説明

有用な面微細構造を含む眼鏡レンズおよびその製法

【課題】有用な面微細構造、特には減光作用を持つ面微細構造を含む眼鏡レンズを得る方法を提供すること。
【解決手段】有機ガラス製の眼鏡レンズは、固定要素5と接続されているモールド1の2つの構成要素2および4の間でのモールディングにより製造される。光学用物質または組成物は、穴6からキャスティングまたは射出することによりモールドアセンブリ内に導入され、アセンブリ内で硬化され、または重合され、モールドを解体することにより、光学レンズが得られる。モールド構成要素2および4のうちの少なくとも1つは、視野補正形状を有する内面3を含む。モールド構成要素2の内面3は、有用な微細構造、すなわち、減光作用を持つ微細構造が与えられている。該微細構造は、干渉プロセスより決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用な面微細構造、さらには減光作用を有する面微細構造を含む眼鏡レンズを得る方法に広く関する。
【背景技術】
【0002】
現在、最もよく使用されている眼鏡レンズ、特に有機ガラス製の眼鏡レンズに減光特性(まぶしさ防止)を付与する手段は、鉱物材の減光層または減光層からなる組織でレンズをコートすることである。そのような鉱物材の減光層は、得られるレンズの機械特性を変化させるという短所を有し、特には、眼鏡レンズをコートする耐磨耗層の耐磨耗性を変化させるという短所を有する。
【0003】
面微細構造を転写することにより、所望の光学特性のレンズを得ることは、光学の分野で公知である。例えば、特許文献1には、回折性の光学要素を有する微細構造を、プラスチック類の基質をコートしている光重合性の物質に対し、ダイスタンプ法を用いて転写する方法、例えば、所望の微細構造を持つ石英製のダイ(金型、型)を用いて転写する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、基質表面を感光性物質の層でコートするステップと、前記物質を一定の電磁放射線パターンにさらすことにより、前記放射線に対し感受性を有する前記物質の面のトポグラフィーが光線パターンに対応して変化し、それにより可視放射線の反射が低減された面を得る、電磁放射線の反射を低減する面の製造法が示されている。
【0005】
特許文献3には、モノリシックプラスチック成形層またはある程度架橋したポリマーからなる組織体と、微細構造の複製を生ずる1以上の面とを含む光学レンズを製造する方法であって、微細構造が設けられたマスターモールドに放射線付加重合性で、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、オリゴマーであり、架橋可能で、かつ流動性の流体組成物を充填するステップと、キャスト組成物を化学線作用を持つ放射線に晒し、レンズを形成するステップとを含む方法が示されている。前記明細書には、用語“微細構造”は、隆起およびくぼみのような面中の不連続性を含むこと、微細構造の輪郭は、微細構造を通過している中央線または中心線の上方の面の輪郭によって外接される表面の合計が前記線の下方の面の合計と一致するように前記線から変化しており、前記線は本質的にレンズの通常の面(微細構造が設けられた面)と平行であると開示されている。そのような変位の高さは、面の代表長さが例えば、1〜30cmの場合、±0.05〜750μmである。中央線または中心線の輪郭は、平面、凹面、凸面、非球面のいずれであってもよく、またこれらの形状の組み合わせであってもよい。
【0006】
そのような変位が、低いオーダー、すなわち、±0.005〜0.1μm、好ましくは±0.005〜0.05μmであり、かつそのような変位が低頻度であり、または最小限に現れる、すなわち、面中に有意な不連続面が存在しないレンズは、微細構造が設けられた面が平坦または完全に滑らかな面である。そのようなレンズは、例えば、精密な光学要素や眼鏡レンズを含む精密な光学インターフェースを有する要素にとって有用である。そのような変位がより低いオーダーであるが、頻繁に現れるレンズは、例えば、減光作用を持つ微細構造を有するレンズの場合のように、有用な不連続性を有する。変位が微細構造に影響を与え得る程度に高いオーダーであり、すなわち、±0.1μm〜750nmであり、かつ同一であるかまたは異なるものであり、離れているかまたは連続であり、不規則であるかまたは規則的である1組の有用な不連続性を有するレンズは後方反射板、線形フレネルレンズおよびビデオテープのような物品用である。さらには、前記明細書は、有用な不連続性をじゃまするやっかいな不連続性の発生を避けるため、硬化時の収縮が少ない特定のオリゴマー組成物を選択することが必要である、または望ましいとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許5,630,902号明細書
【特許文献2】米国特許4,013,465号明細書
【特許文献3】英国特許公報2,027,441号明細書
【発明の概要】
【0008】
故に、本発明は、眼鏡レンズの製造方法、すなわち、視野補正形状を有し、有用な面微細構造、すなわち、光学特性を有する面微細構造、特には減光特性を持つ面微細構造を有し、前記有用な微細構造の形状が干渉プロセスにより初期に決定される眼鏡レンズの製造方法を目的とする。
【0009】
本発明はまた、有用な微細構造、特には減光特性を有する微細構造を与える視野補正形状面を含み、前記形状が干渉プロセスにより初期に決定される前記眼鏡レンズを目的とする。
【0010】
故に、本発明の1つの目的は、眼鏡レンズ、すなわち、有用な面微細構造を、すなわち、光学特性を有する面微細構造、特には減光特性を有する面微細構造を含む視野補正形状を有し、前記微細構造が干渉プロセスにより初期に決定される眼鏡レンズの製造方法を提供することである。
【0011】
また、本発明の別の1つの目的は、そのようにして得られる有用な微細構造、特には減光特性を有する微細構造を与える視野補正形状面を含み、前記形状が干渉プロセスにより初期に決定される眼鏡レンズを提供することである。
【0012】
そのような有用な微細構造は、レンズの面自体により実現してもよく、また光学レンズの面機能層により実現してもよい。
【0013】
本発明によれば、干渉プロセスにより初期に決定される有用な面微細構造を含む光学レンズを得る方法は、微細構造が設けられ、視野補正形状を有するモールド内面から微細構造を転写するステップを含む。
【0014】
好ましくは、視野補正形状面は累進的の形状面である。一般には、モールドの進行性形状の曲げ半径は、補正形状面のいかなる個所で測定しても40mm〜100mmの範囲である。
【0015】
本発明によれば、眼鏡レンズを製造するのに、従来用いられているあらゆる種類のモールディング、例えば、一体型のモールドまたは複合型のモールド、若しくは追加の要素を有するモールドまたはインサートを有するモールドを用いた直接モールディング、オーバーモールディング(overmoulding)、および、例えば、ダイスタンピングによる、いわゆる転写モールディング、またはモールド内コーティング転写(In−Mold Coating)を用いた、眼鏡に関し公知の手法を利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明による微細構造を形成するのに有用な90°交差した正弦波状の干渉じまの系の理論表示である。
【図2】図2は、本発明による方法を用いて、直接モールディングによって眼鏡レンズを製造するのに有用な一体型モールドの略図である。
【図3】図3は、本発明による方法を用いて、直接モールディングによって眼鏡レンズを製造するのに有用なインサートモールドの略図である。
【図4】図4は、本発明による方法を用いて、直接モールディングによって眼鏡レンズを製造するのに有用な曲げ可能なインサートを含むモールドの略図である。
【図5】図5は、本発明による方法を用いて、オーバーモールディングによって、眼鏡レンズを製造するのに有用なモールドの略図である。
【図6】図6は、本発明による方法を用いて、ダイスタンピングにより眼鏡レンズを製造するのに有用なモールドの略図である。
【図7】図7は、本発明による方法を用いて、いわゆるモールド内コーティングプロセスにより、眼鏡レンズを製造するのに有用なモールドの略図である。
【図8】図8は、本発明による微細構造を有するレンズおよび従来のレンズ(微細構造を有さない)について、光波長と屈折率の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態では、使用されるモールドは一体型モールド、すなわち、要求された視野補正形状を有するモールド内面に有用な微細構造が直接形成されている。モールドは、プラスチック類、鉱物ガラスまたは金属、特にはニッケルであってよい。
【0018】
本発明の第2の実施形態では、モールドは有用な微細構造が設けられた面を有するインサートを含む複合モールドであり、前記インサートは視野補正面を有するモールド面に適合しており、それにより有用な微細構造を有するインサート面は要求される視野補正形状も有する。インサートは初めに、要求される視野補正形状を有するように成形され、対応するモールド面に、例えば、接着剤により固定されてもよい。インサートはまた、初めに平面形状を有し、その後、モールドの視野補正形状面に適合するように曲げられてもよい。後者の場合、インサートはモールドの視野補正面に接着剤で固定されてもよい。微細構造を設けられたインサートがモールド面に適合するように考案されたプラスチック要素の場合、前記プラスチック要素は、正確に適合されるように最小限の弾性を有する必要がある。そのような便宜な要素は、例えば、30℃でのヤング率が1.2ギガパスカルである。一般に、前記便宜な要素は2.5ギガパスカル未満のヤング率を有する。
【0019】
さらに、インサートは基質の面に直接形成されるプラスチックのような物質層から形成してもよい。
【0020】
本発明の第3の実施形態では、モールドはその面の1つに有用な微細構造が与えられた平面状のインサートを含む複合モールドであってもよく、前記平面状のインサートはモールド内において、モールド内に圧力をかけるか、または真空状態を発生させることにより、モールドの視野補正形状面に適合するように曲げられる。
【0021】
本発明の眼鏡レンズを得る方法によれば、熱硬化性または化学線作用を有する放射線硬化性、特には紫外線硬化性であり、モールド内にキャスト可能であるか、または射出可能であり、要求される光学透過性を有し、かつ必要な機械特性を有する全ての光学物質または組成物を使用可能である。そのような物質または組成物は、眼鏡レンズ自体を製造するのに使用される物質または組成物のみならず、眼鏡レンズに耐磨耗層を形成するために適用される物質のような、眼鏡レンズに特定の機能層を析出させる物質または組成物をも含む。
【0022】
好ましくは、前記光学用の物質または組成物は、熱可塑性物質若しくは、熱硬化性または化学線作用を持つ放射線硬化性のモノマー類の液状組成物である。本発明の方法では、特に液状のモノマー組成物は好ましい。
【0023】
本発明による方法で使用する光学用のモノマー組成物において有用なモノマー類は、アルキル(メタ)アクリレート類、特に、メチル(メタ)アクリレートおよびエチル(メタ)アクリレートのようなC1 〜C4 のアクリル(メタ)アクリレート類、線形または分岐を有するアリルカーボネート類のようなアリル誘導体、脂肪族または芳香族のポリオール、およびチオ(メタ)アクリル酸誘導体である。
【0024】
本発明による方法において、特に好ましいモノマー類は、エチレン・ビス・アリルカーボネート、ジエチレングリコール・ビス・2−メチルカーボネート、ジエチレングリコール・ビス(アリルカーボネート)、エチレングリコール・ビス(2−クロロアリルカーボネート)、トリエチレングリコール・ビス(アリルカーボネート)、1,3−プロパンジオール・ビス(アリルカーボネート)、1,4−ブタンジオール・ビス(2−ブロモアリルカーボネート)、ジプロピレングリコール・ビス(アリルカーボネート)、トリメチレングリコール・ビス(2−エチルアリルカーボネート)、ペンタメチレングリコール・ビス(アリルカーボネート)、イソプロピレン・ビスフェノールA・ビス(アリルカーボネート)である。この中でも特に好ましいモノマーはジエチレングリコール・ビス(アリルカーボネート)である。
【0025】
本発明の方法に使用する組成物において有用な他の種類のモノマー類は、ポリエトキシル化されたビスフェノールA・ジメタクリレート類のような芳香族系のポリエトキシル化された(メタ)アクリレート類であり、特には、仏国特願2,699,541号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0026】
チオ(メタ)アクリル酸モノマー類も使用してよく、特には、仏国特願2,734,827号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0027】
ポリチオール類およびポリイソシアネート類をモノマー単位とする組成物を使用してもよく、米国特許4,689,387号明細書の実施例に記載されているようなポリウレタン類に導かれる。
【0028】
さらに、組成物は1以上のジ−またはポリ−チオールモノマー類と、ビニル基、メタ(アクリル)基またはチオ(メタ)アクリル基のようなチオール官能性の反応性不飽和基を有する1以上のモノマー類とを含んで使用してもよい。
【0029】
もちろん、モノマー組成物は、上記のモノマー類の混合物を含んでもよい。
【0030】
微細構造を含む層の屈折率が高い程、減光効果が高いことを言及する必要がある。結果的に、微細構造を含む層の屈折率は好ましくは1.55以上であり、より好ましくは1.6以上である。当然、そのような微細構造を含む層は、有機ガラスで形成してもよく、または有機ガラス基質の面に施与される耐磨耗層のような表面層で形成してもよい。
【0031】
本発明による方法において、有用な熱可塑性材料は、熱可塑性ポリカーボネート類のような、熱可塑性のプレポリマー類およびポリマー類を含む。
【0032】
本発明の別の態様によると、有用な微細構造は光学レンズ自体には形成されず、そのようなレンズに施与される、例えば耐磨耗性コーティングのような機能性コーティング中に形成される。この場合、本発明の方法では、眼鏡レンズ上に特定の性質を有する層、例えば、耐磨耗性コーティングのような層を形成するのに便宜であれば、いかなるモノマー組成物を使用してもよい。
【0033】
そのような耐磨耗性の硬化性組成物は、シランの加水分解物、特には、仏国特願9,302,649号明細書に記載されているようなエポキシシランの加水分解物をベースとする組成物およびアクリル酸誘導体をベースとする組成物を含む。
【0034】
当然、本発明による方法において、有用な物質および組成物は、眼鏡レンズ類を製造する際に通常使用されるいかなる添加剤を含んでもよく、具体的には、熱重合用のおよび/または光化学重合用の開始剤および触媒を含んでもよい。
【0035】
上記示しているように、有用な微細構造は干渉プロセスによって初期に決定される。すなわち、有用な微細構造は干渉プロセスにより、モールド面に直接形成されるか、またはその面に干渉プロセスによって得られた有用な微細構造を含むマトリックスからの転写により得られる。
【0036】
より正確には、干渉プロセスは、2つの干渉性の光波を重畳することで干渉じまのパターンを形成することと、この干渉じまのパターンを基質にコートした感光性の材料層に照射することからなる。
【0037】
その後、従来の感光性の材料層を形成することにより、周期的な微細構造が得られる。
【0038】
感光層に対する2つの照射ステップは、基質を回転させることにより、好ましくは第1の照射ステップの後、90°回転させ、その後、感光性の材料層を従来通り形成する。
【0039】
その後、周期的な微細構造が面に形成される。そのようにして、減光特性が視野角度から独立した等方性構造を得てもよい。
【0040】
当然、干渉じまは、異なるまたは同一のピッチ(i)と振幅(2A)を有する。また、前記照射ステップは、複数の微細構造が重畳することによって形成される最終的な微細構造が形成された後に、感光性の材料層を得るため、様々な回数繰り返してもよい。
【0041】
一般に、干渉性の光ビーム、例えば、レーザービームの波長は、170〜510nmの範囲に含まれ、干渉じまパターンのピッチ(および、結果的に得られる周期的の微細構造のピッチ)は、100〜300nmの範囲に含まれる。振幅2Aは一般に100〜300nmの範囲に含まれる。
【0042】
好ましくは、平坦な光波を使用し、正弦波状に変化する微細構造を得る。
【0043】
周期的な微細構造は一般に、下記式1を用いて直交基準系(x,y,z)で定義される。
【数1】


式中、An 、Bn はx軸方向における微細構造中のフーリエ係数であり、Cm 、Dm はy軸方向の微細構造中のフーリエ係数であり、iは微細構造のピッチ(周期)である。
好ましくは、Bn =Dm =0であり、An =Cm =A(正弦波状構造)であり、干渉じまパターンおよび結果的に得られる微細構造のパターンは下記式2で表される。
【数2】


式中、iは周期を表し、Aは半振幅を表す。
【0044】
図1は、90°交差した正弦波状の干渉じまを示す。
【0045】
上記定義は、干渉じまパターンが平坦な面に保持された場合に関する。
【0046】
曲がり面の場合では、微細構造は干渉パターンに関してわずかにゆがんでいるが、不意の不連続性は全く含まれていない。
【0047】
さらにいうと、微細構造のピッチiは、補正面の状況により実質的に変化してもよい。
【0048】
そのようなゆがみは、微細構造が設けられている面の曲がりを考慮して修正された干渉じまパターンを発生させることにより、排除できる。
【0049】
有用な微細構造内、特には減光作用を持つ微細構造内の空隙部に、不純物および脂肪類が保持されるのを避けるため、微細構造の空隙部には、微細構造よりも屈曲率の低い物質を充填してもよい。両物質の屈曲率の差は0.1以上であるのが好ましい。
【0050】
好ましくは、疎水性の物質が抗不純物用の物質として選定される。
【0051】
好適な抗不純物用の物質は下記式3で表される。
【化1】


式中、Rは例えば、C1 〜C6 のアルキルラジカルであり、nおよびn’は各々独立の0〜6の整数である。
【0052】
以下、添付した図面を参照に説明する。
【0053】
直接モールディングによる製造法に対応する図2〜4を参照に、本発明による眼鏡レンズの製造法を示す。
【0054】
図2〜4において、同一の要素は同一の参照番号で扱っている。
【0055】
有機ガラス製の眼鏡レンズは、固定要素5と接続されているモールドiの2つの構成要素2および4の間でのモールディングにより製造される。光学用物質または組成物は、穴6からキャスティングまたは射出することによりモールドアセンブリ内に導入され、アセンブリ内で硬化され、または重合され、モールドを解体することにより、光学レンズが得られる。一般に、モールド構成要素2および4のうちの少なくとも1つは、内面、例えば、視野補正形状を有する内面3を含む。
【0056】
図2および3に示すように、本発明によると、モールド構成要素2の内面3は、有用な微細構造、すなわち、光学的な作用を持つ微細構造、好ましくは減光作用を持つ微細構造が与えられている。
【0057】
図2に示された実施形態では、モールド構成要素2、有用な微細構造を含む内面3は、モールド構成要素中に直接形成されている。金属、例えば、ニッケルやプラスチック類からなるモールド構成要素は、有用な微細構造が設けられた補正形状面を含む。そのような微細構造は、干渉プロセス、例えば、図1に示される干渉じまパターンの使用により初期に決定される。
【0058】
微細構造が設けられた補正形状面が与えられた一体型モールド構成要素を製造するための第1の方法は、上記のような電気めっき法により、例えば金属製の、例えばニッケル製のマトリックスを製造することからなる。前記マトリックスが十分な厚さであれば、モールド構成要素として直接使用してもよい。
【0059】
微細構造が設けられた補正形状面を与えられた一体型モールド構成要素を製造する第2の方法は、鉱物ガラス製の基質の視野補正形状面上に感光性樹脂層をコートし、上記干渉プロセスによって、前記樹脂層に所望の微細構造を形成する。硬化された層のプラズマアイソトープボンバードメント(plasma isotope bombardment)(例えば、アルゴン・CHF3 プラズマ)により、微細構造がガラス基質に転写される。そのような転写プロセスは、仏国特許2,663,431号明細書に記載されている。
【0060】
一体型モールド部品を製造する第3の方法は、モールド(型)からモールド構成要素をモールディング(形成)することであり、前記構成要素のうちの1つは、干渉プロセスにより初期に決定された微細構造が形成されている。
【0061】
なお、複合モールドの構成要素の補正形状面に直接有用な微細構造を形成することも可能である。そのような場合、モールド構成要素の補正形状面を感光性の樹脂層でコートし、樹脂上での光干渉からなる上記プロセスにより、微細構造を形成させて要求された微細構造パターンを得る。
【0062】
複合モールド構成要素を製造する方法では、微細構造が設けられた補正形状面を有するモールドの1つの構成要素は、重合による複製によって得られる。重合可能な樹脂層が基質の補正形状面にコートされる。その後、コートされた基質は、マトリックス、例えば、金属製(ニッケル)のマトリックスの微細構造が設けられた面と、例えば、真空状態の形成、または圧力の付与により密着させる。コートされた基質を介しての熱重合または光化学重合(樹脂層の性質による)を実施した後、モールドを解体し、補正形状面に要求された有用な微細構造が与えられている基質からなるモールド構成要素が得られる。
【0063】
図3は、有用な微細構造がインサート2’の面3’に与えられている態様を示す。金属、例えば、ニッケル、または、プラスチックであってもよいインサートは、上記のようにして得られる。前記インサートは視野補正形状を有するモールド部品2に固定される必要があるため、モールド部品2の形状に適合するように、予め要求された形状に成形されるか、または例えばダイスタンピングにより曲げられる。一般に、インサート2’は接着剤を用いて、モールド構成要素2の面3に固定する。
【0064】
本発明による微細構造が設けられた眼鏡レンズの製造は、入口6を介して光学性モノマー類の組成物のキャスティングか、または熱可塑性物質の射出により実施される。そしてモールドから取り出すことにより、有用な微細構造、特には減光作用を持つ微細構造が与えられた面を有する眼鏡レンズが得られる。
【0065】
図4では、本発明による方法において有効なモールドの別の一実施形態が示されている。本実施形態では、その1つの面に有用な微細構造、特には減光作用を持つ微細構造が与えられた平面状で、曲げ可能なインサート2’を含む。眼鏡レンズのモールディングの際、そのような平面状のインサート2’は、モールド構成要素2の面3の形状、一般には視野補正面の形状に適合するように、モールド1内に真空状態を形成することにより、微細構造が設けられた面3’に対向する面側へと曲げられてよい。または、そのようなインサート2’は、モールド構成要素2の視野補正面に適合するように、入口6を介してモールドに液状のモノマー類の組成物をキャストするか、または前記入口6を介して熱可塑性物質を射出することによって圧力を与えることで曲げられてもよい。
【0066】
前記曲げ可能なインサート2’は、プラスチックまたは金属製であり、好ましくは、例えば、ニッケルのような金属製である。
【0067】
本発明の方法にそのようなモールドを使用する利点は、類似の、または異なる微細構造を有する種々のインサートを同一の平面状のバンドに成形して、その後、切断し、要求される微細構造に応じてモールド内で使用できることである。さらに、そのようなインサートは、使い捨てであってもよく、容易に交換できてよい。
【0068】
図5〜7は、転写モールディングによる本発明の眼鏡レンズ製造法を示す。
【0069】
特に、図5を参照すると、眼鏡レンズのオーバーモールディング転写用のモールドが図示されている。そのような方法では、図2のモールドに類似したモールドが使用されるが、眼鏡レンズの母材7はモールド内に配置されており、モールの穴6を介して、モノマー類の液状組成物がキャストされるか、または光学用の熱可塑性物質が射出される。モールド構成要素2の内面3に設けられた微細構造は、プレフォーム7上に形成された上部層に転写される。そのような手法は、有用な微細構造が光学レンズ本体ではなく、レンズプレフォーム7をコートする機能層、例えば耐磨耗層を含む、に転写されるという利点を有する。そのようにして、耐磨耗性と減光特性とを同時に有する層が形成されてよい。
【0070】
図6は、有用な微細構造がダイスタンピングプロセスにより形成される本発明の方法の別の一実施形態を示す。その面上に適切な微細構造が与えられた、要求された補正形状面を有するモールド構成要素9を用いて、基質10および表面層11を含む光学レンズプレフォームの前記表面層に、前記モールド構成要素の微細構造を有する面を転写することにより、前記光学レンズに対応する面を設ける。
【0071】
そのようなダイスタンピング法の使用は、硬質の耐磨耗性層のような、光学レンズのコート層に有用な微細構造を形成する。
【0072】
図7は、光学レンズの製造法として公知であるモールド内コーティング法に関する。
【0073】
そのような手法では、光学用物質の層8、例えば、硬質の耐磨耗性の物質層は、有用な微細構造が与えられた視野補正面を含むモールド構成要素2に形成される。そのようにして、モールド構成要素2の微細構造は、層8に直接転写される。その後、光学用の組成物または物質は、モールドの穴6を介して、キャスティングまたは射出により導入され、熱または化学線作用を持つ放射線、例えば、紫外線により硬化され、または重合される。その後、モールドから取り出すことにより、光学的に透明な基質と、要求された補正形状を有し、微細構造が設けられた光学的に透明な層を含む光学レンズが得られる。
【0074】
当然、モールド構成要素は要求された補正形状に応じていかなる便宜な形状、特には凸面、凹面および他の形状を有してよい。
【0075】
明らかに、モールド構成要素に使用される物質は、レンズまたはレンズ上の機能層を製造するのに使用される光学用の組成物および物質の重合または硬化プロセスに応じて選定される。
【0076】
以下、実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0077】
実施例1:モールド内コーティングプロセスによる、ジアリルジグリコールジカーボネート製の反射防止、耐磨耗レンズの製造
干渉プロセスにより初期に得られた周期的な微細構造が与えられたニッケル製のインサートをガラス製のモールド内面に接着する。
【0078】
得られたモールドをアセトンで洗浄し、その後、固形の剥離剤E−349(Societe Chem−Trend Inc.)を0.26%含むフルオロハイドロカーボン(HCFC)溶液で処理する。
【0079】
モールド構成要素の微細構造が設けられた面は、アルコキシシランの加水分解により得られたコーティング組成物(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、イタコン酸、コロイド状シリカ含有)に浸漬する。
【0080】
コロイド状の組成物はダストフリーな状態、すなわち、表面が粘着性のない状態まで予備硬化させる。
【0081】
その内面を微細構造でコートされたモールド構成要素は、レンズの前面をモールドするのに使用され、レンズの後面をモールドするのには、従来の鉱物ガラス製のモールド構成要素(微細構造をもたない)を使用する。
【0082】
両方のモールド部品は組み合わされ、ジョイントにより間隔を空けて保持される、そして全体のアセンブリを固定クリップで保持する。
【0083】
モールドはその後、触媒としてジイソプロピルぺロキシジカーボネート(PPG Company)を含むジアリルジグリコールジカーボネート(PPG Company)で充填される。
【0084】
モノマーからなる組成物はその後、熱硬化される。
【0085】
熱硬化サイクル終了時、モールドは便宜な工具で解体され、耐磨耗性と減光特性を有するレンズが得られる。本発明の方法により得られるレンズは、従来の鉱物ガラス製のモールド(微細構造を有さない)から得られるコートされていないレンズに対し、耐磨耗性および減光特性のいずれにおいても優れている。
【0086】
実施例2:モールド内コーティングプロセスによる、屈折率1.6のポリチオールウレタン製の反射防止、耐磨耗レンズの製造
干渉プロセスにより初期に決定される周期的な微細構造が与えられた面を有するニッケル製インサートを鉱物ガラス製のモールド構成要素の面に接着する。モールドは実施例1と同様の手順で洗浄する。
【0087】
仏国特許9,302,649号明細書の実施例3に記載されているようなコーティング組成物(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランおよびコロイド状シリカの加水分解物)を研究用浸漬コーティング機を用いて微細構造が設けられた面に浸漬コーティングする。
【0088】
コーティングは80℃で15分間硬化し、ダストフリーな状態にする。そのようにしてコートしたモールド構成要素は、レンズの前面をモールドするのに使用され、レンズの後面をモールドするのには、従来の鉱物ガラス製のモールド構成要素(微細構造を有さない)が使用される。
【0089】
両方の部品は組み合わされ、ジョイントにより間隔を空けて保持され、全体のアセンブリを固定クリップにより固定する。
【0090】
モールドはその後、触媒としてジブチル錫を含むモノマー(商標名MR6、三井東圧)で充填する。モノマーからなる組成物は、屈折率1.6のポリウレタンレンズを得るため、表1に示す熱硬化サイクルにより硬化させる。
【表1】

【0091】
硬化サイクルの終了時、モールドを便宜な工具で解体し、レンズを得る。110℃で3時間、後硬化させたレンズはスチールウール試験において、引っ掻き耐性を示し、また、従来のプロセスで得られたコートされていないレンズに対し、減光特性が優れている。
【0092】
実施例3
コーティング組成物にコロイド状のチタンを含むものを使用して、実施例2と同様の手順で実施する。得られたレンズは実施例2のレンズに類似した特性を有する。
【0093】
実施例4:周期的な微細構造が与えられたジアリルジグリコールジカーボネート製のプラスチックモールドの製造
実施例1と類似のモールドをアセトンで洗浄する。実施例1と同様の手順で、モールドをトリアリルシアヌレートと、触媒としてイソプロピルペロキシジカーボネートを含むジアリルジグリコールジカーボネート組成物で充填する。組成物は下記表2に示す熱硬化サイクルで硬化する。
【表2】

【0094】
硬化サイクル終了時、モールドを便宜な工具で解体し、微細構造面を有する基質を得る。そのような基質は、下記実施例のプラスチック製のモールドとして使用する。
【0095】
実施例5:中程度の屈折率と、両面に減光特性を有するレンズの製造
実施例1によるモールドの微細構造が与えられたモールド構成要素をアセトンで洗浄し、レンズの前面をモールドするのに使用する。実施例3のモールドをレンズの後面をモールドするのに使用する。
【0096】
2つのモールドは組み合わされ、ジョイントにより間隔を空けて、全体のアセンブリを固定クリップで保持する。
【0097】
モールドはその後、ポリエトキシル化されたビスフェノールAジメタクリレートを含む中程度の屈折率を有するレンズを得るため、UV硬化剤で充填する。
【0098】
物質はその後、予備硬化はFusions System V Bulbランプにより、後硬化は中圧水銀ランプを2分間用いるオーブンMRE UVによるUV硬化サイクルで硬化した。
【0099】
硬化サイクル終了後、モールドを解体し、両方の面に減光特性を有するレンズを得る。
【0100】
実施例6:中程度の屈折率を有し、1つの面が減光特性を有するUVで硬化された基質の製造
250nmの同一周期を有する2つの90°交差正弦波状の周期的な構造物を用いて形成され、かつ干渉プロセスにより初期に決定された微細構造が与えられたニッケル製のインサートを鉱物ガラス製のモールド構成要素に接着する。そのようなモールド部品はレンズの前面をモールドするのに使用され、レンズ後面をモールドするのには従来の鉱物ガラス製のモールド構成要素(微細構造を有していない)を使用する。2つのモールド構成要素は組み合わされ、ジョイントにより間隔を空けて保持され、全体のアセンブリを固定クリップにより保持する。モールドはその後、中程度の屈折率を持つレンズの原料であるUV硬化性のポリエトキシル化されたビスフェノールAジメタクリレートで充填される。そのような共重合性の組成物は、仏国特許願2,699,541号明細書に記載されている。レンズ原料はその後、Fusion System V Bulbランプで予備硬化され、中圧水銀ランプを用いるオーブンMRE UVにより15分間、後硬化される。
【0101】
硬化サイクル終了時、モールドは便宜な工具で解体され、減光作用を持つ1つの面を有するレンズを得た。
【0102】
図8は、実施例6のレンズと、微細構造を有さない類似のレンズについて、屈折率と波長を示した。
【0103】
図8には、本発明による微細構造を有するレンズにおいて、光学特性が改善されたことが明確に示されている。
【0104】
CIE規格による、反射色は以下の特性を有する。
色:金
色度(度):60
彩度C:6.5
R 中間:0.77
R 可視:0.75
【0105】
実施例7:UVで硬化された両方の面が減光特性を有し、中程度の屈折率を持つ基質の製造
干渉プロセスにより初期に決定された周期的な微細構造を与えられた面を有するニッケル製インサートを、鉱物ガラス製のモールド構成要素に接着する。そのようなモールド構成要素は、基質の前面をモールドするのに使用され、基質の後面をモールドするのには従来の鉱物ガラス製のモールド構成要素を使用する。
【0106】
2つのモールド部品は組み合わされ、ジョイントにより間隔を空けて保持され、全体のアセンブリを固定クリップで保持する。
【0107】
モールドに、実施例6と同一の中程度の屈折率を有するレンズ原料であり、UV硬化性のビスフェノールA・ポリエトキシジメタクリレートを充填する。原料はその後、Fusion System V Bulbランプを予備硬化に用いるUV硬化サイクルにより硬化させる。モールドを解体した後、モールドの微細構造が設けられていない面を、微細構造を含むモールドによりオーバーモールドし、再び硬化させる。アセンブリはその後、中圧水銀灯を用いるオーブンMRE UVを用いて15分間、後硬化させる。
【0108】
硬化サイクル終了後、モールドは便宜な工具で解体され、両方の面に減光特性を有するレンズを得る。得られるレンズの透過率(TV)は98%であり、一方、従来のレンズの透過率は常に90%未満である。
【0109】
実施例8:UVで硬化され、1つの面に減光特性を有し、中程度の屈折率を持つ基質の製造
干渉プロセスにより初期に決定される周期的な微細構造が与えられたニッケル製のインサートは、ジョイントモールディングプロセスのインサートとして使用される。ニッケル製インサートは、クリップにより共に保持されている2つのモールド構成要素は間隔を空けて保持しているジョイントを介してガラス製のモールドに押し付けられる。モールドには、実施例6と同一のUV硬化性の中程度の屈折率を持つレンズ用の原料が充填される。原料はその後、Fusion System V Bulbランプを予備硬化に用いるUV硬化サイクルにより硬化される。モールドを解体した後、モールドの微細構造が設けられていない面を微細構造を含むモールドによりオーバーモールドし、再び硬化させる。アセンブリはその後、中圧水銀灯を用いるオーブンMRE UVを用いて15分間、後硬化される。
【0110】
硬化サイクル終了後、モールドは便宜な工具で解体され、実施例7のレンズに類似した減光特性のレンズが得られる。
【0111】
実施例9:UVで硬化され、両方の面に減光特性を有し、中程度の屈折率を持つレンズの製造
干渉プロセスにより初期に決定される周期的な微細構造が、ポリエチレンテレフタレート製のプラスチックフィルムの面に組み込まれる。このフィルムは鉱物ガラス製の曲がりモールド(−4ディオプトリー)の凸面に接着し、別の類似のフィルムを鉱物ガラス製の曲がりモールド(−4ディオプトリー)の凹面に接着する。
【0112】
両方のモールド部品は組み合わされ、ジョイントにより間隔を空けて保持され、全体のアセンブリを固定クリップで保持する。
【0113】
モールドには、実施例6と同一のUV硬化性の中程度の屈折率を持つレンズ用の原料が充填された。原料はその後、Fusion System V Bulbランプを予備硬化に用いるUV硬化サイクルにより硬化させる。モールドを解体した後、モールドの微細構造が設けられていない面を微細構造を含むモールドによりオーバーモールドし、再び硬化させる。アセンブリはその後、中圧水銀灯を用いるオーブンMRE UVを用いて15分間、後硬化させる。
【0114】
硬化サイクル終了後、モールドは便宜な工具で解体され、両方の面に減光特性を有するレンズを得る。各々の面の反射特性は、実施例6に記載されているように、同一である。
【0115】
透過性(Tv )は98%以上であり、一方、従来のレンズ(微細構造を有さない)の透過性は常に90%未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減光作用を持つ面微細構造を含む眼鏡レンズの製法であって、前記製法は、その内面に微細構造が設けられ、かつ視野補正形状を有するモールドからレンズ面へと微細構造を転写するステップを含み、前記微細構造の形状は干渉プロセスにより初期に決定される。
【請求項2】
前記微細構造の形状が周期的である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周期的な微細構造が100〜300nmの範囲に含まれる周期を有する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視野補正形状面が進行性の形状面である請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記面の曲げ半径が40〜100mmの範囲に含まれる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記モールドが一体型モールドであり、かつ前記微細構造が前記視野補正形状を有するモールド内面に直接形成されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記モールドがプラスチック、金属または鉱物ガラス製である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記モールドが少なくとも2つの層を有する複合モールドであり、前記層のうちの1つの層に有用な微細構造が設けられている請求項1ないし5に記載の方法。
【請求項9】
前記微細構造がインサートを有する1つの面に形成され、前記インサートが視野補正形状を有するモールド面に適合している請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記インサートが前記モールドの視野補正形状面に対応する形状であり、かつ前記インサートが前記面に固定されている請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記インサートが最初平面形状を有し、前記モールドの補正形状面に適合するように曲げられる請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記インサートが前記モールドの補正形状面に接着剤により固定されている請求項10または11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記微細構造が設けられた層がモールドの補正形状面に物質層を施与することにより形成され、前記物質が前記モールドの補正形状面に対向する面に微細構造を形成させように施与されている請求項8に記載の方法。
【請求項14】
熱硬化性および/または化学線作用のある放射線で硬化される光学用モノマー類の組成物をモールドにキャスティングすることにより眼鏡レンズを得る請求項1ないし13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
硬化性で、光学的に透明の熱可塑性物質をモールドに射出することにより、眼鏡レンズを得る請求項1ないし14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記微細構造が曲げ可能な平面状のインサートを有する面に形成され、前記インサートがモールド内において、モールドの補正形状面に適合するように曲げられる請求項9〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
有用な微細構造が設けられたインサート面に対向するインサート面に真空状態を発生させることにより、前記インサートがモールド内で曲げられる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
有用な微細構造を有するインサート面に圧力を加えることにより、前記インサートがモールド内で曲げられる請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記圧力が光学用モノマー類の組成物のキャスティング圧である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記圧力が光学用熱可塑性材料の射出圧である請求項18に記載の方法。
【請求項21】
有用な微細構造の転写ステップが、熱硬化性および/または化学線作用のある放射線で硬化される随意の組成物の層のダイスタンピングにより実施される請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
有用な微細構造の転写ステップが、熱硬化性および/または化学線作用のある放射線で硬化される光学用の組成物または物質を眼鏡レンズ母材にオーバーモールド(over molding)することによる請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記オーバーモールドが、前記母材を含むモールドに光学用モノマー類の組成物をキャスティングすることによる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記オーバーモールドが、前記母材を含むモールドに光学用熱可塑性材料を射出することによる請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記転写ステップが、モールド内面に設けられた有用な微細構造を転写する第1の光学物用質の層をモールド中に形成するステップと、
前記モールド中の第1の光学用物質の層を硬化するステップと、
前記硬化された第1の光学用物質の層の前記微細構造が設けられた面に対抗する面とモールド壁との間に第2の光学用物質を導入するステップと、
前記第2の光学物質を硬化するステップと、
モールドを解体し、前記有用な微細構造が設けられた第1の光学用物質の硬化された層と、前記硬化された層にその面が覆われた第2の光学用物質の基質とを含む眼鏡レンズを回収するステップとからなる請求項1〜5に記載のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記硬化性の第1の光学用物質の層がモノマー類の液状組成物をモールド中に施与することにより得られる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記硬化性の第1の光学用物質の層が熱可塑性物質を射出することにより形成される請求項24または25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記硬化性の第2の光学用物質の基質が光学用モノマー類の液状組成物のキャスティングか、または光学用熱可塑性物質の射出のいずれかにより得られる請求項25ないし27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記硬化された第1の光学用物質の層が耐磨耗性を有するハードコーティングである請求項25ないし28のいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
干渉プロセスにより初期に決定され、かつ視野補正形状を有するレンズ面に組み込まれた有用な微細構造を含む光学レンズ。
【請求項31】
前記有用な微細構造を含む面が耐磨耗層である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有用な微細構造が減光作用を有する請求項30または31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
前記有用な微細構造を有する面が1.55以上、好ましくは1.6以上の屈折率を有する請求項31または32のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−33064(P2010−33064A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215789(P2009−215789)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【分割の表示】特願2000−524124(P2000−524124)の分割
【原出願日】平成10年11月30日(1998.11.30)
【出願人】(594116183)エシロール アテルナジオナール カンパニー ジェネラーレ デ オプティック (69)
【氏名又は名称原語表記】ESSILOR INTERNATIONAL COMPAGNIE GENERALE D’ OPTIQUE
【Fターム(参考)】