説明

新生児入浴装置及び該装置を備えた新生児浴槽ユニット

【課題】適温に加熱した純水で新生児の入浴を満足に行えるようにすると共に、装置全体をコンパクト化して設置場所の確保を容易としつつ取付施工性及び運搬・取扱性等にも優れた新生児入浴装置及び該装置を備えた新生児浴槽ユニットを提供すること。
【解決手段】原水供給源CWに並列接続可能とされた複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cと、該複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cへ原水を加圧送水する加圧送水ポンプ2と、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cで生成された純水を加熱して高温純水と低温純水として送出する加熱装置3と、該加熱装置3から送出される低温純水を殺菌処理する紫外線殺菌装置4と、前記加熱装置3から送出される高温純水と前記紫外線殺菌装置4で殺菌処理された低温純水とを混合調節して出水する自動温度調整機能付き水栓5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌に優しく安全衛生面に優れた新生児入浴装置及び該装置を備えた新生児浴槽ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、産婦人科病院等で使用している新生児入浴水の大半は、水道水又は井戸水を原水として使用し、これを適宜の加熱装置で加熱して高温水とし、この高温水に加熱していない水道水又は井戸水を適宜混合して適温の温水として使用している。
なお、従来、病院、実験室、飲食品加工業、調理場など衛生の確保が高度に要求される作業現場に設置される手洗い装置として、紫外線殺菌器とフィルターとを給水配管中に設置した殺菌水洗面化粧台が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭61−90490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
新生児、特に、分娩直後の新生児の肌は、抵抗力が弱く水分を吸収し易いため、水道水又は井戸水を加熱しただけで使用する従来の新生児入浴装置は、水道水中又は井戸水中に含まれているさまざまな有害物質(例えば、次亜塩素等の薬品など)が完全には除去されていないため、肌に強い刺激を与える場合があり、また、敏感肌の新生児には、皮膚のかぶれなどを引き起こす場合がある。
【0004】
前記特許文献1のものは、原水を紫外線殺菌器で殺菌し、フィルターで濾過して使用するようにしているが、純水に比較すれば、不純物が残留しているものと推定されるのみならず、新生児入浴装置として使用するようにしたものではない。
一方、純水は、水道水や井戸水とは違い、不純物(例えば、塩素、トリハロメタン、有機物、無機物、細菌類等)を全く含まないピュアな水のため、素肌を刺激することがなく、肌に優しく浸透して入浴後の体温の保温力に優れている。
【0005】
純水を使用した新生児の入浴は、従来使用している水道水や井戸水と比較すると、素肌に対して、遙かに浸透性が高く、この純水を加熱して温水として使用することによって、新生児の素肌に優しく安全で衛生的となる。
しかし、純水を作るためには、例えば、逆浸透膜式純水生成装置を従来使用している新生児浴槽等に組み込む必要があり、その組み込みスペースとして、新生児浴槽等の下部スペースが想定されるが、この下部スペースでは、小型のものしか組み込めず、これでは、純水の生成能力が低く新生児の入浴に使用することができないという問題がある。なお、純水を大量に生成できる能力のある大型の逆浸透膜式純水生成装置を前記新生児浴槽等とは別設置することも考えられるが、その場合では、大型の逆浸透膜式純水生成装置を必要とし、そのために、該装置の設置場所の確保が問題となり、取付施工性及び運搬・取扱性等にも問題がある。
【0006】
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みて開発されたもので、その目的とするところは、逆浸透膜式純水生成装置を用いて適温に加熱した純水で新生児の入浴を満足に行えるようにすると共に、装置全体をコンパクト化して設置場所の確保を容易としつつ取付施工性及び運搬・取扱性等にも優れた新生児入浴装置及び該装置を備えた新生児浴槽ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、原水供給源に並列接続可能とされた複数の逆浸透膜式純水生成装置と、該複数の逆浸透膜式純水生成装置へ原水を加圧送水する加圧送水ポンプと、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置で生成された純水を加熱して高温純水と低温純水として送出する加熱装置と、該加熱装置から送出される低温純水を殺菌処理する紫外線殺菌装置と、前記加熱装置から送出される高温純水と前記紫外線殺菌装置で殺菌処理された低温純水とを混合調節して出水する自動温度調整機能付き水栓とを備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、逆浸透膜式純水生成装置を複数に分けることによって大容量の純水の生成を可能としつつ該生成装置をコンパクトに整列配置可能として装置全体の設置場所の確保を容易化し、しかも、十分な量の純水を連続して生成させ、かつ、これを加熱装置で加熱して高温純水と低温純水とし、これらを適温に混合して自動温度調整機能付き水栓から出水させることができるため、新生児の入浴時、細菌類等の不純物を全く含まない適温の純水で新生児を入浴させることができ、素肌に優しくかぶれを防止して安全かつ衛生的に入浴させることが可能となり、また、素肌を刺激することがなく、肌に優しく浸透して入浴後の体温の保温力にも優れている。なお、前記加熱装置から送出される低温純水は、紫外線殺菌装置で殺菌処理させていることによって、加熱装置内に滞留した純水が、例えば、長時間の滞留等によって細菌類が繁殖することがあっても、加熱装置を通して高温で出水される純水は加熱殺菌され、低温で出水される純水は紫外線殺菌装置で殺菌処理して出水されるため、純水のTDS(全溶存固形物量)値が悪化することを防止させることができ、素肌に馴染みやすい純水をいつでも自動温度調整機能付き水栓から連続して出水させることができる。
【0009】
また、前記逆浸透膜式純水生成装置には、生成した純水にオゾンを加えてオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置が前記加熱装置と並列又は直列に接続されており、該オゾン殺菌水生成装置は、前記加熱装置を通さずに、或いは、前記加熱装置及びオゾン殺菌水生成装置を通してオゾン殺菌水噴霧ノズル及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓からオゾン殺菌水を吐出可能とされていることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、新生児の入浴の前及び/又は後に浴槽をオゾン殺菌水で殺菌清掃することができ、新生児を毎回、清潔で安全・衛生的に入浴させることができる。
また、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置の上流には、粗大な不純物除去と脱臭を行うプリカーボンフィルタと、それよりも細かい不純物除去を行うセディメントフィルタとが設置してあることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、プリカーボンフィルタ及びセディメントフィルタで原水中に含まれる大部分の不純物が除去濾過され、かつ、脱臭されるため、逆浸透膜式純水生成装置の機能低下を遅らせて長期間に亘って良好な機能を発揮させることができ、しかも、複数の逆浸透膜式純水生成装置に対して、プリカーボンフィルタ及びセディメントフィルタを共用することができるため、装置のコンパクト化が可能となる。
【0012】
また、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置は、純水生成運転時、少なくとも1つを休止させて運転し、該運転終了後、洗浄運転に移行させ、この洗浄運転では、純水生成運転に関与したうちの1つだけに原水を供給して純水を生成させ、この純水を他の全ての原水供給口へ原水の代わりに供給して装置内部を洗浄させ、その洗浄水は紫外線殺菌装置を通して外部に排出させ、洗浄後は次回の純水生成運転時まで待機させ、次回の純水生成運転時には、前回の洗浄運転で洗浄用純水の生成に関与したものを休止させ、それ以外の洗浄済みのもので純水生成運転を行わせるようにプログラム制御可能とされていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、次のような不具合を解消することができる。即ち、純水生成運転の停止時に、各逆浸透膜式純水生成装置の内部に純水と濃縮水が浸透膜の両側に残り、原水側からの加圧がなくなって前記両側が同一圧力となり、両側の濃度が平衡状態となる浸透現象で純水側のTDS値が悪化し、これが次回の純水使用初期に流れ出す不具合がある。そこで、これを1つの生成装置だけ運転して純水を生成させ、この純水を使用して残存するものを洗い流して洗浄させ、全部純水に置換させて次回まで待機させ、次回の純水生成運転時には、純水で洗浄置換された生成装置だけを使用して純水の生成を行わせて前記不具合を解消しており、その際、前回の洗浄運転において洗浄用純水の生成に関与した生成装置を休止させることで、この装置内に残存する水(不純物を含む可能性あり)を使用しないようにしているのである。なお、上記洗浄水を紫外線殺菌装置を通して外部に排出させていることによって、待機中に外部排出経路から生成装置内に細菌類が侵入することを防止し、洗浄済みの装置内に残存する純水のTDS値が悪化することを防止させているのである。
【0014】
また、前記洗浄用純水の生成に関与する生成装置は、複数の生成装置間で順番に使用されるようプログラム制御可能とされていることを特徴としている。
上記構成によれば、複数の逆浸透膜式純水生成装置の寿命を均一に保持させることができる。
また、前記加熱装置から自動温度調整機能付き水栓に接続されている高温純水と低温純水の配管の途中には、外部給湯設備に接続可能とされた給湯配管と原水供給源に接続可能とされた給水配管とに切換接続するための三方切換弁が設置されており、該三方切換弁は、純水供給系統の故障時等の緊急時に、自動温度調整機能付き水栓を外部給湯設備への給湯配管と原水供給源に接続可能とされた給水配管とに切換接続し、通常時には、前記加熱装置から自動温度調整機能付き水栓に連通接続させるように構成されていることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、純水供給系統の故障時等の緊急時には、外部給湯設備からの温水と原水供給源に接続可能とされた給水配管からの原水を自動温度調整機能付き水栓から出水させることができ、新生児の入浴中での不測の中断を回避することができる。
また、前記の新生児入浴装置が、新生児浴槽にユニットとして組み込まれていることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、適温の純水で肌に優しく安全で衛生的な新生児の入浴を可能とした新生児浴槽をユニット商品として製造販売することができる。この場合、浴槽と本装置とが初めから一体的にセットで製造販売される場合だけでなく、既存の浴槽の背面や側面に本装置を別置可能とするために、本装置だけを独立して製造販売する場合とを含むものである。
【0017】
また、前記新生児入浴装置の複数の逆浸透膜式純水生成装置が扁平薄型とされた収納ボックスに前記扁平方向に沿って並列状態で収納されて新生児浴槽の背面又は側面に配置され、前記加圧送水ポンプ、加熱装置、紫外線殺菌装置およびオゾン殺菌水生成装置が前記収納ボックス内及び/又は新生児浴槽の下部に収納配置されていることを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、複数の逆浸透膜式純水生成装置を扁平薄型とされた収納ボックスに整列させてコンパクトに収納配置することができ、これによって新生児浴槽の背面又は側面に外観体裁良くコンパクトに配置することが可能となり、また、加圧送水ポンプ、加熱装置、紫外線殺菌装置及びオゾン殺菌水生成装置を前記収納ボックス内及び/又は新生児浴槽の下部にコンパクトに組み込むことができ、これによって、新生児浴槽ユニットの設置場所の確保が容易で取付施工性及び運搬・取扱性にも優れたものとすることができる。なお、複数の逆浸透膜式純水生成装置を収納する扁平薄型とされた収納ボックス内には、プリカーボンフィルタ及びセディメントフィルタを設置することにより、これらフィルタに大型のもを採用することが可能となり、フィルタエレメントの交換頻度を減らしメンテナンスを有利とすることができる。
【0019】
また、本発明は、原水から純水を生成する逆浸透膜式純水生成装置と、該逆浸透膜式純水生成装置が生成した純水を貯水する貯水タンクと、該貯水タンク内の純水を殺菌処理する紫外線殺菌装置と、前記貯水タンクから純水を送出する加圧送水ポンプと、該加圧送水ポンプから送出される純水を加熱して送出する加熱装置と、該加熱装置から送出される純水を高温純水と低温純水とに混合調節して出水する自動温度調整機能付き水栓とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、貯水タンクに純水を貯水可能とし、しかも、貯水中、純水を殺菌処理して溜めておくことができるため、新生児の入浴時、細菌類等の不純物を全く含まない純水を適温に加熱した状態で自動温度調整機能付き水栓から出水して新生児を入浴させることができ、素肌を刺激することがなく、肌に優しく浸透して入浴後の体温の保温力にも優れている。
【0021】
また、前記逆浸透膜式純水生成装置には、生成した純水にオゾンを加えてオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置が前記加熱装置と並列又は直列に接続されており、該オゾン殺菌水生成装置は、前記加熱装置を通さずに、或いは、前記加熱装置及びオゾン殺菌水生成装置を通してオゾン殺菌水噴霧ノズル及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓からオゾン殺菌水を吐出可能とされていることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、新生児の入浴の前及び/又は後に浴槽をオゾン殺菌水で殺菌清掃することができ、新生児を毎回、清潔で安全・衛生的に入浴させることができる。
また、前記貯水タンクには少なくとも1回の新生児の入浴に使用する水量以上の純水を貯水可能としてあることを特徴としている。
上記構成によれば、新生児の入浴時には、細菌類等の不純物を全く含まない純水を適温に加熱した状態で自動温度調整機能付き水栓から必要十分な量だけ出水して新生児を入浴させることができ、しかも、1回の入浴に使用する水量以上の純水を貯水可能とした容量の貯水タンクを用いたため、小型の逆浸透膜式純水生成装置を採用でき、全体のコンパクト化が図れる。
【0023】
また、前記加熱装置から自動温度調整機能付き水栓に接続されている高温純水と低温純水の配管途中には、外部給湯設備に接続可能とされた給湯配管と原水供給源に接続可能とされた給水配管とに切換接続するための三方切換弁が設置されており、該三方切換弁は、貯水タンク内の貯水量の不足時や純水供給系統の故障時等の緊急時に、自動温度調整機能付き水栓を外部給湯設備への給湯配管と原水供給源への給水配管とに切換接続し、通常時には、前記加熱装置から自動温度調整機能付き水栓に連通接続させるように構成されていることを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、貯水タンク内の貯水量の不足時や純水供給系統の故障時等の緊急時には、外部給湯設備からの温水と原水供給源からの原水を自動温度調整機能付き水栓から出水させることができ、新生児の入浴途中での水不足による不測の中断を回避することができる。
また、前記紫外線殺菌装置は、貯水タンク内の純水を循環ポンプで循環させる純水循環回路の途中に設置されていることを特徴としている。
【0025】
上記構成によれば、貯水タンク内の純水を循環ポンプで紫外線殺菌装置に送り込んで循環殺菌処理することができるため、貯水タンク内で細菌類が繁殖することを防止することができ、TDS(全溶存固形物量)測定値も低く維持させることができる。
また、前記加熱装置から自動温度調整機能付き水栓に接続されている低温純水側の給湯配管の途中には、紫外線殺菌装置が設置されていることを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、貯水タンク以降の配管中や、加圧送水ポンプ内及び加熱装置内に滞留した純水が、例えば、長時間の滞留等によって細菌類が繁殖することがあっても、加熱装置を通して高温で出水される純水は加熱殺菌されるが、低温で出水される純水は殺菌が不足する場合もあり、そのような場合でも、低温側の純水を紫外線殺菌装置で殺菌処理して出水させることができ、TDS(全溶存固形物量)測定値も低く維持させることができる。
【0027】
また、前記新生児入浴装置が新生児浴槽にユニットとして組み込まれていることを特徴としている。
上記構成によれば、適温の純水で肌に優しく安全で衛生的な新生児入浴を可能とした新生児浴槽をユニット商品として製造販売することができる。この場合、浴槽と本装置とが初めから一体的にセットで製造販売される場合だけでなく、既存の浴槽の背面や側面に本装置を別置可能とするために、本装置だけを独立して製造販売する場合とを含むものである。
【0028】
また、前記貯水タンクが扁平薄型とされ、新生児浴槽の背面又は側面に収納ボックスを介して配置され、前記逆浸透膜式純水生成装置、紫外線殺菌装置、加圧送水ポンプ、加熱装置及びオゾン殺菌水生成装置が前記収納ボックス内及び/又は新生児浴槽の下部に収納配置されていることを特徴としている。
上記構成によれば、容量の大きい貯水タンクを新生児浴槽の背面又は側面に収納ボックスを介して配置され、その他の主要装置を該収納ボックス内及び/又は新生児浴槽の下部にコンパクトに組み込み配置することができ、これによって、新生児浴槽の設置場所の確保が容易で取付施工性及び運搬・取扱性にも優れたものとすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、逆浸透膜式純水生成装置を用いて適温に加熱した純水で新生児の入浴を満足に行えるようにすると共に、装置全体をコンパクト化して設置場所の確保を容易としつつ取付施工性及び運搬・取扱性等にも優れた新生児入浴装置及び該装置を備えた新生児浴槽ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態(タンクレスタイプ)に係る新生児入浴装置の全体の配管系統図であって、本装置は、原水供給源CWに並列接続可能とされた複数(図1は3個の場合を示す)の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cと、該複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cへ原水を加圧送水する加圧送水ポンプ2と、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cで生成された純水を加熱して高温純水と低温純水として送出する加熱装置3と、該加熱装置3から送出される低温純水を殺菌処理する紫外線殺菌装置4と、前記加熱装置3から送出される高温純水と前記紫外線殺菌装置4で殺菌処理された低温純水とを混合調節して出水する自動温度調整機能付き水栓5と、前記逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cで生成された純水にオゾンを加えてオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置6と、該オゾン殺菌水生成装置6で生成されたオゾン殺菌水を噴霧するオゾン殺菌水噴霧ノズル7及びオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓8とを備えている。
【0031】
原水供給源CWとしては、水道水、井戸水その他、いずれでも使用可能である。本実施形態においては、水道水、井戸水その他、何れかの原水供給源に一次側給水止水弁9を介して接続される給水配管10から分岐継手11を介して分岐された分岐給水配管12が逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cの一次側に並列接続されている。
上記分岐給水配管12の途中には、自動開閉弁13、逆止弁14、加圧送水ポンプ2、第1水圧計15、プリカーボンフィルタ16、セディメントフィルタ17及び第2水圧計18が上流側から順に設置されており、第2水圧計18の下流で分岐給水配管12が個別給水配管12a〜12cに分岐されて各逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cの一次側にそれぞれ原水供給用電磁弁19a〜19cを介して並列接続されている。
【0032】
上記各逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cの二次側には、個別純水送出配管20a〜20cと個別濃縮水排出配管21a〜21cがそれぞれ接続されている。
各個別純水送出配管20a〜20cは、それぞれ逆止弁22a〜22cを介して共通純水送出配管23に並列接続されており、この共通純水送出配管23には、電磁弁24、逆止弁25、アキュームレータタンク26、第3水圧計27及び加熱装置3が上記順に接続してある。なお、第3水圧計27には、圧力スイッチ28が分岐接続してある。
【0033】
前記各個別濃縮水排出配管21a〜21cは、それぞれニードルバルブなどの絞り弁29a〜29cを介して第1共通排出配管30に並列接続されると共に、濃縮水排出用電磁弁31a〜31cを介して第2共通排出配管32にも並列接続されている。これら第1共通排出配管30と第2共通排出配管32とは濃縮水又は洗浄水を外部に排出するためのもので、途中には、紫外線殺菌装置33が設置されている。
【0034】
前記共通純水送出配管23には、前記電磁弁24の上流側に洗浄水取り出し配管34が分岐接続され、この洗浄水取り出し配管34は、個別洗浄水供給配管35a〜35cに分岐されて各逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cの一次側にそれぞれ洗浄水供給用電磁弁36a〜36cを介して前記個別給水配管12a〜12cと並列に接続されている。
前記各逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cは、内部にメンブレンフィルタを備えており、一次側から供給された原水を濾過して純水を生成し、残りは、濃縮水として分離排出する構成とされている。各装置1a〜1cの純水生成能力は、それぞれ、例えば、4.7リットル毎分とされるが、これに制限されるものではない。
【0035】
上記メンブレンフィルタは、微細な不純物(例えば、塩素、細菌類、その他、0.0001ミクロン以上の溶質)を濾過除去して純水を生成することができるもので、所謂、浸透膜を利用したフィルタであって、通常では、溶液の濃度差により、薄い側から濃い側へ溶液が浸透して濃度が平衡するまで浸透現象が進行するが、上記濃い側の溶液に圧力を掛けてやると、上記浸透膜の部分で逆浸透現象が起こり、これを利用するのが逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cであって、そのための原水側の圧力は、加圧送水ポンプ2によって与えられる。
【0036】
前記プリカーボンフィルタ16は、原水から粗大な不純物除去と脱臭を行うためのものであり、また、前記セディメントフィルタ17は、それよりも細かい不純物(例えば、5ミクロン以上)を濾過除去するためのもので、いずれも、前記各逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cの純水生成機能を可及的に長く良好に維持させるために該装置の前段に設置されている。
【0037】
加熱装置3は、内部に電熱ヒータ又はガスヒータなどの加熱手段が装備されており、前記逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cで生成された純水を加熱して高温給湯配管37と低温給湯配管38とを通して自動温度調整機能付き水栓5に送出するもので、内部に新生児の1回の入浴に使用する容量の平均値(例えば、約50リットル程度)以上の容量の貯湯タンクが装備されており、この貯湯タンクの上部から高温純水が高温給湯配管37を通して、また、貯湯タンクの下部から低温純水が低温給湯配管38を通して自動温度調整機能付き水栓5から出水される。該自動温度調整機能付き水栓5から出水される湯温は、タッチパネルに設けられた温度設定ボタンにより設定可能とされている。なお、加熱装置3から自動温度調整機能付き水栓5に接続されている低温給湯配管38の途中には、紫外線殺菌装置4が設置されている。
【0038】
また、上記加熱装置3から自動温度調整機能付き水栓5に接続されている高温給湯配管37と低温給湯配管38との途中には、外部給湯設備HWに一次側給湯止水弁39を介して連通接続される給湯配管40と前記原水供給源CWに繋がる給水配管10とに切換接続するための三方切換弁41,42が設置されており、この三方切換弁41,42は、純水供給系統の故障時等の緊急時に、例えば、警報ランプを点灯表示させ、切換スイッチにより前記分岐給水配管12の上流の自動開閉弁13を閉鎖させ、同時に三方切換弁41,42を電動モータなどで自動的に切り換えて、自動温度調整機能付き水栓5を外部給湯設備HWに繋がる給湯配管40と原水供給源CWに繋がる給水配管10とに切換接続して、これら給湯配管40と給水配管10とから直接出水可能とされており、通常時には、前記加熱装置3から自動温度調整機能付き水栓5に連通接続させるように構成されている。
【0039】
上記自動温度調整機能付き水栓5には、吐水口5aが設けられている。なお、上記自動温度調整機能付き水栓5は、複数個を並列設置してもよい。また、アキュームレータタンク26は、自動温度調整機能付き水栓5からの出水時や止水時などの共通純水送出配管23系統全体の急激な水圧変動による衝撃を吸収緩和させるために設置されている。
また、前記逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cには、生成した純水にオゾンを混合(オゾン混合濃度設定可能)してオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置6が共通純水送出配管23のアキュームレータタンク26と加熱装置3の途中から分岐する分岐配管43を介して前記加熱装置3と並列に接続されており、該オゾン殺菌水生成装置6は、前記加熱装置3を通さずにオゾン殺菌水噴霧ノズル7及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓8からオゾン殺菌水を吐出可能とされている。具体的には、オゾン殺菌水生成装置6の送水配管44から分岐配管45、46を介してオゾン殺菌水噴霧ノズル7とオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓8とが接続されている。なお、オゾン殺菌水生成装置6は、内部に大気中よりオゾンのみを回収して純水に混合してオゾン殺菌水を生成する装置が装備されている。
【0040】
前記オゾン殺菌水噴霧ノズル7に繋がる分岐配管45の途中には、自動開閉弁47が設けられている。この自動開閉弁47は、新生児の入浴前及び/又は入浴後に行われる浴槽の自動殺菌洗浄時にタイマー等で設定された所定時間又は単独運転時の手動スイッチが投入されている間、開放されると共に加圧送水ポンプ2が駆動され、同時に、オゾン殺菌水生成装置6も動作せしめられて純水にオゾンを混合し、オゾン殺菌水を生成させてオゾン殺菌水噴霧ノズル7からオゾン殺菌水を噴霧させ得るように構成されている。なお、オゾン殺菌水噴霧ノズル7は、複数個が並列接続されている。
【0041】
一方、オゾン殺菌水洗浄シャワー水栓8は、看護士などが手動で開放することにより、その開放されている間だけ、前記加圧送水ポンプ2の駆動、オゾン殺菌水生成装置6によるオゾン殺菌水の生成が行われて、オゾン殺菌水洗浄シャワーヘッド8aからオゾン殺菌水を噴出させて浴槽を殺菌洗浄させ得るように構成されている。
また、自動温度調整機能付き水栓5から新生児浴槽へ入水(湯入れ)中、入浴中及び入浴ブロー中には、オゾン殺菌水噴霧ノズル7及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓8からオゾン殺菌水が吐出されないように分岐配管43を閉鎖する自動開閉弁48が分岐配管43の途中に設置されている。
【0042】
上記図1に示した新生児入浴装置は、図2(A)〜(C)に示すように、新生児浴槽49にユニットとして組み込むことができる。
新生児浴槽49は、大浴槽部49aと小浴槽部49bに仕切壁49cで仕切られており、大浴槽部49a側では新生児の洗浄と入浴が行われ、小浴槽部49b側では上がり湯浴槽として利用される。この新生児浴槽49は、ステンレス製、陶器製、ホーロー製、樹脂製などいずれであってもよい。この新生児浴槽49は、適宜の寸法サイズとされるもので、例えば、上面高さ800mm、左右方向の幅が1000mm、奥行きが560mmとされるが、市販品を利用することができる。
【0043】
この新生児浴槽49に対して、複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cは、図2(A)〜(C)に示す収納ボックス50内に左右幅方向に沿って並列状態で整列収納され、この収納ボックス50が新生児浴槽49の背面に配置されている。
上記収納ボックス50は、既存の壁面や新設の壁面に埋め込みを可能としてもよく、露出させたままとしてもよい。この収納ボックス50は、例えば、高さ2000mm、左右方向幅が1200mm、奥行きが440mmとされ、この収納ボックス50の前面下部に前記新生児浴槽49を取付配置し、この新生児浴槽49を取付配置した状態における収納ボックス50の後面から新生児浴槽49の前面までのトータルした奥行き寸法は1000mmとされている。しかし、具体的な寸法は一例であって、これに制約されるものではない。
【0044】
そして、自動温度調整機能付き水栓5、オゾン殺菌水噴霧ノズル7及びオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓8は、新生児浴槽49の後方上面などの適宜位置に設置される。また、前記逆浸透膜式純水生成装置1a〜1c、加圧送水ポンプ2、加熱装置3、紫外線殺菌装置4、33、オゾン殺菌水生成装置6等の主要機器は、前記収納ボックス50内及び/又は新生児浴槽49の下部に整理整頓して収納配置される。
【0045】
なお、図3における給水配管10、給湯配管40、分岐継手11、自動開閉弁13、47、48、三方切換弁41,42、アキュームレータタンク26、プリカーボンフィルタ16及びセディメントフィルタ17は、新生児浴槽49の下部や収納ボックス50の下部などに整理整頓して適宜収納配置され、また、一次側給水止水弁9及び一次側給湯止水弁39は、新生児浴槽49の下部や収納ボックス50の側面や背面などの適宜箇所に取り付けられる。
【0046】
収納ボックス50の前面一側(例えば、向かって右側)には、タッチパネル(図示省略)が設置され、このタッチパネルには、入浴ボタンの他、運転準備スイッチ、自動洗浄運転スイッチ、純水生成運転スイッチ、個別単独動作スイッチ、緊急時などの切換スイッチ、警報ランプなどが装備される。また、各種自動運転などの設定制御を行うプログラムソフトの設定登録や変更を可能とする入出力装置及び総合的な動作指令や動作制御、判断などを行わせる中央演算装置を収容した制御ボックスが付設される。
【0047】
上記プログラムソフトの内容は、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cを、純水生成運転時、少なくとも1つ、例えば、1cを休止させて運転し、該運転終了後、洗浄運転に移行させ、この洗浄運転では、純水生成運転に関与した1a、1bうちの1つだけ、例えば、1aに原水を供給して純水を生成させ、この純水を他の全て1b、1cの原水供給口へ原水の代わりに供給して装置内部を洗浄させ、その洗浄水は紫外線殺菌装置33を通して外部に排出させ、洗浄後は次回の純水生成運転時まで待機させ、次回の純水生成運転時には、前回の洗浄運転で洗浄用純水の生成に関与したもの1aを休止させ、それ以外の洗浄済みのもの1b、1cで純水生成運転を行わせるようにプログラム制御可能とされている。以後、前記洗浄用純水の生成に関与する生成装置は、複数の生成装置1a〜1c間で順番に使用されるようプログラム制御可能とされている。
【0048】
本発明の第1の実施形態は、以上の構成からなり、次に全体の動作を図1を参照して説明する。
先ず、給水配管10は、一次側給水止水弁9を介して水道水や井戸水などの原水供給源CWに接続される。また、給湯配管40は、一次側給湯止水弁39を介して外部給湯設備HW、例えば、瞬間湯沸器やセントラル給湯設備などに接続される。そして、上記一次側給水止水弁9と一次側給湯止水弁39とが使用に先立って開状態とされる。
【0049】
この状態で、自動純水生成運転スイッチを投入すると、純水生成運転となり、この時、1aと1bを使用し、1cを休止させるために、電磁弁19aを開、19bを開、19cを閉、24を開、31a〜31cを閉、36a〜36cを閉として、加圧送水ポンプ2が駆動されて運転される。
この場合、自動開閉弁13は開放され、三方切換弁41,42は加熱装置3から自動温度調整機能付き水栓5に純水が供給される側に切り換えられている。そして、絞り弁29a〜29cは、一定の絞り状態に固定設定されている。従って、1aと1bの装置だけで純水が生成されて加熱装置3へ送られる。自動温度調整機能付き水栓5又はオゾン殺菌水生成装置6側から純水が出水されて使用されている限り、この状態が継続される。
【0050】
そして、純水の使用が停止されると、第3水圧計27の値が上昇し、予め設定した所定値に達すると、圧力スイッチ28が動作して加圧送水ポンプ2を停止させる。
上記により純水生成運転が終了となる。この後、タイマーなどで設定された所定時間だけ逆浸透膜式純水生成装置1a〜1c内の洗浄運転が自動的に行われる。
この洗浄運転では、1aだけを使用し、1bと1cは休止させ、洗浄を行わせる。そのために、電磁弁19aを開、19bと19cを閉、24を閉、31aを閉、31bと31cを開、36aを閉、36bと36cを開として、加圧送水ポンプ2が駆動される。
【0051】
これにより、1aで純水が生成され、その純水が配管34から配管35b、35cを経て1b、1cの一次側に供給され、1b、1c内に残留している原水や濃縮水は、絞り弁29b、29c側ではなく、開放されている弁31b、31c側を通って第2共通排出配管32から外部に排出され、1b、1c内が純水に置換される。
上記洗浄運転は、所定時間だけ行われ、加圧送水ポンプ2が停止され、次に純水が使用されるときまで待機する。この待機中、第2共通排出配管32や第1共通排出配管30を通って外部から細菌類が侵入する可能性があり、これを紫外線殺菌装置33で防止させている。
【0052】
次に純水が使用されるときには、1aが休止され、1bと1cとを使用して純水の生成が行われる。そして、この場合の洗浄運転は、1bを使用して洗浄用の純水を生成させ、この純水で1aと1cを洗浄させるものである。
以後上記純水生成運転と洗浄運転とが一連のプログラムで自動的に行われ、次回の純水生成運転において休止させるものは前回の洗浄運転において洗浄用純水を生成したものとされ、これを巡回させるものである。
【0053】
上記純水生成運転と洗浄運転とにおける逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cの動作状況と、各電磁弁19a〜19c、31a〜31c、36a〜36c、24の開閉状態とを一覧表にしたものが下記の表1に示してある。但し、表1において、MBは逆浸透膜式純水生成装置を表す略号であり、動=動作、休=休止を表し、また、各電磁弁の開閉状態は、1=開、0=閉を表している。そして、純水生成運転と洗浄運転とが表1中の丸入り数値の1〜6の順番で行われ、これを1サイクルとして、以後、これを反復して巡回させるようにプログラムされている。
【0054】
【表1】

【0055】
なお、洗浄運転中、次の純水の使用が開始されると、第3水圧計27の指示圧力が下がり、圧力スイッチ28の下限設定圧力以下に下がることになり、この状態になると、当該洗浄前の純水生成運転状態に戻って純水の生成が行われるように設定されている。
【0056】
上記のようにして生成された純水を使用して、新生児の入浴が行われる。この場合、タッチパネルに設けられた入浴ボタンを押圧操作することにより、全工程が自動で開始され、新生児浴槽49の殺菌→入水(湯入れ)→入浴→入浴ブロー→排水→洗浄の各工程が順次行われる。この工程の実行は、例えば、産院などにおいて、妊婦の分娩に合わせて開始されるようにプログラムされるものである。
【0057】
上記新生児浴槽49の殺菌工程では、加圧送水ポンプ2の駆動、オゾン殺菌水生成装置6のオゾン生成及び自動開閉弁47、48の開放が行われ、純水にオゾンが加えられたオゾン殺菌水が複数個のオゾン殺菌水噴霧ノズル7から一斉に噴霧されて新生児浴槽49の殺菌洗浄が所定時間(タイマーなどで設定されている時間)だけ行われる。オゾン殺菌水が噴霧された新生児浴槽49は、該浴槽49に付着している細菌類を自動的に殺菌分解処理する。
【0058】
上記殺菌洗浄運転が終了すると、加圧送水ポンプ2の停止、オゾン殺菌水生成装置6のオゾン殺菌水生成の停止及び自動開閉弁47、48の閉鎖が行われ、処理後の水は新生児浴槽49の底部の排水口から自動運転にて電動排水弁が開作動して外部に排水され、排水後、該電動排水弁が閉鎖される。なお、オゾン殺菌水は、殺菌分解処理後に純水に戻る性質が特徴である。
【0059】
これによって、新生児浴槽49の自動殺菌洗浄運転が終了する。
続いて、新生児浴槽49への入水(湯入れ)工程が実行される。この工程では、加熱装置3内の貯湯タンク内の高温純水と低温純水とが高温給湯配管37と低温給湯配管38から自動温度調整機能付き水栓5に供給される。
貯湯タンク内の湯温は、高温給湯配管37から出る側の湯温が所定温度(例えば、75℃)に維持されるように電熱ヒータ又はガスヒータなどがON−OFF制御され、また、低温給湯配管38から出る湯温は所定温度(例えば、5〜15℃)に設定されている。
【0060】
これによって、タッチパネルに設けられた湯温設定スイッチで設定された温度に調整された純水が自動温度調整機能付き水栓5から出水される。所定のレベルになると、看護士などによって大浴槽部49a側で新生児の入浴洗浄が行われ、また、小浴槽部49b側で入浴ブローにより上がり湯で洗浄されてベッドなどに寝かされる。
入浴後、新生児浴槽49内の残り湯の排出が行われ、続いて、オゾン殺菌水による殺菌洗浄が自動的に行われ、次回の入浴時まで待機状態とされる。この待機中に、逆浸透膜式純水生成装置1a〜1c内の自動洗浄が行われる。
【0061】
このように、本発明の第1の実施形態装置によれば、原水から不純物を除去したピュアな純水を新生児の入浴に使用できるため、かぶれなどを防止して安全かつ衛生的に入浴洗浄させることができる。勿論、新生児の1回の入浴に必要な水量以上の純水を供給できると共に、万一、純水量が不足した場合や制御電気系統の故障などの緊急時には、自動開閉弁13が閉鎖されて直ちに三方切換弁41,42が切り換えられて給水配管10及び給湯配管40から自動温度調整機能付き水栓5に出水させることができるため、新生児の入浴途中での水不足や故障による中断は回避することができる。
【0062】
本発明の第1の実施形態装置においては、複数の逆浸透膜式純水生成装置1a〜1cに分けて使用しているため、大容量の純水の出水を可能としながらも整理整頓配置して収納ボックス50内にコンパクトに収納配置させることができ、新生児浴槽49の背面に配置することによって、新生児浴槽ユニット全体をコンパクト化することができ、新生児浴槽ユニットの設置場所の確保が容易で取付施工性及び運搬・取扱性にも優れたものとすることができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施形態(タンクタイプ)について説明する。
図3は本発明の第2の実施形態に係る新生児入浴装置の全体の配管系統図であって、51は逆浸透膜式純水生成装置、52は貯水タンク、53は紫外線殺菌装置、54は加圧送水ポンプ、55は加熱装置、56は自動温度調整機能付き水栓、57はオゾン殺菌水生成装置、58はオゾン殺菌水噴霧ノズル、59はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓を示している。
【0064】
逆浸透膜式純水生成装置51は、原水から粗大物除去と脱臭を行うプリカーボンフィルタ51aと、それより細かい不純物(例えば、5ミクロン以上)を濾過除去するセディメントフィルタ51bと、微細な不純物(例えば、塩素、細菌類、その他、0.0001ミクロン以上の溶質)を濾過除去して純水を生成するメンブレンフィルタ51cとを1組として、上記順に設置され、供給された原水から純水を生成し、残りは、濃縮水として分離排出する構成とされる。
【0065】
上記プリカーボンフィルタ51a及びセディメントフィルタ51bを使用するのは、粗大不純物を濾過除去させ、かつ、脱臭させてメンブレンフィルタ51cの純水生成機能を可及的に長く良好に維持させるためである。
原水としては、水道水、井戸水その他、いずれでも使用可能である。本実施形態においては、水道水、井戸水その他、何れかの原水供給源に一次側給水止水弁60を介して接続される給水配管61から分岐継手62を介して分岐された分岐給水配管63が逆浸透膜式純水生成装置51の一次側に接続されており、この分岐給水配管63の途中には、自動開閉弁64が設置されている。
【0066】
前記メンブレンフィルタ51cは、浸透膜を利用したフィルタであって、通常では、溶液の濃度差により、薄い側から濃い側へ溶液が透過して濃度が平衡するまで透過が進行するのが浸透膜の特性であるが、上記濃い側の溶液に圧力を掛けてやると、上記浸透膜の部分で逆透過現象が起こり、これを利用するのが逆浸透膜式純水生成装置51であって、そのための原水側の圧力は、水道水の場合は、その水圧を利用するのであり、井戸水その他の場合では、専用ポンプの供給水圧を利用するのである。
【0067】
貯水タンク52は、逆浸透膜式純水生成装置51の二次側配管65に連通接続されて前記逆浸透膜式純水生成装置51が生成した純水を貯水するものであって、この貯水タンク52には少なくとも1回の新生児の入浴に使用する水量以上(例えば、80リットル)の純水を貯水可能としてある。この貯水タンク52の上部には、細菌混入防止空気弁66が設置されており、これによって、貯水タンク52内の水位変動に拘わらずタンク内の空気圧を一定に保ち、かつ、細菌の混入を防いでいる。また、貯水タンク52内の純水の貯水量が下限レベルになるとコントローラ(図示省略)を介して前記自動開閉弁64を開放して逆浸透膜式純水生成装置51に原水を供給して純水を生成させて貯水タンク52に貯水させ、上限レベルになると前記コントローラを介して前記自動開閉弁64を閉じて原水の供給を停止させるレベルスイッチ(図示省略)が貯水タンク52に設置されている。
【0068】
紫外線殺菌装置53は、貯水タンク52内の純水を殺菌処理するものであって、貯水タンク52内の純水を循環ポンプ67で循環させる純水循環回路68の途中に設置されている。
加圧送水ポンプ54は、吸入配管69が貯水タンク52の底部に接続され、吐出配管70が加熱装置55の入口部55aに接続されており、タッチパネルに設けられた入浴ボタンの押圧操作に関連してプログラムによりコントローラ(図示省略)を介して駆動・停止制御されて前記貯水タンク52から純水を加熱装置55に送出するものである。なお、自動温度調整機能付き水栓56は、出水する湯温をタッチパネルで自動的に設定することができる構成とされている。
【0069】
加熱装置55は、内部に電熱ヒータ又はガスヒータなどの加熱手段が装備されており、加圧送水ポンプ54から送出される純水を加熱して高温給湯配管71と、低温給湯配管72とを通して自動温度調整機能付き水栓56に送出するもので、内部に1回の新生児の入浴に使用する容量の平均値(例えば、約50リットル程度)の容量の貯湯タンク(図示省略)が装備されており、この貯湯タンクの上部から高温純水が高温給湯配管71を通して、また、貯湯タンクの下部から低温純水が低温給湯配管72を通して自動温度調整機能付き水栓56に供給され、タッチパネルで設定された湯温に対応して該自動温度調整機能付き水栓56から設定温度の純水が出水される。なお、加熱装置55から自動温度調整機能付き水栓56に接続されている低温給湯配管72の途中には、紫外線殺菌装置73が設置されている。
【0070】
また、上記加熱装置55から自動温度調整機能付き水栓56に接続されている高温給湯配管71と低温給湯配管72との途中には、外部給湯設備に一次側給湯止水弁74を介して連通接続される給湯配管75と前記給水配管61とに切換接続するための三方切換弁76,77が設置されており、この三方切換弁76,77は、貯水タンク52内の貯水量の不足時や純水供給系統の故障時等の緊急時に、例えば、警報ランプを点灯表示させ、切換スイッチにより前記三方切換弁76,77を電動モータなどで自動的に切り換えて、自動温度調整機能付き水栓56を外部給湯設備に繋がる給湯配管75と原水供給源に繋がる給水配管61とに切換接続して、これら給湯配管75と給水配管61とから直接出水可能とされており、通常時には、前記加熱装置55から自動温度調整機能付き水栓56に連通接続させるように構成されている。
【0071】
図3では、上記自動温度調整機能付き水栓56に吐水口56aを接続した場合を例示している。
前記逆浸透膜式純水生成装置51には、生成した純水にオゾンを混合(オゾン混合濃度設定可能)してオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置57が加圧送水ポンプ54の吐出配管70の途中から分岐する分岐配管70aを介して前記加熱装置55と並列に接続されており、該オゾン殺菌水生成装置57は、前記加熱装置55を通さずにオゾン殺菌水噴霧ノズル58及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59からオゾン殺菌水を吐出可能とされている。具体的には、オゾン殺菌水生成装置57の送水配管78から分岐配管78a、78bを介してオゾン殺菌水噴霧ノズル58とオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59とが接続されている。なお、オゾン殺菌水生成装置57は、内部に大気中よりオゾンのみを回収して純水に混合してオゾン殺菌水を生成する装置が装備されている。
【0072】
前記オゾン殺菌水噴霧ノズル58に繋がる分岐配管78aの途中には、自動開閉弁79が設けられている。この自動開閉弁79は、新生児の入浴前及び/又は入浴後に行われる浴槽の自動殺菌洗浄時にタイマー等で設定された所定時間又は単独運転時の手動スイッチが投入されている間、開放されると共に加圧送水ポンプ54が駆動され、同時に、オゾン殺菌水生成装置57も動作せしめられて純水にオゾンを混合し、オゾン殺菌水を生成させてオゾン殺菌水噴霧ノズル58からオゾン殺菌水を噴霧させ得るように構成されている。なお、オゾン殺菌水噴霧ノズル58は、複数個が並列接続されている。
【0073】
一方、オゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59は、看護士などが手動で開放することにより、その開放されている間だけ、前記加圧送水ポンプ54の駆動、オゾン殺菌水生成装置57によるオゾン殺菌水の生成が行われて、オゾン殺菌水洗浄シャワーヘッド59aからオゾン殺菌水を噴出させて浴槽を殺菌洗浄させ得るように構成されている。
また、自動温度調整機能付き水栓56から新生児浴槽へ入水(湯入れ)中、入浴中及び入浴ブロー中には、オゾン殺菌水噴霧ノズル58及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59からオゾン殺菌水が吐出されないように分岐配管70aを閉鎖する自動開閉弁80が分岐配管70aの途中に設置されている。
【0074】
上記図3に示した新生児入浴装置は、図4(A)〜(C)に示すように、新生児を入浴させるための新生児浴槽81にユニットとして組み込むことができる。
新生児浴槽81は、大浴槽部81aと小浴槽部81bに仕切壁81cで仕切られており、大浴槽部81a側では新生児の洗浄と入浴が行われ、小浴槽部81b側では上がり湯浴槽として利用される。この新生児浴槽81は、ステンレス製、陶器製、ホーロー製、樹脂製などいずれであってもよい。この新生児浴槽81は、適宜の寸法サイズとされるもので、例えば、上面高さ800mm、左右方向の幅が1000mm、奥行きが560mmとされるが、市販品を利用することができる。
【0075】
一方、貯水タンク52は、図4(A)〜(C)に示すように、ポリプロピレンなどの合成樹脂材又はステンレスなどの不錆乃至錆止め処理された金属材により扁平薄型に製造され、これを収納ボックス82に収納して図4のように新生児浴槽81の背面に配置するものである。
上記収納ボックス82は、既存の壁面や新設の壁面に埋め込みを可能としてもよく、露出させたままとしてもよい。この収納ボックス82は、例えば、高さ2000mm、左右方向幅が1200mm、奥行きが440mmとされ、この収納ボックス82の前面下部に前記新生児浴槽81を取付配置し、この新生児浴槽81を取付配置した状態における収納ボックス82の後面から新生児浴槽81の前面までのトータルした奥行き寸法は1000mmとされている。しかし、具体的な寸法は一例であって、これに制約されるものではない。
【0076】
そして、自動温度調整機能付き水栓56、オゾン殺菌水噴霧ノズル58及びオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59は、新生児浴槽81の後方上面などの適宜位置に設置される。また、前記逆浸透膜式純水生成装置51、貯水タンク52、紫外線殺菌装置53、加圧送水ポンプ54、加熱装置55、オゾン殺菌水生成装置57等の主要機器は、前記収納ボックス82内及び/又は新生児浴槽81の下部に整理整頓して収納配置される。
【0077】
なお、図3における給水配管61、給湯配管75、分岐継手62、自動開閉弁64、79、80、三方切換弁76,77及び紫外線殺菌装置73は、新生児浴槽81の下部や収納ボックス82の下部などに適宜収納配置され、また、一次側給水止水弁60及び一次側給湯止水弁74は、新生児浴槽81の下部側面や背面などの適宜箇所に取り付けられる。
収納ボックス82の前面一側(例えば、向かって右側)には、タッチパネル(図示省略)が設置され、このタッチパネルには、入浴ボタンの他、運転準備スイッチ、自動洗浄運転スイッチ、純水生成運転スイッチ、個別単独動作スイッチ、緊急時などの切換スイッチ、警報ランプなどが装備される。また、各種自動運転などの設定制御を行うプログラムソフトの設定登録や変更を可能とする入出力装置及び総合的な動作指令や動作制御、判断などを行わせる中央演算装置を収容した制御ボックスが付設される。
【0078】
本発明の第2の実施形態は、以上の構成からなり、次に全体の動作を図3を参照して説明する。
先ず、給水配管61は、一次側給水止水弁60を介して水道水や井戸水などの原水供給源に接続される。また、給湯配管75は、一次側給湯止水弁74を介して外部給湯設備、例えば、瞬間湯沸器やセントラル給湯設備などに接続される。そして、上記一次側給水止水弁60と一次側給湯止水弁74とが使用に先立って開状態とされる。この状態で、運転準備スイッチを投入すると、準備運転が開始され、貯水タンク52が空、即ち、下限レベル以下のため、レベルスイッチにより自動開閉弁64が開放される。これにより、原水が逆浸透膜式純水精製装置51に供給され、純水が生成されて貯水タンク52に貯水される。貯水タンク52の上部には細菌混入防止空気弁66が設けてあるため、タンク内水位の変動に拘わらず、タンク内の空気圧を一定に保持し、しかして、外部から細菌類が混入することを防止している。やがて、貯水タンク52内の貯水量が上昇し、ある程度の水量になると、加圧送水ポンプ54が駆動されて貯水タンク52内の純水が加熱装置55に向けて送られ、加熱されて貯湯タンクに溜められる。貯湯タンクが一杯になると、加圧送水ポンプ54の駆動は停止される。そして、貯水タンク52内の純水の貯水量が上限レベルに達すると、自動開閉弁64が閉じられる。
【0079】
これによって、運転準備が終了する。次に新生児の入浴準備のためにタッチパネルの入浴ボタンを押すと、全工程が自動で開始され、新生児浴槽81の殺菌→入水(湯入れ)→入浴→入浴ブロー→排水→洗浄の各工程が順次行われる。この工程の実行は、例えば、産院などにおいて、妊婦の分娩に合わせて開始されるようにプログラムされるものである。
上記上記新生児浴槽81の殺菌は、加圧送水ポンプ54の駆動、オゾン殺菌水生成装置57のオゾン生成及び自動開閉弁79、80の開放が行われ、純水にオゾンが加えられたオゾン殺菌水が複数個のオゾン殺菌水噴霧ノズル58から一斉に噴霧されて新生児浴槽81の殺菌洗浄が所定時間(タイマーなどで設定されている時間)だけ行われる。オゾン殺菌水が噴霧された新生児浴槽81は、該浴槽81に付着している細菌類が自動的に殺菌分解処理される。なお、看護士などの手洗いは、オゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59を手動で開放操作することにより行われる。
【0080】
上記殺菌洗浄工程が終了すると、加圧送水ポンプ54の停止、オゾン殺菌水生成装置57のオゾン殺菌水生成の停止及び自動開閉弁79、80の閉鎖が行われ、処理後の水は新生児浴槽81の底部の排水口から自動運転にて電動排水弁が開作動して外部に排水され、排水後、該電動排水弁が閉鎖される。なお、オゾン殺菌水は、殺菌分解処理後に純水に戻る性質が特徴である。
【0081】
上記殺菌洗浄が終了すれば、入水(湯入れ)工程に移行し、加圧送水ポンプ54が駆動されて加熱装置55の貯湯タンク内の高温純水と低温純水とが高温給湯配管71と低温給湯配管72から自動温度調整機能付き水栓56に向けて送り出し、タッチパネルで設定された湯温の純水を新生児浴槽81に出水する。
なお、緊急時以外のときは、自動開閉弁64は開放されており、また、三方切換弁76,77は、加熱装置55から自動温度調整機能付き水栓56に向けて純水を供給できる状態に切り換えられている。また、新生児浴槽81に入水(湯入れ)中及び入浴中のブロー運転中は、自動開閉弁80が閉鎖されており、オゾン殺菌水噴霧ノズル58及びオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓59は、使用できなくなる。
【0082】
貯湯タンク内の湯温は、高温給湯配管71から出る側の湯温が所定温度(例えば、75℃)に維持されるように電熱ヒータ又はガスヒータなどがON−OFF制御され、また、低温給湯配管72から出る湯温は所定温度(例えば、5〜15℃)に設定されている。
新生児浴槽81に所定レベルまで適温に加熱された純水が供給されると、看護士などによって大浴槽部81aで新生児の入浴洗浄が行われ、続いて、小浴槽部81bで入浴ブローが行われて上がり湯が使われる。その後、自動運転プログラムによって、電動排水弁が開放されて新生児浴槽81内の残り湯が排出される。続いて、オゾン殺菌水による殺菌洗浄が前記と同様に行われ、殺菌洗浄終了後は、次回の新生児入浴時点まで待機状態とされる。
【0083】
この待機状態の間に、純水生成運転が行われて、貯水タンク52内に純水が溜められる。そして、貯水タンク52内に溜められた純水は、循環ポンプ67が駆動されて紫外線殺菌装置53により殺菌処理される。
循環ポンプ67は、自動プログラムにより適宜の形態で運転され、例えば、タイマーなどで設定された時間ごとに一定時間駆動されて貯水タンク52内の純水を循環させ、紫外線殺菌装置53で殺菌処理される。これにより、貯水タンク52内の純水に細菌類が繁殖することが防止される。
【0084】
そして、新生児の入浴のために、次回の入浴ボタンの押圧操作が行われると、再び、前記工程、即ち、新生児浴槽81の殺菌→入水(湯入れ)→入浴→入浴ブロー→排水→洗浄の各工程が順次行われる。そして、以後、上記動作が繰り返される。
このように、本発明の第2に実施形態装置によれば、原水から不純物を除去したピュアな純水を新生児の入浴に使用できるため、かぶれなどの恐れが無く、しかも、適温に加熱できるため、肌に優しく新生児を快適な気分で入浴させることができ、素肌への浸透性がよいために入浴後の体温保持が持続され、安全で衛生的な入浴を可能とする。勿論、1回の入浴に必要な水量以上の純水を供給できると共に、万一、純水量が不足した場合や加圧送水ポンプ54の故障などの緊急時には、三方切換弁76,77を切り換えて給水配管61及び給湯配管75から自動温度調整機能付き水栓56に出水させることができるため、入浴途中での水不足による支障は回避することができる。
【0085】
本発明の第1の実施形態においては、純水タンク52の容量を1回の入浴に必要な水量以上の容量とし、ここに予め純水を溜めておくことができるため、逆浸透膜式純水生成装置51として、小型のものを採用することができ、コスト低減が図れる。しかも、貯水タンク52を扁平薄型として、新生児浴槽81の背面に配置することによって、新生児浴槽ユニット全体をコンパクト化することができ、新生児浴槽ユニットの設置場所の確保が容易で取付施工性及び運搬・取扱性にも優れたものとすることができる。
【0086】
本発明の第1及び第2の実施形態装置は以上の構成と作用効果を有するものであるが、本発明は、上記実施形態にのみ制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で自由に変更して実施してもよい。例えば、第1の実施形態では、例えば、緊急時に給水配管10へ切り換える三方切換弁42は加熱装置3と紫外線殺菌装置4と間に配置してもよい。さらに、本発明の第1の実施形態では、逆浸透膜式純水生成装置を2個以上使用し、2個の場合で、洗浄を行わせる場合は、1個ずつを交互に使用するものとし、3個以上使用する場合は、1個を洗浄用とし、他のもので純水生成を行わせ、かつ、洗浄用を巡回使用するものとすればよい。さらに、第1の実施形態で逆浸透膜式純水生成装置を4個以上使用する場合、純水生成に使用するものと休止させるものとを両方とも複数とし、前回休止させたもので次回の洗浄用純水を作らせて前回使用したものの内部洗浄を行わせ、洗浄の済んだもので次回の純水生成を行わせ、次回は休止させ、これを交互に繰り返させるようにしてもよい。
【0087】
また、第2の実施形態では、自動開閉弁64の代わりにポンプを使用し、貯水タンク52に設置されるレベルスイッチ等でON−OFF制御させてもよい。また、第1及び第2の実施形態では、新生児浴槽の背面に貯水タンクの収納ボックスや逆浸透膜式純水生成装置の収納ボックスを配置した場合を例示したが、これらの収納ボックスは、新生児浴槽の左右何れか一方の側面に配置して実施してもよい。さらに、既存の新生児浴槽に本装置を組み込むようにしてもよい。また、オゾン殺菌水生成装置は、第1の実施形態及び第2の実施形態共に加熱装置に並列設置した場合を例示したが、これらを直列配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る新生児入浴装置の全体の配管系統図である。
【図2】図1の装置を組み込んだ新生児浴槽ユニットの実施例であって、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る新生児入浴装置の全体の配管系統図である。
【図4】図3の装置を組み込んだ新生児浴槽ユニットの実施例であって、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は平面図である。
【符号の説明】
【0089】
1a〜1c 逆浸透膜式純水生成装置
2 加圧送水ポンプ
3 加熱装置
4 紫外線殺菌装置
5 自動温度調整機能付き水栓
6 オゾン殺菌水生成装置
7 オゾン殺菌水噴霧ノズル
8 オゾン殺菌水洗浄シャワー水栓
10 給水配管
40 給湯配管
13 自動開閉弁
19a〜19c 原水供給用電磁弁
20a〜20c 個別純水送出配管
21a〜21c 個別濃縮水排出配管
22a〜22c 逆止弁
23 共通純水送出配管
24 電磁弁
29a〜29c 絞り弁
30 第1共通排出配管
31a〜31c 濃縮水排出用電磁弁
32 第2共通排出配管
33 紫外線殺菌装置
34 洗浄水取り出し配管
35a〜35c 個別洗浄水供給配管
36a〜36c 洗浄水供給用電磁弁
41,42 三方切換弁
49 新生児浴槽
50 収納ボックス
51 逆浸透膜式純水生成装置
52 貯水タンク
53 紫外線殺菌装置
54 加圧送水ポンプ
55 加熱装置
56 自動温度調整機能付き水栓
57 オゾン殺菌水生成装置
58 オゾン殺菌水噴霧ノズル
59 オゾン殺菌水洗浄シャワー水栓
61 給水配管
75 給湯配管
64 自動開閉弁
67 循環ポンプ
71 高温給湯配管
72 低温給湯配管
73 紫外線殺菌装置
76,77 三方切換弁
81 新生児浴槽
82 収納ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水供給源(CW)に並列接続可能とされた複数の逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)と、該複数の逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)へ原水を加圧送水する加圧送水ポンプ(2)と、前記複数の逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)で生成された純水を加熱して高温純水と低温純水として送出する加熱装置(3)と、該加熱装置(3)から送出される低温純水を殺菌処理する紫外線殺菌装置(4)と、前記加熱装置(3)から送出される高温純水と前記紫外線殺菌装置(4)で殺菌処理された低温純水とを混合調節して出水する自動温度調整機能付き水栓(5)とを備えていることを特徴とする新生児入浴装置。
【請求項2】
前記逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)には、生成した純水にオゾンを加えてオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置(6)が前記加熱装置(3)と並列又は直列に接続されており、該オゾン殺菌水生成装置(6)は、前記加熱装置(3)を通さずに、或いは、前記加熱装置(3)及びオゾン殺菌水生成装置(6)を通してオゾン殺菌水噴霧ノズル(7)及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓(8)からオゾン殺菌水を吐出可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の新生児入浴装置。
【請求項3】
前記複数の逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)の上流には、粗大な不純物除去と脱臭を行うプリカーボンフィルタ(16)と、それよりも細かい不純物除去を行うセディメントフィルタ(17)とが設置してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の新生児入浴装置。
【請求項4】
前記複数の逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)は、純水生成運転時、少なくとも1つ(1c)を休止させて運転し、該運転終了後、洗浄運転に移行させ、この洗浄運転では、純水生成運転に関与した(1a)(1b)のうちの1つ(1a)だけに原水を供給して純水を生成させ、この純水を他の全て(1b)(1c)の原水供給口へ原水の代わりに供給して装置内部を洗浄させ、その洗浄水は紫外線殺菌装置(33)を通して外部に排出させ、洗浄後は次回の純水生成運転時まで待機させ、次回の純水生成運転時には、前回の洗浄運転で洗浄用純水の生成に関与したもの(1a)を休止させ、それ以外の洗浄済みのもの(1b)(1c)で純水生成運転を行わせるようにプログラム制御可能とされていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の新生児入浴装置。
【請求項5】
前記洗浄用純水の生成に関与する生成装置は、複数の生成装置(1a)〜(1c)間で順番に使用されるようプログラム制御可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の新生児入浴装置。
【請求項6】
前記加熱装置(3)から自動温度調整機能付き水栓(5)に接続されている高温純水と低温純水の配管(37)(38)の途中には、外部給湯設備(HW)に接続可能とされた給湯配管(40)と原水供給源(CW)に接続可能とされた給水配管(10)とに切換接続するための三方切換弁(41)(42)が設置されており、該三方切換弁(41)(42)は、純水供給系統の故障時等の緊急時に、自動温度調整機能付き水栓(5)を外部給湯設備(HW)への給湯配管(40)と原水供給源(CW)に接続可能とされた給水配管(10)とに切換接続し、通常時には、前記加熱装置(3)から自動温度調整機能付き水栓(5)に連通接続させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の新生児入浴装置。
【請求項7】
前記請求項1〜6の何れかに記載の新生児入浴装置が、新生児浴槽(49)にユニットとして組み込まれていることを特徴とする新生児浴槽ユニット。
【請求項8】
前記新生児入浴装置の複数の逆浸透膜式純水生成装置(1a)〜(1c)が収納ボックス(50)に左右幅方向に沿って並列状態で収納されて新生児浴槽(49)の背面又は側面に配置され、前記加圧送水ポンプ(2)、加熱装置(3)、紫外線殺菌装置(4)及びオゾン殺菌水生成装置(6)が前記収納ボックス(50)内及び/又は新生児浴槽(49)の下部に収納配置されていることを特徴とする請求項7に記載の新生児浴槽ユニット。
【請求項9】
原水から純水を生成する逆浸透膜式純水生成装置(51)と、該逆浸透膜式純水生成装置(51)が生成した純水を貯水する貯水タンク(52)と、該貯水タンク(52)内の純水を殺菌処理する紫外線殺菌装置(53)と、純水使用時に前記貯水タンク(52)から純水を送出する加圧送水ポンプ(54)と、該加圧送水ポンプ(54)から送出される純水を加熱して送出する加熱装置(55)と、該加熱装置(55)から送出される純水を高温純水と低温純水とに混合調節して出水する自動温度調整機能付き水栓(56)とを備えていることを特徴とする新生児入浴装置。
【請求項10】
前記逆浸透膜式純水生成装置(51)には、生成した純水にオゾンを加えてオゾン殺菌水を生成するオゾン殺菌水生成装置(57)が前記加熱装置(55)と並列又は直列に接続されており、該オゾン殺菌水生成装置(57)は、前記加熱装置(55)を通さずに、或いは、前記加熱装置(55)及びオゾン殺菌水生成装置(57)を通してオゾン殺菌水噴霧ノズル(58)及び/又はオゾン殺菌水洗浄シャワー水栓(59)からオゾン殺菌水を吐出可能とされていることを特徴とする請求項9に記載の新生児入浴装置。
【請求項11】
前記貯水タンク(52)には少なくとも1回の新生児の入浴に使用する水量以上の純水を貯水可能としてあることを特徴とする請求項9又は10に記載の新生児入浴装置。
【請求項12】
前記加熱装置(55)から自動温度調整機能付き水栓(56)に接続されている高温純水と低温純水の配管(71)(72)の途中には、外部給湯設備に接続可能とされた給湯配管(75)と原水供給源に接続可能とされた給水配管(61)とに切換接続するための三方切換弁(76)(77)が設置されており、該三方切換弁(76)(77)は、貯水タンク(52)内の貯水量の不足時や純水供給系統の故障時等の緊急時に、自動温度調整機能付き水栓(56)を外部給湯設備への給湯配管(75)と原水供給源への給水配管(61)とに切換接続し、通常時には、前記加熱装置(55)から自動温度調整機能付き水栓(56)に連通接続させるように構成されていることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の新生児入浴装置。
【請求項13】
前記紫外線殺菌装置(53)は、貯水タンク(52)内の純水を循環ポンプ(67)で循環させる純水循環回路(68)の途中に設置されていることを特徴とする請求項9〜12の何れかに記載の新生児入浴装置。
【請求項14】
前記加熱装置(55)から自動温度調整機能付き水栓(56)に接続されている低温純水側の給湯配管(72)途中には、紫外線殺菌装置(73)が設置されていることを特徴とする請求項9〜13の何れかに記載の新生児入浴装置。
【請求項15】
前記請求項9〜14の何れかに記載の新生児入浴装置が、新生児浴槽(81)にユニットとして組み込まれていることを特徴とする新生児浴槽ユニット。
【請求項16】
前記新生児入浴装置の貯水タンク(52)が扁平薄型とされて新生児浴槽(81)の背面又は側面に収納ボックス(82)を介して配置され、前記逆浸透膜式純水生成装置(51)、紫外線殺菌装置(53)、加圧送水ポンプ(54)、加熱装置(55)及びオゾン殺菌水生成装置(57)が前記収納ボックス(82)内及び/又は新生児浴槽(81)の下部に収納配置されていることを特徴とする請求項15に記載の新生児浴槽ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−175179(P2007−175179A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375339(P2005−375339)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(505464420)有限会社ワタリ・システムメカニック (7)
【Fターム(参考)】