説明

新規オキシニトリル類

下記の式を有する香料化合物を含む化合物または化合物の混合物;並びに、そのような化合物または化合物の混合物を活性成分として含有する、改良された芳香、香気または臭気特性を有する組成物、製品、調製物または物品:
NC-CH2-O-R
(式中、Rは、1〜16個の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖のアルキルまたはアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリル、チオフェニルまたはこれらの置換誘導体である)。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、香料分野に関する。さらに詳細には、本発明は、他の香料が有していない独特の特性および利点を有する香水および他の物品を提供する新規な香料に関する。これらの誘導体は、ある種の芳香目的を必要とするある種のおよび全ての用途において利用性を見出している。また、本発明は、これら誘導体の混合物、これら誘導体の調製方法並びにこれら誘導体の種々の基質へ適用するための香気物質としての使用にも関する。
【0002】
(技術背景)
多数の各種公知の香料が香水および多様な範囲の他の製品中の成分として使用されている。例えば、洗濯用清浄剤、繊維軟化剤、洗浄調節剤および織物繊維用途を意図する他の製品において使用する香料は、主として芳香物を含有する。
ニトリル化学群に属する数多くの化合物が香料産業において知られていることに触れなければならない。ニトリル類が、香料組成物、香気物品およびコロン類の芳香を増補または増強させるのに多年に亘って使用されていることは既知である。本発明の関連においては、香料、とりわけ機能性香料において現在使用されている以下に述べるニトリル類を挙げることができる。
種々の脂肪族および芳香族ニトリル類は、過酷性媒質中でのその良好な安定性および相応するアルデヒド類(その多くはこれらニトリル類が開発される前にすでに香料業界において使用されていた)とのその一般的な臭気類似性故に開発された。種々の例は、S. Arctander著、Perfume and Flavor Chemicals(ニュージャージー州モントクレア、1969年)に記載されている。ある種のエーテル-ニトリル類は、当該技術において開示されている。エーテル-ニトリル類は、脂肪族アルコールをアクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはクロトンニトリルに付加させることによって調製されている。エーテル-ニトリル類は、これらを調製するアルコールと似かよった臭気を有することが報告されている。即ち、J. Kulesza et al, Riechstoffe, Aromen, Korperpflegemittel. Nr 2/75, page 34, 37は、一連のアクリロニトリルへのアルコール付加生成物を記載している。その臭気についての説明から、殆どのエーテル-ニトリル類の臭気は、相応するアルコールの臭気に類似していることが明白である。同様に、DE-A-2601825号においては、アクリロニトリルへの各種飽和および不飽和脂肪族アルコール付加生成物が、香料においてさらに極性溶媒として、興味あり得るものとして説明されている。
この文献は、上記化合物の実際の臭気については極めて僅かな情報しか提供していないものの、その臭気は相応するアルコールによって少なくとも1部は決まるとの見解を示している。
【0003】
ゲラニルニトリル(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル)は、シトラール(Z-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール)の臭気に似た強力で新鮮な化学臭を有しており、後者は、それ自体、香料用途において広範囲に使用され且つ天然産の化合物である。
シトロネリルニトリル(3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル)は、ニトリル類のアンダーノート特性を有するレモン臭を思わせる嗅覚ノートを示す。該柑桔ノートは、Ozonil. RTM(2-トリデセンニトリルと3-トリデセンニトリルの混合物;供給元:Haarmann & Reimer社、ドイツ)において全く同様に顕著であるが、花のアンダーノートに関連するマンダリン果実様、ピーチタイプの各ノートも存在する。
最後に、シトロニトリル(3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル)は、前述した化合物と同じタイプの、即ち、果実-柑桔タイプの臭気を示す。
フェニル成分を含有する他のニトリル含有誘導体の香料としての使用は、当該技術において周知である。即ち、そのような化合物は、1992年9月1日に発行された米国特許第5,143,899号(発明の名称:“Process For Preparing Phenyl Butyronitriles And Perfumery Use Of 2,2-Dimethyl-4-Phenyl Valeronitrile”)に記載されている。さらにまたフェニル成分を含有する他のニトリル含有誘導体の香料としての使用は、1989年6月6日に発行された米国特許第4,837,351号に示されており、該米国特許においては、そのような化合物は、柑桔類のグリーントップノートを伴う強力で新鮮な果実様花卉様臭気ノートを有することを示唆している。さらに、米国特許第3,325,369号は、香料組成物の芳香を増補または増強するのに有用な物質としてのシンナモニトリルの使用を開示している。
さらに、そのような化合物の混合物は、スイス国ジュネーブのFirmenich et cie, S.A.社からTABACENER (Fragrance Materials Association of The United States社の“Trademark And Coined Names Catalogue”のT1ページに示されているように) として市販されている。
清浄剤、脱臭剤または制汗剤並びに石鹸類は、過酷性媒質である製品の例であり、これらの媒質においては、例えば、その強力な柑橘類グリーンノートにより、柑桔類タイプの臭気を示す典型的化合物とみなし得るシトラールは、不安定であり、香料製造業者によって極めて重視されているその臭気にもかかわらず、機能性香料におけるその使用は妨げられている。
現在のところ、有望な臭覚特性を示すにもかかわらず、上記公知のニトリル類は、レモン特性の低い、新鮮柑桔性の低い臭覚ノートを有しており、脂肪-金属暗示性がこれら全てのニトリル類において見出されている。これらの理由により、過酷性媒質中で安定であり且つシトラール臭気の柑桔類グリーンノートに近い臭気を有するニトリル類についての研究は、困難な仕事であり続けている。
【0004】
(発明の開示)
新規な芳香物および風味香料、並びにその誘導体の製造方法、該香料の使用および該香料を含む製造物品を本発明において開示する。これら新規の誘導体は、ある種の芳香目的を必要とするある種のおよび全ての用途において有用性を見出している。また、本発明は、これらの誘導体の混合物、これら誘導体の調製方法および種々の基質に適用する香料物質としてのこれら誘導体の使用にも関する。
本発明の1つの実施態様は、下記の式を有する香料に関する:
NC-CH2-O-R
(式中、Rは、1〜16個の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖のアルキルまたはアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリル、またはこれらの置換誘導体である)。
好ましい化合物は、下記の式を有する、Rがシトロネリルである上記式に従う化合物である:
NC-CH2-O-(CH2)2-CHCH3-(CH2)2-CH=C(CH3)2
本発明の第2の実施態様は、活性成分として上述した化合物またはその混合物を含有する、改良された芳香、香気または臭気特性を有する組成物、製品、調製物または物品に関する。本発明のもう1つの実施態様は、活性成分として上述した化合物またはその混合物を含有する、改良された香味または風味特性を有する組成物、製品、調製物または物品に関する。
本発明のさらなる実施態様は、組成物、製品、調製物または物品に、香味有効量の上述の化合物またはその混合物を添加することを特徴とする、組成物、製品、調製物または物品の香味または風味特性の付与、改良、増強または改変方法に関する。
本発明のさらなる実施態様は、組成物、製品、調製物または物品に、香気、芳香または臭気有効量の上述の化合物またはその混合物を添加することを特徴とする、組成物、製品、調製物または物品の香気、芳香または臭気特性の付与、改良、増強または改変方法に関する。
本発明のさらなる実施態様は、上述の化合物またはその混合物を含む製造物品に関する。
本発明の香料は、上述した好ましい化合物の合成に関する下記で説明する方法に従って調製し得る。
本発明の香料は、相応するニトリル類の臭気プロフィールを有するが、ニトリル類の典型的な不快な油-金属性ノートを大きく低下させている。
本発明の誘導体を混入し得る適切な製造物品の例としては、香水およびコロン類、ろうそく、エアーフレッシュナー、清浄剤組成物および殺菌剤がある。
【0005】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の誘導体を混入し得る適切な製造物品の例としては、香水およびコロン類、ろうそく、エアーフレッシュナー、清浄剤組成物および殺菌剤がある。
本発明の化合物および誘導体を混入し得る組成物、製品、調製物および物品としては、ろうそく;エアーフレッシュナー;香水、香料、コロン;石鹸;入浴またはシャワーゲル;シャンプーまたは他の毛髪ケア製品;化粧品;身体の着臭剤、脱臭剤または制汗剤;液体または固形の繊維清浄剤または軟化剤;漂白剤製品(次亜塩素酸塩);殺菌剤;多目的家庭用または工業用洗浄剤;食品;風味料;ビールおよびソーダ水のような飲料;入れ歯洗浄剤(錠剤);トローチのような風味付け経口伝達製品;キャンディー;チューインガム;マトリックス類;医薬品等がある。
上記化合物は、香料成分として、単一化合物としてまたは化合物の混合物として、好ましくは香料組成物の少なくとも約30質量%の範囲において、より好ましくは組成物の少なくとも約60質量%の範囲において使用し得る。
上記化合物は、添加成分を含まないその純粋状態または混合物として同等に使用し得る。個々の化合物の臭覚特性はそれら化合物の混合物においても存在し、これら化合物の混合物を香料成分として使用し得る。このことは、化合物の混合物を使用することにより、分離および/または精製工程を省ける場合にとりわけ有利であり得る。
本発明の誘導体は、通常の香料を、付言すれば、天然または合成いずれかの他の芳香物を含み得る事実上あらゆる製造物品中に含ませ得る。例としては、漂白剤、清浄剤、風味料および香料、アルコール飲料を含む飲料等がある。本発明の誘導体は、石鹸、シャンプー、体臭防止剤および制汗剤、固形または液体の繊維処理用清浄剤、繊維軟化剤、清浄剤組成物および/または家庭用および工業用双方の食器または各種表面の洗浄用多目的洗浄剤のような用途において使用し得る。勿論、上記化合物の使用は、これらの化合物が香料工業における他の現在の用途において、即ち、石鹸およびシャワーゲル、衛生または毛髪ケア製品、並びに体臭防止剤、エアーフレッシュナーおよび化粧品の芳香付けにおいても、さらには、ファイン香料工業、即ち、香水およびコロン類においてさえも使用されるので、上述の製品には限定されない。また、本発明の生成物は、食品、風味料、ビールおよびソーダ水のような飲料、入れ歯洗浄剤(錠剤)、トローチのような風味付け経口伝達製品、キャンディー、チューインガム、マトリックス類、医薬品等における使用も見出している。これらの使用については、以下でさらに詳細に説明する。
【0006】
上記で挙げた用途の全てにおいて、本発明の誘導体は、単独で、互いの混合物において、または当該技術において現在使用されている他の芳香付け成分、溶媒またはアジュバントとの混合物において使用し得る。これらの共成分の性質および種類については本明細書においてさらに詳細な説明は必要ではなく、さらにまた羅列もしない、当業者であれば、共成分は、その一般的知識によりまた芳香付けすべき製品の性質および所望の臭覚効果の関数として選択し得ることであろう。これらの芳香付け成分は、典型的に、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、硝酸塩類、テルペン炭化水素類、イオウ-および窒素含有複素環化合物、並びに天然または合成起源のエッセンシャルオイル類のような多様な化学群に属する。これらの成分の大多数は、S. Arctanderの単行本、Perfume and Flavor Chemicals(1969年、米国ニュージャージー州モントクレア)のような参考書に記載されており、該参考書またはその最新版の或いは同様な性質の他の業績における内容は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
本発明の誘導体を各種製品に混入させる割合は、広範囲の値で変動する。これらの値は、芳香付けを所望する物品または製品の性質、探求する臭気効果、並びに上記化合物を当該技術において現在使用されている芳香付け用共成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中で使用する場合の所定の組成物中の共成分の性質に依存する。
1つの例としては、本発明の誘導体は、これらの誘導体を混入する芳香付け組成物の質量に対して、約0.1〜約10質量%またはそれ以上のこれら化合物の濃度で典型的に存在する。上記濃度よりもはるかに低い濃度も、上記化合物を上記で挙げた各種消費者製品を芳香付けするのに直接使用する場合は使用し得る。
【0007】
上記化合物は、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED);次亜ハロゲン酸塩、とりわけ次亜塩素酸塩;例えば、過ホウ酸塩のような過酸素化漂白剤等のような漂白剤および活性化剤を含有する清浄剤中で使用し得る。また、上記化合物は、体臭防止剤および制汗剤、例えば、アルミニウム塩を含有する剤においても使用し得る。これらの実施態様は、以下でさらに詳細に説明する。
本明細書において説明する誘導体に加えて、本発明における組成物は、清浄用界面活性剤、並びにクリーニング性能、洗浄すべき基体の処理を促進または増強するための或いは清浄剤組成物の美観を改変するための物質(例えば、香料、着色剤、染料等)のような必要に応じての1種以上のさらなる清浄剤成分を含む。典型的には約0.5質量%〜約90質量%の量の本発明において有用な合成清浄用界面活性剤の非限定的な例としては、通常のC1〜18アルキルベンゼンスルホネート(“LAS”)および第一級枝分れ鎖およびランダムCIO-20 アルキルスルフェート(“AS”)等がある。
合成清浄剤のみを含んでいる好ましい組成物は、約0.5%〜50%の清浄剤量を有する。石鹸を含有する組成物は、好ましくは、約10%〜約90%の石鹸を含む。
本発明における組成物は、酵素、漂白剤、繊維軟化剤、染料転移抑制剤、泡立ち抑制剤およびキレート化剤(いずれも当該技術において周知である)のような他の成分を含有し得る。
【0008】
本明細書において説明する誘導体は、飲料中に混入して、飲料に種々の香味を付与し得る。飲料組成物は、コーラ飲料組成物であり得、さらにまた、コーヒー、茶、乳飲料、果汁ドリンク、オレンジドリンク、レモン-ライムドリンク、ビール、麦芽酒、または他の香味付け飲料であり得る。飲料は、液体または粉末形であり得る。また、飲料組成物は、1種以上の風味料;人工着色剤;ビタミン添加剤;防腐剤;カフェイン添加剤;水;酸味料;増粘剤;緩衝剤;乳化剤;および/または果汁濃縮物も含み得る。
使用し得る人工着色剤としては、カラメルカラー、イエロー6およびイエロー5がある。有用なビタミン添加剤としては、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC (アスコルビン酸)、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンおよび葉酸がある。適切な防腐剤としては、安息香酸ナトリウムまたはカリウムがある。使用し得る塩類としては、塩化ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムである。乳化剤の例はアラビアゴムおよび純粋ゴムであり、有用な増粘剤はペクチンである。適切な酸味料としてはクエン酸、リン酸およびリンゴ酸があり、電位緩衝剤としてはクエン酸ナトリウムおよびカリウムがある。
1つの実施態様においては、飲料は、炭酸コーラ飲料である。そのpHは、一般に約2.8であり、以下の成分を使用してこれらの組成物用のシロップを調製し得る:本明細書において説明する1種以上の誘導体を含む香味料濃縮物 (22.22ml)、80%リン酸 (5.55g)、クエン酸 (0.267g)、カフェイン (1.24g)、人工甘味化剤、砂糖または市販シロップ(風味付けのため、実際の甘味化剤による)、およびクエン酸カリウム (4.07g)。該飲料組成物は、例えば、上記シロップを炭酸水と、50mlのシロップ対250mlの炭酸水の割合で混合することによって調製し得る。
【0009】
また、本明細書において説明する1種以上の誘導体を含む風味付け食品および医薬組成物も調製し得る。上記誘導体は、当業者にとって周知の方法を使用して、通常の食品中に混入し得る。また、上記誘導体は、高分子粒子中に混入し、引続き、通常固形または半固形の基体である経口伝達可能なマトリックス物質の表面中または表面上に分散させ得る。咀嚼可能な組成物中で使用する場合、上記誘導体は、組成物を咀嚼したときに経口伝達可能な高分子マトリックス物質中に放出して口内に保持させ、それによって組成物の風味を長引かせ得る。乾燥粉末または混合物の場合は、その風味は、製品を摂取したときに利用可能にし得、或いは組成物をさらに処理したときにマトリックス物質中に放出し得る。2種の風味料を高分子粒子と混合する場合には、各添加剤の相対量は、各化合物の同時の放出および消費が得られるように選定し得る。1つの実施態様においては、風味付け組成物は、経口伝達可能なマトリックス物質;該経口伝達可能なマトリックス物質中に分散させた複数の水不溶性高分子粒子(これらの高分子粒子は、個々に、内部孔のネットワークを形成しており、消化管内では非分解性である);および、上記内部孔ネットワーク内に内包させた本明細書において説明する1種以上の誘導体を含む。これらの誘導体は、マトリックスを咀嚼するときに放出され、口内で溶解し、液体添加、乾燥混合、撹拌、混合、加熱、ベーキングおよびクッキングからなる群から選ばれるさらなる処理を受ける。経口伝達可能なマトリックス物質は、ガム類、ラテックス物質、結晶化糖、非晶質糖、フォンダン、ヌガー、ジャム、ゼリー、ペースト、粉末、乾燥ブレンド、脱水食品混合物、焼き製品、バター、ドウ、錠剤およびトローチからなる群から選択し得る。
【0010】
無風味ガムベースは、本発明の誘導体または本明細書において説明するような他の適切な添加剤と所望の風味濃度に混合し得る。典型的には、ブレードミキサーを約11 OFに加熱し、ガムベースを予熱してガムベースを軟化させ、次いで、ガムベースをミキサーに加え、約30秒間混合せしめる。その後、風味誘導体をミキサーに加え、適切な時間量で混合する。ガムをミキサーから取出し、温めながら、ワックス処理紙上でスティック厚にロール加工する。
1つの実施態様においては、本明細書において説明する誘導体を、香料を制御された方法で放出し得る系中に混入する。これらの系としては、エアーフレッシュナー、洗濯用清浄剤、繊維軟化剤、脱臭剤、ローション類および他の家庭用品目のような基質がある。香料は、一般に、各々異なる量で存在する本明細書において説明するようなエッセンシャルオイルの1種以上の誘導体である。米国特許第4,587,129号は、90質量%までの香料または香料油を含有するゲル物品の製造方法を記載している(該米国特許の内容は、その全体を参考として本明細書に合体させる)。これらのゲルは、ヒドロキシル(低級アルコキシ) 2-アルケンオエート、ヒドロキシル(低級アルコキシ)低級アルキル 2-アルケンオエートまたはヒドロキシルポリ(低級アルコキシ)低級アルキル 2-アルケンオエートとポリエチレン系不飽和架橋剤とを含むポリマーから調製する。これらの物質は、連続した遅延放出特性を有する;即ち、これらの物質は、香料成分を長時間に亘って連続して放出する。有利には、アルデヒド基を含む誘導体の全部または1部をアセタル基を含むように修飾し得、このアセタル基は、アセタル基が加水分解してアルデヒド化合物を生成する時間に亘って調製物が香料を放出するようにし得る。
【0011】
(実施例)
実施例1
【化1】

THF (20mL)中の水素化ナトリウム(0.60g)の懸濁液に、B−シトロネロールを添加し、溶液を還流下に1時間撹拌した。溶液を室温に冷却して、クロロアセトニトリル(0.90mL)を添加した。反応を室温で2日間撹拌し、次いで、標準水性条件下に処理した。クロマトグラフィーは、無色油状物としてのアルキル化生成物を示した。
本発明の範囲に属する他の好ましい香料化合物としては、下記の構造式を有する化合物がある:
【化2】

【0012】
本発明の要旨を説明してきたが、本発明の多くの修正、置換および変更が説明に照らして可能であることは明白であろう。本発明は、特定的に説明した以外にも実施し得るものと理解すべきである。そのような修正、置換および変更は、本発明の範囲に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式の香料化合物を含む化合物または化合物の混合物:
NC-CH2-O-R
(式中、Rは、1〜16個の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖のアルキルまたはアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリル、チオフェニルまたはこれらの置換誘導体である)。
【請求項2】
式:NC-CH2-O-(CH2)2-CHCH3-(CH2)2-CH=C(CH3)2を有する、請求項1記載の香料化合物。
【請求項3】
下記の式を有する、請求項1記載の香料化合物:
【化1】

【請求項4】
下記の式の1つを有する、請求項1記載の香料化合物:
【化2】

【請求項5】
活性成分として請求項1記載の化合物または化合物の混合物を含む、改良された香気、芳香または臭気特性を有する組成物、製品、調製物または物品。
【請求項6】
前記化合物または化合物の混合物が、少なくとも30質量%の量で存在する、請求項5記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項7】
前記化合物または化合物の混合物が、少なくとも60質量%の量で存在する、請求項5記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項8】
香水、香料またはコロン;石鹸;入浴またはシャワーゲル;シャンプーまたは他の毛髪ケア製品;化粧品;身体の着臭剤、脱臭剤または制汗剤;エアーフレッシュナー;液体または固形の繊維清浄剤または軟化剤;漂白剤製品;殺菌剤;或いは多目的家庭用または工業用洗浄剤の形にある、請求項5記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項9】
前記化合物または化合物の混合物が、当該技術において現在使用されている他の芳香成分、溶媒、またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項8記載の芳香組成物、製品、調製物または物品。
【請求項10】
香水またはコロン;石鹸;入浴またはシャワーゲル;シャンプーまたは他の毛髪ケア製品;化粧品;体臭防止剤または制汗剤;エアーフレッシュナー;繊維清浄剤または軟化剤;或いは多目的家庭用洗浄剤の形にある、請求項8記載の芳香物品。
【請求項11】
前記化合物または化合物の混合物が、他の芳香成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、香水の形にある請求項10記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項12】
請求項10記載の体臭防止剤または制汗剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項13】
前記化合物または化合物の混合物が、当該技術において現在使用されている他の芳香成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項12記載の体臭防止剤または制汗剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項14】
請求項10記載の清浄剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項15】
前記化合物または化合物の混合物が、他の清浄剤成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項14記載の清浄剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項16】
請求項10記載の漂白剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項17】
前記化合物または化合物の混合物が、他の漂白剤成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項16記載の漂白剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項18】
殺菌剤の形にある、請求項10記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項19】
前記化合物または化合物の混合物が、他の殺菌剤成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項18記載の殺菌剤組成物、製品、調製物または物品。
【請求項20】
請求項1記載の化合物または化合物の混合物を活性成分として含有する、改良された香味または風味特性を有する組成物、製品、調製物または物品。
【請求項21】
飲料の形にある、請求項20記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項22】
前記化合物または化合物の混合物が、他の飲料成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項21記載の飲料組成物、製品、調製物または物品。
【請求項23】
香味料の形にある、請求項20記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項24】
前記化合物または化合物の混合物が、他の香味剤成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項23記載の香味料組成物、製品、調製物または物品。
【請求項25】
食品の形にある、請求項20記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項26】
前記化合物または化合物の混合物が、他の食品成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項25記載の食品組成物、製品、調製物または物品。
【請求項27】
チューインガムの形にある、請求項20記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項28】
前記化合物または化合物の混合物が、他のチューインガム成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項27記載のチューインガム組成物、製品、調製物または物品。
【請求項29】
医薬品の形にある、請求項20記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項30】
前記化合物または化合物の混合物が、他の医薬品成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項29記載の医薬品組成物、製品、調製物または物品。
【請求項31】
経口伝達可能なマトリックス物質の形にある、請求項20記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項32】
前記化合物または化合物の混合物が、他のマトリックス物質成分、溶媒またはアジュバントとの混合物中に存在する、請求項31記載の組成物、製品、調製物または物品。
【請求項33】
組成物、製品、調製物または物品に、香味有効量の請求項1記載の化合物または化合物の混合物を添加することを特徴とする、組成物、製品、調製物または物品の香味または風味特性の付与、改良、増強または改変方法。
【請求項34】
前記組成物、製品、調製物または物品が飲料の形にある、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記組成物、製品、調製物または物品が香味料の形にある、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記組成物、製品、調製物または物品が食品の形にある、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記組成物、製品、調製物または物品がチューインガムの形にある、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記組成物、製品、調製物または物品が医薬品の形にある、請求項33記載の方法。
【請求項39】
前記組成物、製品、調製物または物品が経口伝達可能なマトリックスの形にある、請求項33記載の方法。
【請求項40】
組成物、製品、調製物または物品に、香気、芳香または臭気有効量の請求項1記載の化合物または化合物の混合物を添加することを特徴とする、組成物、製品、調製物または物品の香気、芳香または臭気特性の付与、改良、増強または改変方法。
【請求項41】
前記組成物、製品、調製物または物品が香水の形にある、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記組成物、製品、調製物または物品が、身体の着臭剤、脱臭剤または制汗剤の形にある、請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記組成物、製品、調製物または物品が清浄剤の形にある、請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記組成物、製品、調製物または物品が漂白剤製品の形にある、請求項40記載の方法。
【請求項45】
前記組成物、製品、調製物または物品が殺菌剤の形にある、請求項40記載の方法。
【請求項46】
包装材および該包装材中に含有させた香気、臭気、芳香、風味または香味増強剤を含み;該増強剤が、該増強剤を添加した組成物、調製物、製品または物品の香気、臭気、芳香、風味または香味の増強に有効であり;前記包装材が、前記増強剤を香気、臭気、芳香、風味または香味の増強に使用し得ることを示すラベルを含み;前記増強剤が、請求項1記載の化合物または化合物の混合物である、製造物品。

【公表番号】特表2007−510754(P2007−510754A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539889(P2006−539889)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/037771
【国際公開番号】WO2005/047232
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(505414894)フレキシトラル インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】