新規なスタチン薬剤組成物および関連治療方法
本発明は1種以上のスタチンがオメガ−3油に入っている新規な溶液を提供する。本溶液は容易に生体利用可能である。注目すべきは、本発明の溶液はオメガ−3油を主材料として含有することから、これらは活性材料であるスタチンによる抗高コレステロール血症効果をもたらすばかりでなくまたオメガ−3油も1日当たりに推奨される投与量(即ち、1日当たり約1グラムのオメガ−3油)またはこれの一部の量で与える。本発明はまた1種以上のスタチンの新規な塩も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年8月6日付けで出願した米国仮出願連続番号60/599,543、2004年10月29日付けで出願した米国仮出願連続番号60/623,518および2005年2月24日付けで出願した米国仮出願連続番号60/655,982(これらの内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権の利点を請求するものである。
【0002】
本発明はオメガ−3エステルが基になった油にスタチンが入っている新規な懸濁液を提供するものである。本懸濁液は実質的に全く食物効果を示さず、少量で有効でありかつ容易に生体利用可能である。
【背景技術】
【0003】
血中のコレステロールが高くなることが冠状動脈性心臓病(CHD)の主要な危険因子であることが過去数十年の間に明らかになってきておりかついろいろな研究で脂質を下げる治療によってCHDイベントの危険度を軽減することができることが示された。1987年以前の脂質低下策は本質的に飽和脂肪とコレステロールが低い食事、胆汁酸抑制薬(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸(ニアシン)、フィブレートおよびプロブコールに限られていた。不幸なことに、そのような治療は全部が効力もしくは許容性または両方が限られていた。初めてのHMG−CoA還元酵素阻害剤であるロバスタチン(lovastatin)[MEVACOR(商標);特許文献1を参照]が紹介されて1987年に処方されるようになったことから、医者は初めて血漿中コレステロールの比較的大きな低下を非常に少ない副作用で得ることが可能になった。
【0004】
天然の発酵産物、メバスタチン(mevastatin)およびロバスタチンに加えて、現在では、多様な半合成および完全に合成のHMG−CoA還元酵素阻害剤が存在し、それらにはシムバスタチン(simvastatin)[ZOCOR(商標);特許文献2を参照]、プラバスタチン(pravastatin)ナトリウム塩[PRAVACHOL(商標);特許文献3を参照]、フルバスタチン(fluvastatin)ナトリウム塩[LESCOL(商標);特許文献4を参照]、アトルバスタチン(atorvastatin)カルシウム塩[LIPITOR(商標);特許文献5を参照]およびセリバスタチン(cerivastatin)ナトリウム塩[またリバスタチン(rivastatin)としても知られる;特許文献6を参照]が含まれる。この上に記述したHMG−CoA還元酵素阻害剤は構造的に3−ヒドロキシラクトン環または相当する開環型のジヒドロキシ開環酸(open−acid)として存在し得る部分を含有する種類の化合物(しばしば「スタチン」と呼ばれる)に属する。
【0005】
そのようなジヒドロキシ開環酸の塩を生じさせることも可能であり、実際、この上に述べたように、市販スタチンの数種はジヒドロキシ開環酸塩形態として投与される。ロバスタチンおよびシムバスタチンはラクトン化形態で世界的に販売されている。
【0006】
魚油に由来するオメガ−3油がトリグリセリド低下効果を有することは充分に確立されている。魚油に由来するオメガ−3油を1日当たり約1グラム以上および1グラム以下の両方の量で用いると血清中トリグリセリド濃度が約25%から約40%低下し、血漿中VLDL濃度が低下しかつ血漿中のLDLおよびHDL両方の濃度が上昇することが示された(例えば非特許文献1を参照)。オメガ−3油の摂取量とトリグリセリド低下の間に用量依存関係が存在する。食後のトリグリセリド血は特にオメガ−3油の長期消費に敏感である(非特許文献2)。
【0007】
スタチン投薬形態はいろいろ知られているが、向上した生体利用能を示し、調製および投与が容易でありかつスタチンが示す抗高コレステロール血症効果を向上させる材料を含んで成る商業的に使用可能なスタチン薬剤組成物の必要性が継続して存在する。
【特許文献1】米国特許第4,231,938号
【特許文献2】米国特許第4,444,784号
【特許文献3】米国特許第4,346,227号
【特許文献4】米国特許第5,354,772号
【特許文献5】米国特許第5,273,995号
【特許文献6】米国特許第5,177,080号
【非特許文献1】Harris,William S、Clin.Cardiol.22、(Suppl.II)、II−40−II−43(1999)
【非特許文献2】Kris−Etherton他、Circulation、2002;106:2747
【発明の開示】
【0008】
発明の要約
本発明は、1種以上のスタチンが入っているオメガ−3油が基になった予想外な特性を示す新規な薬剤組成物を提供するものである。本薬剤組成物は容易に生体利用可能である。注目すべきは、本発明の薬剤組成物はオメガ−3油を主材料として含有することから、本薬剤組成物は活性材料であるスタチンによる抗高コレステロール血症効果をもたらすばかりでなくまたオメガ−3油も1日当たりに推奨される投与量(即ち、AHA指針によれば1日当たり1グラムのオメガ−3油)またはこれの一部の量で与える。
【0009】
本発明は、1種以上のスタチンがオメガ−3油の中に入っている懸濁液または不均一製剤を包含する。具体的な態様として、本発明は、1種以上のスタチンの非晶質および/または結晶性粒子がオメガ−3油に入っている懸濁液を提供する。
【0010】
1つの態様における本発明の薬剤組成物は、オメガ−3アルキルエステル、好適にはオメガ−3エチルエステルを含んで成る。別の態様における本発明の薬剤組成物はオメガ−3モノ−、ジ−もしくはトリグリセリド油を含んで成る。
【0011】
別の態様において、本発明は、純度が約90パーセントに等しいか或はそれ以上のオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、EPAおよびDHAが約90パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。
【0012】
別の態様における塩はプラバスタチンのカルシウム塩である。別の態様における塩はフルバスタチンのカルシウム塩である。別の態様における塩はプラバスタチンのマグネシウム塩である。別の態様における塩はプラバスタチンの亜鉛塩である。別の態様における塩は結晶性である。
【0013】
別の態様において、本発明は、純度が約90パーセントに等しいか或はそれ以上のオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび1種以上のスタチンを約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、EPAおよびDHAが約90パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび1種以上のスタチンを約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。
【0014】
別の態様におけるオメガ−3油はオメガ−3エステルである。別の態様におけるオメガ−3油はオメガ−3エチルエステルである。別の態様におけるスタチンはラクトンの形態である。別の態様におけるスタチンは遊離酸である。
【0015】
別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約85重量パーセントである。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99重量パーセントまたはそれ以上である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25から約100重量パーセントの範囲、約40から約100重量パーセントの範囲、約50から約100重量パーセントの範囲、約60から約100重量パーセントの範囲、約70から約100重量パーセントの範囲、約75から約100重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約100重量パーセント、約99重量パーセント、少なくとも約96重量パーセント、少なくとも約92重量パーセント、少なくとも約90重量パーセント、少なくとも約85重量パーセント、少なくとも約80重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約65重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約55重量パーセントまたは少なくとも約50重量パーセントである。
【0016】
別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約84重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25から約95重量パーセントの範囲、約40から約95重量パーセントの範囲、約50から約95重量パーセントの範囲、約60から約95重量パーセントの範囲、約70から約95重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲、約75から約85重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約99重量パーセント、約96重量パーセント、約92重量パーセント、約90重量パーセント、約84重量パーセント、約80重量パーセント、約75重量パーセント、約70重量パーセント、約65重量パーセント、約60重量パーセント、約55重量パーセントまたは約50重量パーセントである。
【0017】
別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約23:19、EPA:DHAの比率を約75:11、EPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約9:2、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約75:1、EPA:DHAの比率を約50:1、EPA:DHAの比率を約25:1、EPA:DHAの比率を約20:1、EPA:DHAの比率を約15:1、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約7.5:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約4:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1.5:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:1.5、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAを約95:1の比率から約1:5の比率、EPA:DHAを約50:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約25:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約10:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約5:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約3:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約2:1の比率から約1:1の比率またはEPA:DHAを約1.5:1の比率から約1:1の比率にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を少なくとも約1:5、EPA:DHAの比率を少なくとも約1:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約1.5:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約2:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約3:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約5:1またはEPA:DHAの比率を少なくとも約10:1にする。
【0018】
本発明は、1種以上のスタチンが入っているオメガ−3エステルが基になった新規で予想外な薬剤を提供する。本薬剤は容易に生体利用可能である。注目すべきは、本発明の薬剤はオメガ−3エステルが基になった油を主材料として含有することから、本薬剤は活性材料であるスタチンによる抗高コレステロール血症効果をもたらすばかりでなくまたオメガ−3油も1日当たりに推奨される投与量(即ち、AHA指針によれば1日当たり1グラムのオメガ−3油)またはこれの一部の量で与える。
【0019】
別の態様において、本発明はスタチンの塩を提供する。別の態様において、本発明はプラバスタチンまたはフルバスタチンの塩を提供する。特定態様では、プラバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンのマグネシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンの亜鉛塩を提供する。別の特定態様では、フルバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の態様では、スタチンの二価塩を提供する。特定態様では、プラバスタチンまたはフルバスタチンの二価塩を提供する。別の態様におけるスタチンの塩は非晶質である。別の態様におけるスタチンの塩は結晶性である。
【0020】
別の態様において、本発明は、スタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の態様において、本発明は、プラバスタチンまたはフルバスタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。特定態様では、プラバスタチンのカルシウム塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンのマグネシウム塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンの亜鉛塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、フルバスタチンのカルシウム塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、スタチンの二価塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。特定態様では、プラバスタチンまたはフルバスタチンの二価塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の態様におけるスタチンの塩の溶媒和物または水和物は非晶質である。別の態様におけるスタチンの塩の溶媒和物または水和物は結晶性である。
【0021】
別の態様では、スタチンの塩を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。別の態様では、スタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。別の態様では、スタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物およびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、スタチンの塩を製造する方法を提供する。
【0023】
別の態様において、スタチンの塩を製造する方法は、
(a)スタチンと塩を溶液中で一緒にし、
(b)前記スタチンの塩の沈澱を開始させ、そして
(c)前記スタチンの前記塩を集める、
ことを含んで成る。
【0024】
別の態様において、段階(a)におけるスタチンは塩であってもよい。例えば、段階(a)におけるスタチンはスタチンのアルカリ金属塩であってもよく、それらは、例えば、これらに限定するものでないが、プラバスタチンのナトリウム塩またはフルバスタチンのナトリウム塩などである。別の態様において、段階(a)における塩はアルカリ土類金属塩であってもよい。例えば、段階(a)における塩はカルシウムまたはマグネシウム塩、例えば、これらに限定するものでないが、酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムなどであってもよい。
【0025】
別の態様において、高コレステロール値(例えば高コレステロール血症における)、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減および/または治療する方法を提供し、これは、そのような予防、軽減および/または治療を必要としている哺乳動物に本発明の薬剤組成物を投与することによる方法である。
【0026】
前記および他の態様を以下の詳細な説明の中により詳細に記述する。
発明の詳細な説明
本明細書で用いる如き下記の用語に下記の個々の意味を持たせる。
【0027】
本明細書で用いる如き用語「心血管系イベント1種または2種以上」および「心血管系疾患」は、冠動脈および/または脳血管イベント1種または2種以上および疾患を指し、これらには、原発性心筋梗塞、続発性心筋梗塞、心筋虚血、狭心症(不安定狭心症を包含)、うっ血性心不全、突然心臓死、脳梗塞、脳血栓症、脳虚血、一過性脳虚血発作などが含まれる。
【0028】
本明細書で用いる如き用語「冠動脈疾患」(CAD)は、冠動脈のアテローム性動脈硬化症、陳旧性心筋梗塞、虚血、狭心症および/または心不全を包含する疾患を指す。
【0029】
本明細書で用いる如き用語「脳血管疾患」は、頭蓋内および/または頭蓋外動脈のアテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血栓症、脳虚血、卒中および/または一過性脳虚血発作を包含する病気を指す。
【0030】
「アルキル」は、炭素原子数が1から10の直鎖もしくは分枝、飽和もしくは不飽和アルキル、環式もしくは非環式炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルには、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが含まれる一方、飽和分枝アルキルには、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、イソペンチルなどが含まれる。不飽和アルキルは隣接して位置する炭素原子の間に二重結合または三重結合を少なくとも1個含有する(またそれぞれ「アルケニル」または「アルキニル」とも呼ぶ)。代表的な直鎖および分枝アルケニルには、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが含まれる一方、代表的な直鎖および分枝アルキニルには、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが含まれる。代表的な飽和環式アルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる一方、不飽和環式アルキルにはシクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが含まれる。本明細書ではシクロアルキルをまた「炭素環式」環系とも呼び、それには炭素原子数が8から14の二環式および三環式環系、例えば1個以上の芳香(例えばフェニル)または非芳香(例えばシクロヘキサン)炭素環式環と縮合しているシクロアルキル(例えばシクロペンタンまたはシクロヘキサン)なども含まれる。オメガ−3の系統的論述に関連して不飽和を指す目的で「アルケニル」を用いることができる。
【0031】
本明細書で用いる如き用語「併用投与」は、スタチンのラセミ化合物または立体異性体の薬学的に受け入れられる塩、溶媒和物、共結晶または多形相物、好適にはスタチンの塩に加えて1種以上の化合物または活性材料を投与することを指すが、それの投与は、所望の治療もしくは予防効果が達成されるように、スタチンのラセミ化合物または立体異性体の薬学的に受け入れられる塩、溶媒和物または多形相物の投与と同時にか或はそれを投与する前に間隔を置いてか或は投与中または投与後に実施可能である。
【0032】
「脂肪酸」は重要な栄養成分である。脂肪酸(また「遊離酸」または「遊離脂肪酸」としても記述)はカルボン酸であり、炭素鎖の長さおよび飽和特性を基にして分類分けされる。短鎖脂肪酸の炭素数は2から約5であり、それらは典型的に飽和である。中鎖脂肪酸の炭素数は約6から約14であり、それらもまた典型的には飽和である。長鎖脂肪酸の炭素数は約15から24またはそれ以上であり、それらもまた飽和または不飽和であり得る。長い方の脂肪酸の場合、不飽和地点が1個以上存在する可能性があることから、それぞれ用語「一不飽和」および「多不飽和」がもたらされる。本発明では炭素数が20以上の長鎖多不飽和脂肪酸(LCPまたはLC−PUFA)を用いる。
【0033】
「長鎖」のモノ−、ジ−、トリ−グリセリド、エステル、脂肪酸などは炭素数が約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24またはそれ以上であると定義し、それらもまた飽和または不飽和であり得る。「中鎖」のモノ−、ジ−、トリ−グリセリド、エステル、脂肪酸などは炭素数が約6、7、8、9、10、11、12、13または14であると定義し、それらもまた飽和または不飽和であり得る。「短鎖」のモノ−、ジ−、トリ−グリセリド、エステル、脂肪酸などは炭素数が約2、3、4または5であると定義し、それらもまた飽和または不飽和であり得る。
【0034】
「モノ−ジグリセリド」および「モノ−ジグリセリド類」は、モノグリセリドとジグリセリドの両方を含んで成る混合物1種または2種以上を指す。モノ−ジグリセリドの非限定例はCapmul(商標)MCMであり、これはモノグリセリドおよびジグリセリドの形態のカプリル脂肪酸とカプリン脂肪酸の混合物を含んで成る。具体的には、モノグリセリドとジグリセリドの特定混合物を本発明に従ってモノ−ジグリセリドと呼ぶことがあり得る。モノ−ジグリセリドは他の種、例えばトリグリセリドおよびグリセロールなどを含有している可能性もある。
【0035】
LC−PUFAは、本分野の通常の技術者に良く知られている一般に認められている命名法に従って、脂肪酸が有する二重結合の数および位置に従って分類分けされる。脂肪酸のメチル末端の最も近くに位置する二重結合の位置に応じて2系列もしくはファミリーのLC−PUFAが存在し、n−3系列は3番目の炭素の所に二重結合を含有する一方、n−6系列は6番目の炭素の所まで二重結合を持たない。このように、アラキドン酸(AAまたはARA)は炭素20個分の鎖長を有しかつ6番目の炭素の所から始まる二重結合を4個有する。その結果として、それを「20:4 n−6」と呼ぶ。同様に、ドコサヘキサエン酸(DHA)は炭素22個分の鎖長を有することに加えてメチル末端から3番目の炭素の所から始まる二重結合を6個有し、従ってそれを「22:6 n−3」と呼ぶ。別の重要なLC−PUFAはエイコサペンタエン酸(EPA)であり、これを(20:5 n−3)と表示する。用語「n−3」と「オメガ−3」を互換的に用いる。
【0036】
AA(n−6系列)およびDHA(n−3系列)がこれらの個々のC18前駆体から生じる生合成経路は異なるが、伸長および不飽和化段階は共通しており、これは充分に理解されている。このように、他の重要なLCPは、そのような生合成経路における前駆体であるC18脂肪酸、例えばn−6経路におけるリノール酸(18:2 n−6)およびガンマ−リノレン酸(18:3 n−6)、およびn−3経路におけるアルファ−リノレン酸(18:3 n−3)およびステアリドン酸(18:4 n−3)などである。
【0037】
脂肪酸はしばしば現実にアルコールでエステル化されたアシル基として存在する。そのように、グリセリドは1種以上の脂肪酸とグリセロール(1,2,3−プロパントリオール)のエステルである。脂肪酸でエステル化されたグリセロールバックボーン分子の位置が1個のみであると「モノグリセリド」が生じ、エステル化された位置が2個であると「ジグリセリド」が生じ、そしてグリセロールが有する3つの位置の全部が脂肪酸でエステル化されると「トリグリセリド」または「トリアシルグリセロール」が生じる。エステル化された位置の全部が同じ脂肪酸を含有する場合のグリセリドは「単純」と呼ばれ、または伴う脂肪酸が異なる場合には「混合」と呼ばれる。燐脂質は特殊な種類のジグリセリドであり、この場合、グリセロールバックボーン上の3番目の位置が窒素含有化合物、例えばコリン、セリン、エタノールアミン、イノシトールなどと燐酸エステルを通して結合している。トリグリセリドおよび燐脂質は、しばしば、これに結合している脂肪酸に応じて、長鎖(炭素数が約15から24またはそれ以上)または中鎖(炭素数が約6から約14)として分類分けされる。
【0038】
典型的な市販のモノグリセリドは、モノグリセリドを含有することに加えてジ−およびトリグリセリドをいろいろな量で含有する。例えば、モノグリセリド[例えばKarlshamns AB(スウェーデン)のAkoline]はモノグリセリドを約50−65%およびジグリセリドを25−35%含有しかつトリグリセリドの含有量は5%以下であり得る。
【0039】
「必須脂肪酸」(EFA)は2種類存在する、即ちアルファ−リノレン酸に由来するn−3(またはオメガ−3)系列とリノール酸に由来するn−6(またはオメガ−6)系列が存在する。
【0040】
「オメガ−3脂肪酸」はn−3多不飽和長鎖脂肪酸(n−3 PUFA)であり、これには非共役シス不飽和結合を少なくとも3個有していて脂肪酸鎖のメチル末端から遠位に位置する不飽和結合が3番目の炭素原子と4番目の炭素原子の間に位置する炭素原子数が少なくとも15の如何なるカルボン酸も含まれると定義する。従って、オメガ−3脂肪酸には、二重結合を5−7個含有していて最後の二重結合が脂肪酸鎖のメチル末端から3番目と4番目の炭素原子の間に位置するC16−C24アルカン酸が含まれる。
【0041】
オメガ−3脂肪酸の例には、ステアリドン酸(SDA、C18:4)、エイコサテトラエン酸(ETA、C20:4)、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5)、ドコサペンタエン酸(DPA、C22:5)およびドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6)が含まれる。本発明の目的で、アルファ−リノレン酸(ALA、C18:3)はオメガ−3脂肪酸であると見なす。「EPA」および「DHA」の如き用語はオメガ−3油の種を指し、そのような油が例えばトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離酸、エステルまたは塩などとして存在するか否かを記述するものではない。
【0042】
オメガ−3脂肪酸には、合成または天然に存在するオメガ−3脂肪酸、例えば魚油、例えば海洋哺乳類(例えばアザラシ)の脂肪、タラ肝油など、くるみおよびくるみ油、麦芽油、菜種油、大豆レシチン、大豆、豆腐、インゲンマメ、バターナット、海草および亜麻油などに存在するオメガ−3脂肪酸が含まれる。また、オメガ−3脂肪酸を遺伝子工学源、例えば遺伝子導入植物などから誘導することも可能である。例えばFrasier他、Nat Biotechnol.2004年5月16日を参照。
【0043】
「オメガ−3油」または「オメガ−3」は、オメガ−3脂肪酸、オメガ−3エステル、オメガ−3アルキルエステルまたはオメガ−3モノ−、ジ−もしくはトリグリセリドの源、例えば魚油、例えば海洋哺乳類(例えばアザラシ)の脂肪、タラ肝油など、くるみおよびくるみ油、麦芽油、菜種油、大豆レシチン由来油、大豆由来油、豆腐由来油、インゲンマメ由来油、バターナット由来油、海草由来油、亜麻−ルリヂサ油および亜麻油などを含んで成る油のいずれかである。Epax(商標)(Pronova Biocare AS)ブランドのオメガ−3油が好適である。本発明の薬剤組成物を製造する時に使用可能な他のオメガ−3油には、これらに限定するものでないが、商標Omegabrite(商標)(Omega Natural Science)およびEpanova(商標)(Tillotts Pharma AG)の下で販売されているオメガ−3油が含まれる。具体的には、エステル、脂肪酸および/またはモノ−ジ−トリグリセリドの特定混合物を本発明に従って油と呼ぶこともあり得る。例えば、オメガ−3エステルと脂肪酸で構成されている混合物は本発明に従うオメガ−3油であると見なすことができる。加うるに、具体的には、1種以上の成分を本発明に従うオメガ−3油に含めないこともあり得る。例えば、具体的には、本発明に従い、オメガ−3油にエステル、脂肪酸および/またはモノ−ジ−トリグリセリドを含めないこともあり得る。このように、例えばオメガ−3エステルで構成されている組成物は本発明に従うオメガ−3油である。
【0044】
「オメガ−3アルキルエステル」の製造は、オメガ−3油とアルコール(好適にはメタノールまたはエタノール)のエステル交換を酸または還元剤のいずれかを用いて行うことで実施可能である。一般的には低級アルキルエステルを生じさせる方が好適であることから、そのようなアルコールは好適には炭素原子を1から6個含有する低級アルキルアルコールである。そのようなアルコールはより好適にはメタノール(グリセリドと反応して脂肪酸残基のメチルエステルを生じる)またはエタノール(グリセリドと反応して脂肪酸残基のエチルエステルを生じる)である。最も好適には、そのようなアルコールはエタノールである。
【0045】
本明細書および請求項全体に渡って用いる用語「結晶性」には、「弱結晶性」と記述する固体も含まれる。
【0046】
用語「アルカリ金属塩」には、これらに限定するものでないが、対イオンがLi、Na、K、Rbまたは別のIA族の対イオンである塩が含まれる。
【0047】
用語「アルカリ土類金属塩」には、これらに限定するものでないが、対イオンがBe、Mg、Ca、Srまたは別のIIA族の対イオンである塩が含まれる。
【0048】
用語「二価」は金属イオンの酸化状態を記述する目的で用いる用語であり、これには、これらに限定するものでないが、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Be2+およびSr2+が含まれる。
【0049】
薬剤組成物および薬剤は2種以上の成分の「体積で表す」混合物であるとして記述可能であり、本明細書では、それを、当該組成物の1成分による体積を全成分の体積で割ることであるとして定義する。その比率を全組成物の体積パーセントに変換するか或はそれとして報告することもあり得る。そのような量をまた「体積/体積」または「パーセント(体積/体積)」で示すこともあり得る。同様に、語句「重量で表す」および「質量で表す」は、当該組成物の1成分による重量または質量を全成分の重量または質量で割ることを記述するものである。その比率を全組成物の重量または質量パーセントに変換するか或はそれとして報告することもあり得る。そのような量をまた「重量/重量」、「質量パーセント」または「パーセント(重量/重量)」で示すこともあり得る。
【0050】
用語「薬剤組成物」および「製剤」を本明細書および請求項の全体に渡って互換的に用いる。
【0051】
用語「E463808」は、EPAを46%とDHAを38%と他のオメガ−3油を8%(質量パーセント)含有していて前記EPA、DHAおよび他のオメガ−3油がエチルエステルである組成を有するオメガ−3油を記述する目的で用いる用語である。
【0052】
用語「E681010」は、EPAを67.8パーセント(mg/g)とDHAを9.9パーセント(mg/g)と他のオメガ−3油を約9.6パーセント(mg/g)含有していて前記EPA、DHAおよび他のオメガ−3油がエチルエステルである組成を有するオメガ−3油を記述する目的で用いる用語である。
【0053】
用語「化学的に安定」または「化学的安定性」は、25℃で2年後のAPI効力(回収API含有量)損失度が≦3.0パーセントである液状製剤を指す。
【0054】
「界面活性剤」および「本発明の界面活性剤」は、これを溶解させた液体の表面張力を変え得る表面活性化合物を指し、これらには、これらに限定するものでないが、ポリオキシル20ステアレート、ポリオキシル35ヒマシ油、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール40ソルビタンジイソステアレート、ポリオキシル40水添ヒマシ油、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリオキシル60ステアレート、ポリソルベート85、ポリソルベート60、ポロキサマー331、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル40ヒマシ油、ポロキサマー188、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン1800、オレイン酸、デスオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、N−カルバモイルメトキシポリエチレングリコール2000−1,2−ジステアロール、ミリスチン酸、ステアレス、ポリオキシル40ステアレート、スクロースステアレート、トコフェロール、ポリオキシルヒマシ油、合成トリグリセリド、トリミリスチン、トリステアリン、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ラウリルスルフェート、ビタミンE、卵黄ホスファチド、ドキュセートナトリウム、ポリソルベート80、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルレシチン、Capryol 90(プロピレングリコールモノカプリレート)、Capryol PGMC(プロピレングリコールモノカプリレート)、デオキシコレート、コレステロール、Cremophor RH、Cremophor EL、プロピレングリコールアルギネート、Croval A−10(PEG 60アーモンドグリセリド)、Labrafil 1944(オレオイルマクロゴール−6グリセリド)、Labrafil 2125(リノレオイルマクロゴール−6グリセリド)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド)、Lauroglycol 90(プロピレングリコールモノラウレート)、Lauroglycol FCC(プロピレングリコールラウレート)、ステアリン酸カルシウム、Lecithin Centromix E、Lecithin Centrophase 152、Lecithin Centrol 3F21B、POE 26グリセリン、Olepal isosteariques(PEG−6イソステアレート)、Plurol diisostearique(ポリグリセロール−3−ジステアレート)、Plurol Oleique CC、POE 20ソルビタントリオレート、Tagat TO(ポリオキシエチレングリセロールトリオレエート)またはSolutol(マクロゴール−15ヒドロキシステアレート)が含まれる。
【0055】
界面活性剤には、また、これらに限定するものでないが、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、Brig−もしくはVolpo系列のポリオキシエチレンアルキルエーテル、Tween−もしくはCrillet系列のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、Cersynt−もしくはMyrj系列のポリオキシエチレンステアレート、レシチン、ポロキサマー、d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS、TPGS)、飽和ポリグリコール化グリセリド(Labrasol、LabrafilおよびGelucires)、コール酸およびコール酸塩、デオキシコール酸およびデオキシコール酸塩、タウロコール酸およびタウロコール酸塩、グリココール酸、ポリビニルピロリドン、コカミン、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、水添ラノリン、ラノリン、ラウレートおよびオレエート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、第四級界面活性剤、硫酸ナトリウム、グリセリル化合物、パルミチン酸およびこれの誘導体、およびオレイン酸およびこれの誘導体も含まれる。
【0056】
PEG含有界面活性剤には、これらに限定するものでないが、Tween 85(商標)、Tween 80(商標)およびCremophor(商標)ELが含まれる。
【0057】
例えば消化を助長するか或は食物効果を低下させる界面活性剤を本発明の薬剤組成物に含有させてもよい。
【0058】
用語「水溶解度」は、特に明記しない限り、約25℃の脱イオン水中で測定した時の溶解度を指す。
【0059】
酸触媒を用いたエステル交換は、例えば、アルコールと酸(例えばHCl)を含有させた混合物の中でトリグリセリドを約0℃から約150℃で好適には非酸化性雰囲気下で水を存在させないでインキュベートすることなどで実施可能である。1つの態様では、トリグリセリド/酸/アルコールの混合物を少なくとも約2時間還流させる。別の態様では、トリグリセリド/酸/アルコールの混合物を約0℃から約50℃に一晩維持する。メチルエステルを生じさせる時にはメタノールを用いてもよく、そしてエチルエステルを生じさせる時にはエタノールを用いてもよい。酸触媒を用いたエステル交換は典型的に可逆的であることから、好適には反応が本質的に完了にまで進行するようにアルコールを大過剰量で存在させる。そのアルコール/酸混合物に入れるトリグリセリドの濃度を好適には約0.1から約15重量%、最も好適には約3重量%にする。酸がHClの場合には、そのアルコール/HCl混合物中のHCl濃度を好適には約4から約15重量%、最も好適には約10重量%にする。そのような混合物の調製は本技術分野で公知のいろいろな方法を用いて実施可能であり、例えば無水塩化水素ガスを無水エタノールの中に吹き込むか、或はアルコール10mL当たりに塩化アセチルを1mL添加する(アルコール中約10重量%のHClを生じさせる)ことなどで実施可能である。
【0060】
HClが最も好適ではあるが、別法として、他の酸を用いることも可能である。そのようなある種の酸は硫酸であり、これを典型的にはアルコール中約0.5から約5重量%の濃度で用いる。しかしながら、硫酸は強い酸化剤であることからそれを好適には長い還流時間(即ち約6時間を超える時間)でも高濃度(即ち約5重量%を超える濃度)でも高温(即ち150℃を超える温度)でも用いないことを注目すべきである。適切な酸の別の例は三フッ化ホウ素であり、これを好適にはアルコール中約1から約20重量%の濃度で用いる。しかしながら、三フッ化ホウ素はHClほど好適ではない、と言うのは、三フッ化ホウ素は望ましくない副生成物をもたらす傾向がより高いからである。
【0061】
塩基触媒を用いたエステル交換では、オメガ−3油にアルコールを用いたエステル交換を塩基性触媒の存在下で受けさせる。この場合の塩基は例えばナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、元素状ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどであってもよい。オメガ−3油と塩基/アルコール混合物の体積比を好適には少なくとも約1:1、最も好適には約1:2にする。アルコール中の塩基濃度を好適には約0.1から約2Mにする。この塩基触媒を用いたエステル交換反応は室温(即ち約20℃から約25℃の温度)で約6から約20時間実施可能である。別法として、この塩基触媒を用いたエステル交換反応を室温より高い温度で実施する。
【0062】
そのグリセリド/アルコール/触媒溶液を好適には少なくとも約40℃、より好適には約70から約150℃、最も好適には約100℃の温度に加熱する。その溶液の加熱は反応混合物がこの混合物中の1種以上の成分が示す沸点より高い温度に加熱され得るが前記成分が気相の中に失われないように還流冷却器を用いて実施可能である[即ち前記成分が蒸発した時、それは上昇して前記還流冷却器(これの温度の方が低い)の中に入り込むことで、その蒸気が凝縮して液体になりそして前記液状混合物の中に流れ込んで戻る]。
【0063】
このエステル交換反応中、反応混合物を好適には非酸化性雰囲気、例えば本質的に貴ガス、N2またはこれらの組み合わせで構成させた雰囲気など下に置く。特に、このエステル交換反応を実施する時間が約10分間を超える場合には、そのような雰囲気を用いるのが好適である。また、自動酸化が起こらないように油溶性抗酸化剤(例えばパルミチン酸アスコルビルまたは没食子酸プロピル)を反応混合物に添加することも可能であり、特に、非酸化性雰囲気を用いない場合に好適である。
【0064】
オメガ−3アルキルエステルには、EPAのエチルエステルおよびDHAのエチルエステルが含まれる。E463808、OMEGA−3/90(KD Pharma)およびIncromega(Croda/Bioriginal)オメガ−3エチルエステルがオメガ−3アルキルエステルの数例である。
【0065】
本発明は、スタチン1種または2種以上の1種以上の塩がオメガ−3油の中に入っている懸濁液を包含する。1つの態様における懸濁液ではスタチン1種または2種以上の1種以上の塩の固体状結晶性粒子がオメガ−3油の中に入っている。別の態様における懸濁液ではスタチン1種または2種以上の1種以上の塩の固体状非晶質粒子がオメガ−3油の中に入っている。別の態様における懸濁液ではスタチン1種または2種以上の1種以上の塩の固体状結晶性粒子と固体状非晶質粒子がオメガ−3油の中に入っている。また、スタチン1種または2種以上の1種以上の塩がオメガ−3油の中にスタチン1種または2種以上の前記1種以上の塩の一部がオメガ−3油または当該組成物の別の成分の中に溶解している懸濁液を含んで成る薬剤組成物も本発明に包含させる。例えば、別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていてスタチン1種または2種以上の約1.00、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、10.00、11.00、12.00、13.00、14.00または15.00重量パーセントが溶液の状態で存在する一方で残りのスタチン1種または2種以上が懸濁状態で存在する薬剤組成物を提供する。
【0066】
別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約80重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約85重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約90重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約95重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約99重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。
【0067】
別の態様において、具体的には、場合により、スタチンの特定塩は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、例えばプラバスタチンナトリウムは本発明に含まれない可能性がある。
【0068】
油の純度が本発明の重要な面である。油の純度は油組成物全体を基準にした1成分のパーセント(例えば体積または重量で表す)であるとして定義する。油成分の数例には、これらに限定するものでないが、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、遊離酸、エステル、およびこれらの誘導体、前駆体および塩が含まれる。例えば、純度が95重量パーセントのエステル油のエステル含有量は少なくとも95パーセントである。パーセントの残りを遊離酸、モノ−、ジ−および/またはトリグリセリドまたは他の成分が構成していてもよい。別の例として、純度が90重量パーセントのオメガ−3エステル油のオメガ−3エステル含有量は少なくとも90パーセントでありそしてパーセントの残りを他の油成分の中のいずれか1種以上が構成していてもよい。純度を測定する時にある成分(例えばC8およびC10エステル)の混合物の中の種の違いを分かる必要はない。しかしながら、また、ある成分の中の特定種(例えばC8およびC10エステル)を区別することを本発明の具体的態様に含めることもあり得る。
【0069】
本発明に従い、純度が約85パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセントまたはそれ以上のパーセントのオメガ−3油が好適である。オメガ−3エステルの純度が高いオメガ−3油が好適である。本発明に従い、高純度のオメガ−3油は、1成分を重量または体積で表して約85パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセントまたはそれ以上のパーセントで含んで成る。好適なオメガ−3エステルには、これらに限定するものでないが、EPAおよびDHAが含まれる。より好適なオメガ−3エステルにはオメガ−3エチルエステルが含まれる。
【0070】
油の組成が本発明の別の重要な面である。油の組成は油に含まれる種および成分の両方として記述可能である。種には、特定のオメガ−3油、例えばこれらに限定するものでないが、EPA、DHA、リノール酸、リノレン酸などが含まれる。成分には、これらに限定するものでないが、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、遊離酸、エステルおよびこれらの誘導体、前駆体および塩が含まれる。例えば、E463808はEPAをエチルエステルとして約46%およびDHAをエチルエステルとして約38%含有する(質量パーセント)。その残りの部分は本質的にEPAおよびDHA以外のオメガ−3油および他の非オメガ−3油で構成されている。他の市販オメガ−3油にモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エステル、遊離酸などまたはこれらの混合物の如き成分として入っているEPAとDHAの濃度はより高いか或はより低い。EPAとDHAの質量パーセントが約55パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油が好適である。EPAとDHAの質量パーセントが約75パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油がより好適である。EPAとDHAの質量パーセントが約80パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油が最も好適である。
【0071】
本発明に従い、オメガ−3アルキルエステルと別の形態のオメガ−3油(例えば脂肪酸、トリグリセリド)の混合物も包含させる。高純度または純粋なアルキルエステルを含有する油を本発明に包含させる。
【0072】
別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約85重量パーセントである。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99重量パーセントまたはそれ以上である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25から約100重量パーセントの範囲、約40から約100重量パーセントの範囲、約50から約100重量パーセントの範囲、約60から約100重量パーセントの範囲、約70から約100重量パーセントの範囲、約75から約100重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約100重量パーセント、約99重量パーセント、約96重量パーセント、約92重量パーセント、約90重量パーセント、約85重量パーセント、約80重量パーセント、約75重量パーセント、約70重量パーセント、約65重量パーセント、約60重量パーセント、約55重量パーセントまたは約50重量パーセントである。
【0073】
別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約84重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25から約95重量パーセントの範囲、約40から約95重量パーセントの範囲、約50から約95重量パーセントの範囲、約60から約95重量パーセントの範囲、約70から約95重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲、約75から約85重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約99重量パーセント、約96重量パーセント、約92重量パーセント、約90重量パーセント、約84重量パーセント、約80重量パーセント、約75重量パーセント、約70重量パーセント、約65重量パーセント、約60重量パーセント、約55重量パーセントまたは約50重量パーセントである。
【0074】
別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約23:19、EPA:DHAの比率を約75:11、EPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約9:2、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約75:1、EPA:DHAの比率を約50:1、EPA:DHAの比率を約25:1、EPA:DHAの比率を約20:1、EPA:DHAの比率を約15:1、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約7.5:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約4:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1.5:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:1.5、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAを約95:1の比率から約1:5の比率、EPA:DHAを約50:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約25:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約10:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約5:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約3:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約2:1の比率から約1:1の比率またはEPA:DHAを約1.5:1の比率から約1:1の比率にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を少なくとも約1:5、EPA:DHAの比率を少なくとも約1:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約1.5:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約2:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約3:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約5:1またはEPA:DHAの比率を少なくとも約10:1にする。
【0075】
具体的には、1つの態様において、オメガ−3油の上述または他に示した比率、組成または純度の中のいずれか1つ以上は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、例えば、EPA:DHA比が3.3:2、2.1:1、3.1:2、1.9:1、1.7:1、1.4:1、1.1:1、1:1および1:1.8は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、また、EPA:DHA比が約1:1から約2:1は本発明に含まれない可能性がある。加うるに、具体的には、EPAとDHAが例えば約80.2、83.4、83.7、86.6、87.7または90.2重量パーセントの組成を包含するオメガ−3油は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、EPAが46パーセントでDHAが38パーセントのオメガ−3エチルエステルを90パーセント(重量/重量)含有するオメガ−3油[例えばOMACOR(商標)]は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、EPA:DHAを2:1に等しいか或はそれ以上の比率で含有するオメガ−3油は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、EPA:DHA比が例えば約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1またはそれ以上のオメガ−3油は含まれない可能性がある。具体的には、EPAとDHAを75、80、85、90、91、92、93、94または95重量パーセントに等しいか或はそれ以上の量で含有するオメガ−3油は含まれない可能性がある。具体的には、EPA:DHAを約1:5、4.5:1、95:1、7.5:1または1.21:1に相当する比率で含有するオメガ−3油は本発明に含まれない可能性がある。また、具体的には、他の市販オメガ−3油も本発明に従って含まれない可能性があり、それらには、これらに限定するものでないが、Croda International(英国)およびPronova Biocare(ノルウェー)から入手可能なそれらが含まれる。
【0076】
本明細書で用いる如き「スタチン」には、これらに限定するものでないが、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチンおよびセリバスタチンが含まれる。スタチンは塩、水和物、溶媒和物、多形相物または共結晶の形態であってもよい。スタチンはまた塩の水和物、溶媒和物、多形相物または共結晶の形態であってもよい。スタチンはまた本発明に従って遊離酸またはラクトン形態でも存在し得る。
【0077】
用語「有効量」、「治療有効量」または「治療的に有効な量」は、本発明に従う組成物がこれの投与または使用の文脈の範囲内で所望の結果(例えば血漿中トリグリセリド濃度を下げることを包含)をもたらすに有効でありかつ推奨されるオメガ−3油摂取量をもたらすに有効な量または濃度を意味する。従って、本明細書全体に渡って用語「有効量」を本発明に従う薬剤組成物が治療すべき病気または状態の好ましい変化をもたらすようにそれを用いることができる濃度または量を記述する目的で用いる(その変化が血漿中トリグリセリド濃度の低下であるか或は血漿中LDL濃度の上昇であるか或は他の好ましい生理学的結果であるかに拘わらず)。
【0078】
用語「患者」には動物、好適には哺乳動物、最も好適にはヒトが含まれる。
【0079】
「腸溶性被膜」は、酸に不安定な薬剤を胃液の攻撃から保護する手段を指す。いろいろな腸溶性被膜は活性薬剤を胃腸管の基部で迅速に放出し得る。いろいろな腸溶性被膜が本分野の技術者に公知であり、それらには、非限定例としてメタアクリル酸とメタアクリレートのアニオン性重合体で構成されている被膜(カルボキシル基を含有する)が含まれる。Eudragit(商標)L100(Rohm Pharma)が好適な腸溶性被膜である。
【0080】
AUCは、薬剤投与後の時間と対比させた薬剤の血漿中濃度のプロット下の面積(濃度の対数ではない)である。前記面積を便利には「台形法則」で測定する。データ点を直線分でつなぎ、横座標から各データ点に至る垂線を引き、そしてそのようにして作られた三角形および台形の総面積を計算する。最後の測定濃度(時間tnの時のCn)がゼロではない時、tnから無限時間までのAUCをCn/kelで推定する。
【0081】
AUCは、特に、薬剤が示す生体利用率を推定しようとする時および薬剤の総クリアランス(ClT)を推定しようとする時に用いられる。静脈内投与を1回行った後、一次排泄動態に従う単一コンパートメントシステム(single compartment systems)の場合にはAUC=D/ClT[ここで、Dは用量である]であり、別法として、AUC=C0/kel[ここで、kelは薬剤排泄速度定数である]である。静脈内経路以外の経路を用いる時は、AUC=F・D/ClT[ここで、Fは薬剤が示す絶対的生体利用率である]である。
【0082】
1種以上のスタチンが示すAUCを本発明の薬剤組成物を基準組成物[例えばPRAVACHOL(商標)]と比べた時の相対的生体利用度の指標として用いることができる。
【0083】
本発明は、別の態様において、スタチンの塩を提供する。特定態様では、プラバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンのマグネシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンの亜鉛塩を提供する。別の特定態様では、フルバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の特定態様では、スタチンの二価塩を提供する。別の態様におけるスタチンの塩は非晶質である。別の態様におけるスタチンの塩は結晶性である。
【0084】
別の態様では、スタチンの塩を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。
【0085】
別の態様において、本発明はスタチンの塩を製造する方法を提供する。
【0086】
別の態様において、スタチンの塩を製造する方法は、
(a)スタチンと塩を溶液中で一緒にし、
(b)前記スタチンの塩の沈澱を開始させ、そして
(c)前記スタチンの前記塩を集める、
ことを含んで成る。
【0087】
別の態様において、段階(a)におけるスタチンは塩であってもよい。例えば、段階(a)におけるスタチンはスタチンのアルカリ金属塩であってもよく、それらは、例えば、これらに限定するものでないが、プラバスタチンのナトリウム塩またはフルバスタチンのナトリウム塩などである。別の態様において、段階(a)における塩はアルカリ土類金属塩であってもよい。例えば、段階(a)における塩はカルシウムまたはマグネシウム塩、例えば、これらに限定するものでないが、酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムなどであってもよい。
【0088】
別の態様において、段階(b)における沈澱の開始は、前記溶液を冷却するか、前記溶液またはこれの一部に蒸発を受けさせるか、或は本分野の技術者に公知の技術の中の1つ以上を用いて達成可能である。
【0089】
別の態様において、段階(c)で塩を集めることは、濾過、傾斜法または本分野の技術者に公知の技術の中のいずれか1つ以上を用いて達成可能である。
【0090】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤はオメガ−3エステルを約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびプラバスタチンの塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80mg含有して成る。
【0091】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤はオメガ−3エステルを約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびフルバスタチンの塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。
【0092】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤はオメガ−3エチルエステルを約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。
【0093】
本発明に従い、スタチンの塩の質量の測定では、遊離形態の質量を基準にして測定を実施する。例えば、スタチンの塩の量が80mgであることは遊離形態のスタチンが80mgであることを指し、カチオンの質量は含めない。
【0094】
別の態様では、本発明に従う薬剤組成物に増粘剤、例えばこれらに限定するものでないが、炭酸カルシウムまたは二酸化ケイ素などを添加してもよい。
【0095】
別の態様において、本発明の薬剤組成物または薬剤は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに8週間に及んで貯蔵可能である。別の態様において、本発明の薬剤組成物は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに12週間に及んで貯蔵可能である。別の態様において、本発明の薬剤組成物は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに16週間に及んで貯蔵可能である。別の態様において、本発明の薬剤組成物は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに26週間に及んで貯蔵可能である。
【0096】
別の態様において、プラバスタチンのカルシウム塩がオメガ−3油の懸濁液に入っている状態で示す安定性は本実施例で示すように他のプラバスタチン塩のそれに比べて予想外に高い。驚くべきことに、プラバスタチンのカルシウム塩がオメガ−3油に入っている懸濁液の状態で示す安定性は他のプラバスタチン塩、例えばナトリウムおよびカリウム塩などが示すそれに比べて高い。本発明に従い、また、プラバスタチンのマグネシウムおよび亜鉛塩およびフルバスタチンのカルシウム塩も好適である。
【0097】
別の態様において、プラバスタチンの亜鉛塩がオメガ−3油とアルコールに入っている懸濁液の状態で示す安定性は本実施例で示すように他のプラバスタチン塩のそれに比べて予想外に高い。驚くべきことに、プラバスタチンの亜鉛塩がオメガ−3油に入っている懸濁液の状態で示す安定性は他のプラバスタチン塩、例えばナトリウム、カルシウムおよびカリウム塩などが示すそれに比べて高い。
【0098】
別の態様では、高コレステロール値(例えば高コレステロール血症における)、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減および/または治療する方法を提供し、これは、そのような予防、軽減および/または治療を必要としている哺乳動物に本発明の薬剤組成物を投与することによる方法である。別の態様において、前記哺乳動物はヒトである。
【0099】
別の態様において、本発明は、水溶解度が約200.00mg/mL未満のスタチン塩を包含する。それは例えば約200.00、190.00、180.00、170.00、160.00、150.00、140.00、130.00、120.00、110.00、100.00、90.00、80.00、75.00、70.00、65.00、60.00、55.00、50.00、45.00、40.00、35.00または30.00mg/mL未満である。別の態様において、本発明は、水溶解度が約25.00mg/mL未満または水溶解度が約0.10mg/mLから約25mg/mLの範囲のスタチン塩を包含する。別の態様において、本発明は、水溶解度が約200.00mg/mL未満のプラバスタチン塩を包含する。それは例えば約200.00、190.00、180.00、170.00、160.00、150.00、140.00、130.00、120.00、110.00、100.00、90.00、80.00、75.00、70.00、65.00、60.00、55.00、50.00、45.00、40.00、35.00mg/mL未満または30.00mg/mL未満である。別の態様において、本発明のプラバスタチン塩が示す水溶解度は約25.00mg/mLまたは0.10mg/mLから約25mg/mLの範囲の水溶解度である。別の態様において、本発明は、水溶解度が(約)25.00、24.00、23.00、22.00、21.00、20.00、19.00、18.00、17.00、16.00、15.00、14.00、13.00、12.00、11.00、10.00、9.00、8.00、7.00、6.00、5.00、4.00、3.00、2.00、1.00、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20または0.10mg/mL未満のスタチン塩もしくはプラバスタチン塩を包含する(前記溶解度値は0.01mg/mLの間隔の如何なる分数の溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると理解されるべきであり、そのような溶解度を簡潔さおよび本明細書が過度に長くならないようにする目的で本明細書に含めなかった)。不溶な塩(溶解度が0.00mg/mLの塩)は本発明の範囲内に含めない。水溶解度が約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの前記範囲は0.01mg/mLの間隔で約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの範囲の如何なる分数溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると解釈されるべきである。また、本発明のプラバスタチン塩が示す水溶解度はX.YZmg/mL未満(ほぼそれ未満)[ここで、Xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25であり、Yは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり、そしてZは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である(但し、Xが0の時にはYおよびZの両方ともが0になり得ることはない、即ちX、YおよびZの各々が独立して0であり得ることはないことを条件とする)]の水溶解度であるとしても記述可能である。
【0100】
別の態様において、本発明は、水溶解度が約200.00mg/mL未満のフルバスタチン塩を包含する。それは例えば約200.00、190.00、180.00、170.00、160.00、150.00、140.00、130.00、120.00、110.00、100.00、90.00、80.00、75.00、70.00、65.00、60.00、55.00、50.00、45.00、40.00、35.00mg/mL未満または30.00mg/mL未満である。別の態様において、本発明は、水溶解度が約25.00mg/mLまたは水溶解度が約0.10mg/mLから約25mg/mLのフルバスタチン塩を包含する。別の態様において、本発明は、水溶解度が約25.00、24.00、23.00、22.00、21.00、20.00、19.00、18.00、17.00、16.00、15.00、14.00、13.00、12.00、11.00、10.00、9.00、8.00、7.00、6.00、5.00、4.00、3.00、2.00、1.00、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20または0.10mg/mL未満のフルバスタチン塩を包含する(前記溶解度値は0.01mg/mLの間隔の如何なる分数の溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると理解されるべきであり、そのような溶解度を簡潔さおよび本明細書が過度に長くならないようにする目的で本明細書に含めなかった)。不溶な塩(溶解度が0.00mg/mLの塩)は本発明の範囲内に含めない。水溶解度が約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの前記範囲は0.01mg/mLの間隔で約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの範囲の如何なる分数溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると解釈されるべきである。また、本発明のフルバスタチン塩が示す水溶解度はX.YZmg/mL未満(ほぼそれ未満)[ここで、Xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25であり、Yは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり、そしてZは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である(但し、Xが0の時にはYおよびZの両方ともが0になり得ることはない、即ちX、YおよびZの各々が独立して0であり得ることはないことを条件とする)]の水溶解度であるとしても記述可能である。
【0101】
別の態様において、本発明は、上述した如きスタチン塩の水溶解度が約25mg/mL未満である前記スタチン塩の薬剤組成物を提供する。
【0102】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約200mg/mL未満のスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約50mg/mL未満のスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約25mg/mL未満のスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。特定態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約15−17mg/mLのスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約0.5mg/mLのスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約0.3mg/mLのスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。
【0103】
オメガ−3油の治療的に受け入れられる1日当たりの用量をいくつかの国民グループおよび国際グループが推奨または考慮しており、そのようなグループには、これらに限定するものでないが、American Heart Association(AHA)およびInternational Society for the Study of Fattly Acids and Lipids(ISSFAL)が含まれる。表1に、いくつかの組織が考察/推奨する如きオメガ−3の1日当たりの用量を含める。
【0104】
【表1】
【0105】
薬剤組成物および投薬形態物
本発明の薬学的投薬形態物は経口、非経口、吸入、噴霧、局所、直腸、鼻、頬、膣または移植貯留で投与可能である。経口および非経口薬剤組成物および投薬形態物が好適な投薬形態物である。経口投薬形態物は好適には均一もしくは不均一製剤、非経口投薬形態物またはカプセル製剤(これらに限定するものでないが、硬質ゼラチンカプセル、澱粉カプセル、HPMCカプセルおよび軟質弾性ゼラチンカプセルを包含)である。他の好適な投薬形態物には、皮内投薬形態物、筋肉内投薬形態物、皮下投薬形態物および静脈内投薬形態物が含まれる。
【0106】
本発明の薬学的単位投薬形態物は患者に経口、粘膜(例えば鼻、舌下、膣、頬または直腸)、非経口(例えば筋肉内、皮下、静脈内、動脈内またはボーラス注射)、局所または経皮投与するに適する。投薬形態物の例には、これらに限定するものでないが、カプセル、分散液、座薬、軟膏、パップ(湿布)、ペースト、粉末、包帯剤、クリーム、プラスター、溶液、パッチ、エーロゾル(例えば鼻スプレーまたは吸入器)、ゲル、患者に経口または粘膜投与するに適した液状投薬形態物[懸濁液(例えば非水性液状懸濁液など)、溶液およびエリキシルを包含]および患者に非経口投与するに適した液状投与形態物が含まれる。
【0107】
本発明の投薬形態物の組成、形状および種類は典型的にそれらの使用に応じて多様である。例えば、病気または疾患の緊急治療で用いる投薬形態物に含有させる活性材料の量は、同じ病気または疾患の長期治療で用いる経口投薬形態物のそれよりも多くてもよい。同様に、非経口投薬形態物に含有させる活性材料の量は、同じ病気または疾患の治療で用いる経口投薬形態物のそれよりも少なくてもよい。本発明で意図する特定の投薬形態物を互いに変える前記および他の様式は本分野の技術者に容易に明らかであろう。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、Mack Publishing、Easton PA(1995)を参照。
【0108】
本発明の典型的な投薬形態物のスタチン含有量は約1mgから約160mg、好適には約5mgから約160mgの量である。例えば、スタチンもしくはスタチン塩の含有量が5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mgの投薬形態物が好適である。
【0109】
経口投薬形態物
経口投与に適した本発明の薬剤組成物は個別の投薬形態物、例えばこれらに限定するものでないが、この上に記述した如きカプセルなどおよび液体、例えばこれらに限定するものでないが、シロップ、エリキシル、溶液または懸濁液などの形態として提供可能である。そのような投薬形態物の調製は本分野の技術者に良く知られた医薬方法を用いて実施可能である。一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、Mack Publishing、Easton PA(1995)を参照。
【0110】
制御放出投薬形態物
スタチンを制御または遅延放出手段で投与してもよい。制御放出薬品は、対照物が制御されないで放出されることで達成される薬剤治療に比べて薬剤治療を向上させようとする共通の目標を有する。理想的には、最適にデザインした制御放出製剤を医学治療で用いることは、そのような病気を治療または抑制する目的で用いられる薬剤物質の量を最低限の時間で最低限にしようとすることで特徴づけられる。制御放出製剤の利点には、1)当該薬剤が活性を示す時間が長いこと、2)投薬頻度が少ないこと、3)患者による受け入れが向上すること、4)薬剤総使用量が少なくなること、5)局所もしくは全身の副作用が低下すること、6)薬剤蓄積量が最低限になること、7)血中濃度変動が低下すること、8)治療効果が改善すること、9)薬剤活性の増強もしくは損失の度合が低下すること、および10)病気または状態を抑制する速度が向上することが含まれる(Kim,Cherng−ju、Controlled Release Dosage Form Design、2 Technomic Publishing、Lancaster、Pa.:2000)。本発明では、肝臓および脂質粒子生成部位を標的にする度合がより大きくなるようにすると制御放出の利点が得られるであろう。
【0111】
通常の投薬形態物では、一般に、その製剤から薬剤が急速または即座に放出される。通常の投薬形態物を用いると、薬剤の薬理学および薬物動態に応じて、患者の血液または他の組織中の薬剤濃度が幅広く変動する可能性がある。そのような変動はいろいろなパラメーター、例えば投薬頻度、作用の開始、効力持続期間、血中治療レベルの維持、毒性、副作用などに影響を与える可能性がある。有利には、制御放出製剤を用いて薬剤が作用を示し始める時点、作用の持続期間、治療範囲内の血漿中濃度およびピーク血中濃度を調節することができる。特に、制御もしくは長期放出投薬形態物または製剤を用いると、起こり得る副作用および安全性[両方とも薬剤投与下で起こり得る(即ち最小限の治療レベル未満になる)]の懸念を最小限にしながら薬剤の最大の効果を達成することを確保することができるばかりでなく薬剤が毒性を示す濃度を超えないようにすることを確保することができる。
【0112】
大部分の制御放出製剤は、最初に薬剤(活性材料)を所望の治療効果を迅速にもたらす量で放出しそしてその治療レベルまたは予防効果が長時間に渡って維持されるような他の量で薬剤を徐々に継続して放出するように考案されている。そのように体の中の薬剤を一定濃度に維持するには、代謝を受けて体から排出される量の薬剤を元の量に戻す速度で薬剤が投薬形態物から放出されるようにすべきである。活性材料の制御放出はいろいろな条件によって刺激される可能性があり、そのような条件には、これらに限定するものでないが、pH、イオン濃度、浸透圧、温度、酵素、水および他の生理学的条件および化合物が含まれる。
【0113】
いろいろな公知の制御もしくは長期放出投薬形態、製剤およびデバイスが本発明の組成物で用いるに適合し得る。その例には、これらに限定するものでないが、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;4,008,719;5,674,533;5,059,595;5,591,767;5,120,548;5,073,543;5,639,476;5,354,556;5,733,566;および6,365,185B1(これは各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。そのような投薬形態物は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリクス、ゲル、透過性膜、浸透圧系[例えばOROS(商標)(Alza Corporation、Mountain View、Calif.USA)]、多層被膜、微細粒子、リポソーム、微小球またはこれらの組み合わせを用いて1種以上の活性材料をゆっくりまたは制御して放出させていろいろな比率の所望放出プロファイルをもたらす目的で使用可能である。
【0114】
本発明の1つの態様は、スタチンと1種以上の薬学的に受け入れられる賦形剤または希釈剤を含んで成る単位投薬形態物も包含し、ここでは、そのような薬剤組成物または投薬形態物を制御放出に適するように調製する。特定の投薬形態物では浸透圧性薬剤送達系を用いる。
【0115】
また時間制御放出投薬形態物としても機能する遅延放出投薬形態物の例が米国特許第5,366,738号(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)にも記述されている。米国特許第5,366,738号に記述されている制御放出薬剤送達デバイスはゲル押出しモジュール(GEM)送達デバイスとして知られる。そのようなGEMデバイスは有益な作用剤、例えば薬剤が入っている分散液をインシトゥで制御して生じさせかつ放出させるに適した薬剤送達デバイスであり、これは、
(A)(i)治療的に有効な量の有益な作用剤、および
(ii)水和時にゼラチン状の顕微的粒子を生じる重合体、
を含んで成る混合物から作られた圧縮された中心部、
(B)重合体と可塑剤を含んで成っていて前記中心部を取り巻きかつこれと接着している水に不溶で水を透過しない重合体被膜(この被膜は前記中心部の表面の約1から約75%を露出させるように形成された複数の開口部を有する)、
を含んで成り、そしてここで、前記有益な作用剤が前記デバイスから放出される速度は前記開口部の数および大きさの関数である。
【0116】
そのようなGEMデバイスでは、前記圧縮された中心部の中に入れる重合体を好適にはポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシポリメチレンおよびこれらの薬学的に受け入れられる塩、例えばナトリウム塩などから選択するが、前記カルボキシポリメチレンは、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルでアクリル酸を架橋させることで作られており、それをより好適にはスクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルでアクリル酸を架橋させることで生じさせたカルボキシポリメチレンおよびこれらの薬学的に受け入れられる塩などから選択する。最も好適には、CARBOPOL(商標)974Pおよびこれの薬学的に受け入れられる塩、特にナトリウム塩を前記圧縮された中心部の中に入れる重合体として用いる。加うるに、前記圧縮された中心部にまた1種以上の高分子水和調節剤、抗酸化剤、滑剤、充填材および賦形剤などを含有させることも可能である。水に不溶な被膜を付着させる前に任意の副次的被膜を前記圧縮された中心部に製造工程の補助として付着させておくことも可能である。そのような副次的被膜を例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどで構成させてもよい。追加的被膜を美的または機能目的で付着させることも可能である。
【0117】
そのような水に不溶で水を透過しない重合体被膜を、好適には(1)ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロースおよびこのような重合体の組み合わせから選択した重合体、および(2)フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチルおよびクエン酸トリエチルから選択した可塑剤で構成させる。より好適には、そのような重合体被膜を酢酸酪酸セルロースとクエン酸トリエチルで構成させる。そのようなGEMデバイスは浸透圧性薬剤送達デバイスとしては機能せず、従って、そのようなデバイスの放出機能は流体が体の外側環境からそれに生じさせておいた開口部を通して圧縮された中心部の内部環境の中に入り込むことに依存している。重合体被膜を記述する目的で用いる用語「水に不溶で水を透過しない」は本質的に水に不溶で水を透過しない被膜を定義することを意図し、このことは、スタチンが体の中でGEMデバイスから放出されている時間の間に流体が穴開き開口部を通して入り込むことが起こる以外は水が体の外側環境から圧縮された中心部の内部環境に向かって被膜を通り抜けることを重合体被膜が許さないか或は許す度合が最小限であることを意味する。その水に不溶で水を透過しない重合体被膜をいくらか通り抜ける水の量が最低限であることは実体のないことであり、これはGEMデバイスが果たす機能、即ち薬剤が開口部を通って放出される速度に有意には貢献しない。むしろ、GEMデバイスから放出されるスタチンの速度は主に当該デバイスの開口部の数および大きさの関数である。
【0118】
最終製品をエレガントで美的に感じ良くする目的で、最終的に、着色剤、ワックスなどが入っている外側仕上げ用被膜をGEM送達デバイスに付着させてもよい。また、GEMデバイスに腸溶性被膜を追加的最終被膜を付着させる前または後に付着させてもよい。腸溶性被膜を用いなくても、重合体の押出し(これによってスタチンがGEMデバイスの圧縮された中心部の内側から運び出される)は胃の酸性pHで実質的な度合で起こることはなく、従って、スタチンの実質的な放出が胃の中で起こることはないはずである。そのようなGEM送達デバイスのさらなる詳細および例が米国特許第5,366,738号に記述されている。
【0119】
薬剤組成物調製方法に不活性ガスパージの使用を含めるのが一般に好適である。そのような不活性ガスは、例えば窒素、アルゴンなどである。低酸素条件を維持する目的で絶縁装置を用いるのが望ましいが、本薬剤組成物を貯蔵する時にそれを用いる必要はない。
【0120】
本発明の前記および他の態様を以下の実施例に更に例示するが、それは例示であり、決して限定ではない。
[実施例]
【0121】
材料および方法
サンプルの示差走査熱量(DSC)分析をAdvantage for QW−Series、バージョン1.0.0.78、Thermal Advantage Release 2.0(2001 TA Instruments−Water LLC)が用いられているQ1000 Differential Scanning Calorimeter(TA Instruments、New Castle、DE、U.S.A.)を用いて実施した。加うるに、使用した分析ソフトウエアはWindows 95/95/2000/NT用のUniversal Analysis 2000のバージョン3.1E;Build 3.1.0.40(2001 TA Instruments−Water LLC)であった。
【0122】
DSC分析で用いたパージガスは乾燥した窒素であり、基準材料は空のひだ付きアルミニウム製天秤皿であり、そしてサンプルのパージ洗浄率を50mL/分にした。
【0123】
ひだ付き天秤皿クロージャーが備わっているアルミニウム製天秤皿にモダフィニルサンプルを入れることを通してサンプルのDSC分析を実施した。開始温度は典型的に20℃であり、加熱速度を10℃/分にしそして最終温度を200℃にした。報告するDSC転移は全部、特に明記しない限り、個々のピークの所の吸熱または発熱転移の温度(±2℃の誤差を伴う)を表す。
【0124】
サンプルの熱重量分析(TGA)をAdvantage for QW−Series、バージョン1.0.0.78、Thermal Advantage Release 2.0(2001 TA Instruments−Water LLC)が用いられているQ500 Thermogravimetric Analyzer(TA Instruments、New Castle、DE、U.S.A.)を用いて実施した。加うるに、使用した分析ソフトウエアはWindows 95/95/2000/NT用のUniversal Analysis 2000のバージョン3.1E;Build 3.1.0.40(2001 TA Instruments−Water LLC)であった。
【0125】
TGA実験で用いたパージガスは乾燥した窒素であり、天秤のパージを40mL/分のN2にしそしてサンプルのパージを60mL/分のN2にした。
【0126】
アルミニウム製天秤皿にモダフィニルサンプルを入れることを通してサンプルのTGAを実施した。開始温度は典型的に20℃であり、加熱速度を10℃/分にしそして最終温度を300℃にした。
【0127】
RINT Rapid Control Software、Rigaku Rapid/XRD、バージョン1.0.0(1999 Rigaku Co.)がコントロールソフトウエアとして用いられているD/Max Rapid、Contact(Rigaku/MSC、The Woodlands、TX,U.S.A.)を用いてサンプルが示す粉末X線回折(PXRD)パターンを得た。加うるに、使用した分析用ソフトウエアはRINT Rapidディスプレーソフトウエア、バージョン1.18(Rigaku/MSC)およびJADE XRD Pattern Processing、バージョン5.0および6.0(1995−2002、Materials Data,Inc.)であった。
【0128】
PXRD分析取得用パラメーターは下記の通りであった:源はK線が1.5406Åの所のCuであり、x−y段階は手動であり、コリメータの大きさは0.3mmであり、毛細管(Charles Supper Company、Natick、MA、U.S.A.)のIDは0.3mmであり、反射モードを用い、X線管への電力は46kVであり、X線管への電流は40mAであり、オメガ軸を0−5度の範囲内で1度/分の速度で振動させ、ファイ軸を360度の角度で2度/秒の速度で走査し、0.3mmのコリメータ、集積時間は60分間であり、温度は室温であり、そしてヒーターを用いなかった。ホウ素が豊富に存在するガラス製毛細管の中のX線源にサンプルを提示した。
【0129】
加うるに、分析用パラメーターは下記の通りであった:積分2シータ範囲は2−60度であり、積分カイ範囲は0−360度であり、カイセグメントの数は1であり、使用したステップサイズは0.02であり、積分単位はシリント(cylint)であり、正規化を用い、ダークカウント(dark counts)は8であり、オメガオフセットは180であり、そしてカイおよびファイオフセットは0であった。
【0130】
PXRD回折図をまたBruker AXS D8 Discover X−ray Diffractometerを用いることでも取得した。この装置にはGADDS(商標)(General Area Diffraction Detection System)、Bruker AXS HI−STAR Area Detector(装置の較正に従って15.05cmの距離の所)、銅源(Cu/Kα1.54056オングストローム)、自動化x−y−zステージおよび0.5mmのコリメータが備わっていた。サンプルをペレット形態に圧縮した後、前記x−y−zステージの上に置いた。回折図の取得を周囲条件下で電力を40kVおよび40mAに設定してサンプルを静止状態のまま反射様式で実施した。暴露時間を各サンプル毎に変えかつ特定した。面積検出器の幾何学的ピンクッション(pincushion)変形を説明する目的で、その得た回折図に空間的再配置手順を受けさせた後、正規化を二進法正規化に設定して積分を−118.8から−61.8度のカイおよび2シータ2.1−37度に沿って0.02度のステップサイズで実施した。
【0131】
回折図の中のピークの相対強度は必ずしもPXRDパターンの限界ではない、と言うのは、ピーク強度はサンプルとサンプルで変動する可能性があり、例えば結晶の不純物などが原因で変動する可能性があるからである。その上、各ピークの角度が変動する度合は約±0.1度、好適には±0.05度であり得る。また、パターン全体またはパターンピークの大部分も較正の差、設定およびその他、装置と装置の変動およびオペレーターとオペレーターの変動が原因で約±0.1度シフトする可能性もある。本図、実施例および本明細書の他の場所に報告するPXRDピークは全部約±0.1度2シータの誤差を伴わせて報告する。
【0132】
本明細書(表および図を包含)に示すPXRDデータでは、本発明の各組成物を2シータ角ピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つまたはそれ以上で特徴付けることがあり得る。また、本発明の組成物の特徴付けでいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つのDSC転移を用いることもあり得る。また、本組成物の特徴付けでPXRDピークとDSC転移のいろいろな組み合わせを用いることもあり得る。
【0133】
紫外(UV)吸収による溶解度測定
メスフラスコの中でAPIを無水エタノールに既知濃度で入れることによる調製を通して較正曲線を作成した。各濃度毎に200ミクロリットルの前記溶液を底が透明な96穴UVプレートに移した。そのサンプルが280nm(特に明記しない限り)の所に示す吸光度を紫外分光光度計で測定した。吸光度と濃度の相互関係は少なくとも100ミクログラム/mLに至るまで線形であることを確認した。
【0134】
サンプル中のAPI濃度を測定する時、少ない一定分量を取り出した後、メスフラスコの中で無水エタノールで100ミクログラム/mL未満のおおよその最終濃度になるまで希釈した(典型的には2000倍)。280nm(特に明記しない限り)の所の吸光度を測定した後、前記較正曲線を基にして溶解度を計算する。上述した技術を用いて数種のスタチン塩が20−25℃の温度で示す溶解度を測定した。
【実施例1】
【0135】
プラバスタチンカルシウム塩
プラバスタチンNa塩(1.470g、3.292ミリモル)を水(15.0mL)に入れることで生じさせた溶液に酢酸カルシウム(268mg、1.70ミリモル)もまた水(5.0mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その結果として生じた溶液に濃縮(窒素ガス流を用いて水を蒸発させることによる)を受けさせることで約15mLにした後、0℃に冷却した。白色固体が沈澱し、それを濾過で集めた。その濾液を再び0℃に冷却すると、更に沈澱物が生じた。濾液後に固体を一緒にした後、乾燥器の中で乾燥させた。その結果として得た固体はプラバスタチンのカルシウム塩であることを確認した。結果として得た塩はプラバスタチンとカルシウムが2:1の塩であった。
【0136】
図1に、前記プラバスタチンカルシウム塩が示したPXRD回折図を示す(Bruker、集めたままのデータ)。そのプラバスタチンカルシウム塩は図1に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つまたはそれ以上で特徴付け可能である。このプラバスタチンカルシウム塩は回折図を基にして弱結晶性であると思われる。
【0137】
このプラバスタチンカルシウム塩が示したTGAは約25℃から100℃の範囲に約3.5重量パーセントの損失が起こったことを示していた(図2を参照)。
【0138】
このプラバスタチンカルシウム塩を特徴付ける目的でまたIRスペクトルも用いた。このプラバスタチンカルシウム塩は図3に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、2360、1728、1561、1444、1186、855および668cm−1の所のピークが含まれる。
【0139】
また、前記プラバスタチンカルシウム塩およびプラバスタチンナトリウム塩の両方に関する動的蒸気収着(DVS)データも取得した。図4に、前記プラバスタチンカルシウム塩が示した水分収着−脱離サイクルを示す。前記カルシウム塩は連続的水吸着を約11パーセントの質量上昇に至るまで相対湿度(RH)の関数として示した。このことは非晶質化合物であることに一致する。その脱離サイクル中にヒステリシスが観察される。図5に、前記プラバスタチンナトリウム塩が示した水分収着−脱離サイクルを示す。前記ナトリウム塩である結晶性塩は、湿度が約54%RHに至るまでは質量上昇を徐々に示した。54パーセントRHを超えると吸着される水の量が有意に多くなった。その脱離サイクル中に有意なヒステリシスが観察される。前記プラバスタチンナトリウム塩が示す吸湿性の方が前記カルシウム塩が示すそれよりも高かった。
【0140】
プラバスタチンカルシウム塩の調製ではまた別の方法を用いることも可能である。プラバスタチンNa塩(496mg、1.11ミリモル)を水(5.0mL)に入れることで生じさせた溶液に塩化カルシウム(69mg、0.62モル)もまた水(2.0mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その結果として生じた溶液に蒸発を受けさせることで白色固体を得た。無水エタノール(10.0mL)を用いて前記固体からプラバスタチンCa塩を抽出した後、濾過した。その溶液に蒸発を受けさせることで油を得て、それをジエチルエーテル(10.0mL)を用いてすり潰した。その粉末状の白色固体(100mg)を冷水(5.0mL)で洗浄した後、空気で乾燥させた。その結果として得た固体はプラバスタチンカルシウム塩であることを確認した。
【0141】
前記プラバスタチンのカルシウム塩が示した測定水溶解度は約17−20mg/mLであった(紫外検出による、20−25℃)。前記プラバスタチンのナトリウム塩が示した測定水溶解度は300mg/mLを超えていた。
【実施例2】
【0142】
プラバスタチン塩がE463808中で示す26週間の安定性データ
プラバスタチンの数種の塩をE463808オメガ−3油に入れて懸濁させた後、キャップ付きガラス瓶または密封型ゼラチン製カプセルのいずれかに入れた。ゲルカップを25℃で用いる一方、ガラス瓶を25、40および60℃で用いた。塩が油に入っている懸濁液に測定を定期的に26週間に渡って受けさせた。プラバスタチン塩の劣化を測定する目的でHPLCを用いた。
【0143】
図6に、瓶およびゼラチン製カプセル(ゲルカップ)の両方が25℃で示した安定性のデータを示す。前記プラバスタチンのカルシウム塩が経時的に示した不純物のパーセントはゲルカップに入っている前記ナトリウム塩のそれよりも瓶に入っている前記カルシウム塩のそれよりも有意に低かった。25℃で26週間の間に起こる劣化の度合はゲルカップまたは瓶の両方のあらゆる塩の中で瓶に入っている前記カルシウム塩が示した劣化の度合が最も低かった。
【0144】
図7に、キャップ付きガラス瓶に入っているプラバスタチン塩が40および60℃で示した安定性を示す。再び、前記カルシウム塩が所定温度で示した劣化の方が前記ナトリウム塩またはカリウム塩のいずれが示したそれよりも実質的に低かった。驚くべきことに、8週間の間に起こる劣化に関して前記カルシウムサンプルが60℃で示した劣化の方が前記カリウム塩が40℃で示した劣化よりも有意に低くかつ前記ナトリウム塩が40℃で示した劣化と同様であった。
【実施例3】
【0145】
フルバスタチンカルシウム塩
15mLの水にフルバスタチンNa塩を505.9mg(1.167ミリモル)溶解させた。2mLの水に酢酸カルシウムを94.2mg(0.595ミリモル)溶解させた。前記酢酸カルシウム溶液を前記フルバスタチンNa溶液に添加すると直ちに沈澱物が生じた。固体を濾過で集めた後、最初に真空オーブンに入れて65℃で0.5時間乾燥させた後、窒素流下で室温に一晩放置した。乾燥させた固体を乳鉢と乳棒を用いて軽く粉砕した後、特徴付けを実施した。結果として得た固体にPXRD、DSC、TGA、ラマンおよびIR分光法を用いた特徴付けを受けさせた結果、それはフルバスタチンのカルシウム塩であることを確認した。結果として得た塩はフルバスタチンとカルシウムが2:1の塩であった。
【0146】
前記フルバスタチンのナトリウム塩およびカルシウム塩が23℃の水中で示す溶解度測定値を取得した。溶解度の測定を脱イオン水中で重量測定法で実施した。約130から150ミクロリットルの水にフルバスタチンナトリウム塩を5.5mg溶解させることで得た前記ナトリウム塩の水溶解度は約37から42mg/mLであった。5.5mgの前記カルシウム塩は水に完全には溶解せず、水を20mLになるまで添加したでも溶解しなかった。前記カルシウム塩が示した測定水溶解度は約0.275mg/mLに等しいか或はそれ以下であった。
【0147】
前記フルバスタチンカルシウム塩は図8に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、3.7、7.5、11.3、12.9、18.1、21.9および25.4度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。このフルバスタチンカルシウム塩はPXRD回折図を基にして弱結晶性であると思われる。
【0148】
DSCを25℃から230℃に至るまで10℃/分で実施した。DSCは約79℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図9を参照)。注:約100℃の所の発熱および小さい吸熱は装置の人為的結果であり、サンプルとは無関係である。
【0149】
TGA(13.083mg)を25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した。TGAは25℃から130℃の間に6.3重量パーセントの損失が起こることを示しており、これは約1.5当量の水に相当し得る(図10を参照)。
【0150】
前記フルバスタチンカルシウム塩を特徴付ける目的でまたラマン分光測定も用いた。このフルバスタチンカルシウム塩は図11に示すラマンシフトの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなシフトには、これらに限定するものでないが、1657、1604、1542、1500、1457、1216、814および352cm−1の所のシフトが含まれる。
【0151】
前記フルバスタチンカルシウム塩を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。このフルバスタチンカルシウム塩は図12に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、2361、1560、1500、1457、1345、1216、1155、839、741および560cm−1の所のピークが含まれる。
【実施例4】
【0152】
イヌを用いたプラバスタチンカルシウム塩の薬物動態試験
プラバスタチンカルシウム塩が示す薬物動態パラメーターとプラバスタチンナトリウム塩が示すそれを比較する目的で絶食させておいた6匹のビーグル犬を用いてツーウエイクロスオーバー(two−way cross−over)実験を実施した。プラバスタチンナトリウム塩をPRAVACHOL(商標)錠剤から取得した。プラバスタチンカルシウム塩を実施例1に記述した方法で取得した。イヌに投与するプラバスタチンカルシウム塩投薬形態物を、11.0mgのプラバスタチンカルシウム塩(プラバスタチン酸が10mgであることに相当)と744mgのRopufa 75オメガ−脂肪酸エチルエステルを軟質ゼラチン製カプセルの殻に入れることで構成させた。前記カプセルのインビトロ放出試験を実施した結果、それは37℃の脱イオン水に完全に溶解することが分かった。PRAVACHOL(商標)として投与したプラバスタチン遊離酸の平均用量は0.85mg/kgであり、そしてプラバスタチンカルシウム塩として投与したプラバスタチン遊離酸の平均用量は0.95mg/kgであった。投与前の血漿サンプルを集めかつ投与後に投与してから0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12および24時間後の血漿サンプルを集めた。LC/MS方法を用いて血漿サンプルにプラバスタチン濃度に関する分析を受けさせた。表2に、絶食させておいた6匹のビーグル犬に投与した両方の経口製剤に由来するプラバスタチンに関する数種の重要な薬物動態パラメーターを示す。
【0153】
【表2】
【0154】
一般に、プラバスタチンカルシウム塩が示したAUCおよびCmax値の方がPRAVACHOL(商標)錠剤が示した値よりも若干高かった。Tmax値は製剤間で匹敵している。その結果として、プラバスタチンカルシウム塩を投与した後にプラバスタチンが示す相対生体利用率(投与用量に対して正規化した)の方がPRAVACHOL(商標)のそれよりも若干高いと思われる。このような結果は、プラバスタチンカルシウム塩を薬学的オメガ−3エチルエステルに入れることで生じさせた懸濁液がプラバスタチンの薬物動態挙動に対して示す影響は大きくないことを示唆している。
【実施例5】
【0155】
プラバスタチンマグネシウム塩
3mLの30.5質量パーセントプラババスタチンナトリウム溶液に49.5質量パーセントの塩化マグネシウム溶液を0.7mL加えた。両方の溶液で用いた溶媒は脱イオン水であった。両方の液体とも30分以内に相分離を起こすことを観察した。濃密な相から結晶化が一晩の間に起こった。下記の2固相(晶癖)を集めた:(A)反応槽の上部に存在する「綿毛状」懸濁相および(B)反応槽の下部に存在する濃密固相。結果として得た塩はプラバスタチンとマグネシウムが2:1の塩であった。
【0156】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)は図13に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、4.57、6.97、9.15、10.87、11.81、13.21、13.73、16.31、17.51、18.55、19.17、20.73、22.71、23.73および24.99度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。31.709度2−シータの所に観察したピークは塩化ナトリウム不純物に相当する。
【0157】
DSCを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Aに関して)。DSCは約99℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図14を参照)。約131℃の所の発熱は再結晶化が起こったことに相当し得る。
【0158】
TGAを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Aに関して)。TGAは25℃から約120℃の間に約12重量パーセントの損失が起こりかつ25℃から160℃の間に約25重量パーセントの損失が起こることを示していた(図15を参照)。
【0159】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。前記塩は図16に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、1726、1557、1425、1177、1078、1019および641cm−1の所のピークが含まれる。KBrペレットの中に圧縮したサンプルを用いてIRスペクトルを透過様式で取得した。そのスペクトルにベースライン補正を受けさせる。
【0160】
図17に、前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示した動的蒸気収着(DVS)等温プロットを示す。これを25℃で実施し、そしてそのデータは、約10から約60パーセントの相対湿度(RH)の間に安定な領域が存在することを示している。
【0161】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による)は14.22mg/mLであった。
【0162】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)は図18に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、4.57、6.99、9.13、10.41、10.87、12.05、13.19、13.77、16.37、17.43、18.53、19.13、20.71、22.73および25.01度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。
【0163】
DSCを25℃から200℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Bに関して)。DSCは約107℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図19を参照)。
【0164】
TGAを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Bに関して)。TGAは25℃から約120℃の間に約12重量パーセントの損失が起こることを示していた(図20を参照)。
【0165】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。前記塩は図21に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、1726、1553、1459、1426、1177、1079、1039および827cm−1の所のピークが含まれる。KBrペレットの中に圧縮したサンプルを用いてIRスペクトルを透過様式で取得した。そのスペクトルにベースライン補正を受けさせる。
【0166】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による、20−25℃)は16.12mg/mLであった。
【実施例6】
【0167】
プラバスタチンマグネシウム塩
プラバスタチンの別の調製を実施した。プラババスタチンナトリウム塩(1.0057g、2.25ミリモル)を脱イオン水に入れることで生じさせた49質量パーセントの溶液にプロピレングリコールを2モル当量(0.171g)添加した。塩化マグネシウム(230.0g、1.14ミリモル)を脱イオン水に入れることで生じさせた53.1質量パーセントの溶液を添加するとプラバスタチンナトリウム塩の結晶化が起こることを観察した。その結晶化が一晩で完了に到達することを観察した。結果として得た塩はプラバスタチンとマグネシウムが2:1の塩であった。
【0168】
前記プラバスタチンマグネシウム塩は図22に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、4.55、6.97、9.13、10.87、11.81、13.21、13.73、16.31、17.49、18.55、19.15、20.73、22.69、23.71および24.97度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。31.710度2−シータの所に観察したピークは塩化ナトリウム不純物に相当する。
【0169】
DSCを40℃から200℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩に関して)。DSCは約99℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図23を参照)。
【0170】
TGAを25℃から280℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩に関して)。TGAは25℃から約150℃の間に約11重量パーセントの損失が起こることを示していた(図24を参照)。
【0171】
前記プラバスタチンマグネシウム塩が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による、20−25℃)は17.24mg/mLであった。
【実施例7】
【0172】
プラバスタチン亜鉛塩
脱イオン水に溶解させた2当量のプラババスタチンナトリウムを1当量の塩化亜鉛を脱イオン水に入れることで生じさせた溶液と反応させる。結晶性プラバスタチン亜鉛の沈澱が室温で直ちに起こる。結果として得た塩はプラバスタチンと亜鉛が2:1の塩であった。
【0173】
前記プラバスタチン亜鉛塩は図25に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、3.78、7.56、9.58、11.34、17.05、18.76、19.80、21.91、24.57および26.55度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。
【0174】
DSCを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチン亜鉛塩に関して)。DSCは約136℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図26を参照)。
【0175】
TGAを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチン亜鉛塩に関して)。TGAは約100℃から約190℃の間に約12重量パーセントの損失が起こり、約100℃までに起こる重量損失は無視出来るほどであることを示していた(図27を参照)。
【0176】
前記プラバスタチン亜鉛塩を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。前記塩は図28に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、1731、1574、1179、1044、849および754cm−1の所のピークが含まれる。KBrペレットの中に圧縮したサンプルを用いてIRスペクトルを透過様式で取得した。そのスペクトルにベースライン補正を受けさせる。
【0177】
前記プラバスタチン亜鉛塩を特徴付ける目的でまたラマン分光測定も用いた。このプラバスタチン亜鉛塩は図29に示すラマンシフトの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなシフトには、これらに限定するものでないが、1654、1449、1208、1121、1050、846および427cm−1の所のシフトが含まれる。
【0178】
図30に、前記プラバスタチン亜鉛塩が示した動的蒸気収着(DVS)等温プロットを示す。これを25℃で実施し、そしてそのデータは、水分の収着量が徐々に多くなることを示している。
【0179】
前記プラバスタチン亜鉛塩が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による、20−25℃)は0.53mg/mLであった。
【実施例8】
【0180】
プラバスタチン塩がE681010:エタノールの混合物中で示す12週間の安定性データ
プラバスタチンの数種の塩をE681010:エタノールが87:13の混合物に入れて懸濁させた後、キャップ付きガラス瓶の中に入れた。プラバスタチンカルシウム、プラバスタチンマグネシウム、プラバスタチンナトリウムまたはプラバスタチン亜鉛を87:13のE681010:エタノールに入れることで生じさせた各懸濁液に測定を12週間に渡って定期的に受けさせた。プラバスタチン塩の劣化を測定する目的でHPLCを用いた。
【0181】
図31に、4℃の時の安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。
【0182】
図32に、40℃の時の安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。12週間の間に劣化してラクトンになる度合は亜鉛塩が最も低く、それが示した劣化度は約3パーセントである。
【0183】
図33に、40℃の時の安定性データ(他の劣化物のパーセント)を示す。再び、前記亜鉛塩が最も安定であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】図1に、プラバスタチンカルシウム塩が示したPXRD回折図を示す。
【図2】図2に、プラバスタチンカルシウム塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図3】図3に、プラバスタチンカルシウム塩が示したIRスペクトルを示す。
【図4】図4に、プラバスタチンカルシウム塩が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図5】図5に、プラバスタチンナトリウム塩が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図6】図6に、瓶およびゲルカップに入れた数種のプラバスタチン塩が25℃で26週間が経過するまでにもたらした不純物パーセントのプロットを示す。
【図7】図7に、数種のプラバスタチン塩が40および60℃で26週間が経過するまでにもたらした不純物パーセントのプロットを示す。
【図8】図8に、フルバスタチンカルシウム塩が示したPXRD回折図を示す。
【図9】図9に、フルバスタチンカルシウム塩が示したDSCサーモグラムを示す。
【図10】図10に、フルバスタチンカルシウム塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図11】図11に、フルバスタチンカルシウム塩が示したラマンスペクトルを示す。
【図12】図12に、フルバスタチンカルシウム塩が示したIRスペクトルを示す。
【図13】図13に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したPXRD回折図を示す。
【図14】図14に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したDSCサーモグラムを示す。
【図15】図15に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したTGAサーモグラムを示す。
【図16】図16に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したIRスペクトルを示す。
【図17】図17に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図18】図18に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したPXRD回折図を示す。
【図19】図19に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したDSCサーモグラムを示す。
【図20】図20に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したTGAサーモグラムを示す。
【図21】図21に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したIRスペクトルを示す。
【図22】図22に、プラバスタチンマグネシウム塩が示したPXRD回折図を示す。
【図23】図23に、プラバスタチンマグネシウム塩が示したDSCサーモグラムを示す。
【図24】図20に、プラバスタチンマグネシウム塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図25】図25に、プラバスタチン亜鉛塩が示したPXRD回折図を示す。
【図26】図26に、プラバスタチン亜鉛塩が示したDSCサーモグラムを示す。
【図27】図27に、プラバスタチン亜鉛塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図28】図28に、プラバスタチン亜鉛塩が示したIRスペクトルを示す。
【図29】図29に、プラバスタチン亜鉛塩が示したラマンスペクトルを示す。
【図30】図30に、プラバスタチン亜鉛塩が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図31】図31に、数種のプラバスタチン塩が4℃で示した安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。
【図32】図32に、数種のプラバスタチン塩が40℃で示した安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。
【図33】図33に、数種のプラバスタチン塩が40℃で示した安定性データ(他の劣化物のパーセント)を示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年8月6日付けで出願した米国仮出願連続番号60/599,543、2004年10月29日付けで出願した米国仮出願連続番号60/623,518および2005年2月24日付けで出願した米国仮出願連続番号60/655,982(これらの内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権の利点を請求するものである。
【0002】
本発明はオメガ−3エステルが基になった油にスタチンが入っている新規な懸濁液を提供するものである。本懸濁液は実質的に全く食物効果を示さず、少量で有効でありかつ容易に生体利用可能である。
【背景技術】
【0003】
血中のコレステロールが高くなることが冠状動脈性心臓病(CHD)の主要な危険因子であることが過去数十年の間に明らかになってきておりかついろいろな研究で脂質を下げる治療によってCHDイベントの危険度を軽減することができることが示された。1987年以前の脂質低下策は本質的に飽和脂肪とコレステロールが低い食事、胆汁酸抑制薬(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸(ニアシン)、フィブレートおよびプロブコールに限られていた。不幸なことに、そのような治療は全部が効力もしくは許容性または両方が限られていた。初めてのHMG−CoA還元酵素阻害剤であるロバスタチン(lovastatin)[MEVACOR(商標);特許文献1を参照]が紹介されて1987年に処方されるようになったことから、医者は初めて血漿中コレステロールの比較的大きな低下を非常に少ない副作用で得ることが可能になった。
【0004】
天然の発酵産物、メバスタチン(mevastatin)およびロバスタチンに加えて、現在では、多様な半合成および完全に合成のHMG−CoA還元酵素阻害剤が存在し、それらにはシムバスタチン(simvastatin)[ZOCOR(商標);特許文献2を参照]、プラバスタチン(pravastatin)ナトリウム塩[PRAVACHOL(商標);特許文献3を参照]、フルバスタチン(fluvastatin)ナトリウム塩[LESCOL(商標);特許文献4を参照]、アトルバスタチン(atorvastatin)カルシウム塩[LIPITOR(商標);特許文献5を参照]およびセリバスタチン(cerivastatin)ナトリウム塩[またリバスタチン(rivastatin)としても知られる;特許文献6を参照]が含まれる。この上に記述したHMG−CoA還元酵素阻害剤は構造的に3−ヒドロキシラクトン環または相当する開環型のジヒドロキシ開環酸(open−acid)として存在し得る部分を含有する種類の化合物(しばしば「スタチン」と呼ばれる)に属する。
【0005】
そのようなジヒドロキシ開環酸の塩を生じさせることも可能であり、実際、この上に述べたように、市販スタチンの数種はジヒドロキシ開環酸塩形態として投与される。ロバスタチンおよびシムバスタチンはラクトン化形態で世界的に販売されている。
【0006】
魚油に由来するオメガ−3油がトリグリセリド低下効果を有することは充分に確立されている。魚油に由来するオメガ−3油を1日当たり約1グラム以上および1グラム以下の両方の量で用いると血清中トリグリセリド濃度が約25%から約40%低下し、血漿中VLDL濃度が低下しかつ血漿中のLDLおよびHDL両方の濃度が上昇することが示された(例えば非特許文献1を参照)。オメガ−3油の摂取量とトリグリセリド低下の間に用量依存関係が存在する。食後のトリグリセリド血は特にオメガ−3油の長期消費に敏感である(非特許文献2)。
【0007】
スタチン投薬形態はいろいろ知られているが、向上した生体利用能を示し、調製および投与が容易でありかつスタチンが示す抗高コレステロール血症効果を向上させる材料を含んで成る商業的に使用可能なスタチン薬剤組成物の必要性が継続して存在する。
【特許文献1】米国特許第4,231,938号
【特許文献2】米国特許第4,444,784号
【特許文献3】米国特許第4,346,227号
【特許文献4】米国特許第5,354,772号
【特許文献5】米国特許第5,273,995号
【特許文献6】米国特許第5,177,080号
【非特許文献1】Harris,William S、Clin.Cardiol.22、(Suppl.II)、II−40−II−43(1999)
【非特許文献2】Kris−Etherton他、Circulation、2002;106:2747
【発明の開示】
【0008】
発明の要約
本発明は、1種以上のスタチンが入っているオメガ−3油が基になった予想外な特性を示す新規な薬剤組成物を提供するものである。本薬剤組成物は容易に生体利用可能である。注目すべきは、本発明の薬剤組成物はオメガ−3油を主材料として含有することから、本薬剤組成物は活性材料であるスタチンによる抗高コレステロール血症効果をもたらすばかりでなくまたオメガ−3油も1日当たりに推奨される投与量(即ち、AHA指針によれば1日当たり1グラムのオメガ−3油)またはこれの一部の量で与える。
【0009】
本発明は、1種以上のスタチンがオメガ−3油の中に入っている懸濁液または不均一製剤を包含する。具体的な態様として、本発明は、1種以上のスタチンの非晶質および/または結晶性粒子がオメガ−3油に入っている懸濁液を提供する。
【0010】
1つの態様における本発明の薬剤組成物は、オメガ−3アルキルエステル、好適にはオメガ−3エチルエステルを含んで成る。別の態様における本発明の薬剤組成物はオメガ−3モノ−、ジ−もしくはトリグリセリド油を含んで成る。
【0011】
別の態様において、本発明は、純度が約90パーセントに等しいか或はそれ以上のオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、EPAおよびDHAが約90パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。
【0012】
別の態様における塩はプラバスタチンのカルシウム塩である。別の態様における塩はフルバスタチンのカルシウム塩である。別の態様における塩はプラバスタチンのマグネシウム塩である。別の態様における塩はプラバスタチンの亜鉛塩である。別の態様における塩は結晶性である。
【0013】
別の態様において、本発明は、純度が約90パーセントに等しいか或はそれ以上のオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび1種以上のスタチンを約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、EPAおよびDHAが約90パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび1種以上のスタチンを約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る薬剤組成物を提供する。
【0014】
別の態様におけるオメガ−3油はオメガ−3エステルである。別の態様におけるオメガ−3油はオメガ−3エチルエステルである。別の態様におけるスタチンはラクトンの形態である。別の態様におけるスタチンは遊離酸である。
【0015】
別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約85重量パーセントである。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99重量パーセントまたはそれ以上である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25から約100重量パーセントの範囲、約40から約100重量パーセントの範囲、約50から約100重量パーセントの範囲、約60から約100重量パーセントの範囲、約70から約100重量パーセントの範囲、約75から約100重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約100重量パーセント、約99重量パーセント、少なくとも約96重量パーセント、少なくとも約92重量パーセント、少なくとも約90重量パーセント、少なくとも約85重量パーセント、少なくとも約80重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約65重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約55重量パーセントまたは少なくとも約50重量パーセントである。
【0016】
別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約84重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25から約95重量パーセントの範囲、約40から約95重量パーセントの範囲、約50から約95重量パーセントの範囲、約60から約95重量パーセントの範囲、約70から約95重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲、約75から約85重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約99重量パーセント、約96重量パーセント、約92重量パーセント、約90重量パーセント、約84重量パーセント、約80重量パーセント、約75重量パーセント、約70重量パーセント、約65重量パーセント、約60重量パーセント、約55重量パーセントまたは約50重量パーセントである。
【0017】
別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約23:19、EPA:DHAの比率を約75:11、EPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約9:2、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約75:1、EPA:DHAの比率を約50:1、EPA:DHAの比率を約25:1、EPA:DHAの比率を約20:1、EPA:DHAの比率を約15:1、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約7.5:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約4:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1.5:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:1.5、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAを約95:1の比率から約1:5の比率、EPA:DHAを約50:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約25:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約10:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約5:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約3:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約2:1の比率から約1:1の比率またはEPA:DHAを約1.5:1の比率から約1:1の比率にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を少なくとも約1:5、EPA:DHAの比率を少なくとも約1:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約1.5:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約2:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約3:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約5:1またはEPA:DHAの比率を少なくとも約10:1にする。
【0018】
本発明は、1種以上のスタチンが入っているオメガ−3エステルが基になった新規で予想外な薬剤を提供する。本薬剤は容易に生体利用可能である。注目すべきは、本発明の薬剤はオメガ−3エステルが基になった油を主材料として含有することから、本薬剤は活性材料であるスタチンによる抗高コレステロール血症効果をもたらすばかりでなくまたオメガ−3油も1日当たりに推奨される投与量(即ち、AHA指針によれば1日当たり1グラムのオメガ−3油)またはこれの一部の量で与える。
【0019】
別の態様において、本発明はスタチンの塩を提供する。別の態様において、本発明はプラバスタチンまたはフルバスタチンの塩を提供する。特定態様では、プラバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンのマグネシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンの亜鉛塩を提供する。別の特定態様では、フルバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の態様では、スタチンの二価塩を提供する。特定態様では、プラバスタチンまたはフルバスタチンの二価塩を提供する。別の態様におけるスタチンの塩は非晶質である。別の態様におけるスタチンの塩は結晶性である。
【0020】
別の態様において、本発明は、スタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の態様において、本発明は、プラバスタチンまたはフルバスタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。特定態様では、プラバスタチンのカルシウム塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンのマグネシウム塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンの亜鉛塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、フルバスタチンのカルシウム塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の特定態様では、スタチンの二価塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。特定態様では、プラバスタチンまたはフルバスタチンの二価塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を提供する。別の態様におけるスタチンの塩の溶媒和物または水和物は非晶質である。別の態様におけるスタチンの塩の溶媒和物または水和物は結晶性である。
【0021】
別の態様では、スタチンの塩を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。別の態様では、スタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。別の態様では、スタチンの塩の溶媒和物、水和物、共結晶または多形相物およびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、スタチンの塩を製造する方法を提供する。
【0023】
別の態様において、スタチンの塩を製造する方法は、
(a)スタチンと塩を溶液中で一緒にし、
(b)前記スタチンの塩の沈澱を開始させ、そして
(c)前記スタチンの前記塩を集める、
ことを含んで成る。
【0024】
別の態様において、段階(a)におけるスタチンは塩であってもよい。例えば、段階(a)におけるスタチンはスタチンのアルカリ金属塩であってもよく、それらは、例えば、これらに限定するものでないが、プラバスタチンのナトリウム塩またはフルバスタチンのナトリウム塩などである。別の態様において、段階(a)における塩はアルカリ土類金属塩であってもよい。例えば、段階(a)における塩はカルシウムまたはマグネシウム塩、例えば、これらに限定するものでないが、酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムなどであってもよい。
【0025】
別の態様において、高コレステロール値(例えば高コレステロール血症における)、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減および/または治療する方法を提供し、これは、そのような予防、軽減および/または治療を必要としている哺乳動物に本発明の薬剤組成物を投与することによる方法である。
【0026】
前記および他の態様を以下の詳細な説明の中により詳細に記述する。
発明の詳細な説明
本明細書で用いる如き下記の用語に下記の個々の意味を持たせる。
【0027】
本明細書で用いる如き用語「心血管系イベント1種または2種以上」および「心血管系疾患」は、冠動脈および/または脳血管イベント1種または2種以上および疾患を指し、これらには、原発性心筋梗塞、続発性心筋梗塞、心筋虚血、狭心症(不安定狭心症を包含)、うっ血性心不全、突然心臓死、脳梗塞、脳血栓症、脳虚血、一過性脳虚血発作などが含まれる。
【0028】
本明細書で用いる如き用語「冠動脈疾患」(CAD)は、冠動脈のアテローム性動脈硬化症、陳旧性心筋梗塞、虚血、狭心症および/または心不全を包含する疾患を指す。
【0029】
本明細書で用いる如き用語「脳血管疾患」は、頭蓋内および/または頭蓋外動脈のアテローム性動脈硬化症、脳梗塞、脳血栓症、脳虚血、卒中および/または一過性脳虚血発作を包含する病気を指す。
【0030】
「アルキル」は、炭素原子数が1から10の直鎖もしくは分枝、飽和もしくは不飽和アルキル、環式もしくは非環式炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルには、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが含まれる一方、飽和分枝アルキルには、イソプロピル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、イソペンチルなどが含まれる。不飽和アルキルは隣接して位置する炭素原子の間に二重結合または三重結合を少なくとも1個含有する(またそれぞれ「アルケニル」または「アルキニル」とも呼ぶ)。代表的な直鎖および分枝アルケニルには、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニルなどが含まれる一方、代表的な直鎖および分枝アルキニルには、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニルなどが含まれる。代表的な飽和環式アルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる一方、不飽和環式アルキルにはシクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが含まれる。本明細書ではシクロアルキルをまた「炭素環式」環系とも呼び、それには炭素原子数が8から14の二環式および三環式環系、例えば1個以上の芳香(例えばフェニル)または非芳香(例えばシクロヘキサン)炭素環式環と縮合しているシクロアルキル(例えばシクロペンタンまたはシクロヘキサン)なども含まれる。オメガ−3の系統的論述に関連して不飽和を指す目的で「アルケニル」を用いることができる。
【0031】
本明細書で用いる如き用語「併用投与」は、スタチンのラセミ化合物または立体異性体の薬学的に受け入れられる塩、溶媒和物、共結晶または多形相物、好適にはスタチンの塩に加えて1種以上の化合物または活性材料を投与することを指すが、それの投与は、所望の治療もしくは予防効果が達成されるように、スタチンのラセミ化合物または立体異性体の薬学的に受け入れられる塩、溶媒和物または多形相物の投与と同時にか或はそれを投与する前に間隔を置いてか或は投与中または投与後に実施可能である。
【0032】
「脂肪酸」は重要な栄養成分である。脂肪酸(また「遊離酸」または「遊離脂肪酸」としても記述)はカルボン酸であり、炭素鎖の長さおよび飽和特性を基にして分類分けされる。短鎖脂肪酸の炭素数は2から約5であり、それらは典型的に飽和である。中鎖脂肪酸の炭素数は約6から約14であり、それらもまた典型的には飽和である。長鎖脂肪酸の炭素数は約15から24またはそれ以上であり、それらもまた飽和または不飽和であり得る。長い方の脂肪酸の場合、不飽和地点が1個以上存在する可能性があることから、それぞれ用語「一不飽和」および「多不飽和」がもたらされる。本発明では炭素数が20以上の長鎖多不飽和脂肪酸(LCPまたはLC−PUFA)を用いる。
【0033】
「長鎖」のモノ−、ジ−、トリ−グリセリド、エステル、脂肪酸などは炭素数が約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24またはそれ以上であると定義し、それらもまた飽和または不飽和であり得る。「中鎖」のモノ−、ジ−、トリ−グリセリド、エステル、脂肪酸などは炭素数が約6、7、8、9、10、11、12、13または14であると定義し、それらもまた飽和または不飽和であり得る。「短鎖」のモノ−、ジ−、トリ−グリセリド、エステル、脂肪酸などは炭素数が約2、3、4または5であると定義し、それらもまた飽和または不飽和であり得る。
【0034】
「モノ−ジグリセリド」および「モノ−ジグリセリド類」は、モノグリセリドとジグリセリドの両方を含んで成る混合物1種または2種以上を指す。モノ−ジグリセリドの非限定例はCapmul(商標)MCMであり、これはモノグリセリドおよびジグリセリドの形態のカプリル脂肪酸とカプリン脂肪酸の混合物を含んで成る。具体的には、モノグリセリドとジグリセリドの特定混合物を本発明に従ってモノ−ジグリセリドと呼ぶことがあり得る。モノ−ジグリセリドは他の種、例えばトリグリセリドおよびグリセロールなどを含有している可能性もある。
【0035】
LC−PUFAは、本分野の通常の技術者に良く知られている一般に認められている命名法に従って、脂肪酸が有する二重結合の数および位置に従って分類分けされる。脂肪酸のメチル末端の最も近くに位置する二重結合の位置に応じて2系列もしくはファミリーのLC−PUFAが存在し、n−3系列は3番目の炭素の所に二重結合を含有する一方、n−6系列は6番目の炭素の所まで二重結合を持たない。このように、アラキドン酸(AAまたはARA)は炭素20個分の鎖長を有しかつ6番目の炭素の所から始まる二重結合を4個有する。その結果として、それを「20:4 n−6」と呼ぶ。同様に、ドコサヘキサエン酸(DHA)は炭素22個分の鎖長を有することに加えてメチル末端から3番目の炭素の所から始まる二重結合を6個有し、従ってそれを「22:6 n−3」と呼ぶ。別の重要なLC−PUFAはエイコサペンタエン酸(EPA)であり、これを(20:5 n−3)と表示する。用語「n−3」と「オメガ−3」を互換的に用いる。
【0036】
AA(n−6系列)およびDHA(n−3系列)がこれらの個々のC18前駆体から生じる生合成経路は異なるが、伸長および不飽和化段階は共通しており、これは充分に理解されている。このように、他の重要なLCPは、そのような生合成経路における前駆体であるC18脂肪酸、例えばn−6経路におけるリノール酸(18:2 n−6)およびガンマ−リノレン酸(18:3 n−6)、およびn−3経路におけるアルファ−リノレン酸(18:3 n−3)およびステアリドン酸(18:4 n−3)などである。
【0037】
脂肪酸はしばしば現実にアルコールでエステル化されたアシル基として存在する。そのように、グリセリドは1種以上の脂肪酸とグリセロール(1,2,3−プロパントリオール)のエステルである。脂肪酸でエステル化されたグリセロールバックボーン分子の位置が1個のみであると「モノグリセリド」が生じ、エステル化された位置が2個であると「ジグリセリド」が生じ、そしてグリセロールが有する3つの位置の全部が脂肪酸でエステル化されると「トリグリセリド」または「トリアシルグリセロール」が生じる。エステル化された位置の全部が同じ脂肪酸を含有する場合のグリセリドは「単純」と呼ばれ、または伴う脂肪酸が異なる場合には「混合」と呼ばれる。燐脂質は特殊な種類のジグリセリドであり、この場合、グリセロールバックボーン上の3番目の位置が窒素含有化合物、例えばコリン、セリン、エタノールアミン、イノシトールなどと燐酸エステルを通して結合している。トリグリセリドおよび燐脂質は、しばしば、これに結合している脂肪酸に応じて、長鎖(炭素数が約15から24またはそれ以上)または中鎖(炭素数が約6から約14)として分類分けされる。
【0038】
典型的な市販のモノグリセリドは、モノグリセリドを含有することに加えてジ−およびトリグリセリドをいろいろな量で含有する。例えば、モノグリセリド[例えばKarlshamns AB(スウェーデン)のAkoline]はモノグリセリドを約50−65%およびジグリセリドを25−35%含有しかつトリグリセリドの含有量は5%以下であり得る。
【0039】
「必須脂肪酸」(EFA)は2種類存在する、即ちアルファ−リノレン酸に由来するn−3(またはオメガ−3)系列とリノール酸に由来するn−6(またはオメガ−6)系列が存在する。
【0040】
「オメガ−3脂肪酸」はn−3多不飽和長鎖脂肪酸(n−3 PUFA)であり、これには非共役シス不飽和結合を少なくとも3個有していて脂肪酸鎖のメチル末端から遠位に位置する不飽和結合が3番目の炭素原子と4番目の炭素原子の間に位置する炭素原子数が少なくとも15の如何なるカルボン酸も含まれると定義する。従って、オメガ−3脂肪酸には、二重結合を5−7個含有していて最後の二重結合が脂肪酸鎖のメチル末端から3番目と4番目の炭素原子の間に位置するC16−C24アルカン酸が含まれる。
【0041】
オメガ−3脂肪酸の例には、ステアリドン酸(SDA、C18:4)、エイコサテトラエン酸(ETA、C20:4)、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5)、ドコサペンタエン酸(DPA、C22:5)およびドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6)が含まれる。本発明の目的で、アルファ−リノレン酸(ALA、C18:3)はオメガ−3脂肪酸であると見なす。「EPA」および「DHA」の如き用語はオメガ−3油の種を指し、そのような油が例えばトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離酸、エステルまたは塩などとして存在するか否かを記述するものではない。
【0042】
オメガ−3脂肪酸には、合成または天然に存在するオメガ−3脂肪酸、例えば魚油、例えば海洋哺乳類(例えばアザラシ)の脂肪、タラ肝油など、くるみおよびくるみ油、麦芽油、菜種油、大豆レシチン、大豆、豆腐、インゲンマメ、バターナット、海草および亜麻油などに存在するオメガ−3脂肪酸が含まれる。また、オメガ−3脂肪酸を遺伝子工学源、例えば遺伝子導入植物などから誘導することも可能である。例えばFrasier他、Nat Biotechnol.2004年5月16日を参照。
【0043】
「オメガ−3油」または「オメガ−3」は、オメガ−3脂肪酸、オメガ−3エステル、オメガ−3アルキルエステルまたはオメガ−3モノ−、ジ−もしくはトリグリセリドの源、例えば魚油、例えば海洋哺乳類(例えばアザラシ)の脂肪、タラ肝油など、くるみおよびくるみ油、麦芽油、菜種油、大豆レシチン由来油、大豆由来油、豆腐由来油、インゲンマメ由来油、バターナット由来油、海草由来油、亜麻−ルリヂサ油および亜麻油などを含んで成る油のいずれかである。Epax(商標)(Pronova Biocare AS)ブランドのオメガ−3油が好適である。本発明の薬剤組成物を製造する時に使用可能な他のオメガ−3油には、これらに限定するものでないが、商標Omegabrite(商標)(Omega Natural Science)およびEpanova(商標)(Tillotts Pharma AG)の下で販売されているオメガ−3油が含まれる。具体的には、エステル、脂肪酸および/またはモノ−ジ−トリグリセリドの特定混合物を本発明に従って油と呼ぶこともあり得る。例えば、オメガ−3エステルと脂肪酸で構成されている混合物は本発明に従うオメガ−3油であると見なすことができる。加うるに、具体的には、1種以上の成分を本発明に従うオメガ−3油に含めないこともあり得る。例えば、具体的には、本発明に従い、オメガ−3油にエステル、脂肪酸および/またはモノ−ジ−トリグリセリドを含めないこともあり得る。このように、例えばオメガ−3エステルで構成されている組成物は本発明に従うオメガ−3油である。
【0044】
「オメガ−3アルキルエステル」の製造は、オメガ−3油とアルコール(好適にはメタノールまたはエタノール)のエステル交換を酸または還元剤のいずれかを用いて行うことで実施可能である。一般的には低級アルキルエステルを生じさせる方が好適であることから、そのようなアルコールは好適には炭素原子を1から6個含有する低級アルキルアルコールである。そのようなアルコールはより好適にはメタノール(グリセリドと反応して脂肪酸残基のメチルエステルを生じる)またはエタノール(グリセリドと反応して脂肪酸残基のエチルエステルを生じる)である。最も好適には、そのようなアルコールはエタノールである。
【0045】
本明細書および請求項全体に渡って用いる用語「結晶性」には、「弱結晶性」と記述する固体も含まれる。
【0046】
用語「アルカリ金属塩」には、これらに限定するものでないが、対イオンがLi、Na、K、Rbまたは別のIA族の対イオンである塩が含まれる。
【0047】
用語「アルカリ土類金属塩」には、これらに限定するものでないが、対イオンがBe、Mg、Ca、Srまたは別のIIA族の対イオンである塩が含まれる。
【0048】
用語「二価」は金属イオンの酸化状態を記述する目的で用いる用語であり、これには、これらに限定するものでないが、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Be2+およびSr2+が含まれる。
【0049】
薬剤組成物および薬剤は2種以上の成分の「体積で表す」混合物であるとして記述可能であり、本明細書では、それを、当該組成物の1成分による体積を全成分の体積で割ることであるとして定義する。その比率を全組成物の体積パーセントに変換するか或はそれとして報告することもあり得る。そのような量をまた「体積/体積」または「パーセント(体積/体積)」で示すこともあり得る。同様に、語句「重量で表す」および「質量で表す」は、当該組成物の1成分による重量または質量を全成分の重量または質量で割ることを記述するものである。その比率を全組成物の重量または質量パーセントに変換するか或はそれとして報告することもあり得る。そのような量をまた「重量/重量」、「質量パーセント」または「パーセント(重量/重量)」で示すこともあり得る。
【0050】
用語「薬剤組成物」および「製剤」を本明細書および請求項の全体に渡って互換的に用いる。
【0051】
用語「E463808」は、EPAを46%とDHAを38%と他のオメガ−3油を8%(質量パーセント)含有していて前記EPA、DHAおよび他のオメガ−3油がエチルエステルである組成を有するオメガ−3油を記述する目的で用いる用語である。
【0052】
用語「E681010」は、EPAを67.8パーセント(mg/g)とDHAを9.9パーセント(mg/g)と他のオメガ−3油を約9.6パーセント(mg/g)含有していて前記EPA、DHAおよび他のオメガ−3油がエチルエステルである組成を有するオメガ−3油を記述する目的で用いる用語である。
【0053】
用語「化学的に安定」または「化学的安定性」は、25℃で2年後のAPI効力(回収API含有量)損失度が≦3.0パーセントである液状製剤を指す。
【0054】
「界面活性剤」および「本発明の界面活性剤」は、これを溶解させた液体の表面張力を変え得る表面活性化合物を指し、これらには、これらに限定するものでないが、ポリオキシル20ステアレート、ポリオキシル35ヒマシ油、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール40ソルビタンジイソステアレート、ポリオキシル40水添ヒマシ油、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリオキシル60ステアレート、ポリソルベート85、ポリソルベート60、ポロキサマー331、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル40ヒマシ油、ポロキサマー188、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン1800、オレイン酸、デスオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、N−カルバモイルメトキシポリエチレングリコール2000−1,2−ジステアロール、ミリスチン酸、ステアレス、ポリオキシル40ステアレート、スクロースステアレート、トコフェロール、ポリオキシルヒマシ油、合成トリグリセリド、トリミリスチン、トリステアリン、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ラウリルスルフェート、ビタミンE、卵黄ホスファチド、ドキュセートナトリウム、ポリソルベート80、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルレシチン、Capryol 90(プロピレングリコールモノカプリレート)、Capryol PGMC(プロピレングリコールモノカプリレート)、デオキシコレート、コレステロール、Cremophor RH、Cremophor EL、プロピレングリコールアルギネート、Croval A−10(PEG 60アーモンドグリセリド)、Labrafil 1944(オレオイルマクロゴール−6グリセリド)、Labrafil 2125(リノレオイルマクロゴール−6グリセリド)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド)、Lauroglycol 90(プロピレングリコールモノラウレート)、Lauroglycol FCC(プロピレングリコールラウレート)、ステアリン酸カルシウム、Lecithin Centromix E、Lecithin Centrophase 152、Lecithin Centrol 3F21B、POE 26グリセリン、Olepal isosteariques(PEG−6イソステアレート)、Plurol diisostearique(ポリグリセロール−3−ジステアレート)、Plurol Oleique CC、POE 20ソルビタントリオレート、Tagat TO(ポリオキシエチレングリセロールトリオレエート)またはSolutol(マクロゴール−15ヒドロキシステアレート)が含まれる。
【0055】
界面活性剤には、また、これらに限定するものでないが、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、Brig−もしくはVolpo系列のポリオキシエチレンアルキルエーテル、Tween−もしくはCrillet系列のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、Cersynt−もしくはMyrj系列のポリオキシエチレンステアレート、レシチン、ポロキサマー、d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(ビタミンE TPGS、TPGS)、飽和ポリグリコール化グリセリド(Labrasol、LabrafilおよびGelucires)、コール酸およびコール酸塩、デオキシコール酸およびデオキシコール酸塩、タウロコール酸およびタウロコール酸塩、グリココール酸、ポリビニルピロリドン、コカミン、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、水添ラノリン、ラノリン、ラウレートおよびオレエート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、第四級界面活性剤、硫酸ナトリウム、グリセリル化合物、パルミチン酸およびこれの誘導体、およびオレイン酸およびこれの誘導体も含まれる。
【0056】
PEG含有界面活性剤には、これらに限定するものでないが、Tween 85(商標)、Tween 80(商標)およびCremophor(商標)ELが含まれる。
【0057】
例えば消化を助長するか或は食物効果を低下させる界面活性剤を本発明の薬剤組成物に含有させてもよい。
【0058】
用語「水溶解度」は、特に明記しない限り、約25℃の脱イオン水中で測定した時の溶解度を指す。
【0059】
酸触媒を用いたエステル交換は、例えば、アルコールと酸(例えばHCl)を含有させた混合物の中でトリグリセリドを約0℃から約150℃で好適には非酸化性雰囲気下で水を存在させないでインキュベートすることなどで実施可能である。1つの態様では、トリグリセリド/酸/アルコールの混合物を少なくとも約2時間還流させる。別の態様では、トリグリセリド/酸/アルコールの混合物を約0℃から約50℃に一晩維持する。メチルエステルを生じさせる時にはメタノールを用いてもよく、そしてエチルエステルを生じさせる時にはエタノールを用いてもよい。酸触媒を用いたエステル交換は典型的に可逆的であることから、好適には反応が本質的に完了にまで進行するようにアルコールを大過剰量で存在させる。そのアルコール/酸混合物に入れるトリグリセリドの濃度を好適には約0.1から約15重量%、最も好適には約3重量%にする。酸がHClの場合には、そのアルコール/HCl混合物中のHCl濃度を好適には約4から約15重量%、最も好適には約10重量%にする。そのような混合物の調製は本技術分野で公知のいろいろな方法を用いて実施可能であり、例えば無水塩化水素ガスを無水エタノールの中に吹き込むか、或はアルコール10mL当たりに塩化アセチルを1mL添加する(アルコール中約10重量%のHClを生じさせる)ことなどで実施可能である。
【0060】
HClが最も好適ではあるが、別法として、他の酸を用いることも可能である。そのようなある種の酸は硫酸であり、これを典型的にはアルコール中約0.5から約5重量%の濃度で用いる。しかしながら、硫酸は強い酸化剤であることからそれを好適には長い還流時間(即ち約6時間を超える時間)でも高濃度(即ち約5重量%を超える濃度)でも高温(即ち150℃を超える温度)でも用いないことを注目すべきである。適切な酸の別の例は三フッ化ホウ素であり、これを好適にはアルコール中約1から約20重量%の濃度で用いる。しかしながら、三フッ化ホウ素はHClほど好適ではない、と言うのは、三フッ化ホウ素は望ましくない副生成物をもたらす傾向がより高いからである。
【0061】
塩基触媒を用いたエステル交換では、オメガ−3油にアルコールを用いたエステル交換を塩基性触媒の存在下で受けさせる。この場合の塩基は例えばナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、元素状ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどであってもよい。オメガ−3油と塩基/アルコール混合物の体積比を好適には少なくとも約1:1、最も好適には約1:2にする。アルコール中の塩基濃度を好適には約0.1から約2Mにする。この塩基触媒を用いたエステル交換反応は室温(即ち約20℃から約25℃の温度)で約6から約20時間実施可能である。別法として、この塩基触媒を用いたエステル交換反応を室温より高い温度で実施する。
【0062】
そのグリセリド/アルコール/触媒溶液を好適には少なくとも約40℃、より好適には約70から約150℃、最も好適には約100℃の温度に加熱する。その溶液の加熱は反応混合物がこの混合物中の1種以上の成分が示す沸点より高い温度に加熱され得るが前記成分が気相の中に失われないように還流冷却器を用いて実施可能である[即ち前記成分が蒸発した時、それは上昇して前記還流冷却器(これの温度の方が低い)の中に入り込むことで、その蒸気が凝縮して液体になりそして前記液状混合物の中に流れ込んで戻る]。
【0063】
このエステル交換反応中、反応混合物を好適には非酸化性雰囲気、例えば本質的に貴ガス、N2またはこれらの組み合わせで構成させた雰囲気など下に置く。特に、このエステル交換反応を実施する時間が約10分間を超える場合には、そのような雰囲気を用いるのが好適である。また、自動酸化が起こらないように油溶性抗酸化剤(例えばパルミチン酸アスコルビルまたは没食子酸プロピル)を反応混合物に添加することも可能であり、特に、非酸化性雰囲気を用いない場合に好適である。
【0064】
オメガ−3アルキルエステルには、EPAのエチルエステルおよびDHAのエチルエステルが含まれる。E463808、OMEGA−3/90(KD Pharma)およびIncromega(Croda/Bioriginal)オメガ−3エチルエステルがオメガ−3アルキルエステルの数例である。
【0065】
本発明は、スタチン1種または2種以上の1種以上の塩がオメガ−3油の中に入っている懸濁液を包含する。1つの態様における懸濁液ではスタチン1種または2種以上の1種以上の塩の固体状結晶性粒子がオメガ−3油の中に入っている。別の態様における懸濁液ではスタチン1種または2種以上の1種以上の塩の固体状非晶質粒子がオメガ−3油の中に入っている。別の態様における懸濁液ではスタチン1種または2種以上の1種以上の塩の固体状結晶性粒子と固体状非晶質粒子がオメガ−3油の中に入っている。また、スタチン1種または2種以上の1種以上の塩がオメガ−3油の中にスタチン1種または2種以上の前記1種以上の塩の一部がオメガ−3油または当該組成物の別の成分の中に溶解している懸濁液を含んで成る薬剤組成物も本発明に包含させる。例えば、別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていてスタチン1種または2種以上の約1.00、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、10.00、11.00、12.00、13.00、14.00または15.00重量パーセントが溶液の状態で存在する一方で残りのスタチン1種または2種以上が懸濁状態で存在する薬剤組成物を提供する。
【0066】
別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約80重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約85重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約90重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約95重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。別の態様において、本発明は、オメガ−3油とスタチン1種または2種以上の1種以上の塩を含んで成っていて前記スタチン1種または2種以上の少なくとも約99重量パーセントが懸濁液の中の固体状粒子として存在する薬剤組成物を提供する。
【0067】
別の態様において、具体的には、場合により、スタチンの特定塩は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、例えばプラバスタチンナトリウムは本発明に含まれない可能性がある。
【0068】
油の純度が本発明の重要な面である。油の純度は油組成物全体を基準にした1成分のパーセント(例えば体積または重量で表す)であるとして定義する。油成分の数例には、これらに限定するものでないが、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、遊離酸、エステル、およびこれらの誘導体、前駆体および塩が含まれる。例えば、純度が95重量パーセントのエステル油のエステル含有量は少なくとも95パーセントである。パーセントの残りを遊離酸、モノ−、ジ−および/またはトリグリセリドまたは他の成分が構成していてもよい。別の例として、純度が90重量パーセントのオメガ−3エステル油のオメガ−3エステル含有量は少なくとも90パーセントでありそしてパーセントの残りを他の油成分の中のいずれか1種以上が構成していてもよい。純度を測定する時にある成分(例えばC8およびC10エステル)の混合物の中の種の違いを分かる必要はない。しかしながら、また、ある成分の中の特定種(例えばC8およびC10エステル)を区別することを本発明の具体的態様に含めることもあり得る。
【0069】
本発明に従い、純度が約85パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセントまたはそれ以上のパーセントのオメガ−3油が好適である。オメガ−3エステルの純度が高いオメガ−3油が好適である。本発明に従い、高純度のオメガ−3油は、1成分を重量または体積で表して約85パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセントまたはそれ以上のパーセントで含んで成る。好適なオメガ−3エステルには、これらに限定するものでないが、EPAおよびDHAが含まれる。より好適なオメガ−3エステルにはオメガ−3エチルエステルが含まれる。
【0070】
油の組成が本発明の別の重要な面である。油の組成は油に含まれる種および成分の両方として記述可能である。種には、特定のオメガ−3油、例えばこれらに限定するものでないが、EPA、DHA、リノール酸、リノレン酸などが含まれる。成分には、これらに限定するものでないが、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、遊離酸、エステルおよびこれらの誘導体、前駆体および塩が含まれる。例えば、E463808はEPAをエチルエステルとして約46%およびDHAをエチルエステルとして約38%含有する(質量パーセント)。その残りの部分は本質的にEPAおよびDHA以外のオメガ−3油および他の非オメガ−3油で構成されている。他の市販オメガ−3油にモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エステル、遊離酸などまたはこれらの混合物の如き成分として入っているEPAとDHAの濃度はより高いか或はより低い。EPAとDHAの質量パーセントが約55パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油が好適である。EPAとDHAの質量パーセントが約75パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油がより好適である。EPAとDHAの質量パーセントが約80パーセントに等しいか或はそれ以上の組成を有するオメガ−3油が最も好適である。
【0071】
本発明に従い、オメガ−3アルキルエステルと別の形態のオメガ−3油(例えば脂肪酸、トリグリセリド)の混合物も包含させる。高純度または純粋なアルキルエステルを含有する油を本発明に包含させる。
【0072】
別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約85重量パーセントである。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99重量パーセントまたはそれ以上である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約25から約100重量パーセントの範囲、約40から約100重量パーセントの範囲、約50から約100重量パーセントの範囲、約60から約100重量パーセントの範囲、約70から約100重量パーセントの範囲、約75から約100重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様におけるオメガ−3エステルまたはオメガ−3アルキルエステルの純度は約100重量パーセント、約99重量パーセント、約96重量パーセント、約92重量パーセント、約90重量パーセント、約85重量パーセント、約80重量パーセント、約75重量パーセント、約70重量パーセント、約65重量パーセント、約60重量パーセント、約55重量パーセントまたは約50重量パーセントである。
【0073】
別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は少なくとも約50重量パーセント、少なくとも約60重量パーセント、少なくとも約70重量パーセント、少なくとも約75重量パーセント、少なくとも約80重量パーセントまたは少なくとも約84重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95重量パーセントである。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約25から約95重量パーセントの範囲、約40から約95重量パーセントの範囲、約50から約95重量パーセントの範囲、約60から約95重量パーセントの範囲、約70から約95重量パーセントの範囲、約75から約95重量パーセントの範囲、約75から約90重量パーセントの範囲、約75から約85重量パーセントの範囲または約80から約85重量パーセントの範囲である。別の態様において、EPAとDHAを含有して成る油組成物のEPAとDHAの量は約99重量パーセント、約96重量パーセント、約92重量パーセント、約90重量パーセント、約84重量パーセント、約80重量パーセント、約75重量パーセント、約70重量パーセント、約65重量パーセント、約60重量パーセント、約55重量パーセントまたは約50重量パーセントである。
【0074】
別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約23:19、EPA:DHAの比率を約75:11、EPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約9:2、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を約95:1、EPA:DHAの比率を約75:1、EPA:DHAの比率を約50:1、EPA:DHAの比率を約25:1、EPA:DHAの比率を約20:1、EPA:DHAの比率を約15:1、EPA:DHAの比率を約10:1、EPA:DHAの比率を約7.5:1、EPA:DHAの比率を約5:1、EPA:DHAの比率を約4:1、EPA:DHAの比率を約3:1、EPA:DHAの比率を約2:1、EPA:DHAの比率を約1.5:1、EPA:DHAの比率を約1:1、EPA:DHAの比率を約1:1.5、EPA:DHAの比率を約1:2、EPA:DHAの比率を約1:3またはEPA:DHAの比率を約1:5にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAを約95:1の比率から約1:5の比率、EPA:DHAを約50:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約25:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約10:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約5:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約3:1の比率から約1:1の比率、EPA:DHAを約2:1の比率から約1:1の比率またはEPA:DHAを約1.5:1の比率から約1:1の比率にする。別の態様では、オメガ−3エステルもしくはオメガ−3アルキルエステルのEPA:DHAの比率を少なくとも約1:5、EPA:DHAの比率を少なくとも約1:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約1.5:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約2:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約3:1、EPA:DHAの比率を少なくとも約5:1またはEPA:DHAの比率を少なくとも約10:1にする。
【0075】
具体的には、1つの態様において、オメガ−3油の上述または他に示した比率、組成または純度の中のいずれか1つ以上は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、例えば、EPA:DHA比が3.3:2、2.1:1、3.1:2、1.9:1、1.7:1、1.4:1、1.1:1、1:1および1:1.8は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、また、EPA:DHA比が約1:1から約2:1は本発明に含まれない可能性がある。加うるに、具体的には、EPAとDHAが例えば約80.2、83.4、83.7、86.6、87.7または90.2重量パーセントの組成を包含するオメガ−3油は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、EPAが46パーセントでDHAが38パーセントのオメガ−3エチルエステルを90パーセント(重量/重量)含有するオメガ−3油[例えばOMACOR(商標)]は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、EPA:DHAを2:1に等しいか或はそれ以上の比率で含有するオメガ−3油は本発明に含まれない可能性がある。具体的には、EPA:DHA比が例えば約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1またはそれ以上のオメガ−3油は含まれない可能性がある。具体的には、EPAとDHAを75、80、85、90、91、92、93、94または95重量パーセントに等しいか或はそれ以上の量で含有するオメガ−3油は含まれない可能性がある。具体的には、EPA:DHAを約1:5、4.5:1、95:1、7.5:1または1.21:1に相当する比率で含有するオメガ−3油は本発明に含まれない可能性がある。また、具体的には、他の市販オメガ−3油も本発明に従って含まれない可能性があり、それらには、これらに限定するものでないが、Croda International(英国)およびPronova Biocare(ノルウェー)から入手可能なそれらが含まれる。
【0076】
本明細書で用いる如き「スタチン」には、これらに限定するものでないが、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチンおよびセリバスタチンが含まれる。スタチンは塩、水和物、溶媒和物、多形相物または共結晶の形態であってもよい。スタチンはまた塩の水和物、溶媒和物、多形相物または共結晶の形態であってもよい。スタチンはまた本発明に従って遊離酸またはラクトン形態でも存在し得る。
【0077】
用語「有効量」、「治療有効量」または「治療的に有効な量」は、本発明に従う組成物がこれの投与または使用の文脈の範囲内で所望の結果(例えば血漿中トリグリセリド濃度を下げることを包含)をもたらすに有効でありかつ推奨されるオメガ−3油摂取量をもたらすに有効な量または濃度を意味する。従って、本明細書全体に渡って用語「有効量」を本発明に従う薬剤組成物が治療すべき病気または状態の好ましい変化をもたらすようにそれを用いることができる濃度または量を記述する目的で用いる(その変化が血漿中トリグリセリド濃度の低下であるか或は血漿中LDL濃度の上昇であるか或は他の好ましい生理学的結果であるかに拘わらず)。
【0078】
用語「患者」には動物、好適には哺乳動物、最も好適にはヒトが含まれる。
【0079】
「腸溶性被膜」は、酸に不安定な薬剤を胃液の攻撃から保護する手段を指す。いろいろな腸溶性被膜は活性薬剤を胃腸管の基部で迅速に放出し得る。いろいろな腸溶性被膜が本分野の技術者に公知であり、それらには、非限定例としてメタアクリル酸とメタアクリレートのアニオン性重合体で構成されている被膜(カルボキシル基を含有する)が含まれる。Eudragit(商標)L100(Rohm Pharma)が好適な腸溶性被膜である。
【0080】
AUCは、薬剤投与後の時間と対比させた薬剤の血漿中濃度のプロット下の面積(濃度の対数ではない)である。前記面積を便利には「台形法則」で測定する。データ点を直線分でつなぎ、横座標から各データ点に至る垂線を引き、そしてそのようにして作られた三角形および台形の総面積を計算する。最後の測定濃度(時間tnの時のCn)がゼロではない時、tnから無限時間までのAUCをCn/kelで推定する。
【0081】
AUCは、特に、薬剤が示す生体利用率を推定しようとする時および薬剤の総クリアランス(ClT)を推定しようとする時に用いられる。静脈内投与を1回行った後、一次排泄動態に従う単一コンパートメントシステム(single compartment systems)の場合にはAUC=D/ClT[ここで、Dは用量である]であり、別法として、AUC=C0/kel[ここで、kelは薬剤排泄速度定数である]である。静脈内経路以外の経路を用いる時は、AUC=F・D/ClT[ここで、Fは薬剤が示す絶対的生体利用率である]である。
【0082】
1種以上のスタチンが示すAUCを本発明の薬剤組成物を基準組成物[例えばPRAVACHOL(商標)]と比べた時の相対的生体利用度の指標として用いることができる。
【0083】
本発明は、別の態様において、スタチンの塩を提供する。特定態様では、プラバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンのマグネシウム塩を提供する。別の特定態様では、プラバスタチンの亜鉛塩を提供する。別の特定態様では、フルバスタチンのカルシウム塩を提供する。別の特定態様では、スタチンの二価塩を提供する。別の態様におけるスタチンの塩は非晶質である。別の態様におけるスタチンの塩は結晶性である。
【0084】
別の態様では、スタチンの塩を含んで成る薬剤組成物または薬剤を提供する。
【0085】
別の態様において、本発明はスタチンの塩を製造する方法を提供する。
【0086】
別の態様において、スタチンの塩を製造する方法は、
(a)スタチンと塩を溶液中で一緒にし、
(b)前記スタチンの塩の沈澱を開始させ、そして
(c)前記スタチンの前記塩を集める、
ことを含んで成る。
【0087】
別の態様において、段階(a)におけるスタチンは塩であってもよい。例えば、段階(a)におけるスタチンはスタチンのアルカリ金属塩であってもよく、それらは、例えば、これらに限定するものでないが、プラバスタチンのナトリウム塩またはフルバスタチンのナトリウム塩などである。別の態様において、段階(a)における塩はアルカリ土類金属塩であってもよい。例えば、段階(a)における塩はカルシウムまたはマグネシウム塩、例えば、これらに限定するものでないが、酢酸カルシウムまたは塩化カルシウムなどであってもよい。
【0088】
別の態様において、段階(b)における沈澱の開始は、前記溶液を冷却するか、前記溶液またはこれの一部に蒸発を受けさせるか、或は本分野の技術者に公知の技術の中の1つ以上を用いて達成可能である。
【0089】
別の態様において、段階(c)で塩を集めることは、濾過、傾斜法または本分野の技術者に公知の技術の中のいずれか1つ以上を用いて達成可能である。
【0090】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤はオメガ−3エステルを約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびプラバスタチンの塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80mg含有して成る。
【0091】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤はオメガ−3エステルを約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびフルバスタチンの塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。
【0092】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤はオメガ−3エチルエステルを約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよびスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。
【0093】
本発明に従い、スタチンの塩の質量の測定では、遊離形態の質量を基準にして測定を実施する。例えば、スタチンの塩の量が80mgであることは遊離形態のスタチンが80mgであることを指し、カチオンの質量は含めない。
【0094】
別の態様では、本発明に従う薬剤組成物に増粘剤、例えばこれらに限定するものでないが、炭酸カルシウムまたは二酸化ケイ素などを添加してもよい。
【0095】
別の態様において、本発明の薬剤組成物または薬剤は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに8週間に及んで貯蔵可能である。別の態様において、本発明の薬剤組成物は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに12週間に及んで貯蔵可能である。別の態様において、本発明の薬剤組成物は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに16週間に及んで貯蔵可能である。別の態様において、本発明の薬剤組成物は約25℃でスタチン1種または2種以上の検出可能劣化無しに26週間に及んで貯蔵可能である。
【0096】
別の態様において、プラバスタチンのカルシウム塩がオメガ−3油の懸濁液に入っている状態で示す安定性は本実施例で示すように他のプラバスタチン塩のそれに比べて予想外に高い。驚くべきことに、プラバスタチンのカルシウム塩がオメガ−3油に入っている懸濁液の状態で示す安定性は他のプラバスタチン塩、例えばナトリウムおよびカリウム塩などが示すそれに比べて高い。本発明に従い、また、プラバスタチンのマグネシウムおよび亜鉛塩およびフルバスタチンのカルシウム塩も好適である。
【0097】
別の態様において、プラバスタチンの亜鉛塩がオメガ−3油とアルコールに入っている懸濁液の状態で示す安定性は本実施例で示すように他のプラバスタチン塩のそれに比べて予想外に高い。驚くべきことに、プラバスタチンの亜鉛塩がオメガ−3油に入っている懸濁液の状態で示す安定性は他のプラバスタチン塩、例えばナトリウム、カルシウムおよびカリウム塩などが示すそれに比べて高い。
【0098】
別の態様では、高コレステロール値(例えば高コレステロール血症における)、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減および/または治療する方法を提供し、これは、そのような予防、軽減および/または治療を必要としている哺乳動物に本発明の薬剤組成物を投与することによる方法である。別の態様において、前記哺乳動物はヒトである。
【0099】
別の態様において、本発明は、水溶解度が約200.00mg/mL未満のスタチン塩を包含する。それは例えば約200.00、190.00、180.00、170.00、160.00、150.00、140.00、130.00、120.00、110.00、100.00、90.00、80.00、75.00、70.00、65.00、60.00、55.00、50.00、45.00、40.00、35.00または30.00mg/mL未満である。別の態様において、本発明は、水溶解度が約25.00mg/mL未満または水溶解度が約0.10mg/mLから約25mg/mLの範囲のスタチン塩を包含する。別の態様において、本発明は、水溶解度が約200.00mg/mL未満のプラバスタチン塩を包含する。それは例えば約200.00、190.00、180.00、170.00、160.00、150.00、140.00、130.00、120.00、110.00、100.00、90.00、80.00、75.00、70.00、65.00、60.00、55.00、50.00、45.00、40.00、35.00mg/mL未満または30.00mg/mL未満である。別の態様において、本発明のプラバスタチン塩が示す水溶解度は約25.00mg/mLまたは0.10mg/mLから約25mg/mLの範囲の水溶解度である。別の態様において、本発明は、水溶解度が(約)25.00、24.00、23.00、22.00、21.00、20.00、19.00、18.00、17.00、16.00、15.00、14.00、13.00、12.00、11.00、10.00、9.00、8.00、7.00、6.00、5.00、4.00、3.00、2.00、1.00、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20または0.10mg/mL未満のスタチン塩もしくはプラバスタチン塩を包含する(前記溶解度値は0.01mg/mLの間隔の如何なる分数の溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると理解されるべきであり、そのような溶解度を簡潔さおよび本明細書が過度に長くならないようにする目的で本明細書に含めなかった)。不溶な塩(溶解度が0.00mg/mLの塩)は本発明の範囲内に含めない。水溶解度が約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの前記範囲は0.01mg/mLの間隔で約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの範囲の如何なる分数溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると解釈されるべきである。また、本発明のプラバスタチン塩が示す水溶解度はX.YZmg/mL未満(ほぼそれ未満)[ここで、Xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25であり、Yは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり、そしてZは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である(但し、Xが0の時にはYおよびZの両方ともが0になり得ることはない、即ちX、YおよびZの各々が独立して0であり得ることはないことを条件とする)]の水溶解度であるとしても記述可能である。
【0100】
別の態様において、本発明は、水溶解度が約200.00mg/mL未満のフルバスタチン塩を包含する。それは例えば約200.00、190.00、180.00、170.00、160.00、150.00、140.00、130.00、120.00、110.00、100.00、90.00、80.00、75.00、70.00、65.00、60.00、55.00、50.00、45.00、40.00、35.00mg/mL未満または30.00mg/mL未満である。別の態様において、本発明は、水溶解度が約25.00mg/mLまたは水溶解度が約0.10mg/mLから約25mg/mLのフルバスタチン塩を包含する。別の態様において、本発明は、水溶解度が約25.00、24.00、23.00、22.00、21.00、20.00、19.00、18.00、17.00、16.00、15.00、14.00、13.00、12.00、11.00、10.00、9.00、8.00、7.00、6.00、5.00、4.00、3.00、2.00、1.00、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50、0.40、0.30、0.20または0.10mg/mL未満のフルバスタチン塩を包含する(前記溶解度値は0.01mg/mLの間隔の如何なる分数の溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると理解されるべきであり、そのような溶解度を簡潔さおよび本明細書が過度に長くならないようにする目的で本明細書に含めなかった)。不溶な塩(溶解度が0.00mg/mLの塩)は本発明の範囲内に含めない。水溶解度が約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの前記範囲は0.01mg/mLの間隔で約0.10mg/mLから約25.00mg/mLの範囲の如何なる分数溶解度も包含しかつそれらを書面で支援すると解釈されるべきである。また、本発明のフルバスタチン塩が示す水溶解度はX.YZmg/mL未満(ほぼそれ未満)[ここで、Xは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25であり、Yは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり、そしてZは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である(但し、Xが0の時にはYおよびZの両方ともが0になり得ることはない、即ちX、YおよびZの各々が独立して0であり得ることはないことを条件とする)]の水溶解度であるとしても記述可能である。
【0101】
別の態様において、本発明は、上述した如きスタチン塩の水溶解度が約25mg/mL未満である前記スタチン塩の薬剤組成物を提供する。
【0102】
別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約200mg/mL未満のスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約50mg/mL未満のスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約25mg/mL未満のスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。特定態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約15−17mg/mLのスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約0.5mg/mLのスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。別の態様において、本発明の薬剤組成物もしくは薬剤は、オメガ−3油を約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgおよび水溶解度が約0.3mg/mLのスタチン1種または2種以上の塩を約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mg含有して成る。
【0103】
オメガ−3油の治療的に受け入れられる1日当たりの用量をいくつかの国民グループおよび国際グループが推奨または考慮しており、そのようなグループには、これらに限定するものでないが、American Heart Association(AHA)およびInternational Society for the Study of Fattly Acids and Lipids(ISSFAL)が含まれる。表1に、いくつかの組織が考察/推奨する如きオメガ−3の1日当たりの用量を含める。
【0104】
【表1】
【0105】
薬剤組成物および投薬形態物
本発明の薬学的投薬形態物は経口、非経口、吸入、噴霧、局所、直腸、鼻、頬、膣または移植貯留で投与可能である。経口および非経口薬剤組成物および投薬形態物が好適な投薬形態物である。経口投薬形態物は好適には均一もしくは不均一製剤、非経口投薬形態物またはカプセル製剤(これらに限定するものでないが、硬質ゼラチンカプセル、澱粉カプセル、HPMCカプセルおよび軟質弾性ゼラチンカプセルを包含)である。他の好適な投薬形態物には、皮内投薬形態物、筋肉内投薬形態物、皮下投薬形態物および静脈内投薬形態物が含まれる。
【0106】
本発明の薬学的単位投薬形態物は患者に経口、粘膜(例えば鼻、舌下、膣、頬または直腸)、非経口(例えば筋肉内、皮下、静脈内、動脈内またはボーラス注射)、局所または経皮投与するに適する。投薬形態物の例には、これらに限定するものでないが、カプセル、分散液、座薬、軟膏、パップ(湿布)、ペースト、粉末、包帯剤、クリーム、プラスター、溶液、パッチ、エーロゾル(例えば鼻スプレーまたは吸入器)、ゲル、患者に経口または粘膜投与するに適した液状投薬形態物[懸濁液(例えば非水性液状懸濁液など)、溶液およびエリキシルを包含]および患者に非経口投与するに適した液状投与形態物が含まれる。
【0107】
本発明の投薬形態物の組成、形状および種類は典型的にそれらの使用に応じて多様である。例えば、病気または疾患の緊急治療で用いる投薬形態物に含有させる活性材料の量は、同じ病気または疾患の長期治療で用いる経口投薬形態物のそれよりも多くてもよい。同様に、非経口投薬形態物に含有させる活性材料の量は、同じ病気または疾患の治療で用いる経口投薬形態物のそれよりも少なくてもよい。本発明で意図する特定の投薬形態物を互いに変える前記および他の様式は本分野の技術者に容易に明らかであろう。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、Mack Publishing、Easton PA(1995)を参照。
【0108】
本発明の典型的な投薬形態物のスタチン含有量は約1mgから約160mg、好適には約5mgから約160mgの量である。例えば、スタチンもしくはスタチン塩の含有量が5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、110、120、130、140、150または160mgの投薬形態物が好適である。
【0109】
経口投薬形態物
経口投与に適した本発明の薬剤組成物は個別の投薬形態物、例えばこれらに限定するものでないが、この上に記述した如きカプセルなどおよび液体、例えばこれらに限定するものでないが、シロップ、エリキシル、溶液または懸濁液などの形態として提供可能である。そのような投薬形態物の調製は本分野の技術者に良く知られた医薬方法を用いて実施可能である。一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)またはRemington:The Science and Practice of Pharmacy、19版、Mack Publishing、Easton PA(1995)を参照。
【0110】
制御放出投薬形態物
スタチンを制御または遅延放出手段で投与してもよい。制御放出薬品は、対照物が制御されないで放出されることで達成される薬剤治療に比べて薬剤治療を向上させようとする共通の目標を有する。理想的には、最適にデザインした制御放出製剤を医学治療で用いることは、そのような病気を治療または抑制する目的で用いられる薬剤物質の量を最低限の時間で最低限にしようとすることで特徴づけられる。制御放出製剤の利点には、1)当該薬剤が活性を示す時間が長いこと、2)投薬頻度が少ないこと、3)患者による受け入れが向上すること、4)薬剤総使用量が少なくなること、5)局所もしくは全身の副作用が低下すること、6)薬剤蓄積量が最低限になること、7)血中濃度変動が低下すること、8)治療効果が改善すること、9)薬剤活性の増強もしくは損失の度合が低下すること、および10)病気または状態を抑制する速度が向上することが含まれる(Kim,Cherng−ju、Controlled Release Dosage Form Design、2 Technomic Publishing、Lancaster、Pa.:2000)。本発明では、肝臓および脂質粒子生成部位を標的にする度合がより大きくなるようにすると制御放出の利点が得られるであろう。
【0111】
通常の投薬形態物では、一般に、その製剤から薬剤が急速または即座に放出される。通常の投薬形態物を用いると、薬剤の薬理学および薬物動態に応じて、患者の血液または他の組織中の薬剤濃度が幅広く変動する可能性がある。そのような変動はいろいろなパラメーター、例えば投薬頻度、作用の開始、効力持続期間、血中治療レベルの維持、毒性、副作用などに影響を与える可能性がある。有利には、制御放出製剤を用いて薬剤が作用を示し始める時点、作用の持続期間、治療範囲内の血漿中濃度およびピーク血中濃度を調節することができる。特に、制御もしくは長期放出投薬形態物または製剤を用いると、起こり得る副作用および安全性[両方とも薬剤投与下で起こり得る(即ち最小限の治療レベル未満になる)]の懸念を最小限にしながら薬剤の最大の効果を達成することを確保することができるばかりでなく薬剤が毒性を示す濃度を超えないようにすることを確保することができる。
【0112】
大部分の制御放出製剤は、最初に薬剤(活性材料)を所望の治療効果を迅速にもたらす量で放出しそしてその治療レベルまたは予防効果が長時間に渡って維持されるような他の量で薬剤を徐々に継続して放出するように考案されている。そのように体の中の薬剤を一定濃度に維持するには、代謝を受けて体から排出される量の薬剤を元の量に戻す速度で薬剤が投薬形態物から放出されるようにすべきである。活性材料の制御放出はいろいろな条件によって刺激される可能性があり、そのような条件には、これらに限定するものでないが、pH、イオン濃度、浸透圧、温度、酵素、水および他の生理学的条件および化合物が含まれる。
【0113】
いろいろな公知の制御もしくは長期放出投薬形態、製剤およびデバイスが本発明の組成物で用いるに適合し得る。その例には、これらに限定するものでないが、米国特許第3,845,770;3,916,899;3,536,809;3,598,123;4,008,719;5,674,533;5,059,595;5,591,767;5,120,548;5,073,543;5,639,476;5,354,556;5,733,566;および6,365,185B1(これは各々引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されているそれらが含まれる。そのような投薬形態物は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他の重合体マトリクス、ゲル、透過性膜、浸透圧系[例えばOROS(商標)(Alza Corporation、Mountain View、Calif.USA)]、多層被膜、微細粒子、リポソーム、微小球またはこれらの組み合わせを用いて1種以上の活性材料をゆっくりまたは制御して放出させていろいろな比率の所望放出プロファイルをもたらす目的で使用可能である。
【0114】
本発明の1つの態様は、スタチンと1種以上の薬学的に受け入れられる賦形剤または希釈剤を含んで成る単位投薬形態物も包含し、ここでは、そのような薬剤組成物または投薬形態物を制御放出に適するように調製する。特定の投薬形態物では浸透圧性薬剤送達系を用いる。
【0115】
また時間制御放出投薬形態物としても機能する遅延放出投薬形態物の例が米国特許第5,366,738号(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)にも記述されている。米国特許第5,366,738号に記述されている制御放出薬剤送達デバイスはゲル押出しモジュール(GEM)送達デバイスとして知られる。そのようなGEMデバイスは有益な作用剤、例えば薬剤が入っている分散液をインシトゥで制御して生じさせかつ放出させるに適した薬剤送達デバイスであり、これは、
(A)(i)治療的に有効な量の有益な作用剤、および
(ii)水和時にゼラチン状の顕微的粒子を生じる重合体、
を含んで成る混合物から作られた圧縮された中心部、
(B)重合体と可塑剤を含んで成っていて前記中心部を取り巻きかつこれと接着している水に不溶で水を透過しない重合体被膜(この被膜は前記中心部の表面の約1から約75%を露出させるように形成された複数の開口部を有する)、
を含んで成り、そしてここで、前記有益な作用剤が前記デバイスから放出される速度は前記開口部の数および大きさの関数である。
【0116】
そのようなGEMデバイスでは、前記圧縮された中心部の中に入れる重合体を好適にはポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシポリメチレンおよびこれらの薬学的に受け入れられる塩、例えばナトリウム塩などから選択するが、前記カルボキシポリメチレンは、スクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルでアクリル酸を架橋させることで作られており、それをより好適にはスクロースまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルでアクリル酸を架橋させることで生じさせたカルボキシポリメチレンおよびこれらの薬学的に受け入れられる塩などから選択する。最も好適には、CARBOPOL(商標)974Pおよびこれの薬学的に受け入れられる塩、特にナトリウム塩を前記圧縮された中心部の中に入れる重合体として用いる。加うるに、前記圧縮された中心部にまた1種以上の高分子水和調節剤、抗酸化剤、滑剤、充填材および賦形剤などを含有させることも可能である。水に不溶な被膜を付着させる前に任意の副次的被膜を前記圧縮された中心部に製造工程の補助として付着させておくことも可能である。そのような副次的被膜を例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどで構成させてもよい。追加的被膜を美的または機能目的で付着させることも可能である。
【0117】
そのような水に不溶で水を透過しない重合体被膜を、好適には(1)ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロースおよびこのような重合体の組み合わせから選択した重合体、および(2)フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチルおよびクエン酸トリエチルから選択した可塑剤で構成させる。より好適には、そのような重合体被膜を酢酸酪酸セルロースとクエン酸トリエチルで構成させる。そのようなGEMデバイスは浸透圧性薬剤送達デバイスとしては機能せず、従って、そのようなデバイスの放出機能は流体が体の外側環境からそれに生じさせておいた開口部を通して圧縮された中心部の内部環境の中に入り込むことに依存している。重合体被膜を記述する目的で用いる用語「水に不溶で水を透過しない」は本質的に水に不溶で水を透過しない被膜を定義することを意図し、このことは、スタチンが体の中でGEMデバイスから放出されている時間の間に流体が穴開き開口部を通して入り込むことが起こる以外は水が体の外側環境から圧縮された中心部の内部環境に向かって被膜を通り抜けることを重合体被膜が許さないか或は許す度合が最小限であることを意味する。その水に不溶で水を透過しない重合体被膜をいくらか通り抜ける水の量が最低限であることは実体のないことであり、これはGEMデバイスが果たす機能、即ち薬剤が開口部を通って放出される速度に有意には貢献しない。むしろ、GEMデバイスから放出されるスタチンの速度は主に当該デバイスの開口部の数および大きさの関数である。
【0118】
最終製品をエレガントで美的に感じ良くする目的で、最終的に、着色剤、ワックスなどが入っている外側仕上げ用被膜をGEM送達デバイスに付着させてもよい。また、GEMデバイスに腸溶性被膜を追加的最終被膜を付着させる前または後に付着させてもよい。腸溶性被膜を用いなくても、重合体の押出し(これによってスタチンがGEMデバイスの圧縮された中心部の内側から運び出される)は胃の酸性pHで実質的な度合で起こることはなく、従って、スタチンの実質的な放出が胃の中で起こることはないはずである。そのようなGEM送達デバイスのさらなる詳細および例が米国特許第5,366,738号に記述されている。
【0119】
薬剤組成物調製方法に不活性ガスパージの使用を含めるのが一般に好適である。そのような不活性ガスは、例えば窒素、アルゴンなどである。低酸素条件を維持する目的で絶縁装置を用いるのが望ましいが、本薬剤組成物を貯蔵する時にそれを用いる必要はない。
【0120】
本発明の前記および他の態様を以下の実施例に更に例示するが、それは例示であり、決して限定ではない。
[実施例]
【0121】
材料および方法
サンプルの示差走査熱量(DSC)分析をAdvantage for QW−Series、バージョン1.0.0.78、Thermal Advantage Release 2.0(2001 TA Instruments−Water LLC)が用いられているQ1000 Differential Scanning Calorimeter(TA Instruments、New Castle、DE、U.S.A.)を用いて実施した。加うるに、使用した分析ソフトウエアはWindows 95/95/2000/NT用のUniversal Analysis 2000のバージョン3.1E;Build 3.1.0.40(2001 TA Instruments−Water LLC)であった。
【0122】
DSC分析で用いたパージガスは乾燥した窒素であり、基準材料は空のひだ付きアルミニウム製天秤皿であり、そしてサンプルのパージ洗浄率を50mL/分にした。
【0123】
ひだ付き天秤皿クロージャーが備わっているアルミニウム製天秤皿にモダフィニルサンプルを入れることを通してサンプルのDSC分析を実施した。開始温度は典型的に20℃であり、加熱速度を10℃/分にしそして最終温度を200℃にした。報告するDSC転移は全部、特に明記しない限り、個々のピークの所の吸熱または発熱転移の温度(±2℃の誤差を伴う)を表す。
【0124】
サンプルの熱重量分析(TGA)をAdvantage for QW−Series、バージョン1.0.0.78、Thermal Advantage Release 2.0(2001 TA Instruments−Water LLC)が用いられているQ500 Thermogravimetric Analyzer(TA Instruments、New Castle、DE、U.S.A.)を用いて実施した。加うるに、使用した分析ソフトウエアはWindows 95/95/2000/NT用のUniversal Analysis 2000のバージョン3.1E;Build 3.1.0.40(2001 TA Instruments−Water LLC)であった。
【0125】
TGA実験で用いたパージガスは乾燥した窒素であり、天秤のパージを40mL/分のN2にしそしてサンプルのパージを60mL/分のN2にした。
【0126】
アルミニウム製天秤皿にモダフィニルサンプルを入れることを通してサンプルのTGAを実施した。開始温度は典型的に20℃であり、加熱速度を10℃/分にしそして最終温度を300℃にした。
【0127】
RINT Rapid Control Software、Rigaku Rapid/XRD、バージョン1.0.0(1999 Rigaku Co.)がコントロールソフトウエアとして用いられているD/Max Rapid、Contact(Rigaku/MSC、The Woodlands、TX,U.S.A.)を用いてサンプルが示す粉末X線回折(PXRD)パターンを得た。加うるに、使用した分析用ソフトウエアはRINT Rapidディスプレーソフトウエア、バージョン1.18(Rigaku/MSC)およびJADE XRD Pattern Processing、バージョン5.0および6.0(1995−2002、Materials Data,Inc.)であった。
【0128】
PXRD分析取得用パラメーターは下記の通りであった:源はK線が1.5406Åの所のCuであり、x−y段階は手動であり、コリメータの大きさは0.3mmであり、毛細管(Charles Supper Company、Natick、MA、U.S.A.)のIDは0.3mmであり、反射モードを用い、X線管への電力は46kVであり、X線管への電流は40mAであり、オメガ軸を0−5度の範囲内で1度/分の速度で振動させ、ファイ軸を360度の角度で2度/秒の速度で走査し、0.3mmのコリメータ、集積時間は60分間であり、温度は室温であり、そしてヒーターを用いなかった。ホウ素が豊富に存在するガラス製毛細管の中のX線源にサンプルを提示した。
【0129】
加うるに、分析用パラメーターは下記の通りであった:積分2シータ範囲は2−60度であり、積分カイ範囲は0−360度であり、カイセグメントの数は1であり、使用したステップサイズは0.02であり、積分単位はシリント(cylint)であり、正規化を用い、ダークカウント(dark counts)は8であり、オメガオフセットは180であり、そしてカイおよびファイオフセットは0であった。
【0130】
PXRD回折図をまたBruker AXS D8 Discover X−ray Diffractometerを用いることでも取得した。この装置にはGADDS(商標)(General Area Diffraction Detection System)、Bruker AXS HI−STAR Area Detector(装置の較正に従って15.05cmの距離の所)、銅源(Cu/Kα1.54056オングストローム)、自動化x−y−zステージおよび0.5mmのコリメータが備わっていた。サンプルをペレット形態に圧縮した後、前記x−y−zステージの上に置いた。回折図の取得を周囲条件下で電力を40kVおよび40mAに設定してサンプルを静止状態のまま反射様式で実施した。暴露時間を各サンプル毎に変えかつ特定した。面積検出器の幾何学的ピンクッション(pincushion)変形を説明する目的で、その得た回折図に空間的再配置手順を受けさせた後、正規化を二進法正規化に設定して積分を−118.8から−61.8度のカイおよび2シータ2.1−37度に沿って0.02度のステップサイズで実施した。
【0131】
回折図の中のピークの相対強度は必ずしもPXRDパターンの限界ではない、と言うのは、ピーク強度はサンプルとサンプルで変動する可能性があり、例えば結晶の不純物などが原因で変動する可能性があるからである。その上、各ピークの角度が変動する度合は約±0.1度、好適には±0.05度であり得る。また、パターン全体またはパターンピークの大部分も較正の差、設定およびその他、装置と装置の変動およびオペレーターとオペレーターの変動が原因で約±0.1度シフトする可能性もある。本図、実施例および本明細書の他の場所に報告するPXRDピークは全部約±0.1度2シータの誤差を伴わせて報告する。
【0132】
本明細書(表および図を包含)に示すPXRDデータでは、本発明の各組成物を2シータ角ピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つまたはそれ以上で特徴付けることがあり得る。また、本発明の組成物の特徴付けでいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つのDSC転移を用いることもあり得る。また、本組成物の特徴付けでPXRDピークとDSC転移のいろいろな組み合わせを用いることもあり得る。
【0133】
紫外(UV)吸収による溶解度測定
メスフラスコの中でAPIを無水エタノールに既知濃度で入れることによる調製を通して較正曲線を作成した。各濃度毎に200ミクロリットルの前記溶液を底が透明な96穴UVプレートに移した。そのサンプルが280nm(特に明記しない限り)の所に示す吸光度を紫外分光光度計で測定した。吸光度と濃度の相互関係は少なくとも100ミクログラム/mLに至るまで線形であることを確認した。
【0134】
サンプル中のAPI濃度を測定する時、少ない一定分量を取り出した後、メスフラスコの中で無水エタノールで100ミクログラム/mL未満のおおよその最終濃度になるまで希釈した(典型的には2000倍)。280nm(特に明記しない限り)の所の吸光度を測定した後、前記較正曲線を基にして溶解度を計算する。上述した技術を用いて数種のスタチン塩が20−25℃の温度で示す溶解度を測定した。
【実施例1】
【0135】
プラバスタチンカルシウム塩
プラバスタチンNa塩(1.470g、3.292ミリモル)を水(15.0mL)に入れることで生じさせた溶液に酢酸カルシウム(268mg、1.70ミリモル)もまた水(5.0mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その結果として生じた溶液に濃縮(窒素ガス流を用いて水を蒸発させることによる)を受けさせることで約15mLにした後、0℃に冷却した。白色固体が沈澱し、それを濾過で集めた。その濾液を再び0℃に冷却すると、更に沈澱物が生じた。濾液後に固体を一緒にした後、乾燥器の中で乾燥させた。その結果として得た固体はプラバスタチンのカルシウム塩であることを確認した。結果として得た塩はプラバスタチンとカルシウムが2:1の塩であった。
【0136】
図1に、前記プラバスタチンカルシウム塩が示したPXRD回折図を示す(Bruker、集めたままのデータ)。そのプラバスタチンカルシウム塩は図1に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つまたはそれ以上で特徴付け可能である。このプラバスタチンカルシウム塩は回折図を基にして弱結晶性であると思われる。
【0137】
このプラバスタチンカルシウム塩が示したTGAは約25℃から100℃の範囲に約3.5重量パーセントの損失が起こったことを示していた(図2を参照)。
【0138】
このプラバスタチンカルシウム塩を特徴付ける目的でまたIRスペクトルも用いた。このプラバスタチンカルシウム塩は図3に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、2360、1728、1561、1444、1186、855および668cm−1の所のピークが含まれる。
【0139】
また、前記プラバスタチンカルシウム塩およびプラバスタチンナトリウム塩の両方に関する動的蒸気収着(DVS)データも取得した。図4に、前記プラバスタチンカルシウム塩が示した水分収着−脱離サイクルを示す。前記カルシウム塩は連続的水吸着を約11パーセントの質量上昇に至るまで相対湿度(RH)の関数として示した。このことは非晶質化合物であることに一致する。その脱離サイクル中にヒステリシスが観察される。図5に、前記プラバスタチンナトリウム塩が示した水分収着−脱離サイクルを示す。前記ナトリウム塩である結晶性塩は、湿度が約54%RHに至るまでは質量上昇を徐々に示した。54パーセントRHを超えると吸着される水の量が有意に多くなった。その脱離サイクル中に有意なヒステリシスが観察される。前記プラバスタチンナトリウム塩が示す吸湿性の方が前記カルシウム塩が示すそれよりも高かった。
【0140】
プラバスタチンカルシウム塩の調製ではまた別の方法を用いることも可能である。プラバスタチンNa塩(496mg、1.11ミリモル)を水(5.0mL)に入れることで生じさせた溶液に塩化カルシウム(69mg、0.62モル)もまた水(2.0mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その結果として生じた溶液に蒸発を受けさせることで白色固体を得た。無水エタノール(10.0mL)を用いて前記固体からプラバスタチンCa塩を抽出した後、濾過した。その溶液に蒸発を受けさせることで油を得て、それをジエチルエーテル(10.0mL)を用いてすり潰した。その粉末状の白色固体(100mg)を冷水(5.0mL)で洗浄した後、空気で乾燥させた。その結果として得た固体はプラバスタチンカルシウム塩であることを確認した。
【0141】
前記プラバスタチンのカルシウム塩が示した測定水溶解度は約17−20mg/mLであった(紫外検出による、20−25℃)。前記プラバスタチンのナトリウム塩が示した測定水溶解度は300mg/mLを超えていた。
【実施例2】
【0142】
プラバスタチン塩がE463808中で示す26週間の安定性データ
プラバスタチンの数種の塩をE463808オメガ−3油に入れて懸濁させた後、キャップ付きガラス瓶または密封型ゼラチン製カプセルのいずれかに入れた。ゲルカップを25℃で用いる一方、ガラス瓶を25、40および60℃で用いた。塩が油に入っている懸濁液に測定を定期的に26週間に渡って受けさせた。プラバスタチン塩の劣化を測定する目的でHPLCを用いた。
【0143】
図6に、瓶およびゼラチン製カプセル(ゲルカップ)の両方が25℃で示した安定性のデータを示す。前記プラバスタチンのカルシウム塩が経時的に示した不純物のパーセントはゲルカップに入っている前記ナトリウム塩のそれよりも瓶に入っている前記カルシウム塩のそれよりも有意に低かった。25℃で26週間の間に起こる劣化の度合はゲルカップまたは瓶の両方のあらゆる塩の中で瓶に入っている前記カルシウム塩が示した劣化の度合が最も低かった。
【0144】
図7に、キャップ付きガラス瓶に入っているプラバスタチン塩が40および60℃で示した安定性を示す。再び、前記カルシウム塩が所定温度で示した劣化の方が前記ナトリウム塩またはカリウム塩のいずれが示したそれよりも実質的に低かった。驚くべきことに、8週間の間に起こる劣化に関して前記カルシウムサンプルが60℃で示した劣化の方が前記カリウム塩が40℃で示した劣化よりも有意に低くかつ前記ナトリウム塩が40℃で示した劣化と同様であった。
【実施例3】
【0145】
フルバスタチンカルシウム塩
15mLの水にフルバスタチンNa塩を505.9mg(1.167ミリモル)溶解させた。2mLの水に酢酸カルシウムを94.2mg(0.595ミリモル)溶解させた。前記酢酸カルシウム溶液を前記フルバスタチンNa溶液に添加すると直ちに沈澱物が生じた。固体を濾過で集めた後、最初に真空オーブンに入れて65℃で0.5時間乾燥させた後、窒素流下で室温に一晩放置した。乾燥させた固体を乳鉢と乳棒を用いて軽く粉砕した後、特徴付けを実施した。結果として得た固体にPXRD、DSC、TGA、ラマンおよびIR分光法を用いた特徴付けを受けさせた結果、それはフルバスタチンのカルシウム塩であることを確認した。結果として得た塩はフルバスタチンとカルシウムが2:1の塩であった。
【0146】
前記フルバスタチンのナトリウム塩およびカルシウム塩が23℃の水中で示す溶解度測定値を取得した。溶解度の測定を脱イオン水中で重量測定法で実施した。約130から150ミクロリットルの水にフルバスタチンナトリウム塩を5.5mg溶解させることで得た前記ナトリウム塩の水溶解度は約37から42mg/mLであった。5.5mgの前記カルシウム塩は水に完全には溶解せず、水を20mLになるまで添加したでも溶解しなかった。前記カルシウム塩が示した測定水溶解度は約0.275mg/mLに等しいか或はそれ以下であった。
【0147】
前記フルバスタチンカルシウム塩は図8に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、3.7、7.5、11.3、12.9、18.1、21.9および25.4度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。このフルバスタチンカルシウム塩はPXRD回折図を基にして弱結晶性であると思われる。
【0148】
DSCを25℃から230℃に至るまで10℃/分で実施した。DSCは約79℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図9を参照)。注:約100℃の所の発熱および小さい吸熱は装置の人為的結果であり、サンプルとは無関係である。
【0149】
TGA(13.083mg)を25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した。TGAは25℃から130℃の間に6.3重量パーセントの損失が起こることを示しており、これは約1.5当量の水に相当し得る(図10を参照)。
【0150】
前記フルバスタチンカルシウム塩を特徴付ける目的でまたラマン分光測定も用いた。このフルバスタチンカルシウム塩は図11に示すラマンシフトの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなシフトには、これらに限定するものでないが、1657、1604、1542、1500、1457、1216、814および352cm−1の所のシフトが含まれる。
【0151】
前記フルバスタチンカルシウム塩を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。このフルバスタチンカルシウム塩は図12に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、2361、1560、1500、1457、1345、1216、1155、839、741および560cm−1の所のピークが含まれる。
【実施例4】
【0152】
イヌを用いたプラバスタチンカルシウム塩の薬物動態試験
プラバスタチンカルシウム塩が示す薬物動態パラメーターとプラバスタチンナトリウム塩が示すそれを比較する目的で絶食させておいた6匹のビーグル犬を用いてツーウエイクロスオーバー(two−way cross−over)実験を実施した。プラバスタチンナトリウム塩をPRAVACHOL(商標)錠剤から取得した。プラバスタチンカルシウム塩を実施例1に記述した方法で取得した。イヌに投与するプラバスタチンカルシウム塩投薬形態物を、11.0mgのプラバスタチンカルシウム塩(プラバスタチン酸が10mgであることに相当)と744mgのRopufa 75オメガ−脂肪酸エチルエステルを軟質ゼラチン製カプセルの殻に入れることで構成させた。前記カプセルのインビトロ放出試験を実施した結果、それは37℃の脱イオン水に完全に溶解することが分かった。PRAVACHOL(商標)として投与したプラバスタチン遊離酸の平均用量は0.85mg/kgであり、そしてプラバスタチンカルシウム塩として投与したプラバスタチン遊離酸の平均用量は0.95mg/kgであった。投与前の血漿サンプルを集めかつ投与後に投与してから0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、12および24時間後の血漿サンプルを集めた。LC/MS方法を用いて血漿サンプルにプラバスタチン濃度に関する分析を受けさせた。表2に、絶食させておいた6匹のビーグル犬に投与した両方の経口製剤に由来するプラバスタチンに関する数種の重要な薬物動態パラメーターを示す。
【0153】
【表2】
【0154】
一般に、プラバスタチンカルシウム塩が示したAUCおよびCmax値の方がPRAVACHOL(商標)錠剤が示した値よりも若干高かった。Tmax値は製剤間で匹敵している。その結果として、プラバスタチンカルシウム塩を投与した後にプラバスタチンが示す相対生体利用率(投与用量に対して正規化した)の方がPRAVACHOL(商標)のそれよりも若干高いと思われる。このような結果は、プラバスタチンカルシウム塩を薬学的オメガ−3エチルエステルに入れることで生じさせた懸濁液がプラバスタチンの薬物動態挙動に対して示す影響は大きくないことを示唆している。
【実施例5】
【0155】
プラバスタチンマグネシウム塩
3mLの30.5質量パーセントプラババスタチンナトリウム溶液に49.5質量パーセントの塩化マグネシウム溶液を0.7mL加えた。両方の溶液で用いた溶媒は脱イオン水であった。両方の液体とも30分以内に相分離を起こすことを観察した。濃密な相から結晶化が一晩の間に起こった。下記の2固相(晶癖)を集めた:(A)反応槽の上部に存在する「綿毛状」懸濁相および(B)反応槽の下部に存在する濃密固相。結果として得た塩はプラバスタチンとマグネシウムが2:1の塩であった。
【0156】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)は図13に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、4.57、6.97、9.15、10.87、11.81、13.21、13.73、16.31、17.51、18.55、19.17、20.73、22.71、23.73および24.99度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。31.709度2−シータの所に観察したピークは塩化ナトリウム不純物に相当する。
【0157】
DSCを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Aに関して)。DSCは約99℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図14を参照)。約131℃の所の発熱は再結晶化が起こったことに相当し得る。
【0158】
TGAを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Aに関して)。TGAは25℃から約120℃の間に約12重量パーセントの損失が起こりかつ25℃から160℃の間に約25重量パーセントの損失が起こることを示していた(図15を参照)。
【0159】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。前記塩は図16に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、1726、1557、1425、1177、1078、1019および641cm−1の所のピークが含まれる。KBrペレットの中に圧縮したサンプルを用いてIRスペクトルを透過様式で取得した。そのスペクトルにベースライン補正を受けさせる。
【0160】
図17に、前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示した動的蒸気収着(DVS)等温プロットを示す。これを25℃で実施し、そしてそのデータは、約10から約60パーセントの相対湿度(RH)の間に安定な領域が存在することを示している。
【0161】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による)は14.22mg/mLであった。
【0162】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)は図18に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、4.57、6.99、9.13、10.41、10.87、12.05、13.19、13.77、16.37、17.43、18.53、19.13、20.71、22.73および25.01度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。
【0163】
DSCを25℃から200℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Bに関して)。DSCは約107℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図19を参照)。
【0164】
TGAを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩晶癖Bに関して)。TGAは25℃から約120℃の間に約12重量パーセントの損失が起こることを示していた(図20を参照)。
【0165】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。前記塩は図21に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、1726、1553、1459、1426、1177、1079、1039および827cm−1の所のピークが含まれる。KBrペレットの中に圧縮したサンプルを用いてIRスペクトルを透過様式で取得した。そのスペクトルにベースライン補正を受けさせる。
【0166】
前記プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による、20−25℃)は16.12mg/mLであった。
【実施例6】
【0167】
プラバスタチンマグネシウム塩
プラバスタチンの別の調製を実施した。プラババスタチンナトリウム塩(1.0057g、2.25ミリモル)を脱イオン水に入れることで生じさせた49質量パーセントの溶液にプロピレングリコールを2モル当量(0.171g)添加した。塩化マグネシウム(230.0g、1.14ミリモル)を脱イオン水に入れることで生じさせた53.1質量パーセントの溶液を添加するとプラバスタチンナトリウム塩の結晶化が起こることを観察した。その結晶化が一晩で完了に到達することを観察した。結果として得た塩はプラバスタチンとマグネシウムが2:1の塩であった。
【0168】
前記プラバスタチンマグネシウム塩は図22に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、4.55、6.97、9.13、10.87、11.81、13.21、13.73、16.31、17.49、18.55、19.15、20.73、22.69、23.71および24.97度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。31.710度2−シータの所に観察したピークは塩化ナトリウム不純物に相当する。
【0169】
DSCを40℃から200℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩に関して)。DSCは約99℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図23を参照)。
【0170】
TGAを25℃から280℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチンマグネシウム塩に関して)。TGAは25℃から約150℃の間に約11重量パーセントの損失が起こることを示していた(図24を参照)。
【0171】
前記プラバスタチンマグネシウム塩が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による、20−25℃)は17.24mg/mLであった。
【実施例7】
【0172】
プラバスタチン亜鉛塩
脱イオン水に溶解させた2当量のプラババスタチンナトリウムを1当量の塩化亜鉛を脱イオン水に入れることで生じさせた溶液と反応させる。結晶性プラバスタチン亜鉛の沈澱が室温で直ちに起こる。結果として得た塩はプラバスタチンと亜鉛が2:1の塩であった。
【0173】
前記プラバスタチン亜鉛塩は図25に示すPXRDピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなピークには、これらに限定するものでないが、3.78、7.56、9.58、11.34、17.05、18.76、19.80、21.91、24.57および26.55度2−シータの所のピークが含まれる(Rigaku、集めたままのデータ)。
【0174】
DSCを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチン亜鉛塩に関して)。DSCは約136℃の所に吸熱転移が存在することを示していた(図26を参照)。
【0175】
TGAを25℃から300℃に至るまで10℃/分で実施した(プラバスタチン亜鉛塩に関して)。TGAは約100℃から約190℃の間に約12重量パーセントの損失が起こり、約100℃までに起こる重量損失は無視出来るほどであることを示していた(図27を参照)。
【0176】
前記プラバスタチン亜鉛塩を特徴付ける目的でまたIR分光測定も用いた。前記塩は図28に示すIRピークの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなIRピークには、これらに限定するものでないが、1731、1574、1179、1044、849および754cm−1の所のピークが含まれる。KBrペレットの中に圧縮したサンプルを用いてIRスペクトルを透過様式で取得した。そのスペクトルにベースライン補正を受けさせる。
【0177】
前記プラバスタチン亜鉛塩を特徴付ける目的でまたラマン分光測定も用いた。このプラバスタチン亜鉛塩は図29に示すラマンシフトの中のいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたはいずれか6つまたはそれ以上で特徴付け可能であり、そのようなシフトには、これらに限定するものでないが、1654、1449、1208、1121、1050、846および427cm−1の所のシフトが含まれる。
【0178】
図30に、前記プラバスタチン亜鉛塩が示した動的蒸気収着(DVS)等温プロットを示す。これを25℃で実施し、そしてそのデータは、水分の収着量が徐々に多くなることを示している。
【0179】
前記プラバスタチン亜鉛塩が水中で示した測定溶解度(紫外線検出による、20−25℃)は0.53mg/mLであった。
【実施例8】
【0180】
プラバスタチン塩がE681010:エタノールの混合物中で示す12週間の安定性データ
プラバスタチンの数種の塩をE681010:エタノールが87:13の混合物に入れて懸濁させた後、キャップ付きガラス瓶の中に入れた。プラバスタチンカルシウム、プラバスタチンマグネシウム、プラバスタチンナトリウムまたはプラバスタチン亜鉛を87:13のE681010:エタノールに入れることで生じさせた各懸濁液に測定を12週間に渡って定期的に受けさせた。プラバスタチン塩の劣化を測定する目的でHPLCを用いた。
【0181】
図31に、4℃の時の安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。
【0182】
図32に、40℃の時の安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。12週間の間に劣化してラクトンになる度合は亜鉛塩が最も低く、それが示した劣化度は約3パーセントである。
【0183】
図33に、40℃の時の安定性データ(他の劣化物のパーセント)を示す。再び、前記亜鉛塩が最も安定であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】図1に、プラバスタチンカルシウム塩が示したPXRD回折図を示す。
【図2】図2に、プラバスタチンカルシウム塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図3】図3に、プラバスタチンカルシウム塩が示したIRスペクトルを示す。
【図4】図4に、プラバスタチンカルシウム塩が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図5】図5に、プラバスタチンナトリウム塩が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図6】図6に、瓶およびゲルカップに入れた数種のプラバスタチン塩が25℃で26週間が経過するまでにもたらした不純物パーセントのプロットを示す。
【図7】図7に、数種のプラバスタチン塩が40および60℃で26週間が経過するまでにもたらした不純物パーセントのプロットを示す。
【図8】図8に、フルバスタチンカルシウム塩が示したPXRD回折図を示す。
【図9】図9に、フルバスタチンカルシウム塩が示したDSCサーモグラムを示す。
【図10】図10に、フルバスタチンカルシウム塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図11】図11に、フルバスタチンカルシウム塩が示したラマンスペクトルを示す。
【図12】図12に、フルバスタチンカルシウム塩が示したIRスペクトルを示す。
【図13】図13に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したPXRD回折図を示す。
【図14】図14に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したDSCサーモグラムを示す。
【図15】図15に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したTGAサーモグラムを示す。
【図16】図16に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したIRスペクトルを示す。
【図17】図17に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖A)が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図18】図18に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したPXRD回折図を示す。
【図19】図19に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したDSCサーモグラムを示す。
【図20】図20に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したTGAサーモグラムを示す。
【図21】図21に、プラバスタチンマグネシウム塩(晶癖B)が示したIRスペクトルを示す。
【図22】図22に、プラバスタチンマグネシウム塩が示したPXRD回折図を示す。
【図23】図23に、プラバスタチンマグネシウム塩が示したDSCサーモグラムを示す。
【図24】図20に、プラバスタチンマグネシウム塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図25】図25に、プラバスタチン亜鉛塩が示したPXRD回折図を示す。
【図26】図26に、プラバスタチン亜鉛塩が示したDSCサーモグラムを示す。
【図27】図27に、プラバスタチン亜鉛塩が示したTGAサーモグラムを示す。
【図28】図28に、プラバスタチン亜鉛塩が示したIRスペクトルを示す。
【図29】図29に、プラバスタチン亜鉛塩が示したラマンスペクトルを示す。
【図30】図30に、プラバスタチン亜鉛塩が示したDVS水分収着等温プロットを示す。
【図31】図31に、数種のプラバスタチン塩が4℃で示した安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。
【図32】図32に、数種のプラバスタチン塩が40℃で示した安定性データ(ラクトンのパーセント)を示す。
【図33】図33に、数種のプラバスタチン塩が40℃で示した安定性データ(他の劣化物のパーセント)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタチンおよびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物。
【請求項2】
スタチンが塩である請求項1記載の薬剤組成物。
【請求項3】
プラバスタチンおよびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物。
【請求項4】
プラバスタチンが塩である請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項5】
塩がカルシウム、マグネシウムまたは亜鉛塩である請求項4記載の薬剤組成物。
【請求項6】
塩が二価塩である請求項4記載の薬剤組成物。
【請求項7】
プラバスタチンが化学的に安定である請求項4記載の薬剤組成物。
【請求項8】
オメガ−3油がオメガ−3エチルエステルである請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項9】
オメガ−3油がオメガ−3トリグリセリドである請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項10】
オメガ−3油がEPAおよびDHAを約70から約90重量パーセントの範囲の量で含んで成る請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項11】
オメガ−3油が有するEPA:DHAの比率が約3:1から約1:1である請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項12】
オメガ−3油が有するEPA:DHAの比率が約10:1から約5:1である請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項13】
プラバスタチンおよびオメガ−3油を含んでおり、前記オメガ−3油が約500から約1500mgの量で存在しかつ前記プラバスタチンが約5から約160mgの量で存在する薬剤組成物。
【請求項14】
プラバスタチンが塩である請求項13記載の薬剤組成物。
【請求項15】
塩がカルシウム、マグネシウムまたは亜鉛塩である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項16】
塩が二価塩である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項17】
塩が示す水溶解度が約200mg/mL未満である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項18】
塩が示す水溶解度が約50mg/mL未満である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項19】
塩が結晶性である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項20】
フルバスタチンおよびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物。
【請求項21】
フルバスタチンが塩である請求項20記載の薬剤組成物。
【請求項22】
塩が二価塩である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項23】
塩が化学的に安定である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項24】
塩がカルシウム塩である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項25】
塩が示す水溶解度が約200mg/mL未満である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項26】
塩が示す水溶解度が約50mg/mL未満である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項27】
更にオメガ−3油を約500から約1500mgおよびフルバスタチンを約5から約160mg含んで成る請求項20記載の薬剤組成物。
【請求項28】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項3記載の薬剤組成物を投与することによる方法。
【請求項29】
プラバスタチンのカルシウム塩。
【請求項30】
図1に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項31】
図3に本質的にされるIRスペクトルを示す請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項32】
2360、1728、1561、1444、1186および855cm−1の所のピークを包含するIRスペクトルを示す請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項33】
請求項29記載のカルシウム塩を含んで成る薬剤組成物。
【請求項34】
塩が結晶性である請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項35】
プラバスタチンのマグネシウム塩。
【請求項36】
図13に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項37】
4.57、6.97、9.15、10.87、11.81、13.21、13.73、16.31、17.51、18.55、19.17、20.73、22.71、23.73および24.99度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項38】
図18に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項39】
4.57、6.99、9.13、10.41、10.87、12.05、13.19、13.77、16.37、17.43、18.53、19.13、20.71、22.73および25.01度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項40】
4.57、6.99、9.13、13.77および20.71度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項41】
請求項35記載のマグネシウム塩を含んで成る薬剤組成物。
【請求項42】
塩が結晶性である請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項43】
プラバスタチンの亜鉛塩。
【請求項44】
図25に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項45】
3.78、7.56、9.58、11.34、17.05、18.76、19.80、21.91、24.57および26.55度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項46】
3.78、7.56、9.58および17.05度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項47】
請求項43記載の亜鉛塩を含んで成る薬剤組成物。
【請求項48】
塩が結晶性である請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項49】
プラバスタチンの二価塩。
【請求項50】
塩が示す水溶解度が約25mg/mL未満である請求項49記載の二価塩。
【請求項51】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項29記載のカルシウム塩を投与することによる方法。
【請求項52】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項35記載のマグネシウム塩を投与することによる方法。
【請求項53】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項43記載の亜鉛塩を投与することによる方法。
【請求項1】
スタチンおよびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物。
【請求項2】
スタチンが塩である請求項1記載の薬剤組成物。
【請求項3】
プラバスタチンおよびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物。
【請求項4】
プラバスタチンが塩である請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項5】
塩がカルシウム、マグネシウムまたは亜鉛塩である請求項4記載の薬剤組成物。
【請求項6】
塩が二価塩である請求項4記載の薬剤組成物。
【請求項7】
プラバスタチンが化学的に安定である請求項4記載の薬剤組成物。
【請求項8】
オメガ−3油がオメガ−3エチルエステルである請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項9】
オメガ−3油がオメガ−3トリグリセリドである請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項10】
オメガ−3油がEPAおよびDHAを約70から約90重量パーセントの範囲の量で含んで成る請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項11】
オメガ−3油が有するEPA:DHAの比率が約3:1から約1:1である請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項12】
オメガ−3油が有するEPA:DHAの比率が約10:1から約5:1である請求項3記載の薬剤組成物。
【請求項13】
プラバスタチンおよびオメガ−3油を含んでおり、前記オメガ−3油が約500から約1500mgの量で存在しかつ前記プラバスタチンが約5から約160mgの量で存在する薬剤組成物。
【請求項14】
プラバスタチンが塩である請求項13記載の薬剤組成物。
【請求項15】
塩がカルシウム、マグネシウムまたは亜鉛塩である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項16】
塩が二価塩である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項17】
塩が示す水溶解度が約200mg/mL未満である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項18】
塩が示す水溶解度が約50mg/mL未満である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項19】
塩が結晶性である請求項14記載の薬剤組成物。
【請求項20】
フルバスタチンおよびオメガ−3油を含んで成る薬剤組成物。
【請求項21】
フルバスタチンが塩である請求項20記載の薬剤組成物。
【請求項22】
塩が二価塩である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項23】
塩が化学的に安定である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項24】
塩がカルシウム塩である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項25】
塩が示す水溶解度が約200mg/mL未満である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項26】
塩が示す水溶解度が約50mg/mL未満である請求項21記載の薬剤組成物。
【請求項27】
更にオメガ−3油を約500から約1500mgおよびフルバスタチンを約5から約160mg含んで成る請求項20記載の薬剤組成物。
【請求項28】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項3記載の薬剤組成物を投与することによる方法。
【請求項29】
プラバスタチンのカルシウム塩。
【請求項30】
図1に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項31】
図3に本質的にされるIRスペクトルを示す請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項32】
2360、1728、1561、1444、1186および855cm−1の所のピークを包含するIRスペクトルを示す請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項33】
請求項29記載のカルシウム塩を含んで成る薬剤組成物。
【請求項34】
塩が結晶性である請求項29記載のカルシウム塩。
【請求項35】
プラバスタチンのマグネシウム塩。
【請求項36】
図13に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項37】
4.57、6.97、9.15、10.87、11.81、13.21、13.73、16.31、17.51、18.55、19.17、20.73、22.71、23.73および24.99度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項38】
図18に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項39】
4.57、6.99、9.13、10.41、10.87、12.05、13.19、13.77、16.37、17.43、18.53、19.13、20.71、22.73および25.01度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項40】
4.57、6.99、9.13、13.77および20.71度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項41】
請求項35記載のマグネシウム塩を含んで成る薬剤組成物。
【請求項42】
塩が結晶性である請求項35記載のマグネシウム塩。
【請求項43】
プラバスタチンの亜鉛塩。
【請求項44】
図25に本質的に示される粉末X線回折パターンを示す請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項45】
3.78、7.56、9.58、11.34、17.05、18.76、19.80、21.91、24.57および26.55度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項46】
3.78、7.56、9.58および17.05度2−シータの所のピークを包含する粉末X線回折パターンを示す請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項47】
請求項43記載の亜鉛塩を含んで成る薬剤組成物。
【請求項48】
塩が結晶性である請求項43記載の亜鉛塩。
【請求項49】
プラバスタチンの二価塩。
【請求項50】
塩が示す水溶解度が約25mg/mL未満である請求項49記載の二価塩。
【請求項51】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項29記載のカルシウム塩を投与することによる方法。
【請求項52】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項35記載のマグネシウム塩を投与することによる方法。
【請求項53】
高コレステロール値、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、冠動脈イベントおよび脳血管イベントおよび冠動脈疾患および/または脳血管疾患を包含する心血管系イベントおよび疾患を予防、軽減または治療する方法であって、そのような予防、軽減または治療を必要としている哺乳動物に請求項43記載の亜鉛塩を投与することによる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公表番号】特表2008−509154(P2008−509154A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525011(P2007−525011)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/027815
【国際公開番号】WO2006/017698
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(506289974)トランスフオーム・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/027815
【国際公開番号】WO2006/017698
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(506289974)トランスフオーム・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド (9)
【Fターム(参考)】
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