説明

杯細胞関連疾患の診断、予防、改善、治療を行なうための方法と薬

本発明は正常杯細胞機能特に粘液産生にはhAG-2またはgob-4[アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺遺伝子XAG-2のホモログ; 本書ではAGR2ともいう]が必要とされるという観測結果を基礎とする。特に粘液産生障害のある一突然変異体を単離した。この変異体では残基位置137でバリンからグルタミン酸へのアミノ酸交換が起きている。この変異をもつトランスジェニック・マウスは下痢と繁殖能力欠損とを示す。この観測結果に基づく本発明はとりわけ、正常杯細胞機能の変化に関連する疾患の予防、改善または治療のための産物と方法に関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する単離されたタンパク質、もしくは配列番号3および配列番号4の対応するアミノ酸と比べたときに上記割合のアミノ酸が一致している少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、165個、170個、171個、172個、173個または174個の連続したアミノ酸を含む上記タンパク質の単離された断片であって、
(a) 前記マウスAgr2タンパク質の突然変異であって、それがマウスAgr2遺伝子によってコードされ、かつマウスのすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う表現型をもたらすような突然変異; および/または
(b) 前記マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異; および/または
(c) 前記ヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発現するリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような、突然変異;
に対応するアミノ酸またはアミノ酸配列を含むことを特徴とする、単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項2】
前記タンパク質がマウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質のオルソログ、好ましくは脊椎動物オルソログ、特に該脊椎動物がアフリカツメガエルである場合のオルソログ、または哺乳動物オルソログ、特に該脊椎動物がマウス、ラット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ネコ、ヒツジおよびウマからなる群より選択される場合のオルソログであることを特徴とする、請求項1に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項3】
前記変化が機能欠損型の表現型をもたらす、請求項1または2に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項4】
前記変化が機能獲得型の表現型をもたらす、請求項1または2に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項5】
前記変化が杯細胞分化、特に最終分化の変化、および/または杯細胞粘液産生または分泌および/または粘液組成の変化である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項6】
前記変化が杯細胞中の前ムチン貯蔵顆粒の減少、粘液分泌の変化、腸粘膜上皮および粘膜下組織の二次炎症浸潤を特徴とする、請求項1〜3または請求項5のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項7】
前記表現型がさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖増大を伴う、請求項1〜3または請求項5〜6のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項8】
前記変化が下痢、または下痢と繁殖能力欠損とを招く、請求項1〜3または請求項5〜7のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項9】
前記疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、ドライアイ症候群、胃疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、特にクローン病または潰瘍性大腸炎、および腸癌からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項10】
前記突然変異がマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質中のアミノ酸の欠失または他アミノ酸による置換、もしくは該マウスAgr2タンパク質または該ヒトAGR2タンパク質のアミノ酸配列中に通常は存在しない追加アミノ酸の挿入を招く、請求項1〜9のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項11】
前記欠失、置換または挿入がマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の保存領域に起こる、請求項10に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項12】
マウス、ラットおよびヒトAGR2の間で、好ましくはマウス、ラット、ヒトおよびアフリカツメガエルAGR2の間で、より好ましくはマウス、ラット、ヒト、アフリカツメガエルおよび線虫(Caenorhabditis elegans)AGR2の間で、一致または類似しているアミノ酸の、他アミノ酸による置換を招くことを特徴とする、請求項10または11に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項13】
前記マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質中のアミノ酸の他アミノ酸による置換が非保存的置換である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項14】
前記マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質中の欠失または置換アミノ酸がVal 137である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項15】
前記第137位での置換が、以下の:
a) Val→GluまたはAspなどのような酸性アミノ酸;
b) Val→His、ArgまたはLysなどのような塩基性アミノ酸;
c) Val→SerまたはThrなどのような脂肪族ヒドロキシル側鎖アミノ酸;
d) Val→AsnまたはGlnなどのようなアミド側鎖アミノ酸;
e) Val→CysまたはMetなどのようなイオウ含有側鎖アミノ酸;
f) Val→Phe、Tyr、Trpなどのような芳香族側鎖アミノ酸
g) Val→GlyまたはPro; および
h) Val→Ala、LeuまたはIle、
いずれかの置換であることを特徴とする請求項14に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項16】
前記第137位での置換がバリンのグルタミン酸による置換である、請求項15に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項17】
前記アミノ酸が天然アミノ酸によって置換される、請求項10〜15のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片。
【請求項18】
配列番号2または配列番号30で表わされるアミノ酸配列をもつ単離されたタンパク質、または該アミノ酸配列中の、Glu 137に対応するアミノ酸を含めて少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、165個、170個、171個、172個、173個または174個の連続したアミノ酸を含む上記タンパク質の単離された断片。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の単離されたタンパク質またはタンパク質断片を、配列番号3および配列番号4中の対応するアミノ酸に対して前記割合のアミノ酸配列の一致を欠く他のタンパク質またはタンパク質断片に融合させた融合タンパク質。
【請求項20】
前記他タンパク質が配列番号3および配列番号4にそれぞれ対応するマウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質とは無関係のタンパク質である、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記他タンパク質がグルタチオン-S-トランスフェラーゼ、免疫グロブリン・ペプチド、ポリヒスチジン・ペプチド、フラグ(FLAG)タグおよびストレプトアビジンからなる群より選択される、請求項19または20に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のタンパク質またはタンパク質断片をコードする単離された核酸、または該核酸に対して相補的である単離された核酸。
【請求項23】
配列番号1または配列番号29で表されるヌクレオチド配列をもつ単離された核酸、または該核酸に対して相補的である単離された核酸。
【請求項24】
請求項22または23のいずれか1項に記載の核酸を含むエピソーム・エレメント。
【請求項25】
前記エピソーム・エレメントがプラスミド、コスミド、バクテリオファージの核酸、またはウイルスの核酸からなる群より選択される、請求項24に記載のエピソーム・エレメント。
【請求項26】
請求項22または23のいずれか1項に記載の核酸を含むゲノム。
【請求項27】
前記ゲノムがバクテリオファージ・ゲノム、細菌ゲノムまたはウイルス・ゲノムである、請求項26に記載のゲノム。
【請求項28】
前記ウイルス・ゲノムがDNAウイルス・ゲノムまたはRNAウイルス・ゲノムである、請求項27に記載のゲノム。
【請求項29】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする核酸分子を含むベクター。
【請求項30】
前記ベクターが発現ベクター、突然変異誘発ベクター、一体化ベクターおよび突然変異ベクターからなる群より選択される、請求項29に記載のベクター。
【請求項31】
前記ベクターが発現ベクターであり、またタンパク質をコードする配列がプロモータ配列と作動可能に連結されていることを特徴とする、請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
前記ベクターが発現ベクターであり、かつプラスミド・ベクター、コスミド・ベクター、ファージ・ベクター、ファージミド・ベクター、ウイルス・ベクターおよびレトロウイルス・ベクターからなる群より選択されることを特徴とする、請求項30または31に記載のベクター。
【請求項33】
請求項24〜32のいずれか1項に記載のエピソーム・エレメント、ゲノムまたはベクターをトランスフェクトした宿主細胞。
【請求項34】
前記宿主細胞が真核細胞である、請求項33に記載の宿主細胞。
【請求項35】
前記宿主細胞が原核細胞である、請求項33に記載の宿主細胞。
【請求項36】
以下の部分:
(i) 請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質をコードするmRNAの一部分であって、
(a) 配列番号3に一致するマウスAgr2タンパク質の突然変異であって、それがマウスAgr2遺伝子によってコードされ、かつマウスのすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う、場合によりさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖を伴う表現型をもたらすような突然変異; および/または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異; および/または
(c) 配列番号4に対応するヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発現するというリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような、突然変異;
に対応するアミノ酸またはアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードする部分;
(ii) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質を、または前記マウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログを、コードするmRNAの一部分であって、該部分は非コード部分であり、かつ該タンパク質またはオルソログをコードする遺伝子中の、該タンパク質またはオルソログの発現に影響を及ぼす突然変異に対応する配列を含むことを特徴とするmRNAの部分; または
(iii) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の発現または機能に影響を及ぼすタンパク質を、または配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致する前記マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログを、コードするmRNAの一部分、
に対して相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス核酸。
【請求項37】
前記アンチセンス核酸がDNA、RNA、および合成核酸アナログ、たとえばPNA(ペプチド核酸)、からなる群より選択される、請求項36に記載のアンチセンス核酸。
【請求項38】
前記アンチセンス核酸がmRNAと、相補ヌクレオチド配列を介して、生理学的条件または厳しい条件下で、好ましくは6×SSC、50mMトリス-HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.02%のBSAおよび変性サケ精子DNA 500mg/mlを含む高い塩濃度の緩衝液中、65℃でのハイブリダイゼーションとそれに続く0.2×SSC、0.01%のBSA、50℃での1回または複数回の洗浄というハイブリダイゼーション条件下で、さらに6×SSC、50mMトリス-HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のフィコール、0.02%のBSAおよび変性サケ精子DNA 500mg/mlを含む高い塩濃度の緩衝液中、65℃でのハイブリダイゼーションとそれに続く0.2×SSC、0.01%のBSA、65℃での1回または複数回の洗浄というハイブリダイゼーション条件下で、ハイブリダイズしうることを特徴とする、請求項36または37に記載のアンチセンス核酸。
【請求項39】
前記アンチセンス核酸がリボザイムでありかつ触媒領域をさらに含む、請求項36〜38のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸。
【請求項40】
前記触媒領域がmRNAを切断しうる、請求項39に記載のアンチセンス核酸。
【請求項41】
請求項38〜40のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸であって、前記mRNAとのハイブリダイゼーションのほうが
(i) 同じタンパク質、ただし配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質に上記アミノ酸配列の点で対応する同じタンパク質を、コードするmRNA;
(ii) 前記マウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質の野生型遺伝子または対応するオルソログの野生型遺伝子によってコードされるmRNA; または
(iii) 前記マウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質の発現または機能に影響を及ぼす対応するタンパク質の野生型遺伝子によってコードされるmRNA;
とのハイブリダイゼーションよりも効果的であることを特徴とするアンチセンス核酸。
【請求項42】
請求項36〜41のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸で形質転換した宿主細胞。
【請求項43】
前記宿主細胞が真核細胞である、請求項42に記載の宿主細胞。
【請求項44】
前記宿主細胞が原核細胞である、請求項42に記載の宿主細胞。
【請求項45】
二本鎖ヌクレオチド配列を含む短い干渉RNA(siRNA)であって、そのうちの一方の鎖が、
(a) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質、もしくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログ; または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の、もしくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログの、発現または機能に影響を及ぼすタンパク質;
をコードするmRNAの少なくとも19、20、21、22、23、24または25ヌクレオチド長のセグメントに対して相補的であることを特徴とするsiRNA。
【請求項46】
前記siRNAがmRNAをコードするAGR2遺伝子に対するサイレンシング能、すなわち発現抑制能を有する、請求項45に記載のsiRNA。
【請求項47】
前記AGR2遺伝子が脊椎動物AGR2遺伝子、特にアフリカツメガエルのAGR2遺伝子、または哺乳動物AGR2遺伝子、特にヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ネコ、ヒツジおよびウマの各AGR2遺伝子からなる群より選択されるAGR2遺伝子、最も好ましくはマウスAgr2遺伝子またはヒトAGR2遺伝子であることを特徴とする、請求項45または46に記載のsiRNA。
【請求項48】
前記AGR2遺伝子が杯細胞機能の変化に関連する疾患に罹っていないまたは上記疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子である、請求項45〜47のいずれか1項に記載のsiRNA。
【請求項49】
二本鎖ヌクレオチド配列を含む短い干渉RNA(siRNA)であって、そのうちの一方の鎖が次のタンパク質:
(i) 請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質であって、該セグメントが
(a) 配列番号3に一致するマウスAgr2タンパク質の突然変異であって、それがマウスAgr2遺伝子によってコードされ、かつマウスのすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う、場合によりさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖を伴う表現型をもたらすような突然変異; および/または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異; および/または
(c) 配列番号4に対応するヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発症するというリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような、突然変異;
に対応するアミノ酸またはアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードすることを特徴とするタンパク質;
(ii) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質、または前記マウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログであって、該セグメントが非コード部分であり、かつ該タンパク質またはオルソログをコードする遺伝子中の、該タンパク質またはオルソログの発現に影響を及ぼす突然変異に対応する配列を含むことを特徴とするタンパク質またはオルソログ; または
(iii) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の発現または機能に影響を及ぼすタンパク質、または配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致する前記マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログ、
をコードするmRNAの少なくとも19、20、21、22、23、24または25ヌクレオチド長のセグメントに対して相補的であることを特徴とするsiRNA。
【請求項50】
前記セグメントがmRANの5'非翻訳(UT)領域、オープン・リーディング・フレーム(ORF)または3'非翻訳(UT)領域に由来する配列を含むことを特徴とする、請求項45〜49のいずれか1項に記載のsiRNA。
【請求項51】
請求項45〜50のいずれか1項に記載のsiRNAで形質転換した宿主細胞。
【請求項52】
前記宿主細胞が真核細胞である、請求項51に記載の宿主細胞。
【請求項53】
前記宿主細胞が原核細胞である、請求項51に記載の宿主細胞。
【請求項54】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質中のエピトープを特異的に認識する抗体であって、該エピトープが、以下の:
(a) 配列番号3に一致するマウスAgr2タンパク質の突然変異であって、それがマウスAgr2遺伝子によってコードされ、かつマウスのすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う、場合によりさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖を伴う表現型をもたらすような突然変異; および/または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異; および/または
(c) 配列番号4に対応するヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発症するというリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような、突然変異; および/または
(d) 配列番号2および配列番号30中のGlu 137;
に対応する、該タンパク質中のアミノ酸またはアミノ酸配列を含むことを特徴とする抗体。
【請求項55】
前記抗体が高親和性抗体である、請求項54記載の抗体。
【請求項56】
前記抗体がポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体およびFab、Fab’またはF(ab')2フラグメントからなる群より選択される、請求項54または55に記載の抗体。
【請求項57】
前記抗体がIgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDより選択されるクラスに属する、請求項54〜56のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項58】
前記抗体がIgG1またはIgG2のクラスに属する、請求項57に記載の抗体。
【請求項59】
前記抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項54〜58のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項60】
前記抗体が二重特異性抗体、好ましくは一方の結合特異性がエピトープに対する特異性であり、他方の結合特異性が細胞表面タンパク質、たとえば細胞表面受容体または細胞表面受容体サブユニットに対する特異性であるような抗体であることを特徴とする、請求項54〜59のいずれ1項に記載の抗体。
【請求項61】
前記抗体が他の抗体と共有結合して異種共役(ヘテロコンジュゲート)抗体を形成していることを特徴とする、請求項54〜59のいずれ1項に記載の抗体。
【請求項62】
前記抗体をそのエフェクター機能に関して修飾することを特徴とする、請求項54〜61のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項63】
前記請求項54〜62のいずれか1項に記載の抗体を
(a) 細胞毒性剤;
(b) 細胞毒性剤と、または細胞毒性剤に結合したリガンドまたは受容体と相互作用しうる受容体またはリガンド;
(c) イメージング剤;
と共役させて含む免疫共役体。
【請求項64】
前記細胞毒性剤が化学療法剤、毒素または放射性同位体より選択される、請求項63に記載の免疫共役体。
【請求項65】
前記受容体がストレプトアビジンであり細胞毒性剤に結合したリガンドがアビジンである、請求項63または64に記載の免疫共役体。
【請求項66】
前記イメージング剤が放射性同位体、好ましくは18F、64Cu、67Ga、68Ga、99mTc、111In、123I、125I、131I、169Yb、186Reおよび201Tlより選択される放射性同位体好ましくはは99mTcである、請求項63に記載の免疫共役体。
【請求項67】
前記イメージング剤が抗体に共有結合したキレート基と錯体を形成する、請求項63または66に記載の免疫共役体。
【請求項68】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質中のエピトープに特異的に結合するアンチカリンであって、該エピトープが、以下の:
(a) 配列番号3に一致するマウスAgr2タンパク質の突然変異であって、それがマウスAgr2遺伝子によってコードされ、かつマウスのすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う、場合によりさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖を伴う表現型をもたらすような突然変異; および/または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異; および/または
(c) 配列番号4に対応するヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発症するというリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような、突然変異; および/または
(d) 配列番号2および配列番号30中のGlu 137;
に対応する、該タンパク質中のアミノ酸またはアミノ酸配列を含むことを特徴とするアンチカリン。
【請求項69】
以下の:
(a) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質、もしくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログ; または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の、もしくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログの、発現または機能に影響を及ぼすタンパク質;
に対応するタンパク質中のエピトープに特異的に結合するアンチカリン。
【請求項70】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質中のエピトープに特異的に結合するアプタマーであって、該エピトープが、以下の:
(a) 配列番号3に一致するマウスAgr2タンパク質の突然変異であって、それがマウスAgr2遺伝子によってコードされ、かつマウスのすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う、場合によりさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖を伴う表現型をもたらすような突然変異; および/または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異; および/または
(c) 配列番号4に対応するヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発症するというリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような、突然変異; および/または
(d) 配列番号2および配列番号30中のGlu 137;
に対応する該タンパク質中のアミノ酸またはアミノ酸配列を含むことを特徴とするアプタマー。
【請求項71】
以下の:
(a) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質、もしくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログ; または
(b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の、もしくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する該タンパク質のオルソログの、発現または機能に影響を及ぼすタンパク質;
に対応するタンパク質中のエピトープに特異的に結合するアプタマー。
【請求項72】
少なくともそのいくつかの細胞のゲノム中に、配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致するタンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子を含み、該対立遺伝子が下記の突然変異を、すなわち
(a) 該動物のすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う表現型をもたらす突然変異; および/または
(b) 前記マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで突然変異タンパク質の生物学的活性を対応する野生型マウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比較したときに、該活性の変化を示すような突然変異に対応する突然変異; および/または
(c) 前記ヒトAGR2タンパク質の突然変異であって、杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発症するというリスクの増大を示すような、または杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すような突然変異に対応する突然変異;
を含むことを特徴とするヒト以外の脊椎動物。
【請求項73】
少なくともそのいくつかの細胞のゲノム中に、該動物のAGR2タンパク質の発現または機能に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子を含み、該対立遺伝子が突然変異を、すなわち該動物のすべてのまたは実質的にすべての細胞のゲノム中にホモ接合的に存在する場合には、対応する野生型動物と比べた場合の杯細胞機能の変化を伴う表現型をもたらす突然変異を、含むことを特徴とするヒト以外の脊椎動物。
【請求項74】
前記変化が機能欠損型の表現型をもたらす、請求項72または73に記載の動物。
【請求項75】
前記変化が機能獲得型の表現型をもたらす、請求項72または73に記載の動物。
【請求項76】
前記変化が杯細胞分化、特に最終分化の変化、および/または杯細胞粘液産生または分泌および/または粘液組成の変化である、請求項72〜75のいずれか1項に記載の動物。
【請求項77】
前記変化が杯細胞中の前ムチン貯蔵顆粒の減少、粘液分泌の変化、腸粘膜上皮または粘膜下組織における二次炎症浸潤を特徴とする変化である、請求項72〜74または請求項76のいずれか1項に記載の動物。
【請求項78】
前記表現型がさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖増大を伴う、請求項72〜74または請求項76〜77のいずれか1項に記載の動物。
【請求項79】
前記変化が下痢、または下痢と繁殖能力欠損とを招く、請求項72〜74または請求項76〜78のいずれか1項に記載の動物。
【請求項80】
前記遺伝子が当の動物から見て内在性遺伝子である、請求項72〜79のいずれか1項に記載の動物。
【請求項81】
前記遺伝子が当の動物から見て配列番号3および配列番号4のオルソログであるタンパク質をコードする遺伝子である、請求項72または請求項74〜80のいずれか1項に記載の動物。
【請求項82】
前記遺伝子が当の動物から見てヘテロな遺伝子である、請求項72〜79のいずれか1項に記載の動物。
【請求項83】
前記遺伝子が請求項1〜18のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする、請求項72または請求項74〜82のいずれか1項に記載の動物。
【請求項84】
前記遺伝子が配列番号2または配列番号30のアミノ酸配列をもつタンパク質をコードする、請求項83に記載の動物。
【請求項85】
前記動物がトランスジェニック動物である、請求項72〜84のいずれか1項に記載の動物。
【請求項86】
前記突然変異が遺伝子の発現の低下または完全消失を招く、請求項72〜85のいずれか1項に記載の動物。
【請求項87】
前記対立遺伝子が遺伝子の内在性プロモータ以外のプロモータの制御下に発現する、請求項72〜86のいずれか1項に記載の動物。
【請求項88】
前記プロモータが遺伝子の内在性プロモータの組織特異性とは異なる組織特異性をもつ、請求項87に記載の動物。
【請求項89】
前記プロモータが誘導性プロモータである、請求項87または88に記載の動物。
【請求項90】
前記細胞が動物の生殖細胞である、請求項72〜89のいずれか1項に記載の動物。
【請求項91】
前記細胞が動物の体細胞である、請求項72〜89のいずれか1項に記載の動物。
【請求項92】
前記動物のすべてまたは実質的にすべての生殖細胞および体細胞のゲノムが対立遺伝子を含む、請求項90または91に記載の動物。
【請求項93】
前記細胞のゲノムが対立遺伝子に関してホモ接合体である、請求項72〜92のいずれか1項に記載の動物。
【請求項94】
前記動物が哺乳動物、好ましくは囓歯類である、請求項72〜93のいずれか1項に記載の動物。
【請求項95】
前記動物がマウス、ラット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ネコ、ヒツジおよびウマからなる群より選択される、請求項94に記載の動物。
【請求項96】
杯細胞関連疾患に関するタンパク質診断マーカーまたは核酸診断マーカーの同定のための、または杯細胞関連疾患の分子メカニズムまたは関連する生理学的プロセスの研究を目的とした動物モデルとしての、または杯細胞関連疾患の予防、改善または治療に役立つ薬の同定および試験のための、請求項72〜95のいずれか1項に記載のヒト以外の脊椎動物の使用。
【請求項97】
前記杯細胞関連疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、ドライアイ症候群、胃疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、特にクローン病または潰瘍性大腸炎、および腸癌からなる群より選択されることを特徴とする、請求項96に記載の使用。
【請求項98】
内在性AGR2の活性の低下または活性の望ましくない状態、たとえば上昇、についての分子メカニズム、関連の生理学的プロセス、関連するまたは影響を受ける疾患の研究のための; 内在性AGR2の発現低下、産生の低下または産生の望ましくない状態、たとえば上昇、の研究のための; またはこれらの疾患の予防、改善または治療に役立つ薬の同定および試験のための、請求項72〜95のいずれか1項に記載のヒト以外の脊椎動物の使用。
【請求項99】
前記薬が小分子薬、ペプチドまたはポリペプチドおよび核酸からなる群より選択される、請求項96〜98のいずれか1項に記載の使用。
【請求項100】
前記薬がAGR2のアンタゴニストである、請求項99に記載の使用。
【請求項101】
前記薬がAGR2のアゴニストである、請求項99に記載の使用。
【請求項102】
AGR2の不足または過剰発現に関連する疾患に関するタンパク質または核酸診断マーカーたとえば初期相遺伝子診断マーカーの研究または同定のための、請求項72〜95のいずれか1項に記載のヒト以外の脊椎動物の使用。
【請求項103】
AGR2タンパク質受容体の同定のための、またはAGR2活性による調節を受けているが、AGR2の不足または過剰発現に関連する疾患に際してはその調節を受けなくなる遺伝子またはタンパク質の同定のための、請求項72〜95のいずれか1項に記載のヒト以外の脊椎動物の使用。
【請求項104】
杯細胞機能の変化に伴う疾患をヒト対象者が発現するというリスクの増大を示すようなタンパク質または核酸マーカーの同定方法であって、ヒト対象者に由来するテスト・サンプルを分析して該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者に由来する類似テスト・サンプルと比べた場合の差異の存在を調べるステップを含み、該差異が、配列番号4に一致するAGR2タンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子中の、あるいは該AGR2タンパク質の発現または機能に影響を与えるタンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子中の、突然変異の存在を示すことを特徴とする前記同定方法。
【請求項105】
杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患とAGR2発現または機能の変化との関連を示すようなタンパク質または核酸マーカーの同定方法であって、ヒト対象者に由来するテスト・サンプルを分析して該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者に由来する類似テスト・サンプルと比べた場合の差異の存在を調べるステップを含み、該差異が、配列番号4に一致するAGR2タンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子中の、あるいは該AGR2タンパク質の発現または機能に影響を与えるタンパク質をコードする遺伝子の対立遺伝子中の、突然変異の存在を示すことを特徴とする前記同定方法。
【請求項106】
テスト・サンプルを分析して、疾患に罹っていないヒト対象者または疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者に由来する類似テスト・サンプルと比べた場合の差異の存在を調べるステップを含むことを特徴とする、請求項104または105に記載の方法。
【請求項107】
テスト・サンプルが分析されるヒト対象者は杯細胞機能の変化に伴う疾患を発症しているかまたは発症するリスクがあると推測されていることを特徴とする、請求項104〜106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
疾患に罹っていないまたは疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者またはヒト対象者群から類似テスト・サンプルを獲得するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項104〜107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記変化が機能欠損型の表現型をもたらす、請求項104〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記変化が機能獲得型の表現型をもたらす、請求項104〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記変化が杯細胞分化、特に最終分化の変化、および/または杯細胞粘液産生または分泌および/または粘液組成の変化である、請求項104〜110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記変化が杯細胞中の前ムチン貯蔵顆粒の減少、粘液分泌の変化、腸粘膜上皮および粘膜下組織の二次炎症浸潤を特徴とする、請求項104〜109または請求項111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記疾患がさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖増大を伴う、請求項104〜109または請求項111〜112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記変化が下痢を招く、請求項104〜109または請求項111〜113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、ドライアイ症候群、胃疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、特にクローン病または潰瘍性大腸炎、および腸癌からなる群より選択される、請求項104〜110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記テスト・サンプルが核酸サンプルである、請求項104〜115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記核酸がmRNAとゲノムDNAとからなる群より選択される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
核酸サンプルを分析するステップがサンプル中の核酸の少なくとも一部分をポリメラーゼ連鎖反応法で増殖させるステップ、および場合により類似サンプルまたは類似サンプル群中の核酸の少なくとも一部分をポリメラーゼ連鎖反応法で増殖させるステップを含むことを特徴とする、請求項116または117に記載の方法。
【請求項119】
前記テスト・サンプルがタンパク質サンプルである、請求項104〜115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記タンパク質がAGR2タンパク質である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記差異が核酸またはタンパク質の発現レベルの差異である、請求項116〜120に記載の方法。
【請求項122】
前記差異が核酸またはタンパク質のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の差異である、請求項116〜120に記載の方法。
【請求項123】
前記分析ステップがサンプル中の核酸の、または該核酸の増殖部分の、配列を部分決定または完全決定するステップ、および場合により類似サンプルまたは類似サンプル群中の核酸の、または該核酸の増殖部分の、配列を部分決定または完全決定するステップを含むことを特徴とする、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記対立遺伝子がヒト対象者の生殖細胞ゲノムに含まれる、請求項104〜123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記対立遺伝子がヒト対象者の体細胞ゲノムに含まれる、請求項104〜123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記生殖細胞または体細胞のゲノムが前記対立遺伝子の突然変異に関してホモ接合体であるかどうかを判定するステップをさらに含む、請求項124または125に記載の方法。
【請求項127】
前記突然変異が対立遺伝子によってコードされるAGR2タンパク質中のアミノ酸の欠失、他アミノ酸による置換、または配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質のアミノ酸配列中に通常は存在しない追加アミノ酸の挿入を招くことを特徴とする、請求項104〜126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記欠失、置換または挿入がAGR2タンパク質の保存領域で起こる、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記突然変異がマウス、ラットおよびヒトAGR2の間で、好ましくはマウス、ラット、ヒトおよびアフリカツメガエルAGR2の間で、より好ましくはマウス、ラット、ヒト、アフリカツメガエルおよび線虫(Caenorhabditis elegans)AGR2の間で一致または類似しているアミノ酸の、他アミノ酸による置換を招くことを特徴とする、請求項127または128に記載の方法。
【請求項130】
前記AGR2タンパク質のアミノ酸の他アミノ酸による置換が非保存的置換である、請求項127〜129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項131】
前記AGR2タンパク質中の欠失または置換アミノ酸がVal 137である、請求項127〜130のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記第137位での置換が、以下の:
a) Val→GluまたはAspなどのような酸性アミノ酸;
b) Val→His、ArgまたはLysなどのような塩基性アミノ酸;
c) Val→SerまたはThrなどのような脂肪族ヒドロキシル側鎖アミノ酸;
d) Val→AsnまたはGlnなどのようなアミド側鎖アミノ酸;
e) Val→CysまたはMetなどのようなイオウ含有側鎖アミノ酸;
f) Val→Phe、Tyr、Trpなどのような芳香族側鎖アミノ酸
g) Val→GlyまたはPro; および
h) Val→Ala、LeuまたはIle、
のいずれかの置換であることを特徴とする、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記第137位での置換がバリンのグルタミン酸による置換である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記アミノ酸が天然アミノ酸によって置換される、請求項127〜132のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
杯細胞機能変化に伴う疾患に関するヒト対象者の発症傾向を明らかにする方法であって、該ヒト対象者では杯細胞機能変化に伴う疾患の発症リスクが大きいことを示す突然変異が配列番号4に一致するAGR2タンパク質をコードしている遺伝子の対立遺伝子中に存在することを、該ヒト対象者に由来するテスト・サンプルが示しているかどうかを明らかにするステップを含む前記方法。
【請求項136】
前記疾患の何らかの発症リスクをヒト対象者に割り当てるステップをさらに含む、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
杯細胞機能の変化に伴うヒト対象者の疾患がAGR2発現または機能の変化に関連するかどうかの判定方法であって、AGR2タンパク質の発現または機能の変化を示す突然変異が配列番号4に一致するAGR2タンパク質をコードしている遺伝子の対立遺伝子中に存在することを、該ヒト対象者に由来するテスト・サンプルが示しているかどうかを判定するステップを含む前記方法。
【請求項138】
AGR2発現または機能の変化との関連をヒト対象者の疾患の原因とするステップをさらに含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記変化が機能欠損型の表現型をもたらす、請求項135〜138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記変化が機能獲得型の表現型をもたらす、請求項135〜138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項141】
前記変化が杯細胞分化、特に最終分化の変化、および/または杯細胞粘液産生または分泌および/または粘液組成の変化である、請求項135〜140のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
前記変化が杯細胞中の前ムチン貯蔵顆粒の減少、粘液分泌の変化、腸粘膜上皮および粘膜下組織の二次炎症浸潤を特徴とする、請求項135〜139または請求項141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記疾患がさらにブルンナー腺の腺上皮の増殖増大を伴う、請求項135〜139または請求項141〜142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記変化が下痢を招く、請求項135〜139または請求項141〜143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、ドライアイ症候群、胃疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、特にクローン病または潰瘍性大腸炎、および腸癌からなる群より選択される、請求項135〜140のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
前記テスト・サンプルが核酸サンプルである、請求項135〜145のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
前記核酸がmRNAとゲノムDNAとからなる群より選択される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記テスト・サンプルがタンパク質サンプルである、請求項135〜145のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記タンパク質がAGR2タンパク質である、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記対立遺伝子が前記ヒト対象者の生殖細胞ゲノムに含まれる、請求項135〜149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記対立遺伝子が前記ヒト対象者の体細胞ゲノムに含まれる、請求項135〜149のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記生殖細胞または体細胞のゲノムが対立遺伝子の突然変異に関してホモ接合体であるかどうかを判定するステップをさらに含む、請求項150または151に記載の方法。
【請求項153】
前記突然変異がAGR2タンパク質の発現の低下または完全消失を招く、請求項135〜152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記突然変異が対立遺伝子によってコードされるAGR2タンパク質中のアミノ酸の欠失、他アミノ酸による置換、または配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質のアミノ酸配列中に通常は存在しない追加アミノ酸の挿入を招くことを特徴とする、請求項135〜153のいずれか1項に記載の方法。
【請求項155】
前記欠失、置換または挿入がAGR2タンパク質の保存領域で起こる、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記突然変異がマウス、ラットおよびヒトAGR2の間で、好ましくはマウス、ラット、ヒトおよびアフリカツメガエルAGR2の間で、より好ましくはマウス、ラット、ヒト、アフリカツメガエルおよび線虫(Caenorhabditis elegans)AGR2の間で一致または類似しているアミノ酸の、他アミノ酸による置換を招くことを特徴とする、請求項154または155に記載の方法。
【請求項157】
前記AGR2タンパク質のアミノ酸の他アミノ酸による置換が非保存的置換である、請求項154〜156のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
前記AGR2タンパク質中の欠失または置換アミノ酸がVal 137である、請求項154〜157のいずれか1項に記載の方法。
【請求項159】
前記第137位での置換が、以下の:
a) Val→GluまたはAspなどのような酸性アミノ酸;
b) Val→His、ArgまたはLysなどのような塩基性アミノ酸;
c) Val→SerまたはThrなどのような脂肪族ヒドロキシル側鎖アミノ酸;
d) Val→AsnまたはGlnなどのようなアミド側鎖アミノ酸;
e) Val→CysまたはMetなどのようなイオウ含有側鎖アミノ酸;
f) Val→Phe、Tyr、Trpなどのような芳香族側鎖アミノ酸
g) Val→GlyまたはPro; および
h) Val→Ala、LeuまたはIle、
のいずれかの置換であることを特徴とする、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記第137位での置換がバリンのグルタミン酸による置換である、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記アミノ酸が天然アミノ酸によって置換される、請求項154〜159のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記遺伝子が配列番号30に示す配列をもつAGR2タンパク質をコードする、請求項135〜152または請求項154〜161のいずれか1項に記載の方法。
【請求項163】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質またはタンパク質断片; 請求項22または23に記載の核酸; 請求項24、25、請求項29〜32のいずれか1項に記載のエピソーム・エレメントまたはベクター; 請求項36〜41のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸; 請求項45〜50のいずれか1項に記載のsiRNA; 請求項54〜62のいずれか1項に記載の抗体; 請求項63〜67のいずれか1項に記載の免疫共役体; 請求項68または69に記載のアンチカリン; または請求項70または71に記載のアプタマー、および医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項164】
薬剤として使用するための、請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質またはタンパク質断片; 請求項22または23に記載の核酸; 請求項24、25、請求項29〜32のいずれか1項に記載のエピソーム・エレメントまたはベクター; 請求項36〜41のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸; 請求項45〜50のいずれか1項に記載のsiRNA; 請求項54〜62のいずれか1項に記載の抗体; 請求項63〜67のいずれか1項に記載の免疫共役体; 請求項68または69に記載のアンチカリン; または請求項70または71に記載のアプタマー。
【請求項165】
前記薬剤がヒト対象者の杯細胞機能の変化に関連する疾患の治療用であり、また該疾患が場合によりブルンナー腺の腺上皮の増殖増大にさらに関連することを特徴とする、請求項164に記載の、そこに明記した用途のための、タンパク質またはタンパク質断片、核酸、エピソーム・エレメント、ベクター、アンチセンス核酸、siRNA、抗体、アプタマー、アンチカリンまたは免疫共役体。
【請求項166】
前記変化が杯細胞分化および/または杯細胞粘液産生または分泌および/または粘液組成の変化であることを特徴とする、請求項165に記載の、そこに明記した用途のための、タンパク質またはタンパク質断片、核酸、エピソーム・エレメント、ベクター、アンチセンス核酸、siRNA、抗体、アプタマー、アンチカリンまたは免疫共役体。
【請求項167】
前記変化が杯細胞中の前ムチン貯蔵顆粒の減少、粘液分泌の変化、腸粘膜上皮および粘膜下組織の二次炎症浸潤を特徴とする請求項165または166に記載の、そこに明記した用途のための、タンパク質またはタンパク質断片、核酸、エピソーム・エレメント、ベクター、アンチセンス核酸、siRNA、抗体、アプタマー、アンチカリンまたは免疫共役体。
【請求項168】
前記変化が下痢を招く請求項165〜167のいずれか1項に記載のタンパク質またはタンパク質断片、核酸、エピソーム・エレメント、ベクター、アンチセンス核酸、siRNA、抗体、アプタマー、アンチカリンまたは免疫共役体。
【請求項169】
前記薬剤が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、ドライアイ症候群、胃疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、特にクローン病または潰瘍性大腸炎、および腸癌からなる群より選択される疾患の治療用であることを特徴とする、請求項164または165に記載の、そこに明記した用途のための、タンパク質またはタンパク質断片、核酸、エピソーム・エレメント、ベクター、アンチセンス核酸、siRNA、抗体、アプタマー、アンチカリンまたは免疫共役体。
【請求項170】
突然変異AGR2タンパク質の製造方法であって、請求項33〜35のいずれか1項に記載の宿主細胞を好適な培地で、該タンパク質を発現させるような条件下に培養するステップおよび該細胞または培地を回収するステップを含む前記方法。
【請求項171】
続いてタンパク質を、前記細胞または培地からさらに精製する、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
杯細胞の機能変化に伴う疾患に罹っているまたは該疾患を発症するリスクがあると判明しているヒト対象者の細胞に、以下の:
a) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードする、または配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致するタンパク質をコードする、AGR2遺伝子の対立遺伝子の配列; または該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子の対立遺伝子の配列;
b) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードするDNA配列、または該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされるヒトAGR2タンパク質をコードするDNA配列、または配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致するタンパク質をコードするDNA配列;
c) 請求項36〜41のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸をコードするDNA配列、または該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされるmRNAに対して相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス核酸をコードするDNA配列;
d) 請求項45〜50のいずれか1項に記載のsiRNAをコードするDNA配列;
e) 請求項70または71に記載のアプタマーをコードするDNA配列; または
f) 請求項1〜21のいずれか1項に記載のAGR2タンパク質をコードするDNA配列;
を含むDNA構造体を送達するステップを含む遺伝子治療の方法。
【請求項173】
前記疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子が、配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードする遺伝子である、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記細胞がヒト対象者の腸細胞好ましくは杯細胞である、請求項172または173に記載の方法。
【請求項175】
前記細胞がヒト対象者の胃腸細胞、好ましくはブルンナー腺の杯細胞および/または粘液分泌細胞である、請求項172または173に記載の方法。
【請求項176】
前記細胞がヒト対象者の気道細胞、好ましくは気管の粘膜下腺の杯細胞および/または粘液分泌細胞である、請求項172または173に記載の方法。
【請求項177】
前記DNA構造体がウイルス・ベクターである、請求項172〜176のいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
前記DNA構造体がタンパク質、アンチセンス核酸またはsiRNAの発現を指示しうる、請求項172〜177のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
前記発現が一時的である、請求項178に記載の方法。
【請求項180】
前記DNA構造体が細胞のゲノム中に安定的に一体化されうる、請求項172〜178のいずれか1項に記載の方法。
【請求項181】
前記AGR2遺伝子の対立遺伝子の配列が該遺伝子のコード配列を含む、請求項172〜180のいずれか1項に記載の方法。
【請求項182】
前記AGR2遺伝子の対立遺伝子の配列が該遺伝子の非コード配列を含む、請求項172〜181のいずれか1項に記載の方法。
【請求項183】
杯細胞機能の変化に関連し、場合によりブルンナー腺の腺上皮の増殖増大にさらに関連する疾患の治療のための、または該疾患を発症するリスクがあると判明しているヒト対象者の該疾患の予防のための、
a) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードする、または配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致するタンパク質をコードする、AGR2遺伝子の対立遺伝子の配列; または該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子の対立遺伝子の配列;
b) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードするDNA配列、または該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされるヒトAGR2タンパク質をコードするDNA配列、または配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致するタンパク質をコードするDNA配列;
c) 請求項36〜41のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸をコードするDNA配列、または該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされるmRNAに対して相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス核酸をコードするDNA配列;
d) 請求項45〜50のいずれか1項に記載のsiRNAをコードするDNA配列;
e) 請求項70または71に記載のアプタマーをコードするDNA配列; または
f) 請求項1〜21のいずれか1項に記載のAGR2タンパク質をコードするDNA配列;
を含むDNA構造体の使用。
【請求項184】
ヒト対象者の杯細胞機能の変化に関連する疾患を予防、治療または改善する方法であって、該ヒト対象者のAGR2活性を調節しうる物質を含む医薬組成物を該対象者に投与するステップを含む前記方法。
【請求項185】
前記医薬組成物が請求項163に記載の医薬組成物である、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記ヒト対象者のAGR2活性を調節しうる物質が、以下の:
a) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質の配列をもつ単離されたタンパク質;
b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する単離されたタンパク質であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで、配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質と同じまたは実質的に同じ活性を示すタンパク質;
c) 配列番号3および配列番号4の対応するアミノ酸と比べたときに前記割合のアミノ酸が一致している少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、165個、170個、171個、172個、173個または174個の連続したアミノ酸を含む前記(a)または(b)に記載のタンパク質の単離された断片であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで、配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質と同じまたは実質的に同じ活性を示す断片;
d) 前記(a)〜(c)に記載のタンパク質またはタンパク質断片を、配列番号3および配列番号4中の対応するアミノ酸に対して前記割合のアミノ酸配列の一致を欠く他のタンパク質またはタンパク質断片に融合させて、好ましくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質とは無関係のタンパク質に融合させて、含む融合タンパク質;
e) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質中に、または杯細胞機能の変化に関連する疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされるヒトAGR2タンパク質中に含まれるエピトープを、特異的に認識する抗体; または
f) 該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされる、好ましくは配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードするAGR2遺伝子によってコードされる、mRNAに対して相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス核酸;
である請求項184に記載の方法。
【請求項187】
ヒト対象者の杯細胞機能の変化に関連し、場合によりブルンナー腺の腺上皮の増殖増大にさらに関連する疾患の予防、治療または改善のための医薬の製造への、AGR2活性を調節しうる物質の使用。
【請求項188】
前記物質が請求項1〜21のいずれか1項に記載のタンパク質またはタンパク質断片; 請求項22または23に記載の核酸; 請求項24、25、請求項29〜32のいずれか1項に記載のエピソーム・エレメントまたはベクター; 請求項36〜41のいずれか1項に記載のアンチセンス核酸; 請求項45〜50のいずれか1項に記載のsiRNA; 請求項54〜62のいずれか1項に記載の抗体; 請求項63〜67のいずれか1項に記載の免疫共役体; 請求項68または69に記載のアンチカリン; および請求項70または71に記載のアプタマーからなる群より選択される、請求項187に記載の使用。
【請求項189】
前記ヒト対象者のAGR2活性を調節しうる物質が、以下の:
a) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質の配列をもつ単離されたタンパク質;
b) 配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質と比べてアミノ酸が少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%一致する単離されたタンパク質であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで、配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質と同じまたは実質的に同じ活性を示すタンパク質;
c) 配列番号3および配列番号4の対応するアミノ酸と比べたときに前記割合のアミノ酸が一致している少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、165個、170個、171個、172個、173個または174個の連続したアミノ酸を含む前記(a)または(b)に記載のタンパク質の単離された断片であって、結腸細胞増殖アッセイ、杯細胞粘液分泌アッセイ、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)セメント腺分化アッセイからなる群より選択されるインビトロ・アッセイで、配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質と同じまたは実質的に同じ活性を示す断片;
d) 前記(a)〜(c)に記載のタンパク質またはタンパク質断片を、配列番号3および配列番号4中の対応するアミノ酸に対して前記割合のアミノ酸配列の一致を欠く他のタンパク質またはタンパク質断片に融合させて、好ましくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2またはヒトAGR2タンパク質とは無関係のタンパク質に融合させて、含む融合タンパク質;
e) 配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質中に、または杯細胞機能の変化に関連する疾患に罹っていないヒト対象者または発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされるヒトAGR2タンパク質中に、含まれるエピトープを、特異的に認識する抗体; または
f) 該疾患に罹っていないヒト対象者または該疾患を発症するリスクがないと判明しているヒト対象者のAGR2遺伝子によってコードされる、好ましくは配列番号4に一致するヒトAGR2タンパク質をコードするAGR2遺伝子によってコードされる、mRNAに対して相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス核酸;
である請求項187に記載の使用。
【請求項190】
野生型AGR2タンパク質、たとえば配列番号4に一致するAGR2野生型タンパク質、該タンパク質をコードする核酸、たとえば配列番号5に示すヌクレオチド配列をもつ核酸、またはAGR2の小分子アゴニストの、ヒト対象者の杯細胞機能の変化に関連する疾患の予防、治療または改善への使用であって、該疾患がドライアイ症候群、胃疾患、消化性潰瘍、炎症性腸疾患、特にクローン病または潰瘍性大腸炎、および腸癌からなる群より選択されることを特徴とする前記使用。
【請求項191】
ヒト対象者の杯細胞機能の変化に関連する疾患の予防、治療または改善へのAGR2の小分子アンタゴニストの使用であって、該疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および嚢胞性線維症からなる群より選択されることを特徴とする前記使用。
【請求項192】
杯細胞関連疾患の予防、改善または治療に有用な物質の同定方法であって、
a) 候補物質の存在または不存在下に哺乳動物の杯細胞を培養するステップ; および
b) 該物質の存在が該細胞による粘液および/または1つまたは複数の粘液成分の産生の増加を招くかどうかを判定するステップ;
を含み、該杯細胞がAGR2タンパク質の発現低下または消失を示すか、または内在性AGR2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方に突然変異をもつため該対立遺伝子がもはや発現不能となるまたは請求項1〜18のいずれか1項に記載のタンパク質をコードするようになることを特徴とする前記方法。
【請求項193】
杯細胞関連疾患の予防、改善または治療に有用な物質の同定方法であって、
a) 候補物質の存在または不存在下に哺乳動物の杯細胞を培養するステップ; および
b) 該物質の存在が細胞による粘液および/または1つまたは複数の粘液成分の産生の増加を招くかどうかを判定するステップ;
を含み、該杯細胞がAGR2タンパク質の発現増大を示すか、または内在性AGR2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方に突然変異をもつため該対立遺伝子が発現の増大を示すまたは請求項1〜18のいずれか1項に記載のタンパク質をコードするようになることを特徴とする前記方法。
【請求項194】
AGR2タンパク質のアンタゴニストの同定方法であって、
a) 野生型の哺乳動物AGR2タンパク質、好ましくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の存在または不存在下に哺乳動物の杯細胞を培養するステップ; および
b) 該培養細胞に候補アンタゴニスト物質を加えたときに、該野生型AGR2タンパク質の存在下に培養した細胞による粘液および/または1つまたは複数の粘液成分の産生の増加が観測されるかどうかを判定するステップ;
を含む前記方法。
【請求項195】
AGR2タンパク質のアンタゴニストの同定方法であって、
a) 野生型の哺乳動物AGR2タンパク質、好ましくは配列番号3、配列番号4にそれぞれ一致するマウスAgr2タンパク質またはヒトAGR2タンパク質の存在または不存在下に哺乳動物の杯細胞を培養するステップ; および
b) 該培養細胞に候補アンタゴニスト物質を加えたときに、該野生型AGR2タンパク質の存在下に培養した細胞による粘液および/または1つまたは複数の粘液成分の産生の減少が観測されるかどうかを判定するステップ;
を含む前記方法。
【請求項196】
杯細胞がAGR2タンパク質の発現低下または消失を示すか、または内在性AGR2遺伝子の対立遺伝子の一方または両方に突然変異をもつため該対立遺伝子がもはや発現不能となるまたは請求項1〜18のいずれか1項に記載のタンパク質をコードするようになることを特徴とする、請求項194または195に記載の方法。
【請求項197】
前記細胞が、突然変異した内在性AGR2対立遺伝子に関してホモ接合体である、請求項192、193または196のいずれか1項に記載の方法。
【請求項198】
前記細胞が野生型AGR2遺伝子の機能性対立遺伝子を追加的に含まない(すなわち対応する野生型オルソログの、またはヘテロな野生型AGR2遺伝子の、機能性対立遺伝子を欠く)、または野生型AGR2タンパク質(対応する野生型オルソログまたはヘテロな野性型AGR2タンパク質のいずれかに相当)を発現する核酸配列を追加的に含まない、請求項192、196または197のいずれか1項に記載の方法。
【請求項199】
突然変異した対立遺伝子によってコードされるタンパク質が配列番号2または配列番号30に示すアミノ酸配列をもつ、請求項192、193または196〜198のいずれか1項に記載の方法。
【請求項200】
前記粘液成分がムチン2またはトレフォイル・ペプチドである、請求項192〜199のいずれか1項に記載の方法。
【請求項201】
前記物質の存在がムチン2と1つまたは複数のトレフォイル・ペプチドの両方の産生の増大を招くかどうか、または野生型AGR2タンパク質の存在下でのムチン2と1つまたは複数のトレフォイル・ペプチドの両方の産生の増大が候補アンタゴニスト物質の添加時に観測されるかどうかを判定する、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
物質の存在がムチン2と1つまたは複数のトレフォイル・ペプチドの両方の産生の低下を招くかどうか、または野生型AGR2タンパク質の存在下でのムチン2と1つまたは複数のトレフォイル・ペプチドの両方の産生の低下が候補アンタゴニスト物質の添加時に観測されるかどうかを判定する、請求項200に記載の方法。
【請求項203】
ムチン2および/またはトレフォイル・ペプチドの発現がmuc2-およびトレフォイル・ペプチド-特異的プライマーを使用する定量PCR分析によって決定される、請求項200または202に記載の方法。
【請求項204】
前記哺乳動物の杯細胞がLS174TまたはHT29細胞である、請求項192〜203のいずれか1項に記載の方法。
【請求項205】
前記候補物質が、以下の:
a) ペプチドまたはポリペプチド;
b) 核酸(ペプチド核酸を含む); および
c) 分子量が2000ドルトン以下、好ましくは1500ドルトン以下、より好ましくは1000ドルトン以下、最も好ましくは500、400、300、さらには200ドルトン以下の小分子;
からなる群より選択される、請求項192〜204のいずれか1項に記載の方法。
【請求項206】
請求項192〜205のいずれか1項に記載の方法によって同定した、または同定しうる物質。
【請求項207】
杯細胞機能の変化に関連する疾患の予防、改善または治療への、請求項206に記載の物質使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2006−526383(P2006−526383A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561436(P2004−561436)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014834
【国際公開番号】WO2004/056858
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505239404)インゲニウム ファーマシューティカルズ アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】