説明

新規ピロン誘導体及びそれらの合成方法

本発明は、新規なピロン−インドール誘導体、それらを含む薬学的製剤、および種々の疾病の治療又は予防用の医薬の製造における前記化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2006年2月15日に出願された米国特許出願第60/773,322号からの優先権を請求する。この出願は、参照により本出願明細書に参照により取り込まれている。
【背景技術】
【0002】
α−およびγ−ピロンは、鎮静効果、抗不安効果、神経保護効果、抗酸化効果を含む、数種の行動特性と薬理学的特性に関係していることを示されている化合物クラスである。特に、マルトール(maltol)と呼ばれる、γ−ピロン誘導体は、トケイソウから単離され、中枢神経(CNS)の鎮静作用とカフェインで誘導される興奮および動物の自然運動の減少が示されており;これらの効果は、γ−アミノ酪酸(GABA)受容体の活性化を介して仲介されている(非特許文献1、非特許文献2)。このファミリーの他のメンバである、γ−ピロンコメン酸、メコン酸、ケリドン酸は、オピオイド受容体との相互作用を介した鎮静効果を発揮することが示されている(特許文献1)。
【0003】
GABA受容体上科は、主要な抑制的神経伝達物質GABAが作用することをとおして、受容体のクラスの1つを表している。広くは、均等な分布でないが、ほ乳類の脳にこれらの受容体は、分布しており、特に、GABA受容体と呼ばれる蛋白複合体は、塩素イオンの伝導性と膜の極性の変化をもたらす(非特許文献3)。
【0004】
ベンゾジアゼピンという薬剤は、GABA受容体でベンゾジアゼピン結合部位と相互作用することにより睡眠作用、鎮痛作用、抗不安作用を発揮する。ベンゾジアゼピン結合部位に加えて、GABA受容体は、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(例えば、ゾルピデム、ザレプロン、インジプロン、ゾピクロン)(非特許文献4)、ステロイド、ピクトロトキシンおよびバルビツレートを含むGABA作動性の作用を調節する他のクラスの薬剤と相互作用する数種の顕著な部位を含んでいる。GABA受容体複合体におけるベンゾジアゼピンと非ベンゾジアゼピン結合部位は、GABA又はその他の薬剤結合部位と重複しない(非特許文献5)。電気生理学的研究では、ベンゾジアゼピン類と非ベンゾジアゼピン類の主要な作用は、神経細胞の興奮性をGABA作動性阻害による増強である。これは、GABAで誘導される塩素の細胞内への流入の増強と引き続いて起こる膜の過分極に起因している。ベンゾジアゼピンと非ベンゾジアゼピンによるGABA受容体の臨床上重要なアロステリック的な調節は、近年における重要な薬理学的発見の領域である。ベンゾジアゼピン部位に作用するアゴニストは、抗不安効果、鎮静効果、および睡眠効果を示すことが知られており、一方、この部位で逆作働薬として働く化合物は、不安惹起効果、認知増強効果、痙攣誘発効果を引き起こす(非特許文献6)。
【0005】
GABA受容体が示す治療上の標的となるに主要な障害は、不安障害、認知障害、てんかん、気分障害、統合失調症、疼痛、睡眠障害を含んでいる。GABA受容体の調節剤は、睡眠に重要な役割を演じており、GABA受容体の正のアロステリック調節剤は、さまざまな第一次睡眠および第二次睡眠障害に睡眠を促進かつ維持するために広く用いられている(非特許文献7)。
【0006】
一方、ベンゾジアゼピン類は、抗不安剤として薬学的な使用の長い歴史があるが、これらの化合物は、しばしば、望んでいない多くの副作用を示している。これらは、認知機能障害、鎮静状態、運動失調、エタノール効果の増強、および薬物寛容の傾向とそれに落ち込む危険性の上昇、及び薬物依存を含むことができる。このような作用の重要な観点は、残存日中効果に昼間覚醒障害をもたらすことである。それゆえ、厄介な副作用の少ない新しいGABA受容体調節剤が求められている。
【0007】
インドール化合物、特に、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)やメラトニン(n−アセチル−5−メトキシ−トリプタミン)に関連する化合物は、CNS効果を有し、睡眠、覚醒状態、食欲、気分に影響を与える。メラトニン系の関与が提示されている臨床上関連する多くの領域が存在する(非特許文献8)。これらには、中核体温の調節(非特許文献9、10)、免疫反応(非特許文献11、12、13)、青春期発育、排卵、季節的繁殖、腹膜の後にある副睾丸脂肪、同様に、血漿中のインシュリン、レプチン、成長ホルモン、グレリン濃度(非特許文献14〜19)、コルチゾルリズム、眼圧(非特許文献20、21)、血圧(非特許文献22)、グルコース代謝、グレリン、レプチンと体脂肪量、バソプレシン及び、尿排泄(非特許文献23、24)が含まれる。ある症例では、精神障害は、時間生物学に関する病因論(例えば、季節に限った障害)が内在し、メラトニン療法が明確な候補になっている(特許文献25)。メラトニンは、また、フリーラジカルスカベンジャとして、そして、抗酸化剤として働く(非特許文献26)。
【0008】
メラトニンが、特に、ヒトにおける睡眠と覚醒状態を調節しているという確実で強力な証拠が存在する。メラトニンは、局所光周期と位相が外れている慨日リズムを再同調させるために投与されている。例えば、時間帯(時差)を急速に超えること、睡眠相後退症候群患者(DSPS)、仕事のシフト、全盲、によって引き起こされる睡眠/覚醒障害は、メラトニンやメラトニンアナログにより治療することができる(特許文献2〜4)。付け加えて、メラトニンは、正常なヒト、および、不眠症のヒト被験者に対して、直接的に、鎮静/催眠特性を有する(非特許文献27;特許文献5)。高齢者の睡眠障害は、メラトニン処置に反応することが示された(非特許文献28、29、特許文献6)。メラトニンとそのアナログは、不眠症の患者(非特許文献30,31)、又は、鬱病患者(非特許文献32)の睡眠開始の待ち時間を減少する。特に、不眠症患者の睡眠の回復値を増強する、これにより、日中覚醒を増強する(特許文献7)。
【0009】
異なる障害に対するメラトニン措置に対する広い範囲の兆候反応がある。これらには、以下を挙げることができる;すなわち、不安神経症(非特許文献33)、発作(非特許文献34)、疼痛(非特許文献35)、群発性頭痛及び片頭痛(非特許文献36)、鬱病、躁病、統合失調症(特許文献8,非特許文献37)、緑内障、加齢、ストレス(非特許文献38,39)、高血圧(非特許文献40、特許文献9)、薬物禁断症状(特許文献10)、骨粗しょう症(非特許文献41)、種々の癌(非特許文献42〜44、特許文献11、12)、良性腫瘍及び増殖性疾患、良性前立腺肥大(BPH)(特許文献13,14)、乾癬、避妊と受胎、早熟性思春期、月経前の高プロラクチン血症(非特許文献45〜50、特許文献12、15、16)、である。
【0010】
メラトニンは、神経変性疾患の(非特許文献51、52)、虚血性脳梗塞(非特許文献53、54)、アルツハイマ病(非特許文献55、56)、突然乳幼児突然死症候群(SIDS)(特許文献17)の治療又は予防に有益である。
【0011】
これまでに、3つのメラトニン受容体サブタイプ、MT−1、MT−2及びジハイドロニコチンアミドリボサイド−キノンレダクターゼ2が同定されており、ジハイドロニコチンアミドリボサイド−キノンレダクターゼ2は、ときおり、MT−3又はML2メラトニン受容体とも呼ばれている(非特許文献59、60)。MT−1は、CNSと腎臓、尿生殖器経路のような腹腔臓器に局在しており、一方、MT−2は、主に、中枢神経に局在している。MT−3(ML2)部位に割り当てられた生理活性はない。付け加えると、メラトニンは、カルモジュリン(非特許文献58)やチュブリン付随蛋白(非特許文献59)のような細胞内蛋白と相互作用する。ラットに注射した放射性標識メラトニンの保持パターンは、メラトニンの蓄積を、脳、下垂体、肺、心臓、生殖腺、副性器に示した(非特許文献61)。
【0012】
メラトニンとそのアナログの幅広い治療用途が存在することは明らかである。したがって、有用な治療剤としてメラトニン作働系に作用する新規な化合物を特定することに引き続き興味がもたれる(非特許文献62)。これらの化合物は、より長い持続性、選択的な局在性と、メラトニンのものより、より大きな有効性を提供することができる。
【0013】
セロトニン(5−HT)は、全く異なる臨床症状における治療として用いられている5―HTに基づく多くの薬剤を説明する多くの生理学的な行動システムを調節することがしられている。広く異なる臨床症状で選択された部位において5−HTを上昇又は減少に指向する広範囲の治療があり得る。CNS及び末梢組織における5−HTの代謝回転の精査は、広く多くの臨床症状に付随する5−HTの代謝への影響を示しており、そして、抗鬱剤、抗精神病薬、抗不安薬、のような多くの薬剤が何種類もの障害において5−HTの機能への影響を示している。選択的な5−HT再取り込み阻害剤(SSRI)の開発と幅広い臨床使用、多角的な5−HT受容体サブタイプと細胞内伝達系へのそれらの結合の前臨床上の概要や、このような系に選択的に働く薬剤の開発は、この分野における新しい研究情報の激増を引き起こす。5−HTの系は、著しく多様であり、多岐な生理学的な作用過程が関与している。反対に、特異的な5−HT受容体アゴニストや拮抗剤の開発は、片頭痛、群発性頭痛における5−HTアゴニストであるスマトリプチンの使用、吐き気、おう吐の抑制におけるオンダンセトロンの使用のような、より特異的に標的を絞った治療行為に導いている。
【0014】
5−HT系の関与が示された臨床上の関連領域が広範囲である。これらには、気分調節、恐怖と不安、学習と記憶、認知抑制、食欲と食事調節、睡眠、性機能、衝撃制御、行動規制への発展、加齢と神経変性、動機と報酬、痛感、おう吐、間代性筋けいれん、神経内分泌制御、概日リズム規制、ストレス反応とカルチノイド症候群を挙げることができる。
【0015】
異なる障害における選択的なセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)治療に対する症状の応答は広範囲にわたっている。臨床使用で多数のSSRIの有用性が増えたことは、異なる臨床症状をもつ幅広い治験をもたらしている。プラシーボ(偽薬)対照試験は、SSRI治療のポジティブな結果を、鬱病、強迫神経症(OCD)、パニック障害、月経前症状、神経性大食症、自閉性障害、糖尿病性神経障害及び糖尿病性肥満において示している。SSRI治療に続く症候性応答を示すと報告されている様々な臨床症状をもつ幅広い領域は、大鬱病、病状に伴う二次的鬱状態、梗塞後の鬱、気分変調、季節性情動障害、OCD,パニック性障害、対人恐怖症、境界性人格障害、離人症候群、身体醜形症候群、月経前症候群、分娩後疾患、自閉症障害、注意力欠如障害、過反応性障害、トウレットシンドローム、抜毛癖、咬爪癖、プラダーウイリ症候群、セックス中毒、早漏、片頭痛予防、糖尿病性神経障害、肥満、喫煙者の体重増加、アルコール依存症、脳外傷後の感情責任(emotional liability)、睡眠時麻痺、病的嫉妬、関節炎、レイノー現象、繊維筋痛、過敏性腸症候群、直立傾斜失神、意図間代性筋けいれん、神経内分泌規制等を含んでいる。
【0016】
5−HTに関する前臨床データは、5−HT系が優先的に調節的であるとことを示しており、しかも、多くの5−HT効果が神経伝達系に関与している他のものの進行状態と相互作用していることを示している。5−HT系の神経解剖学は、5−HT放出の60%又はそれ以上がシナプスではないことを示唆している。したがって、5−HT効果は、高度に解剖学的な局在があるとか、より直接的に神経伝達系を仲介する系を伴う特質を示すようなことは期待できない。5−HTによる調節の本質は、他の神経伝達系との相互作用を通した臨床レベルで見ることができる。動物の行動においては、脳内のセロトニン作働性神経の活動は、睡眠−覚醒サイクルに密接に結びついている:すなわち、覚醒中、つまり、起きているときの最高活動(射撃)率、静穏状態および徐波睡眠中の中程度の放電;素早い眼球運動睡眠中の沈黙状態(直物状態)である。ある種のSSRI化合物は、予期しない体重減少、又は、過剰な体重増加、不眠症、性的機能不全を伴う。
【0017】
新規な5−HT受容体サブタイプを発見する分子生物学的なアプローチの急速な進展とも相まって、大変多くの異なった、かつ重要な、生物学的なシステムを調節している5−HTの広範囲の関与は、臨床効果に対し薬剤使用のパラメータを最適化するための他の薬理学的特性を付与され得る臨床上有用な5−HT調節剤の開発に向かって研究活動が育成されるにちがいない。
【0018】
メラトニン又はセロトニン及びピロンに関連するが、薬理学的又は薬物動態的特性は、これらの分子とは異なったものが、新規な薬剤として重要であるように思われる。例えば、特許文献5は、置換トリプタミン類、フェニルアルキルアミン類、及びそれらの関連化合物を、睡眠障害、内分泌指標、免疫系障害等を含む多くの薬学的指標を扱うために、開示している。特許文献18は、メラトニン及び関連化合物を含む、乾癬の治療又は予防する組成物を記載している。特許文献19は、エイズ治療のためのメラトニンをアジドチミジンと併用投与を含む種々の治療目的のためにメラトニンとそのアナログの生産を開示している。ナフタレン環とインドール環の生物学的等価性に基づいたメラトニンとそのアナログが開示されている(非特許文献63、特許文献20〜25)。メラトニンとそのアナログは、GABA受容体調節剤の効果を増強する(特許文献10、26)。
【0019】
インシュリン抵抗性とインシュリン非依存性糖尿病患者は、その集団の年齢や素質に依存しつつ、人工の35%にまでになっている。米国だけでも、1600万人の人々が2型糖尿病であり、1300万人の人々がグルコース耐性に障害を受けている。事実、2型糖尿病は、世界中でまん延している。2025年には、3億人の人々が糖尿病になるであろうと予測されている。それらの大部分が中国、インド、米国に在住するであろう。加齢と体を動かさないことの増加、変化する肥満人口、不健康なダイエットのために、インシュリン抵抗性がまた、憂慮すべきことに増加している(2型糖尿病より2倍から3倍既に広まっている。)
【0020】
インシュリン抵抗性は、2型糖尿病の進展の初期に通常起こる。自律神経系と、ある種の内分泌と、炎症経路の各々のバランス変更が、インシュリン抵抗性の進展に寄与するらしい。糖尿病では、高血糖は、さらに、β細胞の機能不全と同様に、インシュリン抵抗性を悪化させる。しかし、この現象の機構、例えば、糖毒性は、十分に理解されていない。インシュリン抵抗性は、2型糖尿病に進展する高リスクをもつ2型糖尿病患者の健康な第一度親近者において認められる。
【0021】
2型糖尿病患者の空腹時高血糖は、高インシュリン血症の存在を示している;このことは、これに伴うグリコーゲン分解とグルコース新生におけるインシュリン抵抗性の存在を反映している。肝臓におけるグルコース生産をインシュリンが抑制することの損傷に付け加えて、筋細胞によるインシュリンが仲介するグルコースの取込みの減少は、それに伴う高血糖に寄与している(約50%)。
【0022】
グルコース耐性は、加齢と共にその傾向となる。その理由は、1)細胞受容体のインシュリン抵抗性の増加、2)受容体通過後の細胞内での混乱、3)インシュリンとグルコースへの膵臓小島β細胞の感受性低下である。2次的な高インシュリン血症、及び/又は高血糖を伴うインシュリン抵抗性は、加齢に伴う多くの障害に寄与している;すなわち、高血圧、肥満、アテローム性動脈硬化症、脂質異常、血液凝固障害、2型糖尿病を含む慢性代謝性攪乱である。インシュリンは、体内で最も重要な蛋白同化ホルモンの1つであり、炭化水素、脂質、蛋白の代謝の調整にとって重大な意味をもっている。インシュリンは、内分泌性の膵臓のβ細胞から分泌される。標的細胞中の膜貫通インシュリン受容体に結合することにより働く、そして、これが、受容体の細胞内部分にあるチロシンキナーゼドメインを活性化させ、インシュリン受容体基質(IRS)のリン酸化に導く。これが、代謝効果をもたらす、細胞のシグナル化反応のカスケードを開始する。インシュリンの代謝作用の主要な標的組織は、筋肉、肝臓と脂肪組織である。インシュリンは、インシュリン感受性組織、特に、骨格筋でグルコースの取り込みを刺激し、そして、肝臓中でのグルコースの生産を阻害する。肝臓中および骨格筋でのグリコーゲンの蓄積を促進する。エステル化されていない脂肪(NEFA)の脂肪組織への分配を促進し、そこで、トリグリセライドとして蓄えられ、脂肪細胞内での脂肪分解が阻害される。通常は、全体的な蛋白合成は増加する。
【0023】
最近の研究では、肥満症の個体の脂肪細胞中におけるサイトカインである腫瘍壊死因子TNF−αの高発現があることを示唆しており、このTNF−αは、インシュリン抵抗性とそれに続く肥満患者の2型糖尿病への主要に貢献している。TNF−αは、アポトーシスの過程の重要な調節因子であり、腫瘍、脂肪細胞、筋肉組織の容積を調節している。それは、免疫担当細胞だけでなく、脂肪細胞や筋肉細胞によってもつくられる。このサイトカインは、他の状況下で腫瘍中や肥満において活性化される。IRS−1のリン酸化、フォスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI-3)に作用することにより、インシュリン反応性グルコーストランスポータGLUT4の合成調節を通して、また、インシュリンシグナル(おそらく、レプチンを介して)の干渉を通して、TNF−αは、インシュリン抵抗性と拒食症を促進している。
【0024】
原因とは関係なく、インシュリン抵抗性は、広範囲に及び、健康上副作用を伴っている。グルコース耐性が、中程度に損傷されているときでも、まだ、公然とした糖尿病の範囲あるとはされていないことは正しい。副作用の中で注目すべきは、大血管に影響を与える血管障害や、高血圧と異常脂質血症を伴う傾向である(トリグリセライドの上昇と、HDLの低下)。事実、1)グルコース不寛容、2)インシュリン抵抗性、3)高血圧、4)異常脂質、の組み合わせは、インシュリン抵抗性症候群、レーベン症候群のような、X症候群という名称を得るには、通常、十分である。臨床的には、世界中に1億人がいることは明白である。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0181516号
【特許文献2】米国特許第4,600,723号
【特許文献3】米国特許第4,666,086号、Short等
【特許文献4】米国特許第5,242,941号、Lewy等
【特許文献5】米国特許第5,403,851号、D’Orlando等
【特許文献6】米国特許第5,498,423号、Zisapel等
【特許文献7】PCT特許出願第WO03/015690号、Zisapel等
【特許文献8】米国特許第5,93,352号、Dobocovich等
【特許文献9】米国特許出願第10/169,467、Zisapel等
【特許文献10】米国特許第6,469,044号、Zisapel等
【特許文献11】米国特許第5,196,435、Clemens等
【特許文献12】米国特許第5,272,141号、Fraschini等
【特許文献13】米国特許第 5,750,557号、Zisapel等
【特許文献14】欧州特許0565296B号、Zisapel等
【特許文献15】米国特許第4,855,305号
【特許文献16】米国特許第4,945,103号、Cohen等
【特許文献17】米国特許第5,500,225号、Laudon等
【特許文献18】PCT特許出願 第 WO87/00432号
【特許文献19】米国特許第5,122,535号
【特許文献20】欧州特許出願第662471A2号、Depreux等
【特許文献21】欧州特許第950712、Depreux等
【特許文献22】国際特許出願WO9529173号Al、951102号、Ladlow等。
【特許文献23】米国特許第5,151,446号、Horn等
【特許文献24】米国特許第5,194,614号、Adrieux等
【特許文献25】米国特許第5,276, 051号、Lesieur等
【特許文献26】米国特許出願第20055175692号、Zisapel等
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【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
前述した議論の観点から、ピロン−インドール誘導体は、種々の疾病や症状を治療するための使用になるであろう、特に、セロトニン、5−HT、インシュリン及びGABA作働性が異常調節の場合に、治療するための使用になるであろう。本発明は、これらのクラスの単独の中の1つを調整することを目的とするというより、より治療的に進んだ化合物の必要性に取り組んでいる。MT−1やMT−2、又は、セロトニンのアゴニスト/アンタゴニストとして働き、付加的にGABA受容体を調節特性をもった薬剤が、限定されるものではないが、鎮静作用をもち、例えば、日中の覚醒に対して良い効果をもった改良された睡眠のような付加的な利点を有する新規薬剤を提供し得る。このユニークな作用機作のために、これらの薬剤は、耐性とか薬剤中断症状のようなベンゾジアゼピン類に関連した典型的な副作用を現さない。
【0026】
付け加えて、本発明は、インシュリン抵抗性や2型糖尿病に影響を与えるメラトニン作働性の誘導体の必要性に取り組んでいる。
【0027】
前述した引用した特許、特許出願及び論文文献は、参照により本明細書に取り込まれている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、下記式(I)の化合物に関する:
Ar−B−Ar’(I)
ここで、Bは、−X−Y−Z−を表し、
ここで、Xは、−(CH(ここで、nは、0〜6)、Xのアルキルは、直鎖または分岐であり、
Yは、酸素、硫黄、>NH、又は、不存在;
Zは、>C=O、>O、>COO、又は、不存在;
ここで、X、YおよびZの、少なくとも1つは、存在しなければならない;
Arは、インドール核環系を表し:

【化1】

Ar’は、α−、β−、又は、γ−ピロン核環系を表し:

【化2】

ここで、各、R1〜4の置換基は、とり得るあらゆる位置において環Ar(N−位置を含む。)で置換し、および、R1’〜2’は、とり得るあらゆる位置においてAr’環で置換し、ここで、各、R1〜4およびR1’〜2’は、独立して、水素、酸素、ハロゲン、ハロゲン−C1〜5アルキル、アリール、アシル、1〜3のヘテロ原子(窒素、酸素、又は、硫黄から独立して選択される)を含むC5〜7ヘテロ環基;1〜3のへテロ原子(窒素、酸素、又は、硫黄から独立して選択される)を含むC6〜8のヘテロアリール基、C1〜5のアルキル、C2〜5のアルケニル、C2〜5のアルキニル、アリール−C1〜5アルキル、アリール−C2〜5アルケニル、アリール−C2〜5アルキニル、ヒドロキシ−C1〜5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、C1〜5アルキルアミン、C1〜5アルキルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、C1〜5アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、又は、スチリル;
ここで、前記アリールアルキル、アリールアルケニル、アラルアルキニル、又は、スチリル基は、選択的に、つぎに示す群からなる置換基から独立して選択される1〜4の置換基により環置換されることもある;それらの置換基とは、水素、ハロゲン、ハロゲン−C1〜5アルキル、アリール、1〜3のへテロ原子(窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される)を含むC5〜7ヘテロ環基;1〜3のヘテロ原子(窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される)を含むヘテロアリール基;C1〜5のアルキル、C2〜5のアルケニル、C2〜5のアルキニル、アリール−C1〜5アルキル、アリール−C1〜5アルケニル、アリール−C2〜5アルキニル、ヒドロキシ−C1〜5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、S−アルキル又はアルキルチオール;及びR又はRは、さらに、Bヘの結合を含むか、又は、表すことができる;
ここで、Arは、R又はRで置換されていない、N−位も含んで、Arのどのような位置でもBに結合することができ、ここで、Ar’は、R又はRで置換されていない、N−位も含んで、Ar’のどのような位置でもBに結合することができ、
又は、薬学的に許容可能なそれらの塩又は立体異性体。
【0029】
本明細書で用いる「アリール」は、フェニル、又は、ナフチルを表す。
【0030】
本発明の化合物の一般性を損なうことなく、本発明の好ましい置換基(sub-group)は、式(I)において、Xは、−(CH−、Yは、>NH、又は、>O、であり、Zは、>C=O、であり、Arは、単結合、インドール環3位でXに結合、を含むインドール環であり、R1は、インドール環5位のメトキシであり、RとR4の各々は水素であり、(a)Ar’は、ピロン環の2位でZに結合したγ−ピロン環であり、R1’は、水素又はピロン環5位にあるヒドロキシル基であり、R2’は、水素、又は、γ−ピロン環の6位にあるカルボキシル基である、或いは、(b)Ar’は、ピロン環の5位でAに結合したα−ピロン環であり、R1’とR2’は、各々、ピロン環の3、4、6位にある水素である;
又は、薬学的に許容し得るそれらの塩又はそれらの立体異性体である。
【0031】
本発明は、また、式(I)の化合物の治療上の有効量を活性物質、又は、式(I)で保護され得る、薬学的に許容できるそれらの塩、それらのあらゆる立体異性体、それに、1又はそれ以上の薬学的に許容できる希釈剤、保存剤、溶解剤、乳化剤、アジュバント、賦形剤、又は、薬学的及び獣医学的に通常用いられるキャリアをその範囲に含んでいる。本発明の薬学的製剤は、ヒト及び/又は動物への投与に適応することができる。
【0032】
式(I)の化合物は、インシュリン抵抗性及び2型糖尿病、梗塞後の神経喪失、虚血、中枢神経(CNS)の外傷、神経変性疾患を含むCNS障害(アルツハイマ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、パーキンソン病及びダウン症)の治療又は予防又は最小化に有用であり; 興奮性アミノ酸の過剰刺激の悪影響を治療又は予防し; 精神疾患、てんかん及び他の痙攣性障害、不安症、不眠症を含む睡眠障害、精神医学上の疾患(例えば、鬱病、精神病)、慢性疼痛(無痛覚症)、緑内障、サイトメガロウイルス(CMV)性網膜症、尿失禁及び麻酔導入の治療又は予防は、認知の増強のそれと同様に有用であり;また、アヘン耐性又は禁断症状の治療又は予防のために有用である。
【0033】
さらなる、詳述、説明をすれば、本発明の化合物の投与による治療が受けいれられると考えられる症状には、インポテンツ、心血管障害(高血圧を含む。)、血液凝固障害、炎症性疾患、神経障害; 時間生物学的障害(例えば、時差ぼけ)、概日睡眠障害(遅延睡眠期症候群、交代勤務の問題、季節関連障害、例えば、季節情動障害(SAD));内分泌指標(例えば、避妊、不妊症、性的早熟、月経前症候群、高プロラクチン血症、成長ホルモン欠損症); 新生物性疾患(ガン、他の増殖性疾患(良性及び前立腺腫瘍の増殖));エイズを含む免疫系障害、老化を伴う症状、眼科疾患;群発性頭痛;片頭痛、皮膚保護、糖尿病性安定化、体重増加障害(レプチン蛋白質、肥満);皮膚保護を提供するため、及び、動物飼育の補助として(例えば、受胎調節、思春期、動物の毛の色)、がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、式(I)を有する化合物に関する:
Ar−B−Ar’(I)
ここで:
−B−は、:
X−Y−Z−であり、
ここで、Xは、−(CH−、であり、(ここで、nは、0〜6)、アルキル部分は、直鎖または分岐である;
Yは、酸素、硫黄、>NH、又は、不存在であり;
Zは、>C=O、>O又は、>COO、又は、不存在であり;
ここで、X、YおよびZの、少なくとも1つは、存在しなければならない;
環系Arは、インドール核環、を表す。
【化3】

環系Ar’は、α−、β−、又は、γ−ピロン核環を表し;
【化4】

ここで、各、R1〜4置換基は、とり得るあらゆる位置における環系Ar(N−位置を含む。)に置換する、および、R1’〜2’は、とり得るあらゆる位置でAr’環系に置換する、ここで、各、R1〜4およびR1’〜2’は、独立して、水素、酸素、ハロゲン、ハロゲン−C1〜5アルキル、アリール、アシル、1〜3のヘテロ原子(窒素、酸素、又は、硫黄から独立して選択される)を含むC5〜7ヘテロ環基;1〜3のへテロ原子(窒素、酸素、又は、硫黄から独立して選択される)を含むC6〜8のヘテロアリール基、C1〜5のアルキル、C2〜5のアルケニル、C2〜5のアルキニル、アリール−C1〜5アルキル、アリール−C2〜5アルケニル、アリール−C2〜5アルキニル、ヒドロキシル−C1〜5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、C1〜5アルキルアミン、C1〜5アルキルアミド、ヒドロキシル、チオール、アシルオキシ、アジド、C1〜5アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、又は、スチリル;
ここで、前記アリ−ルアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、又は、スチリル基は、選択的に、次の置換基からなる群から独立して選択される1〜4の置換基により置換された環である:その置換基とは、水素、ハロゲン、ハロゲン−C1〜5アルキル、アリール、1〜3のへテロ原子(窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される)を含むC5〜7のヘテロ環基;1〜3のヘテロ原子(窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される)を含むヘテロアリール基;C1〜5のアルキル、C2〜5のアルケニル、C2〜5のアルキニル、アリール−C2〜5アルケニル、アリール−C2〜5アルキニル、ヒドロキシル−C1〜5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、ヒドロキシル、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、S−アルキル又はアルキルチオール;及びR又はRのいずれかは、さらに、Bヘの結合を含むか、表すことができる;
ここで、Arは、R又はRで置換されていない、N−位も含むAr環上のあらゆる位置においてBに結合することができ、そして、Ar’は、R又はR2’で置換されていない、N−位も含んで、Ar’環上どのような位置でもBに結合することができる。
【0035】
本明細書において、「アリール」とは、フェニル、又は、ナフチルを表す。
【0036】
また、本明細書において、「式(I)の化合物、塩、又は立体異性体」は、「1又はそれ以上の」このような化合物、塩又は立体異性体を意味する。さらに、薬学的製剤の議論で示すように、式(I)の化合物は、同様に、その化合物の塩または立体異性体を含むことを意味する。
【0037】
好ましい態様においては、Xは、−(CH−であり、ここでnは、0〜6のいずれかであり、好ましくは、1〜6であり、Yは、>NH、または、>O、そしてZは、>COである。
【0038】
本発明の化合物の一般的性質を害することなく、式(I)で定義される化合物の好ましい態様においては、Xは、−(CH)2−、Yは、>NH、Zは、>C=O、Arは、単結合、インドール環の3位でXに結合するR、を含むインドール環であり、Rは、インドール環の5位にあるメトキシであり、RとRの各々は、水素であり、Ar’は、ピロン環の2位でZに結合するγ−ピロンであり、R1’は、水素、又は、ピロン環の5位にある水酸基であり、R2’は、水素又はγ−ピロン環の6位にあるカルボキシ基であり、または、薬学的に許容できるそれらの塩又は立体異性体である。第二の好ましい態様においては、Arは上記で定義されており、Ar’は、α−ピロン環の5位でZに結合したα−ピロン環であり、R1’とR2’は、水素であり;又は薬学的に許容できるそれらの塩又は立体異性体である。
【0039】
本発明は、また、組成物が医薬として有用である式(I)の化合物を含む組成物の製剤をその範囲内に含んでいる。薬学的組成物は、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩と同様に、式(I)により保護されるあらゆる立体異性体の、治療上有効量を活性物質として含む;また、1又はそれ以上の薬学的に許容できる希釈剤、保存剤、溶解剤、乳化剤、アジュバント、賦形剤、薬学的又は獣医学的な製剤に通常用いられるキャリアをも伴っている。本発明の薬学的製剤は、ヒト及び/又は動物への投与に適している。
【0040】
本発明の薬学的製剤は、好ましくは次の特性の少なくとも1つを特徴としている:
(i) 経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内又は皮下注射、又は、埋め込み(インプラント))、鼻腔、膣内、直腸、舌下、又は、局所投与経路に適している、また、各投与経路にとって、適切な投与用量に製剤化することができる。
(ii) 単位剤形において、約2.5μg〜25mg/kg体重の範囲内で式(I)の少なくとも1つの化合物の量を含む各単位用量である単位剤形;
(iii) 式(I)の少なくとも1の化合物が、所与の調節された速度で放出される持続放出製剤。
【0041】
前記製剤は、単独でも、併用でも投与することができることを特徴とすることができ、中枢神経系(CNS)障害、及び、代謝障害、これに、限定されないが、以下も含む、すなわち、神経変性疾患、睡眠障害、インシュリン抵抗性及び2型糖尿病である。
【0042】
本発明で使用される式(I)の化合物の薬学的に許容でき適した塩は、例えば、本発明の化合物の溶液を、薬学的に許容できる無毒の酸、例えば、塩酸、フマル酸、マレイン酸コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸又は硫酸等の溶液と混合して形成し得る。アミン基の塩は、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアラルキル基を担持する第四級アンモニウム塩をも、また含んでいる。化合物が酸性基を担持する場合は、本発明は、好ましくは薬学的に許容できる無毒の塩、例えば、それらのナトリウム塩、それらのカリウム塩を意図する。
【0043】
式(I)の化合物は、次の疾病又は症状を治療及び/又は予防するために哺乳類に投与することができる;すなわち、疾病又は症状とは、インシュリン抵抗性、及びII糖尿病;梗塞後の神経細胞脱落、虚血、中枢神経(CNS)傷害、神経変成疾患(アルツハイマ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、パーキンソン病及びダウン症)を含むCNS障害、興奮性アミノ酸の過剰刺激の悪影響、精神疾患、てんかん、及び他の痙攣性障害、不安症、不眠症を含む睡眠障害、精神医学上の疾患(例えば、鬱病、精神病)、慢性疼痛(無痛覚症)、緑内障、サイトメガロウイルス(CMV)性網膜症、尿失禁、及び、アヘン耐性又は禁断症状の治療である。前記化合物は、認知の増強と同様に、麻酔導入にも、また投与することができる。
【0044】
付け加えて、本発明の化合物は、次の疾病又は症状の治療又は予防のためにほ乳類に投与することができる;すなわち、その疾病又は症状とは、インポテンツ、心血管障害(高血圧、血液凝固を含む)、炎症性疾患、神経障害、時間生物学的障害(例えば、時差ぼけ)、概日睡眠障害(遅延睡眠期症候群、交代勤務の問題、季節関連障害、例えば、季節情動障害(SAD));内分泌指標(例えば、避妊、不妊症、性的早熟、月経前症候群、高プロラクチン血症、成長ホルモン欠損症);新生物性疾患(癌、他の増殖性疾患(良性及び前立腺腫瘍の増殖));エイズを含む免疫系障害、老化を伴う症状、眼科疾患;群発性頭痛;片頭痛;体重増加障害(レプチン蛋白質、肥満);皮膚保護を提供するため、及び、動物飼育の補助として(例えば、受胎調節、思春期、動物の毛の色)である。
【0045】
本明細書では、「治療する」は、疾病、障害、又は症状を緩和するか又は治癒すること、又は、病気、障害又は症状の少なくとも1つの症状を軽減することを意味する。
【0046】
好ましい態様においては、疾病又は障害は、ヒトが罹患したものであり、本発明の化合物がヒトに投与される。
【0047】
本発明の化合物は、単独で又は治療すべき疾病、障害又は症状の治療に有益であることが知られている他の薬剤と併用して投与することができる。本明細書において「併用」は、式(I)の化合物と他の薬剤が同時投与される併用療法、または、物理的に固定された併用であるか、又は、別の時であるが、相互が補完するように投与されることもできる。
【0048】
好ましい態様においては、式(I)の化合物は、概日リズムの改善、睡眠の質の改善、又は、ほ乳類、とくにヒトにおいて睡眠障害又は睡眠妨害の治療又は予防のために投与することができる。付け加えて、式(I)の化合物は、睡眠の効率を増すために、また、睡眠を維持を増大させるために投与することができる。式(I)の化合物の投与により治療又は予防することのできる睡眠障害又は睡眠妨害は、不眠症、睡眠過剰、睡眠時無呼吸、ナルコレプシ(発作性睡眠)、夜間間代性痙攣、レム睡眠妨害、時差ぼけ、交代勤務者の睡眠妨害、睡眠障害(dysomnia)夜間恐怖症、鬱又は情緒性ムード障害を伴う不眠症、夢遊及び夜尿、加齢に伴う睡眠障害と同様に、概日リズムを伴う症状、時間帯の通過する旅行、または、交代勤務スケジュールの回転を伴う精神的及び肉体的障害、又は、体力回復が見られない睡眠により現れる線維筋肉痛のような症状、及び筋肉痛又は睡眠中呼吸障害を伴う無呼吸睡眠である。
【0049】
概日リズム障害や睡眠障害のような広く定義した前述の症状の治療又は予防において、式(I)の化合物は、単独で又は睡眠の質を増強するための、睡眠障害又は睡眠妨害を治療又は予防するために、他の薬剤と併用で投与することができるが、そのような他の薬剤としては、例えば、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗不安薬、マイナートランキライザ、メラトニンアゴニスト及び拮抗剤、メラトニン、ベンゾジゼピン類、バルビツレート類、5HT−2拮抗剤、及び、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピン、ブスプリオン、ブタバルビタール、バルビタール、カプリド、クロペリドン、クロラゼパート、クロザピン(clozapine)、デシプラミン、デクルクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ドキセピン、エスタゾラム、エスゾピクロン、エトクロビノール、エトミダート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、ガボキサドール、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イミプラミン、インジプロン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム 、マプロチリン、メクロクアロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタクアロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、ラメルテオン、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、テマゼパム、チオリダジン、トラカゾラート、トラニルシプロミン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、バルプロエート、ベンラファキシン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム、ゾピクロン、及びそれらの塩、それらの併用、及びそれらの同等物。
【0050】
これらの1又はそれ以上の公知のこれらの治療薬の式(I)の化合物との併用は、付加的な、補完的な、時には、公知の治療薬の好ましい特質を増強する相乗的な効果を提供する。
【0051】
式(I)の化合物は、単独で、又は、前述の公知の治療薬の1つのと併用で、さらに、光線療法のような、理学的処置との併用で投与することができる(米国特許第5,447,527、及び5,562,719、両者ともに、参照により本明細書に取り込まれている。)
【0052】
別の態様では、式(I)の化合物は、抗糖尿病薬と併用で投与することができる;抗糖尿病とは、インシュリン、スルフォニルウレア類、ビグアニド(メトフォミン等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカボース等)、ピオグリタゾン及びロシグリタゾンを含むチアゾリジンヂオンのようなペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPARγ)アゴニスト; HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチンフルバスタチン、アトロバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、及び他のスタチン類)のようなコレステロール低下剤;セキエストラント(sequestrants)コレスチラミン、;コレスチポル(colestipol);架橋したデキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、KRP−297のようなPPARα/γアゴニスト、フェンフェラミン、デキフェンフェラミン、フェンチラミン、スブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY5阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、ジペプチジルペプチド−4−阻害剤及びPTP−1B阻害剤のような、抗肥満薬である。
【0053】
式(I)の化合物が、抗糖尿病薬、又は、睡眠障害剤又は概日リズム障害を治療する薬剤のような別の治療薬との併用で投与されるときは、式(I)の化合物と前記公知の治療薬は、前記化合物が単独で投与された時に有効であった用量の100分の1〜1倍の範囲の一日あたりの用量で独立して投与することができる。
【0054】
式(I)の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下注射、又は埋め込み)鼻腔内、膣内、直腸内、舌下、又は局所投与経路に適した薬学的組成物に製剤化することができる。その組成物は、1又はそれ以上の薬学的に許容できる希釈剤、保存剤、乳化剤、アジュバント、賦形剤、及び/又はキャリアを含むことができる。
【0055】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、顆粒剤を含む。このような固体剤形においては、活性化合物は、蔗糖、乳糖、又は澱粉のような、不活性な薬学的に許容できる少なくとも1のキャリアと混合され得る。このような剤形は、通常の慣行により、不活性な希釈剤の他に、追加的な物質を含むことができる、例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑剤である。錠剤、カプセル剤、等のような物の中に取り込むことのできるアジュバントの例は、以下である:すなわち、トラガント・ゴム、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチンのような結合剤;微細結晶セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、α型澱粉、アルギン酸及びその同等物のような滑剤;蔗糖、乳糖、サッカリンのような甘味剤;ペパーミント、冬緑樹のオイル、又はサクランボのような香料である。カプセル剤、錠剤、丸剤の場合は、剤形は、緩衝剤を含むことができる。単位剤形がカプセルの場合は、上記のタイプの材料に加えて、脂肪酸オイルのような液体キャリアを含むことができる。被覆又は単位用量の他の物理的な形変更するには、他の種々な材料を存在させることができる。錠剤と丸剤は、腸溶性被覆で付加的に調製することができ、丸剤は、シェラック(shellac)、砂糖又はそれらの両者で被覆することができる。
【0056】
経口投与用の液状剤形は、薬学的に許容できる乳剤、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル剤を含むが、それに水のような当技術分野で通常に用いられている不活性な希釈剤を含んでいる。このような不活性な希釈剤に加えて、組成物は、また、湿潤剤のようなアジュバント、乳化剤と懸濁剤、甘味剤、調味料と香料を含むことができる。シロップ又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤として蔗糖、保存剤としてメチル及びプロピルパラベン類、チェリ又はオレンジ香のような香料を含むことができる。
【0057】
非経口投与用の本発明の製剤は、滅菌水、非水溶媒、懸濁液、又は乳剤を含む。注射用の滅菌組成物は、通常の薬学的実施手法により、活性物質を溶解し、又は注射用水等、ヴィークル中の活性物質を、胡麻油、ココナッツ油、ピーナツ油、綿実油等の天然で得られる植物油、又は、エチルオレート又はそれと同等物等の合成脂肪ヴィークル中で、懸濁により製剤することができる。緩衝剤、保存剤、抗酸化剤及びそれと同等物は、必要に応じて、取り込むことができる。非水溶媒又はヴィークルの例は、プロピレングリコール、オリーブ油、コーン油等の植物油、ゼラチン、及びエチルオレートのような注射可能な有機エステルを挙げることができる。このような投与剤形は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤のようなアジュバントを含むことができる。それらは、細菌が残るフィルタを通す濾過により、殺菌剤を組成物中に入れることにより、組成物の照射により、又は組成物の加熱により滅菌することができる。それらは、使用直前に滅菌水、又はある種の他の滅菌した注射用メディウムに溶解することができる固体滅菌組成物の形に製造することができる。
【0058】
直腸用、膣内用投与組成物は、活性物質の他に、ココアバタ又は座薬用ワックス、のような賦形剤を含めた座薬が好ましい。鼻腔用又は舌下用組成物は、公知の技術により標準的な賦形剤を用いてまた、調製することができる。
【0059】
治療量が投与されるとすれば、本発明の組成物中の活性薬剤の用量は変動することができる。望ましくは活性薬剤が、至適な薬学的効果をもたらすであろう用量でこのような措置を必要とされる患者(ヒト又は動物)に投与される。選択された用量は、治療すべき疾病又は障害の本来の性質、重篤度、期待した治療効果。投与経路、及び治療期間に依存している。投与用量は、患者の体重、及び他の要因に従って、変動し得る。例えば、中枢の概日ペースメーカに位相シフトをもたらす式(I)の化合物の効果は、投与された環境と概日時間の両方に依存している。同一化合物が、位相前進と位相遅延をもたらし得る、つまり、同一化合物が、投与の概日時間に依存した特定の概日リズムに対する軽い効果をもっている。用量は、疾病の本来の性質、重篤度、患者の体重、患者により続けられる特定の食事、医薬品の共通性、投与化合物のバイオアベイラビリティ、及び当業者が理解するような他の要因により、患者毎に変動するであろう。
【0060】
本発明による症状の治療において、適切な一日あたりの投与量は、患者の体重1kg当たり、約2.5μg〜25mgである。毎日の投与量は、一日につき、単回投与で、又は複数回投与で投与することができる。 好ましくは、投与量は、約2.5μg〜約20mg/kg(患者体重)であり、より好ましくは、約2.5μg〜約10mg/kg(患者体重)であろう。例えば、概日リズム位相シフト効果を達成、内部の概日時計のレセット、概日リズムの切り替え時間の短縮、概日リズム障害の緩和、又は、睡眠の質向上のためには、適切な投与量が、患者体重1kg当たり約2.5μg〜25mgであり、好ましくは患者体重1kg当たり約2.5μが20mgであり、特別には、患者体重1kg当たり約2.5μg〜10mgである。大型のほ乳類では、例えば、ヒトでは、経口投与の典型的な1日当たりの表示投与量は、約0.2〜約1000mgである。好ましくは、1日あたりの経口投与量は、約0.5〜約50mgの範囲内であり、より好ましくは約2.5〜約20mgの範囲内である。注射剤又は局所的な製剤を用いるといは、好ましい用量は、患者体重1kgあたり約2.5μg〜約5mgであり、特別には、患者体重1kgあたり約2.5μg〜1mgである。大型ほ乳類、例えば、ヒトでは、典型的な表示用量は、約100μg〜100mg(静脈内投与)である。化合物は、一日あたり1回〜数回の投薬計画で投与され得る、例えば、一日あたり1〜4回、好ましくは一日あたり1回又は2回である。
【0061】
本発明の製剤は、即時放出の形をとることができ、さもなければ、経口投与用の固体製剤のような製剤は、持続放出の形をとることができる。持続放出製剤は、遅延−、維持−、抑制放出製剤を含んでいる。本発明の目的に有用な、適切な持続放出製剤は、米国特許第6,106,864号、及び7,053,122号に記載された製剤のタイプを含み、それらは、参照により本明細書に取り込まれている。高エネルギ分散、及び浸透圧、及び被覆粒子等の他の適切な放出技術の詳細は、ヴァーマ(Verma)ら(2001)による、薬学技術オンライン(Pharmaceutical Technology On−line)25(2)、1〜14で確認されることができ、参照により本明細書に組み込まれている。
【0062】
持続放出製剤が、化合物を放出する期間(時間)は、指示と標的の治療レベルにより変動する。不眠症に対しては、例えば、投与された化合物の薬学的効果は、夜間に限定することが望ましく、例えば、約8時間である。抗糖尿病薬治療に対しては、化合物が継続的に効果をもつことが望ましく、例えば、朝と夕方の一日2回の製剤投与による12時間の有効性である。
【0063】
本発明は、以下に続く実施例により説明されるであろう。以下の実施例は、説明されるためにのみにであって、本発明の範囲を多少なりとも限定するものでないと理解されるべきである。
実施例 1
N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンンアミド(N−[2−(5−methoxy−indol−3−yl)−ethyl]−commenamide)
【化5】

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンナミドの合成のための反応スキーム
【化6】

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンナミドの合成の一般的な方法
【0064】
アルゴン雰囲気下で、コメン酸100mlの3つ首丸底フラスコにメコン酸(560mg、1当量)と5−メトキシトリプタミン(750mg、1.1当量)を充填し、DMF(20ml)に溶解し、そして、氷浴により0℃にまで至らせた。HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール モノハイドレート、535mg、1.1当量)、EDC(1−(3―ジメチルアミノプロピル)―3―エチルカルボジイミド塩酸塩)、760mg、1.1当量)及びトリエチルアミン(1.25ml、2.5当量)が次いで、磁気攪拌棒で攪拌しつつ加えた。混合液は、さらに15分間0℃で攪拌し、引き続き、室温で48時間、反応させた。水(25ml)を次いで、加え、そして、混液はジクロロメタンで(6x30ml)で完全に抽出した。併せた有機相は、NaSOで乾燥させ、そして、溶媒はロータリエバポレータで除去した。粗組成物は、シリカゲルクロマトグラフにかけ、ジクロロメタン/メタノール95/5で溶出した。生産物は、濃い油(thick oil)として得た。それは、ジエチルエーテルで3回揮散させ、褐色の固体(180mg、収量15%)を得た。

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミド、の実験成績:
MS (ESI POS): 329 (M + H), 351 (M + Na), 392 (M + Na + CHCN)
HPLCassay: 97%
H NMR (CDC14OO MHz) δ 3.06 (t, j = 6.7 Hz, 2H, CHCHNH), 3.76−3.79 (m, 2H, CH25CHNH), 3.84 (s, 3H OCH), 6.32 (br s, IH,OH),6.76 (br s, 1Η, CHCHNH), 6.9 (dd, J = 2.3 Hz, J= 8.8 Hz, IH aromatic H), 7.04 (d, J= 2.3 Hz, IH, aromatic H), 7.06 (d, J = 2.3 Hz, IH, aromatic H), 7.27 (s, IH, CH), 7.29(d, J = 8.8 Hz, IH, aromatic H), 7.73 (s, IH, CH),7.96 (br s, 1Η, NH).

実施例 2
O−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメン酸エステル(O−[2−(5−methoxy−indole−3−yl)−ethyl]−comenic ester)
【化7】


O−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメン酸エステルの合成のための反応スキーム

【化8】

【0065】
アルゴン雰囲気下で、100mlの3つ首丸底フラスコにコメン酸(300mg、1当量)と5−メトキシトリプトフォール(365mg、1当量)をCHCl/DMF(各々、10/5ml)に溶解した。DDC(ジシクロヘキシルカルボジイミド、435gm、1.1当量)及びDMAP(4−ジメチルアミノピリン、45mg、0.2当量)ガ、磁気棒デ攪拌しつつ加えられた。混液を室温で16時間攪拌後、形成した白色沈殿はブッヘナ漏斗により濾過して捨てた。透明な濾液から、溶媒を回転蒸発により除いた。粗物質は、シリカゲルクロマトグラフにかけ、ジクロロメタン/メタノール(97/3)に続いて、250mlのCHClで溶出した。生産物を含む画分は合わせて、濃縮し、その結果得られた固体は、シクロヘキサン/酢酸エチルで再結晶をした。精製された、O−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメン酸エステルは、淡黄色固体として得た(250mg、収率40%)。

O−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメン酸エステルの実験成績:
MS (ESI POS): 330 (M + H), 352 (M + Na), 393 (M + Na +CHCN)
HPLC assay: 97 %
H NMR (CDCl 400 MHz) δ 3.18−3.22 (m, 2H,CHCHO), 3.87 (s, 3H OCH), 4.60−4.64 (m,2Η, CHCHO), 6.40 (br s, 1Η, OH), 6.88 (dd, J = 2.2 Hz, J= 8.8 Hz, IH, aromatic H), 7.06−7.08 (m, 2H, aromatic H + CH),
7.22 (s, IH, aromatic H), 7.25−7.28 (m, IH, aromatic H), 7.96−8.0 (s + br s,2 H,NH+ CH).

実施例3

N−[2−5−メトキシ−インドール−3−イル]−エチル]−ケリドンアミド(N−[2−5 −methoxy−indol−3−yl)−ethyl]−chelidonamide):
【化9】


N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−ケリドンアミドの合成反応スキーム
【化10】


i)DMF、HOBt1.1当量、EDC1.1当量、NEt2.5当量、室温、24
N−[2−5−メトキシ−インドール−3−イル]−エチル]−ケリドンアミドの合成の一般的方法
【0066】
100mlの4つ首丸底フラスコをアルゴン雰囲気下で、5−メチルトリプタミン(350mg、1.1当量)がDMF10mlmlに溶解された。磁気攪拌棒で攪拌しながら、ケリドン酸(310mg、1.1当量)は、加えられた。得られた溶液は、氷浴で0℃にまで冷やした。HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾールモノハイドレート)、EDC(1−(3―ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、350mg、1.1当量)とトリエチルアミン(0.6ml、2.5当量)が、磁気攪拌棒で攪拌しつつ、加えられた。混液は、付け加えて0℃で15分間攪拌を維持し、続いて室温で48時間反応させた。反応が経過した後は、HPLC−MSに付した。沈殿物は、濾過により除去した。水(100ml)は、濾液に加えられ、そして、混液はジクロロメタン(3x50ml)で抽出した。合わせた有機相は、NaSOで乾燥させ、溶媒は、回転蒸発により除去した。粗物質は、シリカゲルカラムによりクロマトグラフに付し、ジクロロメタン/エタノール8/2で溶出開始した。副産物を溶出させた後、溶出液の極性は、上昇した(ジクロロメタン/エタノール1/1)、そして、生産物は、青みがかった黄色の固体として回収した(70mg、収率11%)。

N−[2−5−メトキシ−インドール−3−イル]−エチル]−ケリドンアミドの実験成績:
MS (ESI POS): 357 (M + H), 374 (M + Na), 398398 (M + H + CHCN)
HPLC assay:97%
H NMR (DMSOd 400MHz) δ 2.91(t, J = 7.5 Hz 2H, CHCHNH),3.50−3.55 (m, 2H, CHCHNH), 3.76 (s, 3H, OCH), 6.64−6.71 (m, 3Η),7.07 (d, J = 2.6 Hz, IH), 7.13 (d, J = 2.1 Hz, IH), 7.20 (d, J = 8.8 Hz, IH),8.29(s, IH, NH), 8.92 (br t, J = 5.8 Hz,IH,CHCHNH),10.62 (br s, 1Η,COOH).

実施例 4
N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミド(N−[2−(5−methoxy−indol−3−yl)−ethyl]−coumalylamide):
【化11】


N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドの合成の一般的方法

【化12】

【0067】
アルゴン雰囲気下で、100mlの3つ首丸底フラスコにクマリン酸(600mg、1当量)と5−メトキシトリプタミン(900mg、1.1当量)を充填し、DMF(25ml)に溶解し、氷浴にて0℃にした。HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール モノハイドレート、640mg、1.1当量)、EDC(1−(3―ジメチルアミノプロピル)―3―エチルカルボジイミド塩酸塩、900mg、1.1当量)とトリエチルアミン(1.5ml、2.5当量)を、次いで、磁気攪拌棒で攪拌しつつ加えた。混液は、追加して0℃で15分間攪拌し、続いて、室温で48時間反応させた。反応が経過した後、HPLC−MSに付した。次いで、水(40ml)を加え、混液は、ジクロロメタン(6x30ml)で完全に抽出した。合わせた有機相は、NaSOで乾燥させ、溶媒は、回転蒸発により除去した。粗物質は、シリカゲルカラムによりクロマトグラフに付し、ジクロロメタン/メタノール95/5で溶出し、生産物は、回収された(130mg、収率9.5%)。

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドの試験成績:
MS (ESI POS): 313 (M + H), 335 (M + Na), 376 (M + Na + CHCN)
HPLCassay: 95%
H NMR (CDCl, 400MHz) δ 3.09 (t, J = 6.1Hz, 2H, CHCHNH), 3.70−3.74 (m, 2H, CHCHNH), 3.87 (s, 3H, OCHJ, 5.58 (d, J = 8.8 Hz,IH, CH;, 6.88−7.04 (m, 5Η, 4 aromatic H + 1 CH;, 7.29 (d, J = 8.8 Hz, IH, CH;, 8.03 (br s, 1Η, NH), 9.65 (br s, IH,CHCHNH).

実施例 5
N−[2−(2−ブロモ−5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミド(N−[2−(2−bromo−5−methoxy−indol−3−yl)−ethyl]−coumalylamide):
【化13】

N−[2−(2−ブロモ−5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドの合成のための反応スキーム

【化14】

a)無水フタール酸、TEA、トルエン、還流、一晩、 b)ピリジニウムトリブロ マイド、THF/クロロホルム、−10℃、30分、 c)メチルアミン、EtOH、 室温、3時間、 d)クマリン酸、NMM、TBTU、DMF、室温、5時間

a.5−メトキシトリプタミンと無水フタール酸が、トルエン中デ16時間還流シタ。減圧下で反応濃度は、更なる精製をすることなく、次の段階で用いる粗生産物を得た。
b.粗フタロイルトリプタミンは、THF:CHCl(1:1)に溶解し、得られた溶液は、−10℃に冷却し、次いで、ピリジウムブロマイドパーブロマイドで処理した。反応は、TLCでチェックし、室温まで暖め;CHClを加えた。溶液は、飽和Na水で洗浄し、水相は、CHClで抽出した。合わせた有機相は、(MgSO)で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、そして粗生産物は、更なる精製をすることなく、次のステップで用いた。
c.フタールイミド基は、室温でエタノール中で水性メチルアミン処理により除去した。
d.N−メチルモルフィンが、ジメチルフォルムアミド中に溶かしたクマリン酸溶液に加え、続いて、窒素ガス雰囲気下で、2−(lH−ベンゾトリアゾール−l−イル)−l,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)処理した。反応混液を室温で20分間攪拌後、5−メチルトリプタミンをゆっくり加え、混液は、5時間攪拌した。反応混液からのDMFは、高度の真空下で除去した。固体生産物は、CHClに溶解し、得られた有機画分は、0.2NのHCl、0.2NNaHCO及び水で洗浄し、次いで、(MgSO4)で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。その結果得られた生産物は、クロマトグラフィで精製した。

N−[2−(2−ブロモ−5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドの試験成績:
H NMR (CDCl, 300 MHz) δ 10.00 (s, IH, NH), 8.00 (s, IH, Aromatic COOCH), 7.06 (t,IH, J=9 Hz, CONH), 6.78−6.67 (m, 4H, Aromatic H),5.41 (d, IH, J=9.6 Hz, Aromatic COCH), 3.67 (s, 3H, OCH), 3.52 (q, 2H,J=6.24 Hz), 2.87 (t, 2H, j=6.3 Hz)

実施例 6
N−[2−(5−エトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド(N−[2−(5−methoxy−indol−3 −yl)−ethyl]−comanilamide):
【化15】


N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミドの合成の反応スキーム
【化16】


iDMF,HOBt1.1当量、EDC1.1当量、NEt2.5当量、室温、6時間

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマニルアミドの合成の通常の方法
【0068】
アルゴン雰囲気下で、100mlの3つ首丸底フラスコにコメン酸(500mg、当量)と5−メトキシトリプタミン(760mg、1.1当量)を充填し、DMF(25ml)に溶解し、氷浴で0℃に冷やした。HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール モノハイドレート、530mg、1.1当量)、EDC(1−(3―ジメチルアミノプロピル)―3―エチルカルボジイミド塩酸塩、750mg、1.1当量)とトリエチルアミン(1.25ml、2.5当量)を、次いで、磁気攪拌棒で攪拌しつつ加えた。混液は、追加して0℃で15分間攪拌し、続いて、室温で6時間反応させた。反応が経過した後は、HPLC−MSに付した。次いで、水(50ml)を加え、混液は、ジクロロメタン(3x50ml)で抽出した。合わせた有機相は、NaSOで乾燥させ、溶媒は、回転蒸発により除去した。粗物質は、シリカゲルカラムによりクロマトグラフに付し、ジクロロメタン/メタノール95/5で溶出した。生産物は、明るい黄色固体として回収した(235mg、収率21%)。

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド(comanilamide)の試験成績:
MS (ESI POS): 313 (M + H), 330 (M + HO),335 (M + Na), 376 (M + Na + CHCN)
HPLC assay: 98%
MS (ESI POS): 313 (M + H),330 (M + HO), H NMR (DMSOd,400MHz) δ 2.88−2.92 (m, 2H, CHCHNH), 3.48−3.53(m, 2H, CH2CHNH), 3.75 (s, 3H, OCH), 6.42 (dd, J= 2.3 Hz,J= 5.9 Hz, IH, CH=CH), 6.71 (dd, J= 2.1Hz, J = 8.8 Hz, IH, aromatic H), 6.78(d,J = 2.3 Hz, IH, aromatic H), 7.04 (d, J = 2.3 Hz, IH, CH), 7.13 (d, J =2.1 Hz, IH, aromatic H), 7.22 (d, J = 8.8 Hz, IH,aromatic H), 8.21 (d, J =5.9 Hz, IH, CH=CH−CO), 9.04 (br t, J = 5.8 Hz, IH, CHCHNH), 10.65 (brs,IH NH).

実施例7
N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミド(N−[2−(5−methoxy−indol−3−yl)−ethyl]−2−methoxy−commenamide):
【化17】


N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミドの合成の反応スキーム
【化18】

i ) CH1 2.2当量、CHONa 1.1当量、CHOH, 室温、72 時間、
ii ) MnO 16当量、CHOH、還流, 1.5時間; AgO 1当量、 HO、NaOH 1N、 室温、1時間、
iii) HOBt 1.1当量、EDC 1.1当量、NEt .5、室温、16時間、

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメnアミドの合成の通常の方法
i. 250mlの4つ首丸底フラスコにアルゴン雰囲気下で、3.2gのコウジ酸(1当量)が80mlのメタノールに溶解された。メタノール溶液(4.6ml、1.1当量;Fluka、5.4M)中で、ナトリウムメトキシドが、磁気攪拌棒で一部を攪拌しつつ加えた。15分後、10mlのCHOH中にヨウ化メチル2.95ml(1.1当量)の溶液が、そこに滴下により加えられ、得られた溶液は室温で反応させた。反応の後、TLC(溶出液として、ジクロロメタン/メタノール9/1)に付した。7時間後、変換率は、薬50%であった、それゆえ、別の1.1当量のCHI(10mlのCHOH中に2.95ml)を加えた。反応混液は、次いで室温で攪拌しつつさらに65時間反応させ、その後、水(400ml)を加えた。その溶液は、残りの容積が約25〜30mlまで濃縮し、4℃で14時間放置した。得られた沈殿物は、濾過で集め、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下50℃で乾燥した。2−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−4−ピランが、黄色結晶の固体として回収された(2.2g、収率63%)。
ii. 250mlの丸底フラスコに、2−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−4−ピラン(2.2g、1当量)が85mlのメタノールンかに溶解し、19.6gの活性二酸化マンガンを加えた(16当量)。反応液は、1.5時間環流下で加熱し、次いで、室温に冷却した。不溶性部分は、濾過により除き、残っている濾液は、約当初容積の約3分の1に濃縮した。これに、30mlの水、10mlの1NNaOH及び酸化銀(1当量)が加えられた。得られた溶液は、室温で1時間反応させ、次いで、セライトパッドで濾過して、塩を除いた。濾液は、そこからメタノールを除くため減圧濃縮し、次いで、ジクロロメタンで洗浄した。つづいて、HCl2N(12ml)が水溶液相に加え、形成した沈殿物を、濾過により集め、ジエチルエーテルで洗浄し、50℃で真空下で乾燥した。5−メトキシ−4−オキソ−4H−ピラン−カルボン酸ガ白色固体として得られた(1.2g、50%収率)。
iii. アルゴン雰囲気下で、100mlの3つ首丸底フラスコに、5−メトキシ−4−オキソ−4H−ピラン−カルボン酸(340mg、1当量)と5−メトキシトリプタミン塩酸塩(500mg、1.1当量)を充填し、DMF(15ml)に溶解し、氷浴で0℃にした。HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール モノハイドレート、300mg、1.1当量)、EDC(1−(3―ジメチルアミノプロピル)―3―エチルカルボジイミド塩酸塩、425mg、1.1当量)とトリエチルアミン(0.98ml、3.5当量)が磁気棒で攪拌しつつ加えられた。混液は、さらに15分間0℃で攪拌し、続いて、16時間室温で反応に付した。反応が経過した後、HPLC−MSに付した。水(25ml)が次いで加えられ、混液は、ジクロロメタン(2x30ml)で抽出した。しばらくすると、併せた有機層中に懸濁液が現れた。そのようにして形成された固体は、濾過により集められ、ジクロロメタンで洗浄し、50℃で乾燥した。生成物は、白色結晶として回収した(210mg)。濾液から、ロータリーエバポレータにより溶媒を除去した。得られた固体残渣は、ジクロロメタン/石油エーテルで粉末にし、室温で24時間放置した。混液は、濾過して、さらに、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミド(70mg、収率42%)を得た。

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミドの試験成績:

MS (ESI POS): 343 (M + H), 365 (M + Na), 406 (M + Na + CHCN)
HPLC assay: 98 %
H NMR (DMSOd, 400MHz) δ 2.87−2.91 (m, 2H, CHCHNH), 3.47−3.52 (m, 2H, CHCHNH),3.70 (s, 3H, OCH), 3.74 (s, 3H, OCH), 6.70 (dd,J= 2.2 Hz, J= 8.8 Hz, IH, aromatic H), 6.83 (s, IH, CH), 7.03 (d, J = 2.8 Hz, IH, aromatic H), 7.12 (d, J = 2.2 Hz, IH, aromatic H), 7.21 (d, J = 8.8 Hz,IH, aromatic H), 8.12 (s, IH, CH), 9.02 (br t, J = 5.7 Hz, IH, CHCH2NH), 10.64 (br s, IH NH).

実施例 8
N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]− 2−ピロン−6−カルボキシアミド(N−[2−(5−methoxv−indol−3−yl)−ethyl]− 2−Pyrone−6−carboxamid):

【化19】

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]− 2−ピロン−6−カルボキシアミドの合成の反応スキーム

【化20】

i) KOEt0.998当量、トルエン、室温、18時間、HO/HCl 37 %、室温、30分
ii) HCl37%、100℃、6時間
iii) DME、HOBt 1.1当量、EDC1.1当量、Py2.2当量、NEt1.4当量、室温、3

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−ピロン−6−カルボキシアミド合成の一般的な方法
【0069】
工程1&2:
100mlの4つ首丸底フラスコをアルゴン雰囲気下で、5.0gのシュウ酸ジエチル(1当量)を35mlの乾燥トルエンに溶解された。カリウムエトキシド(2.9g、0.998当量)が、一部で磁気攪拌棒で攪拌しつつ加えられた。当初温度は40℃に達しており、投与懸濁液は、ゆっくりと、オレンジ色の溶液に変わった。2時間後、その溶液は、氷浴で0℃に冷やし、クロトン酸エチルエステル(4.3ml、1当量)が10秒間の滴下により加えられた。その添加収量から15分後、2,4−ヘキサジエン−5−ヒドロキシ−1,6−ジオエイトの黄色沈殿の形成がみられた。その懸濁液は、室温で一晩反応させた。つづいて、反応混液は、濾過されて、得られた黄色沈殿は、シクロヘキサンとジエチルエーテルで洗浄し、真空下、50℃で乾燥し、4.9gの黄色固体を得た。後者は、次いで、70mlの水に溶解し、5mlの37%HClで乾燥した。2〜3分後、黄色沈殿を形成した。懸濁液は、室温でさらに、30分間攪拌し、次いで、4℃で一晩保存した。中間体、ジエチル2,4−ヘキサヂエン−5−ヒドロキシ−1,6ジオエイトガ濾過により集められ、水で洗浄した。
【0070】
このようにして得られた粗エステルは、6mlの濃塩酸で100℃に加熱した。温度が60℃に達したとき、当初懸濁液が溶液に変わった。1時間後、黄色固体が形成され始めた。6時間後、その懸濁液は、冷却し、ピロン酸が濾過された。濾液の容積は、蒸発により減少させた;残りの母液は、冷却し、ジエチルエーテルが追加した量の酸を沈殿させるために加えた。次いで、その沈殿物は、濾過により回収した。
【0071】
2−ピロン−6−カルボン酸が、全体として青みがかった黄色固体として得られた(1.5g、収率31%)。
【0072】
工程3:
100mlの3つ首丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下、5−メトキシトリプタミン塩酸塩(430mg、1.1当量)が、1,2−ジメトキシエタン(DME、15ml)中に懸濁された。ピリジンが加えられ(0.34ml、1.1当量)、その懸濁液は、室温で30分間攪拌された。2−ピロン−6−カルボン酸(250mg、1当量)が加えられ、次いで、氷浴を用いて、内部温度が0℃になるまで氷浴を用いて冷やした。HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール モノハイドレート、260mg、1.1当量)、EDC(1−(3―ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、370mg、1.1当量)とトリエチルアミン(0.34ml、1.4当量)が、磁気棒で攪拌しつつ加えられた。混液は、さらに15分間0℃で攪拌し、続いて、3時間室温で反応に付した。反応が経過した後、HPLC−MSに付した。得られた溶液は、真空下で濃縮し、粗残渣は、カラムクロマトグラフィで精製し、ジクロロメタン/メタノール98/2で溶出した。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−ピロン−6−カルボキシアミドは、黄色固体として回収した(400mg、収率72%)。

N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−ピロン−6−カルボキサミドの試験成績:
MS (ESI POS): 313 (M + H), 330 (M + HO),376 (M +Na + CHCN)
HPLC assay: 97 %
H NMR (DMSOd, 400MHz) δ 2.87−2.91 (m, 2H, CHCH7NH), 3.47−3.52
(m, 2H, CHCHNH), 3.75 (s, 3H, OCH), 6.55 (d, J = 9.4 Hz, 1 H, CH), 6.70 (dd,J=2.9 Hz, J2 = 8.8 Hz, IH, aromatic H), 7.02 (br d, J = 6.6 Hz, IH, CH),7.06 (d, J= 2.1 Hz, IH, aromatic H), 7.13 (d, J = 2.2 Hz, IH, aromatic H),7.22 (d, J = 8.8Hz, IH, aromatic H), 7.67 (dd, J = 6.6 Hz, J = 9.4 Hz, IH,CH), 8.87(br t, J = 5.8 Hz, IH, CHCHTVHJ, 10.65 (br s, IH, NH).

本発明の化合物の生物学的試験
試験例 1
マウスにおけるへキソバルビタールナトリウム塩の睡眠時間の効力
【0073】
CD1マウスを1群7匹のマウスにランダムに群分けした。その各群のマウスは、腹腔内に以下の中の1つを投与した:すなわち、100mg/kgの試験物質、0−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメン酸エステル、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマイルアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−ケリドンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマニルアミド、又は、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミド、を生理食塩水中(0.1ml/10g体重)、又は生理食塩水。15分後、マウスは、50mg/kgのへキソバルビタールナトリウム塩の静脈内投与を受けた。各動物の睡眠時間は、光照射の回復の消失時間から測定した。
【0074】
表1に示すように、100mg/kg、腹腔内投与の、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメン酸エステル、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミド、及び、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドは、有意にヘキソバルビタールナトリウム塩の麻酔時間を増加した。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−ケリドンアミド、及び、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミドは、中程度にヘキソバルビタールナトリウム塩の麻酔時間を増加した。その結果は、GABAa正のアロステリック結合の作用機作を介してそれらの化合物の催眠効力を示している。

表1:マウスにおけるヘキソバルビタールナトリウムで誘導された睡眠時間の被験化合物100mg/kgの効果



試験例 2
CHO−K1細胞の膜における125I−メラトニン結合:
【0075】
ヒトメラトニン−1、又は、メラトニン−2(MT−1、MT−2)受容体、又はハムスター脳(MT−3)を安定的に発現しているヒト組換えCHO−K1細胞の懸濁した膜の一定量を、25℃でインキュべーションした。それには、MT-1又はMT-2又はMT-3(0.1nM)又は緩衝液(25mMHEPES、pH7.4、5mMMgCl2、1mMCaCl2,0.5%BSA)中に、以下の被験物質の1nM、10nM、0.1μM、1μM、及び10μMの被験物質を同緩衝液中に含んでおり;被験物質は、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−ケリドンアミド、0−[2−(5−メトキシ− インドール−3−イル)−エチル]− コメン酸エステル、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−ピロン−6−カルボキサアミド、及び、N−[2−(2−ブロモ−5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドを用い、MT−1では4時間、MT−2では4時間、MT−3では30分間インキュベーションした。結合試験が終了した後、膜は、4mlの氷冷したHEPES緩衝液で洗浄し、真空濾過した。膜を集めて、125I−メラトニン結合物を含むフィルタが、ε−カウンタで放射活性量を測定した。非特異的結合は、1μM6−クロロメラトニン(MT−1又はMT-2)又は30μMメラトニン(MT-3)を用いた反応で測定した。
【0076】
表2及び表3に示す結果は、特異的にMT−1、MT−2又はMT−3受容体に対する特異的な125I−メラトニン結合に対する前記化合物の競合を示している。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミドの両者は、3つのメラトニン受容体サブタイプに高い親和性で結合することを示した。一方、残りの化合物は、メラトニン受容体に少なくとも中程度の親和性で結合を示した。

表2: MT−1又はMT−2受容体への結合に対する被験化合物の効果


表3: MT−3受容体への結合に対する被験化合物の効果


試験例 3:
CHO−K1細胞の膜におけるセロトニン受容体サブタイプの結合:
【0077】
ヒト5−HT1 A、5−HT2A、5−HT1B、5−HT2B、5−HT2C、5−HT、5−HT又は5−HT受容体を安定的に発現しているヒト組換えCHO−K1細胞の懸濁した膜の一定量が、25℃で、1.5nM[H]8−OH−DPAT(5−HT1A)、 1.5nM[H]ケタンセリン(5−HT2A)、0.01nM[125I]シアノピンドロール(5−HT1B)、1nM [H]メスレルジン(5−HT2C)、0.7nM[H]GR−113808(5−HT)又は、37℃で1.2nM[H]LSD(5−HT2B5−HT及び5−HT)、で、プレインキュべーションした後、更に、緩衝液(5OmM Tris−HCl、pH 7.7)単独又は1nM、10nM、0.1μM、1μM及び10μMのN−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミド、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−ケリドンアミドでインキュべーションした。結合反応が終了した後、4mlの氷冷した50mMTris緩衝液で真空濾過により洗浄した。非特異的結合は、10μMメテルゴリン(5−HT1A)、1μMミアンセリン(5−HT2A及び5−HT2C)、又は、10μmセロトニン5−HT1B、5HT2B、5−HT、及び、5−HT)での反応を用いて評価した。
【0078】
表4に示した結果は、特異的な5−HT受容体に対する化合物の競合を示している。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドは、5−HT1B、5HT2B、及び、5−HT受容体に対し中程度な親和性で結合した。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドは、5HT1B、及び、5−HT受容体に対し中程度の親和性での結合を示した。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマリルアミドは、5HT1B受容体に対し中程度の親和性での結合を示した。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−2−メトキシ−コメンアミドは、5HT2B、及び、5−HT受容体に対し中程度の親和性での結合を示した。N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−ケリドンアミドは、5HT1A、及び、5−HT1B受容体に対し中程度の親和性での結合を示した(Crabbe等、Psychopharmacology、161;408−416、2002)。
表4: 5−HT受容体に対する被験化合物の効果

【0079】
催眠性化合物は、自発運動の落ち込み、立ち上がりの減少、低体温、及び、マウスのロータロッドで測定された運動失調を引き起こした。

モチメータ(Motimeter)試験
【0080】
処置試験前16時間からマウスは、絶食させた。オスCD1マウス、体重25〜30gのオスマウスが、腹腔内に、100mg/kgの量の、メラトニン、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、および、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドを投与した。水平方向の運動(例えば、移動)及び垂直方向の運動(例えば、立ち上がり)が、処置後30分と60分後の2度、5分間測定された。1群8匹のマウスを用いた。4チャンネル活性測定器は、透明な赤外線が通るアクリル製ケージを含む正方形のフレームである。そのフレームは、水平方向の運動を測定する2組の光線片と、立ち上がり運動を測定する2組の光線を特徴としている。各片は、16の赤外線センサーを備えている。
【0081】
モチメータ(motimeter)試験では、メラトニン、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、および、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドの腹腔内100mg/kgの投与では、測定した処置後30〜35分、60〜65分の間では、運動活性と立ち上がり活性に有意な変化はみられなかった(表5)。
【0082】
100mg/kgのN−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドの腹腔腸内投与は、運動活性と立ち上がり活性の両方とも、上述した2度の間隔で有意に減少した。これらの結果は、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドの睡眠効果と鎮静効果を示している。

ロータロッド試験
【0083】
動物がロータロッドで120分以上走り続けている事象に注目した。有意差は、ノンパラメトリックχ検定で計算した。
【0084】
ロータロッド装置は、5つのテスト区域に分かれているので、5匹のマウスを同時に試験できる。ロッドは、特に、その動物に適した握り(grip)を提供するように機械加工されている。ロッドの径は、3.5cmである。回転速度は、15rpmである。その動物がロータロッドから落下したときに、そのロッドに対して使った時間を自動的に記録するボタンが押される。試験日の前日、マウスは、ロッドを回転して走ることを15分間訓練した。ジアゼパムをロータロッドのテスト60分前に経口投与し、被験物質は、テストを行う15分前に腹腔内投与した。
【0085】
ロータロッド試験において、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、及び、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドは、ベンゾジアゼピン系睡眠剤ジアゼパムと一緒に投与した(表6)。
【0086】
ジアゼパム1.5mg/kgの経口投与は、3種の適用した用量において、両化合物のローターロッド行為の損傷効果を有意に高めた。これらの結果は、ベンゾジアゼピン系睡眠剤ジアゼパムと一緒に投与したN−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、及び、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドの相乗的な睡眠効果を示している。

表5: メラトニンとN−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−クマリルアミドのマウス運動活動に対する効果(水平運動)


表6: マウでのスロータロッド試験におけるN−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コマニルアミド、及び、N−[2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−エチル]−コメンアミドのジアゼパムとの相互作用の効果

試験例 5
【0087】
脂肪細胞は、FFAを含まない2%BSAを含むへペス塩緩衝液中で1時間
グルコース枯渇状態とした。FFA(遊離脂肪酸)は、所与の濃度(300μM)で、所与の時間(3時間)、FFA処理の終了10分前に細胞に添加され、その細胞は、インシュリン(20nM)/メラトニン(10nM)/被験化合物(10nM)により、を37℃で刺激された。KRP−HEPES緩衝液中で、2−[H]−デオキシ−d−グルコース(1μCi)と標識していない2−デオキシ−グルコースが添加され、細胞が室温で10分間インキュベーションされた。非特異的なグルコースの取り込みは、10μMサイトカラシンBの存在下で平行して測定した。サイトカラシンBは、トランスポータが媒介するグルコースの取り込みを阻害する。非特異的グルコースの取り込みは、各試験において、総取り込み量から差し引いた。細胞は次いで、氷冷したリン酸緩衝液生理食塩水(PBS)で3度洗浄し、1MNaOHで20分間可溶化した。サンプルは次いでシンチレーションカウンタを用いてカウントした。2−[H]−デオキシ−d−グルコースの取り込みは、少なくとも2回の独立した試験で各々の条件でトリプチレットで試験した。2−[H]−デオキシ−d−グルコースの取り込み(1分当たりのカウント−cpm)は、各試験の又は3回の独立した試験結果において、平均値+SEとして表した。ANOVA検定は、P<0.005の有意差を用いた(表7)。

表7:

【0088】
3T3−L1脂肪細胞が、高濃度遊離脂肪酸処置により引き起こされたインシュリン抵抗性に対するピロン−インドール誘導体とメラトニンの細胞内効果を表意かするためにインビトロモデルとして使用した。3T3−L1脂肪細胞では、FFT処理は、インシュリンによりシグナル伝達を損ない、メラトニン/ピロン−インドール誘導体がグルコース輸送を改善した。それゆえ、メラトニンとピロン−インドール誘導体は、FFAにより引き起こされたインシュリン抵抗性を改善することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)を有する化合物:
Ar−B−Ar’(I)
ここで、−B−は、−X−Y−Z−を表し、
ここで、Xは、−(CH)n(ここで、nは、0〜6)、Xのアルキルは、直鎖または分岐であり;
Yは、酸素原子、硫黄原子、>NH又は、不存在であり;
Zは、>C=O、>O又は、不存在であり;
ここで、X,YおよびZの、少なくとも1つは、存在しなくてはならず;
Arは、インドール核環系、を表す。
【化1】

Ar’は、α−、β−、又は、γ−ピロン核環系を表し;
【化2】

ここで、各、R1〜4の置換基は、とり得るあらゆる位置で環系Ar(N−位置を含む。)を、また、R1’〜R2’は、とり得るあらゆる位置でAr’環系を置換し、ここで、各、R1〜4およびR1’〜2’は、独立して、水素、酸素、ハロゲン、ハロゲン−C1〜5アルキル、アリール、アシル、1〜3のヘテロ原子(窒素、酸素、又は、硫黄から独立して選択される)を含むC5〜7ヘテロ環基;1〜3のへテロ原子(窒素、酸素、又は、硫黄から独立して選択される)を含むC6〜8のヘテロアリール基、C1〜5のアルキル、C2〜5のアルケニル、C2〜5のアルキニル、アリール−C1〜5アルキル、アリール−C2〜5アルケニル、アリール−C1〜5アルキニル、ヒドロキシ−C1〜5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、C1〜5アルキルアミン、C1〜5アルキルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、C1〜5アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、又は、スチリル;
ここで、前記アリ−ルアルキル、アリールアルケニル、アラルアルキニル、又は、スチリル基は、選択的に、独立して選択されることがある次の群から選択される、1〜4の置換基により環置換されることもあり得る;すなわち、それらの置換基とは、水素、ハロゲン、ハロゲン−C1〜5アルキル、アリール、1〜3のへテロ原子(窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される)を含むC5〜7ヘテロ環基;1〜3のヘテロ原子(窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される)を含むヘテロアリール基;C1〜5のアルキル、C2〜5のアルケニル、C2〜5のアルキニル、アリール−C1〜5アルキル、アリール−C2〜5アルケニル、アリール−C2〜5アルキニル、ヒドロキシ−C1〜5アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、シアナミド、グアニジノ、アミジノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミド、S−アルキル又はアルキルチオール;
及びR又はRは、さらに、Bヘの結合を含むか、又は、表すことができる;
ここで、Arは、R又はRで置換されていない、N−位も含んで、Ar環上のどのような位置でもBに結合することができ、また、Ar’は、R又はRで置換されていない、N−位も含んで、Ar’環上のどのような位置でもBに結合することができ、
又は、薬学的に許容可能なそれらの塩又はそれらの立体異性体。
【請求項2】
Xが、−(CHであり、ここで、nが、0〜6であり、Yが>NH、又は、>O、であり、そして、Zが、>COである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Ar’が、α−ピロン環系である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Ar’が、β−ピロン環系である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
Ar’が、γ−ピロン環系である、請求項2記載の化合物。
【請求項6】
Xが、−(CH−、Yが、>NH、又は、>Oであり、そして、Zが>COであり、
Arが、インドール環であり;Rがインドール環の3位でXへの結合であり;Rがインドール環の5位でメトキシ基であり、そして、RとRは、各水素であり;
Ar’は、ピロン環の2位でZに結合したγ−ピロン環であり;Rは、ピロン環の5位の水素又はヒドロキシル基であり、Rは、γ−ピロン環の6位の水素またはカルボキシ基であり;
又は、薬学的に許容可能なそれらの塩又はそれらの立体異性体、
である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Xが、−(CH−、Yが>NH、又は、>Oであり、そして、Zが>COであり、
Arが、インドール環であり;Rがインドール環の3位でXへの結合であり;Rがインドール環5位のメトキシ基であり、そして、RとRは、各水素であり;
Ar’は、ピロン環の5位でZにより置換されたα−ピロン環であり;R1’とR2’は、各水素であり;
又は、薬学的に許容可能なそれらの塩又はそれらの立体異性体、
である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Xが、−(CH−、Yが>NHであり、Zが>COであり;
Arが、インドール環であり;Rがインドール環の3位でのXへの結合であり;Rは、インドール環5位のメトキシ基であり、そして、RとRは、各水素であり;
Ar’は、ピロン環の2位でZにより置換されたγ−ピロン環であり;Rは、ピロン環5位のヒドロキシルであり;Rは水素であり;
又は、それらの塩又はそれらの立体異性体、
である請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Xが、−(CH−、Yが>Oであり、そして、Zが>COであり;
Arが、インドール環であり;Rがインドール環の3位のXへの結合であり;Rがインドール環5位のメトキシ基であり、そして、RとRは、各水素であり;
Ar’は、ピロン環の2位でZにより置換されたγ−ピロン環であり;R1’は、ピロン環5位のヒドロキシル基であり;R2’は水素であり;
又は、それらの塩又は立体異性体、
である請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Xが、−(CH−、Yが、>NH、そして、Zが、>COであり;
Arが、インドール環であり;Rがインドール環の3位でのXへの結合であり;Rがインドール環5位のメトキシ基であり、そして、RとRは、各水素であり;
Ar’は、ピロン環の2位でZにより置換されたγ−ピロン環であり;R1’とR2’は水素であり;
又は、それらの塩又は立体異性体、
である請求項1記載の化合物。
【請求項11】
Xが、−(CH−、Yが、>NH、そして、Zが、>COであり;
Arが、インドール環であり;Rがインドール環の3位のXへの結合であり;Rがインドール環5位のメトキシ基であり、そして、RとRは、各水素であり;
Ar’は、ピロン環の5位でZにより置換されたα−ピロン環であり;R1’とR2’は水素であり;
又は、それらの塩又は立体異性体、
である請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1又はそれ以上の薬学的に許容可能な希釈剤、保存剤、溶解剤、乳化剤、アジュバント、賦形剤、又はキャリアと併用した治療上有効量を含む請求項1の化合物、それらの塩、又は立体異性体を含む薬学的製剤。
【請求項13】
次の特性、すなわち:
(i) 経口、直腸、非経口、鼻腔、膣内、舌下、又は局所の各投与に適していること;
(ii) 単位剤形であって、約2.5μg〜約25mg/kgの範囲で、請求項1の化合物、塩、立体異性体の少なくとも1つを含んでいる各単位剤形であること;
(iii)請求項1の少なくとも1つの化合物が所与の調節率で放出される、持続放出製剤であること;
の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項12記載の薬学的製剤。
【請求項14】
経口投与に適しており、単位剤形であって、各単位剤形が、0.2mg〜500mgの範囲内で、請求項1記載の化合物、塩、立体異性体の少なくとも1つを含む、請求項13記載の薬学的製剤。
【請求項15】
各単位剤形が、約0.5mg〜約50mgの範囲内で、請求項1の化合物、それらの塩またはそれらの立体異性体の少なくとも1つを含む、請求項14記載の薬学的製剤。
【請求項16】
各単位剤形が、約2.5mg〜約20mgの範囲内で、請求項1の化合物、それらの塩またはそれらの立体異性体の少なくとも1つを含む、請求項14記載の薬学的製剤。
【請求項17】
非経口、または、局所投与に適しており、そして、単位剤形であって、各単位剤形が、約2.5μg〜約5mg/kgの範囲内で、請求項1の化合物、それらの塩、又はそれらの立体異性体の少なくとも1つを含む、請求項13記載の薬学的製剤。
【請求項18】
非経口、または、局所投与に適しており、そして、単位剤形であって、各単位剤形が、約100μg〜約100mg/kgの範囲内で、請求項1の化合物、それらの塩、又はそれらの立体異性体の少なくとも1つを含む、請求項13記載の薬学的製剤。
【請求項19】
前記製剤が単位剤形であって、そして、前記単位剤形が、請求項1の化合物、それらの塩又はそれらの立体異性体の少なくとも1つを、次の疾病:インシュリン抵抗性、2型糖尿病、脳梗塞を伴う神経細胞の脱落、虚血、中枢神経傷害、中枢神経障害、興奮性アミノ酸の過剰刺激による悪影響、精神障害、てんかん又その他の痙攣性疾患、不安神経症、睡眠障害、慢性疼痛、緑内障、CMV性網膜炎、尿失禁、又はアヘン耐性又は禁断症状;麻酔(感覚麻痺)を含んで; 認識増強、又は麻痺の誘導、の治療、又は、予防のために有効な用量を提供する請求項12記載の薬学的製剤。
【請求項20】
前記製剤が単位剤形であって、そして、前記単位剤形が、心血管障害、血液凝固傷害、神経障害、時間生物学的障害、炎症性障害、概日睡眠障害、内分泌障害、新生物疾患、免疫系疾患、老化に伴う症状、眼科疾患、群発性頭痛、片頭痛、糖尿病性安定、体重増加障害、糖尿病性安定化、又は動物飼育の補助として、の治療又は予防のために、請求項の化合物、塩、又は、立体異性体の有効量を提供する請求項12の薬学的製剤。
【請求項21】
前記製剤が、請求項1の化合物、又はそれらの塩、それらの立体異性体を、睡眠妨害、又は、睡眠の質の改善のため、又は概日リズムの改善の治療又は予防のための有効量を、その単位剤形において提供するものである、請求項12記載の薬学的製剤。
【請求項22】
さらに、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗不安薬、トランキライザ、メラトニン作働剤又は拮抗剤、メラトニン、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、または、5−HT−2拮抗剤を含む請求項21に記載の薬学的製剤。
【請求項23】
前記製剤が、単位用量の中に、糖尿病の治療又は予防に有効量の請求項1の化合物、それらの塩または立体異性体を提供する、請求項12記載の薬学的製剤。
【請求項24】
さらに、抗糖尿病薬を含む請求項23に記載の薬学的製剤。
【請求項25】
請求項1の化合物、それらの塩、又はそれらの立体異性体の有効量を含む薬学的製剤の有効量を必要とされている動物又はヒトに投与することを含む下記の疾病を治療または予防する方法であって、前記疾病が、インシュリン抵抗性、2型糖尿病、脳梗塞を伴う神経細胞の脱落、虚血、中枢神経傷害、中枢神経障害、神経変性病、興奮性アミノ酸の過剰刺激による悪影響、精神障害、てんかん又はその他の痙攣性疾患、不安神経症、睡眠障害、慢性疼痛、緑内障、CMV性網膜炎、尿失禁、又はアヘン耐性又は禁断症状;感覚麻痺の導入、又は、認識増強よりなる治療又は予防方法。
【請求項26】
請求項1の化合物、それらの塩、又はそれらの立体異性体の有効量を含む薬学的製剤の有効量を必要とされている動物又はヒトに投与することを含む下記の疾病を治療または予防する方法であって、前記疾病が、心血管障害、神経障害、炎症性障害、時間生物学的障害、概日睡眠障害、内分泌障害、新生物疾患、免疫系疾患、老化に伴う症状、眼科疾患、群発性頭痛、片頭痛、体重増加障害;又は、受胎調節用の、又は、動物繁殖の補助としての毛の色、又は、皮膚の保護のため、よりなる治療又は予防する方法。
【請求項27】
睡眠の質を改善するための慨日リズムを変更するための、睡眠の質を改善するための、また、睡眠障害、睡眠妨害を治療又は予防するための方法であって、それが、請求項1の化合物、それらの塩、又は、それらの立体異性体の有効量を含む製剤をそれを必要としているヒト又は動物において、ヒト又は動物への投与することを含む方法。
【請求項28】
前記製剤が、睡眠の質を増強させ、又は、睡眠障害又は睡眠妨害を予防又は治療するために有用なことが知られている薬剤と併用により投与するものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤が、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬、トランキライザ、メラトニン作働薬又は拮抗剤、メラトニン、ベンゾジアゼピン、バルビツレート又は5HT−2拮抗剤である請求項28記載の方法。
【請求項30】
光線療法と併用して投与されるものである、請求項27記載の方法。
【請求項31】
請求項1の化合物、それらの塩、それらの立体異性体の有効量を含む製剤を前記ヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおける糖尿病の治療又は予防する方法。
【請求項32】
前記製剤が、公知の抗糖尿病薬と併用して投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記製剤が、経口、非経口、鼻腔、膣内、直腸内、舌下又は局所の投与に適した剤形である、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記製剤が、経口、非経口、鼻腔、膣内、直腸内、舌下又は局所に投与に適した剤形である、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記製剤が、持続放出される経口剤形である請求項25の方法。
【請求項36】
前記製剤が、持続放出される経口剤形である請求項26の方法。

【公表番号】特表2009−526831(P2009−526831A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554868(P2008−554868)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000330
【国際公開番号】WO2007/093880
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(502308583)ニューリム・ファーマスーティカルズ(1991)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】