説明

新規化合物

【課題】食品及び化粧料に配合する化合物の提供。
【解決手段】抗菌作用、抗酸化作用及びリパーゼ阻害作用を有する下記式(1)で表される化合物であり、メリンジョエキスから分離精製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌作用、抗酸化作用、リパーゼ阻害作用を有する新規化合物に関する。即ち、抗菌作用及び抗酸化作用による食品の品質保持効果及び皮膚の老化抑制、ラジカル消去作用による動脈硬化性疾患、発癌及び老化の予防、リパーゼの働きを阻害して脂質の消化吸収抑制による血中中性脂肪の低下効果が期待できる新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレンチパラドックスの基となった赤ワインに含まれていることで周知のこととなった抗酸化作用のあるポリフェノールが求められている。日本においては動物性食品の摂取が増える一方で植物性食品である野菜の摂取量が減少傾向にあるので、植物の防御機構を担うポリフェノールの摂取も当然減っている。それ故に成人病・若年性成人病といった生活習慣病(内臓脂肪型・メタボリックシンドローム)が増加の一途を辿っている。そこで、本発明者らは、グネツムグネモン(学名Gnetum gnemon L.)の果実に初めて着目し、その利用として日持ち向上及びラジカル消去作用を有するグネツムエキス(特許文献1)、消化酵素阻害作用を有する健康保持剤(特許文献2)、免疫賦活剤(特許文献3)、肥満・糖尿病改善剤(特許文献4)及び健康飲料(特許文献5)の発明を行っている。また、特許文献1にはグネツム種子の主たる有用成分が、ポリフェノールの一種であるスチルベノイド類のレスベラトロール2量体のグネチンC、グネモノシドA、グネモノシドC及びグネモノシドDであり、抗菌作用・抗酸化作用(ラジカル消去作用)を有することが記載されている。
【0003】
グネツム科グネツム属植物の生理作用に関する他の例として、バイマイトウ(学名:Gnetumu montanum)の養毛作用(特許文献6)、グネツム科植物の根から得られる抽出物に含まれるレスベラトロール重合体の抗菌作用(特許文献7)、グネツムエキスのコラーゲン産生促進作用・ヒアルロン酸産生促進作用・エラスターゼ阻害作用・ヒアルロニダーゼ阻害作用(特許文献8)が開示されている。
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2006/030771号公報
【特許文献2】特願2007−177967
【特許文献3】特願2007−215892
【特許文献4】特願2008−97657
【特許文献5】特願2008−97662
【特許文献6】特開平11−60450号公報
【特許文献7】特開2005−23000号公報
【特許文献8】特開2006−169225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、抗菌作用、抗酸化作用及び抗リパーゼ阻害作用に優れ、抗菌作用及び抗酸化作用による食品の品質保持及び皮膚の老化抑制、ラジカル消去作用による動脈硬化などの循環器系疾患、発癌及び老化の予防、リパーゼの働きを阻害して脂質の消化吸収抑制による血中中性脂肪の低下に優れた効果を奏することが期待できる新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を続けた結果、これまで開示されているレスベラトロール関連化合物に勝る優れた新規化合物を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、食品の品質保持効果、動脈硬化などの循環器系疾患、発癌及び老化の予防、脂質の消化吸収抑制による血中中性脂肪の低下作用などが期待できる抗菌作用、抗酸化作用及びリパーゼ阻害作用を示す新規化合物並びに新規化合物を有効成分とする食品素材、組成物、食品及び化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、新規化合物は優れた抗菌作用、ラジカル消去作用及びリパーゼ阻害作用を有するので、食品素材を加工の際に食品に配合することにより加工食品の変敗を防いで品質を保持して日持ちを向上・延長、組成物及び食品を摂取及び服用することにより活性酸素種やフリーラジカルを消去して細胞や組織の傷害を抑えて動脈硬化などの循環器系疾患、発癌及び老化を予防、脂質の消化管における消化吸収が抑制されて血中の中性脂肪(血中トリグリセリド)の上昇が抑制されると共に血中コレステロールも低下させて内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)を予防、並びに化粧料を使用することにより皮膚における有害菌増殖及び活性酸素種やフリーラジカルによる傷害を抑えて若さ・美白を維持するのに貢献できる。また、近年ペットのメタボリックシンドローム罹患の予防も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で言う下記式(1)で表される新規化合物(以下新規化合物(1)と記す)は、抽料を溶媒抽出して得られる抽出物を分離精製することにより製造することができる物質である。抽料にはグネツムグネモン(以下メリンジョと記す)果実の内乳が好適であるが、グネツム科の植物だけでなく新規化合物(1)を含有する植物が使用できる。抽料は乾燥或いは未乾燥の何れでも使用することができる。分離精製にはシリカゲル、ポーラスポリマー、逆相カラムクロマトグラフ法又はゲル濾過クロマトグラフ法などが利用できる。
【化6】



【0009】
本発明で言う食品素材とは、種々の食品素材を使用して加工食品を製造するときに配合する材料のことであり、新規化合物(1)を含有する抽出物(エキス)を指し、抽出液、濃縮液、半固形状の濃縮物、固形状の濃縮物などが挙げられる。
【0010】
本発明における組成物とは、新規化合物(1)を有効成分として含有し、食品の加工に使いやすい加工食品用製剤及び循環器系疾患などの予防用の健康組成物のことを言い、健康組成物は健康食品、更には特定保健用食品とすることもできる。新規化合物(1)の配合量は0.001〜10%の範囲、好ましくは、0.005〜5%の範囲であり、食品素材の使用にあっては含有量を換算して配合する。製剤は、使用目的に応じて散剤(粉末)、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、半固形剤などの剤形とすることができ、目的とする剤形に応じて賦形剤、結合剤、懸濁化剤、増粘ゲル化剤、崩壊剤、滑沢剤、包接剤、界面活性剤、乳化剤、半固形剤用基剤、甘味料、酸味料、強化剤、調味料、品質改良剤などを配合することができる。
【0011】
賦形剤としては、ブドウ糖、乳糖、デキストリン、オリゴ糖などの水溶性糖類、澱粉、穀粉、結晶セルロースなどの多糖類、塩化ナトリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、りん酸カルシウム、りん酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機物などが挙げられる。結合剤としては、α化澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられ、懸濁化剤、増粘ゲル化剤及び湖料としては、α化澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては寒天、澱粉、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、タルク、二酸化ケイ素などが挙げられる。溶解補助及び矯味のために、α−、β−及びγ−シクロデキストリン、分岐(又は分枝)シクロデキストリンなどの包接剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、ユッカ抽出物などの界面活性剤(乳化剤)などを使用することができる。半固形剤においては植物油、動物油、硬化油、ミツロウ、マクロゴール、流動パラフィン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マクロゴール脂肪酸エステル、ステアリン酸、ゼラチン、ステアリルアルコール、加水ラノリン、セタノールなどの基剤を用いることができる。必要に応じてアラビアゴム、グリセリン、D−ソルビトール、プロピレングリコール、単シロップなどの保湿剤・品質改良剤を配合することもできる。
【0012】
健康組成物である飲食品の味を整えるために、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、マルトース、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖などの甘味料、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸などの酸味料、アミノ酸などの調味料などを配合することができ、ビタミン類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウムなどの強化剤、カルシウム塩類、着色料、膨張剤、着香料、保存料など、一般的飲食品原料として使用されているものを適宜配合して製造することができる。
【0013】
動脈硬化などの循環器系疾患、発癌及び老化の予防、脂質の消化吸収抑制による血中中性脂肪の低下作用のための飲食品の例としては、清涼飲料、ジュース、コーヒー、紅茶、リキュール、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト、飴(キャンデー)、キャラメル、チューインガム、チョコレート、グミ、アイスクリーム、プディング、卵製品、羊羹、水羊羹、おかき、餅、団子、煎餅、クレープ、お好み焼き、パン、クッキー、麺類、ハンバーグ、水練製品、てんぷら、発酵食品などが挙げられる。
【0014】
必要ならば、トマト,玉ねぎ,人参,ブロッコリー,キャベツ,インゲン豆,カボチャ,レタス,赤ピーマン,セロリ,ホウレンソウ,リンゴ,レモン,アセロラ,ミカンなどの野菜・果実及びそのエキスなどだけでなく明日葉、甘茶、アマチャヅル、アロエ、イチョウ葉、ウーロン茶、ウコン、ウラジロガシ、エゾウコギ、エゾウコギ、オオバコ、カキオドシ、柿、カミツレ、カモミール、カリン、ガルシニア、河原決明、菊花、クチナシ、桑、クコ、月桂樹、紅茶、紅豆杉、コンフリー、昆布、桜、サフラン、シイタケ、シソ、ショウガ、しょうが、スギナ、スワンギ、セキショウ、センダングサ、センブリ、ソバ、タマリン度、タラノキ、タンポポ、チコリ、杜仲、ナタマメ、ニワトコ、ネズミモチ、ハトムギ、ハブ、バングレ、松葉、マテ、麦茶、メグスリノキ、ユーカリ、ヨモギ、羅漢果、緑茶、ルイボス、霊芝、ガランガル、ギムネマ、グァバ葉、ゲンノショウコ、玄米、ゴボウ、ドクダミ、バナバ、ビワの葉、紅花などのいわゆる生薬・健康茶及びそれらの抽出物などを添加配合してもよい。更には牛乳,クリームなどの乳製品,豆乳,豆腐などの大豆製品などを添加することもできる。
【0015】
本発明の健康組成物を、循環器系疾患、発癌及び老化の予防、血中の中性脂肪の低下のために飲食品として用いる場合の服用(投与)量は、服用の目的や服用者の状況(性別、年齢、体重、肥満度、総合的健康度合いなど)により異なるが、通常、1日の服用量として、新規化合物(1)を重量換算で、0.1〜100mg/体重kgの範囲で服用することができる。原料の植物は常食にされているので100mg/体重kgを超える服用も何ら問題はない。また、動物にあっても同様に適用することができる。
【0016】
本発明で言う食品は、前記食品素材を配合及び新規化合物(1)含有食品用製剤を使用して製造した食品のことである。
【0017】
本発明で言う化粧料としては、化粧水、クリーム、乳剤、シャンプー、ファンデーション、リップクリーム、口紅などが挙げられる。必要に応じて新規化合物(1)の効果を損なわない範囲内で油脂類、ロウ類、炭化水素類、アルコール類、脂肪酸類、エステル類、金属石鹸、界面活性剤などの基材を原料として配合することができる。新規化合物(1)の含有量は、化粧料全体の0.001〜5質量%(以下、%と記す)、好ましくは0.01〜2%配合するのが適当である。0.001%未満ではでは効果を奏することができず、5%を越える量を配合しても効果の増強が認められず不経済である。添加方法は、当初から加えても、製造途中で加えてもよく、作業性及び経済性を考慮して適宜選択すればよい。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1(エキスの製造)
メリンジョ乾燥内乳の破砕物15kgを50%エタノール60Lに5日間浸漬後、不溶物を除去した抽出液を減圧濃縮した。濃縮液から析出物を分離後、析出物を減圧乾燥して新規化合物(1)を含有するメリンジョエキスを579g得た。
【0020】
実施例2(新規化合物の製造)
実施例1で得たメリンジョエキス386gにアセトン2Lを加えて溶解し、ろ過後、ろ液を濃縮して多孔質ポリマー(ダイアイオンセパビーズ)カラムに付した。含水メタンールのメタノール濃度を徐々に高くした溶出液で溶出させてグネモノシドA、グネモノシドC、グネモノシドD及びグネチンCの分画と新規化合物の分画を分離した。この分画をODSカラムに付し、メタノール/水/酢酸(54:45:1)で溶出して新規化合物(1)の精製品を白色粉末として2.4g得た。
【0021】
新規化合物の機器分析データ:[α]546 −27.1 (c 0.5, メタノール); Ir (KBr) cm−1 3389, 1605, 1515, 1431, 1341, 1269, 1158, 1004, 836;陰イオンHR−FAB−MS m/z 484.1536(計算値C2924, 484.1522)。
PMR(重アセトン,600MHz):3.83(3H,s,CH3O−5a),4.42(1H,d,J =5.3,H−8a),5.37(1H,d,J =5.3,H−7a),6.18(2H,d,J =2.3,H−10a,14a),6.24(1H,t,J =2.3,H−12a),6.71(1H,s,H−10b),6.60(1H,s,H−14b),6.83(1H,d,J =0.2,H−2a),6.82(1H,d,J =0.2,H−4a),6.86(2H,d,J =8.5,H−3b,5b),6.98(1H,t,J =0.2,H−6a),6.98(1H,d,J =16.2,H−8b),7.11(1H,d,J =16.2,H−7b),7.45(2H,d,J =8.5,H−2b,6b),7.70(1H,s,HO−3a),8.14(1H,s,HO−13a),8.18(2H,s,HO−11a,13a),8.53(1H,s,HO−4b)。CNMR(重アセトン,150MHz):56.0(C−8a),56.3(CH3O−5a),93.8(C−7a),99.1(C−10b),101.9(C−12a),106.7(C−10a,14a),108.0(C−14b),110.2(C−6a),115.1(C−12b),115.8(C−2a),116.4(C−3b,5b),119.2(C−4a),126.7(C−8b),128.7(C−2b,6b),129.1(C−7b),129.9(C−1b),134.4(C−1a), 141.1(C−9b),146.1(C−9a),147.4(C−3a),148.4(C−5a),155.4(C−13b),158.2(C−4b),159.6(C−11a,13a),163.1(C−11b)。なお,炭素番号は下記式(2)
【化7】



【0022】
実施例3(粉末の製造)
実施例2の新規化合物(1)の粉末1g及びデキストリン(マックス1000、松谷化学製)99gを混合機でよく混合して粉末100gを製造した。
【0023】
実施例4(錠剤の製造)
実施例3の粉末80g、乳糖70g及びステアリン酸マグネシウム0.7gを混合し、本混合物を単
発式打錠機にて打錠し、直径8mm、重量200mgの錠剤(新規化合物(1)1mg含有)を製造した。
【0024】
実施例5(錠剤の製造)
実施例1のメリンジョエキス100g、デキストリン(マックス1000、松谷化学製)100g、乳糖200g及びステアリン酸マグネシウム2gを混合し、本混合物を単発式打錠機にて打錠し、直径8mm、重量200mgの錠剤(新規化合物(1)0.3mg含有)を製造した。
【0025】
実施例6(キャンディー)
実施例3の粉末1部、グラニュー糖28部、水 飴21部、ク エ ン酸0.5部、香料0.1部及び色素0.1部を配合してキャンディーを製造した。本キャンディーは苦みもなく、味は良好であった。
【0026】
実施例7(ジュース)
実施例1のメリンジョエキス1部、冷凍濃縮温州みかん果汁25部、果糖ブドウ糖液糖15部、クエ酸1部、L−アスコルビン酸0.1部、香料0.5部、色素0.2部及び水200部を配合してジュースを製造した。本ジュースはみかんの風味や色に変化がなかった。
【0027】
実施例8(チューインガム)
実施例1のメリンジョエキス1部、チューインガムベース300部、ショ糖800部、水飴300部、軟化剤60、香料13部及び色素1部を配合してチューインガムを製造した。本チューインガムは苦みもなく、味は良好であった。
【0028】
実施例9(チョコレート)
実施例1のメリンジョエキス1部、チョコレート220部、ショ糖75、カカオバター100部及び脂粉乳100部を配合してチョコレートを製造した。配合されたグネツムエキスがチョコレートの風味や色に影響を与えることはなく、美味しいものであった。
【0029】
実施例10(クッキー)
実施例3の粉末1部、薄力粉2.3部、全卵1.6部、マーガリン1.9部、上白糖2.5部、ベーキングパウダー0.02及び水 0.73部を配合してクッキーを製造した。本クッキーは風味がよくて苦みもなく、味は良好であった。
【0030】
実施例11(おかき)
実施例3の粉末1部、餅粉20部、食塩0.1部及び水20部を配合しておかきを製造した。本おかきは風味が良く、良好な味であった。
【0031】
実施例12(クレープ)
実施例1のメリンジョエキス1部、薄力粉20部、全卵10部、牛乳10部、食塩0.4部、バニラエッセンス適量及び水32部を配合してクレープを製造した。本クレープは良好な風味と味を有していた。
【0032】
実施例13(固形ドッグフード)
実施例1のメリンジョエキス1部、ミートミール10部、チキンエキス1部、植物油脂1部、炭水化物3.6部、炭酸カルシウム0.1部、食塩0.04部、複合ビタミン剤0.2部及び水2部を配合してドッグフードを製造した。
ていた。
【0033】
実施例14(抗菌作用)
種々の試料濃度の50%エタノール溶液を熱トリプトソイ寒天培地に加え、混合して冷却後、平板に枯草菌を接種して30℃で72時間培養した。枯草菌コロニーの有無を目視して最小発育阻止濃度(MIC)を測定した結果、実施例2の新規化合物(1)粉末が0.001%、グネチンCが0.002%、ソルビン酸(pH7.5)が0.2%以上であり、本発明の新規化合物(1)が最も高い抗菌作用を示した。
【0034】
実施例15(抗酸化作用・ラジカル消去作用)
1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジルラジカル(DPPH)のエタノール溶液(250μM)2mL、50%エタノール4mL、種々の試料濃度の50%エタノール溶液4mL及び0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)4mLの混合液を室温で5時間反応させた後、517nmにおける試料を含まない対照液の吸光度(OD)及び試料液の吸光度(OD)を測定した。消去率(1−OD/OD)及び試料濃度の関係からDPPHの濃度を1/2にする濃度(ED50)、即ちODが1/2になる各試料のED50を求めた結果、実施例2の新規化合物(1)粉末が9μM、グネチンCが10μM、レスベラトロール13μM、アスコルビン酸14μM、dl−α−トコフェロール17μMであり、本発明の新規化合物(1)が最も強いラジカル消去能を示した。
【0035】
実施例16(リパーゼ阻害作用)
オレイン酸4−メチルウンベリフェリルの10%メチルセルソルブ溶液(0.1mM)1mL、種々の試料濃度の10%メタノール溶液1mL、ブタ膵液リパーゼを0.1Mトリス緩衝液(pH7.4、0.3M塩化ナトリウム及び2.6mM塩化カルシウム含有)に溶かした溶液(50U/mL)1mLの混合液を25℃で30分反応させた後、クエン酸の20%メチルセルソルブ溶液(25mM)7mLを加え、次いで蒸留水を加えて10倍希釈した。この希釈液の蛍光強度(励起波長:319nm、発光波長:449nm)を測定し、生成した4−メチルウンベリフェロンの濃度から各試料の50%阻止濃度(IC50)を求めた結果、実施例2の新規化合物(1)粉末が5μM、グネチンCが15μM、レスベラトロールが200μM以上であり、本発明の新規化合物(1)が最も高いリパーゼ阻害作用を示した。
【0036】
実施例17(化粧水)
実施例2の粉末1部(質量部、以下同じ)、ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル10部、パラオキシ安息香酸メチル2部及び適量の香料をエタノール100部に溶解した溶液を、グリセリン100部及び1、3−ブチレングリコール100部を精製水3800部の水溶液に攪拌しながら加えて溶解後、精製水を加えて化粧水を得た。
【0037】
実施例18(乳液)
実施例1のメリンジョエキス1部、スクワラン2.5部、オリーブ油2.5部、ホホバ油2.5部、セチルアルコール0.7部、グリセリンモノステアレート1部、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル1.5部及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート2部を70℃に加熱溶解して混合し、別にジプロピレングリコール0.5部、グリセリン1部、パラオキシ安息香酸メチル0.1部を80℃の精製水36部に攪拌溶解した水溶液及び適量の香料を攪拌しながら加えて乳化し、攪拌しながら冷却して橙赤色の乳液を得た。
【0038】
実施例19(クリーム)
実施例1のメリンジョエキス1部、スクワラン1.1部、オリーブ油0.6部、ステアリン酸0.4部、ミツロウ0.4部、ミリスチン酸オクチルドデシル0.7部、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル0.6部、ベヘニルアルコール0.3部及びグリセリンモノステアレート0.5部を70℃に加熱溶解して混合し、別に1、3−ブチレングリコール1.7部、パラオキシ安息香酸メチル0.04部及びパラオキシ安息香酸ブチル0.006部を80℃の精製水13部に攪拌溶解した水溶液及び適量の香料を攪拌しながら加えて乳化し、攪拌しながら冷却して橙赤色のクリームを得た。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によると、新規化合物(1)は、優れた抗菌作用、ラジカル消去作用及びリパーゼ阻害作用を有するので、食品素材を加工の際に食品に配合することにより加工食品の変敗を防いで品質を保持して日持ちを向上・延長、組成物及び食品を摂取及び服用することにより活性酸素種やフリーラジカルを消去して細胞や組織の傷害を抑えて動脈硬化などの循環器系疾患、発癌及び老化の予防、脂質の消化管における消化吸収が抑制されて血中の中性脂肪(血中トリグリセリド)の上昇が抑制されると共に血中コレステロールも低下させて内臓脂肪型肥満の予防、並びに化粧料を使用することにより皮膚における有害菌増殖及び活性酸素種やフリーラジカルによる傷害を抑えて若さの維持が期待されて有用である。また、近年ペットのメタボリックシンドローム罹患の予防にも貢献できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されることを特徴とする新規化合物
【化1】



【請求項2】
下記式(1)で表される新規化合物を含有することを特徴とする食品素材
【化2】

【請求項3】
下記式(1)で表される新規化合物を含有することを特徴とする組成物
【化3】

【請求項4】
下記式(1)で表される新規化合物を含有することを特徴とする食品
【化4】

【請求項5】
下記式(1)で表される新規化合物を含有することを特徴とする化粧料
【化5】




【公開番号】特開2010−184886(P2010−184886A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29262(P2009−29262)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(391012040)株式会社ホソダSHC (14)
【Fターム(参考)】