説明

昇降装置および昇降装置の駆動源を制御する方法

【課題】荷すくいおよび荷おろしにかかる時間を短縮し、荷物の搬送にかかる時間を短縮する。
【解決手段】荷物が載置される載置台16と、載置台16を懸架する長尺のワイヤロープと、ワイヤロープを駆動することにより載置台16を昇降させるウィンチモータ17と、荷物の重量によりワイヤロープの伸び量が変化し始めたことを示す開始情報および荷物の重量によるワイヤロープの伸び量の変化が終了したことを示す終了情報を取得する上センサ状態取得部43および下センサ状態取得部44と、伸び量の変化が開始するまで、第1の速さでウィンチモータ17を駆動させ、伸び量の変化が開始してから伸び量の変化が終了するまでの少なくとも一部で、第1の速さよりも速くウィンチモータ17を駆動させるウィンチモータ制御部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置および昇降装置の駆動源を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッカクレーンは、自動倉庫内の棚の正面に敷設されたレール上を走行し、荷物を入出庫する。入出庫時にスタッカクレーンは、荷物を棚またはステーションからすくう荷すくい、すくった荷物を運ぶ搬送、搬送した荷物をステーションまたは棚に降ろす荷おろしを行う。
【0003】
大規模な倉庫の場合、棚の高さは数十メートルになり、レールの長さは百メートルのオーダーになる。荷物は高さ方向にはスタッカクレーンが有する昇降可能な支持台により搬送される。入出庫では、スタッカクレーンがレール上を走行し、また、支持台を昇降させる時間を含めて荷物の搬送に数分かかる。
【0004】
このような搬送時間を短縮するため、支持台を昇降させる速さを制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平6−100111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、搬送時間を短縮する余地を見出すことができなかった。搬送時間短縮が限界に達していると考えられる中で、発明者は、搬送中の特に荷すくいおよび荷おろしにかかる時間を短縮する余地を発見した。
【0006】
支持台はワイヤロープなどの懸架部材に連結され、懸架部材を駆動するウィンチモータの駆動力により昇降する。自動倉庫の高さは、数十メートルあるものもある。このような自動倉庫で利用されるスタッカクレーンの高さも高くなるため、利用されるワイヤロープの長さも長くなり、1トン〜2トンという重量の荷物では数メートル伸びる場合がある。
【0007】
荷すくいの時にワイヤロープが伸びはじめてから伸びきるまで、または、荷おろしの時にワイヤロープの伸びが戻り始めてから戻りきるまでに数秒かかる場合もあり、その間、支持台は荷物を移動させることができない。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、荷すくいおよび荷おろしにかかる時間を短縮し、荷物の搬送にかかる時間を短縮することが可能なスタッカクレーンおよび荷物搬送方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るスタッカクレーンは、荷物が支持される支持台と、前記支持台を懸架する長尺の懸架部材と、前記懸架部材を駆動することにより前記支持台を昇降させる駆動源と、前記荷物の重量により前記懸架部材の伸び量が変化し始めたことを示す開始情報を取得する開始情報取得手段と、前記開始情報取得手段が前記開始情報を取得するまで、第1の速さで前記駆動源を駆動させる第1駆動制御手段と、前記荷物の重量による前記懸架部材の伸び量の変化が終了したことを示す終了情報を取得する終了情報取得手段と、前記開始情報取得手段により前記開始情報が取得された時から前記終了情報取得手段により前記終了情報が取得された時までの少なくとも一部で、前記第1の速さよりも速く前記駆動源を駆動させる第2駆動制御手段とを備える。
【0010】
このように、本発明に係るスタッカクレーンは、開始情報が取得された時から終了情報が取得された時までの少なくとも一部で、開始情報が取得されるまでの速さよりも早く駆動源を駆動させる。これにより、荷すくいおよび荷おろしのそれぞれにおいて、懸架部材が伸びている時間および懸架部材の伸びが戻る時間を短くすることができる。したがって、荷すくいおよび荷おろしに要する時間を短縮することが可能になり、搬送時間を短縮することが可能になる。
【0011】
好ましくは、さらに、前記荷物が前記支持台に支持された場合の前記伸び量に関する伸び量情報を記憶している荷物情報記憶手段を備え、前記終了情報取得手段は、前記伸び量情報を参照することにより、前記終了情報を取得する。
【0012】
このように、記憶された伸び量情報を参照して終了情報を取得する。これにより、ステーションまたは棚で荷物をすくった時の伸び量情報を利用して、当該荷物を棚またはステーションに降ろす時に要する時間を短縮することができる。したがって、荷おろしに要する時間を短縮することが可能になる。
【0013】
さらに好ましくは、さらに、前記荷物を特定する情報と、前記荷物が前記支持台に支持された場合の前記伸び量に関する伸び量情報とを関連付けて記憶している荷物情報記憶手段と、前記荷物が指定される指定手段とを備え、前記終了情報取得手段は、前記指定手段により指定された前記荷物に関連付けられる前記伸び量情報を参照することにより、前記終了情報を取得する。
【0014】
このように、伸び量情報を記憶する。これにより、懸架部材が伸びきるまでの時間を算出することなく、容易に終了情報を取得することができる。したがって、処理時間が短くなり、荷すくいおよび荷おろしに要する時間を短縮することが可能になる。
【0015】
さらに好ましくは、さらに、前記支持台と前記荷物との接触を検知する第1検知手段を備え、前記開始情報取得手段は、前記第1検知手段により前記接触が検知されたことを示す情報を前記開始情報として取得する。
【0016】
このように、荷すくいの時に支持台と荷物との接触、すなわち、懸架部材が伸び始める時を検知する。そのため、伸び始めるまでは低速で懸架部材を駆動することが可能になる。これにより、支持台が荷物に高速で衝突しないように制御することが可能になり、荷すくい時に荷物に与える衝撃を低減することが可能になる。
【0017】
また、さらに、前記荷物が収納される棚と前記荷物との接触を検知する第2検知手段を備え、前記開始情報取得手段は、前記第2検知手段により前記接触が検知されたことを示す情報を前記開始情報として取得してもよい。
【0018】
このように、荷おろしの時に支持台と棚との接触、すなわち、懸架部材の伸びが戻り始める時を検知する。そのため、伸びが戻り始めるまでは低速で懸架部材を駆動することが可能になる。これにより、荷物が棚に高速で衝突しないように制御することが可能になり、荷おろし時に荷物に与える衝撃を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、荷すくいおよび荷降ろしにかかる時間を短くすることが可能になり、自動倉庫において荷物を搬送するために要する時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係るスタッカクレーンの実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、スタッカクレーンを備える自動倉庫の構成の一例を示す斜視図である。
本実施の形態のスタッカクレーン1は、自動的に荷物が棚2に収納される自動倉庫に備えられる。自動倉庫は、スタッカクレーン1と、棚2と、荷物を出し入れする際に荷物が置かれるステーション3とを備える。
【0022】
スタッカクレーン1は、荷物を載置して昇降する載置台を有し、自動倉庫内の通路に敷設されたレール上に載置される。
【0023】
棚2は、荷物が収納されるものであり、通路に沿って備えられる。棚2は、上下方向に複数段設けられた棚板を有し、棚板の上に荷物が載置される。
【0024】
ステーション3は、通路に沿って棚2の横に配置される。
図2は、スタッカクレーン1の構成を模式的に示す図であり、図1に示す自動倉庫の左側面図に対応する。
【0025】
スタッカクレーン1は、下部台車11および上部台車12をマスト13で連結してなる躯体と、載置台16と、ワイヤロープ19と、制御装置23とを備える。
【0026】
下部台車11は、床面に敷設されたレール4上を走行するための車輪14と、車輪14を駆動する走行モータ15とを有する。
【0027】
マスト13は、スタッカクレーン1の支柱となる部材であり、これに沿って載置台16が昇降する。本実施の形態のマスト13の高さは、50メートル程度である。なお、マスト13の高さは、自動倉庫の大きさによってさまざまである。
【0028】
マスト13は、ウィンチモータ17と、遮光板24とを有する。
遮光板24は、棚2の棚板の高さと対応付けて高さ方向に沿って、載置台16の方向に突出して設けられる複数枚の板であり、遮光性を有する。
【0029】
駆動源としてのウィンチモータ17は、後述するワイヤロープ19を駆動し、シーブ18により案内されるワイヤロープ19により懸架される載置台16を昇降させる。
【0030】
載置台16は、搬送する荷物が載置される台である。載置台16は、ワイヤロープ19により懸架され、マスト13に沿って昇降する。載置台16は、水平方向に伸縮機構を有するフォーク20と、上センサ25と、下センサ26とを有する。
【0031】
フォーク20は、互いに往復動可能に連結された複数のプレート21と、棚2と載置台16との間での荷物の受け渡しをするためにプレート21を伸縮させる移載モータ22とから構成される。
【0032】
上センサ25は、マスト13が有する遮光板24を挟む一対の突出部を有する。図3に示すように、上センサ25の突出部の一方は、発光素子25aを有し、突出部の他方は、受光素子25bを有する。発光素子25aと受光素子25bとは、発光素子25aから発した光が受光素子25bで受光されるように対面して配置される。
【0033】
このような構成により、上センサ25は、載置台16の昇降に伴って発光素子から受光素子への投光が遮光板24により遮られたか否かを示す情報を継続的に出力する。下センサ26も、上センサ25と同様の構成と機能を備える。
【0034】
上センサ25と下センサ26とは、図4に示すように、載置台16の側面に設けられる。上センサ25は下センサ26の上方に並べて設けられる。上センサ25の発光素子25aは、下センサ26の発光素子を基準に、遮光板24の上下方向の長さよりも短い間隔で設けられる。また、上センサ25と下センサ26とは、棚2に進入したフォーク20の上面と荷物60の底面とのすき間とほぼ等しい間隔で設けられる。
【0035】
このような、上センサ25および下センサ26と、遮光板24とによって、上センサ25のみで遮光される位置と、上センサ25および下センサ26の両方で遮光される位置と、下センサ26のみで遮光される位置とのいずれの位置に載置台16があるかを判定できる。
【0036】
懸架部材としてのワイヤロープ19は、載置台16を懸架する長尺のロープである。
ワイヤロープ19は、ウィンチモータ17の駆動により載置台16がマスト13を昇降するために十分な長さが必要である。また、ウィンチモータ17は、安定して移動するように重心を下げるため、マスト13の比較的下部に設けられる。そのため、ワイヤロープ19の長さは、マスト13の高さの約2倍、すなわち、100メートル近い長さになる。
【0037】
制御装置23は、走行モータ15、ウィンチモータ17、および移載モータ22の駆動を制御することにより、スタッカクレーン1の動作を制御する。すなわち、スタッカクレーン1は、制御装置23の制御の下で、利用者が指定する荷物をすくい、利用者が指定する搬送先まで搬送し、搬送先で荷物を降ろすという一連の動作を実行する。
【0038】
図5は、スタッカクレーン1が備える本発明に特徴的な構成の詳細を示すブロック図である。
【0039】
スタッカクレーン1は、載置台16に荷物を載置して搬送する装置であり、機構部30と、制御装置23を備える。
【0040】
機構部30は、ウィンチモータ17と、載置台16とを有する。載置台16は、フォーク20、移載モータ22と、上センサ25と、下センサ26とを有する。これらの各部については、上記で説明したため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
制御装置23は、機構部30から情報を取得するとともに機構部30を制御する装置であり、ウィンチモータ制御部41と、移載モータ制御部42と、上センサ状態取得部43と、下センサ状態取得部44と、伸び量情報取得部45と、収納位置情報取得部46と、荷物情報記憶部50と、入力部51と、出力部52とを備える。
【0042】
荷物情報記憶部50は、荷物に関する情報が記憶される記憶媒体である。荷物情報記憶部50は、伸び量情報50aと収納位置情報50bとを記憶している。
【0043】
伸び量情報50aは、各荷物を載置台16に載置した場合のワイヤロープ19の伸び量に関する情報である。
【0044】
本実施の形態の伸び量情報50aは、図6(a)に示すように、対応付けられた「荷物ID」により示される荷物を載置台16に載置した場合のワイヤロープ19の伸び量を示す情報である。伸び量情報50aは、荷物を特定する情報である荷物情報としての「荷物ID」と対応付けたテーブルで管理される。
【0045】
収納位置情報50bは、各荷物が収納される棚2の位置を示す情報が記憶される。
【0046】
本実施の形態の収納位置情報50bは、図6(b)に示すように、棚2の収納位置の最下段を1段とし、ステーション3に近い列を1列として、対応付けられた「荷物ID」により示される荷物が収納される棚2の位置を示す情報である。収納位置情報50bは、荷物を特定する情報である荷物情報としての「荷物ID」と対応付けたテーブルで管理される。
【0047】
入力部51は、利用者が入力するためのタッチパネル、ボタンなどである。
出力部52は、利用者にスタッカクレーン1の動作状況などを提示するためのモニタである。
【0048】
伸び量情報取得部45は、特定の荷物に対応する伸び量情報50aを取得し、荷物情報記憶部50に格納する。本実施の形態の伸び量情報取得部45は、ウィンチモータ制御部41から取得される情報に基づいて伸び量を算出することにより、伸び量情報50aを取得する。
【0049】
収納位置情報取得部46は、入力部51に入力される荷物を特定する情報を取得する。
上センサ状態取得部43は、上センサ25からの情報を取得する。また、下センサ状態取得部44は、下センサ26からの情報を取得する。
【0050】
ウィンチモータ制御部41は、入力部51に入力された利用者の指示と、上センサ状態取得部43により取得される情報と、下センサ状態取得部44により取得される情報とに基づいてウィンチモータ17の駆動を制御する。ここで、制御されるウィンチモータ17の駆動には、ウィンチモータ17の回転開始のタイミング、回転停止のタイミング、回転方向、回転速さなどが含まれる。
【0051】
移載モータ制御部42は、上センサ状態取得部43により取得される情報と、下センサ状態取得部44により取得される情報とに基づいて移載モータ22の駆動を制御する。これにより、フォーク20の伸張と短縮とが制御される。
【0052】
以上が、実施の形態のスタッカクレーン1の構成である。このようなスタッカクレーン1により実行される処理について、説明する。
【0053】
まず、図7を参照して、スタッカクレーン1により実行される処理の概要について説明する。
【0054】
図7は、スタッカクレーン1により実行される処理の流れの概要を示す図である。
スタッカクレーン1は、自動倉庫に荷物を入れる場合の入庫処理と自動倉庫から荷物を出す場合の出庫処理とを実行する。
【0055】
まず、入庫処理について説明する。
制御部40は、入力部51から入庫指示を示す情報を取得する(S1)。
【0056】
制御部40は、走行モータ15およびウィンチモータ17を制御し、載置台16をステーション3の位置に移動させる(S2)。
【0057】
制御部40は、機構部30から情報を取得するとともに機構部30を制御し、その荷物に対する初回の荷すくい処理を実行する(S3)。初回荷すくい処理(S3)の詳細については後述する。
【0058】
伸び量情報取得部45は、初回の荷すくい処理における伸び量を算出する(S4)。このとき、伸び量情報取得部45は、荷すくい時にワイヤロープ19の伸び量が変化している時間を判定し、その判定した時間のウィンチモータ制御部41の制御情報に基づいて伸び量を算出する。
【0059】
ここで、伸び量が変化している時間は、後述するように、上センサ状態取得部43および下センサ状態取得部44により取得される情報に基づいて判定される。また、伸び量は、判定された時間に、ウィンチモータ17により巻き上げられたワイヤロープ19の長さとして算出される。
【0060】
伸び量情報取得部45は、算出した伸び量を示す伸び量情報を荷物情報記憶部50に格納する(S5)。
【0061】
このように、伸び量情報取得部45は、初回の荷すくいにおいて、その荷物に対するワイヤロープ19の伸び量を学習し、荷物情報記憶部50に記憶保持する。これにより、以降の荷おろしおよび荷すくい処理を速くすることが可能になる。
【0062】
収納位置情報取得部46は、その荷物の収納位置情報50bを入力部51から取得する(S6)。なお、このとき収納位置情報50bは、予め定められた規則に従って、自動的に決定されてもよい。
【0063】
制御部40は、走行モータ15およびウィンチモータ17を制御し、収納位置情報50bにより示される収納位置に載置台16を移動させる(S7)。
【0064】
制御部40は、荷物情報記憶部50から伸び量情報50bを取得し、上センサ25および下センサ26から情報を取得するとともに、これらの取得した情報に基づいて機構部30を制御することにより、荷物を棚2に降ろす(S8)。荷おろし処理(S8)の詳細については後述する。
【0065】
以上が入庫処理の流れの概要である。
次に、出庫処理について説明する。
【0066】
制御部40は、入力部51から特定の荷物の出庫指示を示す情報を取得する(S11)。
【0067】
制御部40は、出庫指示に含まれる荷物を特定する情報に対応する収納位置情報50bを取得し、走行モータ15およびウィンチモータ17を制御し、載置台16を収納位置に移動させる(S12)。
【0068】
制御部40は、荷物情報記憶部50から伸び量情報50bを取得し、上センサ25および下センサ26から情報を取得するとともに、これらの取得した情報に基づいて機構部30を制御することにより、荷物を棚2からすくう(S13)。同一の荷物に対する2回目以降の荷すくい処理(S13)の詳細については後述する。
【0069】
制御部40は、走行モータ15およびウィンチモータ17を制御し、ステーション3の位置に載置台16を移動させる(S14)。
【0070】
制御部40は、荷物情報記憶部50から伸び量情報50bを取得し、上センサ25および下センサ26から情報を取得するとともに、これらの取得した情報に基づいて機構部30を制御することにより、荷物をステーション3に降ろす(S13)。荷おろし処理(S13)の詳細については後述する。
【0071】
以上が出庫処理の流れの概要である。
このようなスタッカクレーン1により実行される処理のうち、本発明に特徴的な処理は、制御装置23による荷すくい処理(図7のS13)および荷おろし処理(図7のS8およびS15)である。
【0072】
まず、本発明に特徴的な処理の前提となる、初回荷すくい時の処理および動作について図を参照して説明し、続けて、本発明に特徴的な荷すくい処理と、荷おろし処理とを図を参照して説明する。
【0073】
図8は、初回荷すくい処理(S3)の詳細な流れを示す図である。
本図は、「初回荷すくい時の載置台16の状態」として、載置台16が荷すくいを開始してから終了するまでの載置台16の状態と荷物60との関係の変化を示す。
【0074】
荷物60は、本図に示さないパレットを有する。パレットは、荷すくいおよび荷おろし時に、荷物60と棚2の棚板(図示しない)との間にフォーク20を進入させるすき間を形成する脚を有する。なお、荷物60は、パレットではなく、フォーク20を進入させるすき間が形成される外箱を有してもよい。
【0075】
また、載置台16が有する上センサ25および下センサ26の「ON」は、各センサで遮光板24により遮光されている状態を示し、本図ではハッチングを施している。また、「OFF」は、各センサで遮光板24により遮光されていない状態を示し、本図ではハッチングを施していない。
【0076】
(時刻t0
時刻t0に、制御部40は、載置台16をステーション3に移動させる(状態1)。この時、ウィンチモータ制御部41は、ステーション3に対応付けて設けられた遮光板24により、載置台16が有する上センサ25が「ON」、下センサ26が「OFF」になるまで、載置台16を移動させる。
【0077】
ここから、初回荷すくい処理が開始される。
【0078】
(時刻t1
時刻t1に、移載モータ制御部42は、フォーク20を伸張させる(状態2)。これにより、フォーク20は、荷物60と棚板とのすき間に進入する。この時、本図に示すように、載置台16の一部であるフォーク20の上面は、荷物60と接触していない。
【0079】
(時刻t1から時刻t2まで)
時刻t1から時刻t2まで、ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17を駆動させることにより、ワイヤロープ19の巻き取りを開始し、一定の回転速さT1(回/秒)まで加速する。ウィンチモータ制御部41は、回転速さT1(回/秒)に達した後、T1(回/秒)での回転を続けさせる。
【0080】
載置台16は、ウィンチモータ17の回転に応じて上昇を開始し、回転速さT1(回/秒)に対応する一定の速さv1(m/秒)まで加速する。載置台16は、速さv1(m/秒)に達した後、時刻t2まで、v1(m/秒)で、状態2に示すフォーク20の上面と荷物60とのすき間分の上昇を続ける。
【0081】
(時刻t2
時刻t2に、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とは、それぞれ、上センサ25と下センサ26とがともに「ON」になることを示す情報を取得する。また、この時、載置台16のフォーク20が荷物60と接触し、ワイヤロープ19が伸び始める(状態3)。
【0082】
上記のように、上センサ25と下センサ26とは棚2に進入したフォーク20の上面と荷物60の底面とのすき間とほぼ等しい間隔で設けられる。そのため、ワイヤロープ19が伸び始めたことは、上センサ25と下センサ26とがともに「ON」であることを示す情報により検知される。
【0083】
(時刻t2から時刻t3まで)
時刻t2から時刻t3まで、ウィンチモータ制御部41は、第1の速さとしてのT1(回/秒)でウィンチモータ17を回転させ続ける。この間、ワイヤロープ19は伸び続けているため、載置台16は上昇せず、停止している。
【0084】
(時刻t3
時刻t3に、荷物60の重量によるワイヤロープ19の伸びが止まる(伸びきり)。
【0085】
(時刻t3から時刻t4まで)
時刻t3から時刻t4まで、速さ載置台16は、ウィンチモータ17の回転に応じた速さv1(m/秒)で上昇する。
【0086】
(時刻t4
時刻t4に、上センサ状態取得部43は、上センサ25が「OFF」であることを示す情報を取得し、載置台16の上昇の終了が検知される(状態4)。
【0087】
(時刻t4から時刻t5まで)
時刻t4から、ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17の回転速さを減速させ、時刻t5にウィンチモータ17の回転を停止させる。
【0088】
(時刻t5以降)
時刻t5以降に、載置台16は、フォーク20を縮める(状態5)。これにより、荷物60が載置台16に載置され、初回荷すくい処理が完了する。
【0089】
以上の初回荷すくい処理により、伸び量情報取得部45は、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とが取得する情報に基づいて、時刻t2および時刻t4を取得し、時刻t4から所定時間を差し引くことにより、荷物60の重量のためにワイヤロープ19の伸び量が変化している時間(時刻t2から時刻t3まで)を判定し、伸び量を算出する(図7のS4)。
【0090】
ここで、差し引かれる所定時間は、例えば、上センサ25と下センサ26との間隔を載置台16が移動する速さv1(m/秒)で除することにより算出される。
【0091】
なお、差し引かれる所定時間は、このようにして算出される時間よりも長い予め定められた時間でもよい。また、差し引かれる所定時間は、上記のように算出される時間の概算値として、時刻t2から時刻t3までの時間であってもよい。
【0092】
このように、初回荷すくい処理により、荷物60に対する伸び量が学習され、伸び量情報50aの格納が可能になる。
【0093】
図9は、2回目以降の荷すくい処理(S13)の詳細な流れを示す図である。
本図の見方は図8と同様であるため、本図の見方に関する説明は省略する。
【0094】
(時刻t10
時刻t10に、制御部40は、載置台16を収納位置に移動させる(状態11)。この時、ウィンチモータ制御部41は、ステーション3に対応付けて設けられた遮光板24により、載置台16が有する上センサ25が「ON」、下センサ26が「OFF」になるまで、載置台16を移動させる。
【0095】
ここから、荷すくい処理が開始される。
【0096】
(時刻t11
時刻t11に、移載モータ制御部42は、フォーク20を伸張させる(状態12)。この時の載置台16の状態は、初回荷すくい時の状態2の場合と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0097】
(時刻t11から時刻t12まで)
時刻t11から時刻t12まで、ウィンチモータ制御部41は、初回荷すくい時の時刻t1から時刻t2までと同様に、ウィンチモータ17を駆動させる。また、載置台16も、初回荷すくい時の時刻t1から時刻t2までと同様に、状態12に示すフォーク20の上面と荷物60とのすき間分の上昇を続ける。
【0098】
ここでの、ウィンチモータ制御部41は、特許請求の範囲に記載の第1駆動制御手段に相当する。
【0099】
(時刻t12
時刻t12に、初回荷すくい時の状態3と同様に、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とは、それぞれ、上センサ25と下センサ26とがともに「ON」になることを示す情報を取得する。また、この時、載置台16のフォーク20が荷物60と接触し、ワイヤロープ19が伸び始める(状態13)。
【0100】
すなわち、ここでの、上センサ25と下センサ26とは、特許請求の範囲に記載の第1検知手段に相当し、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とは、特許請求の範囲に記載の開始情報取得手段に相当する。
【0101】
(時刻t12から時刻t13まで)
時刻t12から、ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17の回転を、T1(回/秒)からT2(回/秒)まで加速させる。ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17が回転速さT2(回/秒)に達した後、時刻t13に回転速さT1(回/秒)に減速できるように、初回荷すくいで格納された伸び量情報50aに基づいて高速な回転速さT2(回/秒)での回転時間を制御する。このとき、例えば、回転速さT2(回/秒)から回転速さT1(回/秒)への減速に要する時間は、一定の時間であるとして制御される。
【0102】
この間、初回荷すくい時の時刻t2から時刻t3までと同様に、ワイヤロープ19は伸び続けているため、載置台16は上昇しない。
【0103】
ここでの、ウィンチモータ制御部41は、特許請求の範囲に記載の第2駆動制御手段に相当する。
【0104】
(時刻t13
時刻t13に、荷物60の重量によるワイヤロープ19の伸びが止まる(伸びきり)。
【0105】
(時刻t13から時刻t14まで)
時刻t13から時刻t14まで、載置台16は、ウィンチモータ17の回転速さT1(回/秒)に応じた速さv1(m/秒)で上昇を開始する。
【0106】
(時刻t14
時刻t14に、上センサ状態取得部43は、上センサ25が「OFF」であることを示す情報を取得し、載置台16の上昇の終了を検知する(状態14)。
【0107】
ここでの、上センサ状態取得部43は、特許請求の範囲に記載の終了情報取得手段に相当する。
【0108】
(時刻t14から時刻t15まで)
時刻t14から、ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17の回転速さを減速させ、時刻t15にウィンチモータ17の回転を停止させる。
【0109】
(時刻t15以降)
時刻t15以降に、載置台16は、フォーク20を縮める(状態15)。これにより、荷物60が載置台16に載置され、荷すくい処理が完了する。
【0110】
このように、初回荷すくい処理を実行することによって算出される荷物60に対する伸び量を示す伸び量情報を記憶しているため、同じ荷物を再度荷すくいする場合には、その伸び量に応じてウィンチモータ17を高速で回転させる時間を制御できる。
【0111】
そのため、荷物が急激に加速されてその中身を損壊する危険、棚2の中で急激に上昇して直上の棚板に衝突させる危険などを回避しながら、荷すくい時にウィンチモータ17を高速な回転速さT2(回/秒)で回転させることができる。したがって、安全に荷すくいに要する時間を短縮することが可能になる。
【0112】
図10は、荷おろし処理の詳細な流れを示す図である。
本図は、収納位置での荷おろし処理(S8)およびステーション3での荷おろし処理(S15)で共通する。本図の見方は図8と同様であるため、本図の見方に関する説明は省略する。
【0113】
(時刻t20
時刻t20に、制御部40は、載置台16を収納位置に移動させる(状態21)。この時、ウィンチモータ制御部41は、収納位置に対応付けて設けられた遮光板24により、載置台16が有する上センサ25が「OFF」、下センサ26が「ON」になるまで、載置台16を移動させる。
【0114】
ここから、荷おろし処理が開始される。
【0115】
(時刻t21
時刻t21に、移載モータ制御部42は、フォーク20を伸張させる(状態22)。この時、荷物60の脚の底(図示しない)と棚2の棚板の上面(図示しない)との間にすき間があり、荷物60と棚2とは接触していない。
【0116】
(時刻t21から時刻t22まで)
時刻t21から、
ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17を駆動させることにより、ワイヤロープ19の送り出しを開始し、一定の回転速さT1(回/秒)まで加速する。ウィンチモータ制御部41は、回転速さT1(回/秒)に達した後、T1(回/秒)での回転を続けさせる。
【0117】
載置台16は、ウィンチモータ17の回転に応じて下降を開始し、回転速さT1(回/秒)に対応する一定の速さv1(m/秒)まで加速する。載置台16は、速さv1(m/秒)に達した後、時刻t2まで、v1(m/秒)で、状態22で説明した荷物60の脚の底と棚2の棚板の上面との間にすき間分の下降を続ける。
【0118】
ここでの、ウィンチモータ制御部41は、特許請求の範囲に記載の第1駆動制御手段に相当する。
【0119】
(時刻t22
時刻t22に、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とは、それぞれ、上センサ25と下センサ26とがともに「ON」になることを示す情報を取得する。また、この時、荷物60と棚2の棚板とが接触し、ワイヤロープ19の伸びが戻り始める(状態23)。
【0120】
すなわち、時刻t21から時刻t22までの間に、載置台16はパレットの脚の底面と棚2の棚板の上面とのすき間分下降し、ワイヤロープ19の伸びが戻り始めたことは、上センサ25と下センサ26とがともに「ON」であることを示す情報により検知される。
【0121】
ここでの、上センサ25と下センサ26とは、特許請求の範囲に記載の第2検知手段に相当し、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とは、特許請求の範囲に記載の開始情報取得手段に相当する。
【0122】
(時刻t22から時刻t23まで)
時刻t22から、ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17の回転を、T1(回/秒)からT2(回/秒)まで加速させる。ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17が回転速さT2(回/秒)に達した後、時刻t23に回転速さT1(回/秒)に減速できるように、初回荷すくいで学習した伸び量情報50aに基づいて高速な回転速さT2(回/秒)での回転時間を制御する。このとき、例えば、回転速さT2(回/秒)から回転速さT1(回/秒)への減速に要する時間は、一定の時間であるとして制御される。
【0123】
この間、ワイヤロープ19は伸びが戻り続けているため、載置台16のフォーク20の上面は荷物60の底面から離れない。
【0124】
ここでの、ウィンチモータ制御部41は、特許請求の範囲に記載の第2駆動制御手段に相当する。
【0125】
(時刻t23
時刻t23に、荷物60の重量によるワイヤロープ19の伸びの戻りが止まる(戻りきり)。
【0126】
(時刻t23から時刻t24まで)
時刻t23から時刻t24まで、載置台16は、ウィンチモータ17の回転速さT1(回/秒)に応じた速さv1(m/秒)で下降を開始する。
【0127】
(時刻t24
時刻t24に、下センサ状態取得部44は、下センサ26が「OFF」であることを示す情報を取得し、載置台16の下降の開始を検知する(状態24)。
【0128】
ここでの、下センサ状態取得部44は、特許請求の範囲に記載の終了情報取得手段に相当する。
【0129】
(時刻t24から時刻t25まで)
時刻t24から、ウィンチモータ制御部41は、ウィンチモータ17の回転速さを減速させ、時刻t25にウィンチモータ17の回転を停止させる。
【0130】
(時刻t25以降)
時刻t25以降に、載置台16は、フォーク20を縮める(状態25)。これにより、荷物60が棚2に収納され、またはステーション3に移載され、荷おろし処理が完了する。
【0131】
このように、初回荷すくい処理を実行することによって算出される荷物60に対する伸び量を示す伸び量情報を記憶しているため、同じ荷物を荷おろしする場合には、その伸び量に応じてウィンチモータ17を高速で回転させる時間を制御できる。
【0132】
そのため、載置台16が高速さでの下降を開始し,そのフォーク20が棚板に衝突する危険などを回避しながら、荷おろし時にウィンチモータ17を高速な回転速さT2(回/秒)で回転させることができる。したがって、安全に荷おろしに要する時間を短縮することが可能になる。
【0133】
以上、本発明の実施の形態に係るスタッカクレーンについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0134】
例えば、スタッカクレーン1は、本発明に係る昇降装置を備えるものの一例であり、本発明に係る昇降装置は、荷物を積み降ろしして昇降する機構を備えるものであればよい。
【0135】
また例えば、載置台16の高さに応じて、ウィンチモータ17から載置台16までのワイヤロープ19の長さが変化するため、同じ荷物でも伸び量が異なる。そのため、載置台16の高さを考慮して伸び量を補正し、ウィンチモータ17を高速で回転させる時間を制御してもよい。例えば、最下部での伸び量を伸び量情報として荷物情報記憶部50に格納し、この伸び量情報が示す伸び量を基準に、載置台16の高さに応じて補正された伸び量を算出してもよい。このときの補正は、例えば、載置台16が最下部にある時のワイヤロープ19の長さと、収納位置におけるワイヤロープ19の長さとの比を伸び量に乗じる方法による。
【0136】
さらに例えば、伸び量を算出するために、伸び量情報取得部45は、荷物60の重量のためにワイヤロープ19の伸び量が変化している時間(以下、「変化時間」という。)を判定する。実施の形態では図8を参照して説明したように、伸び量情報取得部45は、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とが取得する情報に基づいて、変化時間を判定したしたが、変化時間の判定方法はこれに限られない。例えば、伸び量情報取得部45は、上センサ状態取得部43と下センサ状態取得部44とが取得する情報に基づいて、時刻t1および時刻t4を取得し、荷物がない時に状態2から状態4までに要する基本時間を時刻t1から時刻t4までに要する時間から差し引いた時間を変化時間として判定してもよい。
【0137】
さらに例えば、実施の形態の伸び量情報50aに代えて、各荷物の重量を示す重量情報を荷物情報記憶部50に記憶させてもよい。各荷物の重量は、例えば、入力部51により入力される。
【0138】
伸び量情報取得部45は、荷おろしまたは荷おろしする荷物に対応する重量情報を取得し、例えば、(式1)のように荷物の重量とワイヤロープ19の伸び量との関係を示す式に基づいて、ワイヤロープ19の伸び量を算出することにより、伸び量を取得する。
【0139】
【数1】

【0140】
ここで(式1)では、ΔLはワイヤロープ19の伸び量(m)、Eはワイヤロープ19の弾性率(N/m2)、Aはロープの断面積(m2)、Wは荷物の重量(kg)をそれぞれ表す。
【0141】
このように、重量を入力することにより、実施の形態のように初回荷すくいでの学習の必要がなくなる。そのため、初回荷すくいの時から、荷すくいに要する時間を短縮することが可能になる。
【0142】
さらに例えば、上センサ25および下センサ26は、載置台16が所定位置にあることを判定するためのセンサの一例であり、レーザ距離計、エンコーダなどでもよい。
【0143】
レーザ距離計は、床面、下部台車11、マスト13の上端などレーザ距離計が取り付けられる位置から載置台16までの距離を測定する。レーザ距離計により載置台16の移動を検知できるため、例えば、荷すくいを開始した載置台16の移動が停止する状態(図8に示す状態2)と、荷物をすくった載置台16が移動を開始する状態(図8に示す状態4)とを検知することによって、実施の形態と同様に伸び量を算出することができる。
【0144】
また、エンコーダは、ウィンチモータ17の回転量を測定する。このようなエンコーダと、実施の形態で説明した上センサ25および下センサ26とを組み合わせることにより、例えば、図8に示す状態2から状態4までのウィンチモータ17の回転量の合計を伸び量として直ちに算出することができる。また、エンコーダとレーザ距離計とを組み合わせることによっても、同様に伸び量を算出することができる。
【0145】
レーザ距離計およびエンコーダの場合、これらのセンサで計測される載置台16の上下方向の位置の変化が制御部40に出力される。ウィンチモータ制御部41は、載置台16の上下方向の位置の変化に基づいて、実施の形態と同様に、ウィンチモータの駆動を制御する。
【0146】
さらに例えば、フォーク20は、載置台16に備えられるとしたが、棚2が有してもよい。
【0147】
さらに例えば、実施の形態の載置台16は、荷物を支持して昇降する支持台の一例にすぎない。支持台は、荷物を上部から吊るして昇降するものであってもよい。例えば、支持台は、荷物の上部を掴み、または、荷物が自身の上部に有する吊り具にフォークを進入および退出させる。この場合、支持部は、支持台が荷物を掴むための握持部または吊り具に応じたフォークを有する。
【0148】
さらに例えば、フォーク20の上面と荷物60とのすき間を上昇させる速さ、ワイヤロープ19が伸びきった後に載置台16を上昇させる速さとは同じv1(m/秒)としたが、これらはv2(m/秒)より低速であれば、異なる速さでもよい。
【0149】
また、パレットの脚の底面と棚2の棚板の上面とのすき間分下降させる速さ、ワイヤロープ19の伸びが戻りきった後に載置台16を下降させる速さとは同じv1(m/秒)としたが、これらはv2(m/秒)より低速であれば、異なる速さでもよい。
【0150】
さらに例えば、懸架部材としてのワイヤロープ19はチェーンなどでもよい。
チェーンであっても荷物が載置されると荷物の重量によって伸びる。その伸び量を算出することが困難であっても、実施の形態のように伸び量を学習することによって、荷おろしおよび2回目以降の荷すくいに要する時間を短縮することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、スタッカクレーンに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】スタッカクレーンを備える自動倉庫の構成の一例を示す斜視図である。
【図2】スタッカクレーンの構成を模式的に示す図である。
【図3】上センサと遮光板との関係を示す平面図である。
【図4】上センサおよび下センサと、遮光板との関係を示す斜視図である。
【図5】スタッカクレーンが備える本発明に特徴的な構成の詳細を示すブロック図である。
【図6】(a) 伸び量情報の一例を示す図である。(b)収納位置情報の一例を示す図である。
【図7】スタッカクレーン1により実行される動作の流れの概要を示す図である。
【図8】初回荷すくい処理の詳細な流れを示す図である。
【図9】2回目以降の荷すくい時のスタッカクレーン1の処理および動作の流れを示す図である。
【図10】荷おろし時のスタッカクレーン1の処理および動作の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0153】
1 スタッカクレーン
2 棚
3 ステーション
11 下部台車
13 マスト
16 載置台
17 ウィンチモータ
18 シーブ
19 ワイヤロープ
20 フォーク
21 プレート
22 移載モータ
23 制御装置
24 遮光板
25 上センサ
26 下センサ
30 機構部
40 制御部
41 ウィンチモータ制御部
42 移載モータ制御部
43 上センサ状態取得部
44 下センサ状態取得部
45 伸び量情報取得部
46 収納位置情報取得部
50 荷物情報記憶部
51 入力部
52 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が支持される支持台と、
前記支持台を懸架する長尺の懸架部材と、
前記懸架部材を駆動することにより前記支持台を昇降させる駆動源と、
前記荷物の重量により前記懸架部材の伸び量が変化し始めたことを示す開始情報を取得する開始情報取得手段と、
前記開始情報取得手段が前記開始情報を取得するまで、第1の速さで前記駆動源を駆動させる第1駆動制御手段と、
前記荷物の重量による前記懸架部材の伸び量の変化が終了したことを示す終了情報を取得する終了情報取得手段と、
前記開始情報取得手段により取得された伸び量の変化の開始から前記終了情報取得手段により取得された伸び量の変化の終了までの少なくとも一部で、前記第1の速さよりも速く前記駆動源を駆動させる第2駆動制御手段とを備える
ことを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
さらに、前記荷物が前記支持台に支持された場合の前記伸び量に関する伸び量情報を記憶している荷物情報記憶手段を備え、
前記終了情報取得手段は、前記伸び量情報を参照することにより、前記終了情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
さらに、前記荷物が前記支持台に支持された場合の前記伸び量に関する伸び量情報を記憶している荷物情報記憶手段と、
前記荷物が指定される指定手段とを備え、
前記荷物情報記憶手段は、前記荷物を特定する情報と、前記伸び量情報とを関連付けて記憶し、
前記終了情報取得手段は、前記指定手段により指定された前記荷物に関連付けられる前記伸び量情報を参照することにより、前記終了情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
さらに、前記支持台と前記荷物との接触を検知する第1検知手段を備え、
前記開始情報取得手段は、前記第1検知手段により前記接触が検知されたことを示す情報を前記開始情報として取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昇降装置。
【請求項5】
さらに、前記荷物が収納される棚と前記荷物との接触を検知する第2検知手段を備え、
前記開始情報取得手段は、前記第2検知手段により前記接触が検知されたことを示す情報を前記開始情報として取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昇降装置。
【請求項6】
荷物が支持される支持台と、
前記支持台を懸架する長尺の懸架部材と、
前記懸架部材を駆動することにより前記支持台を上下させる駆動源とを備える昇降装置の前記駆動源を制御する方法であって、
前記荷物の重量により前記懸架部材の伸び量が変化し始めたことを示す開始情報を取得する開始情報取得ステップと、
前記荷物の重量により前記懸架部材の伸び量が変化し始めたことを示す開始情報を取得する開始情報取得ステップと、
前記開始情報取得ステップにおいて前記変化開始時を取得するまで、第1の速さで前記駆動源を駆動させる第1駆動制御ステップと、
前記荷物の重量により前記懸架部材の伸び量の変化が終了したことを示す終了情報を取得する終了情報取得ステップと、
前記開始情報取得ステップにおいて前記開始情報が取得された時から前記終了情報取得ステップにおいて前記終了情報が取得された時までの少なくとも一部で、前記第1の速さよりも速く前記駆動源を駆動させる第2駆動制御ステップとを含む
ことを特徴とする駆動源を制御する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−29606(P2009−29606A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198150(P2007−198150)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】