説明

新規育毛用組成物

【課題】塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有し、保存安定性等に優れた新たな育毛用組成物を提供すること
【解決手段】塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物において、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合すること

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な育毛用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは、ATP依存性カリウムチャンネル開放作用による血管拡張作用を有する化合物であり、育毛剤の有効成分として知られている(特許文献1参照)。塩化カルプロニウムは、局所血管拡張作用を有する化合物であり、育毛剤の有効成分として知られている(特許文献2参照)。
【0003】
ところで、ミノキシジルは溶液中において不安定な薬物であり、特にpHが弱酸性以下となる場合にその傾向が強くなる。このため、溶液中のミノキシジルの保存安定性の点から、pHを中性付近とすることが望ましいことが知られている(特許文献3参照)。一方、塩化カルプロニウムは、溶液中ではpHが3〜5の付近で安定であることが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
したがって、ミノキシジルと塩化カルプロニウムを同時に溶解させた育毛剤を製した場合、各成分における安定なpHの違いから、保存安定性の問題点を解決することは極めて難しいものと考えられる。また、頭皮のpHは、汗や皮脂の分泌により4.2〜6.4を保っているが、髪の毛が最も安定するpHは4.1〜4.7の範囲にあるので、育毛剤としては、pHを弱酸性としたものが望ましい。一般に、育毛剤の使用者(患者)は、効果が増強された育毛剤を望んでおり、ミノキシジルおよび塩化カルプロニウムを配合した効果が増強された育毛剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4139619号公報
【特許文献2】特公昭42−5680号公報
【特許文献3】特開平11−349451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有し、保存安定性に優れた新たな育毛用組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物において、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合することにより、該育毛用組成物の保存安定性の問題点を解決することができることを新たに見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は新規な育毛用組成物に関するものであり、以下の発明に関する。
(1)塩化カルプロニウムまたはその水和物、ミノキシジルまたはその塩、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを含有する育毛用組成物。
(2)塩化カルプロニウムとして0.1〜10%含有する上記(1)に記載の育毛用組成物。
(3)塩化カルプロニウムとして0.5〜5%含有する上記(1)に記載の育毛用組成物。
(4)塩化カルプロニウムとして1〜2%含有する上記(1)に記載の育毛用組成物。
(5)ミノキシジルとして0.1〜10%含有する上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(6)ミノキシジルとして0.5〜5%含有する上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(7)エチレンジアミン四酢酸として0.004〜0.3%含有する上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(8)エチレンジアミン四酢酸として0.005〜0.2%含有する上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(9)ジブチルヒドロキシトルエンを0.005〜0.2%含有する上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(10)ジブチルヒドロキシトルエンを0.01〜0.1%含有する上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(11)塩化カルプロニウム水和物、ミノキシジル、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、およびジブチルヒドロキシトルエンを含有する育毛用組成物。
(12)さらにパントテニールエチルエーテルを含有する上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(13)さらに水溶性キチン誘導体を含有する上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(14)pHが4.0〜5.4である上記(1)〜(13)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(15)剤形が外用剤である上記(1)〜(14)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
(16)剤形が液剤、ローション剤、ゲル剤またはエアゾール剤である上記(1)〜(14)のいずれか1つに記載の育毛用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の育毛用組成物は、後記実施例に示すように、優れた保存安定性を示した。すなわち、塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物において、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合することにより、該育毛用組成物の保存安定性の問題を解決することができた。また、pHを弱酸性にすることが可能となったため、髪の毛が安定する範囲のpHを有する育毛用組成物であるという点からも優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にかかる塩化カルプロニウム((3−メトキシカルボニルプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)およびその水和物は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。本発明にかかるミノキシジル(6−ピペリジノ−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキサイド)およびその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。ミノキシジルの塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、乳酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。本発明において、ミノキシジルの塩としては、酢酸塩および乳酸塩が好ましい。本発明においては、ミノキシジル、ミノキシジルの酢酸塩、ミノキシジルの乳酸塩が好ましく、ミノキシジルが特に好ましい。本発明にかかるエチレンジアミン四酢酸およびその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。エチレンジアミン四酢酸の塩としては、二ナトリウム塩、四ナトリウム塩等を挙げることができる。本発明においては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムが特に好ましい。なお、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムは、別名として、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウムやEDTAナトリウムなどがある。本発明にかかるジブチルヒドロキシトルエンは、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。なお、ジブチルヒドロキシトルエンは、別名として、BHTやD
BPCなどがある。
【0011】
本発明において、育毛用組成物とは、育毛作用、発毛作用、発毛促進作用、養毛作用、脱毛防止作用等のいずれか1つまたは2つ以上の作用を有するものを意味するものである。本発明にかかる育毛用組成物の効能・効果としては、育毛、発毛、薄毛、毛生促進、発毛促進、脱毛(抜け毛)の(進行)予防、病後・産後の脱毛、養毛、円形脱毛症、発毛不全、粃糠性脱毛症、脂漏性脱毛症、びまん性脱毛症、若禿(壮年性脱毛症)、老人禿等を挙げることができる。
【0012】
本発明の育毛用組成物には、さらに公知の各種薬効成分を配合してもよい。配合成分としては、特に限定されるべきものではないが、例えば呉茱萸、五味子、牡丹皮、木瓜、白蘚皮、五加皮、半夏、大黄、牛膝、枸杞子、茯苓、干姜、陳皮、甘草、百部、地骨皮、柴胡、天麻、白芍、荊芥、桂枝、苦参、鳴血藤、骨砕捕、花椒、黄連、人参、黒豆、何首烏、竹節人参、補骨脂、当帰、鶏血藤、丹参、紅花、桃仁、防風、茜草根、拳参、山茱萸、半支蓮、楊梅皮、側柏葉、海金沙、当薬、阿仙薬、茴香、遠志、牽牛子、五倍子、芍薬、車前子、蟾酥、丁子、檳榔子、ロジン、ゲンノショウコ、夏枯草、柴胡、茵陳蒿、営実、ヨクイニン、蘇葉、苦木、荊芥穂、キササゲ、常山、ボクソクおよび吉草根等の生薬並びにこれら生薬の抽出物(チンキ、エキスなど)、ランタナ(和名:七変化;学名:Lantana camaara)及びその抽出物、ミノキシジル以外のカリウムチャンネルオープナー、パントテニールエチルエーテル、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンBおよびその誘導体、ビタミンBおよびその誘導体、ビタミンBおよびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、セファランチン、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ビオチン、D−パントテニルアルコール、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、l−メントール、溶性シスチン、オクトピロックス、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、サリチル酸、レゾルシン、レゾルシンモノアセテート、塩酸ピリドキシン、塩酸ジフェンヒドラミン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、ペンタデカン酸グリセリド、スフィンゴシルフォスフォリルコリン、オキセンドロン、酢酸クロルヤジノン、11α−ヒドロキシプロゲステロン、4−アンドロステン−3−オン−11β−カルボン酸、シプロテロンアセテート、クロルヘキシジン、グルコンサンクロルヘキシジン、イオウ、d−カンフル、dl−カンフル、スルフィソキサゾール、プロスタグランジンおよびその誘導体、シクロスポリン、セファランチン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、ジアゾキシド、タンニン、タンニン酸、水溶性キチン誘導体等を挙げることができるが、上記のもののみに限定されるべきものではない。これらの成分は単一成分を配合してもよく、また2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0013】
本発明においては、パントテニールエチルエーテルをさらに配合するのに適した好ましい成分として挙げることができる。塩化カルプロニウムは加水分解しやすいものであるが、パントテニールエチルエーテルを塩化カルプロニウムの水溶液に加えることで、長期間の保存安定性を保つことが可能となる(特開昭51−143616号公報参照)。パントテニールエチルエーテルは、組成物中の塩化カルプロニウム1重量部に対して、0.05〜20重量部加えることが好ましく、0.2〜5重量部加えることがさらに好ましい。また、ポリオキシアルキレンキトサン(例えば、ヒドロキシプロピルキトサンなど)、ポリオキシアルキレンキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルキチン、リン酸化キトサン、リン酸化キチン、硫酸化キトサン、硫酸化キチン、ジヒドロキシプロピルキトサン、ジヒドロキシプロピルキチン、N−2−ヒドロキシプロピルスルホン酸キトサン等の水溶性キチン誘導体もさらに配合するのに適した好ましい成分として挙げることができる。水溶性キチン誘導体は、塩化カルプロニウム、さらにはパントテニールエチルエーテルの安定化に有用なものである(特開平8−127518号公報参照)。水溶性キチン誘導体は、組成物中の塩化カルプロニウム1重量部に対して、0.01〜0.2重量部加えることが好ましく、0.02〜0.1重量部加えることがさらに好ましい。このほか、当薬、何首烏、竹節人参等の生薬の抽出物をさらに配合するのに適した好ましい成分として挙げることができる。
【0014】
本発明の育毛用組成物は、非経口的に投与することが好ましい。投与形態としては、外用剤が好ましく、具体的な外用剤の剤形としては、液剤、エキス剤、硬膏剤、酒精剤、座剤、懸濁剤、チンキ剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、ゲル剤、エアゾール剤等を挙げることができる。中でも、塩化カルプロニウムまたはその水和物、ミノキシジルまたはその塩、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンが溶解した液剤、ローション剤、ゲル剤等や塩化カルプロニウムまたはその水和物、ミノキシジルまたはその塩、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンが共に溶解した溶液を含む容器に噴射剤等を充填したエアゾール剤等の液状のものが好ましい。また、本発明の育毛用組成物を、ローション、クリーム、化粧水、乳液、フォーム剤、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド等の化粧料組成物に配合することも可能である。
【0015】
製剤化は、公知の製剤技術により行うことができ、液状の製剤においては、その溶媒として、水、低級アルコール、水および低級アルコールの混合溶媒等を挙げることができる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等を挙げることができ、中でもエタノールが好ましい。水および低級アルコールの混合溶媒としては、含水エタノールが好ましい。
【0016】
製剤中には適当な製剤添加物を加えることができる。製剤添加物としては、賦形剤、懸濁化剤、乳化剤、保湿(湿潤)剤、保存剤、色素、香料、噴射剤、pH調節剤、清涼化剤等を挙げることができ、製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えればよい。上記製剤添加物としては、例えば、保湿(湿潤)剤として、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピル−ヒドロキシブチルキトサン等を挙げることができ、噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、圧縮ガス(N、CO、NO、空気等)等を挙げることができる。pH調節剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、酒石酸等の有機酸や塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基等を挙げることができる。清涼化剤としては、l−メントール、dl−メントール、カンフル、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール等を挙げることができる。
【0017】
本発明の育毛用組成物においては、pHを4.0〜5.4に調整するのが好ましく、pHを4.3〜5.3に調製するのがより好ましく、pHを4.7〜5.1に調整することがさらに好ましい。
【0018】
本発明の育毛用組成物における各成分の配合量は、使用者(患者)の使用目的、性別、年齢、症状等を考慮して適宜検討すればよいが、塩化カルプロニウムまたはその水和物は、塩化カルプロニウムとして0.1〜10%含有するように配合するのが好ましく、0.5〜5%含有するように配合するのがさらに好ましく、1〜2%含有するように配合するのが特に好ましい。ミノキシジルまたはその塩は、ミノキシジルとして0.1〜10%含有するように配合するのが好ましく、0.5〜5%含有するように配合するのがさらに好ましく、1%含有するのが特に好ましい。エチレンジアミン四酢酸またはその塩は、エチレンジアミン四酢酸として0.004〜0.3%含有するように配合するのが好ましく、0.005〜0.2%配合するのがさらに好ましい。ジブチルヒドロキシトルエンは、0.005〜0.2%配合するのが好ましく、0.01〜0.1%配合するのがさらに好ましい。
【0019】
本発明の育毛用組成物は、中でも、塩化カルプロニウムとして1〜2%、ミノキシジルとして1%、エチレンジアミン四酢酸として0.005〜0.2%、およびジブチルヒドロキシトルエン0.01〜0.1%含有するよう配合するのが好ましい。なお、本発明において、「%」とは、本発明の育毛用組成物が液体の場合、組成物(液体)100ml中に含まれる溶質のグラム数を意味し、本発明の育毛用組成物が非液体の場合、組成物100g中に含まれるグラム数を意味する。すなわち、塩化カルプロニウムとして2%、ミノキシジルとして1%、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05%、およびジブチルヒドロキシトルエン0.05%含有する液剤とは、100ml中に塩化カルプロニウムとして2g、ミノキシジルとして1g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、およびジブチルヒドロキシトルエン0.05g含有する液剤を意味する。
【0020】
本発明の育毛用組成物の投与量は、使用者(患者)の性別、年齢、症状、組成物(製剤)中の成分の配合量、投与方法、投与回数、投与時期等を考慮して適宜検討を行い、適当な投与量を決めればよい。
【0021】
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるべきものではない。
【実施例】
【0022】
試験例1 保存安定性試験(1)
以下の実施例1〜3および比較例1〜5のローション剤につき、それぞれを遮光ガラス容器に充填・密閉し、経時的保存安定性試験を実施した。保存条件は50℃とし、保存開始から42日目(ただし、比較例5については、保存開始から39日目)におけるローション剤の着色の程度につき、目視(日本薬局方通則に準じて測定)および430nmの吸光度(分光光度計)により、判定した。結果を表1に示した。
【0023】
実施例1
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0024】
実施例2
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.1g、ジブチルヒドロキシトルエン0.1gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0025】
実施例3
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、1,3−ブチレングリコール5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0026】
比較例1
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0027】
比較例2
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0028】
比較例3
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、ジブチルヒドロキシトルエン0.1gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0029】
比較例4
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0030】
比較例5
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.1gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0031】
【表1】

【0032】
目視結果の記号の説明 (−):開始時と比べて変化なし
(+):開始時と比べて着色変化あり
(++):開始時と比べて著しく着色変化あり
【0033】
表1から明らかなように、塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物に、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合した本発明の育毛用組成物(実施例1〜実施例3)は、優れた保存安定性を示した。
【0034】
試験例2 保存安定性試験(2)
上述の実施例1〜3および比較例1〜5のローション剤につき、それぞれを遮光ガラス容器に充填・密閉し、経時的保存安定性試験を実施した。保存条件は40℃とし、保存開始から183日目または206日目におけるローション剤の着色の程度につき、目視(日本薬局方通則に準じて測定)および430nmの吸光度(分光光度計)により、判定した。結果を表2に示した。
【0035】
【表2】

【0036】
目視結果の記号の説明 (−):開始時と比べて変化なし
(+):開始時と比べて着色変化あり
(++):開始時と比べて著しく着色変化あり
【0037】
表2から明らかなように、塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物に、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合した本発明の育毛用組成物(実施例1〜実施例3)は、優れた保存安定性を示した。
【0038】
実施例4 ローション剤の製造
以下の組成のローション剤を製造した。
(組成:100ml中)
塩化カルプロニウム水和物 1.09g
(塩化カルプロニウムとして1g相当)
ミノキシジル 1g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05g
ジブチルヒドロキシトルエン 0.05g
濃グリセリン 1g
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1g
エタノール 45ml
塩酸 適量(pH5.0に調整)
精製水 適量
【0039】
実施例5 ローション剤の製造
以下の組成のローション剤を製造した。
(組成:100ml中)
塩化カルプロニウム水和物 2.18g
(塩化カルプロニウムとして2g相当)
ミノキシジル 1g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05g
ジブチルヒドロキシトルエン 0.05g
プロピレングリコール 10g
濃グリセリン 5g
l−メントール 0.1g
エタノール 45ml
塩酸 適量(pH5.0に調整)
精製水 適量
【0040】
実施例6 ローション剤の製造
以下の組成のローション剤を製造した。
(組成:100ml中)
塩化カルプロニウム水和物 2.18g
(塩化カルプロニウムとして2g相当)
ミノキシジル 1g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 1g
ジブチルヒドロキシトルエン 1g
プロピレングリコール 10g
濃グリセリン 5g
l−メントール 0.1g
エタノール 45ml
塩酸 適量(pH5.0に調整)
精製水 適量
【0041】
実施例7 ローション剤の製造
以下の組成のローション剤を製造した。
(組成:100ml中)
塩化カルプロニウム水和物 2.18g
(塩化カルプロニウムとして2g相当)
ミノキシジル 1g
パントテニールエチルエーテル 1g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05g
ジブチルヒドロキシトルエン 0.05g
濃グリセリン 1g
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1g
エタノール 45ml
塩酸 適量(pH5.0に調整)
精製水 適量
【0042】
試験例3 保存安定性試験(3)
以下の実施例8〜12および比較例6のローション剤につき、それぞれを遮光ガラス容器に充填・密閉し、経時的保存安定性試験を実施した。保存条件を50℃として、保存開始から42日目、ならびに保存条件を40℃とし、保存開始から6ヶ月目におけるローション剤の着色の程度につき、目視(日本薬局方通則に準じて測定)および430nmの吸光度(分光光度計)により、判定した。結果を表3に示した。
【0043】
実施例8
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、l−メントール0.1g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.02gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0044】
実施例9
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、l−メントール0.1g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0045】
実施例10
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、l−メントール0.1g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.1gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0046】
実施例11
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、l−メントール0.1g、プロピレングリコール10.0g、1,3−ブチレングリコール5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0047】
実施例12
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、l−メントール0.1g、プロピレングリコール10.0g、1,3−ブチレングリコール5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05g、ジブチルヒドロキシトルエン0.1gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0048】
比較例6
塩化カルプロニウム水和物2.18g(塩化カルプロニウムとして2g相当)、ミノキシジル1.0g、l−メントール0.1g、プロピレングリコール10.0g、濃グリセリン5.0g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.05gをエタノール45mlおよび精製水適量にて攪拌溶解した。これを塩酸でpHを5.0に調整し、精製水を加えて全量を100mlとして、ローション剤を調製した。
【0049】
【表3】

【0050】
目視結果の記号の説明 (−):開始時と比べて変化なし
(+):開始時と比べて着色変化あり
(++):開始時と比べて著しく着色変化あり
【0051】
表3から明らかなように、塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物に、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合した本発明の育毛用組成物(実施例8〜実施例12)は、優れた保存安定性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
塩化カルプロニウムまたはその水和物、およびミノキシジルまたはその塩を含有する育毛用組成物に、さらにエチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを配合した本発明の育毛用組成物は、優れた保存安定性を示した。また、pHを弱酸性にすることが可能となったため、髪の毛が安定する範囲のpHを有する育毛用組成物とすることが可能となった。したがって、保存安定性等に優れた育毛用組成物を提供することができるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化カルプロニウムまたはその水和物、ミノキシジルまたはその塩、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびジブチルヒドロキシトルエンを含有する育毛用組成物であって、剤形がゲル剤またはエアゾール剤である、育毛用組成物。
【請求項2】
エチレンジアミン四酢酸の塩がエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムである請求項1に記載の育毛用組成物。
【請求項3】
さらにパントテニールエチルエーテルを含有する請求項1または2に記載の育毛用組成物。
【請求項4】
さらに水溶性キチン誘導体を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の育毛用組成物。
【請求項5】
pHが4.0〜5.4である請求項1〜4のいずれか1項に記載の育毛用組成物。

【公開番号】特開2009−215323(P2009−215323A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158027(P2009−158027)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【分割の表示】特願2005−169255(P2005−169255)の分割
【原出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】