説明

有機発光表示装置の製造方法

【課題】単純化された有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板本体上にゲート絶縁膜を形成する段階と、ゲート絶縁膜上に透明導電層及びゲート金属層を順次に形成する段階と、透明導電層及びゲート金属層を共にパターニングして透明導電層部及びゲート金属層部を含む複層構造を有する画素電極中間体、及び、ゲート電極を形成する段階と、画素電極中間体及びゲート電極上に層間絶縁膜を形成する段階と、層間絶縁膜に画素電極中間体の一部を露出する開口部を形成する段階と、層間絶縁膜上にデータ金属層を形成する段階と、データ金属層をパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成し、層間絶縁膜の開口部を通して露出された画素電極中間体のゲート金属層部を除去して画素電極を形成する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置の製造方法に関し、より詳しくは、単純化された有機発光表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting diode display)は、光を放出する有機発光素子を含んで画像を表示する自発光型表示装置である。有機発光表示装置は、液晶表示装置(liquid crystal displayay)とは異なり別途の光源が不要であるため、厚さ及び重量を削減することができる。また、有機発光表示装置は、低い消費電力、高い輝度、及び高い反応速度などの優れた特性を有するため、携帯用電子機器の次世代表示装置として注目されている。
【0003】
一方で、有機発光表示装置が大型化されるのに伴い、大面積の薄膜工程に適した簡単な構造及び単純な製造方法が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より簡易な構造を有する有機発光表示装置を提供すること、及び、単純化された前記有機発光表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る有機発光表示装置は、基板本体と、前記基板本体上に多結晶シリコンで形成された半導体層と、前記半導体層を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に順次に積層された透明導電層部及びゲート金属層部で形成されたゲート電極及び画素電極と、を含み、前記画素電極は、前記透明導電層部で形成された発光領域と、前記透明導電層部及び前記ゲート金属層部で形成された非発光領域と、に区分される。
【0006】
前記ゲート電極は、前記半導体層上に形成され、前記半導体層は、前記ゲート電極と重なったチャンネル領域と、前記チャンネル領域の両側に形成されたソース領域及びドレイン領域と、に区分されることができる。
【0007】
前記画素電極の発光領域を露出する開口部を有し、前記ゲート電極及び前記画素電極上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、をさらに含むことができる。
【0008】
前記層間絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域、そして前記画素電極の前記非発光領域の一部をそれぞれ露出する複数の接触孔をさらに含むことができる。
【0009】
前記ソース電極は、前記接触孔を通して前記半導体層のソース領域と接続され、前記ドレイン電極は、前記半導体層のドレイン領域及び前記画素電極の前記非発光領域とそれぞれ接続されることができる。
【0010】
前記ゲート電極のゲート金属層部、前記ソース電極、及び、前記ドレイン電極は、互いに同一の素材で形成されることができる。
【0011】
前記ゲート電極のゲート金属層部、前記ソース電極、及び、前記ドレイン電極は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成されることができる。
【0012】
前記画素電極の発光領域を露出する開口部を有し、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に形成された画素定義膜と、前記画素定義膜の開口部を通して露出された前記画素電極の発光領域上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された共通電極と、
をさらに含むことができる。
【0013】
前記半導体層と同一層に多結晶シリコンで形成された第1キャパシター電極と、前記ゲート電極と同一層に同一構造で形成された第2キャパシター電極と、をさらに含むことができる。
【0014】
また、本発明に係る有機発光表示装置の製造方法は、基板本体上にゲート絶縁膜を形成する段階と、前記ゲート絶縁膜上に透明導電層及びゲート金属層を順次に形成する段階と、前記透明導電層及び前記ゲート金属層を共にパターニングして透明導電層部及びゲート金属層部を含む複層構造を有する画素電極中間体、及び、ゲート電極を形成する段階と、前記画素電極中間体及び前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する段階と、前記層間絶縁膜に前記画素電極中間体の一部を露出する開口部を形成する段階と、前記層間絶縁膜上にデータ金属層を形成する段階と、前記データ金属層をパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成し、前記層間絶縁膜の開口部を通して露出された前記画素電極中間体のゲート金属層部を除去して画素電極を形成する段階と、を含む。
【0015】
前記層間絶縁膜の開口部内に位置する前記データ金属層及び前記ゲート金属層部は、同一のエッチング工程によって連続的にエッチングされて除去されることができる。
【0016】
前記画素電極は、前記透明導電層部で形成された発光領域と、前記透明導電層部及び前記ゲート金属層部で形成された非発光領域と、に区分されることができる。
【0017】
前記基板本体及び前記ゲート絶縁膜の間に半導体層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0018】
前記半導体層は、多結晶シリコンで形成され、前記ゲート電極と重なるチャンネル領域と、前記チャンネル領域の両側に形成されたソース領域及びドレイン領域と、に区分されることができる。
【0019】
前記層間絶縁膜に開口部を形成するときに、前記半導体層の前記ソース領域、前記ドレイン領域、及び、前記画素電極中間体の前記非発光領域の一部、をそれぞれ露出する複数の接触孔を形成することができる。
【0020】
前記ソース電極は、前記接触孔を通して前記半導体層のソース領域と接続され、前記ドレイン電極は、前記半導体層のドレイン領域及び前記画素電極の前記非発光領域とそれぞれ接続されることができる。
【0021】
前記ゲート金属層及び前記データ金属層は、互いに同一の素材で形成されることができる。
【0022】
前記ゲート電極のゲート金属層部、前記ソース電極、及び、前記ドレイン電極は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成されることができる。
【0023】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に前記画素電極の発光領域を露出する開口部を有する画素定義膜を形成する段階と、前記画素定義膜の開口部を通して露出された前記画素電極の発光領域上に有機発光層を形成する段階と、前記有機発光層上に共通電極を形成する段階と、をさらに含むことができる。
【0024】
前記半導体層と同一の層に多結晶シリコンで形成された第1キャパシター電極を形成する段階と、前記ゲート電極と同一の層に同一な素材で第2キャパシター電極を形成する段階と、をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
より簡易な構造を有する有機発光表示装置を実現することができる。
【0026】
また、有機発光表示装置の製造方法を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の構造を示した平面図である。
【図2】図1の有機発光表示装置が有する画素回路を示した回路図である。
【図3】図1の有機発光表示装置を部分拡大して示した断面図である。
【図4】図3の有機発光表示装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【図5】図3の有機発光表示装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【図6】図3の有機発光表示装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【図7】図3の有機発光表示装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【図8】図3の有機発光表示装置の製造過程を順次に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できる程度に詳細に説明する。本発明は、多様な実施形態にて具現され、以下説明する実施形態に限られない。
【0029】
図面においては、説明をより明確なものとするために、説明に不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似した構成要素については、同一の参照符号を付した。
【0030】
また、図面に示された各構成要素の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明が必ずしも示された通りであるとは限らない。
【0031】
図面においては、多数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。また、図面においては、説明の便宜のために、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上」にまたは「上部」にあるとする時、これはある部分の「直上」にある場合だけでなく、他の要素を介してある部分の上にある場合も含む。
【0032】
以下、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置101を説明する。
【0033】
図1に示すように、有機発光表示装置101は、表示領域DA及び非表示領域NAに区分された基板本体111を含む。基板本体111の表示領域DAには多数の画素PEが形成されて画像を示し、非表示領域NAには一つ以上の駆動回路810、820が形成される。しかし、本発明の一実施形態において、必ずしも非表示領域NAに全ての駆動回路810、820が形成されなければならないのではなく、一部または全く形成されなくてもよい。
【0034】
図2に示すように、本発明の一実施形態では、一つの画素PEが有機発光素子(organic light emitting diode)70、二つの薄膜トランジスター(thin film transistor、TFT)10、20、及び一つのキャパシター(capacitor)80を備えた2Tr-1Cap構造を有する。しかし、本発明の一実施形態がこれに限定されるものではない。従って、有機発光表示装置101は、一つの画素PEに三つ以上の薄膜トランジスター及び二つ以上のキャパシターを備えて、別途の配線がさらに形成されて、多様な構造を有するように形成されてもよい。このように、追加的に形成される薄膜トランジスター及びキャパシターは、補償回路を構成する。
【0035】
補償回路は、画素PE毎に形成された有機発光素子70の均一性を向上させて、画質に偏差が発生するのを抑制する。一般に、補償回路は、2つ〜8つの薄膜トランジスターを含む。
【0036】
また、基板本体111の非表示領域NA上に形成された駆動回路810、820(図1参照)も、追加の薄膜トランジスターを含むことができる。
【0037】
有機発光素子70は、正孔注入電極であるアノード(anode)電極、電子注入電極であるカソード(cathode)電極、及び、アノード電極及びカソード電極の間に配置された有機発光層を含む。
【0038】
本発明の一実施形態において、一つの画素PEは、第1薄膜トランジスター10及び第2薄膜トランジスター20を含む。
【0039】
第1薄膜トランジスター10及び第2薄膜トランジスター20は、それぞれゲート電極、半導体層、ソース電極、及びドレイン電極を含む。また、第1薄膜トランジスター10及び第2薄膜トランジスター20のうちの一つ以上の薄膜トランジスターは、多結晶シリコンで形成された半導体層を含む。つまり、第1薄膜トランジスター10及び第2薄膜トランジスター20のうちの一つ以上の薄膜トランジスターは、多結晶シリコン薄膜トランジスターである。
【0040】
図2にはゲートライン151、データライン171、共通電源ライン172、と共にキャパシターライン152が示されているが、本実施形態が図2に示された構造に限定されるのではない。従って、キャパシターライン152は、省略されてもよい。
【0041】
データライン171には第1薄膜トランジスター10のドレイン電極が接続され、ゲートライン151には第1薄膜トランジスター10のゲート電極が接続される。また、第1薄膜トランジスター10のソース電極は、キャパシター80を通してキャパシターライン152と接続される。さらに、第1薄膜トランジスター10のソース電極及びキャパシター80の間にノードが形成されて、第2薄膜トランジスター20のゲート電極が接続される。また、第2薄膜トランジスター20のソース電極には共通電源ライン172が接続され、ドレイン電極には有機発光素子70のアノード電極が接続される。
【0042】
第1薄膜トランジスター10は、発光しようとする画素PEを選択するスイッチング素子として機能する。第1薄膜トランジスター10が導通されるとキャパシター80は蓄電され、この時に蓄電される電荷量はデータライン171から印加される電圧の電位に比例する。また、第1薄膜トランジスター10が遮断された状態で、キャパシターライン152に1フレーム周期で電圧が増加する信号が入力されると、第2薄膜トランジスター20のゲート電位は、キャパシター80に蓄電された電位を基準にして印加される電圧のレベルがキャパシターライン152から印加される電圧に追従して上昇する。また、第2薄膜トランジスター20は、ゲート電位がしきい電圧を越えると導通される。共通電源ライン172に印加された電圧が第2薄膜トランジスター20を通して有機発光素子70に印加されて、有機発光素子70は発光する。
【0043】
このような画素PEの構成は、前述したものに限定されず、当業者が容易に変形実施できる範囲内で多様に変形され得る。
【0044】
以下、図3を参照して、本発明の一実施形態に係る有機発光表示装置101を有機発光素子70、第2薄膜トランジスター20、及びキャパシター80の構造を中心に積層順序に従って詳しく説明する。以下、第2薄膜トランジスター20は薄膜トランジスターと称する。
【0045】
基板本体111は、ガラス、石英、セラミック、又は、プラスチックなどから構成された絶縁性基板で形成される。しかし、本実施形態がこれに限定されるのではなく、基板本体111がステンレス鋼などから構成された金属性基板で形成されてもよい。
【0046】
基板本体111上にはバッファー層120が形成される。例えば、バッファー層120は、窒化ケイ素(SiNx)の単一膜または窒化ケイ素(SiNx)及び酸化ケイ素(SiO)が積層された二重膜の構造に形成される。バッファー層120は、不純物元素または水分などの不要な成分の浸透を防止すると同時に表面を平坦化する役割を果たす。しかし、バッファー層120は必須な構成ではなく、基板本体111の種類及び工程条件に応じて省略することもできる。
【0047】
バッファー層120上には半導体層135及び第1キャパシター電極138が形成される。つまり、半導体層135及び第1キャパシター電極138は同一層に形成される。また、半導体層135及び第1キャパシター電極138は、多結晶ケイ素膜で形成される。
【0048】
具体的には、半導体層135は、チャンネル領域1355と、チャンネル領域1355の両側にそれぞれ形成されたソース領域1357及びドレイン領域1356とに区分される。半導体層135のチャンネル領域1355は、不純物がドーピングされない多結晶シリコン膜、つまり真性半導体(intrinsic semiconductor)である。半導体層135のソース領域1357及びドレイン領域1356は、不純物がドーピングされた多結晶シリコン膜、つまり不純物半導体(impurity semiconductor)である。
【0049】
半導体層135のソース領域1357及びドレイン領域1356にドーピングされる不純物は、P型不純物及びN型不純物のうちのいずれか一つである。不純物の種類は、薄膜トランジスター20の種類によって異なってもよい。
【0050】
半導体層135及び第1キャパシター電極138上にはゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140は、テトラエトキシシラン(tetraethyl orthosilicate、TEOS)、窒化ケイ素(SiNx)、及び酸化ケイ素(SiO)のうちの一つ以上を含んで形成される。例えば、ゲート絶縁膜140は、厚さが40nmの窒化ケイ素膜及び厚さが80nmのテトラエトキシシラン膜が順次に積層された二重膜に形成される。しかし、本実施形態においては、ゲート絶縁膜140が前述した構成に限定されるものではない。
【0051】
ゲート絶縁膜140上にはゲート電極155、画素電極710、及び、第2キャパシター電極158が形成される。つまり、ゲート電極155、画素電極710、及び、第2キャパシター電極158は互いに同一層に位置する。第2キャパシター電極158は、キャパシターライン152(図2に図示)から分岐され、又は、キャパシターライン152の一部が第2キャパシター電極158として使用される。
【0052】
ゲート電極155は、半導体層135のチャンネル領域1355と重なるように半導体層135上に形成される。ゲート電極155は、半導体層135を形成する工程において、半導体層135のソース領域1357及びドレイン領域1356に不純物をドーピングする時に、チャンネル領域1355に不純物がドーピングされるのを遮断する役割を果たす。
【0053】
第2キャパシター電極158は、第1キャパシター電極138上に形成される。このように、第2キャパシター電極158がゲート絶縁膜140を間において第1キャパシター電極138上に形成されることにより、キャパシター80が完成される。
【0054】
また、ゲート電極155、画素電極710、及び第2キャパシター電極158は、それぞれ、ゲート絶縁膜140上に順次に積層された透明導電層部1551、711、1581及びゲート金属層部1552、712、1582を含む多層構造に形成される。
【0055】
透明導電層部1551、711、1581は、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、またはIn(Indium Oxide)などの透明な導電物質で形成される。
【0056】
ゲート金属層部1552、712、1582は、低抵抗特性において優れている金属で形成される。具体的には、ゲート金属層部1552、712、1582は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成され得る。
【0057】
一方、画素電極710は、透明導電層部711だけで形成された発光領域と、透明導電層部711及びゲート金属層部712が積層形成された非発光領域とに区分される。すなわち、画素電極710の発光領域は光を透過させることができる。
【0058】
画素電極710、ゲート電極155、及び第2キャパシター電極158上には層間絶縁膜160が形成される。層間絶縁膜160は有機膜で形成される。つまり、層間絶縁膜160は、当業者にとって公知である多様な有機物質で形成される。しかし、本実施形態はこれに限定されるのではない。すなわち、層間絶縁膜160は、ゲート絶縁膜140などの無機膜で形成されてもよい。
【0059】
層間絶縁膜160は、画素電極710の一部を露出する開口部1605を有する。具体的には、層間絶縁膜160の開口部1605は、画素電極710の発光領域を露出する。すなわち、画素電極710の透明導電層部711が層間絶縁膜160の開口部1605を通して露出される。また、画素電極710のゲート金属層部712は、層間絶縁膜160の開口部1605周辺でアンダーカット(undercut)された形態に形成される。しかし、本実施形態がこれに限定されるものではない。
【0060】
また、層間絶縁膜160は、半導体層135のソース領域1357及びドレイン領域1356、そして、画素電極710の非発光領域、すなわち、ゲート金属層部712の一部をそれぞれ露出する複数の接触孔1607、1606、1601をさらに含む。層間絶縁膜160上にはソース電極177及びドレイン電極176が形成される。ソース電極177は、層間絶縁膜160の複数の接触孔1607、1606、1601を通して半導体層135のソース領域1357と接続され、ドレイン電極176は、半導体層135のドレイン領域1356及び画素電極710の非発光領域とそれぞれ接続される。すなわち、ドレイン電極176は、画素電極710のゲート金属層部712と接触する。
【0061】
また、ソース電極177及びドレイン電極176は、ゲート電極155のゲート金属膜1552と同一な素材で形成される。つまり、ソース電極177及びドレイン電極176は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成される。
【0062】
ソース電極177及びドレイン電極176上には画素定義膜190が形成される。画素定義膜190は、画素電極710の発光領域を露出する開口部1905を有する。ここで、画素定義膜190の開口部1905は、層間絶縁膜160の開口部1605と同一、又は、小さい大きさに形成される。
【0063】
画素定義膜190は有機膜で形成される。つまり、画素定義膜190は、当業者にとって公知である多様な有機物質で形成される。
【0064】
画素定義膜190の開口部において、画素電極710の発光領域、つまり透明導電層部711上には有機発光層720が形成される。
【0065】
有機発光層720は、発光層、正孔注入層(hole injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole transporting layer、HTL)、電子輸送層(electron transportiong layer、ETL)、及び、電子注入層(electron injection layer、EIL)のうちの少なくとも一つ以上を含む多重膜に形成される。前述した複数の層のうち、発光層を除いた他の層は必要に応じて省略することができる。有機発光層720が前述した全ての層を含み、画素電極710がアノード電極である場合、正孔注入層が画素電極710上に配置され、その上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次に積層される。また、有機発光層720は、必要に応じて他の層をさらに含むこともできる。また、発光層を除いた他の層は、画素電極710だけでなく画素定義膜190上にも形成されてもよい。
【0066】
有機発光層720上には共通電極730が形成される。共通電極730は、光を効果的に反射し、低抵抗特性において優れている金属で形成される。例えば、共通電極730は、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、金(Au)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、及び、アルミニウム(Al)のうちの一つ以上の金属、またはこれらの合金により形成される。
【0067】
従って、有機発光層720で発生した光は、画素電極710の透明導電層部711を通過して外部に放出されて、画像を表示するようになる。すなわち、本実施形態に係る有機発光表示装置101は、背面発光型構造を有する。
【0068】
共通電極730上には封止部材210が配置される。封止部材210は、基板本体111と合着密封されて、有機発光素子70及び薄膜トランジスター20を保護する。具体的には、封止部材210は、封止部材210の周縁に沿って配置されたシラント(図示せず)によって基板本体111と互いに合着密封される。封止部材210は、ガラス、石英、セラミック、及び、プラスチックなどから構成された透明な絶縁性基板で形成される。しかし、本実施形態がこれに限定されるものではない。すなわち、封止部材210としてメタルキャップ(metal cap)が使用されたり、封止薄膜層が使用されてもよい。
【0069】
上述した構成によって、本形態に係る有機発光表示装置101は、より簡単な構造を有することができる。具体的には、画素電極710が薄膜トランジスター20のゲート電極155と同一層に同一な素材で形成される。すなわち、画素電極710が別途の層に別途の素材で形成されないため、有機発光表示装置101の全体的な構造が簡素化され、製造過程を単純化することができる。
【0070】
また、画素電極710をゲート電極155と同一層に形成しても、有機発光表示装置101は効果的に背面発光型構造を実現することができる。
【0071】
以下、図4〜図8を参照して、本発明の一実施形態による有機発光表示装置101の製造方法について説明する。
【0072】
まず、図4に示すように、基板本体111上にバッファー層120を形成する。例えば、バッファー層120は、窒化ケイ素(SiNx)及び酸化ケイ素(SiO)などの無機絶縁物質がPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Depositionition)などの公知の蒸着方法で基板本体111上に全面蒸着されて形成される。
【0073】
次に、バッファー層120上に多結晶シリコン膜を形成する。多結晶シリコン膜は、まず非晶質シリコン膜を形成し、これを結晶化させる方法で形成される。非晶質シリコン膜は、PECVDなどの公知の方法で形成される。また、非晶質シリコン膜を結晶化させる方法としては、当業者にとって公知である多様な方法を使用することができる。例えば、非晶質シリコン膜は、熱、レーザー、ジュール熱、電場、または、触媒金属などを使用して結晶化することができる。また、結晶化工程以前に、非晶質シリコン膜内に存在する水素原子を除去するための脱水素化(dehydrogenation)工程をさらに行ってもよい。
【0074】
次に、多結晶シリコン膜を写真エッチング工程によってパターニング(patterning)して半導体層135及び第1キャパシター電極138を形成する。
【0075】
次に、半導体層135及び第1キャパシター電極138上にゲート絶縁膜140を形成する。本実施形態において、ゲート絶縁膜140は、厚さが40nmの窒化ケイ素膜、及び、その上の厚さが80nmのテトラエトキシシラン(TEOS)膜を含む。また、前述した無機膜は、PECVDなどの公知の方法で形成される。
【0076】
次に、ゲート絶縁膜140上に透明導電層及びゲート金属層を順次に形成する。透明導電層は、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、またはIn2O3(Indium Oxide)などで形成される。ゲート金属層は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成される。例えば、ゲート金属層は、Mo/Al/Moの三層膜またはMo/Cu/Moの三層膜に形成される。
【0077】
次に、透明導電層及びゲート金属層を写真エッチング工程によってパターニングしてゲート電極155、第2キャパシター電極158、及び画素電極中間体7100を形成する。ゲート電極155、第2キャパシター電極155、及び画素電極中間体7100は、順次積層された透明導電層部1551、1581、711及びゲート金属層部1552、1582、712を含む複層構造に形成される。
【0078】
次に、半導体層135に不純物をドーピングして、半導体層135をチャンネル領域1355と、チャンネル領域1355の両側に形成されたソース領域1357及びドレイン領域1356とに区分する。ここで、チャンネル領域1355は不純物がドーピングされない真性半導体であり、ソース領域1357及びドレイン領域1356は不純物がドーピングされた不純物半導体である。ゲート電極155は、ソース領域1357及びドレイン領域1356に不純物をドーピングする時に、チャンネル領域1355に不純物がドーピングされるのを遮断する役割を果たす。
【0079】
次に、図5に示したように、画素電極中間体7100、ゲート電極155、及び、第2キャパシター電極158上に層間絶縁膜160を形成する。層間絶縁膜160としては、有機膜を使用することができるが、本実施形態がこれに限定されるものではない。すなわち、無機膜を層間絶縁膜160として使用してもよい。
【0080】
次に、写真エッチング工程によって層間絶縁膜160に開口部1605及び複数の接触孔1601、1606、1607を形成する。層間絶縁膜160の開口部1605は、画素電極中間体7100の一部を露出する。また、層間絶縁膜160の複数の接触孔は、画素電極中間体7100の他の一部を露出する画素接触孔1601、半導体層135のソース領域1357、ドレイン領域1356をそれぞれ露出するソース接触孔1607、ドレイン接触孔1606を含む。ここで、ソース接触孔1607及びドレイン接触孔1606は、ゲート絶縁膜140及び層間絶縁膜160と共に除去されて形成される。
【0081】
次に、図6に示すように、層間絶縁膜160上にデータ金属層1700を形成する。データ金属層1700は、ゲート金属層部1552、1582、712と同様に、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成される。ここで、データ金属層1700は、層間絶縁膜160の開口部1605及び画素接触孔1601を通して画素電極中間体7100のゲート金属層部712と接触する。また、データ金属層1700は、ソース接触孔1607及びドレイン接触孔1606を通して半導体層135のソース領域1357及びドレイン領域1356と接触する。
【0082】
次に、図7に示したように、写真エッチング工程によってデータ金属層1700をパターニングしてソース電極177及びドレイン電極176を形成し、その後、層間絶縁膜160の開口部1605を通して露出された画素電極中間体7100のゲート金属層部712を除去して画素電極710を形成する。このように、画素電極710は、透明導電層部711だけで形成された発光領域と、透明導電層部711及びゲート金属層部712で形成された非発光領域とを含む。
【0083】
データ金属層1700及びゲート金属層部712は、同一な素材で形成される。従って、層間絶縁膜160の開口部1605内で互いに接触するように連続形成されたデータ金属層1700及びゲート金属層部712は、同一なエッチング液を使用した一つのエッチング工程によって同時に除去される。この工程において、ゲート金属層部712下に位置する透明導電層部711は、金属層とエッチング選択比が異なるため、除去されずに残される。
【0084】
このように、一つのエッチング工程でソース電極177及びドレイン電極176を形成し、次に層間絶縁膜160の開口部1605内でゲート金属層部712を除去して画素電極710を完成することができる。従って、有機発光表示装置101の全体的な製造過程が単純化される。
【0085】
また、非発光領域に残されたゲート金属層部712は、層間絶縁膜160の開口部周辺1605でアンダーカットされる。しかし、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、エッチング方式によってはゲート金属層部712がアンダーカットされなくてもよい。
【0086】
次に、図8に示したように、ソース電極177及びドレイン電極176上に画素定義膜190を形成する。画素定義膜190は、画素電極710の発光領域、つまり透明導電層部711を露出する開口部1905を有する。画素定義膜190の開口部1905は、層間絶縁膜の開口部と同一、または小さい大きさに形成される。画素定義膜190は、当業者にとって公知である多様な有機膜で形成される。
【0087】
次に、既に図3に示したように、画素定義膜190の開口部1905を通して露出された画素電極710上に有機発光層720を形成する。さらに、有機発光層720上に共通電極730を形成して有機発光素子70を完成する。
【0088】
このような製造方法によって、本実施形態に係る有機発光表示装置101の製造過程をより効果的に単純化することができる。
【0089】
具体的には、画素電極710、ゲート電極155、及び第2キャパシター電極158を含むゲート配線を一つのマスクを利用して形成することができる。また、一つのマスクを利用した工程で画素電極710及びゲート電極155を形成して、背面発光型構造を有する有機発光表示装置101を効果的に製造することができる。
【0090】
以上、本発明を実施形態により説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。すなわち、特許請求の範囲の概念及び範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることを当業者は容易に理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0091】
101 有機発光表示装置、
111 基板本体、
10、20 薄膜トランジスター、
70 有機発光素子、
80 キャパシター、
120 バッファー層、
135 半導体層、
138 キャパシター電極、
140 ゲート絶縁膜、
151 ゲートライン、
152 キャパシターライン、
155 ゲート電極、
158 キャパシター電極、
160 層間絶縁膜、
171 データライン、
172 共通電源ライン、
190 画素定義膜、
210 封止部材、
710 画素電極、
720 有機発光層、
730 共通電極、
810、820 駆動回路、
1355 チャンネル領域、
1356 ドレイン領域、
1357 ソース領域、
1551、711、1581 透明導電層部、
1552、712、1582 金属層部、
1605 開口部、
1607、1606、1601 接触孔、
1700 データ金属層、
1905 開口部、
7100 画素電極中間体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜上に透明導電層及びゲート金属層を順次に形成する段階と、
前記透明導電層及び前記ゲート金属層を共にパターニングして透明導電層部及びゲート金属層部を含む複層構造を有する画素電極中間体、及び、ゲート電極を形成する段階と、
前記画素電極中間体及び前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記層間絶縁膜に前記画素電極中間体の一部を露出する開口部を形成する段階と、
前記層間絶縁膜上にデータ金属層を形成する段階と、
前記データ金属層をパターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成し、前記層間絶縁膜の開口部を通して露出された前記画素電極中間体のゲート金属層部を除去して画素電極を形成する段階と、
を含むことを特徴とする有機発光表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記層間絶縁膜の開口部内に位置する前記データ金属層及び前記ゲート金属層部は、同一のエッチング工程によって連続的にエッチングされて除去されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記画素電極は、前記透明導電層部で形成された発光領域と、前記透明導電層部及び前記ゲート金属層部で形成された非発光領域と、に区分されることを特徴とする請求項2に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記基板本体及び前記ゲート絶縁膜の間に半導体層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体層は、多結晶シリコンで形成され、前記ゲート電極と重なるチャンネル領域と、前記チャンネル領域の両側に形成されたソース領域及びドレイン領域と、に区分されることを特徴とする請求項4に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記層間絶縁膜に開口部を形成するときに、前記半導体層の前記ソース領域、前記ドレイン領域、及び、前記画素電極中間体の前記非発光領域の一部、をそれぞれ露出する複数の接触孔を形成することを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記ソース電極は、前記接触孔を通して前記半導体層のソース領域と接続され、前記ドレイン電極は、前記半導体層のドレイン領域及び前記画素電極の前記非発光領域とそれぞれ接続されることを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート金属層及び前記データ金属層は、互いに同一の素材で形成されることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記ゲート電極のゲート金属層部、前記ソース電極、及び、前記ドレイン電極は、銅(Cu)及びアルミニウム(Al)のうちのいずれか一つで形成された金属膜とモリブデン(Mo)で形成された金属膜とを含む多層膜に形成されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一つに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に前記画素電極の発光領域を露出する開口部を有する画素定義膜を形成する段階と、
前記画素定義膜の開口部を通して露出された前記画素電極の発光領域上に有機発光層を形成する段階と、
前記有機発光層上に共通電極を形成する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体層と同一の層に多結晶シリコンで形成された第1キャパシター電極を形成する段階と、
前記ゲート電極と同一の層に同一な素材で第2キャパシター電極を形成する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11899(P2013−11899A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188993(P2012−188993)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2010−160680(P2010−160680)の分割
【原出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】