説明

有機廃棄物を用いた固形燃料及びその製造方法

【課題】余剰汚泥等の有機廃棄物を利用した石炭代替燃料を提供すること。
【解決手段】有機廃棄物を脱臭乾燥してなる材料を圧縮成形して固形化してなり、水分量15%以下の条件下で熱量3300〜3800kcal/kgに調整された廃棄物を主成分とする固形燃料を提供する。臭いがきつく、水分含有量が多い余剰汚泥等の有機物を減圧発酵乾燥機1によって効果的に脱臭乾燥することにより、固形燃料の成分として利用可能となるので、余剰汚泥の廃棄に要していた多大な経費の削減を図ることができる。減圧発酵乾燥機1は、有機廃棄物の脱臭乾燥工程で生じる凝縮水や空気の臭気を、ケーシング10内に添加された微生物と、凝縮部50とクーリングタワー60との間を循環する冷却水に添加された微生物で分解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余剰汚泥のような脱臭乾燥の必要な有機廃棄物を有効利用して固形燃料を提供することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に下水処理には広く、活性汚泥法が採用されており、活性汚泥槽から大量の余剰汚泥が排出されており、これを廃棄処理する必要がある。しかしながら、余剰汚泥には多量の水分が含まれ、更に腐敗臭がきついので、これらの取り扱いには難渋しているだけでなく、その処理は焼却が一般的で運搬、焼却処理には多大な費用がかかり、下水処理場を運営する地方自治体の財政を圧迫している。また、地方自治体に限られず、食品関連業に代表される民間企業等においても、有機質成分が含まれる廃水の処理に活性汚泥法が広く採用されており、活性汚泥槽から生じる余剰汚泥の取り扱いや処理に多大な手間と費用の負担が強いられている。かかる活性汚泥法が世界中で汎用されている現在、余剰汚泥処理は世界各国で大きな問題となっている。
【0003】
そこで、活性汚泥槽から余剰汚泥を定期的に抜き出し、オゾン処理して減容する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、かかるオゾン処理法での減容化には限界があり、しかも余計な設備費用を必要とするため、抜本的な解決策となっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−305222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明はこれまで多大な費用をかけて焼却処理されていた余剰汚泥を有効利用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、鋭意研究の結果、余剰汚泥は高い含水量であって、臭気がきついが、本発明者が開発した減圧発酵及び減圧加熱乾燥を行うと安価に脱臭乾燥が行うことができ、水分量を制限すると紙屑に近い熱量が得られることを見出した。また、これに少なくとも、紙屑、木屑及び廃プラスチックからなる可燃性廃棄物を混合すると、石炭代替固形燃料として有効利用することができることを見出した。本発明は、このような発見に基づいてなされたものである。
【0007】
参考例の固形燃料は、有機廃棄物を脱臭乾燥してなる低熱量成分と、廃プラスチックからなる高熱量つなぎ成分と、木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分とを含み、これらを混合後圧縮成形して固形化してなり、水分量15%以下の条件下で熱量5000〜6500kcal/kgに調整されたことを特徴としている。
【0008】
参考例によれば、廃棄に多大な経費を要していた余剰汚泥等の有機廃棄物を木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分と混合して脱臭乾燥し、しかも廃プラスチック等からなる可燃性廃棄物を高熱量つなぎ成分とし、圧縮成形し、固形化するとともに総熱量を調整したので、石炭代替固形燃料として有効利用することができる。なお、本願において、特に明記しない場合、%は重量パーセントを意味する。
【0009】
また、本発明の固形燃料は、有機廃棄物を脱臭乾燥してなる材料を圧縮成形して固形化してなり、水分量15%以下の条件下で熱量3300〜3800kcal/kgに調整された固形燃料であって、
上記有機廃棄物を脱臭乾燥してなる材料は、減圧発酵乾燥装置で発酵及び乾燥されたものであり、
上記減圧発酵乾燥装置は、
微生物が添加された有機廃棄物が内部に供給され、内部が減圧されるケーシングと、
上記ケーシングの下部に設けられ、内部に熱媒体が供給されて、ケーシング内の有機廃棄物を加熱する加熱部と、
内部に熱媒体が供給される中空回転軸及び送り部と、送り部に固定された掻き取り部を有して回転駆動され、有機廃棄物を加熱しながら攪拌する回転体と、
上記ケーシング内に設けられ、有機廃棄物から生じる蒸気を凝縮する凝縮部と、
上記凝縮部で凝縮された凝縮水と共に、ケーシング内の空気を吸引する真空ポンプと、
上記真空ポンプによって吸引された凝縮水と空気が供給され、微生物が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水に、上記凝縮水と空気を混合するクーリングタワーと
を有することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、固形燃料は、有機廃棄物を脱臭及び乾燥処理し、圧縮成形して固形化してなるので、水分調整材や高熱量つなぎ成分等を添加しなくても、木屑や紙屑と同等の熱量を有すると共に臭気が少なく、例えばボイラー等の燃料として利用できる。
【0011】
参考例はまた、上記固形燃料を製造する方法を提供するものであり、参考例の固形燃料の製造方法は、水分量が多い有機廃棄物からなる低熱量成分に、水分量の少ない木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分を混合して減圧発酵に適する水分量を有する混合物を調製する工程と、
該混合物をi)減圧下で発酵脱臭する工程とii)減圧下で加熱乾燥する工程に付して混合物を脱臭乾燥する工程と、
脱臭乾燥後の混合物に、廃プラスチックからなる高熱量つなぎ成分を添加して総熱量を調整し、これらの材料を混練、圧縮及び成形する工程とを含み、
水分量15%以下、好ましくは10%以下、かつ、熱量5000〜6500kcal/kgに調整されたことを特徴としている。
【0012】
参考例の製造方法によれば、腐敗臭がきつく、水分含有量が多い余剰汚泥等の有機廃棄物を、水分量の少ない木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つの増量成分を混合して安価に脱臭乾燥し、廃プラスチック等の高熱量つなぎ成分とともに圧縮成形するので、廃棄物を主成分として水分含量15%以下、熱量5000〜6500kcal/kgに調整された石炭代替固形燃料を安価に提供することができ、しかも余剰汚泥の有効利用を図ることができる。
【0013】
また、本発明の固形燃料の製造方法は、有機廃棄物を、減圧下で発酵脱臭する工程と、減圧下で加熱乾燥する工程とに付して脱臭乾燥する工程と、
上記有機廃棄物を脱臭乾燥する工程を複数回繰り返すサイクル工程と、
脱臭乾燥後の被処理物を圧縮及び成形する工程とを含み、
水分含量15%以下、かつ、熱量3300〜3800kcal/kgに調整され、
上記有機廃棄物を脱臭乾燥する工程は、減圧発酵乾燥装置が利用され、この減圧発酵乾燥装置は、
微生物が添加された有機廃棄物が内部に供給され、内部が減圧されるケーシングと、
上記ケーシングの下部に設けられ、内部に熱媒体が供給されて、ケーシング内の有機廃棄物を加熱する加熱部と、
内部に熱媒体が供給される中空回転軸及び送り部と、送り部に固定された掻き取り部を有して回転駆動され、有機廃棄物を加熱しながら攪拌する回転体と、
上記ケーシング内に設けられ、有機廃棄物から生じる蒸気を凝縮する凝縮部と、
上記凝縮部で凝縮された凝縮水と共に、ケーシング内の空気を吸引する真空ポンプと、
上記真空ポンプによって吸引された凝縮水と空気が供給され、微生物が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水に、上記凝縮水と空気を混合するクーリングタワーと
を有することを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、脱臭乾燥工程を複数回繰り返す上記サイクル工程により、有機廃棄物の水分量を大幅に低減し、しかも、臭気を大幅に削減できる。したがって、水分調整材や高熱量つなぎ成分等を添加することなく、有機廃棄物のみを用いて、木屑や紙屑と同等の熱量を有すると共に臭気の少ない固形燃料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の固形燃料の製造方法に用いる減圧発酵乾燥装置を示す模式図である。
【図2】減圧発酵乾燥装置のケーシングの縦断面図である。
【図3】減圧発酵乾燥装置のケーシングの横断面図である。
【図4】減圧発酵乾燥装置の回転体の変形例を示す縦断面図である。
【図5】圧縮成形装置を示す平面図である。
【図6】圧縮成形装置を示す側面図である。
【図7A】圧縮成形装置の処理部内を示す断面図である。
【図7B】螺旋軸の構成部品を抜き出して示した断面図である。
【図8A】端面板を示す正面図である。
【図8B】端面板をケーシングに取り付けた様子を示す平面図である。
【図9】成形装置としてのペレットミルの主要部を示す斜視図である。
【図10】実施形態の固形燃料の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を用いて本発明を具体的に説明する。
(参考例)
参考例の固形燃料は、
a)有機廃棄物の脱臭乾燥物からなる低熱量成分:30〜40%と、
b)木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分:15〜20%、
c)廃プラスチックからなる高熱量つなぎ成分:40〜60%とを少なくとも含んでなる。なお、上記各成分割合の合計は、100%以下である。
【0017】
参考例は、a)の有機廃棄物の低熱量成分を有効利用すべく、b)の木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分と混合して水分調整し、減圧発酵脱臭と減圧加熱乾燥をするが、これらの成分のみでは圧縮成形のみで固形化することが困難であるとともに、以下に示すように熱量不足である。
余剰汚泥等の低熱量成分:2000〜2500kcal/kg
木屑成分:3800kcal/kg
紙屑成分:2900kcal/kg
そこで、高熱量のつなぎ成分として、10000〜11000kcal/kgの熱量を有するc)の廃プラスチックを添加し、これらの混合材料を混練、圧縮及び成形し、固形化して固形燃料とする。
【0018】
このように、a)余剰汚泥等の低熱量成分:30〜40%、b)木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つ:15〜20%、c)廃プラスチック:40〜60%の組成により、水分15%以下、かつ、熱量5000〜6500kcal/kgの固形燃料を調製することができる。特に、固形燃料を水分10%以下、かつ、熱量が概ね5500kcal/kgに調製するのが好ましい。また、有機廃棄物として、余剰汚泥の一部又は全部に、生ごみ等の他の有機物を用いることができる。例えば、余剰汚泥の他に、農業廃棄物、水産業廃棄物、農水産加工業廃棄物及び食品工業廃棄物のうちの少なくとも1つを用いることもできる。要するに水分量の多い、焼却廃棄にコストがかかる有機廃棄物を広く用いることができ、これにより、有機廃棄物の廃棄コストを削減できる。有機廃棄物の排出元としては、食品工場について例示すると、ビール工場、コーヒー・お茶工場(抽出ガラ)、豆腐工場(おから)、缶詰工場等がある。
【0019】
参考例に係る固形燃料の製造方法は、
1)水分量が多い有機廃棄物(余剰汚泥等)の低熱量成分に、水分量の少ない木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分を混合して減圧発酵に適する水分量を有する混合物を調製する工程と;
2)該混合物をi)減圧下で発酵脱臭する工程とii)減圧下で加熱乾燥する工程に付して混合物を脱臭乾燥する工程と、
3)脱臭乾燥後の混合物に、廃プラスチックからなる高熱量つなぎ成分を添加して総熱量を調整し、これらの材料を混練、圧縮及び成形する工程とを含む。
【0020】
I)調製工程
第1工程では、混合物を以下のように調製する。有機廃棄物としての余剰汚泥は、水分含有量が約90%であるので、これに、木屑及び紙屑(いずれも水分量約15%)等の増量成分を混合して水分含有量を約60〜約80%に調整する。なお、有機廃棄物は、水分含有量が80〜99%のものを用いることができる。
【0021】
II)脱臭乾燥工程
第2工程において、減圧下の発酵脱臭工程と減圧下の加熱乾燥工程は、次の通りに行う。
II―i)発酵脱臭工程では、海、山及び陸に生息する土着菌を採取、培養して用いる。余剰汚泥の減圧発酵には、土着菌として各種の動植物や土壌に生息する菌が有効であることが見出されている。土着菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する土着菌を、米ぬか又はおが屑で培養して用いる。具体的には、減圧値0.03〜0.07MPaの減圧下、熱媒体温度60〜80℃で半時間から2〜3時間攪拌下に発酵菌を混合して脱臭が行われるので、かかる条件下で発酵生育する発酵菌が好ましい。なお、減圧値とは、大気圧(海抜0mにおいて、一般的に0.10MPa)から降下させる圧力値をいう。そのような発酵菌が有する酵素として、次の公知の酵素:アルコールデハイドロゲナーゼ、ラクテートデハイドロゲナーゼ、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ、アルデヒドデハイドロゲナーゼ、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ、トレハローズリン酸シンテクターゼ、ポリフォスヘエードキナーゼ、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ、トレハローズフォスファターゼ、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ、イヌラーゼ、β−マンノシターゼ、ウリジン・ヌクレオシターゼ、シトシン・ジアミナーゼ、メチルシステインシンテターゼ、アスパラギン酸シンテターゼ、コハク酸デハイドロゲナーゼ、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ、フマレイトハイドロゲナーゼ、マレイトデハイドロゲナーゼ、クエン酸シンテターゼ、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ、LSNADPオキシダクターゼ、モノアミンオキシダクターゼ、ヒスタミナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ATPアーゼ、ヌクレオチドピロフォスファターゼ、エンドポリフォスファターゼ、ATPフォスフォハイドロラーゼ、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼを例示することができ、これらの群から選択された少なくとも1種の酵素を有する菌を使用する。発酵脱臭工程では、およそ半時間から2〜3時間で十分な脱臭を行うことができる。
II−ii)加熱乾燥工程では、発酵脱臭工程の減圧条件よりも低い気圧での減圧条件とし、次第にまたは段階的に減圧量を大きくして行われる。具体的には、減圧値0.05〜0.09MPaの減圧下、熱媒体温度80〜120℃で半時間から1時間攪拌下に加熱乾燥が行われる。乾燥後の混合物の水分含有量は20%以下、好ましくは約15%以下を目標値とすべきである。
脱臭乾燥工程を行う前における組成の一例(カッコ内は組成比率)は、以下のとおりである。
a)余剰汚泥:500kg(40%)、水分含有量90%
b)木屑:100kg(5%)
c)紙屑:100kg(5%)
上記成分を混合して水分含有量80%の混合物とし、これを以下に示す減圧発酵乾燥装置によって、下記の条件下で処理する。
i)発酵工程:減圧値0.03MPa、約1時間
ii)乾燥工程:減圧値0.08MPa、約30分
乾燥後の混合物の水分量を、約15%にすることが可能となる。
【0022】
III)圧縮成形工程
脱臭及び乾燥後の混合物に、好ましくは2〜5cmの寸法に粉砕された廃プラスチック200kgを添加し、定量供給機等によって混合する。脱臭乾燥後の低熱量成分及び増量成分に対して、高熱量つなぎ成分を90〜150%の割合で混合する。この低熱量成分及び増量成分と、高熱量つなぎ成分との混合比率は、成形後に得られる固形燃料の熱量が5000〜6500kcal/kgとなるように調整する。
混合された材料を、成形装置によって混練、圧縮及び成形し、その後所定長さに切断して、固形燃料が完成する。成形装置において材料を約100〜180℃に加熱することにより、水分を蒸発させて、固形燃料の固形化時に水分含有量を15%以下、好ましくは10%以下にできる。
成形装置として、例えば2軸のスクリューを有して、材料の逆流を阻止しつつ混練、圧縮及び成形を行うマルチフォーマーを用いることにより、材料の混練圧縮に伴う摩擦熱を利用して高温の加熱が可能となり、固形燃料の水分量を15%以下、好ましくは10%以下にできる。
なお、成形前の材料の水分量が少ない場合は、成形装置としてペレットミルを用いてもよく、ペレットミルは、胴部にダイ孔が設けられた回転円筒体の内側面に沿って転動輪が転動し、回転円筒体内に供給された混合材料を、転動輪の外周面と回転円筒体の内周面との接触に伴って圧縮及び押し出すものである。
【0023】
(実施形態)
本実施形態の固形燃料は、余剰汚泥等の有機廃棄物のみを成分とする。すなわち、参考例における木屑等の増量成分や、廃プラスチック等の高熱量つなぎ成分を用いることなく、有機廃棄物のみを用いて固形燃料を製造する。
【0024】
本実施形態では、活性汚泥等の有機廃棄物に対して、減圧下の発酵脱臭工程と減圧下の加熱乾燥工程とを有する脱臭乾燥工程を複数回行う。脱臭乾燥工程を複数回行うことにより、90%以上の水分量を有する有機廃棄物を、水分調整材を添加することなく20%以下の水分量とすると共に、有機質を発酵分解して臭気を低減する。この複数サイクルの脱臭乾燥工程は、後述する減圧発酵乾燥装置を用いて行う。複数サイクルの脱臭乾燥工程により、20%以下の水分量となった被処理物を圧縮成形することによって、紙屑又は木屑相当の熱量を有する固形燃料が得られる。具体的には、本実施形態の固形燃料は、3300kcal/kg(低位)以上3800kcal/kg(高位)の範囲の熱量を有する。
【0025】
固形燃料の材料である有機廃棄物には、参考例と同様に、余剰汚泥、生ごみ、農業廃棄物、水産業廃棄物、農水産加工業廃棄物及び食品工業廃棄物のうちの少なくとも1つを用いることができる。いずれも90%程度と水分量が多く、焼却廃棄にコストがかかる有機廃棄物を広く用いることができる。また、本実施形態は、材料として有機廃棄物のみを用いるので、各種つなぎ材料を用いるよりも有機廃棄物の処分量を増大することができる。
【0026】
本実施形態の固形燃料の製造方法は、
1)有機廃棄物を、減圧下で発酵脱臭する工程と、減圧下で加熱乾燥する工程とに付する脱臭乾燥工程と、
2)脱臭乾燥工程を繰り返すサイクル工程と、
3)サイクル工程を経た被処理物を圧縮及び成形する成形工程と含む。以下、各工程を説明する。
【0027】
1)脱臭乾燥工程
第1工程では、水分含有量が80〜99%の有機廃棄物を減圧発酵乾燥装置に供給し、減圧下の発酵脱臭工程と減圧下の加熱乾燥工程を次の通りに行う。
1―i)発酵脱臭工程では、減圧値(大気圧からの圧力の低減値)0.03〜0.07MPaの下、加熱温度60〜80℃の熱媒体により、被処理物の温度を沸点に応じて60〜80℃に加熱して、30分〜3時間の運転時間にわたって発酵を行う。熱媒体には、水蒸気や油等を用いることができる。また、熱媒体以外に電気抵抗を応用した加熱装置を用いてもよい。また、被処理物を攪拌機で攪拌して発酵を促進するのが好ましい。
発酵脱臭工程では、減圧発酵乾燥装置内の被処理物に、参考例で添加したものと同じ微生物を添加する。すなわち、海、山及び陸に生息する土着菌を採取、培養して用いる。有機廃棄物の発酵には、土着菌として各種の動植物や土壌に生息する菌が有効であり、土着菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する土着菌を、米ぬか又はおが屑で培養して用いるが、後述する条件下で発酵生育する発酵菌が好ましい。
1―ii)加熱乾燥工程では、発酵脱臭工程の減圧条件よりも低い気圧での減圧条件とし、次第にまたは段階的に減圧量を大きくして行われる。具体的には、減圧値(大気圧からの圧力の低減値)0.05〜0.09MPaの下、加熱温度80〜120℃の熱媒体により、被処理物の温度を沸点に応じて40〜60℃に加熱して、30分〜3時間の運転時間にわたって乾燥を行う。熱媒体には、水蒸気や油等を用いることができ、また、熱媒体以外に電気抵抗を応用した加熱装置を用いてもよい。また、被処理物を攪拌機で攪拌して乾燥を促進するのが好ましい。
【0028】
2)サイクル工程
サイクル工程では、上述の発酵脱臭工程及び加熱乾燥工程からなる脱臭乾燥工程を複数回繰り返す。
サイクル工程の一例を、図10のフローチャートを用いて説明する。まず、サイクル工程のうちの少なくとも第1のサイクルは、減圧発酵乾燥装置に定格量よりも少ない有機廃棄物を投入して脱臭乾燥工程を行う初期運転を行う(ステップS1〜S3)。最初の発酵工程では、参考例におけるものと同様の微生物を添加する。定格量よりも少ない有機廃棄物に脱臭乾燥工程を行うことにより、有機廃棄物に微生物の発酵環境を迅速に形成することができる。第1のサイクルの後、初期運転を継続する場合はステップS1に戻って(ステップS4)、定格量未満の有機廃棄物を減圧発酵乾燥装置に投入し、脱臭乾燥工程のサイクルを繰り返す(ステップS1〜S3)。
初期運転を終える場合(ステップS4)、減圧発酵乾燥装置に有機廃棄物を定格量まで投入して脱臭乾燥工程を行う定量運転を行う(ステップS5〜S8)。定量運転では、サイクルの乾燥工程(ステップS7)が終わるごとに、被処理物の一部を排出する(ステップS8)。なお、排出する被処理物の一部とは、乾燥工程が終了したときの被処理物の80%程度であるのが好ましい。ステップS8で排出した一部の被処理物は、成形装置に送って圧縮成形を行う。定量運転を継続する場合(ステップS9)、ステップS5に戻り、有機廃棄物を定格量に達するまで投入して、残留した一部の被処理物に新たな有機廃棄物を追加した後、脱臭乾燥工程を繰り返す(ステップS6〜S7)。
このように、定量運転では、各サイクルの終了時に排出する被処理物の量を、全体のうちの一部(例えば乾燥工程終了時の被処理物の80%)にするので、減圧発酵乾燥装置に被処理物の他の部分(例えば20%)を残すことにより、減圧発酵乾燥装置内に既に形成された発酵環境を継続して後のサイクルに引き継ぐことができる。したがって、減圧発酵乾燥装置の運転を一旦開始すれば、途中で微生物の追加を行うことなく、複数ステップの工程を行うことができる。
また、新たな有機廃棄物は水分量が90%以上である場合が多いが、減圧発酵乾燥装置に乾燥後の被処理物の他の部分を残しておくことにより、新たな有機廃棄物を投入した直後においても、発酵に適した50%程度の水分量にすることができる。
本実施形態のサイクル工程は、後述する減圧発酵乾燥装置で行うことができ、定格容量が4tのケーシングを備えた減圧発酵乾燥装置は、1日あたり約4tの有機廃棄物の脱臭乾燥処理を行うことができる。
このようにして有機廃棄物に処理を行った被処理物は、臭気が大幅に削減され、また、水分量が例えば15%程度にまで大幅に削減される。
なお、被処理物の水分量は、20%以下であれば固形化が可能となるが、十分な保形性を得るために15%以下にするのが好ましい。
【0029】
3)成形工程
定量運転における各サイクルで減圧発酵乾燥装置から排出された被処理物は、定量供給機等を介して、参考例と同様の成形装置によって圧縮及び成形し、所定長さに切断して固形燃料が完成する。成形装置において、被処理物の圧縮に伴う圧縮熱が生成されるが、被処理物を加熱装置で約100〜180℃に加熱するのが好ましい。これにより、水分を効率よく蒸発させて、固形燃料の水分量を固形化時に15%以下、好ましくは10%以下にすることができる。
本実施形態において、成形装置としてマルチフォーマーを用いるのが好ましいが、成形装置としてペレットミルを用いてもよい。
【0030】
本実施形態の固形燃料は、複数サイクルの脱臭乾燥工程によって、有機廃棄物の含水量を当初の90%程度から20%程度に低減し、成形工程によって水分量を15%以下に低減するので、保形用のつなぎ成分を添加しなくても、燃料としての実際の使用に耐えうる保形性が得られる。また、この固形燃料は水分量が低いので、従来のように吸水性の生石灰を添加する必要が無く、したがって、燃焼後に生石灰によって灰の量が増える不都合を防止できる。また、本実施形態の固形燃料は、水分量が十分に低減されることによって紙屑や木屑に相当する熱量を有する。本発明者の実験によれば、3300kcal/kg(低位)以上3800kcal/kg(高位)の範囲の熱量の固形燃料が得られることが判明した。また、本実施形態の固形燃料は、複数サイクルの脱臭乾燥工程によって、有機廃棄物の臭気を大幅に削減するので、固形燃料の貯蔵や使用の際に周辺環境に与える影響が少なく、幅広い用途に使用することができる。また、本実施形態の固形燃料は、複数サイクルの脱臭乾燥工程によって、有機物成分を高度に分解するので、従来のように残留した有機物の腐敗を防止するために消石灰を添加する必要が無い。また、本実施形態の固形燃料は、有機廃棄物のみを材料として製造できるので、少ない工程によって製造できる。また、つなぎ成分等を使用しないから、有機廃棄物を使用量を増やすことができて、有機汚泥等の処理効率を増大できる。
【0031】
(本発明を実施するための装置)
上記参考例及び実施形態の固形燃料の製造方法のいずれも、減圧発酵・減圧加熱乾燥工程及び圧縮成形工程に以下の装置を利用するのが好ましい。
【0032】
図1は、減圧発酵・減圧加熱乾燥工程を行う減圧発酵乾燥装置を示す模式図である。この減圧発酵乾燥装置1は、下部ケーシング12の周囲壁12aに加熱部H1(ボイラー5から熱媒体としての加熱蒸気が供給され、加熱済み蒸気をボイラー5に戻す)を備え、上部ケーシング11の一端部(上流側)に、木屑等が混合された余剰汚泥等の被処理物Wの供給部11aを有すると共に下部ケーシング12の他端部(下流側)に乾燥処理済み材wの排出部12bを有した横長の筒状のケーシング10と、ケーシング10の内部において供給された被処理物Wを回転中に撹拌しながら前記一端部から前記他端部に送りをかける送り部付き撹拌棒22を有し、ケーシング両端壁の軸受30、35によって軸承された回転体20と、回転体20を前記送りをかける方向に回転駆動するインバータモータM1と、下部ケーシング12の周囲壁12aの内面に付着した付着物を掻き取るように回転体20の外周部に取り付けられた掻き取り部40と、ケーシング内における発酵乾燥過程で被処理物Wから生じる蒸気Sを凝縮して、凝縮水Gを排出する凝縮部50と、被処理物Wからの蒸気Sと共にケーシング内部の空気を凝縮部50の凝縮水Gの排出管59を介して吸引する真空ポンプVPと、凝縮部50に冷却水ポンプPによって供給する冷却水を風冷で冷やして水槽61に保持し、排出管59から真空ポンプVPによって吸引された凝縮水Gと空気が供給されるクーリングタワー60とから構成されている。
【0033】
上記各実施形態で用いる減圧発酵乾燥装置1において、横長の筒状のケーシング10内に供給部11aから供給された被処理物Wは、下部ケーシング12の加熱部H1によって加熱されながら排出部12bに向けて、回転駆動される回転体20の送り部によって送られて行く。その間に被処理物Wは、下部ケーシング12の加熱部H1による外側からの加熱と、回転体20に設けられた補助加熱部H2による内側からの加熱を受けて、更に回転する送り部付き撹拌棒22による撹拌を受けているために乾燥が格段に早まる。また、ケーシング内部は、真空ポンプVPによって負圧状態になっているために被処理物W中の水分の沸点が下がって(例えば、ケーシング10内の圧力が320hPa;減圧値約0.068MPaで、沸点が約70℃)水分の沸騰蒸発が促進され、乾燥が更に早まる。この場合、加熱蒸気が加熱部H1に供給されて加熱温度が100℃に達しない場合でも、ケーシング内部での水分の沸騰蒸発が促進されることになる。
【0034】
ここで、ケーシング10内の減圧値は、発酵脱臭工程では0.03〜0.07MPaとする。これにより、水の沸点を約90〜68℃に低下させて、ケーシング10内を発酵環境として発酵菌による脱臭作用を促進することができる。この場合、加熱蒸気の温度を60〜80℃で半時間から2〜3時間の工程で発酵脱臭を行うことができる。
【0035】
一方、発酵脱臭工程の後の加熱乾燥工程では、発酵脱臭工程よりも低い気圧での減圧条件とし、減圧値を0.05〜0.09MPaとする。これにより、水の沸点を約80〜46℃に低下させて、被処理物の迅速な乾燥を図ることができる。ここで、発酵脱臭工程から加熱乾燥工程に移る際、減圧量を次第に大きくして、または、段階的に大きくして工程を移るのが好ましい。
【0036】
被処理物W中の水分が蒸発して生じた蒸気Sは、凝縮部50によって凝縮されて凝縮水Gとしてケーシング内部から排出されるので、処理後の被処理物wを再び濡らしたり湿らせることがない。また、ケーシング10に加熱部H1を配置し、ケーシング10内に補助加熱部H2と凝縮部50を配置しているので、被処理物が加熱されて生じたガスを迅速かつ効率的に凝縮することができる。しかも、減圧発酵乾燥装置1全体の小型化を図ることができる。
【0037】
また、加熱部H1で加熱される下部ケーシング12の内壁面に、被処理物が焦げ付いたり付着した場合でも、回転体20の外周部に取り付けられた掻き取り部40によって内壁面近傍の被処理物を掻き取ることができる。これにより、付着物により熱の伝達量が低下して加熱部H1による加熱効率が低下する不都合を防止できる。加熱部H1では、蒸気加熱の他に電気加熱も可能であるが、ボイラーが既設である場合はランニングコスト上有利な蒸気加熱方式が好ましい。なお、上記加熱部H1及び補助加熱部H2には、熱媒体として加熱蒸気を供給したが、湯又はオイル等の他の熱媒体を供給してもよい。
【0038】
図2及び3は、減圧発酵乾燥装置1を詳細に示した断面図であり、図2はケーシング10の縦断面図であり、図3はケーシング10の横断面図である。減圧発酵乾燥装置1において、ケーシング10は、横断面が円弧状に形成された底部と乾燥処理済み材wの前記排出部12bと軸受30、35とを有したU字状の横断面の下部ケーシング12と、下部ケーシング12を上から覆うように開放可能にボルトで結合され、被処理物Wの前記供給部11aを有した逆U字状の横断面の上部ケーシング11とから構成されている。
【0039】
ケーシング10内に投入される有機性被処理物Wには、土着菌から得られた好気性好熱性の複合菌が添加され、腐敗し易い有機物の分解を促進することができる。詳しくは、被処理物Wには、次の酵素のうちの少なくとも1つを有する微生物が含まれている。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの少なくとも1つの酵素を含む微生物を、被処理物Wに含ませることにより、多種類の有機物成分からなる被処理物Wに対して効果的に分解処理を行うことができる。これらの複数種類の微生物として、海、山及び陸の自然環境の土着菌を用いるのが好ましい。
【0040】
これらの土着菌として、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウに生息する菌が特に有効である。これらの土着菌は、よもぎ等を採取し、これらを糖蜜漬けにして栄養分を与えた後、米ぬかやおが屑で培養して用いる。なお、他の菌についても同様に、海、野及び陸の自然環境を構成する動植物や土壌から採取し、培養して用いることができる。
【0041】
ケーシング10内に設けられた回転体20は、中空回転軸21と、回転軸21の周囲に90度ピッチで長手方向に螺旋状に隔設されて放射状に突出した中空撹拌棒22と、撹拌棒22の周囲に取り付けられ、且つ、送り部を構成するように傾けた放熱板23と、撹拌棒22の外端に取り付けられた掻き取りスクレーパ40とを有しており、前記送りをかける回転方向に前記インバータモータM1によって回転駆動されるように構成されている。中空回転軸21は、上流側端部と下流側端部とに、スリーブ部30b、35bの蒸気取り込み/排出孔と符合する位置において周囲方向に複数に孔21a、21bを有している。スクレーパ40は、撹拌棒22への取り付け部と、掻き取った物に送りをかけるように傾斜した刃を有した掻き取り部とを有している。掻き取り部は、一方が摩耗した場合に他方が使用できるように2ケ所に形成されている。
【0042】
ケーシング側の加熱部H1は、下部ケーシング12の周囲壁の内部に形成された中空蒸気室12cにボイラー5から発生された過熱又は飽和水蒸気を軸受30、35を介して供給する蒸気供給管31と、加熱済み蒸気をボイラー5に戻す蒸気排出管36とを接続して構成されている。回転体側の補助加熱部H2は、回転体20の内部に形成された中空蒸気室の回転軸蒸気室21cと撹拌棒蒸気室22cとに前記蒸気供給管31から過熱又は飽和水蒸気を軸受30、35を介して供給し、加熱済み蒸気を前記蒸気排出管36を介してボイラー5に戻して構成されている。中空蒸気室12cの一番低い個所にはバルブ付きドレイン管12eが接続されている。上流側軸受30は、蒸気供給管31に接続した筒状の筐体30a内に回転軸21を軸承するスリーブ部30bを有している。筐体30aの内部は、スリーブ部30bの周囲の複数の孔を介して回転軸蒸気室21cと連通すると共に、下部ケーシング12の周囲壁の中空蒸気室12cにも連通している。下流側軸受35も、上流側軸受30と同じ構造にでき(軸21の通孔は閉鎖フランジで塞ぐ)、蒸気供給管31への接続部を蒸気排出管36への接続部とすることができる。図示例では、下流側軸受35は、筒状の筐体35a内に回転軸21を軸承するスリーブ部35bを有しており、筐体35aの内部は、スリーブ部35bの周囲の複数の孔を介して回転軸蒸気室21cに連通すると共に、下部ケーシング12の周囲壁の中空蒸気室12cにも連通している。下流側軸受35に上流側軸受30と異なって蒸気排出管36を設けない場合、蒸気排出管36’を下部ケーシング12の周囲壁の中空蒸気室12cに接続することができる。
【0043】
凝縮部50は、上部ケーシング11の両端壁に各々形成され、供給ポンプPによって冷却水が供給される供給水室11bと冷却を終えた水を受けて排出する排出水室11cと、供給水室11b及び排出水室11cに一端と他端が各々接続した状態でケーシング長手方向に設けられた複数本の冷却水管53と、凝縮水Gを排出する排出口59と、上記供給水室11bと排出水室11cの間において上部ケーシング12の両側縁部に沿ってケーシング長手方向に設けられた凝縮水Gの樋状の集水部51とを備える。集水部51は、冷却水管53による凝縮水Gの他に上部ケーシング11の内面で放冷して凝縮した凝縮水Gも集水する。
【0044】
クーリングタワー60は、排出口59から真空ポンプVPによって吸引された凝縮水Gと空気が供給される。クーリングタワー60は、排出水室11cから受けた冷却水を風で冷やし、冷えた冷却水を供給ポンプPに供給する。また、クーリングタワーでは、冷却水の冷却に加えて、凝縮水の分解処理をも行う。
【0045】
上記クーリングタワー60は、冷却水を噴射するノズル62と、このノズル62から噴射された冷却水が流下する流下部63と、この流下部63を流れる冷却水に風を送るファン64と、上記流下63を流れた冷却水を受ける水槽部61を有する。水槽部61には、凝縮部50から冷却水が導かれる冷却水管と、真空ポンプVPから凝縮水が導かれる凝縮水管が接続されている。この凝縮水管には、ダストセパレータが介設されている。水槽部61内には、散水ポンプ65が介設された散水管の一端が開口しており、この散水管の他端はノズル62に接続されている。上記流下部63には、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置されている。クーリングタワー60において、水槽部61に導かれた凝縮水が冷却水に混ざり、この凝縮水が混ざった冷却水がノズル62に導かれる。ノズル62から噴射された冷却水は、流下部63を流れる際にファンからの風で温度が降下して、水槽部61内に流入する。クーリングタワー60で冷却された冷却水は、冷却水ポンプPによって凝縮部50に戻される。
【0046】
上記クーリングタワー60と凝縮部50との間を循環する冷却水には、複数種類の微生物が含まれている。この冷却水に含まれる微生物は、上述のケーシング10内の被処理物Wに含まれる微生物と概ね同じである。なお、上述の複数の酵素のうちの少なくとも1つを含む微生物であってもよい。この冷却水中の微生物により、凝縮水G中に含まれる臭気成分や水溶性有害物質等を分解除去する。この微生物による臭気成分等の分解は、クーリングタワー60及び凝縮部50の間に形成される冷却水の循環路において広く行われる。特に、流下部63の充填材を微生物の担体として利用し、この流下部63で微生物分解を促進するのが好ましい。
【0047】
上記各実施形態で用いる減圧発酵乾燥装置1は、凝縮水Gを冷却水に混ぜることにより臭気成分等の濃度を全体として低減させるので、凝縮水Gの臭気成分等が増大しても微生物の処理能力を越える虞が少なくて、安定した微生物処理を行うことができる。また、ケーシング10内が減圧されていることから、凝縮部50で冷却水がガスと熱交換する際の冷却水の温度上昇が比較的小さくて、冷却水の温度は概ね40〜45℃になる。これにより、冷却水中の微生物が高温によって死滅する不都合が防止され、微生物が安定して活性化され、凝縮水Gに安定して微生物処理を施すことができる。また、クーリングタワー60では、冷却水の蒸発が促進されるのでオーバーフローが殆ど生じない。しかも、凝縮水G中の臭気成分等は冷却水で薄められて高度に分解除去される。したがって、減圧発酵乾燥装置1の外部に臭気成分や有害成分が排出される不都合を効果的に防止できる。また、水槽部61には、真空ポンプVPによって凝縮水管を経由して凝縮水と共にケーシング10内の空気が導かれる。この水槽部61に導かれた空気に含まれる臭気成分等は、水槽部61内の冷却水や、流下部63から滴下する冷却水に接触して溶解し、この冷却水の微生物によって分解除去される。このように、クーリングタワー60は、ケーシング10から導かれる空気のスクラバとしても機能する。
【0048】
また、クーリングタワー60では凝縮水Gが補給されるので、水槽61への補給清水gの量は少なくてすむ。凝縮水Gはダストセパレータ(図示は省略)を通してから水槽部61に供給される。水槽部61には、臭気成分や所定成分を除去するための触媒を設けてもよい。また、流下部63の充填材に、上記触媒を含ませてもよい。
【0049】
上記各実施形態で用いる減圧発酵乾燥装置1は、真空ポンプVPでケーシング10内を減圧することにより、被処理物Wと冷却水との両方における微生物処理を有効にしている。すなわち、ケーシング10内を減圧し、被処理物Wに主に含まれる水分の沸点を100℃よりも低くすることにより、被処理物Wの加熱に伴う微生物の死滅を防止する。これと共に、凝縮部50でのガスの凝縮温度を降下させて、凝縮部50でガスと熱交換する冷却水の温度上昇を少なくして、冷却水の温度上昇に起因する微生物の死滅を防止する。その結果、被処理物Wの腐敗を防止して臭気成分等の生成量を抑制でき、しかも、臭気成分等の分解除去効率を向上できる。
【0050】
図4は、回転体の変形例を示す断面図である。この回転体20’は、撹拌棒22に代えて螺旋管22’を中空回転軸21’の周囲に設けて形成している。回転体20’は、中空回転軸21’の周囲にその中空部に一端部と他端部とが接続され、回転軸21’の周囲に前記送り部を形成するように螺旋状に巻装された螺旋管22’と、螺旋管の外周面に取り付けられた掻き取り部40とを有しており、中空蒸気室を回転軸中空部21c’と螺旋管中空部22c’とによって構成している。スクレーパ40は、螺旋管22’の外周部に周囲方向に90度ピッチで、また長手方向において螺旋ピッチで突設された棒25の先端に取り付けられている。螺旋管22’は、下流側での加熱能力の大幅な低下を防ぐために、長手方向において2ブロックA、Bに分割されていて、各ブロックA、Bの螺旋管上流端が、同じ高温度の加熱蒸気を取り込むように回転軸21’の回転軸蒸気室21c’の上流部分21c”に接続され、下流端が回転軸蒸気室21c’に接続されている。更に、螺旋管22’の上流側の一端部と下流側の他端部の両外側に一周に渡って前記撹拌棒22と撹拌棒の周囲に取り付けられ且つ送り部を構成する放熱板23とを設けることで、被処理物Wの供給部11aと搬出部12bの個所において取り込み能力と排出能力を強化することができる。また、螺旋管22’は大きな表面積を有して被処理物Wとの接触面積が大きいので、内部に供給される加熱蒸気の熱を被処理物Wに効率良く伝えて、乾燥効率の向上を図ることができる。したがって、水分含有量の高い余剰汚泥等の乾燥に好適である。
【0051】
参考例の固形燃料の製造方法では、上記構成の減圧乾燥発酵装置を用いて、余剰汚泥に木屑及び紙屑が混合されてなる水分含有量80%の混合物に、約1時間の減圧発酵脱臭と約30分の減圧加熱乾燥を行うことにより、水分含有量が約15%で臭気が殆ど無い粉状の脱臭乾燥物が得られる。
【0052】
上記脱臭乾燥工程を経た脱臭乾燥物と、約2〜5cmの寸法に粉砕された廃プラスチックとを定量供給機に投入して混合する。脱臭乾燥物と廃プラスチックの混合比率は、圧縮成形後に得られる固形燃料の熱量が5000〜6500kcal/kgとなるように調整する。例えば、脱臭乾燥物に対して、廃プラスチックを90〜150%の割合で混合するのが好ましい。定量供給機は、ドラム状の貯留混合タンクと、この貯留混合タンクの底面近傍に配置されてタンク内に投入された材料を攪拌する攪拌羽と、貯留混合タンクの底から材料を切り出すスクリューコンベヤとを備えたものを用いることができる。定量供給機は、所定量の材料を切り出して圧縮成形工程に送る。
【0053】
実施形態の固形燃料の製造方法では、上記構成の減圧乾燥発酵装置を用いて、水分量が90%程度の余剰汚泥を、約3時間の減圧発酵脱臭と約3時間の減圧加熱乾燥とからなる脱臭乾燥工程を、初期運転と定量運転とで2サイクル行うことにより、水分含有量が約15%で臭気が殆ど無い粉状の脱臭乾燥物が得られる。なお、減圧発酵脱臭と減圧加熱乾燥の処理時間は、他の処理時間であってもよく、また、初期運転と定量運転とで処理時間を異ならせてもよい。
【0054】
実施形態において、上記脱臭乾燥工程のサイクルを行って得た脱臭乾燥物は、参考例と同様の定量供給機に一旦貯蔵し、この定量供給機によって所定量の材料を切り出して圧縮成形工程に送る。
【0055】
圧縮成形工程では、以下の圧縮成形装置を用いるのが好ましい。
【0056】
図5は、上記各実施形態の固形化燃料の製造方法に用いられる圧縮成形装置100を示す平面図であり、図6は圧縮成形装置100の側面図である。
【0057】
この圧縮成形装置100は、2軸のスクリューによって材料の逆流を阻止しつつ混練、圧縮及び成形を行う所謂マルチフォーマーであり、材料の圧縮により発生する摩擦熱を利用して高効率に加熱圧縮成形を行うものである。
【0058】
この圧縮成形装置100は、被処理物の混練、圧縮及び成形を行う処理部101と、この処理部101を駆動するギヤボックス103、減速機V、伝動装置T及びモータM2とで大略構成されている。
【0059】
上記処理部101は、被処理物の投入口112が上側面に形成されたケーシング111内に、被処理物を混練及び圧縮する1対の螺旋軸102,102を収容している。上記ケーシング111のギヤボックス103と反対側の端部にフランジ113が形成され、このフランジ113に端面板105がボルトで固定されている。この端面板105には、圧縮された被処理物を断面円形に成形して排出する複数の成形ノズル153が取り付けられている。この端面板105の側面と、フランジ113の縁部とがリンクヒンジ装置151で接続されており、上記ボルトを外した状態の端面板105がリンクヒンジ装置151によって回動可能になっている。
【0060】
ケーシング111のギヤボックス103側の面には、ギヤボックス103から延びる一対の回転軸170の先端が臨んでおり、この回転軸170,170の先端に、断面六角形の駆動軸172が連なっている。一対の駆動軸172は、端面板105の内側面の近傍まで互いに平行に延びている。この一対の駆動軸172に、上記螺旋軸102,102が取り付けられている。
【0061】
螺旋軸102は、上記駆動軸172に取り付けられる軸部と、この軸部の周面に形成された螺旋羽根部とを有する。一対の駆動軸172,172に取り付けられた一対の螺旋軸102,102は、螺旋羽根部が互いに逆回りに形成されており、軸部の延在方向から見て螺旋羽根部が重なり合うように配置されている。一対の回転軸170,170は、矢印R1,R2で示すように互いに逆向きに回転駆動される。これにより、螺旋軸102は、螺旋羽根部が上から下に向かって重なり合うように回転駆動されて、ケーシング111内に投入された被処理物を挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板105側に移送するように形成されている。
【0062】
ギヤボックス103内には、上記一対の回転軸170,170と、この一対の回転軸170,170に各々設けられて互いに噛み合う平歯車171が収容されている。一対の回転軸170,170のうちの一方は、ギヤボックス103に隣接して設けられたカップリング104に接続されている。上記カップリング104は減速機Vに接続されており、モータM2から伝動機Tを介して伝達された回転力が、この減速機Vで減速され、カップリング104を介して上記一方の回転軸170に伝達される。この一方の回転軸170から平歯車171を介して他方の回転軸170に回転力が伝達されて、上記一対の回転軸170,170が互いに反対方向に等速で回転するように形成されている。
【0063】
ケーシングのフランジ113には、切断機106が切断機ヒンジ161を介して取り付けられており、この切断機106によって、上記端面板105の成形ノズル153から排出された棒状の被処理物を切断する。この切断機106は、一端に連結された回転軸周りに回転する回転刃161,161と、この回転刃161を駆動する回転刃モータ163を備える。上記切断機の切断機ヒンジ161は、上記端面板105のリンクヒンジ装置151が固定された縁と反対側の縁に固定されていて、端面板105が回動する方向と逆方向に切断機106が回動可能になっている。この切断機106は、端面板105がケーシングの端部を閉じた状態で、この端面板105の外側面に配置される。端面板105を開く場合は、切断機106を図1に示すような開き位置に回動させた状態で、この切断機106の回動方向と逆方向に端面板105を回動させる。これにより、端面板105の保守作業や、この端面板105を開放して行うケーシング111内の螺旋軸102の保守作業や、ケーシング111内のライニング片(ライニング片については後述する)の保守作業を容易に行うことができる。
【0064】
図7Aは、処理部101内を示す断面図である。
【0065】
処理部101内に収容された一対の螺旋軸102,102は、ケーシング111内の投入口112側から端面板105側に向かって、順に、第1螺旋軸121と、第2螺旋軸122と、第3螺旋軸123とで形成されている。各螺旋軸121,122,123は、軸部121a,122a,123aと、螺旋羽根部121b,122b,123bとで形成されている。第1及び第2螺旋軸の軸部121a,122aは、駆動軸172に挿通される断面六角形の貫通孔121c,122cが中心軸と同軸に形成されている。一方、第3螺旋軸の軸部123aは、駆動軸172の先端部に嵌合する断面六角形の有底孔123cが中心軸と同軸に形成されている。この第3螺旋軸の軸部123aの端面には、上記有底孔123cに連なるボルト孔124が設けられている。上記駆動軸172に、上記貫通孔121c,122cが挿通されて第1及び第2螺旋軸121,122が取り付けられ、上記有底孔123cが嵌合して第3螺旋軸123が取り付けられる。この第3螺旋軸123の端面のボルト孔124にボルト125を挿通し、このボルト125を駆動軸172に螺着して、第1乃至第3螺旋軸121,122,123を駆動軸172に固定している。
【0066】
図7Bは、上記螺旋軸102を構成する第1、第2及び第3螺旋軸121,122,123を抜き出して示した断面図である。上記第1螺旋軸121と、第2螺旋軸122と、第3螺旋軸123は、この順に、軸部121a,122a,123aの径D1,D2,D3が大きく形成されている。また、螺旋羽根部121b,122b,123bのピッチP1,P2,P3が、この順に小さく形成されている。更に、螺旋羽根部121b,122b,123bの厚みT1,T2,T3が、この順に大きく形成されている。これにより、各螺旋軸121,122,123の表面と、ケーシング111の内側面との間に形成される処理室の容積を、上記第1螺旋軸121と、第2螺旋軸122と、第3螺旋軸123との順に小さくしている。したがって、上記第1螺旋軸121、第2螺旋軸122及び第3螺旋軸123は、被処理物を、噛み込み等の不都合を生じることなく確実に移送し、しかも、順次大きい圧縮力を被処理物に与えることができる。上記処理室の第1螺旋軸121に面する部分の容積に対して、上記処理室の第3螺旋軸123に面する部分の容積を、1/2から1/3の間の比(以下、減容比という)となるように形成している。このような減容比を有する螺旋軸102を用いることにより、投入時にカサ比重が0.025の被処理物を、端面板の成形ノズル153からの排出時には、カサ比重が概ね0.45から0.5の間となる程度に圧縮できる。また、投入時にカサ比重が0.025の被処理物を、成形ノズル153からの排出時には、真比重が概ね0.8から1の間となる程度に圧縮できる。
【0067】
第2螺旋軸の軸部122aの第1螺旋軸側121の端部と、第3螺旋軸の軸部123aの第2螺旋軸側122の端部は、夫々テーパー状に形成している。これにより、被処理物を第1乃至第3螺旋軸121,122,123によって順次移送するとき、軸部121a,122a,123aの径が順次大きくなっても、被処理物に与える抵抗が少なくなるようにしている。
【0068】
また、上記第1螺旋軸121と、第2螺旋軸122と、第3螺旋軸123は、いずれも、螺旋羽根部121b,122b,123bの巻き数を1巻きに形成している。すなわち、各螺旋軸の螺旋羽根部121b,122b,123bの一端が、軸方向から見て、その螺旋羽根121b,122b,123bの他端と略同じ周方向位置にある。これにより、各螺旋軸121,122,123の製造を容易にし、また、各螺旋軸121,122,123の修理及び交換等の保守作業を行い易くしている。
【0069】
第3螺旋軸123は、螺旋羽根部123bの端に、軸部123aの中心軸と略直角に延在する平面部を有する。この平面部が端面板105の内側面に近接配置されて第3螺旋軸123が回転駆動されることにより、高密度に圧縮された被処理物を端面板105の成形ノズル153から確実に押し出すようにしている。この第3螺旋軸123は、被処理物に各螺旋軸121,122,123が与える圧縮力のうち最大の圧縮力を与えるので、磨耗量が他の螺旋軸よりも多く、また、被処理物に混入する金属片等によって欠けが生じやすい。そこで、第3螺旋軸123を、クロム鋼で形成した基部と、この基部の表面に溶接によって形成された肉盛部とで構成している。この肉盛部は、例えばタングステンカーバイド系材料等のような耐磨耗材料を用いて形成するのが好ましい。
【0070】
ケーシング111内には、第2及び第3螺旋軸122,123を取り囲む複数のライニング片115,115,・・・が配置されている。この複数のライニング片115と、第2及び第3螺旋軸122,123の外側面との間に、被処理物の処理室を形成している。ライニング片115は、第2及び第3螺旋軸122,123の軸直角方向に8個設けられていると共に、第2及び第3螺旋軸122,123の軸方向に2列設けられている。軸方向の2列のライニング片115は、第2螺旋軸122の周りに概ね沿う列と、第3螺旋軸123の周りに概ね沿う列とで構成されている。
【0071】
上記ライニング片115は、処理室の外壁の一部を構成する本体と、この本体の外側面に設けられた棒状の突出部を備え、この突出部に軸直角方向に延びる楔孔が設けられている。この突出部を、ケーシング111に形成された貫通孔から外側に突出させて、ケーシング111の外側に配置した楔孔に楔を挿入して、ライニング片115をケーシング111に固定している。こうして、簡易な構成でライニング片115をケーシング111に容易に着脱可能にしている。
【0072】
図8Aは、端面板105を示す正面図であり、図8Bは、端面板105をケーシング111に取り付けた様子を示す平面図である。
【0073】
端面板105は、図8Aに示すように、第3螺旋軸の平面部が近接して通過する領域に、複数の排出孔152,152・・・が設けられており、この排出孔152に成形ノズル153が挿入されている。排出孔152の表裏両側の開口には段部が形成されており、ノズルの端部に設けられたフランジを排出孔の段部に係止させて、排出孔152に成形ノズル153を取り付けるようにしている。成形ノズル153は、図7Aに示すように、フランジ153aをケーシング111内に向けて、排出孔152内に取り付けられる。上記成形ノズル153の先端部分は、5mm〜10mmの長さにわたって、端面板105の表面から外側に突出している。端面板105は、縁部の全周に亘って貫通孔105aが設けられており、この貫通孔105aに挿通されるボルトによって、ケーシングのフランジ113に固定される。
【0074】
端面板105には、上下方向に伸びる線形のヒータ154が内蔵されている。このヒータ154は、電気抵抗により発熱を行う抵抗加熱式のヒータである。このヒータ154は、幅方向に複数列配置され、かつ、厚み方向に2列配置されている。ヒータ154を端面板105の厚み方向に2列配置することにより、取り付け面を表裏両面の間で交換した場合においても、被処理物の加熱特性が殆ど変わらないようにできる。また、厚み方向の一方のヒータ154が故障しても、他方のヒータ154によって被処理物を加熱することができるので、加熱機能の信頼性を向上できる。
【0075】
端面板105には、温度センサ155が設けられている。詳しくは、端面板105から突出した成形ノズル153の先端部分の外側面に、スリーブ状の温度センサ155が嵌め込まれている。なお、板状の温度センサを、バンドなどで成形ノズル153の先端部に固定してもよい。この温度センサ155によって、ケーシング111内から押し出される処理後の被処理物の温度を検出する。温度センサ155はヒータ制御部に接続されている。なお、温度センサは、端面板105内に内蔵されていてもよい。詳しくは、複数の排出孔152のうちの所定の排出孔152の内側面に、受熱部が露出するように、本体を端面板105内に埋め込まれていてもよい。あるいは、成形ノズル153から排出されて下方のバケットに落下した固形燃料の温度を、赤外線温度センサで検出してもよい。要は、螺旋軸102によって処理された被処理物の温度を検出できればよい。温度センサによる検出データに基づき、ヒータ制御部がヒータ154の温度を制御して、成形ノズル153から押し出される被処理物の温度を100〜180℃にしている。
【0076】
端面板105の上端には、端子ケース156が取り付けられている。この端子ケース156は、上記112本のヒータ154に接続された電力配線を収容しており、この電力配線に連なるコネクタが、端子ケース156の側面に設けられている。また、端子ケース156は、上記温度センサ155に接続された信号配線を収容しており、この信号配線に連なるコネクタ157が上端に設けられている。更に、上記端子ケース156は、吊ボルト158で端面板105の上端に連結されており、端子ケース156の上面に固定されたアイボルト159を吊り下げることにより、端子ケース156を介して端面板105を吊り下げ可能になっている。なお、図8Bでは、端子ケース156を図示していない。
【0077】
端面板105をケーシングのフランジ113に回動可能に接続するリンクヒンジ装置151は、リンク機構を含んで形成されている。詳しくは、リンクヒンジ装置151は、図8Bに示すように、端面板105の側面に固定された端面板側金具151aと、フランジ113の前面の縁の近傍に固定されたフランジ側金具151bとの間を、2つの中間アーム151c,151cで接続している。端面板側金具151aと中間アーム151cとの間と、2つの中間アーム151c,151cの間と、中間アーム151cとフランジ側金具151bとの間は、ピン151eによって互いに回動自在に接続している。このリンクヒンジ装置151は、2つの中間アーム151c,151cの間の角度が変化しつつ、端面板側金具151aに対して一方の中間アーム151cが回動し、かつ、フランジ側金具151bに対して他方の中間アーム151cが回動する。これにより、端面板105が回動可能であり、かつ、厚み方向に水平移動が可能になっている。端面板105を厚み方向に水平移動可能に形成することにより、ケーシングのフランジ113と、端面板105との間に枠状のスペーサを挟んだ状態で、端面板105をフランジ113に固定できる。なお、回動機能のみを有するヒンジによって端面板105をケーシングのフランジ113に取り付けた場合、スペーサを挟んで端面板105をフランジ113に固定しようとすると、スペーサの厚みにより、端面板105のヒンジから遠い部分がフランジ113に密着できない。
【0078】
上記端面板105は、両側面に、端面板側金具151aが取り付けられる複数のボルト孔105b,105b,・・・を有する。また、端面板105は、排出孔152に、ノズルのフランジ153aが係止する段部152aが表裏両面に形成されている。これにより、端面板105は、ケーシング111内部に向かって取り付けられる取り付け面が、表裏両面の間で交換可能になっている。したがって、端面板105は、第3螺旋軸123による被処理物の高い圧縮力を受けて磨耗量が比較的大きいにもかかわらず、両面を交換して使用できるので、比較的長い使用寿命が得られる。
【0079】
上記構成の圧縮成形装置100により、脱臭乾燥工程を経た低熱量成分としての余剰汚泥及び増量成分としての紙屑、木屑と、高熱量つなぎ成分であるプラスチックとが混合された被処理物を、以下のようにして混練、圧縮及び成形する。
【0080】
まず、端面板のヒータ154に電力を供給し、端面板105の予備加熱を行う。これにより、前回の運転の終了時に残留して固化した成形ノズル153内の被処理物を溶融して、成形ノズル153から排出し易くする。
【0081】
続いて、モータM2を起動し、モータM2の回転力を、伝動機T、減速機V及びカップリング104を介して回転軸170に伝達する。ギヤボックス103内の一対の回転軸170が互いに逆向きに回転し、駆動軸172に取り付けられた一対の螺旋軸102,102がケーシング111内で互いに逆向きに回転する。一対の螺旋軸102,102は、平面視において幅方向の内側に向かうと共に、正面視において上から下に向かう方向に回転する。螺旋軸102は30rpm(回転毎分)以上60rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。
【0082】
こうして処理部1の駆動が開始されると、ケーシング111の投入口112に、定量供給機から切り出された被処理物の投入が開始される。
【0083】
ケーシング111内では、投入された被処理物を、一対の第1螺旋軸121によって挟み込み、混練し、強力な挟み込み力によって第2螺旋軸122側に確実に移送する。第2螺旋軸122は、この第2螺旋軸122とライニング片115との間に形成された処理室内に被処理物を導いて、被処理物の混練及び圧縮を行う。上記処理室内に導かれた被処理物を、上記第2螺旋軸122の回転動作によって端面板105側に送りながら混練及び圧縮するので、被処理物の逆流を効果的に防止する。続いて、第3螺旋軸123が、この第3螺旋軸123とライニング片115との間に形成された処理室内に被処理物を導いて、更なる混練と圧縮を行う。第1、第2及び第3螺旋軸121,122,123は、この順に、軸部121a,122a,123aの径D1,D2,D3が大きく形成され、螺旋羽根部121b,122b,123bのピッチP1,P2,P3が大きく形成され、螺旋羽根部121b,122b,123bの厚みT1,T2,T3が大きく形成されているので、被処理物の噛み込みや密度の低下等の不都合なく、被処理物を効果的に混練及び圧縮することができる。
【0084】
また、第1、第2及び第3螺旋軸121,122,123は、順次大きい圧縮力を被処理物に与えて混練を行うことにより、被処理物に圧縮熱と摩擦熱を効果的に生じさせることができる。これにより、被処理物に含まれる例えばプラスチック等の溶融物を効果的に溶融させることができる。この圧縮熱や摩擦熱は、参考例においては、被処理物に含まれる高熱量成分が40wt%以上60wt%以下の間であり、また、低熱量成分と増量成分が45wt%以上60wt%以下の場合に効果的に生成することができる。このように、被処理物の圧縮熱や摩擦熱によって十分に溶融物を融解できるので、端面板105のヒータ154によって補助的に加熱するのみにより、被処理物の溶融物を十分に溶解することができる。なお、端面板105のヒータ154は、被処理物が100℃以上180℃以下の範囲の温度となるように加熱を行うのが好ましい。被処理物を100℃以上にすることにより、溶融物を十分に溶解することができる一方、被処理物を180℃以下にすることにより、塩素系ガスの発生を防止することができる。
【0085】
第3螺旋軸123に導かれて高圧力で圧縮された被処理物は、溶融物が溶融した状態で、端面板105の成形ノズル153から棒状に押し出される。押し出された棒状の被処理物は、切断機106によって所定長さに切断され、下方に配置されたバケット内に落下して回収される。所定長さに切断された棒状の被処理物は、温度が降下するに伴って溶融物が固化して、固形燃料となる。なお、切断後の被処理物を、冷却装置によって冷却してもよい。
【0086】
参考例では、以上のようにして得られた固形燃料は、水分量が15%以下、好ましくは10%以下であり、また、5000〜6500kcal/kgの熱量を有するので、石炭代替用途の燃料としての利用が可能である。
【0087】
また、実施形態では、以上のようにして得られた固形燃料は、水分量が15%以下、好ましくは10%以下であり、また、3300〜3800kcal/kgの熱量を有するので、木屑・紙屑の代替用途の燃料としての利用が可能である。
【0088】
以上のように、参考例によれば、余剰汚泥等の有機廃棄物と、木屑、紙屑、廃タタミ及び繊維屑のうちの少なくとも1つからなる増量成分との混合物に減圧発酵及び減圧加熱乾燥を行うことによって効果的に脱臭乾燥した後、廃プラスチックからなる高熱量つなぎ成分を添加して混練、圧縮及び成形し、固形化することにより、石炭等と代替可能な固形燃料を製造できる。したがって、従来、余剰汚泥等の有機廃棄物の廃棄に要していた多大な経費の削減を図ることができる。
【0089】
また、実施形態によれば、余剰汚泥等の有機廃棄物に、脱臭乾燥工程を複数回繰り返すサイクル工程を行うことによって水分と臭気を大幅に削減した後、この有機廃棄物の被処理物のみを材料として圧縮及び成形し、固形化することにより、紙屑や木屑に相当する熱量の固形燃料を製造できる。その結果、有機廃棄物を有効かつ効果的に処理することができ、従来廃棄に要していた多大な経費の削減を図ることができる。
【0090】
上記各実施形態において、成形装置として2軸のスクリューを有するマルチフォーマーを用いたが、ペレットミルを用いてもよい。図9は、ペレットミルの主要部の一例を示す斜視図である。このペレットミルは、胴部にダイ孔190aが設けられた回転円筒体190と、この回転円筒体の内側面に外側面が近接して配置された2つの転動輪191,191とを備える。転動輪191の表面には、被処理物のスリップを低減して取り込みを容易にする多数の軸方向溝が形成されている。回転円筒体190と、転動輪191,191とを夫々矢印R91,R92で示す方向に回転駆動し、回転円筒体190内に被処理物を供給する。被処理物は、回転円筒体190の内側面と転動輪191の外側面との間に挟み込まれて圧縮され、回転円筒体190の胴部のダイ孔190aから外側にペレット状に押し出される。押し出された被処理物は、回転円筒体190の胴部に対向して配置された固定刃193,193によって所定長さに切り取られて、固形燃料が得られる。ペレットミルは、直径が10mm程度までの比較的小径の固形燃料を製造するのに好適であり、また、成形前の被処理物の水分量が少なくて被処理物の加熱が不要である場合に好適である。
【0091】
また、上記各実施形態において、有機廃棄物としては、余剰汚泥のみを用いるのに限られず、一部又は全部に、植物残渣や農水産食品の加工残渣等のような農業廃棄物、水産業廃棄物、農水産加工業廃棄物及び食品工業廃棄物を用いることができる。また、参考例の高熱量つなぎ成分の廃プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリウレタン及びポリスチレン等の単体に加えて、各種合成樹脂の複合体も利用することができる。また、参考例の増量成分の紙屑としては、新聞紙、コピー用紙及びダンボール等を用いることができ、木屑としては、パレット、さん木、梱包木材、合板、剪定木屑、木の葉、草及び木の根等を広く用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 減圧発酵乾燥装置
5 ボイラー
10 ケーシング
11 上部ケーシング
12 下部ケーシング
20 回転体
50 凝縮部
60 クーリングタワー
G 凝縮水
VP 真空ポンプ
W 被処理物
100 圧縮成形装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を脱臭乾燥してなる材料を圧縮成形して固形化してなり、水分量15%以下の条件下で熱量3300〜3800kcal/kgに調整された固形燃料であって、
上記有機廃棄物を脱臭乾燥してなる材料は、減圧発酵乾燥装置で発酵及び乾燥されたものであり、
上記減圧発酵乾燥装置は、
微生物が添加された有機廃棄物が内部に供給され、内部が減圧されるケーシングと、
上記ケーシングの下部に設けられ、内部に熱媒体が供給されて、ケーシング内の有機廃棄物を加熱する加熱部と、
内部に熱媒体が供給される中空回転軸及び送り部と、送り部に固定された掻き取り部を有して回転駆動され、有機廃棄物を加熱しながら攪拌する回転体と、
上記ケーシング内に設けられ、有機廃棄物から生じる蒸気を凝縮する凝縮部と、
上記凝縮部で凝縮された凝縮水と共に、ケーシング内の空気を吸引する真空ポンプと、
上記真空ポンプによって吸引された凝縮水と空気が供給され、微生物が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水に、上記凝縮水と空気を混合するクーリングタワーと
を有することを特徴とする有機廃棄物を用いた固形燃料。
【請求項2】
有機廃棄物は、余剰汚泥、畜産の糞尿、農業廃棄物、水産業廃棄物、農水産加工業廃棄物及び食品工業廃棄物のうちの少なくとも1つを含む請求項1記載の固形燃料。
【請求項3】
有機廃棄物を、減圧下で発酵脱臭する工程と、減圧下で加熱乾燥する工程とに付して脱臭乾燥する工程と、
上記有機廃棄物を脱臭乾燥する工程を複数回繰り返すサイクル工程と、
脱臭乾燥後の被処理物を圧縮及び成形する工程とを含み、
水分含量15%以下、かつ、熱量3300〜3800kcal/kgに調整され、
上記有機廃棄物を脱臭乾燥する工程は、減圧発酵乾燥装置が利用され、この減圧発酵乾燥装置は、
微生物が添加された有機廃棄物が内部に供給され、内部が減圧されるケーシングと、
上記ケーシングの下部に設けられ、内部に熱媒体が供給されて、ケーシング内の有機廃棄物を加熱する加熱部と、
内部に熱媒体が供給される中空回転軸及び送り部と、送り部に固定された掻き取り部を有して回転駆動され、有機廃棄物を加熱しながら攪拌する回転体と、
上記ケーシング内に設けられ、有機廃棄物から生じる蒸気を凝縮する凝縮部と、
上記凝縮部で凝縮された凝縮水と共に、ケーシング内の空気を吸引する真空ポンプと、
上記真空ポンプによって吸引された凝縮水と空気が供給され、微生物が添加されて上記凝縮部との間を循環する冷却水に、上記凝縮水と空気を混合するクーリングタワーと
を有することを特徴とする有機廃棄物を用いた固形燃料の製造方法。
【請求項4】
上記サイクル工程は、定格量よりも少ない有機廃棄物に脱臭乾燥工程を少なくとも1サイクル行う初期運転と、この初期運転の後に定格量の有機廃棄物に脱臭乾燥工程を行う定量運転とを含む請求項3記載の有機廃棄物を用いた固形燃料の製造方法。
【請求項5】
上記サイクル工程の定量運転が終了する毎に、被処理物の一部を排出すると共に、新たな有機廃棄物を定格量に達するまで供給する請求項4記載の有機廃棄物を用いた固形燃料の製造方法。
【請求項6】
発酵脱臭工程に、海、山及び陸に生息する土着菌を採取、培養して用いる請求項3記載の固形燃料の製造方法。
【請求項7】
上記土着菌がよもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウの少なくとも1つに生息する菌を含み、米ぬか又はおが屑で培養して用いる請求項6記載の固形燃料の製造方法。
【請求項8】
減圧発酵時の減圧条件が減圧乾燥時の減圧条件よりも小さく、減圧発酵から減圧乾燥に移る際に減圧量を次第にまたは段階的に大きくする請求項3記載の固形燃料の製造方法。
【請求項9】
成形時に材料の水分含有量を15%以下まで加熱乾燥させる請求項3記載の固形燃料の製造方法。
【請求項10】
上記土着菌が、アルコールデハイドロゲナーゼ、ラクテートデハイドロゲナーゼ、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ、アルデヒドデハイドロゲナーゼ、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ、トレハローズリン酸シンテクターゼ、ポリフォスヘエードキナーゼ、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ、トレハローズフォスファターゼ、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ、イヌラーゼ、β−マンノシターゼ、ウリジン・ヌクレオシターゼ、シトシン・ジアミナーゼ、メチルシステインシンテターゼ、アスパラギン酸シンテターゼ、コハク酸デハイドロゲナーゼ、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ、フマレイトハイドロゲナーゼ、マレイトデハイドロゲナーゼ、クエン酸シンテターゼ、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ、LSNADPオキシダクターゼ、モノアミンオキシダクターゼ、ヒスタミナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ATPアーゼ、ヌクレオチドピロフォスファターゼ、エンドポリフォスファターゼ、ATPフォスフォハイドロラーゼ、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼからなる群から選択された少なくとも1種の酵素を含む請求項6記載の固形燃料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−229415(P2010−229415A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118686(P2010−118686)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【分割の表示】特願2007−56457(P2007−56457)の分割
【原出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】