説明

新規な2,3−ジ置換第一p−フェニレンジアミン及びケラチン繊維の酸化染色におけるその使用

【課題】 新規な2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミン、酸化性塩基として、少なくとも1種の2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンを含む、ケラチン繊維を酸化染色するための組成物、及び該組成物を用いた酸化染色法に係る。
【解決手段】 以下の式(I):
【化1】


(該一般式(I)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングが炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合に、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは置換されていてもよい)で表されるp-フェニレンジアミン化合物、その生理的に許容される溶媒和物及び酸付加塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミン、酸化塩基として、少なくとも1種の2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンを含む、ケラチン繊維、及び特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を酸化染色するための組成物、及び該組成物を用いた酸化染色法に係る。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、及び特にヒトの毛髪を、酸化染料プリカーサ、特に一般的には酸化塩基と呼ばれている、o-及びp-フェニレンジアミン、o-又はp-アミノフェノール及びヘテロ環式化合物、例えばジアミノピラゾール誘導体を含む染料組成物で染色を行うことは、公知の実務である。酸化染色する酸化染料プリカーサ、又は酸化塩基は、無色又は僅かに着色した化合物であり、酸化性の生成物と結合した場合には、酸化縮合過程によって、着色された又は着色性の化合物を生成し得る。
また、これらの酸化塩基を用いて得た形状は、該酸化塩基とカプラー又は呈色調節剤と組合わせることによって変え得ることも公知であり、該カプラー又は呈色調節剤は、特に芳香族m-ジアミン、m-アミノフェノール、m-ジフェノール及び幾つかのヘテロ環式化合物から選択される。
該酸化塩基及び該カプラーに含まれる様々な分子が、色の豊富な範囲を得ることを可能とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの酸化染料によって得られる「永続的な」染色は、さらに幾つかの要件をも満足する必要がある。従って、毒物学に関する如何なる問題をも有してはならず、所定強度の色合い(シェード)を得ることを可能とすべきであり、また外的な因子(光、悪天候、洗浄、パーマネントウエーブ掛け、発汗、摩擦)に対する良好な抵抗性を示さなければならない。
該染料は、また白髪をも覆うことを可能とするものである必要があり、また最終的にできる限り非-選択的であり、即ち、実際にはその先端からその根元に至るまで、様々な感受性を持つ(即ち、損傷を受ける)可能性がある、同一のケラチン繊維全てに対する呈色における差異を、可能な限り最小にし得るものでなければならない。これらの染料は、またその処方において良好な化学的安定性を持つ必要がある。該染料は、良好な毒物学的プロファイルを示すべきである。
さらに、幾つかの用途に対して、毛髪に対して色彩的な色合いを与える染料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、驚いたことにまた有益なことに、酸化塩基として、以下の一般式(I)で示される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミン又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物を用いることにより、強力な呈色の達成を可能とし、比較的選択性が低く、しかもケラチン繊維が被る、様々な攻撃に対する優れた抵抗性を示す染料を得ることができることを、今や見出した。
従って、本発明の第一の主題は、以下の式(I)で表される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンにある:

【0005】
【化1】

【0006】
該一般式(I)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは、特にC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、C1-C6アルコキシ基、アミノ基(-NH2)、C1-C6(モノ又はジアルキル)アミノ基又はアミノ(C1-C6)アルキル基から選択される1又はそれ以上の基によって置換されていてもよい。但し、以下に列挙する化合物を除く:
【0007】
【化2】

【0008】
本発明の主題は、また上記式(I)の化合物の、生理的に許容される、溶媒和物及び有機又は無機酸との塩にもある。
一般に、使用できる酸付加塩は、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、琥珀酸、酒石酸、乳酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸及び酢酸等の酸との付加塩から選択される。
上記式(I)の化合物は、また溶媒和物、例えば水和物又はエタノール又はイソプロパノール等の線状又は分岐アルコールの溶媒和物であっても良い。
R1及びR2によって形成されるリングが、1又は2個の窒素原子を含む場合、該リングは、窒素原子を含有する二価の基:-NH-又はN(C1-C4アルキル)-を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第一の態様によれば、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、5-又は6-員のリング、より一層好ましくは炭素原子からなるリング、あるいは炭素原子と、酸素又は窒素原子を含む基(-NH-)又はNMe-から選択されるもので構成されるリングを形成する。
より一層好ましくは、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、炭素原子からなる、あるいは炭素原子と、窒素原子を含む基(-NH-)又はNMe-とからなる5-又は6-員のリングを形成する。
第二の態様によれば、R1及びR2によって形成されるリングは、1、2又は3個の基で置換されており、これらの基は同一でも異なっていてもよく、C1-C3アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH2)又はアミノ(C1-C3)アルキル基から選択することができる。これら基の例としては、アミノ基、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-プロピル基又はアミノメチル基を挙げることができる。
より好ましくは、該リングは、アミノ基、ヒドロキシル基、プロピル基、アミノメチル基及びメチル基から選択される、1又は2個、好ましくは1個の置換基で置換されている。
具体的な一態様において、R1及びR2によって形成されるリングは、好ましくは5〜6個のリング構成員を含む、炭素を基本とするリングである。
好ましい、式(I)で表されるp-フェニレンジアミンの例としては、以下に列挙する化合物及びその塩及び/又はその溶媒和物を挙げることができる:




































【0010】
【表1】



【0011】
【表2】



【0012】
【表3】

【0013】
より一層好ましい、式(I)で表される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンは、インダン-4,7-ジアミン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4,7-ジアミン、2-メチルイソインドリン-4,7-ジアミン、インダン-2,4,7-トリアミン、2-アミノメチルインダン-4,7-ジアミン、4,7-ジアミノインダン-2-オール、2-メチルインダン-4,7-ジアミン及び2-プロピルインダン-4,7-ジアミン、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物の1種である。
本発明は、また上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物の合成方法を提供することをも目的とし、この方法は、以下の一般式(II):





【0014】
【化3】

【0015】
(該式(II)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、同一でも異なっていても良い、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは、特に1又はそれ以上の基で置換されていてもよく、該基は同一でも異なっていてもよく、C1-C6線状又は分岐アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、C1-C6アルコキシ基、アミノ基(-NH2)、C1-C6(モノ又はジアルキル)アミノ基又はアミノ(C1-C6)アルキル基から選択され、R3は、水素原子、スルホン酸基、及びC1-C4直鎖又は分岐アルキル基によって生成される基から選択される)で表され、以下に列挙する化合物を除く、対応する中間体化合物を還元することからなる工程を含む:
【0016】
【化4】

【0017】
本特許出願の目的にとって、「n-Bu」は、n-ブチル基を表す。前と同様に、上記式において、R1及びR2によって形成されるリングが、1又は2個の窒素原子を含む場合には、該リングは、窒素原子を含む二価の基:-NH-又はN(C1-C4アルキル)-、特に-NMe-を含むことができる。
本特許出願は、また以下の式(II)で表される中間体化合物を提供することをも目的とする:




【0018】
【化5】

【0019】
該一般式(II)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、同一でも異なっていても良い、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子とからなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは、場合により、特に1又はそれ以上の基で置換されていてもよく、該基は同一でも異なっていてもよく、C1-C6の線状又は分岐アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、C1-C6のアルコキシ基、アミノ基(-NH2)、C1-C6(モノ又はジアルキル)アミノ基又はアミノ(C1-C6)アルキル基から選択され、R3は、水素原子、スルホン酸基、及びC1-C4直鎖又は分岐アルキル基によって生成される基から選択される。但し、以下に列挙する化合物を除く:
【0020】
【化6】

【0021】
前と同様に、上記式において、R1及びR2によって形成されるリングが、1又は2個の窒素原子を含む場合には、該リングは、窒素原子を含む二価の基:-NH-又はN(C1-C4アルキル)-、特に-NMe-を含むことができる。
本発明の課題は、ケラチン繊維、及び特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を、酸化染色するための組成物を提供することにあり、該組成物は、染色に適した媒体中に、以下の式(I):


【0022】
【化7】

【0023】
(該一般式(I)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、同一又は異なっていても良い、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子とからなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは、場合により、特に1又はそれ以上の基で置換されていてもよく、該基は同一でも異なっていてもよく、C1-C6アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、C1-C6アルコキシ基、アミノ基(-NH2)、C1-C6(モノ又はジアルキル)アミノ基又はアミノ(C1-C6)アルキル基から選択される)で表されるp-フェニレンジアミン化合物、その塩及び溶媒和物の少なくとも1種を含むが、但し以下の化合物を除外する:
【0024】
【化8】

【0025】
前と同様に、上記式において、R1及びR2によって形成されるリングが、1又は2個の窒素原子を含む場合、該リングは、窒素原子を含む二価の基:-NH-又はN(C1-C4アルキル)-、特に-NMe-を含むことができる。
本発明によるこの酸化染料組成物によって達成される呈色は、強力である。これらは、また様々な外的因子、例えば光、悪天候、洗浄、パーマネントウエーブ掛け、発汗又は摩擦に対して抵抗する良好な諸特性を示す。
本件特許出願の第五の課題は、このような染料組成物を用いて、ケラチン繊維を酸化染色するための方法を提供することにある。
本発明のその他の特徴、局面、課題及び利点は、以下に与えられる説明及び例を読むことによって、より一層明確になるであろう。
本発明による酸化染色用の組成物において使用することのできる、上記式(I)で表される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンの例としては、以下に列挙する化合物及び同様にその塩及び/又はその溶媒和物を挙げることができる:






【0026】
【表4】









【0027】
【表5】








【0028】
【表6】

【0029】
より一層好ましく、また本発明の酸化染色用組成物において使用することのできる、該2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンは、インダン-4,7-ジアミン、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジアミン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4,7-ジアミン、2-メチルイソインドリン-4,7-ジアミン、インダン-2,4,7-トリアミン、2-アミノメチルインダン-4,7-ジアミン、4,7-ジアミノインダン-2-オール、2-メチルインダン-4,7-ジアミン及び2-プロピルインダン-4,7-ジアミン、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物である。
本発明による、式(I)で表される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンは、例えば以下のような一般的な製造方法に従って、製造される:
【0030】
【化9】

【化10】

【0031】
R1、R2及びR3は、上記と同様な意味を持つ。
この合成の第一段階は、ジアゾニウム塩(C)とアニリン(B)とを、周知の方法(Hegarty, in Patai, ジアゾニウム及びジアゾ基の化学(The Chemistry of Diazonium and Diazo Group), pt.2; ウイリー(Wiley)社: N.Y., 1978)に従って反応させることにより、アゾ化合物(II)を製造する。該化合物(I)を得るための第二段階は、例えばPd/Cの存在下での、不均一触媒による水添反応を行うことによる、あるいは重亜硫酸ナトリウム、幾つかの金属(特に、亜鉛)又はボラン(最新有機化学(Advanced Organic Chemistry),第4版, 1992, J. MARCH, ウイリーインターサイエンス(WILEY Interscience); 有機化学における還元(Reduction in Organic Chemistry), M. Hudlicky, 1983, エリスホンウッドシリーズケミカルサイエンス(Ellis Honwood series Chemical Science)による還元反応を行うことによる、公知の還元反応である。
式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物は、対応する上記式(II)で示される中間体化合物を還元することからなる工程を含む、合成方法に従って得られる。この「式(II)で示される中間体化合物」なる表現は、該「式(II)で示される中間体化合物」の置換基R1が、上記式(I)の化合物の置換基R1と同一であり、かつ該「式(II)で示される中間体化合物」の置換基R2が、上記式(I)の化合物の置換基R2と同一であることを意味するものとする。
【0032】
本発明による染料組成物は、少なくとも1種の、式(I)で表される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミン又はその塩若しくはその溶媒和物を、特に0.001〜10質量%なる範囲、好ましくは0.05〜6質量%なる範囲、及びより一層好ましくは0.1〜3質量%なる範囲の量で含む。
本発明による染料組成物は、また上に定義した2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミン以外にも、少なくとも1種の追加の酸化塩基を含むこともでき、該酸化塩基は、酸化染色において従来から使用されている、酸化塩基から選択することができ、中でも特に式(I)で表される2,3-ジ置換第一p-フェニレンジアミンとは異なる、追加のp-フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール及びへテロ環式塩基を挙げることができる。
該追加のp-フェニレンジアミンとしては、例えばp-フェニレンジアミン、p-トルイレンジアミン、2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、2-n-プロピル-p-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-N-(β-メトキシエチル)アニリン、及びフランス特許出願FR 2630438号に記載されているp-フェニレンジアミン、及びその酸付加塩を挙げることができる。
【0033】
該ビスフェニルアルキレンジアミンとしては、より具体的には、例えばN,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)-エチレンジアミン、及びこれらの酸付加塩類を挙げることができる。
該p-アミノフェノールとしては、より具体的には、例えばp-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びこれらの酸付加塩類を挙げることができる。
該o-アミノフェノールとしては、より具体的には、例えば2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセタミド-2-アミノフェノール、5-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メチルフェノール、及びこれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0034】
該ヘテロ環式塩基としては、より具体的には、例えばピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、及びこれらの酸付加塩類を挙げることができる。
これらを使用する場合、これら追加の酸化塩基は、好ましくは本発明の染料組成物全質量の、0.0005〜12質量%なる範囲、及びより一層好ましくは該全質量の、0.005〜6質量%なる範囲の割合を占める。
本発明による酸化染色組成物には、また、特にその色合いを改善し、若しくはこれらを彩色に富むものとするために、少なくとも1種のカプラー及び/又は少なくとも1種の直接染料を含めることができる。
本発明による酸化染色組成物において使用することのできるカプラーは、酸化染色において従来から使用されているカプラーから選択することができ、中でも特に、m-フェニレンジアミン、m-アミノフェノール、m-ジフェノール、ナフタレンのモノ-又はポリ-ヒドロキシル化誘導体、及びヘテロ環式カプラー、例えばインドール誘導体又はピリジン誘導体、及びこれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0035】
これらカプラーとしては、より具体的には、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、6-クロロ-2-メチル-5-アミノフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、及びこれらの付加塩類を挙げることができる。
これらが存在する場合、これらのカプラーは、本発明の染料組成物全質量の、特に0.0001〜10質量%なる範囲、好ましくは0.005〜5質量%なる範囲、及びより一層好ましくは該全質量の0.1〜3質量%なる範囲の割合を占める。
【0036】
一般に、本発明の染料組成物(酸化塩基及びカプラー)との関連で使用することのできる、酸との該付加塩類は、特に以下に列挙する酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸又は琥珀酸との塩から選択される。
本発明に従って使用される、染色(又は支持)のために適した媒体は、水からなり、あるいは水と、C1-C4低級アルカノール、ポリオール及びポリオールエーテル、芳香族アルコール、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機溶媒との混合物からなる。
本発明の染料組成物は、また染毛組成物において従来から使用されている補助剤、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は両極性の界面活性剤、又はその混合物、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は両極性のポリマー又はその混合物、無機又は有機増粘剤、酸化防止剤、還元剤、サンスクリーン、浸透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、バッファー、分散剤、コンディショニング剤、例えばシリコーン、フィルム形成剤、保存剤又は不透明化剤を含むこともできる。
本発明の染料組成物のpHは、3〜12の範囲にある。
【0037】
勿論、当業者は、本発明による酸化染色組成物と関連する固有の有利な諸特性が、添加しようとする添加物によって、実質的に害されないように、この又はこれらの可能な追加の化合物を選択する際に、注意を払うべきである。
本発明の染料組成物は、様々な形状、例えば液体、クリーム又はゲル形状、あるいはケラチン繊維、及び特にヒトの毛髪を染色するのに適した、任意の他の形状をとることができる。
本発明の課題は、また、上に定義したような染料組成物を使用して、ケラチン繊維、及び特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色するための方法を提供するものである。
この方法によれば、上に定義したような、少なくとも1種の染料組成物を、空気に暴露することにより、あるいは酸化剤を用いることによって、所定の色を発現するのに十分な時間、該繊維に適用する。この染料組成物は、場合によりこの酸化工程を促進するために、酸化触媒を含むことができる。
【0038】
本発明の方法に係る第一の態様によれば、該繊維の着色は、酸化剤の添加無しに、単に空気中の酸素との接触により、行うことができる。
本発明の方法に係る第二の態様によれば、少なくとも1種の上に定義したような染料組成物を、繊維に適用されるが、その色は、まさに使用時点において該染料組成物に添加された、あるいは同時に又は順次別々に適用される酸化組成物中に存在する、酸化剤によって、酸性、中性又はアルカリ性pHにおいて現れる。
本発明の染色方法に係る、この第二の態様によれば、上記のような染料組成物は、好ましくはその使用時点において、染色に適した媒体中に、所定の色を発現するのに十分な量で存在する、少なくとも1種の酸化剤を含有する酸化組成物と混合される。次に、得られるこの混合物を、ケラチン繊維に適用し、その上に3〜50分間、好ましくは5〜30分間維持し、その後該繊維を濯ぎ、シャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させる。
【0039】
上に定義したような酸化組成物中に存在する酸化剤は、ケラチン繊維の酸化染色のために、従来から使用されている酸化剤から選択することができ、中でも過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート、及び過酸塩、例えばパーボレート及びパーサルフェートを例示することができる。過酸化水素が、特に好ましい。
上に定義した如き酸化剤を含む該酸化組成物のpHは、該染料組成物と混合した後に、ケラチン繊維に適用される、生成した組成物のpHが、3〜12なる範囲となり、またより一層好ましくは5〜11なる範囲となるような値である。該pHは、ケラチン繊維の染色において通常使用されているような、また上に定義したような酸性化剤又はアルカリ化剤により、所定の値に調節される。
上に定義したような酸化組成物は、また毛髪-染色組成物において従来から使用されており、また上に定義したような様々な補助剤を含むこともできる。
【0040】
最終的にケラチン繊維に適用される該組成物は、様々な形状、例えば液体、クリーム又はゲル形状、あるいはケラチン繊維、及び特にヒトの毛髪を染色するのに適した、任意の他の形状をとることができる。
本発明のもう一つの課題は、多重区画染色デバイス又は染色「キット」若しくは任意の他の多重区画パッケージングデバイスであって、その第一の区画が、上に定義したような染料組成物を含み、かつその第二の区画が、上に定義したような酸化組成物を含む。これらデバイスは、所定の混合物を毛髪に射出するための手段、例えば本出願人の名の下に出願された、特許FR-2,586,913号に記載されているような手段を備えていても良い。
【0041】
以下の例は、本発明を例証するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。

一般的な合成反応式
【0042】
【化11】

【0043】
ジアゼニルベンゼンスルホン酸誘導体(上記反応式における化合物1)の合成
亜硝酸ナトリウムの水溶液を調製し、これにスルファニル酸を水に溶解した溶液(オレンジ色)を、冷却条件下で添加した。この時、温度は10℃以下に維持した。
得られる溶液を、即座に、濃塩酸と氷との混合物中に注込んだ。
冷却したジアゾニウム塩を、アニリン(B)の0.5N HCl溶液(ブラッドオレンジ色の外観を持つ)に添加し、生成した沈殿を濾別し、かつ一度水で洗浄した。
1a) 4-[(E)-(5-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-8-イル)ジアゼニル]ベンゼンスルホン酸
アミン(B):100mLのHCl(0.5N)に溶解した1,2,3,4-テトラヒドロ-5-アミノイソキノリン(7.4g、1 eq)
50mLの水に溶解したスルファニル酸(8.66g、1 eq)
10mLの水に溶解した亜硝酸ナトリウム(2.8g、1.08 eq)
60gの氷中の35%塩酸(10.8mL、2.5 eq)
生成物量:5.5g (収率33%)の鮮紅色固体
M(m/z):M- = 331
【0044】
1b) 4-[(E)-(7-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)ジアゼニル]-ベンゼンスルホン酸
アミン(B):40mLのHCl(0.5N)に溶解した4-アミノインダン(5g、1 eq)
40mLの水に溶解したスルファニル酸(6.51g、1 eq)
8mLの水に溶解した亜硝酸ナトリウム(2.8g、1.08 eq)
50gの氷中の35%塩酸(9.5mL、2.5 eq)
生成物量:4.9g (収率41%)のオレンジ色の固体
M(m/z):M+ = 318
1c) 4-[(E)-(4-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)ジアゼニル]ベンゼンスルホン酸
アミン(B):50mLのHCl(0.5N)中に溶解した、1-アミノ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン(7.36g、1 eq)
50mLの水に溶解したスルファニル酸(8.66g、1 eq)
10mLの水に溶解した亜硝酸ナトリウム(3.73g、1.08 eq)
60gの氷中の35%塩酸(12.25mL、2.5 eq)
生成物量:14.58g (収率88%)の暗赤色の固体
M(m/z):M+ = 332
【0045】
2,3-ジ置換p-フェニレンジアミン(上記反応式における化合物2)の合成
上記化合物1a、1b及び1c、触媒(パラジウム担持炭素)及びエタノールを、夫々0.5Lの水素添加装置に導入した。
約0.6MPa(約6 bar)の水素圧下で、50℃にてこの還元を行った。この反応を、TLCによって追跡した。
窒素雰囲気下で該触媒を濾別した後、得られた生成物を、水性塩酸中に通した。濾液を減圧下にて蒸発乾固させた。この生成物2を塩酸-エタノールから結晶化させ、真空下で40℃にて、また水酸化カリウム上で乾燥させた。
2a) 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン2塩酸塩
反応試薬1a:(5g)
Pd/C (1.2g)
無水エタノール (250mL)
生成物量:0.33g (収率9%)の白色固体
M(m/z):M+ = 164
【0046】
2b) インダン-4,7-ジアミン2塩酸塩
反応試薬1b:(4.5g)
Pd/C (1g)
無水エタノール (250mL)
生成物量:1.5g (収率42%)の淡い桃色の固体
M(m/z):M+ = 149
2c) 5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジアミン2塩酸塩
反応試薬1c:(5g)
Pd/C (1g)
無水エタノール (250ml)
生成物量:0.5g (収率14%)の白色固体
M(m/z):M+ = 163



【0047】
4,7-ジアミノインダン-2-オールジヒドロクロリド(6)の合成:
【化12】

【0048】
4-ニトロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアセテート(1)の合成
33gの2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアセテート(1 eq、0.188M)及び480mL(27 eq、5.08M)の無水酢酸を、温度計及び滴下ロートを備えた、3-口フラスコ内で混合した。この混合物を、氷浴を用いて冷却した。予め冷却した、120mL(6.8 eq、1.27M)の無水酢酸と、39mLの硝酸(5 eq、0.94M)との混合物を、30℃を越えないように、該反応媒体に滴添した。この反応を、TLCにより追跡した。最早、出発物質が存在しなくなったら、得られた反応混合物を、氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水性炭酸カリウム溶液、次いで水で洗浄し、最終的に得られた生成物を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。
オルト(67%)/パラ(33%)異性体混合物(オレンジ色のオイル)33g(粗生成物の収率=90%)を得たが、この混合物を、最終的に得られる、p-異性体形状の褐色オイルに富む生成物を得るために、エタノールから2度再結晶化させた。このようにして、18.8g(収率=45%)の、化合物1の異性体混合物(オルト25/パラ75)を得た。
【0049】
4-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアセテート(2)の合成
24g(1eq、0.108M)の、上で得た異性体混合物(1)、2.5gの触媒(パラジウム担持炭素)及び1.6Lのエタノールを、水素添加装置に導入した。
この還元は、約0.5MPa(約5 bar)の水素圧下で、出発物質が消失するまで(TLCによって追跡)行った。該触媒を濾別した後、得られた濾液を減圧下にて蒸発乾固した。23.4gの褐色のオイルが得られ、このオイルをHPLCによって精製した。その結果、9.8g(収率=47%)の、HPLCによる純度99%を持つ化合物2を得た。
4-{(E)-[2-(アセチルオキシ)-7-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル]ジアゼニル}ベンゼンスルホン酸(3)の合成
6.8mLの水に、1.62gの硝酸ナトリウム(0.023M、1 eq)を溶解して溶液を得、この溶液を、冷却条件下で、水に溶解した4.07gのスルファニル酸(0.023M、1 eq)の溶液(オレンジ色)に添加した。この際の温度は、10℃以下に維持した。
得られたこの溶液を、即座に、濃塩酸(6.24mL)と氷(31g)との混合物に注いだ。
冷却したジアゾニウム塩を、酢酸(49.5mL)と、水(7.5mL)と、酢酸ナトリウム(9.54g)との混合物に溶解した、4.5g(0.023M、1 eq)のアニリン(2)に添加した。ブラッドオレンジ色の分散液が得られ、生成した沈殿を濾別し、水で1回洗浄し、次いでジイソプロピルエーテルで洗浄した。1.54g(収率=18%)の、予想された生成物(3)を得た。
【0050】
4,7-ジアミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアセテート2塩酸塩の、スルファニル酸塩酸塩(4)との混合物としての合成
2.88g(1 eq、0.0077M)の化合物(3)、380mgの触媒(パラジウム担持炭素)及び600mLのメタノールを、水素添加装置に導入した。
この還元を、約0.8MPa(約8 bar)の水素圧下で行った。この反応を、TLCによって追跡した。窒素雰囲気下で該触媒を濾別した後、得られた生成物を、塩酸-イソプロパノール中に通した。濾液を減圧下にて蒸発乾固させた。3.08gの白色粉末が得られ、収率は82%であった。この粉末は、4,7-ジアミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアセテート2塩酸塩(45質量%)とスルファニル酸(55質量%)との混合物からなっていた。
【0051】
4,7-ビス(アセチルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアセテート(5)の合成
3.08g(0.006M、1 eq)の化合物(4)、2.4g(0.019M、3 eq)の亜硫酸ナトリウム、及び30mLの水を、3-口フラスコ内で混合した。1.7mL(0.019M、3 eq)の無水酢酸を、この反応混合物に滴添し、該混合物の温度を約5℃に維持した。ベージュ色の沈殿が観測された。該反応媒体を、周囲温度に戻るまで撹拌した。この撹拌を、3時間維持した。出発物質が消失した後に、該反応媒体に、20%アンモニア水7mLを、pH=9が達成されるまで滴添した。該ベージュ色の固体を濾別し、次いで減圧下で乾燥した。ベージュ色の粉末1.59g(収率=87%)を得た。
【0052】
4,7-ジアミノインダン-2-オール2塩酸塩(6)の合成
1.59gの化合物(5)、10mLのエタノール及び10mLの37%塩酸溶液を、3-口フラスコ内で混合した。該反応媒体を還流した。この反応を、TLCで追跡した。該出発物質及び該モノアセチル化生成物が消失した時点で、この混合物の温度を周囲温度に戻した。次いで、沈殿を濾別し、水洗し、次いでジイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。944mg(収率=73%)の白色粉末を得た。プロトンNMR及びマススペクトルを測定したところ、この生成物は、予想された構造を示した。
【0053】
処方の例
例1〜13:インダン-4,7-ジアミン2塩酸塩(2b)を使用した、染料組成物
・例1〜7:酸性媒体中での染色
以下の染料組成物を製造した:





【0054】
【表7】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0055】
【表8】

【0056】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0057】
【表9】

【0058】
・例8〜13:塩基性媒体中での染色
以下の染料組成物を製造した:



【0059】
【表10】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0060】
【表11】

【0061】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0062】
【表12】

【0063】
例14〜26:5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジアミン・2HCl(2c)を用いた染料組成物
・例14〜20:酸性媒体中での染色
以下の染料組成物を調製した:




【0064】
【表13】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0065】
【表14】

【0066】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0067】
【表15】

【0068】
・例21〜26:塩基性媒体中での染色
以下の染料組成物を製造した:


【0069】
【表16】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0070】
【表17】

【0071】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0072】
【表18】

【0073】
例27〜33:1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン2塩酸塩を用いた染料組成物
・例27〜30:酸性媒体中での染色
以下の染料組成物を調製した:




【0074】
【表19】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0075】
【表20】

【0076】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0077】
【表21】

【0078】
・例31〜33:塩基性媒体中での染色
以下の染料組成物を調製した:








【0079】
【表22】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0080】
【表23】

【0081】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0082】
【表24】

【0083】
例34〜41:4,7-ジアミノインダン-2-オール2塩酸塩を用いた染料組成物
・例34〜38:酸性媒体中での染色
以下の染料組成物を調製した:









【0084】
【表25】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0085】
【表26】

【0086】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0087】
【表27】

【0088】
・例39〜41:塩基性媒体中での染色
以下の染料組成物を調製した:









【0089】
【表28】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0090】
【表29】

【0091】
使用時点において、各組成物を、20倍容(6質量%)の、等重量過酸化水素水性溶液と混合した。その最終pHは、9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含む、白髪の房に適用した。適用の30分後の時点で、これら毛髪の房を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られた色合いを、以下の表に与える:
【0092】
【表30】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

(該一般式(I)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングが炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは置換されていてもよい)で表されるものであるが、但し以下に列挙する化合物:
【化2】

を除く、上記式(I)のp-フェニレンジアミン化合物、その生理的に許容される溶媒和物及び酸付加塩。
【請求項2】
R1及びR2が、これらが結合している炭素原子と共に、5-又は6-員環を形成する、請求項1記載の上記式(I)で表される化合物。
【請求項3】
該リングが、炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される原子からなるものである、請求項1又は2記載の上記式(I)で表される化合物。
【請求項4】
該リングが、同一でも異なっていてもよい、C1-C6直鎖又は分岐アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、C1-C6アルコキシ基、アミノ基(-NH2)、C1-C6(モノ又はジアルキル)アミノ基、又はアミノ(C1-C6)アルキル基から選択される、1又はそれ以上の基によって置換されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の上記式(I)で表される化合物。
【請求項5】
該リングが、C1-C3アルキル基、ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH2)又はアミノ(C1-C3)アルキル基から選択される、1、2又は3個の基で置換されている、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
該リングが、5又は6個のリング構成員を持つ、炭素を基本とするものである、前記請求項の何れか1項に記載の、上記式(I)で表される化合物。
【請求項7】
該リングが、二価の基-NH-又はNMe-を含む、5-又は6-員のリングである、請求項1〜6の何れか1項に記載の上記式(I)で表される化合物。
【請求項8】
以下に列挙する化合物又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物の1種から選択される、前記請求項の何れか1項に記載の、上記式(I)で表される化合物:
【表1】

【表2】

【表3】

【請求項9】
インダン-4,7-ジアミン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4,7-ジアミン、2-メチルイソインドリン-4,7-ジアミン、インダン-2,4,7-トリアミン、2-アミノメチルインダン-4,7-ジアミン、4,7-ジアミノインダン-2-オール、2-メチルインダン-4,7-ジアミン及び2-プロピルインダン-4,7-ジアミン、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物の1種から選択される、前記請求項の何れか1項に記載の、上記式(I)で表される化合物。
【請求項10】
前記請求項の何れか1項に記載の、上記一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物の合成方法であって、以下の一般式(II):
【化3】

(該一般式(II)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは置換されていてもよく、R3は、水素原子、スルホン酸基、及びC1-C4直鎖又は分岐アルキル基によって生成される基から選択される)で表され、以下に列挙する化合物:
【化4】

を除く、対応する中間体化合物を還元することからなる工程を含むことを特徴とする、上記合成方法。
【請求項11】
以下の一般式(II):
【化5】

(該一般式(II)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは場合によって置換されていてもよく、R3は、水素原子、スルホン酸基、及びC1-C4直鎖又は分岐アルキル基によって生成される基から選択される)で表される化合物であることを特徴とし、以下に列挙する化合物:
【化6】

を除く、上記式(II)の中間体化合物。
【請求項12】
染色に適した媒体中に、以下の式(I):
【化7】

(該一般式(I)において、R1及びR2は、これらが結合している炭素原子と共に、4-、5-、6-又は7-員のリングを形成し、該リングは炭素原子からなるか、あるいは炭素原子と、酸素及び窒素から選択される1又は2の原子からなり、また該リングが、酸素及び窒素から選択される2の原子を含む場合には、これら2つの原子は隣接関係にはなく、該リングは場合によって置換されていてもよい)で表される化合物であって、但し以下の化合物:
【化8】

を除く、上記式(I)のp-フェニレンジアミン化合物、その生理的に許容される溶媒和物及び酸付加塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする、ケラチン繊維を酸化染色するための組成物。
【請求項13】
該一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物が、R1及びR2と、これらが結合している炭素原子とから形成されるリングが、炭素を基本とするリング又は窒素原子含有リングである、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
該一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物が、以下に列挙する化合物:インダン-4,7-ジアミン、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジアミン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン、イソクロマン-5,8-ジアミン、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4,7-ジアミン、2-メチルイソインドリン-4,7-ジアミン、1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-4,7-ジアミン、インダン-1,4,7-トリアミン、1,4,7-トリアミノインダン-2-オール、インダン-2,4,7-トリアミン、2-アミノメチルインダン-4,7-ジアミン、4,7-ジアミノインダン-1-オール、4,7-ジアミノインダン-1,2-ジオール、4,7-ジアミノインダン-2-オール、5,8-ジアミノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-オール、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4,5-トリアミン、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4,6-トリアミン、1-メチルインダン-4,7-ジアミン、2-メチルインダン-4,7-ジアミン、1,1,3-トリメチルインダン-4,7-ジアミン及び2-プロピルインダン-4,7-ジアミン、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物の1種から選択される、請求項12又は13記載の組成物。
【請求項15】
該一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物が、インダン-4,7-ジアミン、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジアミン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジアミン、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4,7-ジアミン、2-メチルイソインドリン-4,7-ジアミン、インダン-2,4,7-トリアミン、2-アミノメチルインダン-4,7-ジアミン、4,7-ジアミノインダン-2-オール、2-メチルインダン-4,7-ジアミン及び2-プロピルインダン-4,7-ジアミン、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物の1種から選択される、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
該組成物が、0.001〜10質量%なる範囲の、少なくとも1種の、該一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物、その塩又はその溶媒和物を含む、請求項12〜15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
該組成物が、0.05〜6質量%なる範囲及び好ましくは0.1〜3質量%なる範囲の、該一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物、その塩又はその溶媒和物を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
該染色のために適した媒体が、水又は水と、C1-C4低級アルカノール、ポリオール及びポリオールエーテル、芳香族アルコール、及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の有機溶媒との混合物からなる、請求項12〜17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項19】
該組成物が、3〜12なる範囲内のpHを持つ、請求項12〜18の何れか1項に記載の組成物。
【請求項20】
該組成物が、上記一般式(I)で表されるp-フェニレンジアミンとは異なるp-フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、ヘテロ環式塩基、及びこれらと酸との付加塩から選択される、少なくとも1種の追加の酸化塩基を含む、請求項12〜19の何れか1項に記載の組成物。
【請求項21】
該追加の酸化塩基が、該染料組成物の全質量の、0.0005〜12質量%を占める、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
該組成物が、少なくとも1種のカプラー及び/又は少なくとも1種の直接染料を含む、請求項12〜21の何れか1項に記載の組成物。
【請求項23】
該カプラーが、m-フェニレンジアミン、m-アミノフェノール、m-ジフェノール、ナフタレンのモノ-又はポリ-ヒドロキシル化誘導体、及びヘテロ環式カプラー、及びこれらの酸付加塩類から選択される、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
該カプラーが、該染料組成物の全質量の、0.0001〜10質量%を占める、請求項22及び23の何れか1項に記載の組成物。
【請求項25】
該酸付加塩が、以下に列挙する酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸又は琥珀酸の塩から選択される、請求項12〜24の何れか1項に記載の組成物。
【請求項26】
ケラチン繊維、及び特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を染色する方法であって、場合により酸化触媒の存在下にて、空気に暴露することにより、あるいは酸化剤を用いて、所定の色調を発現するのに十分な時間、請求項12〜25の何れか1項に記載の、少なくとも1種の染料組成物を、これら繊維に適用することを特徴とする、上記染色方法。
【請求項27】
該色調が、空気中での単なる酸素との接触によって現れる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
該色が、正に使用時点において該染料組成物に添加された、あるいは同時に、又は継続的に別々に適用される酸化組成物中に存在する、酸化剤によって、酸性、中性又はアルカリ性pHにて現れる、請求項26記載の方法。
【請求項29】
該酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート、及び過酸塩、例えばパーボレート及びパーサルフェートから選択される、請求項26記載の方法。
【請求項30】
多重区画デバイス、又は多重区画染色「キット」であって、第一の区画が、請求項12〜25の何れか1項に記載の染料組成物を含み、かつ第二の区画が、酸化剤組成物を含むことを特徴とする、上記デバイス又はキット。

【公開番号】特開2007−8952(P2007−8952A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−203917(P2006−203917)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】