩形プレート31bとの間に挟持された仕切フレーム32bの内側に流路が形成され、その流路に水が流れることで、この部分が図1に示された熱交換器10として機能する。
【0035】
上から4層目の部材34と3層目の部材33については、矩形枠34aを矩形枠33aに、枠部34bを矩形プレート33bに、枠部34cを矩形プレート33cに、二股延出部34dを延出部33dに重ねて接合する。部材34と部材33の接合前では部材34の枠部34cが矩形枠34aに連結しており、接合後に枠部34cと矩形枠34aを切り離す。
【0036】
上から5層目の部材35と4層目の部材34については、矩形枠35aを矩形枠34aに、二股延出部35dを二股延出部34dに、多孔板35bを枠部34bに、多孔板35cを枠部34cに重ねて接合する。接合後に多孔板35cを矩形枠35aから切り離す。
【0037】
上から6層目の部材36と5層目の部材35については、矩形枠36aを矩形枠35aに、二股延出部36dを二股延出部35dに、枠部36bを多孔板35bに、枠部36cを多孔板35cに重ねて接合する。接合後に枠部36cを矩形枠36aから切り離す。
【0038】
上から7層目の部材37と6層目の部材36については、矩形枠37aを矩形枠36aに、二股延出部37dを二股延出部36dに、多孔板37bを枠部36bに、多孔板37cを枠部36cに重ねて接合する。接合後に多孔板37cを矩形枠37aから切り離す。
【0039】
上から8層目の部材38と7層目の部材37については、矩形枠38aを矩形枠37aに、二股延出部38dを二股延出部37dに、枠部38bを多孔板37bに、枠部38cを多孔板37cに重ねて接合する。接合後に枠部38cを矩形枠38aから切り離す。
【0040】
上から9層目の部材39と8層目の部材38については、矩形枠39aを矩形枠38aに、二股延出部39dを二股延出部38dに、多孔板39bを枠部38bに、多孔板39cを枠部38cに重ねて接合する。接合後に多孔板39cを矩形枠39aから切り離す。
【0041】
上から10層目の部材40と9層目の部材39については、矩形枠40aを矩形枠39aに、二股延出部40dを二股延出部39dに、枠部40bを多孔板39bに、枠部40cを多孔板39cに重ねて接合する。接合後に枠部40cを矩形枠40aから切り離す。
【0042】
上から11層目の部材41と10層目の部材40については、矩形枠41aを矩形枠40aに、延出部41dを二股延出部40dに、多孔板41bを枠部40bに、多孔板41cを枠部40cに重ねて接合する。接合後に多孔板41cを矩形枠41aから切り離す。
【0043】
上から12層目の部材42と11層目の部材41については、矩形枠42aを矩形枠41aに、延出部42dを延出部41dに、枠部42bを多孔板41bに、枠部42cを多孔板41cに重ねて接合する。接合後に枠部42cを矩形枠42aから切り離す。
【0044】
上から13層目の部材43と12層目の部材42については、矩形枠43aを矩形枠42aに、延出部43dを延出部42dに、枠部43bを枠部42bに、枠部43cを枠部42cに重ねて接合する。接合後に枠部43cを矩形枠43aから切り離す。
【0045】
部材31〜43の積層体23のうち、矩形枠31a〜43aを積層した部分が図2〜図3に示された枠体24となる。また、延出部31d〜33d、二股延出部34d〜40d及び延出部41d〜43dを積層した部分が、図2〜図3に示された導入排出部26となる。また、31b〜43bを積層した部分、31e〜33eを積層した部分及び31c〜43cを積層した部分の組み合わせが、図2〜図3に示された反応装置本体部25となる。
【0046】
積層体23を作成した後、積層体23の上面の長孔31n、長孔31p及び矩形孔31qに触媒分散液をそれぞれ注入するとともに、仕切フレーム31c,32cの内側に触媒分散液を注入した。その後、注入した触媒分散液を流し出し、積層体23の内部に残留した触媒分散液を乾燥させて、焼成させる。これにより、積層体23の内部に触媒が担持される。長孔31nに注入した触媒分散液によって改質用触媒(例えば、Cu/ZnO系触媒、Pd/ZnO系触媒)が担持され、これによって34c〜43cの積層部分が図1に示された改質器6として機能する。仕切フレーム31c,32cの内側に注入した触媒分散液によって燃焼用触媒(例えば、白金)が担持され、これによって仕切フレーム31c,32cの積層部分が図1に示された改質用燃焼器8として機能する。長孔31pに注入した触媒分散液によって選択酸化触媒(例えば、白金)が担持され、これによって34b〜43bの積層部分が図1に示された一酸化炭素除去器7として機能する。矩形孔31qに注入した触媒分散液によって燃焼用触媒(例えば、白金)が担持され、これによって31c〜43cの積層部分の一部が図1に示された気化用燃焼器9として機能する。
【0047】
次に、枠部43cにキャップ48を、枠部43bにキャップ49を、仕切フレーム31cにキャップ46を、長孔31nキャップ47を、長孔31pにキャップ44を、矩形孔31q及び矩形孔31rにキャップ45を被せ、これらキャップ44〜49を積層体23に拡散接合する。キャップ44〜49は、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる。なお、予め、電気抵抗が温度に依存する電熱材からなる電熱パターン69がキャップ49の表面に、電気抵抗が温度に依存する電熱材からなる電熱パターン68がキャップ49の表面にパターニングされている。
【0048】
図5に示すように、次に、枠体24に長孔24aを穿孔し、端子付のリード線61〜66を長孔24aに通し、ワイヤーボンディング法を用いてリード線61〜64と電熱パターン68をボンディングワイヤ71〜74によって接続する。次に、枠体24の内側において、ゲッター材77をリード線64,65に接続する。次に、リード線61〜66を長孔24aに通した状態で、長孔24aを封止材67で閉塞する。次に、導入排出部26の開口50に繊維材等の吸液材51を挿入し、吸液材51を棒体53で圧縮して押し込み、棒体53に設けられたキャップ52を開口50に嵌め込んで開口50を閉塞する。この吸液材51を組み込んだ部分が図1に示した気化器5として機能する。
【0049】
次に、枠体24の内側の面に輻射反射膜、具体的には金属(例えば、金)の膜を成膜したいが、枠体24の内側には反応装置本体部25が収まっているので、枠体24の内側の面に輻射反射膜を直接成膜しづらい。そこで、以下の〔A〕〜〔F〕の何れかの方法で枠体24の内側に輻射反射膜を設ける。
【0050】
〔A〕予め輻射反射膜を成膜した入子を枠体の内側に設ける方法
図6及び図7を用いて説明する。図6は反応装置2を部分的に分解した状態で示した分解斜視図であり、図7は反応装置2の断熱パッケージの製造工程の概略図である。図7(a)、(b)においては、反応装置2の断面が概略的に示されている。
【0051】
まず、入子枠24bを準備する。平面視した場合に入子枠24bの外周が枠体24の内周にほぼ一致し、側面視した場合に入子枠24bの高さは枠体24の高さよりも高い。この入子枠24bは、テンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる。
【0052】
そして、入子枠24bの内側の面に、輻射反射膜24cをメッキ法により成膜する。なお、輻射反射膜24cの成膜法はメッキ法でなくとも、気相成長法であっても良い。
【0053】
次に、入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠24bの外面を枠体24の内面に面接触させる。ここで、入子枠24bの上部を枠体24の上端から上に突出させ、入子枠24bの下部を枠体24の下端から下に突出させる。
【0054】
次に、枠体24を入子枠24bに接合する。具体的には、枠体24の上端(主に矩形枠31a)を全周に亘って入子枠24bに溶接し、枠体24の下端(主に矩形枠43a)を全周に亘って入子枠24bに溶接する。又は、固定できる程度の部分溶接でも良い。これにより、枠体24の内側において輻射反射膜24cが露出する。なお、予め枠状に形成された入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込むのではなく、輻射反射膜が成膜された平板状の複数のプレートを枠体24の内側に差し込み、これらプレートを枠状に組むことによって、枠体24の内側に入子枠24bを組み付けても良い。
【0055】
以上のように、枠体24と反応装置本体部25の隙間が狭くて、枠体24の内側の面に輻射反射膜を直接成膜できなくても、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することができる。また、反応装置本体部25と枠体24の間の隙間が狭くても済むので、枠体24を小さくすることもできる。
【0056】
次に、上蓋材21と下蓋材22を準備する。上蓋材21は下側が凹んだ状態に設けられ、下蓋材22は上側が凹んだ状態に設けられ、上蓋材21及び下蓋材22はステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316L)といった金属材料からなる。
【0057】
次に、上蓋材21の内側となる面、つまり、上蓋材21の凹面に輻射反射膜21cをメッキ法により成膜し、同様に、下蓋材22の凹面に輻射反射膜22cを成膜する。なお、輻射反射膜21c,22cの成膜法はメッキ法でなくとも、気相成長法であっても良い。
【0058】
次に、入子枠24bの突出した上部を上蓋材21に嵌め込んで、枠体24の上端に上蓋材21の縁を重ね、入子枠24bの突出した下部を下蓋材22に嵌め込んで、枠体24の下端に下蓋材22を重ねる。これにより、枠体24の上側開口を上蓋材21によって閉塞し、枠体24の下側開口を下蓋材22によって閉塞する。
【0059】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス(例えば、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン)若しくは炭酸ガスを充填する。次に、枠体24の全周に亘って上蓋材21を枠体24の上端に接合し、枠体24の全周に亘って下蓋材22を枠体24の下端に接合する。このようにして上蓋材21、枠体24及び下蓋材22の組み体が略直方体状の箱体を成し、上蓋材21、枠体24及び下蓋材22によってその内側に密閉空間が形成される。接合法は、各種の溶接法であっても良いし、拡散接合法であっても良いし、他の接合法であっても良い。
【0060】
以上のように上蓋材21及び下蓋材22を接合することによって、反応装置2が完成する。
【0061】
〔B〕変形例
図8に示すように、この変形例においては、枠体24の上端及び下端には、外側に突出するフランジ24d,24eが設けられている。具体的には、最上層の矩形枠31a及び最下層の矩形枠43aを他の矩形枠32a〜42aよりも幅広にすることで、矩形枠31a,43aがフランジ24d,24eとなっている。また、上蓋材21の縁には、外側に突出するフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にも、外側に突出するフランジ22eが設けられている。
【0062】
入子枠24bを用いたことは〔A〕の場合と同様である。そして、入子枠24bを枠体24の内側に組み付けた後、枠体24の上端に上蓋材21の縁を重ねてフランジ24dとフランジ21dを重ね、更に、枠体24の下端に下蓋材22を重ねてフランジ24eとフランジ22eを重ねる。フランジ24dとフランジ21dを含めて、枠体24の全周に亘って上蓋材21を枠体24の上端に接合し、フランジ24eとフランジ22eを含めて、枠体24の全周に亘って下蓋材22を枠体24の下端に接合する。この変形例においても〔A〕の場合と同様に、輻射反射膜21c,22c,24cの成膜や、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側の真空引き又はフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスの充填を接合前に行う。
【0063】
この変形例においては、枠体24が薄く、更に、上蓋材21の側面が薄い場合でも、フランジ21d,24dを重ね合わせることで上蓋材21と枠体24の位置合わせが容易となり、接合も簡単に行うことができる。下蓋材22と枠体24についても同様である。勿論、入子枠24bを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0064】
〔C〕変形例
図9に示すように、この変形例においては、枠体24を入子状に上蓋材21及び下蓋材22に入れ込み、上蓋材21と下蓋材22を接合する。具体的には、上蓋材21の下側開口の内側には段差21aが設けられ、下蓋材22の上側開口の内側にも段差22aが設けられている。
【0065】
そして、枠体24を上蓋材21の段差21aに嵌め込んで、更に入子枠24bの突出した上部を上蓋材21に嵌め込み、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞する。また、枠体24を下蓋材22の段差22aに嵌め込んで、更に入子枠24bの突出した下部を下蓋材22に嵌め込む、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。これにより、上蓋材21の下端の縁と下蓋材22の上端の縁が重なり、この重なった部分を接合する。接合法は、各種の溶接法であっても良いし、拡散接合法であっても良いし、他の接合法であっても良い。以上のことを除いて、この変形例においては〔A〕の場合と同様の手順で行う。この変形例においても〔A〕の場合と同様に、輻射反射膜21c,22c,24cの成膜や、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側の真空引き又はフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスの充填を接合前に行う。
【0066】
この変形例においては、段差21aが上蓋材21に形成されているから、枠体24と上蓋材21の位置合わせを容易に行うことができる。下蓋材22と枠体24についても同様である。また、接合工程については、上蓋材21と下蓋材22の接合一回で済ませることができる。勿論、入子枠24bを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0067】
なお、図10に示すように、上蓋材21の縁には、外側に突出するフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にも、外側に突出するフランジ22eが設けられても良い。この場合、フランジ21dとフランジ22eも接合する。これにより、接合を容易に行うことができる。
【0068】
〔D〕変形例
図11に示すように、この変形例においては、入子枠24bを枠体24の内側に嵌め込む前に、この入子枠24bを下蓋材22の内側に嵌め込む。入子枠24bが下蓋材22に嵌め込まれた状態では、入子枠24bは下蓋材22の上端よりも上に突出している。そして、下蓋材22の上端の縁に沿って下蓋材22を入子枠24bに接合する。これにより、入子枠24bと下蓋材22が一体になる。なお、入子枠24bを先に下蓋材22に嵌め込むのではなく、先に上蓋材21に嵌め込んでも良い。
【0069】
次に、入子枠24bを下蓋材22に嵌め込んだ状態で下蓋材22の内側の面に輻射反射膜22cを成膜すると、入子枠24bの内側の面にも輻射反射膜22cが成膜される。
【0070】
次に、入子枠24bを枠体24の下から枠体24の内側に嵌め込み、入子枠24bの上部を枠体24の上端から上に突出させる。これにより、入子枠24bの外面を枠体24の内面に面接触させる。この時、枠体24の下端が下蓋材22の縁に重なって、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。次に、輻射反射膜21cが成膜された上蓋材21に入子枠24bの突出した上部を嵌め込んで、枠体24の上端に上蓋材21の縁を重ね、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞する。
【0071】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスを充填する。
次に、枠体24の全周に亘って上蓋材21を枠体24の上端に接合し、枠体24の全周に亘って下蓋材22を枠体24の下端に接合する。
【0072】
この変形例においては、輻射反射膜の成膜工程を、上蓋材21に対する成膜工程と、下蓋材22及び入子枠24bに対する成膜工程の2回で済ませることができる。勿論、入子枠24bを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜24cを設けて輻射反射膜24cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0073】
なお、図12に示すように、〔B〕の変形例の場合と同様に、枠体24の上端及び下端にフランジ24d,24eが設けられ、上蓋材21の縁にフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にフランジ22eが設けられても良い。上蓋材21及び下蓋材22を枠体24に接合するにあたっては、フランジ24dとフランジ21dも接合するととともに、フランジ24eとフランジ22eも接合する。
【0074】
〔A〕〜〔D〕の場合では、入子が入子枠24bとして上蓋材21及び下蓋材22と別部材であるが、以下の〔E〕〜〔F〕の変形例では、入子が上蓋材21又は下蓋材22と一体形成されている。
【0075】
〔E〕変形例
図13に示すように、この変形例においては、上蓋材21の下側開口の外側には段差21gが設けられ、これにより入子枠部21fが上蓋材21の下側開口に沿って形成され、入子枠部21fが上蓋材21と一体になっている。同様に、下蓋材22の上側開口の外側には段差22gが設けられ、これにより入子枠部22fが下蓋材22の下側開口に沿って形成され、入子枠部22fが下蓋材22と一体になっている。
【0076】
そして、上蓋材21の内側の面に輻射反射膜21cを成膜すると、入子枠部22fの内側の面にも輻射反射膜21cが成膜される。また、下蓋材22の内側の面に輻射反射膜22cを成膜すると、入子枠24bの内側の面にも輻射反射膜22cが成膜される。
次に、入子枠部21fを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠部21fの外面を枠体24の内面に面接触させ、入子枠部22fを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠部22fの外面を枠体24の内面に面接触させる。枠体24は段差21g〜22gに収まり、入子枠部21fの下端が入子枠部22fの上端に接触する。これにより、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞し、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。
【0077】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスを充填する。
次に、段差21gの部分で枠体24を上蓋材21に全周に亘って接合し、段差22gの部分で枠体24を下蓋材22に全周に亘って接合する。
【0078】
この変形例においては、輻射反射膜の成膜工程を、上蓋材21に対する成膜工程と、下蓋材22に対する成膜工程の2回で済ませることができる。勿論、入子枠部21f,22fを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜21c,22cを設けて輻射反射膜21c,22cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0079】
なお、図14に示すように、〔B〕の変形例の場合と同様に、枠体24の上端及び下端にフランジ24d,24eが設けられ、上蓋材21の段差21gの外側にフランジ21dが設けられ、下蓋材22の段差22gの外側にフランジ22eが設けられても良い。上蓋材21及び下蓋材22を枠体24に接合するにあたっては、フランジ24dとフランジ21dも接合するととともに、フランジ24eとフランジ22eも接合する。
【0080】
〔F〕変形例
図15に示すように、この変形例においては、上蓋材21の下側開口の外側には段差21gが設けられ、これにより入子枠部21fが上蓋材21の下側開口に沿って形成され、入子枠部21fが上蓋材21と一体になっている。〔F〕の変形例における入子枠部21fは〔E〕の変形例における入子枠部21fよりも高い。一方、下蓋材22の上側開口の内側には段差22aが設けられている。
【0081】
そして、上蓋材21の内側の面に輻射反射膜21cを成膜すると、入子枠部22fの内側の面にも輻射反射膜21cが成膜される。また、下蓋材22の内側の面については、段差22aよりも底側の部分に輻射反射膜22cを成膜する。
次に、入子枠部21fを枠体24の内側に嵌め込み、入子枠部21fの外面を枠体24の内面に面接触させる。枠体24を下蓋材22の段差22aに嵌め込む。更に入子枠部21fの下端部を下蓋材22に嵌め込み、上蓋材21の段差21gより上側の部分を下蓋材22に嵌め込み、下蓋材22の上端が段差21g近傍において上蓋材21に接する。以上により、枠体24の上側開口を上蓋材21で閉塞し、枠体24の下側開口を下蓋材22で閉塞する。
【0082】
次に、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側から空気を真空引きし、又は、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側にフッ素を含むメタン若しくはエタンの多ハロゲン化誘導体ガス若しくは炭酸ガスを充填する。
次に、段差21gの部分で下蓋材22を上蓋材21に全周に亘って接合する。
【0083】
この変形例においては、輻射反射膜の成膜工程を、上蓋材21に対する成膜工程と、下蓋材22に対する成膜工程の2回で済ませることができる。また、接合工程は、上蓋材21と下蓋材22の接合一回で済ませることができる。また、枠体24の内側と外側が上蓋材21及び下蓋材22によって補強される。勿論、入子枠部21fを用いることによって、枠体24の内側に輻射反射膜21cを設けて輻射反射膜21cで反応装置本体部25を囲繞することが容易に行える。
【0084】
なお、図15に示すように、上蓋材21の段差21gの外側には、外側に突出するフランジ21dが設けられ、下蓋材22の縁にも、外側に突出するフランジ22eが設けられても良い。この場合、フランジ21dとフランジ22eも接合する。
【0085】
〔G〕上蓋材21、下蓋材22及び枠体24を組み立ててなる箱体の機能
上蓋材21、下蓋材22及び枠体24を組み立ててなる箱体は、断熱パッケージとして機能する。つまり、反応装置本体部25には電熱パターン68〜69が設けられており、リード線61〜64を通じて電熱パターン68〜69に電力が供給されると、電熱パターン68〜69が発熱し、反応装置本体部25が加熱される。また、反応装置本体部25は一酸化炭素除去器7、改質用燃焼器8及び気化用燃焼器9を組み込んだものであり、一酸化炭素除去器7、改質用燃焼器8及び気化用燃焼器9における酸化反応は発熱反応である。このような反応装置本体部25及び電熱パターン68,69が上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の箱体に収容されているので、これらから発した熱が上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の箱体内に籠もり、箱体の内側と外側の断熱が行われる。これにより、エネルギーの利用効率が高まる。なお、改質器6の改質反応は吸熱反応であり、気化器5における気化によって吸熱が起こる。
【0086】
〔H〕輻射反射膜の機能
反応装置本体部25や電熱パターン68〜69は室温よりも高温になり、特に反応装置本体部25のうち31c〜43cを積層した部分(主に、改質器6や改質用燃焼器8)は360〜380℃に加熱され、31b〜43bを積層した部分(主に、一酸化炭素除去器7や熱交換器10)は130〜150℃に加熱される。そのため、反応装置本体部25から輻射線が発する。放射した輻射線が輻射反射膜21c,22c,24cによって反射されるので、輻射線が上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の箱体の内側に閉じ込められる。そのため、エネルギーの利用効率が高まる。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を行ったものも本発明の範囲に含まれる。
例えば、上蓋材21、下蓋材22及び枠体24の内側に設けられる膜は、輻射線を反射させるために金属からなる輻射反射膜21c,22c,24cであったが、他の機能を持った膜であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態における反応装置を用いた発電装置が示されたブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における反応装置の積層体からキャップを分解した状態で示した斜視図である。
【図3】上記積層体からキャップを分解した状態で示した分解斜視図である。
【図4】上記積層体の分解斜視図である。
【図5】上記積層体とその積層体に組み込む部品・部材とを示した分解斜視図である。
【図6】上記積層体とその積層体の枠体に接合する蓋材とを示した分解斜視図である。
【図7】断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図8】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図9】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図10】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図11】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図12】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図13】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図14】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図15】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【図16】変形例における断熱パッケージの組み立て工程を示した工程図である。
【符号の説明】
【0089】
2 反応装置
21 上蓋材
21c 輻射反射膜
21f 入子枠部
22 下蓋材
22c 輻射反射膜
22f 入子枠部
24 枠体
24b 入子枠
24c 輻射反射膜
25 反応装置本体部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入子に成膜された膜を枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、
前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする断熱パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする請求項1に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項7】
化学反応を行う反応装置本体部が枠体の内側に配置されて前記枠体と前記反応装置本体部が連なった状態で、入子に成膜された膜を前記枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、
前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項8】
前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする請求項7に記載の反応装置の製造方法。
【請求項9】
前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の反応装置の製造方法。
【請求項10】
前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする請求項7から9の何れか一項に記載の反応装置の製造方法。
【請求項11】
前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載の反応装置の製造方法。
【請求項12】
前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする請求項7から11の何れか一項に記載の反応装置の製造方法。
【請求項13】
枠体と、
前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、
前記入子の内面に成膜された膜と、
前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする断熱パッケージ。
【請求項14】
前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項13に記載の断熱パッケージ。
【請求項15】
前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の断熱パッケージ。
【請求項16】
枠体と、
化学反応を行うと共に、前記枠体の内側に配置されて前記枠体に連なった反応装置本体部と、
前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、
前記入子の内面に成膜された膜と、
前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする反応装置。
【請求項17】
前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項16に記載の反応装置。
【請求項18】
前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする請求項16又は17に記載の反応装置。
【請求項1】
入子に成膜された膜を枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、
前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする断熱パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする請求項1に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の断熱パッケージの製造方法。
【請求項7】
化学反応を行う反応装置本体部が枠体の内側に配置されて前記枠体と前記反応装置本体部が連なった状態で、入子に成膜された膜を前記枠体の内側に向けるようその入子を枠体に嵌め込み、
前記枠体の開口に蓋をしてその蓋で枠体を閉塞する、ことを特徴とする反応装置の製造方法。
【請求項8】
前記枠体と前記蓋を接合する、ことを特徴とする請求項7に記載の反応装置の製造方法。
【請求項9】
前記枠体に前記蓋をする前に、前記蓋の内側となる面に膜を成膜する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の反応装置の製造方法。
【請求項10】
前記蓋と前記入子が一体に設けられた状態で、前記枠体の開口に前記蓋をする際に前記入子を前記枠体に嵌め込む、ことを特徴とする請求項7から9の何れか一項に記載の反応装置の製造方法。
【請求項11】
前記膜が輻射線を反射する膜である、ことを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載の反応装置の製造方法。
【請求項12】
前記膜が金属の膜である、ことを特徴とする請求項7から11の何れか一項に記載の反応装置の製造方法。
【請求項13】
枠体と、
前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、
前記入子の内面に成膜された膜と、
前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする断熱パッケージ。
【請求項14】
前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項13に記載の断熱パッケージ。
【請求項15】
前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の断熱パッケージ。
【請求項16】
枠体と、
化学反応を行うと共に、前記枠体の内側に配置されて前記枠体に連なった反応装置本体部と、
前記枠体の内側に嵌め込まれた入子と、
前記入子の内面に成膜された膜と、
前記枠体の開口を閉塞した蓋と、を備えることを特徴とする反応装置。
【請求項17】
前記蓋が前記枠体に接合されていることを特徴とする請求項16に記載の反応装置。
【請求項18】
前記蓋の内側となる面に成膜された第二膜を更に備えることを特徴とする請求項16又は17に記載の反応装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−213885(P2008−213885A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54042(P2007−54042)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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