説明

新規化合物

本発明は、特定の新規な化合物を対象とする。具体的には、本発明は、式(I)の化合物、及びその塩を対象とする。本発明の化合物は、PI3キナーゼ活性の阻害剤である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホイノシチド3'OHキナーゼファミリー(以下、PI3キナーゼ)の活性又は機能の阻害剤である特定の新規な化合物、それらの調製のための方法、これらの化合物を含む医薬組成物、及び様々な障害の治療におけるこれらの化合物又は組成物の使用を対象とする。さらに具体的には、本発明の化合物は、例えば、PI3Kδ、PI3Kα、PI3Kβ及び/又はPI3Kγの活性又は機能の阻害剤である。PI3キナーゼの活性又は機能の阻害剤である化合物は、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含めた呼吸器疾患;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含めたアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含めた自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含めた炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含めた心血管疾患;血液悪性腫瘍;嚢胞性線維症;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子の運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺傷害;並びに関節リウマチ若しくは骨関節炎と関連する疼痛、背痛、一般の炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛(post-hepatic neuralgia)、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経因性疼痛(トラマ(trama))、三叉神経痛及び中枢痛を含めた疼痛などの障害の治療において有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
細胞膜は、種々のシグナル伝達経路に参加することができるセカンドメッセンジャーの大きな貯蔵庫を表す。リン脂質シグナル伝達経路におけるエフェクター酵素の機能及び調節に関して、クラスIのPI3キナーゼ(例えば、PI3Kδ)は、膜リン脂質プールからセカンドメッセンジャーを産生する。クラスIのPI3Kは、膜リン脂質PI(4,5)P2をPI(3,4,5)P3に変換し、これはセカンドメッセンジャーとして機能する。PI及びPI(4)Pはまた、PI3Kの基質であり、リン酸化され、各々PI3P及びPI(3,4)P2に変換されることがある。さらに、これらのホスホイノシチドは、5'-特異的及び3'-特異的ホスファターゼによって他のホスホイノシチドに変換されることがある。したがって、PI3K酵素活性は、細胞内シグナル伝達経路においてセカンドメッセンジャーとして機能する2種の3'-ホスホイノシチドサブタイプの産生を直接的又は間接的にもたらす(Trends Biochem. Sci. 22(7) p. 267〜72 (1997)、Vanhaesebroeckら;Chem. Rev. 101(8) p. 2365〜80 (2001)、Leslieら;Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17 p. 615〜75 (2001)、Katsoら;及びCell. Mol. Life Sci. 59(5) p. 761〜79 (2002)、Toker)。現在までに、8種の哺乳動物PI3Kが同定されてきており、これは配列相同性、構造、結合パートナー、活性化モード、及び基質選択性に基づいて、三つの主要なクラス(I、II、及びIII)に分類される。クラスIのPI3Kは、インビトロで、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトール-4-リン酸(PI4P)、及びホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(PI(4,5)P2)をリン酸化し、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI3P)、ホスファチジルイノシトール-3,4-二リン酸(PI(3,4)P2)、及びホスファチジルイノシトール-3,4,5-三リン酸(PI(3,4,5)P3)を各々産生できる。クラスIIのPI3Kは、PI及びPI4Pをリン酸化できる。クラスIIIのPI3Kは、PIをリン酸化できるのみである(Vanhaesebroeckら(1997)(上記);Vanhaesebroeckら、Exp. Cell Res. 253(1) p. 239〜54 (1999);及びLeslieら(2001)(上記))。
【0003】
クラスIのPI3Kは、p110触媒サブユニット及び調節サブユニットからなるヘテロ二量体であり、そのファミリーは、調節パートナー及び調節の機序に基づいてクラスIa及びクラスIb酵素にさらに分類される。クラスIa酵素は、3種の異なる触媒サブユニット(p110α、p110β、及びp110δ)からなり、これらは5種の異なる調節サブユニット(p85α、p55α、p50α、p85β、及びp55γ)と二量体化する。全ての触媒サブユニットは、全ての調節サブユニットと相互作用して、種々のヘテロ二量体を形成できる。クラスIaのPI3Kは一般に、調節サブユニットSH2ドメインと、活性化受容体、又はIRS-1などのアダプタータンパク質の特異的リン酸化チロシン残基との相互作用を介して、受容体チロシンキナーゼの成長因子刺激に応答して活性化される。低分子量GTPアーゼ(一例としてras)はまた、受容体チロシンキナーゼ活性化と関連してPI3Kの活性化に関与している。p110α及びp110βの両方は、全ての細胞型において恒常的に発現されており、一方p110δの発現は、白血球集団及びいくつかの上皮細胞により限定されている。対照的に、単一のクラスIb酵素は、p101調節サブユニットと相互作用するp110γ触媒サブユニットからなる。さらに、クラスIb酵素は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)系に応答して活性化され、その発現は白血球に限定されているようである。
【0004】
スキームA:PI(4,5)P2のPI(3,4,5)P3への変換
【化1】

【0005】
上記のスキームAに例示されているように、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、イノシトール環の3番目の炭素のヒドロキシルをリン酸化する。PtdIns(3,4,5)P3、PtdIns(3,4)P2及びPtdIns(3)Pを生じさせるホスホイノシチドのリン酸化によって、細胞増殖、細胞分化、細胞成長、細胞サイズ、細胞生存、アポトーシス、接着、細胞運動、細胞移動、走化性、浸潤、細胞骨格の再構築、細胞形態変化、小胞輸送及び代謝経路に不可欠であるものを含めて、種々のシグナル伝達経路のためのセカンドメッセンジャーを生じさせる(Katsoら(2001)(上記);及びMol. Med. Today 6(9)p. 347〜57 (2000)、Steinら)。
【0006】
これらのリン酸化したシグナル伝達産物の生成に関与するPI3キナーゼの活性は、元来、ウイルス腫瘍性タンパク質、並びにホスファチジルイノシトール(PI)及びそのリン酸化誘導体をイノシトール環の3’-ヒドロキシルにおいてリン酸化する成長因子受容体チロシンキナーゼと関連するものとして同定された(Panayotouら、Trends Cell Biol. 2 p. 358〜60 (1992))。しかし、より最近の生化学試験により、クラスIのPI3キナーゼ(例えば、クラスIAアイソフォームPI3Kδ)が、二重特異性キナーゼ酵素(それらが脂質キナーゼ(ホスホイノシチドのリン酸化)並びにタンパク質キナーゼ活性の両方を示すことを意味する)であり、分子内制御機構としての自己リン酸化を含めて、基質として他のタンパク質をリン酸化できることが明らかにされた(EMBO J. 18(5) p. 1292〜302 (1999)、Vanhaesebroeckら)。PI3Kが重要な役割を果たす細胞過程には、アポトーシスの抑制、アクチン骨格の再構築、心筋細胞成長、インスリンによるグリコーゲン合成酵素刺激、TNFαが媒介する好中球プライミング及びスーパーオキシド生成、並びに白血球の遊走及び内皮細胞への接着が含まれる。
【0007】
PI3キナーゼ活性化は、細胞成長、分化、及びアポトーシスを含めた広範囲の細胞応答に関与していると考えられる(Parker、Current Biology、5(6) p. 577〜79 (1995);及びYaoら、Science 267 (5206) p. 2003〜06 (1995))。PI3キナーゼは、白血球活性化のいくつかの態様において関与しているようである。p85関連PI3キナーゼは、抗原に応答してT細胞が活性化するための重要な共刺激分子であるCD28の細胞質ドメインと物理的に関連することが示されてきた(Pagesら、Nature 369 p. 327〜29 (1994);及びRudd、Immunity 4 p. 527〜34 (1996))。CD28によるT細胞の活性化は、抗原による活性化の閾値を下げ、増殖反応の規模及び持続時間を増加させる。これらの作用は、重要なT細胞成長因子であるインターロイキン-2(IL2)を含めたいくつかの遺伝子の転写の増加と関連する(Fraserら、Science 251 (4991) p. 313〜16 (1991))。
【0008】
PI3Kγは、JNK活性のGベータ-ガンマ-依存性調節のメディエーターとして同定されてきており、Gベータ-ガンマは、ヘテロ三量体Gタンパク質のサブユニットである(Lopez-Ilasacaら、J. Biol. Chem. 273(5) p. 2505〜8 (1998))。最近(Laffargueら、Immunity 16(3) p. 441〜51 (2002))、PI3Kγは、様々なG(i)共役受容体を介して炎症性シグナルを中継し、肥満細胞機能、白血球との関連における刺激、及び例えば、サイトカイン、ケモカイン、アデノシン、抗体、インテグリン、凝集因子、成長因子、ウイルス又はホルモンを含めた免疫学の中心となることが記載されてきた(J. Cell Sci. 114 (Pt 16) p. 2903〜10 (2001)、Lawlorら;Laffargueら(2002)(上記);及びCurr. Opinion Cell Biol. 14(2) p. 203〜13 (2002)、Stephensら)。
【0009】
酵素のファミリーの個々のメンバーに対する特異的阻害剤は、各酵素の機能を解読するための貴重なツールを提供する。2種の化合物、LY294002及びウォルトマンニン(下記参照)は、PI3キナーゼ阻害剤として広範に使用されてきた。これらの化合物は、クラスIのPI3キナーゼの四つのメンバーを識別しないため非特異的PI3K阻害剤である。例えば、様々なクラスIのPI3キナーゼの各々に対するウォルトマンニンのIC50値は、1〜10nMの範囲である。同様に、これらのPI3キナーゼの各々に対するLY294002のIC50値は、約15〜20μMであり(Frumanら、Ann. Rev. Biochem. 67 p. 481〜507 (1998))、また、CK2プロテインキナーゼに対して5〜10マイクロモルであり、ホスホリパーゼに対してある程度の阻害活性がある。ウォルトマンニンは、PI3K酵素の触媒ドメインに共有結合することによって、PI3K活性を不可逆的に阻害する菌代謝物である。ウォルトマンニンによるPI3K活性の阻害は、細胞外因子に対するその後の細胞応答を排除する。例えば、好中球は、PI3Kを刺激し、PtdIns(3、4、5)P3を合成することによって、ケモカインfMet-Leu-Phe(fMLP)に応答する。この合成は、侵入する微生物の好中球破壊に関与する呼吸バーストの活性化と相関している。ウォルトマンニンによる好中球の処理は、fMLPによって誘発される呼吸バースト反応を防止する(Thelenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 p. 4960〜64 (1994))。実際に、ウォルトマンニンを用いたこれらの実験、及び他の実験的証拠は、造血系統の細胞、特に好中球、単球、及び他のタイプの白血球におけるPI3K活性が、急性及び慢性炎症と関連する非記憶免疫応答の多くに関与していることを示す。
【化2】

【0010】
ウォルトマンニンを使用した研究に基づいて、PI3キナーゼの機能はまた、Gタンパク質共役受容体による白血球シグナル伝達のいくつかの態様のために必要とされるという証拠がある(Thelenら(1994)(上記))。さらに、ウォルトマンニン及びLY294002は、好中球遊走及びスーパーオキシド放出を遮断することが示されてきた。
【0011】
癌遺伝子及び癌抑制遺伝子の調節解除は、例えば、細胞成長及び増殖の増加又は細胞生存の増加によって悪性腫瘍の形成に寄与することが現在よく理解されている。PI3Kファミリーによって媒介されるシグナル伝達経路は、増殖及び生存を含めたいくつかの細胞プロセスにおいて中心的役割を有し、これらの経路の調節解除は、広範囲のヒト癌及び他の疾患の原因となる因子であることがまた現在知られている(Katsoら、Annual Rev. Cell Dev. Biol. (2001) 17 p. 615〜675及びFosterら、J. Cell Science (2003) 116(15) p. 3037〜3040)。PI3Kエフェクタータンパク質は、PtdIns(3,4,5)P3と特異的に相互作用する保存されたプレクストリン相同(PH)ドメインを通して原形質膜に移動することによって、シグナル伝達経路及びネットワークを開始させる(Vanhaesebroeckら、Annu. Rev. Biochem. (2001) 70 p. 535〜602)。PtdIns(3,4,5)P3及びPHドメインを通したエフェクタータンパク質シグナル伝達には、セリン/スレオニン(Ser/Thr)キナーゼ、チロシンキナーゼ、Rac又はArf GEF(グアニンヌクレオチド交換因子)及びArf GAP(GTPアーゼ活性化タンパク質)が含まれる。
【0012】
PI3Kは、B細胞及びT細胞において、B細胞中のブルトンチロシンキナーゼ(BTK)及びT細胞中のインターロイキン-2-誘導性T細胞キナーゼ(ITK)を含めたタンパク質チロシンキナーゼのTecファミリーの活性化を通して重要な役割を有する。PI3K活性化によって、BTK又はITKは、原形質膜に移動し、そこでその後にSrcキナーゼによってリン酸化される。活性化ITKの主要な標的の一つは、ホスホリパーゼC-γ(PLCγ1)(PtdIns(4,5)P2をIns(3,4,5)P3に加水分解し、細胞内カルシウムレベルの上昇を惹起する)、及びジアシルグリセロール(DAG)(活性化T細胞中でプロテインキナーゼCを活性することができる)である。
【0013】
クラスIAのp110α及びp110βとは異なり、p110δは、組織限定的な態様で発現する。リンパ球及びリンパ組織におけるその高発現レベルは、免疫系におけるPI3Kが媒介するシグナル伝達における役割を示唆する。p110δキナーゼ死(kinase dead)ノックインマウスはまた生存可能であり、それらの表現型は、免疫シグナル伝達における異常に限定されている(Okkenhaugら、Science (2002) 297 p. 1031〜4)。これらのトランスジェニックマウスは、B細胞及びT細胞シグナル伝達におけるPI3Kδの機能への見識を提供してきた。特に、p110δは、CD28及び/又はT細胞受容体(TCR)シグナル伝達の下流のPtdIns(3,4,5)P3形成のために必要である。TCRの下流のPI3Kシグナル伝達の重要な作用は、抗アポトーシス因子、及びサイトカイン産生のための様々な転写因子をリン酸化するAktの活性化である。結果として、不活性なp110δを有するT細胞は、増殖並びにTh1及びTh2サイトカイン分泌の異常を有する。CD28によるT細胞の活性化は、抗原によるTCR活性化の閾値を減少させ、増殖反応の規模及び持続時間を増加させる。これらの作用は、重要なT細胞成長因子であるIL2を含めたいくつかの遺伝子の転写におけるPI3Kδ依存性増加によって媒介される。
【0014】
したがって、PI3K阻害剤は、喘息、COPD及び嚢胞性線維症などの呼吸器疾患と関連する、T細胞が媒介する炎症反応の調整におけるその役割によって治療上の利点を提供することが予測される。さらに、T細胞を標的とした治療は、副腎皮質ステロイド節約特性を実現し得るという指摘があり(Alexanderら、Lancet (1992) 339 p. 324〜8)、これは、それが呼吸器疾患において独立で、又は吸入若しくは経口糖質コルチコステロイドと組み合わせて有用な治療を提供し得ることを示唆する。PI3K阻害剤はまた、喘息において長時間作用性β-アゴニスト(LABA)などの他の従来の治療と並んで使用し得る。
【0015】
血管系において、PI3Kδは内皮細胞に発現し、TNFαに応答したこれらの細胞の好接着性状態(proadhesive state)を調整することによって好中球輸送に関与している(Puriら、Blood (2004) 103(9) p. 3448〜56)。内皮細胞のTNFαが誘発するシグナル伝達におけるPI3Kδが果たす役割は、Aktリン酸化とPDK1活性との薬理学的阻害によって示される。さらに、PI3Kδは、VEGF経路によって血管透過性及び気道組織の浮腫に関与している(Leeら、J. Allergy Clin. Immunol. (2006) 118(2) p. 403〜9)。これらの観察は、喘息と関連する白血球血管外遊走及び血管透過性の合わせた減少によって、喘息におけるPI3Kδ阻害のさらなる利点を示唆する。さらに、PI3Kδ活性は、インビトロ及びインビボの両方で肥満細胞機能に必要であり(Aliら、Nature (2004) 431 p. 1007〜11;及びAliら、J. Immunol. (2008) 180(4) p. 2538〜44)、これはPI3K阻害が、喘息、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎などのアレルギー性適応症のために治療上の利点であるはずであることをさらに示唆する。
【0016】
B細胞増殖、抗体分泌、B細胞抗原及びIL-4受容体シグナル伝達、B細胞抗原提示能におけるPI3Kδの役割はまた、十分に確立しており(Okkenhaugら(2002)(上記);Al-Alwanら、J. Immunol. (2007) 178(4) p. 2328〜35;及びBilancioら、Blood (2006) 107(2) p. 642〜50)、関節リウマチ又は全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患における役割が指摘されている。したがって、PI3K阻害剤はまた、これらの適応症のために有効であり得る。
【0017】
PI3Kδの薬理学的阻害は、ICAMコーティングしたアガロースマトリックスインテグリン依存性バイアス系(agarose matrix integrin-dependent biased system)上のfMLP依存性好中球走化性を阻害する(Sadhuら、J. Immunol. (2003) 170(5) p. 2647〜54)。PI3Kδの阻害は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する好中球が媒介する食作用及び殺菌力に影響せずに、好中球活性化、接着及び遊走を調節する(Sadhuら、Biochem. Biophys. Res. Commun. (2003) 308(4) p. 764〜9)。全体的に、PI3Kδ阻害は、生得的な免疫防御に必要とされる好中球機能を包括的に阻害しないはずであることをデータは示唆する。好中球におけるPI3Kδの役割は、COPD又は関節リウマチなどの組織再構築が関与する炎症性疾患を治療するためのさらなる領域を提供する。
【0018】
さらに、クラスIaのPI3K酵素はまた、直接的又は間接的に、多種多様のヒト癌における腫瘍発生の一因となるという優れた証拠がまたある(Vivanco及びSawyers、Nature Reviews Cancer (2002) 2(7) p. 489〜501)。例えば、PI3Kδの阻害は、急性骨髄性白血病などの悪性血液疾患の治療のための治療的役割を有し得る(Billottetら、Oncogene (2006) 25(50) p. 6648〜59)。さらに、p110α(PIK3CA遺伝子)内の活性化変異は、結腸及び乳房及び肺の腫瘍などの様々な他の腫瘍と関連してきた(Samuelsら、Science (2004) 304 (5670) p. 554)。
【0019】
PI3Kは、有痛性炎症状態における中枢感作の確立において関与することがまた示された(Pezetら、The J. of Neuroscience (2008) 28(16) p. 4261〜4270)。
【0020】
PI3キナーゼ活性を阻害する化合物を調製するための試みがなされており、いくつかのこのような化合物は当技術分野で開示されてきた。しかし、PI3キナーゼによって媒介される病理学的反応の数に鑑みて、種々の状態の治療に使用できるPI3キナーゼ阻害剤に対する継続的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Trends Biochem. Sci. 22(7) p. 267〜72 (1997)
【非特許文献2】Chem. Rev. 101(8) p. 2365〜80 (2001)
【非特許文献3】Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17 p. 615〜75 (2001)
【非特許文献4】Cell. Mol. Life Sci. 59(5) p. 761〜79 (2002)
【非特許文献5】Exp. Cell Res. 253(1) p. 239〜54 (1999)
【非特許文献6】Mol. Med. Today 6(9)p. 347〜57 (2000)
【非特許文献7】Trends Cell Biol. 2 p. 358〜60 (1992)
【非特許文献8】EMBO J. 18(5) p. 1292〜302 (1999)
【非特許文献9】Current Biology、5(6) p. 577〜79 (1995)
【非特許文献10】Science 267 (5206) p. 2003〜06 (1995)
【非特許文献11】Nature 369 p. 327〜29 (1994)
【非特許文献12】Immunity 4 p. 527〜34 (1996)
【非特許文献13】Science 251 (4991) p. 313〜16 (1991)
【非特許文献14】J. Biol. Chem. 273(5) p. 2505〜8 (1998)
【非特許文献15】Immunity 16(3) p. 441〜51 (2002)
【非特許文献16】J. Cell Sci. 114 (Pt 16) p. 2903〜10 (2001)
【非特許文献17】Curr. Opinion Cell Biol. 14(2) p. 203〜13 (2002)
【非特許文献18】Ann. Rev. Biochem. 67 p. 481〜507 (1998)
【非特許文献19】Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 p. 4960〜64 (1994)
【非特許文献20】J. Cell Science (2003) 116(15) p. 3037〜3040
【非特許文献21】Annu. Rev. Biochem. (2001) 70 p. 535〜602
【非特許文献22】Science (2002) 297 p. 1031〜4
【非特許文献23】Lancet (1992) 339 p. 324〜8
【非特許文献24】Blood (2004) 103(9) p. 3448〜56
【非特許文献25】J. Allergy Clin. Immunol. (2006) 118(2) p. 403〜9
【非特許文献26】Nature (2004) 431 p. 1007〜11
【非特許文献27】J. Immunol. (2008) 180(4) p. 2538〜44
【非特許文献28】J. Immunol. (2007) 178(4) p. 2328〜35
【非特許文献29】Blood (2006) 107(2) p. 642〜50
【非特許文献30】J. Immunol. (2003) 170(5) p. 2647〜54
【非特許文献31】Biochem. Biophys. Res. Commun. (2003) 308(4) p. 764〜9
【非特許文献32】Nature Reviews Cancer (2002) 2(7) p. 489〜501
【非特許文献33】Oncogene (2006) 25(50) p. 6648〜59
【非特許文献34】Science (2004) 304 (5670) p. 554
【非特許文献35】The J. of Neuroscience (2008) 28(16) p. 4261〜4270
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明者らは、PI3キナーゼ活性の阻害剤である新規な化合物を発見した。PI3キナーゼ阻害剤である化合物は、不適切なPI3キナーゼ活性が関連する障害の治療において、例えば、PI3キナーゼ機序によって媒介される障害の治療及び予防において有用であり得る。このような障害には、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含めた呼吸器疾患;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含めたアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含めた自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含めた炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含めた心血管疾患;血液悪性腫瘍;嚢胞性線維症;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子の運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺傷害;並びに関節リウマチ若しくは骨関節炎と関連する疼痛、背痛、一般の炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経因性疼痛(トラマ)、三叉神経痛及び中枢痛を含めた疼痛が含まれる。
【0023】
一実施形態において、本発明の化合物は、他のキナーゼよりPI3キナーゼに対して選択性であることを示し得る。例えば、本発明の化合物は、DNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)よりPI3キナーゼに対して選択性であることを示し得る。
【0024】
一実施形態において、本発明の化合物は、他のPI3キナーゼよりPI3Kδに対して選択性であることを示し得る。例えば、本発明の化合物は、PI3Kα及び/又はPI3KβよりPI3Kδに対して選択性であることを示し得る。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、特定の新規な化合物を対象とする。具体的には、本発明は、式(I)の化合物、及びその塩を対象とし、
【化3】

式中、R1、R2、R3及びR4は、下記で定義する通りである。
【0026】
これらの化合物は、PI3キナーゼ活性の阻害剤である。PI3キナーゼ阻害剤である化合物は、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの、不適切なPI3キナーゼ活性と関連する障害の治療において有用であり得る。したがって、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物をさらに対象とする。本発明はまたさらに、PI3キナーゼ活性を阻害する方法、及び式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を使用した、それと関連する障害の治療を対象とする。本発明はまたさらに、本発明の化合物の調製のための方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、及びその塩(以下、「本発明の化合物」)を対象とし、
【化4】

式中、
R1は、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールであり、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールは、酸素及び窒素から独立に選択される一つから三つのヘテロ原子を含有し、かつC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、ハロ又は-CNで置換されていてもよく、
R2は、-NHCOR5
【化5】

であり、
R3は、水素又はフルオロであり、
R4は、水素又はメチルであり、
R5は、
フェニルで置換されていてもよいC3〜6シクロアルキル;
5員若しくは6員ヘテロシクリル(5員若しくは6員ヘテロシクリルは、酸素及び窒素から独立に選択される一つ若しくは二つのヘテロ原子を含有し、かつオキソ、C1〜6アルキル、-OR6、-COR7、-CO2R8及び-SO2R9から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよい);
C1〜6アルキル、-OR10、ハロ、-NR11R12、及びフェニル(ハロで置換されていてもよい)から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよいフェニル;
-CH2-5員若しくは6員ヘテロアリール(5員若しくは6員ヘテロアリールは、一つ若しくは二つの窒素原子を含有し、かつC1〜6アルキルで置換されていてもよい);
-OR13で置換されていてもよいピラジン;或いは
9員若しくは10員二環式ヘテロアリール(9員若しくは10員二環式ヘテロアリールは、一つ若しくは二つの窒素原子を含有する)であり、
R6、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素又はC1〜6アルキルであり、
R7及びR9は、各々独立に、C1〜6アルキルであり、
R8は、水素又は-(CH2)mフェニルであり、
R10は、一つから三つのフルオロで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり、
mは、0、1又は2である。
【0028】
一実施形態において、R1は、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールであり、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールは、酸素及び窒素から独立に選択される一つから三つのヘテロ原子を含有する。さらなる実施形態において、R1は、インドリルである。
【0029】
一実施形態において、R2は、-NHCOR5である。別の実施形態において、R2は、
【化6】

である。さらなる実施形態において、R2は、
【化7】

である。
【0030】
一実施形態において、R3は、水素である。
【0031】
一実施形態において、R4は、水素である。
【0032】
一実施形態において、R5は、フェニルで置換されていてもよいC3〜6シクロアルキルである。別の実施形態において、R5は、フェニルで置換されていてもよいシクロプロピルである。さらなる実施形態において、R5は、シクロヘキシルである。
【0033】
一実施形態において、R5は、5員若しくは6員ヘテロシクリルであり、5員若しくは6員ヘテロシクリルは、酸素及び窒素から独立に選択される一つ若しくは二つのヘテロ原子を含有し、かつオキソ、C1〜6アルキル、例えば、C1〜4アルキル(メチル又はイソプロピルなど)、-OR6、-COR7、-CO2R8及び-SO2R9から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよい。
【0034】
一実施形態において、R5は、C1〜6アルキル、例えば、C1〜4アルキル(メチルなど)、-OR10、ハロ、-NR11R12、及びフェニル(ハロで置換されていてもよい)から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0035】
一実施形態において、R5は、-CH2-5員若しくは6員ヘテロアリールであり、5員若しくは6員ヘテロアリールは、一つ若しくは二つの窒素原子を含有し、かつC1〜6アルキルで置換されていてもよい。別の実施形態において、R5は、C1〜6アルキル、例えば、C1〜4アルキル(メチルなど)で置換されていてもよいCH2-ピラゾリルである。さらなる実施形態において、R5は、-CH2-ピリジニルである。
【0036】
一実施形態において、R5は、-OR13で置換されていてもよいピラジンである。
【0037】
一実施形態において、R5は、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールであり、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールは、一つ若しくは二つの窒素原子を含有する。さらなる実施形態において、R5は、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾロピリジニル、又はイソキノリニルである。
【0038】
一実施形態において、R6は、水素である。
【0039】
一実施形態において、R7は、メチルなどのC1〜4アルキルである。
【0040】
一実施形態において、R8は、-(CH2)mフェニルである。
【0041】
一実施形態において、R9は、メチルなどのC1〜4アルキルである。
【0042】
一実施形態において、R10は、一つ又は二つのフルオロで置換されていてもよいメチル又はエチルなどのC1〜4アルキルである。
【0043】
一実施形態において、R11及びR12は、各々水素である。さらなる実施形態において、R11及びR12は、各々独立に、メチルなどのC1〜4アルキルである。
【0044】
一実施形態において、R13は、メチルなどのC1〜4アルキルである。
【0045】
一実施形態において、mは、1である。
【0046】
本発明は、上記に記載されている置換基の全ての組合せを包含することを理解すべきである。
【0047】
本発明の化合物には、実施例1〜37の化合物及びその塩が含まれる。
【0048】
一実施形態において、本発明の化合物は、
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2-フルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,3-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,5-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-メチルベンズアミド;
2'-クロロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-ビフェニルカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-イソキノリンカルボキサミド;
2,4-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,6-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
2-[(ジフルオロメチル)オキシ]-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-6-(メチルオキシ)-2-ピラジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-インドール-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
2-(エチルオキシ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
4-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-モルホリンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(2-ピリジニル)アセトアミド;
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン;
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチルベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-モルホリンカルボキサミド;
1-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-メチル-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-(メチルスルホニル)-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-オキソ-3-ピロリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-(1-メチルエチル)-5-オキソ-3-ピロリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロプロパンカルボキサミド;
3-(ジメチルアミノ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
4-アミノ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
(1R,2R)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-フェニルシクロプロパンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロヘキサンカルボキサミド;
フェニルメチル3-ヒドロキシ-4-({[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]アミノ}カルボニル)-1-ピロリジンカルボキシレート;又は
その塩である。
【0049】
用語及び定義
「アルキル」とは、特定の数のメンバー原子を有する飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、C1〜6アルキルとは、一つから六つのメンバー原子を有するアルキル基を意味する。同様に、C1〜4アルキルとは、一つから四つのメンバー原子を有するアルキル基を意味する。アルキル基は、直鎖状又は分岐状でよい。代表的な分岐アルキル基は、一つ、二つ、又は三つの分岐を有する。アルキルには、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、及びt-ブチル)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル、及びネオペンチル)、並びにヘキシルが含まれる。一実施形態において、アルキルは、メチルである。別の実施形態において、アルキルは、エチルである。さらなる実施形態において、アルキルは、イソプロピルである。
【0050】
「シクロアルキル」とは、特定の数のメンバー原子を有する飽和炭化水素環を意味する。シクロアルキル基は、単環式環系である。例えば、C3〜6シクロアルキルとは、三つから六つのメンバー原子を有するシクロアルキル基を意味する。一実施形態において、シクロアルキル基は、三つ又は四つのメンバー原子を有する。さらなる実施形態において、シクロアルキル基は、五つ又は六つのメンバー原子を有する。シクロアルキル基は、本明細書においてそのように定義されている場合、一つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。置換基は、分子の他の部分への結合点である炭素原子を含めて、環上の任意の位置にあってもよいことを理解されたい。シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。一実施形態において、シクロアルキルは、シクロプロピルである。さらなる実施形態において、シクロアルキルは、シクロヘキシルである。
【0051】
「鏡像異性的に濃縮された」とは、その鏡像体過剰率が0を超える生成物を意味する。例えば、鏡像異性的に濃縮されたとは、その鏡像体過剰率が50%ee超、75%ee超、及び90%ee超の生成物を意味する。
【0052】
「鏡像体過剰率」又は「ee」とは、割合として表した、1種のエナンチオマーが他方のエナンチオマーを超える過剰量である。結果として、ラセミ混合物中には両方のエナンチオマーが同量存在するので、鏡像体過剰率は0(0%ee)である。しかし、1種のエナンチオマーが生成物の95%を構成するように濃縮された場合、鏡像体過剰率は90%eeである(濃縮されたエナンチオマーの量(95%)から他のエナンチオマーの量(5%)を引く)。
【0053】
「鏡像異性的に純粋な」とは、その鏡像体過剰率が99%ee以上である生成物を意味する。
【0054】
「半減期」(又は「半減期(複数)」)とは、物質の半量が別の化学的に異なる種へインビトロ又はインビボで変換されるのに必要な時間を意味する。
【0055】
「ハロ」とは、ハロゲン基であるフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。一実施形態において、ハロゲン基は、フルオロ、クロロ又はブロモである。
【0056】
「ヘテロアリール」とは、別段の定義がない限り、環中にメンバー原子として一つから三つのヘテロ原子を含有する芳香環を意味する。複数のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基は、異なるヘテロ原子を含有してもよい。ヘテロアリール基は、本明細書においてそのように定義されている場合、一つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基とは本明細書において、単環式環系又は縮合二環式環系である。単環式ヘテロアリール環は、五つ又は六つのメンバー原子を有する。二環式ヘテロアリール環は、九つ又は十のメンバー原子を有する。単環式ヘテロアリールには、ピロリル、ピリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルが含まれる。一実施形態において、単環式ヘテロアリールは、ピラゾリル又はピリジニルである。二環式ヘテロアリールには、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インダゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、キノリル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジニル及びナフトリジニルが含まれる。一実施形態において、二環式ヘテロアリールは、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾロピリジニル、又はイソキノリニルである。さらなる実施形態において、二環式ヘテロアリールは、インドリルである。
【0057】
「ヘテロ原子」とは、窒素、硫黄、又は酸素原子を意味する。
【0058】
「ヘテロシクリル」とは、環中にメンバー原子として一つ又は二つのヘテロ原子を含有する飽和又は不飽和環を意味する。しかし、ヘテロシクリル環は、芳香族ではない。複数のヘテロ原子を含有するヘテロシクリル基は、異なるヘテロ原子を含有してもよい。ヘテロシクリル基とは本明細書において、五つ又は六つのメンバー原子を有する単環式環系である。ヘテロシクリル基は、本明細書においてそのように定義されている場合、一つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。特定の実施形態において、ヘテロシクリルは、飽和している。他の実施形態において、ヘテロシクリルは、不飽和であるが、芳香族ではない。ヘテロシクリルには、ピロリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びモルホリニルが含まれる。一実施形態において、ヘテロシクリルは、ピロリジニル、ピペリジニル又はモルホリニルである。
【0059】
「メンバー原子」とは、鎖又は環を形成する原子又は原子(複数)を意味する。複数のメンバー原子が鎖中及び環内に存在する場合、各メンバー原子は、鎖又は環における隣接するメンバー原子に共有結合をしている。鎖又は環上で置換基を構成する原子は、鎖又は環中でメンバー原子ではない。
【0060】
「置換されていてもよい」とは、本明細書においてそのように定義されている場合、ヘテロアリールなどの基が、非置換でもよく、又は一つ若しくは複数の置換基で置換されていてもよいことを示す。
【0061】
基に関して「置換されている」とは、基内のメンバー原子に結合している水素原子が置き換えられていることを示す。「置換されている」という用語には、このような置換が置換された原子及び置換基の許容される原子価に合致しており、置換が安定的な化合物(すなわち、転位、環化、又は脱離によるなどの変換を自然発生的に起こさないもの)をもたらすという暗黙の条件が含まれることを理解すべきである。特定の実施形態において、単一の原子は、このような置換が、原子の許容される原子価に合致している限り、複数の置換基で置換されていてもよい。適切な置換基は、本明細書において各々の置換された又は置換されていてもよい基について定義されている。
【0062】
「薬学的に許容される」とは、正しい医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、又は他の問題若しくは合併症がない、ヒト及び動物の組織と接触させる使用に適した、それらの化合物、材料、組成物、及び剤形を意味する。
【0063】
本明細書において使用する場合、これらの方法、スキーム及び実施例において使用される記号及び規則は、現代の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society又はJournal of Biological Chemistryにおいて使用されているものと一致する。標準的な1文字又は3文字の略語は一般に、特に断りのない限りL配置であると想定されるアミノ酸残基を示すために使用される。特に断りのない限り、全ての出発物質は、商業的供給者から得て、それ以上精製することなく使用した。具体的には、下記の略語は、実施例において及び明細書を通して使用し得る。
【0064】
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
g グラム
h又はhr 時間
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析法
M モル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
mg ミリグラム
min 分
ml又はmL ミリリットル
mmol ミリモル
PS 高分子に支持された
Pd(dppf)Cl2 [1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Rt又はRt 保持時間
RT 室温
SCX 強陽イオン交換
SPE 固相抽出
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
UV 紫外線
ブラインへの全ての言及は、NaClの飽和水溶液に対して行なわれる。
【0065】
「本発明の化合物」の範囲内に含まれるのは、式(I)の化合物及びその塩の全ての溶媒和物(水和物を含めた)、複合体、多形、プロドラッグ、放射性標識された誘導体、立体異性体及び光学異性体である。
【0066】
本発明の化合物は、固体又は液体形態で存在し得る。固体状態で、本発明の化合物は、結晶若しくは非結晶形態で、又はその混合物として存在し得る。結晶形態の本発明の化合物では、結晶化の間に溶媒分子が結晶格子に組み込まれる、薬学的に許容される溶媒和物が形成し得ることを当業者であれば理解するであろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、及びEtOAcなどの非水溶媒が関与することがあり、又は結晶格子中に組み込まれる溶媒として水が関与することがある。水が結晶格子に組み込まれる溶媒である溶媒和物は、典型的には「水和物」と称される。水和物には、化学量論的水和物、及び不定量の水を含有する組成物が含まれる。本発明には、全てのこのような溶媒和物が含まれる。
【0067】
その様々な溶媒和物を含めて、結晶形態で存在する特定の本発明の化合物は、多型性(すなわち、異なる結晶構造で生じる能力)を示し得ることは、当業者であればさらに理解するであろう。これらの異なる結晶形態は典型的には、「多形」として知られている。本発明には、全てのこのような多形が含まれる。多形は同じ化学組成を有するが、結晶性固体状態のパッキング、幾何学的配置、及び他の記述的特性が異なる。したがって、多形は、形状、密度、硬度、変形能、安定性、及び溶解特性などの異なる物理学的性質を有し得る。多形は典型的には、異なる融点、IRスペクトル、及びX線粉末回折パターンを示し、それは同定のために使用し得る。異なる多形は、例えば化合物の作製又は再結晶において使用される反応条件又は試薬を変更又は調節することによって生成し得ることは、当業者であれば理解するであろう。例えば、温度、圧力、又は溶媒の変化は、多形をもたらし得る。さらに、1種の多形は、特定の条件下で他の多形に自然発生的に変換し得る。
【0068】
本発明にはまた、式(I)の化合物及びその塩と同一の同位体標識された化合物が含まれるが、一つ又は複数の原子が、天然で最も一般に見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられている。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体の例には、3H、11C、14C及び18Fなどの、水素、炭素、窒素、酸素及びフッ素同位体が含まれる。
【0069】
式(I)による化合物は、一つ又は複数の不斉中心(キラル中心とも称される)を含有してもよく、したがって、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、若しくは他の立体異性体の形態、又はそれらの混合物として存在してもよい。キラル炭素原子などのキラル中心はまた、アルキル基などの置換基中に存在し得る。式(I)、又は本明細書において例示される任意の化学構造において存在するキラル中心の立体化学が特定されていない場合、構造は、任意の立体異性体及びその全ての混合物を包含することが意図される。したがって、一つ又は複数のキラル中心を含有する式(I)による化合物は、ラセミ混合物、鏡像異性的に濃縮された混合物として、又は鏡像異性的に純粋な個々の立体異性体として使用し得る。
【0070】
一つ又は複数の不斉中心を含有する式(I)による化合物の個々の立体異性体は、当業者に公知の方法によって分割し得る。例えば、このような分割は、(1)ジアステレオマー塩、複合体又は他の誘導体の形成によって;(2)立体異性体特異的試薬による選択反応によって、例えば、酵素的酸化若しくは還元によって;又は(3)キラル環境(例えば、結合したキラル配位子を有するシリカなどのキラル支持体上、又はキラル溶媒の存在下)におけるガス-液体又は液体クロマトグラフィーによって実行し得る。所望の立体異性体が、上記の分離手順の一つによって別の化学成分に変換される場合、所望の形態を遊離するためにさらなるステップが必要であることは当業者であれば理解するであろう。代わりに、特定の立体異性体は、光学活性な試薬、基質、触媒若しくは溶媒を使用した不斉合成によって、又は不斉転換によって1種のエナンチオマーを他のエナンチオマーに変換することによって合成し得る。
【0071】
式(I)による化合物はまた、幾何学的非対称性の中心を含有し得る。式(I)、又は本明細書において例示する任意の化学構造中に存在する幾何学的非対称性の中心の立体化学配置が特定されていない場合、構造は、トランス幾何異性体、シス幾何異性体、及びそれらの全ての混合物を包含することが意図される。同様に、全ての互変異性型はまた、このような互変異性体が平衡状態で存在しようとも、又は大部分が一つの形態で存在しようとも、式(I)に含まれる。
【0072】
本明細書において式(I)の化合物及びその塩への言及は、遊離酸若しくは遊離塩基として、又はその塩として、例えば、薬学的に許容されるその塩としての式(I)の化合物を包含することを理解すべきである。したがって、一実施形態において、本発明は、遊離酸又は遊離塩基としての式(I)の化合物を対象とする。別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物及びその塩を対象とする。さらなる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を対象とする。
【0073】
式(I)による化合物の薬学的に許容される塩を調製し得ることを当業者であれば理解するであろう。実際に、本発明の特定の実施形態において、式(I)による化合物の薬学的に許容される塩は、このような塩が、より大きな安定性又は溶解性を分子に与え、それによって剤形への製剤が容易となるため、各々の遊離塩基又は遊離酸よりも好ましいことがある。したがって、本発明は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩をさらに対象とする。
【0074】
本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象化合物の所望の生物活性を保持し、最小の望ましくない毒性学的影響を示す塩を意味する。これらの薬学的に許容される塩は、化合物の最終の単離及び精製の間にインサイチュで、又はその遊離酸若しくは遊離塩基の形態の精製した化合物を、各々適切な塩基若しくは酸と別々に反応させることによって調製し得る。
【0075】
薬学的に許容されない対イオン又は関連する溶媒を有する塩及び溶媒和物は、例えば、式(I)の他の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩の調製における中間体として使用するために本発明の範囲内である。したがって、本発明の一実施形態は、式(I)の化合物及びその塩を包含する。
【0076】
特定の実施形態において、式(I)による化合物は、酸性官能基を含有し得る。適切な薬学的に許容される塩には、このような酸性官能基の塩が含まれる。代表的な塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び亜鉛塩などの薬学的に許容される金属塩;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び亜鉛などの薬学的に許容される金属カチオンの炭酸塩及び炭酸水素塩;脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、及びヒドロキシアルキルアミンを含めた薬学的に許容される有機第一級、第二級、及び第三級アミン(メチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ジエチルアミン、TEA、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びシクロヘキシルアミンなど)が含まれる。
【0077】
特定の実施形態において、式(I)による化合物は、塩基性官能基を含有してもよく、したがって適切な酸で処理することによって薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。適切な酸には、薬学的に許容される無機酸、及び薬学的に許容される有機酸が含まれる。代表的な薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、メチル硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、アクリル酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ヘプタン酸塩、フタル酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ナフトエ酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、マンデル酸塩、タンニン酸塩、ギ酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピルビン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ラウリン酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、エストレート塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、p-アミノベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、及びナプタレン-2-スルホン酸塩が含まれる。
【0078】
化合物の調製
本発明の化合物は、標準的な化学反応を含む種々の方法によって作製し得る。任意の上で定義した可変部分は、他に示さない限り、上で定義した意味を有し続ける。例示的な一般合成法を下記に示し、次いで本発明の特定の化合物は、実施例の項において調製される。
【0079】
方法a
式(I)の化合物(式中、R1、R2、R3及びR4は、上記定義の通りである)、及びその塩は、(i)式R2COOHの酸(式中、R2は、上記定義の通りである)による処理、又は(ii)式R2COClの酸塩化物(式中、R2は、上記定義の通りである)による処理を含む方法によって、式(II)の化合物
【化8】

(式中、R1、R3及びR4は、上記定義の通りである)から調製し得る。
【0080】
(i)についての適切な条件には、N,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、室温、例えば、約20℃などの適切な温度で、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N'N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートなどのカップリング試薬の存在下で、N,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの適切な塩基の存在下での撹拌が含まれる。代わりに、(ii)は、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、N,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの適切な塩基の存在下で、室温、例えば、約20℃などの適切な温度にて、酸塩化物などのアシル化剤による処理によって実行し得る。
【0081】
式(II)の化合物(式中、R1、R3及びR4は、上記定義の通りであり、R3は、Hである)は、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドなどの適切なパラジウム触媒の存在下で、1,4-ジオキサン及び水の混合物などの適切な溶媒中で、炭酸ナトリウムなどの適切な塩基の存在下で、60〜200℃、例えば、約115℃などの適切な温度にて、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インドール(市販)などの適切なボロン酸又はボロネートエステルによる処理によって、式(III)の化合物(市販されている)
【化9】

(式中、R3及びR4は、Hである)から調製し得る。代わりに、この方法は、マイクロ波照射下にて、60〜200℃、例えば、約150℃などの適切な温度で実行し得る。
【0082】
方法b
式(I)の化合物(式中、R1、R2及びR3は、上記定義の通りであり、R4は、Hである)、及びその塩は、(i)式R2COOHの適切な酸(式中、R2は、上記定義の通りである)による処理、それに続く適切な酸を使用した脱保護、又は(ii)式R2COClの酸塩化物(式中、R2は、上記定義の通りである)による処理、それに続く適切な酸による脱保護を含む方法によって、式(IV)の化合物
【化10】

(式中、R1及びR3は、上記定義の通りである)から調製し得る。(i)についての適切な条件には、N,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、室温、例えば、約20℃などの適切な温度で、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N'N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートなどのカップリング試薬の存在下で、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの適切な塩基の存在下で、例えば、2-メチル-1,3-チアゾール-4-カルボン酸(市販)などの酸を撹拌すること、それに続くマクロ多孔質(macroporus)トルエンスルホン酸などの適切な酸による処理が含まれる。代わりに、(ii)は、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、N,N-ジイソプロピルアミンなどの適切な塩基の存在下で、室温、例えば、約20℃などの適切な温度にて、酸塩化物などの適切なアシル化剤によるアシル化、それに続くマクロ多孔質トルエンスルホン酸などの適切な酸による処理によって実行し得る。
【0083】
式(IV)の化合物(式中、R1及びR3は、上記定義の通りである)は、パラジウム炭素などの適切な触媒の存在下で、酢酸エチルなどの適切な溶媒中で、20〜40℃、例えば、約30℃などの適切な温度で、1〜50バール、例えば、約30バールなどの適切な圧力でのThales H-Cube(登録商標)中の水素化によって、式(V)
【化11】

(式中、R1及びR3は、上記の通りである)の化合物から調製し得る。
【0084】
式(V)の化合物(式中、R1及びR3は、上記定義の通りである)は、マイクロ波照射下にて、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリドなどの適切なパラジウム触媒の存在下で、イソプロパノールなどの適切な溶媒中で、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液などの適切な塩基の存在下で、60〜180℃、例えば、約150℃などの適切な温度にて、[4-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)フェニル]ボロン酸などの適切なボロン酸による処理によって、式(VI)の化合物
【化12】

(式中、R3は、上記定義の通りである)から調製し得る。
【0085】
式(VI)の化合物(式中、R3は、水素である)は、ピリジニウムp-トルエンスルホネートなどの適切な酸触媒と共に、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、還流温度などの適切な温度にて、3,4-ジヒドロ-2H-ピランによる処理によって、式(VII)の化合物(市販されている)
【化13】

(式中、R3及びR4は、Hである)から調製し得る。
【0086】
方法c
式(I)の化合物(式中、R1、R2及びR3は、上記定義の通りであり、R4は、Hである)は、マイクロ波照射下にて、N,N-ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、60〜200℃、例えば、約150℃などの適切な温度で、ベンゾフラン-1,3-ジオンなどの適切な無水物との縮合によって、上記のような式(II)の化合物から調製し得る。代わりに、方法cは、酢酸エチルなどの適切な溶媒中で、酢酸などの適切な酸触媒と共に、20〜50℃、例えば、室温などの適切な温度で、1,2-ベンゼンジカルバルデヒドなどの適切なジアルデヒドとの縮合によって、上記のような式(II)の化合物(式中、R4は、Hである)の処理によって実行し得る。
【0087】
式(II)の化合物(式中、R1及びR3は、上記定義の通りであり、R4は、Hである)は、上記のような式(III)の化合物から調製し得る。
【0088】
したがって、一実施形態において、本発明は、
a)式(II)の化合物
【化14】

(式中、R1、R3及びR4は、上記定義の通りである)を、(i)式R2COOHの酸(式中、R2は、上記定義の通りである)と、又は(ii)式R2COClの酸塩化物(式中、R2は、上記定義の通りである)と反応させ、
b)式(I)の化合物(式中、R1、R2及びR3は、上記定義の通りであり、R4は、Hである)、又はその塩について、式(IV)の化合物
【化15】

(式中、R1及びR3は、上記定義の通りである)を、(i)式R2COOHの適切な酸(式中、R2は、上記定義の通りである)と反応させ、続いて適切な酸を使用して脱保護し、又は(ii)式R2COClの酸塩化物(式中、R2は、上記定義の通りである)と反応させ、続いて適切な酸によって脱保護し、或いは
c)式(I)の化合物(式中、R1、R2及びR3は、上記定義の通りであり、R4は、Hである)、又はその塩について、上記のような式(II)の化合物を適切な無水物と縮合させることを含む、本発明の化合物を調製するための方法を提供する。
【0089】
使用方法
本発明の化合物は、PI3キナーゼ活性の阻害剤である。PI3キナーゼ阻害剤である化合物は、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの、根底にある病態が不適切なPI3キナーゼ活性に(少なくとも部分的に)起因する障害の治療において有用であり得る。「不適切なPI3キナーゼ活性」とは、特定の患者において予想される正常なPI3キナーゼ活性から逸脱した任意のPI3キナーゼ活性を意味する。不適切なPI3キナーゼは、例えば、活性の異常な増加、又はPI3キナーゼ活性のタイミング及び若しくは制御の異常の形態を取ることがある。次いで、このような不適切な活性は、例えば、プロテインキナーゼの過剰発現又は変異からもたらされ、不適切又は制御されない活性化を引き起こし得る。したがって、別の態様において、本発明は、このような障害を治療する方法を対象とする。
【0090】
このような障害には、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含めた呼吸器疾患;アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含めたアレルギー性疾患;関節リウマチ及び多発性硬化症を含めた自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含めた炎症性障害;血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含めた心血管疾患;血液悪性腫瘍;嚢胞性線維症;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子の運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺傷害;並びに関節リウマチ若しくは骨関節炎と関連する疼痛、背痛、一般の炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経因性疼痛(トラマ)、三叉神経痛及び中枢痛を含めた疼痛が含まれる。
【0091】
本発明の治療方法は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要としている患者に投与することを含む。本発明の個々の実施形態には、安全かつ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要としている患者に投与することによって、上記の障害の任意の一つを治療する方法が含まれる。
【0092】
本明細書において使用する場合、障害に関連して「治療する」とは、(1)障害、又は障害の生物学的徴候の一つ若しくは複数を寛解又は予防すること、(2)(a)障害をもたらす、又は障害に関与する生物学的カスケードにおける一つ若しくは複数の時点、又は(b)障害の生物学的徴候の一つ若しくは複数を妨げる、(3)障害と関連する症状又は作用の一つ若しくは複数を軽減する、或いは(4)障害、又は障害の生物学的徴候の一つ若しくは複数の進行を遅延させることを意味する。
【0093】
前述の通り、障害の「治療」には、障害の予防が含まれる。「予防」は絶対的用語ではないことを当業者であれば理解するであろう。医学において、「予防」とは、障害又はその生物学的徴候の可能性又は重症度を実質的に減少させ、或いはこのような障害又はその生物学的徴候の発生を遅延させるための、薬物の予防的投与を意味すると理解される。
【0094】
本明細書において使用する場合、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又は他の薬学的活性剤に関連して「安全かつ有効な量」とは、正しい医学的判断の範囲内で、(合理的な利益/リスク比で)患者の状態を治療するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分に低い化合物の量を意味する。安全かつ有効な量の化合物は、選択した特定化合物(例えば、化合物の効力、有効性、及び半減期を考慮して);選択した投与経路;治療する障害;治療する障害の重症度;治療を受ける患者の年齢、サイズ、体重、及び健康状態;治療を受ける患者の病歴;治療期間;併用療法の性質;所望の治療効果;並びに同様の要因によって変化するが、それにも関わらず当業者は日常的に決定することができる。
【0095】
本明細書において使用する場合、「患者」とは、ヒト(成人及び小児を含めた)又は他の動物を意味する。一実施形態において、「患者」とは、ヒトを意味する。
【0096】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、全身投与及び局所投与の両方を含めた、任意の適切な投与経路によって投与してもよい。全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮的投与及び直腸投与が含まれる。非経口投与とは、経腸的又は経皮的以外の投与経路を意味し、典型的には注射又は注入による。非経口投与には、静脈内、筋内、及び皮下の注射又は注入が含まれる。局所投与には、皮膚への塗布、並びに眼球内、耳、膣内、吸入及び鼻腔内投与が含まれる。吸入とは、口を通して又は鼻道を通しての吸入であれ、患者の肺への投与を意味する。一実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、経口的に投与してもよい。別の実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、吸入によって投与してもよい。さらなる実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、鼻腔内に投与してもよい。好ましくは、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、吸入によって投与される。
【0097】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、一度に、又はいくつかの用量を所与の期間に様々な時間間隔で投与する投与計画に従って投与してもよい。例えば、用量は、1日当たり1回、2回、3回、又は4回投与してもよい。一実施形態において、用量は、1日当たり1回投与してもよい。さらなる実施形態において、用量は、1日当たり2回投与してもよい。用量は、所望の治療効果が達成されるまで、又は所望の治療効果を維持するために無期限に投与してもよい。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩のための適切な投与計画は、吸収、分布、及び半減期などのその化合物の薬物動態特性によって決まり、それは当業者が決定することができる。さらに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩についてのそのような投与計画を実施する期間を含めた適切な投与計画は、当業者の知識及び専門的意見の範囲内で、治療する障害、治療する障害の重症度、治療を受ける患者の年齢及び健康状態、治療を受ける患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、並びに同様の要因によって変化する。適切な投与計画は、投与計画への個々の患者の反応を考慮して、又は時が経つにつれて個々の患者の必要性が変化するにつれて、調節を必要とし得ることは、このような当業者はさらに理解されるであろう。
【0098】
典型的な1日投与量は、選択した特定の投与経路によって変化し得る。経口投与のための典型的な1日投与量は、全体重1kg当たり0.001mg〜50mg、例えば、全体重1kg当たり1mg〜10mgの範囲である。例えば、経口投与のための1日投与量は、患者毎に10mg〜1gなどの、患者毎に0.5mg〜2gでよい。
【0099】
さらに、式(I)の化合物は、プロドラッグとして投与してもよい。本明細書において使用する場合、式(I)の化合物の「プロドラッグ」は、患者への投与によって、式(I)の化合物をインビボで最終的に遊離させる、化合物の機能的誘導体である。式(I)の化合物のプロドラッグとしての投与によって、当業者が下記の一つ又は複数を行なうことが可能となることがある。(a)化合物の活性の発生をインビボで改良し、(b)化合物の作用持続時間をインビボで改良し、(c)化合物の輸送又は分布をインビボで改良し、(d)化合物の溶解性をインビボで改良し、(e)化合物が直面する副作用又は他の障害を克服する。プロドラッグを調製するために使用される典型的な機能的誘導体には、インビボで化学的又は酵素的に切断可能な化合物の修飾が含まれる。ホスフェート、アミド、エステル、チオエステル、カーボネート、及びカルバメートの調製が含まれるこのような修飾は、当業者には周知である。
【0100】
したがって、本発明は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要としている患者に投与することを含む、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害を治療する方法を提供する。
【0101】
一実施形態において、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害は、呼吸器疾患(喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む);アレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を含む);自己免疫疾患(関節リウマチ及び多発性硬化症を含む);炎症性障害(炎症性腸疾患を含む);心血管疾患(血栓症及びアテローム性動脈硬化症を含む);血液悪性腫瘍;嚢胞性線維症;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子の運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺傷害;並びに疼痛(関節リウマチ若しくは骨関節炎と関連する疼痛、背痛、一般の炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経因性疼痛(トラマ)、三叉神経痛及び中枢痛を含む)からなる群から選択される。
【0102】
一実施形態において、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害は、呼吸器疾患である。さらなる実施形態において、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害は、喘息である。さらなる実施形態において、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0103】
一実施形態において、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害は、疼痛である。
【0104】
一実施形態において、本発明は、薬物療法において使用するための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害の治療において使用するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0105】
組成物
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、必ずしもそうではないが通常、患者への投与の前に、医薬組成物に製剤される。したがって、別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、一種若しくは複数の薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物を対象とする。
【0106】
本発明の医薬組成物は、バルク形態で調製及びパッケージングしてもよく、安全かつ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を抽出し、次いで粉末又はシロップなどと共に患者に与えることができる。代わりに、本発明の医薬組成物は、単位剤形で調製及びパッケージングしてもよく、各々の物理的個別単位は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する。単位剤形で調製されるとき、本発明の医薬組成物は典型的には、例えば、0.5mg〜1g、又は1mg〜700mg、又は5mg〜100mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る。
【0107】
本発明の医薬組成物は典型的には、1種の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する。
【0108】
本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される添加剤」とは、医薬組成物に形態又は粘度を与えることに関与する薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを意味する。各添加剤は、患者に投与されたときに式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効性を実質的に減少させるような相互作用、及び薬学的に許容されない医薬組成物をもたらすような相互作用が回避されるように、混合したときに医薬組成物の他の成分と適合性でなくてはならない。さらに、各添加剤は当然ながら、例えば、十分に高純度の薬学的に許容されるものでなければならない。
【0109】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される添加剤又は添加剤(複数)は典型的には、所望の投与経路によって患者に投与するために適合された剤形に製剤される。例えば、剤形には、(1)経口投与(錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤、乳剤、サシェ剤、及びカシェ剤など)、(2)非経口投与(無菌溶液剤、懸濁剤、及び再構成のための散剤など)、(3)経皮的投与(経皮パッチ剤など)、(4)直腸投与(坐剤など)、(5)吸入(エアゾール剤、溶液剤、及び乾燥散剤など)、並びに(6)局所投与(クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、溶液剤、ペースト剤、スプレー剤、フォーム剤、及びゲル剤など)のために適合されたものが含まれる。
【0110】
適切な薬学的に許容される添加剤は、選択した特定の剤形によって変化する。さらに、適切な薬学的に許容される添加剤は、それらが組成物中で果たす特定の機能で選択してもよい。例えば、特定の薬学的に許容される添加剤は、均一な剤形の生成を容易にするそれらの能力で選択してもよい。特定の薬学的に許容される添加剤は、安定的な剤形の生成を容易にするそれらの能力で選択してもよい。特定の薬学的に許容される添加剤は、患者にいったん投与されると、一つの器官又は体の部分から、別の器官又は体の部分への、化合物又は式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の運搬又は輸送を容易にするそれらの能力で選択してもよい。特定の薬学的に許容される添加剤は、患者の薬剤服用順守を高めるそれらの能力で選択してもよい。
【0111】
適切な薬学的に許容される添加剤には、下記のタイプの添加剤(賦形剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶剤、共溶剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、香味マスキング剤、着色剤、固化防止剤、湿潤剤、キレート剤、可塑剤、粘度増加剤、抗酸化剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、及び緩衝剤)が含まれる。特定の薬学的に許容される添加剤は、複数の機能を果たすことがあり、どれだけの添加剤が製剤中に存在し、どのような他の添加剤が製剤中に存在するかによって代替機能を果たすことがあることは当業者であれば理解するであろう。
【0112】
当業者は、本発明において使用するための適切な量の適切な薬学的に許容される添加剤を選択することを可能とする当技術分野の知識及び技術を有する。さらに、薬学的に許容される添加剤について記載されており、適切な薬学的に許容される添加剤を選択する上で有用であり得る、当業者が利用可能ないくつかのリソースがある。例には、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が含まれる。
【0113】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術及び方法を使用して調製される。当技術分野で一般に使用されるこれらの方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0114】
したがって、別の態様において、本発明は、成分を混合することを含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、一種若しくは複数の薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物を調製する方法を対象とする。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、例えば、周囲温度及び大気圧で混合することによって調製し得る。
【0115】
一実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、経口投与のために製剤される。別の実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、吸入投与のために製剤される。さらなる実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、鼻腔内投与のために製剤される。好ましくは、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、吸入投与のために製剤される。
【0116】
一態様によれば、本発明は、安全かつ有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、賦形剤又は充填剤とを含む、錠剤又はカプセル剤などの固体経口剤形を対象とする。適切な賦形剤及び充填剤には、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、及びアルファ化デンプン)、セルロース及びその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)、硫酸カルシウム、並びに第二リン酸カルシウムが含まれる。経口固体剤形は、結合剤をさらに含み得る。適切な結合剤には、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、及びアルファ化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、並びにセルロース及びその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)が含まれる。経口固体剤形は、崩壊剤をさらに含み得る。適切な崩壊剤には、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。経口固体剤形は、滑沢剤をさらに含み得る。適切な滑沢剤には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びタルクが含まれる。
【0117】
適切な場合には、経口投与のための投与単位製剤は、マイクロカプセル化することができる。組成物はまた、例えば、コーティング、又はポリマー、ワックス若しくは同様のもの中に微粒子状材料を埋め込むことによって調製して、放出を持続又は維持することができる。
【0118】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩はまた、標的可能な薬物担体として可溶性ポリマーとカップリングさせてもよい。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを含めることができる。さらに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、薬物の制御放出を達成することにおいて有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーとカップリングさせてもよい。
【0119】
別の態様において、本発明は、液体経口剤形を対象とする。溶液剤、シロップ剤及びエリキシル剤などの経口液体は、一定量が所定の量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有するように、投与単位形態で調製することができる。シロップ剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を適切に香味付けされた水溶液に溶解することによって調製することができ、一方エリキシル剤は、無毒性アルコール性ビヒクルを使用することによって調製される。懸濁剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を無毒性ビヒクルに分散させることによって製剤することができる。可溶化剤及び乳化剤(エトキシ化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど)、保存剤、香味添加物(ハッカ油又は天然甘味剤又はサッカリン又は他の人工甘味剤など)などを加えることもできる。
【0120】
別の態様において、本発明は、例えば、乾燥粉末、エアゾール、懸濁液、又は溶液組成物として、吸入による患者への投与のために適合された剤形を対象とする。好ましくは、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、吸入のために適合された乾燥粉末組成物を対象とする。
【0121】
吸入による肺への送達のための乾燥粉末組成物は典型的には、微粉化した粉末として式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、微粉化した粉末として一種若しくは複数の薬学的に許容される添加剤と共に含む。乾燥粉末における使用に特に適している薬学的に許容される添加剤は当業者には公知であり、ラクトース、デンプン、マンニトール、並びに単糖類、二糖類、及び多糖類が含まれる。微粉化した粉末は、例えば、微粒子化及び粉砕によって調製し得る。一般に、粉砕した(例えば、微粒子化した)化合物は、約1〜約10ミクロンのD50値(例えば、レーザー回折を使用して測定すると)によって定義することができる。
【0122】
乾燥粉末は、複数(非定用量)の乾燥粉末形態の医薬を保存するのに適したレザーバーを有するレザーバードライパウダー吸入器(RDPI)によって患者に投与してもよい。RDPIには典型的には、レザーバーから送達位置へと各医薬用量を計量するための手段が含まれる。例えば、計量手段は、第1の位置(レザーバーからの医薬でカップを充填し得る)から第2の位置(吸入のために患者が医薬定用量を利用できる)への可動性の計量カップを含み得る。
【0123】
代わりに、乾燥粉末は、複数用量ドライパウダー吸入器(MDPI)での使用のためにカプセル(例えば、ゼラチン若しくはプラスチック)、カートリッジ、又はブリスターパック中で提示してもよい。MDPIは、複数の確定した用量(又はその部分)の医薬を含有(又は違う方法で保持)する複数用量のパック内に医薬が含まれている吸入器である。乾燥粉末がブリスターパックとして提示されているとき、それは、乾燥粉末形態の医薬を含有するために複数のブリスターを含む。ブリスターは典型的には、そこからの医薬の放出を簡単にするために通常の態様で配置されている。例えば、ブリスターは、円盤形態のブリスターパック上で全体的に環状の態様で配置されていてもよく、又はブリスターは、例えば、ストリップ又はテープを含めて、細長い形状でよい。各カプセル、カートリッジ、又はブリスターは、例えば、20μg〜10mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る。
【0124】
エアゾール剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を液化噴射剤に懸濁又は溶解することによって形成し得る。適切な噴射剤には、ハロカーボン、炭化水素、及び他の液化ガスが含まれる。代表的な噴射剤には、トリクロロフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロフルオロメタン(噴射剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(噴射剤114)、テトラフルオロエタン(HFA-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFA-152a)、ジフルオロメタン(HFA-32)、ペンタフルオロエタン(HFA-12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA-227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン、及びペンタンが含まれる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含むエアゾール剤は典型的には、定量吸入器(MDI)によって患者に投与される。このような装置は、当業者には公知である。
【0125】
エアゾール剤は、界面活性剤、滑沢剤、共溶剤及び他の添加剤などの、典型的にはMDIと共に使用するさらなる薬学的に許容される添加剤を含有し、製剤の物理的安定性を改善し、バルブ性能を改善し、溶解性を改善し、又は味を改善してもよい。
【0126】
したがって本発明のさらなる態様として、任意選択で界面活性剤及び/又は共溶剤と組み合わせた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、噴射剤としてフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンとを含む、医薬エアゾール製剤を提供する。
【0127】
本発明の別の態様によれば、噴射剤が1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン、及びこれらの混合物から選択される、医薬エアゾール製剤を提供する。
【0128】
本発明の製剤は、適切な緩衝剤を加えることによって緩衝させてもよい。
【0129】
吸入器又は吹入器中で使用するための、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び適切な粉末基剤(ラクトース又はデンプンなど)の吸入のための混合粉末を含有して製剤してもよい。各カプセル又はカートリッジは一般に、20μg〜10mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有してもよい。代わりに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、ラクトースなどの添加剤なしに提示してもよい。
【0130】
本発明による局所組成物中の式(I)の活性化合物又はその薬学的に許容される塩の割合は、調製される製剤の詳細なタイプによるが、0.001〜10重量%の範囲である。一般に調製品の大部分のタイプについて、使用される割合は、0.005〜1%、例えば、0.01〜0.5%の範囲である。しかし、吸入又は吹入のための散剤において、使用される割合は通常、0.1〜5%の範囲である。
【0131】
エアゾール製剤は好ましくは、エアゾールの各定用量又は「ひと吹き」が20μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μg、さらに好ましくは約20μg〜500μgの式(I)の化合物を含有するように準備される。投与は、1日1回、又は1日数回、例えば、2回、3回、4回又は8回であり、例えば、毎回1、2又は3用量を与えてもよい。エアゾール剤による全体的な1日用量は、100μg〜10mg、好ましくは200μg〜2000μgの範囲内である。吸入器又は吹入器中のカプセル及びカートリッジによって送達される全体的な1日用量及び定用量は一般に、エアゾール製剤によって送達されるものの2倍である。
【0132】
懸濁エアゾール製剤の場合、微粒子状(例えば、微粒子化した)薬物の粒径は、エアゾール製剤の投与によって実質的に全ての薬物の肺への吸入を可能にするなどであるべきであり、したがって100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、特に1〜10ミクロンの範囲(1〜5ミクロン、さらに好ましくは2〜3ミクロンなど)である。
【0133】
本発明の製剤は、例えば、超音波処理又は高剪断ミキサーを用いて、適切な容器中の選択した噴射剤中の医薬及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の分散又は溶解によって調製し得る。この方法は、望ましくは制御された湿度条件下で行なわれる。
【0134】
本発明によるエアゾール製剤の化学的及び物理的安定性並びに薬学的許容性は、当業者には周知の技術によって決定し得る。したがって、例えば、成分の化学的安定性は、例えば、生成物を長期保存した後、HPLCアッセイによって決定し得る。物理的安定性データは、例えば、漏れ試験による、バルブ送達アッセイ(操作毎の平均ショット重量)による、用量再現性アッセイ(操作毎の活性成分)及び噴霧分散度分析によるなどの他の従来の分析技術から得てもよい。
【0135】
本発明による懸濁エアゾール製剤の安定性は、従来の技術によって、例えば、逆光散乱機器を使用して凝結粒度分布(flocculation size distribution)を測定することによって、又はカスケードインパクションによる粒度分布を測定することによって、又は「ツインインピンジャー」分析法によって測定し得る。本明細書において使用する場合、「ツインインピンジャー」アッセイへの言及は、British Pharmacopaeia 1988、A204〜207頁、付属書XVII Cに定義されているように、「装置Aを使用した加圧式吸入における放出用量の堆積の決定」を意味する。このような技術は、エアゾール製剤の「呼吸に適した画分」を計算することを可能にする。「呼吸に適した画分」を計算するために使用する一方法は、上記のツインインピンジャー法を使用して操作毎に送達される活性成分の総量の割合として表される、操作毎の下部の衝突チャンバー中で集めた活性成分の量である「微粒子画分」を参照することによる。
【0136】
「定量吸入器」又はMDIという用語は、缶、缶を覆う安全なキャップ及びキャップ中に位置する製剤計量バルブを含むユニットを意味する。MDIシステムには、適切なチャネリング装置が含まれる。適切なチャネリング装置は、例えば、バルブアクチュエータ、及び円柱状又は円錐状通路(それによって医薬を充填キャニスターから計量バルブを通って患者の鼻又は口に送達し得る、マウスピースアクチュエータなど)を含む。
【0137】
MDIキャニスターは一般に、プラスチック製若しくはプラスチックコーティングしたガラス製ビン、又は好ましくは金属缶(例えば、アルミニウム若しくはその合金、任意選択で陽極処理され、ラッカーコーティングされ、及び/若しくはプラスチックコーティングされていてもよい)などの、使用される噴射剤の蒸気圧に耐えることができる容器を含み(例えば、参照により本明細書中に組み込まれているWO96/32099、内表面の部分又は全部が、一種又は複数の非フルオロカーボンポリマーと任意選択で組み合わせた一種又は複数のフルオロカーボンポリマーでコーティングされている)、その容器は計量バルブで閉じられている。キャップは、超音波溶接、ねじ込み継手又はクリンプ加工によって、缶上に取り付け得る。本明細書において教示されているMDIは、当技術分野の方法によって調製し得る(例えば、Byron(上記)、及びWO96/32099を参照されたい)。好ましくは、キャニスターにはキャップアセンブリが取り付けられており、薬物計量バルブがキャップ中に位置し、前記キャップは所定位置に圧着されている。
【0138】
本発明の一実施形態において、缶の金属性内表面は、フルオロポリマーでコーティングされ、さらに好ましくは非フルオロポリマーとブレンドされる。本発明の別の実施形態において、缶の金属性内表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされている。本発明のさらなる実施形態において、缶の金属性内表面の全体は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされている。
【0139】
計量バルブは、操作毎に定量の製剤を送達し、バルブを通した噴射剤の漏れを防止するためのガスケットを組み込むように設計される。ガスケットは、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、ブロモブチル、EPDM、白黒のブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴム及びネオプレンなどの任意の適切なエラストマー材料を含み得る。適切なバルブは、エアゾール産業において周知のメーカー、例えば、Valois、France(例えば、DF10、DF30、DF60)、Bespak plc、UK(例えば、BK300、BK357)及び3M-Neotechnic Ltd、UK(例えば、Spraymiser(商標))から市販されている。
【0140】
様々な実施形態において、MDIはまた、これらだけに限定されないが、米国特許第6,119,853号;同第6,179,118号;同第6,315,112号;同第6,352,152号;同第6,390,291号;及び同第6,679,374号に記載されているものを含めた、MDIを保存及び含有するためのオーバーラップパッケージ、並びにこれらに限定されないが、米国特許第6,360,739号及び同第6,431,168号に記載されているものなどの用量計数ユニットなどの他の構造と併せて使用し得る。
【0141】
医薬エアゾール製造の当業者には周知の、従来のバルク製造方法及び機構を、充填キャニスターの商業生産のための大規模なバッチの調製のために用いてもよい。したがって、例えば、懸濁エアゾール製剤を調製するための一つのバルク製造方法において、計量バルブをアルミニウム缶に圧着させ、空のキャニスターを形成する。微粒子状医薬を投入槽に加え、液化噴射剤を任意選択の添加剤と共に、投入槽を通して製造槽に圧送注入する。薬物懸濁液を混合し、その後充填機に再循環させ、次いで薬物懸濁液の一定分量を、計量バルブを通してキャニスターに充填する。溶液エアゾール製剤の調製のためのバルク製造方法の一例において、計量バルブをアルミニウム缶に圧着させ、空のキャニスターを形成する。液化噴射剤は、任意選択の添加剤及び溶解した医薬と共に、投入槽を通して製造槽に圧送注入する。
【0142】
代替方法において、液化製剤の一定分量を、製剤が気化しないことを確保するのに十分に冷たい条件下で開口したキャニスターに加え、次いで計量バルブをキャニスターに圧着させる。
【0143】
典型的には、製薬学的用途のために調製されたバッチにおいて、各充填キャニスターを、放出試験の前に、秤量し、バッチ番号でコード付けし、保存のためにトレイに詰める。
【0144】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む懸濁剤及び溶液剤はまた、ネブライザーによって患者に投与してもよい。噴霧のために用いられる溶剤又は懸濁剤は、水、食塩水、アルコール若しくはグリコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、又はそれらの混合物などの任意の薬学的に許容される液体でよい。食塩溶液は、投与後に薬理活性をほどんど又は全く示さない塩を用いる。両方の有機塩(アルカリ金属又はアンモニウムハロゲン塩など、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム)、又は有機塩(カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩など)、又は有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸など)を、この目的のために使用し得る。
【0145】
他の薬学的に許容される添加剤を、懸濁剤又は溶液剤に加えてもよい。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸)、有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、及び酒石酸など)、錯化剤(EDTA又はクエン酸及びその塩など)、或いは抗酸化剤(ビタミンE又はアスコルビン酸など)などの抗酸化剤の添加によって安定化し得る。これらは、単独又は一緒に使用して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を安定化し得る。塩化ベンザルコニウム又は安息香酸及びその塩などの保存剤を加えてもよい。界面活性剤を加えて、特に懸濁剤の物理的安定性を改善してもよい。これらには、レシチン、二ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、オレイン酸及びソルビタンエステルが含まれる。
【0146】
さらなる態様において、本発明は、鼻腔内投与のために適合された剤形を対象とする。
【0147】
鼻への投与のための製剤には、加圧式エアゾール製剤、及び加圧式ポンプによって鼻に投与される水性製剤が含まれてもよい。非加圧式であり、鼻腔に局所的に投与するように適合された製剤が特に重要である。適切な製剤は、この目的のための賦形剤又は担体として水を含有する。肺又は鼻への投与のための水性製剤は、緩衝剤、張性改良剤などの従来の添加剤と共に提供してもよい。水性製剤はまた、噴霧によって鼻に投与してもよい。
【0148】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、流体ディスペンサー、例えば、分注ノズル又は分注開口部(それを通って流体ディスペンサーのポンプ機序へ使用者が力をかけることによって定用量の流体製剤が分注される)を有する流体ディスペンサーからの送達のための流体製剤として製剤してもよい。このような流体ディスペンサーは一般に、複数定用量の流体製剤のリザーバーを備えており、用量は連続的ポンプ操作によって分注される。分注ノズル又は開口部は、鼻腔へ流体製剤をスプレー分注するために、使用者の鼻孔への挿入のために構成されていてもよい。上記のタイプの流体ディスペンサーは、全内容が参照により本明細書中に組み込まれているWO05/044354に記載及び例示されている。ディスペンサーは、流体製剤を含有するための容器上に取り付けた圧縮ポンプを有する流体排出装置を収容するハウジングを有する。ハウジングは、容器をハウジング中で上方へ移動させ、ポンプを圧縮し、ハウジングの経鼻ノズルを通して定用量の製剤をポンプ基部からポンピングするために、ハウジングに対して内向きに動かせる指で操作可能な少なくとも一つのサイドレバーを有する。一実施形態において、流体ディスペンサーは、WO05/044354の図30〜40に例示されている一般型のものである。
【0149】
担体が固体である、鼻腔内投与のために適合された医薬組成物には、鼻の近くに保持された粉末容器から鼻道を通して急速吸入することによって投与される、例えば、20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末が含まれる。鼻用スプレーとして又は点鼻薬として投与するための、担体が液体である適切な組成物には、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の水溶液又は油溶液が含まれる。
【0150】
経皮的投与のために適合された医薬組成物は、長期間、患者の表皮と密接に接着し続けることを意図した別個のパッチとして提示してもよい。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986)に一般に記載されているように、イオン浸透療法によってパッチから送達してもよい。
【0151】
局所投与のために適合された医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤又は油剤として製剤してもよい。
【0152】
軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤は、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤及び/又は溶剤を加えた、例えば、水性若しくは油性基剤と共に製剤してもよい。したがってこのような基剤には、例えば、水及び/又は油(流動パラフィン又は植物油(ラッカセイ油若しくはヒマシ油など)など)、或いは溶剤(ポリエチレングリコールなど)が含まれてもよい。基剤の性質によって使用し得る増粘剤及びゲル化剤には、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜蝋、カルボキシポリメチレン及びセルロース誘導体、及び/又はモノステアリン酸グリセリル及び/又は非イオン性乳化剤が含まれる。
【0153】
ローション剤は、水性若しくは油性基剤と共に製剤してもよく、一般に一種若しくは複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤又は増粘剤をまた含有する。
【0154】
外用のための散剤は、任意の適切な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース又はデンプンを活用して形成してもよい。ドロップ剤は、一種若しくは複数の分散剤、可溶化剤、懸濁化剤又は保存剤をまた含む、水性若しくは非水性基剤と共に製剤してもよい。
【0155】
局所調製品は、患部への一日当たり一回又は複数回の塗布によって投与してもよい。皮膚上の閉鎖包帯を有利に使用してもよい。連続的又は持続的送達は、接着剤リザーバー系によって達成し得る。
【0156】
目又は他の外部組織、例えば、口及び皮膚の治療のために、組成物は、局所軟膏剤又はクリーム剤として塗布してもよい。軟膏剤に製剤するとき、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、パラフィン性又は水混和性の軟膏基剤と共に用いてもよい。代わりに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤と共にクリーム剤に製剤してもよい。
【0157】
非経口投与のために適合された医薬組成物には、水性及び非水性の無菌注射液(抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、及び製剤を意図したレシピエントの血液と等張にさせる溶質を含有してもよい)、並びに水性及び非水性の無菌懸濁液(懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい)が含まれる。組成物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルにおいて提示してもよく、注射のために、無菌液体担体、例えば、水を、使用直前に加えることのみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。即時調製注射液及び懸濁液は、無菌散剤、顆粒剤及び錠剤から調製し得る。
【0158】
本発明による化合物及び医薬製剤は、例えば、抗炎症剤、抗コリン剤(特に、M1/M2/M3受容体アンタゴニスト)、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染症薬(抗生物質若しくは抗ウイルス薬)、又は抗ヒスタミン剤などから選択される一種又は複数の他の治療剤と組み合わせて使用してもよく、或いはそれらが含まれてもよい。したがってさらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、例えば、抗炎症剤(副腎皮質ステロイド又はNSAIDなど)、抗コリン剤、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染症薬(抗生物質若しくは抗ウイルス剤など)、又は抗ヒスタミン剤から選択される一種又は複数の他の治療活性剤と共に含む組合せを提供する。本発明の一実施形態は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、及び/又は抗コリン作用薬、及び/又はPDE-4阻害剤、及び/又は抗ヒスタミン剤と共に含む組合せを包含する。
【0159】
本発明の特定の化合物は、他のPI3キナーゼよりもPI3Kδに対して選択性であることを示し得る。したがってさらなる態様において、本発明は、PI3Kδに対して選択的な式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、別のPI3キナーゼ、例えば、PI3Kγに対して選択的な化合物又はその薬学的に許容される塩と共に含む組合せを提供する。
【0160】
本発明の一実施形態は、一つ又は二つの他の治療剤を含む組合せを包含する。
【0161】
適切な場合には、他の治療成分(複数可)は、塩の形態(例えば、アルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩として)、又はプロドラッグ、又はエステル、例えば、低級アルキルエステルとして、又は溶媒和物、例えば、水和物として使用して、治療成分の活性及び/又は安定性及び/又は溶解性などの物理的特性を最適化し得ることは当業者には明らかであろう。適切な場合には、治療成分は、光学的に純粋な形態で使用し得ることはまた明らかである。
【0162】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、β2-アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組合せを包含する。
【0163】
β2-アドレナリン受容体アゴニストの例には、サルメテロール(ラセミ体又はR-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーでよい)、サルブタモール(ラセミ体、又はR-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーでよい)、ホルモテロール(ラセミ体、又はR,R-ジアステレオマーなどの単一のジアステレオマーでよい)、サルメファモール、フェノテロールカルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロール、テルブタリン及びその塩、例えば、サルメテロールのキシナホ酸(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート)塩、サルブタモールの硫酸塩若しくは遊離塩基、又はホルモテロールのフマル酸塩が含まれる。一実施形態において、長時間作用性のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、約12hrs以上有効な気管支拡張を実現する化合物が好ましい。
【0164】
他のβ2-アドレナリン受容体アゴニストには、WO02/066422、WO02/070490、WO02/076933、WO03/024439、WO03/072539、WO03/091204、WO04/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO01/42193及びWO03/042160に記載されているものが含まれる。
【0165】
β2-アドレナリン受容体アゴニストの例には、
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2, 6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;及び
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン.
が含まれる。
【0166】
β2-アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-又は4-オキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸から選択される薬学的に許容される酸と形成される塩の形態でよい。
【0167】
適切な抗炎症剤には、副腎皮質ステロイドが含まれる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて使用し得る適切な副腎皮質ステロイドは、抗炎症活性を有するそれらの経口及び吸入副腎皮質ステロイド並びにそれらのプロドラッグである。例には、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメサゾン、プロピオン酸フルチカソン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステル又は17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸モメタゾン)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR-106541、及びST-126が含まれる。好ましい副腎皮質ステロイドには、プロピオン酸フルチカソン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルが含まれる。一実施形態において、副腎皮質ステロイドは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルである。
【0168】
副腎皮質ステロイドの例には、WO2002/088167、WO2002/100879、WO2002/12265、WO2002/12266、WO2005/005451、WO2005/005452、WO2006/072599及びWO2006/072600に記載されているものが含まれてもよい。
【0169】
トランス活性化よりも転写抑制(transrepression)に対して選択性を有することがあり、かつ併用療法において有用であり得る、グルココルチコイドアゴニズムを有する非ステロイド性化合物には、下記の特許:WO03/082827、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651及びWO03/08277に包含されるものが含まれる。さらなる非ステロイド性化合物は、WO2006/000401、WO2006/000398及びWO2006/015870に包含されている。
【0170】
抗炎症剤の例には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が含まれる。
【0171】
NSAIDの例には、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤若しくは混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤(例えば、モンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニスト若しくはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、CCR3アンタゴニストなどのケモカインアンタゴニスト)若しくはサイトカイン合成の阻害剤、又は5-リポキシゲナーゼ阻害剤が含まれる。iNOS(誘導型一酸化窒素シンターゼ阻害剤)は、好ましくは経口投与用である。iNOS阻害剤の例には、WO93/13055、WO98/30537、WO02/50021、WO95/34534及びWO99/62875に開示されているものが含まれる。CCR3阻害剤の例には、WO02/26722に開示されているものが含まれる。
【0172】
一実施形態において、本発明は、特に吸入のために適合された製剤の場合、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と組み合わせた、式(I)の化合物の使用を提供する。本発明のこの態様において有用なPDE4特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られており、又はPDE4阻害剤として作用することが発見されており、PDE4のみの阻害剤である任意の化合物でよく、PDE4と同様にPDE3及びPDE5などのPDEファミリーの他のメンバーを阻害する化合物ではない。
【0173】
化合物には、cis-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン及びcis-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]が含まれる。また、1996年9月3日に発行された米国特許第5,552,438号に開示されているcis-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラストとしてもまた知られている)及びその塩、エステル、プロドラッグ又は物理的形態。この特許及びそれが開示している化合物は、本明細書において参照によりその全体が組み込まれている。
【0174】
他の化合物には、ElbionからのAWD-12-281(Hofgen, N.ら、第15回EFMC Int Symp Med Chem(9月6〜10日、Edinburgh)1998、アブストラクトP.98;CAS参照番号247584020-9);NCS-613(INSERM)と称される9-ベンジルアデニン誘導体;Chiroscience and Schering-PloughからのD-4418;CI-1018(PD-168787)として同定され、Pfizerに帰属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;WO99/16766において協和発酵によって開示されているベンゾジオキソール誘導体;協和発酵からのK-34;NappからのV-11294A(Landells, L.J.ら、Eur Resp J[Annu Cong Eur Resp Soc(9月19〜23日、Geneva)1998] 1998、12(追補28):アブストラクトP2393);Byk-Guldenからのロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)及びプタラジノン(その開示が参照により本明細書に組み込まれているWO99/47505);Byk-Gulden(現在Altana)によって調製され、発表された混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaが研究開発を進めているアロフィリン;VernalisからのVM554/UM565;又はT-440(田辺製薬;Fuji, K.ら、J Pharmacol Exp Ther、1998、284(1):162)、及びT2585が含まれる。
【0175】
さらなる化合物は、国際公開第WO04/024728号(Glaxo Group Ltd)、同第WO04/056823号(Glaxo Group Ltd)及び同第WO04/103998号(Glaxo Group Ltd)(例えば、その中に開示されている実施例399又は544)に開示されている。さらなる化合物はまた、WO2005/058892、WO2005/090348、WO2005/090353、及びWO2005/090354(全てGlaxo Group Limitedの名義)に開示されている。
【0176】
抗コリン剤の例は、ムスカリン受容体においてアンタゴニストとして作用するそれらの化合物、特に、M1又はM3受容体のアンタゴニスト、M1/M3若しくはM2/M3受容体のデュアルアンタゴニスト、又はM1/M2/M3受容体の汎アンタゴニストであるそれらの化合物である。吸入による投与のための例示的な化合物には、イプラトロピウム(例えば、臭化物として、CAS22254-24-6、Atroventという名前で販売されている)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として、CAS30286-75-0)及びチオトロピウム(例えば、臭化物として、CAS136310-93-5、Spirivaという名前で販売されている)が含まれる。また重要なものは、レバトロペート(例えば、臭化水素酸塩として、CAS262586-79-8)及びWO01/04118に開示されているLAS-34273である。経口投与のための例示的な化合物には、ピレンゼピン(CAS28797-61-7)、ダリフェナシン(Enablexという名前で販売されている臭化水素酸塩についてはCAS133099-04-4、又はCAS133099-07-7)、オキシブチニン(CAS5633-20-5、Ditropanという名前で販売されている)、テロジリン(CAS15793-40-5)、トルテロジン(Detrolという名前で販売されている酒石酸塩についてはCAS124937-51-5、又はCAS124937-52-6)、オチロニウム(例えば、臭化物として、CAS26095-59-0、Spasmomenという名前で販売されている)、塩化トロスピウム(CAS10405-02-4)及びソリフェナシン(YM-905としてまた知られており、Vesicareという名前で販売されているコハク酸塩についてはCAS242478-37-1、又はCAS242478-38-2)が含まれる。
【0177】
さらなる化合物は、参照により本明細書中に組み込まれているWO2005/037280、WO2005/046586及びWO2005/104745に開示されている。本組合せには、これらに限定されないが、
(3-endo)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3-endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
4-[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]-1-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド;及び
(1R,5S)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8-メチル-8-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
が含まれる。
【0178】
他の抗コリン剤には、例えば、
(3-endo)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-endo)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-endo)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン4-メチルベンゼンスルホネート;
(3-endo)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-チエニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;及び/又は
(3-endo)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-ピリジニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
を含めた、米国特許出願第60/487981号に開示されている化合物が含まれる。
【0179】
さらなる抗コリン剤には、例えば、
(endo)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオニトリル;
(endo)-8-メチル-3-(2,2,2-トリフェニル-エチル)-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオン酸;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロパン-1-オール;
N-ベンジル-3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
(endo)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1-ベンジル-3-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
1-エチル-3-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-アセトアミド;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンズアミド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-プロピオニトリル;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンゼンスルホンアミド;
[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクト-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-メタンスルホンアミド;及び/又は
(endo)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
を含めた、米国特許出願第60/511009号に開示されている化合物が含まれる。
【0180】
さらなる化合物には、
(endo)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(endo)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;及び/又は
(endo)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
が含まれる。
【0181】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、H1アンタゴニストと共に含む組合せを提供する。H1アンタゴニストの例には、これらに限定されないが、アメレキサノキス(amelexanox)、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン及びトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン及びフェキソフェナジンが含まれる。さらなる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、H3アンタゴニスト(及び/又はインバースアゴニスト)と共に含む組合せを提供する。H3アンタゴニストの例には、例えば、WO2004/035556及びWO2006/045416に開示されているそれらの化合物が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用し得る他のヒスタミン受容体アンタゴニストには、H4受容体のアンタゴニスト(及び/又はインバースアゴニスト)、例えば、Jablonowskiら、J. Med. Chem. 46:3957〜3960(2003)に記載されている化合物が含まれる。
【0182】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、PDE4阻害剤と共に含む組合せを提供する。
【0183】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、β2-アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組合せを提供する。
【0184】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、副腎皮質ステロイドと共に含む組合せを提供する。
【0185】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、非ステロイド性GRアゴニストと共に含む組合せを提供する。
【0186】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、抗コリン作用薬と共に含む組合せを提供する。
【0187】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、抗ヒスタミン剤と共に含む組合せを提供する。
【0188】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、PDE4阻害剤及びβ2-アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組合せを提供する。
【0189】
したがって、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、抗コリン作用薬及びPDE-4阻害剤と共に含む組合せを提供する。
【0190】
好ましい態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、副腎皮質ステロイドと共に含む組合せを提供する。
【0191】
さらなる好ましい態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、β2-アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組合せを提供する。
【0192】
上で言及した組合せは、医薬組成物の形態での使用のために好都合に提示してもよく、したがって上記定義のような組合せを、薬学的に許容される添加剤又は担体と共に含む医薬組成物は、本発明のさらなる態様を表す。
【0193】
このような組合せの個々の化合物は、別々又は合わせた医薬製剤で、順次に又は同時に投与してもよい。一実施形態において、個々の化合物は、合わせた医薬製剤で同時に投与される。公知の治療剤の適切な用量は、当業者は容易に理解するであろう。
【0194】
本発明は、したがってさらなる態様において、別の治療活性剤と共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0195】
本発明は、したがってさらなる態様において、PDE4阻害剤と共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0196】
本発明は、したがってさらなる態様において、β2-アドレナリン受容体アゴニストと共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0197】
本発明は、したがってさらなる態様において、副腎皮質ステロイドと共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0198】
本発明は、したがってさらなる態様において、非ステロイド性GRアゴニストと共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0199】
本発明は、したがってさらなる態様において、抗コリン作用薬と共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0200】
本発明は、したがってさらなる態様において、抗ヒスタミン剤と共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0201】
本発明は、したがってさらなる態様において、PDE4阻害剤及びβ2-アドレナリン受容体アゴニストと共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0202】
本発明は、したがってさらなる態様において、抗コリン作用薬及びPDE4阻害剤と共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0203】
好ましい態様において、本発明は、副腎皮質ステロイドと共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0204】
さらなる好ましい態様において、本発明は、β2-アドレナリン受容体アゴニストと共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0205】
本発明を、下記の非限定的実施例によって例示する。
【実施例】
【0206】
下記の実施例は、本発明を例示する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、本発明の化合物、組成物、及び方法を調製及び使用するガイダンスを当業者に提供する。本発明の特定の実施形態を記載するが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を加えることができることを当業者であれば理解するであろう。
【0207】
一般法
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)方法
下記で一覧表示する方法の一つを使用して、LCMS分析を行なった。
【0208】
LCMS法A
陽イオンエレクトロスプレーモードで作動するWaters ZQ質量分析計、質量範囲100〜1000amu。
【0209】
UV波長:215〜330nm
カラム:3.3cm×4.6mmの内径、3μm ABZ+PLUS
流速:3ml/min
注入量:5μl
溶媒A:95%のアセトニトリル+0.05%のギ酸の1%v/v水溶液
溶媒B:ギ酸の0.1%v/v酢酸アンモニウム水溶液(10mM)
勾配:下記の勾配プロファイルによって、溶媒A及び溶媒Bの混合物を使用する(混合物中の%溶媒Aとして表す):0%A/0.7min、0〜100%A/3.5min、100%A/0.4min、100〜0%A/0.2min
LCMS法B
LCMS計器類は、下記からなる。
【0210】
カラム:Acquity UPLC BEH C18、1.7μm、2.1mm×50mm。摂氏40度に設定したカラムオーブン
溶媒A:水0.1%ギ酸+10mMの酢酸アンモニウム
溶媒B:MeCN:水、95:5+0.05%ギ酸
注入量:0.5μl
注入技術:パーシャルループオーバーフィル(Partial loop overfill)
UV検出:220〜330nm
UVサンプリングレート:毎秒40ポイント
MSスキャン範囲:100〜1000amu
MS走査速度:0.1秒スキャン間遅延を伴う0.2秒スキャン
MSスキャン機能:正負スイッチングを伴うエレクトロスプレー
サイクル時間:2分30秒
【表1】

【0211】
LCMS法C
HPLC分析は、摂氏30温度でSunfire C18カラム(30mm×4.6mmの内径、3.5μmのパッキング直径)で行なった。
【0212】
溶媒A=ギ酸の0.1%v/v水溶液
溶媒B=ギ酸の0.1%v/vアセトニトリル溶液
用いた勾配は、下記であった。
【表2】

【0213】
UV検出は210nm〜350nmの波長からの平均シグナルであり、質量スペクトルは、質量分析計でオルタネートスキャンポジティブ及びネガティブモードエレクトロスプレーイオン化を使用して記録した。
【0214】
質量分析計直結型(Mass Directed)自動分取HPLC法
化合物の精製のために使用した質量分析計直結型自動分取HPLCのための方法を、下記に記載する。
【0215】
方法A
カラム
使用したカラムは、典型的には20mmの内径×100mmの長さの寸法を有するSupelco LCABZ++カラムである。固定相粒径は、5μmである。
【0216】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=MeCN:水、95:5+0.05%ギ酸
メークアップ溶媒=MeOH:水、80:20+50mMolの酢酸アンモニウム
針リンス溶媒=MeOH:水:DMSO、80:10:10
方法
対象とする化合物の分析保持時間に応じて使用される五つの方法がある。
【0217】
それらの全ては、10分の勾配、それに続く5分のカラムフラッシュ及び再平衡ステップからなる15分の実行時間を有する。
【0218】
化合物の保持時間1.5〜2.2min=0〜30%B
化合物の保持時間2.0〜2.8min=5〜30%B
化合物の保持時間2.5〜3.0min=15〜55%B
化合物の保持時間2.8〜4.0min=30〜80%B
化合物の保持時間3.8〜5.5min=50〜90%B
流速
上記の方法の全ては、20ml/minの流速を有する。
【0219】
この方法によって単離した塩基性化合物は、ギ酸塩であると思われる。
【0220】
方法B
カラム
少量分取カラム
Supelcosil ABZ+Plusカラム(その寸法は、21.2mmの内径×100mmの長さである)。固定相の粒径は、5μmである。
【0221】
大量分取カラム
Supelcosil ABZ+Plusカラム(その寸法は、30.0mmの内径×150mmの長さである)。固定相の粒径は、12μmである。
【0222】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=MeCN:水、95:5+0.05%ギ酸
ZQへのメークアップ溶媒=MeOH:水、80:20+50mMolの酢酸アンモニウム
2767針リンス溶媒=MeOH:水:DMSO、80:10:10
30mgまでの少量分取のための方法
使用できる十の方法がある。方法の選択は、対象とする化合物の分析保持時間に依存する(MDP=上記のLCMS法Aによって決定した保持時間)。
【0223】
五つの方法は、15分の実行時間を有し、これは10分の勾配、それに続く5分のカラムフラッシュ及び再平衡ステップからなる。他の五つは、25分の実行時間を有する。ここで、これらの方法は、Bの有機物含量について同じ開始点及び終点を有するが、勾配は、20分の期間に延長され、より高いクロマトグラフィーによる分割が実現した。
【0224】
化合物の保持時間1.5〜2.2min=00〜30%B
化合物の保持時間2.0〜2.8min=10〜40%B
化合物の保持時間2.5〜3.0min=15〜55%B
化合物の保持時間2.8〜4.0min=30〜80%B
化合物の保持時間3.8〜5.5min=60〜90%B
上記の方法についての流速は、20ml/minである。
【0225】
90mgまでの大量分取のための方法
有機物含量の割合は、異なるカラム寸法及び相の粒径によって、少量方法とは僅かに異なる。少量については、使用できる十の方法がある。方法の選択は、対象とする化合物の分析保持時間に依存する(MDP=上記のLCMS法Aによって決定した保持時間)。
【0226】
五つの方法は15分の実行時間を有し、それは、10分の勾配、それに続く5分のカラムフラッシュ及び再平衡ステップからなる。他の五つは、25分の実行時間を有する。ここで、これらの方法は、Bの有機物含量について同じ開始点及び終点を有するが、勾配は、20分の期間に延長され、より高いクロマトグラフィーによる分割が実現した。
【0227】
化合物の保持時間1.5〜2.2min=00〜30%B
化合物の保持時間2.0〜2.8min=10〜40%B
化合物の保持時間2.5〜3.0min=25〜55%B
化合物の保持時間2.8〜4.0min=40〜75%B
化合物の保持時間3.8〜5.5min=60〜90%B
上記の方法についての流速は、40ml/minである。
【0228】
この方法によって単離した塩基性化合物は、ギ酸塩であると思われる。
【0229】
質量分析計直結型自動分取HPLCカラム、条件及び溶離液
方法C
カラム詳細:Zorbax Eclipse XDB-C18分取HT(寸法212×100mm、5umパッキング)
ソフトウェア/ハードウェア:Agilent1100シリーズLC/MSDハードウェア、chemstation32精製ソフトウェア。uv/質量イオントリガー上で集める
溶媒:
A=トリフルオロ酢酸の0.1%v/v水溶液
B=トリフルオロ酢酸の0.1%v/vアセトニトリル溶液
20ml/minの溶媒速度、勾配溶離:
1min、90%水(0.1%TFA):10%MECN(0.1%TFA)、9minに亘り5%水(0.1%TFA):95%MECN(0.1%TFA)に増加させ、化合物を溶出させる。
【0230】
質量分析計直結型自動分取HPLCカラム、条件及び溶離液
方法D
カラムの詳細:XBRIDGE C18カラム(100mm×19mmの内径、5uMパッキング直径)
溶媒
A=アンモニア水溶液でpH10に調節した水中の10mMの炭酸水素アンモニウム
B=アセトニトリル
UV検出は210nm〜350nmの波長からの平均シグナルであり、質量スペクトルは、オルタネートスキャンポジティブ及びネガティブモードエレクトロスプレーイオン化を使用して質量分析計で記録した。
【0231】
質量分析計直結型自動分取HPLCカラム、条件及び溶離液
方法E
質量分析計直結型自動分取システムは、以下からなる。
【0232】
Waters ZQ質量分析計
Waters2525ポンプ
Waters Reagent Manager
Waters2767オートサンプラー
Gilson202オートサンプラー
Gilson115紫外吸光検出器
スプリッターボックス
Phenomenexカラム切換え装置
注入量:0.5ml
流速(移動相):20ml/分
カラム:Supelco ABZ+Plus、100mm×21.2mm、5um
移動相:A)ギ酸の0.1%v/v水溶液
B)95%のアセトニトリル+5%のギ酸の1%v/v水溶液
メークアップ流:80%のメタノール+20%のギ酸の0.1%v/v酢酸アンモニウム水溶液(10mM)。
【0233】
一般法2.5〜3.0及び2.8〜4.0について、試料毎に2回の注入を行なった。
【表3】

【0234】
中間体及び実施例
商業的供給者の名前が化合物又は試薬の名前の後にくるとき(例えば、「化合物X(Aldrich)」又は「化合物X/Aldrich」)、これは化合物Xが、名前を挙げられた商業的供給者などの、商業的供給者から得たことを意味する。本明細書において言及されていない場合、化合物又は試薬は、Sigma Aldrich、Lancaster、Fluorochem、TCIなどの標準的供給者から購入することができる。
【0235】
同様に、文献又は特許参照文献が化合物の名前の後にくるとき(例えば、化合物Y(EP0123456))、これは、化合物の調製が名前を挙げた参照文献に記載されていることを意味する。
【0236】
実施例の名前は、名前を構造に一致させる化合物命名プログラムを使用して得た(例えば、ACD/Name Batch v9.0)。
【0237】
中間体1
6-ブロモ-4-ニトロ-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール
【化16】

【0238】
ジクロロメタン(150ml)中の6-ブロモ-4-ニトロ-1H-インダゾール(10.0g、0.041mol)、3,4-ジヒドロピラン(8.52ml、0.09mol)及びピリジニウムパラ-トルエンスルホネート(125mg、0.50mol)の混合物を、還流させながら4.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml)に注いだ。層を分離し、水層をジクロロメタン(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層を5%クエン酸水溶液(w/v、100ml)及びブライン(100ml)で洗浄し、次いで硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、表題化合物を得て、それをそれに続く反応においてそれ以上精製することなく使用した(12.89g)。
【0239】
LCMS(方法A)m/z326[MH+];Rt=3.42min。
【0240】
中間体2
6-(1H-インドール-4-イル)-4-ニトロ-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール
【化17】

【0241】
五つの反応は、各々、6-ブロモ-4-ニトロ-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール(500mg、1.53mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(125mg、0.153mmol)、1H-インドール-4-イルボロン酸(370mg、2.3mmol)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3ml)及びイソプロピルアルコール(12ml)と共に準備した。それらを全てマイクロ波中で150℃にて10分間加熱した。反応混合物を合わせ、水(250ml)及び酢酸エチル(250ml)を加えた。混合物を濾過し、有機層を集めた。有機層を水、続いてブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去した。残渣をジクロロメタンに溶解し、シリカ上に予め吸収させた。シクロヘキサン中の0〜25%酢酸エチルで溶出するシリカ上のクロマトグラフィーを使用して精製を行なった。所望の画分を集め、合わせ、溶媒を真空中で除去し、表題化合物を黄色の固体(1.72g)として得た。
【0242】
LCMS(方法A)m/z363[MH+]、Rt=3.61min。
【0243】
中間体3
6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン
【化18】

【0244】
6-(1H-インドール-4-イル)-4-ニトロ-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール(714mg、1.97mmol)を酢酸エチル(100ml)に溶解し、10%Pd/C触媒を使用して、30℃及び30バール圧力の水素下で、H-cube(商標)(THALESNanoから入手可能)を使用して、化合物を水素化した。溶媒を真空中で除去した。表題化合物をオレンジ色の/茶色の固体(629mg)として単離し、それに続く反応においてそれ以上精製することなく使用した。
【0245】
LCMS(方法A)m/z333[MH+]、Rt=2.86min。
【0246】
中間体4
6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン
【化19】

【0247】
6-ブロモ-1H-インダゾール-4-アミン(10g、Sinova Inc.から入手可能)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インドール(16.05g、Frontier Scientific、Europe Ltdから入手可能)を、1,4-ジオキサン(60ml)及び水(60ml)に溶解した。2Mの炭酸ナトリウム(70.7ml)及びPd(dppf)Cl2-DCM付加物(1.93g)を加え、混合物を115℃で18hr加熱した。反応混合物をジクロロメタン(200ml)で希釈し、有機層及び水層を疎水性フリットによって分離した。水層を、疎水性フリットを使用してさらなる量のジクロロメタン(2×200ml)で抽出し、層を分離した。有機層を合わせ、シリカ(80g)を加えた。溶媒を真空中で除去し、粗材料を得て、それは、シクロヘキサン中の0〜100%酢酸エチルで溶出するシリカゲル(750gカートリッジ、Flashmaster II)上のクロマトグラフィーによって60分に亘り精製した。油を真空中にて乾燥ラック上で一晩乾燥させた。生成した黄色の泡をジクロロメタン(3×400ml)に溶解し、各々の溶解後に溶媒を真空中で除去した。次いで、酢酸エチル(50ml)を加え、溶媒を真空中で除去した。得られた固体を真空オーブン中で乾燥させ、表題化合物(12.8g)を黄色の泡として得た。
【0248】
LCMS(方法A)m/z249[MH+]、Rt2.71min。
【0249】
中間体5
4-(1,1-ジメチルエチル)2-(フェニルメチル)2,4-モルホリンジカルボキシレート
【化20】

【0250】
4-{[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}-2-モルホリンカルボン酸[NeoMPSにより供給](1g、4.32mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解し、炭酸カリウム(0.598g、4.32mmol)を加えた。混合物を窒素下で20℃にて15分間撹拌した。ブロモメチルベンゼン(0.514ml、4.32mmol)を加え、混合物を窒素下にて室温で18hr撹拌した。水(25ml)及びジクロロメタン(20ml)を加え、疎水性フリットによって分離した。水相をジクロロメタン(2×20ml)で抽出した。有機相を合わせ、溶媒を真空中で除去した。残渣に、1%塩化リチウム溶液(20ml)及びジエチルエーテル(20ml)を加えた。相を分離し、水相をジエチルエーテル(2×15ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、表題化合物(1.19g)を無色の油として得た。
【0251】
LCMS(方法A):m/z322[MH+]、Rt=3.28min。
【0252】
中間体6
フェニルメチル2-モルホリンカルボキシレート
【化21】

【0253】
4-(1,1-ジメチルエチル)2-(フェニルメチル)2,4-モルホリンジカルボキシレート(1.19g、3.70mmol)を、1,4-ジオキサン(2ml)に溶解した。1,4-ジオキサン(20ml、80mmol)中の塩化水素(4M)を加え、混合物を室温で窒素下にて4hr撹拌した。溶媒を真空中で除去し、白色の固体を得た。固体を真空オーブン中で一晩乾燥させ、表題化合物(908mg)を白色の固体として得た。
【0254】
LCMS(方法A):m/z222[MH+]、Rt=1.93min
中間体7
フェニルメチル4-アセチル-2-モルホリンカルボキシレート
【化22】

【0255】
フェニルメチル2-モルホリンカルボキシレート(450mg、2.034mmol)をジクロロメタン(30ml)に溶解した。DIPEA(0.71ml、4.07mmol)及び無水酢酸(0.23ml、2.441mmol)を加え、混合物を窒素下にて室温で18hr撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をジクロロメタン(20ml)及び水(20ml)に分配し、疎水性フリットによって分離した。水層をジクロロメタン(2×10ml)で洗浄し、合わせた有機相に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20ml)を加えた。相を疎水性フリットによって分離し、水層をジクロロメタン(2×10ml)で洗浄した。溶媒を真空中で除去し、残渣をジクロロメタン(約5ml)に溶解し、残渣は、フラッシュクロマトグラフィー(20gシリカ、勾配溶離、0〜100%EtOAc-シクロヘキサン、次いで0〜20%MeOH)によって精製した。溶媒を真空中で除去し、表題化合物(313mg、1.19mmol)を無色の油として得た。
【0256】
LCMS(方法A):m/z264[MH+]、Rt=2.47min。
【0257】
中間体8
4-アセチル-2-モルホリンカルボン酸
【化23】

【0258】
フェニルメチル4-アセチル-2-モルホリンカルボキシレート(313mg、1.189mmol)をエタノール(5ml)に溶解し、10%パラジウム炭素を使用してH-Cube上で30バールにて水素化した。混合物を窒素流下で吹いて乾燥させ、出発物質を得た。出発物質をエタノール(5ml)に溶解し、10%パラジウム炭素を使用してH-Cube上で50バールにて水素化した。混合物を窒素流下で吹いて乾燥させ、表題化合物(50mg)を無色の油として得た。
【0259】
LCMS(方法A):m/z174[MH+]、Rt=0.48min
実施例1
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド
【化24】

【0260】
DMF(0.2mL)中の安息香酸(10mg、0.08mmol)を、DMF(0.2mL)及びDIPEA(30μL、0.24mmol)中のHATU(27mg、0.07mmol)で処理した。反応混合物を5分間振盪し、その後DMF(0.2mL)中の6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン(20mg、0.06mmol)で処理した。反応混合物を5分間振盪し、22℃で18hrs静置した。溶媒を真空中で除去し、生成物をメタノール(1mL)に再溶解し、その後SCXカートリッジ(1g)に加えた。1hr後生成物をメタノール(2×3mL)中のアンモニア(2M)で溶出させ、画分を合わせ、ブローダウン器具を使用して窒素流下で濃縮した。MDAP(方法D)による精製によって、表題化合物を得た。
【0261】
LCMS(方法A)m/z353[MH+]、Rt=3.18min。
【0262】
同様に調製したのは、下記であった。
【表4】

【0263】
実施例8
2,4-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド
【化25】

【0264】
DMF(0.2mL)中の2-4-ジフルオロ安息香酸(9mg、0.06mmol)を、DMF(0.2mL)及びジイソプロピルエチルアミン(0.030mL、0.24mmol)中のHATU(27mg、0.07mmol)で処理した。反応混合物を5分間振盪し、その後DMF(0.2mL)中の6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン(20mg、0.06mmol)で処理した。反応混合物を5分間振盪し、22℃で18hrs静置した。溶媒を真空中で除去し、生成物をメタノール(0.5mL)に再溶解し、その後SCXカートリッジ(1g)に加えた。1hr後、生成物をメタノール(2×3mL)中のアンモニア(2M)で溶出させ、画分を合わせ、ブローダウン器具を使用して窒素流下で濃縮した。MDAP(方法D)による精製によって、表題化合物を得た。
【0265】
LCMS(方法A)m/z389[MH+]、Rt=1.04min。
【0266】
同様に調製したのは、下記であった。
【表5】

【0267】
実施例12
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボキサミド
【化26】

【0268】
ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸(27mg、0.166mmol)を、無水THF(2ml)、次いで1-クロロ-N,N,2-トリメチルプロペニルアミン(0.026ml、0.20mmol)で処理した。反応物を室温で窒素下にて2hrs撹拌した。次いで、反応物を、無水DIPEA(0.131ml、0.753mmol)及び6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン(750mg、2.26mmol)のTHF(30ml)溶液(2ml)で処理した。次いで、反応物を室温で窒素下にて69hrs撹拌した。溶媒を窒素流下で吹き飛ばし、メタノール(3ml)に溶解し、次いで溶媒を減圧下で除去した。粗反応混合物をメタノール(5ml)に溶解し、マクロ多孔質トシル酸(Macroporous Tosic Acid)(4.45mmol/g、102mg、0.45mmol)で処理し、室温で17hrs撹拌し、次いで0.88アンモニア(0.5ml)で処理し、30分間撹拌し、次いで濾過した。溶媒を減圧下で除去し、次いで残渣を質量分析計直結型自動分取HPLC(方法B)によって精製し、表題化合物を得た。
【0269】
LCMS(方法B)m/z393[MH+]、Rt=1.02min。
【0270】
同様に調製したのは、下記であった。
【表6】

【0271】
実施例14
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド
【化27】

【0272】
1H-ベンゾイミダゾール-2-カルボン酸(Apollo Scientificから入手可能、25mg、0.151mmol)、O-(7-アザベンザトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(63mg、0.17mmol)及び6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン(50mg、0.15mmol)を無水DMF(3ml)に溶解し、次いでDIPEA(0.05ml、0.30mmol)で処理した。次いで、反応物を室温で15時間撹拌した。混合物をメタノール(3ml)、次いでマクロ多孔質-トシル酸酸(170mg、0.75mmol)で処理し、次いで15時間撹拌した。次いで、混合物を0.88アンモニア溶液(0.60ml)で処理し、10分間撹拌し、次いで濾過し、溶媒を窒素流下で吹き飛ばした。粗残渣は、質量分析計直結型自動分取HPLC(方法B)によって精製し、溶媒の蒸発の後に表題化合物を黄色の固体(27mg)として得た。LCMS(方法B)m/z393[MH+]、Rt=1.04min。
【0273】
下記の表で一覧表示した化合物を、上記の方法を使用して合成した。
【表7】

【0274】
実施例16
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド
【化28】

【0275】
4-メチル-2-(メチルオキシ)安息香酸(67mg、0.40mmol)のDMF(1ml)溶液に、HATU(248mg、0.40mmol)及びDIPEA(0.211mL、1.21mmol)を加えた。混合物を30min間窒素下で撹拌し、その後6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(50mg、0.201mmol)を加えた。反応物を2h撹拌し、次いでそれをPS-アミノプロピルカートリッジ(5g)上に詰め、3h放置した。カートリッジをDCM中の10%MeOHで洗浄した。適切な画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。残渣をMeOH:DMSO(1ml;1:1、v/v)に溶解し、方法Bを使用して質量分析計直結型自動分取HPLCによって精製した。溶媒を窒素流下にて蒸発させ、表題化合物(13mg)を得た。
【0276】
LCMS(方法B)m/z397[MH+]、Rt=1.12min。
【0277】
実施例17
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド
【化29】

【0278】
5-メチル-2-(メチルオキシ)安息香酸(67mg、0.40mmol)のDMF(1ml)溶液に、HATU(248mg、0.40mmol)及びDIPEA(156mg、1.208mmol)を加えた。反応物を30min間窒素下で撹拌し、その後6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(50mg、0.20mmol)を加えた。反応物を3h撹拌し、次いでそれをPS-アミノプロピルカートリッジに詰め、3h放置した。カートリッジをDCM中の10%MeOHで洗浄した。適切な画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。残渣をMeOH:DMSO(1ml;1:1、v/v)に溶解し、方法Bを使用して質量分析計直結型自動分取HPLCによって精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させた。残渣をDMSOに溶解し、下記の条件を使用してHPLCによってさらに精製した。
【0279】
カラム:Supelco ABZ+Plus、5μm、100×21.2mmの内径
溶媒A:水中の0.1%ギ酸
溶媒B:水:MeCN(5:95、v/v)中の1%ギ酸
流速:20ml/min
勾配:25分に亘り35〜80%B
適切な画分を窒素流下で蒸発させ、表題化合物(9mg)を得た。
【0280】
LCMS(方法B)m/z397[MH+]、Rt=1.13min。
【0281】
実施例18
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド
【化30】

【0282】
(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸(38mg、0.27mmol)(Art-Chem GmbHから)、HATU(126mg、0.33mmol)及びDIPEA(0.158ml、0.91mmol)をDMF(2ml)に溶解し、窒素下で30min間撹拌した。6-(1H-インドール-4-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(100mg、0.30mmol)を加え、反応物を5h撹拌した。DMF(1ml)中のさらなる(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸(38mg、0.27mmol)、HATU(126mg、0.33mmol)及びDIPEA(0.158ml、0.91mmol)を加え、10min間一緒に撹拌した後、反応物を窒素雰囲気下でRTにて2日間撹拌した。反応物をPS-アミノプロピルカートリッジ(10g)上に詰め、DCMで溶出させた。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させた。MeOH(2ml)及び2MのHCl(aq)(45μl、0.09mmol)を加え、約30min間RTで撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、残渣をMeOH:DMSO(2ml;1:1、v/v)に溶解し、方法Bを使用して質量分析計直結型自動分取HPLCによって精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、表題化合物(31mg)を得た。
【0283】
LCMS(方法B)m/z371[MH+]、Rt=0.9min。
【0284】
実施例19
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド
【化31】

【0285】
DMF(1ml)を、3-メチル-2-(メチルオキシ)安息香酸(134mg、0.81mmol)(Apin Chemicals)、HATU(306mg、0.81mmol)及びDIPEA(0.422ml、2.417mmol)に加えた。反応物を30min間窒素下で撹拌し、その後6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(100mg、0.403mmol)を加えた。反応物を窒素下にてRTで一晩撹拌し、次いでそれをPS-アミノプロピルカートリッジ上に詰め、3h放置した。カートリッジをDCM中の10%MeOHで洗浄した。適切な画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。残渣をMeOH:DMSO(2ml;1:1、v/v)に溶解し、方法Bを使用して質量分析計直結型自動分取HPLCによって精製した。溶媒を窒素流下で乾燥させ、表題化合物(6mg)を得た。
【0286】
LCMS(方法B)m/z397[MH+]、Rt=1.13min。
【0287】
実施例20
2-(エチルオキシ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド
【化32】

【0288】
2-(エチルオキシ)安息香酸(67mg、0.40mmol)のDMF(1ml)溶液に、HATU(248mg、0.40mmol)及びDIPEA(0.211mL、1.21mmol)を加えた。反応物を30min間窒素下で撹拌し、その後6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(50mg、0.20mmol)を加えた。反応物を一晩撹拌し、次いでそれをPS-アミノプロピルカートリッジ(5g)上に詰め、3h放置した。カートリッジをDCM中の10%MeOHで洗浄した。適切な画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。残渣をMeOH:DMSO(1ml;1:1、v/v)に溶解し、方法Bを使用して質量分析計直結型自動分取HPLCによって精製した。適切な画分を窒素流下で乾燥させ、表題化合物27mgを得た。
【0289】
LCMS(方法B)m/z397[MH+]、Rt=1.11min。
【0290】
実施例21
4-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-モルホリンカルボキサミド
【化33】

【0291】
HATU(0.107g、0.28mmol)の乾燥DMF(3ml)溶液に、4-アセチル-2-モルホリンカルボン酸(0.05g、0.282mmol)を加えた。DIPEA(0.098ml、0.56mmol)を加え、混合物を10min間静置した。乾燥DMF(3ml)に溶解した6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(0.04g、0.14mmol)を加え、溶液を室温で20hr静置した。DMFを窒素流下でブローダウンによって除去し、次いで残渣を溶解し、質量分析計直結型自動分取方法Bによって精製した。溶媒を真空中で除去し、生成物を真空オーブン中で50℃にて一晩乾燥させ、表題化合物を茶色の油(17mg)として得た。
【0292】
LCMS(方法A):m/z404[MH+]、Rt=2.72min。
【0293】
実施例22
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(2-ピリジニル)アセトアミド
【化34】

【0294】
2-ピリジル酢酸塩酸塩(0.033g、0.191mmol)、HATU(0.084g、0.220mmol)及びDIPEA(0.130ml、0.764mmol)をDMF(3ml)中で合わせ、20℃で10分間撹拌した。6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン(0.07g、0.20mmol)を加え、反応物を20℃で5h撹拌した。DMF(3ml)中の2-ピリジル酢酸塩酸塩の第ニのバッチ(0.033g、0.191mmol)、HATU(0.084g、0.220mmol)及びDIPEA(0.130ml、0.764mmol)を調製し、20℃で10分間撹拌した。それを主要な反応混合物に加え、3日間(週末)20℃で撹拌した。反応混合物を5g NH2-SPEカートリッジに加え、ジクロロメタン中の10%メタノールで溶出させた。溶媒を蒸発させ、残渣を質量分析計直結型自動分取(方法B)によって精製し、表題化合物(0.018g)を得た。
【0295】
LCMS(方法B)は、m/z368[MH+]、Rt=0.83minを示す。
【0296】
実施例23
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン
【化35】

【0297】
6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(500mg、2.014mmol)、2-ベンゾフラン-1,3-ジオン(298mg、2.014mmol)及びDMF(2.5ml)の混合物を、磁気撹拌棒を備えたBiotageバイアル(2〜5ml)中に置いた。バイアルをBiotage Initiatorマイクロ波中に置き、150℃で30min間、次いで再び150℃でさらに15min間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させ、茶色の油を得て、それをジクロロメタンに溶解し、100gシリカSPEカートリッジに加えた。カートリッジは、40minに亘りシクロヘキサン中の0〜100%酢酸エチル、続いて15minに亘りシクロヘキサン中の0〜20%メタノールの勾配を使用して、Flashmaster(II)機器上で溶出させた。適切な画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物(481mg)を淡黄色の泡として得た。
【0298】
LCMS(方法B)は、m/z379[MH+]、Rt=1.04minを示す。
【0299】
実施例24
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン
【化36】

【0300】
酢酸エチル(1ml)及び酢酸(0.25ml)中の6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(100mg、0.403mmol)及び1,2-ベンゼンジカルバルデヒド(54mg、0.403mmol)の混合物を、窒素雰囲気下にて室温で3h、次いで室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、5%炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)で洗浄した。相を分離し、水相をさらなる酢酸エチル(20ml)で抽出した。合わせた有機抽出物(少量の不溶性固形物を含有する)を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させ、黄色の泡を得た。これを酢酸エチル(20ml)に部分的に溶解し、シリカ(1.5g)上に事前吸着させた。次いで、このシリカを20gシリカSPEカートリッジの先端に加えた。カートリッジは、30minに亘りシクロヘキサン中の0〜100%酢酸エチルの勾配を使用して、Flashmaster(II)機器上で溶出させた。適切な画分を合わせ、蒸発させ、表題化合物(20mg)を淡黄色の固体として得た。
【0301】
LCMS(方法B)は、m/z365[MH+]、Rt=1.00minを示す。
【0302】
実施例25
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチルベンズアミド
【化37】

【0303】
3-メチル安息香酸(60mg、0.44mmol)を、DMF(0.750mL)及びDIPEA(0.15mL、0.86mmol)中のHATU(168mg、0.44mmol)で処理した。混合物を5分間振盪し、その後DMF(0.350mL)中の6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(50mg、0.2mmol)で処理し、次いで室温で16hrs静置した。溶媒を真空中で除去し、生成物をクロロホルム(0.3mL)に再溶解し、その後予め調節した(メタノール、次いでクロロホルム)NH2カートリッジ(1g)に加えた。2hr後、生成物を酢酸エチル/メタノール(1:1、3.2mL)で溶出させ、ブローダウン器具を使用して窒素流下にて濃縮した。MDAP(方法C)による精製によって、表題化合物を得た。
【0304】
LCMS(方法A)m/z367[MH+]、Rt=3.30min。
【0305】
実施例26
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-モルホリンカルボキサミド
【化38】

【0306】
4-メチル-2-モルホリンカルボン酸塩酸塩(40mg、0.22mmol)を、DMF(0.250mL)及びDIPEA(0.069mL、0.40mmol)中のHATU(84mg、0.22mmol)で処理した。混合物を5分間振盪し、その後DMF(0.25mL)中の6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(25mg、0.1mmol)で処理した。反応混合物を室温で18hrs静置した。溶媒を真空中で除去し、生成物をクロロホルム(0.3mL)に再溶解し、その後予め調節した(メタノール、次いでクロロホルム)NH2カートリッジ(0.5g)に加えた。2hr後、生成物を酢酸エチル/メタノール(1:1、3mL)で溶出させ、ブローダウン器具を使用して窒素流下にて濃縮した。MDAP(方法D)による精製によって、表題化合物を得た。
【0307】
LCMS(方法B)m/z376[MH+]、Rt=0.60min
同様に調製したのは、下記であった。
【表8】

【0308】
実施例32
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロプロパンカルボキサミド
【化39】

【0309】
6-(1H-インドール-4-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-2H-インダゾール-4-アミン(46mg、0.137mmol)のDCM(1ml)溶液に、DIPEA(0.119ml、0.684mmol)及びシクロプロピルカルボニルクロリド(29mg、0.274mmol)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、次いで2Mの水酸化ナトリウム溶液(2ml)を加え、反応物を室温でさらに1時間撹拌した。疎水性フリットを通過させることによって、有機層を集めた。水層をDCMで数回洗浄した。有機抽出物を合わせ、溶媒をブローダウンによって除去した。残渣をメタノール(2ml)に溶解し、1,4-ジオキサン中のHCl(4M)を加えた(2ml)。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒をブローダウンによって除去し、残渣を質量分析計直結型分取HPLC(方法B)によって精製した。残渣をフリーズドライし、表題化合物を薄茶色の固体(9mg)として得た。
【0310】
LCMS(方法A)m/z317[MH+]、Rt2.91min。
【表9】

【0311】
実施例37
フェニルメチル3-ヒドロキシ-4-({[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]アミノ}カルボニル)-1-ピロリジンカルボキシレート
【化40】

【0312】
4-ヒドロキシ-1-{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}-3-ピロリジンカルボン酸(Fluorochemから入手可能、59mg、0.22mmol)のDMF(1ml)溶液に、HATU(85mg、0.22mmol)を加え、混合物を10min間撹拌した。次いで、6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-アミン(46mg、0.19mmol)及びDIPEA(0.065ml、0.37mmol)を加え、混合物を20℃で18h静置した。溶媒を窒素流下にて除去し、残渣を質量分析計直結型自動分取HPLC(方法E)によって精製し、表題化合物(6mg)を茶色の固体として得た。
【0313】
LCMS(方法C)m/z496[MH+]、Rt=2.44min。
【0314】
生物学的データ
フローサイトメトリーを使用した増殖させたT細胞中のAKTリン酸化の決定
アッセイの原理
アッセイは、抗CD3及び抗CD28による増殖させたT細胞上のCD3/CD28の共刺激に応答した、AKTの単一細胞リン酸化を測定する。細胞内タンパク質リン酸化は、蛍光色素結合リン酸化タンパク質特異的抗体で標識した後、Beckman Coulter FC500マイクロプレートローディング(MPL)フローサイトメーターを使用して分析する。この場合、細胞内のリン酸化AKTを、Alexa488に直接結合したホスホ-AKT S473へのモノクローナル抗体で標識化した。蛍光散乱に対する光散乱プロットを作製し、AKTリン酸化を、活性化(pAKT)細胞の%増加として検出する。
【0315】
アッセイプロトコル
細胞プレーティング
フラスコから増殖させたT細胞を除去する(下記の追加を参照されたい)。遠心分離し、上清を除去する。温かい(37C)刺激緩衝液(ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン及び5%FCSを含有するRPMI)にペレットを再懸濁させ、再び遠心分離する。ペレットを10〜20mlの温かい刺激緩衝液に再懸濁させ、計数する。細胞濃度を1×106細胞/mlに調節する。45ulの細胞懸濁液をv底ポリスチレンプレートのウェルに加え、37Cで90分間インキュベートする。
【0316】
抗CD3(BDBiosciences#555329)及び抗CD28(BD Biosiences#555725)を含有する刺激物質プレートを調製する。ウェル毎に1〜0.7ugの各抗体を必要とする。ストック抗体溶液は、1000ug/mlである。適切な容量の希釈した抗体溶液を各ウェルに加える。5ulのこのストック溶液を細胞に加えることによって、ウェル毎に1〜0.7ugの最終濃度の各抗体が得られる。
【0317】
化合物プレートの調製及び刺激物質の添加
連続(1/3)希釈した化合物を、ウェルA1〜H10(カラム11及び12は、各々刺激を受けた細胞及び刺激を受けない細胞を含有する)中に加える。最高濃度は10uMであり、結果として得られた最終DMSO濃度は0.15%DMSOである。これらのステップを通常、Beckman Coulter Biomek FXを使用して自動化する。陽性対照がまた、プレートセット(バンドルとして)に含まれる。このアッセイにおいて使用される陽性対照は、GW450853X(LY294002)である。化合物のストック溶液を6.66Mで作製し、それを100%DMSOで1対3に連続希釈する(8-スパンBiomek FX)。プレート複製(押抜)を必要数のプレート作製する。各ウェルは、100%DMSO中で0.75ulの化合物を6.666Mで含有する(Biomek自動化プロトコルを使用)。49.25ulの刺激緩衝液を加えることによって、段階希釈したストック化合物を100uMに希釈する。
【0318】
さらなる1/10希釈によって、0.15%DMSOを含有する10uMの最高濃度がもたらされる。この場合、5ulの各希釈した化合物を、50ulの休止細胞懸濁液(rested cell suspension)を含有するプレートに加える。カラム11及び12は、刺激緩衝液及びDMSOのみを含有する。
【0319】
細胞処理
化合物プレート及びチップボックスを備えたBiomekデッキを必要に応じ設定する。Biomek FX上の適切なデッキ位置に細胞プレートを置く。Biomekプログラムを開始し、5ulの各化合物を細胞プレートに移す。化合物の添加の後、各プレートを穏やかに(600rpm)5秒間振盪する。終了すると、プレート上に蓋を置き、それらを二酸化炭素インキュベーターに移す。化合物の存在下で30min間インキュベートする。
【0320】
細胞刺激
Biomek FXを自動化プロトコルに従って設定する。刺激プレートをデッキ上に置く。
【0321】
細胞プレートを所定の位置に置き、刺激物質を加える。プレートを取り出し、インキュベーター中に19.25分間もどす(総刺激時間は20minである)。
【0322】
細胞の固定化
Biomekデッキを細胞固定化プロトコルに従って設定する。予め温めた固定液(4%緩衝化パラホルムアルデヒド溶液又はBD Cytofix試薬)をリザーバー中に注ぎ、加熱したデッキ上に置く(温度は摂氏37Cに維持する)。プレートを1000gで5min間遠心分離する。Biomek FXを使用してピペットで移すことによって、固定液上清を除去する。ウェルをボルテックスすることによってペレットを壊す。これは、ワーリーミキサー(whirlymixer)上のプレートの底を単に払うことによって行なう。氷の大きなトレイを配置する(いくつかのパテ(pates)を保持することができる)。氷上にプレートを配置し、200ulの氷冷の90%メタノールを各ウェルに加える。覆いをかけ、氷上に30分間放置する。プレートを1000gで5分間除去し、メタノール溶液を除去する。プレートをボルテックスし、100ulのPBSで洗浄する。再び1000gで5min間遠心分離する。上清を除去し、ペレットをボルテックスする。50ulのAlexa fluor488ホスホ-Akt(Ser473)ホスホ特異的ウサギモノクローナル抗体(CST#2336)溶液(染色液中の1/100希釈のストック抗体)を加える。プレートを覆い、暗中で60分間インキュベートする。プレート(1000g、5min間)を遠心分離し、上清を除去し、染色緩衝液を使用して1度洗浄する。180ulの染色緩衝液(PBS、2.5%FCS、0.02%NaN3)にペレットを再懸濁させる。FC500MPLフローサイトメーターを使用して、プレートを分析する。
【0323】
付属:
T細胞増殖
刺激のための組織培養プレートのコーティング
1mMのMgCl2、1mMのCaCl2、抗CD3(5ug/ml)及び抗CD28(5ug/ml)を含有する1.5mlのPBSを、6ウェルCostar組織培養プレートの各ウェルに加え、CO2インキュベーター中で摂氏37Cにて一晩インキュベートする。これによってプレートをmAbでコーティングする。
【0324】
Costarプレートのウェルを、3ml/ウェルのPBSで一度洗浄する。
【0325】
IL-2(10ng/ml、R&D Systems#202-IL)及びPHA(2ug/ml、Sigma#L2769)を有する増殖培地中に、PBMCを2×106細胞/mlで再懸濁させる。3mlの細胞懸濁液を、6ウェル培養皿(Costar)の各ウェルに加える。それらがコンフルエントとなるまで、すなわち培地が黄色になるまで、CO2インキュベーター中で摂氏37Cにてプレートをインキュベートする。
【0326】
4日後、増殖培地を使用して、培養ウェルからの刺激されたリンパ球を洗浄する。中型フラスコ(T75)中の増殖培地(RPMI GIBCO CT5615 10%熱失活FCS、Hyclone、2mMのグルタミン、GIBCO、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、GIBCO、1%非必須アミノ酸、GIBCO、1%ピルビン酸ナトリウム、GIBCO、20uMのHEPES、GIBCO、1.75ul/500mlの2-メルカプトエタノール、Sigmal)中で、リンパ球を約106/mlの濃度で、IL-2(10ng/ml)及びIL-7(1ng/ml、R&D Systems#207-IL)と共に培養する。細胞を、CO2インキュベーター中で37℃にて静止期において4〜7日間増殖させる。この増殖期間の間、細胞成長を毎日チェックし、増殖がどれだけコンフルエントであるかによって、IL-2(10ng/ml)及びIL-7(1ng/ml)を有する10〜15mlの静止培地でいっぱいに満たす。必要な場合、細胞をより大きなフラスコ(T175)に移す。1×106/mlの細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメトリーによって分析する。それに続く実験のために、アポトーシス細胞を生細胞数から除外する。細胞は使用するために>80%生存可能でなくてはならない。
【0327】
PI3Kα、β、δ及びγアッセイ
アッセイの原理
アッセイ読取りは、シグナルの生成における単離したプレクストリン相同(PH)ドメインへのPIP3の特異的及び高親和性結合を利用する。手短に言えば、PIP3産物は、ユウロピウム(Eu)標識抗GSTモノクローナル抗体、GSTタグPHドメイン、ビオチン-PIP3及びストレプトアビジン-APCからなるエネルギー転移複合体からのビオチン化PIP3の置き換えによって検出される。Euの励起は、APCへのエネルギーの転移及び665nmでの増感蛍光発光をもたらす。PI3キナーゼ活性によって形成されるPIP3は、PHドメイン上の結合部位について競争し、これはエネルギー転移の消失及びシグナルの減少をもたらす。
【0328】
アッセイプロトコル
固体化合物を典型的には、384ウェルv底低容量Greinerプレートの全てのウェル(カラム6及び18を除いて)中に0.1μlの100%DMSOと共に入れる。カラム1からカラム12及びカラム13からカラム24のプレートに亘って、化合物を段階希釈し(100%DMSO中4倍)、DMSOのみを含有するカラム6及び18はそのままとし、各試験化合物について11の濃度を得る。
【0329】
アッセイは、Milliporeからの特異的PI3キナーゼキットを使用して操作する(カタログ番号33-001)。
【0330】
アッセイキットは、下記からなる。
【0331】
・4×PI3K反応緩衝液(200mMのHEPES(pH7)、600mMのNaCl、40mMのMgcl2、<1%コール酸塩(w/v)、<1%チャップス(w/v)、0.05%アジ化ナトリウム(w/v)を含有)
・PIP2(1mM)
・3×ビオチンPIP3(50μM)
・検出ミックスC(267mMのKFを含有)
・検出ミックスA(60μg/mlのストレプトアビジン-APCを含有)
・検出ミックスB(36μg/mlのユウロピウム-抗-GST(抗-GST-K)及び90μg/mlのGST-GRP1-PH-ドメイン及び1mMのDTTを含有)
・停止液(150mMのEDTAを含有)
100%阻害対照(活性なし)のために、3μlの反応緩衝液(1mMのDTTを含有)をカラム18のみに手作業で加える。
【0332】
カラム18を除いて、3μlの2×酵素溶液を全てのウェルに手作業で加える。化合物と共に15分間プレインキュベートする。
【0333】
3μlの2×基質溶液を全てのウェルに手作業で加える(カラム6は、0%阻害対照を表す)。
【0334】
プレートを1hr放置する(光から保護)(γの場合、50minのみのインキュベーションが必要である)
3μlの停止/検出溶液を全てのウェルに手作業で加える。
【0335】
プレートを1時間放置する(光から保護)
アッセイをBMG Rubystarから読み取り、比データを利用して、11ポイントの曲線を計算する。
【0336】
NB 基質溶液(濃度)は、各アイソフォームによって異なる(下記を参照されたい)
α
500μMのATP、16μMのPIP2及び0.030μMの3×ビオチン-PIP3を含有する2×基質溶液。
【0337】
β
800μMのATP、16μMのPIP2及び0.030μMの3×ビオチン-PIP3を含有する2×基質溶液。
【0338】
δ
160μMのATP、10μMのPIP2及び0.030μMの3×ビオチン-PIP3を含有する2×基質溶液。
【0339】
γ
30μMのATP、16μMのPIP2及び0.030μMの3×ビオチン-PIP3を含有する2×基質溶液。
【0340】
分析方法
データは、Activity BaseにおけるXC50 4-パラメータロジスティック曲線フィットアルゴリズムによって処理する。
【0341】
高対照及び低対照(各々、0%及び100%阻害)の間の%阻害に規準化する。
【0342】
第一のモジュールフィット:勾配、最小及び最大漸近線は変化する
第二のモジュールフィット:(1)最小漸近線を固定、(2)最大漸近線を固定、(3)最小及び最大漸近線を固定
曲線フィットQC:pXC50 95%CL比>10
-20<最小漸近線<20
80<最大漸近線<120
実施例1〜37の化合物を、上記のPI3Kα、β、δ及び/若しくはγアッセイの一つ若しくは複数、又は同様のアッセイにおいて試験し、5以上の平均pIC50を有することが見出された。特定の化合物をまた上記のT細胞アッセイ又は同様のアッセイにおいて試験し、5以上の平均pIC50を有することが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその塩
【化1】

[式中、
R1は、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールであり、前記9員若しくは10員二環式ヘテロアリールは、酸素及び窒素から独立に選択される一つから三つのヘテロ原子を含有し、かつC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、ハロ又は-CNで置換されていてもよく、
R2は、-NHCOR5
【化2】

であり、
R3は、水素又はフルオロであり、
R4は、水素又はメチルであり、
R5は、
フェニルで置換されていてもよいC3〜6シクロアルキル;
5員若しくは6員ヘテロシクリル(前記5員若しくは6員ヘテロシクリルは、酸素及び窒素から独立に選択される一つ若しくは二つのヘテロ原子を含有し、かつオキソ、C1〜6アルキル、-OR6、-COR7、-CO2R8及び-SO2R9から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよい);
C1〜6アルキル、-OR10、ハロ、-NR11R12、及びフェニル(ハロで置換されていてもよい)から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよいフェニル;
-CH2-5員若しくは6員ヘテロアリール(前記5員若しくは6員ヘテロアリールは、一つ若しくは二つの窒素原子を含有し、かつC1〜6アルキルで置換されていてもよい);
-OR13で置換されていてもよいピラジン;或いは
9員若しくは10員二環式ヘテロアリール(前記9員若しくは10員二環式ヘテロアリールは、一つ若しくは二つの窒素原子を含有する)
であり、
R6、R11、R12及びR13は、各々独立に、水素又はC1〜6アルキルであり、
R7及びR9は、各々独立に、C1〜6アルキルであり、
R8は、水素又は-(CH2)mフェニルであり、
R10は、一つから三つのフルオロで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり、
mは、0、1又は2である]。
【請求項2】
R1が、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールであり、前記9員若しくは10員二環式ヘテロアリールが、酸素及び窒素から独立に選択される一つから三つのヘテロ原子を含有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、インドリルである、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R2が、-NHCOR5である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R3が、水素である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R4が、水素である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R5が、フェニルで置換されていてもよいC3〜6シクロアルキルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R5が、5員若しくは6員ヘテロシクリルであり、前記5員若しくは6員ヘテロシクリルが、酸素及び窒素から独立に選択される一つ若しくは二つのヘテロ原子を含有し、かつオキソ、C1〜6アルキル、-OR6、-COR7、-CO2R8及び-SO2R9から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよい、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R5が、C1〜6アルキル、-OR10、ハロゲン、-NR11R12、及びフェニル(ハロで置換されていてもよい)から独立に選択される一つ若しくは二つの置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R5が、-CH2-5員若しくは6員ヘテロアリールであり、前記5員若しくは6員ヘテロアリールが、一つ若しくは二つの窒素原子を含有し、かつC1〜6アルキルで置換されていてもよい、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R5が、-OR13で置換されていてもよいピラジンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R5が、9員若しくは10員二環式ヘテロアリールであり、前記9員若しくは10員二環式ヘテロアリールが、一つ若しくは二つの窒素原子を含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2-フルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,3-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,5-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-メチルベンズアミド;
2'-クロロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-ビフェニルカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-イソキノリンカルボキサミド;
2,4-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,6-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
2-[(ジフルオロメチル)オキシ]-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-6-(メチルオキシ)-2-ピラジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-インドール-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
2-(エチルオキシ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
4-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-モルホリンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(2-ピリジニル)アセトアミド;
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン;
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチルベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-モルホリンカルボキサミド;
1-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-メチル-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-(メチルスルホニル)-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-オキソ-3-ピロリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-(1-メチルエチル)-5-オキソ-3-ピロリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロプロパンカルボキサミド;
3-(ジメチルアミノ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
4-アミノ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
(1R,2R)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-フェニルシクロプロパンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロヘキサンカルボキサミド;
フェニルメチル3-ヒドロキシ-4-({[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]アミノ}カルボニル)-1-ピロリジンカルボキシレート;
である化合物、又はその塩。
【請求項14】
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2-フルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,3-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,5-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-メチルベンズアミド;
2'-クロロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-ビフェニルカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-イソキノリンカルボキサミド;
2,4-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
2,6-ジフルオロ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
2-[(ジフルオロメチル)オキシ]-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-6-(メチルオキシ)-2-ピラジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-インドール-2-カルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(3-メチル-1H-ピラゾール-1-イル)アセトアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチル-2-(メチルオキシ)ベンズアミド;
2-(エチルオキシ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
4-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-モルホリンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-(2-ピリジニル)アセトアミド;
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン;
2-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-オン;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-3-メチルベンズアミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-メチル-2-モルホリンカルボキサミド;
1-アセチル-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-メチル-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-(メチルスルホニル)-4-ピペリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-5-オキソ-3-ピロリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-1-(1-メチルエチル)-5-オキソ-3-ピロリジンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロプロパンカルボキサミド;
3-(ジメチルアミノ)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
4-アミノ-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]ベンズアミド;
(1R,2R)-N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]-2-フェニルシクロプロパンカルボキサミド;
N-[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]シクロヘキサンカルボキサミド;
フェニルメチル3-ヒドロキシ-4-({[6-(1H-インドール-4-イル)-1H-インダゾール-4-イル]アミノ}カルボニル)-1-ピロリジンカルボキシレート;
である化合物、又はその塩。
【請求項15】
薬学的に許容されるその塩の形態である、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、一種若しくは複数の薬学的に許容される添加剤とを含む、医薬組成物。
【請求項17】
薬物療法において使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害の治療に使用するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
安全かつ有効な量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要としている患者に投与することを含む、不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害を治療する方法。
【請求項21】
前記不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害が、呼吸器疾患;アレルギー性疾患;自己免疫疾患;炎症性障害;心血管疾患;血液悪性腫瘍;嚢胞性線維症;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子の運動性;移植拒絶;移植片拒絶;肺傷害;又は疼痛である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、血栓症、アテローム性動脈硬化症、血液悪性腫瘍、嚢胞性線維症、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、癌、精子の運動性、移植拒絶、移植片拒絶、肺傷害、関節リウマチ若しくは骨関節炎と関連する疼痛、背痛、一般の炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、炎症性神経因性疼痛(トラマ)、三叉神経痛又は中枢痛である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害が、喘息である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記不適切なPI3キナーゼ活性が媒介する障害が、COPDである、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2011−522003(P2011−522003A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512120(P2011−512120)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056840
【国際公開番号】WO2009/147189
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】