映像表示システム及び映像表示装置
【課題】遠距離、遮蔽物などの理由で映像配信サーバと直接通信できない位置にある表示装置への画像情報の配信制御が可能な映像表示システム及び映像表示装置を提供する。
【解決手段】サーバ101と表示装置102との間、表示装置102と他の表示装置と間を無線通信ネットワークで縦続接続し、各表示装置が携帯情報端末との接続インターフェイスを備え、各表示装置とサーバ又は他の表示装置と間の通信インターフェイスには、携帯情報端末との通信インターフェイスよりも、高周波帯域で大容量の無線通信プロトコルを適用した携帯情報端末からアクセス可能な表示システム。
【解決手段】サーバ101と表示装置102との間、表示装置102と他の表示装置と間を無線通信ネットワークで縦続接続し、各表示装置が携帯情報端末との接続インターフェイスを備え、各表示装置とサーバ又は他の表示装置と間の通信インターフェイスには、携帯情報端末との通信インターフェイスよりも、高周波帯域で大容量の無線通信プロトコルを適用した携帯情報端末からアクセス可能な表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ無線通信機能を備えた映像配信サーバと複数の表示装置(ディスプレイ)とからなり、複数の表示装置間でアドホック通信を行う映像表示システム及び映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベント会場や駅、地下鉄の通路など広い公共空間においては、主に広告などの映像を表示するために大型ディスプレイ画面を有する表示装置が設置され、当該表示装置によりコマーシャル映像を多くの人に見せることにより、その広告効果を絶大なものにしている。
【0003】
映像表示システムとして、例えば、特開2000−105583号公報(特許文献1)の第3図に示されるように、配信サーバが、有線のインターネット回線を通じて複数の表示装置に接続されるシステムが提案されている。上記サーバは、画像(コマーシャル画像)の配信、複数接続されている各表示装置の制御(表示タイミングの制御)などを行い、各表示装置には、配信サーバから送られたコマーシャル画像が表示される。
【0004】
また、近年の携帯情報端末の進歩により、例えば、特開2001−346199号公報(特許文献2)に示されるように、表示装置と携帯情報端末間で無線通信を行うシステムが提案されている。上記システムにおいて、各携帯情報端末は、表示装置から無線で各種情報を取り出したり、ダウンロードできるように構成されている。
【0005】
駅や地下鉄の通路などでは、有線ケーブルの敷設には莫大な工事費用が必要となり、工事期間も長期的になるという問題がある。また、イベント会場などでは、システムの設置期間が短く、有線回線の敷設コストが莫大なものになり、ケーブルを隠すためにイベントのレイアウトが制限を受ける等の問題がある。そこで、例えば、特開2000−22632号公報に示されているように、サーバと表示装置の間を有線ケーブルではなく、光ビームで接続するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−105583号公報
【特許文献2】特開2001−346199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光ビームで接続されたシステムでは、サーバと表示装置を互いに見通せる範囲に存在させなければならないため、サーバと表示装置との距離をあまり大きくできず、また、サーバと表示装置の間に遮蔽物があると通信が阻害される。
【0008】
本発明の目的は、遠距離であったり遮蔽物があるなどの理由で映像配信サーバと直接通信できない位置にある表示装置への画像情報の配信制御が可能な映像表示システム及び映像表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、電波干渉を抑制し、情報の混信を避けたスムーズな通信を行う映像表示システム及び映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、サーバと表示装置とを無線通信によって接続し、且つ、サーバと接続された表示装置から他の表示装置に受信データを次々と中継することによって、サーバから離間した表示装置への画像配信を可能とする。
【0011】
本発明の表示装置は、ユーザ端末との通信機能を有し、表示装置間の通信と表示装置とユーザ端末との通信には、互いに異なる周波数帯の無線通信方式を適用し、表示装置間の通信には、ユーザ端末と表示装置間の通信よりも高い周波数帯域をもつ通信容量の大きい通信方式を採用する。
【0012】
本発明では、表示装置間の通信容量を確保するために、各表示装置を2つの周波数帯域の通信を同時的(併行)に実行できる構成とし、1つの周波数帯域でサーバまたは他の表示装置と通信を行っている時に、他の周波数帯域で別の表示装置との通信を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像データおよび制御情報を中継できる他の表示装置を利用することにより、サーバからの無線電波が届かない離れた位置に設置された表示装置に映像を配信することができる。また、サーバとの間に遮蔽物が存在した場合でも、中継装置となる他の表示装置の位置を調節することにより、遮蔽位置にある表示装置に映像を配信できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の表示システムを示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態の表示装置の概略ブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態の表示システムの別構成を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態の表示装置と携帯情報端末の画面の通常時の画像を示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態の表示装置と携帯情報端末の画面の地域案内サービス時の画像を示す図。
【図6】本発明の第1の実施形態の携帯情報端末にダウンロードされた整理券を示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態の表示装置の処理手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第1の実施形態の配信サーバの処理手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の第1の実施形態の表示装置から配信サーバへの要求の種類と要求番号の関係を示す図。
【図10】本発明の第1の実施形態の表示装置から配信サーバへデータを要求するためのフォーマットを示す図。
【図11】本発明の第1の実施形態の映像配信サーバから表示装置への配信データとデータ種類番号の関係を示す図。
【図12】本発明の第1の実施形態のサーバから表示装置へ配信するデータのフォーマットを示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態の表示システムを示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態の表示装置の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
第1図は、本発明の第1の実施形態である映像表示シテムの全体構成を表す概念図である。本システムは、イベント会場、地下鉄や駅の通路、百貨店などに置かれ、コマーシャル映像を表示し、好ましくは、地域の案内板の代わりにも使われる。また、本システムは、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話などの携帯情報端末(ユーザ端末)、または無線タグ等の装置と無線で通信することによって、表示中のコマーシャル映像や地域案内図と関連したサービス情報を携帯情報端末に配布するなどの機能を持つ。
【0017】
101は、映像データの配信および制御機能と、バックボーンとなるインターネット通信網との通信機能を備えたサーバであり、有線LAN回線132によりインターネット通信網131と接続されている。サーバ101は、5GHz帯の無線通信規格IEEE802.11aに準拠した通信インターフェイス及びアンテナ121を備え、表示装置102と電波111を介して通信する。IEEE802.11aは、最高通信速度が54Mbpsの高速度の無線通信規格である。
【0018】
102は表示装置であり、サーバ101との無線通信用のアンテナ128と、他の表示装置103との無線通信用のアンテナ122を備える。アンテナ128と122は、何れも5GHz帯の無線通信規格IEEE802.11a用のアンテナである。また、表示装置102は、携帯電話105、PDA106、107や、無線Tag109等との無線通信用のアンテナ125を備える。アンテナ125は、2.4GHz帯の無線通信規格IEEE802.11bに準拠したアンテナである。IEEE802.11bは、最高通信速度が11Mbpsで、IEEE802.11aと比べると、使用周波数が低く、通信容量も小さい無線通信規格である。
【0019】
尚、本実施例では、説明の都合上、無線インターフェイスに無線通信規格IEEE802.11aとIEEE802.11bを適用して説明するが、これらの無線プロトコルは本発明に何ら制限を与えるものではなく、他の無線通信規格を用いても良い。もちろん光通信なども適用可能である。
【0020】
本実施例では、表示装置102と同じ構成をもつn台の表示装置103、104が、無線ネットワークで縦続接続されている。表示装置103、104は、表示装置102と同様、それぞれ表示装置間の無線通信用の2本のアンテナ129および123、130および124と、PDA、携帯電話、無線Tag等との通信用のアンテナ126、127を持つ。
【0021】
第2図は、表示装置102、103、104の概略的な構成を示すブロック図である。以下、説明の簡単化のために、103に代表させて、表示装置の機能を説明する。
表示装置103は、中央処理部207により制御される。中央処理部207は、表示部202と、ハードディスクなどの蓄積部203と、通信インターフェイス204、205、206とに接続されている。通信インターフェイス204と205は、5GHz帯の無線通信規格IEEE802.11aのプロトコル処理を行うインターフェイスであり、それぞれアンテナ123、129に接続されている。通信インターフェイス206は、2.4GHz帯の無線通信規格IEEE802.11bのプロトコル処理を行うインターフェイスであり、アンテナ126に接続されている。つまり、PDA106、携帯電話105等の携帯情報端末や無線Tag109と無線通信を行う通信インターフェイス206よりも、他の表示装置102、104と無線通信を行う通信インターフェイス204、205の方が高い周波数となっている。
【0022】
ここで、通信インターフェイス205は、無線ネットワークの上流側で隣接する表示装置102との通信に用いられ、通信インターフェイス204は、下流側で隣接する表示装置104との通信に用いられる。通信インターフェイス204と205の使用周波数は、表示装置間の電波干渉を抑制するために、互に異なった周波数としてもよい。
【0023】
次に、第4図から第6図を参照して、本発明の映像表示システムの動作について簡単に説明する。本映像表示システムでは、通常時は、第4図に示す表示装置103のように、各表示装置がサーバから送付されたコマーシャル映像を流している。表示装置103に接近したPDA107が、表示装置への接続要求を発行すると、表示装置103は、表示中の画面と関連した画面情報をPDA107に転送し、PDA107に第4図に示すような画面を表示する。PDA107のユーザが、第4図のコマーシャル映像画面において、星印403をスタイラス401でクリックすると、表示装置103からPDA107に、例えば、第6図に示す整理券がダウンロードされる。
【0024】
以上のようなサービスを本発明のシステム上で具体的にどう実現するかについて、以下、第7図から第12図を参照して説明する。
第7図は、各表示装置102、103、104の中央処理部207の動作シーケンスを示すフローチャート、第8図は、サーバ101の動作シーケンスを示すフローチャート、第10図は、表示装置103がサーバにデータを要求するときに用いるデータ要求メッセージのフォーマット、第9図は、第10図のフォーマットで用いられる要求番号と要求種類との対応関係を示す図である。また、第12図は、サーバ101が表示装置102、103、104に画像データを送る際に用いるデータフレームのフォーマット、第11図は、第12図のフォーマットで用いられるデータ種類番号とデータ内容との対応関係を示す図である。
【0025】
第8図に示すように、サーバ101は、起動時に、図示しない蓄積部から、自分が直接的に無線通信すべき表示装置102のアドレス(識別子ID)と、システム内に存在するデータ送付先となる表示装置103、104のアドレスを映像データ配信先情報として読み出す(ステップ8001)。サーバ101は、アンテナ121経由で直接通信すべき表示装置102が存在するか否かを検出し、もし存在していれば、無線通信を開始する(ステップ8002)。
【0026】
サーバ101は、先ず、第12図で示すフォーマットで、表示装置102に通常画面(第4図)を送信する(ステップ8003)。すなわち、通常画面送信用のデータフレームの最初のブロック(フィールド)1201にサーバから表示装置102への送信データであることを示す“1”を設定し、配信先表示ブロック1202において、ステップ8001で読み出したデータ送付先となる表示装置のID番号と対応するビットに“1”、そうでないものに“0”を設定する。また、データ種類表示ブロック1203に通常画面を示す“1”を設定し、その後で、表示装置で表示すべき映像データ1204と、この映像データに関連した携帯情報端末用の映像データ1205を送る。携帯情報端末用の映像は1種類とは限らず、接続可能な携帯情報端末の種類数に応じて複数種類の映像が送られる場合もある。尚、配信先情報は、最初の接続確立時にのみ送信してもよいし、接続確立の都度、送信してもよい。表示装置102等は、サーバ101から受信した配信先情報を蓄積部203に格納する。但し、表示装置102等は、サーバ101からの配信を受けるまでもなく、配信先情報を予め蓄積部203に格納していてもよい。
【0027】
表示装置(102、103、104)の中央処理部207は、第7図に示すように起動開始後、自分が直接通信すべきサーバ101または表示装置103のアドレス番号を蓄積部203から読み出し(ステップ7001)、サーバ101との接続を確立する(ステップ7002)。例えば、表示装置102の中央処理部207は、高周波大容量の通信インターフェイス205とアンテナ128を介して、サーバ101と直接通信し、接続確立を通知する。表示装置103の中央処理部207は、上流側の表示装置102との間に接続を確立して、表示装置102経由で、サーバ101に表示装置103の接続確立を通知する。
【0028】
中央処理部207は、次に、ステップ7001で読み出した結果から、自分が直接通信すべき他の表示装置があるか否かを確認する(ステップ7003)。自分が直接通信すべき表示装置が存在していた場合は、通信インターフェイス204とアンテナ122(123、124)を介して、上記表示装置との接続を確立する(ステップ7004)。表示装置102は、表示装置103との接続を確立した後、表示装置103が接続されたことをサーバ101に通知する。表示装置102は、例えば、下流側の表示装置103から、表示装置104との接続通知を受けると、表示装置104が接続されたことをサーバ101に通知する。このように、表示装置102、103...104の順で、表示装置が接続されたことが中間の表示装置を経由してサーバ101に順次に通知される。
【0029】
次に、表示装置102(103、104)は、アンテナ128(129、130)と通信インターフェイス205を介して、サーバ101から配信された通常画面のデータフレームを受信する(ステップ7005)。サーバ101が配信する映像データフレームは、第12図のフォーマットになっているため、中央処理部207は、受信フレームの配信先表示ブロック1202をチェックし、自分のID番号に対応するビット位置(例えば、表示装置102はブロック1202の第1ビット、表示装置103は、ブロック1202の第2ビット)に“1”が設定されていれば、自表示装置が受信すべき映像データであると判断して、その映像データを蓄積部203に格納する。この時、表示装置用映像1204と携帯情報端末用映像1205の両方が蓄積部203に格納される。つまり、サーバ101は、表示装置102に表示すべき映像データと共に携帯情報端末に表示するための映像データを配信しており、各表示装置の中央処理部207は、蓄積部203に格納された映像データのうち、表示装置用映像1204を表示部202に出力する。次に、中央処理部207は、受信した映像データフレームを通信インターフェイス204とアンテナ122(123、124)を介して、下流側に位置した次の表示装置(表示装置102の場合は、表示装置103)に送信する。
【0030】
以下、表示装置102に着目して、その後の操作を説明する。
サーバ101が表示装置102の下流に位置した他の表示装置103宛に映像データを配信した場合、表示装置102の中央処理部207は、通信インターフェイス205を介して上記映像データを受信する(ステップ7006)。この場合、送られてきた映像データは自表示装置102用の映像データではないため、中央処理部207は、受信した映像データを蓄積部203に格納することなく、受信フレームをそのまま通信インターフェイス204を介して下流側の次の表示装置103に転送する(ステップ7007)。但し、表示装置102の中央処理部207は、下流側の表示装置103に転送すべき映像データを一旦蓄積部203に格納しておき、蓄積部203から表示装置103へ転送すべき映像データを読み出し、これを表示装置103に送信した後、不要となった映像データを蓄積部203から削除するようにしてもよい。
【0031】
通信インターフェイス204を介して、他の表示装置103からサーバ101への要求データを受信した場合(ステップ7008)、中央処理部207は、上記要求データを通信インターフェイス205を介してサーバ101へ転送する(ステップ7009)。携帯情報端末との接続の有無をチェックし(ステップ7010)、携帯情報端末との接続がなければ、ステップ7005に戻り、サーバ101からの次の配信映像データ、または他の表示装置103または104からの要求データを待つ。
【0032】
次に、ステップ7010でPDA106との接続確立を検知した場合、中央処理部207は、蓄積部203に格納されている通常画面に付随する携帯情報端末用映像1205を、低周波数帯の通信インターフェイス206を介してPDA106に送る(ステップ7011)。上記動作によって、表示装置および携帯情報端末に第4図に示した画面が表示される。
【0033】
PDA106のユーザが、スタイラス401で表示画面の2重丸印402をクリックした場合は、例えば、第5図に示す地域案内サービス画像501、502が提供される。表示装置103に地域案内サービス画像501が表示されると、PDA上の表示も上記地域案内サービス画像501に関連した画像502に自動的に切り替わる。PDA106には、例えば、第5図に示すように、表示装置103に表示された地域案内図に含まれる主要な建物の番号が表示され、ユーザが何れかの建物番号をスタイラス401でクリックすると、PDA画面は上記建物の詳細説明画面に変わる。
【0034】
携帯情報端末の表示サイズ(解像度)は、表示装置103の表示サイズ(解像度)よりも小さいため、サーバ101側で、携帯情報端末の表示画像を表示装置103の表示画像サイズよりも小さくして、配布することが好ましい。表示装置103の表示画像と同一内容の画像を携帯情報端末に表示する場合は、携帯情報端末の表示サイズに合うように、表示装置103の中央処理部207が、表示装置103の表示画像を自動的にリサイズ(例えば、縮小)して携帯情報端末に送信するようにしてもよい。表示装置103の表示画像が映像で、携帯情報端末の表示画像が静止画の場合、表示装置103の中央処理部207が、表示装置103の表示映像から静止画を取り出し、これをリサイズして携帯情報端末に送信するようにしてもよい。中央処理部207は、携帯情報端末が接続された時点で表示部202の表示画像を特定し、この特定画像をキーとして、蓄積部203から上記特定画像に付随する携帯情報端末用の画像を読み出してもよい。
【0035】
上述したように、PDA106のユーザがスタイラス401で2重丸印402をクリックすると、2重丸印がクリックされたことを示す制御メッセージが、PDA106からアンテナ126を介して表示装置102に送信され、低周波数通信インターフェイス206を介して中央処理部207に通知される。
【0036】
中央処理部207は、PDA106で2重丸印402がクリックされたことを検出すると(ステップ7012)、サーバ101に、第10図に示すフォーマットで地域案内画面要求を発行する(ステップ7013)。上記地域案内画面要求のブロック1001には“0”が設定され、要求元表示ブロック1002には、表示装置102のID番号「1」と対応する第1ビットのみが“1”、その他のビット(第2ビット〜第Nビット)が“0”に設定され、要求番号ブロック1003には、地域の案内画面を示す値“1”(第9図参照)が設定されている。上記地域案内画面要求は、高周波数帯を利用する通信容量の大きい通信インターフェイス205を介して、サーバ101に送信される。
【0037】
サーバ101は、第8図に示すように、表示装置102から要求メッセージ(要求データ)を受信すると(ステップ8004)、要求メッセージ中のブロック1003の内容をチェックし、要求メッセージが地域案内画面を要求するものであれば(ステップ8005)、要求元の表示装置に、第12図に示すフレームフォーマットで、地域案内画面を送信する(ステップ8006)。上記地域案内画面のデータフレームは、具体的には、ブロック1201に“1”が設定され、配信先表示ブロック1202には、要求元の表示装置102のID番号に対応する第1ビットのみが“1”で、その他の第2ビット〜第Nビットが“0”に設定され、ブロック1203には、地域の案内画面を示す値“2”が設定されている。上記データフレームでは、表示装置用映像1204として、例えば、第5図の画像501、携帯情報端末用映像1205として、第5図の画像502が送られる。上記地域案内画面は、高周波数帯を用いた通信容量の大きい通信インターフェイス205を介して、サーバ101から表示装置102へ送られる。
【0038】
表示装置102の中央処理部207は、通信インターフェイス205を介してサーバ101からの上記画面データを受信すると(ステップ7014)、配信先表示ブロック1202の内容をチェックする。この例では、配信先表示ブロック1202の第1ビット1のみが“1”、その他のビットが“0”となっているので、受信した画面データは、表示装置102だけが受信すべきデータであり、且つ、データ種類表示ブロック1203が“2”となっているため、受信データが地域案内画面であることを確認する。この場合、中央処理部207は、受信した画面データ(表示装置用映像1204および携帯情報端末用映像1205)を蓄積部203に格納した後、表示装置用映像1204は表示部202に表示し、携帯情報端末用映像1205は、通信インターフェイス206を介して携帯情報端末に転送する(ステップ7015)。
【0039】
上記動作によって、第5図に示す画面が表示装置および携帯情報端末に表示され、携帯情報端末のユーザが、画面上で丸1、丸2、丸3、丸4の何れかの番号をスタイラス401でクリックすることにより、表示装置上102でに表示された上記番号と対応する建物の詳細情報を得ることが可能となる。第7図では、説明を簡単化するために、中央処理部207が、ステップ7016で、携帯情報端末ユーザによる上記クリック操作に応答した詳細情報サービス(サーバへの詳細情報の要求から詳細情報画面の表示までの処理)を実行するものとし、これらの詳細情報サービスが終了したら、第4図に示した通常画面の送信をサーバに要求し(ステップ7017)、ステップ7005に戻る。
【0040】
第4図に示す通常画面において、携帯情報端末のユーザが、スタイラス401で星印403をクリックした場合、星印403がクリックされたことを示す制御メッセージが、PDA106からアンテナ126を介して表示装置102に送信される。上記制御メッセージは、低周波数の通信インターフェイス206を介して表示装置102の中央処理部207に通知される。
【0041】
中央処理部207は、上記制御メッセージからPDA106で星印403がクリックされたことを検知すると(ステップ7018)、サーバ101に対して、第10図に示したフォーマットで整理券ダウンロード要求を発行する(ステップ7019)。上記整理券ダウンロード要求は、ブロック1001に“0”が設定され、要求元表示ブロック1002には、表示装置102に対応する第1ビットのみが“1”、その他の表示装置と対応する第2ビット〜第Nビットには“0”が設定され、要求番号表示ブロック1003には、整理券ダウンロード要求を示す値“2”(第9図参照)が設定され、ブロック1004には、整理券ダウンロード数mが設定されている。表示装置102が複数の携帯情報端末から整理券ダウンロードを要求されていた場合、ブロック1004は、m>1の値を示す。整理券ダウンロード要求メッセージは、高周波数帯を用いる通信容量の大きい通信インターフェイス205を介してサーバ101に送信される。
【0042】
サーバ101は、第8図に示すように、表示装置102から上記要求メッセージを受信すると(ステップ8004)、要求番号表示ブロック1003の内容から、受信した要求メッセージが整理券ダウンロード要求であることを認識し(ステップ8007)、要求元の表示装置に第12図に示すフォーマットで整理券画像を送信する(ステップ8008)。整理券画像のダウンロードフレームは、具体的には、ブロック1201に“1”が設定され、送信先表示ブロック1202には、表示装置102と対応する第1ビットのみに“1”、その他の表示装置と対応する第2ビット〜第Nビットには“0”が設定され、データ種類表示ブロック1203には整理券を示す値“3”が設定されている。この場合、表示装置用映像1204の送信はなく、携帯情報端末用映像1205として、第6図に示した整理券画像が送信される。上記整理券画像は、高周波数帯を用いた通信容量の大きい通信インターフェイス205を介して表示装置102へ送られる。
【0043】
サーバ101は、整理券画像データを送信した後、上記要求データのブロック1004が示すダウンロード要求数mを現時点までの整理券発行数に加算するように、整理券カウント数をカウントアップする(ステップ8009)。カウント値が予め決められた上限値MAX値以上になったら(ステップ8010)、通常画面を整理券のダウンロードサービスが終了したことを明記した画面に差し替える(ステップ8011)。表示装置から受信した要求が、上述した地域案内画面要求または整理券要求の場合は、ステップ8003に戻り、地域案内画面要求、整理券要求以外の他の要求であれば(ステップ8012)、要求内容に対応したその他の処理を実行(ステップ8013)した後、ステップ8003に戻る。これによって、表示装置102(103、104)に、通常画面が配布される。ダウンロードサービスが終了した場合は、ステップ8011で差替えられた通常画面が表示装置に表示される。
【0044】
表示装置102の中央処理部207は、通信インターフェイス205を介してサーバから上記整理券画像データを受信すると、宛先表示ブロック1202で第1ビットのみが“1”、第2ビット〜第Nビットが“0”となっていることから、受信データが自表示装置102のみが受信すべきデータであり、且つ、データ種類表示ブロック1203の設定値が“3”となっていることから、受信データが整理券ダウンロード画像であることを確認できる。この場合、中央処理部207は、受信した映像データを蓄積部203に格納した後、携帯情報端末用映像1205を通信インターフェイス206を介して携帯情報端末に転送する(整理券ダウンロード:7020)。これによって、第6図に示す画面が携帯情報端末に表示される。
【0045】
以上、本発明の第1の実施形態の動作について説明した。
第1の実施形態においては、サーバと表示装置102との間、表示装置102と表示装置103などの間では、複数のPDAに配布すべきダウンロードデータや、各表示装置102、103、104で表示すべき表示データなどの大量のデータを転送するために、大容量の通信回線で接続することが望ましい。第1の実施形態において、サーバ101と表示装置102は、必ずしも無線ネットワークで直結する必要はなく、例えば、第3図に示すように、表示装置102とサーバ121の間に信号を中継するための無線中継器301が存在してもよい、また、サーバ101と表示装置102を有線ネットワークで接続し、表示装置102と次の表示装置103との間、表示装置103とその次の表示装置との間が無線ネットワークで結ばれるようなネットワーク構成であってもよい。
【0046】
上述した本発明の第1の実施形態のネットワーク構成によれば、サーバ101と表示装置102以外の他の表示装置の間、例えばサーバ101と表示装置104との間は、無線通信により直接接続する必要がないため、サーバ101からの無線電波が届かないほど遠く離れた位置に設置された表示装置104に対しても、映像を配信することができる。また、サーバ101と表示装置104の間に遮蔽物などが存在した場合でも、サーバ101と表示装置104の間に位置して画像データおよび制御情報を中継する他の表示装置の位置を調節することによって、表示装置104に映像を配信することができる。
【0047】
尚、サーバ101に接続された表示装置102に下流に、映像サービスすべき複数の表示装置が存在する場合は、下流の表示装置毎に異なる無線周波数を用いてもよい。この場合、各表示装置は、下流側に隣接する表示装置の使用周波数と対応した通信インターフェイスを必要とするため、例えば、各表示装置に使用周波数の異なる複数の通信インターフェイスを備えておき、中央処理装置207が、下流の表示装置との通信を確立する際に、下流の表示装置に適合した通信インターフェイスを選択するようにすればよい。
【実施例2】
【0048】
第13図は、本発明の第2の実施形態のシステム構成図を示す。
第2の実施形態は、各表示装置が1本のアンテナで、サーバ101または他の表示装置と無線通信するようにした点が第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態における表示装置102、103、104の概略的なブロック構成図を第14図に示す。
【0049】
第2の実施形態の表示装置は、例えば、IEEE802.11aのインターフェイス204と、IEEE802.11bのインターフェイス206とを1つずつ備える。サーバ101と直接通信する表示装置102は、サーバ101との通信と他の表示装置103との通信を時間的に切替えて(時分割で)実行する。他の表示装置103、104も、上流側表示装置との通信と下流側表示装置との通信を時分割で行うところが第1の実施形態とは異なる。
【0050】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適用分野に関わらず、要旨を逸脱しない範囲で変更し、実施し得ることは述べるまでもない。本発明によれば、1つの表示装置と映像配信サーバとの間、および表示装間を無線通信によって接続し、映像配信サーバに接続された表示装置を最初の中継ノードとして、サーバからの他の表示装置への画像の配信、制御を行うようにしているため、非常に可搬性に富むという特徴を持つ。
【0051】
本発明によれば、複数の表示装置を無線通信方式で順次に接続することによって、映像配信サーバから遠距離に位置した表示装置、または遮蔽物の存在によって映像配信サーバと直接通信できない位置にある表示装置への画像の配信が可能となる。
【0052】
本発明によれば、上記各表示装置に携帯情報端末との無線通信機能を備え、サーバまたは他の表示装置との通信と携帯情報端末との通信に、互いに周波数帯の異なる無線通信方式を適用し、サーバまたは他の表示装置との間で行うデータ転送量の多い通信には、データ転送量の小さい携帯情報端末との通信よりも高周波で通信容量の大きい無線通信方式を採用することによって、情報の混信を回避したスムーズな通信が可能となる。更に、本発明によれば、1つの周波数帯域でサーバまたは他の表示装置と通信を行っている時、他の周波数帯域で別の表示装置と通信を行えるように、各表示装置に2つの周波数帯域での無線通信を同時的に行える機能を持たせることによって、表示装置間に大きな通信容量を確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、映像配信サーバからの配信画像を複数の表示装置に表示する場合等に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
101:、映像データの配信サーバ、102、103、104:表示装置、
105:携帯電話、106、107:PDA、109:無線Tag、111:電波、
121〜130:アンテナ、131:インターネット通信網、132:有線LAN回線、
207:中央処理部、202:表示部、203:蓄積部、
204〜206:通信インターフェイス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ無線通信機能を備えた映像配信サーバと複数の表示装置(ディスプレイ)とからなり、複数の表示装置間でアドホック通信を行う映像表示システム及び映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベント会場や駅、地下鉄の通路など広い公共空間においては、主に広告などの映像を表示するために大型ディスプレイ画面を有する表示装置が設置され、当該表示装置によりコマーシャル映像を多くの人に見せることにより、その広告効果を絶大なものにしている。
【0003】
映像表示システムとして、例えば、特開2000−105583号公報(特許文献1)の第3図に示されるように、配信サーバが、有線のインターネット回線を通じて複数の表示装置に接続されるシステムが提案されている。上記サーバは、画像(コマーシャル画像)の配信、複数接続されている各表示装置の制御(表示タイミングの制御)などを行い、各表示装置には、配信サーバから送られたコマーシャル画像が表示される。
【0004】
また、近年の携帯情報端末の進歩により、例えば、特開2001−346199号公報(特許文献2)に示されるように、表示装置と携帯情報端末間で無線通信を行うシステムが提案されている。上記システムにおいて、各携帯情報端末は、表示装置から無線で各種情報を取り出したり、ダウンロードできるように構成されている。
【0005】
駅や地下鉄の通路などでは、有線ケーブルの敷設には莫大な工事費用が必要となり、工事期間も長期的になるという問題がある。また、イベント会場などでは、システムの設置期間が短く、有線回線の敷設コストが莫大なものになり、ケーブルを隠すためにイベントのレイアウトが制限を受ける等の問題がある。そこで、例えば、特開2000−22632号公報に示されているように、サーバと表示装置の間を有線ケーブルではなく、光ビームで接続するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−105583号公報
【特許文献2】特開2001−346199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光ビームで接続されたシステムでは、サーバと表示装置を互いに見通せる範囲に存在させなければならないため、サーバと表示装置との距離をあまり大きくできず、また、サーバと表示装置の間に遮蔽物があると通信が阻害される。
【0008】
本発明の目的は、遠距離であったり遮蔽物があるなどの理由で映像配信サーバと直接通信できない位置にある表示装置への画像情報の配信制御が可能な映像表示システム及び映像表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、電波干渉を抑制し、情報の混信を避けたスムーズな通信を行う映像表示システム及び映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、サーバと表示装置とを無線通信によって接続し、且つ、サーバと接続された表示装置から他の表示装置に受信データを次々と中継することによって、サーバから離間した表示装置への画像配信を可能とする。
【0011】
本発明の表示装置は、ユーザ端末との通信機能を有し、表示装置間の通信と表示装置とユーザ端末との通信には、互いに異なる周波数帯の無線通信方式を適用し、表示装置間の通信には、ユーザ端末と表示装置間の通信よりも高い周波数帯域をもつ通信容量の大きい通信方式を採用する。
【0012】
本発明では、表示装置間の通信容量を確保するために、各表示装置を2つの周波数帯域の通信を同時的(併行)に実行できる構成とし、1つの周波数帯域でサーバまたは他の表示装置と通信を行っている時に、他の周波数帯域で別の表示装置との通信を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像データおよび制御情報を中継できる他の表示装置を利用することにより、サーバからの無線電波が届かない離れた位置に設置された表示装置に映像を配信することができる。また、サーバとの間に遮蔽物が存在した場合でも、中継装置となる他の表示装置の位置を調節することにより、遮蔽位置にある表示装置に映像を配信できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の表示システムを示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態の表示装置の概略ブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態の表示システムの別構成を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態の表示装置と携帯情報端末の画面の通常時の画像を示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態の表示装置と携帯情報端末の画面の地域案内サービス時の画像を示す図。
【図6】本発明の第1の実施形態の携帯情報端末にダウンロードされた整理券を示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態の表示装置の処理手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第1の実施形態の配信サーバの処理手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の第1の実施形態の表示装置から配信サーバへの要求の種類と要求番号の関係を示す図。
【図10】本発明の第1の実施形態の表示装置から配信サーバへデータを要求するためのフォーマットを示す図。
【図11】本発明の第1の実施形態の映像配信サーバから表示装置への配信データとデータ種類番号の関係を示す図。
【図12】本発明の第1の実施形態のサーバから表示装置へ配信するデータのフォーマットを示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態の表示システムを示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態の表示装置の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
第1図は、本発明の第1の実施形態である映像表示シテムの全体構成を表す概念図である。本システムは、イベント会場、地下鉄や駅の通路、百貨店などに置かれ、コマーシャル映像を表示し、好ましくは、地域の案内板の代わりにも使われる。また、本システムは、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話などの携帯情報端末(ユーザ端末)、または無線タグ等の装置と無線で通信することによって、表示中のコマーシャル映像や地域案内図と関連したサービス情報を携帯情報端末に配布するなどの機能を持つ。
【0017】
101は、映像データの配信および制御機能と、バックボーンとなるインターネット通信網との通信機能を備えたサーバであり、有線LAN回線132によりインターネット通信網131と接続されている。サーバ101は、5GHz帯の無線通信規格IEEE802.11aに準拠した通信インターフェイス及びアンテナ121を備え、表示装置102と電波111を介して通信する。IEEE802.11aは、最高通信速度が54Mbpsの高速度の無線通信規格である。
【0018】
102は表示装置であり、サーバ101との無線通信用のアンテナ128と、他の表示装置103との無線通信用のアンテナ122を備える。アンテナ128と122は、何れも5GHz帯の無線通信規格IEEE802.11a用のアンテナである。また、表示装置102は、携帯電話105、PDA106、107や、無線Tag109等との無線通信用のアンテナ125を備える。アンテナ125は、2.4GHz帯の無線通信規格IEEE802.11bに準拠したアンテナである。IEEE802.11bは、最高通信速度が11Mbpsで、IEEE802.11aと比べると、使用周波数が低く、通信容量も小さい無線通信規格である。
【0019】
尚、本実施例では、説明の都合上、無線インターフェイスに無線通信規格IEEE802.11aとIEEE802.11bを適用して説明するが、これらの無線プロトコルは本発明に何ら制限を与えるものではなく、他の無線通信規格を用いても良い。もちろん光通信なども適用可能である。
【0020】
本実施例では、表示装置102と同じ構成をもつn台の表示装置103、104が、無線ネットワークで縦続接続されている。表示装置103、104は、表示装置102と同様、それぞれ表示装置間の無線通信用の2本のアンテナ129および123、130および124と、PDA、携帯電話、無線Tag等との通信用のアンテナ126、127を持つ。
【0021】
第2図は、表示装置102、103、104の概略的な構成を示すブロック図である。以下、説明の簡単化のために、103に代表させて、表示装置の機能を説明する。
表示装置103は、中央処理部207により制御される。中央処理部207は、表示部202と、ハードディスクなどの蓄積部203と、通信インターフェイス204、205、206とに接続されている。通信インターフェイス204と205は、5GHz帯の無線通信規格IEEE802.11aのプロトコル処理を行うインターフェイスであり、それぞれアンテナ123、129に接続されている。通信インターフェイス206は、2.4GHz帯の無線通信規格IEEE802.11bのプロトコル処理を行うインターフェイスであり、アンテナ126に接続されている。つまり、PDA106、携帯電話105等の携帯情報端末や無線Tag109と無線通信を行う通信インターフェイス206よりも、他の表示装置102、104と無線通信を行う通信インターフェイス204、205の方が高い周波数となっている。
【0022】
ここで、通信インターフェイス205は、無線ネットワークの上流側で隣接する表示装置102との通信に用いられ、通信インターフェイス204は、下流側で隣接する表示装置104との通信に用いられる。通信インターフェイス204と205の使用周波数は、表示装置間の電波干渉を抑制するために、互に異なった周波数としてもよい。
【0023】
次に、第4図から第6図を参照して、本発明の映像表示システムの動作について簡単に説明する。本映像表示システムでは、通常時は、第4図に示す表示装置103のように、各表示装置がサーバから送付されたコマーシャル映像を流している。表示装置103に接近したPDA107が、表示装置への接続要求を発行すると、表示装置103は、表示中の画面と関連した画面情報をPDA107に転送し、PDA107に第4図に示すような画面を表示する。PDA107のユーザが、第4図のコマーシャル映像画面において、星印403をスタイラス401でクリックすると、表示装置103からPDA107に、例えば、第6図に示す整理券がダウンロードされる。
【0024】
以上のようなサービスを本発明のシステム上で具体的にどう実現するかについて、以下、第7図から第12図を参照して説明する。
第7図は、各表示装置102、103、104の中央処理部207の動作シーケンスを示すフローチャート、第8図は、サーバ101の動作シーケンスを示すフローチャート、第10図は、表示装置103がサーバにデータを要求するときに用いるデータ要求メッセージのフォーマット、第9図は、第10図のフォーマットで用いられる要求番号と要求種類との対応関係を示す図である。また、第12図は、サーバ101が表示装置102、103、104に画像データを送る際に用いるデータフレームのフォーマット、第11図は、第12図のフォーマットで用いられるデータ種類番号とデータ内容との対応関係を示す図である。
【0025】
第8図に示すように、サーバ101は、起動時に、図示しない蓄積部から、自分が直接的に無線通信すべき表示装置102のアドレス(識別子ID)と、システム内に存在するデータ送付先となる表示装置103、104のアドレスを映像データ配信先情報として読み出す(ステップ8001)。サーバ101は、アンテナ121経由で直接通信すべき表示装置102が存在するか否かを検出し、もし存在していれば、無線通信を開始する(ステップ8002)。
【0026】
サーバ101は、先ず、第12図で示すフォーマットで、表示装置102に通常画面(第4図)を送信する(ステップ8003)。すなわち、通常画面送信用のデータフレームの最初のブロック(フィールド)1201にサーバから表示装置102への送信データであることを示す“1”を設定し、配信先表示ブロック1202において、ステップ8001で読み出したデータ送付先となる表示装置のID番号と対応するビットに“1”、そうでないものに“0”を設定する。また、データ種類表示ブロック1203に通常画面を示す“1”を設定し、その後で、表示装置で表示すべき映像データ1204と、この映像データに関連した携帯情報端末用の映像データ1205を送る。携帯情報端末用の映像は1種類とは限らず、接続可能な携帯情報端末の種類数に応じて複数種類の映像が送られる場合もある。尚、配信先情報は、最初の接続確立時にのみ送信してもよいし、接続確立の都度、送信してもよい。表示装置102等は、サーバ101から受信した配信先情報を蓄積部203に格納する。但し、表示装置102等は、サーバ101からの配信を受けるまでもなく、配信先情報を予め蓄積部203に格納していてもよい。
【0027】
表示装置(102、103、104)の中央処理部207は、第7図に示すように起動開始後、自分が直接通信すべきサーバ101または表示装置103のアドレス番号を蓄積部203から読み出し(ステップ7001)、サーバ101との接続を確立する(ステップ7002)。例えば、表示装置102の中央処理部207は、高周波大容量の通信インターフェイス205とアンテナ128を介して、サーバ101と直接通信し、接続確立を通知する。表示装置103の中央処理部207は、上流側の表示装置102との間に接続を確立して、表示装置102経由で、サーバ101に表示装置103の接続確立を通知する。
【0028】
中央処理部207は、次に、ステップ7001で読み出した結果から、自分が直接通信すべき他の表示装置があるか否かを確認する(ステップ7003)。自分が直接通信すべき表示装置が存在していた場合は、通信インターフェイス204とアンテナ122(123、124)を介して、上記表示装置との接続を確立する(ステップ7004)。表示装置102は、表示装置103との接続を確立した後、表示装置103が接続されたことをサーバ101に通知する。表示装置102は、例えば、下流側の表示装置103から、表示装置104との接続通知を受けると、表示装置104が接続されたことをサーバ101に通知する。このように、表示装置102、103...104の順で、表示装置が接続されたことが中間の表示装置を経由してサーバ101に順次に通知される。
【0029】
次に、表示装置102(103、104)は、アンテナ128(129、130)と通信インターフェイス205を介して、サーバ101から配信された通常画面のデータフレームを受信する(ステップ7005)。サーバ101が配信する映像データフレームは、第12図のフォーマットになっているため、中央処理部207は、受信フレームの配信先表示ブロック1202をチェックし、自分のID番号に対応するビット位置(例えば、表示装置102はブロック1202の第1ビット、表示装置103は、ブロック1202の第2ビット)に“1”が設定されていれば、自表示装置が受信すべき映像データであると判断して、その映像データを蓄積部203に格納する。この時、表示装置用映像1204と携帯情報端末用映像1205の両方が蓄積部203に格納される。つまり、サーバ101は、表示装置102に表示すべき映像データと共に携帯情報端末に表示するための映像データを配信しており、各表示装置の中央処理部207は、蓄積部203に格納された映像データのうち、表示装置用映像1204を表示部202に出力する。次に、中央処理部207は、受信した映像データフレームを通信インターフェイス204とアンテナ122(123、124)を介して、下流側に位置した次の表示装置(表示装置102の場合は、表示装置103)に送信する。
【0030】
以下、表示装置102に着目して、その後の操作を説明する。
サーバ101が表示装置102の下流に位置した他の表示装置103宛に映像データを配信した場合、表示装置102の中央処理部207は、通信インターフェイス205を介して上記映像データを受信する(ステップ7006)。この場合、送られてきた映像データは自表示装置102用の映像データではないため、中央処理部207は、受信した映像データを蓄積部203に格納することなく、受信フレームをそのまま通信インターフェイス204を介して下流側の次の表示装置103に転送する(ステップ7007)。但し、表示装置102の中央処理部207は、下流側の表示装置103に転送すべき映像データを一旦蓄積部203に格納しておき、蓄積部203から表示装置103へ転送すべき映像データを読み出し、これを表示装置103に送信した後、不要となった映像データを蓄積部203から削除するようにしてもよい。
【0031】
通信インターフェイス204を介して、他の表示装置103からサーバ101への要求データを受信した場合(ステップ7008)、中央処理部207は、上記要求データを通信インターフェイス205を介してサーバ101へ転送する(ステップ7009)。携帯情報端末との接続の有無をチェックし(ステップ7010)、携帯情報端末との接続がなければ、ステップ7005に戻り、サーバ101からの次の配信映像データ、または他の表示装置103または104からの要求データを待つ。
【0032】
次に、ステップ7010でPDA106との接続確立を検知した場合、中央処理部207は、蓄積部203に格納されている通常画面に付随する携帯情報端末用映像1205を、低周波数帯の通信インターフェイス206を介してPDA106に送る(ステップ7011)。上記動作によって、表示装置および携帯情報端末に第4図に示した画面が表示される。
【0033】
PDA106のユーザが、スタイラス401で表示画面の2重丸印402をクリックした場合は、例えば、第5図に示す地域案内サービス画像501、502が提供される。表示装置103に地域案内サービス画像501が表示されると、PDA上の表示も上記地域案内サービス画像501に関連した画像502に自動的に切り替わる。PDA106には、例えば、第5図に示すように、表示装置103に表示された地域案内図に含まれる主要な建物の番号が表示され、ユーザが何れかの建物番号をスタイラス401でクリックすると、PDA画面は上記建物の詳細説明画面に変わる。
【0034】
携帯情報端末の表示サイズ(解像度)は、表示装置103の表示サイズ(解像度)よりも小さいため、サーバ101側で、携帯情報端末の表示画像を表示装置103の表示画像サイズよりも小さくして、配布することが好ましい。表示装置103の表示画像と同一内容の画像を携帯情報端末に表示する場合は、携帯情報端末の表示サイズに合うように、表示装置103の中央処理部207が、表示装置103の表示画像を自動的にリサイズ(例えば、縮小)して携帯情報端末に送信するようにしてもよい。表示装置103の表示画像が映像で、携帯情報端末の表示画像が静止画の場合、表示装置103の中央処理部207が、表示装置103の表示映像から静止画を取り出し、これをリサイズして携帯情報端末に送信するようにしてもよい。中央処理部207は、携帯情報端末が接続された時点で表示部202の表示画像を特定し、この特定画像をキーとして、蓄積部203から上記特定画像に付随する携帯情報端末用の画像を読み出してもよい。
【0035】
上述したように、PDA106のユーザがスタイラス401で2重丸印402をクリックすると、2重丸印がクリックされたことを示す制御メッセージが、PDA106からアンテナ126を介して表示装置102に送信され、低周波数通信インターフェイス206を介して中央処理部207に通知される。
【0036】
中央処理部207は、PDA106で2重丸印402がクリックされたことを検出すると(ステップ7012)、サーバ101に、第10図に示すフォーマットで地域案内画面要求を発行する(ステップ7013)。上記地域案内画面要求のブロック1001には“0”が設定され、要求元表示ブロック1002には、表示装置102のID番号「1」と対応する第1ビットのみが“1”、その他のビット(第2ビット〜第Nビット)が“0”に設定され、要求番号ブロック1003には、地域の案内画面を示す値“1”(第9図参照)が設定されている。上記地域案内画面要求は、高周波数帯を利用する通信容量の大きい通信インターフェイス205を介して、サーバ101に送信される。
【0037】
サーバ101は、第8図に示すように、表示装置102から要求メッセージ(要求データ)を受信すると(ステップ8004)、要求メッセージ中のブロック1003の内容をチェックし、要求メッセージが地域案内画面を要求するものであれば(ステップ8005)、要求元の表示装置に、第12図に示すフレームフォーマットで、地域案内画面を送信する(ステップ8006)。上記地域案内画面のデータフレームは、具体的には、ブロック1201に“1”が設定され、配信先表示ブロック1202には、要求元の表示装置102のID番号に対応する第1ビットのみが“1”で、その他の第2ビット〜第Nビットが“0”に設定され、ブロック1203には、地域の案内画面を示す値“2”が設定されている。上記データフレームでは、表示装置用映像1204として、例えば、第5図の画像501、携帯情報端末用映像1205として、第5図の画像502が送られる。上記地域案内画面は、高周波数帯を用いた通信容量の大きい通信インターフェイス205を介して、サーバ101から表示装置102へ送られる。
【0038】
表示装置102の中央処理部207は、通信インターフェイス205を介してサーバ101からの上記画面データを受信すると(ステップ7014)、配信先表示ブロック1202の内容をチェックする。この例では、配信先表示ブロック1202の第1ビット1のみが“1”、その他のビットが“0”となっているので、受信した画面データは、表示装置102だけが受信すべきデータであり、且つ、データ種類表示ブロック1203が“2”となっているため、受信データが地域案内画面であることを確認する。この場合、中央処理部207は、受信した画面データ(表示装置用映像1204および携帯情報端末用映像1205)を蓄積部203に格納した後、表示装置用映像1204は表示部202に表示し、携帯情報端末用映像1205は、通信インターフェイス206を介して携帯情報端末に転送する(ステップ7015)。
【0039】
上記動作によって、第5図に示す画面が表示装置および携帯情報端末に表示され、携帯情報端末のユーザが、画面上で丸1、丸2、丸3、丸4の何れかの番号をスタイラス401でクリックすることにより、表示装置上102でに表示された上記番号と対応する建物の詳細情報を得ることが可能となる。第7図では、説明を簡単化するために、中央処理部207が、ステップ7016で、携帯情報端末ユーザによる上記クリック操作に応答した詳細情報サービス(サーバへの詳細情報の要求から詳細情報画面の表示までの処理)を実行するものとし、これらの詳細情報サービスが終了したら、第4図に示した通常画面の送信をサーバに要求し(ステップ7017)、ステップ7005に戻る。
【0040】
第4図に示す通常画面において、携帯情報端末のユーザが、スタイラス401で星印403をクリックした場合、星印403がクリックされたことを示す制御メッセージが、PDA106からアンテナ126を介して表示装置102に送信される。上記制御メッセージは、低周波数の通信インターフェイス206を介して表示装置102の中央処理部207に通知される。
【0041】
中央処理部207は、上記制御メッセージからPDA106で星印403がクリックされたことを検知すると(ステップ7018)、サーバ101に対して、第10図に示したフォーマットで整理券ダウンロード要求を発行する(ステップ7019)。上記整理券ダウンロード要求は、ブロック1001に“0”が設定され、要求元表示ブロック1002には、表示装置102に対応する第1ビットのみが“1”、その他の表示装置と対応する第2ビット〜第Nビットには“0”が設定され、要求番号表示ブロック1003には、整理券ダウンロード要求を示す値“2”(第9図参照)が設定され、ブロック1004には、整理券ダウンロード数mが設定されている。表示装置102が複数の携帯情報端末から整理券ダウンロードを要求されていた場合、ブロック1004は、m>1の値を示す。整理券ダウンロード要求メッセージは、高周波数帯を用いる通信容量の大きい通信インターフェイス205を介してサーバ101に送信される。
【0042】
サーバ101は、第8図に示すように、表示装置102から上記要求メッセージを受信すると(ステップ8004)、要求番号表示ブロック1003の内容から、受信した要求メッセージが整理券ダウンロード要求であることを認識し(ステップ8007)、要求元の表示装置に第12図に示すフォーマットで整理券画像を送信する(ステップ8008)。整理券画像のダウンロードフレームは、具体的には、ブロック1201に“1”が設定され、送信先表示ブロック1202には、表示装置102と対応する第1ビットのみに“1”、その他の表示装置と対応する第2ビット〜第Nビットには“0”が設定され、データ種類表示ブロック1203には整理券を示す値“3”が設定されている。この場合、表示装置用映像1204の送信はなく、携帯情報端末用映像1205として、第6図に示した整理券画像が送信される。上記整理券画像は、高周波数帯を用いた通信容量の大きい通信インターフェイス205を介して表示装置102へ送られる。
【0043】
サーバ101は、整理券画像データを送信した後、上記要求データのブロック1004が示すダウンロード要求数mを現時点までの整理券発行数に加算するように、整理券カウント数をカウントアップする(ステップ8009)。カウント値が予め決められた上限値MAX値以上になったら(ステップ8010)、通常画面を整理券のダウンロードサービスが終了したことを明記した画面に差し替える(ステップ8011)。表示装置から受信した要求が、上述した地域案内画面要求または整理券要求の場合は、ステップ8003に戻り、地域案内画面要求、整理券要求以外の他の要求であれば(ステップ8012)、要求内容に対応したその他の処理を実行(ステップ8013)した後、ステップ8003に戻る。これによって、表示装置102(103、104)に、通常画面が配布される。ダウンロードサービスが終了した場合は、ステップ8011で差替えられた通常画面が表示装置に表示される。
【0044】
表示装置102の中央処理部207は、通信インターフェイス205を介してサーバから上記整理券画像データを受信すると、宛先表示ブロック1202で第1ビットのみが“1”、第2ビット〜第Nビットが“0”となっていることから、受信データが自表示装置102のみが受信すべきデータであり、且つ、データ種類表示ブロック1203の設定値が“3”となっていることから、受信データが整理券ダウンロード画像であることを確認できる。この場合、中央処理部207は、受信した映像データを蓄積部203に格納した後、携帯情報端末用映像1205を通信インターフェイス206を介して携帯情報端末に転送する(整理券ダウンロード:7020)。これによって、第6図に示す画面が携帯情報端末に表示される。
【0045】
以上、本発明の第1の実施形態の動作について説明した。
第1の実施形態においては、サーバと表示装置102との間、表示装置102と表示装置103などの間では、複数のPDAに配布すべきダウンロードデータや、各表示装置102、103、104で表示すべき表示データなどの大量のデータを転送するために、大容量の通信回線で接続することが望ましい。第1の実施形態において、サーバ101と表示装置102は、必ずしも無線ネットワークで直結する必要はなく、例えば、第3図に示すように、表示装置102とサーバ121の間に信号を中継するための無線中継器301が存在してもよい、また、サーバ101と表示装置102を有線ネットワークで接続し、表示装置102と次の表示装置103との間、表示装置103とその次の表示装置との間が無線ネットワークで結ばれるようなネットワーク構成であってもよい。
【0046】
上述した本発明の第1の実施形態のネットワーク構成によれば、サーバ101と表示装置102以外の他の表示装置の間、例えばサーバ101と表示装置104との間は、無線通信により直接接続する必要がないため、サーバ101からの無線電波が届かないほど遠く離れた位置に設置された表示装置104に対しても、映像を配信することができる。また、サーバ101と表示装置104の間に遮蔽物などが存在した場合でも、サーバ101と表示装置104の間に位置して画像データおよび制御情報を中継する他の表示装置の位置を調節することによって、表示装置104に映像を配信することができる。
【0047】
尚、サーバ101に接続された表示装置102に下流に、映像サービスすべき複数の表示装置が存在する場合は、下流の表示装置毎に異なる無線周波数を用いてもよい。この場合、各表示装置は、下流側に隣接する表示装置の使用周波数と対応した通信インターフェイスを必要とするため、例えば、各表示装置に使用周波数の異なる複数の通信インターフェイスを備えておき、中央処理装置207が、下流の表示装置との通信を確立する際に、下流の表示装置に適合した通信インターフェイスを選択するようにすればよい。
【実施例2】
【0048】
第13図は、本発明の第2の実施形態のシステム構成図を示す。
第2の実施形態は、各表示装置が1本のアンテナで、サーバ101または他の表示装置と無線通信するようにした点が第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態における表示装置102、103、104の概略的なブロック構成図を第14図に示す。
【0049】
第2の実施形態の表示装置は、例えば、IEEE802.11aのインターフェイス204と、IEEE802.11bのインターフェイス206とを1つずつ備える。サーバ101と直接通信する表示装置102は、サーバ101との通信と他の表示装置103との通信を時間的に切替えて(時分割で)実行する。他の表示装置103、104も、上流側表示装置との通信と下流側表示装置との通信を時分割で行うところが第1の実施形態とは異なる。
【0050】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適用分野に関わらず、要旨を逸脱しない範囲で変更し、実施し得ることは述べるまでもない。本発明によれば、1つの表示装置と映像配信サーバとの間、および表示装間を無線通信によって接続し、映像配信サーバに接続された表示装置を最初の中継ノードとして、サーバからの他の表示装置への画像の配信、制御を行うようにしているため、非常に可搬性に富むという特徴を持つ。
【0051】
本発明によれば、複数の表示装置を無線通信方式で順次に接続することによって、映像配信サーバから遠距離に位置した表示装置、または遮蔽物の存在によって映像配信サーバと直接通信できない位置にある表示装置への画像の配信が可能となる。
【0052】
本発明によれば、上記各表示装置に携帯情報端末との無線通信機能を備え、サーバまたは他の表示装置との通信と携帯情報端末との通信に、互いに周波数帯の異なる無線通信方式を適用し、サーバまたは他の表示装置との間で行うデータ転送量の多い通信には、データ転送量の小さい携帯情報端末との通信よりも高周波で通信容量の大きい無線通信方式を採用することによって、情報の混信を回避したスムーズな通信が可能となる。更に、本発明によれば、1つの周波数帯域でサーバまたは他の表示装置と通信を行っている時、他の周波数帯域で別の表示装置と通信を行えるように、各表示装置に2つの周波数帯域での無線通信を同時的に行える機能を持たせることによって、表示装置間に大きな通信容量を確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、映像配信サーバからの配信画像を複数の表示装置に表示する場合等に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
101:、映像データの配信サーバ、102、103、104:表示装置、
105:携帯電話、106、107:PDA、109:無線Tag、111:電波、
121〜130:アンテナ、131:インターネット通信網、132:有線LAN回線、
207:中央処理部、202:表示部、203:蓄積部、
204〜206:通信インターフェイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を配信するサーバと、互いに通信可能な複数の表示装置を備えた映像表示システムにおいて、
前記各表示装置は、前記サーバまたは画像配信経路の上流側に位置した他の表示装置と双方向通信するための第1の通信インターフェイスと、画像配信経路の下流側に位置した他の表示装置と双方向通信するための第2のインターフェイスと、ユーザ端末と双方向通信するための第3の通信インターフェイスと、前記サーバまたは上流側の他の表示装置からの受信画像を蓄積する蓄積部と、前記受信画像を表示する表示部と、前記第1、第2および第3の通信インターフェイス、前記蓄積部、前記表示部に結合された処理部とを備え、
前記ユーザ端末が、前記表示装置と双方向通信するための通信インターフェイスと、前記表示装置の表示部よりもサイズの小さい表示部と、ユーザからの入力を受付ける入力部とを備え、
前記各表示装置が、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記サーバまたは上流側の他の表示装置から画像を受信し、前記サーバまたは下流側の他の表示装置からの要求に従って、前記第2の通信インターフェイスを介して、前記受信画像を前記下流側の他の表示装置に送信し、前記ユーザ端末からの要求に従って、前記第3の通信インターフェイスを介して、前記受信画像を該ユーザ端末に送信することを特徴とする映像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示システムにおいて、
前記サーバと前記各表示装置の第1の通信インターフェイスとの間の通信周波数が、前記各表示装置の第2の通信インターフェイスと前記ユーザ端末の通信インターフェイスとの間の通信周波数よりも高いことを特徴とする映像表示システム。
【請求項3】
互いに通信可能な複数の表示装置を含む映像表示システムにおいて、
前記各表示装置は、前記複数の表示装置のうちの他の表示装置と双方向通信するための第1の通信インターフェイスと、ユーザ端末と双方向通信するための第2の通信インターフェイスと、画像を蓄積する蓄積部と、画像を表示する表示部と、前記第1および第2の通信インターフェイス、前記蓄積部、前記表示部に結合された処理部とを備え、
前記処理部が、第1の通信インターフェイスを介して、画像配信経路の上流側に位置した他の表示装置からの配信画像の受信処理と、画像配信経路の下流側に位置した他の表示装置への前記受信画像の転送処理とを時分割で実行し、
前記ユーザ端末が、前記表示装置と双方向通信するための通信インターフェイスと、前記表示装置の表示部よりもサイズの小さい表示部と、ユーザからの入力を受付ける入力部とを備え、
前記複数の表示装置の第1の通信インターフェイス間の通信周波数が、前記表示装置の第2の通信インターフェイスと前記ユーザ端末の通信インターフェイスとの間の通信周波数よりも高いことを特徴とする映像表示システム。
【請求項4】
画像を配信するサーバと、互いに通信可能な複数の表示装置を備えた映像表示システムにおいて、
前記各表示装置が、前記サーバまたは前記複数の表示装置のうちの第1の表示装置と双方向通信するための第1の通信インターフェイスと、前記複数の表示装置のうちの第2の表示装置と双方向通信するための第2の通信インターフェイスと、前記サーバまたは前記第1の表示装置からの受信画像を蓄積する蓄積部と、前記受信画像を表示する表示部と、前記第1および第2の通信インターフェイス、前記蓄積部、前記表示部に結合された処理部とを備え、
前記処理部が、第1の通信インターフェイスからの受信画像を前記蓄積部に選択的に蓄積すると共に、該受信画像を前記第2の通信インターフェイスを介して第2の表示装置に転送し、
前記各表示装置の第1の通信インターフェイスと前記サーバまたは前記第1の表示装置との間の通信周波数が、前記各表示装置の第2の通信インターフェイスと前記第2の表示装置との間の通信周波数と異なることを特徴とする映像表示システム。
【請求項5】
画像を配信するサーバ又は画像配信経路に沿って上流側に位置した他の映像表示装置からの受信画像を表示すると共に、該受信画像を画像配信経路に沿って下流側に位置した他の映像表示装置へ送信する映像表示装置において、
前記サーバ又は前記上流側の他の映像表示装置から、前記サーバが指定した配信先映像表示装置の識別子を含む配信先情報を受信する第1の通信インターフェイスと、
周囲に位置した他の映像表示装置に対して映像表示装置識別子の送信を要求し、稼動中の映像表示装置の識別子を示す応答情報を受信する第2の通信インターフェイスと、
前記第1の通信インターフェイスで受信した前記配信先情報が示す識別子と、前記第2の通信インターフェイスで受信した応答情報が示す映像表示装置識別子とを比較し、前記配信先情報が示す識別子と一致する識別子をもつ稼動中の映像表示装置を前記受信画像の送信先として決定する決定部とを備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像表示装置において、
前記第2の通信インターフェイスは、前記下流の映像表示装置と通信を確立し、
前記第1の通信インターフェイスは、前記第2の通信インターフェイスが前記下流の映像表示装置と通信を確立した場合に、前記下流の映像表示装置との通信の確立を、前記サーバ又は前記上流の映像表示装置へ通知することを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の映像表示装置において、
ユーザ端末と通信する第3の通信インターフェイスを備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項1】
画像を配信するサーバと、互いに通信可能な複数の表示装置を備えた映像表示システムにおいて、
前記各表示装置は、前記サーバまたは画像配信経路の上流側に位置した他の表示装置と双方向通信するための第1の通信インターフェイスと、画像配信経路の下流側に位置した他の表示装置と双方向通信するための第2のインターフェイスと、ユーザ端末と双方向通信するための第3の通信インターフェイスと、前記サーバまたは上流側の他の表示装置からの受信画像を蓄積する蓄積部と、前記受信画像を表示する表示部と、前記第1、第2および第3の通信インターフェイス、前記蓄積部、前記表示部に結合された処理部とを備え、
前記ユーザ端末が、前記表示装置と双方向通信するための通信インターフェイスと、前記表示装置の表示部よりもサイズの小さい表示部と、ユーザからの入力を受付ける入力部とを備え、
前記各表示装置が、前記第1の通信インターフェイスを介して、前記サーバまたは上流側の他の表示装置から画像を受信し、前記サーバまたは下流側の他の表示装置からの要求に従って、前記第2の通信インターフェイスを介して、前記受信画像を前記下流側の他の表示装置に送信し、前記ユーザ端末からの要求に従って、前記第3の通信インターフェイスを介して、前記受信画像を該ユーザ端末に送信することを特徴とする映像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示システムにおいて、
前記サーバと前記各表示装置の第1の通信インターフェイスとの間の通信周波数が、前記各表示装置の第2の通信インターフェイスと前記ユーザ端末の通信インターフェイスとの間の通信周波数よりも高いことを特徴とする映像表示システム。
【請求項3】
互いに通信可能な複数の表示装置を含む映像表示システムにおいて、
前記各表示装置は、前記複数の表示装置のうちの他の表示装置と双方向通信するための第1の通信インターフェイスと、ユーザ端末と双方向通信するための第2の通信インターフェイスと、画像を蓄積する蓄積部と、画像を表示する表示部と、前記第1および第2の通信インターフェイス、前記蓄積部、前記表示部に結合された処理部とを備え、
前記処理部が、第1の通信インターフェイスを介して、画像配信経路の上流側に位置した他の表示装置からの配信画像の受信処理と、画像配信経路の下流側に位置した他の表示装置への前記受信画像の転送処理とを時分割で実行し、
前記ユーザ端末が、前記表示装置と双方向通信するための通信インターフェイスと、前記表示装置の表示部よりもサイズの小さい表示部と、ユーザからの入力を受付ける入力部とを備え、
前記複数の表示装置の第1の通信インターフェイス間の通信周波数が、前記表示装置の第2の通信インターフェイスと前記ユーザ端末の通信インターフェイスとの間の通信周波数よりも高いことを特徴とする映像表示システム。
【請求項4】
画像を配信するサーバと、互いに通信可能な複数の表示装置を備えた映像表示システムにおいて、
前記各表示装置が、前記サーバまたは前記複数の表示装置のうちの第1の表示装置と双方向通信するための第1の通信インターフェイスと、前記複数の表示装置のうちの第2の表示装置と双方向通信するための第2の通信インターフェイスと、前記サーバまたは前記第1の表示装置からの受信画像を蓄積する蓄積部と、前記受信画像を表示する表示部と、前記第1および第2の通信インターフェイス、前記蓄積部、前記表示部に結合された処理部とを備え、
前記処理部が、第1の通信インターフェイスからの受信画像を前記蓄積部に選択的に蓄積すると共に、該受信画像を前記第2の通信インターフェイスを介して第2の表示装置に転送し、
前記各表示装置の第1の通信インターフェイスと前記サーバまたは前記第1の表示装置との間の通信周波数が、前記各表示装置の第2の通信インターフェイスと前記第2の表示装置との間の通信周波数と異なることを特徴とする映像表示システム。
【請求項5】
画像を配信するサーバ又は画像配信経路に沿って上流側に位置した他の映像表示装置からの受信画像を表示すると共に、該受信画像を画像配信経路に沿って下流側に位置した他の映像表示装置へ送信する映像表示装置において、
前記サーバ又は前記上流側の他の映像表示装置から、前記サーバが指定した配信先映像表示装置の識別子を含む配信先情報を受信する第1の通信インターフェイスと、
周囲に位置した他の映像表示装置に対して映像表示装置識別子の送信を要求し、稼動中の映像表示装置の識別子を示す応答情報を受信する第2の通信インターフェイスと、
前記第1の通信インターフェイスで受信した前記配信先情報が示す識別子と、前記第2の通信インターフェイスで受信した応答情報が示す映像表示装置識別子とを比較し、前記配信先情報が示す識別子と一致する識別子をもつ稼動中の映像表示装置を前記受信画像の送信先として決定する決定部とを備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像表示装置において、
前記第2の通信インターフェイスは、前記下流の映像表示装置と通信を確立し、
前記第1の通信インターフェイスは、前記第2の通信インターフェイスが前記下流の映像表示装置と通信を確立した場合に、前記下流の映像表示装置との通信の確立を、前記サーバ又は前記上流の映像表示装置へ通知することを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の映像表示装置において、
ユーザ端末と通信する第3の通信インターフェイスを備えたことを特徴とする映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−45839(P2010−45839A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260809(P2009−260809)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2004−567563(P2004−567563)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2004−567563(P2004−567563)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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