説明

新規化合物

本発明は、薬理学的活性を有する式(I)の新規なジアゼパニル誘導体、その製法、それを含有する組成物、および神経学的および精神的障害の治療におけるその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、薬理学的活性を有する新規なジアゼパニル誘導体、その製法、それを含有する組成物、および神経学的および精神的障害の治療におけるその使用に関する。
【0002】
WO 03/00480(Novo Nordisk A/S and Boehringer Ingleheim International GMBH)は、H3アンタゴニストとして、一連の置換ピペラジン類およびジアゼパン類を記載している。
WO 02/08221(Neurogen Corporation)は、神経因性疼痛の治療において有用であると主張されるカプサイシン受容体アンタゴニストとして、一連の置換ピペラジン類およびジアゼパン類を記載している。WO 98/37077およびWO 99/42107(Zymogenetics Inc)はどちらも、骨形成を増進するようにカルシトニン模倣物として作用すると主張される一連の置換複素環誘導体を記載している。
【0003】
ヒスタミンH3受容体は、哺乳動物中枢神経系(CNS)において優勢に発現され、いくつかの交感神経を除いた末梢組織において最小限に発現される(Leursら、(1998),Trends Pharmacol.Sci.19,177−183)。選択的アゴニストまたはヒスタミンによるH3受容体の活性化は、ヒスタミン感作性およびコリン作用性ニューロンを包含する種々の異なる神経集団からの神経伝達物質の放出の阻害をもたらす(Schlickerら、(1994),Fundam.Clin.Pharmacol.8,128−137)。さらに、イン・ビトロおよびイン・ビボでの研究により、H3アンタゴニストが大脳皮質および海馬などの認識力に関連する脳領域における神経伝達物質放出を促進することができることが示された(Onoderaら、(1998),The Histamine H3 receptor,ed Leurs and Timmerman,pp255−267,Elsevier Science B.V.)。さらに、いくつかの文献における報告は、5つの選択課題、物体認識、高架十字迷路、新規課題の獲得および受動回避を包含する齧歯類モデルにおいて、H3アンタゴニスト(例えば、チオペラミド(thioperamide)、クロベンプロピット(clobenpropit)、シプロキシファン(ciproxifan)およびGT−2331)の認識促進性を明らかにした(Giovanniら、(1999),Behav.Brain Res.104,147−155)。これらのデータは、本シリーズのような新規なH3アンタゴニストおよび/または逆アゴニストが、神経学的疾患、例えば、アルツハイマー病および関連の神経変性障害における認識障害における治療に有用であることを示唆する。
【0004】
本発明は、第一の態様において、式(I):
【化1】

【0005】
[式中、
は、分枝鎖C3−6アルキル、C3−5シクロアルキルまたは−C1−4アルキルC3−4シクロアルキルを示し;
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アミノまたはトリフルオロメチルを示し;
nは0、1または2を示し;
は、−X−アリール、−X−ヘテロアリール、−X−ヘテロシクリル、−X−アリール−アリール、−X−アリール−ヘテロアリール、−X−アリール−ヘテロシクリル、−X−ヘテロアリール−アリール、−X−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−X−ヘテロアリール−ヘテロシクリル、−X−ヘテロシクリル−アリール、−X−ヘテロシクリル−ヘテロアリールまたは−X−ヘテロシクリル−ヘテロシクリルを示し;
が−X−ピペリジニル、−X−ピペリジニル−アリール、−X−ピペリジニル−ヘテロアリールまたは−X−ピペリジニル−ヘテロシクリルを示す場合、該ピペリジニル基は窒素原子を介してXに結合しており;
ここに、Rは、式(I)のフェニル基に3または4位で結合し;
Xは、結合、O、CO、SO、CHO、OCH、NR、NRCOまたはC1−6アルキルを示し;
は、水素またはC1−6アルキルを示し;
ここに、Rの該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基は、1以上(例えば、1、2または3個の)ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリールC1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキルカルボニル、−COC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル、アリールC1−6アルキル、ヘテロアリールC1−6アルキル、ヘテロシクリルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニルC1−6アルキル、アリールオキシ、−CO−アリール、−CO−ヘテロシクリル、−CO−ヘテロアリール、C1−6アルキルスルホンアミドC1−6アルキル、C1−6アルキルアミドC1−6アルキル、アリールスルホンアミド、アリールアミノスルホニル、アリールスルホンアミドC1−6アルキル、アリールカルボキサミドC1−6アルキル、アロイルC1−6アルキル、アリールC1−6アルカノイル、またはNR1516、−NR15CO−アリール、−NR15CO−ヘテロシクリル、−NR15CO−ヘテロアリール、−CONR1516、−NR15COR16、−NR15SO16または−SONR1516基(ここに、R15およびR16は独立して、水素またはC1−6アルキルを示す)によって置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩またはその溶媒和物を提供する。
【0006】
本発明の一の特定の態様において、式中、Xが結合、O、CO、SO、CHO、OCHまたはC1−6アルキルを示す上記式(I)の化合物が提供される。
【0007】
「C1−6アルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、基または基の一部として、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基を示す。かかる基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、またはヘキシルなどを包含する。
【0008】
「C1−6アルコキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−O−C1−6アルキル基を示し、ここに、C1−6アルキルは上記のとおりである。かかる基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキソキシなどを包含する。
【0009】
「C3−8シクロアルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、3〜8個の炭素原子からなる飽和単環式炭化水素環を示す。かかる基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどを包含する。
【0010】
「ハロゲン」なる語は、本明細書中で使用される場合、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を示す。
【0011】
「ハロC1−6アルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置き換わった上記で定義されたC1−6アルキル基を示す。かかる基の例は、フルオロエチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルなどを包含する。
「ハロC1−6アルコキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置き換わった上記で定義されたC1−6アルコキシ基を示す。かかる基の例は、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシなどを包含する。
【0012】
「アリール」なる語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの環が芳香族であるC6−12単環または二環式炭化水素環を示す。かかる基の例は、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフタレニルなどを包含する。
「アリールオキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−O−アリール基を示し、ここに、アリールは上記の通りである。かかる基の例は、フェノキシなどを包含する。
【0013】
「ヘテロアリール」なる語は、本明細書中で使用される場合、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5−6員の単環式芳香族または8−10員の二環式縮合芳香族環を示す。かかる単環式芳香環の例は、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジル、トリアジニル、テトラジニル等を包含する。かかる縮合芳香環の例は、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなどを包含する。
【0014】
「ヘテロシクリル」なる語は、酸素、窒素または硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する飽和または部分不飽和であってもよい4−7員の単環または8−12員の二環を示す。かかる単環の例は、ピロリジニル、アゼチジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、オキサチオラニル、オキサチアニル、ジチアニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、ジアゼパニル、アゼパニルなどを包含する。かかる二環の例は、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾピラニル、キヌクリジニル、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンゾアゼピン、テトラヒドロイソキノリニルなどを包含する。
【0015】
好ましくは、Rは、分枝鎖C3−6アルキル(例えば、イソプロピル)またはC3−5シクロアルキル(例えば、シクロプロピルまたはシクロブチル)、より好ましくは、シクロブチルを示す。
好ましくは、nは0を示す。
【0016】
好ましくは、Rは、
1以上のハロゲン(例えば、フッ素)、シアノ、−COC1−6アルキル(例えば、−COMe)または−CONR1516(例えば、−CONH)基によって置換されていてもよい−X−アリール(例えば、フェニル、−CO−フェニル、−O−フェニル、−OCH−フェニルまたは−CHO−フェニル);
1以上のハロC1−6アルキル(例えば、−CF)、シアノ、オキソ、C1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)または−CONR1516(例えば、−CONHMeまたは−CON(Me))基によって置換されていてもよい−X−ヘテロアリール(例えば、−テトラゾリル、−ピラゾリル、−ピロリル、−オキサゾリル、−イソキサゾリル、−オキサジアゾリル、−ピリジル、−OCH−ピリジル、−NHCO−ピリジル、−ピリミジニル、−N(Me)−ピリミジニル、−ピリダジニルまたは−OCH−ピラジニル);
1以上のハロゲン(例えば、フッ素)原子によって置換されていてもよい−X−ヘテロアリール−アリール(例えば、−チアゾリル−フェニル);
1以上のC1−6アルキル(例えば、メチル)基によって置換されていてもよい−X−アリール−ヘテロアリール(例えば、−フェニル−オキサゾリルまたは−フェニル−オキサジアゾリル);または
1以上のオキソ基によって置換されていてもよい−X−ヘテロシクリル(例えば、−チオモルホリニル、−モルホリニル、−ピロリジニルまたは−O−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)を示す。
【0017】
より好ましくは、Rは、
1以上のハロゲン(例えば、フッ素)、シアノまたは−COC1−6アルキル(例えば、−COMe)基によって置換されていてもよい−X−アリール(例えば、−フェニルまたは−CO−フェニル);
1以上のハロC1−6アルキル(例えば、−CF)、シアノ、C1−6アルキル(例えば、メチル)または−CONR1516(例えば、−CONHMe)基によって置換されていてもよい−X−ヘテロアリール(例えば、−オキサゾリル、−イソキサゾリル、−オキサジアゾリル、−ピリジル、−ピリミジニルまたは−ピリダジニル);
1以上のハロゲン(例えば、フッ素)原子によって置換されていてもよい−X−ヘテロアリール−アリール(例えば、−チアゾリル−フェニル);または
−X−ヘテロシクリル(例えば、−モルホリニル)を示す。
【0018】
最も好ましくは、Rは、
1以上のシアノまたは−COC1−6アルキル(例えば、−COMe)基によって置換されていてもよい−X−アリール(例えば、−フェニル);または
1以上のハロC1−6アルキル(例えば、−CF)またはシアノ基によって置換されていてもよい−X−ヘテロアリール(例えば、−ピリジル)を示す。
【0019】
特に好ましくは、Rは、1以上のハロC1−6アルキル(例えば、−CF)またはシアノ基によって置換されていてもよい−ピリジルを示す。
好ましくは、Rは、式(I)のフェニル基に4位で結合する。
好ましくは、Xは、結合、CO、O、NR、NRCO、CHOまたはOCHを示し、より好ましくは、結合を示す。
【0020】
好ましくは、Rは、水素またはメチルを示す。
好ましくは、Rは、式(I)のフェニル基に4位で結合する。
【0021】
本発明の好ましい化合物は、下記の実施例E1−E58またはその医薬上許容される塩を包含する。
式(I)の化合物は、酸、例えば、通常の医薬上許容される酸、例えば、マレイン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、サリチル酸、硫酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸およびメタンスルホン酸と共に酸付加塩を形成していてもよい。したがって、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストまたは逆アゴニストの塩、溶媒和物および水和物は、本発明の一態様を形成する。
式(I)のある特定の化合物は、立体異性形態で存在することができる。本発明がこれらの化合物の全ての幾何異性体および光学異性体ならびラセミ体を包含するにその混合物を包含することが理解されよう。また、互変体も本発明の一態様を形成する。
【0022】
本発明は、また、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)式(II)
【化2】

[式中、R、nおよびRは、上記のとおりであり、Lは、OHまたは適当な脱離基、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素)を示す]
の化合物を式(III)
【化3】

[式中、R1aは、Rに関して定義したとおりであるか、またはRに変換可能な基である]
の化合物と反応させるか;または
【0023】
(b)式(IV)
【化4】

[式中、R1a、Rおよびnは上記のとおりであり、Zは、フェニル環の3または4位に結合したボロン酸エステル基、例えば、ピナコールエステル、例えば、式Z
【化5】

の基を示す]
の化合物を式R−L(式中、Rは上記のとおりであり、Lは、適当な脱離基、例えば、ハロゲン原子である)と反応させるか;または
【0024】
(c)保護された式(I)の化合物を脱保護し;次いで、所望により、
(d)他の式(I)の化合物に相互変換する
ことを特徴とする製法を提供する。
【0025】
プロセス(a)は、典型的には、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中における式(II)(ここに、LはOHを示す)の化合物のカップリング試薬、例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)での活性化、次いで、式(III)の化合物との反応を含む。
プロセス(a)は、また、式(II)(ここに、LはOHを示す)の化合物の適当なハロゲン化剤(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリル)を用いるハロゲン化、次いで、適当な塩基、例えば、トリエチルアミンまたは固体支持された塩基、例えば、ジエチルアミノメチルポリスチレンの存在下、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中における式(III)の化合物との反応を含んでいてもよい。
【0026】
プロセス(b)は、典型的には、アセトニトリルなどの溶媒中、塩基、例えば、炭酸ナトリウムと共に、触媒、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いることを含む。
【0027】
プロセス(c)において、保護基およびその除去手段の例は、T.W.Greene「Protective Groups in Organic Synthesis」(J.Wiley and Sons,1991)において見出すことができる。適当なアミン保護基は、スルホニル(例えば、トシル)、アシル(例えば、アセチル、2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル)およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)を包含し、それらは、適宜、加水分解(例えば、塩酸などの酸を用いる)によって、または還元的に(例えば、ベンジル基の水素化分解または酢酸中における亜鉛を用いる2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去)除去されうる。他の適当なアミン保護基の例は、塩基性触媒による加水分解によって除去されうるトリフルオロアセチル(−COCF)、または酸性触媒による加水分解によって、例えば、トリフルオロ酢酸を用いて除去されうる固相樹脂結合型ベンジル基、例えば、メリフィールド樹脂結合型2,6−ジメトキシベンジル基(Ellman linker)を包含する。
【0028】
プロセス(d)は、通常の相互変換手法、例えば、エピマー化、酸化、還元、アルキル化、求核性または求電子性芳香族置換、エステル加水分解またはアミド結合形成を用いて行えばよい。
式(II)および(III)の化合物はいずれも、文献において知られているか、または類似の方法によって調製することができる。
【0029】
式(IV)の化合物は、式(V)
【化6】

[式中、R、nおよびZは、上記のとおりである]
の化合物を上記で定義された式(III)の化合物と反応させることによって調製されうる。該プロセスは、典型的には、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下、適当な溶媒、例えば、DMF中における式(V)の化合物のカップリング試薬、例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)での活性化を含む。
【0030】
式(V)の化合物はいずれも、文献において知られているか、または類似の方法によって調製することができる。
式(I)の化合物およびその医薬上許容される塩は、ヒスタミンH3受容体に対するアフィニティーを有し、該受容体に対するアンタゴニストおよび/または逆アゴニストであり、アルツハイマー病、認知症(レヴィー小体認知症および血管性認知症を包含する)、加齢による記憶障害、軽度認識障害、認識障害、癲癇、神経因性疼痛、炎症性疼痛、偏頭痛、パーキンソン病、多発性硬化症、卒中および睡眠障害(ナルコレプシー、およびパーキンソン病に関連する睡眠障害を包含する)を包含する神経学的疾患;統合失調症(特に、統合失調症の認識障害)、注意欠陥多動障害、鬱病、不安症および依存症を包含する精神的障害;ならびに肥満および胃腸障害を包含する他の疾患の治療において使用できる可能性があると考えられる。
【0031】
当然のことながら、アルツハイマー病および統合失調症の認識障害の治療に使用できると考えられる式(I)のある特定の化合物は、有利にも、CNS浸透剤であり、例えば、血脳関門を横切る可能性を有するであろう。
また、当然のことながら、式(I)の化合物は、他のヒスタミン受容体サブタイプ、例えば、ヒスタミンH1受容体よりもヒスタミンH3受容体に対して選択的であると予想される。一般に、本発明の化合物は、H1よりもH3に対して少なくとも10倍選択的であり、例えば、少なくとも100倍選択的であってもよい。
かくして、本発明は、また、上記の障害、特に、アルツハイマー病および関連する神経変性障害などの疾患における認識障害の治療または予防において治療物質として使用するための、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0032】
本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の治療上有効量を罹患者に投与することを特徴とする、ヒトを包含する哺乳動物における、上記の障害の治療または予防法を提供する。
別の態様において、本発明は、上記の障害の治療において有用な医薬の製造における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用を提供する。
治療において使用される場合、式(I)の化合物は、通常、標準的な医薬組成物に処方される。かかる組成物は、標準的な手法を用いて調製することができる。
【0033】
かくして、本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む上記の障害の治療において有用な医薬組成物を提供する。
本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0034】
式(I)の化合物は、他の治療剤、例えば、アルツハイマー病の病態改善治療または対症治療のいずれかとして有用であることが主張される医薬と組み合わせて使用してもよい。かかる他の治療剤の適当な例は、コリン作動性伝達を修飾することが知られている薬剤、例えば、5−HTアンタゴニスト、M1ムスカリン性アゴニスト、M2ムスカリン性アンタゴニストまたはアセチルコリンステラーゼ阻害剤であってもよい。化合物を他の治療剤と組み合わせて使用する場合、いずれかの好都合な経路によって、化合物を連続的に、または同時に投与すればよい。
【0035】
かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体とさらなる治療剤を一緒に含んでなる組み合わせを提供する。
上記の組み合わせは、好都合には、医薬処方の形態で使用するために提供されてもよく、かくして、上記の組み合わせを医薬上許容される担体または賦形剤と一緒に含んでなる医薬処方は、本発明のさらなる態様を形成する。かかる組み合わせの個々の成分は、別々または合わせた医薬処方において、連続的または同時に投与すればよい。
【0036】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される誘導体を同じ病態に対して活性な第2の治療剤と共に使用する場合、各化合物の投与量は、該化合物を単独で使用する場合と異なっていてもよい。適当な投与量は、当業者に容易に明らかであろう。
本発明の医薬組成物は、混合によって調製されてもよく、適用には、周囲温度および大気圧下で、通常、経口、非経口または直腸投与に適応させ、それ自体は、錠剤、カプセル、経口液体製剤、粉末、顆粒、ロゼンジ、復元可能な粉末、注射可能または注入可能な溶液または懸濁液あるいは座剤の形態であってもよい。経口投与可能な組成物が一般に好ましい。
【0037】
経口投与用錠剤およびカプセルは、単位投与形態であってもよく、通常の賦形剤、例えば、結合剤、増量剤、錠剤成形滑沢剤、崩壊剤および許容される湿潤剤を含有していてもよい。錠剤は、通常の製薬習慣においてよく知られた方法にしたがって被覆されてもよい。
経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、または使用前に、水または他の適当なビヒクルで復元するための乾燥製品の形態であってもよい。かかる液体製剤は、通常の添加物、例えば、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含んでいてもよい)、保存料、および所望により、通常のフレーバーまたは着色料を含有していてもよい。
【0038】
非経口投与の場合、流体単位投与形態は、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩および滅菌ビヒクルを用いて調製される。該化合物は、使用されるビヒクルおよび濃度にもよるが、ビヒクル中に懸濁または溶解することができる。溶液の調製において、該化合物を注射のために溶解し、フィルター滅菌した後、適当なバイアルまたはアンプル中に充填し、密閉することができる。有利には、局所麻酔剤、保存料および緩衝化剤などのアジュバントをビヒクル中に溶解する。安定性を上げるために、組成物をバイアル中に充填後に冷凍し、真空下で水分を除去することができる。非経口懸濁液は、化合物をビヒクル中に溶解する代わりに懸濁し、ろ過によって滅菌することができないことを除き、実質的に、同じ方法で調製される。該化合物は、滅菌ビヒクル中に懸濁する前に、エチレンオキシドに曝露することによって滅菌することができる。有利には、界面活性剤または湿潤剤を組成物中に含ませて、化合物の一様な分散を容易にする。
【0039】
該組成物は、投与方法にもよるが、0.1重量%〜99重量%、好ましくは、10〜60重量%の活性材料を含有すればよい。上記の障害の治療に使用される化合物の投与量は、通常、障害の重篤度、罹患者の体重、および同様の因子によって変化するであろう。しかしながら、一般的な規準として、適当な単位投与量は、0.05〜1000mg、より適当には、1.0〜200mgであればよく、かかる単位投与量は、1日1回以上、例えば、1日2または3回投与すればよい。かかる治療は、数週間または数ヶ月に及んでもよい。
【0040】
下記の記載および実施例は、本発明の化合物の製法を説明するものである。
当然のことながら、化合物の塩酸塩は、飽和水性炭酸カリウム溶液での処理、次いで、適当な溶媒、例えば、ジエチルエーテルまたはDCM中への抽出によって、対応する遊離塩基化合物に変換してもよい。
【実施例】
【0041】
記載例1(方法A)
1−tert−ブチル−4−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(D1)
tert−ブチル−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(10.0g)をDCM(200ml)中に溶解した。アセトン(7.33ml)を加え、反応物を5分間攪拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(21.0g)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸カリウム溶液(2x200ml)で洗浄した。有機層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、蒸発させて、標題化合物(D1)を透明油として得た(11.0g)。
【0042】
記載例1(方法B)
1−tert−ブチル−4−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(D1)
tert−ブチル−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(25.06g)をアセトニトリル(250ml)中に溶解した。無水炭酸カリウム(34.5g)および2−ヨードプロパン(63g,37ml)を加え、混合物を18時間熱還流した。冷却した混合物をろ過し、固体をアセトニトリルで洗浄した。合わせたろ液を蒸発させ、残留油状物をジエチルエーテル中に溶解し、水、チオ硫酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させて標題化合物(D1)を薄茶色油として得た(29.8g)。
【0043】
記載例2
1−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D2)
1−tert−ブチル−4−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(D1)(11.0g)をメタノール(200ml)中に溶解し、ジオキサン中における4N HCl(100ml)を加えた。反応物を室温で2時間攪拌し、次いで蒸発させて、標題化合物(D2)を白色固体として得た(9.6g)。
H NMR δ (CDCl):11.35(1H,s),10.22(1H,s),9.72(1H,s),4.15−3.52(9H,m),2.83−2.40(2H,m),1.47(6H,d,J=6.24Hz)
【0044】
記載例3
1−tert−ブチル−4−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(D3)
tert−ブチル−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(10.0g)をDCM(300ml)中に溶解した。シクロブタノン(7.5ml)を加え、反応物を5分間攪拌した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(21.1g)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸カリウム溶液(2x200ml)で洗浄した。有機層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、蒸発させて、標題化合物(D3)を透明油として得た(11.3g)。
【0045】
記載例4
1−(シクロブチル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)
1−tert−ブチル−4−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−カルボキシレート(D3)(11.3g)をメタノール(200ml)中に溶解し、ジオキサン中における4N HCl(100ml)を加えた。反応物を室温で3時間攪拌し、次いで、トルエン(3x50ml)と共蒸発させて、標題化合物(D4)を白色固体として得た(9.8g)。
H NMR δ (DMSO−d6):11.95(1H,s),9.55(1H,s),9.64(1H,s),3.78−3.08(9H,m),2.51−2.07(6H,m),1.80−1.51(2H,m)
【0046】
記載例5
4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)安息香酸エチル(D5)
4−ヒドロキシ安息香酸エチル(0.82g)、4−ヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−ピラン(0.5g)およびトリフェニルホスフィンのTHF(50ml)中における氷冷溶液をアゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.69ml)で滴下処理した。15分後、冷却浴を外し、反応物を室温で一晩静置した。混合物を蒸発させ、トルエン中に再溶解し、2N水酸化ナトリウム(2x20ml)、水(2x20ml)およびブライン(20ml)で連続洗浄した。乾燥(硫酸マグネシウム)後、溶液を直接、シリカフラッシュカラム上に付して(段階勾配:軽質石油40−60中10−30%EtOAc)、標題化合物(D5)を得た(0.75g)。
H NMR δ (CDCl):7.98(2H,d,J=8.5Hz),6.91(2H,d,J=8.5Hz),4.60(1H,m),4.35(2H,q,J=9.8Hz),3.98(2H,m),3.57(2H,m),2.05(2H,m),1.80(2H,m),1.38(3H,t,J=9.8Hz)
【0047】
記載例6
4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)安息香酸(D6)
4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)安息香酸エチル(D5)(0.73g)のEtOH(10ml)中溶液を1M NaOH(5.84ml)で処理し、混合物を60℃で5時間攪拌した。該溶液を室温に冷却し、EtOHを蒸発させた。水性部をDCM(2x10ml)で洗浄し、酸性化した。固体をろ過し、水で洗浄し、乾燥させて標題化合物(D6)を得た(0.55g)。
MSエレクトロスプレー(−イオン)221(M−H)
H NMR δ (DMSO−d6):7.87(2H,d,J=8.5Hz),7.05(2H,d,J=8.5Hz),4.69(1H,m),3.85(2H,m),3.50(2H,m),1.98(2H,m),1.59(2H,m)
【0048】
記載例7
1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)
乾燥DMF(30ml)中における4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸(1.24g)をEDC(1.48g)およびHOBT(0.67g)で処理した。反応混合物を室温で5分間攪拌し、次いで、1−(シクロブチル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)(1.13g)およびトリエチルアミン(2.7ml)を添加した。該混合物を室温で一晩攪拌した。次いで、反応混合物を水(250ml)中に注ぎ入れ、EtOAc(2x35ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和水性炭酸水素ナトリウム(2x30ml)、次いで、水(5x30ml)で洗浄した。乾燥(硫酸マグネシウム)後、該溶液を蒸発させて、標題化合物(D7)を油状物として得た(0.84g)。
MSエレクトロスプレー(+veイオン)385(MH
【0049】
記載例8
4−(6−シアノ−3−ピリジニル)安息香酸メチル(D8)
THF(5ml)および水(5ml)の混合液中における4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸(0.5g)および5−ブロモ−2−ピリジンカルボニトリル(0.5g)をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.32g)および炭酸カリウム(1g)で処理した。さらなる量のTHF(5ml)を加え、反応物を80℃で1時間加熱した。冷却後、反応混合物をEtOAc(30ml)で希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濃縮して粗残渣を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配 ヘキサン中における0−100%EtOAc)によって精製して、標題化合物(D8)を白色固体として得た(0.5g)。
LCMSエレクトロスプレー(+ve) 239 (MH
【0050】
記載例9
4−(6−シアノ−3−ピリジニル)安息香酸(D9)
ジオキサン(30ml)中における4−(6−シアノ−3−ピリジニル)安息香酸メチル(D8)(0.5g)を1.1当量の水性LiOH溶液(2.3ml,1N)で処理し、室温で2日間攪拌した。溶媒を蒸発によって除去して、白色固体を得、それを水(10ml)中に溶解し、2N HClで酸性化して白色固体を得、それをろ過し、乾燥させて、標題化合物(D9)を得た(0.35g)。
LCMSエレクトロスプレー(+ve) 224 (MH
【0051】
記載例10
5−ブロモ−2−ピリジンカルボン酸(D10)
4−ブロモベンゾニトリル(4.45g)を濃塩酸(60ml)中で3時間、熱還流した。冷却後、白色結晶をろ過し、真空オーブン中で乾燥させて、標題化合物(D10)を得た(3.46g)。
LCMSエレクトロスプレー(+ve) 203 (MH
【0052】
記載例11
5−ブロモ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド(D11)
5−ブロモ−2−ピリジンカルボン酸(D10)(1g)を乾燥DMF(50ml)中に溶解し、メチルアミン塩酸塩(0.42g)、EDC(1.2g)、HOBT(0.56g)およびEtN(2.4ml)で処理した。反応物を室温で一晩攪拌し、次いで、水(200ml)中に注ぎ入れ、DCM(50ml)で抽出した。有機抽出物をブライン(5x50ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、蒸発させて、標題化合物(D11)を黄色結晶性固体として得た(0.45g)。
LCMSエレクトロスプレー(+ve) 349 (MH
【0053】
記載例12
1−(イソプロピル)−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D12)
標題化合物(D12)を記載例7と同様に、1−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D2の遊離塩基)および4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸から調製し、茶色油として単離した。
LCMS エレクトロスプレー (+ve) 373 (MH
【0054】
記載例13
5−ブロモ−2−トリフルオロメチルピリミジン(D13)
フッ化カリウム(1.77g)およびヨウ化第一銅(5.79g)の混合物を攪拌し、ヒートガンを用いて、真空下(〜1mm)で20分間、一緒に加熱した。冷却後、ジメチルホルムアミド(20ml)およびN−メチルピロリジノン(20ml)を加え、次いで、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(4.1ml)および5−ブロモ−2−ヨードピリミジン(6.5g)を加えた。該混合物を室温で5時間攪拌し、次いで、茶色溶液を6Nアンモニア溶液中に注ぎ入れた。生成物を酢酸エチル中に抽出し、抽出物を重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、次いで、乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。シリカゲル上のクロマトグラフィー(ペンタン中における20−50%ジクロロメタンで溶出)により、標題化合物(D13)を白色固体として得た(2.4g)。
H NMR (CDCl):8.97(2H,s)
【0055】
記載例14
4−(4−ブロモフェニル)−2−メチル−オキサゾール(D14)
臭化4−ブロモフェナシル(21.3g)およびアセトアミド(11.3g)をアルゴン下、130℃で一緒に加熱した。2.5時間後、反応混合物を冷却し、水(150ml)とEtO(150ml)との間に分配した。有機相を水性NaOH(0.5N)、水性HCl(0.5M)および飽和水性NaCl溶液(各100ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて茶色固体を得、それをヘキサンから再結晶化して、標題化合物(D14)をオレンジ色固体として得た(4.1g)。
LCMS エレクトロスプレー (+ve) 239 (MH
【0056】
記載例15
5−(4−ブロモフェニル)−2−メチル−オキサゾール(D15)
トリフルオロメタンスルホン酸(6.6ml)を二酢酸ヨードベンゼン(12.2g)およびMeCN(200ml)を含有するフラスコ中に室温で加えた。25分後、4’−ブロモアセトフェノン(5g)のMeCN(50ml)中溶液を加え、得られた混合物を6時間熱還流した。反応物を室温に冷却した後、溶媒を蒸発させ、残渣を飽和水性NaCO(150ml)とEtOAc(150ml)との間に分配した。有機相を飽和ブライン(150ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させてオレンジ色固体を得た。該粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン中における50%EtOAc)によって精製して、標題化合物(D15)を薄黄色固体として得た(3.5g)。
LCMSエレクトロスプレー (+ve) 239 (MH
【0057】
記載例16
3−(4−ブロモフェニル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール(D16)
工程1:4−ブロモ−N−ヒドロキシ−ベンゼンカルボキシミドアミド
4−ブロモフェニルカルボニトリル(10.2g)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(7.8g)およびEtN(11.3g)をEtOH(250ml)中に溶解し、反応混合物を3時間熱還流した後、それを蒸発させて所望のアミドキシムの白色沈殿を形成させ、それをろ過し、水(25ml)で洗浄した。ろ液をEtOAc(2x25ml)中に抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、蒸発させて副題化合物の第2収量を得た(合わせた収量=11.1g)。
LCMS エレクトロスプレー (+ve) 216 (MH
【0058】
工程2:3−(4−ブロモフェニル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール
D16、工程1由来の生成物を無水酢酸中に懸濁し、100℃に4時間加熱し、次いで、120℃で3時間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発させて、茶色固体を得た。これを飽和水性NaHCOとEtOAcとの間に分配した。有機相を飽和水性NaClで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させて黄色固体を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン中におけるEtOAcの10−100%勾配)によって精製して、標題化合物(D16)を白色固体として得た(6.2g)。
LCMS エレクトロスプレー (+ve) 240 (MH
【0059】
記載例17
2−(4−ブロモフェニル)−オキサゾール(D17)
工程1:4−ブロモ−N−(2,2−ジメトキシエチル)−ベンズアミド
炭酸カリウム(8.0g)を2,2−ジメトキシエチルアミンの水(90ml)およびアセトン(40ml)中溶液に室温で加えた。反応混合物を氷水浴中で冷却し、アセトン(70ml)中に溶解した塩化4−ブロモベンゾイル(16.4g)を90分かけて滴下した。攪拌反応混合物を室温に温めた。さらに2時間後、反応混合物をEtOAc(3x75ml)中に抽出し、合わせた有機物を飽和水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させてアミドをオフホワイト色の固体として得た(18.5g)。
LCMS エレクトロスプレー (+ve) 289 (MH
【0060】
工程2:2−(4−ブロモフェニル)−オキサゾール
D17、工程1由来の生成物をイートン試薬(200ml)中に懸濁し、反応混合物をアルゴンでパージし、240℃に9時間加熱した。次いで、反応混合物を冷却し、室温で65時間攪拌した。粗混合物を氷(1L)上に注ぎ、1時間攪拌した。水性混合物をEtOAc(2x250ml)中に抽出し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、灰色粉末を得た。該粗固体をTHF(300ml)およびEtOH(300ml)中に溶解し、ヒューニッヒ(Hunig’s)塩基(21.1ml)を加えた。MP−カルボネート樹脂(40.1g)およびPS−チオフェノール樹脂(69.7g)を該反応混合物中に懸濁し、それを24時間攪拌した。該懸濁液をろ過し、固相樹脂を1:1 THF:EtOH(3x600ml)で洗浄し、合わせた有機物を蒸発させて標題化合物(D17)を白色固体として得た(9.0g)。
LCMS エレクトロスプレー (+ve) 225 (MH
【0061】
記載例18
4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)安息香酸(D18)
4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)安息香酸メチル(J.R.Young and R.J.DeVita,Tetrahedron Lett.,1998,39,3931)をジオキサン(110ml)、水(70ml)およびイソプロパノール(30ml)の混合液中に溶解し、水酸化リチウム(1.38g)を加えた。該混合物を室温で約5時間攪拌し、次いで、Amberlyst15H樹脂の添加によって、混合物を約pH4に酸性化した。該樹脂をろ過によって除去し、ろ液を真空下で濃縮した。固形白色沈殿を得、それをろ過によって収集し、ろ紙上で水洗し、40℃にて48時間、真空乾燥させて標題化合物(D18)を得た(4.23g)。
【0062】
実施例1
4’−[(4−シクロブチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)カルボニル]−4−ビフェニルカルボニトリル塩酸塩(E1)
【化7】

1−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)(0.15g)をジエチルアミノメチルポリスチレン(1.0g)、HOBT(0.045g)、4’−シアノ−4−ビフェニルカルボン酸(0.16g)と共に、DCM(5ml)中で攪拌した。次いで、EDC(0.16g)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。該ポリマー支持塩基をろ過し、ろ液をDCM(10ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム(2x15ml)で洗浄した。次いで、有機層を直接、0−10%MeOH(10% 0.880アンモニア溶液を含有する)/DCMで溶出するシリカカラム上に負荷した。単離した遊離塩基生成物をDCM(5ml)中に溶解し、過剰の1N HCl/ジエチルエーテル溶液(1ml)で処理し、10分間攪拌した。該混合物を蒸発させ(アセトン2x10mlとの共蒸発)、アセトンでトリチュレートし、次いで高真空下、50℃で16時間乾燥させて、標題化合物(E1)を薄い色の固体として得た(0.119g)。
MSエレクトロスプレー(+イオン)360(MH
H NMR δ (DMSO−d6):10.60(1H,s),7.97(4H,m),7.86(2H,d,J=8.4Hz),7.60(2H,d,J=7.6Hz),4.18(1H,m),3.89−3.37(6H,m),3.10(2H,m),2.40−1.59(8H,m)
【0063】
実施例2
1−{4’−[(4−シクロブチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)カルボニル]−4−ビフェニリル}エタノン塩酸塩(E2)
【化8】

1−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)(0.15g)をジエチルアミノメチルポリスチレン(1.0g)、HOBT(0.045g)および4’−アセチル−4−ビフェニルカルボン酸(0.13g)と共に、DCM(5ml)中で攪拌した。次いで、EDC(0.16g)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。該ポリマー支持塩基をろ過し、ろ液をDCM(10ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム(2x15ml)で洗浄した。有機層を直接、0−10%MeOH(10% 0.880アンモニア溶液を含有する)/DCMで溶出するシリカカラム上に負荷した。単離した遊離塩基生成物をDCM(5ml)中に溶解し、過剰の1N HCl/ジエチルエーテル溶液(1ml)で処理し、10分間攪拌した。該混合物を蒸発させ(アセトン2x10mlとの共蒸発)、アセトンでトリチュレートし、次いで高真空下、50℃で16時間乾燥させて、標題化合物(E2)を薄い色の固体として得た(0.055g)。
MSエレクトロスプレー(+イオン)377(MH
H NMR δ (DMSO−d6):10.57(1H,s),9.07(2H,d,J=6.4Hz),7.88(4H,m),7.60(2H,d,J=7.6Hz),4.15(1H,m),3.82−3.33(6H,m),3.02(2H,m),2.62(3H,s),2.41−1.62(8H,m)
【0064】
実施例3−6(E3−E6)
実施例3−6は、1−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)および適当なカルボン酸から、実施例1に記載の手法を用いて調製され、構造に一致するH NMRおよび質量スペクトルデータを示した。
【0065】
【化9】

【表1】

【0066】
実施例7
1−シクロブチル−4−{[4−テトラゾール−1−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E7)
【化10】

1−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)(0.15g)をジエチルアミノメチルポリスチレン(1.0g)、HOBT(0.045g)および4−(テトラゾール−1−イル)−安息香酸(0.14g)と共に、DCM(5ml)中で攪拌した。次いで、EDC(0.165g)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。該ポリマー支持塩基をろ過し、ろ液をDCM(10ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム(2x15ml)で洗浄した。次いで、有機層を直接、0−10%MeOH(10% 0.880アンモニア溶液を含有する)/DCMで溶出するシリカカラム上に負荷した。単離した遊離塩基生成物をDCM(5ml)中に溶解し、過剰の1N HCl/ジエチルエーテル溶液(1ml)で処理し、10分間攪拌した。該混合物を蒸発させ(アセトン2x10mlとの共蒸発)、アセトンでトリチュレートし、次いで高真空下、50℃で16時間乾燥させて、標題化合物(E7)を薄い色の固体として得た(0.096g)。
MSエレクトロスプレー(+イオン) 327 (MH
H NMR δ (DMSO−d6):11.11(1H,s),10.18(1H,s),8.02(2H,d,J=8.4Hz),7.76(2H,d,J=8.0Hz),4.17(1H,m),3.81−3.27(6H,m),3.11(2H,m),2.47−1.95(6H,m),1.80−1.59(2H,m)
【0067】
実施例8
1−シクロブチル−4−({4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]フェニル}カルボニル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E8)
【化11】

標題化合物(E8)は、1−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)および4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]安息香酸から、実施例7に記載の手法を用いて調製された。
MS APCI 436 (MH
【0068】
実施例9
1−シクロブチル−4−{[4−(1,1−ジオキシド−4−チオモルホリニル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E9)
【化12】

1−(シクロブチル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)(0.15g)をジエチルアミノメチルポリスチレン(1.0g)、HOBT(0.045g)、4−(1,1−ジオキシド−4−チオモルホリニル)安息香酸(0.186g)と共に、DCM(5ml)中において攪拌した。次いで、EDC(0.165g)を加え、反応物を室温で16時間攪拌した。該ポリマー支持塩基をろ過し、ろ液をDCM(10ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム(2x15ml)で洗浄した。次いで、有機層を直接、シリカカラム上に負荷し、0−10%MeOH(10% 0.880アンモニア溶液を含有する)/DCMで溶出した。単離した遊離塩基生成物をDCM(5ml)中に溶解し、過剰の1N HCl/ジエチルエーテル溶液(1ml)で処理し、10分間攪拌した。該混合物を蒸発させ(アセトン2x10mlとの共蒸発)、アセトンでトリチュレートし、次いで高真空下、50℃で16時間乾燥させて、標題化合物(E9)を薄い色の固体として得た(0.086g)。
MSエレクトロスプレー(+イオン) 392 (MH
H NMR δ (DMSO−d6):10.5(1H,s),7.37(2H,d,J=8.4Hz),7.07(2H,d,J=8.8Hz),4.18−3.24(10H,m),3.11(4H,m),3.10−2.85(2H,m),2.45−1.98(7H,m),1.80−2.54(2H,m)
【0069】
実施例10
1−(イソプロピル)−4−{[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E10)
【化13】

4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)安息香酸(D6)(222mg)のDCM(5ml)中攪拌懸濁液を室温にて、塩化オキサリル(0.28ml)およびDCM中の10%DMF(1滴)で処理した。1時間後、該溶液を蒸発させ、次いで、DCM(2x5ml)から再蒸発させた。該酸塩化物をDCM(10ml)中に再溶解し、1−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D2)(178mg)およびジエチルアミノメチルポリスチレン(3.2mmol/g,938mg)で処理した。一晩攪拌後、混合物を直接、シリカゲルフラッシュカラム上に負荷した[段階勾配 DCM中における6−10%MeOH(10% 0.880アンモニア溶液を含有する)]。所望の生成物を含有するフラクションを蒸発させ、次いで、DCM中に再溶解し、過剰のジオキサン中4M HClで処理した。アセトンからの結晶化により、標題化合物(E10)を得た(225mg)。
MSエレクトロスプレー(+イオン) 347 (MH
H NMR δ (DMSO−d6):10.45(1H,m),7.41(2H,d,J=8.5Hz),7.02(2H,d,J=8.5Hz),4.63(2H,m),4.02(1H,m),3.02−3.93(13H,m),2.32(1H,m),1.96(2H,m),1.61(2H,m),1.27(6H,d,J=6.5Hz)
【0070】
実施例11
1−シクロブチル−4−({4−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジニル]フェニル}カルボニル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E11)
【化14】

1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)(0.28g)および5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン(F. Cottet and M. Schlosser, Eur. J. Org. Chem., 2002, 327)の乾燥および脱気アセトニトリル(3.5ml)中混合物をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.050g)、および2M NaCO水溶液(0.6ml)で処理した。反応混合物をEmrys Optimiserマイクロ波反応器中、140℃で5分間加熱した。次いで、粗反応混合物をMeOH(10ml)で希釈し、該溶液を直接、SCXカラム(10g)上に注ぎ入れ、まず、MeOH(60ml)で洗浄し、次いで、MeOH中における2Mアンモニア溶液(60ml)で溶出した。アンモニア/メタノールフラクションを濃縮し、さらに、Watersマスディレクテッド(mass directed)分取HPLCで精製した。所望のフラクションを濃縮し、残留ゴムをMeOH(1ml)中に再溶解し、エーテル性HCl(1ml,1N)で処理した。溶媒蒸発後、残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして、標題塩酸塩(E11)を白色固体として得た(0.088g)。
H NMR δ (メタノール−d4):1.76−1.89(2H,m),2.18−2.38(6H,m),3.09−3.18(2H,m),3.47−3.9(6H,m),4.31−4.35(1H,m),7.64(2H,d,J=8Hz),7.88(1H,d,J=8Hz),7.92(2H,d,J=8Hz),8.33(1H,d,J=8Hz),9.02(1H,s)
LCMSエレクトロスプレー(+ve)404(MH
【0071】
実施例12
6−{4−[(4−シクロブチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)カルボニル]フェニル}−3−シアノピリジン塩酸塩(E12)
【化15】

標題化合物(E12)は、実施例11と同様に、1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)(0.15g)および6−クロロニコチノニトリル(0.054g)から調製された。粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル,段階勾配 DCM中における0−15%MeOH(10% 0.88アンモニア溶液を含有する)]によって精製した。遊離塩基化合物を乾燥DCM(2ml)中、エーテル性HCl(1ml,1N)を用いてHCl塩に変換した。溶媒の蒸発により、標題化合物(E12)を白色固体として得た(0.046g)。
H NMR δ (メタノール−d4):1.78−1.90(2H,m),2.1−2.4(6H,m),3.03−3.2(2H,m),3.5−3.9(6H,m),4.28−4.35(1H,m),7.65(2H,d,J=8Hz),8.13(1H,d,J=8Hz),8.23−8.26(3H,m),8.99(1H,d,J=2.4Hz)
LCMSエレクトロスプレー(+ve)361 (MH
【0072】
実施例13
5−{4−[(4−シクロブチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)カルボニル]フェニル}−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド塩酸塩(E13)
【化16】

標題化合物(E13)は、実施例11と同様に、1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)(0.22g)および5−ブロモ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド(D11)(0.11g)から調製された。SCX後処理後、粗混合物をWatersマスディレクテッド分取HPLCで精製した。純粋なフラクションを濃縮し、乾燥DCM(2ml)中に再溶解し、1Nエーテル性HClで処理した。溶媒蒸発後、標題化合物(E13)を白色固体として得た(0.062g)。
H NMR δ (メタノール−d4):1.77−2.00(2H,m),2.15−2.45(6H,m),3.0(3H,s),3.07−3.25(2H,m),3.45−3.85(6H,m),4.28−4.39(1H,m),7.67−7.69(2H,d,J=8Hz),7.90−7.88(2H,d,J=8Hz),8.25(1H,d,J=8Hz),8.42(1H,d,J=8Hz),8.99(1H,d,J=1.2Hz)
LCMSエレクトロスプレー(+ve) 393 (MH
【0073】
実施例14
5−{4−[(4−シクロブチルヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル)カルボニル]フェニル}−2−シアノピリジン塩酸塩(E14)
【化17】

標題化合物(E14)は、実施例11と同様に、5−ブロモ−2−シアノピリジン(0.043g)および1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)(0.1g)から調製された。
H NMR δ (メタノール−d4):1.8−1.9(2H,m),2.18−2.38(6H,m),3.05−3.20(2H,m),3.48−3.90(6H,m),4.28−4.38(1H,m),7.64(2H,d,J=8.4Hz),7.83(2H,d,J=8.4Hz),7.92(1H,d,J=8Hz),8.24(1H,dd,J=8Hz),9.04(1H,d,J=1.6Hz)
LCMSエレクトロスプレー(+ve) 361 (MH
【0074】
実施例15
5−(4−{[4−(1−イソプロピル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]カルボニル}フェニル)−2−シアノピリジン塩酸塩(E15)
【化18】

4−(6−シアノ−3−ピリジニル)安息香酸(D9)(0.35g)を乾燥DMF中に溶解し、EDC(0.51g)および触媒量のHOATで処理した。反応混合物を室温で5分間攪拌し、次いで、1−(イソプロピル)−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D2)(0.28g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1ml)を添加し、室温で一晩攪拌した。溶媒蒸発後、残渣をDCM(15ml)と水(15ml)との間に分配した。DCM層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濃縮して粗残渣を得、それをフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル,段階勾配 DCM中における0−15%MeOH(10% 0.88アンモニア溶液を含有する)]によって精製した。純粋なフラクションを合わせ、濃縮して遊離塩基を得、それをDCM(2ml)中、1Nエーテル性HCl(1ml)を用いてHCl塩に変換した。溶媒蒸発により、標題化合物(E15)を得た(8mg)。
H NMR δ (メタノール−d4):1.4(6H,d,J=6.4Hz),2.16(2H,bs),3.47−4.2(8H,m),4.2−4.4(1H,m),7.68(2H,d,J=8Hz),7.85(2H,d,J=8Hz),7.98(1H,d,J=8Hz),8.29(1H,dd,J=8Hz),9.04(1H,d,J=1.6Hz)
LCMSエレクトロスプレー(+ve)349 (MH
【0075】
実施例16
N−メチル−5−(4−{[4−(1−イソプロピル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−1−イル]カルボニル}フェニル)−2−ピリジンカルボキサミド塩酸塩(E16)
【化19】

標題化合物(E16)は、実施例11と同様に、1−(イソプロピル)−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D12)(0.15g)および5−ブロモ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド(D11)(0.086g)から調製された。SCX後処理後、生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル,段階勾配 DCM中における0−15%MeOH(10% 0.88アンモニア溶液を含有する)]を用いて精製した。遊離塩基生成物を乾燥DCM(2ml)中に溶解し、1Nエーテル性HCl(1ml)で処理した。溶媒蒸発により、標題化合物(E16)を白色固体として得た(0.1g)。
H NMR δ (DMSO−d6):1.25−1.30(6H,m),1.99−2.2(1H,m),2.27−2.45(1H,m),2.84−2.85(3H,d,J=4.8Hz),3.2−4.18(9H,m),7.65(2H,d,J=8Hz),7.90(2H,d,J=8Hz),8.12(1H,d,J=8Hz),8.32(1H,dd,J=8Hz),8.82(1H,q,J=4.8Hz),8.98(1H,d,J=1.6Hz)
LCMSエレクトロスプレー(+ve)381(MH
【0076】
実施例17−21(E17−E21)
実施例17−21は、実施例11と同様に、1−(イソプロピル)−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D12)および適当な臭化または塩化ヘテロアリールから調製された。全ての化合物が構造と一致するH NMRおよび質量スペクトルデータを示した。
【0077】
【化20】

【表2】

【0078】
実施例22
1−シクロブチル−4−({4−[6−(トリフルオロメチル)−3−ピリダジニル]フェニル}カルボニル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E22)
【化21】

標題化合物(E22)は、実施例11と同様に、1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)および3−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリダジン(Goodman,Stanforth and Tarbit,Tetrahedron,1999,55,15067)から調製された。後処理後、該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル,勾配 0−100% EtOAc−MeOH]によって精製し、遊離塩基を標題塩酸塩(E22)に変換した。
H NMR δ (メタノール−d4):1.8−1.95(2H,m),2.15−2.48(6H,m),3.07−3.25(2H,m),3.48−3.95(6H,m),4.3−4.5(1H,m),7.72(2H,d,J=8Hz),8.21(1H,d,J=8Hz),8.32(2H,d,J=8Hz),8.45(1H,d,J=8Hz)
【0079】
実施例23
1−シクロブチル−4−({4−[2−(トリフルオロメチル)−5−ピリミジニル]フェニル}カルボニル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E23)
【化22】

標題化合物(E23)は、実施例11と同様に、1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)および5−ブロモ−2−トリフルオロメチルピリミジン(D13)から調製された。後処理後、該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル,勾配 0−100% EtOAc−MeOH]によって精製し、遊離塩基を標題塩酸塩(E23)に変換した。
H NMR δ (DMSO−d6):1.6−1.75(2H,m),2.0−2.4(6H,m),2.97−3.05(2H,m),3.35−3.70(6H,m),4.14−4.19(1H,m),7.67(2H,d,J=8Hz),8.0(2H,d,J=8Hz),9.45(2H,s),10.8−11.0(1H,bs)
LCMSエレクトロスプレー(+ve)405(MH
【0080】
実施例24−28(E24−E28)
実施例24−28は、実施例15と同様に、1−(シクロブチル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)または1−(イソプロピル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D2)のいずれか、および適当な安息香酸から調製された。エーテル性HClを用いて、遊離塩基生成物を対応する塩酸塩に変換した。
【0081】
【化23】

【表3】

【0082】
実施例29−43(E29−E43)
実施例29−43は、1−(シクロブチル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)(0.1g)または1−(イソプロピル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D2)(0.1g)のいずれかから、DCM/DMF(5ml)の1:1混合液中で調製された。該溶液に、ジエチルアミノメチル−ポリスチレン(3.2mmol/g)(0.4g,3当量)を加え、室温で10分間攪拌し、次いで、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N−メチルポリスチレン(200−400メッシュ,2.3mmol/g)(0.2g)、触媒的HOBTおよび1当量の適当な安息香酸を加えた。反応混合物を室温で48時間振盪した。トリス−(2−アミノエチル)アミノメチルポリスチレン(PS−トリスアミン)(0.050g)を加え、反応混合物を室温でさらに4時間振盪した。該樹脂をろ過し、ろ液を蒸発乾固させた。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル,段階勾配 DCM中における0−15%MeOH(10% 0.88アンモニア溶液を含有する)]によって精製した。エーテル性HCl(1ml,1N)を用いて、該遊離塩基化合物を乾燥DCM(2ml)中におけるHCl塩に変換した。化合物は、構造と一致するH NMRおよび質量スペクトルを示した。
【0083】
【化24】

【表4】

【0084】
実施例44−51(E44−E51)
実施例44−51は、実施例29−43と同様に、1−(シクロブチル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン二塩酸塩(D4)および適当な安息香酸から調製された。
【0085】
【化25】

【表5】

【0086】
実施例52−55(E52−E55)
実施例52−55は、THF/HOを溶媒として用い、炭酸カリウムを塩基として用い、反応物を80−85℃で1時間加熱させたことを除き、実施例11と同様に、1−シクロブチル−4−{[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D7)および適当な臭化アリール(例えば、E53−E55に対して、各々、D14−D16)から調製された。化合物は、構造と一致するH NMRおよび質量スペクトルを示した。
【0087】
【化26】

【表6】

【0088】
実施例56
1−シクロブチル−4−{[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E56)
【化27】

【0089】
工程1:4−{[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
マイクロ波バイアルに、2−(4−ブロモフェニル)−オキサゾール(D17)(0.224g)、モリブデンヘキサカルボニル(0.111g)、トランス−ジ−μ−アセタトビス[2−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]パラジウム(II)(0.04g)、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(0.08g)を充填し、アルゴンでパージした。ジグリム(4ml)、トルエン(2ml)および4M水性炭酸カリウム(0.74ml)を加え、反応混合物をアルゴン飽和によって脱気した。tert−ブチル−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピンカルボキシレート(0.22g)を加え、反応バイアルをマイクロ波反応器中、150℃で20分間加熱した。反応混合物をろ過し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。粗生成物のクロマトグラフィー(シリカゲル,EtOAc/ヘキサン,50−100%で溶出する)により、副題化合物を得た(0.141g)。
【0090】
工程2:4−{[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン
E56,工程1由来の生成物をDCM(5ml)中に溶解し、TFA(0.5ml)を加えた。7時間後、飽和水性炭酸カリウム(5ml)を加え、水相をDCM(3x10ml)中に抽出した。合わせた有機相をブライン(20ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、副題化合物を黄色油として得た(0.064g)。
【0091】
工程3:1−シクロブチル−4−{[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩
シクロブタノン(0.04ml)を、E56工程2由来の生成物(0.064g)およびトリエチルアミン(0.12ml)のDCM(2.5ml)中溶液に加えた。5分後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.111g)を加え、反応混合物を16時間攪拌した。飽和水性炭酸水素ナトリウム(5ml)を加え、水相をDCM(10ml)中に抽出した。有機相をPhaseSep(登録商標)カートリッジによってろ過し、蒸発させた。粗混合物のクロマトグラフィー[シリカゲル,MeOH中における2N NH/DCM,0−15%で溶出する]により、所望のアミン遊離塩基を得、それをDCM(2ml)中に溶解し、HCl(1ml,ジエチルエーテル中1M)で処理した。沈殿をろ過し、乾燥させて、標題化合物(E56)を得た(0.07g)。
MSエレクトロスプレー(+イオン)326(MH+)
【0092】
実施例57
1−(1−メチルエチル)−4−{[4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩
【化28】

4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)安息香酸(D18)(0.415g)、1−(イソプロピル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D2の遊離塩基)(0.294g)、EDC(0.425g)およびHOBT(0.282g)をDMF(10ml)中に溶解し、アルゴン下で攪拌した。ヒューニッヒ塩基(1.43ml)を加え、反応混合物を15時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、黄色残渣をDCM(10ml)と飽和炭酸水素ナトリウム(10ml)との間に分配した。水相をDCM(2x10ml)中に抽出し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗アミドを茶色固体として得た。粗混合物のクロマトグラフィー[シリカゲル,MeOH/DCM,0−20%で溶出する]により、所望のアミン遊離塩基を得、それをDCM(2ml)中に溶解し、HCl(1ml,ジエチルエーテル中1M)で処理した。沈殿をろ過し、乾燥させて、標題化合物(E57)を得た(0.07g)。
MS エレクトロスプレー(+イオン)329(MH
H NMR δ (CDCl,遊離塩基):8.16(2H,d,J=8.4Hz),7.56(2H,d,J=8.4Hz),3.79−3.77(2H,m),3.44−3.40(2H,m),2.93(1H,app pent,J=6.8Hz),2.82(1H,app tr,J=5.2Hz),2.70(1H,app tr,J=5.8Hz),2.65−2.59(2H,m),2.48(3H,s),1.96−1.90(1H,m),1.77−1.71(1H,m),1.04(3H,d,J=6.4Hz)および0.99(3H,d,J=6.4Hz)
【0093】
実施例58
1−シクロブチル−4−{[4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]カルボニル}ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン塩酸塩(E58)
【化29】

4−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)安息香酸(D18)(0.365g)、1−(シクロブチル)ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン(D4由来の遊離塩基化合物)(0.28g)、EDC(0.374g)およびHOBT(0.248g)をDMF(10ml)中に溶解し、アルゴン下で攪拌した。ヒューニッヒ塩基(1.26ml)を加え、反応混合物を15時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、黄色の残渣をDCM(10ml)と飽和炭酸水素ナトリウム(10ml)との間に分配した。水相をDCM(2x10ml)中に抽出し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗アミドを茶色固体として得た。粗混合物のクロマトグラフィー[シリカゲル,MeOH/DCM,0−20%で溶出する]により、所望のアミン遊離塩基を得、それをDCM(2ml)中に溶解し、HCl(1ml,ジエチルエーテル中1M)で処理した。沈殿をろ過し、乾燥させて、標題化合物(E58)を得た(0.07g)。
MSエレクトロスプレー(+イオン)341 (MH
H NMR δ (CDCl,遊離塩基):8.16(2H,d,J=8.4Hz),7.55(2H,d,J=8.4Hz),3.81−3.78(2H,m),3.48−3.42(2H,m),2.97−2.85(1H,m),2.65−2.63(1H,m),2.54−2.42(3H,m),2.50(3H,s),2.11−1.95(3H,m),1.90−1.75(3H,m)および1.71−1.58(2H,m)
【0094】
略語
Boc tert−ブトキシカルボニル
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
min 分
DCM ジクロロメタン
MeOH メタノール
rt 室温
DMF ジメチルホルムアミド
TFA トリフルオロ酢酸
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
【0095】
限定するものではないが、特許および特許出願を包含する本明細書に引用される全ての出版物は、あたかも個々の出版物が詳細且つ個々に、出典明示によって全体が示されているかのように本明細書の一部とされることが示されているかの如く、出典明示により、本明細書の一部とする。
【0096】
生物学的データ
ヒスタミンH3受容体を含有する膜調製物は、下記の手法にしたがって調製されうる。
(i)ヒスタミンH3細胞系統の作成
ヒトヒスタミンH3遺伝子をコードしているDNA(Huvar, A.ら、(1999) Mol. Pharmacol. 55(6), 1101−1107)をホールディングベクターpCDNA3.1 TOPO(InVitrogen)中にクローン化し、そのcDNAを該ベクターから、酵素BamH1およびNot−1を用いるプラスミドDNAの制限消化によって単離し、同じ酵素で消化した誘導発現ベクターpGene(InVitrogen)中にライゲートした。GeneSwitchシステム(移入遺伝子発現が誘導物質の不在下でスイッチオフされ、誘導物質の存在下でスイッチオンされるシステム)を米国特許第5,364,791号、第5,874,534号および第5,935,934号に記載のように実施した。ライゲートしたDNAをコンピテントDH5αE.coli宿主細菌細胞中に形質転換し、ZeocinTM(登録商標)(pGeneおよびpSwitch上に存在するsh ble遺伝子を発現している細胞の選択を可能にする抗生物質)を50μg ml−1で含有するLuria Broth(LB)寒天上で培養した。再ライゲートされたプラスミドを含有するコロニーを制限分析によって同定した。哺乳動物細胞中へのトランスフェクションのためのDNAは、pGeneH3プラスミドを含有する宿主細菌の250ml培養物から調製し、DNA調製キット(Qiagen Midi−Prep)を用いて、製造者のガイドライン(Qiagen)にしたがって単離した。
使用の24時間前に、予めpSwitch調節プラスミド(InVitrogen)でトランスフェクトされたCHO K1細胞をT75フラスコあたり2x10e6細胞にて、10%v/v透析胎仔ウシ血清、L−グルタミンおよびハイグロマイシン(100μg ml−1)を補足したHams F12(GIBCOBRL,Life Technologies)培地を含有する完全培地中に播種した。リポフェクタミンを用い、製造者のガイドライン(InVitrogen)にしたがって、プラスミドDNAを該細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を、500μg ml−1 ZeocinTMを補足した完全培地中で培養した。
選択の10−14日後、10nMミフェプリストン(Mifepristone)(InVitrogen)を培養培地に加えて、受容体の発現を誘導した。18時間誘導後、リン酸緩衝化セーラインpH7.4で数回洗浄後、エチレンジアミン四酢酸(EDTA;1:5000;InVitrogen)を用いて細胞をフラスコから剥がし、フェノールレッドを含有せず、アール(Earles)塩および3%Foetal Clone II(Hyclone)を補足した最少必須培地(MEM)を含有するソーティング培地中に再懸濁した。約1x10e7細胞を、ヒスタミンH3受容体のN−末端ドメインに対して生じたウサギポリクローナル抗体4aでの染色(氷上で60分間インキュベートし、次いで、ソーティング培地中で2回洗浄する)によって、受容体発現について調べた。受容体に結合した抗体は、氷上で60分間、Alexa488蛍光マーカー(Molecular Probes)と結合させたヤギ抗ウサギ抗体と一緒に細胞をインキュベーションすることによって検出された。ソーティング培地でさらに2回洗浄後、細胞を50μm FilconTM(BD Biosciences)でろ過し、次いで、自動細胞分取装置(Automatic Cell Deposition Unit)を装備したFACS Vantage SEフローサイトメーター上で分析した。対照細胞は、同様の方法で処理された非誘導細胞であった。陽性染色細胞を、500μg ml−1 ZeocinTMを含有する完全培地を含有する96ウェルプレート中に単一細胞として選別し、増殖させた後、抗体およびリガンド結合研究による受容体発現について分析した。1クローン、3H3を膜調製のために選択した。
【0097】
(ii)培養細胞からの膜調製
該プロトコールの全工程は、4℃にて、予め冷却した試薬を用いて行われる。細胞ペレットを10容量の10e−4Mロイペプチン(アセチル−ロイシル−ロイシル−アルギナル;Sigma L2884)、25μg/mlバシトラシン(bacitracin)(Sigma B0125)、1mメチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および2x10e−6MペプスタインA(pepstain A)(Sigma)を補足した50mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)を含有するバッファーA2(pH7.40)中に再懸濁する。次いで、該細胞を1LガラスWaringブレンダー中、2x15秒バーストによってホモジナイズし、次いで、500gで20分間遠心分離する。次いで、上清を48,000gで30分間スピンする。ペレットを4容量のバッファーA2中において、5秒間ボルテックスすることによって再懸濁し、次いで、Dounceホモゲナイザー中でホモジナイズする(10−15ストローク)。この時点で、調製物をポリプロピレンチューブ中にアリコートし、−70℃で保管する。
【0098】
(iii)ヒスタミンH1細胞系統の作成
文献[Biochem.Biophys.Res.Commun.1994,201(2),894]に記載される既知の手法を用いて、ヒトH1受容体をクローン化した。文献[Br.J.Pharmacol.1996,117(6),1071]に記載される既知の手法にしたがって、ヒトH1受容体を安定に発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞を作成した。
【0099】
本発明の化合物は、下記のアッセイにしたがって、イン・ビトロでの生物学的活性について試験されうる。

(I)ヒスタミンH3結合アッセイ
アッセイしている各化合物について、白壁の透明底96ウェルプレート中において、下記のものを加える。
(a)10%DMSO中において所望の濃度に希釈した10μlの試験化合物(または10μlヨードフェンプロピット(iodophenpropit)(既知のヒスタミンH3アンタゴニスト)最終濃度10mM);
(b)最終濃度20pMを与えるように、アッセイバッファー(50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファー(トリス)pH7.4,0.5mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA))中200pMに希釈した10μlの125I 4−[3−(4−ヨードフェニルメトキシ)プロピル]−1H−イミダゾリウム(ヨードプロキシファン(iodoproxyfan))(Amersham;1.85MBq/μlまたは50μCi/ml;比活性〜2000Ci/mmol);および
(c)シンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ型WGA−PVTを100mg/mlでアッセイバッファー中に懸濁し、次いで、膜(上記の方法にしたがって調製された)と混合し、最終容量80μl(1ウェルあたり7.5μg蛋白質および0.25mgビーズを含有する)を与えるようにアッセイバッファー中において希釈することによって調製された80μlのビーズ/膜混合物(混合物は、ローラーにおいて、予め室温で60分間混合された)。
プレートを5分間振盪させ、次いで、室温で3−4時間静置した後、Wallac Microbetaカウンター中、1分標準化トリチウムカウントプロトコールにおいて読み取る。データは、4−パラメーターロジスティック方程式を用いて分析された。
【0100】
(II)ヒスタミンH3機能アンタゴニストアッセイ
アッセイしている各化合物について、白壁の透明底96ウェルプレート中において、下記のものを加える。
(a)アッセイバッファー(20mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES) + 100mM NaCl + 10mM MgCl,pH7.4 NaOH)中において所望の濃度に希釈した10μlの試験化合物(または非特異的結合対照として10μlのグアノシン5’−トリホスフェート(GTP)(Sigma));
(b)コムギ胚凝集素−ポリビニルトルエン(WGA−PVT)シンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズを100mg/mlでアッセイバッファー中に懸濁し、次いで、膜(上記の方法にしたがって調製された)と混合し、最終容量60μl(1ウェルあたり10μg蛋白質および0.5mgビーズを含有する)を与えるようにアッセイバッファー中に希釈することによって調製された60μlのビーズ/膜/GDP混合物(混合物は、ローラーにおいて、予め4℃で30分間混合し、プレートへの添加直前に、10μM最終濃度のグアノシン5’ジホスフェート(GDP)(Sigma;アッセイバッファー中で希釈された)を加える)。
プレートは、30分間振盪することによって、室温でインキュベートして、アンタゴニストを受容体/ビーズと平衡にし、次いで、下記のものを添加する。
(c)最終濃度0.3μMで10μlのヒスタミン(Tocris);および
(d)最終濃度0.38nMを与えるようにアッセイバッファー中において1.9nMに希釈された20μlのグアノシン5’[γ35−S]チオトリホスフェート,トリエチルアミン塩(Amersham;放射能濃度=37kBq/μlまたは1mCi/ml;比活性1160Ci/mmol)。
次いで、プレートを振盪機上、室温で30分間インキュベートし、次いで、1500rpmで5分間遠心分離する。遠心分離完了後3〜6時間の間に、Wallac Microbetaカウンター中、1分標準化トリチウムカウントプロトコールにおいてプレートを読み取る。データは、4−パラメーターロジスティック方程式を用いて分析する。基礎活性(すなわち、ヒスタミンをウェルに加えない)を最小値として用いる。
【0101】
(III)ヒスタミンH1機能アンタゴニストアッセイ
化合物は、10000細胞/ウェルで細胞を播種した黒壁で透明底の384−ウェルプレート中でアッセイする。Tyrodesバッファーを終始用いる(NaCl 145mM,KCl 2.5mM,HEPES 10mM,グルコース10mM,MgCl 1.2mM,CaCl 1.5mM,プロベネシド(probenecid)2.5mM,NaOH 1.0MでpHを7.40に調整)。各ウェルを10μlのFLUO4AM溶液(Tyrodesバッファー中10μM pH7.40)で処理し、次いで、プレートを37℃で60分間インキュベートする。次いで、EMBLA細胞洗浄システムを用いて、ウェルをTyrodesバッファーで洗浄し、各ウェルにバッファーを40μl残し、次いで、10μlのTyrodesバッファー中における試験化合物で処理した。各プレートを30分間インキュベートして、試験化合物を該受容体と平衡にする。次いで、各ウェルを10μlのヒスタミンのTyrodesバッファー中溶液で処理する。
機能的拮抗作用は、FLIPRシステム(Molecular Devices)によって測定される、ヒスタミンにより誘導される蛍光増加の抑制によって示される。濃度効果曲線によって、標準的な薬理学的数学的分析を用いて機能的強度を決定する。
【0102】
結果
実施例E1−E58の化合物をヒスタミンH3機能アンタゴニストアッセイにおいて試験し、pK値>8.0を示した。より詳細には、実施例1−9、11−14、16、22−28、30−42、44、47、52−56および58の化合物は、pK9.0を示した。最も詳細には、実施例1、2、11、12および58の化合物は、pK値>9.5を示した。
実施例E1−42、44、46−48および51−55の化合物は、ヒスタミンH1機能アンタゴニストアッセイにおいて試験し、拮抗作用<7.0pKを示した。より詳細には、実施例E1−25、27−42、44、46−48および51−55の化合物は、拮抗作用<6.0pKを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、分枝鎖C3−6アルキル、C3−5シクロアルキルまたは−C1−4アルキルC3−4シクロアルキルを示し;
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、シアノ、アミノまたはトリフルオロメチルを示し;
nは0、1または2を示し;
は、−X−アリール、−X−ヘテロアリール、−X−ヘテロシクリル、−X−アリール−アリール、−X−アリール−ヘテロアリール、−X−アリール−ヘテロシクリル、−X−ヘテロアリール−アリール、−X−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−X−ヘテロアリール−ヘテロシクリル、−X−ヘテロシクリル−アリール、−X−ヘテロシクリル−ヘテロアリールまたは−X−ヘテロシクリル−ヘテロシクリルを示し;
が−X−ピペリジニル、−X−ピペリジニル−アリール、−X−ピペリジニル−ヘテロアリールまたは−X−ピペリジニル−ヘテロシクリルを示す場合、該ピペリジニル基は窒素原子を介してXに結合しており;
ここに、Rは、式(I)のフェニル基に3または4位で結合し;
Xは、結合、O、CO、SO、CHO、OCH、NR、NRCOまたはC1−6アルキルを示し;
は、水素またはC1−6アルキルを示し;
ここに、Rの該アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基は、1以上(例えば、1、2または3個の)ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリールC1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキルカルボニル、−COC1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル、アリールC1−6アルキル、ヘテロアリールC1−6アルキル、ヘテロシクリルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニルC1−6アルキル、アリールオキシ、−CO−アリール、−CO−ヘテロシクリル、−CO−ヘテロアリール、C1−6アルキルスルホンアミドC1−6アルキル、C1−6アルキルアミドC1−6アルキル、アリールスルホンアミド、アリールアミノスルホニル、アリールスルホンアミドC1−6アルキル、アリールカルボキサミドC1−6アルキル、アロイルC1−6アルキル、アリールC1−6アルカノイル、またはNR1516、−NR15CO−アリール、−NR15CO−ヘテロシクリル、−NR15CO−ヘテロアリール、−CONR1516、−NR15COR16、−NR15SO16または−SONR1516基(ここに、R15およびR16は独立して、水素またはC1−6アルキルを示す)によって置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩またはその溶媒和物。
【請求項2】
式E1−E58の化合物またはその医薬上許容される塩である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項4】
治療において使用するための請求項1または2記載の化合物。
【請求項5】
神経学的疾患の治療において使用するための請求項1または2記載の化合物。
【請求項6】
神経学的疾患の治療のための医薬の製造における請求項1または2記載の化合物の使用。
【請求項7】
必要とする宿主に、有効量の請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを特徴とする神経学的疾患の治療法。
【請求項8】
請求項1または2記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む神経学的疾患の治療において使用するための医薬組成物。

【公表番号】特表2007−508346(P2007−508346A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534702(P2006−534702)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011619
【国際公開番号】WO2005/040144
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】