本人確認および本人装着確認機能を備えた運動状態モニター装置を用いた情報仲介システム
【課題】保険会社が、所定の運動を行った優良な被保険者を選別し、医療機関への支払いの低減、被保険者への保険料割引を可能する情報仲介システムを提供すること。
【解決手段】このために本発明では、本人確認機能と、本人装着確認機能と、装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行わる機能、とで構成されている運動状態モニター装置を開示する。そして更にこのような運動状態モニター装置と、情報仲介サーバと、保険会社のサーバで構成した情報仲介システムを開示する。
【解決手段】このために本発明では、本人確認機能と、本人装着確認機能と、装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行わる機能、とで構成されている運動状態モニター装置を開示する。そして更にこのような運動状態モニター装置と、情報仲介サーバと、保険会社のサーバで構成した情報仲介システムを開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本人確認および本人装着確認機能を備えた運動状態モニター装置、それを用いた保険料管理システム、ならびに運動実績情報に関する情報仲介システムに関する。ここで云う本人確認機能とは事前に設定された特定人か否かを確認する機能であり、本人装着確認とはその特定人物が運動状態モニター装置を現に身体に装着しているか否かを確認する機能をいう。また運動状態モニター装置とは、心身の健康の維持・向上、疾病の予防あるいは健康増進につながる運動を行う被保険者に対する保険料割引等の利便を与える制度を有する保険に使用されるもので、具体的には被保険者本人の運動実績を的確に把握する装置である。さらにまた保険料管理システムとは、所定の基準を満足する運動実績が確認できた被保険者に対する保険料割引または優遇等の利便を提供する保険料割引システムをいい、情報仲介システムとは、被保険者が健康増進のために行う運動の実績データの真偽を確認して、真正な運動実績データのみを保険会社に提供するシステムをいう。
【背景技術】
【0002】
昨今、医療保険プレミアムは増加の一途をたどり、会社負担額は毎年多額になり経営サイドはコントロールできない経費増に頭を抱えている。多くの会社では従業員に対し健康保険プラン、例えば米国ではHMO(Health Maintenance Organization)やPPO
Plan(Preferred Provider Organization Plan)をオファーして、保険料の一部を負担しながら保険を提供している。具体的には、従業員は一定の医療プランを選択し、資格を得た時点からその会社の団体扱い医療保険の被保険者となり、一定の条件に従い医療費がカバーされることになる。またわが国においても、医療費明細書を被保険者へ送り、医療保険から幾ら支払われているかを被保険者に通知して医療費の抑制を図っている。
【0003】
一方保険会社側では、健康保険プランの加入時には被保険者の既往症を問い、一定以上の既往症を有する被保険者を事前排除した上で保険加入を認めることにより、極端な医療費の支出を抑えるようにしている。
【0004】
しかしながら現行の健康保険システムでは、いわゆる個々人の毎日の健康維持に対する努力に関しては不問である。すなわち被保険者本人の年齢、性別、等の一般的な条件、および個々人の既往症等の過去のデータのみを与件として保険料の算出が行われているのが現状である。
【0005】
一方、常に運動を心がけ心身の健康を保つ努力をする者と、ほとんど運動をせずに過ごす者とでは、医者にかかる頻度、あるいは必要とする医療内容に差があるのは、統計的なデータですでに明らかである。これは換言すれば、前者の常に運動を心がける被保険者は医療費の支出が少なく、後者については医療費の支出が多くなることを意味する。しかしながら、保険加入後の個々人が行う毎日の健康維持に対するこれらの努力は、現状の保険料には反映されていないのが実情である。こうした健康維持に対する自己努力による被保険者の選別、あるいはクラス分けによって保険料を増減させるのは、単に保険会社の採算性を向上させるだけではなく、被保険者への保険料軽減、あるいは社会全体としても総医療費の抑制に効果があると思われる。
【0006】
個々人の健康維持に対する努力を保険料に反映させようとするシステムに関して、ごく最近公開された図18に示す日本国特開2000−276525公報に示す健康目標管理システムがある。この発明は各人の健康度に応じて生命保険料を割り引く保険商品に関わるものであり、本商品について契約を結んだ人は、保険会社が指定する健康増進施設において自己の運動実績を定期的に入力装置103から入力する。健康度計算処理部109は、記憶装置102に保存された図示しない学習歴管理ファイル201、学習効果テスト成績ファイル202、健診ファイル203、運動実績ファイル204、等から健康度を算出して、生成価値算出処理部110により計算された各人の保険料の割引率が計算され、この割引率に基づいた保険料の算出を行う。しかし現実には、保険料の割引や各種無料サービスの提供などの優遇を受けるために、他人に依頼して本人になりすましてもらい、運動実績ファイルなどのデータを作成する事が起こり得る。この点、上記の日本国特開2000−276525公報に示す健康目標管理システムでは、運動実績ファイルなどのデータを、他人が本人になりすまして作成することを防止する事には配慮がなされていない。
【0007】
上述のように、上記の保険料割引などの優遇は被保険者自身の健康維持努力に基づくべきものであるため、被保険者本人が現に運動を行ったのか、それとも他人が被保険者に成り代わり運動実績のみを入力したのかを確認する必要がある。被保険者本人が現に運動を行なったかどうかを確認するためには、本人確認および運動確認の両者が必要となる。この本人確認の単独技術については既に多くの周知技術が存在する。例えば本出願人に係るUSP4,528,442においては、複数個の質問に対する応答を、あらかじめ本人照合用に登録された本人の応答と比較して、本人照合するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら現状の各種の運動器具ないしは装置で用いられる本人確認技術では、本人が他人に、自分への成りすましを依頼するという可能性を前提にしていなかった。例えば歩行計やスポーツクラブで広く用いられている各種のスポーツ器具は、運動量を計算、表示する機能を有しており、保険会社はこれらの運動器具による被保険者の運動量をそのまま信用して保険料のディスカウントすることも可能かもしれない。ただここで問題は、現状では被保険者側からの一定量の運動を実行したという自己申告をそのまま信用する以外に手は無く、保険会社側ではこの自己申告の真偽を確認する手段をもたない点にある。例えば歩行計で一定以上の歩数を記録し、そのデータを自己申告した被保険者に対して保険料のディスカウントをしようとしても次のような問題が考えられる。
【0009】
まず第1の問題として、本当にその被保険者自身がその歩行計を装着していたのか、あるいは他人が装着していたのかは保険会社は確認できない。つまり本人確認ができない。これは一般に本人確認が、単に「本人であること」、例えば一定の暗証番号を知っていることのみで必要十分条件としており、上記暗証番号を他人に告知してその他人が本人になりすまして暗証番号を入力しているのではない、ということまで確認する必要が無い場合が多いためである。銀行預金口座の本人確認の例では、前者の「本人であること」のみが確認できれば、それによる利益享受者が預金者自身であるため、暗証番号入力のみで必要十分要件は満たされたとされるからである。しかしながら、本発明が対象とする一定の運動を行った被保険者の保険料を割り引くという保険料管理システムでは、運動量を申告する本人の申告のみで「本人であること」が確認できても、保険会社が「本人に成りすました他人ではない」と十分に確認できなければ本人の健康維持努力を確認するためには、必要十分条件が満たされたとは言えない。すなわち既存技術だけでは「本人であり、かつ他人ではない」という二つの条件を満たす本人確認は行われていない。
【0010】
第2の問題として、本当に歩行あるいはジョギングしなくても、例えば歩行計を手で振ることによっても歩数としてカウントされるため、本人の体に実際に装着されていたかは確認できない。つまり装着確認ができない。例えば毎月の保険料が7万円として年に84万円の保険料を支払っている被保険者に対して、一定以上の運動をしたら10%の保険料割引があるとする。すなわち8万4千円/年の割引となる。この割引を得るために、被保険者が歩行計を悪用して不正に歩数だけを上げる操作が可能である。例えば一定の機械的な動きを有する回転体に歩行計を一定期間取付けておけば容易にカウント数を上げることが可能であるが、この不正カウント数は被保険者の健康維持努力としてカウントされるべきものではないことは明らかである。この点でも現状の技術では、確実に本人の身体に装着されていることを確認する具体的手段が開示されていない。
【0011】
第3の問題として、例えば歩数データを歩行計上にそのまま表示し、被保険者が自己の運動実績としてその表示された歩数データを保険会社に電話、書類等で申告する場合、保険会社はそのデータの真偽を判別する手段がない。言い換えれば被保険者による虚偽の運動実績データの申告を防止することが出来ない。
【0012】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであって、本発明の第1の目的は保険会社側と被保険者側の双方にとって有益で公平な健康保険料算出に利用できる運動実績情報を生成する運動状態モニター装置を提供することにある。このために本発明では、運動状態モニター装置に、真正な被保険者の真正な運動のみを正しく記録する本人確認機能と本人装着確認機能を装備している。なお暗号化した運動実績情報を被保険者から保険会社へ送ることも出来る。
【0013】
例えば歩行計のような高額ではない運動状態モニター装置を保険会社が被保険者に提供し、運動することを促す。被保険者自身がその歩行計を確実に身体に装着して所定の基準を満足する運動実績を記録すれば、被保険者の健康維持努力を認めて、保険会社は健康保険料を割り引くなどのインセンティブを提供する。これにより保険会社は、被保険者に対して健康でバイタリティーあふれる生活を送るための動機づけを行うことが出来る。
【0014】
本発明の第2の目的は、上記のような運動状態モニター装置を用いて被保険者の健康維持努力を確実に把握することにより、保険料の軽減を図り、これにより競合保険会社に対してビジネス上の優位性を確保する保険料管理システムを提供することである。
【0015】
本発明の第3の目的は、上述のような運動状態モニター装置を用いて被保険者の運動実績データをネットワーク経由で入手し、その運動実績データまたは必要によりこの運動実績データを加工した2次データを保険会社に提供する情報仲介センターを有した情報仲介システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明はかかる課題を解決するために考案されたもので、上述の本人確認、装着確認には、以下の2つの方法のいずれかを用いることが出来る。まず第一の確認方法では、被保険者の本人確認と運動状態モニター装置の装着確認が電話等の通信回線を用いて行なわれる。すなわち保険会社が健康保険や生命保険の被保険者に電話などの通信手段で連絡をとり、例えば真正な被保険者のみが知り得る質問を口頭で被保険者に尋ねて本人確認をする。その直後または直前にその本人が装着している運動状態モニター装置(例:歩行計)に記録されている運動実績情報をネットワーク経由で取得し、解析して、運動状態モニター装置の装着確認をする。すなわち、運動状態モニター装置が、本人確認時に指示された運動(例:軽いジャンプまたは数歩の歩行)を本人確認時の時刻に行なわれた運動として記録していたことが後処理で確認できたら、本人が運動状態モニター装置を装着していたと判断する。このようにして運動状態モニター装置から、取得した運動実績情報を解析して、保険料を優遇するための基準を満足した運動を本人が現にしていたかどうかを判定し、その運動が基準を満足していたと判断すると、本人確認および運動状態モニター装置装着確認ができたとして、保険料を優遇する措置をする。また、運動状態モニター装置から取得した運動実績情報をもとに、その場でトレーニングコンサルタントによる運動トレーニングの指導をすることもできる。
【0017】
次に本人確認、装着確認の第2の確認方法では、電話等を用いずに運動状態モニター装置が、内蔵プログラムにより装着者の本人確認,装着確認を行う。この確認方法では次のステップにより本人確認、装着確認が行われる。
1)運動状態モニター装置は装着者の運動状態をモニターして、不揮発メモリーに記録する(例:歩数,歩数がカウントされた日時のリストデータなど)。
2)運動状態モニター装置は、運動直後に装着者が休息していることを検知する。(例:加速度がしきい値以下である時間がしきい値以上継続した場合)
3)運動直後の休息をとっていると運動状態モニター装置が判断したら、毎回または抜き打ちで一回、運動状態モニター装置から本人確認要求を出力して、本人確認のための情報の入力を求める。本人確認のために装着者に求める入力としては、「暗証番号」,「生年月日」,「本人が安定的に簡単に回答できる質問;例好きな色の名前、血液型、干支、星座、出生地など」がある。運動状態モニター装置が運動直後の状態であると認識した直後に本人確認をすることで、本人が運動状態モニター装置を装着していることが検知される。運動中に本人確認をしないのは、本人確認により運動を妨げることを回避するためである。ただし生体情報による本人確認のように運動中でも運動を妨げないで本人確認ができる手段を使用することもできるので、その場合には、運動直後でなくても本人確認はできる。本人の装着チェック(装着確認)の精度を上げるためには、運動状態モニター装置が装着者に簡単な動作(例:ジャンプや数歩の歩行)の実行を指示し、その運動が指示直後に検知されたら、運動状態モニター装置が現に装着されていると判断する。特に上述の質問事項を複数個内蔵し、ランダムに選択して本人確認を行い、さらに時間的に近接したタイミングで上記の装着確認を行えば、保険会社側は、装着者が契約者(被保険者)本人であり、本人になりすました他人ではない蓋然性を高めることが可能となる。また同時に上述のように本人による運動状態モニター装置が現に被保険者に装着されていることを確認する装着確認も可能となる。
【0018】
4)運動状態モニター装置は、記録している運動実績情報を適性運動基準と比較し、その基準が満足されたら、運動状態モニター装置の使用者本人ごとのIDを用いて生成される暗号キーを用いて暗号化された運動実績情報を表示部に表示する。このとき、この暗号化された運動実績情報を保険会社のフリーダイアルの電話番号とともに表示し、この暗号をそのフリーダイアルに通報すると保険料が割り引かれる旨の説明を付けても良い。データの送信はインターネットを通じて保険会社のホームページ上のデータ受付ページへおくってもよい。これにより確実に正し運動データを、被保険者から保険会社へ送ることが出来る。この第2の確認方法を用いた運動状態モニター装置では、運動状態モニター装置自体に通信機能を必要としないし、運動している本人も電話やインターネット通信が可能な場所で運動をするという制約がなくOFFライン処理となるので、第1の確認方法に比較して運動の自由度が向上するし、運動状態モニター装置をローコスト化、小型化できる。
【0019】
次に本発明の具体的な手段である第1実施例として、運動動作を検出する運動動作センサーと、この運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備えた、運動者の身体に装着する運動状態モニター装置において、予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能を有し、登録した本人が正しく認識された場合のみ運動動作センサーの出力を有効な出力として記録手段に記録するように構成したことを特徴とする運動状態モニター装置を提案する。真正な被保険者が運動動作してることを確認することで、運動実績データの信頼性を向上させるためである。
【0020】
この本人確認処理は、外的要求によりランダムなタイミングで行われても、またこの運動状態モニター装置内部に予め組み込まれた本人確認処理のための所定のタイミングで行われてもよい。この本人確認処理が、予め登録した特定の質問に対して、予め登録した正しい回答を運動者本人が入力することにより行われる。例えば親の名前、好きな色の名前等である。また質問が常に同じであることを避けるために、運動状態モニター装置内に複数個登録されており、その中からランダムに選択された1または複数の質問であってもよい。さらに本人確認は運動者本人の特徴的な生体情報により確認するように構成してもよく、その生体情報の一例として、指紋または声紋を用いてもよい。
【0021】
上記の本人確認機能にさらに、この運動状態モニター装置を運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能を有し、予め登録した運動者本人による装着が正しく確認された場合のみ当該運動センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成してもよい。この装着確認処理では、運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示、例えば身体に装着していなければ感知できない外的指示は、前記運動者本人の身体の一部を振動させることにより行われる。このようにして装着確認を行えば、不正な手段で運動実績データが蓄積されるの防止するためである。この装着確認処理は、身体に装着していなければ感知できない前記外的指示によるタイミングで前記運動動作センサーにより運動実績データが得られたか否かにより判断され、歩行計内に装備された運動動作センサーを用いてもよい。歩行計を用いるのは簡易な装置で運動動作が確認でき、装着確認が容易に出来るからである。
【0022】
上述の所定のタイミングを問題にするのは、装着確認処理が、運動状態モニター装置の身体装着時のみに感知できる外部信号と運動動作センサーの出力信号とが高い相関性を持つか否かで判断されることを意味する。この運動状態モニター装置の身体装着時のみに感知できる外部信号とは内蔵する運動指示音のリズム音であってもよく、このリズム音と運動動作センサーの出力である身体の脈派とが、高い相関性を持つか否かで装着確認処理を行ってもよい。さらに装着確認処理が、当該運動状態モニター装置の身体装着時のみに感知できる加速度情報、すなわちリズム音による運動動作の強弱に関する外部指示と運動動作センサーの出力とが高い相関性を持つか否かで判断されてもよい。
【0023】
本発明による運動状態モニター装置には、記録手段により有効な出力として記録された前記運動センサーの出力から得られた運動実績情報を表示する表示機能を有し、当該表示機能には、暗号化された運動実績情報を表示してもよい。これにより被保険者には運動実績情報が暗号化されて表示されるので保険会社への虚偽の申告を防止することが出来る。
【0024】
さらに本発明の第2の実施例では、保険会社が基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に一定の利便性を供与し、一方では被保険者の当該身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムにおいて、運動動作を検出する運動動作センサーと当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備えた運動状態モニター装置を用いて身体的運動実績を測定し、かつ被保険者が正しく認識された場合のみ運動動作センサーの出力を有効な出力として記録手段に記録する本人確認機能を具備する当該運動状態モニター装置を用いて身体的運動実績を認定するように構成したことを特徴とする保険料管理システムを開示する。具体的には被保険者に供与されるその利便性とは、保険料割引であってもよい。これは自己健康管理を徹底する優良な被保険者を選別するためである。この運動状態モニター装置にはさらに装着確認機能を付加してもよい。
【0025】
なお上述の保険料割引が前記医療費の抑制価値以下であることを特徴としている。これは優良な被保険者を保険会社が選別することで、より多くの利益を保険会社が得るためである。
【0026】
さらに保険会社、被保険者以外の第三者として、健康指導会社が運動状態モニター装置を用いて被保険者の身体的運動実績情報を蓄積し、蓄積された身体的運動実績情報を保険会社へ提供し、かつ前記保険料割引の割引額と前記医療費の抑制価値との差額以内の運動促進料を当該保険会社から当該健康指導会社へ支払われるように構成してもよい。この健康指導会社が、さらに前記被保険者に対して前記保険会社から受け取る前記運動促進料以内で、前記被保険者に対して健康指導を行い、被保険者の効率のよい運動促進策を行い、積極的に医療費抑制を図ってもよい。
【0027】
さらに本発明の第3の実施例として、保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して一定の利便性を供与し、一方では被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムに用いる情報仲介システムにおいて、多数の真正な被保険者の真正な運動実績を検知するために個々の被保険者の身体に装着する、本人確認機能と装着確認機能を具備した運動状態モニター装置であって、ネットワークを介して運動実績情報を送信することが出来る運動状態モニター装置と、当該ネットワークを介して当該運動状態モニター装置から受信した当該被保険者の真正な運動実績情報を所定の情報処理をする情報処理機能、および当該真正な運動実績に従い当該真正な被保険者に一定の利便性を与える保険会社へ情報処理された運動実績情報を送信する送信機能を有する情報仲介センターに設けられた情報仲介機能とで構成されたことを特徴とする情報仲介システムを開示する。この情報仲介センターは、上述の健康指導会社と同じ機能を有していてもよいし、その外注機関としてデータの仲介のみを行ってもよい。なお情報仲介センターは、被保険者に対して蓄積された運動実績情報、または運動実績情報を分析、加工した付加価値情報を、真正な被保険者の携帯電話または情報端末に定期的または被保険者の要求によりネットワークを介して配信してもよい。これにより被保険者は自己の運動実績データを容易に入手することができ、健康促進に役立てることが出来る。なおこの場合、保険会社における医療費の抑制価値が、前記被保険者に与える一定の利便性のために必要とする経費以上の経済的価値であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
以上記載のごとく、本発明による運動状態モニター装置1または2では、従来の運動状態モニター装置のように単に運動情報を記憶するだけではなく、本人確認機能を有し、しかもこの本人確認が暗証番号の入力による等による「本人であること」の確認のみでなく、「かつ本人になりすました他人ではない」ことを積極的に確認できるため、被保険者以外の他人による不正な運動量データの蓄積を防止することが出来る。また運動直後に装着確認が行われるので、被保険者の運動のみを正しく記録することが出来る。そしてこの運動状態モニター装置を保険会社または業務委託を受けた健康指導会社が被保険者に提供し、自発的に運動することを促し、被保険者自身が一定期間に一定の運動量だけ記録すれば、被保険者の健康維持努力を認めて、健康保険料を割り引く等の有用な保険料管理システムを構築することが出来る。
【0029】
さらに本発明による保険料管理システム500または600では、保険会社に代わって健康指導会社が被保険者の保有する運動状態モニター装置1または2から被保険者の運動実績データを受け取り、被保険者が適切な運動を行っているかのチェックを行う。さらに健康促進のためのアドバイスを被保険者に与え、結果として医療費の抑制を行い、保険会社の収益増進を図ることが出来る。
【0030】
また本発明による情報仲介システム700では、情報仲介センターが運動指導会社の業務の一部である情報処理業務を行い、結果として保険会社の収益増進を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的位置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲を限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0032】
1は第1実施例に係る運動状態モニター装置1の外観図を示す。このタイプの運動状態モニター装置では、運動をする人の体に、ベルト等の装着用部材60により、服の上または下に装着して、運動をする人の運動の種類や量、運動の時間などを測定し、運動日時と対応させて記録していく。運動状態モニター装置を携帯電話との一体型にして、運動状態モニター装置で検出した情報を遠隔地に送信したり、遠隔地からの指令や質問などの情報を受信して表示できるようにしてもよい。測定・記録した情報を加工して、表示部20に表示することもできる。運動状態モニター装置には、生体情報測定センサー端末10、図示しない内蔵する加速度センサーの両方または一方が内蔵されている。また、これらのセンサーの情報をもとに、運動をする人の運動状態を判別し、目的とする運動状態に関する運動の量(例:歩数)を算出するためのプログラムも内蔵している。
【0033】
運動状態モニター装置を、本人以外が装着して運動することで本人が保険料の割引などの優遇サービスを不正に受けることを防止するために、本人になりすました他人でなく本人がその運動状態モニター装置を現に装着していることを確認するための機能を設けている(本人確認機能)。すなわち、保険会社(又は健康指導会社)が本人に抜き打ち的に電話し、本人に関する質問を適当な個数だけ電話100を通して口頭で行なう。例えば本人確認のための質問としては、「暗証番号」,「生年月日」,「本人が安定的に簡単に回答できる質問;例 好きな色の名前、血液型、干支、星座、出生地など」がある。
【0034】
その質問への回答から本人確認ができたら、次に本人が現にその運動状態モニター装置を装着しているか、または他の不正な手段で運動状態を装っていないかどうかを確認する(装着確認機能)。例えば、機械的な構成による運動体に本装置を取り付けて架空の運動実績データを捏造していないかどうかを確認する。このためには一例として、保険会社(又は健康指導会社)200の担当者がランダムに選択した被保険者へ電話で、本人にジャンプ運動を指示して、本人にその場で例えば少しジャンプ運動等をしてもらう。運動状態モニター装置付き携帯電話の場合には、運動トレーニングの全過程をその場で指導して体を動かしてもらうこともできる。この指示時刻とジャンプ運動による運動実績データの記録時刻がタイミング的に近ければ本人が現に本装置を用いていることが確認できることになる。
【0035】
次に、運動状態モニター装置の記録情報を電話またはインターネット等の通信回線を介して、保険会社(又は健康指導会社)のコンピュータが吸い上げる。運動状態モニター装置から直前のジャンプなどの運動情報が出力され、本人のIDも検出されたら、本人が装着している運動状態モニター装置の記録している情報として処理する。運動状態モニター装置が保険会社(又は健康指導会社)のコンピュータと回線で接続されていない状況では、運動状態モニター装置が記録している運動履歴情報の評価は保険会社(又は健康指導会社)のコンピュータではできない。その場合、運動状態モニター装置は、内部に記録しているこの本人の運動履歴情報を適性運動基準と比較し、その基準が満足されたら、運動状態モニター装置の使用者本人ごとのIDを用いて生成される暗号化されたデータを表示部20に表示してもよい。データが暗号化されているので本人が虚偽のデータを保険会社へ申告することは不可能となる(暗号化データ自己申告機能)。この運動履歴情報が保険会社に通報されると、一定の基準を満足する良好な運動を記録していたら、本人の保険料を割り引くなどのサービスを与える。
【0036】
本装置には、上記のほかに操作部30で後述するフローチャート内の入力を行う。またスピーカ40、マイク50を通じて装置と本人、あるいは電話を通じて保険会社との情報交換を行なうこともできる。あるいは保険会社の所定のホームページ上に設けられたデータ受付ページへインターネット経由で、本人がアクセスして前記の暗号化されたデータを自己申告してもよい。
【0037】
第2図は他のタイプの運動状態モニター装置2の外観図を示す。このタイプの運動状態モニター装置2は上述の運動状態モニター装置1とは異なり保険会社と本人確認、装着確認のために電話連絡等は行わず、運動状態モニター装置2自体でこれらの確認が行われる。まず装着者本人の運動状態をモニターし、記録する。そして、運動を休止したことを検知した直後に、装着チェックのための被保険者に対し軽い運動(例:一定のジャンプ)の実行要求する内部プログラムが稼動する。一定のジャンプなどの運動情報を生体情報センサー端末10や加速度センサーがキャッチして、人間の骨格構造や筋肉の構造に起因して運動時に発生する生体信号パターンが検出されたかどうかによって、運動モニターが人体に装着されているかどうかを判定する。すなわち、予め登録されている比較データと比較されて現に本装置を装着しているか否かの装着確認がチェックされる(装着確認機能)。
【0038】
その後本人確認の情報入力(例:指紋入力、音声入力)を求める内部プログラムがさらに稼動して本人確認をする(本人確認機能)。本人確認のチェック項目は第1実施例と同様であるが、指紋センサー80を用いて内部に登録されている参照データと比較してもよいし、操作部30の所定のボタン操作により暗証番号を入力してもよい。なお小型指紋センサーは例えばSONY製 型番CXA3271GEなどがある。さらにまたマイク50から声を入力して声紋の一致、不一致で判断してもよい。いずれにせよこれらの装着確認、本人確認は第1実施例とは異なり、運動状態モニター装置単独で本人との間でチェックが、いわばオフライン的に行われる点が異なる。
【0039】
装着確認、本人確認が完了したら第1実施例と同様に記録された運動実績情報が基準を満たしていたら、運動状態モニター装置の使用者本人ごとのIDを用いて生成される暗号化されたデータを表示部20に表示する。この暗号化された運動データを本人が電話また保険会社の所定のホームページ上に設けられたデータ受付ページへ自己申告する(暗号化データ自己申告機能)。データが暗号化されているので虚偽の自己申告は出来ないのは第1実施例と同様である。
【0040】
ハード構成
次に第3図を参照して本発明に係る運動状態モニター装置1または2のハード構成について説明する。内部構成要素であるCPU100、ROM110、EEPROM120、RAM130、加速度センサー140、A/D150、D/A160、生体情報測定ユニット170、および外部構成要素である既述の生体情報測定センサー端子10、表示部20、操作部30、スピーカー40、マイク50、さらに運動状態モニター装置2に使われる指紋センサー80は、全てバスラインによって接続されている。
【0041】
ROM110には、この運動状態モニター装置に関するプログラムの全てが入っている。さらに、運動の種類ごとの基本波形パターン、各種の判定用しきい値、制御パラメータが入っている。EEPROM120には、運動状態モニター装置のID番号、運動状態モニター装置の持ち主の氏名や暗証番号,本人確認用の質問およびそれへの回答、本人確認用の指紋パターンや声紋パターンなどのような本人確認用の生体情報もはいっている。EEPROMへのこれらの情報の登録は、運動状態モニター装置の本人への配布前に本人から直接に取得したデータをもとに行なわれる。RAM130はこのソフトの動作に必要な作業用のメモリー領域である。表示部20はLCDで構成され、この装置を操作するユーザへのメッセージを表示する。この表示は、スピーカ40からの音と同期して発生させられる場合が多い。生体情報測定ユニット170は、例えば心電波形を取得したり、心拍波形を取得するために用いる。操作部30は、モード切り替え、質問への回答の入力、暗証番号入力などに用いるボタン群から構成されている。指紋センサー80はユーザの指紋を運動状態モニター装置に入力するために用いる。
【0042】
ソフトウエア-フローチャート
次に図4−図14を参照にして、本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートについて説明する。なお上述の実施例1における運動状態モニター装置1および2においては、重複部分が多いため以下は運動状態モニター装置2の場合について説明する。
【0043】
図4−図6についてはメインルーティーンの概略を、図7−図11については装着確認処理のサブルーティーンSUB200を、図12−図13については本人確認処理のサブルーティーンSUB300を、そして図14については運動の種類と量と時刻の記録に関するサブルーティーンSUB400をそれぞれ開示する。
【0044】
まず図4に示すように運動状態モニター装置1または2が、被保険者本人の所定の身体部所に装着されるとST01で一連の初期化処理が行われる。すなわちST02で操作部30のMODEボタンが登録モードか否かがチェックされる。ここで登録モードとは本人確認用データ、運動評価用データなどを登録するモードである。登録モードである場合、サブルーティンSUB100で所定の登録処理が行われて、その後ST03で実行モードに設定される。その後再びST02で今度は登録モードでなく実行モードが検知される。
【0045】
ST04に進み本装置を現実に身体へ装着しているか否かの確認処理が完了しているか否かがチェックされる(装着確認処理)。装着確認処理とは運動状態モニター装置が本人の身体に現に装着されており、他の不正な手段でモニターを稼動させていないことを確認する行為である。ここでは装着確認フラグが0の場合は確認処理が未終了、1の場合は確認処理は終了して、かつ装着していると確認、2の場合は確認処理は終了して、かつ未装着と確認している、とのフラグ状態から判断される。登録モード直後であれば通常は装着確認が終了していないと判断されるので、後述するサブルーティンSUB200で装着確認処理が行われ、ST05でその結果に応じて装着確認フラグとその確認時刻t0がセットされ、再びST02,ST04を経てST06で本人確認処理済か否かがチェックされる。まだ装着確認処理が完了していなければSUB200へ再び移る。
【0046】
ST04で既に装着確認処理が完了していれば、次にST06に進み現に本人が装着しており他人が不正に装着していないか否かがチェックされる(本人確認処理)。ここで言う本人確認処理とは、保険契約者自身であり、不正に他人へこの運動状態モニター装置を貸し与えていないことを確認する行為である。ST06で未確認と判断されれば後述するサブルーティーンSUB300へ行き所定の本人確認処理がされ、ST07でその本人確認処理結果により本人確認フラグと確認時刻t1がセットされ、再びST02へ戻る。本人確認フラグが、0の場合は本人確認処理は未終了、1の場合は確認処理は終了し、かつ本人と確認、2の場合は確認処理は終了して、かつ他人と確認している、とのフラグ状態から判断される。
【0047】
ST06で既に本人確認処理済みと判断されれば、次にST08では、本人確認済(フラグが1)、装着確認済(フラグが1)のそれぞれの時刻t0とt1が充分接近していれば、本人確認後に運動状態モニター装置の取り外しが無かったと仮定して、ST10で本人による装着を確認したフラグをセットして、一連のモニターの装着確認処理、および本人確認処理を終了し、以下の図5に示す運動記録と評価の処理に移る。ST08で時刻t0とt1が充分接近していなければ、何か不正があったと仮定してST09でフラグをリセットして再びST02に戻る。
【0048】
運動記録と評価の処理
続いて図5に示す運動記録と評価の処理では、上述のSUB200で身体に装着していること、SUB300で本人であることの2つの条件がすでに確認された被保険者である本人の運動量等が記録される。
【0049】
まずST11で内蔵する加速度センサーのデータが記録される。ここで言う加速度センサーとは身体の運動に連動して加速度が検知されるセンサーの一例に過ぎない。例えば歩行計を例にとれば、従来型の振り子式センサーでもよい。またスポーツクラブにおける各種のジムマシンを使用する場合、身体各部の特有の動きを検知するセンサーまたはカウンターでもよい。これらのセンサー、カウンター類については、既に多くの既存技術が存在するので詳細については省略するが、本発明の主題が被保険者の健康維持に有用な運動量を測定して保険会社が被保険者に対して利便を供与する点より、それらの運動量を測定できるすべての測定器と理解されるべきである。さらに必ずしも単一の測定器とは限らず複数種類の測定器を用いてもよい。
【0050】
ST12、ST13ではモードによって生体情報が読み取れば生体情報を読み取り記録する。生体情報とは例えば心拍数や血圧情報、あるいはこれらの一次生体情報に限らずこれらの一次生体情報の時間的な変化率等の二次生体情報をいう。これらは図2の生体情報センサー端末10として一例が図示されているが、これに限定されるものではなく、カフ内のマイク、皮膚密着型のレザーセンサー等の各種生体センサーで検知される生体情報をいう。ST14ではそれらの情報が評価できる十分な時間幅で記録されていることを確認し、短過ぎれば再びST11へ戻るか、もし十分な時間幅があれば次のST15で、ST11とST13で記録されたデータを基に本人が運動中かそれとも一時停止かの判断がされる。仮に運動中と判断されれば、ST16でその運動の種類と運動量、ならびにその運動時刻を記録し、再びST02のステップに戻り装着確認、本人確認、そして運動記録のステップが、ST15で一時停止と判断されるまで繰り返される。そしてST15で一時停止と判断されると、さらに一定以下の短い停止であれば一時休息であったと判断され、再びST11に戻り運動記録が再開される。もしST17で一定以上の長い時間にわたり停止状態が続けば、運動が終了され休息中と判断し、ST18でそれまでの運動評価値を図2に示す表示部20に表示すると共に現在のメニューを表示する。
【0051】
図6では、休息中の状態で次の新たなメニューが選択されたのか、または運動の完全な終了かの判断がされてその最終処理に入る。すなわちST19で操作部30の操作キーを読み取り、ST20で新たなメニューが選択されればST21でそのメニューに対応する処理を起動させ再びST02へ戻り、処理が続行される。もしST20で新たなメニューが選択されない場合には、ST22,ST23で警告音を所定回数出した後に必要情報を不揮発メモリーに記憶して電源を切り終了する。なおST23では警告音が所定回数前であれば再びST02に戻り処理が再開される。
【0052】
こうした一連の流れで、一回毎の運動量が加算記録され運動実績情報が本運動状態モニター装置内に蓄積される。フローチャートには図示しないが、この運動実績情報は既に述べたように表示部20に表示し、電話で一定期間経過後に保険会社のデータベースへ伝えてもよいし、またインターネット網で所定のホームページへ送ってもよい。この場合申告者自身が利益享受者であるため、その真正を担保するため、予め保険会社側により秘密に設定された暗号化方法で上記の運動実績情報は暗号化されて表示される。従って申告者自身により記録改変は不可能となる。この暗号化された運動実績情報は保険会社で復号化され、その運動記録により保険料のディスカウント等の利便が被保険者に与えられる。
【0053】
装着確認処理
以下図7から図11を参照にして、図4に示すSUB200装着確認処理について詳述する。装着確認処理とは利益享受者である被保険者の身体に現に本運動状態モニター装置が装着されており、他の不正な手段で運動実績情報が偽造されていないことを担保するための処理である。本発明に係る運動状態モニター装置では以下5種の確認方式を開示するが、必ずしもこれらに限定する意味ではなく例示に過ぎない。
【0054】
(B1):装着者にのみ検知できる指示の実行を確認する方式。例えば運動状態モニター装置が振動して一定の運動実行の指示を出す。この場合は肌への接触装着は不要である。
(B2):運動状態モニター装置装着時の運動でのみ検出できる特徴的な信号を確認する方式。これは運動状態モニター装置の検出する加速度信号の精密解析で、人体装着時の運動に特有の波形(例:歩行時波形)を検出する。肌への接触装着は不要である。
(B3):運動状態モニター装置の発生する指示リズムに同期した生体信号リズムを確認する方式。生体信号の検出が必要であり、肌への接触装着が必要である。この同期を確認する手段については後述する。
(B4):運動状態モニター装置の発生する指示リズムに同期した加速度信号を確認する方式。この同期を確認する手段については後述する。肌への接触装着は不要である。
(B5):生体信号を連続検知する方式。肌への接触装着が必要である。
以下上記の5つの装着確認方式について順次説明を加える。
【0055】
図7において、装着確認処理SUB200が始まると、まずST201でどの方式を用いて装着確認がされるかの番号が読み取られる。この番号は本フローチャートではB1からB5のいずれか一つが予めこの運動状態モニター装置を配布する保険会社によりセットされている。但し必ずしも一つにセットする必要は無く、複数の方式で装着確認を行ってもよい。B1方式が図7、B2方式が図8、B3方式が図9、B4方式が図10、B5方式が図11にそれぞれ示されている。
【0056】
B1方式
図7のST210でB1方式が確認されると、運動状態モニター装置から特定の運動指示の振動を出す。装着者はこの振動を感知してから、予め取り決めされた運動、例えば歩行計であれば10歩だけ歩いて、5秒間停止し、さらに10歩だけ歩く。ST212でその運動が歩行計の加速度センサーで感知され、その情報が読み取られ記録される。すなわち身体にこの運動状態モニター装置を現に装着していなければこのような条件反射は出来ないため、装着が確認できることになる。ST213で所定時間経過したことが確認できたら、ST214で運動の種類と、量とその時刻が記録される。ST215では指示された特定運動が検知されたかが判断され、ST216とST217でそれぞれ特定運動検知、あるいは非検知が設定される。その後装着確認処理を出てST05へ進む。なお特定運動を上述のように予め指定しておいてもよいし、その都度、表示部20上に指示画面を出してもよい。
【0057】
B2方式
図8のST220でB2方式が確認されると、ST221からST226までST224のステップ以外はB1方式と同様な処理が行われる。B1方式と異なる点はST224では、例えば上述の歩行計の特定歩数の検知と異なり、より精密な歩行波形の特徴を検出することである。この歩行波形をチェックすることでより厳格な装着確認が可能となる。
【0058】
B3方式
図9のST230でB3方式が確認されると、運動状態モニター装置から自動発生する一定の指示リズムに同期した装着者による運動が要求されて、その生体信号リズムで装着有無が確認される。すなわちST231で運動指示リズム音を出力するプロセスが起動される。これに同期し装着者が運動を行う。ST232でその生体信号を内蔵センサーが検知し記録される。ST233で十分な時間幅の情報が記録されたら、ST234で運動指示リズム音のパターンと記録された生体信号のパターンの相関値を求め、ST235でその相関値が一定値以上か否か判断されST236,ST237で一定値以上なら装着と判断し、一定値以下なら装着していないと判断されて装着確認処理を終わる。上述の同期した生体信号リズムとは例えば心拍のリズム等をいう。なお上記のST234、ST235における運動指令音リズムと検出波形の相関による類似か否かの判定の仕方についてはさらに詳細に後述するとともにSUB400として詳細なフローを開示する。
【0059】
B4方式
図10のST240でB4方式が確認されると、ST241からST247までB3方式の場合と類似したステップで装着、非装着が判定されるが、B3の生体センサーではなく、B4方式では加速度センサーを用いて運動状態モニター装置の発生する指示リズムに同期した加速度信号で判断される。例えば歩行計の指定リズムと同期した歩行速度で判断される。他のステップはB3方式と同じである。なお上記のST244、ST245における運動指令音リズムと検出波形の相関による類似か否かの判定の仕方についても図9のST234、ST235と同様に、さらに詳細に後述するとともにSUB400として詳細なフローを開示する。
【0060】
B5方式
図11にはB5の方式による装着確認処理が開示されている。これは例えば心拍パルスを連続検知していて、一定時間以上の不検知時間があった場合に、運動状態モニター装置の取り外しと判断する。最後に心拍パルスを検知した時刻をメモリーに記憶させ、次に心拍パルスを検知した時刻との差の時間を算出し、その時間が所定値よりも大きいと、取り外しと判断する。すなわちST251で最後に生体情報を検知した時刻をtmとし、ST252で現在時刻とそのtmの時間差は所定以下かが判断され、所定以下なら運動状態モニター装置の取り外しは無かったとしてST253で装着確認処理終了、かつ装着を確認とし装着確認フラグを1とする。時間差が所定以上であればST254で装着確認処理終了、かつ装着を未確認とし装着確認フラグを2とする。ST255で生体情報、この場合であれば心拍パルスを読み取り記録する。続いてST256でその生体情報が検知できればST257で最後に生体情報を検知した時刻を現在時刻に変える。そして装着確認処理を終えて、再び図4のST05進み、さらに次の装着確認処理済の判断がST04でされST06の本人確認、さらに前に進み図5のST13で生体情報を読み、記録し、再度上記の運動状態モニター装置の取り外しの有無が繰り返しチェックされる。
【0061】
本人確認処理
以下図12および図13を参照にして、図4に示すSUB300本人確認処理について詳述する。本人確認とは本運動状態モニター装置を装着しているのが利益享受者である被保険者本人か、それとも他人かの確認をいう。本発明に係る運動状態モニター装置では以下2種の本人確認方式を開示するが、必ずしもこれらに限定する意味ではなく例示に過ぎない。
【0062】
(A1)質問への回答を分析する方式。例えば暗証番号、住所、氏名などの個人情報を用いて、その解答の正誤で本人か否かを確認する方式。この方式では生体情報の検知が不要なので肌に検知のためのセンサー端子等の接触装着は不要であるが、データ入力用のキーボードなどが必要である。
(A2)個人識別用の生体情報を利用する方式。例えば指紋、声紋、心電波形、心拍などの取得して、予め記憶しておいたデータとの一致度で本人確認を行う。心電波形と心拍では肌への接触装着が必要である。
【0063】
図12において、本人確認処理SUB300が始まると、まずST301でどの方式を用いて装着確認がされるかの番号が読み取られる。この番号は本フローチャートではA1またはA2のいずれか一つが予めこの運動状態モニター装置を配布する保険会社によりセットされている。但し必ずしも一つにセットする必要は無く、複数の方式で装着確認を行ってもよいし、他人が本人に成りすまして不正に本人確認をパスするのを避けるために、複数の確認方式からランダムに選択してもよい。A1方式が図12、A2方式が図13にそれぞれ示されている。
【0064】
A1方式
図12において、本人確認処理SUB300が始まると、まずST301でどの方式を用いて本人確認がされるかの番号が読み取られる。この番号は本フローチャートではA1またはA2のいずれか一つが予めこの運動状態モニター装置を配布する保険会社によりセットされている。但し必ずしも一つにセットする必要は無く、複数の方式で装着確認を行ってもよいのは上述の通りである。A1方式が図12、A2方式が図13にそれぞれ示されている。
【0065】
図12のST302でA1方式が確認されると、運動状態モニター装置から本人確認のための暗証番号等の質問を表示部20へ表示し、かつスピーカ40から注意喚起音を出す。ST303とST305でキー入力が促され、ST304でキー入力が読み出されて、ST306で予め記憶された本人照合用データとの比較がされる。ST307で他人と判断されるとST309でその旨のフラグが設定され、本人と判断されるとST310でその旨のフラグが設定される。またST305で一定時間以上経過するとタイムアウトになり、ST308で本人確認未終了のフラグが設定される。その後SBU300を出てST07へ進む。
【0066】
A2方式
図12のST302でA1方式が選択されない場合には、図13のST311に移りA2方式の本人確認が行われる。このA2方式ではST311で本人確認のための生体情報入力を求めるための表示がされて、同時に注意喚起音が出力される。ST312で生体情報が入力されるとST314でその生体情報が読み取られる。生体情報とは、指紋パターン、心拍パルスパターン、心電パルスパターン等をいう。さらにST315で登録されているパターンとの類似を判断されてST316、ST317でその結果を表すフラグが設定される。その後
SBU300を出てST07へ進む。
【0067】
運動の種類と量と時刻の記録
上述の図9におけるST234,ST235、および図10におけるST244,ST245で述べた、運動指示リズム音のパターンと、記録された生体あるいは加速度センサー出力信号パターンの相関性判断は次のようにして判断される。以下詳述する。
【0068】
まず周期Tで繰り返される運動指令音リズムを、時間波形f(t)とする。加速度センサまたは生体情報測定ユニットにて得られた生体情報の時間波形をg(t)とする。そうすると、相関関数Φ(t)は次の式のようになる。
【0069】
【数1】
【0070】
Φ(t)は、時間波形f(t)やg(t)の形の一致性のみではなく、その振幅の大きさの影響を受けた関数となるので、正規化をする必要がある。
すなわち、f(t)のエネルギーをf0とし、g(t)のエネルギーをg0とすると、次の式で求められる。
【0071】
【数2】
【0072】
【数3】
【0073】
Φ(t)を正規化した関数を正規化相互相関関数といい、Ψ(t)で示すと、次の式となる。
【0074】
【数4】
【0075】
ただしsqrt(x)はxの平方根を求める関数である。時間区間[−T/2,T/2]の間でのΨ(t)の最大値をΨmaxとし、Ψmaxをしきい値THと比較して、しきい値を越えるかどうかを判定する。
THを越えた場合 : 類似していると判定する
TH以下の場合 : 非類似と判定する
【0076】
運動の種類と量と時刻の記録についてのSUB400
上記の理論を前提にして具体的なフローについて図14を参照にしてSUB400を説明する。ST401で加速度センサーの出力記録情報g(t)をメモリーから読み取り、一方ST402で各種運動種類ごとのN種の基本波形モデルfm1(t)、fm2(t)、fmn(t)も同様に読み取る。ST403,ST404,ST405,ST406で、上述の理論によりg(t)と第k番基本波形モデルfmk(t)との正規化相互相関関数を得て、その最大値をMkとする。同様の処理を各運動モデルに当てはめて、それぞれのモデルについてM1からMnを求める。ST407ではM1−Mnの中で最大の値を与える基本波形モデルの番号を運動の種類として得る。そしてST408で上記で得られた番号の基本波形モデルとg(t)の相互相関関数の最大値を運動強度として記録する。ST409で最終的にg(t)として記録されている時間区間の開始時刻と終了時刻を、運動種類と運動量とを対応付けて記録する。これにより各種運動リズムと比較した運動データが得られる。
【0077】
保険料管理システム
次に上記運動状態モニター装置を使用して、被保険者が一定の運動を定期的に行い自己健康維持の努力を払っている事実が保険会社またはそこから業務委託を受けた健康指導会社が確認した場合、保険料を一定額だけ割引く実施例2に係る保険料管理システムについて以下開示する。
【0078】
図15には本発明の実施例2に係る保険料管理システム500を示す。この実施例では予め保険会社510と被保険者530間で保険契約のときに、被保険者が良好な運動をするのであれば保険料を割り引くとの特約を設定する。また、保険会社510は、被保険者530の運動状態をモニターするための本発明に係る運動状態モニター装置1または2を被保険者に渡す。被保険者は自分が主に運動トレーニングをする場所(例:フィットネスクラブ)の電話番号または自分が運動トレーニングの時にも装着している携帯電話の番号を、保険会社に通知する。被保険者は自己の健康維持のために運動を行う際は、この運動状態モニター装置を身体に装着する。運動するごとにその運動の種類や運動量はモニター装置内の記憶装置M1に蓄積される。
【0079】
一方、保険会社510は自ら又は健康(運動)指導会社520に委託して、被保険者に電話連絡などをして、本人確認および本人が装着している運動状態モニター装置の記録している運動情報をネット網を通じて収集する。この情報の収集は図示したように被保険者530が自ら例えば健康指導会社520のホームページに設けられた運動記録受付ファイルM2へ送ってもよいし、また電話等を用いて口頭で通知してもよい。上述のように本発明による運動状態モニター装置では、自己確認機能や装着確認機能、さらに暗号化データ自己申告機能が装備されているので不正な運動実績が報告されることは無い。
【0080】
被保険者530から被保険者のIDおよび運動情報を受け取った健康指導会社520はそのID、運動の実績の検証を終えた後、そのデータをさらにインターネット等を通じて保険会社の運動実績ファイルM3へ送られる。保険会社510ではこのファイルM3のデータを基にして、保険料に関するデータファイルM4内のその被保険者が運動実績報告前の保険料Yに対して、後日一定金額のディスカウントΔGの利便を与える。これは一定の運動を定期的に続けた被保険者は、後日の医療費GがG’に低減する蓋然性が高く、従ってこの保険料YからΔG分だけディスカウントが可能である。一方保険会社510では被保険者530に対してこの運動状態モニター装置の使用をプロモーションするために一定の促進料Mを支払う。上記の場合、医療費の低下分(G−G’)が、(ΔG+M)分より多ければ、保険会社にとっては利益促進として本システムを使用することが可能となる。また健康指導会社520では、被保険者530が本当に適切な運動トレーニングなどをしているかどうかの確認や、適切な運動トレーニングの指導を行ない、サービス料として保険会社から促進料Mを得るビジネスが可能である。さらに被保険者530では保険会社からΔGの保険料割引を受けられ、かつ自己の健康維持のために健康指導会社から運動トレーニングについてのアドバイスを受けられることになる。
【0081】
図16には本発明の実施例2に係る保険料管理システム500を発展させた他の保険料管理システム600を示す。まず勤務先会社550は、被保険者(社員)の保険料負担YにZを加算した保険料X=Y+Zを健康保険引き受け会社に支払う。保険会社510は、被保険者の病気などに応じて医療費Gを病院や薬局に支払っている。保険会社510は、医療費Gの額を低くするために本発明に係る運動状態モニター装置1または2を保険契約者530に配布する。この目的は被保険者が運動トレーニングをして健康になると、医療費Gの支払いが減少するからである。促進料Mを支払って健康指導会社520に被保険者530の運動トレーニングを促進してもらってもよい。この場合医療費GがΔGだけ減少する事が期待される。M<ΔGであれば、健康保険引き受け会社は利益を得ることになる。
【0082】
一方運動促進会社520は、被保険者530の運動トレーニングの実績情報の提供を条件に被保険者のフィットネスクラブ利用料金の一部(L)を補填する。その結果、社員はそのようなフィットネスクラブは非常な低額(K)で利用可能となり、そのフィットネスクラブの客は増えることが期待される。フィットネスクラブに行かずに個人でフィットネス活動をする場合でも、運動状態モニター装置を装着し、正しく本人が適切な運動をしていることが運動状態モニター装置からの情報からわかれば、運動促進会社520はその被保険者に対して促進料Nを支払う。この場合、運動促進会社520は、管理費+促進料N+利用料Lが、収入である促進料Mよりも小さければ、利益が上がることになる。運動促進会社520はさらに、運動状態モニター装置の被保険者への販売や、運動状態モニター装置を利用したサービス提供でさらに収益を上げることができる。
【0083】
情報仲介システム
図17は実施例3に係る情報仲介システム700が示されている。本実施例は、図15に示す保険料管理システム500の健康指導会社520の業務の一部を情報仲介センター540へ移管したものである。すなわち情報仲介センター540は、被保険者530の運動状態をモニターするための実施例1に示した運動状態モニター装置1または2の記録している運動情報をネット網を通じて収集し、ファイルM4に蓄積する。情報仲介センター540では、この収集したデータを分析して被保険者530が保険料割引ΔGを受けられるだけの運動を行い健康維持を図っているかを判断する。このデータ分析業務以外にも、上述の本人確認、装着確認の業務を行ってもよい。その後、情報仲介センター540は、健康指導会社520または保険会社510へ、ネット網を通じて分析結果を送り、その情報仲介対価として情報仲介料Pを健康指導会社520から受け取る。この場合の情報仲介料Pは、健康指導会社520が保険会社510から受け取る促進料Mの一部から支払われる。なお情報仲介センター540の詳細な構成は省略するが、実際には全ての情報仲介はサーバー上で処理される。なお情報仲介センター540にはネットワークを介して情報の送受信を行う図示しない通信機能を有している。
【0084】
この情報仲介センター540は、上述の健康指導会社と同じ機能を有していてもよいし、その外注機関としてデータの仲介のみを行ってもよい。いずれの場合にも、情報仲介センサー540は、被保険者530の運動実績情報を解析して、その被保険者が所定レベルの運動を行って健康維持の努力を行っているか否かを判断してその結果を保険会社510へ情報提供する。それにより保険会社510では、その被保険者に対する医療費Zの支払いが軽減されるかどうかを判断することが出来る。この他、情報仲介センター540は、被保険者に対してファイルM4に蓄積された運動実績情報、または運動実績情報を分析、加工した付加価値情報を、真正な被保険者の携帯電話または情報端末531に定期的または被保険者の要求によりネットワークを介して配信してもよい。例えばi−モード付の携帯電話であれば、被保険者は自己の運動実績データを容易に入手することができ、健康促進に役立てることが出来る。なおこの場合、保険会社における医療費の抑制価値が、前記被保険者に与える一定の利便性のために必要とする経費以上の経済的価値であることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0085】
上述のように本発明に係る運動状態モニター装置は、運動動作を検出する運動動作センサーと、当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備えるのみでなく、1)予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能と、2)当該運動状態モニター装置を前記運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能と、3)前記装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行わる機能、とで構成されている。このため保険会社は、上記の運動状態モニター装置を装着し健康促進のために所定の運動を行った被保険者のみを選別することが可能となる。このような被保険者は、健康志向の優良な被保険者であると判断することにより、保険会社は保険料を割り引く等の利便を与えることで、競業する他保険会社に対してビジネス上の優位な地位を得ることが可能となる。
【0086】
更に、本発明に係る情報仲介システムは、保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して保険料の割り引く等の一定の利便性を供与し、一方では当該被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制するための保険料管理システムであり、具体的には1)被保険者の有する上記の運動状態モニター装置と、2)その運動状態モニター装置からネットワーク経由で身体的運動実績データを受け取り、信頼性ある運動実績データのみを選別し、その信頼性ある運動実績データを保険会社に対して提供する情報仲介機能を有する情報仲介センターと、3)上記情報仲介センターからの運動実績データを受け取り、この運動実績データに基づき割り引き保険料を設定する保険会社のサーバ、とで構成したので、その保険会社は、医療機関への支払いの低減、被保険者への保険料割引が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1に係る運動状態モニター装置の概略構成を示す。
【図2】実施例1に係る他の運動状態モニター装置の概略構成を示す。
【図3】図2に示す運動状態モニター装置のハードウェア構成を示す。
【図4】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうちメインルーティーンの一部を示す。
【図5】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうちメインルーティーンの一部を示す。
【図6】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうちメインルーティーンの一部を示す。
【図7】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図8】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図9】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図10】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図11】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図12】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち本人確認処理SUB300に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図13】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB300に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図14】運動の種類と量と時刻の記録に関するサブルーティーンを示す。
【図15】実施例2に係る保険料管理システムの概略を示す。
【図16】図15に示す保険料管理システムの他の構成を示す概略図である。
【図17】実施例3に係る情報仲介システムの概略を示す概略図である。
【図18】日本国特開2000−276525公報に示す健康目標管理システムの従来例を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は本人確認および本人装着確認機能を備えた運動状態モニター装置、それを用いた保険料管理システム、ならびに運動実績情報に関する情報仲介システムに関する。ここで云う本人確認機能とは事前に設定された特定人か否かを確認する機能であり、本人装着確認とはその特定人物が運動状態モニター装置を現に身体に装着しているか否かを確認する機能をいう。また運動状態モニター装置とは、心身の健康の維持・向上、疾病の予防あるいは健康増進につながる運動を行う被保険者に対する保険料割引等の利便を与える制度を有する保険に使用されるもので、具体的には被保険者本人の運動実績を的確に把握する装置である。さらにまた保険料管理システムとは、所定の基準を満足する運動実績が確認できた被保険者に対する保険料割引または優遇等の利便を提供する保険料割引システムをいい、情報仲介システムとは、被保険者が健康増進のために行う運動の実績データの真偽を確認して、真正な運動実績データのみを保険会社に提供するシステムをいう。
【背景技術】
【0002】
昨今、医療保険プレミアムは増加の一途をたどり、会社負担額は毎年多額になり経営サイドはコントロールできない経費増に頭を抱えている。多くの会社では従業員に対し健康保険プラン、例えば米国ではHMO(Health Maintenance Organization)やPPO
Plan(Preferred Provider Organization Plan)をオファーして、保険料の一部を負担しながら保険を提供している。具体的には、従業員は一定の医療プランを選択し、資格を得た時点からその会社の団体扱い医療保険の被保険者となり、一定の条件に従い医療費がカバーされることになる。またわが国においても、医療費明細書を被保険者へ送り、医療保険から幾ら支払われているかを被保険者に通知して医療費の抑制を図っている。
【0003】
一方保険会社側では、健康保険プランの加入時には被保険者の既往症を問い、一定以上の既往症を有する被保険者を事前排除した上で保険加入を認めることにより、極端な医療費の支出を抑えるようにしている。
【0004】
しかしながら現行の健康保険システムでは、いわゆる個々人の毎日の健康維持に対する努力に関しては不問である。すなわち被保険者本人の年齢、性別、等の一般的な条件、および個々人の既往症等の過去のデータのみを与件として保険料の算出が行われているのが現状である。
【0005】
一方、常に運動を心がけ心身の健康を保つ努力をする者と、ほとんど運動をせずに過ごす者とでは、医者にかかる頻度、あるいは必要とする医療内容に差があるのは、統計的なデータですでに明らかである。これは換言すれば、前者の常に運動を心がける被保険者は医療費の支出が少なく、後者については医療費の支出が多くなることを意味する。しかしながら、保険加入後の個々人が行う毎日の健康維持に対するこれらの努力は、現状の保険料には反映されていないのが実情である。こうした健康維持に対する自己努力による被保険者の選別、あるいはクラス分けによって保険料を増減させるのは、単に保険会社の採算性を向上させるだけではなく、被保険者への保険料軽減、あるいは社会全体としても総医療費の抑制に効果があると思われる。
【0006】
個々人の健康維持に対する努力を保険料に反映させようとするシステムに関して、ごく最近公開された図18に示す日本国特開2000−276525公報に示す健康目標管理システムがある。この発明は各人の健康度に応じて生命保険料を割り引く保険商品に関わるものであり、本商品について契約を結んだ人は、保険会社が指定する健康増進施設において自己の運動実績を定期的に入力装置103から入力する。健康度計算処理部109は、記憶装置102に保存された図示しない学習歴管理ファイル201、学習効果テスト成績ファイル202、健診ファイル203、運動実績ファイル204、等から健康度を算出して、生成価値算出処理部110により計算された各人の保険料の割引率が計算され、この割引率に基づいた保険料の算出を行う。しかし現実には、保険料の割引や各種無料サービスの提供などの優遇を受けるために、他人に依頼して本人になりすましてもらい、運動実績ファイルなどのデータを作成する事が起こり得る。この点、上記の日本国特開2000−276525公報に示す健康目標管理システムでは、運動実績ファイルなどのデータを、他人が本人になりすまして作成することを防止する事には配慮がなされていない。
【0007】
上述のように、上記の保険料割引などの優遇は被保険者自身の健康維持努力に基づくべきものであるため、被保険者本人が現に運動を行ったのか、それとも他人が被保険者に成り代わり運動実績のみを入力したのかを確認する必要がある。被保険者本人が現に運動を行なったかどうかを確認するためには、本人確認および運動確認の両者が必要となる。この本人確認の単独技術については既に多くの周知技術が存在する。例えば本出願人に係るUSP4,528,442においては、複数個の質問に対する応答を、あらかじめ本人照合用に登録された本人の応答と比較して、本人照合するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら現状の各種の運動器具ないしは装置で用いられる本人確認技術では、本人が他人に、自分への成りすましを依頼するという可能性を前提にしていなかった。例えば歩行計やスポーツクラブで広く用いられている各種のスポーツ器具は、運動量を計算、表示する機能を有しており、保険会社はこれらの運動器具による被保険者の運動量をそのまま信用して保険料のディスカウントすることも可能かもしれない。ただここで問題は、現状では被保険者側からの一定量の運動を実行したという自己申告をそのまま信用する以外に手は無く、保険会社側ではこの自己申告の真偽を確認する手段をもたない点にある。例えば歩行計で一定以上の歩数を記録し、そのデータを自己申告した被保険者に対して保険料のディスカウントをしようとしても次のような問題が考えられる。
【0009】
まず第1の問題として、本当にその被保険者自身がその歩行計を装着していたのか、あるいは他人が装着していたのかは保険会社は確認できない。つまり本人確認ができない。これは一般に本人確認が、単に「本人であること」、例えば一定の暗証番号を知っていることのみで必要十分条件としており、上記暗証番号を他人に告知してその他人が本人になりすまして暗証番号を入力しているのではない、ということまで確認する必要が無い場合が多いためである。銀行預金口座の本人確認の例では、前者の「本人であること」のみが確認できれば、それによる利益享受者が預金者自身であるため、暗証番号入力のみで必要十分要件は満たされたとされるからである。しかしながら、本発明が対象とする一定の運動を行った被保険者の保険料を割り引くという保険料管理システムでは、運動量を申告する本人の申告のみで「本人であること」が確認できても、保険会社が「本人に成りすました他人ではない」と十分に確認できなければ本人の健康維持努力を確認するためには、必要十分条件が満たされたとは言えない。すなわち既存技術だけでは「本人であり、かつ他人ではない」という二つの条件を満たす本人確認は行われていない。
【0010】
第2の問題として、本当に歩行あるいはジョギングしなくても、例えば歩行計を手で振ることによっても歩数としてカウントされるため、本人の体に実際に装着されていたかは確認できない。つまり装着確認ができない。例えば毎月の保険料が7万円として年に84万円の保険料を支払っている被保険者に対して、一定以上の運動をしたら10%の保険料割引があるとする。すなわち8万4千円/年の割引となる。この割引を得るために、被保険者が歩行計を悪用して不正に歩数だけを上げる操作が可能である。例えば一定の機械的な動きを有する回転体に歩行計を一定期間取付けておけば容易にカウント数を上げることが可能であるが、この不正カウント数は被保険者の健康維持努力としてカウントされるべきものではないことは明らかである。この点でも現状の技術では、確実に本人の身体に装着されていることを確認する具体的手段が開示されていない。
【0011】
第3の問題として、例えば歩数データを歩行計上にそのまま表示し、被保険者が自己の運動実績としてその表示された歩数データを保険会社に電話、書類等で申告する場合、保険会社はそのデータの真偽を判別する手段がない。言い換えれば被保険者による虚偽の運動実績データの申告を防止することが出来ない。
【0012】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであって、本発明の第1の目的は保険会社側と被保険者側の双方にとって有益で公平な健康保険料算出に利用できる運動実績情報を生成する運動状態モニター装置を提供することにある。このために本発明では、運動状態モニター装置に、真正な被保険者の真正な運動のみを正しく記録する本人確認機能と本人装着確認機能を装備している。なお暗号化した運動実績情報を被保険者から保険会社へ送ることも出来る。
【0013】
例えば歩行計のような高額ではない運動状態モニター装置を保険会社が被保険者に提供し、運動することを促す。被保険者自身がその歩行計を確実に身体に装着して所定の基準を満足する運動実績を記録すれば、被保険者の健康維持努力を認めて、保険会社は健康保険料を割り引くなどのインセンティブを提供する。これにより保険会社は、被保険者に対して健康でバイタリティーあふれる生活を送るための動機づけを行うことが出来る。
【0014】
本発明の第2の目的は、上記のような運動状態モニター装置を用いて被保険者の健康維持努力を確実に把握することにより、保険料の軽減を図り、これにより競合保険会社に対してビジネス上の優位性を確保する保険料管理システムを提供することである。
【0015】
本発明の第3の目的は、上述のような運動状態モニター装置を用いて被保険者の運動実績データをネットワーク経由で入手し、その運動実績データまたは必要によりこの運動実績データを加工した2次データを保険会社に提供する情報仲介センターを有した情報仲介システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明はかかる課題を解決するために考案されたもので、上述の本人確認、装着確認には、以下の2つの方法のいずれかを用いることが出来る。まず第一の確認方法では、被保険者の本人確認と運動状態モニター装置の装着確認が電話等の通信回線を用いて行なわれる。すなわち保険会社が健康保険や生命保険の被保険者に電話などの通信手段で連絡をとり、例えば真正な被保険者のみが知り得る質問を口頭で被保険者に尋ねて本人確認をする。その直後または直前にその本人が装着している運動状態モニター装置(例:歩行計)に記録されている運動実績情報をネットワーク経由で取得し、解析して、運動状態モニター装置の装着確認をする。すなわち、運動状態モニター装置が、本人確認時に指示された運動(例:軽いジャンプまたは数歩の歩行)を本人確認時の時刻に行なわれた運動として記録していたことが後処理で確認できたら、本人が運動状態モニター装置を装着していたと判断する。このようにして運動状態モニター装置から、取得した運動実績情報を解析して、保険料を優遇するための基準を満足した運動を本人が現にしていたかどうかを判定し、その運動が基準を満足していたと判断すると、本人確認および運動状態モニター装置装着確認ができたとして、保険料を優遇する措置をする。また、運動状態モニター装置から取得した運動実績情報をもとに、その場でトレーニングコンサルタントによる運動トレーニングの指導をすることもできる。
【0017】
次に本人確認、装着確認の第2の確認方法では、電話等を用いずに運動状態モニター装置が、内蔵プログラムにより装着者の本人確認,装着確認を行う。この確認方法では次のステップにより本人確認、装着確認が行われる。
1)運動状態モニター装置は装着者の運動状態をモニターして、不揮発メモリーに記録する(例:歩数,歩数がカウントされた日時のリストデータなど)。
2)運動状態モニター装置は、運動直後に装着者が休息していることを検知する。(例:加速度がしきい値以下である時間がしきい値以上継続した場合)
3)運動直後の休息をとっていると運動状態モニター装置が判断したら、毎回または抜き打ちで一回、運動状態モニター装置から本人確認要求を出力して、本人確認のための情報の入力を求める。本人確認のために装着者に求める入力としては、「暗証番号」,「生年月日」,「本人が安定的に簡単に回答できる質問;例好きな色の名前、血液型、干支、星座、出生地など」がある。運動状態モニター装置が運動直後の状態であると認識した直後に本人確認をすることで、本人が運動状態モニター装置を装着していることが検知される。運動中に本人確認をしないのは、本人確認により運動を妨げることを回避するためである。ただし生体情報による本人確認のように運動中でも運動を妨げないで本人確認ができる手段を使用することもできるので、その場合には、運動直後でなくても本人確認はできる。本人の装着チェック(装着確認)の精度を上げるためには、運動状態モニター装置が装着者に簡単な動作(例:ジャンプや数歩の歩行)の実行を指示し、その運動が指示直後に検知されたら、運動状態モニター装置が現に装着されていると判断する。特に上述の質問事項を複数個内蔵し、ランダムに選択して本人確認を行い、さらに時間的に近接したタイミングで上記の装着確認を行えば、保険会社側は、装着者が契約者(被保険者)本人であり、本人になりすました他人ではない蓋然性を高めることが可能となる。また同時に上述のように本人による運動状態モニター装置が現に被保険者に装着されていることを確認する装着確認も可能となる。
【0018】
4)運動状態モニター装置は、記録している運動実績情報を適性運動基準と比較し、その基準が満足されたら、運動状態モニター装置の使用者本人ごとのIDを用いて生成される暗号キーを用いて暗号化された運動実績情報を表示部に表示する。このとき、この暗号化された運動実績情報を保険会社のフリーダイアルの電話番号とともに表示し、この暗号をそのフリーダイアルに通報すると保険料が割り引かれる旨の説明を付けても良い。データの送信はインターネットを通じて保険会社のホームページ上のデータ受付ページへおくってもよい。これにより確実に正し運動データを、被保険者から保険会社へ送ることが出来る。この第2の確認方法を用いた運動状態モニター装置では、運動状態モニター装置自体に通信機能を必要としないし、運動している本人も電話やインターネット通信が可能な場所で運動をするという制約がなくOFFライン処理となるので、第1の確認方法に比較して運動の自由度が向上するし、運動状態モニター装置をローコスト化、小型化できる。
【0019】
次に本発明の具体的な手段である第1実施例として、運動動作を検出する運動動作センサーと、この運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備えた、運動者の身体に装着する運動状態モニター装置において、予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能を有し、登録した本人が正しく認識された場合のみ運動動作センサーの出力を有効な出力として記録手段に記録するように構成したことを特徴とする運動状態モニター装置を提案する。真正な被保険者が運動動作してることを確認することで、運動実績データの信頼性を向上させるためである。
【0020】
この本人確認処理は、外的要求によりランダムなタイミングで行われても、またこの運動状態モニター装置内部に予め組み込まれた本人確認処理のための所定のタイミングで行われてもよい。この本人確認処理が、予め登録した特定の質問に対して、予め登録した正しい回答を運動者本人が入力することにより行われる。例えば親の名前、好きな色の名前等である。また質問が常に同じであることを避けるために、運動状態モニター装置内に複数個登録されており、その中からランダムに選択された1または複数の質問であってもよい。さらに本人確認は運動者本人の特徴的な生体情報により確認するように構成してもよく、その生体情報の一例として、指紋または声紋を用いてもよい。
【0021】
上記の本人確認機能にさらに、この運動状態モニター装置を運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能を有し、予め登録した運動者本人による装着が正しく確認された場合のみ当該運動センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成してもよい。この装着確認処理では、運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示、例えば身体に装着していなければ感知できない外的指示は、前記運動者本人の身体の一部を振動させることにより行われる。このようにして装着確認を行えば、不正な手段で運動実績データが蓄積されるの防止するためである。この装着確認処理は、身体に装着していなければ感知できない前記外的指示によるタイミングで前記運動動作センサーにより運動実績データが得られたか否かにより判断され、歩行計内に装備された運動動作センサーを用いてもよい。歩行計を用いるのは簡易な装置で運動動作が確認でき、装着確認が容易に出来るからである。
【0022】
上述の所定のタイミングを問題にするのは、装着確認処理が、運動状態モニター装置の身体装着時のみに感知できる外部信号と運動動作センサーの出力信号とが高い相関性を持つか否かで判断されることを意味する。この運動状態モニター装置の身体装着時のみに感知できる外部信号とは内蔵する運動指示音のリズム音であってもよく、このリズム音と運動動作センサーの出力である身体の脈派とが、高い相関性を持つか否かで装着確認処理を行ってもよい。さらに装着確認処理が、当該運動状態モニター装置の身体装着時のみに感知できる加速度情報、すなわちリズム音による運動動作の強弱に関する外部指示と運動動作センサーの出力とが高い相関性を持つか否かで判断されてもよい。
【0023】
本発明による運動状態モニター装置には、記録手段により有効な出力として記録された前記運動センサーの出力から得られた運動実績情報を表示する表示機能を有し、当該表示機能には、暗号化された運動実績情報を表示してもよい。これにより被保険者には運動実績情報が暗号化されて表示されるので保険会社への虚偽の申告を防止することが出来る。
【0024】
さらに本発明の第2の実施例では、保険会社が基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に一定の利便性を供与し、一方では被保険者の当該身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムにおいて、運動動作を検出する運動動作センサーと当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備えた運動状態モニター装置を用いて身体的運動実績を測定し、かつ被保険者が正しく認識された場合のみ運動動作センサーの出力を有効な出力として記録手段に記録する本人確認機能を具備する当該運動状態モニター装置を用いて身体的運動実績を認定するように構成したことを特徴とする保険料管理システムを開示する。具体的には被保険者に供与されるその利便性とは、保険料割引であってもよい。これは自己健康管理を徹底する優良な被保険者を選別するためである。この運動状態モニター装置にはさらに装着確認機能を付加してもよい。
【0025】
なお上述の保険料割引が前記医療費の抑制価値以下であることを特徴としている。これは優良な被保険者を保険会社が選別することで、より多くの利益を保険会社が得るためである。
【0026】
さらに保険会社、被保険者以外の第三者として、健康指導会社が運動状態モニター装置を用いて被保険者の身体的運動実績情報を蓄積し、蓄積された身体的運動実績情報を保険会社へ提供し、かつ前記保険料割引の割引額と前記医療費の抑制価値との差額以内の運動促進料を当該保険会社から当該健康指導会社へ支払われるように構成してもよい。この健康指導会社が、さらに前記被保険者に対して前記保険会社から受け取る前記運動促進料以内で、前記被保険者に対して健康指導を行い、被保険者の効率のよい運動促進策を行い、積極的に医療費抑制を図ってもよい。
【0027】
さらに本発明の第3の実施例として、保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して一定の利便性を供与し、一方では被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムに用いる情報仲介システムにおいて、多数の真正な被保険者の真正な運動実績を検知するために個々の被保険者の身体に装着する、本人確認機能と装着確認機能を具備した運動状態モニター装置であって、ネットワークを介して運動実績情報を送信することが出来る運動状態モニター装置と、当該ネットワークを介して当該運動状態モニター装置から受信した当該被保険者の真正な運動実績情報を所定の情報処理をする情報処理機能、および当該真正な運動実績に従い当該真正な被保険者に一定の利便性を与える保険会社へ情報処理された運動実績情報を送信する送信機能を有する情報仲介センターに設けられた情報仲介機能とで構成されたことを特徴とする情報仲介システムを開示する。この情報仲介センターは、上述の健康指導会社と同じ機能を有していてもよいし、その外注機関としてデータの仲介のみを行ってもよい。なお情報仲介センターは、被保険者に対して蓄積された運動実績情報、または運動実績情報を分析、加工した付加価値情報を、真正な被保険者の携帯電話または情報端末に定期的または被保険者の要求によりネットワークを介して配信してもよい。これにより被保険者は自己の運動実績データを容易に入手することができ、健康促進に役立てることが出来る。なおこの場合、保険会社における医療費の抑制価値が、前記被保険者に与える一定の利便性のために必要とする経費以上の経済的価値であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
以上記載のごとく、本発明による運動状態モニター装置1または2では、従来の運動状態モニター装置のように単に運動情報を記憶するだけではなく、本人確認機能を有し、しかもこの本人確認が暗証番号の入力による等による「本人であること」の確認のみでなく、「かつ本人になりすました他人ではない」ことを積極的に確認できるため、被保険者以外の他人による不正な運動量データの蓄積を防止することが出来る。また運動直後に装着確認が行われるので、被保険者の運動のみを正しく記録することが出来る。そしてこの運動状態モニター装置を保険会社または業務委託を受けた健康指導会社が被保険者に提供し、自発的に運動することを促し、被保険者自身が一定期間に一定の運動量だけ記録すれば、被保険者の健康維持努力を認めて、健康保険料を割り引く等の有用な保険料管理システムを構築することが出来る。
【0029】
さらに本発明による保険料管理システム500または600では、保険会社に代わって健康指導会社が被保険者の保有する運動状態モニター装置1または2から被保険者の運動実績データを受け取り、被保険者が適切な運動を行っているかのチェックを行う。さらに健康促進のためのアドバイスを被保険者に与え、結果として医療費の抑制を行い、保険会社の収益増進を図ることが出来る。
【0030】
また本発明による情報仲介システム700では、情報仲介センターが運動指導会社の業務の一部である情報処理業務を行い、結果として保険会社の収益増進を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的位置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲を限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0032】
1は第1実施例に係る運動状態モニター装置1の外観図を示す。このタイプの運動状態モニター装置では、運動をする人の体に、ベルト等の装着用部材60により、服の上または下に装着して、運動をする人の運動の種類や量、運動の時間などを測定し、運動日時と対応させて記録していく。運動状態モニター装置を携帯電話との一体型にして、運動状態モニター装置で検出した情報を遠隔地に送信したり、遠隔地からの指令や質問などの情報を受信して表示できるようにしてもよい。測定・記録した情報を加工して、表示部20に表示することもできる。運動状態モニター装置には、生体情報測定センサー端末10、図示しない内蔵する加速度センサーの両方または一方が内蔵されている。また、これらのセンサーの情報をもとに、運動をする人の運動状態を判別し、目的とする運動状態に関する運動の量(例:歩数)を算出するためのプログラムも内蔵している。
【0033】
運動状態モニター装置を、本人以外が装着して運動することで本人が保険料の割引などの優遇サービスを不正に受けることを防止するために、本人になりすました他人でなく本人がその運動状態モニター装置を現に装着していることを確認するための機能を設けている(本人確認機能)。すなわち、保険会社(又は健康指導会社)が本人に抜き打ち的に電話し、本人に関する質問を適当な個数だけ電話100を通して口頭で行なう。例えば本人確認のための質問としては、「暗証番号」,「生年月日」,「本人が安定的に簡単に回答できる質問;例 好きな色の名前、血液型、干支、星座、出生地など」がある。
【0034】
その質問への回答から本人確認ができたら、次に本人が現にその運動状態モニター装置を装着しているか、または他の不正な手段で運動状態を装っていないかどうかを確認する(装着確認機能)。例えば、機械的な構成による運動体に本装置を取り付けて架空の運動実績データを捏造していないかどうかを確認する。このためには一例として、保険会社(又は健康指導会社)200の担当者がランダムに選択した被保険者へ電話で、本人にジャンプ運動を指示して、本人にその場で例えば少しジャンプ運動等をしてもらう。運動状態モニター装置付き携帯電話の場合には、運動トレーニングの全過程をその場で指導して体を動かしてもらうこともできる。この指示時刻とジャンプ運動による運動実績データの記録時刻がタイミング的に近ければ本人が現に本装置を用いていることが確認できることになる。
【0035】
次に、運動状態モニター装置の記録情報を電話またはインターネット等の通信回線を介して、保険会社(又は健康指導会社)のコンピュータが吸い上げる。運動状態モニター装置から直前のジャンプなどの運動情報が出力され、本人のIDも検出されたら、本人が装着している運動状態モニター装置の記録している情報として処理する。運動状態モニター装置が保険会社(又は健康指導会社)のコンピュータと回線で接続されていない状況では、運動状態モニター装置が記録している運動履歴情報の評価は保険会社(又は健康指導会社)のコンピュータではできない。その場合、運動状態モニター装置は、内部に記録しているこの本人の運動履歴情報を適性運動基準と比較し、その基準が満足されたら、運動状態モニター装置の使用者本人ごとのIDを用いて生成される暗号化されたデータを表示部20に表示してもよい。データが暗号化されているので本人が虚偽のデータを保険会社へ申告することは不可能となる(暗号化データ自己申告機能)。この運動履歴情報が保険会社に通報されると、一定の基準を満足する良好な運動を記録していたら、本人の保険料を割り引くなどのサービスを与える。
【0036】
本装置には、上記のほかに操作部30で後述するフローチャート内の入力を行う。またスピーカ40、マイク50を通じて装置と本人、あるいは電話を通じて保険会社との情報交換を行なうこともできる。あるいは保険会社の所定のホームページ上に設けられたデータ受付ページへインターネット経由で、本人がアクセスして前記の暗号化されたデータを自己申告してもよい。
【0037】
第2図は他のタイプの運動状態モニター装置2の外観図を示す。このタイプの運動状態モニター装置2は上述の運動状態モニター装置1とは異なり保険会社と本人確認、装着確認のために電話連絡等は行わず、運動状態モニター装置2自体でこれらの確認が行われる。まず装着者本人の運動状態をモニターし、記録する。そして、運動を休止したことを検知した直後に、装着チェックのための被保険者に対し軽い運動(例:一定のジャンプ)の実行要求する内部プログラムが稼動する。一定のジャンプなどの運動情報を生体情報センサー端末10や加速度センサーがキャッチして、人間の骨格構造や筋肉の構造に起因して運動時に発生する生体信号パターンが検出されたかどうかによって、運動モニターが人体に装着されているかどうかを判定する。すなわち、予め登録されている比較データと比較されて現に本装置を装着しているか否かの装着確認がチェックされる(装着確認機能)。
【0038】
その後本人確認の情報入力(例:指紋入力、音声入力)を求める内部プログラムがさらに稼動して本人確認をする(本人確認機能)。本人確認のチェック項目は第1実施例と同様であるが、指紋センサー80を用いて内部に登録されている参照データと比較してもよいし、操作部30の所定のボタン操作により暗証番号を入力してもよい。なお小型指紋センサーは例えばSONY製 型番CXA3271GEなどがある。さらにまたマイク50から声を入力して声紋の一致、不一致で判断してもよい。いずれにせよこれらの装着確認、本人確認は第1実施例とは異なり、運動状態モニター装置単独で本人との間でチェックが、いわばオフライン的に行われる点が異なる。
【0039】
装着確認、本人確認が完了したら第1実施例と同様に記録された運動実績情報が基準を満たしていたら、運動状態モニター装置の使用者本人ごとのIDを用いて生成される暗号化されたデータを表示部20に表示する。この暗号化された運動データを本人が電話また保険会社の所定のホームページ上に設けられたデータ受付ページへ自己申告する(暗号化データ自己申告機能)。データが暗号化されているので虚偽の自己申告は出来ないのは第1実施例と同様である。
【0040】
ハード構成
次に第3図を参照して本発明に係る運動状態モニター装置1または2のハード構成について説明する。内部構成要素であるCPU100、ROM110、EEPROM120、RAM130、加速度センサー140、A/D150、D/A160、生体情報測定ユニット170、および外部構成要素である既述の生体情報測定センサー端子10、表示部20、操作部30、スピーカー40、マイク50、さらに運動状態モニター装置2に使われる指紋センサー80は、全てバスラインによって接続されている。
【0041】
ROM110には、この運動状態モニター装置に関するプログラムの全てが入っている。さらに、運動の種類ごとの基本波形パターン、各種の判定用しきい値、制御パラメータが入っている。EEPROM120には、運動状態モニター装置のID番号、運動状態モニター装置の持ち主の氏名や暗証番号,本人確認用の質問およびそれへの回答、本人確認用の指紋パターンや声紋パターンなどのような本人確認用の生体情報もはいっている。EEPROMへのこれらの情報の登録は、運動状態モニター装置の本人への配布前に本人から直接に取得したデータをもとに行なわれる。RAM130はこのソフトの動作に必要な作業用のメモリー領域である。表示部20はLCDで構成され、この装置を操作するユーザへのメッセージを表示する。この表示は、スピーカ40からの音と同期して発生させられる場合が多い。生体情報測定ユニット170は、例えば心電波形を取得したり、心拍波形を取得するために用いる。操作部30は、モード切り替え、質問への回答の入力、暗証番号入力などに用いるボタン群から構成されている。指紋センサー80はユーザの指紋を運動状態モニター装置に入力するために用いる。
【0042】
ソフトウエア-フローチャート
次に図4−図14を参照にして、本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートについて説明する。なお上述の実施例1における運動状態モニター装置1および2においては、重複部分が多いため以下は運動状態モニター装置2の場合について説明する。
【0043】
図4−図6についてはメインルーティーンの概略を、図7−図11については装着確認処理のサブルーティーンSUB200を、図12−図13については本人確認処理のサブルーティーンSUB300を、そして図14については運動の種類と量と時刻の記録に関するサブルーティーンSUB400をそれぞれ開示する。
【0044】
まず図4に示すように運動状態モニター装置1または2が、被保険者本人の所定の身体部所に装着されるとST01で一連の初期化処理が行われる。すなわちST02で操作部30のMODEボタンが登録モードか否かがチェックされる。ここで登録モードとは本人確認用データ、運動評価用データなどを登録するモードである。登録モードである場合、サブルーティンSUB100で所定の登録処理が行われて、その後ST03で実行モードに設定される。その後再びST02で今度は登録モードでなく実行モードが検知される。
【0045】
ST04に進み本装置を現実に身体へ装着しているか否かの確認処理が完了しているか否かがチェックされる(装着確認処理)。装着確認処理とは運動状態モニター装置が本人の身体に現に装着されており、他の不正な手段でモニターを稼動させていないことを確認する行為である。ここでは装着確認フラグが0の場合は確認処理が未終了、1の場合は確認処理は終了して、かつ装着していると確認、2の場合は確認処理は終了して、かつ未装着と確認している、とのフラグ状態から判断される。登録モード直後であれば通常は装着確認が終了していないと判断されるので、後述するサブルーティンSUB200で装着確認処理が行われ、ST05でその結果に応じて装着確認フラグとその確認時刻t0がセットされ、再びST02,ST04を経てST06で本人確認処理済か否かがチェックされる。まだ装着確認処理が完了していなければSUB200へ再び移る。
【0046】
ST04で既に装着確認処理が完了していれば、次にST06に進み現に本人が装着しており他人が不正に装着していないか否かがチェックされる(本人確認処理)。ここで言う本人確認処理とは、保険契約者自身であり、不正に他人へこの運動状態モニター装置を貸し与えていないことを確認する行為である。ST06で未確認と判断されれば後述するサブルーティーンSUB300へ行き所定の本人確認処理がされ、ST07でその本人確認処理結果により本人確認フラグと確認時刻t1がセットされ、再びST02へ戻る。本人確認フラグが、0の場合は本人確認処理は未終了、1の場合は確認処理は終了し、かつ本人と確認、2の場合は確認処理は終了して、かつ他人と確認している、とのフラグ状態から判断される。
【0047】
ST06で既に本人確認処理済みと判断されれば、次にST08では、本人確認済(フラグが1)、装着確認済(フラグが1)のそれぞれの時刻t0とt1が充分接近していれば、本人確認後に運動状態モニター装置の取り外しが無かったと仮定して、ST10で本人による装着を確認したフラグをセットして、一連のモニターの装着確認処理、および本人確認処理を終了し、以下の図5に示す運動記録と評価の処理に移る。ST08で時刻t0とt1が充分接近していなければ、何か不正があったと仮定してST09でフラグをリセットして再びST02に戻る。
【0048】
運動記録と評価の処理
続いて図5に示す運動記録と評価の処理では、上述のSUB200で身体に装着していること、SUB300で本人であることの2つの条件がすでに確認された被保険者である本人の運動量等が記録される。
【0049】
まずST11で内蔵する加速度センサーのデータが記録される。ここで言う加速度センサーとは身体の運動に連動して加速度が検知されるセンサーの一例に過ぎない。例えば歩行計を例にとれば、従来型の振り子式センサーでもよい。またスポーツクラブにおける各種のジムマシンを使用する場合、身体各部の特有の動きを検知するセンサーまたはカウンターでもよい。これらのセンサー、カウンター類については、既に多くの既存技術が存在するので詳細については省略するが、本発明の主題が被保険者の健康維持に有用な運動量を測定して保険会社が被保険者に対して利便を供与する点より、それらの運動量を測定できるすべての測定器と理解されるべきである。さらに必ずしも単一の測定器とは限らず複数種類の測定器を用いてもよい。
【0050】
ST12、ST13ではモードによって生体情報が読み取れば生体情報を読み取り記録する。生体情報とは例えば心拍数や血圧情報、あるいはこれらの一次生体情報に限らずこれらの一次生体情報の時間的な変化率等の二次生体情報をいう。これらは図2の生体情報センサー端末10として一例が図示されているが、これに限定されるものではなく、カフ内のマイク、皮膚密着型のレザーセンサー等の各種生体センサーで検知される生体情報をいう。ST14ではそれらの情報が評価できる十分な時間幅で記録されていることを確認し、短過ぎれば再びST11へ戻るか、もし十分な時間幅があれば次のST15で、ST11とST13で記録されたデータを基に本人が運動中かそれとも一時停止かの判断がされる。仮に運動中と判断されれば、ST16でその運動の種類と運動量、ならびにその運動時刻を記録し、再びST02のステップに戻り装着確認、本人確認、そして運動記録のステップが、ST15で一時停止と判断されるまで繰り返される。そしてST15で一時停止と判断されると、さらに一定以下の短い停止であれば一時休息であったと判断され、再びST11に戻り運動記録が再開される。もしST17で一定以上の長い時間にわたり停止状態が続けば、運動が終了され休息中と判断し、ST18でそれまでの運動評価値を図2に示す表示部20に表示すると共に現在のメニューを表示する。
【0051】
図6では、休息中の状態で次の新たなメニューが選択されたのか、または運動の完全な終了かの判断がされてその最終処理に入る。すなわちST19で操作部30の操作キーを読み取り、ST20で新たなメニューが選択されればST21でそのメニューに対応する処理を起動させ再びST02へ戻り、処理が続行される。もしST20で新たなメニューが選択されない場合には、ST22,ST23で警告音を所定回数出した後に必要情報を不揮発メモリーに記憶して電源を切り終了する。なおST23では警告音が所定回数前であれば再びST02に戻り処理が再開される。
【0052】
こうした一連の流れで、一回毎の運動量が加算記録され運動実績情報が本運動状態モニター装置内に蓄積される。フローチャートには図示しないが、この運動実績情報は既に述べたように表示部20に表示し、電話で一定期間経過後に保険会社のデータベースへ伝えてもよいし、またインターネット網で所定のホームページへ送ってもよい。この場合申告者自身が利益享受者であるため、その真正を担保するため、予め保険会社側により秘密に設定された暗号化方法で上記の運動実績情報は暗号化されて表示される。従って申告者自身により記録改変は不可能となる。この暗号化された運動実績情報は保険会社で復号化され、その運動記録により保険料のディスカウント等の利便が被保険者に与えられる。
【0053】
装着確認処理
以下図7から図11を参照にして、図4に示すSUB200装着確認処理について詳述する。装着確認処理とは利益享受者である被保険者の身体に現に本運動状態モニター装置が装着されており、他の不正な手段で運動実績情報が偽造されていないことを担保するための処理である。本発明に係る運動状態モニター装置では以下5種の確認方式を開示するが、必ずしもこれらに限定する意味ではなく例示に過ぎない。
【0054】
(B1):装着者にのみ検知できる指示の実行を確認する方式。例えば運動状態モニター装置が振動して一定の運動実行の指示を出す。この場合は肌への接触装着は不要である。
(B2):運動状態モニター装置装着時の運動でのみ検出できる特徴的な信号を確認する方式。これは運動状態モニター装置の検出する加速度信号の精密解析で、人体装着時の運動に特有の波形(例:歩行時波形)を検出する。肌への接触装着は不要である。
(B3):運動状態モニター装置の発生する指示リズムに同期した生体信号リズムを確認する方式。生体信号の検出が必要であり、肌への接触装着が必要である。この同期を確認する手段については後述する。
(B4):運動状態モニター装置の発生する指示リズムに同期した加速度信号を確認する方式。この同期を確認する手段については後述する。肌への接触装着は不要である。
(B5):生体信号を連続検知する方式。肌への接触装着が必要である。
以下上記の5つの装着確認方式について順次説明を加える。
【0055】
図7において、装着確認処理SUB200が始まると、まずST201でどの方式を用いて装着確認がされるかの番号が読み取られる。この番号は本フローチャートではB1からB5のいずれか一つが予めこの運動状態モニター装置を配布する保険会社によりセットされている。但し必ずしも一つにセットする必要は無く、複数の方式で装着確認を行ってもよい。B1方式が図7、B2方式が図8、B3方式が図9、B4方式が図10、B5方式が図11にそれぞれ示されている。
【0056】
B1方式
図7のST210でB1方式が確認されると、運動状態モニター装置から特定の運動指示の振動を出す。装着者はこの振動を感知してから、予め取り決めされた運動、例えば歩行計であれば10歩だけ歩いて、5秒間停止し、さらに10歩だけ歩く。ST212でその運動が歩行計の加速度センサーで感知され、その情報が読み取られ記録される。すなわち身体にこの運動状態モニター装置を現に装着していなければこのような条件反射は出来ないため、装着が確認できることになる。ST213で所定時間経過したことが確認できたら、ST214で運動の種類と、量とその時刻が記録される。ST215では指示された特定運動が検知されたかが判断され、ST216とST217でそれぞれ特定運動検知、あるいは非検知が設定される。その後装着確認処理を出てST05へ進む。なお特定運動を上述のように予め指定しておいてもよいし、その都度、表示部20上に指示画面を出してもよい。
【0057】
B2方式
図8のST220でB2方式が確認されると、ST221からST226までST224のステップ以外はB1方式と同様な処理が行われる。B1方式と異なる点はST224では、例えば上述の歩行計の特定歩数の検知と異なり、より精密な歩行波形の特徴を検出することである。この歩行波形をチェックすることでより厳格な装着確認が可能となる。
【0058】
B3方式
図9のST230でB3方式が確認されると、運動状態モニター装置から自動発生する一定の指示リズムに同期した装着者による運動が要求されて、その生体信号リズムで装着有無が確認される。すなわちST231で運動指示リズム音を出力するプロセスが起動される。これに同期し装着者が運動を行う。ST232でその生体信号を内蔵センサーが検知し記録される。ST233で十分な時間幅の情報が記録されたら、ST234で運動指示リズム音のパターンと記録された生体信号のパターンの相関値を求め、ST235でその相関値が一定値以上か否か判断されST236,ST237で一定値以上なら装着と判断し、一定値以下なら装着していないと判断されて装着確認処理を終わる。上述の同期した生体信号リズムとは例えば心拍のリズム等をいう。なお上記のST234、ST235における運動指令音リズムと検出波形の相関による類似か否かの判定の仕方についてはさらに詳細に後述するとともにSUB400として詳細なフローを開示する。
【0059】
B4方式
図10のST240でB4方式が確認されると、ST241からST247までB3方式の場合と類似したステップで装着、非装着が判定されるが、B3の生体センサーではなく、B4方式では加速度センサーを用いて運動状態モニター装置の発生する指示リズムに同期した加速度信号で判断される。例えば歩行計の指定リズムと同期した歩行速度で判断される。他のステップはB3方式と同じである。なお上記のST244、ST245における運動指令音リズムと検出波形の相関による類似か否かの判定の仕方についても図9のST234、ST235と同様に、さらに詳細に後述するとともにSUB400として詳細なフローを開示する。
【0060】
B5方式
図11にはB5の方式による装着確認処理が開示されている。これは例えば心拍パルスを連続検知していて、一定時間以上の不検知時間があった場合に、運動状態モニター装置の取り外しと判断する。最後に心拍パルスを検知した時刻をメモリーに記憶させ、次に心拍パルスを検知した時刻との差の時間を算出し、その時間が所定値よりも大きいと、取り外しと判断する。すなわちST251で最後に生体情報を検知した時刻をtmとし、ST252で現在時刻とそのtmの時間差は所定以下かが判断され、所定以下なら運動状態モニター装置の取り外しは無かったとしてST253で装着確認処理終了、かつ装着を確認とし装着確認フラグを1とする。時間差が所定以上であればST254で装着確認処理終了、かつ装着を未確認とし装着確認フラグを2とする。ST255で生体情報、この場合であれば心拍パルスを読み取り記録する。続いてST256でその生体情報が検知できればST257で最後に生体情報を検知した時刻を現在時刻に変える。そして装着確認処理を終えて、再び図4のST05進み、さらに次の装着確認処理済の判断がST04でされST06の本人確認、さらに前に進み図5のST13で生体情報を読み、記録し、再度上記の運動状態モニター装置の取り外しの有無が繰り返しチェックされる。
【0061】
本人確認処理
以下図12および図13を参照にして、図4に示すSUB300本人確認処理について詳述する。本人確認とは本運動状態モニター装置を装着しているのが利益享受者である被保険者本人か、それとも他人かの確認をいう。本発明に係る運動状態モニター装置では以下2種の本人確認方式を開示するが、必ずしもこれらに限定する意味ではなく例示に過ぎない。
【0062】
(A1)質問への回答を分析する方式。例えば暗証番号、住所、氏名などの個人情報を用いて、その解答の正誤で本人か否かを確認する方式。この方式では生体情報の検知が不要なので肌に検知のためのセンサー端子等の接触装着は不要であるが、データ入力用のキーボードなどが必要である。
(A2)個人識別用の生体情報を利用する方式。例えば指紋、声紋、心電波形、心拍などの取得して、予め記憶しておいたデータとの一致度で本人確認を行う。心電波形と心拍では肌への接触装着が必要である。
【0063】
図12において、本人確認処理SUB300が始まると、まずST301でどの方式を用いて装着確認がされるかの番号が読み取られる。この番号は本フローチャートではA1またはA2のいずれか一つが予めこの運動状態モニター装置を配布する保険会社によりセットされている。但し必ずしも一つにセットする必要は無く、複数の方式で装着確認を行ってもよいし、他人が本人に成りすまして不正に本人確認をパスするのを避けるために、複数の確認方式からランダムに選択してもよい。A1方式が図12、A2方式が図13にそれぞれ示されている。
【0064】
A1方式
図12において、本人確認処理SUB300が始まると、まずST301でどの方式を用いて本人確認がされるかの番号が読み取られる。この番号は本フローチャートではA1またはA2のいずれか一つが予めこの運動状態モニター装置を配布する保険会社によりセットされている。但し必ずしも一つにセットする必要は無く、複数の方式で装着確認を行ってもよいのは上述の通りである。A1方式が図12、A2方式が図13にそれぞれ示されている。
【0065】
図12のST302でA1方式が確認されると、運動状態モニター装置から本人確認のための暗証番号等の質問を表示部20へ表示し、かつスピーカ40から注意喚起音を出す。ST303とST305でキー入力が促され、ST304でキー入力が読み出されて、ST306で予め記憶された本人照合用データとの比較がされる。ST307で他人と判断されるとST309でその旨のフラグが設定され、本人と判断されるとST310でその旨のフラグが設定される。またST305で一定時間以上経過するとタイムアウトになり、ST308で本人確認未終了のフラグが設定される。その後SBU300を出てST07へ進む。
【0066】
A2方式
図12のST302でA1方式が選択されない場合には、図13のST311に移りA2方式の本人確認が行われる。このA2方式ではST311で本人確認のための生体情報入力を求めるための表示がされて、同時に注意喚起音が出力される。ST312で生体情報が入力されるとST314でその生体情報が読み取られる。生体情報とは、指紋パターン、心拍パルスパターン、心電パルスパターン等をいう。さらにST315で登録されているパターンとの類似を判断されてST316、ST317でその結果を表すフラグが設定される。その後
SBU300を出てST07へ進む。
【0067】
運動の種類と量と時刻の記録
上述の図9におけるST234,ST235、および図10におけるST244,ST245で述べた、運動指示リズム音のパターンと、記録された生体あるいは加速度センサー出力信号パターンの相関性判断は次のようにして判断される。以下詳述する。
【0068】
まず周期Tで繰り返される運動指令音リズムを、時間波形f(t)とする。加速度センサまたは生体情報測定ユニットにて得られた生体情報の時間波形をg(t)とする。そうすると、相関関数Φ(t)は次の式のようになる。
【0069】
【数1】
【0070】
Φ(t)は、時間波形f(t)やg(t)の形の一致性のみではなく、その振幅の大きさの影響を受けた関数となるので、正規化をする必要がある。
すなわち、f(t)のエネルギーをf0とし、g(t)のエネルギーをg0とすると、次の式で求められる。
【0071】
【数2】
【0072】
【数3】
【0073】
Φ(t)を正規化した関数を正規化相互相関関数といい、Ψ(t)で示すと、次の式となる。
【0074】
【数4】
【0075】
ただしsqrt(x)はxの平方根を求める関数である。時間区間[−T/2,T/2]の間でのΨ(t)の最大値をΨmaxとし、Ψmaxをしきい値THと比較して、しきい値を越えるかどうかを判定する。
THを越えた場合 : 類似していると判定する
TH以下の場合 : 非類似と判定する
【0076】
運動の種類と量と時刻の記録についてのSUB400
上記の理論を前提にして具体的なフローについて図14を参照にしてSUB400を説明する。ST401で加速度センサーの出力記録情報g(t)をメモリーから読み取り、一方ST402で各種運動種類ごとのN種の基本波形モデルfm1(t)、fm2(t)、fmn(t)も同様に読み取る。ST403,ST404,ST405,ST406で、上述の理論によりg(t)と第k番基本波形モデルfmk(t)との正規化相互相関関数を得て、その最大値をMkとする。同様の処理を各運動モデルに当てはめて、それぞれのモデルについてM1からMnを求める。ST407ではM1−Mnの中で最大の値を与える基本波形モデルの番号を運動の種類として得る。そしてST408で上記で得られた番号の基本波形モデルとg(t)の相互相関関数の最大値を運動強度として記録する。ST409で最終的にg(t)として記録されている時間区間の開始時刻と終了時刻を、運動種類と運動量とを対応付けて記録する。これにより各種運動リズムと比較した運動データが得られる。
【0077】
保険料管理システム
次に上記運動状態モニター装置を使用して、被保険者が一定の運動を定期的に行い自己健康維持の努力を払っている事実が保険会社またはそこから業務委託を受けた健康指導会社が確認した場合、保険料を一定額だけ割引く実施例2に係る保険料管理システムについて以下開示する。
【0078】
図15には本発明の実施例2に係る保険料管理システム500を示す。この実施例では予め保険会社510と被保険者530間で保険契約のときに、被保険者が良好な運動をするのであれば保険料を割り引くとの特約を設定する。また、保険会社510は、被保険者530の運動状態をモニターするための本発明に係る運動状態モニター装置1または2を被保険者に渡す。被保険者は自分が主に運動トレーニングをする場所(例:フィットネスクラブ)の電話番号または自分が運動トレーニングの時にも装着している携帯電話の番号を、保険会社に通知する。被保険者は自己の健康維持のために運動を行う際は、この運動状態モニター装置を身体に装着する。運動するごとにその運動の種類や運動量はモニター装置内の記憶装置M1に蓄積される。
【0079】
一方、保険会社510は自ら又は健康(運動)指導会社520に委託して、被保険者に電話連絡などをして、本人確認および本人が装着している運動状態モニター装置の記録している運動情報をネット網を通じて収集する。この情報の収集は図示したように被保険者530が自ら例えば健康指導会社520のホームページに設けられた運動記録受付ファイルM2へ送ってもよいし、また電話等を用いて口頭で通知してもよい。上述のように本発明による運動状態モニター装置では、自己確認機能や装着確認機能、さらに暗号化データ自己申告機能が装備されているので不正な運動実績が報告されることは無い。
【0080】
被保険者530から被保険者のIDおよび運動情報を受け取った健康指導会社520はそのID、運動の実績の検証を終えた後、そのデータをさらにインターネット等を通じて保険会社の運動実績ファイルM3へ送られる。保険会社510ではこのファイルM3のデータを基にして、保険料に関するデータファイルM4内のその被保険者が運動実績報告前の保険料Yに対して、後日一定金額のディスカウントΔGの利便を与える。これは一定の運動を定期的に続けた被保険者は、後日の医療費GがG’に低減する蓋然性が高く、従ってこの保険料YからΔG分だけディスカウントが可能である。一方保険会社510では被保険者530に対してこの運動状態モニター装置の使用をプロモーションするために一定の促進料Mを支払う。上記の場合、医療費の低下分(G−G’)が、(ΔG+M)分より多ければ、保険会社にとっては利益促進として本システムを使用することが可能となる。また健康指導会社520では、被保険者530が本当に適切な運動トレーニングなどをしているかどうかの確認や、適切な運動トレーニングの指導を行ない、サービス料として保険会社から促進料Mを得るビジネスが可能である。さらに被保険者530では保険会社からΔGの保険料割引を受けられ、かつ自己の健康維持のために健康指導会社から運動トレーニングについてのアドバイスを受けられることになる。
【0081】
図16には本発明の実施例2に係る保険料管理システム500を発展させた他の保険料管理システム600を示す。まず勤務先会社550は、被保険者(社員)の保険料負担YにZを加算した保険料X=Y+Zを健康保険引き受け会社に支払う。保険会社510は、被保険者の病気などに応じて医療費Gを病院や薬局に支払っている。保険会社510は、医療費Gの額を低くするために本発明に係る運動状態モニター装置1または2を保険契約者530に配布する。この目的は被保険者が運動トレーニングをして健康になると、医療費Gの支払いが減少するからである。促進料Mを支払って健康指導会社520に被保険者530の運動トレーニングを促進してもらってもよい。この場合医療費GがΔGだけ減少する事が期待される。M<ΔGであれば、健康保険引き受け会社は利益を得ることになる。
【0082】
一方運動促進会社520は、被保険者530の運動トレーニングの実績情報の提供を条件に被保険者のフィットネスクラブ利用料金の一部(L)を補填する。その結果、社員はそのようなフィットネスクラブは非常な低額(K)で利用可能となり、そのフィットネスクラブの客は増えることが期待される。フィットネスクラブに行かずに個人でフィットネス活動をする場合でも、運動状態モニター装置を装着し、正しく本人が適切な運動をしていることが運動状態モニター装置からの情報からわかれば、運動促進会社520はその被保険者に対して促進料Nを支払う。この場合、運動促進会社520は、管理費+促進料N+利用料Lが、収入である促進料Mよりも小さければ、利益が上がることになる。運動促進会社520はさらに、運動状態モニター装置の被保険者への販売や、運動状態モニター装置を利用したサービス提供でさらに収益を上げることができる。
【0083】
情報仲介システム
図17は実施例3に係る情報仲介システム700が示されている。本実施例は、図15に示す保険料管理システム500の健康指導会社520の業務の一部を情報仲介センター540へ移管したものである。すなわち情報仲介センター540は、被保険者530の運動状態をモニターするための実施例1に示した運動状態モニター装置1または2の記録している運動情報をネット網を通じて収集し、ファイルM4に蓄積する。情報仲介センター540では、この収集したデータを分析して被保険者530が保険料割引ΔGを受けられるだけの運動を行い健康維持を図っているかを判断する。このデータ分析業務以外にも、上述の本人確認、装着確認の業務を行ってもよい。その後、情報仲介センター540は、健康指導会社520または保険会社510へ、ネット網を通じて分析結果を送り、その情報仲介対価として情報仲介料Pを健康指導会社520から受け取る。この場合の情報仲介料Pは、健康指導会社520が保険会社510から受け取る促進料Mの一部から支払われる。なお情報仲介センター540の詳細な構成は省略するが、実際には全ての情報仲介はサーバー上で処理される。なお情報仲介センター540にはネットワークを介して情報の送受信を行う図示しない通信機能を有している。
【0084】
この情報仲介センター540は、上述の健康指導会社と同じ機能を有していてもよいし、その外注機関としてデータの仲介のみを行ってもよい。いずれの場合にも、情報仲介センサー540は、被保険者530の運動実績情報を解析して、その被保険者が所定レベルの運動を行って健康維持の努力を行っているか否かを判断してその結果を保険会社510へ情報提供する。それにより保険会社510では、その被保険者に対する医療費Zの支払いが軽減されるかどうかを判断することが出来る。この他、情報仲介センター540は、被保険者に対してファイルM4に蓄積された運動実績情報、または運動実績情報を分析、加工した付加価値情報を、真正な被保険者の携帯電話または情報端末531に定期的または被保険者の要求によりネットワークを介して配信してもよい。例えばi−モード付の携帯電話であれば、被保険者は自己の運動実績データを容易に入手することができ、健康促進に役立てることが出来る。なおこの場合、保険会社における医療費の抑制価値が、前記被保険者に与える一定の利便性のために必要とする経費以上の経済的価値であることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0085】
上述のように本発明に係る運動状態モニター装置は、運動動作を検出する運動動作センサーと、当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備えるのみでなく、1)予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能と、2)当該運動状態モニター装置を前記運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能と、3)前記装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行わる機能、とで構成されている。このため保険会社は、上記の運動状態モニター装置を装着し健康促進のために所定の運動を行った被保険者のみを選別することが可能となる。このような被保険者は、健康志向の優良な被保険者であると判断することにより、保険会社は保険料を割り引く等の利便を与えることで、競業する他保険会社に対してビジネス上の優位な地位を得ることが可能となる。
【0086】
更に、本発明に係る情報仲介システムは、保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して保険料の割り引く等の一定の利便性を供与し、一方では当該被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制するための保険料管理システムであり、具体的には1)被保険者の有する上記の運動状態モニター装置と、2)その運動状態モニター装置からネットワーク経由で身体的運動実績データを受け取り、信頼性ある運動実績データのみを選別し、その信頼性ある運動実績データを保険会社に対して提供する情報仲介機能を有する情報仲介センターと、3)上記情報仲介センターからの運動実績データを受け取り、この運動実績データに基づき割り引き保険料を設定する保険会社のサーバ、とで構成したので、その保険会社は、医療機関への支払いの低減、被保険者への保険料割引が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1に係る運動状態モニター装置の概略構成を示す。
【図2】実施例1に係る他の運動状態モニター装置の概略構成を示す。
【図3】図2に示す運動状態モニター装置のハードウェア構成を示す。
【図4】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうちメインルーティーンの一部を示す。
【図5】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうちメインルーティーンの一部を示す。
【図6】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうちメインルーティーンの一部を示す。
【図7】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図8】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図9】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図10】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図11】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB200に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図12】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち本人確認処理SUB300に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図13】本発明に係る運動状態モニター装置のソフトウエア-フローチャートのうち装着確認処理SUB300に関するサブルーティーンの一部を示す。
【図14】運動の種類と量と時刻の記録に関するサブルーティーンを示す。
【図15】実施例2に係る保険料管理システムの概略を示す。
【図16】図15に示す保険料管理システムの他の構成を示す概略図である。
【図17】実施例3に係る情報仲介システムの概略を示す概略図である。
【図18】日本国特開2000−276525公報に示す健康目標管理システムの従来例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して一定の利便性を供与し、一方では当該被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムに用いる情報仲介システムにおいて:
多数の真正な被保険者の真正な運動実績を検知するために個々の被保険者の身体に装着する運動状態モニター装置であって、運動動作を検出する運動動作センサーと、当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備え、運動者の身体に装着する運動状態モニター装置において、予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能を有し、登録した本人が正しく認識された場合のみ当該運動動作センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、更に当該運動状態モニター装置を前記運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能を有し、予め登録した運動者本人による装着が正しく確認された場合のみ当該運動センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、前記装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行われ、ネットワークを介して前記運動実績情報を送信することが出来る運動状態モニター装置と;
前記ネットワークを介して前記運動状態モニター装置から受信した前記被保険者の真正な運動実績情報を所定の情報処理する情報処理機能、および前記真正な運動実績に従い前記真正な被保険者に一定の利便性を与える保険会社へ前記情報処理された運動実績情報を送信する送信機能を有する情報仲介センターに設けられた情報仲介機能;
とで構成されたことを特徴とする情報仲介システム。
【請求項2】
前記情報仲介センターが、前記被保険者に対して蓄積された前記運動実績情報、または当該運動実績情報を分析、加工した付加価値情報を、前記真正な被保険者の携帯電話または情報端末に定期的または被保険者の要求により前記ネットワークを介して配信することを特徴とする請求項1記載の情報仲介システム。
【請求項3】
前記保険会社における医療費の抑制価値が、前記被保険者に与える一定の利便性のために必要とする経費以上の経済的価値であることを特徴とする請求項1記載の情報仲介システム。
【請求項4】
保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して一定の利便性を供与し、一方では当該被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムに用いる情報仲介システムにおいて:
多数の真正な被保険者の真正な運動実績を検知するために個々の被保険者の身体に装着する運動状態モニター装置であって、運動動作を検出する運動動作センサーと、当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備え、運動者の身体に装着する運動状態モニター装置において、予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能を有し、登録した本人が正しく認識された場合のみ当該運動動作センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、更に当該運動状態モニター装置を前記運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能を有し、予め登録した運動者本人による装着が正しく確認された場合のみ当該運動センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、前記装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行われ、ネットワークを介して前記運動実績情報を送信することが出来る運動状態モニター装置と;
前記ネットワークを介して前記運動状態モニター装置から受信した前記被保険者の真正な運動実績情報を所定の情報処理し、前記真正な運動実績に従い前記真正な被保険者に一定の利便性を与える保険会社へ前記情報処理された運動実績情報を送信する情報仲介センターに設けられた情報仲介機能と;
前記運動実績情報を前記ネットワークを経由して受け取り、該運動実績情報に基づき、前記被保険者から優良な被保険者を選別し、医療機関への医療費支払い抑制し、かつ該被保険者へは保険料の割り引きを行う保険会社のサーバ;とで構成したことを特徴とする情報仲介システム。
【請求項5】
前記保険会社のサーバが、前記該被保険者へは保険料の割り引き額と前記情報仲介センターへの情報仲介料の合計額を、前記医療機関への医療費抑制額以内に設定するように構成されたことを特徴とする請求項4記載の情報仲介システム。
【請求項1】
保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して一定の利便性を供与し、一方では当該被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムに用いる情報仲介システムにおいて:
多数の真正な被保険者の真正な運動実績を検知するために個々の被保険者の身体に装着する運動状態モニター装置であって、運動動作を検出する運動動作センサーと、当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備え、運動者の身体に装着する運動状態モニター装置において、予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能を有し、登録した本人が正しく認識された場合のみ当該運動動作センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、更に当該運動状態モニター装置を前記運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能を有し、予め登録した運動者本人による装着が正しく確認された場合のみ当該運動センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、前記装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行われ、ネットワークを介して前記運動実績情報を送信することが出来る運動状態モニター装置と;
前記ネットワークを介して前記運動状態モニター装置から受信した前記被保険者の真正な運動実績情報を所定の情報処理する情報処理機能、および前記真正な運動実績に従い前記真正な被保険者に一定の利便性を与える保険会社へ前記情報処理された運動実績情報を送信する送信機能を有する情報仲介センターに設けられた情報仲介機能;
とで構成されたことを特徴とする情報仲介システム。
【請求項2】
前記情報仲介センターが、前記被保険者に対して蓄積された前記運動実績情報、または当該運動実績情報を分析、加工した付加価値情報を、前記真正な被保険者の携帯電話または情報端末に定期的または被保険者の要求により前記ネットワークを介して配信することを特徴とする請求項1記載の情報仲介システム。
【請求項3】
前記保険会社における医療費の抑制価値が、前記被保険者に与える一定の利便性のために必要とする経費以上の経済的価値であることを特徴とする請求項1記載の情報仲介システム。
【請求項4】
保険会社が一定の基準に合致した身体的運動実績が認められた被保険者に対して一定の利便性を供与し、一方では当該被保険者の身体的運動実績により医療費を抑制する保険料管理システムに用いる情報仲介システムにおいて:
多数の真正な被保険者の真正な運動実績を検知するために個々の被保険者の身体に装着する運動状態モニター装置であって、運動動作を検出する運動動作センサーと、当該運動動作センサーの出力を記録する記録手段を備え、運動者の身体に装着する運動状態モニター装置において、予め登録した運動者本人であることを確認するための本人確認処理を行う本人確認機能を有し、登録した本人が正しく認識された場合のみ当該運動動作センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、更に当該運動状態モニター装置を前記運動者本人が現に装着していることを確認するための装着確認処理を行う装着確認機能を有し、予め登録した運動者本人による装着が正しく確認された場合のみ当該運動センサーの出力を有効な出力として当該記録手段に記録するように構成し、前記装着確認処理が、前記運動者本人が当該運動状態モニター装置を現に身体に装着していなければ感知できない外的指示に基づいて行われ、ネットワークを介して前記運動実績情報を送信することが出来る運動状態モニター装置と;
前記ネットワークを介して前記運動状態モニター装置から受信した前記被保険者の真正な運動実績情報を所定の情報処理し、前記真正な運動実績に従い前記真正な被保険者に一定の利便性を与える保険会社へ前記情報処理された運動実績情報を送信する情報仲介センターに設けられた情報仲介機能と;
前記運動実績情報を前記ネットワークを経由して受け取り、該運動実績情報に基づき、前記被保険者から優良な被保険者を選別し、医療機関への医療費支払い抑制し、かつ該被保険者へは保険料の割り引きを行う保険会社のサーバ;とで構成したことを特徴とする情報仲介システム。
【請求項5】
前記保険会社のサーバが、前記該被保険者へは保険料の割り引き額と前記情報仲介センターへの情報仲介料の合計額を、前記医療機関への医療費抑制額以内に設定するように構成されたことを特徴とする請求項4記載の情報仲介システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−35050(P2007−35050A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215372(P2006−215372)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【分割の表示】特願2001−358549(P2001−358549)の分割
【原出願日】平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【分割の表示】特願2001−358549(P2001−358549)の分割
【原出願日】平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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