説明

棒状ボンド磁石およびその製造方法

【課題】 磁気特性が良好であり比較的長い、交互多極磁化された棒状ボンド磁石を得る。
【解決手段】 本発明は、磁性粉末と樹脂とを混練しコンパウンドを得る第一の工程と、上記コンパウンドを溶融させてキャビティ内に射出して、そのキャビティに向かって配置された配向用磁石により配向磁場を印加しながら上記コンパウンドを成形する第二の工程と、を有する棒状ボンド磁石の製造方法において、上記第二の工程は、軸方向に沿った側面がN極とS極とに交互に多極磁化され、半円状の断面を有する複数の単位ボンド磁石を成形する工程を有しており、上記複数の単位ボンド磁石の平面側を向かい合わせにして配置することにより円柱状に形成することを特徴とする棒状ボンド磁石の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向にN極とS極が交互に多極磁化された棒状ボンド磁石およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同種の磁極が対向するように複数の永久磁石を配置させた柱状磁石や筒状磁石のような棒状ボンド磁石は、強い磁力が得られるため、様々な分野で利用されている。例えば、食品から鉄粉を除去するための異物除去装置やリニアモータの固定子や可動子として利用されている(例えば、特許文献1または特許文献2を参照。)。
【0003】
このような棒状ボンド磁石は、その外周面において磁石の軸方向にN極とS極とが交互に多極磁化されて形成されている。そして、それらの磁石の外周面に発生した磁極は、例えばN極について言うと、N極から軸方向に対して直交する方向に磁力線が放射状に伸び、そのN極と隣接するS極へと磁力線が大きな弧を描く。その結果、柱状磁石および筒状磁石の外周面には効果的に強い磁場を形成することができる。そのため、このような磁石を異物除去装置に利用すると、異物の捕集能力を高くすることができる。また、リニアモータや振動モータに利用した場合には、強い推進力を得ることができる。以下、このような磁石のことを「交互多極磁石」と呼ぶ。本明細書は、棒状の交互多極磁石およびそれを製造する方法について述べたものである。
【0004】
交互多極磁石を製造する方法には、例えば、軸方向に着磁された柱状あるいは筒状の焼結磁石の複数のピースを、同極が対向するように配置した後に接着剤により接着する方法がある。また、別の方法では、孔を形成した複数の柱状あるいは筒状の焼結磁石のピースの孔に、両端にネジ山を形成したシャフトあるいはボルトを貫通させた後、両端をナットで固定する方法がある。
【0005】
上記のような交互多極磁石を製造する場合には、強い磁力を得るため複数の永久磁石を組み立てる際に、同種の磁極同士を向かい合わせにして永久磁石を配置させなければならず、永久磁石から大きな反発力を受けるため非常に危険である。また、作業性が悪いだけでなく、接着剤が固化するまでの間は、冶具で磁石を固定する必要があるので生産性が低いという問題があった。さらに、永久磁石を固定する接着剤の量や塗布のされ方によって、接着個所の寸法がばらつくという問題があった。さらに、磁極数の多い交互多極磁石を製造する場合、接着する箇所が増えるので、寸法がはらつく問題は一層深刻なものとなる。つまり、交互多極磁石の全長を、目的の寸法にすることが非常に困難である。
【0006】
一方、交互多極磁石を製造する方法には、磁性材料と樹脂とからなるコンパウンドを金型により形成されたキャビティ内に射出して成形する射出成形法がある(例えば、特許文献3を参照。)。この射出成形法で交互多極磁石を製作する場合には、円柱状のキャビティを取り囲むように配向用磁石を配置し、その配向用磁石によって、キャビティの軸方向にN極とS極とが交互に多極磁化された配向磁場を形成し、その配向磁場が印加される空間であるキャビティに磁性材料と樹脂とからなるコンパウンドを射出して成形することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−303714号公報
【特許文献2】特開2005−73466号公報
【特許文献3】特開2004−320827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、射出成形法を用いて交互多極磁石を成形する場合、キャビティを配向用磁石が取り囲む必要があるので、以下に挙げる二点の課題がある。
【0009】
一点目は、棒状ボンド磁石の側面を成形する個所を配向用磁石が取り囲むので、必然的に、コンパウンドをキャビティ内に流し込むためのゲートを固定側金型または可動側金型の両端側に配置しなければならない。すなわち、図2に示されるように、キャビティ205の周囲を配向用磁石204a、204bが取り囲むので、固定側金型201または可動側金型202の両端側に、すなわち、成形される棒状ボンド磁石の端面に相当する個所に必然的にゲートを配置しなければならない。
【0010】
このような個所にゲートを配置すると、L(磁石の長さ)/D(磁石の径)=10以上の比較的長い棒状ボンド磁石を成形する場合に不利となる。その理由は、キャビティに射出される成形材料の流動性が悪いと、比較的長いキャビティの全体を成形材料で満たすことが困難になることがあるからである。また、比較的長い成形された棒状ボンド磁石を取り出す際に、エジェクタピンを利用した一般的な突き出し方法による取出しが困難になることがあるからである。
【0011】
次に、キャビティの周囲を配向用磁石が取り囲むことによる二点目の課題は、棒状ボンド磁石の表面の磁束密度の分布が不均一となる点である。すなわち、図2に示されるように、配向用磁石は、可動側金型201と固定側金型202の分割に伴って、可動側金型201に配置された配向用磁石204aと固定側金型202に配置された配向用磁石204bとに二分割されるように構成する必要がある。そのため、配向用磁石204aと配向用磁石204bの合わさり目(可動側金型201と固定側金型202の合わさり目でもある。)では配向磁場が弱くなり、成形された棒状ボンド磁石の表面の外周方向の磁束密度分布が低い個所が、配向用磁石204aと配向用磁石204bの合わさり目に相当する個所(図2に示されるキャビティ205の上下二箇所)で形成されてしまう。
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明は、ゲート位置を自由に配置できるようにしてL/D=10以上の比較的長い棒状ボンド磁石が得られることを可能とし、さらに配向用磁石の合わさり目に相当する個所の磁力の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の目的を達成するために本発明に係る棒状ボンド磁石は、複数の単位ボンド磁石を組み合わせてなる棒状ボンド磁石において、上記単位ボンド磁石は、射出成形により一体的に成形されており、L(磁石の長さ)/D(磁石の径)=10以上の棒状ボンド磁石における軸方向の側面がN極とS極とに交互多極磁化されていることを特徴とする。
【0014】
上記単位ボンド磁石は、それらの組み合わせ面にゲート痕を有していることが好ましい。
【0015】
上記単位ボンド磁石は、それらの組み合わせ面の長手方向に沿って溝を有しており、棒状ボンド磁石が中空に形成されることが好ましい。
【0016】
上記単位ボンド磁石は、それらの端部の少なくとも一方に軸を有しており、それらの単位ボンド磁石を組み合わせてなる棒状ボンド磁石の両端部に軸が設けられることが好ましい。
【0017】
上記単位ボンド磁石は、それらのいずれか一方に円柱状の端部を有することが好ましい。
【0018】
上述の目的を達成するために本発明に係る棒状ボンド磁石の製造方法は、磁性粉末と樹脂とを混練しコンパウンドを得る第一の工程と、上記コンパウンドを溶融させてキャビティ内に射出して、そのキャビティに向かって配置された配向用磁石により配向磁場を印加しながら上記コンパウンドを成形する第二の工程と、を有する棒状ボンド磁石の製造方法において、上記配向用磁石は、上記キャビティの側に円弧面を一部に含む内面により形成された凹部を有しており、上記第二の工程は、軸方向に沿った側面がN極とS極とに交互に多極磁化され、半円状の断面を有する複数の単位ボンド磁石を成形する工程を有しており、上記複数の単位ボンド磁石の平面側を向かい合わせにして配置することにより円柱状に形成することを特徴とする。
【0019】
上記キャビティは、上記配向用磁石が配置された第一の金型と、その第一の金型に向かい合って配置される第二の金型により形成されており、上記第二の金型は、上記キャビティの長手方向に沿って形成された凸部を有し、その凸部が上記配向用磁石の凹部の一部に嵌入され、その凸部の上面と上記配向用磁石の円弧面とにより上記キャビティが、その長手方向に垂直な断面において半円状に形成されることが好ましい。
【0020】
上記配向用磁石の円弧面は、上記単位ボンド磁石の多極磁化される側面よりも広いことが好ましい。上記配向用磁石の円弧面は、中心角が185度以上200度未満の円弧面であることが好ましい。
【0021】
上記第二の工程は、上記キャビティの長手方向に配置された第二の金型に形成されたゲートから上記コンパウンドを射出する工程を有することが好ましい。
【0022】
上記配向用磁石は、同種の磁極が対向するように複数の永久磁石を配置させることにより形成されていることが好ましい。
【0023】
上記磁性粉末は、SmFeN系磁性粉末であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
交互多極磁石である棒状ボンド磁石を、長手方向に複数に分割した単位ボンド磁石を組み合わせて構成することにより、射出成形するときの可動側金型あるいは固定側金型の何れか一方にて、単位ボンド磁石の交互多極磁化される側面を成形するためのキャビティを形成することができる。これにより、可動側金型あるいは固定側金型の何れか他方にゲートを配置することができるので、ゲートの位置は、単位ボンド磁石の交互多極磁化される側面以外の成形体の長手方向に対して自由に取ることができる。したがって、間隔を空けて複数のゲートを設けたり比較的大きなゲートを設けたりすることができるので、成形材料の流動性に関わらず、L/D=10以上の比較的長い棒状ボンド磁石を自由に形成することができる。また、棒状ボンド磁石の磁気特性に影響を与えない個所にゲート痕が形成されるようにゲートを配置することもできる。
【0025】
また、配向用磁石のキャビティを形成する内面を、成形体である単位ボンド磁石の交互多極磁化される側面よりも広くすることにより、単位ボンド磁石の合わさり目に相当する個所で磁力が低下することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明にかかる棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。
【図2】図2は、本発明との比較のために示す棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明にかかる棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。
【図4】図4は、本発明にかかる棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明にかかる棒状ボンド磁石の製造方法の一実施例を示す模式的な斜視図である。
【図6】図6は、本発明にかかる棒状ボンド磁石の製造方法の一実施例を示す模式的な斜視図である。
【図7】図7は、本発明にかかる棒状ボンド磁石の製造方法の一実施例を示す模式的な斜視図である。
【図8】図8は、本発明にかかる棒状ボンド磁石の製造方法の一実施例における配向用磁石の模式的な斜視図である。
【図9】図9は、本発明にかかる棒状ボンド磁石の円周に沿って表面磁束密度を測定した結果を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明にかかる棒状ボンド磁石の磁気特性とそれを成形する金型の形状との相関関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための棒状ボンド磁石およびその製造方法を例示するものであって、本発明は、棒状ボンド磁石およびその製造方法を以下に限定するものではない。
【0028】
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0029】
図1、図3および図4は、本形態における棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。図2は、比較のために示す棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。図5乃至図7は、本形態における棒状ボンド磁石の製造方法の実施例を示す模式的な斜視図である。
【0030】
本発明は、図5乃至7に示されるように、複数の単位ボンド磁石を組み合わせてなる棒状ボンド磁石であって、上記単位ボンド磁石は、射出成形により一体的に成形されており、L(磁石の長さ)/D(磁石の径)=10以上の棒状ボンド磁石の軸方向の側面にN極とS極が交互に多極磁化されていることを特徴とする。単位ボンド磁石が射出成形により一体的に成形されていることにより、複数の単位ボンド磁石が容易に得られるので、それらの単位ボンド磁石を組み合わせてなる比較的長い棒状ボンド磁石が容易に得られる。
【0031】
棒状ボンド磁石を構成する単位ボンド磁石は、それらの組み合わせ面にゲート痕を有していることが好ましい。すなわち、磁石として利用する磁力を発生させる棒状ボンド磁石の側面以外にゲート痕が設けられることが好ましい。これにより、ゲート痕が棒状ボンド磁石の磁気特性に悪影響を及ぼすことを少なくすることができる。
【0032】
図6に示されるように、棒状ボンド磁石600を構成する単位ボンド磁石602は、単位ボンド磁石601との組み合わせ面に長手方向に沿って溝602aを有しており、これらの単位ボンド磁石601、602を組み合わせて棒状ボンド磁石600を構成したとき、棒状ボンド磁石600の内部が中空に形成されることが好ましい。
【0033】
これにより、単位ボンド磁石の成形材料を節約することができるので安価な棒状ボンド磁石とすることができる。なお、溝を形成する単位ボンド磁石は、組み合わせる二つの単位ボンド磁石のうち少なくとも一方でよい。また、二つの単位ボンド磁石の両方に溝を形成しておき、それらの単位ボンド磁石を組み合わせたとき、棒状ボンド磁石が中空に形成されるようにしてもよい。すなわち、一方の単位ボンド磁石に溝を形成し、他方の単位ボンド磁石に溝を形成することなく平面とし、それらの単位ボンド磁石を組み合わせたとき、棒状ボンド磁石が中空に形成されるようにしてもよい。また、溝の内部にゲート痕が形成されるように、溝を成形する金型にゲートを形成してもよい。これにより、単位ボンド磁石を組み合わせるときに、ゲート痕が障害とならないようにすることができる。
【0034】
図7に示されるように、棒状ボンド磁石700を構成する単位ボンド磁石701、702は、それらの端部の少なくとも一方に軸702bを有することが好ましい。なお、図7に示されるように、組み合わせる二つの単位ボンド磁石701、702のうち一方の単位ボンド磁石702に二つの軸を設けて他方の単位ボンド磁石701に軸を設けなくてもよいし、一方の単位ボンド磁石に一つの軸を設け、他方の単位ボンド磁石に一つの軸を設け、組み合わせたときに棒状ボンド磁石の両端部に一つずつの軸が設けられるようにしてもよい。このような軸を有することにより、それらの単位ボンド磁石を組み合わせてなる棒状ボンド磁石の両端部に軸が設けられる。また、一方の単位ボンド磁石に半円柱状の軸を設け、他方の単位ボンド磁石の同じ側にも半円柱状の軸を設け、組み合わせたときに棒状ボンド磁石の少なくとも一方の端部に円柱状の軸が設けられるようにしてもよい。
【0035】
軸は、単位ボンド磁石の成形と同時に単位ボンド磁石に対して一体的に成形することができる他、単位ボンド磁石を成形した後、その単位ボンド磁石に別の工程で成形した軸を接着することにより固定してもよい。なお、軸を有する単位ボンド磁石が容易に得られるという点で、前者の方法によることが好ましい。
【0036】
このような軸により、棒状ボンド磁石を支持することが容易にできるので、例えば、棒状ボンド磁石を構成部材とするリニアモータの軸受け部材に組み込むことができる。この軸は、単位ボンド磁石の半円形状の端面に直接設けてもよいが、以下に述べる円柱状の端部に設けることが好ましい。
【0037】
図7に示されるように、棒状ボンド磁石700を構成する複数の単位ボンド磁石701、702は、それらのいずれか一方に円柱状の端部702aを有することが好ましい。なお、図7に示されるように、組み合わせる二つの単位ボンド磁石701、702のうち一方の単位ボンド磁石702の端部702aを円柱状とし、他方の単位ボンド磁石701の端部を円柱状に形成しなくてもよいし、一方の単位ボンド磁石の端部の一つを円柱状とし、他方の単位ボンド磁石の反対側の一つの端部を円柱状とすることで、組み合わせたときに棒状ボンド磁石の両端部が円柱状となるようにしてもよい。この単位ボンド磁石の円柱状の端部に上述の軸を設けてもよい。このとき、円柱状の端部の径は、軸の径よりも大きいことが好ましい。このような円柱状の端部により軸を支持することができる。また、円柱状の端部を有する単位ボンド磁石と、円柱状の端部を有しない単位ボンド磁石とを嵌合することにより、単位ボンド磁石が円柱状の端部で位置決めされることでの位置合わせが容易となり、位置精度よく棒状ボンド磁石を組み立てることができる。
【0038】
本発明にかかる棒状ボンド磁石の製造方法は、磁性粉末と樹脂とを混練しコンパウンドを得る第一の工程と、コンパウンドを溶融させてキャビティ内に射出して、そのキャビティに向かって配置された配向用磁石により配向磁場を印加しながらコンパウンドを成形する第二の工程と、を有する棒状ボンド磁石の製造方法である。
【0039】
このような棒状ボンド磁石の製造方法において、比較的長い棒状ボンド磁石を成形するため、本発明は、図3に示されるように、配向用磁石304が、キャビティ305の側に円弧面を一部に含む内面により形成された凹部を有しており、上記コンパウンドを成形する第二の工程が、単位ボンド磁石の軸方向に沿った側面をN極とS極とに交互に多極磁化するとともに、半円柱状の複数の単位ボンド磁石を成形する工程を有しており、この工程により成形された複数の単位ボンド磁石の平面側を、図5に示されるように向かい合わせに配置することにより円柱状に形成することを特徴とする。
【0040】
このような製造方法とすることにより、キャビティに対してゲートの位置を自由にとることができるようになり、比較的長い棒状ボンド磁石を成形することができる。
【0041】
また、図1に示されるように、単位ボンド磁石を成形するキャビティ105を、配向用磁石104が配置された第一の金型101と、その第一の金型101に向かい合って配置される第二の金型102により形成する。ここで、第一の金型101または第二の金型102は、可動側金型または固定側金型のいずれかの金型とすることができる。また、配向用磁石104は、キャビティ105の側に円弧面を一部に含む内面により形成された凹部を有している。さらに、第二の金型102は、キャビティ105の長手方向に沿って形成された凸部102aを有する。その凸部102aが配向用磁石104の凹部の一部に嵌入されることで、その凸部102aの上面(凸側の面)と配向用磁石104の円弧面とにより、キャビティ105がその長手方向に垂直な断面において半円状に形成されることが好ましい。
【0042】
これにより、比較的長い棒状ボンド磁石を成形することができるだけでなく、第一の金型と第二の金型の合わさり目に相当する個所での配向用磁石からの磁力の低下を抑制することができる。そのため、単位ボンド磁石の側面全体に渡って表面磁束密度の分布が良好な棒状ボンド磁石を製造することができる。すなわち、半円柱状の複数の単位ボンドを円柱状の棒状ボンド磁石に組み立てたとき、単位ボンド磁石の合わさり目に相当する個所での表面磁束密度の低下が少なく、円柱状断面の全周に渡って表面磁束密度の分布が均一な棒状ボンド磁石とすることができる。
【0043】
配向用磁石の凹部を形成する円弧面は、単位ボンド磁石の多極磁化される側面よりも広いことが好ましい。これにより、単位ボンド磁石の多極磁化される側面全体に配向用磁石から配向磁場を印加することができる。また、この円弧面は、図1中に示される中心角θが185度以上であることが好ましく、185度以上200度未満の円弧面であることがより好ましい。このような円弧面により、半円柱状の単位ボンド磁石の合わさり目に相当する個所での磁力の低下を抑制することができる。中心角が185度以下であると、半円柱状の単位ボンド磁石の合わさり目に相当する個所での磁力の低下を十分に抑制することができず、中心角が200度以上であると、金型の作成上支障をきたすからである。
【0044】
コンパウンドをキャビティ内で成形する第二の工程は、図1および図4に示されるように、キャビティ105の長手方向に配置された第二の金型102に形成されたゲート106からコンパウンドを射出する工程を有することが好ましい。なお、図1および図4に示されるように、ゲート106を配置し易くするため、必要に応じて第三の金型103を介してゲートを設けてもよい。これにより、成形性を考慮した自由な個所にゲートを設けることができる。そのため、従来よりもキャビティを長くすることができるので、従来よりも長手方向に長い棒状ボンド磁石を製造することができる。また、多極磁化された側面以外にゲート痕が設けられるようにすることで、ゲート痕が棒状ボンド磁石の磁気特性に悪影響を及ぼすことを低減することができる。
【0045】
配向用磁石104は、永久磁石とすることが好ましい。配向用磁石の材料は、残留磁束密度Brが1T以上のものが好ましく、例えば、NdFeB焼結磁石を用いることができる。磁力の大きい磁石を使うと、キャビティの内部に発生する磁力が強くなり、単位ボンド磁石の磁力も強くなる。
【0046】
配向用磁石は、同種の磁極が対向するように複数の永久磁石を配置させることにより形成されていることが好ましい。これにより、キャビティの内部に発生する磁力が強くなり、単位ボンド磁石の磁力も強くなるからである。
【0047】
配向用磁石104は、図1に示されるように、半円柱状の単位ボンド磁石を成形するキャビティ105の外側に配置される。図8は、本形態における配向用磁石104の一例を示す斜視図である。配向用磁石104は、図8に示されるように、複数の小磁石104aと小磁石104bを、それらの同種の磁極が向かい合うように配置して構成している。複数の小磁石104aと小磁石104bは、キャビティ105の長手方向に垂直な方向の断面形状がコの字型である。このような配向用磁石104により、例えば、N極同士の対向面の場合、その対向面で磁力線が反発して、強力な磁界を発生しキャビティの内部へ向かう。その後、磁力線は、隣接するS極同士が対向する面へと続く。この磁力線にそって、コンパウンド中の異方性磁性粉末が配向することによって、成形体である単位ボンド磁石の側面に磁力の強い放射状の磁場を発生させる。
【0048】
射出成形で得られる単位ボンド磁石は、金型内で配向磁化されているのでそのまま使用することもできるが、成形後に着磁工程を行っても良い。着磁を行うことで、単位ボンド磁石の磁力をより強力なものとすることができる。
【0049】
本発明で用いられる成形方法としては、特に制限はなく、例えば、押出成形、圧縮成形、射出成形が適用可能である。生産性、配向設備の設置の容易性から、特に射出成形によって成形することが好ましい。
【0050】
本発明で用いられる磁性粉末は、異方性又は、等方性の磁性粉末が適用可能である。例えば、異方性磁性粉末としては、フェライト系、SmCo系、NdFeB系、SmFeN系が挙げられる。等方性磁性粉末としては、SmCo系、NdFeB系などが挙げられる。磁力の強い円柱状ボンド磁石を作製する必要がある場合には、異方性磁性粉末を用いることが好ましく、特に、成形性を考慮するとSmFeN系が好ましい。これは、異方性磁性粉末は、配向の際に印加される磁場によって、磁化方向が非常に揃い易く、結果的に円柱状ボンド磁石の磁力が強くなるためである。成形性の優れる材料は、配向もしやすい。上記の磁性粉末は、一種単独でも二種以上を混合物として使用しても使用可能である。また必要に応じて耐酸化処理やカップリング処理を施しても良い。
【0051】
本発明で用いられる樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や、エステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。また、これらを適宜混合して使用することもできる。
【0052】
磁性粉末の配合比率は、樹脂の種類にもよるが、単位ボンド磁石全体に対する磁性粉末の割合が45〜75Vol%とすることが好ましい。また、酸化防止剤、滑剤等をさらに混合することもできる。
【0053】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0054】
図3は、本実施例にかかる棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。図3に示す金型構成で射出成形を行った。本実施例の最終製品の形状は、円柱状の棒状ボンド磁石500であるが、まず、二つの半円柱状の単位ボンド磁石を成形した後、図5に示されるように、これらの単位ボンド磁石501、502を接着剤で固定することにより一本の円柱状の棒状ボンド磁石500とする。
【0055】
本実施例における配向用磁石304は、図3に示されるようにキャビティ305の長手方向に沿って配置されており、その配向用磁石304を構成する複数の小磁石の磁極が長手方向に交互に入れ替わるように第一の金型301内に並べられている。本実施例における成形材料は、平均粒子径が約3μmのSmFeN磁性粉末をナイロン12樹脂に錬りこんだものである。射出成形装置の金型温度は80℃とし、射出温度は250℃とした。キャビティ305の寸法は、直径5mm、長さ100mmとした。この場合は、成形される単位ボンド磁石のL(長さ)/D(径)が20となり、10をはるかに超えた比較的長いボンド磁石となる。しかし、第二の金型302に配置させた複数のゲート306は、25mmの間隔を空けて配置されているので、このような比較的長いボンド磁石の成形でも成形性には支障がなかった。なお、ゲート306は、金型の側面方向から配置する、いわゆるサイドゲートにすることができるので、本実施例の金型は、二枚の金属プレートによる簡便な構成で済ますことができる。
【0056】
図9は、本実施例における円柱状交互多極磁石の円周方向に沿っての表面磁束密度を測定した結果である。なお、円柱状交互多極磁石は、N極とS極が長手方向に交互に入れ替わるので、まず円柱状交互多極磁石の長手方向に測定してみて、一つのN極の中で最も表面磁束密度が大きい個所を測定点として固定し、次にその測定点を通過する円周に沿って、角度を変化させながら円柱状交互多極磁石の表面磁束密度を測定したものである。
【0057】
図9によれば、0度(360度)および180度付近で、表面磁束密度が低下していることが分かる。すなわち、0度および180度付近以外は、表面磁束密度が2000Gであるのに対して、0度および180度付近では、表面磁束密度が1400Gとなっており、30%の低下が認められる。このように表面磁束密度が低下する個所は、金型と金型の合わさり目に向かい合う個所に相当している。このような個所は、配向用磁石の端部に相当しており、そこから先では配向用磁石が途切れているために、配向磁場が局所的に低下する。よって、磁場の均一性が要求される場合には、このような局所的な表面磁束密度の低下が問題となる場合も考えられる。
【0058】
本実施例のように、円柱状の棒状ボンド磁石を二つの半円状の単位ボンド磁石の組み合わせにて構成することにより、L/Dが10以上の比較的長い棒状ボンド磁石を射出成形にて容易に製造することができる。ただ、表面磁束密度が局所的に低下することが分かった。特に、配向用磁石を金型の片方だけに配置している関係上、以下に述べる比較例の場合よりも金型の合わさり目での表面磁束密度低下が大きいことが分かった。
【実施例2】
【0059】
図1および図4は、本実施例における棒状ボンド磁石を構成する単位ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。本実施例は、図1および図4に示される金型を備えた成形装置にて射出成形を行った。
【0060】
本実施例の最終製品の形状は、実施例1と同様に、円柱状であるが、これを長手方向に沿って半分にした半円柱状の単位ボンド磁石を成形した後、これら二つの単位ボンド磁石の組み合わせ面を接着剤で固定することにより、一本の円柱状の棒状ボンド磁石とする。
【0061】
図1に示されるように、本実施例における配向用磁石104は、その配向用磁石104を構成する複数の小磁石の磁極が長手方向に交互に入れ替わるように金型101内に並べられている。本実施例において、射出成形する成形材料、射出成形の温度条件およびキャビティの寸法は、実施例1と同様である。本実施例におけるL/Dは、20であって10を遥かに超えてはいるものの、複数のゲート106が25mmの間隔を空けて配置されているので、成形材料を円滑にキャビティ内へ流し込むことができており、成形性には支障がなかった。なお、本実施例におけるゲート106は、比較的小さなゲート、いわゆるピンゲートであり、本実施例の金型は、第一乃至第三の金型を組み合わせた三枚の金属プレートからなる若干複雑な構成である。
【0062】
ここで、本実施例における第一の金型101の構成を詳しく説明する。配向用磁石104は、その一部が実施例1における金型と金型の合わさり目、すなわちキャビティの端よりも迫り出している。本実施例におけるキャビティは、半円状に形成させる必要があるので、配向用磁石が配置されていない第二の金型は、実施例1の第二の金型と比較して複雑な形となっている。すなわち、第二の金型は、配向用磁石の一部が断面半円形状のキャビティから迫り出している部位を抱き込むように、その第一の金型との合わさり目となる面が凹凸形状になっている。図1に示されるように、内面が略半円柱状のキャビティ105を形成する円弧面の中心角θは、配向用磁石がキャビティ105にどれだけ覆いかぶさるかの程度を数値化したものであって、本実施例では、θ=190度とした。
【0063】
ここで、実施例1と同様に、本実施例における円柱状の棒状ボンド磁石における円周方向の表面磁束密度を測定したところ、表面磁束密度の最大値は2000Gであり、実施例1と同じである。また、表面磁束密度の最小値は1800Gであり、実施例1の1400Gと比較して大きくなっている。また、表面磁束密度の最小値は、図2に示されるようにキャビティ205の両側に第一の金型201および第二の金型202を配置させ、さらに配向用磁石204a、204bをそれぞれ配置して成形した棒状ボンド磁石の表面磁束密度の最小値1700Gよりも大きい。
【0064】
さらに、図1に示されるキャビティ105を形成する円弧面の中心角θ(度)と、成形した棒状ボンド磁石の表面磁束密度の最大値と最小値の差(ΔG)との相関関係を測定し、図10に示されるようにグラフにプロットした。
【0065】
図10によると、ΔGは、θが185度から顕著に減少し始め、概ね200度で略一定になることが分かる。θが200度以上でもΔGが小さくなるが、微小な変化にとどまることが分かる。
【0066】
よって、半円柱状のキャビティ105を形成する円弧面の中心角θが、185度以上200度未満である範囲において、表面磁束密度の変動が小さく、均一な磁場を形成させることができる棒状ボンド磁石が得られる。
【実施例3】
【0067】
図6は、本実施例における棒状ボンド磁石およびその製造方法を示す。本実施例では、単位ボンド磁石の組み合わせ面に溝が成形されるように金型を作製する。図6に示されるように、溝602aが形成された単位ボンド磁石602と別の単位ボンド磁石601とを組み合わせると、棒状ボンド磁石600の内部に空洞が形成される。すなわち、これらの単位ボンド磁石を貼り合わせれば、内部が空洞の交互多極磁石が作製できる。本実施例によれば、高価な磁石材料の使用量を空洞の大きさだけ低減できる。本実施例における交互多極磁石は、棒状ボンド磁石の表面において磁性材料が配向されているので、最大で直径の三分の二に相当する空洞が棒状ボンド磁石の内部にあっても、表面磁束密度に差は見られなかった。
【実施例4】
【0068】
図7は、本実施例における棒状ボンド磁石およびその製造方法を示す。本実施例では、棒状ボンド磁石700の回転運動を支持するための軸702bを、単位ボンド磁石702を成形すると同時に単位ボンド磁石702に対して一体的に成形している。図7に示されるように、二つの単位ボンド磁石701、702のうち、一方の単位ボンド磁石702に軸702bを成形した後、他方の単位ボンド磁石701と貼り合わせることにより、軸が設けられた交互多極磁石である棒状ボンド磁石700が得られる。この交互多極磁石を回転させて使用する場合には、軸702bは、回転運動を支持するための軸として利用することができる。
【0069】
軸を有する交互多極磁石を作製する場合、交互多極磁石の長手方向に穴を形成させておき、その穴に金属製のシャフトを貫通させることがある。しかし、本実施例によれば、単位ボンド磁石の成形と同時に軸を一体的に成形することができるので、軸を有する交互多極磁石が容易に得られる。
<比較例1>
【0070】
図2は、本発明との比較のために示す棒状ボンド磁石を成形する装置の模式的な斜視図を示す。図2に示されるように、キャビティ205の両側に配置させた第一の金型201および第二の金型202に配向用磁石204a、204bをそれぞれ配置して、円柱状の交互多極磁石を製造した。配向用磁石204a、204bは、それらの配向用磁石を構成する小磁石の磁極が長手方向に交互に入れ替わるようにして金型内に並べられている。ゲートは、内面が円柱状のキャビティの端、すなわち成形する円柱状の棒状ボンド磁石の端面に相当する個所に設けられる。キャビティの寸法は、直径5mm、長さ30mmである。本比較例における棒状ボンド磁石のL/Dは、6であって、この程度ならば成形性に問題はない。しかし、L/Dが10以上になった場合は、キャビティ内に成形材料を充填することが著しく困難となった。なお、成形材料および成形条件は、実施例1と同じとした。
【0071】
棒状ボンド磁石の表面磁束密度の最大値は、実施例1と同様に2000Gであったが、金型の合わせ面に相当する個所の表面磁束密度は1700Gであり、実施例2と比較して小さくなった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の棒状ボンド磁石は、異物除去装置やリニアモータ用の磁石材料として利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
101、201、301・・・第一の金型、102、202、302・・・第二の金型、102a・・・凸部、103・・・第三の金型、104、204a、204b、304・・・配向用磁石、105、205、305・・・キャビティ、106、306・・・ゲート、500、600、700・・・棒状ボンド磁石、501、502、601、602、701、702・・・単位ボンド磁石、602a・・・溝、702a・・・円柱状の端部、702b・・・軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位ボンド磁石を組み合わせてなる棒状ボンド磁石において、
前記単位ボンド磁石は、射出成形により一体的に成形されており、L(磁石の長さ)/D(磁石の径)=10以上の棒状ボンド磁石における軸方向の側面がN極とS極とに交互多極磁化されていることを特徴とする棒状ボンド磁石。
【請求項2】
前記単位ボンド磁石は、それらの組み合わせ面にゲート痕を有している請求項1に記載の棒状ボンド磁石。
【請求項3】
前記単位ボンド磁石は、それらの組み合わせ面の長手方向に沿って溝を有しており、棒状ボンド磁石が中空に形成される請求項1または2に記載の棒状ボンド磁石。
【請求項4】
前記単位ボンド磁石は、それらの端部の少なくとも一方に軸を有しており、それらの単位ボンド磁石を組み合わせてなる棒状ボンド磁石の両端部に軸が設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載の棒状ボンド磁石。
【請求項5】
前記単位ボンド磁石は、それらのいずれか一方に円柱状の端部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の棒状ボンド磁石。
【請求項6】
磁性粉末と樹脂とを混練しコンパウンドを得る第一の工程と、前記コンパウンドを溶融させてキャビティ内に射出して、そのキャビティに向かって配置された配向用磁石により配向磁場を印加しながら前記コンパウンドを成形する第二の工程と、を有する棒状ボンド磁石の製造方法において、
前記配向用磁石は、前記キャビティの側に、円弧面を一部に含む内面により形成された凹部を有しており、
前記第二の工程は、軸方向に沿った側面がN極とS極とに交互に多極磁化され、半円状の断面を有する複数の単位ボンド磁石を成形する工程を有しており、
前記複数の単位ボンド磁石の平面側を向かい合わせにして配置することにより円柱状に形成することを特徴とする棒状ボンド磁石の製造方法。
【請求項7】
前記キャビティは、前記配向用磁石が配置された第一の金型と、その第一の金型に向かい合って配置される第二の金型により形成されており、
前記第二の金型は、前記キャビティの長手方向に沿って形成された凸部を有し、その凸部が前記配向用磁石の凹部の一部に嵌入され、その凸部の上面と前記配向用磁石の円弧面とにより前記キャビティが、その長手方向に垂直な断面において半円状に形成される請求項6に記載の棒状ボンド磁石の製造方法。
【請求項8】
前記配向用磁石の円弧面は、前記単位ボンド磁石の多極磁化される側面よりも広い請求項6または7に記載の棒状ボンド磁石の製造方法。
【請求項9】
前記配向用磁石の円弧面は、中心角が185度以上200度未満の円弧面である請求項6から8のいずれか一項に記載の棒状ボンド磁石の製造方法。
【請求項10】
前記第二の工程は、前記キャビティの長手方向に配置された第二の金型に形成されたゲートから前記コンパウンドを射出する工程を有する請求項6から9のいずれか一項に記載の棒状ボンド磁石の製造方法。
【請求項11】
前記配向用磁石は、同種の磁極が対向するように複数の永久磁石を配置させることにより形成されている請求項6から10のいずれか一項に記載の棒状ボンド磁石の製造方法。
【請求項12】
前記磁性粉末は、SmFeN系磁性粉末である請求項6から11のいずれか一項に記載の棒状ボンド磁石の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−129586(P2011−129586A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284392(P2009−284392)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】